説明

毛髪化粧料

【課題】浸透性に優れ、べたつかず、指通りがよく、しなやかにまとまり、自然なツヤを与え、持続性のある潤い感、補修感に優れ、且つ安全性にも優れた毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)〜(D)を含有する毛髪化粧料。
(A)プロピレンオキシドの付加モル数が1〜10であるフィトステロール誘導体、
(B)ジカルボン酸ジエステル、
(C)ジメチコノール、
(D)ポリエーテル変性シリコーン

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーマ、ブリーチ、ヘアカラー等の化学処理を実施する消費者が増加したことから、毛髪が損傷し、髪がまとまらない、指通りが悪い、パサつく、ツヤがない等の髪の悩みを抱えているヒトが増加している。また、日々の美容行為であるヘアアイロン、ヘアドライヤーによる整髪行為により、熱による損傷を毛髪に対し与えており、さらに毛髪の損傷を深刻なものにしている。従って、ダメージケアは非常に重要な要素となっている。
【0003】
過度の損傷を受けた毛髪に対する対策として、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアマスク等の洗い流すヘアケア、またヘアオイル、ヘアクリーム、泡沫状あるいは霧状トリートメント等の洗い流さないトリートメントが挙げられる。これらのヘアコンディショニング組成物には、主成分として毛髪柔軟性効果としてカチオン性界面活性剤、シリコーン油が配合されることが多く、さらにコンディショニング効果を高めるため高級アルコール、流動パラフィン、エステル油、ステロール類、脂質、ジメチコン、ジメチコノール、ポリエーテル変性シリコーン等の非極性シリコーン油、貝、魚、絹、植物、海藻等に由来するペプチドもしくはタンパク質又はそれらの誘導体が配合されている。
【0004】
従来、ステロール類、特にフィトステロールは、皮膚や毛髪の湿潤保持や肌質、髪質の改善効果を有し優れた使用感を有することから、使用部位を問わず、多くの化粧料に配合されている。しかし、ステロール類の融点は100℃以上と高いため、油性成分との混和性や溶解性が悪い。そのため80℃以下でも油性成分への混和性や溶解性が高まるように、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドが付加されたフィトステロール誘導体が開発されている。そしてこれを配合した化粧料や毛髪化粧料は、ダメージを受けた毛髪等に対しても好ましい感触を付与し、また長期連用にも有効であることが知られている(特許文献1〜3、非特許文献1)。
一方、ジカルボン酸ジエステルは一般に粘度が低く、これを配合した化粧料は使用時にのびがよくさっぱりした感触が得られることが知られている(特許文献4)。
また脂質成分としてコレステロール誘導体とジカルボン酸ジエステルを組み合わせて配合した毛髪処理剤は、毛髪にしっとり感や柔らかさ等の優れた感触を与えることも知られている(特許文献5)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭52−79031号公報
【特許文献2】特開2003−176214号公報
【特許文献3】特開2007−8867号公報
【特許文献4】特開平3−120208号公報
【特許文献5】特開2007−1951号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】公技番号2009−504383
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アルキレンオキシドが付加されたフィトステロールは、前記のようにダメージを受けた毛髪に対して感触向上効果を有するが、本発明者の研究によれば、種々の問題があり、その作用を十分に発揮させることができないことが判明した。すなわち、エチレンオキシドを付加したフィトステロール誘導体は、エチレンオキシドの付加モル数が増加することにより親水性が高まり製剤への配合は容易となるものの、反面、物性として固体化しやすくなり、仕上がりにおいて滑りの良い指通り感や毛先のまとまり感、長期連用で持続した潤い感を得るには、充分満足のいくものではなかった。また、プロピレンオキシドが付加したフィトステロール誘導体は、プロピレンオキシドの付加モル数が増加することにより疎水性が高まり毛髪への残留性が高くなるものの、反面、溶剤様の油性感が強く出ることがあり、毛髪にべたつきを与え、指通りを悪化させる場合があった。さらに、分子量が大きくなることで、毛髪内部への浸透効果が下がり、長期連用で持続した潤い感を得るには、やはり充分満足のいくものではなかった。
【0008】
従って、本発明の課題は、フィトステロール誘導体を含有し、浸透性に優れ、べたつかず、指通りがよく、しなやかにまとまり、自然なツヤを与え、持続性のある潤い感、補修感に優れ、且つ安全性にも優れた毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者は、アルキレンオキシドが付加されたフィトステロール誘導体を配合した毛髪化粧料について種々検討した結果、フィトステロール誘導体として(A)プロピレンオキシドの付加モル数が1〜10であるフィトステロール誘導体を用い、これに(B)ジカルボン酸ジエステルと(C)ジメチコノールと(D)ポリエーテル変性シリコーンを組み合せて配合することにより、単にアルキレンオキシドを付加したフィトステロール誘導体の配合だけでは得られなかった上記課題を解決することを見出し、本発明を完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(D)、
