説明

毛髪化粧料

【課題】従来に比べ、毛髪保護効果やコンディショニング効果等に優れる毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】下記の成分(A)及び(B)を含有する毛髪化粧料を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見いだした。
(A)一般式(I)で表されるジェミニ型カチオン活性剤の1種以上を、毛髪化粧料に対して0.01〜10.0質量%。
【化1】


[式中、R及びRは、直鎖または分岐した炭素原子数5〜25の飽和もしくは不飽和のアルキル基であり、R、R、R及びRは、それぞれ炭素原子数1〜5のアルキル基であり、Xは、ハロゲン原子又は短鎖硫酸イオン基である。]
(B)多価アルコール及び/又は糖類の1種以上を、毛髪化粧料に対して10.0〜50.0質量%。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料、特に、毛髪保護効果やコンディショニング効果等に優れる毛髪化粧料、に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアリンス等の毛髪処理剤の原料等として使用される第4級アンモニウム有機酸塩として、長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩で、対イオンとして、カルボン酸、スルホン酸、リン酸を有するものが知られている(特開平8−208443号公報等)が、このような成分による毛髪のダメージが問題となっている。
【0003】
また、傷んだ髪をケアし、まとまりを良くし、また適度なしっとり感を付与することを目的として、各種油分や水溶性高分子等が、毛髪化粧料に適宜配合されてきた。
【0004】
しかしながら、毛髪化粧料において、炭化水素油、エステル油といった油剤を使用した場合には、仕上がりが重くなり、べたつきが生じる傾向にあった。また、水溶性高分子などの保湿剤を配合した場合は、使用時のうるおい感には効果があるが、時間の経過と共にごわつきを生じる傾向が認められる。このように、毛髪用の保湿剤を用いても、必ずしも満足のいく使用感を得る事が出来なかった。そこで、さらに傷んだ髪をケアし、べたつきやごわつきを感じることのない毛髪化粧料の開発が望まれていた。
【0005】
かかる欠点を解決するために開発された技術として、特定のアミノ酸系両性界面活性剤と、保湿剤としての植物由来保湿剤、尿素系保湿剤または糖系保湿剤とを配合した毛髪化粧料が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
また、セット力を有する頭髪化粧料では、特定の高重合ポリエチレングリコールと、油剤と、非イオン性界面活性剤と、水溶性アルコールとを配合することにより、べたつかず、髪にしなやかさを与える頭髪化粧料が得られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−86453号公報
【特許文献2】特開2003−26545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
全般的に、既存の毛髪化粧料を用いた場合、毛髪に対する柔軟性にはすぐれているものの、滑らかさ、しっとり感に関しては十分な効果が得られていない面がある。また、第4級アンモニウム塩は、毛髪および頭皮に対する刺激、および生分解性が、問題となる場合がある。さらに、上記特許文献1の毛髪化粧料は、しっとりし過ぎてべたべたした使用感を伴う場合が認められるという問題がある。また、上記特許文献2の毛髪化粧料は、ごわつきやパサツキを与えてしまう場合があるという問題点が認められる。
【0008】
そこで本発明が解決すべき課題は、従来に比べ、毛髪保護効果やコンディショニング効果等に優れる毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者による検討の結果、特定のジェミニ型カチオン活性剤と、糖類及び/又は多価アルコールを毛髪化粧料に配合することにより、上記の課題を解決し得ることが明らかとなり、本発明の完成に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記の成分(A)及び(B)を含有する、毛髪化粧料(以下、本毛髪化粧料ともいう)を提供する発明である。
(A)一般式(I)で表されるジェミニ型カチオン活性剤(以下、カチオン活性剤(I)ともいう)の1種以上を、毛髪化粧料に対して0.01〜10.0質量%。
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、R及びRは、直鎖または分岐した炭素原子数5〜25の飽和もしくは不飽和のアルキル基であり、R、R、R及びRは、それぞれ炭素原子数1〜5のアルキル基であり、Xは、ハロゲン原子又は短鎖硫酸イオン基である。]
(B)多価アルコール及び/又は糖類の1種以上を、毛髪化粧料に対して10.0〜50.0質量%。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、優れた毛髪保護効果と、優れたコンディショニング効果、及び、これらの効果の持続性に優れた毛髪化粧料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本毛髪化粧料は、上述したように、成分(A)であるカチオン活性剤(I)と、成分(B)である多価アルコール及び/又は糖類を必須の含有成分とする、毛髪化粧料である。
