説明

気液反応装置及び気液反応方法

【課題】反応ガスの消費量を最小限に抑制する。
【解決手段】反応空間11を有する反応容器10と、反応空間に反応基質を含む液体材料を供給する液体材料供給装置20と、反応空間に反応気体を供給する気体供給装置30と、反応空間につながり反応基質と反応気体とが反応して生成された生成液を溜める液溜空間45を有する液溜部41とを有する。反応空間及び液溜空間を密封状態にしつつ、液溜部の生成液を排出する排出装置40を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液反応装置及び気液反応方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体原料と反応ガスを混合し、化学反応により所定の生成物を得る気液反応装置及びその反応方法として、反応容器内に原料液と反応ガスとを投入し、密閉加温することにより反応ガスを原料液に溶解させて、容器内を所定時間撹拌するバッチ式プロセスを用いるものが知られている。ところが、上記のバッチ式プロセスを用いた場合には、生産量を増やすために比較的大きな容量の反応容器を使用するため、容器内の均一混合や温度調整が困難であり、選択性の高い反応制御を行うことが容易ではない。
【0003】
そこで、近年では、比較的小さな断面積を有する流路内に原料溶液と反応ガスとを流通させながら種々の化学反応を起こさせるフロープロセスの気液反応装置が注目されている。この種の気液反応装置では、混合・加熱・反応等を行う化学反応領域部と、これらを連通させる流路とが設けられており、原料液と反応ガスとを供給することにより、所定の化学反応が実行されるように構成されている。このように、フロー型の気液反応装置を用いた場合には、選択性の高い反応制御を行って高純度の生成物を得ることができる。加えて、フロー型の気液反応装置は、一般に反応領域の容量がバッチ式よりも小さいため、温度等の化学反応条件の精密制御が可能となり、一酸化炭素や弗素、水素に代表される危険性の高いガス種を反応ガスとして高圧下で使用する場合でも、爆発等のリスクを低減できる。
【0004】
例えば、特許文献1には、フロー型の気液反応装置を用い、微小流路中で反応基質溶液と弗素を含む反応ガスとを流通させることにより直接弗素化する方法が開示されている。この技術では、化学反応を効率的に行えるとともに、高い除熱効率を達成できるため、発熱反応を伴う合成反応を安全に行える点、収率向上が期待できる点及び取扱性が容易な点から特に注目されている。
また、特許文献2には、微小流路内への反応ガス導入部を複数有する気液反応装置を用いることにより、気液混相流での反応を効率的に行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2001−521816号公報
【特許文献2】特開2007−105668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
上記の技術では、通常原料液から生成物を得る化学反応に必要なガス量に対して、モル比で数倍以上の過剰量の反応ガスを反応管内に流入させており、反応ガスを多量に浪費するという問題が生じる。
例えば、特許文献1に記載された技術では、原料液及び反応ガスをフロー系で反応管内に流入させて化学合成させた後に、生成物溶液とともに未反応ガス(気相部ガス及び液相内溶存ガス)を反応管外へ流出させる構造であり、反応ガスを多量に浪費する構成となっている。
また、特許文献2に記載された技術では、化学反応後に気液分離器を用いて生成液と反応ガスとを分離して生成液を回収しているが、気液分離器は液体を貯溜するとともに、反応ガスを随時排出する構造であるため、反応ガスの消費量の抑制には寄与しない。
【0007】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、反応ガスの消費量を最小限に抑制することが可能な気液反応装置及び気液反応方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の気液反応装置は、反応空間を有する反応容器と、前記反応空間に反応基質を含む液体材料を供給する液体材料供給装置と、前記反応空間に反応気体を供給する気体供給装置と、前記反応空間につながり前記反応基質と前記反応気体とが反応して生成された生成液を溜める液溜空間を有する液溜部とを有する気液反応装置であって、前記反応空間及び前記液溜空間を密封状態にしつつ、前記液溜部の前記生成液を排出する排出装置を有することを特徴とするものである。
【0009】
前記排出装置としては、前記反応空間における前記反応気体の圧力に応じて前記反応気体の供給量を制御する反応気体制御装置と、前記液溜部に、前記液溜空間に開口して設けられた排出孔と、前記液溜部における前記生成液の液位に応じて前記排出孔からの前記生成液の排出量を制御する排出制御装置とを有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、反応容器内における反応気体の気圧を所望値に設定するためには、反応空間における反応気体の圧力に応じて反応気体制御装置により反応気体の供給量を制御し、反応気体の気圧が所望値に達した後は反応気体の供給を停止する。また、反応基質との反応により反応気体の気圧が低下した場合には、同様に反応空間における反応気体の圧力に応じて反応気体制御装置により反応気体を供給することにより、反応気体の気圧を所望値に維持することが可能になる。
また、本発明では、液溜部における生成液の液面が排出孔よりも十分に高い位置にあり、反応空間及び液溜空間が密封状態に維持されている場合には、排出孔から所定量(例えば、反応基質と反応気体との反応で生成液が生成される量)で生成液を排出させ、生成液の液面が排出孔よりも低くなる虞があり、反応空間及び液溜空間の密封状態が解除される虞がある場合には、排出孔からの生成液の排出量を抑えて液面の低下を回避することができる。
【0010】
また、本発明では、前記反応容器に向けて供給される前記液体材料と前記反応気体とを予備反応させる予備反応装置を有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、予め液体材料と反応気体とを予備反応させるため、反応容器に供給される反応基質及び反応気体を、当該反応容器内での反応に適した条件とすることができる。
【0011】
上記予備反応装置としては、前記反応基質と前記反応気体との反応特性に応じて、前記反応容器における反応条件とは異なる反応条件で予備反応させる構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、予備反応に適した反応条件が、反応容器内における反応条件と異なる場合にも対応することが可能になり、最適な予備反応条件で予備反応させた反応基質と反応気体とを反応容器に供給することが可能になる。
【0012】
また、本発明では、前記液溜部の前記生成液を負圧吸引して排出させる吸引装置を有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、液溜部に溜まった生成液を強制的に吸引して効率的に排出することが可能になる。
【0013】
また、上記の気液反応装置における前記液体材料供給装置としては、前記液体材料を前記反応容器の一端側から供給し、前記気体供給装置は、前記反応気体を前記反応容器の他端側から供給する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、液体材料及び反応気体を反応容器の同一側から供給した場合のように、液体材料が反応気体の供給孔から逆流して浸入したり、反応気体が液体材料の供給孔から逆流して浸入することを防止して、安定した液体材料供給及び反応気体供給を実現することができる。
【0014】
また、上記の気液反応装置における前記液溜部としては、前記反応容器の一部に設けられる構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、反応容器と独立して液溜部を別途設ける必要がなくなり、装置の小型化及び低価格化を実現することができる。
【0015】
