説明

殺虫性ベンズアニリド類

【課題】殺虫剤として優れた殺虫効果を示す新規なベンズアニリド類を提供すること。
【解決手段】例えば、N−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチルフェニル]−3−クロロ−N−((S)−1−メチル−2−メチルチオエチル)フタラミドで表わされるベンズアニリド類及び殺虫剤としてのその利用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なベンズアニリド類及びその殺虫剤としての利用に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜8には、フタラミド誘導体が殺虫剤として有用であることが記載されている。また特許文献9には、ある種のフタラミド誘導体が医薬品としての作用を示すことが開示されている。
【特許文献1】特開平11−240857号公報
【特許文献2】特開2001−64258号公報
【特許文献3】特開2001−64268号公報
【特許文献4】特開2001−131141号公報
【特許文献5】特開2003−40864号公報
【特許文献6】PCT国際公開WO 01/21576パンフレット
【特許文献7】PCT国際公開WO 03/11028パンフレット
【特許文献8】PCT国際公開WO 2005/030699パンフレット
【特許文献9】特開昭59−163353号公報
【発明の開示】
【0003】
本発明者らは、殺虫剤としてより高い効果を示し且つより高い安全性を示す新規化合物を創製すべく鋭意研究を行った結果、今回、優れた殺虫活性を有する下記式(I)で表される新規なベンズアニリド類を見出した。
【0004】

【0005】
【化2】

[式中、Xは水素、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル又はC1−6アルキルスルホニルオキシを示し、
Yはハロゲン又はC1−6アルキルを示し、
はC1−6アルキル、C1−6アルキルチオ−C1−6アルキル、C1−6アルキルスルフィニル−C1−6アルキル又はC1−6アルキルスルホニル−C1−6アルキルを示し、
は水素、C1−6アルキル又はC1−6ハロアルキルを示し、
は水素又はヒドロキシを示し、
WはCH又はNを示し、そして
Qは任意に置換されたフェニル又は任意に置換されたピリジルを示し、ここで、Qの置換基はハロゲン、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ及びC1−6ハロアルキルチオより成る群から選ばれる少なくとも1個の基を示す、
但し、Rがヒドロキシを示すとき、RはC1−6アルキルを示さない、あるいは
がC1−6ハロアルキルを示し、Rがヒドロキシを示し、且つWがCHを示すとき、Qの置換基は2個以上のC1−6ハロアルキルを示す。]
【0006】
本発明の式(I)の化合物は、例えば、下記の製法(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f)により得ることができる。
【0007】
製法(a)

【0008】
【化3】

[式中、R及びXは前記と同義である]
で表される化合物を式
【0009】
【化4】

[式中、Y、R、R、W及びQは前記と同義である]
で表される化合物と反応させる方法。
【0010】
製法(b)

【0011】
【化5】

[式中、X、Y、R、R、W及びQは前記と同義である]
で表される化合物を式
−NH (V)
[式中、Rは前記と同義である]
で表される化合物と反応させる方法。
【0012】
製法(c)

【0013】
【化6】

[式中、X及びRは前記と同義である]
で表される化合物を前記式(III)で表される化合物と反応させる方法。
【0014】
製法(d)

【0015】
【化7】

[式中、X、Y、R、R、W及びQは前記と同義である]
で表される化合物を前記式(V)で表される化合物と反応させる方法。
【0016】
製法(e)

【0017】
【化8】

[式中、X、Y、R、R、W及びQは前記と同義である]
で表される化合物を前記式(V)で表される化合物と反応させる方法。
【0018】
製法(f):式(I)において、RがC1−6アルキルスルフィニル−C1−6アルキル又はC1−6アルキルスルホニル−C1−6アルキルを示す場合

【0019】
【化9】

[式中、R1fはC1−6アルキルチオ−C1−6アルキルを示し、そしてX、Y、R、R、W及びQは前記と同義である]
で表される化合物を酸化剤と反応させる方法。
【0020】
本発明によれは、前記式(I)のベンズアニリド類は強力な殺虫作用を示す。
【0021】
本発明の式(I)の化合物は、前記の特許文献1に記載された一般式に概念上包含されるものであるが、具体的には何ら開示されていない新規な化合物であって、驚くべきことに、特許文献1に記載の類似化合物と比較して格別顕著な殺虫作用を現わす。
【0022】
本明細書において、
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及び沃素を示し、好ましくはフルオル、クロル及びブロムを示す。
【0023】
「アルキル」は、例えば、メチル、エチル、n−もしくはiso−プロピル、n−、iso−、sec−もしくはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル等の直鎖状又は分枝状のC1−12アルキルを示し、好ましくはC1−6アルキルを示す。
【0024】
「アルキルチオ」、「アルキルスルフィニル」、「アルキルスルホニル」、「アルキルスルホニルオキシ」、「アルキルチオアルキル」、「アルキルスルフィニルアルキル」、
「アルキルスルホニルアルキル」、「ハロアルキル」、「ハロアルコキシ」及び「ハロアルキルチオ」における各アルキル部分は、上記「アルキル」で説明したと同様のものを例示することができる。
【0025】
「ハロアルキル」、「ハロアルコキシ」及び「ハロアルキルチオ」における各ハロゲン部分は、上記「ハロゲン」で説明したと同様のものを例示することができる。
【0026】
本発明の式(I)の化合物において、
Xがハロゲン、ニトロ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル、C1−4アルキルスルホニル又はC1−4アルキルスルホニルオキシを示し、
Yがハロゲン又はC1−4アルキルを示し、
がC1−4アルキル、C1−4アルキルチオ−C1−4アルキル、C1−4アルキルスルフィニル−C1−4アルキル又はC1−4アルキルスルホニル−C1−4アルキルを示し、
が水素、C1−4アルキル又はC1−4ハロアルキルを示し、
が水素、又はヒドロキシを示し、
WがCH又はNを示し、そして
Qが任意に置換されたフェニル又は任意に置換されたピリジルを示し、ここでQの置換基はハロゲン、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ及びC1−4ハロアルキルチオより成る群から選ばれる少なくとも1個の基を示す、
但し、Rがヒドロキシを示すとき、RはC1−4アルキルを示さない、あるいは
がC1−4ハロアルキルを示し、Rがヒドロキシを示し、且つWがCHを示すとき、Qの置換基は2個以上のC1−4ハロアルキルを示す、場合の化合物を好適なものとして挙げることができる。
【0027】
中でも、式(I)の化合物において、
Xがフッ素、塩素、臭素、沃素、ニトロ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル又はメチルスルホニルオキシを示し、
Yが塩素又はメチルを示し、
がイソプロピル、C1−2アルキルチオ−C3−4アルキル、C1−2アルキルスルフィニル−C3−4アルキル又はC1−2アルキルスルホニル−C3−4アルキルを示し、
が水素、メチル又はトリフルオロメチルを示し、
が水素又はヒドロキシを示し、
WがCH又はNを示し、そして
Qが任意に置換されたフェニル又は任意に置換されたピリジルを示し、ここでQの置換基は塩素、臭素、C1−4パーハロアルキル、C1−4パーハロアルコキシ及びC1−4パーハロアルキルチオより成る群から選ばれる少なくとも1個の基を示す、
但し、Rがヒドロキシを示すとき、Rはメチルを示さない、あるいは
がトリフルオロメチルを示し、Rがヒドロキシを示し、且つWがCHを示すとき、Qの置換基は2個以上のC1−4パーハロアルキルを示す、場合の化合物が特に好適である。
【0028】
本発明の式(I)の化合物は、基Rが不斉炭素を有する場合、立体異性体(R/S配位)を包含する。
【0029】
前記製法(a)は、出発原料として、例えば、4−クロロ−3−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチルイミノ)−3H−イソベンゾフラン−1−オンと、4−(3,5−ビス−トリフルオロメチルベンジル)−2−メチルアニリンを用いる場合、下記の反応式で表わすことができる。
【0030】
【化10】

前記製法(b)は、出発原料として、例えば、2−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチルベンジル)−2−メチルフェニル]−4−クロロイソインドール−1,3−ジオンと(S)−1−メチル−2−メチルチオエチルアミンを用いる場合、下記の反応式で表わすことができる。
【0031】
【化11】