【0015】
成分(A)について
カチオン活性剤(I)において、直鎖または分岐した炭素原子数5〜25の飽和もしくは不飽和のアルキル基である、R及びRは、特に、ステアリル基又はベヘニル基であることが好適である。また、炭素原子数1〜5のアルキル基である、R、R、R及びRは、特に、メチル基、エチル基又はプロピル基であることが好適である。Xがとり得るハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。また、短鎖硫酸イオン基としては、メチル硫酸イオン基又はエチル硫酸イオン基等が挙げられる。
【0016】
カチオン活性剤(I)は、米国特許公報(US;4734277、4764306、4812263)に開示された製造方法に従い製造することができる。
【0017】
カチオン界面活性剤(I)は、1種以上を組み合わせて、本毛髪化粧料に配合することができる。
【0018】
本毛髪化粧料における、カチオン界面活性剤(I)の配合量は、毛髪化粧料に対して0.01〜10.0質量%、好ましくは0.1〜5.0質量%である。この配合量が、毛髪化粧料に対して0.01質量%未満では、本発明の所期の効果を発揮するには不十分であり、10.0質量%を超えると、毛髪化粧料の使用感触が低下する傾向が認められる。
【0019】
成分(B)について
上述したように成分(B)が、多価アルコールの場合には、例えば、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール又はポリエチレングリコール等を挙げることができる。これらのうち、グリセリン又はジグリセリンを好適な多価アルコールとして挙げることができる。
【0020】
また、成分(B)が糖類の場合には、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、マルチトール等の糖アルコール、さらに、グルコース、ラクトース、フルクトース、スクロース等の還元糖を挙げることができる。これらの糖類のうち、ソルビトール、グルコース又はスクロースが好適である。
【0021】
さらに、多価アルコールと糖類のいずれかを選択する場合には、糖類を選択する方が好適である傾向が認められる。
【0022】
成分(B)は、上記の多価アルコール及び/又は糖類のうち1種以上を用いることができる。
【0023】
本毛髪化粧料における成分(B)の配合量は、毛髪化粧料に対して10.0〜50.0質量%が好適であり、特に15.0〜40.0質量%が好適である。この成分(B)の配合量が毛髪化粧料に対して10.0質量%未満であると、毛髪の櫛通り性を良好にすることが困難になり、50.0質量%を超えると、毛髪に対してべたつきを与えてしまう傾向が強くなる。
【0024】
選択的配合成分について
<第4級アンモニウム塩>
本発明の毛髪化粧料は、さらに下記一般式(II)で表される第4級アンモニウム塩を1種以上配合することにより、毛髪への吸着性をいっそう向上させ、毛髪に滑らかさや光沢を付与し、櫛通りを良くすることが可能である。
【0025】
(NR3) (II)
[式中、Rは、炭素原子数8〜22のアルキル基、炭素原子数8〜22のヒドロキシアルキル基、炭素原子数8〜22のアルキルエーテル基、又は、エステル基もしくはアミド基で分断された炭素原子数8〜22のアルキル基もしくはアルケニル基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基、又は、ベンジル基であり、Yは、ハロゲン原子、又は、炭素原子数1〜2の短鎖硫酸イオン基(メチル硫酸イオン基、エチル硫酸イオン基)である。]
【0026】
がとり得る炭素原子数8〜22のアルキル基としては、例えば、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基等が挙げられる。また、同炭素原子数8〜22のヒドロキシアルキル基としては、例えば、12−ヒドロキシステアリル基等が挙げられる。また、同炭素原子数8〜22のアルキルエーテル基としては、例えば、ステアロキシプロピル基等が挙げられる。また、エステル基もしくはアミド基で分断された炭素原子数8〜22のアルキル基もしくはアルケニル基、としては、ステアラミドプロピル基、ベヘラミドプロピル基等が好適な例として挙げられる。特に、好ましいRとしては、ステアリル基又はベヘニル基が挙げられる。
【0027】
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基が好適な例として挙げられる。Yは、好ましくは、塩素原子又は臭素原子である。
【0028】
第4級アンモニウム塩(II)としては、具体的には、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、セチルトリエチルアンモニウムメチルサルフェート等を挙げることができる。これらの中でも、特に、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、又は、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、あるいは、これらの混合物が好適である。