また、上記の気液反応装置における前記液溜部の底部としては、下方に向かうに従って漸次縮径して形成される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、液溜部の底部が例えば錐状に形成されることにより、先端部(底端部)における断面積を小さくすることができる。そのため、本発明では、生成液の量が少ない場合であっても、より確実に液溜部の底部に生成液を充填することが可能になる。その結果、底端部に生成液の排出孔を配置することにより、排出孔からの反応気体の流出をより確実に防止して、反応空間及び液溜空間の密封状態を維持することができる。
【0016】
また、上記の気液反応装置における前記反応容器としては、管状に形成され、当該反応容器を加熱する加熱装置の外周に巻回して設けられる構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、反応容器と加熱装置との接触面積が大きくなり、効率的に反応容器を加熱することができる。また、本発明では、一定の設置スペースに対して反応容器の反応空間の長さを大きく確保することが可能になる。そのため、本発明では、反応空間を長く確保することが可能になり、生産性を向上させることができる。
【0017】
また、上記反応容器における前記反応空間に臨む内面底部としては、平面形状を有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、反応容器内における液体材料(原料液)の厚さを、同量の液体材料を例えば円管のように、内面底部が円弧面である場合よりも薄くすることができ、反応気体の液体材料への溶解を効率的に進行させることが可能になる。
この場合、前記内面底部としては、略水平面とすることが好適である。
また、前記内面底部としては、幅方向の断面が中央部に向かうに従って漸次下方に向かう略V字状に形成される構成も好適に採用できる。
【0018】
また、前記反応容器における前記反応空間に臨む内面底部としては、延在方向が水平方向に対して傾斜して配置される構成も好適に採用できる。
反応容器における前記反応空間に臨む内面底部を水平方向に対して傾斜させることにより、液体材料の流速を容易に調整することが可能になる。
【0019】
この場合、例えば反応容器を一端側で水平軸周りに回転可能な構成としておき、他端側を昇降させることにより、傾斜角度を任意の値に調整することが可能になり、気液反応特性(液体材料及び反応気体の種類)に応じて最適な傾斜角度を選択することができる。
【0020】
上記延在方向の前記水平方向に対する傾斜角度は、5°以上、且つ45°以下であることが好ましい。
傾斜角度が5°未満であると、水平の場合と比較し、液体材料の流速の差異が小さく、傾斜による液体材料の流速調整の効果が生じにくい。また45°を超えると液体材料と反応気体との流速が大きくなることで、反応空間における接触時間が短くなり、長時間を要する反応には適さなくなってしまうが、本発明では傾斜角度を5°以上、且つ45°以下とすることにより、これらの不都合を回避することができる。
【0021】
上記の気液反応装置における前記内面底部としては、下流側が上流側よりも上方に位置して設けられる構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、重力により液体材料と反応気体との流速が遅くなることになり、反応空間における接触時間を長くすることが可能になる。
【0022】
一方、本発明の気液反応方法は、反応容器内の反応空間に反応基質を含む液体材料及び反応気体を供給する工程と、前記液体材料及び前記反応気体を反応させて生成液を生成する工程と、前記反応空間につながる液溜空間を有する液溜部に前記生成液を溜める工程とを有する気液反応方法であって、前記反応空間及び前記液溜空間を密封状態にしつつ、前記液溜部の前記生成液を排出する工程を有することを特徴とするものである。
【0023】
また、上記の気液反応方法においては、前記反応空間における前記反応気体の圧力に応じて前記反応気体の供給量を制御する工程と、前記液溜部における前記生成液の液位に応じて、前記液溜空間に開口して設けられた排出孔からの前記生成液の排出量を制御する工程とを有する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、反応容器内における反応気体の気圧を所望値に設定するためには、反応空間における反応気体の圧力に応じて反応気体の供給量を制御し、反応気体の気圧が所望値に達した後は反応気体の供給を停止する。また、反応基質との反応により反応気体の気圧が低下した場合には、同様に反応空間における反応気体の圧力に応じて反応気体を供給する(補う)ことにより、反応気体の気圧を所望値に維持することが可能になる。
また、本発明では、液溜部における生成液の液面が排出孔よりも十分に高い位置にあり、反応空間及び液溜空間が密封状態に維持されている場合には、排出孔から所定量(例えば、反応基質と反応気体との反応で生成液が生成される量)で生成液を排出させ、生成液の液面が排出孔よりも低くなる虞があり、反応空間及び液溜空間の密封状態が解除される虞がある場合には、排出孔からの生成液の排出量を抑えて液面の低下を回避することができる。
【0024】
また、上記の気液反応方法においては、前記反応容器に向けて供給される前記液体材料と前記反応気体とを予備反応させる予備反応工程を有する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、予め液体材料と反応気体とを予備反応させるため、反応容器に供給される反応基質及び反応気体を、当該反応容器内での反応に適した条件とすることができる。
【0025】
また、上記の気液反応方法においては、前記反応基質と前記反応気体との反応特性に応じて、前記反応容器における反応条件とは異なる反応条件で予備反応させる手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、予備反応に適した反応条件が、反応容器内における反応条件と異なる場合にも対応することが可能になり、最適な予備反応条件で予備反応させた反応基質と反応気体とを反応容器に供給することが可能になる。
【0026】
また、上記の気液反応方法においては、前記液溜部の前記生成液を負圧吸引して排出させる工程を有する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、液溜部に溜まった生成液を強制的に吸引して効率的に排出することが可能になる。
【0027】
また、上記の気液反応方法においては、前記液体材料を前記反応容器の一端側から供給し、前記反応気体を前記反応容器の他端側から供給する構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、液体材料及び反応気体を反応容器の同一側から供給した場合のように、液体材料が反応気体の供給孔から逆流して浸入したり、反応気体が液体材料の供給孔から逆流して浸入することを防止して、安定した液体材料供給及び反応気体供給を実現することができる。
【0028】
また、上記の気液反応方法においては、前記液溜部を前記反応容器の一部に設ける構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、反応容器と独立して液溜部を別途設ける必要がなくなり、装置の小型化及び低価格化を実現することができる。
【0029】
また、上記の気液反応方法においては、前記液溜部の底部が、下方に向かうに従って漸次縮径して形成される構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、液溜部の底部が例えば錐状に形成されることにより、先端部(底端部)における断面積を小さくすることができる。そのため、本発明では、生成液の量が少ない場合であっても、より確実に液溜部の底部に生成液を充填することが可能になる。その結果、底端部に生成液の排出孔を配置することにより、排出孔からの反応気体の流出をより確実に防止して、反応空間及び液溜空間の密封状態を維持することができる。
【0030】
