説明

気管支肺感染症の治療および予防のための組成物および方法

気管支肺感染症、閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症および換気装置関連の感染症を哺乳動物において治療または予防するための方法および組成物が、本明細書に開示される。当該方法および組成物には、治療上有効な量の1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン、その類似体、誘導体または薬学的に許容できる塩およびエステルが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、35U.S.C.§119の下に2008年4月10日に出願の米国仮特許出願第61/043,791の優先権主張し、参照としてその全体が本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
(発明の分野)
本発明は、気管支肺感染症を治療および予防するための抗菌、抗感染および消毒用の組成物および方法に関する。特に本発明は哺乳動物、特にヒトにおいて、気管支肺感染症を治療および予防するためのN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
感染症はヒトの医学において永遠の問題である。気管支炎と肺炎を含む気道の感染症は主にウイルスと細菌によって生じるものであるが、ここ数十年、主に癌の治療に使用される免疫抑制剤の故に、真菌による感染症も増えている。
【0004】
多くの抗生物質が細菌性の感染症を治療するのに利用可能であるが、ウイルス性および真菌性の感染症用の薬は比較的少ない。抗生物質の問題点、特に抗ウイルス薬と抗真菌薬の問題点は抗菌耐性である。細菌の中には多剤耐性遺伝子を持っているものがあり、治療を成功させる利用可能な抗生物質の数は限られている。最近かかる遺伝子が真菌でも発見されており、膨大な数の免疫抑制患者が気道を通して感染する真菌性の感染症で亡くなっている。特定の抗ウイルス剤で治療可能なウイルスの数は今のところわずかである。
【0005】
消毒剤は広範な病原体に対して有効であり、その中には一般的に言及されるあらゆる病原体が含まれる。消毒剤を十分な濃度で使用するならば、獲得耐性(すなわち同じ物質を繰り返し使用することによる耐性)は生じない。これはほとんどの消毒剤が持つ非特異的な反応機構によるものであり、抗生物質よりも有利である。しかし消毒剤は抗生物質よりも毒性がはるかに高いので、全身的(すなわち静脈内、経口、動脈内)には使用できない。皮膚および粘膜への局所的な適用のみが可能である。消毒剤が適用できないデリケートな部位がある。例えば、眼、副鼻腔などの体腔、膀胱などである。
【0006】
特別の部位は深部気道、特に気管支、細気管支および肺胞からなる気管支肺系である。消毒剤は、刺激性または中毒性反応のため、あるいはかなりの量が全身的に再吸収されるので、高濃度では耐えられない(例えばアルコールやヨード)。従って、吸入用としては使用されない。例えば、クロラミンTは、吸引後、喘息および炎症症状を引き起こすことが証明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、局所的に使用でき、病原体に対して十分な活性を持っており、病原体の耐性を誘導せず、吸入において耐容性良好である、気管支肺系感染症の治療に用いられる新しい組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様では、哺乳動物において気管支肺感染症を治療または予防する組成物が提供され、その組成物は治療上有効量の1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンまたはその混合物を含む。本明細書で使用される場合、すべての態様において、「N−ハロゲン化アミン」および「N,N−ジハロゲン化アミン」という用語には、その類似体および誘導体、並びに前記化合物の薬学的に許容できる塩またはエステルも含まれる。本明細書で使用される場合、ある実施形態では、「N−ハロゲン化アミンおよびN,N−ジハロゲン化アミン」という用語はその混合物も含む。
【0009】
様々な実施態様において、N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンのハロゲンは塩素である。別の実施形態では、ハロゲンはフッ素、臭素、ヨウ素などの第17族の元素であってよい。
【0010】
様々な実施形態において、N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンは蛋白質、ペプチド、アミノ酸、または薬学的に許容できるその塩の誘導体であり得る。更に、アミンは、アルファアミノ炭酸(本明細書ではアルファアミノ酸またはアルファアミノカルボン酸(グリシン、アラニン、ロイシンなど)とも呼ばれる)、ベータアミノ炭酸(ベータアラニンなど)、アルファアミノスルホン酸(アミノメタンスルホン酸など)、ベータアミノスルホン酸(タウリン、炭素がアルキル化されたその誘導体(ジメチルタウリンなど))、および脂肪族アミン(エチルアミンなど)のうち少なくとも1つから誘導してもよい。ある実施形態では、N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンは、N−クロロタウリン(NCT)もしくはN,N−ジクロロタウリン(NDCT)またはその混合物、あるいは薬学的に許容できるその塩またはエステル(例えば、ナトリウム塩などのアルカリ塩)であり得る。
【0011】
本発明の組成物は、1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンを約0.001%から約10%w/v、例えば約0.1%から約5%(例えば、約0.5%から約1%)の活性成分の濃度で含んでいる。
【0012】
ある実施態様では、組成物はアンモニウム塩(塩化アンモニウムなど)と併用して1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンを含んでいる。1つの実施例は、NCTおよび/またはNDCT(またはそれらの誘導体)と塩化アンモニウムの組み合わせである。混合組成物(すなわち1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンとアンモニウム塩)の各成分は、約0.02%から約1%(例えば、約0.1%から約0.5%)の濃度であり得る。1つ以上のN−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミンとアンモニウム塩の割合は約1:1である。いくつかの適用では、1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンとアンモニウム塩の割合は約1:0.1である。
【0013】
別の態様では、1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンは、気管支肺感染症の治療または予防用医薬品の製造に使用してもよい。
【0014】
例えば、気管支肺感染症の治療または予防用医薬品の製造に使用される1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンは、1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンを約0.001%から約10%w/v、例えば約0.1%から約5%(例えば、約0.5%から約1%)の活性成分の濃度で含む組成物であり得る。
【0015】
別の態様では、組成物はアンモニウム塩(塩化アンモニウムなど)と併用して1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンを含んでいる。例えば、NCTおよび/またはNDCTあるいはそれらのアルキル化誘導体を塩化アンモニウムと併用してもよい。混合組成物(すなわち1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンとアンモニウム塩)の各成分は、約0.02%から約1%(例えば、約0.1%から約0.5%)の濃度であり得る。1つ以上のN−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミンとアンモニウム塩の割合は約1:1である。いくつかの適用では、1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンとアンモニウム塩の割合は約1:0.1である。
【0016】
1つの態様では、哺乳動物において気管支肺感染症を治療または予防する方法が提供され、当該方法は、かかる治療もしくは予防を必要とする哺乳動物に治療上有効量の1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンを投与するステップを含む。別の態様では、哺乳動物において閉塞性肺疾患を治療または予防する方法が提供され、当該方法は、哺乳動物に治療上有効量の1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンを投与するステップを含む。別の態様では、哺乳動物において嚢胞性線維症を治療または予防する方法が提供され、当該方法は、哺乳動物に治療上有効量の1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンを投与するステップを含む。更に別の態様では、哺乳動物において換気装置関連の感染症を治療または予防する方法が提供され、当該方法は、哺乳動物に治療上有効量の1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンを投与するステップを含む。
【0017】
前述の方法では、全て、組成物は吸入により投与されてもよい。ある実施態様では、哺乳動物の被検体は免疫不全であってもよい。
【0018】
本発明のいずれの態様、特徴または実施形態も、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明の他の態様、特徴または実施形と組み合わせることができると解される。本発明の他の態様や利点は、以下の説明および特許請求の範囲により明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施例1における吸入期間のブタの動脈酸素分圧(PaO2)を表す図面である(6〜7匹のブタの平均値+/−SEM、対照と1%NCT+1%NHCl間でp=0.014、他のすべてのグループ間でp>0.05)。
【図2】図2は、実施例4における吸入期間中のブタの肺動脈圧(PAP)を表す図面である(6〜7匹の動物の平均値+/−SEM、生理食塩水および1%NCTと比較した1%NCT=1%NHClおよび5%NCTに関してP<0.01、生理食塩水と1%NCTの間でP>0.05)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(定義)
本明細書で使用される場合、以下の用語は、別の説明がなされない限り以下の意味を有することは理解されるべきである。
【0021】
「アルキル」は、親アルカンの1つの炭素原子から1つの水素原子を除去することにより導かれる飽和状、分岐鎖状または直鎖状の炭化水素ラジカルを意味する。アルキル基は、限定されないが、メチル、エチル、プロピル(プロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イルなど)、ブチル(ブタン−1−イル、ブタン−2−イル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イルなど)、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシルなどを含む。アルキル基は1から約22の炭素原子、例えば1から22の炭素原子、例えば、1から12の炭素原子、例えば1から6の炭素原子を含む。
【0022】
「アルキルシクロアルキル」は、本明細書で定義されるシクロアルキルラジカルに結合する、上で定義されたアルキルラジカルを意味する。アルキルシクロアルキルには、限定されないが、メチルシクロペンチル、メチルシクロブチル、エチルシクロヘキシルなどが含まれる。アルキルシクロアルキル基は4から約32の炭素原子を含む。すなわち、アルキル基が1から約22の炭素原子を含むことができ、シクロアルキル基が3から約10の炭素原子を含むことができる。
【0023】
「活性成分」は、式I、IA、IB、IC、IDの化合物、またはその塩を意味する。
【0024】