(A)プロピレンオキシドの付加モル数が1〜10であるフィトステロール誘導体、
(B)ジカルボン酸ジエステル、
(C)ジメチコノール、
(D)ポリエーテル変性シリコーン
を含有する毛髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の毛髪化粧料は、浸透性に優れ、べたつかず、指通りがよく、しなやかにまとまり、自然なツヤを与え、持続性のある潤い感に優れ、且つ安全性にも優れるものであり、特にダメージを被った毛髪に対して補修感を付与できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0013】
本発明において、(A)成分のプロピレンオキシドの付加モル数が1〜10であるフィトステロール誘導体は、毛髪への残留性が高く、しかも付加モル数が低重合で分子量が小さいため、毛髪への浸透効果が高く、毛髪に持続性のある感触を維持できる。
(A)成分としては、カンペステロール、スチグマステロール、β―シトステロール、ブラシカステロールなどの植物性ステロールであるフィトステロール又は水素添加フィトステロールのプロピレンオキシド付加物が挙げられ、これらは単一であっても混合物であってもよい。付加するプロピレンオキシドのモル数(平均付加モル数)は1〜10であるが、毛髪内部への浸透性や残留性、仕上がり時の滑りよい指通り感が得られやすい点から、3〜7であることがより好ましい。また、(A)成分は、プロピレンオキシドの付加モル数が単一のものを用いてもかまわないし、プロピレンオキシドの付加モル数が異なるものを2種以上組み合わせて用いてもよい。
(A)成分としては、市販されている原料を使用することができ、例えば、日光ケミカルズ社製のNIKKOL PSR−3[ポリオキシプロピレン(3)フィトステロール]やNIKKOL PSR−5[ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール]等が挙げられる。
【0014】
本発明における(A)成分の好ましい含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として0.01〜5.0質量%(以下、単に%と記する)であり、さらに好ましくは0.1〜3.0%である。この範囲内であれば、毛髪内部への浸透性が良く、また指通りや持続性のあるうるおい感に優れる。
【0015】
本発明において、(B)成分のジカルボン酸ジエステルは、上記(A)成分の毛髪内部への浸透性を促進する成分として有用である。ジカルボン酸ジエステルとしては、炭素数4〜16のジカルボン酸に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルオキシアルコキシ基等が置換していてもよい炭素数1〜8の炭化水素基が2個エステル結合したものが挙げられ、具体的には、下記一般式(1)又は(2)で示されるものである。
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、mは、2〜10の整数を示し、R1及びR2は、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基を示す。またR1とR2は同一の基であっても異なる基であってもよい。)
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、mは、2〜10の整数を示し、R3〜R8は、水素原子を示すか、又は同一又は異なる炭素数6〜22の直鎖脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸若しくは不飽和脂肪酸由来のアシル基を示す。但し、R3〜R8のすべてが水素原子になることはない。)
【0020】
上記一般式(1)及び(2)で示される(B)成分のジカルボン酸ジエステルは、前記(A)成分の毛髪内部への浸透促進効果の面から、分子量が500以下の低分子のジカルボン酸ジエステルが好ましい。
【0021】
上記一般式(1)で示される(B)成分としては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジオクチル等のコハク酸ジエステル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエトキシエチル等のアジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸ジエステルが挙げられる。また、上記一般式(2)で示される(B)成分としては、例えば、アジピン酸ジグリセリル混合脂肪酸ジエステル(商品名:SOFTISAN645、SASOL Germany社製)、セバシン酸ジグリセリル混合脂肪酸ジエステル等が挙げられる。これらの中でも、浸透感、すすぎ時や仕上がり後の指通り感に優れた効果を付与できる点で、セバシン酸ジエステルが好ましく、セバシン酸ジエチルが最も好ましい。
【0022】
本発明における(B)成分の好ましい含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として0.1〜30%であり、さらに好ましくは0.5〜20%である。この範囲内であれば、べたつきがなく良好である。
【0023】
