説明

気体噴出処理装置

【課題】被処理物に対して上下から熱風を噴出させる気体噴出処理装置において、ハウジングの壁部が高温になることを低減する。
【解決手段】ハウジングと、通気性を有しハウジング内において被処理物Wを搬送するコンベア20と、コンベア20の上方/下方に位置する上側チャンバ30a/下側チャンバ30bに設けられ各チャンバ30a/30bの内部の気体を下方/上方に噴出する複数の上側ノズル40a/下側ノズル40bとを有する。下側チャンバ30bには、上側チャンバ30aのうちの壁部11a等の側の縁部を基準に壁部11a等の側に向かってはみ出したはみ出し部30bxが形成され、はみ出し部30bxには、下側ノズル40bの一部として下側はみ出し部ノズル40bxが設けられている。下側はみ出し部ノズル40bxは、下側チャンバ30bの上面からその内部に向かう筒状をしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品や建材等の被処理物(ワークともいう)に対して気体(高温又は常温の空気等)を噴出して、乾燥,加熱,冷却等の処理を行う装置に関するものである。
【0002】
この種の装置としては、従来より、次の構造のものがある。その一例が特許文献1に記載されている。
その装置は、ハウジング,コンベア,上側チャンバ,下側チャンバを有している。
ハウジングは、ほぼ閉じた空間を形成している。
コンベアは、通気性を有するものであり、エンドレス状をしている(上側の往路部と下側の復路部を形成する)。
【0003】
上側チャンバは、ハウジング内において、コンベア(往路部)の上側に位置している。下側チャンバは、ハウジング内において、コンベア(往路部)の下側に位置している。
上側チャンバには、下方に向けて熱風等の気体を噴出する多数のノズル(上側ノズル)が設けられている。下側チャンバには、上方に向けて同じく熱風等の気体を噴出する多数のノズル(下側ノズル)が設けられている。
【0004】
ハウジング内において、上側チャンバよりも上側の空間(上部空間ということとする)と、上側チャンバ及び下側チャンバとは、ダクトによって連結されている。すなわち、ダクトの上流端の開口部は上部空間に位置し、ダクトは途中で2股に分岐し、その各下流端部は上側チャンバ及び下側チャンバに接続されている。
そして、ダクトのうちの上流端(開口部)の近傍に設けられたファンが作動することによって、上部空間の気体(空気)がダクトを通って、上側チャンバ及び下側チャンバに流入し、上側ノズル及び下側ノズルから気体(空気)が噴出される。
【0005】
ハウジングに対してバーナが設けられている場合もある。バーナの吹き出し口は、上部空間において、ダクトの上流端(開口部)の近傍に開口している。
そして、バーナによって高温にされた気体(空気)がダクトを通って上側チャンバ及び下側チャンバに流入し、上側ノズル及び下側ノズルから高温の気体(熱風)が噴出される。
【0006】
そして、コンベアが循環することによって、コンベア(往路部)に載置された被処理物は、ハウジング内を移動しつつ、上側チャンバの各上側ノズルから噴出される気体、及び、下側チャンバの各下側ノズルから噴出される気体を受け、乾燥,加熱等の処理が行われる。
【0007】
そして、従来のこの種の装置においては、各組の上側チャンバと下側チャンバとは対応した大きさを有しており、上側ノズルが配設されている領域と、下側ノズルが配設されている領域とは同一である。
このことは、コンベアによって搬送される被処理物に対して、その上下から噴出される気体によって処理する、という観点から、本来的には自然なことである。
【0008】
ところで、上述のようにコンベア(その往路部)は、ともに多数の上側ノズル及び下側ノズルから気体の噴出を受けるため、コンベア及びその近傍(すなわち、ハウジング内のうちの上側チャンバよりも下側の空間)は、高圧となる。
このため、上側チャンバよりも下側の空間の気体(空気)は、ハウジングの壁部と上側チャンバとの間の隙間や、隣接する上側チャンバ同士の間の隙間を通って(上側チャンバ及び下側チャンバが複数組存在する場合)、上部空間に流れる(戻る)。
【0009】
ここで、前述のようにバーナの作動に基づいて高温の気体(熱風)が上側ノズル及び下側ノズルから噴出される場合は、上側チャンバよりも下側の空間には高温の気体(空気)が充満することになる。
これによって、その部分に対応するハウジングの壁部(その外面も)が高温となる。壁部(その外面)が高温となると、その外部の温度(その気体処理装置が設置されている工場内の温度)が高くなってしまい、種々の不都合が生ずる。例えば、その近傍を立ち入り禁止にする必要があり、省スペースに反することになる。