前記製法(c)は、出発原料として、例えば、3−クロル−N−(1,1ジメチル−2−メチルチオエチル)−フタラミック酸と4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−α−メチルベンジル)−2−メチルアニリンを用いる場合、下記の反応式で表わすことができる。
【0032】
【化12】

前記製法(d)は、出発原料として、例えば、1−[4−(4−クロロ−3−オキソ−3H−イソベンゾフラン−1−イリデンアミノ)−3−メチル−ベンジル]−3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゼンと、1−メチル−2−メチルチオエチルアミンを用いる場合、下記の反応式で表わすことができる。
【0033】
【化13】

前記製法(e)は、出発原料として、例えば、N−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチル−フエニル]−6−クロロ−フタラミック酸と、1−メチル−2−メチルチオエチルアミンを用いる場合、下記の反応式で表わすことができる。
【0034】
【化14】

前記製法(f)は、出発原料として、例えば、N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−3−クロロ−N−[2−メチル−4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)フェニル]フタラミドと、m−クロロ過安息香酸を用いる場合、下記の反応式で表わすことができる。
【0035】
【化15】

上記製法(a)において原料として用いられる式(II)の化合物は、それ自体既知の化合物であり、例えば、特開平11−240857号公報、特開2001−131141号公報等に記載の方法に従って容易に製造することができる。
【0036】
製法(a)において原料として用いられる式(II)の化合物の具体例としては下記のものを例示することができる。
【0037】
3−イソプロピルイミノ−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
4−フルオロ−3−イソプロピルイミノ−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
4−クロロ−3−イソプロピルイミノ−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
4−ブロモ−3−イソプロピルイミノ−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
4−ヨード−3−イソプロピルイミノ−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
3−(1−メチル−2−メチルチオエチルイミノ)−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
4−フルオロ−3−(1−メチル−2−メチルチオエチルイミノ)−3H−イソベンゾフラン−1−オン
4−クロロ−3−(1−メチル−2−メチルチオエチルイミノ)−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
4−ブロモ−3−(1−メチル−2−メチルチオエチルイミノ)−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
4−ヨード−3−(1−メチル−2−メチルチオエチルイミノ)−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
3−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチルイミノ)−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
3−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチルイミノ)−4−フルオロ−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
4−クロロ−3−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチルイミノ)−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
4−ブロモ−3−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチルイミノ)−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
3−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチルイミノ)−4−ヨード−3H−イソベンゾフラン−1−オン、
メタンスルホン酸 3−イソプロピルイミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン−4−イル エステル、
メタンスルホン酸 3−(1−メチル−2−メチルチオエチルイミノ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン−4−イル エステル、
メタンスルホン酸 3−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチルイミノ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン−4−イル エステル等。
【0038】
上記製法(a)において原料として用いられる式(III)の化合物は、その一部は従来の文献に未記載の新規化合物であり、例えば、有機化学の分野でよく知られた方法である接触水素還元法に従い、式
【0039】
【化16】

[式中、Y、R、R、W及びQは前記と同義である]
で表される化合物を、接触還元触媒、例えば、パラジウムカーボン、ラネーニッケル、酸化白金等の存在下に水素によって還元することにより得ることができる。
【0040】
上記の接触水素還元は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等;アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール等が挙げられ、また、接触還元触媒としては、パラジウムカーボン、ラネーニッケル、酸化白金等を例示することができる。反応は、一般には、約0〜約100℃、好ましくは、室温〜約80℃の間の温度で実施できる。また、該反応は通常常圧で行うことができるが、場合によっては加圧下で操作することもできる。例えば、式(IX)の化合物を、希釈剤例えばエタノール中で、0.1〜10%w/wのパラジウムカーボン存在下に水素添加することによって式(III)の化合物を得ることができる。
【0041】
また、接触水素還元の代わりに金属等を用いる還元反応によっても、式(IX)の化合物から式(III)の化合物を得ることができる。
【0042】
金属等を用いる還元方法としては、例えば、鉄粉を酢酸中で反応させる方法、亜鉛末を中性条件下に反応させる方法(Organic Syntheses Collective II巻 p447)、塩化第2スズを酸性条件下に反応させる方法(Organic Syntheses Collective II巻p254)、三塩化チタンを中性条件下に反応させる方法等を例示することができる。
【0043】
上記式(IX)の化合物は新規化合物であり、R及びRが水素を示す場合の式(IX)の化合物は、例えば、

【0044】
【化17】

[式中、Y、R、R及びWは前記と同義であり、そしてMはクロル、ブロム又はメチルスルホニルオキシを示す]
で表される化合物を、

B(OH)−Q (XI)
[式中、Qは前記と同義である]
で表わされる化合物と反応させることにより得ることができる。
【0045】
斯る反応は、J.Org.Chem.,1994年、59巻、6501頁に記載の方法に準じて行なうことができる。
【0046】
上記式(X)の化合物は、有機化学の分野でよく知られた化合物であり、例えば、J.Chem.Soc.,1967年、1154−1158頁、J.Amer.Chem.Soc.,75巻、1953年、3830頁に記載される方法により容易に得ることができる。式(X)の化合物の代表例としては、
3−メチル−4−ニトロベンジルクロライド、
3−メチル−4−ニトロベンジルブロマイド、
メタンスルホン酸 3−メチル−4−ニトロベンジルエステル、
3−クロロ−4−ニトロベンジルクロライド
等を例示することができる。
【0047】
式(IX)において、Rが水素を示し、且つRがヒドロキシを示す場合の化合物は、

【0048】
【化18】

[式中、Y、W及びQは前記と同義である]
で表わされる化合物を酸化することにより、

【0049】
【化19】

[式中、Y、W及びQは前記と同義である]
で表わされる化合物を得、次いで、上記式(XII)の化合物を還元することにより得ることができる。
【0050】
上記反応は、Chem.Ber.,18巻、1885、2402頁に記載の方法に準じて行なうことができる。
【0051】
式(IX)において、RがC1−6ハロアルキルを示し、且つRがヒドロキシを示す場合、例えば、RがC1−6パーハロアルキルを示し、且つRがヒドロキシを示す場合の化合物は、前記式(XII)の化合物を、

