説明

気泡シート及びその製造方法

【課題】所定のパターンで着色された独特の意匠を容易に付与することができる気泡シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】中空状に膨出する多数の突起20が成形されたキャップフィルム21と、突起20の開口側に積層されて突起20内に空気を封入するバックフィルム22と、突起20の頂面側に積層されて突起20を覆うライナーフィルム23とを備え、キャップフィルム21に成形された各突起20のそれぞれの頂面にホットメルト接着剤を含む着色接着剤層24を形成し、ライナーフィルム23が、着色接着剤層24を介してキャップフィルム21に成形された各突起20のそれぞれの頂面に接着して積層されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立した多数の気泡を有する気泡シートに関し、詳しくは、所定のパターンで着色が施された気泡シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空状に膨出する多数の突起が形成されたキャップフィルムに、突起内に空気を封入するバックフィルムを積層することによって形成された、独立した多数の気泡を有する気泡シートが、包装用の緩衝材をはじめとする各種の用途に広く利用されている。
【0003】
このような気泡シートは、例えば、多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に、溶融状態にある樹脂製のフィルム材を接触させて中空状に膨出する突起を真空成形した後に、成形された突起の開口部を封止するバックフィルムを積層するなどして製造することができる(特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−216770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の気泡シートには、その意匠性を考慮して着色が施されることがあり、そのような場合には、通常、押出機内で顔料や染料などの着色剤を材料樹脂に練り込むことになる。
しかしながら、このような方法で気泡シートに着色を施すようにしても、使用できるのは一色のみである。このため、気泡シートの全体を単一の色彩で一様に着色することしかできず、意匠性を高めるには限界があった。さらに、違う色に変える際には、押出機内の樹脂の入れ替えが全て完了しなければ次の作業に進むことができず、色変えの作業に時間を要するばかりか、多量の樹脂が無駄になってしまうことからコスト面での不利もあった。
【0006】
一方、気泡シートの表面に直に印刷を施すことによって、任意のパターンで着色することも考えられる。
しかしながら、このような着色方法では、印刷面に他の物品が接触して擦れてしまったときに、当該他の物品に色移りしてしまったり、印刷が剥がれて薄くなってしまったりすることが心配される。このため、気泡シートの表面に直に印刷を施す際には、気泡シートに用いる材料樹脂に対して印刷適性に優れたインキを選択したり、印刷面を保護する処理を別途施したりする必要があった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、所定のパターンで着色された独特の意匠を容易に付与することができる気泡シート及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る気泡シートは、中空状に膨出する多数の突起が成形されたキャップフィルムと、前記突起の開口側に積層されて前記突起内に空気を封入するバックフィルムと、前記突起の頂面側に積層されて前記突起を覆うライナーフィルムとを備え、前記キャップフィルムに成形された各突起のそれぞれの頂面にホットメルト接着剤を含む着色接着剤層が形成されており、前記ライナーフィルムが、前記着色接着剤層を介して前記キャップフィルムに成形された各突起のそれぞれの頂面に接着されている構成としてある。
【0009】
また、本発明に係る気泡シートの製造方法は、多数の吸引孔が設けられた成形ロールに溶融状態の樹脂フィルムを供給して、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムを形成するとともに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを溶融状態で供給しながら熱融着により前記キャップフィルムに積層することによって、独立した多数の気泡を有するベースシートを形成するベースシート形成工程、前記キャップフィルムに成形された各突起のそれぞれの頂面に、ホットメルト接着剤を含む着色接着剤層を形成する着色接着剤層形成工程、前記突起を覆うライナーフィルムを溶融状態で供給しながら、前記着色接着剤層を介して前記キャップフィルムに成形された各突起のそれぞれの頂面に接着させることにより、前記ベースシートに前記ライナーフィルムを積層するライナーフィルム積層工程、を含む方法としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャップフィルムに成形された突起の形状、配列に応じたパターンで着色が施された独特の意匠を有する気泡シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