また、壁部が高温となるということは、壁部を通ってハウジング内の熱エネルギーが外部(その気体処理装置が設置されている工場内の空気)に流出するということであり、その点でも省エネルギーに反することとなる。
【0010】
被処理物がスナック菓子等の比重の軽いものの場合は、上下から受ける気体の流れによって、その被処理物はコンベアから外れてしまうこともあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−146401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、被処理物に対して上下から気体を噴出させる気体噴出処理装置において、その気体が高温のものであってもハウジングの壁部が高温になることを低減することを課題とする。
併せて、被処理物がコンベアから外れてしまうことも低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために、請求項1に係る発明は、気体を噴出することによって被処理物に対する処理を行う気体噴出処理装置であって、壁部を有し、ほぼ閉じた空間を形成するハウジングと、通気性を有し、前記ハウジング内において前記被処理物を搬送するコンベアと、前記ハウジング内において前記コンベアの上方に設けられた上側チャンバと、前記上側チャンバに対応して前記コンベアの下方に設けられた下側チャンバと、前記上側チャンバに設けられ、当該上側チャンバの内部の気体を下方に向かう成分を有する気体噴出方向に噴出する複数の筒状の上側ノズルと、前記下側チャンバに設けられ、当該下側チャンバの内部の気体を上方に向かう成分を有する気体噴出方向に噴出する複数の筒状の下側ノズルとを有し、前記下側チャンバのうちの前記ハウジングの前記壁部の側の縁部の近傍には、当該縁部に沿って、前記複数の下側ノズルの一部として複数の下側壁際非干渉ノズルが設けられており、前記下側壁際非干渉ノズルを当該気体噴出方向に仮想的に延長したものは、前記上側チャンバに干渉せず、前記ハウジングのうちの当該上側チャンバよりも上側の空間に到達するものである、気体噴出処理装置である。
【0014】
「前記下側チャンバのうちの前記ハウジングの前記壁部の側の縁部の近傍」とは、その壁部に対して接近・離隔する方向に沿って複数の下側チャンバが存在する場合には、そのうちの最も壁部に近い下側チャンバのうちの当該壁部の側の縁部の近傍のことをいう。このことは、他の請求項に係る発明においても同様である。
【0015】
この発明の気体噴出処理装置では、コンベアによって被処理物がハウジング内を搬送されつつ、上側チャンバの複数の上側ノズルから噴出される気体、及び、下側チャンバの複数の下側ノズルから噴出される気体によって、その被処理物に対して処理が行われる。
【0016】
その際、ハウジングの壁部の近傍においては、次の作用効果が得られる。
すなわち、この発明の気体噴出処理装置では、下側チャンバのうちの壁部の側に設けられた下側壁際非干渉ノズルをその気体噴出方向に仮想的に延長したものが、上側チャンバに干渉せず、ハウジングのうちのその上側チャンバよりも上側の空間(上部空間という)に到達する。
このため、その下側壁際非干渉ノズルから噴出される気体は、その上側チャンバにぶつかることなく、噴射された際の勢いのまま、円滑に上部空間に流入する。
このように下側壁際非干渉ノズルから噴出される気体が上部空間に対して円滑に流れることに基づいて、その下側壁際非干渉ノズルをその気体噴出方向に仮想的に延長した部分及びその近傍には、周囲の気体を引きつれて、その気体噴出方向に沿った気流が発生する。そして、その気流によって、その気流よりも内側(ハウジング内において壁部から離隔する方向の部分)の空間と、その気流と壁部との間の空間とが、隔離されることとなる。
【0017】
このため、上側ノズル及び下側ノズルから高温の気体(熱風)が噴出されると、コンベア及びその近傍が高温になるが、壁部が高温になることが防止(低減)される。
このため、その壁部の外面が高温になることが防止され、その近傍を立ち入り禁止にする必要性も小さくなり、省スペースが図られる。また、壁部を通ってハウジング内の熱エネルギーが外部に流出することも防止(低減)することができ、省エネルギーが図られる。
【0018】
さらに、ハウジングの壁部のうち、進行方向に延びるコンベアの両側の壁部の近傍においては、次の作用効果が得られる。
当該両側の壁部の近傍に設けられた下側壁際非干渉ノズルから噴出される気体に基づいて上述のように形成される両気流によって、両気流の間の空間と、各気流の外側(壁部の側)の空間とが、隔離される、ともいえる。