また、本発明における(B)成分は、前記(A)成分の含有量に対して質量比で、(A)/(B)が1/20〜3/1が好ましく、さらに1/10〜2/1が好ましい。この範囲内であれば、毛髪内部への浸透性に優れる。
【0024】
本発明において、(C)成分のジメチコノールは、具体的には下記一般式(3)で示されるものである。
【0025】
【化3】

【0026】
(式中、R9は、メチル基又はフェニル基を示し、pは1〜3000の整数を示す。)
【0027】
上記一般式(3)で示される(C)成分は、市販されている原料を使用することができ、例えば、信越化学工業社製のX−21−5613、X−21−5666、X−21−5849、また東レ・ダウコーニング社製の1501FLUID、1503FLUID等が挙げられる。
【0028】
本発明における(C)成分の好ましい含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として0.01〜30%であり、さらに好ましくは0.1〜25%である。この範囲内であれば、指通りとまとまり性に優れる。
【0029】
本発明において、(D)成分のポリエーテル変性シリコーンとしては、具体的にはペンダント型ポリエーテル変性シリコーン、ABN型ポリエーテル変性シリコーン、末端ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。その中でも、下記一般式(4)で示されるABN型ポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
【0030】
【化4】

【0031】
(式中、R10及びR11は、メチル基又は一部がフェニル基を示し、nは1〜6の整数、sは0〜50の整数、tは0〜50の整数、qは5〜300の整数、rは2〜40の整数を示す。ただし、s+tは1以上である。)
【0032】
上記一般式(4)で示される(D)成分は、市販されている原料を使用することができ、例えば、東レ・ダウコーニング社製のFZ−2222、FZ−2233、FZ−2250等が挙げられる。
【0033】
本発明における(D)成分の好ましい含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として0.01〜20%であり、さらに好ましくは0.1〜15%である。この範囲内であれば、まとまり性と持続性のある潤い感に優れる。
【0034】
本発明では、上記(C)成分と(D)成分を組み合わせて配合するため、より毛髪のまとまりに優れ、トリートメント効果を高めることができる。これら両成分の合計の含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として、0.02〜50%が好ましく、0.1〜30%が特に好ましい。またこれら両成分の含有量の質量比は、(C)/(D)が8/1〜1/8が好ましく、4/1〜1/4がより好ましい。この範囲内であれば、より毛髪のまとまりに優れるので、トリートメント効果の高い補修感の付与に優れる。
【0035】
さらに、本発明には(E)成分として、カチオン性界面活性剤及びアミノ変性シリコーンから選ばれる少なくとも1種以上を配合することができる。
【0036】
カチオン性界面活性剤及びアミノ変性シリコーンは、毛髪の指通りを改善する効果に優れる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、長鎖アルキルアミンの無機酸塩又は有機酸塩、高級脂肪酸とジアミンを縮合した脂肪酸アミドアミンの無機酸塩又は有機酸塩、高級脂肪酸にアルカノールアミンを反応させたエステル含有3級アミンの無機酸塩又は有機酸塩、第4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの中でも、第4級アンモニウム塩が好ましく、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルメチルアンモニウム、セチルトリエチルアンモニウムメチルサルフェート等を挙げることができる。特に、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0037】
アミノ変性シリコーンとしては、次の一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0038】
【化5】

【0039】
(式中、R12及びR13は、水酸基又はメチル基を示し、uは1〜1000の整数、wは1〜3000の整数、xは1〜50の整数、yは1〜50の整数を示す。)
【0040】
これらのアミノ変性シリコーンの市販品としては、例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のXF42−B1989、XF42−B8922、信越化学工業社製のXF−8004、XF−8015、F−8017、XF−8020、X−52−2265、XF−867S、東レ・ダウコーニング社製のAP−8087、SF8452C、SS−3551等が挙げられる。
【0041】
これら(E)成分は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明における(E)成分の好ましい含有量は、毛髪化粧料の総量を基準として0.01〜20%であり、さらに好ましくは0.1〜10%である。この範囲内であれば、毛髪に持続性のある潤い感を付与でき好ましい。
