説明

毛髪染色組成物及び脱色組成物用のゲル網状界面活性剤系増粘系

本発明は、過酸化水素の供給源と、アルカリ化剤と、特定のゲル網状増粘系と、を含む毛髪染色組成物及び毛髪脱色組成物に関する。本組成物は、驚くべきことに、傷み及び頭皮への感覚刺激を最小化しつつ、改善された色落ち、明るさ、及び色の移動をもたらし、製造しやすく、安定な貯蔵寿命を有する、改善された毛髪染色組成物及び脱色組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪染色組成物及び毛髪脱色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン性繊維、特にヒトの毛髪の色を毛髪染料の適用により永続的に変えることは周知である。消費者に所望の毛髪の色及び色の強度を提供するために、非常に複雑な化学プロセスが利用される。永続的な毛髪染色製剤は、典型的には酸化的毛髪染料前駆体を含み、これは角皮を通じて毛髪中及び毛皮質中に拡散することができ、そこで続いて互いに、好適な酸化剤と反応して、最終的な染料分子を形成することができる。これらの得られる分子のサイズがより大きいため、それらは水及び/又は洗剤によるその後の洗浄の間に毛髪から容易に拡散できず、そのため消費者の所望する色の永続性を送達する。この反応は典型的には、アルカリ化剤の存在下及び酸化剤の存在下における、pH約10の過激な環境において起こる。更に、消費者は、所望の毛髪の色、色相、及び色の強度を維持するため、並びに新しい発毛の被覆を含む毛髪の連続的で均一な被覆を確実にするため、このプロセスを定期的に繰り返す。
【0003】
また、このような製品の製造者は、多数の制約内で作業することを求められる。これらの製品は、消費者の皮膚と直接接触するように配置されるため、染色プロセス中、偶発的に(例えば)目に入ったり、又は口に入ったりする可能性がある。そのため、製剤は厳格な安全基準を満たさなければならず、いかなるアレルギー反応も生じてはならない。また製品は、これらの必要条件を満たすことに加えて、視覚的及び嗅覚的にも消費者を満足させなければならない。特に、製品はまた、消費者の衣類、特に毛髪の流れに沿った皮膚又は他の物体を不用意に染色することなく、消費者によって容易に毛髪に適用することができ、所望の効果を提供できることを確実にするために、特定の物理的パラメータを満たす必要もある。
【0004】
製造業者はまた、毛髪染色の消費者に、広範囲の種々の色を提供するよう求められる。消費者には、単に毛髪の天然の色を際立たせることを望む者もいるが、他に白髪を覆うこと又は毛髪色を完全に変えて、異なる自然に見える毛髪色又は人工のものに見える毛髪色にすることを望む者もいる。従って、製造業者は、色や色相が異なる20種類以上の異なる製剤を提供して、一連の消費者の特定の要望に対応してよい。これらの配合物は、個々に処方することが必要であり、典型的には異なる染料化合物の混合物を含有する複雑な製剤である。結果として、このような製品範囲の製造は、費用がかかり、複雑になる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、商業的毛髪染色製品は長年の間利用されてきたという事実にもかかわらず、その製品はなお消費者に関連する多くの欠陥を示している。典型的には、永続的毛髪染料製品は、アルカリ、典型的にはアンモニア供給源を含有する。これが毛髪を膨潤させるという目的を果たして染料前駆体分子が毛髪内に入ることを可能し、酸化剤(典型的には過酸化水素)の明るくする効果も向上させる。しかし、アンモニアは揮発性でもあり、特に、このような毛髪染料製品を鼻部に近いところで使用する場合、それに伴う臭気はこのような製品の消費者にとって非常に不快であり、イライラさせられることも多い。それ故、消費者が要求する明るさの程度及び色を提供するが、感知可能なアンモニア臭を低減又は除去した酸化的毛髪染色組成物及び/又は酸化的脱色組成物を提供することが極めて望ましい。
【0006】
実際、現在の毛髪染色製品の別の問題は、必要とされる毛髪を明るくする効果を送達する毛髪染色製品の提供である。必要な程度の明るさの程度を送達することは、消費者が要求するあらゆる種類の色相(特に、ブロンドの色相及び白髪の被覆(grey coverage)を提供するために、特に重要である。このような製品は、製造業者に対して特定の困難を課す。それらは通常、要望される明るくする効果を送達するために、高濃度の酸化剤(典型的には過酸化水素)及び高濃度のアンモニアの使用を必要とするからである。しかし、酸化剤及び/又はアンモニアの存在は、いくつかの場合には、刺すような痛み、ヒリヒリするような痛み、掻痒又は焼けるような感覚として表現できるような、頭皮に対して中程度の皮膚感覚刺激を誘発することがある。それ故、要求された明るさ及び/又は色を、上述の頭皮の感覚刺激を生じさせずに提供する、酸化的毛髪染色組成物及び/又は脱色組成物を提供することも極めて望ましい。
【0007】
更に、消費者が皮膚、衣類又は浴室回りの表面上に液だれさせることなく容易に毛髪に適用できる製品を提供するために、毛髪染色製品は、組成物が一定の必要な粘度を有するように設計されている。これは、混合時に増粘するか、又は少なくとも1つのコンポーネント(染料組成物若しくは酸化組成物のいずれか)が増粘された製剤(混合時に、組成物全体を増粘する)として提供されるいわゆる薄−薄型液体製剤としての染料組成物及び酸化組成物を提供することによって実現する。この増粘された製剤は、クリーム状の外観、すすぎ落としやすさ及び改善された毛髪の感触のような更なる効果を与えることが多いが、染料組成物又は酸化組成物のいずれか、好ましくは両者に所望の粘度を提供するゲル網状系を使用することによって達成することができる。多数の界面活性剤を使用し、ゲル網状増粘組成物を処方することができる。しかし、これらの界面活性剤は、上述のような頭皮の感覚刺激の原因となることもある。それ故に、改善された色落ち及び明るさ、並びに改善された色の移動、吸収性及び耐久性を提供し、製造しやすく、所要の粘度をもたらし、安定な貯蔵寿命を有し、関連する頭皮への感覚刺激が最小限である、クリーム状の毛髪着色剤を消費者に提供することが更に望ましい。
【0008】
炭酸塩の使用によって、刺激性のアンモニア臭の量が減ることが当該技術分野の文献に記載されている。例えば、欧州特許第435012号には、必要とする染色時間が短く、毛髪への損傷がほどんどなく、染色後の刺激臭がない炭酸塩、においを発生しないアルカリ過酸化水素及び緩衝液を含む毛髪染色組成物について記載されている。同様に、欧州特許第1106166号は、アンモニア、炭酸塩(アンモニア塩以外)、遷移金属塩及びキレート剤を含み、刺激臭を発せず、皮膚への刺激が少なく、毛髪色を短時間でより明るい色調に変えることができる毛染組成物について記載されている。PCT国際公開特許WO01/28508には、緩衝剤、pH調整剤又は毛髪膨潤剤を必要とせずに、においと毛髪損傷を低減させ、脱色及び染色が改善された酸化剤及び炭酸アンモニウム又はカルバミン酸アンモニウムを含む毛髪染色製剤について記載されている。JP01206825には、アンモニア、アンモニウム塩及び炭酸塩を含む低刺激性毛髪染色組成物について記載されている。US2004/0083557には、良好な色落ち及び低臭気性を提供するための、酸化的毛髪染料前駆体、金属シアネート、アルカリ化剤及び酸化剤、好ましくは金属重炭酸塩を含む毛髪染色組成物について記載されている。DE19721797には、過酸化水素、水溶性直接染料又は酸化染料、並びに炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムから選択される少なくとも1つの基質を含む組成物を適用する工程を含む、毛髪を染色し、同時に明るい色調に変えるためのプロセスが記載されている。
【0009】
PCT国際公開特許WO04/014328には、過酸化物酸化剤、特定の酸化剤、及び塩を放出する少なくとも1つの水溶性炭酸塩を含み、より効果的に色を送達し、組成物の適用時間が2〜60分であるワンステップ毛髪染色組成物が記載されている。US2004/0098814には、毛髪を多数の連続した短い処理に付する毛髪の永続的な染色方法が記載されており、この処理は、シャンプー又はコンディショナー基材中の染料中間体、塩を放出する水溶性炭酸塩、及び水溶性アンモニウム塩を含む。またUS2004/0098816には、規定の時間間隔がある多数の処理を毛髪に施す、処理組成物がキレート剤と組み合わせた炭酸アンモニウムを含む、段階的永続的毛髪染色方法についても記載されている。
【0010】
しかし、過酸化水素及び炭酸塩を含む毛髪染色剤系の使用は、製造が更に困難であることが現在判明している。それ故に、製品の安定性又は製造のしやすさを低下させることなく、頭皮の感覚刺激は最小限の、高濃度の炭酸塩を組み込んだ、毛髪染色組成物を提供することが望ましい。