「アシル」は−C(=O)Rラジカルを意味し、ここでRは水素、本明細書で定義されるアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、その各々は本明細書で定義されるように任意に置換されていてもよい。代表的な例には、限定されないが、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルなどが含まれる。
【0025】
「アシルアミノ」(または「アシルアミド」)は−NR’C(=O)Rラジカルを意味し、ここでR’とRは各々独立して、水素、本明細書で定義されるアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、その各々は本明細書で定義されるように任意に置換されていてもよい。代表的な例には、限定されないが、ホルミルアミノ、アセチルアミノ(すなわちアセトアミド)、シクロヘキシルカルボニルアミノ、シクロヘキシルメチル−カルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ(すなわちベンズアミド)、ベンジルカルボニルアミノなどが含まれる。
【0026】
「アシルオキシ」は−OC(=O)Rラジカルを意味し、ここでRは水素、本明細書で定義されるアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、その各々は本明細書で定義されるように任意に置換されていてもよい。代表的な例には、限定されないが、アセチルオキシ(またはアセトキシ)、ブタノイルオキシ、ベンゾイルオキシなどが含まれる。
【0027】
「アルコキシ」は−ORラジカルを意味し、ここでRは本明細書で定義されるアルキルまたはシクロアルキル基であり、その各々は本明細書で定義されるように任意に置換されていてもよい。代表的な例には、限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシなどが含まれる。
【0028】
「アルコキシカルボニル」は−C(=O)−アルコキシラジカルを意味し、アルコキシは本明細書で定義されるとおりである。
【0029】
「アルキルスルホニル」は−S(=O)2Rラジカルを意味し、ここでRは本明細書で定義されるアルキルまたはシクロアルキル基であり、その各々は本明細書で定義されるように任意に置換されていてもよい。代表的な例には、限定されないが、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニルなどが含まれる。
【0030】
「アリール」は芳香族の炭化水素基を意味し、互いに縮合した、共有結合した、あるいはメチレン部分またはエチレン部分などの一般的な基に結合した、単一の芳香族環または複数の芳香族環であってもよい。アリール基には、限定されないが、アセナフチレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、ビフェニル、クリセン、シクロペンタジエン、ジフェニルメチル、フルオランテン、フルオレン、インダン、インデン、ナフタレン、ペンタレン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレンなどから誘導される基が含まれる。アリール基は6から約20の炭素原子、例えば6から20の炭素原子(例えば6から10の炭素原子)を含む。
【0031】
「アリールアルキル」は、炭素原子に結合した水素原子の1つがアリール基で置換されたアルキル基を意味する。アリールアルキル基には、限定されないが、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが含まれる。特定のアルキル部分が意図されている場合には、アリールアルカニル、アリールアルケニルおよび/またはアリールアルキニルという名称が用いられてもよい。アリールアルキル基は7から約42の炭素原子を含む。例えば、アルキル基は1から約22の炭素原子を含むことができ、アリール基は6から約20の炭素原子を含むことができる。
【0032】
「気管支肺感染症」は、肺に通じる気道および肺の両方の感染症を意味し、限定されないが、閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、および換気装置関連の感染症を含む。
【0033】
「カーボネート」はCO2ー基を意味する。
【0034】
「カルボキシレート」はRCO基を意味し、ここでRは水素、本明細書で定義されるアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、その各々は本明細書で定義されるように任意に置換されていてもよい。
【0035】
「カルバモイル」は−C(=O)N(R)基を意味し、各R基は独立に水素、本明細書で定義されるアルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、本明細書で定義されるように任意に置換されていてもよい。
【0036】
本明細書で使用される場合、「化合物」は、本明細書で開示される式I、IA、IB、ICおよびIDのN−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化化合物により包含されるあらゆる化合物を意味する。当該化合物は本明細書ではハロアミンとも呼ばれる。本明細書の1つの態様では、ハロアミンはクロラミンTを除外する。当該化合物は陽イオンまたは塩であってもよい。当該化合物は化学構造および/または化学名により同定されてもよい。化学構造と化学名が矛盾する場合は、化合物の同定は化学構造により行われる。当該化合物は1つ以上のキラル中心および/または二重結合を含んでもよいので、二重結合異性体(すなわち幾何異性体)、鏡像異性体、ジアステレオマーなどの立体異性体として存在してもよい。従って、キラル中心の立体化学が特定されていない場合には、本明細書で記述される化学構造には、立体化学的に純粋な形態(例えば、幾何学的に純粋、鏡像異性的に純粋、ジアステレオ異性的に純粋)および鏡像異性的並びに立体異性的混合物を含め、かかるキラル中心におけるあらゆる可能な立体配置が包含される。鏡像異性的並びに立体異性的混合物は、当業者に周知の分離技術またはキラル合成技術を用いて、各鏡像異性体または立体異性体に分割できる。当該化合物はエノール型、ケト型、その混合物を含むいくつかの互変異性型として存在してもよい。従って、本明細書に記述される化学構造には、例示された化合物のあらゆる可能な互変異性型も包含される。化合物は非溶媒和物や溶媒和物として存在してもよく、その中には水和物やN−オキシドも含まれる。一般的に、水和物、溶媒和物およびN−オキシド形は現在の開示の範囲内にある。更に、化合物の部分構造が例示されている場合、括弧はかかる部分構造が分子の残りの部分に結合する結合点を示していることは理解されるべきである。
【0037】
「シクロアルキル」は、飽和環状アルキルラジカルを意味する。典型的なシクロアルキル基には、限定されないが、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどから誘導される基が含まれる。シクロアルキル基は3から約10の炭素原子、例えば3から10の炭素原子(例えば、3から6の炭素原子)を含む。
【0038】
「有効量」とは、気管支肺感染症または汚染を治療または予防する目的で患者に投与される場合に、かかる治療または予防の効果を達成するのに十分な化合物量を意味する。「有効量」は、化合物、微生物感染を引き起こす状態の重篤度、および治療を受ける患者の年齢、体重などにより異なる。
【0039】
「電子求引性基」とは、共鳴効果または誘起効果により電気陰性である原子または官能基を意味する。かかる原子または官能基の例には、限定されないが、−CO2、−NO2、−SO、−PO00、シアノ、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、ハロアルキルなどが含まれ、ここでRおよびR00は独立して、水素、本明細書で定義されるアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはシクロヘテロアルキルであり、その各々は任意に置換されていてもよい。
【0040】
「ハライド」は負荷電のハロゲンを意味し、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物がそれに含まれる。
【0041】
「ハロ」はハロゲンを意味し、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードがそれに含まれる。
【0042】
「ヘテロアルキル」は、1つ以上の炭素原子(およびそれに結合したあらゆる水素原子)が各々独立に同じまたは異なるヘテロ原子基で置換されたアルキルラジカルを意味する。ヘテロ原子には、限定されないが、−NR−、−O−、−S−、−PH−、−P(O)2−、−S(O)−、−S(O)2−などが含まれ、ここでRは上で定義されるとおりである。ヘテロアルキル基には、限定されないが、−O−CH,−CH2−O−CH、−S−CH、−CH2−S−CH、−NR−CH、−CH2−NR00−CHなどが含まれ、ここでRおよびR00は上で定義されるとおりである。ヘテロアルキル基は、1から約22の炭素原子とヘテロ原子、例えば1から22の炭素原子とヘテロ原子、例えば1から12の炭素原子とヘテロ原子、例えば1から6の炭素原子とヘテロ原子を含んでもよい。
【0043】
「ヘテロアリール」は、1つ以上の炭素原子(およびそれに結合したあらゆる水素原子)が各々独立に同じまたは異なるヘテロ原子基で置換されたアリール基を意味する。典型的なヘテロ原子基には、限定されないが、−N−、−O−、−S−、−NR−などが含まれ、ここでRは上で定義あれるとおりである。典型的なヘテロアリール基には、限定されないが、アクリジン、カルバゾール、カルボリン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナンスロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどから誘導される基が含まれる。ヘテロアリール基は5から約20の原子、例えば5から20の原子(例えば、5から10の原子)を含む。
【0044】
「ヘテロシクロアルキル」は、1つ以上の炭素原子(およびそれに結合したあらゆる水素原子)が各々独立して、同じまたは異なるヘテロ原子基で置換された不飽和シクロアルキルラジカルを意味する。炭素原子を置換する典型的なヘテロ原子には、限定されないが、N、P、O、Sなどが含まれる。典型的なヘテロシクロアルキル基には、限定されないが、エポキシド、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロリジン、キヌクリジンなどから誘導される基が含まれる。ヘテロシクロアルキル基は3から10の炭素原子を含む。
【0045】
「ヒドロキシ」はOH基を意味する。
【0046】
「微生物」とは、細菌、真菌(酵母を含む)またはウイルスを意味する。
【0047】
「ホスフェート」は(R)PO(3−n)−基を意味し、ここでnは0、1または2であり、Rは水素、本明細書で定義されるアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、その各々は任意に置換されていてもよい。
【0048】
「患者」は哺乳動物(例えばヒトも含む)または鳥類(例えばニワトリも含む)である。
【0049】
「薬学的に許容できる」とは、一般的に安全で毒性がなく、生物学的にもその他の意味でも有害ではない医薬組成物の製造に有益であることを意味し、その中には獣医学およびヒトの薬学的使用に許容可能なものも含まれる。
【0050】
「薬学的に許容できる塩」とは、薬学的に許容可能であり親化合物の好ましい薬理学的活性を有する化合物の塩を意味する。かかる塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸などの無機酸で形成される酸付加塩、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、オレイン酸、パルミチン酸、プロピオン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸などの有機酸で形成される酸付加塩、親化合物に存在する酸性プロトンがアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンもしくはアルミニウムイオンなどの金属イオンで置換されて形成される塩、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミンなどの有機塩基と配意結合した塩が含まれる。薬学的に許容できる代表的な塩は、S.M. Berge等、 J. Pharma Sci., 66(1),1−19(1977)およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy, R. Hendrickson, ed., 第21版, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA,(2005), p.732, 表38−5(参照として本明細書に援用される)に列挙されている。