(CHSi−R2a (XIII)
[式中、R2aはC1−6パーハロアルキルを示す]
で表わされる化合物と反応させることにより得ることができる。
【0052】
上記反応は、J.Org.Chem.,56巻、No.3、1991年、984頁に記載される方法に準じて行なうことができる。また式(XIII)のトリメチルシリル体の代わりに、トリエチルシリル体を反応させることもできる。
【0053】
式(IX)において、RがC1−6ハロアルキルを示し、且つRが水素を示す場合、例えば、RがC1−6パーハロアルキルを示し、且つRが水素を示す化合物は、上記した式(IX)においてRがC1−6パーハロアルキルを示し、且つRがヒドロキシを示す化合物を、メタンスルホニルクロライドと反応させ、次いで水素化リチウムアルミニウムと反応させることにより、得ることができる。
【0054】
上記反応は、J.Chem.Soc.Perkin Trans.,1巻、1983年、1267頁に記載される反応に準じて行なうことができる。
【0055】
前記式(IX)の化合物のもう一方の原料である前記式(XI)の化合物は公知化合物を包含し、例えば、3−トリフルオロメチルフエニルボロン酸、3,5−ジクロロフェニルボロン酸、3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸、2−クロロピリジン−4−ボロン酸、2−クロロピリジン−5−ボロン酸、4−トリフルオロメチルピリジン−3−ボロン酸、5−トリフルオロメチルピリジン−2−ボロン酸等を挙げることができる。また、ピリジン類のボロン酸は例えば、Tetrahedron、2001年、2991頁に記載される方法に準じて得ることができる。
【0056】
前記式(XI)のボロン酸の代わりに、ボロン酸エステルを反応させることもできる。
【0057】
上記の式(X)の化合物と式(XI)の化合物との反応は、適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、例えば、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン等;エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチル−イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等;酸アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド(HMPA)等を挙げることができる。
【0058】
この反応は酸結合剤の存在下で行うことができ、該酸結合剤としては、例えば、無機塩基として、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、水素化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等、例えば、水素化ナトリウム、水素化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等;無機アルカリ金属アミド類、例えば、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド等;有機塩基として、アルコラート、第3級アミン類、ジアルキルアミノアニリン類及びピリジン類、例えば、トリエチルアミン、1,1,4,4−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)等を挙げることができる。
【0059】
また、上記の反応は希釈剤の存在下に相間移動触媒を用いる方法によっても実施することできる。その際に使用される希釈剤の例としては、水;脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン等;エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等を挙げることができる。また、相間移動触媒の例としては、4級イオン類、例えば、テトラメチルアンモニウム ブロマイド、テトラプロピルアンモニウム ブロマイド、テトラブチルアンモニウム ブロマイド、テトラブチルアンモニウム ビススルフェイト、テトラブチルアンモニウム ヨーダイド、トリオクチルメチルアンモニウム クロライド、ベンジルトリエチルアンモニウム ブロマイド、ブチルピリジニウム ブロマイド、ヘプチルピリジニウム ブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウム クロライド等;クラウンエーテル類、例えば、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6,18−クラウン−6等;クリプタンド類、例えば、[2.2.2]−クリプテート、[2.1.1]−クリプテート、[2.2.1]−クリプテート、[2.2.B]−クリプテート、[3.2.2]−クリプテート等を挙げることができる。
【0060】
上記の反応は実質的に広い温度範囲内において実施することができるが、一般には、約0〜約200℃、好ましくは室温〜約150℃の間の温度で実施するのが適当である。また、該反応は常圧下で行うことが望ましいが、場合によっては加圧下または減圧下で操作することもできる。
【0061】
上記した式(III)の化合物の製法の別法として、例えば、式(III)において、R及びRが水素を示す場合の化合物は、

【0062】
【化20】

[式中、Y、W及びQは前記と同義であり]
で表わされる化合物を、酸性条件下で反応させることにより容易に得ることができる。
【0063】
この反応は、J.Org.Chem.,1969年、395頁、J.Med.Chem.,1990年、1153頁等に記載される方法に準じて行なうことができる。
【0064】
上記製法において、式(XIV)のカルバミン酸のtert−ブチルエステルの代わりに、ベンジル、メチル又はエチルの各エステルを用いることもでき、ベンジルエステルの場合には接触水素還元することにより、またメチルエステル、エチルエステルの場合には、アルカリ条件下で反応(脱保護)させることにより、目的の式(III)の化合物を得ることができる。
【0065】
接触水素還元の方法は、J.Org.Chem.,1981年、134頁に記載の方法に準じて行うことができ、またアルカリ条件下の脱保護の反応は、J.Am.Chem.Soc.,1952年、1087頁に記載の方法に準じて行なうことができる。
【0066】
上記式(XIV)の化合物は、例えば、

【0067】
【化21】

[式中、Y及びWは前記と同義である]
で表わされる化合物を、

Q−CH−M (XVI)
[式中、Q及びMは前記と同義である]
で表わされる化合物と反応させることにより得ることができる。
【0068】
上記反応はJ.Org.Chem.,1994年、59巻、6501頁に記載の方法に準じて行なうことができる。
【0069】
上記式(XV)の化合物は、

【0070】
【化22】

[式中、Y及びWは前記と同義であり、そしてHalはハロゲンを示す]
で表わされる化合物を、パラジウム触媒を用いて、ピナコールボランと反応させることにより得ることができる。
【0071】
この反応は、J.Org.Chem.,2000年、65巻、168頁に記載される方法に準じて行なうことができる。
【0072】
上記式(XVII)の化合物の代表例として、(4−ヨード−2−メチルフエニル)カルバミン酸tert−ブチルエステルは、公知の4−ヨード−2−メチルアニリンから容易に得ることができる。
【0073】
前記式(XVI)の化合物において、式中Qの置換基が炭素数2個以上のパーフルオロアルキルである場合の式(XVI)の化合物は、Tetrahedron,2002年、58巻、3999頁又はTetrahedron Lett.,32巻、No.1、1991年、91頁に記載の方法により得ることができる。
【0074】
前記式(XIV)の化合物は、別法として、

【0075】
【化23】

[式中、Y、W及びMは前記と同義であり、そして、Lはメチル、エチル,tert−ブチル又はベンジルを示す]
で表わされる化合物を、前記式(XI)のボロン酸又はそのエステルを反応させることにより得ることもできる。
【0076】
上記式(XVIII)の化合物は、例えばJ.Org.Chem.,2002年、741頁に記載の方法に準じて行なうことができる。
【0077】
式(III)の化合物の代表例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0078】
4−(3,5−ビス−トリフルオロメチルベンジル)−2−メチルアニリン、
4−(3,5−ビス−ペンタフルオロエチルベンジル)−2−メチルアニリン、
4−(3,5−ビス−パーフルオロブチルベンジル)−2−メチルアニリン、
4−(3,4−ビス−ペンタフルオロエチルベンジル)−2−メチルアニリン、
4−(3,5−ジクロロベンジル)−2−メチルアニリン、
4−(3,5−ジブロモベンジル)−2−メチルアニリン、
4−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2−メチルアニリン、
4−(4−トリフルオロメチルチオベンジル)−2−メチルアニリン、
4−(4−イソ−パーフルオロプロピルベンジル)−2−メチルアニリン、
4−(2,6−ビス−ペンタフルオロエチル−ピリジン−4−イル)−メチルアニリン等々。
【0079】
上記製法(b)において原料として用いられる式(IV)の化合物は新規なものであって、特開昭61−246161号に記載の方法に準じて、例えば、式
【0080】
【化24】