【0011】
意外にも、酸化剤、アルカリ化剤、及び本明細書中下記で定義する様な特定のゲル網状組織増粘系(好ましくはpH9.5以下で炭酸塩とともに利用する)を含む酸化的毛髪染色組成物が、適用時の頭皮の感覚刺激が最小限の安定した増粘クリーム系として処方可能であることが判明している。
【0012】
更に、この組成物は少ない臭いを示し、現在利用されているアンモニア/過酸化物系に匹敵する高い色落ち及び明るさを送達する一方で、過酸化物濃度を低減し、毛髪繊維損傷を低減する。更に、本発明の組成物は、現行の染料及び染料前駆体系に相溶性であり、結果的に改善されたブロンド色相の色落ち及び明るさをもたらし、染料の付着性及び着色性に優れ、白髪への適用範囲が改善されている一方、皮膚への刺激はマイルドである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、毛髪に適用する前に混合される2つのコンポーネント組成物(i)及び(ii)を含み、コンポーネント(i)が、
1.酸化剤の少なくとも1つの水溶性供給源と、
2.少なくとも1つのゲル網状増粘系と、少なくとも50w/w%の水と、を含み、少なくとも1つのゲル網状増粘系が、
(A)6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの非イオン性界面活性剤及び/又は両染性物質と、
(B)7以上のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と、を含み、界面活性剤の比率[b]/[a]が、0.10未満、好ましくは0.06未満であり、[a]は、w/w%であらわした(A)型の界面活性剤の合計濃度であり、[b]は、w/w%であらわした(B)型の界面活性剤の合計濃度であり、コンポーネント(ii)が少なくとも1つのアルカリ化剤を含む、毛髪染色組成物又は脱色組成物に関する。
【0014】
更なる実施形態では、本発明は、組成物を毛髪に適用する工程と、組成物を2〜60分間毛髪上に放置する工程と、次に組成物を毛髪からすすぎ落とす工程とを含む毛髪処理方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書は、本発明を詳しく指摘し明確に請求する特許請求の範囲でまとめられるが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。本明細書で使用するとき、処理される「毛髪」という用語は、「生体」、即ち、生物の体の上にあるか、あるいは「非生体」、即ち、かつら、ヘアピース、又は非生体性ケラチン性繊維のその他の集合体である。哺乳類、好ましくはヒトの毛髪が好ましい。しかしながら、羊毛、毛皮、及び他のケラチン含有繊維が、本発明による組成物に適した基質である。
【0016】
特に別段の記述のない限り、すべての百分率は、組成物全体の重量によるものである。処理時に1超過の組成物が用いられる場合、考慮すべき総重量は、特に指示がない限り、毛髪に同時に適用する全組成物の総重量(即ち「頭部に」ある重量)である。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。すべてのモル濃度は、総組成物の容量によるものであり、組成物1リットル中のコンポーネント(単数又は複数)のモル数、即ち「モル/L」として表現される。処理時に1超過の組成物が用いられる場合、考慮されるべき総容量は、特に指示がない限り、毛髪に同時に適用される総組成物の総容量(即ち「頭上に」ある容量)である。
【0017】
コンポーネント部分(i)/顕色剤
本発明は、毛髪に適用する前に混合する、2つのコンポーネント部分(i)及び(ii)による毛髪染色組成物及び/又は脱色組成物に関する。コンポーネント部分(i)(顕色剤とも呼ばれる)は、以下に定義されるように、酸化剤の少なくとも1つの供給源及び少なくとも1つのゲル網状増粘系を含む。
【0018】
酸化剤
本発明による組成物は、酸化剤の少なくとも1つの供給源を含むか、又はこれを含む組成物との組み合わせで使用される。本明細書に用いるのに好ましい酸化剤は、水溶性過酸素酸化剤である。本明細書で定義するとき、「水溶性」とは、標準状態で少なくとも0.1g、好ましくは1g、より好ましくは10gの酸化剤を、1リットルの脱イオン水に溶解できることを意味する。酸化剤は、初期可溶化及びメラニンの脱色(漂白)にとって有益であり、毛幹中での酸化染料前駆体の酸化(酸化的染色)を促進する。
【0019】
本発明では、当該技術分野において既知の任意の酸化剤を使用してもよい。好ましい水溶性酸化剤は、水溶液中に過酸化水素を生じさせることが可能な無機過酸素物質である。水溶性過酸素酸化剤は当該技術分野において周知であり、過酸化水素、無機アルカリ金属過酸化物、例えば過ヨウ素酸ナトリウム及び過酸化ナトリウム、並びに有機過酸化物、例えば過酸化尿素、過酸化メラミン、及び無機過水和物塩の脱色化合物、例えば過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、過硫酸塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらの無機過水和物塩は、一水和物、四水和物などとして組み込まれてもよい。アルキル及びアリール過酸化物、並びに/又はペルオキシダーゼも用いてもよい。所望に応じて、2つ以上のそのような酸化剤の混合物を用いることができる。本発明による組成物中に用いるのに好ましいのは過酸化水素である。
【0020】
本発明の組成物は、好ましくは、ペルオキシモノ炭酸イオンを含むか又は形成する。これらのイオン類は、典型的には、過酸化水素の供給源と炭酸イオンとの間の反応からその場で形成される。
【0021】
本発明によれば、コンポーネント部分(i)及び(ii)を混合した組成物は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約7重量%、最も好ましくは約2重量%〜約5重量%の酸化剤を含む。従って、コンポーネント部分(i)は、約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約1重量%〜約12重量%、より好ましくは約4重量%〜約9重量%の酸化剤を含む。
【0022】
ゲル網状組織増粘剤
本発明によれば、毛髪染色組成物及び脱色組成物のコンポーネント部分(i)(「顕色剤」)は、ゲル網状増粘系を含む。ゲル網状増粘系は、(A)6以下のHLBを有し、少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの非イオン性HLBの界面活性剤又は両染性物質と、(B)7以上のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と、少なくとも50%の水と、を含み、界面活性剤の比率[b]/[a]が、0.10未満、好ましくは0.06未満であり、[a]は、w/w%であらわした(A)型の界面活性剤の合計濃度であり、[b]は、w/w%であらわした(B)型の界面活性剤の合計濃度である増粘系であると定義される。
【0023】
本発明で使用される界面活性剤のHLB(親水性−親油性バランス)は、グリフィン(Griffin)が出版物、化粧品化学会誌(J.Soc.Cosm.Chem.)(第5巻、1954年、249頁)(その開示は本発明において参考として組み込まれる)で定義した標準的なHLBである。本発明で使用される界面活性剤の融点は、米国薬局方(US Pharmacopeia)、USP−NFジェネラルチャプター<741>「融点範囲又は融点(Melting range or temperature)」に記載されている標準融点法によって測定できる。
【0024】
当業者は、ゲル網状組織増粘系が通常、網状ラメラ2層及び/又は小胞及び結晶相の複雑な構造を有していることを理解するであろう。これらの系は通常、クリーム状の外観及び手触りを有し、従って特に望ましい。理論によって束縛されないが、ゲル網状増粘系は、ゲル網状系の層内の空隙に結合可能な水溶性酸化剤を含む組成物の種々の親水性コンポーネント及び疎水性コンポーネントに結合可能であるか又は封入可能であると考えられる。このような結合した物質は、皮膚に及び/又は皮膚を通して優先的に運ばれ、酸化剤の場合には、頭皮の感覚的な刺激を増大させてしまうことがある。驚くべきことに、必要な特定の比率のゲル網状を形成する界面活性剤が膨潤し、頭皮の感覚刺激が非常に低い増粘効率を達成することができることが今では判明している。
【0025】
理論によって束縛されないが、本発明に記載されるゲル網状増粘系を形成する特定の比率の界面活性剤は、顕著な粘度上昇を提供しつつ、膨潤した相と、水溶性酸化剤の顕著な封入を防ぐ結晶層との特定の相比を有すると考えられる。更に、この系は、イオン強度が高い系(例えば、炭酸塩を使用する系)と非常に相溶性であり、混合すると、この系での頭皮への感覚刺激は低いまま、顕著な粘度上昇を生じる。