このため、その両気流の間の空間をコンベアによって進行する被処理物が、その各気流よりも外側(壁部の側)に外れることが防止(低減)され、被処理物がコンベアによって円滑に搬送され得る。
【0019】
なお、各ノズル(上側ノズル,下側ノズル(そのうち特に下側壁際非干渉ノズル))から噴出される気体は、基本的にその各ノズルの気体噴出方向に沿って流れるが、その一部が気体噴出方向よりも広がる方向にも流れる場合もある。しかしながら、この発明は、気体噴出方向に沿って流れる気体に着目したものである。このことは、他の請求項に係る発明においても同様である。
【0020】
請求項2に係る発明は、気体を噴出することによって被処理物に対する処理を行う気体噴出処理装置であって、壁部を有し、ほぼ閉じた空間を形成するハウジングと、通気性を有し、前記ハウジング内において前記被処理物を搬送するコンベアと、前記ハウジング内において前記コンベアの上方に設けられた上側チャンバと、前記上側チャンバに対応して前記コンベアの下方に設けられた下側チャンバと、前記上側チャンバに設けられ、当該上側チャンバの内部の気体を下方に向かう成分を有する気体噴出方向に噴出する複数の筒状の上側ノズルと、前記下側チャンバに設けられ、当該下側チャンバの内部の気体を上方に向かう成分を有する気体噴出方向に噴出する複数の筒状の下側ノズルとを有し、前記下側チャンバのうちの前記ハウジングの前記壁部の側の縁部は当該下側チャンバに対応する前記上側チャンバの当該壁部の側の縁部よりも当該壁部に近い位置にあって、当該下側チャンバには、当該下側チャンバに対応する前記上側チャンバのうちの当該壁部の側の縁部を基準に当該壁部の側に向かってはみ出したはみ出し部が形成され、前記はみ出し部には、前記複数の下側ノズルの一部として、当該下側チャンバの内部の気体を上方に向かう気体噴出方向に噴出する下側壁際非干渉ノズルが設けられている、気体噴出処理装置である。
【0021】
この発明の気体噴出処理装置では、コンベアによって被処理物がハウジング内を搬送されつつ、上側チャンバの複数の上側ノズルから噴出される気体、及び、下側チャンバの複数の下側ノズルから噴出される気体によって、その被処理物に対して処理が行われる。
【0022】
その際、ハウジングの壁部の近傍においては、次の作用効果が得られる。
すなわち、この発明の気体噴出処理装置では、下側チャンバには、対応する上側チャンバのうちのハウジングの壁部の側の縁部を基準に当該壁部の側に向かってはみ出したはみ出し部が形成され、下側壁際非干渉ノズルは、そのはみ出し部に設けられ、下側チャンバの内部の気体を上方に向かう気体噴出方向に噴出する。
このため、その下側壁際非干渉ノズルから噴出される気体は、その上側チャンバにぶつかることなく、噴射された際の勢いのまま、円滑に上部空間に流入する。
このように下側壁際非干渉ノズルから噴出される気体が上部空間に対して円滑に流れることに基づいて、その下側壁際非干渉ノズルを上方(気体噴出方向)に仮想的に延長した部分及びその近傍には、周囲の気体を引きつれて、上方に向かう気流(上昇気流)が発生する。そして、その上昇気流によって、その上昇気流よりも内側(ハウジング内において壁部から離隔する方向の部分)の空間と、その上昇気流と壁部との間の空間とが、隔離されることとなる。
【0023】
このため、上側ノズル及び下側ノズルから高温の気体(熱風)が噴出されると、コンベア及びその近傍が高温になるが、壁部が高温になることが防止(低減)される。
このため、その壁部の外面が高温になることが防止され、その近傍を立ち入り禁止にする必要性も小さくなり、省スペースが図られる。また、壁部を通ってハウジング内の熱エネルギーが外部に流出することも防止(低減)することができ、省エネルギーが図られる。
【0024】
さらに、ハウジングの壁部のうち、コンベアの進行方向を基準に両側の壁部の近傍においては、次の作用効果が得られる。
当該両側の壁部の近傍に設けられた下側壁際非干渉ノズルから噴出される気体に基づいて上述のように形成される両上昇気流によって、両上昇気流の間の空間と、各上昇気流の外側(壁部の側)の空間とが、隔離される、ともいえる。
このため、その両上昇気流の間の空間をコンベアによって進行する被処理物が、その各上昇気流よりも外側(壁部の側)に外れることが防止(低減)され、被処理物がコンベアによって円滑に搬送され得る。
【0025】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明の気体噴出処理装置であって、前記下側壁際非干渉ノズルは、当該下側チャンバの上面を基準に当該下側チャンバの内部に向かう筒状をしている、気体噴出処理装置である。
