説明

毛髪形状感受性遺伝子

【課題】毛髪形状に関連する遺伝子多型及び毛髪形状感受性遺伝子、ならびに個々の被験者における毛髪形状に対する遺伝的感受性を判定するための方法の提供。
【解決手段】ヒト第1番染色体の1q21.3領域(D1S2696〜D1S2346)における、アリル頻度がくせ毛形質を有する集団と非くせ毛形質を有する集団との間で統計学的に有意に異なる一塩基多型(SNP)マーカーに対する連鎖不平衡解析により決定され、且つ特定の塩基配列からなるハプロタイプブロックにオーバーラップする遺伝子であって、当該ハプロタイプブロックの塩基配列の一部または全てを含有する遺伝子である、毛髪形状感受性遺伝子。


Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト第1番染色体の1q21.3領域(D1S2696〜D1S2346)における、アリル頻度がくせ毛形質を有する集団と非くせ毛形質を有する集団との間で統計学的に有意に異なる一塩基多型(SNP)マーカーに対する連鎖不平衡解析により決定され、且つ配列番号1〜5のいずれかで示される塩基配列からなるハプロタイプブロックにオーバーラップする遺伝子であって、当該ハプロタイプブロックの塩基配列の一部または全てを含有する遺伝子である、毛髪形状感受性遺伝子。
【請求項2】
前記遺伝子がANXA9、FAM63A、LCE5A、CRCT1、LCE2B、LCE2A、SMCP及びIVLから選択される請求項1記載の毛髪形状感受性遺伝子。
【請求項3】
請求項1記載のハプロタイプブロックの塩基配列の部分塩基配列であって、アリル頻度がくせ毛形質を有する集団と非くせ毛形質を有する集団との間で統計学的に有意に異なる一塩基多型(SNP)及び当該SNPと連鎖しているSNPを一以上含む連続する塩基配列からなる部分塩基配列を含む、オリゴまたはポリヌクレオチドあるいはそれらの相補鎖である、毛髪形状判定マーカー。
【請求項4】
前記SNPが以下からなる群より選択される塩基におけるSNPである、請求項3記載の毛髪形状判定マーカー:
(1)配列番号1で表される塩基配列中、塩基番号1(dbSNPデータベースID:rs3754211、AまたはG)、2405(rs3754210、TまたはG)、5874(rs16832604、GまたはA)、7121(rs2305814、CまたはT)、8494(rs7532008、CまたはA)、18980(rs1673160、TまたはA)、及び23252(rs771205、TまたはC)で示される塩基;
(2)配列番号2で表される塩基配列中、塩基番号2355(rs11581947、AまたはG)、2569(rs6658925、GまたはA)、3897(rs2105117、AまたはG)、8196(rs1053590、CまたはT)、9510(rs548252、TまたはC)、13643(rs493133、CまたはG)、15387(rs1970283、CまたはG)、15708(rs1001834、AまたはC)、16017(rs11205018、GまたはT)、17106(rs545418、TまたはC)、17453(rs12116609、TまたはC)、17579(rs526099、CまたはT)、17634(rs525960、AまたはT)、26924(rs4845443、AまたはG)、28383(rs569032、TまたはC)、31275(rs528427、CまたはG)、31301(rs478926、TまたはG)、31653(rs1337338、AまたはG)、31903(rs6587681、TまたはC)、32209(rs1856120、AまたはG)、33199(rs474086、TまたはC)、33822(rs578382、AまたはG)、34100(rs549044、TまたはC)、35791(rs1123567、AまたはG)、36884(rs1538083、GまたはA)、37072(rs1538082、GまたはA)、37365(rs7532535、AまたはT)、37613(rs7518654、GまたはC)、38062(rs533917、GまたはA)、39063(rs564107、TまたはC)、46580(rs7530609、AまたはC)、49618(rs4240885、CまたはG)、50164(rs4240886、AまたはT)、50278(rs4240887、GまたはA)、50662(rs6687126、GまたはT)、50822(rs6674451、TまたはC)、50981(rs7550769、AまたはG)、51133(rs7529157、AまたはC)、51263(rs1988805、GまたはT)、及び51397(rs7529441、TまたはC)で示される塩基;
(3)配列番号3で表される塩基配列中、塩基番号2509(rs11205072、GまたはA)、5167(rs3753453、TまたはC)、8449(rs3737859、TまたはG)、17598(rs3904414、GまたはA)、18481(rs12074783、TまたはC)、20891(rs3908717、CまたはG)、21734(rs3904415、CまたはT)、及び23382(rs11205079、AまたはT)で示される塩基;
(4)配列番号4で表される塩基配列中、塩基番号1(rs16834715、TまたはC)、3308(rs12022319、CまたはT)、4715(rs4845490、GまたはA)、4985(rs4845491、CまたはT)、6354(rs3737861、CまたはA)、8553(rs16834728、CまたはT)、及び8818(rs4845492、CまたはG)で示される塩基;ならびに
(5)配列番号5で表される塩基配列中、塩基番号1(rs1854779、CまたはT)、540(rs16834751、CまたはA)、759(rs4523473、CまたはT)、1007(rs11205131、AまたはG)、1018(rs7528862、GまたはA)、1075(rs7517189、GまたはC)、1939(rs2229496、GまたはA)、及び3440(rs913996、AまたはG)で示される塩基。
【請求項5】
10〜601塩基長の連続した塩基配列からなる、請求項3又は4記載の毛髪形状判定マーカー。
【請求項6】
以下の工程(a)〜(c)を含む被験者の毛髪形状に対する遺伝的感受性の判定方法:
(a)被験者由来のゲノムDNAを調製する工程;
(b)当該ゲノムDNAから、請求項1記載のハプロタイプブロックに存在する、アリル頻度がくせ毛形質を有する集団と非くせ毛形質を有する集団との間で統計学的に有意に異なる一塩基多型(SNP)及び当該SNPと連鎖している一塩基多型(SNP)を検出する工程;及び
(c)当該検出したSNPのアリル頻度が非くせ毛者集団におけるよりもくせ毛者集団において統計学的に有意に高い場合、当該被験者はくせ毛の遺伝的素因を有していると判定し、当該検出したSNPのアリル頻度がくせ毛者集団におけるよりも任意の非くせ毛者集団において統計学的に有意に高い場合、当該被験者はくせ毛の遺伝的素因を有していないと判定する工程。
【請求項7】
被験者由来のゲノムDNA中の配列番号1〜5で表される塩基配列における下記表に示される塩基番号の塩基のいずれか一以上において、当該塩基が塩基(i)であるか塩基(ii)であるかを識別し、塩基(i)である場合には被験者がくせ毛の素因を有していると判定し、塩基(ii)である場合には被験者がくせ毛の素因を有していないと判定する工程を含む、被験者の毛髪形状に対する遺伝的感受性の判定方法。
【表15−1】

