説明

毛髪用組成物および毛髪用化粧料

【課題】毛髪の表面反射光と内部反射光を改善することにより毛髪のつやを向上させるとともに、毛髪の湿潤時における櫛通り性に優れ、乾燥後にごわつき感のない良好な使用感に仕上げることができる毛髪用組成物および毛髪用化粧料の提供。
【解決手段】成分(a)グリセロール基とアミド結合の双方を持つ特定のメタクリレート単位と、特定のイソボルニルメタクリレート単位と、特定のメタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライド単位を特定割合で有する新規な3元共重合体、成分(b)カチオン性界面活性剤、成分(c)アルキレンオキサイド誘導体及び成分(d)水を含有する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に、特に優れたつや出し並びに使用感を付与しうる毛髪用組成物およびそれを含有してなる毛髪用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の健全な発育と維持を目的として使用される毛髪用化粧料に関し、表面に形成された重合体の被膜により毛髪表面が平滑になり、つやが付与される重合体等が提案されている。しかし、このような重合体は、毛髪表面での表面反射光強度が向上し、それに起因するつやが向上するのみである。このため、毛髪内部での反射光強度が十分でなく、それに起因するつやが改善されない。また、毛髪表面への重合体被膜の形成により剛直性が増加し、ごわつき感の増加、櫛通り性の低下が生じる。このため、毛髪の光による表面反射や、内部反射の改善と良好な使用感とを両立した素材が求められている。
【0003】
ところで、セラミドは、保湿機能の改善や外部刺激に対する防御効果に優れることが知られており、多くの化粧料に配合されている。セラミドは分子内にグリセロール基とアミド結合の双方を持つことが構造的な特徴である。このようなセラミドに類似した構造を有する単量体として、特許文献1には、グリセロール基とウレタン結合とを併せ持つグリセロール(メタ)アクリレート単量体およびその製造方法が開示されている。また特許文献2には、該グリセロール(メタ)アクリレート単量体を重合することにより得られる重合体を含有する化粧料が開示されている。しかし、該重合体が毛髪のつやに対して有効であることは言及されておらず、そのような検討も為されていない。
【0004】
一方、毛髪への適用が提案されている重合体として、特許文献3には、イソボルニル(メタ)アクリレート単位またはアダマンチル(メタ)アクリレート単位を含む重合体が開示されている。しかし、この重合体は毛髪への吸着性が不十分で、機能を発現させるために十分な量の重合体を毛髪表面に残存させることが困難である上に、前述の使用感の問題も解消されていない。また、特許文献4及び5には、毛髪へのつや、潤いの付与、櫛通り性向上が可能な、アルキレンオキサイド誘導体を含む化粧用組成物が提案されている。しかし、これらの組成物は、毛髪へのつや付与効果については十分であるとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-151953号公報
【特許文献2】特開2007-119374号公報
【特許文献3】特開2009-120659号公報
【特許文献4】特開平4-001120号公報
【特許文献5】特開2006-206494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、毛髪の表面反射光と内部反射光を改善することにより毛髪のつやを向上させるとともに、毛髪の湿潤時における櫛通り性に優れ、乾燥後にごわつき感のない良好な使用感に仕上げることができる毛髪用組成物および毛髪用化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、グリセロール基とアミド結合の双方を持つ特定のメタクリレート単位と、特定のイソボルニルメタクリレート単位と、特定のメタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライド単位を特定割合で有する新規な3元共重合体、カチオン性界面活性剤及びアルキレンオキサイド誘導体を特定割合で含む、水を含有する組成物およびそれを含む毛髪用化粧料が、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明によれば、成分(a):下記式で示される構成単位(l)5〜90モル%、構成単位(m)5〜90モル%及び構成単位(n)3〜80モル%を有する、重量平均分子量5,000〜5,000,000の3元共重合体、成分(b):カチオン性界面活性剤、成分(c):アルキレンオキサイド誘導体、及び成分(d):水からなり、成分(a)と成分(b)と成分(c)との合計量に対する、成分(a)の含有割合が2.4〜83.3質量%、成分(b)の含有割合が3.2〜90.9質量%、成分(c)の含有割合が3.2〜90.9質量%であることを特徴とする毛髪用組成物が提供される。
【化1】