る気泡シートの実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る気泡シートの製造方法の第一実施形態におけるベースシート形成工程の一例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る気泡シートの製造方法の第一実施形態における着色接着剤層形成工程、及びライナーフィルム積層工程の一例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る気泡シートの製造方法の第二実施形態における着色接着剤層形成工程、及びライナーフィルム積層工程の一例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る気泡シートの製造方法の第二実施形態における着色接着剤層形成工程、及びライナーフィルム積層工程の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
[気泡シート]
まず、本発明に係る気泡シートの実施形態について説明する。
なお、図1は、本実施形態に係る気泡シートを示す説明図であり、図1(a)は、所定の寸法に切り取られた気泡シートの概略を示す平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。
【0014】
本実施形態において、気泡シート1は、中空状に膨出する多数の突起20が成形されたキャップフィルム21と、突起20の開口側に積層されて突起20内に空気を封入するバックフィルム22と、突起20の頂面側に積層されて突起20を覆うライナーフィルム23とを備えている。
【0015】
上記各フィルム21,22,23に用いる材料樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂を単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンホモポリマー、又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが例示できる。プロピレンと共重合される他のオレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1などのα−オレフィンが挙げられ、これらの他のオレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
また、ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが例示できる。
【0016】
また、キャップフィルム21に成形された各突起20のそれぞれの頂面には、着色接着剤層24が形成されている。
着色接着剤層24は、少なくともホットメルト接着剤を含有する樹脂層として形成され、任意の顔料又は染料などの着色材を添加することによって着色されている。ホットメルト接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂を主成分とするものを使用することができる。
【0017】
そして、本実施形態にあっては、このような着色接着剤層24を介して、キャップフィルム21に成形された各突起20のそれぞれの頂面に、ライナーフィルム23が接着されている。
【0018】
このよう構成とした、本実施形態の気泡シート1は、少なくともライナーフィルム23に用いる材料樹脂として、前述したようなものを透明無着色のまま用いることで、各突起20のそれぞれの頂面に形成された着色接着剤層24を、ライナーフィルム23を透かして観察できるようになっている。このようにすることで、突起20の形状、配列に応じたパターンで着色が施された独特の意匠を有する気泡シート1を提供することができる。
さらに、着色接着剤層24はライナーフィルム23で覆われており、他の物品と直に接触することがない。このため、単に表面に印刷を施しただけのものとは異なり、他の物品に色移りしたり、擦れて色が薄れていってしまったりするようなこともない。
【0019】
また、着色接着剤層24にはホットメルト接着剤が含有されており、このホットメルト接着剤によってライナーフィルム23との接着がなされるようにしている。このため、添加された着色材によって接着性が阻害されることなく、キャップフィルム21に成形された各突起10のそれぞれの頂面に、着色接着剤層24を介して確実にライナーフィルム23を接着することができる。
【0020】
また、気泡シート1を形成する各フィルム21,22,23の全てに、前述したような材料樹脂を透明無着色のまま用いれば、材料樹脂に着色剤を添加した場合のように、その製造過程において、色変えの作業に時間を要したり、多量の樹脂を無駄にしたりしてしまうというようなことがなくなるが、本実施形態では、当該各フィルム21,22,23には、許容できる範囲で着色剤を添加するようにしてもよい。
【0021】
例えば、気泡シート1が、ライナーフィルム23側から観察される使用態様に供される場合には、キャップフィルム21やバックフィルム22については、必要に応じて、これらの両方又は一方を着色された材料樹脂からなるものとすることができる。また、ライナーフィルム23についても、着色接着剤層24の視認を妨げない範囲で着色された材料樹脂からなるものとすることができる。このようにすることで、着色接着剤層24と組み合わせて表現を多様化し、気泡シート1の意匠性をより高めることが可能になる。