【0029】
<毛髪補修成分>
本毛髪化粧料において、レシチン、加水分解タンパクとその誘導体、アミノ酸(グルタミン酸、アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、ロイシン、イソロイシン等)、ビタミン類、セレシン等、の毛髪補修成分を配合することにより、さらに毛髪の修復・保護効果に優れ、かつ、その効果が長時間持続する毛髪化粧料が得られる。
【0030】
本毛髪化粧料には、上記の構成成分の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で、さらに、界面活性剤(上記したものを除く)、流動パラフィン、スクワラン、ラノリン誘導体、高級アルコール、各種エステル油、アボガド油、パーム油、牛脂、ホホバ油、ポリアルキレングリコールポリエーテル及びそのカルボン酸オリゴエステル化合物、テルペン系炭化水素油等の油分;紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルピロリドン等の樹脂類;大豆蛋白、ゼラチン、コラーゲン、絹フィブロイン、エラスチン等の蛋白又は蛋白分解物;エチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;ビオチン、パントテン酸誘導体等の賦活剤;γ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム、ビタミンE誘導体、ニコチン酸誘導体等の血行促進剤;硫黄、チアントール等の抗脂漏剤;エタノール、イソプロパノール、テトラクロロジフルオロエタン等の希釈剤;カルボキシビニルポリマー等の増粘剤;薬剤、香料、色剤等、を必要に応じて敵宜配合してもよい。
【0031】
本毛髪化粧料の剤形は任意であり、可溶化系、乳化系、粉末分散系、油−水の2層系、油−水−粉末の3層系等いずれでも構わない。これらの剤形とするには、常法を用いて調製することができる。
【0032】
また、本毛髪化粧料は、毛髪に使用する任意の化粧料を意味し、シャンプー等のいわゆる毛髪洗浄剤や、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアスプレー、スタイリング剤等のいわゆる毛髪処理剤等を広く含むものである。また、その使用形態も、毛髪に塗布し全体によくなじませた後に洗い流す(すすぐ)ものや、洗い流さないもの等、いずれも含み得る。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。
【0034】
本実施例にて用いる下記のカチオン活性剤(I)を、上述した公報(US;4734277、4764306、4812263)に記載された方法にて製造し、本実施例で用いた。
【0035】
<カチオン活性剤(I)>
(1)ジェミニ型カチオン活性剤1
[R及びR=C1837、R、R、R及びR=CH、X=Cl]
【0036】
(2)ジェミニ型カチオン活性剤2
[R及びR=C1225、R、R、R及びR=CH、X=Cl]
【0037】
(3)ジェミニ型カチオン活性剤3
[R及びR=C1633、R、R、R及びR=CH、X=Cl]
【0038】
(4)ジェミニ型カチオン活性剤4
[R及びR=C2245、R、R、R及びR=CH、X=Cl]
【0039】
(5)ジェミニ型カチオン活性剤5
[R及びR=C1837、R、R、R及びR=CH、X=Br]
【0040】
(6)ジェミニ型カチオン活性剤6
[R及びR=C1837、R、R、R及びR=CH、X=CHS0
【0041】
(7)ジェミニ型カチオン活性剤7
[R及びR=C1837、R、R、R及びR=CH、X=CS0
【0042】
(8)ジェミニ型カチオン活性剤8
[R及びR=C3061、R、R、R及びR=CH、X=Cl]
【0043】
(9)ジェミニ型カチオン活性剤9
[R及びR=C13、R、R、R及びR=CH、X=Cl]
【0044】
[試験例] 毛髪の櫛通り性とコンディショニング効果
下記表1〜表4に示した各処方成分よりなる毛髪化粧料を常法により調製した。得られた毛髪化粧料について、下記の方法と基準にて、(1)すすぎ時の毛髪の櫛通り性、及び、乾燥後の毛髪の櫛通り性を評価し、さらに、(2)各試料についての使用後の専門パネラーによる、コンディショニング効果についての官能試験を行った。
【0045】
(1)櫛通り性試験
<方法>
人毛約1000本からなる毛髪束を用意し、これに各試料を塗布後、約2分間のすすぎを行い、その際の櫛通りについての評価を行った(すすぎ時の櫛通り性)。なお、すすぎ時のシャワー水の温度は40℃、シャワーの流量は20g/secである。
【0046】
上記すすぎ工程と櫛通り試験を終了後、当該毛髪束にドライヤーの熱風を当てて乾燥させ、再び、櫛通り試験を行った(乾燥後の毛髪の櫛通り性)。
【0047】
上記のすすぎ時と、乾燥後の毛髪の櫛通り性の評価は、櫛通り試験機としてコーミングテスター(テクノハシモト社製)を用い、毛髪束の毛髪と櫛が引っかかる際の引っかかり力を指標として、毛髪束にかかる荷重を検出した。
【0048】