また本発明によれば、上記毛髪用組成物を含有する毛髪用化粧料が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の毛髪用組成物は、特に、上記成分(a)〜成分(c)を特定割合で含むので、毛髪に効果的につや・輝きを付与することができるとともに、毛髪における櫛通り性に優れ、ごわつき等の違和感がなく、使用感を両立させることができる。本発明の毛髪用化粧料は、本発明の組成物を含むので、シャンプー、リンス等に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の毛髪用組成物は、成分(a)として、上記式で示される構成単位(l)、構成単位(m)及び構成単位(n)を特定割合で有する、特定分子量の3元共重合体を特定割合で含む。
成分(a)において、上記式で示される構成単位(l)、構成単位(m)及び構成単位(n)の含有割合は、それぞれ、5〜90モル%、5〜90モル%、及び3〜80モル%であり、これらの構成単位の合計が100モル%である。構成単位(l)が5モル%未満の場合、毛髪への親和性が不十分となり、90モル%を超えると粘度が上昇しハンドリング性が悪くなる。構成単位(m)が5モル%未満の場合、毛髪へのつや付与効果が不十分となり、90モル%を超えると粘度が上昇しハンドリング性が悪くなる。構成単位(n)が3モル%未満の場合、毛髪への吸着性が不十分となり、80モル%を超えると粘度が上昇しハンドリング性が悪くなる。この中でも、毛髪への吸着性とつや付与機能の観点からは、構成単位(l)が20モル%、構成単位(m)が40モル%、構成単位(n)が40モル%であることが特に好ましい。
【0011】
成分(a)の分子量は、重量平均分子量で5,000〜5,000,000、好ましくは10,000〜2,000,000の範囲である。該分子量が5,000,000を超えると成分(a)の粘度が極端に高くなり、ハンドリング性が悪い上に化粧料への配合が困難となる。また、該分子量が5,000より小さいと毛髪への吸着性が低下する。
【0012】
成分(a)は、例えば、構成単位(l)となるグリセリル-N-(2-メタクリロイルオキシエチル)カルバメート(以下、GLYMOUと表記する。)、構成単位(m)となるイソボルニルメタクリレート(以下、IbMAと表記する。)、および構成単位(n)となるメタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライド(以下、MTACと表記する。)を、上記各含有割合となるように有する単量体組成物を、重合開始剤存在下、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下において、ラジカル重合する方法によって容易に得ることができる。
ラジカル重合としては、例えば、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合などの公知の方法により、適宜条件を設定して行うことができる。得られる成分(a)の精製は、例えば、再沈殿法、透析法、限外濾過法等の一般的な精製方法により行うことができる。
【0013】
成分(a)の原料である上記GLYMOUは、公知の方法で製造できる。例えば、特開2006-151953号公報に示されるように、式(7)で示される環状ケタールと式(8)で示されるイソシアナートとをカルバメート化反応させて得られる化合物を、カルバメート化反応用触媒存在下に水含有溶媒中で加水開環反応させる方法などにより製造することができる。
【0014】
【化2】

【0015】
本発明の毛髪用組成物は、成分(b)として、カチオン性界面活性剤を特定割合で含む。
ここで、成分(b)として、カチオン性界面活性剤の他の界面活性剤を用いた場合には、
成分(b)としては、本発明の組成物への配合性、湿潤時の櫛通り性向上およびつや付与効果の観点から、例えば、式(2)で表される化合物と、クエン酸、乳酸、塩酸、コハク酸、L-グルタミン酸、リン酸又はこれら2種以上の混合物からなる群より選択される酸とを混合した中和物、及び/又は式(3)で示される化合物が好ましく挙げられる。中でも毛髪への吸着性およびつや付与効果の観点からは、式(3)で示される化合物の使用が好ましい。
【0016】
【化3】

式(2)中、A1は炭素数9〜19の直鎖状アルキル基を示す。式(3)中、A2は炭素数12〜22の直鎖状アルキル基を示し、X-は塩化物イオンもしくは臭化物イオンを示す。
【0017】
成分(b)としての、式(2)で表される化合物と特定の酸とを混合した上記中和物としては、
例えば、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミドクエン酸中和物、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドクエン酸中和物、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド乳酸中和物、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド塩酸中和物、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドL-グルタミン酸中和物、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドコハク酸中和物、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドリン酸中和物、アラキジン酸ジメチルアミノプロピルアミドクエン酸中和物が挙げられる。
【0018】
成分(b)としての、式(3)で示される化合物としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウムが挙げられる。中でも毛髪への吸着性およびつや付与効果の観点からは、式(3)のA2が炭素数16の直鎖状アルキル基であり、X-が塩化物イオンである塩化セチルトリメチルアンモニウムの使用が好ましい。
【0019】
成分(b)としては、上記以外のカチオン性界面活性剤を使用でき、例えば、塩化ジアルキル(12〜18)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルアミン、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレンステアリルメチルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルLアルギニンエチルDL-ピロリドンカルボン酸塩、ジメチルステアリルアミン、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、アラキジン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化セチルピリジニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、エチレンジアミンテトラポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、塩化ラウリルピリジニウムが挙げられる。
【0020】
本発明の毛髪用組成物は、成分(c)として、アルキレンオキサイド誘導体を特定割合で含む。
成分(c)としては、本発明の組成物への配合性、および毛髪へのつや付与効果の観点からは、例えば、以下に示す式(4)〜(6)で表される化合物の少なくとも1種が好ましく挙げられる。中でも毛髪へのつや付与効果の観点からは、以下に示す式(6)で示される化合物の使用が好ましい。
【0021】
式(4)で表される化合物は以下のとおりであり、式(4)中、EOはCH2CH2Oを示す。ここで、a、b、c、dはEOの平均付加モル数であり、a、b、c、dの合計平均付加モル数は10以上20以下である。該合計平均付加モル数は重量平均分子量を測定することにより決定することができる。
【化4】