【0022】
また、着色接着剤層24に添加する着色材としては、これを広義にとらえるものとし、可視光域の特定波長を吸収して観察者に特定の色彩を認識させるものに限らず、パール顔料のように遊色効果によって多色の色彩を示すもの、蓄光顔料や蛍光顔料のように電子遷移によるエネルギー放出によって発光するもの、再帰反射性ビーズのように入射光を再帰反射するものなど、観察者に視覚的な刺激を与えることができるものであれば、これらの中から一又は二種以上を任意に選択して用いることができる。
【0023】
そして、蓄光顔料、蛍光顔料、又は再帰反射性ビーズを着色剤として用いることで、本実施形態の気泡シート1を夜間の安全対策として一般に使用されているような反射材としての用途に供することもできる。
このような用途に供する場合、例えば、支柱や案内板などの任意の対象物に、気泡シート1をバックフィルム22側から取り付けるようにするのが好ましい。そして、そのときの取り付け作業が容易になるように、キャップフィルム21やバックフィルム22の厚みを気泡シート1の剛性を確保できる程度の厚み(例えば、10〜120μm程度)とするのが好ましい。また、ライナーフィルム23の厚みは、蓄光顔料が発する燐光や蛍光顔料が発する蛍光の視認を妨げたり、再帰反射性ビーズによる再帰反射を妨げたりしない程度の厚み(例えば、30μm以下)とするのが好ましい。
【0024】
なお、気泡シート1を、一般的な緩衝材(気泡緩衝シート)としての用途に供する場合には、上記各フィルム21,22,23の厚みは5〜120μm程度とすることができ、用途に応じて上記各フィルム21,22,23の厚みを適宜調整できるのはいうまでもない。
【0025】
[気泡シートの製造方法(第一実施形態)]
次に、本発明に係る気泡シートの製造方法の第一実施形態について説明する。本実施形態にあっては、ベースシート成形工程、着色接着剤層積層工程、ライナーフィルム積層工程を経て、前述したような気泡シート1を製造する。
【0026】
[ベースシート形成工程]
図2は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法の一工程を示す説明図であり、ベースシート形成工程の概略を示している。
図2に示す例では、まず、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ31から材料樹脂を押し出してなる樹脂フィルム21aを、多数の吸引孔41が設けられた成形ロール4の外周面に当該樹脂フィルム21aが溶融状態で接触するように供給する。成形ロール4に設けられた吸引孔41のそれぞれは、図示しない真空ポンプにつながれており、吸引孔41内を減圧して成形ロール4の外周面に接触する樹脂フィルム21aを真空成形することによって、中空状に膨出する多数の突起20が成形されたキャップフィルム21を形成する。
【0027】
次に、真空成形によって突起20が成形されたキャップフィルム21には、成形ロール4に密着した状態のまま、突起20の開口側にバックフィルム22を積層する。バックフィルム22は、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ32から押し出され、成形ロール4に密着するキャップフィルム21と押圧ロール5との間に溶融状態で供給されて、熱融着によってキャップフィルム21と積層一体化される。
【0028】
これにより、突起20内に空気を封入してなる独立した多数の気泡を有するベースシート2が形成される。そして、ベースシート2は、剥離ロール6によって成形ロール4から剥離されて、着色接着剤層形成工程へと送られていく。
なお、ベースシート形成工程で形成されたベースシート2は、巻き取りロールに巻き取るなどしてから、着色接着剤層形成工程に供するようにしてもよい。
【0029】
[着色接着剤層形成工程]
図3は、本実施形態に係る気泡シートの製造造工程の一工程を示す説明図であり、着色接着剤層形成工程と、後述するライナーフィルム積層工程の概略を示している。
着色接着剤層形成工程にあっては、前述したようにしてベースシート2を形成した後に、そのキャップフィルム21に成形された各突起20のそれぞれの頂面に、ホットメルト接着剤を含む着色接着剤層24を形成する。
【0030】
本実施形態において、キャップフィルム21に成形された各突起20のそれぞれの頂面に着色接着剤層24を形成するには、まず、図3に示すように、送りラインに沿って図中矢印方向に搬送されるベースシート2の突起20の頂面に接しながら回転する塗工ロール70を用いて、この塗工ロール70に含浸させたホットメルト接着剤保持液80を各突起20の頂面に塗工する。
ここで、塗工ロール70の塗工面は、ホットメルト接着剤保持液80を含浸させやすいスポンジ状の素材を用いて形成するのが好ましい。
【0031】
次いで、上記した塗工ロール70と同様に、送りラインに沿って搬送されるベースシート2の突起20の頂面に接しながら回転するようにされた散布ロール71を用いて、ホットメルト接着剤保持液80が塗工された各突起20の頂面に、粉末状に加工したホットメルト接着剤81を選択的に散布する。散布ロール71の表面には、ローレット加工を施すことによって細かい溝72が刻設されており、この溝72に保持された粉末状のホットメルト接着剤81がホットメルト接着剤保持液80に接触すると、散布ロール71から転移して粘着性溶液80に保持するようになっており、これによって、各突起20の頂面への選択的な散布を可能としている。
