説明

毛髪処理剤組成物

【課題】毛髪処理をした後の毛髪に柔らかい感触を与え、まとまりをよくすることができる毛髪処理剤組成物の提供。
【解決手段】一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤(A)を含有してなる毛髪処理剤組成物。


(式中、R、R及びRのうちの1個又は2個は、置換されていてもよい炭素数10〜30の炭化水素基であり、残りの基はアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基;Rは水素、アルキル基等;mは1〜50の整数であり、Xm−はアニオン性置換基で変性されたシリコーンが脱プロトンして生成したカウンターアニオンである。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪処理剤組成物に関する。更に詳しくは、アニオン性置換基で変性されたシリコーンが脱プロトンして生成したカウンターアニオンを有するカチオン性界面活性剤を含有してなる毛髪処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪処理剤組成物(例えばヘアリンス、ヘアトリートメント等)としては、4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤と、高級アルコール及びシリコーン油等の油分を含有する組成物が用いられてきた(特許文献−1、2参照)。しかしながら、これらの組成物はカチオン性界面活性剤の吸着量が少なく、十分な帯電防止性が得られないため、毛髪がパサついてまとまらないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献−1】特開平04−305516号公報
【特許文献−2】特開平05−58856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、毛髪処理をした後の毛髪に、柔らかい感触を与え、まとまりをよくすることができる毛髪処理剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は、一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤(A)を含有してなる毛髪処理剤組成物である。
【0006】
【化1】

式中、R、R及びRのうちの1個又は2個は、炭素数10〜30の炭化水素基であって、炭化水素基のいずれかの位置に、水酸基、エーテル基、アミド基及びエステル基からなる群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、残りの基は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又はベンジル基;Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又はベンジル基;mは1〜50の整数であり、Xm−はアニオン性置換基で変性されたシリコーンが脱プロトンして生成したカウンターアニオンである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の毛髪処理剤組成物を用いて毛髪を処理すると、処理した後の毛髪に柔らかい感触を与え、まとまりをよくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の毛髪処理剤組成物は、一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤(A)を含有してなる。
一般式(1)において、R、R及びRのうちの1個又は2個は、炭素数10〜30の炭化水素基であって、炭化水素基のいずれかの位置に、水酸基、エーテル基、アミド基及びエステル基からなる群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭化水素基(以下、「官能基α」と略記する)である。これらのうち好ましいのは、炭素数12〜26の官能基αであり、更に好ましいのは、炭素数16〜24の官能基αである。炭素数が10未満では十分なコンディショニング性が得られないため、仕上がりの感触が劣り、炭素数が30を超えると、仕上がりが重くなり、硬い感触になるため好ましくない。
【0009】
炭素数10〜30の炭化水素基としては、炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数10〜30の脂環式炭化水素基及び炭素数10〜30の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基としては、炭素数10〜30の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数10〜30の直鎖又は分岐のアルケニル基等が挙げられる。
炭素数10〜30の直鎖アルキル基としては、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ヘキサコシル基、n−オクタコシル基及びn−トリアコンチル基等が挙げられる。
炭素数10〜30の分岐アルキル基の分岐の位置はいずれの位置でもよく、分岐の数に特に制限はない。
炭素数10〜30の分岐アルキル基としては、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基、イソノナデシル基、イソエイコシル基、イソドコシル基、イソヘキサコシル基、2−n−デシル−n−ドデシル基及び炭素数3又は4のオレフィン(プロピレン及びブテン等)のオリゴマー由来の合成アルコールから水酸基を除いた残基等が挙げられる。
【0010】
炭素数10〜30の直鎖又は分岐のアルケニル基の二重結合の位置はいずれの位置でもよく、二重結合の数に特に制限はない。また、炭素数10〜30の分岐アルケニル基の場合、分岐の数に特に制限はない。