【0026】
本発明によれば、低HLBの非イオン性界面活性剤又は両染性物質(A)は、6以下のHLBを有し、少なくとも30℃の融点を有する。このような界面活性剤の代表的な実施例としては、固形脂肪族アルコール、固形オキシエチレン化脂肪族アルコール、固形グリコールエステル、固形オキシエチレンアルキルフェノール、固形ソルビタンエステル、固形糖エステル、固形メチルグルコシドエステル、固形ポリグリセリンエステル、固形アルキルグリセリルエーテル、固形プロピレングリコール脂肪酸エステル、コレステロール、及びセラミドといった化合物(上記の例において、「固形」とは、30℃未満の温度での物質の状態を意味する)が挙げられる。
【0027】
好ましくは、低HLB界面活性剤類(A)は、約14〜30個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖脂肪族アルコール類、約16〜30個の炭素原子及び約2単位以下のエチレンオキシドを含むオキシエチレン化脂肪族アルコール類、約16〜30個の炭素原子を含む脂肪酸類のグリセロールモノエステル類、並びにこれらの混合物から選択される。最も好ましくは、低HLB界面活性剤類は、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール又はベヘニルアルコール、ステアレス−2、グリセロールモノステアレート、並びにこれらの混合物である。
【0028】
ゲル網状増粘系の界面活性剤(B)は、7以上のHLBを有する非イオン性界面活性剤である。ゲル網状増粘系で界面活性剤(B)として使用するのに適した非イオン性界面活性剤は、7以上のHLBを有し、好ましくは1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤である。
【0029】
1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤(B)の代表例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、これらのモノエタノールアミン(momoethanolamine)及びジエタノールアミンの誘導体、ポリエトキシル化脂肪酸アミンといった化合物、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む好ましい非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンエーテル類、好ましくは少なくとも約10個、好ましくは約20〜200個のエチレンオキシド単位を有するもの(例えば、ステアレス−21、セテアレス−25、及びステアレス−100)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、好ましくは少なくとも約10個、好ましくは約20〜200個のエチレンオキシド単位を有するもの、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
非イオン性界面活性剤(B)としての使用に適するのは、7以上のHLBを有し、ポリエチレンオキシド鎖を含まない非イオン性界面活性剤である。ポリエチレンオキシド鎖を含まない非イオン性界面活性剤の代表的実施例としては、ポリグリセロール化脂肪酸類、ポリグリセロール化脂肪族アミド類、ポリグリセロール化アルキルフェノール類、ポリグリセロール化α−ジオール類、ポリグリセロール化アルコール類、アルキルポリグルコシド類、糖エステル類、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンオキシド鎖を含まない非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグルコシド類、糖エステル類、ポリグリセリル脂肪酸エステル類、アルキルポリグリセリルエーテル類及びこれらの混合物から選択される。
【0032】
本発明によれば、重量%であらわした(B)型の界面活性剤の合計濃度と、重量%であらわした(A)型の界面活性剤の合計濃度との界面活性剤比率[b]/[a]は、0.10未満、好ましくは0.08未満、更に好ましくは0.06未満である。
【0033】
本発明の特に好ましいゲル網状増粘系としては、約16〜30個の炭素原子を含む脂肪族アルコール類又は約16〜30個の炭素原子及び約2個以下のエチレンオキシド単位を含むオキシエチレン化脂肪族アルコール類、並びに少なくとも約10個、好ましくは約20〜約100個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル類の組み合わせが挙げられる。
【0034】
2個以上の、上に特定した種類の界面活性剤又は界面活性剤の任意の組み合わせは、本発明のゲル網状増粘系で使用することができる。本発明の組成物は、総量で約0.5%〜約30%、好ましくは約1%〜約15%、より好ましくは約2%〜約10%の、ゲル網状組織を形成する界面活性剤類を含んでよい。
【0035】
コンポーネント部分(ii)
本発明によれば、本発明の組成物は、少なくとも1つのアルカリ化剤を含むコンポーネント部分(ii)を含む。
【0036】
アルカリ化剤
本発明によると、組成物の部分(ii)は、少なくとも1つのアルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオン及び/又はアンモニアの供給源を含む。特に、好ましいアルカリ化剤は、アンモニウムイオンの供給源を提供するものである。いずれのアンモニウムイオン供給源も本発明で用いるのに適している。好ましい供給源としては、水酸化アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、過炭酸塩、アンモニア及びこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、アンモニア、及びこれらの混合物である。本発明の組成物は、約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%、最も好ましくは約1重量%〜約3重量%のアルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオンを含んでもよい。
【0037】
本発明によれば、アルカリ化剤は、好ましくは、炭酸イオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン、ペルオキシモノ炭酸イオン、又はこれらの混合物の供給源を、好ましくは少なくとも約0.1モル/L、好ましくは少なくとも0.25モル/L含む。この量は、例えば少なくとも約0.97%(容積百分率)の炭酸アンモニウム(分子量は、96.09g/モルに相当する)を本発明の組成物に追加することにより、又は例えば約0.5%(容積百分率)の炭酸アンモニウム及び少なくとも約0.5%(容積百分率)の炭酸水素カリウム(分子量は、100.12g/モルに相当する)を追加することによって達成することができる。本発明の組成物は、上述のイオンの供給源を、好ましくは約0.4モル/L〜約2.0モル/L、より好ましくは約0.5モル/L〜約1.5モル/L含む。
【0038】
これらのイオンのあらゆる供給源を利用してもよい。本発明で用いるのに適切な供給源としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、炭酸イオン、カルバメートイオン、及び炭酸水素イオンのアンモニウム塩、並びにこれらの混合物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。炭酸イオン類の供給源と酸化剤の双方をもたらすために、過炭酸塩類もまた使用されてよい。炭酸イオン、カルバメートイオン、及び炭酸水素イオンの好ましい供給源は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、カルバミン酸アンモニウム、及びこれらの混合物である。
【0039】
本発明の特に好ましい実施形態では、アンモニウムイオン供給源及び炭酸イオン供給源は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、又はこれらの混合物の単一供給源によって提供される。好ましくは、存在する場合は、アンモニウムイオン及び炭酸イオンは、組成物中に3:1〜1:10、好ましくは2:1〜1:5の重量比で存在する。
【0040】
好ましくは、本発明の組成物は、pH約11.0〜約7.5、より好ましくはpH約9.5〜約8.4、最も好ましくはpH約9.4〜約8.5、更に好ましくはpH約9.0を有する。
【0041】
追加のコンポーネント