式(4)で表される化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(EO合計平均10モル付加体)、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(EO合計平均20モル付加体)が挙げられる。
【0022】
式(5)で表される化合物は以下のとおりであり、式(5)中、POはCH2CH(CH3)Oを示す。ここで、e、f、g、hはPOの平均付加モル数であり、e、f、g、hの合計平均付加モル数は10以上20以下である。該合計平均付加モル数は重量平均分子量を測定することにより決定することができる。
【化5】

式(5)で表される化合物としては、例えば、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(PO
合計平均10モル付加体)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(PO合計平均20モル付加体)が挙げられる。
【0023】
式(6)で表される化合物は以下のとおりであり、式(6)中、POはCH2CH(CH3)Oを示し、EOはCH2CH2Oを示し、BOはCH2CH(CH2CH3)Oを示す。POとEOはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、BOはブロック状に付加している。ここで、i、o、rはPOの平均付加モル数、j、p、sはEOの平均付加モル数、k、q、tはBOの平均付加モル数であって、POの合計平均付加モル数は5以上10以下、EOの合計平均付加モル数は8以上16以下、BOの合計平均付加モル数は3以上6以下である。各合計平均付加モル数は重量平均分子量を測定することにより決定することができる。
【化6】

【0024】
式(6)で表される化合物としては、例えば、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3BO)(8EO)(5PO)、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(5BO)(12EO)(7PO)、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(6BO)(16EO)(10PO)が挙げられ、毛髪へのつや付与効果の観点から、POの合計平均付加モル数が5、EOの合計平均付加モル数が8、BOの合計平均付加モル数が3であるポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3BO)(8EO)(5PO)の使用が特に好ましい。
【0025】
成分(c)としては、上記式(4)〜(6)で表される化合物以外のアルキレンオキサイド誘導体を用いることができ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリメチロールプロパン、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、ポリオキシプロピレンソルビット、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル(C12-14)エーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシプロピレンミリスチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ラウリン酸ポリプロピレングリコール、ヒマシ油脂肪酸ポリプロピレングリコール(5.5PO)、ラウリン酸ブチレングリコール、ステアリン酸ブチレングリコール、ジステアリン酸ブチレングリコール、ジラウリン酸ブチレングリコール、ジオレイン酸ブチレングリコール、ジミリスチン酸ブチレングリコール、ジパルミチン酸ポリ(1,4-ブタンジオール)-9が挙げられる。
【0026】
本発明の毛髪用組成物は、上記成分(a)〜成分(c)に加えて、成分(d)として水を含む。
本発明の毛髪用組成物において、上記成分(a)〜成分(c)の合計量に対するこれら各成分の含有割合は、成分(a)が2.4〜83.3質量%、好ましくは14.3〜31.3質量%である。成分(a)の含有割合が2.4質量%未満の場合、毛髪へのつや付与効果が不十分であり、使用感改善効果が得られ難く、83.3質量%を超えると組成物の粘度が上昇し、使用時のハンドリング性が低下するとともに、毛髪へのつや付与効果の向上も望めないおそれがある。
成分(b)の含有割合は3.2〜90.9質量%、好ましくは28.6〜62.5質量%である。成分(b)の含有割合が3.2質量%未満の場合、使用感改善効果が乏しく、毛髪へのつや付与効果の向上も望めず、90.9質量%を超えると組成物の粘度が上昇し、使用時のハンドリング性が低下するとともに、毛髪へのつや付与効果の向上も望めないおそれがある。
成分(c)の含有割合は3.2〜90.9質量%、好ましくは6.3〜57.1質量%である。成分(c)の含有割合が3.2質量%未満の場合、毛髪のつや出し効果が不十分であり、使用感改善効果が得られ難くなり、90.9質量%を超えると組成物の粘度が上昇し、使用時のハンドリング性が低下するとともに、毛髪へのつや付与効果も低下するおそれがある。
本発明の毛髪用組成物は、例えば、上記成分(a)〜成分(c)を、成分(d)である水に加え、攪拌混合して均一化する方法により製造することができる。
【0027】
本発明の毛髪用化粧料は、本発明の上記毛髪用組成物を含有する。
本発明の毛髪用化粧料において、本発明の毛髪用組成物の含有割合は、本発明の毛髪用組成物中の上記成分(a)〜成分(c)の合計量として、毛髪用化粧料全量基準で、通常0.001〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%である。該含有割合が0.001質量%未満の場合、毛髪のつや出し向上が不十分になる恐れがある。一方、20質量%を越えると、化粧料の粘度が高くなり、使用時のハンドリング性が悪くなる恐れがある。
【0028】
本発明の毛髪用化粧料には、毛髪用化粧料に常用されている化粧料材料を本発明の性能を損なわない範囲で配合することができる。