【0026】
この発明の気体噴出処理装置では、請求項1又は請求項2に係る発明の気体噴出処理装置の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、請求項1及び請求項2に係る発明の気体噴出処理装置では下側ノズル(下側壁際非干渉ノズルを含む)は筒状をしているところ、この発明の気体噴出処理装置では、下側壁際非干渉ノズルは、下側チャンバのうちの上面を基準にチャンバの内部に向かう筒状をしている。
このため、下側壁際非干渉ノズルから噴出される気体は、下側チャンバの上面から、当該下側チャンバの外側(ハウジングの内側)の空間を流れる。
このため、前述のようにして発生する気流/上昇気流は、下側チャンバの上面から発生することとなる。すなわち、仮に下側壁際非干渉ノズルが下側チャンバの上面からチャンバの外部に向かう筒状をしている場合は、その下側壁際非干渉ノズルの先端部から前述の気流/上昇気流が発生するのであるが、この発明の気体噴出処理装置では、下側チャンバの上面から前述の気流/上昇気流が発生する。
このため、前述したように、この気流/上昇気流によってその気流/上昇気流よりも内側(ハウジング内において壁部から離隔する方向の部分)の空間とその気流/上昇気流と壁部との間の空間とが隔離されるのであるが、この発明の気体噴出処理装置では、そのように隔離されるのが、上述したように下側チャンバの上面からその気流/上昇気流が発生する分だけ、下方にも及ぶこととなり、請求項1又は請求項2に係る発明について述べた効果がより大きく得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例の熱風噴出乾燥装置の縦断面図である。被処理物の進行方向に延びる仮想鉛直面で切断した際の縦断面図(一部はその端面)である。その一部はさらに仮想的に破断され、その破断端面が示されている。
【図2】本発明の一実施例の熱風噴出乾燥装置の縦断面図である。被処理物の進行方向と垂直に延びる仮想鉛直面で切断した際の縦断面図である。その一部はさらに仮想的に破断され、その破断端面が示されている。
【図3】本発明の一実施例の熱風噴出乾燥装置の要部の縦断面図である。図1の部分拡大図である。
【図4】本発明の一実施例の熱風噴出乾燥装置の要部の縦断面図である。図2の部分拡大図である。
【図5】本発明の一実施例の熱風噴出乾燥装置の横断面図(一部破断)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の一実施例である熱風噴出乾燥装置(気体噴出処理装置)について、図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、この熱風噴出乾燥装置は、ハウジング10,コンベア20,上側チャンバ30a,下側チャンバ30b等を有している。
そして、この熱風噴出乾燥装置は、熱風によって、食品(乾燥処理前のもの)等の被処理物Wを乾燥(処理)させるものである。
【0029】
ハウジング10は、直方体状をしている。
すなわち、ハウジング10は、前後に一対の幅方向壁部11a,左右に一対の長さ方向壁部11b,底板部11c,上板部11dを有しており、その内側に、ほぼ閉じた空間を形成している。各幅方向壁部11aはハウジング10の幅方向に延び、各長さ方向壁部11bはハウジング10の長さ方向(コンベア20の進行方向)に延びている。
【0030】
図1に示すように、コンベア20は、エンドレス状をなし、ハウジング10の長さ方向に延びている。コンベア20は、ハウジング10の外部に位置する一対の支持部16によって支持されている。各支持部16はスプロケットを主材とするとともに、そのうちの一方には駆動用モータ(図示省略)が設けられている。
【0031】
コンベア20は、いわゆるバケットコンベアである。コンベア20は、その進行方向に多数のバケット22を有している。各バケット22は、進行方向に近接しているが直接的には相互に連結されておらず、左右一対のチェーン23に連結されている。
各バケット22は、上方が開口した箱状をしており、網材等の通気性を有する素材によって形成されている。このため、コンベア20(各バケット22)を横断(貫通)して空気(気体)が流通可能である。
エンドレス状のコンベア20のうちの上側部分が往路部21aであり、下側部分が復路部21bである。
なお、図面中、コンベア20,支持部16等については模式的に簡略に示されている。
【0032】