【0051】
「薬学的に許容できる担体」とは、投与のために化合物を結合させる薬学的に許容可能な希釈剤、補助剤、賦形剤、ベヒクルなどを意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」には、式I、IA、IB、ICまたはIDで表される1つ以上の化合物、かかる化学式に包含される特定の化合物、および薬学的に許容できる担体が含まれる。
【0053】
微生物感染を「予防する」および微生物感染の「予防」とは、患者が微生物感染症に罹る危険性を減少させること、または患者が微生物感染症に罹る頻度または重篤度を減少させることを意味する。
【0054】
「塩」とは、溶液中または固体として陰イオンまたは陽イオンと結合する陽イオンまたは陰イオン(例えば、式I、IA、IB、ICまたはIDの陽イオン性または陰イオン性化合物)を意味する。塩には、薬学的に許容できる塩並びに同塩の溶媒付加形(溶媒和物)も含まれる。本明細書記載の化合物が反応図式で特定の塩(塩化物など)として特に命名または記述されていない限り、他のあらゆる塩形態も本発明の範囲に含まれる。
【0055】
「スルフェート」は、OSOH基またはSO2−基を意味する。
【0056】
「スルホネート」は、OSOR基を意味し、ここでRはアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり得る。
【0057】
「置換された」基とは、1から約5(例えば1から5(例えば1から3))の水素がアシル、アルコキシ、アルキル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アミノ、アシルオキシ、アリール、カルボキシル、カルバモイル、シクロアルキル、ハロ、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、シクロヘテロアリール、オキソ、ヒドロキシ、アシルアミノ、電子求引基またはそれらの組み合わせなどの置換基で置換された基を意味する。ある態様では、置換基には、限定されないが、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、メトキシ、フェニル、カルボキシルなどが含まれる。
【0058】
(化合物)
本発明は、N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン、ならびに哺乳動物の気管支肺感染症および他の病気の治療および予防におけるその使用に関する。
【0059】
本発明の1つの実施態様は、式(I)
【化1】

[式中、
Aは水素、HalNH−、またはHal2N−であり、
Halはクロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり、
は水素、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびヘテロシクロアルキル基、および−COOHからなる群から選択される任意に置換された基であり、
は水素、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される任意に置換された基であり、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって任意に置換されたシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を形成し、
Rは炭素−炭素単結合、または3個から6個までの炭素原子を有する二価のシクロアルキレンラジカルであり、
nは0、または1から13までの整数であり、
とRは各々独立して、水素、フルオロ、−NHHal、NHal、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、およびヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される任意に置換された基から選択され、
Yは単結合、−O−、任意に1つまたは2つのメチレン基が一置換または二置換メチレン基で置換された二価の(C1−18)アルキル基、および二価の(C1−18)ヘテロアルキル基からなる群から選択され、二価の(C1−18)ヘテロアルキル基は任意に1つまたは2つのメチレン基が1つまたは2つの−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−、>C=O、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)NR’−、−NR’C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)NR’−、−S(=O)NH−、−NR’S(=O)−、もしくはーNHS(=O)−で置換された二価の(C1−18)アルキル基であり、
R’は水素、Cl、Br、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−10)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、環にO、SもしくはNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する4−10個の環内原子を含むヘテロアリール、ならびに2−10個の炭素原子およびN、OもしくはSから選択される1−4個のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
とRは各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、環にO、SもしくはNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する4−10個の環内原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル(C1−4)アルキルであり、前記ヘテロシクロアルキル基はN、OまたはSから選択される1−4個のヘテロ原子を含んでおり、
Zは水素、−SOH−、−SONH−、−P(=O)(OH)、−B(OH)、−[X(R)(R)R]Q、−S(=O)NR、−S(=O)NHC(=O)R、−S(=O)OC(=O)NR、−S(=O)NRC(=O)NR、および−S(=O)(N=)C(OH)NR(式中、RとRは各々独立して水素であるか、または独立して(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)C(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、環内にO、SもしくはNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する4−10個の環内原子を含むヘテロアリール、およびN、OもしくはSから選択される1−4個のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、Rは水素、または(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、環にO、SおよびNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する4−10個の環内原子を含むヘテロアリール、およびN、OまたはSから選択される1−4個のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択される)からなる群から選択されるか、あるいはその塩、酸化アミン、またはその誘導体、生物学的等価体(Bioisostere)もしくはプロドラッグであり、
XはN、PおよびSからなる群から選択され、
Qは対アニオンまたは不在であり、
とRは各々独立して、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、その各々は任意に置換されていてもよく、あるいはRとRはそれらが結合するX原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、その各々が任意に置換されていてもよく、
はアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキルであり、その各々は任意に置換されていてもよく、更にXがNの場合にOであってもよいが、但し、XがSの場合にRは不在であり、Rが二価のシクロアルキレンラジカルの場合にnは整数11を超えない]
で表されるN−ハロゲン化もしくはN,N−ジハロゲン化化合物、またはその誘導体に関するものであり、該誘導体は薬学的に許容できる塩、エステル、および(C1−6)アルカノールを含むアミドからなる群から選択される。
【0060】
本明細書の1つの態様は、式(IA)
【化2】

[式中、
Aは水素、Hal2N−、またはHalHNであり、
Halはクロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり、
は水素、(C1−6)アルキル、または−COOH基であり、
は水素または(C1−6)アルキルであるか、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって(C3−6)シクロアルキル環を形成し、
Rは炭素−炭素単結合、または3個から6個までの炭素原子を有する二価のシクロアルキレンラジカルであり、
nは0から13までの整数であり、
は水素、(C1−6)アルキル、−NHHal、または−NHal2であり、
は水素または(C1−6)アルキルであり、
Yは単結合であり、
Zは水素、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)、および−B(OH)Aからなる群から選択される]
で表されるN−ハロゲン化もしくはN,N−ジハロゲン化化合物、またはその誘導体に関するものであり、該誘導体は薬学的に許容できる塩、エステル、および(C1−6)アルカノールを含むアミドからなる群から選択される。
【0061】
この態様では、Rが二価のシクロアルキレンラジカルの場合、nは整数11を超えない。つまり、nは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、あるいは11であってよい。言い換えると、Z酸性基を含むアミノ酸は最高16の原子鎖を持ちうる。二価のシクロアルキレンラジカルまたは二価のラジカル−(CH−では、1つの水素は−NHalで置換されてもよい。式(IA)の化合物は、合計3つまでの−NHalまたは−NHHal基、例えば1つまたは2つの−NHalまたは−NHHal基を含んでいてもよい。ある態様では、式(IA)の化合物は1つの−NHal基を含んでおり、それは酸性R(Rが−COOHの場合)またはZ基のアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン、またはオメガの位置であってよい。
【0062】
本明細書の別の態様は、式(IB)
【化3】

[式中、
Aは水素、Hal2N−、およびHalHNからなる群から選択され、
Halはクロロおよびブロモからなる群から選択されるハロゲンであり、
とRは各々独立して、(C1−5)アルキル、ヘテロアルキル、ハロ(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C6−14)アリール、ヘテロアリール、および(C3−10)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって(C3−12)シクロアルキルまたは(C3−12)ヘテロシクロアルキルを形成し、
とRは各々独立に水素、フルオロ、(C1−5)アルキル、ヘテロアルキル、ハロ(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C6−14)アリール、ヘテロアリール、および(C3−10)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって(C3−12)シクロアルキルまたは(C3−12)ヘテロシクロアルキルを形成し、