また、上記の気液反応方法においては、前記反応容器は管状に形成され、当該反応容器を加熱する加熱装置の外周に巻回して設けられる構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、反応容器と加熱装置との接触面積が大きくなり、効率的に反応容器を加熱することができる。また、本発明では、一定の設置スペースに対して反応容器の反応空間の長さを大きく確保することが可能になる。そのため、本発明では、反応空間を長く確保することが可能になり、生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明では、液溜部の生成液を排出する際にも反応空間及び液溜空間が密封されるため、反応気体を両空間から流出させることなく、反応空間及び液溜空間に留まらせることが可能になる。そのため、本発明では、未反応の反応ガスを浪費することなく必要最小限の消費に抑制することが可能になる。
【0032】
上記の気液反応方法においては、上記反応容器における前記反応空間に臨む内面底部としては、平面形状を有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、反応容器内における液体材料(原料液)の厚さを、同量の液体材料を例えば円管のように、内面底部が円弧面である場合よりも薄くすることができ、反応気体の液体材料への溶解を効率的に進行させることが可能になる。
この場合、前記内面底部としては、略水平面とすることが好適である。
また、前記内面底部としては、幅方向の断面が中央部に向かうに従って漸次下方に向かう略V字状に形成される構成も好適に採用できる。
【0033】
また、上記の気液反応方法においては、前記反応容器における前記反応空間に臨む内面底部としては、延在方向が水平方向に対して傾斜して配置される構成も好適に採用できる。
反応容器における前記反応空間に臨む内面底部を水平方向に対して傾斜させることにより、液体材料の流速を容易に調整することが可能になる。
【0034】
上記の気液反応方法においては、上記延在方向の前記水平方向に対する傾斜角度は、5°以上、且つ45°以下であることが好ましい。
傾斜角度が5°未満であると、水平の場合と比較し、液体材料の流速の差異が小さく、傾斜による液体材料の流速調整の効果が生じにくい。また45°を超えると液体材料と反応気体との流速が大きくなることで、反応空間における接触時間が短くなり、長時間を要する反応には適さなくなってしまうが、本発明では傾斜角度を5°以上、且つ45°以下とすることにより、これらの不都合を回避することができる。
【0035】
上記の気液反応方法における前記内面底部としては、下流側が上流側よりも上方に位置して設けられる構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、重力により液体材料と反応気体との流速が遅くなることになり、反応空間における接触時間を長くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態を示す図であって、気液反応装置の概略的な構成図である。
【図2】生成物を生成するフローチャート図である。
【図3】第2実施形態に係る気液反応装置の概略的な構成図である。
【図4】第2実施形態におおいて生成物を生成するフローチャート図である。
【図5】第3実施形態に係る気液反応装置の概略的な構成図である。
【図6】第4実施形態に係る気液反応装置の概略的な構成図である。
【図7】第5実施形態に係る気液反応装置の概略的な構成図である。
【図8】第6実施形態に係る気液反応装置の概略的な構成図である。
【図9】別形態の気液反応装置の概略的な構成図である。
【図10】別形態の気液反応装置の概略的な構成図である。
【図11】別形態の気液反応装置の概略的な構成図である。
【図12】第7実施形態に係る気液反応装置の概略的な構成図である。
【図13】反応管の幅方向の断面図である。
【図14】反応管の平面断面図である。
【図15】図12におけるB−B線視断面図である。
【図16】反応空間の別形態を示す図である。
【図17】反応空間の別形態を示す図である。
【図18】反応空間の別形態を示す図である。
【図19】反応空間の別形態を示す図である。
【図20】第8実施形態に係る気液反応装置の概略的な構成図である。
【図21】気液反応装置の変形例を示す概略的な構成図である。
【図22】ヒータ設置の変形例を示す概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の気液反応装置及び気液反応方法の実施の形態を、図1ないし図22を参照して説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0038】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る気液反応装置の概略的な構成図である。
この図に示す気液反応装置1は、内部に反応空間11を有する反応管(反応容器)10、原料供給装置(液体材料供給装置)20、ガス供給装置(気体供給装置)30、生成物排出装置(排出装置)40、貯留槽50を主体に構成されている。
【0039】
反応管10は、水平方向に沿って配置され、反応に用いる試薬、反応基質等に対する耐食性及び耐圧性に基づき、ステンレス、真鍮、フッ素系材料、ガラス、塩化ビニール、ポリカーボネイト等から選択された材料で形成されており、堅牢性を考慮してステンレスや真鍮が好適に用いられる。反応管10の大きさ(内径)については、特段の制限はないが、0.005〜1000mmの範囲内のものが好適に用いられる。反応管10の容量についても同様に、特段の制限はないが、0.001〜1Lの範囲内が好ましく、0.01〜0.2Lの範囲内がより好ましい。反応管10の外壁には、温度測定用熱電対、加温用ヒータ、断熱材(いずれも図示せず)が設けられており、反応管10の温度は、熱電対の測定結果に基づいて加温用ヒータの作動を制御する制御器(図示せず)によって制御される。
【0040】
原料供給装置20は、反応管10の反応空間11に対して、原料として反応基質を含む液体材料を供給するものであって、原料貯留槽21、送液装置22、逆止弁23を有している。原料貯留槽21に貯留された液体材料(原料)は、ポンプ等で構成される送液装置22により、反応管10の一端側(図1では左側)に接続された送液管24を介して反応管10の反応空間11に供給される。なお、送液装置22と逆止弁23との間にバルブを設けてもよい。
【0041】
ガス供給装置30は、反応管10の反応空間11に対して、反応ガス(反応気体)を供給するものであって、ガスボンベ31、流量制御機器32、逆止弁33、圧力計34、リリーフ弁35を有している。ガスボンベ31に貯蔵された反応ガスは、流量制御機器32によって流量制御された後に、逆止弁33、圧力計34、リリーフ弁35及び反応管10の一端側(図1では左側)に接続された導入管36を介して反応管10の反応空間11に供給される。なお、圧力計34とリリーフ弁35との配置順序は、逆の構成としてもよい。
【0042】
生成物排出装置40は、液溜部41、バルブ42、抵抗体43を有している。液溜部41は、内部に液溜空間45を有しており、反応管10とは排出管44で接続されている。反応管10において原料と反応ガスとの反応で生じた生成物は、排出管44を介してこの液溜空間45に溜められる。また液溜部41の底部には、排出管47が接続されている。排出管47の内部は、液溜部41の底部に液溜空間45に開口して設けられた排出孔46によって液溜空間45と連通している。排出管47には、上記バルブ42及び抵抗体43が順次設けられており、液溜部41に溜められた生成物は、バルブ42が開状態のときに、抵抗体43における流動抵抗に応じた速度で排出孔46から排出管47を介して貯留槽50に排出・貯溜される。
【0043】
上記反応管10の反応空間11及びこの反応空間11と排出管44の内部を介して連通する液溜部41の液溜空間45は、バルブ42を閉状態とすることにより、排出管44の内部も含めて密封状態に維持される。
【0044】
また、液溜部41には、液面計48が設けられている。液面計48は、光や超音波を用いて液溜空間45に溜められた生成物の液面の位置(液位)を計測するものであり、液面の位置が所定位置に達したときにON信号を排出制御器49に出力し、液面の位置が所定位置よりも低下しているときにOFF信号を排出制御器49に出力する。排出制御器49は、液面計48の出力に応じてバルブ42の開閉を制御する。
【0045】
上記の気液反応装置1を適用可能な合成反応としては、特に制限はなく、既知の高圧下気液合成反応、または大気圧下気液合成反応に用いることができる。