このようにして得られた数値を基に、下記の評価基準で、櫛通り性を判定した。得られた結果を、併せて表1〜表4に示す。
【0049】
<評価基準>
◎:比較例1にて得られた値を基準(1.0)として、0.8以下である。
○:同0.8超〜0.95以下である。
△:同0.95超〜1.0以下である。
×:同1.0超である。
【0050】
(2)パネラーによる官能試験(コンディショニング効果)
20名の専門パネラーの毛髪に各試料を塗布後、シャワーによるすすぎ(すすぎ時のシャワー水の温度は40℃、シャワーの流量は20g/sec)を2分間程度行い、ドライヤーによる乾燥を行った後、1)毛髪のしっとり感(ぱさつきのなさ)と、2)柔らかさ(ごわつきのなさ)について、下記の基準で評価を行った。得られた結果を、併せて表1〜4に示す。
【0051】
<しっとり感の評価基準>
◎: 20名中17名以上が、しっとり感があると回答。
○: 20名中13〜16名が、しっとり感があると回答。
△: 20名中8〜12名が、しっとり感があると回答。
×: 20名中7名以下が、しっとり感があると回答。
【0052】
<柔らかさの評価基準>
◎: 20名中17名以上が、しっとり感があると回答。
○: 20名中13〜16名が、しっとり感があると回答。
△: 20名中8〜12名が、しっとり感があると回答。
×: 20名中7名以下が、しっとり感があると回答。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
表1〜2は、カチオン活性剤(I)(ジェミニ型カチオン活性剤1)の種類と配合量を固定し、これに対して各種の糖類と多価アルコールを、本発明の規定内で配合した実施例の櫛通り性についての評価を行った結果を示している(実施例1〜19)。
【0056】
その結果、いずれの実施例についても良好な櫛通り性と、良好なコンディショニング効果が認められた。なお、等量の糖類と多価アルコールを用いた例を比較すると、糖類の方が、成績が良好な傾向が認められた。
【0057】
【表3】

【0058】
表3は、本発明の規定量内の糖アルコール(ソルビトール)と、各種のカチオン活性剤(I)を、本発明の規定量内で配合した実施例の櫛通り性についての評価を行った結果を示している(実施例20〜32)。いずれの実施例についても良好な櫛通り性と良好なコンディショニング効果が認められた。また、第4級アンモニウム塩を添加した例(実施例30〜32)については、櫛通り性、コンディショニング効果ともに、さらに良好な結果が得られた。
【0059】
【表4】

【0060】
表4では、本発明の規定からはずれる各種の比較例の処方と、これらの比較例の櫛通り性についての評価を示している(比較例1〜11)。その結果、糖類及び/又は多価アルコールの配合量が規定よりも少量(比較例1、3、7)であっても、多量(比較例2、4、5、6)、良好な櫛通り性とコンディショニング効果を得ることができないことが明らかになった。また、カチオン活性剤(I)の配合量が規定よりも少量(比較例8)、多量(比較例9)であっても、良好な櫛通り性とコンディショニング効果を得ることができないことも明らかとなった。さらに、ジェミニ型カチオン活性剤が、本発明の規定の範囲外(R及びRの分子量が大きすぎる場合と小さすぎる場合:比較例10、11)には、配合量が規定通りであっても、同様に櫛通り性とコンディショニング効果が劣ってしまうことが判明した。
【0061】
下記に、本発明の処方例を実施例として開示する。これらの処方例の毛髪化粧料は、いずれも、すすぎ時と乾燥後の櫛通り性とコンディショニング効果(乾燥後の毛髪のしっとり感とやわらかさ)の評価が、上記の基準において「◎」であった。なお、下記の処方例で用いたカチオン活性剤(I)は、いずれも上述し製造方法に準じて製造したものを用いた。
【0062】
[実施例33] ヘアミスト
配合成分 配合量(質量%)
(1)ジメチルポリシロキサン(6cs) 1.0
(2)エタノール 5.0
(3)ステアリルアルコール 0.1
(4)ベヘニルアルコール 0.2
(5)スクロース 12.0
(6)ジプロピレングリコール 1.0
(7)1,3−ブチレングリコール 1.0
(8)ジェミニ型カチオン活性剤 0.5
(一般式(I)で、R、Rはステアリル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは塩素原子)
(9)ビニルピロリドン・N N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体 2.5
(10)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(11)精製水 残余
(12)香料 適量
<製造方法>
(1)〜(8)を混合した油層および(9)〜(11)を混合した水層を加熱溶解し、前者を後者に添加して乳化する。(12)を添加して均一とする。
【0063】
[実施例34] ヘアクリーム
配合成分 配合量(質量%)
(1)揮発性イソパラフィン 10.0
(2)ジメチルポリシロキサン(6cs) 2.0
(3)ソルビトール 20.0
(4)ポリエチレングリコール6000 1.0
(5)ジイソステアリン酸ポリグリセリル 0.5
(6)水酸化ナトリウム 0.06
(7)フェノキシエタノール 適量