ハウジング10の上流側の幅方向壁部11aには往路用入口部12A及び復路用出口部14Aが形成されており、ハウジング10の下流側の幅方向壁部11aには往路用出口部12B及び復路用入口部14Bが形成されている。
コンベア20の往路部21aは、往路用入口部12Aを通ってハウジング10の内部に流入し、往路用出口部12Bを通ってハウジング10の外部に流出する。復路部21bは、復路用入口部14Bを通ってハウジング10の内部に流入し、復路用出口部14Aを通ってハウジング10の外部に流出する。
【0033】
こうして、図1及び図3に示すように、コンベア20の往路部21aの各バケット22に被処理物Wが収容された状態でコンベア20が循環することによって、コンベア20(その往路部21a)によって被処理物Wが移動される。
すなわち、図1に示すように、被処理物Wは、往路用入口部12Aを通ってハウジング10内に入り、ハウジング10内を移動し、往路用出口部12Bを通ってハウジング10から出る。
【0034】
図1及び図2に示すように、上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bは、ハウジング10内に配設されている。上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bは、上下に対状をなし、ハウジング10の長さ方向(被処理物Wの進行方向)に沿って複数組設けられている。
【0035】
ハウジング10には、各組の上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bに対応して、バーナ50及びダクト60が設けられている。
ここで、ハウジング10のうち上側チャンバ30aよりも上側の空間を上部空間18ということとする。
ダクト60の上流端の開口部61及びバーナ50(その吹き出し口の先端部)は、いずれも、上部空間18に位置している。
【0036】
図2に示すように、ダクト60は、途中で2股に分岐し、その各下流端部は上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bに接続されている。
図1及び図2に示すように、ダクト60の内部(例えば、開口部61の近傍)には、ファン62が設けられている。
このため、バーナ50によって高温にされた空気が、ファン62によって開口部61を通ってダクト60内に流入し、ダクト60内を流れ、上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bに流入する。
【0037】
各上側チャンバ30aは、コンベア20の往路部21aの上方に位置している。各下側チャンバ30bは、コンベア20の往路部21aの下方であってコンベア20の復路部21bの上方に位置している。
図1〜図4に示すように、各上側チャンバ30aは、ほぼ直方体状の容器状をしており、その下面には、多数のノズル(上側ノズル40a)が設けられている。各上側ノズル40aは、円筒状をしており、その気体噴出方向は下方(鉛直下方)である。
同様に、各下側チャンバ30bは、ほぼ直方体状の容器状をしており、その上面には、多数のノズル(下側ノズル40b)が設けられている。各下側ノズル40bも、円筒状をしており、その気体噴出方向は上方(鉛直上方)である。
【0038】
このため、図3及び図4に示すように、上側チャンバ30a内の高温の空気(熱風)は、上側ノズル40aから、下方(鉛直下方)に噴射される。
同様に、下側チャンバ30b内の高温の空気(熱風)は、下側ノズル40bから上方(鉛直上方)に噴射される。
【0039】
そして、図1〜図5に示すように、この熱風噴出乾燥装置では、各上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bのうち、各壁部(一対の幅方向壁部11a,一対の長さ方向壁部11b)の側の縁部において、次のようにされている。
なお、前述したように上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bは対状をなしハウジング10の長さ方向に沿って複数組設けられているため、上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bの上流側の幅方向壁部11aの側の縁部とは、複数組の上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bのうち、最も上流側の組の上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bの上流側の幅方向壁部11aの側の縁部のことをいう。同様に、上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bの下流側の幅方向壁部11aの側の縁部とは、複数組の上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bのうち、最も下流側の組の上側チャンバ30a及び下側チャンバ30bの下流側の幅方向壁部11aの側の縁部のことをいう。
