水ジェット推進艇
【課題】触媒が有効に機能していることを監視することができる水ジェット推進艇を提供する。
【解決手段】水ジェット推進艇は、排気通路と、触媒部材42と、ウォーターロック44と、第1酸素センサ15と、第2酸素センサ16とを備える。排気通路は、エンジン3から船体の外部へ排出ガスを導く。触媒部材は、排気通路中に配置される。ウォーターロックは、排気通路において触媒部材よりも下流に配置される。第1酸素センサは、排気通路において触媒部材よりも上流に配置される。第2酸素センサは、排気通路において触媒部材よりも下流、且つ、ウォーターロックよりも上流に配置される。
【解決手段】水ジェット推進艇は、排気通路と、触媒部材42と、ウォーターロック44と、第1酸素センサ15と、第2酸素センサ16とを備える。排気通路は、エンジン3から船体の外部へ排出ガスを導く。触媒部材は、排気通路中に配置される。ウォーターロックは、排気通路において触媒部材よりも下流に配置される。第1酸素センサは、排気通路において触媒部材よりも上流に配置される。第2酸素センサは、排気通路において触媒部材よりも下流、且つ、ウォーターロックよりも上流に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水ジェット推進艇に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水ジェット推進艇には、排出ガスの酸素濃度を検出するための酸素センサを備えるものがある。例えば、特許文献1に開示されている水ジェット推進艇は、酸素センサが検出した酸素濃度に基づいて、混合気の空燃比を制御する。水ジェット推進艇は、エンジンからの排出ガスを船体の外部へ導く排気通路を有している。排気通路には、触媒が配置されている。酸素センサは、排気通路において触媒よりも上流に位置している。
【0003】
また、特許文献2に開示されている水ジェット推進艇では、酸素センサが、ガス採取室に配置されている。ガス採取室は、エンジンのシリンダに接続されている。特許文献3に開示されている水ジェット推進艇では、酸素センサが排気プローブ装着孔に取り付けられている。排気プローブ装着孔は、排気系においてウォーターロックより上流に位置する。排気プローブ装着孔は、メンテナンス開口の下方近傍に配置されている。特許文献4に開示されている小型船舶における酸素センサ取付構造では、酸素センサが容積室に配置されている。容積室は、エンジンのシリンダ孔又は排気通路に接続されている。特許文献5に開示されている船舶用排気装置では、複数のエキゾーストパイプがエンジンに接続されている。エキゾーストパイプの下流端は、集合チャンバに接続されている。酸素センサは、集合チャンバに配置されている。特許文献6に開示されている小型滑走艇の排気装置では、酸素センサが、排気管の触媒の上流に配置されている。また、排気温センサが、排気管の触媒の下流に配置されている。特許文献7に開示されている小型船舶の排気装置では、排気管に取付孔が形成されている。出荷検査の運転時に、A/Fセンサが取付孔に取り付けられる。そして、A/Fセンサの検出結果に基づいてフィードバック制御が行われることにより、目標の空燃比に対する噴射量の補正値が決定され、記憶される。この補正値の決定と記憶とが完了した後、A/Fセンサが取り外されて、取付孔がボルトによって塞がれる。特許文献8に開示されている水ジェット推進艇の排気構造では、シリンダブロックの複数の排気ポートのそれぞれから、独立排気通路が延びている。酸素センサは、少なくとも1つの独立排気通路の上部分に取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−64425号公報
【特許文献2】特開平09−184462号公報
【特許文献3】特開平09−310630号公報
【特許文献4】特開平11−013569号公報
【特許文献5】特開平11−079092号公報
【特許文献6】特開平11−245895号公報
【特許文献7】特開2001−200746号公報
【特許文献8】特開2003−205896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、地球環境への影響を考慮して、エンジンからの排出ガスに含まれる有害物質を低減することが望まれている。上述した特許文献1の水ジェット推進艇では、排気通路に配置された触媒により、排出ガスに含まれる有害物質を低減させることができる。しかし、劣化などの要因により触媒が有効に機能しない場合がある。この場合、有害物質が十分に低減されていない状態で排出ガスが外部に排出される。従って、触媒が有効に機能していることを監視することが重要である。上述した特許文献1の水ジェット推進艇では、酸素センサは、触媒の上流に位置している。このため、酸素センサの検出結果によって触媒が有効に機能していることを監視することはできない。特許文献2〜8についても同様に、酸素センサが触媒の上流に位置しているか、或いは、そもそも触媒が備えられていない。
【0006】
本発明の課題は、触媒が有効に機能していることを監視することができる水ジェット推進艇を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る水ジェット推進艇は、船体と、エンジンと、ジェット推進ユニットと、排気通路と、触媒部材と、ウォーターロックと、第1酸素センサと、第2酸素センサとを備える。エンジンは、船体に収容される。ジェット推進ユニットは、エンジンにより駆動され、船体のまわりの水を吸い込んで噴射する。排気通路は、エンジンから船体の外部へ排出ガスを導く。触媒部材は、排気通路中に配置される。ウォーターロックは、排気通路において触媒部材よりも下流に配置される。第1酸素センサは、排気通路において触媒部材よりも上流に配置される。第2酸素センサは、排気通路において触媒部材よりも下流、且つ、ウォーターロックよりも上流に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る水ジェット推進艇では、排気通路において、第1酸素センサが触媒部材よりも上流に配置される。また、第2酸素センサが触媒部材よりも下流に配置される。このため、第1酸素センサの検出結果と第2酸素センサの検出結果とを比較することにより、触媒が有効に機能しているか否かを監視することができる。また、第2酸素センサは、ウォーターロックよりも上流に配置される。このため、排気通路を逆流してきた水によって、第2酸素センサが被水することを防止することができる。これにより、第1酸素センサと第2酸素センサとによる監視の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る水ジェット推進艇の全体構成を示す断面図。
【図2】エンジン及び排気通路の一部を示す側面図。
【図3】排気マニホールドを取り外した状態のエンジン及び排気通路の一部を示す側面図。
【図4】エンジン及び排気通路の一部を示す平面図。
【図5】排気マニホールドの側面図。
【図6】エンジンおよび排気通路の一部を示す背面図。
【図7】触媒ユニットの断面図。
【図8】図7におけるVIII−VIII断面図。
【図9】図6におけるIX−IX断面図。
【図10】触媒ユニットの平面図。
【図11】支持ブラケットの斜視図。
【図12】触媒ユニットと支持ブラケットとの取付構造を示す拡大断面図。
【図13】エンジン及び排気通路の一部を後方且つ上方から見た図。
【図14】図4におけるXIV−XIV断面の一部を示す図。
【図15】冷却水通路の配置を示す模式図。
【図16】他の実施形態に係るエンジンおよび排気通路の一部を示す平面図。
【図17】他の実施形態に係る冷却水通路の配置を示す模式図。
【図18】他の実施形態に係る触媒収容管の断面とエンジンとを示す模式図。
【図19】他の実施形態に係るウォーターロックを示す背面図。
【図20】実施形態と他の実施形態とに係る水ジェット推進艇におけるウォーターロックの配置を示す平面図。
【図21】他の実施形態に係る水ジェット推進艇の船体内の平面図。
【図22】他の実施形態に係る水ジェット推進艇の船体内の平面図。
【図23】他の実施形態に係る水ジェット推進艇のエンジン及び排気通路の一部を示す平面図。
【図24】エンジンの右側面図。
【図25】図23におけるXXV−XXV断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る水ジェット推進艇について説明する。図面において、FWDは、推進艇の前進方向を示している。BWDは、推進艇の後進方向を示している。Wは、水ジェット推進艇の幅方向すなわち左右方向を示している。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る水ジェット推進艇1の全体構成を示す断面図である。水ジェット推進艇1は、いわゆるパーソナルウォータークラフト(PWC)である。水ジェット推進艇1は、船体2と、エンジン3と、排気通路4と、ジェット推進ユニット5と、を備えている。船体2は、デッキ2aとハル2bとを有する。エンジン3は、船体2の内部に収容されている。ジェット推進ユニット5は、エンジン3によって駆動される。排気通路4は、エンジン3から船体2の外部へ排出ガスを導く。言い換えれば、排気通路4は、エンジン3から水中へ排出ガスを導く。
【0012】
船体2の内部には、エンジンルーム2cが設けられている。エンジンルーム2cは、エンジン3および燃料タンク6などを収納する。エンジンルーム2cの後部には、仕切り板2dが配置されている。仕切り板2dは、ハル2bから鉛直上向きに延びるように配置されている。仕切り板2dの上端は、エンジン3の上端よりも下方に位置している。仕切り板2dは、船体2の内部を前後方向に仕切る。また、仕切り板2dは、ロールの発生を抑制するように構成されている。なお、ロールとは、船体2が前後方向を軸として捩じれる現象である。デッキ2aにはシート7が取り付けられている。シート7は、エンジン3の上方に配置されている。シート7の前方には、船体2を操舵するためのステアリング8が配置されている。
【0013】
なお、以下の説明において、前後左右の方向及び傾斜などの方向は、水ジェット推進艇1が静水に浮かんでいるときの姿勢において、シート7に着座したライダーから視たときの方向をいうものとする。
【0014】
エンジン3は、直列4気筒4ストロークエンジンからなる。エンジン3は、クランク軸31を有する。クランク軸31は、前後方向に延びるように配置されている。クランク軸31の後方には、カップリング部33が配置されている。カップリング部33は、エンジン3の出力軸とジェット推進ユニット5の入力軸とを連結する。具体的には、カップリング部33は、一対のカップリング33aおよび33bを有する。カップリング33aは、クランク軸31に固定されている。カップリング33bは、後述するインペラシャフト50に固定されている。カップリング33aおよび33bは、クランク軸31とインペラシャフト50とを接続している。カップリング33aおよび33bは、クランク軸31の回転をインペラシャフト50に伝達する。
【0015】
排気通路4には、第1排気管41と、触媒ユニット42と、第2排気管43と、ウォーターロック44と、排気管45とが設けられている。排気通路4の詳細な構成に付いては後述する。
【0016】
ジェット推進ユニット5は、船体2のまわりの水を吸い込んで噴射する。ジェット推進ユニット5は、インペラシャフト50と、インペラ51と、インペラハウジング52と、ノズル53と、デフレクタ54と、バケット55とを含む。インペラシャフト50は、エンジンルーム2cから仕切り板2dを通り、後方に延びるように配置されている。インペラシャフト50の後部は、船体2の水吸引部2eを通ってインペラハウジング52内に導出されている。インペラハウジング52は、水吸引部2eの後部に接続されている。ノズル53は、インペラハウジング52の後方に配置されている。
【0017】
インペラ51は、インペラシャフト50の後部に取り付けられている。インペラ51は、インペラハウジング52の内部に配置されている。インペラ51は、インペラシャフト50とともに回転して、水吸引部2eから水を吸引する。インペラ51は、吸引した水をノズル53から後方に噴射させる。デフレクタ54は、ノズル53の後方に配置されている。デフレクタ54は、ノズル53からの水の噴射方向を左右方向に転換するように構成されている。バケット55は、デフレクタ54の後方に配置されている。バケット55は、ノズル53およびデフレクタ54からの水の噴射方向を前方に転換可能に構成されている。