(8)エデト酸3ナトリウム 適量
(9)カラギーナン 0.5
(10)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
(11)ジェミニ型カチオン活性剤 0.2
(一般式(I)で、R、Rはベヘニル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは塩素原子)
(12)ステアリルアルコール 1.0
(13)カルボキシビニルポリマー 0.5
(14)高重合ジメチルポリシロキサン 2.0
(15)精製水 残余
(16)香料 適量
<製造方法>
(1)〜(5)、(10)〜(14)を混合して均一にしたものに(6)〜(9)を混合したものを加えて乳化する。(16)を加えた後、(15)にて中和し、さらに攪拌して均一にする。
【0064】
[実施例35] ヘアスプレー
配合成分 配合量(質量%)
(1)エタノール 10.0
(2)スクロース 15.0
(3)ベヘニルアルコール 1.0
(4)ジェミニ型カチオン活性剤 0.1
(一般式(I)で、R、Rはミリスチル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは塩素原子)
(5)ユカフォーマーSM 10.0
(6)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.0
(7)揮発性イソパラフィン 5.0
(8)高重合ジメチルポリシロキサン 1.0
(9)精製水 5.0
(10)香料 適量
(11)LPG 残余
<製造方法>
(3)〜(9)を混合した中に(1)〜(2)を混合したものを加えて乳化する。(9)を加えて均一とした後、(11)と共に容器に充填する。
【0065】
[実施例36] ヘアスプレー
配合成分 配合量(質量%)
(1)スクロース 20.0
(2)エタノール 5.0
(3)ユカフォーマーSM 12.0
(4)2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−
ヒドロキシエチルイミダゾニウムベタイン 1.0
(5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.5
(6)ジェミニ型カチオン活性剤 0.2
(一般式(I)で、R、Rはラウリル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは塩素原子)
(7)ステアリルアルコール 0.5
(8)パラメトキシ安息香酸エステル 適量
(9)精製水 残余
(10)香料 適量
(11)原液/噴射剤=92/8(L.P.G.0.43MPa:DME=80:20)
<製造方法>
(3)〜(9)を混合した中に(1)〜(2)を混合したものを加えて乳化する。(10)を加えて均一とした後、(11)と共に容器に充填する。
【0066】
[実施例37] ヘアオイル
配合成分 配合量(質量%)
(1)軽質流動イソパラフィン 80.0
(2)1,3−ブチレングリコール 14.5
(3)メチルフェニルポリシロキサン 5.0
(4)ジェミニ型カチオン活性剤 0.2
(一般式(I)で、R、Rはステアリル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは塩素原子)
(5)香料 適量
<製造方法>
(1)〜(3)を混合した後、(4)を加えて均一にし、最後に(5)を加える。
【0067】
[実施例38] ヘアスプレー
配合成分 配合量(質量%)
(1)揮発性イソパラフィン 16.0
(2)ジメチルポリシロキサン(6cs) 7.0
(3)プロピレングリコール 15.0
(4)エタノ―ル 適量
(5)精製水 2.0
(6)ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体
4.0
(7)ジェミニ型カチオン活性剤 0.2
(一般式(I)で、R、Rはラウリル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは塩素原子)
(8)香料 適量
(9)LPG 残余
<製造方法>
(3)〜(7)を混合した中に(1)〜(2)を混合したものを加えて乳化する。(8)を加えて均一とした後、(9)と共に容器に充填する。
【0068】
[実施例39] ヘアムース(エアゾール)
配合成分 配合量(質量%)
(1)エタノール 5.0
(2)ジメチルポリシロキサン(6cs) 5.0
(3)揮発性イソパラフィン 25.0
(4)1,3−ブチレングリコール 25.0
(5)イソステアリン酸 1.0
(6)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
(7)2−アルキル−N−カルボキシメチル 6.0
−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
(8)フェノキシエタノール 適量
(9)精製水 残余
(10)ジェミニ型カチオン活性剤 0.1
(一般式(I)で、R、Rはベヘニル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは塩素原子)
(11)香料 適量
<製造方法>