本発明の組成物は、追加成分を更に含んでもよく、追加成分としては、限定されないが、毛髪染色剤、例えば、酸化染料前駆体等、非酸化的な前もって形成された染料、追加の増粘剤及び/又はレオロジー調整剤、溶剤、酵素、追加の界面活性剤、コンディショニング剤、担体類、酸化防止剤、安定剤、キレート剤、パーマ用活性物質、香料、還元剤(チオ乳酸)、毛髪膨潤剤類及び/又はポリマー類が挙げられる。これらの追加コンポーネントの一部について、後で詳細に述べる。これらの追加コンポーネントは、コンポーネント部分(i)及び/又はコンポーネント部分(ii)中に存在してもよい。
【0042】
ラジカルスカベンジャー
本発明によると、組成物はラジカルスカベンジャー供給源を含んでもよい。本明細書で使用するとき、「ラジカルスカベンジャー」という用語は、反応性ラジカル、好ましくは炭酸ラジカルと反応して、ラジカル種を一連の高速反応によって、より反応性の低い種に変換させることのできる種を指す。ラジカルスカベンジャーはまた、好ましくは、アルカリ化剤と同じ種ではないように選択され、染色/脱色プロセスの間の毛髪に対するダメージを軽減するのに十分な量で存在する。本発明の組成物は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約7重量%のラジカルスカベンジャーを含む。
【0043】
好ましいラジカルスカベンジャーは、アルカノールアミン、アミノ糖、アミノ酸、アミノ酸のエステル及びこれらの混合物の部から選択される。特に好ましい化合物は、モノエタノールアミン(momethanolamine)、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−2−ペンタノール、1−アミノ−3−ペンタノール、1−アミノ−4−ペンタノール、3−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、3−アミノプロパン−1−2−ジオール、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グリシン、アルギニン、リジン、プロリン(praline)、グルタミン、ヒスチジン、サルコシン、セリン、グルタミン酸、トリプトファン、これらの混合物、並びにカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩のようなそれらの塩、更にはこれらの混合物である。特に好ましい化合物は、グリシン、サルコシン、リジン(tysine)、セリン、2−メトキシエチルアミン、グルコサミン、グルタミン酸、モルホリン、ピペリジン、エチルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、及びこれらの混合物である。
【0044】
毛髪染料
本発明の毛髪染色組成物は、好ましくは、酸化的染色組成物を含む毛髪染色組成物である。こうした組成物は、毛髪に多様な毛髪の色を送達する酸化的毛髪染料前駆体(一次中間体としても知られている)を含む。これらの小さい分子は酸化剤により活性化され、更なる分子と反応してより大きい染色錯体を毛幹中に形成する。
【0045】
前駆体は、単独で又は他の前駆体と組み合わせて用いることができ、1つ以上の前駆体を1つ以上のカップラーと組み合わせて用いることもできる。カップラー(色変性剤又は二次中間体としても知られている)は、一般に、活性化させた前駆体の存在下で色を形成できる無色の分子であり、特定の色の効果を生成するため又は色を安定化するために、他の前駆体又はカップラーとともに用いられる。前駆体及びカップラーの選択は、所望される染色の色、色合い、及び強度によって決められる。前駆体及びカップラーを、本明細書において、単一で又は組み合わせにより用いて、灰色がかったブロンド色から黒までの範囲の多様な色相を有する染料を提供することができる。
【0046】
これらの化合物は、当該技術分野において周知であり、芳香族ジアミン、アミノフェノール、芳香族ジオール、及びこれらの誘導体が挙げられる(酸化染料前駆体の代表的ではあるが非包括的なリストは、「化粧品の科学及び技術(Cosmetic Science and Technology)」(サガリン(Sagarin)著、インターサイエンス(Interscience)、特別版、第2巻、308〜310頁)に見ることができる)。以下に述べる前駆体は、例示のためだけのものであり、本発明における組成物及びプロセスを限定する目的でないことを理解すべきである。これらは、
1,7−ジヒドロキシナフタレン(1,7−ナフタレンジオール)、1,3−ジアミノベンゼン(m−フェニレンジアミン)、1−メチル−2,5−ジアミノベンゼン(トルエン−2,5−ジアミン)、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,3−ジヒドロキシ−4−クロロベンゼン、(4−クロロレゾルシノール)、1−ヒドロキシ−2−アミノベンゼン、(o−アミノフェノール)、1−ヒドロキシ−3−アミノベンゼン(m−アミノフェノール)、1−ヒドロキシ−4−アミノ−ベンゼン(p−アミノフェノール)、1−ヒドロキシナフタレン(1−ナフトール)、1,5−ジヒドロキシナフタレン(1,5−ナフタレンジオール)、2,7−ジヒドロキシナフタレン(2,7−ナフタレンジオール)、1−ヒドロキシ−2,4−ジアミノベンゼン(4−ジアミノフェノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)、1−ヒドロキシ−4−メチルアミノベンゼン(p−メチルアミノフェノール)、6−ヒドロキシベンゾ−モルホリン(ヒドロキシベンゾモルホリン)、1−メチル−2−ヒドロキシ−4−アミノベンゼン(4−アミノ−2−ヒドロキシ−トルエン)、3,4−ジアミノ安息香酸(3,4−ジアミノ安息香酸)、1−メチル−2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン(2−メチル−5−ヒドロキシ−エチルアミノ−フェノール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(1,2,4−トリヒドロキシベンゼン)、1−フェノール−3−メチルピラゾール−5−オン(フェニルメチルピラゾロン)、1−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン(2,4−ジアミノフェノキシ−エタノールHCL)、1−ヒドロキシ−3−アミノ−2,4−ジクロロベンゼン(3−アミノ−2,4−ジクロロ−フェノール)、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン(2−メチルレゾルシノール)、1−アミノ−4−ビス−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン(N,N−ビス(2−ヒドロキシ−エチル)−p−フェニレン−ジアミン)、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン(HCレッド16)、1−ヒドロキシ−3−メチル−4−アミノベンゼン(4−アミノ−m−クレゾール)、1−ヒドロキシ−2−アミノ−5−メチルベンゼン(6−アミノ−m−クレゾール)、1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン(1,3−ビス−(2,4−ジアミノ−フェノキシ)−プロパン)、1−(2’−ヒドロキシエチル)−2,5−ジアミノベンゼン(ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミンスルフェート)、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2’−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン、(2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール)1−ヒドロキシ−2−メチル−5−アミノ−6−クロロベンゼン(5−アミノ−6−クロロ−o−クレゾール)、1−ヒドロキシ−2−アミノ−6−メチルベンゼン(6−アミノ−o−クレゾール)、1−(2’−ヒドロキシエチル)−アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン(ヒドロキシエチル−3,4−メチレンジオキシ−アニリンHCL)、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン(2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン)、3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン(2,6−ジメトキシ−3,5−ピリジンジアミン)、5,6−ジヒドロキシインドール(ジヒドロキシ−インドール)、4−アミノ−2−アミノメチルフェノール(2−アミノエチル−p−アミノ−フェノールHCL)、2,4−ジアミノ−5−メチルフェネトール(2,4−ジアミノ−5−メチル−フェネトールHCL)、2,4−ジアミノ−5−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)トルエン(2,4−ジアミノ−5−メチルフェノキシエタノールHCL)、5−アミノ−4−クロロ−2−メチルフェノール(5−アミノ−4−クロロ−o−クレゾール)、4−アミノ−1−ヒドロキシ−2−(2’−ヒドロキシエチルアミノメチル)ベンゼンヒドロキエチルアミノメチル−p−アミノフェノールHCL)、4−アミノ−1−ヒドロキシ−2−メトキシメチルベンゼン(2−メトキシメチル−p−アミノフェノールHCL)、1,3−ビス(N(2−ヒドロキシエチル)N(4−アミノ−フェニル)アミノ)−2−プロパノール(ヒドロキシプロピル−ビス−(N−ヒドロキシ−エチル−p−フェニレンジアミン)HCL)、6−ヒドロキシインドール(6-Hydorxyindole)(6−ヒドロキシ−インドール)2,3−インドリンジオン(イサチン)、3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン(HC