説明

毛髪用組成物

【課題】毛髪の感触並びに見た目のつやが良好で、かつこれらの持続性が顕著に優れる毛髪用組成物を提供する。
【解決手段】(A)特定構造の分岐型ポリグリセリン変性シリコーン、(B)ベタイン変性シリコーン、および(C)皮膜形成性樹脂を含有したことを特徴とする毛髪用組成物。更に、成分(C)と成分(A)、および成分(C)と成分(B)の含有量比をそれぞれ特定の質量比範囲にすることがより好ましい。この毛髪用組成物は、整髪剤、トリートメント、毛髪着色剤などとして使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に適用するための毛髪用組成物に関するもので、詳しくは、毛髪の感触および見た目のつやを向上させると共に、その効果の持続性に優れた毛髪用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪用組成物には、適用した毛髪に対して付与したい効果に応じ、様々な成分が配合される。例えば染毛や着色のためには染料や顔料などの着色剤が配合され、毛髪洗浄のためには洗浄用の活性剤が配合される。毛髪への着香のためには香料が配合され、毛髪の変形のためにはセット剤や還元剤が配合される。いずれの場合も、主目的以上に毛髪自体の感触や見た目のつやを損なってしまっては問題がある。このため前記毛髪用組成物には、毛髪の感触や見た目のつやを損なわないよう、様々な毛髪コンディショニング剤を同時に配合することが一般的におこなわれている。毛髪コンディショニング剤として、ポリグリセリン変性シリコーンやベタイン変性シリコーンが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平10−316540号公報
【特許文献2】特開昭62−242609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記文献に記載されたこれらシリコーンは、いずれも単独で配合されており、それぞれ毛髪の感触や見た目のつや向上効果自体、適用直後には十分なものの、持続性に乏しいという欠点が存在する。単独ではすぐに揮発してしまうためと推定されるため、持続性向上を目的としてメチルポリシロキサンやアミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどのシリコーン油を組み合わせる試みもなされているものの、持続性はいまだ十分ではなく、油性感が増加してしまい、却って毛髪の感触が悪化してしまうなど、前記欠点はいまだ解消されていない。
【0004】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、毛髪の感触や見た目のつや向上効果を保ちつつ、毛髪の油性感の増加を伴なうことなく、顕著な持続性向上効果を発揮する毛髪用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の毛髪用組成物は、(A)下記一般式(1)で示される分岐型ポリグリセリン変性シリコーン、(B)ベタイン変性シリコーン、および(C)皮膜形成性樹脂を含有したことを特徴とするものである。
【0006】
【化2】