例えば、ラジカルカルボニル化反応、オレフィンのヒドロホルミル化反応、直接フッ素化反応、酸素酸化反応(アルコールからアルデヒドを得る反応、アルケンからエポキシを得る反応、光一重項酸素酸化反応、エステルのα位酸化反応など)、水素化反応(オレフィンの水素化反応、カルボニル化合物の水素化反応、シアノ基の水素化反応など)、アルカンの光ハロゲン化反応、Heckカルボニル化反応に対して適用可能である。特に、ラジカルカルボニル化反応、オレフィンのヒドロホルミル化反応、直接フッ素化反応、Heckカルボニル化反応に対して好適であり、Heckカルボニル化反応に対しては最適である。
【0046】
本実施形態では、反応基質を反応させる際に、触媒を用いてもよいし、使用しなくてもよい。触媒を用いる場合には均一系触媒が好適に用いられ、特に周期律表第4〜12族の元素(金属)及びランタノイドから選ばれる元素(金属)の少なくとも一種を含有するものが用いられる。また、触媒は、周期律表第4〜12族の元素(金属)及びランタノイドから選ばれる触媒金属以外の金属の少なくとも一種を含有するものであってもよい。さらに、触媒としては、ハロゲンを含むものであってもよい。
これらの触媒は、通常、反応基質を含む液体成分中に含有されて反応管10に供給される。触媒の使用量としては、特に制限はないが、反応基質に対して有効成分量として0.1ppm以上、特に1ppm以上、10%以下、特に1%以下とすることが好ましい。
【0047】
また、本実施形態においては、反応基質を反応させる際に、溶媒を用いてもよいし、反応基質自体を溶媒と同等量用いて反応を行ってもよい。溶媒を用いる場合には、反応基質を溶解させて反応管10に供給してもよいし、反応基質とは別に供給してもよい。
溶媒としては、水、有機溶媒、イオン液体(イオン性液体、イオン性流体、常温融解塩とも称される)、液体の無機化合物等の1種または2種以上を用いることができる。有機溶媒としては、ヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ブチルアルデヒドなどのアルデヒド類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジ−n−オクチルフタレート等のエステル類、トリエチルアミン、ピロリジン、ピペリジンなどのアミン類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール等のジオール類、アセトニトリル等のニトリル類、ピリジン等の複素芳香族化合物、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロエタン等のハロゲン溶媒、酢酸、蟻酸等のカルボン酸類、スルホン酸類、フロリナート(登録商標)等のフッ素系不活性液体が挙げられ、これらの2種以上の任意の割合の混合溶媒を用いることもできる。液体の無機化合物としては、硫酸、リン酸、亜リン酸等のリン酸類、硝酸、過酸化水素水等が挙げられる。溶媒としては、中でも、水系溶媒と有機溶媒が好ましく、更に好ましくは芳香族炭化水素、炭化水素類やアルコール類が好ましく、特に芳香族炭化水素が好適である。
溶媒を用いる場合には、その使用量に制限はなく、用いる反応基質の濃度が溶媒1リットルに対して通常0.001モル以上、好ましくは0.02モル以上、さらに好ましくは0.1モル以上で、20モル以下、好ましくは10モル以下、さらに好ましくは5モル以下となるような量の溶媒を用いることが好ましい。溶媒の量が上記の範囲よりも多いと生産性が低下し少ないと触媒あるいは反応基質を溶解させてしまう点で不利となる。
【0048】
反応ガス(反応気体)としては、酸素、オゾン、水素、フッ素、塩素、一酸化炭素、二酸化炭素、二酸化硫黄、塩化水素ガス、アンモニアガス、メタン、エタン、プロパン、エチレンガス、アセチレンガス等が挙げられ、酸素は一重項酸素及び三重項酸素が挙げられる。また、これらの混合ガス、あるいはこれらの反応ガスと他の気体との混合ガスを用いてもよい。
気体成分中の反応ガスの濃度については、特に制限はないが、体積割合で0.01〜100%の範囲から選択され、好ましくは0.1%以上、より好ましくは5%以上で、特に好ましくは10%以上である。反応ガスの濃度が上記範囲よりも低いと十分な反応効率を得ることが困難である。
【0049】
次に、上記の気液反応装置1を用いて生成物(合成物)を生成する手順について、図2のフローチャートを用いて説明する。
液溜部41に生成物が溜まっていない状態で反応ガスを反応管10の反応空間11に供給した場合、反応ガスが排出管44から液溜空間45に流入し、排出孔46を介して排出管47から流出してしまうことから、生成物の生成に際しては、まず、バルブ42を閉じる(ステップS1)。ここで、送液管24及び導入管36には、それぞれ逆止弁23、33が設けられており、反応空間11の流体が送液管24及び導入管36を逆流することが阻止され、また排出管47もバルブ42によって閉じていることから、反応空間11及び液溜空間45(及び排出管44の内部)は密封状態となる。
【0050】
続いて、流量制御機器32を用いて反応管10内のガス圧を所望値αMPaに制御する(ステップS2)。このとき、反応管10内の反応空間11におけるガス圧は、圧力計34で計測されており、反応空間11におけるガス圧がαMPaよりも低下した場合には流量制御機器32を用い、ガス圧がαMPaとなるように反応ガスを補填する。補填間隔としては、経時的または間欠的に行うことができる。
【0051】
そして、反応管10内のガス圧が安定するまで所定時間待機した後に(ステップS3)、ガス圧が安定したかどうかを判断し(ステップS4)、ガス圧が安定したら送液装置22を作動させ、原料貯留槽21から原料液を所望の流速(VmL/min)で送液管24を介して反応管10内に流入させる(ステップS5)。
反応空間11に原料液が供給されると、反応ガスと原料液に含まれる反応基質とが反応することにより、原料液(反応基質)の供給量に応じて生成物(生成液)が生成され、排出管44を介して液溜部41に排出される。
【0052】
液溜部41における液溜部41に溜まった生成物の液位(液面の位置)が所定位置に達して十分に生成物が液溜部41に溜まったかどうか、すなわち、排出孔46から生成物が流出しない程度に液溜部41の底部に生成物が溜まったかどうかは液面系48がモニターしており、液位が所定位置に達していないときにはOFF信号を排出制御器49に出力し、液位が所定位置に達しているときにはON信号を排出制御器49に出力する。排出制御器49は、液面系48の出力に応じてバルブ42の開閉を制御する(ステップS6)。すなわち、OFF信号が出力されている間はバルブ42の閉状態を維持し、ON信号が出力されるとバルブ42を開く(ステップS7)。これにより、液溜部41に溜まった生成物は、排出孔46から排出される。
【0053】
このとき、排出孔46は生成物に覆われており、液溜空間45において反応ガスが存在する空間は、生成物の液面より上方に形成され、反応ガスは排出孔46から流出することなく密封される。そのため、上記気液反応装置1においては、反応ガスは密封された状態で、生成物のみが排出されることになる。
そして、排出孔46から排出された生成物は、抵抗体43による流動抵抗に応じた流量で排出管47を介して貯留槽50に流出して貯留される。
【0054】
ここで、抵抗体43による流動抵抗に応じて液溜部41から生成物が流出する流量と、送液装置22の作動による原料液(反応基質)の供給量に応じて生成される生成物の生成量とが均衡している場合には、液溜部41における生成物の液位は略一定に維持される。一方、液溜部41から流出する生成物の流量が生成物の生成量よりも大きい場合には、液溜部41における生成物の液位は徐々に低下する。そして、生成物の液位が所定位置を下回り、液面計48がOFF信号を出力したことを排出制御器49が検知すると(ステップS8)、排出制御器49はバルブ42を閉じる(ステップS9)。これにより、液溜部41からの生成物の流出が止まり、生成物の液位の低下により排出孔46が露出し、反応ガスが排出孔46から流出することが回避される。
【0055】
この後、貯留槽50に生成物が必要量貯溜されたかどうかを判断し(ステップS10)、必要量が得られていない場合には、上記ステップS5〜ステップS9を繰り返し、必要量が得られた場合には生成物の生成が完了する。