BLUE No.7)、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン−2,4−ジヒドロ−5,2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン(2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン)、5−アミノ−サリチル酸、1−メチル−2,6−ビス(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)ベンゼン(2,6−ヒドロキシエチルアミノ−トルエン)、4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン(2,5,6−トリアミノ−4−ピリミジノールスルフェート)、2,2’−[1,2−エタンジイル−ビス−(オキシ−2,1−エタンジイルオキシ)]−ビス−ベンゼン−1,4−ジアミン(PEG−3,2’,2’−ジ−p−フェニレンジアミン)、5,6−ジヒドロキシインドリン(ジヒドロキシインドリン)、N,N−ジメチル−3−ウレイドアニリン(m−ジメチル−アミノ−フェニルウレア)、2,4−ジアミノ−5−フルオロトルエンスルフェート水和物(4−フルオロ−6−メチル−m−フェニレンジアミンスルフェート)、及び1−アセトキシ−2−メチルナフタレン(1−ヒドロキシエチル(HYDROXYYETHYL)−4,5−ジアミノピラゾールスルフェートである。これらは、分子形態又は過酸化物適合性塩の形態で使用することができる。
【0047】
本発明の毛髪染色組成物としては、非酸化的毛髪染料、即ち、単独で又は上述した酸化染料と組み合わせて使用してもよい直接染料も挙げられる。本発明の毛髪染色組成物はまた、非酸化的毛髪染料を含んでもよい。即ち、直接染料は単独で又は上述した酸化染料と組み合わせて使用されてもよい。適した直接染料としては、アゾ若しくはアントラキノン染料及びベンゼン系のニトロ誘導体及び又はメラニン前駆体、並びにこれらの混合物が挙げられる。このような直接染料は、色合いの改質又はハイライトを送達するのに特に有用である。特に好ましいものは、塩基性赤色51、塩基性橙色31、塩基性黄色87、及びこれらの混合物である。
【0048】
本発明の毛髪染料組成物は、一般的に、約0.001%〜約10%の染料を含む。例えば、低強度の染色、例えば自然なブロンドから薄茶色の毛髪の色合いを提供する組成物は、一般に染色組成物の約0.001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約2重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約1重量%の前駆体及びカップラーを含む。より暗い色合い、例えば茶色及び黒は、典型的には、0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05重量%〜約7重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%の前駆体及びカップラーを含む。
【0049】
界面活性剤
本発明による組成物は更に、少なくとも約0.01%のゲル網状組織増粘系内にて利用される追加の界面活性剤を1つ以上含んでもよい。本明細書に用いるのに適した界面活性剤は、一般に、約8〜約30個の炭素原子の親油性の鎖長を有し、アニオン性、非イオン性、両性及びカチオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物から選択されることができる。
【0050】
本発明の1つの好ましい実施形態では、本組成物のコンポーネント部分(ii)はまた、本組成物のコンポーネント部分(i)に含まれるゲル網状系と同じであっても異なっていてもよいゲル網状増粘系を含んでもよい。本発明で使用するのに好ましいゲル網状増粘系は、6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質と、
(a)式RnXmYMによるアニオン性界面活性剤(式中、Rは独立して8〜30個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、又はアルキルアリール基から選択され、Xは、独立して、少なくとも1つの炭素原子及び少なくとも1つの酸素原子又は窒素原子を含む極性基から選択され、Yは、カルボキシレート類、サルフェート類、スルホネート類、又はホスフェート類から選択されるアニオン基であり、n及びmは、独立して1又は2であり、Mは、水素又はカチオンを形成する塩である)、及びこれらの混合物、
(b)7以上のHLBを有し、かつ1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含み、それぞれのポリエチレンオキシド鎖が平均して少なくとも50個のエチレンオキシド単位を有する非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物、
(c)7以上のHLBを有し、ポリエチレンオキシド鎖を含まない非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物、
(d)少なくとも20個の炭素原子を含む脂肪鎖を少なくとも1つ有する、4級アンモニウム塩類又はアミドアミン類から選択されるカチオン性界面活性剤、及びこれらの混合物、から選択される少なくとも1つの界面活性剤と、を含む。
【0051】
コンポーネント部分(ii)で使用するのに特に好ましいゲル網状系は、14〜50個の炭素原子を有する脂肪族アルコール類、及び1〜20個のエチレンオキシド単位を有するアルキルエーテルホスフェート類、及びこれらの混合物である。
【0052】
ポリマー
本発明の組成物は、任意に、少なくとも約0.01%のポリマーを更に含んでもよい。ポリマーは、例えば会合性ポリマー、架橋アクリル酸ホモポリマー、(メタ)クリル酸及び(C1〜C6)アルキルアクリレートの架橋コポリマー、多糖類、又はこれらの混合物から選択されることができる。ポリマーはまた、後述するように、コンディショニング剤として役立つ場合もある。ポリマーは、一般に組成物の約0.01重量%〜約20.0重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の濃度で用いられる。
【0053】
コンディショニング剤
本発明の組成物は、コンディショニング剤を含むか、又はこれを含む組成物との組み合わせにおいて用いられてもよい。本明細書で用いるのに好適なコンディショニング剤は、シリコーン物質、アミノシリコーン、脂肪族アルコール、ポリマー樹脂、ポリオールカルボン酸エステル、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、不溶性の油、油に由来する物質、並びにこれらの混合物から選択される。追加の物質としては、鉱油及びその他の油、例えばグリセリン及びソルビトールが挙げられる。
【0054】
コンディショニング剤は、一般に組成物の約0.05重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約10重量%、更により好ましくは約0.2重量%〜約2重量の濃度で用いられる。
【0055】