炭素数10〜30の直鎖アルケニル基としては、n−ドデセニル基、n−ヘキサデセニル基、n−オクタデセニル基、n−エイコセニル基、n−ドコセニル基、n−テトラコセニル基及びn−トリアコンチル基等が挙げられる。
炭素数10〜30の分岐アルケニル基としては、イソデセニル基、イソドデセニル基、イソオクタデセニル基、イソエイコセニル基、イソドコセニル基及びイソトリアコンチル基等が挙げられる。
【0011】
炭素数10〜30の脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基(シクロデシル基等)、アルキルシクロヘキシル基(デシルシクロヘキシル基及びオクタデシルシクロヘキシル基等)、シクロアルキルアルキル基(シクロヘキシルブチル基及びシクロヘキシルオクチル基等)及びシクロアルケニル基(2−シクロデセニル基等)等が挙げられる。
【0012】
炭素数10〜30の芳香族炭化水素基としては、アリール基(ナフチル基及びフェナントリル基等)及びアリールアルキル基(フェニルデシル基、フェニルオクタデシル基及びナフチルテトラデシル基等)等が挙げられる。
【0013】
炭素数10〜30の官能基αは、炭化水素基のいずれかの位置に水酸基、エーテル基、アミド基及びエステル基からなる群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。置換基の数は、カチオン性界面活性剤(A)が毛髪に適度に吸着するという観点から、0〜10個であることが好ましく、更に好ましくは0〜5個であり、特に好ましくは0〜2個である。また、2種以上の置換基を有する場合の置換基の組み合わせは、いずれの組み合わせでもよい。官能基αとしては、例えば一般式(2)〜(6)で表されるものが挙げられる。
【0014】
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【0015】
式(2)〜(6)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜28のアルキル基又はアルケニル基;Rは炭素数1〜28のアルカンジイル基又は炭素数2〜28のアルケンジイル基;aは1〜5の整数である。なお、R、R及びRは、それぞれ独立に、一般式(2)〜(6)で表される官能基α中の総炭素数が10〜30となるような炭素数を有する基である。
【0016】
炭素数1〜28のアルキル基としては、炭素数1〜28の直鎖アルキル基又は炭素数3〜28の分岐アルキル基が挙げられる。
炭素数1〜28の直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ヘキサコシル基及びn−オクタコシル基等が挙げられる。
炭素数3〜28の分岐アルキル基としては、イソプロピル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基、イソノナデシル基、イソエイコシル基、イソドコシル基、イソヘキサコシル基、2−n−デシル−n−ドデシル基及び炭素数3又は4のオレフィン(プロピレン及びブテン等)のオリゴマー由来の合成アルコールから水酸基を除いた残基等が挙げられる。
【0017】
炭素数2〜28のアルケニル基としては、炭素数2〜28の直鎖アルケニル基又は炭素数3〜28の分岐アルケニル基が挙げられる。アルケニル基の二重結合の位置はいずれの位置でもよく、二重結合の数に特に制限はない。また、炭素数2〜28の分岐アルケニル基の場合、分岐の数に特に制限はない。
炭素数2〜28の直鎖アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、n−ヘキセニル基、n−ドデセニル基、n−ヘキサデセニル基、n−オクタデセニル基、n−エイコセニル基、n−ドコセニル基、n−テトラコセニル基及びn−オクタコセニル基等が挙げられる。
炭素数3〜28の分岐アルケニル基としては、イソプロペニル基、イソヘキセニル基、イソデセニル基、イソドデセニル基、イソオクタデセニル基、イソエイコセニル基、イソドコセニル基及びイソオクタコセニル基等が挙げられる。
【0018】
炭素数1〜28のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、イコサン−1,20−ジイル基及びオクタコサン−1,28−ジイル基等が挙げられる。
【0019】
炭素数2〜28のアルケンジイル基としては、2−ブテン−1,4−ジイル基、2−ペンテン−1,5−ジイル基、2−ヘキセン−1,6−ジイル基、3−ヘキセン−1,6−ジイル基、2−デセン−1,10−ジイル基、2−イコセン−1,20−ジイル基及び2−オクタコセン−1,28−ジイル基等が挙げられる。
【0020】
炭素数6〜27のアルキル基としては、R及びRとして例示した炭素数1〜28のアルキル基のうち、炭素数6〜27のアルキル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
炭素数6〜27のアルケニル基としては、R及びRとして例示した炭素数2〜28のアルケニル基のうち、炭素数6〜27のアルケニル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0021】
一般式(2)で表される官能基αの具体例としては、オクタノイルアミノプロピル基、ドデカノイルアミノプロピル基、オクタデカノイルアミノプロピル基、ドコサノイルアミノプロピル基、オクタデカノイルアミノエチル基及びヘキサデセノイルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0022】
一般式(3)で表される官能基αの具体例としては、オクチロキシプロピル基、ドデシロキシプロピル基、オクタデシロキシプロピル基、ドコシロキシプロピル基、オクタデシロキシエチル基、ヘキサデセロキシプロピル基及びドデシロキシデセニル基等が挙げられる。