【0018】
図2は、エンジン3及び排気通路4の一部を示す側面図である。また、図3は、後述する排気マニホールド61を取り外した状態のエンジン3及び排気通路4の一部を示す側面図である。エンジン3は、クランクケース32とシリンダ34とシリンダヘッド35とを有する。クランクケース32は、上述したクランク軸31を保持する。クランクケース32の底部には、オイルパン36が取り付けられている。オイルパン36には、エンジン3の内部を潤滑するための油が溜められる。クランクケース32の左側面の前部にはオイルクーラ37が配置されている。また、シリンダ34の左側面の前部にはオイルフィルタ21が配置されている。オイルフィルタ21は、オイルクーラ37の上部に取り付けられている。また、クランクケース32の前部には、オイルポンプ38が取り付けられている。オイルポンプ38は、クランク軸31の回転によって駆動される。オイルポンプ38は、オイルパン36内の油を汲み上げて、エンジン3の各部に供給する。油は、オイルクーラ37において冷却される。油に混ざった異物は、オイルフィルタ21により取り除かれる。シリンダ34およびシリンダヘッド35は、クランクケース32の上方に配置されている。シリンダ34及びシリンダヘッド35の左側方には、蓄電制御装置39が配置されている。蓄電制御装置39は、レクチファイアとレギュレータとが一体化された装置である。レクチファイアは、エンジン3によって駆動されるフライホイールマグネット29(図9参照)によって生成された交流電流を直流電流に整流する。レギュレータは、バッテリー(図示せず)に充電される電力の電圧を制御する。シリンダ34の左側面の後部には、スタータモータ22が配置されている。スタータモータ22の回転は、図9に示すスタータギア28を介してクランク軸31に伝達される。これにより、スタータモータ22は、エンジン3を始動する。なお、スタータギア28は、クランク軸31の後部に取り付けられている。
【0019】
図4に示すように、シリンダヘッド35の右側面には、吸気マニホールド23が取り付けられている。具体的には、吸気マニホールド23は、シリンダヘッド35の右側面に設けられた複数の吸気ポート(図示せず)に接続されている。吸気マニホールド23には、複数のインジェクタ24a−24dが取り付けられている。複数のインジェクタ24a−24dは、シリンダヘッド35の複数の吸気ポートのそれぞれに燃料を噴射する。複数のインジェクタ24a−24dには、燃料デリバリパイプ25が取り付けられている。燃料デリバリパイプ25は、吸気マニホールド23の上方に配置されており、前後方向に延びるように配置されている。燃料デリバリパイプ25は、吸気マニホールド23に固定されている。燃料デリバリパイプ25は、燃料を燃料タンク6(図1参照)からインジェクタ24a−24dに供給する。吸気マニホールド23の前方には、スロットルボディ26が配置されている。スロットルボディ26は、エンジン3への吸気量を調整する。スロットルボディ26と吸気マニホールド23との間には、フレームアレスタ27が配置されている。フレームアレスタ27は、エンジン3への吸気の流れにおいてスロットルボディ26の下流に配置されている。フレームアレスタ27は、バックファイアの発生時に、火炎がフレームアレスタ27よりも上流に伝播することを防止する。
【0020】
図3に示すように、シリンダヘッド35は、複数の排気ポート35a−35dを有する。本実施形態では、シリンダヘッド35は、第1〜第4排気ポート35a−35dを有する。エンジン3で発生した排出ガスは、第1〜第4排気ポート35a−35dからエンジン3の外部に排出される。第1〜第4排気ポート35a−35dは、シリンダヘッド35の側面に形成されている。第1〜第4排気ポート35a−35dは、それぞれ、エンジン3の側方に向けて開口している。第1〜第4排気ポート35a−35dは、前方から後方へ向かって順に配置されている。すなわち、第1排気ポート35aは、第1〜第4排気ポート35a−35dのなかで最も前方に位置している。第4排気ポート35dは、第1〜第4排気ポート35a−35dのなかで最も後方に位置している。第1〜第4排気ポート35a−35dの周囲には、水流路35eが設けられている。水流路35eには、ジェットポンプ91(図15参照)により汲み上げられた水が流れる。
【0021】
図4は、エンジン3及び排気通路4の一部を示す平面図である。なお、図4では、理解の容易のため図2に示されている蓄電制御装置39が省略されている。第1排気管41は、エンジン3に接続されている。第1排気管41は、第1〜第4排気ポート35a−35dに取り付けられている。第1排気管41は、エンジン3から排出される排出ガスを案内する。第1排気管41は、エンジン3と触媒ユニット42とを連結している。第1排気管41は、本発明の「第1管体」及び「第1排気管」の一例である。第1排気管41は、エンジン3に固定されている。具体的には、第1排気管41は、ボルトなどの固定部材によって、シリンダヘッド35の側面に固定されている。第1排気管41は、エンジン3の一側方において前後方向に延びている。また、第1排気管41は、エンジン3よりも後方の位置において、エンジン3の他側方に向かって湾曲するように構成されている。具体的には、第1排気管41は、エンジン3の左側方において前後方向に延びている。また、第1排気管41は、エンジン3よりも後方の位置において、エンジン3の右側方に向かって湾曲するように構成されている。
【0022】
第1排気管41は、排気マニホールド61と、第1接続部62と、第1ジョイント部63とを含む。排気マニホールド61は、エンジン3に接続される。排気マニホールド61は、アルミニウムなどの金属で形成されている。排気マニホールド61は、エンジン3の左側方において前後方向に延びるように構成されている。排気マニホールド61は、エンジン3の左側面に対向するように配置されている。排気マニホールド61は、複数の分岐管61a−61dと、集合管61eとを含む。分岐管61a−61dは、第1〜第4排気ポート35a−35dにそれぞれ接続されている。分岐管61a−61dは、第1〜第4排気ポート35a−35dから側方へ延びるように構成されている。具体的には、分岐管61a−61dは、第1〜第4排気ポート35a−35dから側方且つ下方に向かって延びるように構成されている。本実施形態では、複数の分岐管61a−61dは、第1〜第4分岐管61a−61dを有する。第1〜第4分岐管61a−61dは、前方から後方へ向かって順に配置されている。すなわち、第1分岐管61aは、第1〜第4分岐管61a−61dのなかで最も前方に位置している。第4分岐管61dは、第1〜第4分岐管61dのなかで最も後方に位置している。集合管61eは、エンジン3の側方において前後方向に延びるように配置されている。図2に示すように、側面視において、集合管61eの上面および下面は、概ね水平に配置されている。集合管61eの直径は、前後方向に亘って概ね一定である。側面視において、集合管61eの軸線AX1(図5参照)は、第1〜第4排気ポート35a−35dよりも下方に位置している。
【0023】
図5は、排気マニホールド61の側面図である。集合管61eは、複数の分岐管61a−61dからの排出ガスが集合されるように構成されている。具体的には、第1〜第4分岐管61dは、それぞれ集合管61eに接続されている。集合管61eは、複数の接続口61f−61iを有する。具体的には、接続口61f−61iは、第1〜第4接続口61f−61iを有する。第1〜第4接続口61f−61iは、前方から後方へ向かって順に配置されている。すなわち、第1接続口61fは、第1〜第4接続口61f−61iのなかで最も前方に位置している。第4接続口61iは、第1〜第4接続口61iのなかで最も後方に位置している。第1接続口61fは、第1分岐管61aに接続される。第2接続口61gは、第2分岐管61bに接続される。第3接続口61hは、第3分岐管61cに接続される。第4接続口61iは、第4分岐管61dに接続される。
【0024】
集合管61eは、第1センサポート61jを有する。第1センサポート61jは、第4接続口61iよりも下流に位置している。図2及び図4に示すように、第1センサポート61jには、第1酸素センサ15が取り付けられる。第1センサポート61jは、第4接続口61iに対向する範囲よりも下流に位置する。従って、第1酸素センサ15は、第4接続口61iに対向する範囲よりも下流に位置する。第1酸素センサ15は、排気通路4において後述する触媒部材64よりも上流に配置される。また、第1酸素センサ15は、第1排気管41において第1ジョイント部63よりも上流に位置する。第1酸素センサ15は、排気通路4を流れる排出ガス中の酸素濃度を検出する。
【0025】
図4に示すように、第1ジョイント部63は、排気マニホールド61と第1接続部62とを接続する。第1ジョイント部63は、排気マニホールド61の下流に配置されている。第1ジョイント部63は、排気マニホールド61の後方に配置されている。第1ジョイント部63は、可撓性を有する材料、たとえばゴムからなる。第1ジョイント部63は、円筒形状を有している。第1ジョイント部63の外径は、集合管61eの外径よりも大きい。排気マニホールド61の下流側端部は、第1ジョイント部63に挿入されている。これにより、排気マニホールド61は、第1ジョイント部63に接続されている。第1ジョイント部63は、本発明の一実施形態における「可撓管部」の一例である。
【0026】
第1接続部62は、第1ジョイント部63の下流に配置されている。第1接続部62は、第1ジョイント部63の後方に配置されている。第1接続部62は、触媒ユニット42に向かって湾曲するように構成されている。第1接続部62は、アルミニウムなどの金属で形成されている。第1接続部62の上流側端部は、第1ジョイント部63に挿入されている。これにより、第1接続部62は、第1ジョイント部63に接続されている。
【0027】
触媒ユニット42は、第1接続部62の下流に配置されている。触媒ユニット42は、第1排気管41に接続されている。触媒ユニット42は、シリンダヘッド35の後面に対向するように配置されている。
【0028】
図6は、エンジン3および排気通路4の一部を示す背面図である。図7は、触媒ユニット42の軸線を通る鉛直面での触媒ユニット42の断面図である。触媒ユニット42は、触媒部材64と触媒収容管65を含む。触媒収容管65は、触媒部材64を収容している。触媒収容管65は、アルミニウムなどの金属で形成されている。触媒収容管65は、本発明の「第2管体」と「管部」と「第1管部」との一例である。触媒部材64は、排気通路4中に配置されている。触媒部材64は、排出ガスに含まれる成分(たとえば、HC、CO、NOxなど)の反応を促進する。触媒部材64は、所定の温度(約300℃)以上の場合に、排出ガスに含まれる成分(たとえば、HC、CO、NOxなど)を効率良く反応させることが可能である。そこで、触媒部材64に到達する燃料ガスの温度が低下しないように、触媒部材64は、エンジン3の第1〜第4排気ポート35a−35d近傍に設けられている。
【0029】
具体的には、触媒ユニット42は、エンジン3のシリンダヘッド35の後面に対向するように配置されている。触媒ユニット42は、シリンダヘッド35の後方に配置されている。触媒ユニット42は、シリンダヘッド35の後面に対向する領域を幅方向に沿って延びるように配置されている。触媒ユニット42は、図3に示すように、第1〜第4排気ポート35a−35dと略同一の高さ位置に配置されている。また、図4に示すように、触媒ユニット42は、エンジン3のクランク軸31の上方に配置されている。触媒ユニット42は、クランク軸31を通る中心線C1と平面視において重なるように配置されている。具体的には、平面視において、触媒ユニット42の前部は、クランク軸31の後端部と重なっている。
【0030】
触媒収容管65は、エンジン3の後面に対向するように配置されている。触媒収容管65は、幅方向に延びるように構成されている。触媒収容管65は、第1触媒収容管66と第2触媒収容管67とを有する。第2触媒収容管67は、第1触媒収容管66と別体の部材である。第1触媒収容管66と第2触媒収容管67とは、触媒ユニット42の軸線方向に並んで配置されている。すなわち、第1触媒収容管66と第2触媒収容管67とは、幅方向に並んで配置されている。第1触媒収容管66は、第1接続部62と一体的に形成されている。第2触媒収容管67は、後述する第2排気管43の第2接続部75と一体的に形成されている。なお、第2触媒収容管67は、第2排気管43の第2接続部75と別体であってもよい。