特に有用なコンディショニング物質は、カチオン性ポリマー及びシリコーンである。カチオン性ポリマー型のコンディショナーは、化粧品組成物で処理されるケラチン繊維の化粧品特性の少なくとも1つを改善するものとして、当業者に既知のものから選択されてもよい。カチオン性ポリマーは、ポリマー主鎖の一部を形成するか又はポリマー主鎖に直接結合する側鎖置換基によって生じる場合のある1級、2級、3級及び4級アミン基から選択される少なくとも1つのアミン基の単位を含むものから選択することができる。
【0056】
シリコーンは、ポリアルキルシロキサン油、トリメチルシリル又はヒドロキシジメチルシロキサン末端基を含有する直鎖ポリジメチルシロキサン(polydiemthylsiloxane)油、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルフェニルシロキサン又はポリジメチルジフェニルシロキサン油、シリコーン樹脂、その一般的構造中に、1つ又は多数の有機官能基(類)(同一又は異なり、シロキサン鎖に直接結合している)を有する有機官能シロキサンから選択されることができる。前記有機官能基(類)は、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基、(ペル)フルオロ基、チオール基、置換又は非置換のアミノ基、カルボキシレート基、ヒドロキシル化された基、アルコキシル化された基、クオタニウムアンモニウム基、両性基及びベタイン(betain)基から選択される。シリコーンは、ニート流体又は予め形成されたエマルションの形態のどちらか一方にて使用することができる。
【0057】
本発明の特定の更に好ましい実施形態では、脱色組成物及び染色組成物のコンポーネント部分(i)は、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含む。
【0058】
キレート剤
本発明によると、組成物はキレート剤を含んでもよい。キレート剤は、当該技術分野において周知であり、各々が金属イオンとキレートを形成できる分子又は異なる分子の混合物を指す。
【0059】
本明細書において用いるのに適したキレート剤の例としては、EDDS(エチレンジアミン二コハク酸)、カルボン酸(特に、アミノカルボン酸)、ホスホン酸(特に、アミノホスホン酸)及びポリリン酸(特に、直鎖ポリリン酸)、これらの塩及び誘導体、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0060】
キレート剤は、本発明の組成物中に安定剤及び/又は防腐剤として組み込まれてもよい。加えて、キレート剤は、毛髪繊維の損傷について効果を提供し、従って本発明の毛髪損傷の様相を更に改善するために使用されてもよいことがまた判明している。本発明のキレート剤の濃度は、ジアミン−N,N’−ジポリ酸及びモノアミンモノアミド−N,N’−ジポリ酸キレート剤(例えばEDDS)のような最も有効なキレート剤を例として、約0.1%、好ましくは少なくとも約0.25%、より好ましくは約0.5%の低さであってもよい。有効性が低いキレート剤は、キレート剤の有効性によって、より好ましくは、組成物の少なくとも約1重量%、更により好ましくは約2重量%を超える濃度で用いられる。
【0061】
溶媒
本発明の組成物にて使用するのに適した溶剤としては、水、ブトキシジグリコール、プロピレングリコール、アルコール(変性)、エトキシジグリコール、イソプロピルアルコール、ヘキシレングリコール、ベンジルアルコール、及びジプロピレングリコール、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。最後に、本発明による組成物は、従って、典型的には水性組成物として提供される。本発明の組成物は、典型的には少なくとも約10重量%、好ましくは約20重量%、より好ましくは約30重量%、最も好ましくは約50重量%の溶媒を含む。
【0062】
使用方法
本明細書に記載される使用方法の実施例及び実施形態は、単に例示することが目的であり、本発明の範囲から逸脱することなくそれらの種々の修正又は変更が当業者に提示されることは理解される。
【0063】
酸化的毛髪染料組成物は、通常は、別個の容器のように個別包装されたコンポーネントに、酸化染料、前駆体を含む染料コンポーネント(エマルションの場合には「染料クリーム」とも呼ばれ、溶液の場合には「染料液」とも呼ばれる)と、典型的にはアンモニアであるアルカリ化剤とを適切な担体中に含み(本明細書ではコンポーネントiiと呼ばれる)、酸化剤(通常は過酸化水素)を含み、本明細書では、更にゲル網状系を含むコンポーネント部分(i)と呼ばれる過酸化水素コンポーネント(エマルションの場合には「過酸化水素クリーム」とも呼ばれ、溶液又は顕色剤の場合には「過酸化水素液」とも呼ばれる)を含むキットで販売されている。消費者は、染料コンポーネント及び過酸化水素コンポーネントを、使用直前に合わせて混合し、それを毛髪上へ塗布する。
【0064】
同様に、脱色組成物もまた、通常は、典型的に2個又は3個の別個の容器の中に個別包装された2つ又は3つのコンポーネントを含むキットとして販売される。第1の容器は、アルカリ化剤の供給源(例えば、アンモニア、本明細書ではコンポーネントiiと呼ばれる)を含み、第2の容器は、第1の酸化剤を含み、第3の(任意の)コンポーネントは、第2の酸化剤を含む。脱色組成物は、上記の組成物を使用直前に混合することにより得られる。ゲル網状系は、第1又は第2の酸化剤で構成されてもよい。
【0065】
(確実にすべての毛髪に均等に適用するために)数分間混合物を作用させた後、染色又は脱色が起こるのに十分な量で酸化染料又は脱色組成物を毛髪上に保持させる(通常、約2〜60分、典型的には約30〜45分)。次に、消費者は、自分の毛髪を水で完全にすすいで、乾燥させる。毛髪が元の色から所望の色に変化したことが確認できる。
【0066】
任意のコンディショニング剤は、酸化染料組成物及び脱色組成物中に存在するとき、第3の容器内に提供されることができる。後者の場合、すべての3つの組成物は、使用直前に混合され、ともに適用されることができるか、又は第3の容器中の内容物は、他の容器の混合の結果として得られる酸化染料組成物又は脱色組成物の直後に後処置として、(任意のすすぎ工程の後に)適用されることができる。あるいは、第3の容器は、酸化的染色又は脱色の前に、任意の洗浄工程での前処理として適用することができる。
【0067】
本発明の別の実施形態では、酸化的染色組成物又は脱色組成物は、任意の第4コンポーネントとして、カラーリフレッシャー(colour referesher)組成物を含んでもよい。そのようなカラーリフレッシャー組成物は、前もって形成された染料を少なくとも1つ含み、酸化着色直後、即ち、酸化毛髪染料又は脱色剤の適用後約1分〜適用後60日に毛髪に適用されてよい。これらのカラーリフレッシャー組成物は、次に酸化着色又は脱色するときまで、得られた初期の色を高めるため及び/又は洗浄及び整髪周期の間に色を増強するために使用することができる。
【0068】
本発明によれば、コンポーネント部分(i)及び(ii)は、独立して互いに、いわゆる薄い液体又はクリームであってもよい。典型的に、このような薄い液体は、1Pa.s(1000cPs)未満の粘度を有する。本発明の好ましい実施形態では、本組成物のコンポーネント部分(ii)は濃いクリームである。コンポーネント部分(i)及び(ii)を混合した後に、得られた毛髪染色組成物又は脱色組成物は、本発明によれば、好ましくは1Pa.s(1000cPs)〜60Pa.s(60000cPs)、より好ましくは2Pa.s(2000cPs)〜30Pa.s(30000cPs)、最も好ましくは3Pa.s(3000cPs)〜25Pa.s(25000cPs)の粘度を有する。粘度は、円錐及びプレートを装備したブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して測定する。0〜12Pa.s(0〜12000cPs)の範囲内の粘度においては、S42プレート付きのブルックフィールドDV−11粘度計を使用する。組成物の試料2mLは、26.7℃で3分間平衡に保ってから、1rpm単位で値が読み取られる。12〜60Pa.s(12,000〜60,000cPs)の範囲内の粘度においては、S52プレート付きのブルックフィールドDV−1粘度計を使用する。組成物の試料0.5mLを、26.7℃で1分間平衡に保ってから、1rpm単位で値が読み取られる。
【0069】
本発明は、毛髪の染色又は脱色方法に、本組成物を毛髪に適用する時間の少なくとも約50%の時間、本組成物を適用する工程が含まれる実施形態も含む。
【0070】
本発明によれば、毛髪を染色又は脱色する方法はまた、組成物を毛髪に適用し、好ましくは混合物を2〜3分間作用させる(毛髪全体に満遍なく適用するため)実施形態も含む。次に、色を発現させるために、約20分未満、好ましくは約15分未満、より好ましくは約5分〜約10分、最も好ましくは約10分の時間、組成物を毛髪上に残留させる。次に、消費者は、自分の毛髪を水で完全にすすぎ、通常通り毛髪を乾燥及び/又は整髪する。そのような方法は、より速い染色又は脱色プロセスを可能にすることで、消費者に更なる利便性を提供する。