【0023】
一般式(4)で表される官能基αの具体例としては、2−ヒドロキシドデシル基、2−ヒドロキシオクタデシル基、2−ヒドロキシドコシル基、2−ヒドロキシオクタコシル基及び18−ヒドロキシオクタデシル基等が挙げられる。
【0024】
一般式(5)で表される官能基αの具体例としては、オクタノイルオキシプロピル基、ドデカノイルオキシエチル基、オクタデカノイルオキシエチル基、ドコサノイルオキシエチル基及びヘキサデセノイルオキシプロピル基等が挙げられる。
【0025】
一般式(6)で表される官能基αの具体例としては、3−オクチロキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−ドデシロキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−オクタデシロキシ−2−ヒドロキシプロピル基及び3−ドコシロキシ−2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
【0026】
一般式(1)におけるR、R及びRのうちの1個又は2個は、官能基αであって、残りの基は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又はベンジル基である。
炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基が挙げられる。炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基が挙げられる。これらのうち、毛髪に柔らかい感触を与えまとまりをよくするという観点から好ましいのは、炭素数1又は2のアルキル基及び炭素数1又は2のヒドロキシアルキル基であり、更に好ましいのはメチル基である。
【0027】
一般式(1)におけるRは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又はベンジル基である。炭素数1〜3のアルキル基及び炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基としては、上記のものと同様の基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
一般式(1)におけるRが水素原子であるときは、(A)が3級アミンの中和塩であることを表し、Rが水素原子以外の基であるときは、(A)が4級アンモニウム塩であることを表す。
【0028】
一般式(1)におけるmは1〜50の整数であり、毛髪に柔らかい感触を与えまとまりをよくするという観点から、好ましいのは1〜20の整数であり、更に好ましいのは1〜10である。
【0029】
一般式(1)におけるXm−は、アニオン性置換基で変性されたシリコーンが脱プロト
ンして生成したカウンターアニオンである。アニオン性置換基で変性されたシリコーンとしては、下記一般式(7)で表されるオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【化7】

式中、R、R及びR10は、それぞれ独立にメチル基、−R11−COOHで表される基、−R12−SOHで表される基又は−R13−(OR14)OP(=O)(OH)で表される基であり、R、R及びR10のうちの少なくとも1つは−R11−COOHで表される基、−R12−SOHで表される基又は−R13−(OR14)OP(=O)(OH)で表される基である。
【0030】
アニオン性置換基で変性されたシリコーンのうち、一般式(7)におけるR、R及びR10のうちの少なくとも1つが−R11−COOHで表される基のみからなるものを、カルボキシ変性シリコーンという。
アニオン性置換基で変性されたシリコーンのうち、一般式(7)におけるR、R及びR10のうちの少なくとも1つが−R12−SOHで表される基のみからなるものを、スルホン酸変性シリコーンという。
アニオン性置換基で変性されたシリコーンのうち、一般式(7)におけるR、R及びR10のうちの少なくとも1つが−R13−(OR14)OP(=O)(OH)で表される基のみからなるものを、リン酸変性シリコーンという。
アニオン性置換基で変性されたシリコーンのうち、一般式(7)におけるR、R及びR10が、−R11−COOHで表される基、−R12−SOHで表される基及び−R13−(OR14)OP(=O)(OH)で表される基からなる群から選ばれる2種以上の基からなるものを、酸変性シリコーンという。
これらのうち、毛髪に柔らかい感触を与えまとまりをよくするという観点から好ましい
のは、カルボキシ変性シリコーン及びスルホン酸変性シリコーンであり、更に好ましいのはカルボキシ変性シリコーンであり、特に好ましいのは、カルボキシ変性シリコーンのうち、一般式(7)におけるR、R及びR10のうち、Rのみが−R11−COOHで表される基からなるもの、及びR及びR10の両方が−R11−COOHで表される基からなるものである。
【0031】
一般式(7)におけるR11、R12及びR13は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルカンジイル基又は炭素数2〜10のアルケンジイル基である。
炭素数1〜10のアルカンジイル基としては、Rとして例示した炭素数1〜28のア
ルカンジイル基のうち、炭素数1〜10のアルカンジイル基に相当するものが挙げられる。炭素数1〜10のアルカンジイル基のうち、毛髪に柔らかい感触を与えまとまりをよくするという観点から好ましいのは、炭素数1〜5のアルカンジイル基であり、更に好ましいのは、炭素数1〜3のアルカンジイル基である。
炭素数2〜10のアルケンジイル基としては、Rとして例示した炭素数2〜28のアルケンジイル基のうち、炭素数2〜10のアルケンジイル基に相当するものが挙げられる。炭素数2〜10のアルケンジイル基のうち、毛髪に柔らかい感触を与えまとまりをよくするという観点から好ましいのは、炭素数2〜5のアルカンジイル基であり、更に好ましいのは、炭素数2〜3のアルカンジイル基である。