【0031】
図7に示すように、触媒部材64は、フランジ部64aと触媒担体64bとを有している。触媒担体64bは、例えばハニカム構造を有する円筒形の部材であり、触媒が担持されている。触媒担体64bは、例えば、メタル製であるが、セラミック製であってもよい。フランジ部64aは、環状の形状を有している。フランジ部64aは、触媒担体64bの外周面に固定されている。フランジ部64aは、触媒担体64bの外周面から径方向における外方へ向かって突出するように構成されている。フランジ部64aが第1触媒収容管66と第2触媒収容管67との間に挟まれることにより、触媒部材64が触媒収容管65に保持される。フランジ部64aと第1触媒収容管66と第2触媒収容管67とは、ボルトなどの固定部材によって互いに固定される。
【0032】
触媒収容管65は、直線部70aと、拡径部65aと、収容部65bと、縮径部65cと、傾斜部70bと、を有する。直線部70aは、第1接続部62に接続されている。直線部70aの内面の底部は、水平に幅方向に延びるように構成されている。直線部70aの内面の上部は、水平に幅方向に延びるように構成されている。拡径部65aは、触媒部材64よりも上流に位置している。拡径部65aは、下流へ向かって徐々に大きくなる断面積を有する。拡径部65aの内面の底部65dは、水平に幅方向に延びるように構成されている。拡径部65aの内面の上部65eは、下流且つ上方へ向かって傾斜している。収容部65bは、拡径部65aと縮径部65cとの間に位置している。収容部65bは、触媒部材64を収容している。収容部65bの内面の底部65fは、水平に幅方向に延びるように構成されている。収容部65bの内面の底部65fは、拡径部65aの内面の底部65dよりも下方に位置している。触媒部材64は、収容部65bの内面に対して隙間を空けて配置されている。触媒担体64bの底部64cは、拡径部65aの内面の底部65dと概ね同じ高さに位置している。縮径部65cは、触媒部材64よりも下流に位置している。縮径部65cは、下流へ向かって徐々に小さくなる断面積を有する。縮径部65cの内面の底部65gは、水平に幅方向に延びるように構成されている。縮径部65cの内面の上部65hは、下流且つ下方へ向かって傾斜している。傾斜部70bは、後述する第2排気管43に接続される。傾斜部70bの内面の底部は、下流且つ下方へ向かって傾斜している。傾斜部70bの内面の上部は、下流且つ下方へ向かって傾斜している。第1排気管41と触媒ユニット42と第2排気管43との内面の底部は、下流へ向かって上昇する部分がないように構成されている。
【0033】
図4に示すように、触媒収容管65は、第2センサポート65jを有する。第2センサポート65jには、第2酸素センサ16が取り付けられる。第2センサポート65jは、触媒部材64よりも下流に位置している。従って、第2酸素センサ16は、触媒部材64よりも下流に配置される。また、第2酸素センサ16は、ウォーターロック44よりも上流に配置される。具体的には、第2センサポート65jは、縮径部65cに形成されている。従って、第2酸素センサ16は、排気通路4において、縮径部65cに配置されている。図8は、図7におけるVIII−VIII断面図である。図8に示すように、第2酸素センサ16は、触媒収容管65の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線C2より上方、且つ、前後方向における中心線C3よりもエンジン3に近い位置に配置される。
【0034】
図7に示すように、触媒収容管65には、ウォータージャケット部68bが形成されている。ウォータージャケット部68bは、触媒収容管65の外面と内面との間に配置されており、水が通過可能な流路を構成している。ウォータージャケット部68bは、排出ガスが流通することに起因して触媒ユニット42が高温になるのを抑制するように構成されている。また、第1排気管41には、ウォータージャケット部68aが形成されている。第1排気管41のウォータージャケット部68aは、上述したエンジン3の水流路35e(図3参照)に連通している。触媒ユニット42のウォータージャケット部68bは、第1排気管41のウォータージャケット部68aに連通している。ウォータージャケット部68bは、排出ガスが流通する触媒部材64の周囲を取り囲むように構成されている。水がウォータージャケット部68bを流れることにより、触媒ユニット42が冷却される。図9は、図6におけるIX−IX断面図である。図9に示すように、触媒部材64のフランジ部64aには、ウォータージャケット部68cが形成されている。フランジ部64aのウォータージャケット部68cは、触媒収容管65のウォータージャケット部68bに連通している。これにより、水が触媒担体64bには直接的に接触せずに、触媒部材64が冷却される。ただし、図9に示すように、フランジ部64aのうちシリンダヘッド35に対向する部分には、ウォータージャケット部68cが形成されていない。フランジ部64aのうちシリンダヘッド35に対向する部分には、凹部64dが形成されている。凹部64dは、フランジ部64aの内方へ向けて凹んだ形状を有する。すなわち、凹部64dは、シリンダヘッド35から離れるように凹んだ形状を有する。フランジ部64aのこのような形状により、フランジ部64aとシリンダヘッド35の間の隙間が拡大されている。
【0035】
図2,図4,図6に示すように、触媒ユニット42は、支持ブラケット71及びダンパー部72を介してエンジン3に支持されている。支持ブラケット71は、触媒ユニット42の下方に配置されている。支持ブラケット71は、エンジン3に固定されている。具体的には、支持ブラケット71は、エンジン3のクランクケース32とカバー部材40(フライホイールマグネットカバー)とに固定されている。カバー部材40は、クランクケース32の後部に取り付けられている。図9に示すように、カバー部材40の内部には、フライホイールマグネット29が配置されている。フライホイールマグネット29は、クランク軸31の後部に取り付けられている。フライホイールマグネット29は、クランク軸31の回転により発電する。なお、クランク軸31の前部には、カムチェーン30が巻回されている。カムチェーン30は、カムシャフトを介してクランク軸31の回転を吸気バルブ及び排気バルブに伝達する(図示せず)。
【0036】
ダンパー部72は、エンジン3からの振動を低減する。ダンパー部72は、ゴムなどの弾性部材からなる複数のダンパー72a−72dを有する。具体的には、ダンパー部72は、第1〜第4ダンパー72a−72dを有する。図4に示すように、第1ダンパー72aは、クランク軸31を通る中心線C1の左方に配置される。第2ダンパー72bは、クランク軸31を通る中心線C1の右方に配置される。第3ダンパー72cは、第1ダンパー72aの前方に配置される。第3ダンパー72cは、クランク軸31を通る中心線C1の左方に配置される。第4ダンパー72dは、第2ダンパー72bの前方に配置される。第4ダンパー72dは、クランク軸31を通る中心線C1の右方に配置される。
【0037】
触媒ユニット42は、第1〜第4ダンパー72a−72dを介して、支持ブラケット71に取り付けられている。触媒ユニット42の触媒収容管65は、触媒収容管65を支持ブラケット71に取り付けるための第1〜第4取付部69a〜69dを有する。第1〜第4取付部69a〜69dは、それぞれ板状の形状を有する。第1〜第4取付部69a〜69dは、それぞれ第1〜第4ダンパー72a−72dに対応して配置されている。図10は、触媒ユニット42の平面図である。図10に示すように、第1〜第4取付部69a〜69dには、上下方向に貫通する第1〜第4取付穴69e−69hが形成されている。図11は、支持ブラケット71の斜視図である。図11に示すように、支持ブラケット71は、第1〜第4支持部71a−71dを有する。第1〜第4支持部71a−71dは、第1〜第4ダンパー72a−72dに対応して配置されている。第1〜第4支持部71a−71dには、後述するボルトが通される孔71e−71hが形成されている。第1〜第4支持部71a−71dの上面は平坦な形状を有しており、第1〜第4ダンパー72a−72dを支持する。
【0038】
図12は、第1ダンパー72aを介した触媒ユニット42と支持ブラケット71との取付構造を示す拡大断面図である。第1ダンパー72aは、第1取付部69aの第1取付穴71aにはめ込まれる。第1ダンパー72aは、円筒形状を有している。第1ダンパー72aの外周面には、環状の溝部72eが形成されている。溝部72eは、第1取付穴71aの縁部と噛み合っている。第1ダンパー72aには、貫通孔72fが形成されている。貫通孔72fには、金属製のカラー72gが嵌め込まれている。ボルト89がワッシャー72hとカラー72gに挿入されるとともに、第1支持部71aの孔71eに螺合している。第2〜第4ダンパー72b−72dを介した触媒ユニット42と支持ブラケット71との取付構造も、それぞれ第1ダンパー72aを介した取付構造と同様である。これによって、触媒ユニット42は、第1〜第4ダンパー72a−72dを介して支持ブラケット71に取り付けられている。
【0039】
図2及び図6に示されているように、ダンパー部72による触媒ユニット42の支持方向は、上下方向である。これに対して、触媒ユニット42において、排出ガスの通過方向は水平方向である。具体的には、触媒ユニット42において、排出ガスの通過方向は幅方向である。従って、ダンパー部72による触媒ユニット42の支持方向は、触媒ユニット42における排出ガスの通過方向に対して垂直である。
【0040】
図6及び図10に示すように、触媒ユニット42の触媒収容管65の外面は、第1〜第4凹部73a−73dを含む。第1〜第4凹部73a−73dは、それぞれ第1〜第4取付部69a−69dの上方に位置する。すなわち、第1〜第4凹部73a−73dは、それぞれ第1〜第4取付孔69e−69hの上方に位置する。第1〜第4凹部73a−73dは、触媒収容管65の外面から触媒収容管65の内方へ向けて凹んだ形状を有する。第1〜第4凹部73a−73dは、それぞれ、第1〜第4取付部69a−69dから上方へ延びるように構成されている。また、図10に示すように、触媒収容管65の内面は、第1〜第4湾曲部73e−73hを有する。第1〜第4湾曲部73e−73hは、それぞれ第1〜第4凹部73a−73dの裏側に位置している。第1〜第4湾曲部73e−73hは、触媒収容管65の内方へ向かって突出するように湾曲した形状を有する。第1湾曲部73e及び第3湾曲部73gは、触媒部材64よりも上流に位置している。第2湾曲部73f及び第4湾曲部73hは、触媒部材64よりも下流に位置している。触媒部材64は、幅方向すなわち排出ガスの通過方向において第1湾曲部73eと第2湾曲部73fとの間に位置している。触媒部材64は、幅方向すなわち排出ガスの通過方向において第3湾曲部73gと第4湾曲部73hとの間に位置している。
【0041】
図4に示すように、支持ブラケット71は、カップリング部33の上方に位置する部分が凹んだ形状を有する。具体的には、支持ブラケット71の後部には、凹部71iが形成されている。凹部71iは、支持ブラケット71の後部からエンジン3へ向けて凹んだ形状を有する。図11に示すように、凹部71iは、第1支持部71aと第2支持部71bとの間に位置している。図13に示すように、エンジン3の後方且つ上方の位置から、或いは、エンジン3の後方からエンジン3を見たときに、支持ブラケット71の下方の位置を容易に視認することができる。
【0042】