【表15−2】

【請求項8】
請求項3〜5のいずれか1項記載の毛髪形状判定マーカーにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするプローブ及び/又はプライマーを含む、被験者の毛髪形状に対する遺伝的感受性の判定用試薬。
【請求項9】
前記プローブ及び/又はプライマーが前記マーカーにおける請求項4記載のSNPを含む領域とハイブリダイズする、請求項8記載の試薬。
【請求項10】
請求項8又は9記載の試薬を含む、被験者の毛髪形状に対する遺伝的感受性判定用キット。
【請求項11】
以下の工程(a)及び(b)を含む毛髪形状調節剤をスクリーニングする方法:
(a)請求項1又は2記載の毛髪形状感受性遺伝子を含有する細胞に被験物質を投与する工程;及び
(b)投与した被験物質の中から、当該毛髪形状感受性遺伝子上又はその近傍に存在する、アリル頻度がくせ毛形質を有する集団と非くせ毛形質を有する集団との間で統計学的に有意に異なる一塩基多型(SNP)及び当該SNPと連鎖している一塩基多型(SNP)マーカーの塩基の多型をもう一方の多型に変換させる物質を毛髪形状調節剤として選択する工程。
【請求項12】
配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50若しくは配列番号52に示される塩基配列、これらと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はこれらの部分ポリヌクレオチドからなるか、あるいは配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51若しくは配列番号53に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその部分ポリペプチドからなる、毛髪形状タイプのマーカー。
【請求項13】
部分ポリヌクレオチドが15塩基以上のポリヌクレオチドである請求項12記載のマーカー。
【請求項14】
配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50若しくは配列番号52に示される塩基配列又はこれと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドの部分ポリヌクレオチドからなる、請求項12記載のマーカーを増幅するためのプライマー。
【請求項15】
配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50若しくは配列番号52に示される塩基配列又はこれと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はこれらの部分ポリヌクレオチドからなる、請求項12記載のマーカーを検出するためのプローブ。
【請求項16】
配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51若しくは配列番号53に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその部分ポリペプチドを特異的に認識する、請求項12記載のマーカーを検出するための抗体。
【請求項17】
下記の工程(a)〜(c)を含む毛髪形状タイプの検出及び/又は判定方法:
(a)被験者由来の試料における請求項12に記載のマーカーの発現量を測定する工程、
(b)当該(a)の測定結果を非くせ毛者のそれと比較する工程;及び
(c)(b)の結果に基づいて毛髪形状タイプを判断する工程。
【請求項18】
前記被験者由来の試料が、被験者より採取された生体試料から調製されたRNA又は当該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記工程(a)が、被験者より採取された生体試料と請求項16記載の抗体とを接触させて、当該抗体と結合した当該生体試料中の請求項12記載のマーカーの量を測定する工程である、請求項17記載の方法。
【請求項20】
被験者より採取された生体試料が上皮系組織又は上皮系細胞由来のものである、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
以下の(a)〜(d)の工程を含むことを特徴とする毛髪形状調節剤の評価又は選択方法。
(a)請求項1に記載の毛髪形状感受性遺伝子又は当該遺伝子にコードされたタンパク質が発現可能な細胞に、被験物質を接触させる工程
(b)接触させた細胞の当該遺伝子又は当該タンパク質の発現量を測定する工程
(c)(b)で測定された発現量を被験物質に接触させない対照細胞の当該遺伝子又は当該タンパク質の発現量と比較する工程
(d)(c)の結果に基づいて、当該遺伝子又は当該タンパク質の発現量を減少又は増加させる被験物質を毛髪形状調節剤として選択する工程
【請求項22】
以下の(a)〜(c)の工程を含むことを特徴とする毛髪形状調節剤の評価又は選択方法。
(a)請求項1に記載の毛髪形状感受性遺伝子が発現可能な細胞に、当該毛髪形状感受性遺伝子の発現制御領域とレポーター遺伝子との融合遺伝子を導入し、当該細胞を被験物質の存在下及び非存在下で培養する工程、
(b)被験物質の存在下で培養した細胞培養物中のレポーター遺伝子発現産物の発現量を測定し、当該量を被験物質の非存在下で培養した細胞培養物中のレポーター遺伝子発現産物の発現量と比較する工程、
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、レポーター遺伝子発現産物の発現量の発現量を増減させる被験物質を毛髪形状調節剤として選択する工程。
【請求項23】
以下の(a)〜(c)の工程を含むことを特徴とする毛髪形状調節剤の評価又は選択方法。
(a)被験物質と請求項1に記載の毛髪形状感受性遺伝子にコードされるタンパク質を含む水溶液、細胞又は当該細胞から調製した細胞画分とを接触させる工程、
(b)被験物質を接触させた水溶液、細胞又は細胞画分における当該タンパク質の機能又は活性を測定し、当該機能又は活性を、被験物質を接触させない対照水溶液、対照細胞又は対照細胞画分における上記当該タンパク質の機能又は活性と比較する工程、
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、当該タンパク質の機能又は活性を増減させる被験物質を毛髪形状調節剤として選択する工程。
【請求項24】
ヒト毛髪毛根部における請求項1に記載の毛髪形状感受性遺伝子の発現を制御することを特徴とする毛髪形状タイプの調節方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10−1】
image rotate

【図10−2】
image rotate

【図10−3】
image rotate

【図13】
image rotate

【図1】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−97925(P2011−97925A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225025(P2010−225025)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】