該化粧料材料は、毛髪用化粧料の種類に応じて適宜決定することができ、特に限定されず、例えば、水、エタノール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどの水酸基含有低分子化合物;コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウムなどの水溶性ポリマー;アニオン性、両性イオン性などの界面活性剤;セルロース粉末、シルク粉末、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末などの有機粉体;ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴ脂質、シリコーン油、油脂類、炭化水素類、高級脂肪酸エステル、アミノ酸誘導体類、フッ素系油剤類、高重合度のジメチルポリシロキサン、アルコキシ変性シリコーン、炭化水素ワックス、ラノリン誘導体が挙げられる。
但し、本発明の毛髪用化粧料中のカチオン界面活性剤及びアルキレンオキサイド誘導体の含有割合は、上述の本発明の毛髪用組成物の成分(b)及び成分(c)の含有割合の範囲内にすることが好ましい。
【0029】
本発明の毛髪用化粧料の種類は特に限定されず、例えば、シャンプー、リンス、ヘアミスト、ヘアクリーム、ヘアフォーム、ヘアトニック、ヘアワックスが挙げられる。
本発明の毛髪用化粧料は、その種類や用いる化粧料材料の種類などに応じて公知の方法に準じて適宜製造することができる。
【実施例】
【0030】
次に合成例、実施例および比較例により本発明の内容を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、例中の各種分析は、以下の方法に従って実施した。
1.ポリマー(重合体)の分子量分析
[分子量測定]
重合体の分子量は、試験溶液を、次のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)の条件により測定した。試験溶液の調製は、まず、試料重合体を0.5質量%の臭化リチウムを含むクロロホルム/メタノール(=6/4、v/v)混合溶媒に溶解させた。次いで、0.5質量%の重合体溶液を調製し、この溶液を0.45μmのメンブランフィルターで濾過することにより行った。
[GPC分析の条件]
カラム;PLge15μmMIXED−C、2本直列(ポリマー・ラボラトリー社製)、溶出溶媒;0.5質量%の臭化リチウムを含むクロロホルム/メタノール(=6/4、v/v)混合溶媒、検出;示差屈折計、重量平均分子量(Mw)測定の際の標準物質;PMMA(ポリマー・ラボラトリー社製)、流速;1.0mL/分、試料溶液使用量;20μL、カラム温度;40℃、東ソー社製インテグレーター内蔵分子量計算プログラム(SC−8020用GPCプログラム)を用いた。
【0031】
2.IR分析
重合体の試料をメタノールに溶解させ、FT/IR−6100(日本電子データム社製)を用いて薄膜法により行った。
3.NMR分析
重合体の試料を重メタノールに溶解させ、FT NMR AL400(日本電子データム社製)を用いて行った。
4.有機元素分析
重合体の試料を、機種パーキンエルマー2400II−CHNS/iアナライザーを用いて元素分析することにより行った。
5.HPLC分析
[重合転化率測定]
重合液を次のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)の条件により測定し、その分析値と仕込みモノマー濃度から各モノマーの重合転化率を算出した。試験溶液は、重合液をメタノールにて500倍希釈した後、0.20μmのメンブランフィルターで濾過することにより調製した。
[HPLC分析の条件]
カラム;Inertsil ODS-3V(GL Science社製)、溶出溶媒;メタノール、検出;紫外吸光度計、検出波長;210nm、流速;0.4mL/分、試料溶液使用量;10μL、カラム温度;40℃、東ソー社製インテグレーター内蔵分子量計算プログラム(SC−8020用GPCプログラム)を用いた。
【0032】
合成例1(ポリマー1の製造)
GLYMOU(日油株式会社製)4.5g(20モル%)と、IbMA(三菱レイヨン株式会社製)8.0g(40モル%)と、MTAC(三菱レイヨン株式会社製)7.5g(40モル%)とを、エタノール/水(=8/2、wt/wt)混合液180gに溶解し、窒素ガスにて反応容器内を十分に置換した。この溶液に、アゾビスイソブチロニトリル0.85gを加え、60℃の温浴中に浸漬して8時間加熱重合した。冷却後、重合液を3リットルのジチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行って、ポリマー1を15.8g得た。得られた共重合体であるポリマー1の重量平均分子量は221,000であった。以下に、ポリマー1のIR、NMR、元素分析データ、ケルダール窒素含量、共重合体組成比を示す。
【0033】
IR:3332cm-1(−OH)、2953cm-1(−CH)、1724cm-1(C=O)、1531cm-1(−NH)、1478cm-1(−CH)、1390cm-1(C-N)、1262cm-1(C-O-C)、955cm-1(−N(CH33)。
NMR:0.8−1.2ppm(CH3-C-)、1.4−2.2ppm(−CH2CH2-、−CHCH-)、3.3ppm(−N(CH33)、3.5−5.0ppm(−CH2CH2O-、-C-CH-O-)。
元素分析データ:実測値:C;60.82%、H;8.92%、N;3.91%(理論値:C;60.76%、H;8.77%、N;3.80%)。
ケルダール窒素含量:3.82%(理論値3.80%)。
組成比:GLYMOU/IbMA/MTAC=20.1/39.9/40.0(モル%)。
【0034】
合成例2〜9(ポリマー2〜9の製造)
GLYMOU、IbMA、MTAC、開始剤の仕込量、重合溶媒、重合温度、重合時間を表1のポリマー2〜9に示すように変えた以外は、合成例1と同様な方法にて行った。得られたポリマーの重量平均分子量を表1に示す。
以下、ポリマー2〜9のIR、NMR、元素分析データ、ケルダール窒素含量、共重合体組成比を示す。
【0035】
<ポリマー2>
IR:3332cm-1(−OH)、2953cm-1(−CH)、1724cm-1(C=O)、1531cm-1(−NH)、1478cm-1(−CH)、1390cm-1(C-N)、1262cm-1(C-O-C)、955cm-1(−N(CH33)。