[式中、Xは前記と同義である]
で表される化合物を、前記式(III)の化合物と反応させることにより容易に得ることができる。
【0081】
この反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤としては、例えば、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン,シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン、ジクロロベンゼン等;エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;エステル類、例えば、酢酸エチル,酢酸アミル等;酸アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルフォスフォリックアミド(HMPA)等;酸類;例えば、酢酸等が挙げられる。
【0082】
この反応は実質的に広い温度範囲内において実施することができるが、一般には、室温〜約200℃、好ましくは室温〜150℃の間の温度で実施するのが適当である。また、該反応は常圧下で行うことが望ましいが、場合によっては加圧下または減圧下で操作することもできる。
【0083】
上記式(XIX)の化合物の多くは公知のものであり、その具体例としては、無水フタル酸、3−フルオロ無水フタル酸、3−クロロ無水フタル酸、3−ブロモ無水フタル酸、3−ヨード無水フタル酸、3−メタンスルホニルオキシフタル酸無水物等を例示することができる。
【0084】
上記例示の化合物のうち、3−メタンスルホニルオキシフタル酸無水物は、Tetrahedron lett.,29巻、5595−8頁(1988年)に記載の方法に従い、3−ヒドロキシ無水フタル酸とメタンスルホニルクロライドから容易に得られる。
【0085】
製法(b)において原料として用いられる式(IV)の化合物の代表例としては、以下に示すものが挙げられる。
【0086】
4−クロロ−2−[2−メチル−4−(3,5−ビス−トリフルオロメチルベンジル)−フェニル]イソインドール−1,3−ジオン、
4−クロロ−2−[2−メチル−4−(3,5−ビス−ペンタフルオロエチルベンジル)−フェニル]イソインドール−1,3−ジオン等々。
【0087】
製法(b)において原料として用いられる式(V)の化合物は有機化学の分野でよく知られた化合物であるか、或いはドイツ特許第2045905号、WO 01/23350等に記載の方法に従って合成することができる。その具体例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、t−アミルアミン、2−(メチルチオ)−エチルアミン、2−(エチルチオ)−エチルアミン、1−メチル−2−(メチルチオ)−エチルアミン、1,1−ジメチル−2−(メチルチオ)−エチルアミン等を挙げることができる。
【0088】
製法(c)において原料として用いられる式(VI)の化合物は公知の化合物を包含し、また、特開平11−240857号公報、特開2001−131141号公報等に記載の方法に従って容易に製造することができる。その具体例として、以下に示すものを挙げることができる。
【0089】
N−イソプロピル−フタラミック酸、
3−フルオロ−N−イソプロピル−フタラミック酸、
3−クロロ−N−イソプロピル−フタラミック酸、
3−ブロモ−N−イソプロピル−フタラミック酸、
3−ヨード−N−イソプロピル−フタラミック酸、
N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−フタラミック酸、
3−フルオロ−N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−フタラミック酸、
3−クロロ−N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−フタラミック酸、
3−ブロモ−N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−フタラミック酸、
3−ヨード−N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−フタラミック酸、
N−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)−フタラミック酸、
N−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)−3−フルオロ−フタラミック酸、
3−クロロ−N−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)−フタラミック酸、
3−ブロモ−N−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)−フタラミック酸、
N−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)−3−ヨード−フタラミック酸、
N−イソプロピル−3−メタンスルホニルオキシ−フタラミック酸、
N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−3−メタンスルホニルオキシ−フタラミック酸、
N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−3−ニトロ−フタラミック酸、
3−クロロ−N−(2−エチルチオ−1−メチル−エチル)−フタラミック酸、
3−ブロモ−N−(2−エチルチオ−1−メチル−エチル)−フタラミック酸、
N−(2−エチルチオ1−メチル−エチル)−3−ヨード−フタラミック酸、
N−(2−エチルチオ1−メチル−エチル)−3−ニトロ−フタラミック酸、
N−(2−エチル−1−メチル−エチル)−3−メタンスルホニルオキシ−フタラミック酸、
N−(1,1−ジメチル−2−メチル−エチル)−3−メタンスルホニルオキシ−フタラミック酸等。
【0090】
上記例示の式(VI)の化合物は、一般には、前記式(XIX)のフタル酸無水物を式
−NH (XX)
[式中、Rは前記と同義である]
で表されるアミン類と反応させることにより容易に得ることができる。
【0091】
上記式(XX)の化合物は有機化学の分野でよく知られたものであり、具体的には、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、t−アミルアミン、2−(メチルチオ)エチルアミン、2−(エチルチオ)エチルアミン、1−メチル−2−(メチルチオ)エチルアミン、1,1−ジメチル−2−(メチルチオ)エチルアミン等を挙げることができる。
【0092】
これらのアミン類はまたドイツ特許出願公開第2045905号、WO 01/23350号に記載の方法によっても容易に得ることができる。
【0093】
上記式(XIX)の化合物と式(XX)のアミン類との反応は、例えば、J.Org.Chem.,46巻、175頁、1981年等に記載の方法に従って行うことができ、該反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、へキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン、ジクロロベンゼン等;エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチル−イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等を挙げることができる。
【0094】
上記の反応は塩基の存在下で行うことができ、該塩基としては、例えば、第3級アミン類、ジアルキルアミノアニリン類及びピリジン類、例えば、トリエチルアミン、1,1,4,4−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)等を挙げることができる。
【0095】
上記の反応は実質的に広い温度範囲内において実施することができるが、一般には、約−70〜約100℃、好ましくは約−50〜80℃の間の温度で実施するのか適当である。また、該反応は常圧下で行うことが望ましいが、場合によっては加圧下または減圧下で操作することもできる。
【0096】
製法(d)において原料として用いられる式(VII)の化合物は新規な化合物であり、例えば、後記製法(e)の原料である前記式(VIII)の化合物を、J.Med.Chem.,10巻,982頁、1967年等に記載の方法に従って、縮合剤の存在下で反応させることにより容易に得ることができる。
【0097】
上記式(VII)の化合物の代表例として、下記のものを例示することができる。
【0098】
1−[4−(4−ヨード−3−オキソ−3H−イソベンゾフラン−1−イリデンアミノ)−3−メチル−ベンジル]−3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゼン、
1−[4−(4−クロロ−3−オキソ−3H−イソベンゾフラン−1−イリデンアミノ)−3−メチル−ベンジル]−3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゼン、
1−[4−(4−クロロ−3−オキソ−3H−イソベンゾフラン−1−イリデンアミノ)−3−メチル−ベンジル]−3,4−ビス−ペンタフルオロエチル−ベンゼン、
1−[4−(4−ヨード−3−オキソ−3H−イソベンゾフラン−1−イリデンアミノ)−3−メチル−ベンジル]−3,5−ビス−ペンタフルオロエチル−ベンゼン、
1−[4−(4−クロロ−3−オキソ−3H−イソベンゾフラン−1−イリデンアミノ)−3−メチル−ベンジル]−3,4−ビス−ヘプタフルオロプロピル−ベンゼン等々。
【0099】
製法(d)において同様に原料として用いられる式(V)の化合物は、前記製法(b)において説明したとおりである。
【0100】
製法(e)において原料として用いられる式(VIII)の化合物は新規な化合物であり、例えば、前記式(XII)のフタル酸無水物を前記式(III)の化合物と反応させることにより容易に得ることができる。
【0101】
上記式の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン,シクロヘキサン,石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン、ジクロロベンゼン等;エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメエーテル(DGM)等;ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチル−イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等を挙げることができる。
【0102】
上記の反応は塩基の存在下で行うことができ、該塩基としては、第3級アミン類、ジアルキルアミノアニリン類及びピリジン類、例えば、トリエチルアミン、1,1,4,4−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)等を挙げることができる。
【0103】
上記の反応は実質的に広い温度範囲内において実施することができるが、一般には、約−70〜約100℃、好ましくは、約−50〜約80℃の間で実施するのが適当である。また、該反応は常圧下で行うことが望ましいが、場合によっては加圧下または減圧下で操作することもできる。
【0104】
上記(VIII)の化合物の代表例として、下記のものを例示することができる。
【0105】
N−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチル−フェニル]−6−ヨード−フタラミック酸、
6−クロロ−N−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチル−フェニル]−フタラミック酸等々。
【0106】
製法(e)において同様に原料として用いられる式(V)の化合物は、前記製法(b)及び(d)において用いたと同じものであることができる。
【0107】
製法(f)において原料として用いられる式(If)の化合物は本発明の前記式(I)に包含される化合物である。式(If)の化合物における基R1f、すなわち、C1−6アルキルチオ−C1−6アルキルを酸化することにより、基R1fがC1−6アルキルスルフィニル−C1−6アルキル又はC1−6アルキルスルホニル−C1−6アルキルに相当する式(I)の化合物を得ることができる。
【0108】
式(If)の化合物は前記製法(a)、(b)、(c)、(d)及び/又は(e)の方法により製造することができる。
【0109】
式(If)の化合物の代表例として、下記のものを例示することができる。
【0110】
3−ヨード−N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−N−[2−メチル−4−(3,5−ビス−トリフルオロメチルベンジル)−フェニル]−フタラミド、
−(1,1−ジメチル−2−メチルチオエチル)−3−ヨード−N−[2−メチル−4−(3,5−ビス−トリフルオロメチルベンジル)−フェニル]−フタラミド、
3−ヨード−N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−N−[2−メチル−4−(3,5−ビス−トリフルオロメチルベンジル)−フェニル]−フタラミド、
3−クロロ−N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−N−[2−メチル−4−(3,5−ビス−トリフルオロメチルベンジル)−フェニル]−フタラミド、
3−クロロ−N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−N−[2−メチル−4−(3,4−ビス−ペンタフルオロエチルベンジル)−フェニル]−フタラミド、
3−クロロ−N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−N−[2−メチル−4−(3,5−ビス−ペンタフルオロエチルベンジル)−フェニル]−フタラミド、
3−クロロ−N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−N−[2−メチル−4−(4−イソ−パーフルオロプロピルベンジル)フェニル]−フタラミド、
3−クロロ−N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−N−[2−メチル−4−(3,5−ジクロロベンジル)フェニル]−フタラミド、
3−クロロ−N−(1−メチル−2−メチルチオエチル)−N−[2−メチル−4−(2,6−ビス−ペンタフルオロエチル−ピリジン−4−イルメチル)−フェニル]−フタラミド等々。
【0111】
前記製法(a)の反応は適当な希釈剤を単独又は混合して実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、水:脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン,シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン、ジクロロベンゼン等;エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等を挙げることができる。
【0112】
製法(a)は酸触媒の存在下で行うことができ、該酸触媒の例としては、鉱酸類、例えば、塩酸、硫酸;有機酸類、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等を挙げることができる。
【0113】
製法(a)は実質的に広い温度範囲内において実施することができるが、一般には、約−20〜約100℃、好ましくは約0〜約100℃の間の温度で実施するのが適当である。また、該反応は常圧下で行うことが望ましいが、場合によっては加圧下または減圧下で操作することもできる。
【0114】