【0032】
一般式(7)におけるR14は、炭素数2〜4のアルカンジイル基である。炭素数2〜4
のアルカンジイル基としては、Rとして例示した炭素数1〜28のアルカンジイル基のうち、炭素数2〜4のアルカンジイル基として例示したものと同様のものが挙げられる。炭素数2〜4のアルカンジイル基のうち、毛髪に柔らかい感触を与えまとまりをよくするという観点から好ましいのは、炭素数2〜3のアルカンジイル基であり、更に好ましいのは、エチレン基である。
一般式(7)におけるdは、0〜20の整数であり、毛髪に柔らかい感触を与えまとまりをよくするという観点から好ましくは0〜10であり、更に好ましくは0〜5である。
【0033】
一般式(7)におけるbは、2〜1,000の整数であり、好ましくは30〜700、更に好ましくは50〜500である。
cは1〜50の整数であり、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜10である。
【0034】
一般式(7)におけるRが、−R11−COOHで表される基、−R12−SOHで表される基又は−R13−(OR14)OP(=O)(OH)で表される基である場合、一般式(7)における[(Si(CH))/(Si(CH)(R))] は、(Si(CH))と(Si(CH)(R))がランダム結合及び/又はブロック結合していることを表し、毛髪に柔らかい感触を与えまとまりをよくするという観点から好ましいのは、ランダム結合しているものである。
【0035】
アニオン性置換基で変性されたシリコーンの25℃での動粘度は、好ましくは10〜5,000mm/sであり、更に好ましくは20〜3,000mm/sである。
なお、アニオン性置換基で変性されたシリコーンは、市販品を入手することができる。
【0036】
本発明におけるカチオン性界面活性剤(A)は、公知の方法で製造することができるが、例えば以下の方法が挙げられる。
[1]カチオン性界面活性剤(A)が3級アミンの中和塩[一般式(1)におけるRが水素原子であるもの]である場合
一般式(8)で表される3級アミンと、アニオン性置換基で変性されたシリコーンとを中和反応させることにより製造することができる。3級アミンとアニオン性置換基で変性されたシリコーンとは、3級アミン1モル当量に対して、アニオン性置換基が0.5〜5.0当量となる量のアニオン性置換基で変性されたシリコーンを反応させるのが好ましく、更に好ましくは0.7〜2.0当量となる量である。
上記中和反応の反応温度は、通常50〜150℃であり、好ましくは70〜120℃である。反応温度が50℃以下では、3級アミン又は中和塩が固化して、効率よく中和反応が進行しない場合がある。反応温度が150℃以上では着色が激しくなることがある。中和反応の際には、アルコール類やグリコール類等を溶媒として使用してもよい。溶媒として使用できるアルコール類としては、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等の低級アルコールや、ヘキサデシルアルコール及びオクタデシルアルコール等の高級アルコールが挙げられる。グリコール類としては、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられる。反応終了後、必要により溶媒を50〜120℃で減圧留去してカチオン性界面活性剤(A)を得ることができる。
【化8】

式中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同様の基である。
[2]カチオン性界面活性剤(A)が4級アンモニウム塩[一般式(1)におけるRが水素原子以外の基であるもの]である場合
一般式(8)で表される3級アミンを加圧反応容器に投入し、3級アミン1モル当量に対して通常0.5〜5.0モル当量、好ましくは0.8〜3.0モル当量のアルキル化剤[例えば炭素数1〜3のアルキルハライド若しくはアルキルハロヒドリン、炭酸ジアルキル(炭素数1〜3)又はベンジルハライド]を投入して4級化反応を行う。反応温度は通常50〜150℃であり、好ましくは80〜120℃である。反応温度が50℃以下では反応が非常に遅いばかりでなく、生成物が固化して、効率よく4級化反応が進行しない場合がある。反応温度が150℃以上では着色が激しくなる。反応時間は通常2〜30時間である。4級化反応は上記アルコール類やグリコール類等の溶媒の存在下行ってもよい。4級化反応終了後、アニオン性置換基で変性されたシリコーンで塩交換反応をする。3級アミンとアニオン性置換基で変性されたシリコーンとは、3級アミン1モル当量に対して、アニオン性置換基が0.5〜5.0当量となる量のアニオン性置換基で変性されたシリコーンを反応させるのが好ましく、更に好ましくは0.7〜2.0当量となる量である。塩交換反応後、生成した無機塩をろ過し、未反応のアルキル化剤及び必要により溶媒を50〜120℃で減圧留去してカチオン性界面活性剤(A)を得ることができる。
なお、塩交換反応により無機塩が発生しない点及び乳化安定性がよい点等の理由から、炭酸ジアルキル(炭素数1〜3)で4級化反応した後、アニオン性置換基で変性されたシリコーンで塩交換反応するのが好ましい。
【0037】
本発明におけるカチオン性界面活性剤(A)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
本発明の毛髪処理剤組成物は、カチオン性界面活性剤(A)以外に、本発明の効果が損なわれない範囲で油分(B)を含有してもよい。
油分としては、炭素数10〜26の高級アルコール、炭化水素及びシリコーン油からなる群から選ばれる1種以上の油分(B)が挙げられる。