【0032】
このように、本実施形態にあっては、ホットメルト接着剤保持液80に保持されて、粉末状のホットメルト接着剤81が各突起20の頂面に定着するようにしている。このとき、ホットメルト接着剤保持溶液80としては、少なくとも後述するライナーフィルム積層工程において、突起20の頂面にライナーフィルム23が接着されるまでは、粉末状のホットメルト接着剤81を各突起20の頂面に定着しておくことができれば、特に限定されない。例えば、アルコールなどの揮発性溶液を用いれば、残留溶液の問題がないため好ましい。また、このような揮発性溶液には、タッキファイヤーやゴム系樹脂などを添加して、粉末状のホットメルト接着剤81が各突起20の頂面に定着し易くすることもできる。
【0033】
以上のようにすることで、粉末状に加工されたホットメルト接着剤81がホットメルト接着剤保持液80に保持されて、これらによって着色接着剤層24が形成されるが、このとき、着色材は、ホットメルト接着剤保持液80とホットメルト接着剤81の少なくとも一方に添加しておけばよい。
なお、図示する例において、散布ロール71の周りは筐体73で囲まれており、粉末状に加工されたホットメルト接着剤81が周囲に飛散してしまうのを防止している。
【0034】
[ライナーフィルム積層工程]
次いで、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ33から材料樹脂を押し出してライナーフィルム23を成形しながら、突起20の頂面に接するように供給する。このとき、ライナーフィルムの余熱によって、ホットメルト接着剤81が溶融し、その後、固化することによって着色接着剤層24が形成され、この着色接着剤層24を介して、ライナーフィルム23が突起20の頂面に確実に接着して積層される。この際、図示しない圧着ロールにより、ベースシート2とライナーフィルム23とを上下から圧着するのが好ましく、これにより、両者の接着をより確実なものとすることができる。
【0035】
[気泡シートの製造方法(第二実施形態)]
次に、本発明に係る気泡シートの製造方法の第二実施形態について説明する。本実施形態において、ベースシート形成工程は前述した第一実施形態と同じであるため、ベースシート形成工程についての説明は省略する。
【0036】
[着色接着剤層形成工程]
本実施形態では、前述した第一実施形態と同様にしてベースシート2を形成した後に、そのキャップフィルム21に成形された各突起20のそれぞれの頂面に、着色剤を添加したホットメルト接着剤82を溶融状態で塗工することによって着色接着剤層24を形成する。
【0037】
本実施形態において、着色剤を添加したホットメルト接着剤82を溶融状態で塗工するための具体的な手段は、特に限定されない。例えば、図4又は図5に示すような装置を用いて塗工することができる。
図4及び図5は、いずれも本実施形態に係る気泡シートの製造方法について、その一工程を示す説明図であり、着色接着剤層形成工程とライナーフィルム積層工程の概略を示している。
【0038】
図4に示す装置は、加熱機構を備えたホッパー74と、塗工ロール75とを備えている。そして、ホッパー74に投入されて加熱溶融したホットメルト接着剤に着色材を添加し、これを塗工ロール75に供給しつつ、送りラインに沿って搬送されるベースフィルムの突起20の頂面に接しながら回転する当該塗工ロール75によって、着色剤が添加されたホットメルト接着剤82が溶融状態で、突起20の頂面に塗工されるようになっている。
【0039】
また、図5に示す装置は、キャップフィルム21に成形された突起20の配列に応じて複数の滴下ノズル76が列設されている。そして、送りラインに沿って搬送されるベースシート2の送り速度に合わせて、各滴下ノズル76から、それぞれ対応する突起20の頂面に、溶融状態のホットメルト接着剤82を滴下することによって、着色剤を添加したホットメルト接着剤82が溶融状態で塗工され、着色接着剤層24を形成するようになっている。
【0040】
ここで、本実施形態で用いるホットメルト接着剤82としては、比較的低温で溶融するものを適宜選択し、突起20の頂面に溶融状態で塗工される際に、突起20が溶融破断してしまわないようにするのが好ましい。また、特に図示しないが、ホットメルト接着剤をシート材などの適宜部材に塗工しておき、ホットメルト接着剤をある程度冷ましてから、突起20の頂面に転写することによって着色接着剤層24を形成することも可能である。
【0041】
[ライナーフィルム積層工程]
次いで、前述した第一実施形態と同様に、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ33から材料樹脂を押し出してライナーフィルム23を成形しながら突起20の頂面に接するように供給する。このとき、突起20の頂面に塗工されたホットメルト接着剤82が固化していても、ライナーフィルムの余熱によって再び溶融し、着色接着剤層24として確実にライナーフィルム23を接着して積層することができる。