製法(a)を実施するにあたっては、例えば、希釈剤例えば1,2−ジクロロエタン中で、式(II)の化合物1モルに対し、0.01〜0.1モル量のp−トルエンスルホン酸の存在下に、1モルないし若干の過剰モル量の式(III)の化合物を反応させることによって式(I)の目的化合物を得ることができる。
【0115】
前記製法(b)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン,シクロヘキサン、石油エーテル、リグロインベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン、ジクロロベンゼン等;エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等;酸アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド(HMPA)等を挙げることができる。
【0116】
製法(b)は酸触媒の存在下で行うことができ、該酸触媒の例としては、鉱酸類、例えば、塩酸、硫酸、有機酸類、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等を挙げることができる。
【0117】
製法(b)は実質的に広い温度範囲内において実施することができるが、一般には、約−20〜約150℃、好ましくは室温〜約100℃の間の温度で実施するのが適当である。また、該反応は常圧下で行うことが望ましいが、場合によっては加圧下または減圧下で操作することもできる。
【0118】
製法(b)を実施するにあたっては、例えば、希釈剤例えばジオキサン中で、式(IV)の化合物1モルに対し、0.01〜0.5モル量の酢酸の存在下に、1〜25モル量の式(V)の化合物を反応させることによって式(I)の目的化合物を得ることができる。
【0119】
前記製法(c)、(d)及び(e)は上記製法(a)と同様の条件の下で実施することができる。
【0120】
前記製法(f)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン、ジクロロベンゼン等;アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等;酸類、例えばぎ酸、酢酸等を挙げることができる。
【0121】
前記製法(f)において用いうる酸化剤としては、例えば、メタクロロ過安息香酸、過酢酸、メタ過ヨウ素酸カリウム、過硫酸水素カリウム(オキソン)、過酸化水素等を挙げることができる。
【0122】
製法(f)は実質的に広い温度範囲内において実施することができるが、一般には、約−50〜約150℃、好ましくは約−10〜約100℃の間の温度で実施するのが適当である。また、該反応は常圧下で行うことが望ましいが、場合によっては加圧下または減圧下で操作することもできる。
【0123】
製法(f)を実施するにあたっては、例えば、希釈剤例えばジクロロメタン中で、式(If)の化合物1モルに対し、1〜5モル量の酸化剤を反応させることによって対応する式(I)の目的化合物を得ることができる。
【0124】
製法(f)の反応は、例えば、実験化学講座 日本化学会編 第4版 第24巻 350頁、1992年 丸善発行または同365頁に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0125】
本発明の式(I)の化合物は強力な殺虫作用を現わす。従って、本発明の式(I)の化合物は殺虫剤として使用することができる。そして、本発明の式(I)の活性化合物は、栽培植物に対し薬害を与えることなく、有害昆虫に対し的確な防除効果を発揮する。また、本発明の化合物は、広範な種々の害虫、例えば、有害な吸汁性昆虫、租しゃく性昆虫およびその他の植物寄生害虫、貯蔵害虫、衛生害虫等の防除のために使用することができ、それらの駆除撲滅のために適用することができる。
【0126】
そのような害虫類の例としては、以下の如き害虫類を例示することができる。
【0127】
昆虫類として、
鞘翅目害虫、例えば、
アズキゾウムシ(Callosobruchus Chinensis)、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)、オオニジユウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctomaculata)、トビイロムナボソコメツキ(Agriotes fuscicollis)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)、コロラドポテトビートル(Leptinotarsa decemlineata)、ジアブロテイカ(Diabrotica spp.)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ヒラタキクイムシ(Lyctus bruneus);
鱗翅目害虫、例えば、
マイマイガ(Lymantria dispar),ウメケムシ(Malacosoma neustria)、アオムシ(Pieris rapae)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、ヨトウ(Mamestra brassicae)、ニカメイチユウ(Chilo suppressalis)、アワノメイガ(Pyrausta nubilalis)、コナマダラメイガ(Ephestia cautella)、コカクモンハマキ(Adoxophyes orana)、コドリンガ(Carpocapsa pomonella)、カブラヤガ(Agrotis fucosa)、ハチミツガ(Galleria mellonella)、コナガ(Plutella maculipennis)、ヘリオティス(Heliothis virescens)、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella);
半翅目害虫、例えば、
ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)、モモアカアブラムシ(Myzus persicas)、リンゴアブラムシ(Aphis pomi)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、ニセダイコンアブラムシ(Phopalosiphum pseudobrassicas)、ナシグンバイ(Stephanitis nashi)、アオカメムシ(Nazara spp.)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、キジラミ(Pshylla spp.);
アザミウマ目害虫、例えば、
ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ミカンキイロアザミウマ(Franklinella occidental);
直翅目害虫、例えば、
チヤバネゴキブリ(Blatella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、ケラ(Gryllotalpa africana)、バツタ(Locusta migratoria migratoriodes);
等翅目害虫、例えば、
ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus);
双翅目害虫、例えば、
イエバエ(Musca domestica)、ネツタイシマカ(Aedes aegypti)、タネバエ(Hylemia platura)、アカイエカ(Culex pipiens)、シナハマダラカ(Anopheles slnensis)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhychus)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)
等を挙げることができる。また、
ダニ類として、例えば、
ニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)、ホコリダニ(Tarsonemus spp.)
等を挙げることができる。さらに、
センチュウ類として、例えば、
サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)、マツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus lignicolus Mamiya et Kiyohara)、イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、ネグサレセンチュウ(Pratylenchus spp.)
等を挙げることができる。
【0128】
更に、獣医学の分野において、本発明の新規化合物を種々の有害な動物寄生虫(内部および外部寄生虫)、例えば、昆虫類およびぜん虫に対して有効に使用することができる。そのような動物寄生虫の例としては、以下の如き害虫を例示することができる。
【0129】
昆虫類としては、例えば、
ウマバエ(Gastrophilus spp.)、サシバエ(Stomoxys spp.)、ハジラミ(Trichodectes spp.)、サシガメ(Rhodnius spp.)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、トコジラミ(Cimx lecturius)
等を挙げることができる。
【0130】
ダニ類としては、例えば、
カズキダニ(Ornithodoros spp.)、マダニ(Ixodes spp.)、オウシマダニ(Boophilus spp.)
等を挙げることができる。
【0131】
本発明ではこれらすべてを包含する害虫類に対する殺虫作用を有する物質を殺虫剤と呼ぶことがある。
【0132】
本発明の活性化合物は、殺虫剤として使用する場合、通常の製剤形態にすることができる。製剤形態としては、例えば、液剤、エマルジョン、水和剤、粒状水和剤、懸濁剤、粉剤、泡沫剤、ペースト、錠剤、粒剤、エアゾール、活性化合物侵潤−天然及び合成物、マイクロカプセル、種子用被覆剤、燃焼装置を備えた製剤(例えば、燃焼装置としては、くん蒸及び煙霧カートリツジ、かん、コイルなど)、ULV[コールドミスト(cold mist)、ウオームミスト(warm mist)]等を挙げることができる。
【0133】
これらの製剤はそれ自体既知の方法で製造することができる。例えば、活性化合物を、展開剤、即ち、液体の希釈剤又は担体;液体ガス希釈剤又は担体;固体の希釈剤又は担体と、そして場合によっては界面活性剤、即ち、乳化剤及び/又は分散剤及び/又は泡沫形成剤等と共に混合することによって製造することができる。
【0134】
展開剤として水を用いる場合には、例えば有機溶媒をまた補助溶媒として使用することができる。
【0135】
液体希釈剤又は担体としては、例えば、芳香族炭化水素類(例えば、キシレン、トルエン、アルキルナフタレン等)、クロル化芳香族又はクロル化脂肪族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン類、塩化エチレン類、塩化メチレン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、シクロヘキサン等、パラフィン類(例えば鉱油留分等)]、アルコール類(例えば、ブタノール、グルコール及びそれらのエーテル、エステル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、強極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)、水などを挙げることができる。
【0136】
液化ガス希釈剤又は担体は、常温常圧ではガスであるもの、例えば、ブラン、プロパン、窒素ガス、二酸化炭素、ハロゲン化炭化水素類のようなエアゾール噴射剤を挙げることができる。
【0137】
固体希釈剤としては、例えば、粉砕天然鉱物(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルガイド、モンモリロナイト又は珪藻土等)、粉砕合成鉱物(例えば、高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等)などを挙げることができる。
【0138】
粒剤のための固体担体としては、例えば、粉砕且つ分別された岩石(例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石、白雲石等)、無機又は有機物粉の合成粒、有機物質(例えば、おがくず、ココやしの実のから、とうもろこしの穂軸、タバコの茎等)の細粒体などを挙げることができる。
【0139】
乳化剤及び/又は泡沫剤としては、例えば、非イオン及び陰イオン乳化剤[例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル(例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル)、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アリールスルホン酸塩等]、アルブミン加水分解生成物などを挙げることができる。
【0140】
分散剤としては、例えば、リグニンサルフアイト廃液、メチルセルオースが包含される。
【0141】
固着剤も、製剤(粉剤、粒剤、乳剤)に使用することができ、該固着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、天然又は合成ポリマー(例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコールそしてポリビニルアセテート等)などを挙げることができる。
【0142】
着色剤を使用することもでき、該着色剤としては、例えば、無機顔料(例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルーなど)、アリザリン染料、アゾ染料又は金属フタロシアニン染料のような有機染料、そして更に、鉄、マンガン、ボロン、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛の塩のような微量要素を挙げることができる。
【0143】
該製剤は、一般には、前記活性成分を0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%の範囲内の量で含有することができる。
【0144】
本発明の式(I)活性化合物は、それらの商業上有用な製剤形態で及びそれらの製剤から調製された使用形態で、他の活性化合物、例えば、殺虫剤、毒餌、殺菌剤、殺ダニ剤、殺センチュウ剤、殺カビ剤、生長調整剤、除草剤などとの混合剤として存在することもできる。ここで、上記殺虫剤としては、例えば、有機リン剤、カーバメート剤、カーボキシレート系薬剤、クロル化炭化水素系薬剤、微生物より生産される殺虫性物質などを挙げることができる。
【0145】
更に、本発明の式(I)の活性化合物は、協力剤との混合剤としても存在することができ、かかる製剤及び使用形態は商業上有用なものを挙げることができる。該協力剤はそれ自体活性である必要はなく、活性化合物の作用を増強する化合物である。
【0146】
本発明の式(I)の活性化合物の商業上有用な使用形態における含有量は広い範囲内で変えることができる。
【0147】
本発明の式(I)の活性化合物の実際の使用上の濃度は、例えば、0.0000001〜100重量%、好ましくは0.00001〜1重量%の範囲内とすることができる。
【0148】
本発明の式(I)の化合物は使用形態に適合した通常の方法で使用することができる。
【0149】
本発明の活性化合物は、衛生害虫、貯蔵物に対する害虫に使用するに際して、石灰物質上のアルカリに対する有効な安定性を有しており、しかも木材及び土壌における優れた残効性を示す。
【実施例】
【0150】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれのみに限定されるべきものではない。
【0151】
合成例1
【0152】
【化25】