Yは単結合、−O−、任意に1つまたは2つのメチレン基が一置換または二置換メチレン基で置換された二価の(C1−18)アルキル基、および(C1−18)ヘテロアルキル基からなる群から選択されるが、但し、Rが(C1−5)アルキルの場合に、あるいはRとRがそれらが結合する炭素原子と一緒になって(C3−6)シクロアルキルを形成する場合に、Yは−O−または二価の(C1−18)アルキル基であって、1つまたは2つのメチレン基が置換メチレン基で置換されていなければならないか、あるいはYは(C1−18)ヘテロアルキル基で、前記(C1−18)ヘテロアルキル基は1つまたは2つのメチレン基が−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−、または−S(=O)−で置換された(C1−18)アルキル基でなければならず、
R’は水素であるか、あるいはCl、Br、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−10)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、環にO、SもしくはNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する4−10個の環内原子を含むヘテロアリール、および2−10個の炭素原子とN、OもしくはSから選択される1−4個のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
とRは各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、環にO、SもしくはNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する4−10個の環内原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル(C1−4)アルキルであり、前記ヘテロシクロアルキル基はN、OもしくはSから選択される1−4個のヘテロ原子を含んでおり、
Zは−SOH−、−SONH−、−P(=O)(OH)、その塩もしくはエステル、およびその酸アイソスター(acid isostere)からなる群から選択されるが−C(=O)OHではない]
で表されるN−ハロゲン化もしくはN,N−ジハロゲン化化合物、またはその誘導体に関するものであり、該誘導体は薬学的に許容できる塩、エステル、および(C1−6)アルカノールを含むアミドからなる群から選択される。
【0063】
本明細書の別の態様は式(IB)の化合物に関し、その場合RとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって4−7の炭素環員子を持つ環系を形成し、1つまたは2つの環員子は任意に窒素である。
【0064】
本明細書の別の態様は、式(IC)
【化4】

[式中、
AはHalHN−またはHal2N−であり、
Halはクロロおよびブロモからなる群から選択されるハロゲンであり、
とRは各々独立にアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、その各々が任意に置換されていてもよいか、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、その各々が任意に置換されていてもよく、
Yは単結合、−O−、−CF2−、−CHF−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、−P(=O)(OR)O−、−OP(=O)(OR)−、−P(=O)(OR)NR−、−NRP(=O)(OR)−、−S(=O)2、−S(=O)2O−、−OS(=O)2−、−S(=O)2NR−、−NRS(=O)2−、またはヘテロアリールからなる群から選択され、
、R、RおよびRは各々独立に水素、任意に置換されたアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
Zは−[X(R)(R)R]Qであり、
XはN、PまたはSであり、
Qは対イオンまたは不在であり、
、RおよびRは式(I)で定義したとおりであり、
nは0または1から12までの整数であり、
mは1から12までの整数である]
で表されるN−ハロゲン化もしくはN,N−ジハロゲン化化合物、またはその誘導体に関するものであり、該誘導体は薬学的に許容できる塩、エステル、および(C1−6)アルカノールを含むアミドからなる群から選択される。
【0065】
本明細書の別の態様は、式(ID)で表されるN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化化合物、またはその誘導体であり、当該誘導体は薬学的に許容できる塩と(C1−6)アルカノールを含むエステルからなる群から選択され、
【化5】

またはその誘導体であり、前記誘導体は薬学的に許容できる塩、エステル、および(C1−6)アルカノールを含むアミドからなる群
(式中、
Aは水素、HalNH−、またはHal2N−であり、
Halはクロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり、
とRは各々独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される任意に置換された基から選択されるか、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって(C3−6)シクロアルキル環を形成し、
とRは独立に水素、フルオロ、およびアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールならびにヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される任意に置換された基からなる群から選択され、
Zは−SOH−、−SONH−、−P(=O)(OH)、−B(OH)、および−[X(R)(R)R]Qからなる群から選択され、
XはN、PおよびSからなる群から選択され、
Qは対アニオンまたは不在であり、
とRは各々独立にアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、その各々が任意に置換されていてもよいか、あるいはRとRはそれらが結合するX原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、その各々が任意に置換されていてもよく、
はアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキルであり、その各々が任意に置換されていてもよく、更にXがNの場合にOであってもよいが、但し、XがSの場合にRは不在であり、
nは0または1から6までの整数である)から選択される化合物に関する。
【0066】
別の態様では、上述の組成物は以下の化合物またはその誘導体:
N,N−ジクロロタウリン、
N,N−ジクロロ−2−メチルタウリン、
N,N−ジクロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β−アラニン、
N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン、
N,N−ジクロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン、
N,N−ジブロモ−2,2−ジメチルタウリン、
N,N−ジブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン、
N,N−ジヨードタウリン、
N,N−ジクロロ−3,3−ジメチルホモタウリン、
N,N−ジクロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸、および
N,N−ジクロロ−1−メチル−エタンスルホン酸、
N,N−ジクロロアミノ−トリメチレンホスホン酸、
N,N−ジブロモ−2−アミノ−5−ホスホノペンタン酸、
N,N−ジクロロアミノ−エチルホスホン酸ジエステル(ジエチルエステルなど)、
N,N−ジクロロ−1−アミノ−1−メチルエタンホスホン酸、
N,N−ジクロロ−1−アミノ−2−メチルエタンホスホン酸、
N,N−ジクロロ−アミノ−2−メチルプロパンホスホン酸、
N,N−ジクロロ−ロイシンホスホン酸、
N,N−ジクロロ−4−アミノ−4−ホスホノ酪酸、
(+/−)N,N−ジクロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、
N,N−ジクロロ−(+)2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、
N,N−ジクロロd,1−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸、
N,N−ジクロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸、
N,N−ジクロロ−ロイシンボロン酸、
N,N−ジクロロ−β−アラニンボロン酸、
N−クロロタウリン、
N−クロロ−2−メチルタウリン、
N−クロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β−アラニン、
N−クロロ−2,2−ジメチルタウリン、
N−クロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン、
N−ブロモ−2,2−ジメチルタウリン、
N−ブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン、
N−ヨードタウリン、
N−クロロ−3,3−ジメチルホモタウリン、
N−クロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸、および
N−クロロ−1−メチル−エタンスルホン酸、
N−クロロアミノ−トリメチレンホスホン酸、
N−ブロモ−2−アミノ−5−ホスホノペンタン酸、
N−クロロアミノ−エチルホスホン酸ジエステル(ジエチルエステルなど)、
N−クロロ−1−アミノ−1−メチルエタンホスホン酸、
N−クロロ−1−アミノ−2−メチルエタンホスホン酸、
N−クロロ−1−アミノ−2−メチルプロパンホスホン酸、
N−クロロ−ロイシンホスホン酸、
N−クロロ−4−アミノ−4−ホスホノ酪酸、
(+/−)N−クロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、
N−クロロ−(+)−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、
N−クロロd,1−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸、
N−クロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸、
N−クロロ−ロイシンボロン酸、
N−クロロ−β−アラニンボロン酸、
(1−(ジクロロアミノ)シクロヘキシル)メタンスルホン酸、
(1−(クロロアミノ)シクロへキシル)メタンスルホン酸、
2−(クロロアミノ)−N,N,N−2−テトラメチルプロパン−1−アンモニウムクロライド、
2−(ジクロロアミノ)−N,N,N−2−テトラメチルプロパン−1−アンモニウムクロライド、
3−(クロロアミノ)−N,N,N−3−テトラメチルブタン−1−アンモニウムクロライド、
3−(ジクロロアミノ)−N,N,N−3−テトラメチルブタン−1−アンモニウムクロライド、
1−(2−(ジクロロアミノ)−2−メチルプロピル)−1−メチルピペリジニウムクロライド、
1−(2−(クロロアミノ)−2−メチルプロピル)−1−メチルピペリジニウムクロライド、
(2−(ジクロロアミノ)−2−メチルプロピル)ジメチルスルホニウムクロライド、
(2−(クロロアミノ)−2−メチルプロピル)ジメチルスルホニウムクロライド、
(4−(ジクロロアミノ)−4−メチルペンチル)トリメチルホスホニウムクロライド、
(4−(クロロアミノ)−4−メチルペンチル)トリメチルホスホニウムクロライド、
3−(3−(ジクロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムクロライド、
3−(3−(クロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムクロライド、
2−(3−(ジクロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロライド、ならびに