(4)〜(10)を混合したものに(1)〜(3)および(11)を混合したものを加えて乳化する。
【0069】
[実施例40] ヘアクリーム
配合成分 配合量(質量%)
(1)揮発性イソパラフィン 10.0
(2)ジメチルポリシロキサン(6cs) 1.0
(3)エタノール 10.0
(4)1,3−ブチレングリコール 15.0
(5)POE(14)POP(7)ジメチルエーテル 1.0
(6)イソステアリン酸 0.5
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.1
(8)2−アルキル−N−カルボキシメチル
−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 1.0
(9)水酸化ナトリウム 0.3
(10)カルボキシビニルポリマー 0.8
(11)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(12)ジェミニ型カチオン活性剤 0.5
(一般式(I)で、R、Rはセチル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは塩素原子)
(13)エデト酸3ナトリウム 適量
(14)精製水 残余
(15)香料 適量
<製造方法>
(5)〜(13)を混合して均一にしたものに(1)〜(4)および(15)を混合したものを加えて乳化する。(15)を加えた後、(13)にて中和し、さらに攪拌して均一にする。
【0070】
[実施例41] ヘアクリーム
配合成分 配合量(質量%)
(1)流動パラフィン 5.0
(2)ワセリン 2.0
(3)ジメチルポリシロキサン(6cs) 5.0
(4)セタノール 4.0
(5)ステアリルアルコール 1.0
(6)ジェミニ型カチオン活性剤 0.2
(一般式(I)で、R、Rはステアリル基、R、R、R、Rはメチル基、Xはメチル硫酸イオン)
(7)1,3−ブチレングリコール 10.0
(8)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンジメチルエーテル 2.0
(9)ポリオキシプロピレングリセリルエーテル 2.0
(10)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 2.0
(11)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(12)ポリマーJR-400TM(東邦化学工業社製) 0.5
(13)加水分解コムギタンパク 0.1
(14)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(15)精製水 残余
(16)香料 適量
<製造方法>
(1)〜(6)の油相、(7)〜(15)の水相をそれぞれ加温により溶解して混合し、(16)を油相に添加して均一とした後、2相を混合して乳化する。
【0071】
[実施例42] ヘアクリーム
配合成分 配合量(質量%)
(1)流動パラフィン 10.0
(2)ワセリン 3.0
(3)ジメチルポリシロキサン(6cs) 2.0
(4)プロピレングリコール 5.0
(5)ポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル 2.0
(6)ジェミニ型カチオン活性剤 0.05
(一般式(I)で、R、Rはステアリル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは塩素原子)
(7)テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 3.0
(8)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 2.0
(9)水酸化カリウム 0.1
(10)カルボキシビニルポリマー 0.3
(11)ポリアクリル酸ヒドロキシエチル
・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体 0.1
(12)精製水 残余
(13)香料 適量
<製造方法>
(1)〜(7)および(13)を混合したものを(8)〜(11)を混合したものに添加して乳化する。(11)を加えて均一とした後、(12)で中和し、さらに攪拌して均一とする。
【0072】
[実施例43] ヘアローション
配合成分 配合量(質量%)
(1)軽質イソパラフィン 15.0
(2)ジメチルシリコーン 6.0
(3)ソルビトール 20.0
(4)ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油エステ 2.0
(5)酸化チタンゾル 10.0
(6)エタノール 15.0
(7)ジェミニ型カチオン活性剤 0.5
(一般式(I)で、R、Rはステアリル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは臭素原子)
(8)精製水 残余
(9)香料 適量
<製造方法>
(1)〜(2)および(9)を混合したものを(4)〜(8)に添加して乳化する。
【0073】
[実施例44] ヘアミスト
配合成分 配合量(質量%)
(1)ジメチルポリシロキサン(6cs) 1.0
(2)エタノール 5.0