図4に示すように、第2排気管43は、触媒ユニット42の下流に配置されている。第2排気管43は、エンジン3から排出される排出ガスを案内する。第2排気管43は、触媒ユニット42とウォーターロック44とを連結する。すなわち、第2排気管43は、触媒収容管65よりも下流、且つ、ウォーターロック44よりも上流に位置している。第2排気管43は、本発明の一実施形態における「第2排気管」及び「第2管部」の一例である。第2排気管43は、前後方向に延びるように配置されている。従って、上述した触媒収容管65の軸線は、第2排気管43の軸線に対して平行ではない。第2排気管43は、第2接続部75と接続管76とを含む。図7に示すように、第2接続部75は、接続管76へ向かって湾曲し、前後方向に延びるように構成されている。第2接続部75は、アルミニウムなどの金属で形成されている。第2接続部75には、ウォータージャケット部68dが形成されている。第2接続部75のウォータージャケット部68dは、触媒収容管65のウォータージャケット部68bに連通している。第2接続部75の下流側端部は、接続管76に接続されている。接続管76は、第2接続部75とウォーターロック44とを接続する。
【0043】
図14は、図4におけるXIV−XIV断面の一部を示す図である。図14に示すように、接続管76は、テールパイプ77と、内管78と、第2ジョイント部79とを有する。テールパイプ77は、第2接続部75の下流側端部に連結される。テールパイプ77は、アルミニウムなどの金属で形成されている。テールパイプ77は、ボルトなどの固定部材によって第2接続部75に固定されている。テールパイプ77は、前後方向に延びるように配置されている。テールパイプ77には、ウォータージャケット部68eが形成されている。テールパイプ77のウォータージャケット部68eは、第2接続部75のウォータージャケット部68dに連通している。
【0044】
第2ジョイント部79は、テールパイプ77の外周面の下流側端部からウォーターロック44に向って延びるように構成されている。第2ジョイント部79は、可撓性を有する材料、たとえばゴムからなり、円筒形状を有している。テールパイプ77の下流側端部が第2ジョイント部79に挿入されている。これによって、第2ジョイント部79は、テールパイプ77に接続されている。
【0045】
内管78は、第2ジョイント部79の内部に配置されている。内管78は、第2ジョイント部79の内周面の下流側端部からウォーターロック44の内部に延びるように配置されている。内管78は、例えば、アルミ二ウムなどの金属製の円筒状パイプからなる。内管78の先端部(下流側端部)には、先端側に行くほど直径が徐々に大きくなる広角部78aが形成されている。広角部78aは、滑らかに湾曲したベルマウス状の形状を有する。内管78の上流側端部は、テールパイプ77の下流側部分の内面に螺合している。これにより、内管78がテールパイプ77に固定されている。内管78の下流側端部は、ウォーターロック44の内部に位置している。
【0046】
内管78の外径は、第2ジョイント部79の内径よりも小さい。このため、内管78の外周面と第2ジョイント部79の内周面との間には、冷却水通路79aが形成されている。冷却水通路79aは、テールパイプ77のウォータージャケット部68eに連通している。また、冷却水通路79aは、ウォーターロック44の内部空間に連通している。従って、冷却水は、ウォーターロック44において排出ガスに混ぜられる。
【0047】
図7及び図14に示すように、第2排気管43の内面の底部は、下流に向かって上方に傾斜する部分がないように構成されている。より具体的には、接続管76の内面の底部は、水平にウォーターロック44に向かって延びるように構成されている。
【0048】
ウォーターロック44は、長手方向が前後方向に延びるように配置されている。従って、上述した触媒収容管65の軸線は、ウォーターロック44の軸線に対して平行ではない。ウォーターロック44は、第2排気管43の下流側端部に接続されている。従って、ウォーターロック44は、排気通路4において触媒部材64よりも下流に配置されている。ウォーターロック44は、排気管45(図1参照)に接続されている。排気管45の先端は、船体2の外部に配置されており、排出ガスは、排気管45から船体2の外部に放出される。すなわち、排出ガスは、排気管45から水中に放出される。ウォーターロック44は、排気管45から浸入する水がエンジン3側に向かって流入するのを抑制するように構成されている。ウォーターロック44は、船体2に固定されている。図2に示すように、ウォーターロック44の下部は、触媒ユニット42の下部よりも下方に配置されている。また、図6に示すように、ウォーターロック44の幅方向の寸法L1は、ウォーターロック44の上下方向の寸法L2よりも小さい。
【0049】
図14に示すように、ウォーターロック44は、密閉されたタンク状に形成されている。ウォーターロック44の上流側端部には、円筒状の接続部44aが設けられている。接続部44aは、第2ジョイント部79に挿入されている。これにより、第2ジョイント部79の下流側端部は、接続部44aに接続されている。ウォーターロック44の内部は、パーテーション81によって、上流側部分と下流側部分とに区画されている。パーテーション81は、板部材で構成されている。パーテーション81は、下流側へ向けて突出するように湾曲した曲面形状を有する。ウォーターロック44の内部には、一対のパーテーションパイプ82,83が配置されている。パーテーションパイプ82,83は、上下に間隔を開けて配置されている。パーテーションパイプ82,83は、パーテーション81を貫通している。パーテーション81の下部には、水抜き孔81aが形成されている。ウォーターロック44の内部の上流側部分に溜まった冷却水は、水抜き孔81aを通って下流側部分に流れる。ウォーターロック44の上面には取付穴44bが形成されている。排気管45の上流側端部は、取付穴44bを通って、ウォーターロック44の下流側部分に挿入されている。排気管45の上流側端部は、ウォーターロック44の底部近傍まで延びている。
【0050】
図15は、水ジェット推進艇1が備える冷却水経路90を示す模式図である。冷却水経路90は、上述したシリンダヘッド35の水流路35eと、第1排気管41のウォータージャケット部68aと、触媒収容管65のウォータージャケット部68bと、触媒部材64のウォータージャケット部68c(図9参照)と、第2接続部75のウォータージャケット部68dと、テールパイプ77のウォータージャケット部68eと、第2ジョイント部79内の冷却水通路79aとを含む。
【0051】
ジェットポンプ91から吐出された冷却水は、第2接続部75のウォータージャケット部68dに送られる。冷却水は、第2接続部75のウォータージャケット部68dと、触媒収容管65のウォータージャケット部68bと、第1排気管41のウォータージャケット部68aとを順に流れる。冷却水は、第1排気管41のウォータージャケット部68aからシリンダヘッド35の水流路35eに流れる。また、第1排気管41のウォータージャケット部68aにおいて、冷却水の一部は、蓄電制御装置39へ流れる。冷却水は、蓄電制御装置39からクランクケース32の水流路32aを通り、シリンダヘッド35の水流路35eへ流れる。冷却水は、シリンダヘッド35の水流路35eからサーモスタット92を通り、水排出口(図示せず)へ流れる。冷却水は、水排出口から水中へ排出される。なお、サーモスタット92は、冷却水の温度が所定温度以上であるときに流路を開き、冷却水の温度が所定温度より低いときには流路を閉じる。これにより、サーモスタット92は、冷却水の温度制御を行う。
【0052】
また、触媒収容管65のウォータージャケット部68bにおいて、冷却水の一部は、テールパイプ77のウォータージャケット部68eに送られ、第2ジョイント部79内の冷却水通路79aを通ってウォーターロック44へ送られる。また、ジェットポンプ91から吐出された冷却水の一部は、オイルクーラ37に送られる。さらに、クランクケース32の水流路32aにおいて、冷却水の一部は、オイルクーラ37に送られる。冷却水は、オイルクーラ37からパイロットウォーター排出口(図示せず)へ流れる。冷却水は、パイロットウォーター排出口から水ジェット推進艇1の外部へ排出される。
【0053】
本実施形態に係る水ジェット推進艇1は、以下の特徴を有する。
【0054】
第1排気管41は、触媒ユニット42に結合されており、触媒ユニット42は、エンジン3の後面に対向するように配置されている。これにより、エンジン3の第1〜第4排気ポート35a−35dから触媒ユニット42までの排気通路4の経路長が短縮されている。その結果、高温の排出ガスを触媒ユニット42に導くことができるので、エンジン3の始動後に、速やかに触媒ユニット42を活性化させることができる。これにより、排出ガス中に含まれる有害成分(たとえば、HC、CO、NOxなど)を、触媒ユニット42で充分に反応させて、効率的に浄化することがきる。
【0055】
排気通路4において、第1酸素センサ15が触媒部材64よりも上流に配置される。また、第2酸素センサ16が触媒部材64よりも下流に配置される。このため、第1酸素センサ15の検出結果と第2酸素センサ16の検出結果とを比較することにより、触媒が有効に機能しているか否かを監視することができる。また、第2酸素センサ16は、ウォーターロック44よりも上流に配置される。このため、排気通路4を逆流してきた水によって、第2酸素センサ16が被水することを防止することができる。これにより、第1酸素センサ15と第2酸素センサ16とによる監視の信頼性を向上させることができる。
【0056】
第2酸素センサ16は、触媒収容管65の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線C2より上方、且つ、前後方向における中心線C3よりもエンジン3に近い位置に配置されている。このため、第2酸素センサ16は、触媒収容管65からエンジン3へ向かって突出するように配置されている。これにより、第2酸素センサ16を触媒収容管65とエンジン3との間にコンパクトに配置することができる。
【0057】
第2酸素センサ16が取り付けられている触媒収容管65は、ウォーターロック44の軸線及び第2排気管43に対して平行ではない。このため、排気管45から水が逆流しても、水が触媒収容管65まで到達し難い。これにより、第2酸素センサ16の被水を抑えることができる。
【0058】
第2酸素センサ16は、触媒収容管65の縮径部65cに配置されている。このため、第2酸素センサ16は、縮径部65cにおいて撹拌された排出ガスに対して酸素濃度の検出を行うことができる。これにより、第2酸素センサ16による酸素濃度の検出の精度を向上させることができる。
【0059】
第1酸素センサ15は、集合管61eに取り付けられており、第4接続口61iよりも下流に位置している。第4接続口61iは、第1〜第4接続口61f−61iのうちで最も下流に位置しているので、第1酸素センサ15は、第1〜第4接続口61f−61iを通り集合管61eにおいて集合した排出ガスに対して、酸素濃度の検出を行うことができる。このため、第1〜第4接続口61f−61iのそれぞれを通る排出ガスの酸素濃度にバラツキがあっても、精度よく酸素濃度を検出することができる。
【0060】
第1酸素センサ15は、第1排気管41において第1ジョイント部63よりも上流に位置する。従って、第1酸素センサ15は、排気通路4においてエンジン3から第1酸素センサ15までの経路長が短い。このため、高温の排出ガスによって第1酸素センサ15を高温に保つことができ、第1酸素センサ15を良好に活性化させることができる。
【0061】
また、排気マニホールド61は、エンジン3に直接的に固定されている。これに対して、第1接続部62は、第1ジョイント部63よりも下流に位置している。また、エンジン3と第1接続部62との間には、第1ジョイント部63が配置されている。このため、エンジン3の熱は、第1接続部62まで伝わり難い。特に、第1ジョイント部63がゴム製である場合には、第1ジョイント部63の伝熱性が低いため、エンジン3の熱は、さらに第1接続部62まで伝わりにくい。このため、排気マニホールド61は、第1接続部62よりも高温になる。従って、第1酸素センサ15が排気マニホールド61に取り付けられることにより、第1酸素センサ15を良好に活性化させることができる。
【0062】
第1排気管41と触媒収容管65と第2排気管43との内面の底部は、下流へ向かって上昇する部分を有さない。このため、第1排気管41と触媒収容管65と第2排気管43とにおいて凝縮水が発生したとしても、凝縮水がエンジン3へ向かって流れることを防止することができる。
【0063】