炭素数10〜26の高級アルコールとしては、天然又は合成1価アルコール(デシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール及びベヘニルアルコール等)及び2〜6価アルコール(1,2−ドデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、グリセリン、1,2,4−トリヒドロキシブタン、2,3,4−トリヒドロキシペンタン、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、ペンタエリスリトール、キシリトール、アラビトール、ソルビトール及びマンニトール等)等が挙げられる。
炭化水素としては、流動パラフィン、ワセリン及びスクワラン等が挙げられる。
シリコーン油としては、メチルポリシロキサン及びメチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
他の油分としては、特開2002−53444号公報、特開2003−95891号公報等に記載の油分も挙げられる。
【0039】
本発明の毛髪処理剤組成物は、更に必要により、水、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤(A)以外のカチオン性界面活性剤、炭素数1〜6のアルコール、保湿剤、コンディショニング剤、着色料、香料、防腐剤及びpH調整剤からなる群から選ばれる1種以上を含有してもよい。
【0040】
アニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜24の炭化水素系エーテルカルボン酸又はその塩、[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100:重合度はオキシエチレン基の平均モル数を表す。以下同様。)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン、及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキルスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]及び炭素数8〜24のアルキルリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]等が挙げられる。
【0041】
ノニオン性界面活性剤としては、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)及びジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール及びモノラウリン酸ソルビタン等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノラウリン酸ポリオキシエチレン(重合度=10)ソルビタン、及びポリオキシエチレン(重合度=50)ジオレイン酸メチルグルコシド等]、脂肪酸アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及び1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数1〜22)フェニルエーテル、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数8〜24)アミノエーテル及びアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキサイド(ラウリルジメチルアミンオキシド等)等が挙げられる。
【0042】
両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等)、アミノ酸型両性界面活性剤(β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等)等が挙げられる。
【0043】
カチオン性界面活性剤(A)以外のカチオン性界面活性剤としては、4級アンモニウム塩型及びアミン塩型のカチオン界面活性剤等が挙げられる。
4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては、3級アミン類と4級化剤(メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド及びベンジルクロライド等のハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、ジメチルカーボネート並びにエチレンオキサイド等)との反応で得られる化合物等が使用でき、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド及びステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
アミン塩型カチオン界面活性剤としては、1〜3級アミン類を無機酸(塩酸、硝酸、硫酸及びヨウ化水素酸等)又は有機酸(酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸及びアルキルリン酸等)で中和することにより得られる化合物が使用でき、1級アミン塩型のものとしては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン及びロジンアミン等の高級アミン)の無機酸塩又は有機酸塩、低級アミン類の高級脂肪酸(ステアリン酸及びオレイン酸等)塩等が挙げられる。2級アミン塩型のものとしては、脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物等の無機酸塩又は有機酸塩が挙げられる。
【0044】
更には、米国特許第4,331,447号明細書に記載のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤等も挙げられる。
【0045】