【0007】
[式中、nは2〜20の整数、x、y、z及びwはそれぞれ分子量に依存した整数を表す。]
請求項2に記載の発明の毛髪用組成物は、請求項1に記載の発明において、前記成分(C)皮膜形成性樹脂の質量に対する前記成分(A)分岐型ポリグリセリン変性シリコーンの質量比が0.05〜2で、かつ成分(C)の質量に対する前記成分(B)ベタイン変性シリコーンの質量比が0.05〜2となるように含有したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
【0009】
請求項1に記載の発明の毛髪用組成物では、成分(A)〜成分(C)を含有したことにより、毛髪の感触や見た目のつやに優れ、更にはこれらの持続性が顕著に向上するという優れた効果が得られる。
【0010】
請求項2に記載の発明の毛髪用組成物では、成分(A)と成分(C)、および成分(B)と成分(C)の含有量をそれぞれ特定の質量比範囲とすることにより、毛髪の感触や見た目のつやの持続性ををさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の毛髪用組成物の実施形態について詳細に説明する。
【0012】
成分(A)の分岐型ポリグリセリン変性シリコーンは、上記一般式(1)で示すように、親水性基としてポリグリセリン鎖を有する分岐型のシリコーン化合物である。
【0013】
上記の一般式(1)で示される分岐型ポリグリセリン変性シリコーンの具体例としては、ポリグリセリル−3ジシロキサンジメチコン(Polyglyceryl-3 Disiloxane Dimethicone)、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(Polyglyceryl-3 Polydimethylsiloxyethyl Dimethicone)の名称でCTFA辞典(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)に記載されている化合物などが挙げられる。
【0014】
毛髪用組成物中における成分(A)の含有量は、好ましくは0.005〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜2質量%である。この含有量が0.005質量%未満であると、毛髪の感触や見た目のつや向上効果が十分に得られないおそれがある。一方、10質量%を超えると、毛髪にべたつき感が生じるおそれがある。
【0015】
成分(B)は、ベタイン部を有する官能基が、シリコーン骨格にアルキレン基や多価アルコール基などを介するかまたは直接結合したシリコーン化合物である。
【0016】
成分(B)ベタイン変性シリコーンの具体例としては、ジメチコンプロピルPGベタインを挙げることができる。毛髪用組成物中における含有量は、好ましくは0.005〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜2質量%である。この含有量が0.005質量%未満であると、毛髪の感触や見た目のつや向上効果が十分に得られないおそれがある。一方、10質量%を超えると、毛髪にべたつき感が生じるおそれがある。
【0017】
成分(C)の皮膜形成性樹脂は、前記成分(A)および成分(B)を毛髪上に定着させ、毛髪の感触および見た目のつや向上効果を持続させるために含有される。成分(C)は、毛髪に付着して皮膜を形成し得るものであれば特に制限されず、従来から皮膜形成性樹脂として使用されている公知の両性ポリマー、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマーなどの中から一種又は二種以上を適宜選択して使用することができる。
【0018】
両性ポリマーの具体例としては、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−53などを挙げることができる。
【0019】
アニオン性ポリマーの具体例としては、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸ブチル)コポリマー、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー、(VA/クロトン酸)コポリマー、(VA/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル)コポリマー、(VA/クロトン酸/プロピオン酸ビニル)コポリマー、(VA/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニル)コポリマー、(アクリレーツ/アクリルアミド)コポリマー、キサンタンガム、ヒドロキシアルキルキサンタンガムなどを挙げることができる。
【0020】
カチオン性ポリマーの具体例としては、ポリクオタニウムー4、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−61、ポリクオタニウム−64などを挙げることができる。
【0021】
ノニオン性ポリマーの具体例としては、ポリビニルカプロラクタム、PVP、(ビニルピロリドン/VA)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、高重合ポリエチレングリコールなどを挙げることができる。
【0022】
以上の皮膜形成性樹脂のうち、本実施形態における発明の効果を最も良好に発揮することから、(C)成分はポリクオタニウムー4、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、ポリビニルカプロラクタムから選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。
【0023】
毛髪用組成物における成分(C)皮膜形成性樹脂の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.03〜5.0質量%、さらに好ましくは0.05〜3.0質量%である。この含有量が0.01質量%未満であると持続性向上効果が十分得られない。一方、10質量%を超えると、毛髪にごわつき感が増し感触が低下するおそれがある。
【0024】
また、本実施形態の毛髪用組成物においては、毛髪の感触および見た目のつやの持続性がより向上することから、成分(C)に対する成分(A)の質量比、および成分(C)に対する成分(B)の質量比がいずれも0.05〜2となるように含有されることがより好ましく、0.1〜1となるように含有されることがさらに好ましい。
【0025】
なお、成分(C)は溶剤などで希釈された形態で市販される場合もあるが、本願明細書中に記載する成分(C)の質量とは、いずれも純分の質量を意味する。
【0026】
本実施形態の毛髪用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、一般に毛髪用組成物に配合されるその他の成分を配合することができる。その他の成分としては、水、油性成分、界面活性剤、成分(C)に該当しない増粘剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。これら任意成分の種類並びに配合量は、毛髪用組成物の各用途の常法に従って決定される。
【0027】
水は各成分の溶媒又は分散媒として適量配合される。
【0028】
油性成分は、毛髪に軟らかさと潤いを与えるために配合される。油性成分としては、油脂類、ロウ類、高級アルコール、炭化水素類、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、成分(A)および(B)に該当しないシリコーン類などが用いられる。
【0029】
油脂としては、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油アボカド油、カロット油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油などが挙げられる。ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリンなどが挙げられる。
【0030】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコールなどが挙げられる。
【0031】
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、ポリブテン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、オゾケライト、セレシン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリンなどが挙げられる。
【0032】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸などが挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテルなどが挙げられる。
【0033】
エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10-30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体などが挙げられる。
【0034】
成分(A)および(B)に該当しないシリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650を超える高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーンなどが挙げられる。アモジメチコンの具体例として、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコンが例示される。ポリエーテル変性シリコーンの具体例として、PEG−12ジメチコンが例示される。
【0035】
界面活性剤は、組成物の安定性を保持するために配合される。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0036】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、エーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤などが挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどが挙げられる。