【0042】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪に適用した後、洗い流すタイプのものと、洗い流さないタイプのもののいずれにも使用できるが、洗い流さないタイプとして使用した場合の方が、より浸透性や使用感に優れるため好ましい。
【0043】
本発明の毛髪化粧料の剤型は、公知の各種剤型の中から、その用途や使用目的に応じて任意に選択することができ、液体状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、霧状(噴霧タイプ)、エアゾールフォーム状等にすることができる。
【0044】
本発明の毛髪化粧料には、前記の各成分に加え、必要に応じて、かつ本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、抗老化薬剤、抗炎症剤、抗アンドロゲン剤、育毛剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、アルコール類、pH調整剤、乳化剤、粉末成分、色材、水性成分、水、各種毛髪栄養剤、香料、清涼剤、生薬抽出物やビタミン類等を適宜配合することができる。
【0045】
配合できる成分の具体例を示せば、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、リゾフォスファチジルコリンやリゾフォスファチジン酸、大豆調製物等のラミニン5産生促進剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパルミ、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、硫黄、チアントール等の抗脂漏剤、多様な目的から、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン、ウコン抽出物、ブナの芽抽出物、加水分解カゼイン、米抽出物加水分解液、米ぬか抽出物、トウニン抽出物、クララ抽出物、チオタウリン、ヒポタウリン、マジョラム抽出物、シリカ被覆酸化亜鉛、イチヤクソウ抽出物、キシリトール、アルギニン及びその塩酸塩、セリン、オウバク抽出成分、オウレン抽出成分、カッコン抽出成分、シコン抽出成分、シャクヤク抽出成分、センブリ抽出成分、バーチ抽出成分、セージ抽出成分、ビワ抽出成分、ニンジン抽出成分、アロエ抽出成分、ゼニアオイ抽出成分、アイリス抽出成分、ブドウ抽出成分、ヨクイニン抽出成分、ヘチマ抽出成分、ユリ抽出成分、サフラン抽出成分、センキュウ抽出成分、ショウキョウ抽出成分、オトギリソウ抽出成分、ローズマリー抽出成分、ニンニク抽出成分、トウガラシ抽出成分、トウガラシ抽出成分、ワレモコウ抽出成分、チンピ、トウキ等、レチノール、酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸時パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、DL−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類なども適宜配合することができる。
【実施例】
【0046】
以下に、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0047】
表1に示す処方の洗い流さないタイプの毛髪化粧料を常法に従って製造し、以下に示す評価を実施した。結果は表1に併せて示す。尚、表1中の配合量は全て質量%である。
【0048】
(1)浸透性試験
パーマやブリーチ等の処理を施したことのない長さ15cm、重さ1gのアジア人黒髪(株式会社ビューラックスより購入)にパーマ処理後、ブリーチ処理を行う。この化学処理を2回施しダメージ毛とした。このダメージ毛を、実施例及び比較例の毛髪化粧料に40℃、1時間浸漬後、洗浄した。この浸漬、洗浄行為を3回繰り返し、測定用の毛髪とした。
この測定用の毛髪を切断し、その毛髪断面をION−TOF社製のTOF−SIMS IVにて、(A)成分の浸透性評価を行った。下記判定に基づきブランク(比較例1)に対する効果として評価した。
<判定基準>
◎:ブランクに対し非常に有意差がある
○:ブランクに対し有意差がある
△:ブランクに対し有意な傾向がある
×:ブランクに対し有意差がない
【0049】
(2)官能試験
20名の専門パネルを対象に実施例及び比較例の洗い流さないタイプの毛髪化粧料を使用してもらい、毛髪上での「べたつき」「指通り」「まとまり」「ツヤ」「潤い感」「補修感」について官能評価してもらい、下記に示す判定基準により評価を行った。
【0050】
<判定基準>
・べたつき
◎:パネルの15名以上が、べたつきがないと判断
○:パネルの10名以上15名未満が、べたつきがないと判断
△:パネルの5名以上10名未満が、べたつきがないと判断
×:パネルの5名未満が、べたつきがないと判断
・指通り
◎:パネルの15名以上が、指通りが良いと判断
○:パネルの10名以上15名未満が、指通りが良いと判断
△:パネルの5名以上10名未満が、指通りが良いと判断
×:パネルの5名未満が、指通りが良いと判断
・まとまり
◎:パネルの15名以上が、まとまりが良いと判断
○:パネルの10名以上15名未満が、まとまりが良いと判断
△:パネルの5名以上10名未満が、まとまりが良いと判断
×:パネルの5名未満が、まとまりが良いと判断
・ツヤ
◎:パネルの15名以上が、ツヤがあると判断
○:パネルの10名以上15名未満が、ツヤがあると判断
△:パネルの5名以上10名未満が、ツヤがあると判断
×:パネルの5名未満が、ツヤがあると判断
・潤い感
◎:パネルの15名以上が、8時間以上潤い感が続くと判断