(3)ステアリルアルコール 0.1
(4)ベヘニルアルコール 0.2
(5)グリセリン 20.0
(6)ジプロピレングリコール 1.0
(7)1,3−ブチレングリコール 1.0
(8)塩化アルキルトリメチルアンモニウム(77%) 0.5
(9)ジェミニ型カチオン活性剤 0.5
(一般式(I)で、R、Rはステアリル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは塩素原子)
(10)ビニルピロリドン・
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体 2.5
(11)アルギニン 0.1
(12)レシチン 0.1
(13)オクチルメトキシシンナメート 0.1
(14)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(15)精製水 残余
(16)香料 適量
<製造方法>
(1)〜(4)を混合した油相、および、(5)〜(15)を混合した水相を加熱溶解し、前者を後者に添加して乳化する。(16)を添加して均一とする。
【0074】
[実施例45] リンス
配合成分 配合量(質量%)
(1)ジメチルポリシロキサン(6cs) 10.0
(2)硬化ナタネ油アルコール 3.0
(3)セタノール 1.5
(4)スクロース 20.0
(5)2−エチルヘキサン酸セチル 2.0
(6)塩化アルキルトリメチルアンモニウム 1.5
(7)ジェミニ型カチオン活性剤 1.0
(一般式(I)で、R、Rはステアリル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは塩素原子)
(8)ソルビトール 2.0
(9)グルタミン酸 0.5
(10)アルギニン 0.1
(11)グリシン 0.1
(12)クエン酸 0.01
(13)酢酸トコフェロール 0.05
(14)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(15)フェノキシエタノール 適量
(16)ヒドロキシエチルセルロース 0.05
(17)精製水 残余
(18)香料 適量
<製造方法>
(15)以外の水溶性成分を混合して加熱溶解し、均一とする。これに油溶性成分を混合して加熱溶解したものを添加して乳化する。(15)および(18)を加えて均一にした後、冷却する。
【0075】
[実施例46] ヘアコンディショナー
配合成分 配合量(質量%)
(1)イソペンチルジオール 5.0
(2)ソルビトール 15.0
(3)ジメチコン(100万cSt) 1.5
(4)ジメチコン(20cSt) 2.0
(5)ステアリルアルコール 3.0
(6)ベヘニルアルコール 2.0
(7)ジェミニ型カチオン活性剤 2.0
(一般式(I)で、R、Rはステアリル基、R、R、R、Rはメチル基、Xは塩素原子)
(8)イソオクタン酸セチル 1.0
(9)アルギニン 0.01
(10)PEG−90M 0.02
(11)ステアリルジヒドロキシプロピルジモニウムオリゴ糖 0.05
(12)クエン酸 0.07
(13)フェノキシエタノール 適量
(14)調合香料 適量
(15)大豆レシチン 0.1
(16)加水分解小麦タンパク・加水分解小麦でんぷん 0.02
(17)N−ラウロイルグルタミン酸
ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル) 0.1
(18)精製水 残余
<製造方法>
(15)以外の水溶性成分を混合して加熱溶解し、均一とする。これに油溶性成分を混合して加熱溶解したものを添加して乳化する。(15)および(18)を加えて均一にした後、冷却する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)及び(B)を含有する、毛髪化粧料。
(A)一般式(I)で表されるジェミニ型カチオン活性剤の1種以上を、毛髪化粧料に対して0.01〜10.0質量%。
【化1】

[式中、R及びRは、直鎖または分岐した炭素原子数5〜25の飽和もしくは不飽和のアルキル基であり、R、R、R及びRは、それぞれ炭素原子数1〜5のアルキル基であり、Xは、ハロゲン原子又は短鎖硫酸イオン基である。]
(B)多価アルコール及び/又は糖類の1種以上を、毛髪化粧料に対して10.0〜50.0質量%。
【請求項2】
前記毛髪化粧料において、成分(B)を構成する多価アルコールが、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコール及び1,3−ブチレングリコールからなる群より選ばれる1種以上であり、同糖類が、キシリトール、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、グルコース、ラクトース、マルチトール及びスクロースからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2006−315987(P2006−315987A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139167(P2005−139167)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】