【0037】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリルなどが挙げられる。
【0038】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0039】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、脂肪酸塩、金属セッケン、アシルグルタミン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどが挙げられる。脂肪酸塩としては、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸イソプロパノールアミン、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウムなどが挙げられる。金属セッケンとしては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸マグネシウムなどが挙げられる。アシルグルタミン酸塩としては、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。アシルメチルタウリン塩としては、ラウロイルメチルタウリンカリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウムなどが挙げられる。アルキル硫酸エステル塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンなどが挙げられる。アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0040】
両性界面活性剤の具体例としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ウンデシルカルボキシメトキシエチルカルボキシメチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム液、ビス(ステアリル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリン)クロル酢酸錯体、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムジナトリウムヒドロキシド、ヤシ油アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムジナトリウムヒドロキシド、ヤシ油アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムジナトリウムラウリル硫酸、ヤシ油アルキルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルN−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムドデカノイルサルコシン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリン酸アミドプロピルベタイン液、ラウリルスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどが挙げられる。
【0041】
成分(C)に該当しない増粘剤としては、主にノニオン性もしくはアニオン性高分子化合物が用いられ、例えばアラビアガム、カラギーナン、ガラクタン、グアーガム、クインスシードガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、ペクチン、マンナン、デンプン、デキストラン、ヒアルロン酸、カードラン、サクシノグルカン、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミンなどの天然高分子、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、可溶性デンプンなどのデンプン系高分子、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸系高分子などから成る半合成高分子、カルボマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ソーダ、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリルアミド、アクリルアミド・アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体などの合成高分子、ベントナイト、ラポナイトなどの無機物系高分子が挙げられる。
【0042】
溶剤としては、低級アルコール、多価アルコール、芳香族アルコールなどが挙げられる。
【0043】
低級アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどが挙げられる。多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類などが挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。芳香族アルコールの具体例としては、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノールなどが挙げられる。
【0044】
着色剤は、組成物自体への着色や毛髪への着色のために配合される。着色剤としては、直接染料、有機および無機顔料、天然色素、金属粉末などが挙げられる。直接染料としてはニトロ染料、酸性染料、塩基性染料(カチオン染料)、分散染料などが挙げられる。
【0045】
ニトロ染料としては、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orenge No.1、HC Orenge No.2、HC Orenge No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、
HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15などが挙げられる。
【0046】
酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色227号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、かっ色201号、黒色401号などが挙げられる。
【0047】
塩基性染料としては、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 47、Basic Blue 99、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Green 1、Basic Green 4、Basic Orange 1、Basic Orange 2、Basic Orange 31、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet 3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet 11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow 11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87などが挙げられる。
【0048】
分散染料としては、Disperse Black 9、Disperse Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse Orange 3、Disperse Red 11、Disperse Red 15、Disperse Red 17、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Violet 15などが挙げられる。
【0049】
その他の直接染料としては、1−アミノ−4−メチルアントラキノン及びその塩、HC Blue No.4、HC Blue No.7、HC Blue No.8、HC Blue No.14、HC Brown No.1、HC Brown No.2、HC Green No.1、HC Orenge No.5、HC Red No.8、HC Red No.9、HC Yellow No.7、HC Yellow No.8、並びに「医薬品などに使用することができるタール色素を定める省令」(昭和41年告示、厚生省)により定められた直接染料が挙げられる。
【0050】
有機および無機顔料としては、前記酸性染料のアルミニウムレーキやバリウムレーキ、カーボンブラック、タルク、カオリン、マイカ、雲母チタン、着色雲母チタン、ベンガラ、珪酸マグネシウム、酸化チタン、黒酸化鉄、アルキル変性シリコーン被覆黄酸化鉄、黒酸化チタン、グンジョウが挙げられる。天然色素としては、ピロガロール、カミツレ、ヘンナ、ヘマティン、魚鱗箔などが挙げられる。金属粉末としては、アルミニウムパウダー、樹脂被覆金属末などが挙げられる。
【0051】
さらに、その他の成分としてソルビトール、マルトースなどの糖類、メチルパラベンなどの防腐剤、EDTA−Naなどのキレート剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0052】
毛髪用組成物の剤型は、水溶液状、分散液状、乳化液状などの液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、クリーム状、粉末状など特に限定されない。フォーム状などの剤型とする場合は、毛髪用組成物に噴射剤を含有させてもよい。噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素、ヘキサンおよびイソペンタンなどが挙げられる。
【実施例】
【0053】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
(実施例1〜12)
アウトバストリートメントとしての実施例1〜12を、表1に示すように常法に従い調製した。なお、以下の各表における数値は質量%を示す。また、表中の(A)(B)(C)の記載はそれぞれ本願発明の成分(A)、成分(B)、成分(C)に該当することを示し、(a)(b)はそれぞれ本願発明の成分(A)、成分(B)に該当しない比較対照成分であることを示す。
【0054】
【表1】