【0040】
図3及び図5に示すように、上側チャンバ30aのうちの上流側・下流側の各幅方向壁部11aの側の縁部は、対応する下側チャンバ30bの幅方向壁部11aの側の縁部よりも、その幅方向壁部11aから後退(離隔)する位置にある。すなわち、ハウジング10の内部の側に位置している。
別の見方をすると、下側チャンバ30bの各幅方向壁部11aの側の縁部は、対応する上側チャンバ30aの幅方向壁部11aの側の縁部よりも、その幅方向壁部11aに近い位置にある。すなわち、下側チャンバ30bには、はみ出し部30bx(長さ方向はみ出し部30bxb)が形成されている。長さ方向はみ出し部30bxbは、対応する上側チャンバ30aのうちの幅方向壁部11aの側の縁部を基準に、その幅方向壁部11aの側に向かって、ハウジング10の長さ方向(コンベア20の進行方向)にはみ出している。
【0041】
同様に、図4及び図5に示すように、各上側チャンバ30aの各長さ方向壁部11bの側の縁部は、対応する下側チャンバ30bの長さ方向壁部11bの側の縁部よりも、その長さ方向壁部11bから後退(離隔)する位置にある。すなわち、ハウジング10の内部の側に位置している。
別の見方をすると、下側チャンバ30bの各長さ方向壁部11bの側の縁部は、対応する上側チャンバ30aの長さ方向壁部11bの側の縁部よりも、その長さ方向壁部11bに近い位置にある。すなわち、下側チャンバ30bには、はみ出し部30bx(幅方向はみ出し部30bxa)が形成されている。幅方向はみ出し部30bxaは、対応する上側チャンバ30aのうちの長さ方向壁部11bの側の縁部を基準に、その長さ方向壁部11bの側に向かって、ハウジング10の幅方向(コンベア20の幅方向)にはみ出している。
【0042】
なお、下側チャンバ30bのうち、はみ出し部30bx(幅方向はみ出し部30bxa,長さ方向はみ出し部30bxb)以外の部分のことを通常部30bnということとする。通常部30bnは、対応する上側チャンバ30aと同一の大きさ(平面視における大きさ)を有している。
【0043】
前述したように、各上側チャンバ30aには多数の上側ノズル40aが設けられている。上側ノズル40aは、上側チャンバ30aの下面を基準に下方(鉛直下方)に向かって延びている。このため、前述したように、上側ノズル40aの気体噴出方向は下方(鉛直下方)である。
【0044】
同じく前述したように、各下側チャンバ30bには多数の下側ノズル40bが設けられている。すなわち、各下側チャンバ30bには、そのうちの通常部30bnにも、そのうちのはみ出し部30bx(幅方向はみ出し部30bxa,長さ方向はみ出し部30bxb)にも、下側ノズル40bが設けられている。
下側チャンバ30bのうちの通常部30bnに設けられている下側ノズル40bのことを下側通常部ノズル40bnということとする。
下側チャンバ30bのうちのはみ出し部30bx(幅方向はみ出し部30bxa,長さ方向はみ出し部30bxb)に設けられている下側ノズル40bのことを下側はみ出し部ノズル40bxということとする。下側はみ出し部ノズル40bxは、下側ノズル40bのうちの一部である。下側はみ出し部ノズル40bxは、本発明の下側壁際非干渉ノズルに該当する。
【0045】
前述したように、下側ノズル40b(下側通常部ノズル40bn,下側はみ出し部ノズル40bxとも)の気体噴出方向は上方(鉛直上方)である。
しかしながら、下側通常部ノズル40bnと下側はみ出し部ノズル40bxとは、次の点で相違する。
すなわち、下側通常部ノズル40bnは、下側チャンバ30bの上面を基準に上方(鉛直上方)に向かって延びている。
一方、下側はみ出し部ノズル40bxは、下側チャンバ30bの上面を基準に下方(鉛直下方)に向かって延びている。
【0046】
各下側チャンバ30bのうち下側通常部ノズル40bnが設けられている領域は、各上側チャンバ30aのうち上側ノズル40aが設けられている領域と一致又はほぼ一致している。この実施例では、下側通常部ノズル40bnと上側ノズル40aとは各々対応して設けられている。しかしながら、対応していないという態様(例えば、互い違いの位置関係で設けられているという態様)もあり得る。
【0047】