NMR:0.8−1.2ppm(CH3-C-)、1.4−2.2ppm(−CH2CH2-、−CHCH-)、3.3ppm(−N(CH33)、3.5−5.0ppm(−CH2CH2O-、-C-CH-O-)。
元素分析データ:実測値:C;60.82%、H;8.92%、N;3.91%(理論値:C;60.76%、H;8.77%、N;3.80%)。
ケルダール窒素含量:3.82%(理論値3.80%)。
組成比:GLYMOU/IbMA/MTAC=20.3/39.9/39.8(モル%)。
【0036】
<ポリマー3>
IR:3332cm-1(−OH)、2953cm-1(−CH)、1724cm-1(C=O)、1531cm-1(−NH)、1478cm-1(−CH)、1390cm-1(C-N)、1262cm-1(C-O-C)、955cm-1(−N(CH33)。
NMR:0.8−1.2ppm(CH3-C-)、1.4−2.2ppm(−CH2CH2-、−CHCH-)、3.3ppm(−N(CH33)、3.5−5.0ppm(−CH2CH2O-、-C-CH-O-)。
元素分析データ:実測値:C;60.82%、H;8.92%、N;3.91%(理論値:C;60.76%、H;8.77%、N;3.80%)。
ケルダール窒素含量:3.82%(理論値3.80%)。
組成比:GLYMOU/IbMA/MTAC=20.2/39.7/40.1(モル%)。
【0037】
<ポリマー4>
IR:3332cm-1(−OH)、2953cm-1(−CH)、1724cm-1(C=O)、1531cm-1(−NH)、1478cm-1(−CH)、1390cm-1(C-N)、1262cm-1(C-O-C)、955cm-1(−N(CH33)。
NMR:0.8−1.2ppm(CH3-C-)、1.4−2.2ppm(−CH2CH2-、−CHCH-)、3.3ppm(−N(CH33)、3.5−5.0ppm(−CH2CH2O-、-C-CH-O-)。
元素分析データ:実測値:C;63.87%、H;9.11%、N;3.10%(理論値:C;63.95%、H;9.21%、N;3.23%)。
ケルダール窒素含量:3.17%(理論値3.23%)。
組成比:GLYMOU/IbMA/MTAC=5.1/49.8/45.1(モル%)。
【0038】
<ポリマー5>
IR:3332cm-1(−OH)、2953cm-1(−CH)、1724cm-1(C=O)、1531cm-1(−NH)、1478cm-1(−CH)、1390cm-1(C-N)、1262cm-1(C-O-C)、955cm-1(−N(CH33)。
NMR:0.8−1.2ppm(CH3-C-)、1.4−2.2ppm(−CH2CH2-、−CHCH-)、3.3ppm(−N(CH33)、3.5−5.0ppm(−CH2CH2O-、-C-CH-O-)。
元素分析データ:実測値:C;63.87%、H;9.11%、N;3.10%(理論値:C;63.95%、H;9.21%、N;3.23%)。
ケルダール窒素含量:3.17%(理論値3.23%)。
組成比:GLYMOU/IbMA/MTAC=90.3/4.8/4.9(モル%)。
【0039】
<ポリマー6>
IR:3332cm-1(−OH)、2953cm-1(−CH)、1724cm-1(C=O)、1531cm-1(−NH)、1478cm-1(−CH)、1390cm-1(C-N)、1262cm-1(C-O-C)、955cm-1(−N(CH33)。
NMR:0.8−1.2ppm(CH3-C-)、1.4−2.2ppm(−CH2CH2-、−CHCH-)、3.3ppm(−N(CH33)、3.5−5.0ppm(−CH2CH2O-、-C-CH-O-)。
元素分析データ:実測値:C;50.32%、H;7.23%、N;5.47%(理論値:C;49.96%、H;7.10%、N;5.46%)。
ケルダール窒素含量:5.47%(理論値5.46%)。
組成比:GLYMOU/IbMA/MTAC=49.8/5.1/45.1(モル%)。
【0040】
<ポリマー7>
IR:3332cm-1(−OH)、2953cm-1(−CH)、1724cm-1(C=O)、1531cm-1(−NH)、1478cm-1(−CH)、1390cm-1(C-N)、1262cm-1(C-O-C)、955cm-1(−N(CH33)。
NMR:0.8−1.2ppm(CH3-C-)、1.4−2.2ppm(−CH2CH2-、−CHCH-)、3.3ppm(−N(CH33)、3.5−5.0ppm(−CH2CH2O-、-C-CH-O-)。
元素分析データ:実測値:C;72.89%、H;9.72%、N;0.79%(理論値:C;73.07%、H;9.68%、N;0.63%)。
ケルダール窒素含量:0.79%(理論値0.63%)。
組成比:GLYMOU/IbMA/MTAC=5.1/89.8/45.1(モル%)。
【0041】
<ポリマー8>
IR:3332cm-1(−OH)、2953cm-1(−CH)、1724cm-1(C=O)、1531cm-1(−NH)、1478cm-1(−CH)、1390cm-1(C-N)、1262cm-1(C-O-C)、955cm-1(−N(CH33)。
NMR:0.8−1.2ppm(CH3-C-)、1.4−2.2ppm(−CH2CH2-、−CHCH-)、3.3ppm(−N(CH33)、3.5−5.0ppm(−CH2CH2O-、-C-CH-O-)。
元素分析データ:実測値:C;61.31%、H;8.42%、N;3.13%(理論値:C;61.56%、H;8.37%、N;3.00%)。
ケルダール窒素含量:3.12%(理論値3.00%)。
組成比:GLYMOU/IbMA/MTAC=47.1/49.2/2.7(モル%)。
【0042】
<ポリマー9>
IR:3332cm-1(−OH)、2953cm-1(−CH)、1724cm-1(C=O)、1531cm-1(−NH)、1478cm-1(−CH)、1390cm-1(C-N)、1262cm-1(C-O-C)、955cm-1(−N(CH33)。
NMR:0.8−1.2ppm(CH3-C-)、1.4−2.2ppm(−CH2CH2-、−CHCH-)、3.3ppm(−N(CH33)、3.5−5.0ppm(−CH2CH2O-、-C-CH-O-)。
元素分析データ:実測値:C;53.89%、H;8.75%、N;6.12%(理論値:C;54.11%、H;8.60%、N;5.92%)。
ケルダール窒素含量:6.06%(理論値5.92%)。
組成比:GLYMOU/IbMA/MTAC=9.9/10.2/79.9(モル%)。
【0043】
【表1】