4−クロロ−3−[(S)−1−メチル−2−メチルチオエチルイミノ]−3−H−イソベンゾフラン−1−オン(0.2g)及び4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチルアニリン(0.22g)をアセトニトリル(10ml)に溶解し、p−トルエンスルホン酸−水和物(0.01g)を加え、室温にて3時間攪拌した。反応終了後、減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、N−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチルフェニル]−3−クロロ−N−((S)−1−メチル−2−メチルチオエチル)フタラミド(0.10g)を得た。
融点:57〜62℃
【0153】
合成例2
【0154】
【化26】

−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチルフェニル]−3−クロロ−N−((S)−1−メチル−2−メチルスルファニル−エチル)フタラミド(0.19g)を塩化メチレンに溶解し、m−クロロ過安息香酸(0.08g)を加え、室温で3時間攪拌した。反応終了後、チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、N−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチルフェニル]−3−クロロ−N−(2−メタンスルフィニル−(S)−1−メチル−エチル)フタラミド(0.12g)を得た。
融点:162〜165℃
【0155】
合成例3
【0156】
【化27】

−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチルフェニル]−3−クロロ−N−((S)−1−メチル−2−メチルスルファニル−エチル)フタラミド(0.22g)を塩化メチレンに溶解し、m−クロロ過安息香酸(0.20g)を加え、室温で3時間攪拌した。反応終了後、チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、N−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチルフェニル]−3−クロロ−N−(2−メタンスルホニル−(S)−1−メチル−エチル)フタラミド(0.10g)を得た。
融点:155〜158℃
【0157】
合成例4
【0158】
【化28】

3−ヨード−N−((S)−1−メチル−2−メチルチオエチル)−フタラミン酸(0.38g)とN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボニルジイミダゾール塩酸塩(0.2g)を塩化メチレン(10ml)中、室温で30分間攪拌した。4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチルアニリン(0.3g)及びp−トルエンスルホン酸−水和物(0.02g)を加え室温で3時間攪拌した。反応終了後、減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、N−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチルフェニル]−3−ヨード−N−((S)−1−メチル−2−メチルチオエチル)フタラミド(0.15g)を得た。
融点:85〜94℃
【0159】
合成例5
【0160】
【化29】

4−クロロ−3−[(S)−1−メチル−2−メチルチオエチルイミノ]−3−H−イソベンゾフラン−1−オン(0.2g)及び6−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチル−ピリジン−3−イルアミン(0.22g)をアセトニトリル(10ml)に溶解し、p−トルエンスルホン酸−水和物(0.01g)を加え、60℃にて20時間攪拌した。反応終了後、減圧下溶液を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し,N−[6−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチル−ピリジン−3−イル]−3−クロロ−N−((S)−1−メチル−2−メチルチオエチル)フタラミド(0.21g)を得た。
融点:73〜79℃
【0161】
上記合成例と同様の方法により得ることができる本発明の式(I)の化合物を下記第1表〜第8表に、上記合成例で得られた化合物と共に示す。
【0162】
尚、式(I)を各表の冒頭に記した式で代替した。
【0163】
【表1】







【0164】
【表2】


【0165】
【表3】

【0166】
【表4】

【0167】
【表5】

【0168】
【表6】

【0169】
【表7】

【0170】
【表8】

【0171】
合成例5(中間体)
4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチル−ニトロベンゼンの合成
【0172】
【化30】

3−メチル−4−ニトロベンジルクロライド(0.27g)、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(0.45g)、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(0.1g)及び炭酸ナトリウム(0.48g)の水(2ml)及び1,2−ジメトキシエタン(10ml)の溶液をアルゴン雰囲気下、85℃で2時間加熱攪拌した。冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、水を加えて10分間攪拌した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶液を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチル−ニトロベンゼン(0.44g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.61(3H,s),4.13(2H,s),7.14−7.17(2H,m),7.62(2H,s),7.78(1H,s),7.93−7.99(1H,m)
【0173】
合成例6(中間体)
4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチルアニリンの合成
【0174】
【化31】

4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチル−ニトロベンゼン(0.44g)、酢酸アンモニウム(9.3g)、アセトン(20ml)及び水(10ml)の混合物中に20%三塩化チタン水溶液(8.4g)を室温で加え、12時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチルアニリン(0.22g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.14(3H,s),3.53(2H,br s),3.98(2H,s),6.52−6.63(1H,m),6.81−6.86(1H,m),7.61(2H,s),7.69(1H,s)
【0175】
合成例7(原料)
メチル 3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンゾエートの合成
【0176】
【化32】

