説明

気液分離器

【課題】 フィルターの下部に異物が堆積してもフィルターを洗浄したり交換したりせずに再使用できる気液分離器を提供する。
【解決手段】 本体1と排気管10で形成する環状空間11に旋回羽根12を配置する。旋回羽根12の上方を入口6に連結する。排気管10の内側の孔を通してその上方を出口7に連結する。環状空間11の下方に旋回室14と旋回室14の下方に液溜室15を形成して液溜室15の下端を排液口8に連結する。連通口9を開けた弁座16を上端に固定した流体ろ過用のフィルター22をその上部を排気管10内に下部を旋回室14内に位置させて配置する。第2連通口24を開けた第2弁座23をフィルター22の下端に固定する。フィルター22の第2弁座23側に異物が堆積するとフィルター22を上下逆向きにして第2弁座23を排気管10内に弁座16を旋回室14内に位置させて配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気や圧縮空気や各種ガス等の気体中に混入している復水や凝縮水等の液体をケーシング内に旋回流を起こし遠心力によって分離する気液分離器に関し、特にケーシング内に流体をろ過するフィルターを配置したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気液分離器は、例えば特許文献1に開示されている。これは、ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、旋回羽根の上方を入口に連結し、排気管の内側の孔を通してその上方を出口に連結し、環状空間の下方に旋回室と該旋回室の下方に液溜室を形成して該液溜室の下端を排液口に連結し、連通口を開けた弁座を上端に固定した流体ろ過用のフィルターをその上部を排気管内に下部を旋回室内に位置させて配置したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−340452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の気液分離器においては、流体の大部分がフィルターの下部を通して出口に流下するために、フィルターの下部に異物が堆積するとフィルターを洗浄したり交換したりしなければならない問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、フィルターの下部に異物が堆積してもフィルターを洗浄したり交換したりせずに再使用できる気液分離器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の気液分離器は、ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、旋回羽根の上方を入口に連結し、排気管の内側の孔を通してその上方を出口に連結し、環状空間の下方に旋回室と該旋回室の下方に液溜室を形成して該液溜室の下端を排液口に連結し、連通口を開けた弁座を上端に固定した流体ろ過用のフィルターをその上部を排気管内に下部を旋回室内に位置させて配置したものにおいて、第2連通口を開けた第2弁座をフィルターの下端に固定し、フィルターを上下逆向きにして第2弁座を排気管内に弁座を旋回室内に位置させて配置できることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第2連通口を開けた第2弁座をフィルターの下端に固定し、フィルターを上下逆向きにして第2弁座を排気管内に弁座を旋回室内に位置さて配置できることにより、フィルターの第2弁座側に異物が堆積するとフィルターを上下逆向きにして第2弁座を排気管内に弁座を旋回室内に位置させて配置することにより、フィルターを洗浄したり交換したりせずに再使用できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる気液分離器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。ケーシングは円筒状本体1と出入口部材2をクランプ継手3で結合し、本体1の下部に底蓋4を溶接により結合して形成する。出入口部材2には左右同軸上に入口6と出口7を設け、上端中央にプラグ孔5を設ける。プラグ孔5は逆洗用の流体配管を接続したり圧力計を接続したりするために使用する。底蓋4には下端中央に排液口8を設ける。下記の第2弁座23の大径部を回転させることにより、出入口部材2に連通口9を開けた弁座16をネジ結合する。出入口部材2と弁座16の間には排気管10の上端の内向きフランジを間に挟むことにより、排気管10を出入口部材2に固定する。排気管10は二重のほぼ円筒形状で、内側円筒の上下端部を末広がりに形成する。排気管10の外側円筒は省略して本体1で兼用することもできる。排気管10の内外円筒の間に形成される環状空間11に、排気管10と一体に旋回羽根12を形成する。
【0010】
入口4は連通孔13を通して下方の環状空間11に連結し、排気管10の内側は弁座16の連通口9を介して上方の出口5に連結する。本体1の下部内面と底蓋6の内面との間に旋回室14と、この旋回室14の下方に液溜室15を形成し、液溜室15の下端を排液口8に連結する。旋回室14と排気管10の内側に長尺円筒状の中空フィルター22を配置する。フィルター22は上端に弁座16を溶接により固定し、下端に第2連通口24を有する第2弁座23を溶接により固定する。第2弁座23は弁座16と同一形状で弁座16に対して上下逆向きにしてフィルター22に固定したものである。フィルター22を上下逆向きにして取り付けるときは、出入口部材2と第2弁座23の間に排気管10の上端の内向きフランジを間に挟んで、弁座16の大径部を回転させることにより、出入口部材2に第2弁座23をネジ結合する。フィルター22は多数の微細な貫通孔を有し、入口4と環状空間11を流下してきた流体からゴミやスケール等の異物を捕捉して流体を出口5側へ排出するものである。フィルター22のろ過粒度は0.5マイクロから10マイクロ程度が好適である。フィルター22は全長の約半分が排気管10内に位置し、残りの約半分が旋回室14内に位置する。
【0011】
旋回室14と液溜室15の間に隔壁部材17を配置する。隔壁部材17は円板形状で外周に4個の突起18を有し、突起18の外端を底蓋6に溶接によりして固定する。突起18の間の隔壁部材17外周縁と底蓋6内周壁との間に液体通過用隙間19を形成する。
【0012】
上記の気液分離器の動作は次の通りである。入口6から入った液体やゴミやスケール等の異物を含む気体は旋回羽根12で旋回される。質量の大きな液体や粒度の大きな異物は遠心力の作用で外側に振り出されて分離され、本体1の内周壁に沿って流下し、突起18の間の液体通過用隙間19を通って液溜室15に流入し、排液口8から系外に排出される。旋回流に含まれる粒度の小さな異物は、フィルター22を通過する際に捕捉されて分離される。フィルター22の内側へ通過した気体は連通口9を通して出口5から流出する。
【0013】
フィルター22の第2弁座23側に異物が堆積するとフィルター22を上下逆向きにして第2弁座23を排気管10内に弁座16を旋回室14内に位置させて配置することにより、フィルター22を洗浄したり交換したりせずに再使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、気体中に混入している液体をケーシング内に旋回流を起こし遠心力によって分離すると共にケーシング内に流体をろ過するフィルターを配置したあらゆる種類の気液分離器に利用することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 本体
2 出入口部材
3 クランプ継手
4 底蓋
5 プラグ孔
6 入口
7 出口
8 排液口
9 連通口
10 排気管
11 環状空間
12 旋回羽根
13 連通孔
14 旋回室
15 液溜室
16 弁座
17 隔壁部材
18 突起
19 液体通過用隙間
22 フィルター
23 第2弁座
24 第2連通口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、旋回羽根の上方を入口に連結し、排気管の内側の孔を通してその上方を出口に連結し、環状空間の下方に旋回室と該旋回室の下方に液溜室を形成して該液溜室の下端を排液口に連結し、連通口を開けた弁座を上端に固定した流体ろ過用のフィルターをその上部を排気管内に下部を旋回室内に位置させて配置したものにおいて、第2連通口を開けた第2弁座をフィルターの下端に固定し、フィルターを上下逆向きにして第2弁座を排気管内に弁座を旋回室内に位置させて配置できることを特徴とする気液分離器。

【図1】
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【公開番号】特開2013−86039(P2013−86039A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229971(P2011−229971)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】