【0044】
実施例1−1(組成物)
表2に示す処方に従い、本発明の毛髪用組成物を調製した。具体的には、合成例1で合成したポリマー1を5gと、塩化セチルトリメチルアンモニウム10g(商品名:ニッサンカチオンPB-300、日油株式会社製)およびポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3BO)(8EO)(5PO)(商品名:ウィルブライドS-753、日油株式会社製、式(6)で示す化合物のうち、BOの平均付加モル数が3、POの平均付加モル数が5、EOの平均付加モル数が8である化合物)10gを200mL容のガラスビーカーに採り、これに水75gを加え、50℃で30分間攪拌し、均一に溶解させることで毛髪用組成物を得た。得られた組成物について以下の評価を行った。結果を表2に示す。
【0045】
(毛髪調製)
同一人黒髪((株)ビューラックスより購入)を1質量%ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液中にて1分間すすぎ洗いした後、流水で洗浄した。次いで、タオルドライし、ドライヤーで乾燥した。これを5質量%過酸化水素水と3質量%アンモニア水を質量比で1:1の割合で混合した水溶液に室温で20分間浸漬後、流水で洗浄した。次いで、タオルドライし、ドライヤーで乾燥した。このブリーチ処理を10回繰り返すことによりダメージ毛髪を調製した。
【0046】
<毛髪のつや評価>
上述の毛髪用組成物を水にて100倍希釈した溶液に、上記ダメージ毛髪1gを1分間浸漬後、流水で洗浄し、ドライヤーで乾燥させた。該処理毛髪を試料台に11本並べ、ゴニオフォトメーターGP−5((株)村上色彩技術研究所製)を用い、25℃、60%RHの恒温恒湿室にて毛髪のつやの測定を行った。具体的には、光の入射角度を30°とし、入射光の向きを毛軸の方向と一致させた後、受光角を変角させて反射光分布を測定し、以下の式(A)により表面反射を、また式(B)により内部反射を算出した。
表面反射(G)=Sf/d・・・(A)
内部反射(T)=(Sr/Sf)×10・・・(B)
ここで、dは毛髪の法線方向の拡散反射、Sfは毛髪の鏡面反射ピーク強度、Srは毛髪の内部反射の最大ピーク強度である。評価結果は、上記ダメージ処理していない毛髪のつや測定結果を100としたときの相対値とした。
【0047】
<毛髪の官能評価>
上述の毛髪つや出し用組成物を水にて100倍希釈した溶液に、上記ダメージ毛髪1gを1分間浸漬後、流水で洗浄した。該処理毛髪について26歳〜52歳の女性10人からなる専門パネラーにより、湿潤時における櫛通り性および乾燥した後の毛髪のごわつき感について評価を行い、この2項目について下記の毛髪官能試験評価基準により5段階評価した。さらにそれぞれの評価結果を平均して判定した。
【0048】
〔毛髪官能試験評価基準〕
湿潤時における櫛通り性
評価点;5点:非常に良好、4点:良好、3点:普通、2点:やや不良、1点:不良とした。
毛髪のごわつき感
評価点;5点:全くなし、4点:殆どなし、3点:ややあり、2点:あり、1点:非常にありとした。
〔毛髪評価官能試験判定〕
評価点の平均点4.0点以上を合格、平均点4.0点未満を不合格と判定した。
【0049】
実施例1−2〜1−91(組成物)
表2〜7に示す処方に従い、実施例1−1に記載の方法と同様にして、本発明の毛髪用組成物を調製した。得られた組成物を用いて、実施例1−1と同様な方法で処理毛髪を調製し、各評価を行った。結果を表2〜7に示す。
【0050】
比較例1−1〜1−12(組成物)
表8に示す処方に従い、実施例1−1に記載の方法と同様にして、毛髪用組成物を作製した。得られた組成物を用いて、実施例1−1と同様な方法で処理毛髪を調製し、各評価を行った。結果を表8に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
【表8】