なお、図示しない圧着ロールにより、ベースシート2とライナーフィルム23とを上下から圧着するのが好ましいのは、第一実施形態と同様である。
【0042】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0043】
例えば、前述した実施形態では、突起20が真空成形されてキャップフィルム21となる樹脂フィルム21aと、キャップフィルム21に形成された突起20に空気を封入するバックフィルム22とが、押し出し機に取り付けられたフラットダイ31,32から押し出されて供給される例を示したが、本発明では、これに限定されない。当該樹脂フィルム21aと当該バックフィルム22とは、予め所定の厚みでフィルム状に成形されたものを加熱溶融しつつ、突起20の真空成形や熱融着が可能な溶融状態で供給するようにしてもよい。これは、突起20の頂面側に積層されるライナーフィルム23についても同様である。
【0044】
また、本発明において、気泡シート1には、アルミニウム箔などの金属箔や、これ以外の素材からなる層を本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて積層することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、所定のパターンで着色が施された気泡シートを提供する。
【符号の説明】
【0046】
1 気泡シート
2 ベースシート
20 突起
21 キャップフィルム
21a 樹脂フィルム
22 バックフィルム
23 ライナーフィルム
24 着色接着剤層
4 成形ロール
41 吸引孔
80 ホットメルト接着剤保持液
81,82 ホットメルト接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状に膨出する多数の突起が成形されたキャップフィルムと、
前記突起の開口側に積層されて前記突起内に空気を封入するバックフィルムと、
前記突起の頂面側に積層されて前記突起を覆うライナーフィルムとを備え、
前記キャップフィルムに成形された各突起のそれぞれの頂面にホットメルト接着剤を含む着色接着剤層が形成されており、前記ライナーフィルムが、前記着色接着剤層を介して前記キャップフィルムに成形された各突起のそれぞれの頂面に接着されていることを特徴とする気泡シート。
【請求項2】
少なくとも前記ライナーフィルムが、透明無着色のポリオレフィン系樹脂からなる請求項1に記載の気泡シート。
【請求項3】
前記キャップフィルム、及び前記バックフィルムのうち、少なくとも一方が、着色されたポリオレフィン系樹脂からなる請求項1又は2に記載の気泡シート。
【請求項4】
前記着色接着剤層に、蓄光顔料、蛍光顔料、又は再帰反射性ビーズが添加された請求項1〜3のいずれか一項に記載の気泡シート。
【請求項5】
多数の吸引孔が設けられた成形ロールに溶融状態の樹脂フィルムを供給して、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムを形成するとともに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを溶融状態で供給しながら熱融着により前記キャップフィルムに積層することによって、独立した多数の気泡を有するベースシートを形成するベースシート形成工程、
前記キャップフィルムに成形された各突起のそれぞれの頂面に、ホットメルト接着剤を含む着色接着剤層を形成する着色接着剤層形成工程、
前記突起を覆うライナーフィルムを溶融状態で供給しながら、前記着色接着剤層を介して前記キャップフィルムに成形された各突起のそれぞれの頂面に接着させることにより、前記ベースシートに前記ライナーフィルムを積層するライナーフィルム積層工程、
を含むことを特徴とする気泡シートの製造方法。
【請求項6】
前記キャップフィルム、前記バックフィルム、及び前記ライナーフィルムに用いる材料樹脂として、透明無着色のポリオレフィン系樹脂を用いる請求項5に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項7】
前記キャップフィルムに成形された各突起のそれぞれの頂面にホットメルト接着剤保持液を塗工した後に、粉末状に加工したホットメルト接着剤を前記ホットメルト接着剤保持液に保持させることによって前記着色接着剤層を形成する請求項5又は6に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項8】
前記ホットメルト接着剤保持液、及び前記粉末状のホットメルト接着剤のうち、少なくとも一方に着色材を添加する請求項7に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項9】
前記キャップフィルムに成形された各突起のそれぞれの頂面に、着色材を添加したホットメルト接着剤を溶融状態で塗工することによって前記着色接着剤層を形成する請求項5又は6に記載の気泡シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−161744(P2011−161744A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26064(P2010−26064)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】