2−(3−(クロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロライドを含み、当該誘導体は薬理学低に許容できる塩、エステルおよび(C1−6)アルカノールを含むアミドからなる群から選択される。
【0067】
別の態様では、本発明の化合物は、(グリシン、アラニン、ロイシンなど)、ベータアミノ炭酸(ベータアラニンなど)、アルファアミノスルホン酸(アミノメタンスルホン酸など)、ベータアミノスルホン酸(タウリン、炭素がアルキル化されたその誘導体(ジメチルタウリンなど))、および脂肪族アミン(エチルアミンなど)からなる群から選択されるNalHN−またはHal2N−誘導体に関する。ある態様では、N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンはN−クロロタウリン(NCT)またはN,N−ジクロロタウリン(NDCT)、あるいはその薬学的に許容できる塩またはエステルである。別の態様では、N−ハロゲン化アミンはNCTである。
【0068】
本発明の開示は、哺乳動物において気管支肺感染症および他の病気を治療および予防する目的で、1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンを提供する。本明細書で使用する場合、「N−ハロゲン化アミン」および「N,N−ジハロゲン化アミン」という用語には、その類似体および誘導体並びに前記化合物の薬学的に許容できる塩またはエステルも含まれる。適切な塩は周知の方法で製造できる。その中には、限定されないが、Gottardiによるドイツ特許出願第4041703記載の方法(参照としてその全体の開示が本明細書に援用される)も含まれる。適切な塩にはナトリウム塩やカリウム塩も含まれる。
【0069】
N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンのハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など、第17族元素のいずれであってもよい。
【0070】
N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンのアミンはいずれのアミンであってもよい(例えば、蛋白質、ペプチド、アミノ酸)。更に、アミンはアルファアミノ炭酸(グリシン、アラニン、ロイシンなど)、ベータアミノ炭酸(ベータアラニンなど)、アルファアミノスルホン酸(アミノメタンスルホン酸など)、ベータアミノスルホン酸(タウリン、炭素がアルキル化されたその誘導体(ジメチルタウリンなど))、および脂肪族アミン(エチルアミンなど)のうちの少なくとも1つから誘導してもよい。アミンはタウリンであってもよい。ある実施形態では、1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンがN−クロロタウリン(NCT)、N,N−ジクロロタウリン(NDCT)、あるいはその薬学的に許容できる塩またはエステルであってもよい。例えば、N−ハロゲン化アミンはNCTまたはそのナトリウム塩であってもよい。
【0071】
本出願人は、米国仮特許出願第60/989,274号(2007年11月20日に出願)、60/992,167号(2007年12月4日に出願)および61/028,682号(2008年2月14日に出願)の全体を参照として本明細書に援用する。
【0072】
(組成物および製剤)
N−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミンは、アンモニウム塩(塩化アンモニウムなど)と組み合わせてもよい。この組み合わせにより、脂溶性でありハロアミンだけの場合よりも病原体に浸透しやすい平衡状態にあるモノクロラミンが形成される(参考文献4,8)。これらの参考文献は各々その全体を参照として本明細書に援用する。
【0073】
N−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミンは、周知の技術により合成できる。例えば、NCTは水溶液中で結晶性のナトリウム塩として合成できる(参考文献3)。同様に、NDCTは参考文献16および17に記載の方法で合成できる。
【0074】
NCTと塩化アンモニウムの製剤は、参考文献18に開示されている方法で合成してもよい。上述の参考文献は各々その全体を参照として本明細書に援用する。
【0075】
種々の実施形態において、組成物は緩衝剤、安定化剤、溶媒、保存剤、希釈剤、増量剤、および他の認定された補助物質または賦形剤などの薬学的に許容できる担体を含めてもよい。1つ以上のN−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミンが、約0.001%から約10%w/v、例えば約0.1%から約5%(例えば約0.5%から約1%)の濃度で、組成物中に存在してもよい。
【0076】
本発明の組成物および方法は、アンモニウム塩(塩化アンモニウムなど)と組み合わせて、1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンを含んでもよい。1つの実施例は、NCTおよび/またはNDCT(またはそれらの誘導体)と塩化アンモニウムの組み合わせである。組み合わされた組成物(つまり1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミン、およびアンモニウム塩)の各成分は、約0.02%から約1%、例えば約0.1%から約0.5%の濃度であってもよい。1つ以上のN−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミンとアンモニウム塩の割合は約1:1である。いくつかの適用では、1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンとアンモニウム塩の割合は約1:0.1である。
【0077】
(治療方法)
1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンを含む組成物の使用方法には、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、胞子および/または寄生虫、閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、および換気装置関連の感染症により引き起こされる気管支炎、肺炎、その他の気管支肺感染症の治療または予防も含まれる。組成物は、周知の方法に従って哺乳類の被験体に投与してもよい。気管支肺への適用では、組成物は吸入または気管支洗浄により投与してもよい。
【0078】
1つの典型的なN−ハロゲン化アミノ酸はNCTである。NCTはアミノ酸タウリンのN−クロロ誘導体で、炎症に伴ってヒトの白血球が生産する長寿命の酸化剤である(参考文献19)。NCTは、最初に形成された、タウリンとの反応で解毒される(HOCl+タウリン−N−クロロタウリン+H2O)次亜塩素酸の酸化能力を保存できる(参考文献20)。更に、NCTは炎症誘発性サイトカインを下方制御するので、炎症の終了に関与している場合がある(参照文献21−23)。
【0079】
本発明は、種々の態様および実施形態のすべてにおいて、哺乳動物の気管支肺感染症およびその他の病気を治療および予防する目的で、1つ以上のN−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミンを含んでいる。本明細書で使用される場合、「N−ハロゲン化アミン」および「N,N−ジハロゲン化アミン」という用語には、その類似体および誘導体、並びに前記化合物の薬学的に許容できる塩またはエステルも含まれる。誘導体には、アルキル化された誘導体、例えばN,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリンも含まれる。適切な塩は周知の方法で調製できる。その中には、限定されないが、Gottardiによるドイツ特許出願第4041703記載の方法(参照としてその全体の開示が本明細書に援用される)も含まれる。適切な塩にはナトリウム塩やカリウム塩も含まれる。
【0080】
N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンのハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など、第17族元素のいずれであってもよい。種々の実施形態において、N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンは蛋白質、ペプチドまたはアミノ酸の誘導体、または薬学的に許容できるその塩であってもよい。更に、アミンは、アルファアミノ炭酸(本明細書ではアルファアミノ酸またはアルファアミノカルボン酸(グリシン、アラニン、ロイシンなど)とも呼ばれる)、ベータアミノ炭酸(ベータアラニンなど)、アルファアミノスルホン酸(アミノメタンスルホン酸など)、ベータアミノスルホン酸(タウリン、炭素がアルキル化されたその誘導体(ジメチルタウリンなど))、および脂肪族アミン(エチルアミンなど)のうち少なくとも1つから誘導してもよい。ある実施形態では、N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンはN−クロロタウリン(NCT)、N,N−ジクロロタウリン(NDCT)、その混合物、あるいは薬学的に許容できるその塩またはエステル(例えば、ナトリウム塩などのアルカリ塩)であり得る。
【0081】
本発明のある実施形態では、1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンはN−クロロタウリン(NCT)、N,N−ジクロロタウリン(NDCT)、あるいは薬学的に許容できるその塩またはエステルである。
【0082】
ある実施形態では、1つ以上のN−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミンを用いる組成物および方法は、アンモニウム塩(塩化アンモニウムなど)を含んでもよい。N−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミンの組成物にアンモニウム塩を添加することにより、脂溶性でありハロアミンだけの場合よりも病原体に浸透しやすい平衡状態にあるモノクロラミンが形成される(参考文献4,8)。これらの参考文献は各々その全体を参照として本明細書に援用する。
【0083】
N−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミンは、周知の技術により合成できる。例えば、NCTは水溶液中で結晶性のナトリウム塩として合成できる(参考文献3)。同様に、NDCTは参考文献16および17に記載の方法で合成できる。
NCTと塩化アンモニウムの製剤は、参考文献18に開示されている方法で合成してもよい。上述の参考文献は各々その全体を参照として本明細書に援用する。
【0084】
種々の実施形態において、組成物は緩衝剤、安定化剤、溶媒、保存剤、希釈剤、増量剤、および他の認定された補助物質または賦形剤などの薬学的に許容できる担体を含めてもよい。
【0085】
ある実施形態では、1つ以上のN−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミンが、約0.001%から約10%w/v、例えば約0.1%から約5%(例えば約0.5%から約1%)の濃度で、組成物中に存在し、投与される。ある実施形態では、1つ以上のN−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化アミンとアンモニウム塩の割合は約1:1である。いくつかの適用では、1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンとアンモニウム塩の割合は約1:0.1である。
【0086】
本明細書には、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、胞子および/または寄生虫、閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、および換気装置関連の感染症により引き起こされる気管支炎、肺炎、その他の気管支肺感染症の治療または予防も記載される。
【0087】
本明細書に記載される組成物は、周知の方法に従って哺乳類の被験体に投与してもよい。例えば、組成物を吸入、気管支洗浄、鼻孔内またはバッカル投与により投与してもよい。当業者に周知の他の投与方法を使用してもよい。
【0088】