炭素数1〜6のアルコールとしては、1価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びn−ブチルアルコール等)及び2〜4価の多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール及びジグリセリン等)等が挙げられる。
【0046】
保湿剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム及びヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0047】
コンディショニング剤としては、重量平均分子量500〜500万のカチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、シリコーン、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、タンパク質誘導体、セラミド、擬似セラミド、直鎖又は分枝の炭素数16〜40の脂肪酸、ヒドロキシ酸及びパンテノール等が挙げられる。
【0048】
着色料としては、特には限定されないが、青色1号、青色2号、緑色3号及び赤色1号等が挙げられ、化粧品に使用することができるものは、全て使用可能である。
【0049】
香料としては、d−リモネン、β−カリオフィレン、シス−3−ヘキセノール、リナロール、ファルネソール、β−フェニルエチルアルコール,2,6−ノナジエナール、シトラール、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、β−イオノン、l−カルボン、シクロペンタデカノン、リナリルアセテート、ベンジルベンゾエート、γ−ウンデカラクトン、オイゲノール、ローズオキサイド、インドール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、オーランチオール、シンナミックアルデヒド及びメチルヨノン等が挙げられる。
【0050】
防腐剤としては安息香酸、安息香酸塩、サリチル酸、サリチル酸塩、フェノール、ソルビン酸、ソルビン酸塩、パラオキシ安息香酸エステル、クロルクレゾール、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸塩、レゾルシン、ヘキサクロロフェン、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、ビサボロール、ハロカルバン、トリクロロカルバニド、グルコン酸クロルヘキシジン、臭化アルキルイソキノリニウム、フェノキシエタノール及び塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられる。
【0051】
pH調整剤としては、クエン酸及び乳酸等が挙げられる。
【0052】
本発明の毛髪処理剤組成物におけるカチオン性界面活性剤(A)、油分(B)、水、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤(A)以外のカチオン性界面活性剤、炭素数1〜6のアルコール、保湿剤、コンディショニング剤、着色料、香料、防腐剤及びpH調整剤の含有率は以下の通りである。
カチオン性界面活性剤(A)の含有率は、毛髪処理剤組成物の全重量に基づいて、好ましくは0.1〜90重量%であり、更に好ましくは0.3〜77重量%、特に好ましくは3〜67重量%である。
油分(B)の含有率は、毛髪処理剤組成物の全重量に基づいて、好ましくは0〜95重量%であり、更に好ましくは23〜94重量%、特に好ましくは33〜91重量%である。
水の含有率は、毛髪処理剤組成物の重量に基づいて、好ましくは0〜99重量%であり、更に好ましくは30〜99重量%、特に好ましくは50〜97重量%である。
アニオン性界面活性剤の含有率は、毛髪処理剤組成物の全重量に基づいて、好ましくは0〜15重量%であり、更に好ましくは0〜10重量%である。
ノニオン性界面活性剤の含有率は、毛髪処理剤組成物の全重量に基づいて、好ましくは0〜20重量%であり、更に好ましくは0〜15重量%である。
両性界面活性剤の含有率は、好ましくは0〜30重量%であり、更に好ましくは0〜25重量%である。
カチオン性界面活性剤(A)以外のカチオン性界面活性剤の含有率は、毛髪処理剤組成物の全重量に基づいて、好ましくは0〜30重量%であり、更に好ましくは0〜25重量%である。
炭素数1〜6のアルコール及び保湿剤の含有率は、毛髪処理剤組成物の全重量に基づいて、それぞれ好ましくは0〜20重量%であり、更に好ましくは0〜15重量%である。
コンディショニング剤の含有率は、毛髪処理剤組成物の全重量に基づいて、好ましくは0〜20重量%であり、更に好ましくは0〜15重量%である。
着色料、香料及び防腐剤の含有率は、毛髪処理剤組成物の全重量に基づいて、それぞれ好ましくは0〜10重量%であり、更に好ましくは0〜5重量%である。
pH調整剤の含有率は、毛髪処理剤組成物の全重量に基づいて、好ましくは0〜3重量%であり、更に好ましくは0〜2重量%である。
【0053】
本発明におけるカチオン性界面活性剤(A)と油分(B)の重量比[(A)/(B)]は、毛髪に柔らかい感触を与えまとまりをよくするという観点から、好ましくは1/(0.1〜20)であり、更に好ましくは1/(0.3〜15)、特に好ましくは1/(0.5〜10)である。
【0054】
本発明の毛髪処理剤組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