【0056】
なお、上記ステップS5〜ステップS9の間では、反応空間11におけるガス圧は圧力計34でモニターされており、原料液との反応に伴う反応ガスの消費によりガス圧が低下した際には、低下したガス圧に相当する量の反応ガスを、ガス供給装置30により連続的または間欠的に反応管10内に供給することにより、反応管10内を所望ガス圧αMPaに一定に制御できる。制御範囲としては、α±20%以内が好ましく、α±5%以内がより好ましい。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態では、反応管10の反応空間11及び液溜部41の液溜空間45を密封状態に維持しつつ、液溜部41の生成物を排出するため、反応ガスの消費量を必要最低限に抑制しつつ所定量の生成物を得ることが可能になる。そのため、本実施形態では、気液反応により生成物を得る工業プロセスに、上述した気液反応装置1及び気液反応方法を適用することにより、反応ガスの浪費を大幅に抑制することが可能になり、反応に用いる化学品のコストを低減することができる。
【0058】
(第2実施形態)
続いて、気液反応装置1の第2実施形態について、図3及び図4を参照して説明する。
これらの図において、図1及び図2に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
第2実施形態では、生成物排出装置40に送液装置が設けられる点で第1実施形態と異なっており、他の構成は第1実施形態と同様であるため、以下、この点について説明する。
【0059】
図3に示すように、第2実施形態における気液反応装置1は、排出管47のバルブ42と抵抗体43との間に送液ポンプ等からなる送液装置52が設けられている。この送液装置52の駆動は、排出制御器49により制御される。排出制御器49は、液面計48の計測結果に基づいて、バルブ42の開閉及び送液装置52の駆動を制御する構成となっている。
他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
なお、送液装置52の駆動は、必ずしも液面計48の計測結果と連携させる必要はない。
【0060】
上記構成の気液反応装置1では、図4に示すフローチャートのように、ステップS6で液面計48からON信号が出力されると、排出制御器49がバルブ42を開くとともに、送液装置52を駆動する(ステップS17)。これにより、液溜部41に溜められた生成物は、排出管47を介して貯溜層50に流出して貯溜される。
このように本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0061】
なお、上記第2実施形態では、排出制御器49が送液装置52の駆動を制御する構成としたが、さらに送液装置22の駆動も制御する構成としてもよい。
この構成では、送液装置22の駆動による原料の供給量と同期して、当該原料供給量と対応する量の生成物を排出させることにより、液溜部41に溜められた生成物の液位を常時一定とすることが可能になり、連続的な生成物の生成を容易に実現することができる。
また、排出制御器49は、必須の構成ではなく、送液装置22と送液装置52とが互いに連携するだけでもよい。
【0062】
(第3実施形態)
続いて、気液反応装置1の第3実施形態について、図5を参照して説明する。
この図において、図1及び図2に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
第3実施形態では、原料液と反応ガスとを予備反応させる予備反応管が設けられる点で第1実施形態と異なっており、他の構成は第1実施形態と同様であるため、以下、この点について説明する。
【0063】
図5に示すように、第3実施形態における気液反応装置1は、反応管10の上流側に予備反応管(予備反応装置)15が設けられている。予備反応管15は、反応管10と同様の構成を有し、且つ反応管10とは独立して圧力・温度等の反応条件を設定可能となっている。そして、本実施形態の気液反応装置1では、原料供給装置20から反応管10に向けて供給される原料液、及びガス供給装置30から反応管10に向けて供給される反応ガスはこの予備反応管15に導入され、予備反応(予備混合)された原料液及び反応ガスが反応管10に供給される。
【0064】
上記の構成の気液反応装置1では、原料液の反応基質及び反応ガスの反応特性に応じて反応条件が設定される。この反応条件としては、例えば反応温度が低い方が好ましい場合には冷却処理が行われ、高い方が好ましい場合には加熱処理が行われる。同様に、反応ガスのガス圧についても、上記反応特性に応じて適宜設定される。
【0065】
このように、本実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、反応管10における反応条件とは異なる反応条件で原料液と反応ガスとを予備反応させることができ、反応管10における反応条件に対して、予備反応管15における予備反応条件が異なっている場合でも、最適な反応条件で原料液と反応ガスとを予備反応させることが可能になり、反応管10に向けて最適な状態で原料液と反応ガスとを供給することができ、より効率的な気液反応を実現することができる。
【0066】
(第4実施形態)
続いて、気液反応装置1の第4実施形態について、図6を参照して説明する。
なお、図6においては、反応管10以外の周辺装置については簡略化して図示している。この図において、図1及び図2に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
上記の実施形態では、反応管10と液溜部41とを分離して設ける構成としたが、第4実施形態では、液溜部41を反応管10の一部に設ける場合について説明する。
【0067】
図6に示すように、反応管10は、生成物排出側の端部が鉛直方向の下方に向けて屈曲して形成されている。そして、本実施形態では、この屈曲部が液溜部41とされており、内部の液溜空間45は反応管10内の反応空間11と連通して設けられている。
屈曲部の屈曲角度としては、特に制限されるものではないが、内角が0度より大きく180度より任意の角度を選択することができ、30〜135度の範囲が好ましく、75〜105度の範囲が最適である。
なお、図6では図示していないが、液溜部41には液面計等が設けられている(これ以降の実施形態についても同様)。
【0068】
上記構成の気液反応装置1では、反応空間11における反応で生成された生成物は、順次液溜部41に溜まり、その液位に応じて排出管47から排出される。
従って、本実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、液溜部41を反応管10と独立して設ける必要がないことから、装置の小型軽量化及び低価格化を実現することができる。
なお、本実施形態で示した反応管10は、必ずしも鉛直方向の下方に向けて屈曲する必要はなく、水平方向に延在する反応管10の本体に対して90度以上の角度で、且つ下方に向く成分を有する角度で屈曲する構成であってもよい。
【0069】
(第5実施形態)
続いて、気液反応装置1の第5実施形態について、図7を参照して説明する。
なお、図7においても、反応管10以外の周辺装置については簡略化して図示している。この図において、図1及び図2に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
上記の実施形態では、原料供給装置20及びガス供給装置30の双方が反応管10の一端側から原料液、反応ガスをそれぞれ供給する構成としたが、第5実施形態では互いに異なる側から供給する構成としている。
【0070】
図7に示すように、原料供給装置20は、送液管24が反応管10の一端側(図7中、左側)に接続され、ガス供給装置30は導入管36が反応管10の他端側(図7中、右側)に接続され、互いに異なる側から原料液、反応ガスを供給する。
そのため、本実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、原料液及び反応ガスを反応管10の同一側から供給した場合のように、原料液が導入管36に逆流して浸入したり、反応ガスが送液管24に逆流して浸入することを防止して、安定した原料液供給及び反応ガス供給を実現することができる。