1つの典型的なN−ハロゲン化アミノ酸はNCTである。NCTはアミノ酸タウリンのN−クロロ誘導体で、炎症に伴ってヒトの白血球が生産する長寿命の酸化剤である(参考文献19)。NCTは最、初に形成された、タウリンとの反応で解毒される(HOCl+タウリン−N−クロロタウリン+H2O)次亜塩素酸の酸化能力を保存できる(参考文献20)。更に、NCTは炎症誘発性サイトカインを下方制御するので、炎症の終了に関与している場合がある(参照文献21−23)。
【0089】
NCTは哺乳動物にとって比較的安全であり耐容性に優れている。例えば、穏和な酸化剤として、1%のNCT水溶液の耐容性はヒトおよび動物の組織で良好である。これはラビットとヒトの眼で証明されている(参考文献26)。感染性結膜炎に効果があることを示すデータも入手可能である(参考文献27)。ヒトの外耳炎では、NCTは標準の医薬品よりも効果があった(参考文献28)。慢性副鼻腔炎の予備試験は良好な耐容性を証明した(参考文献29)。NCTによる化膿性大腿部潰瘍(purulent coated crural ulcer)の治療は痛みが有意に少なく、我々の大学病院で何十年も標準的に使用されているクロラミンTよりも毒性が低かった(参考文献30)。多剤耐性の緑膿菌が引き起こす炎症に罹患している3人の患者が示しているように、NCT洗浄により膀胱から細菌を一掃できる可能性がある(参考文献31)。更に、0.1%、1%および10%のNCTをマウスの中耳に経鼓膜的に注射しても、内耳の損傷を引き起こさなかった(参考文献32)。インプラントしたカテーテル・システムを通して1%および0.1%を10μL、モルモットの中耳に反復注射した場合も同様であった(参考文献33)。マウス・モデルにおけるNCTの局所投与は、黄色ブドウ球菌が引き起こす敗血症性関節炎を阻害した(参考文献34)。追加試験では、1%NCTを腹腔内注射されたスイスマウスは1mLまで耐えることができた。
【0090】
NCTおよび他のN−クロラミンは、代表的なあらゆる種類の病原体を含め広範な抗微生物活性を有しており(参考文献4−7および24)、インビボでも病原体の不活性化に寄与できるかもしれない(参考文献26)。非特異的な酸化反応機構の故に、NCTによる治療では病原体の耐性は誘起されない(参考文献4)。更に参考文献35も参照の事。
【0091】
更に、天然のいくつかのN−クロラミン(とりわけNCTおよび他のN−ハロアミン)は有毒化合物に分解されることはなく、全身的再吸収も上述の臨床試験では観察されていない。N−クロラミンは、R2N−Cl+H+2e→R2−NH+Cl−の式に従って還元剤と反応する。ここで各Rは独立に式(IA)−(ID)で定義される部分である(例えば、NCTは次の反応により内因性の産物であるタウリンと塩化物に変換される:ClHN−CH2−CH2−SO+2H+2e→H−CH2−CH2−SO+Cl−)。他の抗微生物剤と比較し、残留物や分解産物が不在であることはハロアミンの一般的な利点である。
【0092】
(吸入したハロアミンの耐容性)
ハロアミン、例えばクロラミンT(N−クロロトルエンスルホンアミド)は吸入により刺激性および中毒性の反応を引き起こすことが知られているという事実があるにも拘らず、吸入されたNCTが気管支肺系で良好な耐容性を示すことを我々は見出した。試験は、ブタ・モデルで吸入ハロアミンの耐容性を評価する目的で設計された。代表的なハロアミンとしてNCTを用いた。麻酔下のブタに、試験溶液として1%NCT(n=7)、5%NCT(n=6)、または1%NCT+1%塩化アンモニウム(n=6)、および対照として0.9%の生理食塩水(n=7)をそれぞれ吸入させた。1時間毎に5mLずつ、4時間にわたって(すなわち合計4回の吸入)行った。最後の投与の1時間後に、動物を安楽死させた。1%NCTで処理した動物の酸化力パラメーターは、生理食塩水で処理した対照の酸素化パラメーターと同様であった。驚いたことに、いくつかのパラメーター(酸素分圧、肺動脈圧の肺胞動脈血較差(alveolo-arterial difference))は、生理食塩水の群よりも1%NCTの群で優れた値を示す傾向にあった。組織学的研究は、試験群と生理食塩水群の間に統計学的な較差がないことを明示していた。1%から1%NCTの高濃度で塩化アンモニウムを添加した場合には、投与量の調整を必要とするような統計学的に有意な影響が血液酸素供給に及ぼされた。5%NCTも耐容性は良好であった。肺動脈圧だけが対照群よりも高くなった。
【0093】
更に、ウイルス性の気管支炎に罹患している3人のボランティアが5mLの1%NCTを10分間ずつ毎日3回、3日間吸入した。検知可能な副作用はなかった。特に、咳や呼吸困難などの気管支収縮の症状はなかった。事実、患者は呼吸しやすくなり、咳や喀痰の回数も減少した。咽頭炎の後によく気管支炎を患う患者は、咽頭炎の治療としてNCTを使用した場合に気管支炎を患わなかった。
【0094】
これらの結果は、1%NCTが気管支肺系で吸入の際の耐容性が良好であり、気管支炎や肺炎などの気管支肺感染症の治療に適用できることを明示している。特に、気管支肺感染症を繰り返し経験する慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者は、NCTの吸入により相当の恩恵を被る。
【0095】
(ハロアミンの気管支肺への適用)
ハロアミンの気管支肺への典型的な適用は嚢胞性線維症に罹患している患者の治療である。イオンチャネルの先天的欠陥の故に、かかる患者は粘性の高い粘液を肺に形成する(参考文献9)ので、病原体を喀出する効果は低い。従って、患者は特に細菌による感染症に繰り返し罹患することになる。抗生物質で繰り返し治療した後も、緑膿菌は死滅しない場合が多い。緑膿菌は一般的に抗生物質に対して多剤耐性となる細菌である(参考文献10)。ハロアミンは多剤耐性の病原体に対して活性であり耐性を誘起しないので、ハロアミンの吸入はかかる重篤な感染症の治療に適用できる。NCTは、嚢胞性線維症に罹患した患者の気管支肺感染症を治療する目的で本発明の組成物および方法に使用可能な典型的なハロアミンの1つである。
【0096】
ハロアミンの気管支肺への典型的な適用は、気管支肺感染症に罹りやすい患者の治療である。例えば、免疫が低下した患者(AIDSなど)または免疫抑制下にある患者(臓器移植患者や癌患者など)は、ハロアミン(例えば、NCT)を用いて治療可能である。一般的に、現在、癌は免疫抑制剤で治療される。特に、血液悪性腫瘍(白血病など)は強力な免疫抑制剤と放射線照射(irradiation)だけで治療可能な場合がある。かかる治療は骨髄にとって有毒であるので、治療後直ちに脊髄移植が必要である。かかる患者は白血球が枯渇するので、入院期間中、臓器移植を受けてから最初の2,3週間内に、致命的な感染症、特に気管支肺系を含む気道の感染症にきわめて罹患しやすい(参考文献11−13)。細菌感染は通常抗生物質によって管理できるが、細菌感染後2,3日後に生じる真菌感染症は、抗真菌剤に対して耐性が高いので致命的になる場合がほとんどである。従って、真菌感染の予防が検討され、静脈内薬剤投与などにより実行される。ハロアミン(NCTなど)の吸入による予防は広範な病原体を対象とすることができ、更には静脈注射薬に伴う副作用の多くを回避できる。
【0097】
ハロアミンの気管支肺への別の典型的な適用は、人工的な換気を必要としている重症患者に発症しやすい換気装置関連の感染症の治療および予防である。継続換気が長期間必要な場合、気管支肺系の感染症を回避するのは困難である。例えばハロアミンを毎日吸入することによる予防は、かかる感染症の数を有意に減少させることができる。例えば、治療には、ある一定時間(例えば、毎日数分)ある用量のハロアミン(例えば、NCT)を投与するステップを含めてもよい。
【0098】
かかる用量の適合後、上述のあらゆる適応症および治療において、NCTと塩化アンモニウムを併用してもよい。
【0099】
上述の種々の気管支肺感染症を治療、阻止および予防するため、本発明に関連するN−ハロゲン化およびN,N−ジハロゲン化化合物をNCTの代わりに使用してもよい。
【実施例】
【0100】
(実施例1)
麻酔下のブタに、試験溶液として1%NCT(n=7)、5%NCT(n=6)、または1%NCT+1%塩化アンモニウム(n=6)、および対照として0.9%の生理食塩水(n=7)をそれぞれ吸入させた。1時間毎に5mLずつ、4時間にわたって(すなわち合計4回の吸入)行った。
【0101】
ベースラインにおける動脈酸素分圧(PaO2)値はすべての動物が正常範囲内にあり、群間差はなく(97mmHg+/−7.6)、麻酔下にある、換気された、健全な動物であることを示していた。
【0102】
PaO2は4時間の観察期間中すべての動物で有意に減少した(図1)。1%NCTまたは5%NCTを受けた動物では対照との間でPaO2に較差は観察されなかったが、1%+1%NCT/塩化アンモニウムを吸入した動物では4時間の測定で有意に低いPaO2値を示した(62mmHg+/−9.6対76mmHg+/−9.2、p=0.014)。図1にこれらの結果を示す。
【0103】
(実施例2)
麻酔下のブタに、試験溶液として1%NCT(n=7)、5%NCT(n=6)、または1%NCT+1%塩化アンモニウム(n=6)、および対照として0.9%の生理食塩水(n=7)をそれぞれ吸入させた。1時間毎に5mLずつ、4時間にわたって(すなわち合計4回の吸入)行った。
【0104】
酸素分圧の肺胞動脈血較差(AaDO2)は肺のインタクトな酸素移動の測定である。値が低ければ低いほど酸素交換は良い。AaDO2は実験期間中すべての動物で増大し、1%+1%NCT/塩化アンモニウム群で最高であった(9.0+/−7.2から45.7+/−8.73、p=0.00014)。対照と比較して、AaDO2は1%+1%NCT/塩化アンモニウム群で有意に高く、5%NCT群では較差はなかった(p=0.99)。対照的に、そして驚くべきことに、4時間の測定でAaDO2は1%NCT群において対照よりも更に低かった(21.0+/−13.09対33.7+/−9.03、p=0.016)。
【0105】
(実施例3)
麻酔下のブタに、試験溶液として1%NCT(n=7)、5%NCT(n=6)、または1%NCT+1%塩化アンモニウム(n=6)、および対照として0.9%の生理食塩水(n=7)をそれぞれ吸入させた。1時間毎に5mLずつ、4時間にわたって(すなわち合計4回の吸入)行った。4時間の測定において心拍数は1%NCT群と5%NCT群では対照との間に有意な較差は見られなかったが、1%+1%NCT/塩化アンモニウム群では有意に増大し(104/分+/−5.4から136/分+/−16.9、p=0.00002)、4時間の測定において対照との間に有意な差が生じた(p=0.00036)。全身動脈圧は、実験期間中すべての動物において生理的範囲内で一定であり、群間または群内較差はなかった。
【0106】
(実施例4)
麻酔下のブタに、試験溶液として1%NCT(n=7)、5%NCT(n=6)、または1%NCT+1%塩化アンモニウム(n=6)、および対照として0.9%の生理食塩水(n=7)をそれぞれ吸入させた。1時間毎に5mLずつ、4時間にわたって(すなわち合計4回の吸入)行った。
【0107】
肺動脈圧はすべての動物である程度増大し、対照と比較して1%+1%NCT/塩化アンモニウムおよび5%NCT群で有意に高い値に達した。図2にこれらの結果を示す。
【0108】
(実施例5)
本実施例は、以下の式、
【化6】

を有する本発明に関連した化合物の薬学的に許容できる製剤を本明細書の方法に従って投与するステップを示す。麻酔下のブタに、化合物(i)の1%(n=7)または5%(n=6)水溶液、または化合物(i)の1%水溶液+1%塩化アンモニウム(n=6)、および対照として0.9%の生理食塩水(n=7)をそれぞれ吸入させた。溶液は鼻腔内投与により、1時間毎に5mLずつ、4時間にわたって(すなわち合計4回の吸入)行った。動脈酸素分圧(PaO2)、酸素分圧の肺胞動脈血較差(AaDO2)、心拍数、全身動脈圧および肺動脈圧を4時間測定した。
【0109】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において気管支肺感染症を治療または予防する組成物であって、治療上有効量の1つ以上のN−ハロゲン化もしくはN,N−ジハロゲン化化合物またはその塩を含み、前記N−ハロゲン化もしくはN,N−ジハロゲン化化合物は蛋白質またはペプチドの誘導体である、組成物。
【請求項2】
気管支肺感染症の治療または予防用の医薬品の製造のための、1つ以上のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化アミンの使用。
【請求項3】