そして、図3及び図4に示すように、下側はみ出し部ノズル40bxは下側チャンバ30bのはみ出し部30bxに設けられており、その気体噴出方向は上方(鉛直上方)である(これらのことは前述)ことから、下側はみ出し部ノズル40bxをその気体噴出方向に仮想的に延長したものは、上側チャンバ30aに干渉せず、上部空間18に到達するといえる。このため、この下側はみ出し部ノズル40bxについては、その機能に着目して、下側壁際非干渉ノズルと称することもできる。
【0048】
次に、この熱風噴出乾燥装置(熱風噴出処理装置)の作用効果について説明する。
図1に示すように、コンベア20(往路部21a)の各バケット22内に、被処理物Wが収容される。そして、コンベア20が循環することによって、被処理物Wがハウジング10内を往路用入口部12Aから往路用出口部12Bまで移動する。
一方、ハウジング10内においては、上側チャンバ30aの上側ノズル40aから下方(鉛直下方)に熱風が噴出され、下側チャンバ30bの下側ノズル40bから上方(鉛直上方)に熱風が噴出される。
このため、ハウジング10内を移動する被処理物Wは、その上方及び下方の両方から熱風を受け、乾燥する。
【0049】
その際、図3〜図5に基づいて前述したように、この熱風噴出乾燥装置では、下側はみ出し部ノズル40bxは下側チャンバ30bのはみ出し部30bxに設けられており、その気体噴出方向は上方(鉛直上方)であって、下側はみ出し部ノズル40bxをその気体噴出方向である上方(鉛直上方)に仮想的に延長したものが上側チャンバ30aに干渉せず上部空間18に到達するものであるため、下側はみ出し部ノズル40bxから噴出される高温の空気(熱風)は、上側チャンバ30aにぶつかることなく、円滑に上部空間18に流入する。
そして、図3及び図5に示すように、下側はみ出し部ノズル40bx(一対の長さ方向はみ出し部30bxbに形成されたノズル40b)から噴出される空気が上部空間18に対して円滑に流れることに基づいて、周囲の空気を引きつれて、その下側はみ出し部ノズル40bxをその気体噴出方向である上方に仮想的に延長した部分及びその近傍には、上方に向かう気流(上昇気流)UCが発生する。
そして、その上昇気流UCによって、その気流よりも内側(ハウジング10内において壁部から離隔する方向の部分)の空間と、その気流と壁部との間の空間とが、隔離されることとなる。
同様に、図4及び図5に示すように、下側はみ出し部ノズル40bx(一対の幅方向はみ出し部30bxaに形成されたノズル40b)から噴出される空気が上部空間18に対して円滑に流れることに基づいて、周囲の空気を引きつれて、その下側はみ出し部ノズル40bxをその気体噴出方向である上方に仮想的に延長した部分及びその近傍には、上方に向かう気流(上昇気流)UCが発生する。
そして、その上昇気流UCによって、その気流よりも内側(ハウジング10内において壁部から離隔する方向の部分)の空間と、その気流と壁部との間の空間とが、隔離されることとなる。
【0050】
このため、上側ノズル40a及び下側ノズル40bから高温の気体(熱風)が噴出されると、コンベア20及びその近傍が高温になるが、壁部が高温になることが防止(低減)される。
このため、その壁部の外面が高温になることが防止され、その近傍を立ち入り禁止にする必要性も小さくなり、省スペースが図られる。また、壁部を通ってハウジング10内の熱エネルギーが外部に流出することも防止(低減)することができ、省エネルギーが図られる。
【0051】
また、図4に示すように、コンベア20の進行方向を基準に両側の壁部の近傍に設けられた下側はみ出し部ノズル40bx(一対の幅方向はみ出し部30bxaに形成されたノズル40b)から噴出される空気に基づいて上述のように形成される両上昇気流UCによって、両上昇気流UCの間の空間と、各上昇気流UCの外側(壁部の側)の空間とが、隔離されることとなる。
このため、コンベア20の各バケット22の中に収容されて、その両上昇気流UCの間の空間をコンベア20によって進行する被処理物Wが、例えば乾燥処理前の状態のスナック菓子等の比重の軽い(乾燥処理後において比重が軽い)ものであっても、その各上昇気流UCよりも外側(壁部の側)に外れることが防止(低減)され、被処理物Wがコンベア20によって円滑に搬送され得る。
【0052】
なお、上記のものはあくまで本発明の一実施例にすぎず、当業者の知識に基づいて種々の変更を加えた態様で本発明を実施できることはもちろんである。
【0053】
例えば、下側チャンバ30bにおいて、はみ出し部30bxとして、幅方向はみ出し部30bxa,長さ方向はみ出し部30bxbの両方が形成されるのではなく、いずれか一方のみが形成されていてもよい。