なお、本実施形態では、ガス供給装置30の導入管36が反応管10の他端側の端部に設けられる構成としたが、これに限定されるものではなく、送液管24と対向しない範囲であれば、例えば反応管10の長さ方向略中央部に設ける構成としてもよい。
【0071】
(第6実施形態)
続いて、気液反応装置1の第6実施形態について、図8を参照して説明する。
なお、図8においても、反応管10以外の周辺装置については簡略化して図示している。この図において、図1及び図2に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
上記の実施形態では、反応管10を水平方向に沿って配置する構成としたが、第6実施形態では鉛直方向に沿って配置している。
【0072】
本実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、反応管10を水平に配置する場合と比べて、気液反応装置1の設置面積を小さくすることができ、換言すると、同じ設置面積に対してより多くの気液反応装置1を設置することができ、生産性を向上させることが可能になる。
【0073】
なお、反応管10を鉛直方向に沿って配置する構成を採る場合には、第4実施形態と同様に、図9に示すように、反応管10の一部(下端部)に液溜部41を設ける構成としてもよい。この構成では、さらなる小型化を実現することができる。
また、反応管10の一部に液溜部41を設ける構成としては、図10(a)に示すように、反応管10の下端部を水平方向に屈曲し、この屈曲部を液溜部41としても、同様の作用・効果を得ることができる。
【0074】
また、上述した気液反応装置1では、反応ガスが排出孔46から流出しないように、生成物が排出孔を十分に覆った状態で生成物を排出する必要があるが、反応管10の一部に液溜部41を設ける場合には、特に生成物の生成速度が比較的小さい場合に、反応ガスが流出する可能性が高まる。そのため、液溜部41の底部については、図10(b)に示されるように、下方に向かうに従って漸次縮径する漏斗状(錐状)に形成し、その底端部に排出孔46を設けることにより、生成物の生成量が少ない場合でも先端部(底端部)における断面積が小さいことから生成物が溜まりやすく排出孔46を覆うことができ、反応ガスの流出をより効果的に防ぐことができる。
【0075】
なお、例えば、反応空間11を密封するための液面の位置は、液溜部41にあるものに限らず、排出管47内や抵抗体43内にあるものでもよい。
【0076】
また、例えば、上記実施形態では、反応管10の外壁に加温用ヒータ(加熱装置)を設ける構成として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図11に示すように、長尺管状の反応管10を円筒状の加熱装置Hの外周に巻回する構成としてもよい。
この構成では、反応管10と加熱装置Hとの接触面積が大きくなり、効率的に反応管10を加熱することができる。また、この構成では、一定の設置スペースに対して反応管10の反応空間の長さを大きく確保することが可能になる。そのため、本発明では、反応空間を長く確保することが可能になり、滞留時間も長くなり生産性を向上させることができる。
【0077】
(第7実施形態)
続いて、気液反応装置1の第7実施形態について、図12乃至図19を参照して説明する。
なお、これらの図においても、反応管10以外の周辺装置については簡略化して図示している。この図において、図1及び図2に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
上記の実施形態では、反応管10を例えば円管としているが、第7実施形態では断面矩形の角管を用いる例について説明する。
【0078】
図12に示すように、本実施形態における反応管10は、外観で直方体形状を呈しており、図13の幅方向の断面図(図12におけるA−A線視断面図)に示されるように、反応空間11に臨む内面底部10aは平面形状で形成されている。
より詳細には、本実施形態における反応管10は、平板の薄板により断面矩形の反応空間11を形成し、その底部10aは水平方向に延びる平面(略水平面)となっている。
【0079】
また、図14に平面断面図として示すように、反応空間11は平面視矩形に形成されており、送液管24(導入管36)と排出管44とは、原料液及び反応ガス(生成物を含む、以下流体と称する)の流動方向(図14では紙面上下方向)に間隔をあけて配置されている。図15に、B−B線視断面図として示されているように、反応空間11は流体の流動方向においても断面矩形に形成され、反応管10の底部10aは平面形状に構成されている。
【0080】
上記反応管10の材料については特段の制限はなく、反応に用いる試薬に対する耐腐食性並びに耐圧性を考慮して、ステンレス、真鍮、フッ素系樹脂材、ガラス、塩ビ、ポリカーボネイト等を選択でき、堅牢性を考慮した場合にはステンレスまたは真鍮を用いることが好適である。
【0081】
また、反応管10の内部(反応空間11)のサイズについては特段の制限はないが、幅及び深さはそれぞれ0.005〜1000mmの範囲内であることが好ましく、特に10〜150mmの範囲であればより好適である。また、反応空間11の幅と高さとの比には特段の制限はないが、0.1〜150000の範囲内であることが好ましく、特に1〜15000の範囲であればより好適である。これは、比が上記範囲以下であると、反応ガスの原料液への溶解速度が遅くなり、反応が効率よく進行しないためである。さらに、反応管10の容量(反応空間11の体積)についても特段の制限はないが、0.01〜1.0Lの範囲内であることが望ましい。0.05〜0.2Lであればより好適である。また、液溜部41の容量についても、特段の制限はないが、0.01〜1.0Lの範囲内であることが望ましい。
【0082】
上記構成の反応管10においては、図13及び図15に示されるように、反応管10に供給された原料液Gは、底部10aが平面形状であることから、上述した実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、底部が円弧形状である円管に同量の原料液を供給した場合と比較して、反応空間11における原料液Gの厚みを薄くすることができるため、反応ガスの原料液の溶解を効率よく進行させることが可能になる。
そのため、本実施形態では、反応ガスを原料液へ溶解するためのコスト及び工数を低減することが可能となる。
【0083】
なお、反応管10(反応空間11)の平面形状は、図14に示した矩形に限られず、例えば図16(a)に示すような多角形(図では6角形)や、図16(b)に示すような三角形、さらに図16(c)に示すように、矩形の角部を円弧形状としたものとしてもよい。三角形や多角形にした場合、角部に円弧形状を設けることにより、エンドミル等の切削工具を用いた切削工程で反応管10を容易に製造することができ、製造効率を向上させることができる。また、加工方法についても、上記切削加工の他に、レーザ加工、ウェットエッチング、ドライエッチング、サンドブラスト加工等の各種工法を用いることができる。
【0084】
また、反応空間11の幅方向の断面形状についても、図13に示した矩形状に限定されるものではなく、底部10aに平面形状(略水平面)が形成されていれば、例えば図17(a)に示すような多角形(図では6角形)や、図17(b)に示すように、矩形の両端部を円弧形状としたものとしてもよい。さらに、平面形状を有するが水平面ではない形態としては、図17(c)に示すように、幅方向の断面が中央部に向かうに従って漸次下方に向かうV字状に形成されていてもよい。この構成でも、底部が円弧形状である円管に同量の原料液を供給した場合と比較して、反応空間11における原料液Gの厚みを薄くすることができるため、反応ガスの原料液の溶解を効率よく進行させることが可能になる。
【0085】
また、反応空間11の流体の流動方向の断面形状についても、図15に示した水平方向に延びる矩形状に限られず、例えば図18(a)に示すように、底部10aが下流側に向かうに従って漸次下方に向かって傾斜する形状や、反応空間11が一定の幅をもって、下流側に向かうに従って漸次下方に向かって傾斜する形状であってもよい。これらの形状を有する場合には、後述する第8実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