【0058】
尚、表2〜8内の各*番号の注意書きは、以下のとおりのものを示す。
※1:ラボ試作品、式(2)のA1=炭素数9の直鎖状アルキル基、クエン酸中和。
※2:商品名「アミドアミンMPS」、日光ケミカルズ株式会社製、式(2)A1=炭素数17の直鎖状アルキル基、クエン酸中和。
※3:商品名「アミドアミンMPS」、日光ケミカルズ株式会社製、式(2)A1=炭素数17の直鎖状アルキル基、乳酸中和。
※4:商品名「アミドアミンMPS」、日光ケミカルズ株式会社製、式(2)A1=炭素数17の直鎖状アルキル基、塩酸中和。
※5:商品名「アミドアミンMPS」、日光ケミカルズ株式会社製、式(2)A1=炭素数17の直鎖状アルキル基、コハク酸中和。
※6:商品名「アミドアミンMPS」、日光ケミカルズ株式会社製、式(2)A1=炭素数17の直鎖状アルキル基、L-グルタミン酸中和。
※7:商品名「アミドアミンMPS」、日光ケミカルズ株式会社製、式(2)A1=炭素数17の直鎖状アルキル基、リン酸中和。
※8:ラボ試作品、式(2)A1=炭素数19の直鎖状アルキル基、クエン酸中和。
※9:商品名「カチオンPB-300」、日油株式会社製、式(3)のA2=炭素数16の直鎖状アルキル基、X-=塩化物イオン。
※10:商品名「カチオンBB」、日油株式会社製、式(3)のA2=炭素数12の直鎖状アルキル基、X-=塩化物イオン。
※11:商品名「カチナールSTB-70」、東邦化学株式会社製、式(3)のA2=炭素数18の直鎖状アルキル基、X-=臭化物イオン。
※12:商品名「カチオンVB-800」、日油株式会社製、式(3)のA2=炭素数22の直鎖状アルキル基、X-=塩化物イオン。
※13:商品名「マクビオブライドMG-10E」、日油株式会社製、式(3)の合計平均付加モル数10。
※14:商品名「マクビオブライドMG-20E」、日油株式会社製、式(3)の合計平均付加モル数20。
※15:商品名「マクビオブライドMG-10P」、日油株式会社製、式(4)の合計平均付加モル数10。
※16:商品名「マクビオブライドMG-20P」、日油株式会社製、式(4)の合計平均付加モル数20。
※17:商品名「ウィルブライドS-753」、日油株式会社製、式(5)のPO合計平均付加モル数5、EO合計平均付加モル数8、BO合計平均付加モル数3。
※18:ラボ試作品、式(5)のPO合計平均付加モル数7、EO合計平均付加モル数12、BO合計平均付加モル数5。
※19:ラボ試作品、式(5)のPO合計平均付加モル数10、EO合計平均付加モル数16、BO合計平均付加モル数6。
※20:各成分の含有割合の合計を小数第1位まで算出し、その合計の小数第1位を四捨五入して値が100%であるとき、合計100%であるとする。
【0059】
実施例2−1〜実施例2−4、比較例2−1〜2−2(シャンプー)
実施例1−1、実施例1−45、実施例1−53、実施例1−61、比較例1−1で調製した組成物及び表9に示す成分を処方し、常法に従いシャンプー100gをそれぞれ調製した。調製したシャンプーについて、下記評価を行った。結果を表9に示す。
【0060】
実施例3−1〜実施例3−4、比較例3−1〜3−2(リンス)
実施例1−1、実施例1−45、実施例1−53、実施例1−61、比較例1−1で調製した組成物を用いて表10に示す成分を処方して常法に従いリンス100gをそれぞれ調製した。調製したリンスについて、下記評価を行った。結果を表10に示す。
【0061】
〔頭髪評価官能試験〕
21〜55歳の女性10人からなる専門パネラーにより、シャンプー又はリンス使用時の櫛通り性、乾燥したときのごわつき感、頭髪のつやについて評価を行い、この3項目について下記の頭髪評価官能試験評価基準により5段階評価した。さらにそれを平均して判定した。
〔頭髪評価官能試験評価基準〕
シャンプー使用時・リンス使用時の櫛通り性
評価点;5点:非常に良好、4点:良好、3点:普通、2点:やや不良、1点:不良とした。
頭髪のごわつき感
評価点;5点:全くなし、4点:殆どなし、3点:ややあり、2点:あり、1点:非常にありとした。
頭髪のつや
評価点;5点:非常に良好、4点:良好、3点:普通、2点:やや不良、1点:不良とした。
〔頭髪評価官能試験判定〕
評価点の平均点4.0点以上を合格、平均点4.0点未満を不合格と判定した。
【0062】
【表9】