第1排気管41のウォータージャケット部68aは、冷却水経路90において、触媒収容管65のウォータージャケット部68bよりも下流に位置している。従って、第1排気管41の排気マニホールド61には、触媒ユニット42を通過した後の温度の低すぎない冷却水が流れる。このため、排気マニホールド61での結露の発生が抑えられる。これにより、第1酸素センサ15の被水が防止される。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0065】
上記の実施形態では、触媒ユニット42がエンジン3の後面に対向するように配置されているが、触媒ユニット42の配置はこの位置に限られない。例えば、図16に示すように、触媒ユニット42がエンジン3の前面に対向するように配置されてもよい。或いは、触媒ユニット42がエンジン3の側面に対向するように配置されてもよい。ダンパーの数は上記の実施形態のように4つに限らず、4つより少ない、或いは、4つより多くてもよい。排気ポートの数は上記の実施形態のように4つに限らず、4つより少ない、或いは、4つより多くてもよい。
【0066】
冷却水経路は上記の実施形態の構成に限られない。例えば、水ジェット推進艇は、図17に示すような冷却水経路95を備えてもよい。ジェットポンプ91から吐出された冷却水は、シリンダヘッド35の水流路35eに送られる。冷却水は、シリンダヘッド35の水流路35eから、第1排気管41のウォータージャケット部68aと、触媒収容管65のウォータージャケット部68bと、第2接続部75のウォータージャケット部68dとを順に流れる。冷却水は、第2接続部75のウォータージャケット部68dから水排出口(図示せず)へ流れる。冷却水は、水排出口から水中へ排出される。また、シリンダヘッド35の水流路35eにおいて、冷却水の一部は、クランクケース32の水流路32aを通り、蓄電制御装置39へ流れる。冷却水は、蓄電制御装置39からサーモスタット92を通り第1排気管41のウォータージャケット部68aに流れる。また、第1排気管41のウォータージャケット部68aの冷却水の一部および触媒収容管65のウォータージャケット部68bの冷却水の一部が合流して、テールパイプ77のウォータージャケット部68eに送られる。冷却水は、テールパイプ77のウォータージャケット部68eから第2ジョイント部79内の冷却水通路79aを通ってウォーターロック44へ送られる。ジェットポンプ91から吐出された冷却水の一部は、オイルクーラ37に送られる。また、クランクケース32の水流路32aにおいて、冷却水の一部は、オイルクーラ37に送られる。冷却水は、オイルクーラ37からパイロットウォーター排出口(図示せず)へ流れる。冷却水は、パイロットウォーター排出口から水ジェット推進艇1の外部へ排出される。この冷却水経路95では、第1排気管41のウォータージャケット部68aは、シリンダヘッド35の水流路35eよりも下流に位置している。従って、排気マニホールド61には、シリンダヘッド35を通過した後の温度の低すぎない冷却水が流れる。このため、排気マニホールド61での結露の発生が抑えられる。これにより、第1酸素センサ15の被水が防止される。
【0067】
第2酸素センサ16は、排気通路4において触媒収容管65の縮径部65cよりも下流に配置されてもよい。例えば、第2酸素センサ16が触媒収容管65の傾斜部70bに配置されてもよい。
【0068】
触媒収容管65がエンジン3の側方に配置されてもよい。この場合、図18に示すように、第2酸素センサ16は、触媒収容管65の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線C4より上方、且つ、左右方向における中心線C5よりもエンジン3に近い位置に配置されることが好ましい。
【0069】
第2酸素センサ16と同様に、第1酸素センサ15は、第1排気管41の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線より上方、且つ、左右方向における中心線よりもエンジン3に近い位置に配置されてもよい。また、第1排気管41がエンジン3の前面又は後面に対向するように配置されてもよい。この場合、第1酸素センサ15は、排気マニホールド61の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線より上方、且つ、前後方向における中心線よりもエンジン3に近い位置に配置されてもよい。
【0070】
第1酸素センサ15は、第4接続口61iに対向する範囲に位置してもよい。或いは、第1酸素センサ15は、第1〜第3接続口61f−61hのいずれかに対向する範囲に位置してもよい。或いは、第1酸素センサ15は、第1〜第4分岐管61a−61dのいずれかに配置されてもよい。
【0071】
上記の実施形態では、第1〜第4分岐管61a−61dは、第1〜第4排気ポート35a−35dから側方且つ下方に向かって延びるように構成されている。しかし、分岐管は、排気ポートから水平方向に延びるように構成されてもよい。
【0072】
ウォーターロックの形状は上記の実施形態のような形状に限られない。例えば、図19に示すように、円筒形状のウォーターロック84が備えられてもよい。ただし、上記の実施形態のようにウォーターロック44の幅方向の寸法L1が上下方向の寸法L2より小さい場合、同じ容積の円筒形状のウォーターロック84と比べて、幅方向の寸法L1を小さくすることができる。図20(a)は、円筒形状のウォーターロック84を備える水ジェット推進艇10の平面図である。図20(b)は、上記の実施形態と同様のウォーターロック44を備える水ジェット推進艇1の平面図である。図20に示すように、上記の実施形態におけるウォーターロック44のエンジン3からの幅方向への突出距離D2は、円筒形状のウォーターロック44のエンジン3からの幅方向への突出距離D1よりも小さい。このように、上記の実施形態におけるウォーターロック44によって、排気系統の配置スペースを幅方向に小型化することができる。
【0073】
上記の実施形態の水ジェット推進艇1は、パーソナルウォータークラフトであるが、水ジェット推進艇はスポーツボートであってもよい。例えば、図21に示す水ジェット推進艇11は、スポーツボートであり、複数の駆動装置12a,12bを備える。各駆動装置12a,12bは、上述した実施形態と同様のエンジン3と排気通路4とジェット推進ユニット5とを備えている。
【0074】
上記の実施形態においてエンジン3は自然吸気型のエンジンであるが、図22に示す水ジェット推進艇13のように、エンジン3に過給器85が備えられてもよい。図22は、水ジェット推進艇13の船体内の平面図である。図23は、水ジェット推進艇13のエンジン3及び排気通路4の一部を示す平面図である。図24は、エンジン3の右側面図である。図25は、図23におけるXXV−XXV断面図である。図23に示すように、エンジン3の前方には、過給器85が配置されている。従って、エンジン3は、過給器85と触媒ユニット42との間に配置されている。過給器85は、エンジン3に供給する空気を圧縮する。図25に示すように、クランク軸31の前部に接続されたギア機構86を介して、クランク軸31の回転が過給器85に伝達される。これにより、過給器85が駆動される。また、図24に示すように、エンジン3の右前方には、エアクーラ87が配置されている。エアクーラ87は、第1吸気管88aを介して過給器85に接続されている、エアクーラ87は、過給器85によって圧縮された空気を冷却する。また、エアクーラ87は、第2吸気管88bを介してスロットルボディ26に接続されている。スロットルボディ26は、吸気マニホールド23の下方に配置されており、吸気マニホールド23に接続されている。なお、吸気マニホールド23とスロットルボディ26との間には、フレームアレスタ27が配置されている。他の構成については、上述した実施形態の水ジェット推進艇1と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、触媒が有効に機能していることを監視することができる水ジェット推進艇を提供することができる。
【符号の説明】
【0076】
2 船体
3 エンジン
4 排気通路
5 ジェット推進ユニット
15 第1酸素センサ
16 第2酸素センサ
41 第1排気管(第1管体、第1排気管)
42 触媒ユニット
43 第2排気管(第2排気管、第2管部)
44 ウォーターロック
35a−35d 排気ポート
61 排気マニホールド
61a−61d 分岐管
61e 集合管
61f−61i 接続口
63 第1ジョイント部(可撓管部)
64 触媒部材
65 触媒収容管(第2管体、管部、第1管部)
65c 縮径部
【技術分野】
【0001】
本発明は、水ジェット推進艇に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水ジェット推進艇には、排出ガスの酸素濃度を検出するための酸素センサを備えるものがある。例えば、特許文献1に開示されている水ジェット推進艇は、酸素センサが検出した酸素濃度に基づいて、混合気の空燃比を制御する。水ジェット推進艇は、エンジンからの排出ガスを船体の外部へ導く排気通路を有している。排気通路には、触媒が配置されている。酸素センサは、排気通路において触媒よりも上流に位置している。
【0003】
また、特許文献2に開示されている水ジェット推進艇では、酸素センサが、ガス採取室に配置されている。ガス採取室は、エンジンのシリンダに接続されている。特許文献3に開示されている水ジェット推進艇では、酸素センサが排気プローブ装着孔に取り付けられている。排気プローブ装着孔は、排気系においてウォーターロックより上流に位置する。排気プローブ装着孔は、メンテナンス開口の下方近傍に配置されている。特許文献4に開示されている小型船舶における酸素センサ取付構造では、酸素センサが容積室に配置されている。容積室は、エンジンのシリンダ孔又は排気通路に接続されている。特許文献5に開示されている船舶用排気装置では、複数のエキゾーストパイプがエンジンに接続されている。エキゾーストパイプの下流端は、集合チャンバに接続されている。酸素センサは、集合チャンバに配置されている。特許文献6に開示されている小型滑走艇の排気装置では、酸素センサが、排気管の触媒の上流に配置されている。また、排気温センサが、排気管の触媒の下流に配置されている。特許文献7に開示されている小型船舶の排気装置では、排気管に取付孔が形成されている。出荷検査の運転時に、A/Fセンサが取付孔に取り付けられる。そして、A/Fセンサの検出結果に基づいてフィードバック制御が行われることにより、目標の空燃比に対する噴射量の補正値が決定され、記憶される。この補正値の決定と記憶とが完了した後、A/Fセンサが取り外されて、取付孔がボルトによって塞がれる。特許文献8に開示されている水ジェット推進艇の排気構造では、シリンダブロックの複数の排気ポートのそれぞれから、独立排気通路が延びている。酸素センサは、少なくとも1つの独立排気通路の上部分に取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−64425号公報
【特許文献2】特開平09−184462号公報
【特許文献3】特開平09−310630号公報
【特許文献4】特開平11−013569号公報
【特許文献5】特開平11−079092号公報
【特許文献6】特開平11−245895号公報
【特許文献7】特開2001−200746号公報
【特許文献8】特開2003−205896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、地球環境への影響を考慮して、エンジンからの排出ガスに含まれる有害物質を低減することが望まれている。上述した特許文献1の水ジェット推進艇では、排気通路に配置された触媒により、排出ガスに含まれる有害物質を低減させることができる。しかし、劣化などの要因により触媒が有効に機能しない場合がある。この場合、有害物質が十分に低減されていない状態で排出ガスが外部に排出される。従って、触媒が有効に機能していることを監視することが重要である。上述した特許文献1の水ジェット推進艇では、酸素センサは、触媒の上流に位置している。このため、酸素センサの検出結果によって触媒が有効に機能していることを監視することはできない。特許文献2〜8についても同様に、酸素センサが触媒の上流に位置しているか、或いは、そもそも触媒が備えられていない。
【0006】