【0086】
また、反応管10への送液管24(導入管36)及び排出管44の接続位置についても、図14で示した流体の流動方向に配列する構成以外にも、図19(a)に示すように、対角線上に配置する構成としてもよい。この構成では、原料液の流動長を大きくすることができ、反応ガスの溶解を効率よく進行させることができる。複数種類の原料液や反応ガスを用いる場合には、予め混合したものを反応空間11に導入してもよいし、図19(b)、(c)に示すように、例えば3種類の原料液や反応ガスを用いる場合には、種類毎に個別に導入口を設けてもよい。
【0087】
(第8実施形態)
続いて、気液反応装置1の第8実施形態について、図20を参照して説明する。
なお、この図においても、反応管10以外の周辺装置については簡略化して図示している。この図において、図1に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
上記の第1実施形態では、反応管10を水平方向に延在するように配置しているが、第8実施形態では水平方向に対して傾斜させている。
【0088】
すなわち、図20に示すように、本実施形態における反応管10は、流体の下流側に向かうに従って漸次下方に向かうように、水平方向に対して角度θで傾斜して配置されている。角度θとしては、5°以上、且つ45°以上が好ましい。
他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0089】
第1実施形態で示した反応管10の水平配置の場合、反応ガスと原料液とが安定した相状態を形成することが困難な場合があり、この場合、反応効率が低下する、あるいは安定した生成物製造が困難になる可能性がある。一方、図8乃至図10で示した反応管10の垂直配置(鉛直方向の配置)の場合、安定した気液2層流が形成されるものの、原料液の移動速度が重力の作用により増大してしまい、反応ガスと原料液とを長時間接触させることが困難になり、長時間の反応を要する合成反応には適さないことが想定される。
【0090】
そこで、上記構成の気液反応装置1においては、反応管10が水平方向に対して傾斜しているため、原料液が一定の速度で移動するため、安定した2層流を形成することが可能になる。また、本実施形態では、鉛直方向に反応管10を配置するほど原料液の移動速度が大きくならないため、原料液と反応ガスとを所定時間で合成反応させることも可能になる。
【0091】
なお、傾斜角度θとしては、5°未満の場合には水平の場合での流速との差が小さく、また45°を超えると原料液の移動速度が大きくなり、原料液と反応ガスとの接触時間が短くなる可能性があるため、5°以上、且つ45°以下であることが好ましい。
【0092】
また、傾斜角度θの調整方法としては、反応管10を例えば図20中、紙面と垂直な方向の軸周りに回転可能に軸支し、油圧アクチュエータや電動アクチュエータ等の直動機構を用いて反応管10の一端を昇降させることにより、任意の傾斜角度に反応管10を配置することが可能になり、反応ガス及び原料液の反応特性に応じた最適な傾斜角度(すなわち原料液の移動速度)に容易に設定することができる。
【0093】
なお、図20に示した反応管10においては、原料供給装置20及びガス供給装置30の双方が反応管10の一端側から原料液、反応ガスをそれぞれ供給する構成としたが、図21に示すように、第5実施形態(図7参照)と同様に、送液管24が反応管10の一端側(図21中、左側)に接続され、ガス供給装置30は導入管36が反応管10の他端側(図21中、右側)に接続され、互いに異なる側から原料液、反応ガスを供給する構成としてもよい。
この構成では、原料液及び反応ガスを反応管10の同一側から供給した場合のように、原料液が導入管36に逆流して浸入したり、反応ガスが送液管24に逆流して浸入することを防止して、安定した原料液供給及び反応ガス供給を実現することができる。
【0094】
また、本実施形態では、反応管10が流体の下流側に向かうに従って漸次下方に向かうように、水平方向に対して傾斜して配置する構成を例示したが、これとは逆に、流体の下流側に向かうに従って漸次上方に向かうように、水平方向に対して傾斜して配置する構成としてもよい。
この構成では、重力の作用により、移動速度が漸次遅くなることから、反応空間11における反応ガスと原料液との接触時間を長くすることが可能になる。
【0095】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0096】
例えば、上記実施形態では、反応管10の加熱方法として、反応管10の外壁に加温用ヒータ(加熱装置)を設ける構成や、長尺管状の反応管10を円筒状の加熱装置Hの外周に巻回する構成を例示したが、これらの構成の他に、図22に示すように、反応管10の内部にヒータHを九十九折り状に挿入(埋設)する構成としてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、反応管10の内部に反応ガスを充填した後に原料液を送液する構成としたが、これに限定するものではなく、原料液を一定量送液した後に反応ガスを封入する構成としてもよい。また、反応ガスと原料液との少なくなくとも一方を反応管10内に導入する前に、原料液に使用される溶媒のみ又は原料液を先に反応管10内に導入して液溜部41に貯蔵させてもよい。この場合、例えば以下のステップを踏まえて上記第1実施形態と同様の手順で生成物を生成することがある。
(1)原料液または溶媒の流量制御のためのバルブを開けて、原料液に使用される溶媒のみ又は原料液を導入する。
(2)溶媒又は原料液の導入を止めるために、これらの流量を制御するためのバルブを閉める。
(3)一方でガスの流量制御のためのバルブを開けてガスを導入する。
(4)ガスの導入を止めるためにバルブを閉める。
【0098】
上述した貯留槽50は、通常大気圧下とするが、貯留槽50内を加圧して溶存ガスの気相再移動を抑制する構成としてもよい。また、貯留槽50を反応管10内のガス圧αよりも低いβとし、その差圧により溶存ガスを気相に再移動させることにより、未反応ガスを回収する構成とすることも可能である。
【0099】
また、上述した抵抗体43としては、反応管10(反応空間11)及び液溜部41(液溜空間45)に対して所望の背圧を付与できればよく、抵抗体43の構造については特に制限はなく、例えば背圧弁、内径の小さな中空配管(SUS製、PEEK製等)、粒子充填管、隔膜、無機物または有機物の一体型構造体(所謂、モノリス型構造体)を内部に構築した抵抗管等を用いることができる。実用上では、背圧弁、粒子充填管、あるいは中空配管を使用すれば効果的である。
【0100】
また、上述した液面計、リリーフ弁、逆止弁については、必要に応じて用いればよく、個々に省略することも可能である。
反応管10内のガス圧については、通常一定値αで制御されるが、実施する気液反応の化学特性に応じて気液反応中にα値を変動させてもよい。
【0101】
また、気液反応後に反応管10内に封入された反応ガスを回収する目的で反応管10または液溜部41に連結された切替バルブを設置し、気液反応後に当該切替バルブを介して反応管10内に滞留する未反応ガスを回収する構成としてもよい。
【0102】
また、気液反応後に回収された生成液については、生成物を分離後に溶媒を再利用する構成としてもよい。
上記実施形態における気液反応で用いる反応ガスについては、圧力及び温度の制御により超臨界状態(超臨界流体)であってもよい。
【0103】
なお、本発明の気液反応装置に適した反応管内部の気液相状態としては、反応管径、反応管長、反応ガス種、反応ガス濃度、反応ガス圧、原料溶媒種、原料溶媒流速などの個々因子の制御によって、(i)成層流(層状流;stratified flow)、(ii)気体プラグと液体プラグが交互に流れるプラグ流(plug flow)、(iii)気体プラグと液体スラグが交互に流れるスラグ流(slug flow)、(iv)気泡流(bubbly flow)、(v)チャーン流(churn flow)、(vi)環状流(annular flow)、(vii)環状噴霧流(annular-sidpersed flow)、(viii)せん状流(plug flow)が挙げられる。
また、本発明の気液反応装置においては、反応効率を考慮すると、成層流またはスラグ流が好ましく、最も好ましくは成層流である。