【0063】
【表10】

【0064】
表2〜8より、実施例に示した本発明の毛髪用組成物は、比較例に比して、毛髪へのつや付与効果が高く、且つ処理毛髪は、湿潤時における櫛通り性に優れ、乾燥した後のごわつき感もなく良好な使用感であることが分かった。またその効果は、3元共重合体、塩化セチルトリメチルアンモニウム、およびポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3BO)(8EO)(5PO)より成る毛髪用組成物(実施例1−1〜1−35)を用いたときに特に顕著であった。
表9及び10より、本発明の毛髪用組成物を配合した毛髪用化粧料においても、比較例に比して、頭髪へのつや付与効果が高く、且つ頭髪は、湿潤時における櫛通り性に優れ、乾燥後のごわつき感もなく良好な使用感であることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(a):下記式で示される構成単位(l)5〜90モル%、構成単位(m)5〜90モル%及び構成単位(n)3〜80モル%を有する、重量平均分子量5,000〜5,000,000の3元共重合体、
成分(b):カチオン性界面活性剤、
成分(c):アルキレンオキサイド誘導体、及び
成分(d):水からなり、
成分(a)と成分(b)と成分(c)との合計量に対する、成分(a)の含有割合が2.4〜83.3質量%、成分(b)の含有割合が3.2〜90.9質量%、成分(c)の含有割合が3.2〜90.9質量%であることを特徴とする毛髪用組成物。
【化1】

【請求項2】
成分(b)が、式(2)で表される化合物と、クエン酸、乳酸、塩酸、コハク酸、L-グルタミン酸、リン酸又はこれら2種以上の混合物からなる群より選択される酸とを混合した中和物、及び/又は式(3)で示される化合物を含む請求項1記載の毛髪用組成物。
【化2】

(式(2)中、A1は炭素数9〜19の直鎖状アルキル基を示す。式(3)中、A2は炭素数12〜22の直鎖状アルキル基を示し、X-は塩化物イオンもしくは臭化物イオンを示す。)
【請求項3】
成分(b)が、式(3)で示される化合物のうち、A2が炭素数16の直鎖状アルキル基、X-が塩化物イオンである塩化セチルトリメチルアンモニウムであることを特徴とする請求項2記載の毛髪用成物。
【請求項4】
成分(c)が、式(4)〜(6)で表される化合物の少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪用組成物。
【化3】

(式中、EOはCH2CH2Oを示す。ここで、a、b、c、dはEOの平均付加モル数であり、a、b、c、dの合計平均付加モル数は10以上20以下である。)
【化4】

(式中、POはCH2CH(CH3)Oを示す。ここで、e、f、g、hはPOの平均付加モル数であり、e、f、g、hの合計平均付加モル数は10以上20以下である。)
【化5】

(式中、POはCH2CH(CH3)Oを示し、EOはCH2CH2Oを示し、BOはCH2CH(CH2CH3)Oを示す。POとEOはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、BOはブロック状に付加している。ここで、i、o、rはPOの平均付加モル数、j、p、sはEOの平均付加モル数、k、q、tはBOの平均付加モル数であって、POの合計平均付加モル数は5以上10以下、EOの合計平均付加モル数は8以上16以下、BOの合計平均付加モル数は3以上6以下である。)
【請求項5】
(成分c)が、式(6)で示される化合物のうち、POの合計平均付加モル数5、EOの合計平均付加モル数8、BOの合計平均付加モル数3である、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3BO)(8EO)(5PO)であることを特徴とする請求項4記載の毛髪用組成物。
【請求項6】
請求項1〜5記載の毛髪用組成物を含有する毛髪用化粧料。

【公開番号】特開2012−17269(P2012−17269A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153966(P2010−153966)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】