本発明の課題は、触媒が有効に機能していることを監視することができる水ジェット推進艇を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る水ジェット推進艇は、船体と、エンジンと、ジェット推進ユニットと、排気通路と、触媒部材と、ウォーターロックと、第1酸素センサと、第2酸素センサとを備える。エンジンは、船体に収容される。ジェット推進ユニットは、エンジンにより駆動され、船体のまわりの水を吸い込んで噴射する。排気通路は、エンジンから船体の外部へ排出ガスを導く。触媒部材は、排気通路中に配置される。ウォーターロックは、排気通路において触媒部材よりも下流に配置される。第1酸素センサは、排気通路において触媒部材よりも上流に配置される。第2酸素センサは、排気通路において触媒部材よりも下流、且つ、ウォーターロックよりも上流に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る水ジェット推進艇では、排気通路において、第1酸素センサが触媒部材よりも上流に配置される。また、第2酸素センサが触媒部材よりも下流に配置される。このため、第1酸素センサの検出結果と第2酸素センサの検出結果とを比較することにより、触媒が有効に機能しているか否かを監視することができる。また、第2酸素センサは、ウォーターロックよりも上流に配置される。このため、排気通路を逆流してきた水によって、第2酸素センサが被水することを防止することができる。これにより、第1酸素センサと第2酸素センサとによる監視の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る水ジェット推進艇の全体構成を示す断面図。
【図2】エンジン及び排気通路の一部を示す側面図。
【図3】排気マニホールドを取り外した状態のエンジン及び排気通路の一部を示す側面図。
【図4】エンジン及び排気通路の一部を示す平面図。
【図5】排気マニホールドの側面図。
【図6】エンジンおよび排気通路の一部を示す背面図。
【図7】触媒ユニットの断面図。
【図8】図7におけるVIII−VIII断面図。
【図9】図6におけるIX−IX断面図。
【図10】触媒ユニットの平面図。
【図11】支持ブラケットの斜視図。
【図12】触媒ユニットと支持ブラケットとの取付構造を示す拡大断面図。
【図13】エンジン及び排気通路の一部を後方且つ上方から見た図。
【図14】図4におけるXIV−XIV断面の一部を示す図。
【図15】冷却水通路の配置を示す模式図。
【図16】他の実施形態に係るエンジンおよび排気通路の一部を示す平面図。
【図17】他の実施形態に係る冷却水通路の配置を示す模式図。
【図18】他の実施形態に係る触媒収容管の断面とエンジンとを示す模式図。
【図19】他の実施形態に係るウォーターロックを示す背面図。
【図20】実施形態と他の実施形態とに係る水ジェット推進艇におけるウォーターロックの配置を示す平面図。
【図21】他の実施形態に係る水ジェット推進艇の船体内の平面図。
【図22】他の実施形態に係る水ジェット推進艇の船体内の平面図。
【図23】他の実施形態に係る水ジェット推進艇のエンジン及び排気通路の一部を示す平面図。
【図24】エンジンの右側面図。
【図25】図23におけるXXV−XXV断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る水ジェット推進艇について説明する。図面において、FWDは、推進艇の前進方向を示している。BWDは、推進艇の後進方向を示している。Wは、水ジェット推進艇の幅方向すなわち左右方向を示している。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る水ジェット推進艇1の全体構成を示す断面図である。水ジェット推進艇1は、いわゆるパーソナルウォータークラフト(PWC)である。水ジェット推進艇1は、船体2と、エンジン3と、排気通路4と、ジェット推進ユニット5と、を備えている。船体2は、デッキ2aとハル2bとを有する。エンジン3は、船体2の内部に収容されている。ジェット推進ユニット5は、エンジン3によって駆動される。排気通路4は、エンジン3から船体2の外部へ排出ガスを導く。言い換えれば、排気通路4は、エンジン3から水中へ排出ガスを導く。
【0012】
船体2の内部には、エンジンルーム2cが設けられている。エンジンルーム2cは、エンジン3および燃料タンク6などを収納する。エンジンルーム2cの後部には、仕切り板2dが配置されている。仕切り板2dは、ハル2bから鉛直上向きに延びるように配置されている。仕切り板2dの上端は、エンジン3の上端よりも下方に位置している。仕切り板2dは、船体2の内部を前後方向に仕切る。また、仕切り板2dは、ロールの発生を抑制するように構成されている。なお、ロールとは、船体2が前後方向を軸として捩じれる現象である。デッキ2aにはシート7が取り付けられている。シート7は、エンジン3の上方に配置されている。シート7の前方には、船体2を操舵するためのステアリング8が配置されている。
【0013】
なお、以下の説明において、前後左右の方向及び傾斜などの方向は、水ジェット推進艇1が静水に浮かんでいるときの姿勢において、シート7に着座したライダーから視たときの方向をいうものとする。
【0014】
エンジン3は、直列4気筒4ストロークエンジンからなる。エンジン3は、クランク軸31を有する。クランク軸31は、前後方向に延びるように配置されている。クランク軸31の後方には、カップリング部33が配置されている。カップリング部33は、エンジン3の出力軸とジェット推進ユニット5の入力軸とを連結する。具体的には、カップリング部33は、一対のカップリング33aおよび33bを有する。カップリング33aは、クランク軸31に固定されている。カップリング33bは、後述するインペラシャフト50に固定されている。カップリング33aおよび33bは、クランク軸31とインペラシャフト50とを接続している。カップリング33aおよび33bは、クランク軸31の回転をインペラシャフト50に伝達する。
【0015】
排気通路4には、第1排気管41と、触媒ユニット42と、第2排気管43と、ウォーターロック44と、排気管45とが設けられている。排気通路4の詳細な構成に付いては後述する。
【0016】
ジェット推進ユニット5は、船体2のまわりの水を吸い込んで噴射する。ジェット推進ユニット5は、インペラシャフト50と、インペラ51と、インペラハウジング52と、ノズル53と、デフレクタ54と、バケット55とを含む。インペラシャフト50は、エンジンルーム2cから仕切り板2dを通り、後方に延びるように配置されている。インペラシャフト50の後部は、船体2の水吸引部2eを通ってインペラハウジング52内に導出されている。インペラハウジング52は、水吸引部2eの後部に接続されている。ノズル53は、インペラハウジング52の後方に配置されている。
【0017】
インペラ51は、インペラシャフト50の後部に取り付けられている。インペラ51は、インペラハウジング52の内部に配置されている。インペラ51は、インペラシャフト50とともに回転して、水吸引部2eから水を吸引する。インペラ51は、吸引した水をノズル53から後方に噴射させる。デフレクタ54は、ノズル53の後方に配置されている。デフレクタ54は、ノズル53からの水の噴射方向を左右方向に転換するように構成されている。バケット55は、デフレクタ54の後方に配置されている。バケット55は、ノズル53およびデフレクタ54からの水の噴射方向を前方に転換可能に構成されている。
【0018】
図2は、エンジン3及び排気通路4の一部を示す側面図である。また、図3は、後述する排気マニホールド61を取り外した状態のエンジン3及び排気通路4の一部を示す側面図である。エンジン3は、クランクケース32とシリンダ34とシリンダヘッド35とを有する。クランクケース32は、上述したクランク軸31を保持する。クランクケース32の底部には、オイルパン36が取り付けられている。オイルパン36には、エンジン3の内部を潤滑するための油が溜められる。クランクケース32の左側面の前部にはオイルクーラ37が配置されている。また、シリンダ34の左側面の前部にはオイルフィルタ21が配置されている。オイルフィルタ21は、オイルクーラ37の上部に取り付けられている。また、クランクケース32の前部には、オイルポンプ38が取り付けられている。オイルポンプ38は、クランク軸31の回転によって駆動される。オイルポンプ38は、オイルパン36内の油を汲み上げて、エンジン3の各部に供給する。油は、オイルクーラ37において冷却される。油に混ざった異物は、オイルフィルタ21により取り除かれる。シリンダ34およびシリンダヘッド35は、クランクケース32の上方に配置されている。シリンダ34及びシリンダヘッド35の左側方には、蓄電制御装置39が配置されている。蓄電制御装置39は、レクチファイアとレギュレータとが一体化された装置である。レクチファイアは、エンジン3によって駆動されるフライホイールマグネット29(図9参照)によって生成された交流電流を直流電流に整流する。レギュレータは、バッテリー(図示せず)に充電される電力の電圧を制御する。シリンダ34の左側面の後部には、スタータモータ22が配置されている。スタータモータ22の回転は、図9に示すスタータギア28を介してクランク軸31に伝達される。これにより、スタータモータ22は、エンジン3を始動する。なお、スタータギア28は、クランク軸31の後部に取り付けられている。
【0019】
図4に示すように、シリンダヘッド35の右側面には、吸気マニホールド23が取り付けられている。具体的には、吸気マニホールド23は、シリンダヘッド35の右側面に設けられた複数の吸気ポート(図示せず)に接続されている。吸気マニホールド23には、複数のインジェクタ24a−24dが取り付けられている。複数のインジェクタ24a−24dは、シリンダヘッド35の複数の吸気ポートのそれぞれに燃料を噴射する。複数のインジェクタ24a−24dには、燃料デリバリパイプ25が取り付けられている。燃料デリバリパイプ25は、吸気マニホールド23の上方に配置されており、前後方向に延びるように配置されている。燃料デリバリパイプ25は、吸気マニホールド23に固定されている。燃料デリバリパイプ25は、燃料を燃料タンク6(図1参照)からインジェクタ24a−24dに供給する。吸気マニホールド23の前方には、スロットルボディ26が配置されている。スロットルボディ26は、エンジン3への吸気量を調整する。スロットルボディ26と吸気マニホールド23との間には、フレームアレスタ27が配置されている。フレームアレスタ27は、エンジン3への吸気の流れにおいてスロットルボディ26の下流に配置されている。フレームアレスタ27は、バックファイアの発生時に、火炎がフレームアレスタ27よりも上流に伝播することを防止する。
【0020】
図3に示すように、シリンダヘッド35は、複数の排気ポート35a−35dを有する。本実施形態では、シリンダヘッド35は、第1〜第4排気ポート35a−35dを有する。エンジン3で発生した排出ガスは、第1〜第4排気ポート35a−35dからエンジン3の外部に排出される。第1〜第4排気ポート35a−35dは、シリンダヘッド35の側面に形成されている。第1〜第4排気ポート35a−35dは、それぞれ、エンジン3の側方に向けて開口している。第1〜第4排気ポート35a−35dは、前方から後方へ向かって順に配置されている。すなわち、第1排気ポート35aは、第1〜第4排気ポート35a−35dのなかで最も前方に位置している。第4排気ポート35dは、第1〜第4排気ポート35a−35dのなかで最も後方に位置している。第1〜第4排気ポート35a−35dの周囲には、水流路35eが設けられている。水流路35eには、ジェットポンプ91(図15参照)により汲み上げられた水が流れる。
【0021】
図4は、エンジン3及び排気通路4の一部を示す平面図である。なお、図4では、理解の容易のため図2に示されている蓄電制御装置39が省略されている。第1排気管41は、エンジン3に接続されている。第1排気管41は、第1〜第4排気ポート35a−35dに取り付けられている。第1排気管41は、エンジン3から排出される排出ガスを案内する。第1排気管41は、エンジン3と触媒ユニット42とを連結している。第1排気管41は、本発明の「第1管体」及び「第1排気管」の一例である。第1排気管41は、エンジン3に固定されている。具体的には、第1排気管41は、ボルトなどの固定部材によって、シリンダヘッド35の側面に固定されている。第1排気管41は、エンジン3の一側方において前後方向に延びている。また、第1排気管41は、エンジン3よりも後方の位置において、エンジン3の他側方に向かって湾曲するように構成されている。具体的には、第1排気管41は、エンジン3の左側方において前後方向に延びている。また、第1排気管41は、エンジン3よりも後方の位置において、エンジン3の右側方に向かって湾曲するように構成されている。