哺乳動物において気管支肺感染症を治療または予防する方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物に治療上有効量のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化化合物を投与するステップを含み、前記N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化化合物は以下の式1
【化1】

[式中、
Aは水素、HalNH−、またはHal2N−であり、
Halはクロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり、
は水素、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される任意に置換された基であり、
は水素、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される任意に置換された基であるか、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって任意に置換されたシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を形成し、
Rは炭素−炭素単結合、または3個から6個までの炭素原子を有する二価のシクロアルキレンラジカルであり、
nは0、または1から13までの整数であり、
とRは各々独立して、水素、フルオロ、NHHal、NHal、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、およびヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される任意に置換された基から選択され、
Yは単結合、−O−、任意に1つまたは2つのメチレン基が一置換または二置換メチレン基で置換された二価の(C1−18)アルキル基、および二価の(C1−18)ヘテロアルキル基からなる群から選択され、ここで、該二価の(C1−18)ヘテロアルキル基は任意に1つまたは2つのメチレン基が1つもしくは2つの−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−、>C=O、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)NR’−、−NR’C(=O)−、−S(=O)、−S(=O)NR’−、−S(=O)NH−、−NR’S(=O)−、またはーNHS(=O)−で置換された二価の(C1−18)アルキル基であり、
R’は水素、Cl、Br、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−10)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、環にO、SもしくはNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する4−10個の環内原子を含むヘテロアリール、および2−10個の炭素原子およびN、OもしくはSから選択される1−4個のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
とRは各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、環にO、SもしくはNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する4−10個の環内原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル(C1−4)アルキルであり、前記ヘテロシクロアルキル基はN、OまたはSから選択される1−4個のヘテロ原子を含んでおり、
Zは水素、−SOH−、−SONH−、−P(=O)(OH)、−B(OH)、−[X(R)(R)R]Q、−S(=O)NR、−S(=O)NHC(=O)R、−S(=O)OC(=O)NR、−S(=O)NRC(=O)NR、および−S(=O)(N=)C(OH)NR(式中、RとRは各々独立に水素、または独立に(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)C(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、環にO、SおよびNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する4−10個の環内原子を含むヘテロアリール、およびN、OまたはSから選択される1−4個のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、Rは水素、または(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、環にO、SおよびNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する4−10個の環内原子を含むヘテロアリール、およびN、OまたはSから選択される1−4個のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択される)からなる群から選択されるか、あるいはその塩、酸化アミン、またはその誘導体、生物学的等価体(Bioisostere)もしくはプロドラッグであり、
XはN、PおよびSからなる群から選択され、
Qは対アニオンまたは不在であり、
とRは各々独立して、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、その各々が任意に置換されていてもよく、あるいはRとRはそれらが結合するX原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、その各々が任意に置換されていてもよく、
はアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキルであり、その各々が任意に置換されていてもよく、更にXがNの場合にOであってもよいが、但し、XがSの場合にRは不在であり、Rが二価のシクロアルキレンラジカルの場合にnは整数11を超えない]
の化合物、またはその誘導体であり、該誘導体は薬学的に許容できる塩、(C1−6)アルカノールを含むエステル、およびアミドからなる群から選択される、方法。
【請求項4】
前記投与されるN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化化合物は以下の式(IA)
【化2】

[式中、
Aは水素、Hal2N−、またはHalHNであり、
Halはクロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり、
は水素、(C1−6)アルキル、または−COOH基であり、
は水素または(C1−6)アルキルであるか、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって(C3−6)シクロアルキル環を形成し、
Rは炭素−炭素単結合、または3個から6個までの炭素原子を有する二価のシクロアルキレンラジカルであり、
nは0または1から13までの整数であり、
は水素、(C1−6)アルキル、−NHHal、または−NHal2であり、
は水素または(C1−6)アルキルであり、
Yは単結合であり、
Zは水素、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)、および−B(OH)Aからなる群から選択される]
の化合物、またはその誘導体であり、該誘導体は薬学的に許容できる塩、(C1−6)アルカノールを含むエステル、およびアミドからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記投与されるN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化化合物は以下の式(IB)
【化3】

[式中、
Aは水素、Hal2N−、およびHalHNからなる群から選択され、
Halはクロロおよびブロモからなる群から選択されるハロゲンであり、
とRは各々独立して、(C1−5)アルキル、ヘテロアルキル、ハロ(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C6−14)アリール、ヘテロアリール、および(C3−10)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって(C3−12)シクロアルキルまたは(C3−12)ヘテロシクロアルキルを形成し、
とRは各々独立して、水素、フルオロ、(C1−5)アルキル、ヘテロアルキル、ハロ(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C6−14)アリール、ヘテロアリール、および(C3−10)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって(C3−12)シクロアルキルまたは(C3−12)ヘテロシクロアルキルを形成し、
Yは単結合、−O−、任意に1つまたは2つのメチレン基が一置換または二置換メチレン基で置換された二価の(C1−18)アルキル基、および(C1−18)ヘテロアルキル基からなる群から選択されるが、但し、Rが(C1−5)アルキルの場合に、あるいはRとRがそれらが結合する炭素原子と一緒に(C3−6)シクロアルキルを形成する場合に、Yは−O−または二価の(C1−18)アルキル基であって、1つまたは2つのメチレン基が置換メチレン基で置換されていなければならないか、あるいはYは(C1−18)ヘテロアルキル基であって、該(C1−18)ヘテロアルキル基は1つもしくは2つのメチレン基が−NR’−、−O−、−S−、−S(=O)−、または−S(=O)−で置換された(C1−18)アルキル基でなければならず、
R’は水素であるか、あるいはCl、Br、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C6−10)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルコキシC(=O)−、RNC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−10)アリールC(=O)−、(C6−10)アリール(C1−4)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、環にO、SおよびNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する4−10個の環内原子を含むヘテロアリール、および2−10個の炭素原子とN、OまたはSから選択される1−4個のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
とRは各々独立して、水素、(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C1−5)アルキルNHC(=O)−、(C1−5)アルキルC(=O)−、(C6−14)アリール、(C6−10)アリール(C1−4)アルキル、環にO、SもしくはNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する4−10個の環内原子を含むヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル(C1−4)アルキルであり、前記ヘテロシクロアルキル基はN、OまたはSから選択される1−4個のヘテロ原子を含んでおり、
Zは−SOH−、−SONH−、−P(=O)(OH)、その塩もしくはエステル、およびその酸アイソスター(acid isostere)からなる群から選択されるが−C(=O)OHではない]
の化合物、またはその誘導体であり、該誘導体は薬学的に許容できる塩、(C1−6)アルカノールを含むエステル、およびアミドからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記投与されるN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化化合物は以下の式(IC)
【化4】

[式中、
AはHalHN−またはHal2N−であり、
Halはクロロおよびブロモからなる群から選択されるハロゲンであり、
とRは各々独立して、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、その各々は任意に置換されていてもよいか、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、その各々は任意に置換されていてもよく、