メチル3,5−ジヨードベンゾエート(1g)、銅粉(1.6g)、n−パーフルオロブチルヨーダイド(2.7g)及びDMSO(10ml)を120℃で3時間加熱攪拌した。冷却後、反応液へ酢酸エチルと水を加え攪拌し、不溶物をセライトにて濾別した後、有機層を飽和食塩水にて洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、メチル 3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンゾエート(0.9g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:3.99(3H,s),7.96(1H,s),8.47(2H,s)
【0177】
合成例8(原料)
3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンジルアルコールの合成
【0178】
【化33】

5−ビス−n−パーフルオロブチルベンゾエート(0.9g)のTHF(5ml)溶液を水素化リチウムアルミニウム(0.75g)のTHF(10ml)溶液中へ氷冷下ゆっくりと滴下した。1時間攪拌の後、反応液をエチルエーテルで希釈し、飽和食塩水(1ml)をゆっくりと加えて30分間攪拌した。不溶物を濾別した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンジルアルコール(0.85g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:4.90(2H,d),7.72(1H,s),7.83(2H,s)
【0179】
合成例9(原料)
3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンジルブロマイドの合成
【0180】
【化34】

四臭化炭素(0.62g)とトリフェニルホスフィン(0.49g)を、3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンジルアルコール(0.85g)の塩化メチレン(10ml)溶液中へ加え、室温にて、10時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンジルブロマイド(0.4g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:4.56(2H,s),7.74(1H,s),7.84(2H,s)
【0181】
合成例10(中間体)
[2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン−2−イル)−フェニル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステルの合成
【0182】
【化35】

(4−ヨード−2−メチルフェニル)カルバミン酸 tert−ブチルエステル(1.39g)、ピナコールボラン(0.8g)、トリエチルアミン(1.27g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライド(0.09g)のジオキサン(20ml)溶液を、アルゴン雰囲気下、80℃で4時間加熱攪拌した。冷却後、水を加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥の後、減圧下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、[2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン−2−イル)−フェニル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステル(0.95g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.33(13H,s),1.55(9H,s),2.24(3H,s),6.38(1H,br s),7.58(1H,s),7.64(1H,d),7.94(1H,d)
【0183】
合成例11(中間体)
[4−(3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンジル)−2−メチルフェニル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの合成
【0184】
【化36】

3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンジルブロマイド(0.40g)、[2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン−2−イル)−フェニル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステル(0.22g)、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(0.05g)及び炭酸ナトリウム(0.22g)の水(2ml)及び1,2−ジメトキシエタン(10ml)の溶液をアルゴン雰囲気下、85℃で2時間加熱攪拌した。冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、水を加えて10分間攪拌した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、[4−(3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンジル)−2−メチルフェニル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル(0.22g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.58(9H,s),2.29(3H,s),4.02(2H,s),6.25(1H,br s),6.91(1H,s),6.97−7.00(1H,m),7.61−7.64(3H,m),7.77−7.80(1H,m)
【0185】
合成例12(中間体)
4−(3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンジル)−2−メチルアニリンの合成
【0186】
【化37】

トリフルオロ酢酸(0.5g)を[4−(3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンジル)−2−メチルフェニル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル(0.22g)の塩化メチレン(5ml)溶液中へ加え、室温にて3時間攪拌した。反応終了後、減圧下溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥の後、減圧下溶媒を留去し4−(3,5−ビス−n−パーフルオロブチルベンジル)−2−メチルアニリン(0.15g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.11(3H,s),3.54(2H,br s),3.98(2H,s),6.59−6.69(1H,m),6.77−6.80(2H,m),7.58−7.73(3H,m)
【0187】
合成例13(原料)
メチル3,4−ビス−パーフルオロエチルベンゾエートの合成
【0188】
【化38】

メチル3,4−ジヨードベンゾエート(1g)、パーフルオロエチルトリメチルシラン(1.98g)、ヨー化第一銅(1.96g)、フッ化カリウム(0.33g)のDMF(10ml)溶液をアルゴン雰囲気下、シールドチューブ中、100℃で3時間加熱攪拌した。冷却後、反応液混合物を酢酸エチルで希釈し、不溶物をセライトにて濾別した後、有機層を飽和食塩水にて洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、メチル3,4−ビス−パーフルオロエチルベンゾエート(0.55g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:4.01(3H,s),7.90(1H,d),8.37(1H,d),8.46(1H,s)
【0189】
合成例14(原料)
6−n−パーフルオロプロピルニコチン酸メチルエステルの合成
【0190】
【化39】

6−クロロニコチン酸メチルエステル(3g)、銅粉(2.2g)、n−パーフルオロプロピルヨーダイド(9.0g)及びDMSO(10ml)を120℃で3時間加熱攪拌した。冷却後、反応液へ酢酸エチルと水を加え攪拌し、不溶物をセライトにて濾別した後、有機層を飽和食塩水にて洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、6−n−パーフルオロプロピルニコチン酸メチルエステル(4.2g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:3.94−4.06(3H,m),7.80(1H,d)8.50(1H,d)9.34(1H,d)
【0191】
合成例15(中間体)
3’,5’−ビス−トリフルオロメチル−3−メチル−4−ニトロベンゾフェノンの合成
【0192】
【化40】

酸化クロム(IV)(0.41g)を4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチルニトロベンゼン(0.3g)の酢酸(10ml)溶液中へ加え、室温にて1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、水、飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、3’,5’−ビス−トリフルオロメチル−3−メチル−4−ニトロベンゾフェノン(0.3g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.68(3H,s),7.68−7.71(1H,m),7.76−7.80(1H,m),8.08(1H,d),8.15(1H,s),8.23(2H,s)
【0193】
合成例16(中間体)
(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)(3−メチル−4−ニトロフェニル)メタノールの合成
【0194】
【化41】

水素化ホウ素ナトリウム(0.12g)を3’,5’−ビス−トリフルオロメチル−3−メチル−4−ニトロベンゾフェノン(2.2g)のメタノール(10ml)の溶液へ、氷冷下加えた。室温にて、1時間攪拌の後、酢酸エチルで希釈し、水及び飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)(3−メチル−4−ニトロフェニル)メタノール(1.6g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.60(3H,s),5.98(1H,s),7.34−7.37(2H,m),7.83−7.84(3H,m),7.99(1H,d)
【0195】
合成例17(中間体)
1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3−メチル−4−ニトロフェニル)エタノールの合成
【0196】
【化42】

テトラブチルアンモニウムフルオライドの1Mのテトラハイドロフラン溶液(0.2ml)を、3’,5’−ビス−トリフルオロメチル−3−メチル−4−ニトロベンゾフェノン(1.4g)、トリフルオロメチルトリメチルシラン(1.0g)のテトラハイドロフラン(20ml)溶液へ氷冷下加え、室温にて8時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水及び飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去し、残渣をテトラハイドロフラン(20ml)に溶解し、2N塩酸(2ml)を加え、室温にて30分間攪拌した。酢酸エチルで希釈し、水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3−メチル−4−ニトロフェニル)エタノール(0.8g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.66(3H,s),7.68−7.71(1H,m),7.78−7.79(1H,m),8.08(1H,d),8.14(1H,s),8.23(2H,s)
【0197】
合成例18(中間体)
メタンスルホン酸1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3−メチル−4−ニトロフェニル)エチルエステルの合成
【0198】
【化43】

メタンスルホニルクロライド(0.11g)を、1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3−メチル−4−ニトロフェニル)エタノール(0.4g)とトリエチルアミン(0.11g)の塩化メチレン(10ml)溶液中へ、氷冷下、滴下し、室温にて1時間攪拌した。反応終了後、水、希塩酸及び飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、メタンスルホン酸 1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3−メチル−4−ニトロフェニル)エチルエステル(0.46g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.62(3H,s),3.19(3H,s),3.73(1H,s),7.42−7.46(2H,m),7.88(2H,s),8.00−8.03(2H,m)
【0199】
合成例19(中間体)
1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3−メチル−4−ニトロフェニル)エタンの合成
【0200】
【化44】