○:パネルの10名以上15名未満が、4時間以上潤い感が続くと判断
△:パネルの5名以上10名未満が、2時間以上潤い感が続くと判断
×:パネルの5名未満が、潤い感がないと判断
・補修感
◎:パネルの15名以上が、補修感があると判断
○:パネルの10名以上15名未満が、補修感があると判断
△:パネルの5名以上10名未満が、補修感があると判断
×:パネルの5名未満が、補修感があると判断
【0051】
(3)安全性
皮膚に対する刺激性について、実施例及び比較例の毛髪化粧料1mLを、20人の被験者の上腕内側部に塗布し、24時間後に下記基準にて判定した。
<判定基準>
◎:パネルの20名全てが紅斑を示さなかった
○:パネルの18名以上20名未満が紅斑を示さなかった
×:パネルの1名以上18名未満が紅斑を示さなかった
【0052】
【表1】

【0053】
表1から明らかなように、本発明の毛髪化粧料は、比較例と比べて明らかに浸透性、官能性、安全性に関するいずれの評価においても優れていた。一方、本発明の必須成分を1つでも欠く比較例の毛髪化粧料は、安全性には優れるものの、浸透性や官能性のいずれかが劣っていた。
【0054】
実施例6
下記処方の洗い流さないタイプの毛髪化粧料を下記製法に従って製造した。
(配合成分) (配合量 %)
低結晶性セルロース 30.0(純分換算値1.2%)
(ナノウォープ:第一工業社製)
フィトステロール誘導体(A) 0.3
(NIKKOL PSR−5:日光ケミカルズ社製)
セバシン酸ジエチル(B) 1.0
ABN型ポリエーテル変性シリコーン(D) 2.0
(FZ−2250:東レ・ダウコーニング社製)
ジメチコノール(C) 2.0
(X−21−5613:信越化学工業社製)
軽質流動イソパラフィン 6.0
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(2E.O.) 0.8
フェノキシエタノール 0.3
加水分解シルク液 1.0
精製蜂蜜 0.5
ポリオキシエチレンホホバ油 0.2
エタノール 8.0
香料 0.3
精製水 残部
(製法)低結晶性セルロースならびに精製水をホモミキサーを用いて均一に混合分散し、次いでフィトステロール誘導体からポリオキシエチレンオレイルエーテル(2E.O.)を50度で加温したものを投入し乳化を行う。さらに残りを混合したものを添加し、再度ホモミキサーにて混合分散を行い目標の毛髪化粧料を得る。
【0055】
実施例7
下記処方の洗い流すタイプの毛髪化粧料を下記製法に従って製造した。
(配合成分) (配合量 %)
ステアリルアルコール 6.0
ベヘニルアルコール 1.0
セタノール 0.5
フィトステロール誘導体(A) 0.2
(NIKKOL PSR−5:日光ケミカルズ社製)
セバシン酸ジエチル(B) 2.0
ABN型ポリエーテル変性シリコーン(D) 0.5
(FZ−2250:東レ・ダウコーニング社製)
ジメチコノール(C) 1.0
(X−21−5613:信越化学工業社製)
アミノ変性シリコーン(E) 0.5
(AP−8072:東レ・ダウコーニング社製)
グリセリン 1.0
プロピレングリコール 2.0
フェノキシエタノール 0.3
加水分解フィブロイン溶液 1.0
ローヤルゼリー 0.5
パントテニルアルコール 0.2
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(E) 0.9
香料 0.3
精製水 残部
(製法)ステアリルアルコールからアミノ変性シリコーンまでを80℃に加温溶解し、油相とする。一方、グリセリンから精製水(除く香料)を80℃にて加温溶解し、水相とする。油相に水相を徐々に添加し乳化。その後冷却し、60℃にて香料を添加し、そのまま35℃まで攪拌しながら冷却を行い目標の毛髪化粧料を得る。
【0056】
実施例6、7の毛髪化粧料は、上記の浸透性、官能、安全性に関する試験を行ったところ、いずれも良好であった。
【0057】
本発明の実施例の組成物に用いた香料を表2に示す。
【0058】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明により、毛髪に対して浸透性に優れ、べたつかず、指通りがよく、しなやかにまとまり、自然なツヤを与え、持続性のある潤い感、且つ安全性にも優れ、特にダメージを被った毛髪に対しては補修感も付与できるため、従来にない使用感や仕上がり感が期待できる毛髪化粧料を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D)を含有する毛髪化粧料。
(A)プロピレンオキシドの付加モル数が1〜10であるフィトステロール誘導体、
(B)ジカルボン酸ジエステル、
(C)ジメチコノール、
(D)ポリエーテル変性シリコーン
【請求項2】
さらに、(E)カチオン性界面活性剤及びアミノ変性シリコーンから選ばれる1種以上を含有する請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
洗い流さないタイプの毛髪化粧料である請求項1又は2記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2011−105630(P2011−105630A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261231(P2009−261231)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】