撹拌機及び加熱冷却装置を備えた混合槽に、水、カチオン性界面活性剤(A)、必要によりカチオン性界面活性剤(A)以外のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、炭素数1〜6のアルコール及び保湿剤等を投入し、50〜90℃で均一になるまで撹拌する(得られた混合物を水溶性成分という)。更に別の撹拌機及び加熱冷却装置を備えた混合槽に、油分(B)、ノニオン性界面活性剤、コンディショニング剤、着色料、香料及び防腐剤等を投入し、50〜90℃で均一になるまで撹拌する(得られた混合物を油溶性成分という)。水溶性成分を50〜90℃で撹拌しながら、そこへ50〜90℃の油溶性成分を徐々に加えて、更に撹拌する。水溶性成分と油溶性成分が均一になった後、必要に応じて50〜90℃で更にホモミキサー等の乳化分散機で撹拌後25〜50℃に冷却し、pH調整剤を加えてpH調整を行う。
なお、本発明の毛髪処理剤組成物は、(A)を水溶性成分に加える替わりに、油溶性成分に加えて製造することもできる。
【0055】
本発明の毛髪処理剤組成物は、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー及びヘアトリートメント等として使用できる。また、その形態は、液体、ペースト、固体、及び粉末等が挙げられ、特に限定されないが、取り扱い性の観点から、液体及びペーストが好ましい。
【0056】
本発明の毛髪処理剤組成物(ヘアリンス)の配合処方は、例えば以下の通りである。
・カチオン性界面活性剤(A) 0.1〜20重量%
・油分(B)(シリコーン油等) 0.1〜20重量%
・保湿剤(グリセリン等) 0.03〜15重量%
・香料 0.01〜5重量%
・着色料 0.01〜5重量%
・防腐剤 0.01〜5重量%
・水 10〜80重量%
(合計100重量%)
【0057】
本発明の毛髪処理剤組成物の使用方法は特に限定されないが、例えば本発明の毛髪処理剤組成物5〜15gを一旦湯に溶解又は分散後毛髪に処理する方法、及び濡らした毛髪に本発明の毛髪処理剤組成物を直接塗布する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下、部は重量部を意味する。
【0059】
<製造例1>
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えた耐圧反応容器に、炭酸ジメチル270部(3モル当量)、ドコシルジメチルアミン353部(1モル当量)及びメタノール130部を投入し、反応温度110〜130℃で12時間撹拌し反応させた。次いで、60℃まで冷却し、カルボキシ変性シリコーン「X−22−3710ST」[信越化学工業(株)製、カルボキシ当量1,630g/mol、側鎖変性型]1,630部(1モル当量)を投入し、反応温度60〜80℃で脱炭酸しながら塩交換反応を行った。次いで、窒素気流下、温度60〜90℃、減圧下(0.001〜0.013MPa)でメタノール及び未反応の炭酸ジメチルを留去し、カチオン性界面活性剤(A1)を得た。
【0060】
<製造例2>
ドコシルジメチルアミン353部(1モル当量)を、オクタデシルジメチルアミン297部(1モル当量)に変更した以外は製造例1と同様にして、カチオン性界面活性剤(A2)を得た。
【0061】
<製造例3>
ドコシルジメチルアミン353部(1モル当量)を、ドデシルジメチルアミン213部(1モル当量)に変更した以外は製造例1と同様にして、カチオン性界面活性剤(A3)を得た。
【0062】
<製造例4>
ドコシルジメチルアミン353部(1モル当量)を、オクタコシルジメチルアミン437部(1モル当量)に変更した以外は製造例1と同様にして、カチオン性界面活性剤(A4)を得た。
【0063】
<製造例5>
カルボキシ変性シリコーン「X−22−3710ST」1,630部(1モル当量)を、カルボキシ変性シリコーン「X−22−162C」[信越化学工業(株)製、カルボキシ当量2,390g/mol、側鎖変性型]2,390部(1モル当量)に変更した以外は製造例1と同様にして、カチオン性界面活性剤(A5)を得た。
【0064】
<製造例6>
撹拌機、温度計、加熱冷却装置及び減圧装置を備えたガラス製反応容器に、ベヘニン酸340部(1モル当量)及びジメチルアミノプロピルアミン153部(1.5モル当量)を投入し、反応温度140〜150℃で脱水縮合させ、未反応のジメチルアミノプロピルアミンを減圧下(0.001〜0.013MPa)留去して、アミドアミン(b1)を得た。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えた耐圧反応容器に、炭酸ジメチル270部(3モル当量)、アミドアミン(b1)424部(1モル当量)及びメタノール150部を投入し、反応温度110〜130℃で12時間撹拌し反応させた。次いで、60℃まで冷却し、カルボキシ変性シリコーン「X−22−3710ST」1,630部(1モル当量)を投入して、反応温度60〜80℃で脱炭酸しながら塩交換反応を行った。更に、窒素気流下、温度60〜90℃、減圧下(0.001〜0.013MPa)メタノール及び未反応の炭酸ジメチルを留去し、カチオン性界面活性剤(A6)を得た。
【0065】
<製造例7>
撹拌機、温度計及び加熱冷却装置を備えたガラス製反応容器に、製造例6で得られたアミドアミン(b1)424部(1モル当量)及びカルボキシ変性シリコーン「X−22−3710ST」1,630部(1モル当量)を投入し、反応温度60〜80℃で1時間、中和反応を行い、カチオン性界面活性剤(A7)を得た。
【0066】
<製造例8>
撹拌機、温度計、加熱冷却装置及び減圧装置を備えたガラス製反応容器に、ベヘニン酸340部(1モル当量)、ジメチルアミノエタノール134部(1.5モル当量)及びp−トルエンスルホン酸1.5部を投入し、反応温度140〜150℃で脱水縮合させ、未反応のジメチルアミノエタノールを減圧下(0.001〜0.013MPa)留去して、エステルアミン(b2)を得た。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えた耐圧反応容器に、炭酸ジメチル270部(3モル当量)、エステルアミン(b2)411部(1モル当量)及びメタノール145部を投入し、反応温度110〜130℃で12時間撹拌し反応させた。次いで、60℃まで冷却し、カルボキシ変性シリコーン「X−22−3710ST」1,630部(1モル当量)を投入して、反応温度60〜80℃で脱炭酸しながら塩交換反応を行った。更に、窒素気流下、温度60〜90℃、減圧下(0.001〜0.013MPa)メタノール及び未反応の炭酸ジメチルを留去し、カチオン性界面活性剤(A8)を得た。