【符号の説明】
【0104】
1…気液反応装置、 10…反応管(反応容器)、 11…反応空間、 15…予備反応管(予備反応装置)、 20…原料供給装置(液体材料供給装置)、 30…ガス供給装置(気体供給装置)、 40…生成物排出装置(排出装置)、 41…液溜部、 H…加熱装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応空間を有する反応容器と、前記反応空間に反応基質を含む液体材料を供給する液体材料供給装置と、前記反応空間に反応気体を供給する気体供給装置と、前記反応空間につながり前記反応基質と前記反応気体とが反応して生成された生成液を溜める液溜空間を有する液溜部とを有する気液反応装置であって、
前記反応空間及び前記液溜空間を密封状態にしつつ、前記液溜部の前記生成液を排出する排出装置を有することを特徴とする気液反応装置。
【請求項2】
請求項1記載の気液反応装置において、
前記排出装置は、前記反応空間における前記反応気体の圧力に応じて前記反応気体の供給量を制御する反応気体制御装置と、
前記液溜部に、前記液溜空間に開口して設けられた排出孔と、
前記液溜部における前記生成液の液位に応じて前記排出孔からの前記生成液の排出量を制御する排出制御装置とを有することを特徴とする気液反応装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の気液反応装置において、
前記反応容器に向けて供給される前記液体材料と前記反応気体とを予備反応させる予備反応装置を有することを特徴とする気液反応装置。
【請求項4】
請求項3記載の気液反応装置において、
前記予備反応装置は、前記反応基質と前記反応気体との反応特性に応じて、前記反応容器における反応条件とは異なる反応条件で予備反応させることを特徴とする気液反応装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の気液反応装置において、
前記液溜部の前記生成液を負圧吸引して排出させる吸引装置を有することを特徴とする気液反応装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の気液反応装置において、
前記液体材料供給装置は、前記液体材料を前記反応容器の一端側から供給し、
前記気体供給装置は、前記反応気体を前記反応容器の他端側から供給することを特徴とする気液反応装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の気液反応装置において、
前記液溜部は、前記反応容器の一部に設けられることを特徴とする気液反応装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の気液反応装置において、
前記液溜部の底部は、下方に向かうに従って漸次縮径して形成されることを特徴とする気液反応装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の気液反応装置において、
前記反応容器は管状に形成され、当該反応容器を加熱する加熱装置の外周に巻回して設けられることを特徴とする気液反応装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の気液反応装置において、
前記反応容器における前記反応空間に臨む内面底部は、平面形状を有することを特徴とする気液反応装置。
【請求項11】
請求項10記載の気液反応装置において、
前記内面底部は、略水平面であることを特徴とする気液反応装置。
【請求項12】
請求項10記載の気液反応装置において、
前記内面底部は、幅方向の断面が中央部に向かうに従って漸次下方に向かうV字状に形成されていることを特徴とする気液反応装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の気液反応装置において、
前記反応容器における前記反応空間に臨む内面底部は、延在方向が水平方向に対して傾斜して配置されていることを特徴とする気液反応装置。
【請求項14】
請求項13記載の気液反応装置において、
前記延在方向の前記水平方向に対する傾斜角度は、5°以上、且つ45°以下であることを特徴とする気液反応装置。
【請求項15】
請求項13または14記載の気液反応装置において、
前記内面底部は、下流側が上流側よりも上方に位置して設けられることを特徴とする気液反応装置。
【請求項16】
反応容器内の反応空間に反応基質を含む液体材料及び反応気体を供給する工程と、前記液体材料及び前記反応気体を反応させて生成液を生成する工程と、前記反応空間につながる液溜空間を有する液溜部に前記生成液を溜める工程とを有する気液反応方法であって、
前記反応空間及び前記液溜空間を密封状態にしつつ、前記液溜部の前記生成液を排出する工程を有することを特徴とする気液反応方法。
【請求項17】
請求項16記載の気液反応方法において、
前記反応空間における前記反応気体の圧力に応じて前記反応気体の供給量を制御する工程と、
前記液溜部における前記生成液の液位に応じて、前記液溜空間に開口して設けられた排出孔からの前記生成液の排出量を制御する工程とを有することを特徴とする気液反応方法。
【請求項18】
請求項16または17記載の気液反応方法において、
前記反応容器に向けて供給される前記液体材料と前記反応気体とを予備反応させる予備反応工程を有することを特徴とする気液反応方法。
【請求項19】
請求項18記載の気液反応方法において、
前記反応基質と前記反応気体との反応特性に応じて、前記反応容器における反応条件とは異なる反応条件で予備反応させることを特徴とする気液反応方法。
【請求項20】
請求項16から19のいずれか一項に記載の気液反応方法において、
前記液溜部の前記生成液を負圧吸引して排出させる工程を有することを特徴とする気液反応方法。
【請求項21】
請求項16から20のいずれか一項に記載の気液反応方法において、
前記液体材料を前記反応容器の一端側から供給し、前記反応気体を前記反応容器の他端側から供給することを特徴とする気液反応方法。
【請求項22】
請求項16から21のいずれか一項に記載の気液反応方法において、
前記液溜部を、前記反応容器の一部に設けることを特徴とする気液反応方法。
【請求項23】
請求項16から22のいずれか一項に記載の気液反応方法において、
前記液溜部の底部は、下方に向かうに従って漸次縮径して形成されることを特徴とする気液反応方法。
【請求項24】
請求項16から23のいずれか一項に記載の気液反応方法において、
前記反応容器は管状に形成され、当該反応容器を加熱する加熱装置の外周に巻回して設けられることを特徴とする気液反応方法。
【請求項25】
請求項16から24のいずれか一項に記載の気液反応方法において、
前記反応容器における前記反応空間に臨む内面底部は、平面形状を有することを特徴とする気液反応方法。
【請求項26】
請求項25記載の気液反応方法において、
前記内面底部は、略水平面であることを特徴とする気液反応方法。
【請求項27】
請求項25記載の気液反応方法において、
前記内面底部は、幅方向の断面が中央部に向かうに従って漸次下方に向かうV字状に形成されていることを特徴とする気液反応方法。
【請求項28】
請求項16から27のいずれか一項に記載の気液反応方法において、
前記反応容器における前記反応空間に臨む内面底部は、延在方向が水平方向に対して傾斜して配置されていることを特徴とする気液反応方法。
【請求項29】
請求項28記載の気液反応方法において、
前記延在方向の前記水平方向に対する傾斜角度は、5°以上、且つ45°以下であることを特徴とする気液反応方法。
【請求項30】
請求項28または29記載の気液反応方法において、
前記内面底部は、下流側が上流側よりも上方に位置して設けられることを特徴とする気液反応方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2010−23023(P2010−23023A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56775(P2009−56775)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】