【0055】
(比較例1〜8)
アウトバストリートメントとしての比較例1〜8を、表2に示すように常法に従い調製した。
【0056】
【表2】

【0057】
表1および表2の各例のアウトバストリートメントについて、10名のパネラーが毛髪の感触及び見た目のつやを、各組成物をウイッグに塗布した直後およびウイッグを30℃50%RHの恒温恒湿槽条件で1日放置した後の2回、以下に示す基準で評価した。評価結果を各表に示す。
<塗布直後の毛髪の感触>
人毛を植毛したテスト用ウイッグを洗浄後、ハーフドライの状態でアウトバストリートメントを塗布した直後に、きわめて滑らかで軟らかく優れた感触である(4点)、滑らかで軟らかく良好な感触である(3点)、滑らかさ軟らかさにやや欠けた感触である(2点)、滑らかさ軟らかさがかなり欠けた感触である(1点)の4段階で評価した。各パネラーの採点結果について平均点を算出し、平均値が3.6点以上を「優れる:◎」、2.6点以上3.5点以下を「良好:○」、1.6点以上2.5点以下を「やや悪い:△」、1.5点以下を「悪い:×」とし、評価結果とした。
<塗布直後の見た目のつや>
見た目のつやが極めて優れている(4点)、見た目のつやが良好である(3点)、見た目のつやがやや弱い(2点)、見た目のつやがなく、くすむ(1点)の4段階で評価した。各パネラーの採点結果について平均点を算出し、平均値が3.6点以上を「優れる:◎」、2.6点以上3.5点以下を「良好:○」、1.6点以上2.5点以下を「やや悪い:△」、1.5点以下を「悪い:×」とし、評価結果とした。
<塗布直後の油性感の少なさ>
油性感を全く感じず、優れている(4点)、油性感をあまり感じず、良好である(3点)、やや油性感を感じ、やや劣る(2点)、油性感を強く感じ、悪い(1点)の4段階で評価した。各パネラーの採点結果について平均点を算出し、平均値が3.6点以上を「優れる:◎」、2.6点以上3.5点以下を「良好:○」、1.6点以上2.5点以下を「やや悪い:△」、1.5点以下を「悪い:×」とし、評価結果とした。
<1日放置後の毛髪の感触>
前記条件で1日放置した後に、前記同様の評価基準で毛髪の感触を評価した。
<1日放置後の見た目のつや>
前記条件で1日放置した後に、前記同様の評価基準で見た目のつやを評価した。
【0058】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜12では、毛髪の感触および見た目のつやについては、直後並びに1日放置後ともほとんど変わらない良好な結果が得られている。このうち実施例1〜6については、成分(A)〜成分(C)が、成分(C)の質量に対する成分(A)の質量比、および成分(C)に対する成分(B)の質量比がいずれも0.05〜2となるように含有しているため、1日放置後の毛髪の感触、および毛髪のつやの評価が塗布直後とまったく変わっておらず、持続性が特に優れていた。
【0059】
一方、表2の比較例1〜3は、実施例1の成分(A)〜成分(C)のうち、いずれか一成分を欠いた例であり、いずれの例も実施例1と比較して評価が悪い結果であった。
【0060】
また、比較例4は、実施例1の成分(A)を欠き、代わりに同量の成分(B)を追加した例で、比較例5は実施例1の成分(B)を欠き、代わりに同量の成分(A)を追加した例であるが、いずれも実施例1と比較して評価が悪い結果であった。
【0061】
さらに比較例6〜8は、実施例1の成分(A)または成分(B)を、それぞれ対照成分で同量置き換えた例であるが、実施例1と比較して、本願発明独自の効果である優れた持続性が全く得られないばかりか、塗布直後の油性感の評価が悪化していることが分かった。
(実施例13〜17) 毛髪着色料としての実施例13〜17を、表3に示すように調製した。
【0062】
【表3】

【0063】
表3の各例の毛髪着色料について前記と同様に評価した結果、毛髪の感触、見た目のつや、持続性いずれも優れた結果であった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明により、シリコーン配合の利点が十分得られると共に、その欠点である持続性の低さが解消された毛髪用組成物が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で示される分岐型ポリグリセリン変性シリコーン、(B)ベタイン変性シリコーン、および(C)皮膜形成性樹脂を含有したことを特徴とする毛髪用組成物。
【化1】

[式中、nは2〜20の整数、x、y、z及びwはそれぞれ分子量に依存した整数を表す。]
【請求項2】
前記成分(C)皮膜形成性樹脂の質量に対する前記成分(A)分岐型ポリグリセリン変性シリコーンの質量比が0.05〜2で、かつ成分(C)の質量に対する前記成分(B)ベタイン変性シリコーンの質量比が0.05〜2となるように含有したことを特徴とする請求項1に記載の毛髪用組成物。

【公開番号】特開2008−308435(P2008−308435A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157170(P2007−157170)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】