メタンスルホン酸 1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3−メチル−4−ニトロフェニル)エチルエステル(0.5g)のテトラハイドロフラン(5ml)溶液を、水素化リチウムアルミニウム(0.04g)のテトラハイドロフラン溶液(10ml)中へ氷冷下ゆっくり滴下した。30分間攪拌の後、反応液をエチルエーテルで希釈し、飽和食塩水(1ml)をゆっくりと加えて30分間攪拌した。不溶物を濾別した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3−メチル−4−ニトロフェニル)エタン(0.11g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.61(3H,s),4.89(1H,q),7.34−7.36(2H,m),7.80(2H,s),7.90(1H,s),8.02(1H,d)
【0201】
生物試験例1:ハスモンヨトウ幼虫に対する試験
供試薬液の調製
溶剤:ジメチルホルムアミド 3重量部
乳化剤:ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 1重量部
適当な活性化合物の調合物を作るために、活性化合物1重量部を上記量の乳化剤を含有する上記量の溶剤と混合し、その混合物を水で所定濃度まで希釈した。
【0202】
試験方法
サツマイモの葉を所定濃度の水希釈した供試薬液に浸漬し、薬液の風乾後、直径9cmのシャーレに入れ、ハスモンヨトウ3令幼虫を10頭放ち、25℃の定温室に置き、2日及び4日後にサツマイモの葉を追加し、7日後に死虫数を調べ殺虫率を算出した。
【0203】
本試験では1区2シャーレの結果を平均した。
【0204】
生物試験例2:コブノメイガ幼虫に対する試験
試験方法
ポット植え水稲(品種:玉錦)に、上記生物試験例1と同様にして調製した活性化合物の所定濃度水希釈液を、1ポットあたり50mlを散布処理した。処理した水稲を風乾させた後、その茎葉部を4〜5cmの長さに切り揃え、ろ紙を敷き水2mlを入れた直径9cmのシャーレに、その稲の茎葉部を入れた。このシャーレに、コブノメイガ2令幼虫を5頭放ち、25℃の定温室に置き、2日及び4日後にそれぞれ残り(1/3量ずつ)の稲の茎葉部を同様に切り揃えて追加し、7日後に死虫数を調べ殺虫率を算出した。本試験では1区2シャーレの結果を平均した。
【0205】
試験結果
上記生物試験例1及び2において、代表例として、前記化合物番号19、20、21、56、57、58、65、66、67、88、89、90、98、112、149、212、345、583、584、635の化合物が有効成分濃度20ppmで殺虫率100%の防除効果を現わした。
【0206】
生物試験例3
有機リン剤及びカーバメート剤抵抗性モモアカアブラムシに対する試験
試験方法
直径6cmのビニールポットに植えたナス苗に、飼育した有機リン剤及びカーバメート剤抵抗性モモアカアブラムシを1苗当り約30頭接種し、接種1日後に、上記で調製した活性化合物の所定濃度の水希釈液をスプレーガンを用いて充分量散布した。散布後28℃の温室に放置し、散布7日後に殺虫率を算出した。なお、試験は2回反復で行った。
【0207】
試験結果
代表例として、前記化合物番号19、152、635の化合物が有効成分濃度100ppmで殺虫率100%の防除効果を現した。
【0208】
製剤例1(粒剤)
本発明化合物(No.19)10部、ベントナイト(モンモリロナイト)30部、タルク(滑石)58部及びリグニンスルホン酸塩2部の混合物に、水25部を加え、良く捏化し、押し出し式造粒機により10〜40メッシュの粒状とし、40〜50℃で乾燥して粒剤とする。
【0209】
製剤例2(粒剤)
0.2〜2mmの範囲内の粒径分布を有する粘土鉱物粒95部を回転混合機に入れ、回転下、液体希釈剤とともに本発明化合物(No.20)5部を噴霧し均等にしめらせた後、40〜50℃で乾燥して粒剤とする。
【0210】
製剤例3(乳剤)
本発明化合物(No.56)30部、キシレン55部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル8部及びアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム7部を混合攪拌して乳剤とする。
【0211】
製剤例4(水和剤)
本発明化合物(No.65)15部、ホワイトカーボン(含水無晶形酸化ケイ素微粉末)と粉末クレーとの混合物(1:5)80部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部及びアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物3部を粉砕混合し、水和剤とする。
【0212】
製剤例5(水和顆粒)
本発明化合物(No.112)20部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩30部及びベントナイト15部、焼成ケイソウ土粉末35部を充分に混合し、水を加え、0.3mmのスクリーンで押し出し乾燥して、水和顆粒とする。
【産業上の利用可能性】
【0213】
本発明の新規なベンズアニリド類は前記の実施例に示したとおり、殺虫剤として優れた殺虫作用を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、Xは水素、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル又はC1−6アルキルスルホニルオキシを示し、
Yはハロゲン又はC1−6アルキルを示し、
はC1−6アルキル、C1−6アルキルチオ−C1−6アルキル、C1−6アルキルスルフィニル−C1−6アルキル又はC1−6アルキルスルホニル−C1−6アルキルを示し、
は水素、C1−6アルキル又はC1−6ハロアルキルを示し、
は水素又はヒドロキシを示し、
WはCH又はNを示し、そして
Qは任意に置換されたフェニル又は任意に置換されたピリジルを示し、ここで、Qの置換基はハロゲン、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ及びC1−6ハロアルキルチオより成る群から選ばれる少なくとも1個の基を示す、
但し、Rがヒドロキシを示すとき、RはC1−6アルキルを示さない、あるいは
がC1−6ハロアルキルを示し、Rがヒドロキシを示し、且つWがCHを示すとき、Qの置換基は2個以上のC1−6ハロアルキルを示す]
で表されるベンズアニリド類。
【請求項2】
Xがハロゲン、ニトロ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル、C1−4アルキルスルホニル又はC1−4アルキルスルホニルオキシを示し、
Yがハロゲン又はC1−4アルキルを示し、
がC1−4アルキル、C1−4アルキルチオ−C1−4アルキル、C1−4アルキルスルフィニル−C1−4アルキル又はC1−4アルキルスルホニル−C1−4アルキルを示し、
が水素、C1−4アルキル又はC1−4ハロアルキルを示し、
が水素又はヒドロキシを示し、
WがCH又はNを示し、そして
Qが任意に置換されたフェニル又は任意に置換されたピリジルを示し、ここでQの置換基はハロゲン、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ及びC1−4ハロアルキルチオより成る群から選ばれる少なくとも1個の基を示す、
但し、Rがヒドロキシを示すとき、RはC1−4アルキルを示さない、あるいは
がC1−4ハロアルキルを示し、Rがヒドロキシを示し、且つWがCHを示すとき、
Qの置換基は2個以上のC1−4ハロアルキルを示す、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xがフッ素、塩素、臭素、沃素、ニトロ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル又はメチルスルホニルオキシを示し、
Yが塩素又はメチルを示し、
がイソプロピル、C1−2アルキルチオ−C3−4アルキル、C1−2アルキルスルフィニル−C3−4アルキル又はC1−2アルキルスルホニル−C3−4アルキルを
示し、
が水素、メチル又はトリフルオロメチルを示し、
が水素又はヒドロキシを示し、
WがCH又はNを示し、そして
Qが任意に置換されたフェニル又は任意に置換されたピリジルを示し、ここでQの置換基は塩素、臭素、C1−4パーハロアルキル、C1−4パーハロアルコキシ及びC1−4パーハロアルキルチオより成る群から選ばれる少なくとも1個の基を示す、
但し、Rがヒドロキシを示すとき、Rはメチルを示さない、あるいは
がトリフルオロメチルを示し、Rがヒドロキシを示し、且つWがCHを示すとき、Qの置換基は2個以上のC1−4パーハロアルキルを示す、
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する殺虫剤。

【公開番号】特開2006−347936(P2006−347936A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175036(P2005−175036)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】