【0022】
第1排気管41は、排気マニホールド61と、第1接続部62と、第1ジョイント部63とを含む。排気マニホールド61は、エンジン3に接続される。排気マニホールド61は、アルミニウムなどの金属で形成されている。排気マニホールド61は、エンジン3の左側方において前後方向に延びるように構成されている。排気マニホールド61は、エンジン3の左側面に対向するように配置されている。排気マニホールド61は、複数の分岐管61a−61dと、集合管61eとを含む。分岐管61a−61dは、第1〜第4排気ポート35a−35dにそれぞれ接続されている。分岐管61a−61dは、第1〜第4排気ポート35a−35dから側方へ延びるように構成されている。具体的には、分岐管61a−61dは、第1〜第4排気ポート35a−35dから側方且つ下方に向かって延びるように構成されている。本実施形態では、複数の分岐管61a−61dは、第1〜第4分岐管61a−61dを有する。第1〜第4分岐管61a−61dは、前方から後方へ向かって順に配置されている。すなわち、第1分岐管61aは、第1〜第4分岐管61a−61dのなかで最も前方に位置している。第4分岐管61dは、第1〜第4分岐管61dのなかで最も後方に位置している。集合管61eは、エンジン3の側方において前後方向に延びるように配置されている。図2に示すように、側面視において、集合管61eの上面および下面は、概ね水平に配置されている。集合管61eの直径は、前後方向に亘って概ね一定である。側面視において、集合管61eの軸線AX1(図5参照)は、第1〜第4排気ポート35a−35dよりも下方に位置している。
【0023】
図5は、排気マニホールド61の側面図である。集合管61eは、複数の分岐管61a−61dからの排出ガスが集合されるように構成されている。具体的には、第1〜第4分岐管61dは、それぞれ集合管61eに接続されている。集合管61eは、複数の接続口61f−61iを有する。具体的には、接続口61f−61iは、第1〜第4接続口61f−61iを有する。第1〜第4接続口61f−61iは、前方から後方へ向かって順に配置されている。すなわち、第1接続口61fは、第1〜第4接続口61f−61iのなかで最も前方に位置している。第4接続口61iは、第1〜第4接続口61iのなかで最も後方に位置している。第1接続口61fは、第1分岐管61aに接続される。第2接続口61gは、第2分岐管61bに接続される。第3接続口61hは、第3分岐管61cに接続される。第4接続口61iは、第4分岐管61dに接続される。
【0024】
集合管61eは、第1センサポート61jを有する。第1センサポート61jは、第4接続口61iよりも下流に位置している。図2及び図4に示すように、第1センサポート61jには、第1酸素センサ15が取り付けられる。第1センサポート61jは、第4接続口61iに対向する範囲よりも下流に位置する。従って、第1酸素センサ15は、第4接続口61iに対向する範囲よりも下流に位置する。第1酸素センサ15は、排気通路4において後述する触媒部材64よりも上流に配置される。また、第1酸素センサ15は、第1排気管41において第1ジョイント部63よりも上流に位置する。第1酸素センサ15は、排気通路4を流れる排出ガス中の酸素濃度を検出する。
【0025】
図4に示すように、第1ジョイント部63は、排気マニホールド61と第1接続部62とを接続する。第1ジョイント部63は、排気マニホールド61の下流に配置されている。第1ジョイント部63は、排気マニホールド61の後方に配置されている。第1ジョイント部63は、可撓性を有する材料、たとえばゴムからなる。第1ジョイント部63は、円筒形状を有している。第1ジョイント部63の外径は、集合管61eの外径よりも大きい。排気マニホールド61の下流側端部は、第1ジョイント部63に挿入されている。これにより、排気マニホールド61は、第1ジョイント部63に接続されている。第1ジョイント部63は、本発明の一実施形態における「可撓管部」の一例である。
【0026】
第1接続部62は、第1ジョイント部63の下流に配置されている。第1接続部62は、第1ジョイント部63の後方に配置されている。第1接続部62は、触媒ユニット42に向かって湾曲するように構成されている。第1接続部62は、アルミニウムなどの金属で形成されている。第1接続部62の上流側端部は、第1ジョイント部63に挿入されている。これにより、第1接続部62は、第1ジョイント部63に接続されている。
【0027】
触媒ユニット42は、第1接続部62の下流に配置されている。触媒ユニット42は、第1排気管41に接続されている。触媒ユニット42は、シリンダヘッド35の後面に対向するように配置されている。
【0028】
図6は、エンジン3および排気通路4の一部を示す背面図である。図7は、触媒ユニット42の軸線を通る鉛直面での触媒ユニット42の断面図である。触媒ユニット42は、触媒部材64と触媒収容管65を含む。触媒収容管65は、触媒部材64を収容している。触媒収容管65は、アルミニウムなどの金属で形成されている。触媒収容管65は、本発明の「第2管体」と「管部」と「第1管部」との一例である。触媒部材64は、排気通路4中に配置されている。触媒部材64は、排出ガスに含まれる成分(たとえば、HC、CO、NOxなど)の反応を促進する。触媒部材64は、所定の温度(約300℃)以上の場合に、排出ガスに含まれる成分(たとえば、HC、CO、NOxなど)を効率良く反応させることが可能である。そこで、触媒部材64に到達する燃料ガスの温度が低下しないように、触媒部材64は、エンジン3の第1〜第4排気ポート35a−35d近傍に設けられている。
【0029】
具体的には、触媒ユニット42は、エンジン3のシリンダヘッド35の後面に対向するように配置されている。触媒ユニット42は、シリンダヘッド35の後方に配置されている。触媒ユニット42は、シリンダヘッド35の後面に対向する領域を幅方向に沿って延びるように配置されている。触媒ユニット42は、図3に示すように、第1〜第4排気ポート35a−35dと略同一の高さ位置に配置されている。また、図4に示すように、触媒ユニット42は、エンジン3のクランク軸31の上方に配置されている。触媒ユニット42は、クランク軸31を通る中心線C1と平面視において重なるように配置されている。具体的には、平面視において、触媒ユニット42の前部は、クランク軸31の後端部と重なっている。
【0030】
触媒収容管65は、エンジン3の後面に対向するように配置されている。触媒収容管65は、幅方向に延びるように構成されている。触媒収容管65は、第1触媒収容管66と第2触媒収容管67とを有する。第2触媒収容管67は、第1触媒収容管66と別体の部材である。第1触媒収容管66と第2触媒収容管67とは、触媒ユニット42の軸線方向に並んで配置されている。すなわち、第1触媒収容管66と第2触媒収容管67とは、幅方向に並んで配置されている。第1触媒収容管66は、第1接続部62と一体的に形成されている。第2触媒収容管67は、後述する第2排気管43の第2接続部75と一体的に形成されている。なお、第2触媒収容管67は、第2排気管43の第2接続部75と別体であってもよい。
【0031】
図7に示すように、触媒部材64は、フランジ部64aと触媒担体64bとを有している。触媒担体64bは、例えばハニカム構造を有する円筒形の部材であり、触媒が担持されている。触媒担体64bは、例えば、メタル製であるが、セラミック製であってもよい。フランジ部64aは、環状の形状を有している。フランジ部64aは、触媒担体64bの外周面に固定されている。フランジ部64aは、触媒担体64bの外周面から径方向における外方へ向かって突出するように構成されている。フランジ部64aが第1触媒収容管66と第2触媒収容管67との間に挟まれることにより、触媒部材64が触媒収容管65に保持される。フランジ部64aと第1触媒収容管66と第2触媒収容管67とは、ボルトなどの固定部材によって互いに固定される。
【0032】
触媒収容管65は、直線部70aと、拡径部65aと、収容部65bと、縮径部65cと、傾斜部70bと、を有する。直線部70aは、第1接続部62に接続されている。直線部70aの内面の底部は、水平に幅方向に延びるように構成されている。直線部70aの内面の上部は、水平に幅方向に延びるように構成されている。拡径部65aは、触媒部材64よりも上流に位置している。拡径部65aは、下流へ向かって徐々に大きくなる断面積を有する。拡径部65aの内面の底部65dは、水平に幅方向に延びるように構成されている。拡径部65aの内面の上部65eは、下流且つ上方へ向かって傾斜している。収容部65bは、拡径部65aと縮径部65cとの間に位置している。収容部65bは、触媒部材64を収容している。収容部65bの内面の底部65fは、水平に幅方向に延びるように構成されている。収容部65bの内面の底部65fは、拡径部65aの内面の底部65dよりも下方に位置している。触媒部材64は、収容部65bの内面に対して隙間を空けて配置されている。触媒担体64bの底部64cは、拡径部65aの内面の底部65dと概ね同じ高さに位置している。縮径部65cは、触媒部材64よりも下流に位置している。縮径部65cは、下流へ向かって徐々に小さくなる断面積を有する。縮径部65cの内面の底部65gは、水平に幅方向に延びるように構成されている。縮径部65cの内面の上部65hは、下流且つ下方へ向かって傾斜している。傾斜部70bは、後述する第2排気管43に接続される。傾斜部70bの内面の底部は、下流且つ下方へ向かって傾斜している。傾斜部70bの内面の上部は、下流且つ下方へ向かって傾斜している。第1排気管41と触媒ユニット42と第2排気管43との内面の底部は、下流へ向かって上昇する部分がないように構成されている。
【0033】
図4に示すように、触媒収容管65は、第2センサポート65jを有する。第2センサポート65jには、第2酸素センサ16が取り付けられる。第2センサポート65jは、触媒部材64よりも下流に位置している。従って、第2酸素センサ16は、触媒部材64よりも下流に配置される。また、第2酸素センサ16は、ウォーターロック44よりも上流に配置される。具体的には、第2センサポート65jは、縮径部65cに形成されている。従って、第2酸素センサ16は、排気通路4において、縮径部65cに配置されている。図8は、図7におけるVIII−VIII断面図である。図8に示すように、第2酸素センサ16は、触媒収容管65の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線C2より上方、且つ、前後方向における中心線C3よりもエンジン3に近い位置に配置される。
【0034】
図7に示すように、触媒収容管65には、ウォータージャケット部68bが形成されている。ウォータージャケット部68bは、触媒収容管65の外面と内面との間に配置されており、水が通過可能な流路を構成している。ウォータージャケット部68bは、排出ガスが流通することに起因して触媒ユニット42が高温になるのを抑制するように構成されている。また、第1排気管41には、ウォータージャケット部68aが形成されている。第1排気管41のウォータージャケット部68aは、上述したエンジン3の水流路35e(図3参照)に連通している。触媒ユニット42のウォータージャケット部68bは、第1排気管41のウォータージャケット部68aに連通している。ウォータージャケット部68bは、排出ガスが流通する触媒部材64の周囲を取り囲むように構成されている。水がウォータージャケット部68bを流れることにより、触媒ユニット42が冷却される。図9は、図6におけるIX−IX断面図である。図9に示すように、触媒部材64のフランジ部64aには、ウォータージャケット部68cが形成されている。フランジ部64aのウォータージャケット部68cは、触媒収容管65のウォータージャケット部68bに連通している。これにより、水が触媒担体64bには直接的に接触せずに、触媒部材64が冷却される。ただし、図9に示すように、フランジ部64aのうちシリンダヘッド35に対向する部分には、ウォータージャケット部68cが形成されていない。フランジ部64aのうちシリンダヘッド35に対向する部分には、凹部64dが形成されている。凹部64dは、フランジ部64aの内方へ向けて凹んだ形状を有する。すなわち、凹部64dは、シリンダヘッド35から離れるように凹んだ形状を有する。フランジ部64aのこのような形状により、フランジ部64aとシリンダヘッド35の間の隙間が拡大されている。