【0067】
<製造例9>
撹拌機、温度計及び加熱冷却装置を備えたガラス製反応容器に、製造例8で得られたエステルアミン(b2)及びカルボキシ変性シリコーン「X−22−3710ST」1,630部(1モル当量)を投入して、反応温度60〜80℃で1時間中和反応を行い、カチオン性界面活性剤(A9)を得た。
【0068】
<実施例1〜12、比較例1〜3>
ガラス製ビーカーに、表1に記載の(Y)の成分を投入し、80℃で加熱混合し、撹拌下、別途80℃で加熱混合した(X)の成分を加えて乳化させ、クエン酸を加えてpHを5.0に調整した(クエン酸の添加量はいずれも0.05部以下)。撹拌を継続しながら室温まで自然冷却し、実施例1〜12、比較例1〜3の毛髪処理剤組成物(ヘアリンス)を調製した。
【0069】
10名の女性パネルが、市販シャンプーで洗髪した後、実施例1〜12、比較例1〜3のヘアリンス10gを毛髪に塗布し、30秒間放置して40℃のお湯で30秒間すすぎ流した。更にタオルで毛髪の水分を除き、ドライヤーの温風で乾燥するまでの各工程における7項目の官能評価を、以下の判定基準で行った。10名の評価点の合計を表1に示す。合計点が高いほど、各官能評価の結果が良好であることを意味する。
【0070】
[判定基準]
<塗布時>
〔なめらかさ〕
3点:非常に指どおりがよくなめらかである
2点:少し指が毛髪に引っかかる感じがある
1点:指が毛髪に引っかかりなめらかでない
〔ヘアリンスの伸び〕
3点:非常に伸びがよく塗布しやすい
2点:少し伸びが悪く、均一に塗布しにくい
1点:非常に伸びが悪く、均一に塗布できない
<すすぎ時>
〔なめらかさ〕
3点:非常に指どおりがよくなめらかである
2点:少し指が毛髪に引っかかる感じがある
1点:指が毛髪に引っかかりなめらかでない
〔すすぎやすさ〕
3点:非常にすすぎやすい
2点:すすぎやすいともすすぎにくいともいえない
1点:すすぎにくく、残存感がある
<乾燥後>
〔なめらかさ〕
3点:非常に指どおりがよくなめらかである
2点:少し指が毛髪に引っかかる感じがある
1点:指が毛髪に引っかかりなめらかでない
〔まとまりのよさ〕
3点:非常にまとまりがよい
2点:少しパサつきがある
1点:パサつきが激しくまとまりがない
〔仕上がりの柔らかさ〕
3点:仕上がりが非常に柔らかである
2点:仕上がりに少し硬さを感じる
1点:仕上がりが硬くて、ごわつく
【0071】
【表1】

【0072】
表1の結果から明らかなように、本発明の毛髪処理剤組成物は、比較例の毛髪処理剤組成物と比較して、毛髪に塗布する時のなめらかさ及び伸び、すすぎの時のなめらかさ及びすすぎやすさ、毛髪を乾燥した後のなめらかさ、まとまりのよさ並びに仕上がりの柔らかさに優れる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の毛髪処理剤組成物は、例えば毛髪処理剤(ヘアコンディショナー、ヘアリンス、ヘアトリートメント及びヘアシャンプー等)に好適に使用され、更には、スキンケア用化粧品(化粧水、乳液、クリーム、美容液、パック、マスク及び保湿用ジェル等)、メイクアップ用化粧品(ファンデーション、口紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドー、眉墨及びネールトリートメント等)、毛髪洗浄剤(ヘアシャンプー等)、皮膚洗浄剤(ボディシャンプー及び洗顔クリーム等)食器用洗剤及び家庭用洗剤(衣料用柔軟剤等)等としても用いることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤(A)を含有する毛髪処理剤組成物。
【化1】

[式中、R、R及びRのうちの1個又は2個は、炭素数10〜30の炭化水素基であって、炭化水素基のいずれかの位置に、水酸基、エーテル基、アミド基及びエステル基からなる群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、残りの基は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又はベンジル基;Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又はベンジル基;mは1〜50の整数であり、Xm−はアニオン性置換基で変性されたシリコーンが脱プロトンして生成したカウンターアニオンである。]
【請求項2】
前記アニオン性置換基で変性されたシリコーンが、カルボキシ変性シリコーン及び/又はスルホン酸変性シリコーンである請求項1記載の毛髪処理剤組成物。
【請求項3】
更に、炭素数10〜26のアルコール、炭化水素類及びシリコーン油からなる群から選ばれる1種以上の油分(B)を含有してなる請求項1又は2記載の毛髪処理剤組成物。
【請求項4】
更に、水、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤(A)以外のカチオン性界面活性剤、炭素数1〜6のアルコール、保湿剤、コンディショニング剤、着色料、香料及び防腐剤からなる群から選ばれる1種以上を含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物。


【公開番号】特開2012−36165(P2012−36165A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105378(P2011−105378)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】