Yは単結合、−O−、−CF2−、−CHF−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、−P(=O)(OR)O−、−OP(=O)(OR)−、−P(=O)(OR)NR−、−NRP(=O)(OR)−、−S(=O)2、−S(=O)2O−、−OS(=O)2−、−S(=O)2NR−、−NRS(=O)2−、またはヘテロアリールからなる群から選択され、
、R、RおよびRは各々独立して、水素、任意に置換されたアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
Zは−[X(R)(R)R]Qであり、
XはN、PおよびSからなる群から選択され、
Qは対アニオンまたは不在であり、
とRは各々独立して、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、その各々が任意に置換されていてもよいか、あるいはRとRはそれらが結合するX原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、その各々が任意に置換されていてもよく、
はアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキルであり、その各々が任意に置換されていてもよく、更にXがNの場合にOであってもよいが、但し、XがSの場合にRは不在であり、
nは0または1から12までの整数であり、
mは1から12までの整数である]
の化合物、またはその誘導体であり、該誘導体は薬学的に許容できる塩、エステル、(C1−6)アルカノールを含むアミドからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記投与されるN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化化合物は以下の式(ID)
【化5】

[式中、
Aは水素、HalNH−、またはHal2N−であり、
Halはクロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択されるハロゲンであり、
とRは各々独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される任意に置換された基から選択されるか、あるいはRとRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって(C3−6)シクロアルキル環を形成し、
とRは独立して、水素、フルオロ、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基およびヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される任意に置換された基からなる群から選択され、
Zは−SOH−、−SONH−、−P(=O)(OH)、−B(OH)、および−[X(R)(R)R]Qからなる群から選択され、
XはN、PおよびSからなる群から選択され、
Qは対イオンまたは不在であり、
とRは各々独立にアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、その各々が任意に置換されていてもよいか、あるいはRとRはそれらが結合するX原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、その各々は任意に置換されていてもよく、
はアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキルであり、その各々は任意に置換されていてもよく、更にXがNの場合にOであってもよく、但し、XがSの場合にRは不在であり、
nは0または1から6までの整数であるから選択される]
の化合物、またはその誘導体であり、該誘導体は薬学的に許容できる塩、エステル、(C1−6)アルカノールを含むアミドからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
哺乳動物において気管支肺感染症を治療または予防する方法であり、かかる治療を必要とする哺乳動物に治療上有効量のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化化合物を投与するステップを含み、該N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化化合物が、
N,N−ジクロロタウリン、
N,N−ジクロロ−2−メチルタウリン、
N,N−ジクロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β−アラニン、
N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン、
N,N−ジクロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン、
N,N−ジブロモ−2,2−ジメチルタウリン、
N,N−ジブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン、
N,N−ジヨードタウリン、
N,N−ジクロロ−3,3−ジメチルホモタウリン、
N,N−ジクロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸、および
N,N−ジクロロ−1−メチル−エタンスルホン酸、
N,N−ジクロロアミノ−トリメチレンホスホン酸、
N,N−ジブロモ−2−アミノ−5−ホスホノペンタン酸、
N,N−ジクロロアミノ−エチルホスホン酸ジエステル(ジエチルエステルなど)、
N,N−ジクロロ−1−アミノ−1−メチルエタンホスホン酸、
N,N−ジクロロ−1−アミノ−2−メチルエタンホスホン酸、
N,N−ジクロロ−アミノ−2−メチルプロパンホスホン酸、
N,N−ジクロロ−ロイシンホスホン酸、
N,N−ジクロロ−4−アミノ−4−ホスホノ酪酸、
(+/−)N,N−ジクロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、
N,N−ジクロロ−(+)2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、
N,N−ジクロロd,1−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸、
N,N−ジクロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸、
N,N−ジクロロ−ロイシンボロン酸、
N,N−ジクロロ−β−アラニンボロン酸、
N−クロロタウリン、
N−クロロ−2−メチルタウリン、
N−クロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β−アラニン、
N−クロロ−2,2−ジメチルタウリン、
N−クロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン、
N−ブロモ−2,2−ジメチルタウリン、
N−ブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン、
N−ヨードタウリン、
N−クロロ−3,3−ジメチルホモタウリン、
N−クロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸、
N−クロロ−1−メチル−エタンスルホン酸、
N−クロロアミノ−トリメチレンホスホン酸、
N−ブロモ−2−アミノ−5−ホスホノペンタン酸、
N−クロロアミノ−エチルホスホン酸ジエステル(ジエチルエステルなど)、
N−クロロ−1−アミノ−1−メチルエタンホスホン酸、
N−クロロ−1−アミノ−2−メチルエタンホスホン酸、
N−クロロ−1−アミノ−2−メチルプロパンホスホン酸、
N−クロロ−ロイシンホスホン酸、
N−クロロ−4−アミノ−4−ホスホノ酪酸、
(+/−)N−クロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、
N−クロロ−(+)−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、
N−クロロd,1−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸、
N−クロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸、
N−クロロ−ロイシンボロン酸、
N−クロロ−β−アラニンボロン酸、
(1−(ジクロロアミノ)シクロヘキシル)メタンスルホン酸、
(1−(クロロアミノ)シクロへキシル)メタンスルホン酸、
2−(クロロアミノ)−N,N,N−2−テトラメチルプロパン−1−アンモニウムクロライド、
2−(ジクロロアミノ)−N,N,N−2−テトラメチルプロパン−1−アンモニウムクロライド、
3−(クロロアミノ)−N,N,N−3−テトラメチルブタン−1−アンモニウムクロライド、
3−(ジクロロアミノ)−N,N,N−3−テトラメチルブタン−1−アンモニウムクロライド、
1−(2−(ジクロロアミノ)−2−メチルプロピル)−1−メチルピペリジニウムクロライド、
1−(2−(クロロアミノ)−2−メチルプロピル)−1−メチルピペリジニウムクロライド、
(2−(ジクロロアミノ)−2−メチルプロピル)ジメチルスルホニウムクロライド、
(2−(クロロアミノ)−2−メチルプロピル)ジメチルスルホニウムクロライド、
(4−(ジクロロアミノ)−4−メチルペンチル)トリメチルホスホニウムクロライド、
(4−(クロロアミノ)−4−メチルペンチル)トリメチルホスホニウムクロライド、
3−(3−(ジクロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムクロライド、
3−(3−(クロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムクロライド、
2−(3−(ジクロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロライド、ならびに
2−(3−(クロロアミノ)−3−メチルブチルスルホニル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロライドからなる群から選択される、方法。
【請求項9】
哺乳動物において気管支肺感染症を治療または予防する方法であり、かかる治療を必要とする哺乳動物に治療上有効量の請求項1に記載のN−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化化合物を投与するステップを含む、方法。
【請求項10】
アンモニウム塩を投与するステップを更に含む、請求項3−9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
アンモニウム塩が塩化アンモニウムである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
治療または予防される気管支肺感染症が閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症および換気装置関連の感染症からなる群から選択される、請求項3−11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化化合物が鼻腔内投与または吸入により投与される、請求項3−12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
N−ハロゲン化またはN,N−ジハロゲン化化合物がバッカル投与により投与される、請求項3−12のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−516578(P2011−516578A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504210(P2011−504210)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/040251
【国際公開番号】WO2009/126912
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(302058613)ノバベイ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】NOVABAY PHARMACEUTICALS,INC.
【Fターム(参考)】