【0071】
本発明の代替的実施形態によれば、毛髪の染色及び/又は脱色方法は、酸化的毛髪染色又は酸化的毛髪脱色を順次行う方法であり、少なくとも2つの酸化的毛髪染色又は酸化的毛髪脱色処理を順次行い、各処理間の時間が1〜60日、好ましくは1〜40日、より好ましくは1〜28日、更により好ましくは1〜14日、最も好ましくは1〜7日である工程を含む。そのような実施形態においては、頭上に組成物を保持する時間は約20分未満でもよく、好ましくは約10分未満、最も好ましくは約2分〜約5分である。この方法により、消費者は、従来の毛髪洗浄又はコンディショニングプロセスに類似した方法で、染色又は脱色プロセスを実施することができる。
【0072】
以上に記載されているキットは、当該技術分野において周知であり、各容器内の組成物は、標準的手法のいずれか1つを使用して製造でき、これらには、a)「水中油型」プロセス、b)「転相」プロセス、及びc)「ワンポット(One-pot)」プロセスが挙げられる。例えば、「水中油型」プロセスを用いる場合、本発明の界面活性剤を、約90℃で、本組成物の合計水量の約50%に加え、15〜30分間均質化し、室温まで冷却してゲル網状増粘剤プレミックスを形成し、このプレミックスを残りの水、他の任意コンポーネント、酸化剤及びアルカリ化剤と冷たい状態で混合し、上述の脱色又は染色キットの第1又は第2の部分を作成する。
【0073】
本発明は、各種の包装及び分配デバイスで実施されてもよい。これら分配デバイスは、独立して又は互いに組み合わせて使用してもよい別個のデバイスの形態で実現することができる。典型的には、毛髪染色組成物又は脱色組成物は、使用前に互いに別個に貯蔵することができるように、別々の単一又は複数の区画の容器の中に収容される。組成物は、次に、混合手段によって一緒に混合され、次に適用手段によって消費者の毛髪に適用される。
【0074】
本発明で使用することが可能である最も一般的なパッケージング用デバイスは、顕色剤を、ボトル、チューブ、エアゾール、又は袋のような容器内に保存すること、並びに、染料ローションを顕色剤容器内の追加の区画内に、又は同一であってもよい別個の容器(例えば、2つの部分からなる小袋又はエアゾールシステム)若しくはボトル及びチューブシステムのような異なる別個の容器内に個別に保存することを含む。
【0075】
消費者は、顕色剤ローション及び染料ローションを任意の手段で混合してよい。これには、単純に混合用ボウルを使用して、その中へローションを分配し、好ましくは器具などの混合手段を用いて混合することが含まれる。あるいは、他のローションの容器内へローションの1つを追加して(典型的には、染料ローションが顕色剤ローションへ追加される)、次に手で振って混合するか、又は器具を使って混合してもよい。別のシステムは、単独の容器又は袋内の染料及び顕色剤ローションの分離隔室間にあるシールの穿孔又は変位と、続いて容器内又は別個及び/又は追加の容器内にて手動で混合することも含む。
【0076】
このようなデバイスの一例は、いわゆる「ツイストアンドゴー(twist and go)」デバイスである。これらのデバイスによって、消費者は、染料を含む容器の底をひねって、連結部分を開き、染料を含むボトルの底と顕色剤を含むボトルの最上部を接触させることができる。2つのコンポーネントは混合され、消費者は分配用のボトルの可撓性最上部を絞って、製品を分配する。
【0077】
あるいは、ローションが分配の動きによって混合される、より複雑なデバイスを利用してもよい。このような複雑なシステムの例は、2つの部分からなるエアゾールシステム、例えば、缶入りの袋(bag−in−can)又はピストンである。染料及び顕色剤は、1個のデバイスの中にある2個のエアゾール缶に別々に保管され、噴射剤を使って缶又は缶の中のバッグ又はピストン内の内容物に圧力を加え、バルブが分配をコントロールする。消費者がバルブを動かすと、染料及び顕色剤が同時に缶から分配され、製品を毛髪上に分配する直前に静的ミキサーによってともに混合される。染料対顕色剤の比は、製品の粘度、缶圧力、又はバルブを通る流路寸法の変更によって操作できる。更に、製品を泡立て、ムース状で送達することができる。
【0078】
このような複雑なシステムの別の実施例は、デュアルピストンスクリューシステムを利用する。染料及び顕色剤は、システム内の別個のピストンシリンダーシステムに保持され、消費者がボタンを作動させると、2個のスクリューが回転し、内部のデュアルピストンがシリンダー内の液体に圧力を加え、従って製品が混合ステーションに移動させられて、分配用ノズルから出される。染料対顕色剤の比は、包装容器の円筒直径によって操作できる。更に、混合を手助けするため、直列型静的ミキサーを使用することができ、そのようなシステムは完全に使い捨て又は完全に詰め替え可能であり得る。
【0079】
更に別のシステムは、1つ以上の手動ポンプを利用する。製品を、折り畳み可能な袋の中で予め混合してもよい。消費者がポンプを作動させると、ポンプ内の液体が分配される。手動で作動させたポンプが直立位置に戻ると、それは製品を折り畳み可能な袋から押し出す。あるいは、染料及び顕色剤ローションを毛髪に送達するために2個の袋及び2個のポンプを使用するデュアルシステムを取り付けることができる。あるいは、2個の袋に接続された単一ポンプを、ポンプ内に混合箇所を組み込むことによって、製品を送達することができる。他の実施例は、製品をポンプシステムに接続するために、剛性ボトル及びディップチューブを使用する。最終的に、ボトル内層をボトル外層から分離してボトル内容物を空にすることができる、層状に剥離するボトルを手動ポンプと組み合わせて使用することができる。
【0080】
典型的には、これらの複雑なシステムは、製品の配置とは独立に、製品を適用できるという利点がある。
【0081】
本明細書中にて上述したデバイスは、毛髪上への製品適用を手助けするための、製品送達及び/又は適用用具と組み合わせて使用することもできる。また、これらのデバイスは、容器又は櫛やブラシのような別個のアプリケーターデバイスの1つにノズルが取り付けられているという非常に単純な性質のものであってもよい。このような櫛及びブラシを、素早くむらのない被覆であれ、根元/生え際のタッチアップであれ、ハイライト又はストリークであれ、特定の効果を達成するために用いることができる。あるいは、容器又は容器の1つに、櫛を取り付けてもよく、又は分配用ノズルの代わりに櫛を取り付けてもよく、製品は中空の櫛の歯及び櫛の歯に設けられた分配用開口部を通って分配される。櫛の歯は、製品適用及び特に根元から先端への均一性を向上させるため、櫛の歯に沿った単一又は複数の開口部とともに提供されてもよい。製品の分配は、例えば、層状剥離ボトル又は上述した任意のメカニズムによって容器に加えられた機械的圧力によって行うことができる。櫛は、例えば、適用を更に容易にするために容器上に取り付けられてもよく、垂直に設置されてもよく(いわゆるバーティコーム(verticomb))又はあらゆる領域に届くことを消費者に可能にするような角度で取り付けられてもよい。全てのデバイスは、消費者に毛髪への適用のための一連の異なった用具を提供できるように、互いに交換可能になるように設計されてもよい。
【0082】
適用するためのデバイスは、ハイライトのような特定の効果を実現するために、例えば、ハイライト用の櫛、ブラシ、用具、アルミ箔、及びハイライト用キャップなどのデバイスをまた含んでよい。
【0083】
更なるデバイス技術を、製品が毛髪内に浸透するのを手助けするために使用することができる。このような技術の例としては、加熱デバイス、紫外線デバイス及び超音波デバイスが挙げられる。
【実施例】
【0084】
次の例は、本発明の酸化染料組成物を示す。本明細書に記載されている実施例及び実施形態は、単に例示することが目的であり、本発明の範囲から逸脱することなくその種々の修正又は変更が当業者に提示されることは理解される。
【0085】
(実施例1〜5)
【0086】
【表1】

【0087】
(実施例6〜15)
【0088】
【表2】

【0089】
毛髪に適用する前にコンポーネント部分(i)及び部分(ii)を混合し、混合した製剤の粘度は、1Pa.s(1000cPs)〜60Pa.s(60000cPs)の範囲である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪に適用する前に混合される2つのコンポーネント組成物(i)及び(ii)を含み、成分(i)が、
−酸化剤の少なくとも1つの水溶性供給源と、
−少なくとも1つのゲル網状増粘系と、
−少なくとも50w/w%の水と、を含み、少なくとも1つのゲル網状増粘系が、
(A)6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの非イオン性界面活性剤及び/又は両染性物質と、