【0054】
また、下側壁際非干渉ノズル(40bx)も、下側通常部ノズル40bnと同様に、下側チャンバ30bの上面を基準に上方(鉛直上方)に向かって延びていてもよい。
【0055】
また、コンベア(20)は、バケット22に限らず、複数(多数)の孔を有する板(網状のものを含む)が、進行方向に複数(多数)連ねられた態様のものでもよい。
また、各支持部(16)は、コンベア(20)が往路部(21a)と復路部(21b)との間を切り変わる際に、バケット22や上記の板が上下に反転しない構造とされてもよい。その場合は、被処理物Wがコンベア(20)の復路部(21b)上に位置する際にも乾燥等の処理がされるようにされてもよい。
また、コンベア(20)は、進行方向とは垂直の水平方向に延びる多数のパイプが隙間を隔てて進行方向に連ねられて形成されているものでもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 ハウジング
20 コンベア
30a 上側チャンバ
30b 下側チャンバ
30bx はみ出し部
30bxa 幅方向はみ出し部
30bxb 長さ方向はみ出し部
40a 上側ノズル
40b 下側ノズル
40bx 下側はみ出し部ノズル(下側壁際非干渉ノズル)
W 被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を噴出することによって被処理物に対する処理を行う気体噴出処理装置であって、
壁部を有し、ほぼ閉じた空間を形成するハウジングと、
通気性を有し、前記ハウジング内において前記被処理物を搬送するコンベアと、
前記ハウジング内において前記コンベアの上方に設けられた上側チャンバと、
前記上側チャンバに対応して前記コンベアの下方に設けられた下側チャンバと、
前記上側チャンバに設けられ、当該上側チャンバの内部の気体を下方に向かう成分を有する気体噴出方向に噴出する複数の筒状の上側ノズルと、
前記下側チャンバに設けられ、当該下側チャンバの内部の気体を上方に向かう成分を有する気体噴出方向に噴出する複数の筒状の下側ノズルとを有し、
前記下側チャンバのうちの前記ハウジングの前記壁部の側の縁部の近傍には、当該縁部に沿って、前記複数の下側ノズルの一部として複数の下側壁際非干渉ノズルが設けられており、
前記下側壁際非干渉ノズルを当該気体噴出方向に仮想的に延長したものは、前記上側チャンバに干渉せず、前記ハウジングのうちの当該上側チャンバよりも上側の空間に到達するものである、
気体噴出処理装置。
【請求項2】
気体を噴出することによって被処理物に対する処理を行う気体噴出処理装置であって、
壁部を有し、ほぼ閉じた空間を形成するハウジングと、
通気性を有し、前記ハウジング内において前記被処理物を搬送するコンベアと、
前記ハウジング内において前記コンベアの上方に設けられた上側チャンバと、
前記上側チャンバに対応して前記コンベアの下方に設けられた下側チャンバと、
前記上側チャンバに設けられ、当該上側チャンバの内部の気体を下方に向かう成分を有する気体噴出方向に噴出する複数の筒状の上側ノズルと、
前記下側チャンバに設けられ、当該下側チャンバの内部の気体を上方に向かう成分を有する気体噴出方向に噴出する複数の筒状の下側ノズルとを有し、
前記下側チャンバのうちの前記ハウジングの前記壁部の側の縁部は当該下側チャンバに対応する前記上側チャンバの当該壁部の側の縁部よりも当該壁部に近い位置にあって、当該下側チャンバには、当該下側チャンバに対応する前記上側チャンバのうちの当該壁部の側の縁部を基準に当該壁部の側に向かってはみ出したはみ出し部が形成され、
前記はみ出し部には、前記複数の下側ノズルの一部として、当該下側チャンバの内部の気体を上方に向かう気体噴出方向に噴出する下側壁際非干渉ノズルが設けられている、
気体噴出処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の気体噴出処理装置であって、
前記下側壁際非干渉ノズルは、当該下側チャンバの上面を基準に当該下側チャンバの内部に向かう筒状をしている、
気体噴出処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−112540(P2012−112540A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259496(P2010−259496)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(390013631)株式会社荒川製作所 (4)
【Fターム(参考)】