(B)7以上のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と、を含み、
界面活性剤の比率[b]/[a]が、0.10未満、好ましくは0.06未満であり、[a]は、w/w%であらわした(A)型の界面活性剤の合計濃度であり、[b]は、w/w%であらわした(B)型の界面活性剤の合計濃度であり、
コンポーネント部分(ii)が少なくとも1つのアルカリ化剤を含む、毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項2】
前記6以下のHLBを有する、少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質(A)が、14〜30個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖の脂肪族アルコール類、16〜30個の炭素原子と、2個以下のエチレンオキシド単位とを含むオキシエチレン化脂肪族アルコール類、16〜30個の炭素原子を含む脂肪酸のグリコールモノエステル類、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項3】
前記7以上のHLBを有する非イオン性界面活性剤(B)が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、又は少なくとも10個、好ましくは20〜200個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、及びこれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項4】
前記7以上のHLBを有する非イオン性界面活性剤(B)が、ポリグリセリル脂肪酸エステル類、アルキルポリグリセリルエーテル類、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項5】
前記6以下のHLBを有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質が、16〜30個の炭素原子及び2個以下のエチレンオキシド単位を含むオキシエチレン化脂肪族アルコール類から選択され、7以上のHLBを有する非イオン性界面活性剤が、少なくとも10個、好ましくは20〜200個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル類から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記酸化剤の供給源を0.1〜10重量%、前記ゲル網状系を0.5〜30重量%、前記アルカリ化剤を0.1〜20重量%含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項7】
前記コンポーネント部分(i)が、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアルカリ化剤が、少なくとも1つのアンモニウムイオン供給源を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアルカリ化剤が、炭酸イオン源、カルバミン酸イオン源、炭酸水素塩源、及びこれらの混合物を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項10】
前記組成物が、コンポーネント部分(i)及び(ii)を混合した後に7.5〜9.5のpHを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項11】
前記組成物が、混合した後に、少なくとも1つのラジカルスカベンジャー供給源を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項12】
成分部分(ii)が、6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質と、
(a)式RnmYMによるアニオン性界面活性剤(式中、Rは独立して8〜30個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、又はアルキルアリール基から選択され、Xは、独立して、少なくとも1つの炭素原子及び少なくとも1つの酸素原子又は窒素原子を含む極性基から選択され、Yは、カルボキシレート類、サルフェート類、スルホネート類、又はホスフェート類から選択されるアニオン基であり、n及びmは、独立して1又は2であり、Mは、水素又はカチオンを形成する塩である)、及びこれらの混合物、
(b)7以上のHLBを有し、かつ1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含み、それぞれのポリエチレンオキシド鎖が平均して少なくとも50個のエチレンオキシド単位を有する非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物、
(c)7以上のHLBを有し、ポリエチレンオキシド鎖を含まない非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物、
(d)少なくとも20個の炭素原子を含む脂肪鎖を少なくとも1つ有する、4級アンモニウム塩類又はアミドアミン類から選択されるカチオン性界面活性剤、及びこれらの混合物、から選択される少なくとも1つの界面活性剤と、を含む少なくとも1つのゲル網状増粘系を更に含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項13】
前記組成物が、混合した後に、1Pa.s(1000cPs)〜60Pa.s(60000cPs)、好ましくは2Pa.s(2000cPs)〜30Pa.s(30000cPs)、最も好ましくは3Pa.s(3000cPs)〜25Pa.s(25000cPs)の粘度を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物又は脱色組成物。
【請求項14】
前記組成物が、混合した後に、少なくとも1つの酸化染料前駆体及び/又は少なくとも1つの前もって形成された染料を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項15】
(i)酸化剤の少なくとも1つの供給源と、少なくとも1つのゲル網状増粘系と、(A)6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの非イオン性界面活性剤及び/又は両染性物質と、(B)7以上のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性界面活性剤とを含む少なくとも1つのゲル網状増粘系と、少なくとも50w/w%の水と、を含み、界面活性剤の比率[b]/[a]が、0.10未満、好ましくは0.06未満であり、[a]は、w/w%であらわした(A)型の界面活性剤の合計濃度であり、[b]は、w/w%であらわした(B)型の界面活性剤の合計濃度である、個別包装された酸化コンポーネントと、
(ii)少なくとも1つのアルカリ化剤を含む個別包装された第2のコンポーネントとを含む、毛髪染色又は脱色キット。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物を混合した後に毛髪上に塗布する工程と、前記組成物を毛髪上に2〜60分間放置する工程と、引き続き前記組成物を毛髪からすすぎ落とす工程と、を含む、毛髪の処理方法。
【請求項17】
前記組成物が、20分未満の時間毛髪上に保持される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも2つの連続的な酸化的毛髪染色又は酸化的毛髪脱色処理工程を含む連続的な酸化的毛髪染色又は酸化的毛髪脱色の方法であって、各処理間の期間が1日〜60日であり、各処理が、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物を提供する工程と、前記組成物を毛髪に塗布する工程と、前記組成物を毛髪上に20分未満の時間保持する工程と、引き続き前記組成物を毛髪からすすぎ落とす工程と、を含む、方法。

【公表番号】特表2009−541300(P2009−541300A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516055(P2009−516055)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052542
【国際公開番号】WO2008/010122
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】