【0035】
図2,図4,図6に示すように、触媒ユニット42は、支持ブラケット71及びダンパー部72を介してエンジン3に支持されている。支持ブラケット71は、触媒ユニット42の下方に配置されている。支持ブラケット71は、エンジン3に固定されている。具体的には、支持ブラケット71は、エンジン3のクランクケース32とカバー部材40(フライホイールマグネットカバー)とに固定されている。カバー部材40は、クランクケース32の後部に取り付けられている。図9に示すように、カバー部材40の内部には、フライホイールマグネット29が配置されている。フライホイールマグネット29は、クランク軸31の後部に取り付けられている。フライホイールマグネット29は、クランク軸31の回転により発電する。なお、クランク軸31の前部には、カムチェーン30が巻回されている。カムチェーン30は、カムシャフトを介してクランク軸31の回転を吸気バルブ及び排気バルブに伝達する(図示せず)。
【0036】
ダンパー部72は、エンジン3からの振動を低減する。ダンパー部72は、ゴムなどの弾性部材からなる複数のダンパー72a−72dを有する。具体的には、ダンパー部72は、第1〜第4ダンパー72a−72dを有する。図4に示すように、第1ダンパー72aは、クランク軸31を通る中心線C1の左方に配置される。第2ダンパー72bは、クランク軸31を通る中心線C1の右方に配置される。第3ダンパー72cは、第1ダンパー72aの前方に配置される。第3ダンパー72cは、クランク軸31を通る中心線C1の左方に配置される。第4ダンパー72dは、第2ダンパー72bの前方に配置される。第4ダンパー72dは、クランク軸31を通る中心線C1の右方に配置される。
【0037】
触媒ユニット42は、第1〜第4ダンパー72a−72dを介して、支持ブラケット71に取り付けられている。触媒ユニット42の触媒収容管65は、触媒収容管65を支持ブラケット71に取り付けるための第1〜第4取付部69a〜69dを有する。第1〜第4取付部69a〜69dは、それぞれ板状の形状を有する。第1〜第4取付部69a〜69dは、それぞれ第1〜第4ダンパー72a−72dに対応して配置されている。図10は、触媒ユニット42の平面図である。図10に示すように、第1〜第4取付部69a〜69dには、上下方向に貫通する第1〜第4取付穴69e−69hが形成されている。図11は、支持ブラケット71の斜視図である。図11に示すように、支持ブラケット71は、第1〜第4支持部71a−71dを有する。第1〜第4支持部71a−71dは、第1〜第4ダンパー72a−72dに対応して配置されている。第1〜第4支持部71a−71dには、後述するボルトが通される孔71e−71hが形成されている。第1〜第4支持部71a−71dの上面は平坦な形状を有しており、第1〜第4ダンパー72a−72dを支持する。
【0038】
図12は、第1ダンパー72aを介した触媒ユニット42と支持ブラケット71との取付構造を示す拡大断面図である。第1ダンパー72aは、第1取付部69aの第1取付穴71aにはめ込まれる。第1ダンパー72aは、円筒形状を有している。第1ダンパー72aの外周面には、環状の溝部72eが形成されている。溝部72eは、第1取付穴71aの縁部と噛み合っている。第1ダンパー72aには、貫通孔72fが形成されている。貫通孔72fには、金属製のカラー72gが嵌め込まれている。ボルト89がワッシャー72hとカラー72gに挿入されるとともに、第1支持部71aの孔71eに螺合している。第2〜第4ダンパー72b−72dを介した触媒ユニット42と支持ブラケット71との取付構造も、それぞれ第1ダンパー72aを介した取付構造と同様である。これによって、触媒ユニット42は、第1〜第4ダンパー72a−72dを介して支持ブラケット71に取り付けられている。
【0039】
図2及び図6に示されているように、ダンパー部72による触媒ユニット42の支持方向は、上下方向である。これに対して、触媒ユニット42において、排出ガスの通過方向は水平方向である。具体的には、触媒ユニット42において、排出ガスの通過方向は幅方向である。従って、ダンパー部72による触媒ユニット42の支持方向は、触媒ユニット42における排出ガスの通過方向に対して垂直である。
【0040】
図6及び図10に示すように、触媒ユニット42の触媒収容管65の外面は、第1〜第4凹部73a−73dを含む。第1〜第4凹部73a−73dは、それぞれ第1〜第4取付部69a−69dの上方に位置する。すなわち、第1〜第4凹部73a−73dは、それぞれ第1〜第4取付孔69e−69hの上方に位置する。第1〜第4凹部73a−73dは、触媒収容管65の外面から触媒収容管65の内方へ向けて凹んだ形状を有する。第1〜第4凹部73a−73dは、それぞれ、第1〜第4取付部69a−69dから上方へ延びるように構成されている。また、図10に示すように、触媒収容管65の内面は、第1〜第4湾曲部73e−73hを有する。第1〜第4湾曲部73e−73hは、それぞれ第1〜第4凹部73a−73dの裏側に位置している。第1〜第4湾曲部73e−73hは、触媒収容管65の内方へ向かって突出するように湾曲した形状を有する。第1湾曲部73e及び第3湾曲部73gは、触媒部材64よりも上流に位置している。第2湾曲部73f及び第4湾曲部73hは、触媒部材64よりも下流に位置している。触媒部材64は、幅方向すなわち排出ガスの通過方向において第1湾曲部73eと第2湾曲部73fとの間に位置している。触媒部材64は、幅方向すなわち排出ガスの通過方向において第3湾曲部73gと第4湾曲部73hとの間に位置している。
【0041】
図4に示すように、支持ブラケット71は、カップリング部33の上方に位置する部分が凹んだ形状を有する。具体的には、支持ブラケット71の後部には、凹部71iが形成されている。凹部71iは、支持ブラケット71の後部からエンジン3へ向けて凹んだ形状を有する。図11に示すように、凹部71iは、第1支持部71aと第2支持部71bとの間に位置している。図13に示すように、エンジン3の後方且つ上方の位置から、或いは、エンジン3の後方からエンジン3を見たときに、支持ブラケット71の下方の位置を容易に視認することができる。
【0042】
図4に示すように、第2排気管43は、触媒ユニット42の下流に配置されている。第2排気管43は、エンジン3から排出される排出ガスを案内する。第2排気管43は、触媒ユニット42とウォーターロック44とを連結する。すなわち、第2排気管43は、触媒収容管65よりも下流、且つ、ウォーターロック44よりも上流に位置している。第2排気管43は、本発明の一実施形態における「第2排気管」及び「第2管部」の一例である。第2排気管43は、前後方向に延びるように配置されている。従って、上述した触媒収容管65の軸線は、第2排気管43の軸線に対して平行ではない。第2排気管43は、第2接続部75と接続管76とを含む。図7に示すように、第2接続部75は、接続管76へ向かって湾曲し、前後方向に延びるように構成されている。第2接続部75は、アルミニウムなどの金属で形成されている。第2接続部75には、ウォータージャケット部68dが形成されている。第2接続部75のウォータージャケット部68dは、触媒収容管65のウォータージャケット部68bに連通している。第2接続部75の下流側端部は、接続管76に接続されている。接続管76は、第2接続部75とウォーターロック44とを接続する。
【0043】
図14は、図4におけるXIV−XIV断面の一部を示す図である。図14に示すように、接続管76は、テールパイプ77と、内管78と、第2ジョイント部79とを有する。テールパイプ77は、第2接続部75の下流側端部に連結される。テールパイプ77は、アルミニウムなどの金属で形成されている。テールパイプ77は、ボルトなどの固定部材によって第2接続部75に固定されている。テールパイプ77は、前後方向に延びるように配置されている。テールパイプ77には、ウォータージャケット部68eが形成されている。テールパイプ77のウォータージャケット部68eは、第2接続部75のウォータージャケット部68dに連通している。
【0044】
第2ジョイント部79は、テールパイプ77の外周面の下流側端部からウォーターロック44に向って延びるように構成されている。第2ジョイント部79は、可撓性を有する材料、たとえばゴムからなり、円筒形状を有している。テールパイプ77の下流側端部が第2ジョイント部79に挿入されている。これによって、第2ジョイント部79は、テールパイプ77に接続されている。
【0045】
内管78は、第2ジョイント部79の内部に配置されている。内管78は、第2ジョイント部79の内周面の下流側端部からウォーターロック44の内部に延びるように配置されている。内管78は、例えば、アルミ二ウムなどの金属製の円筒状パイプからなる。内管78の先端部(下流側端部)には、先端側に行くほど直径が徐々に大きくなる広角部78aが形成されている。広角部78aは、滑らかに湾曲したベルマウス状の形状を有する。内管78の上流側端部は、テールパイプ77の下流側部分の内面に螺合している。これにより、内管78がテールパイプ77に固定されている。内管78の下流側端部は、ウォーターロック44の内部に位置している。
【0046】
内管78の外径は、第2ジョイント部79の内径よりも小さい。このため、内管78の外周面と第2ジョイント部79の内周面との間には、冷却水通路79aが形成されている。冷却水通路79aは、テールパイプ77のウォータージャケット部68eに連通している。また、冷却水通路79aは、ウォーターロック44の内部空間に連通している。従って、冷却水は、ウォーターロック44において排出ガスに混ぜられる。
【0047】
図7及び図14に示すように、第2排気管43の内面の底部は、下流に向かって上方に傾斜する部分がないように構成されている。より具体的には、接続管76の内面の底部は、水平にウォーターロック44に向かって延びるように構成されている。
【0048】
ウォーターロック44は、長手方向が前後方向に延びるように配置されている。従って、上述した触媒収容管65の軸線は、ウォーターロック44の軸線に対して平行ではない。ウォーターロック44は、第2排気管43の下流側端部に接続されている。従って、ウォーターロック44は、排気通路4において触媒部材64よりも下流に配置されている。ウォーターロック44は、排気管45(図1参照)に接続されている。排気管45の先端は、船体2の外部に配置されており、排出ガスは、排気管45から船体2の外部に放出される。すなわち、排出ガスは、排気管45から水中に放出される。ウォーターロック44は、排気管45から浸入する水がエンジン3側に向かって流入するのを抑制するように構成されている。ウォーターロック44は、船体2に固定されている。図2に示すように、ウォーターロック44の下部は、触媒ユニット42の下部よりも下方に配置されている。また、図6に示すように、ウォーターロック44の幅方向の寸法L1は、ウォーターロック44の上下方向の寸法L2よりも小さい。
【0049】
図14に示すように、ウォーターロック44は、密閉されたタンク状に形成されている。ウォーターロック44の上流側端部には、円筒状の接続部44aが設けられている。接続部44aは、第2ジョイント部79に挿入されている。これにより、第2ジョイント部79の下流側端部は、接続部44aに接続されている。ウォーターロック44の内部は、パーテーション81によって、上流側部分と下流側部分とに区画されている。パーテーション81は、板部材で構成されている。パーテーション81は、下流側へ向けて突出するように湾曲した曲面形状を有する。ウォーターロック44の内部には、一対のパーテーションパイプ82,83が配置されている。パーテーションパイプ82,83は、上下に間隔を開けて配置されている。パーテーションパイプ82,83は、パーテーション81を貫通している。パーテーション81の下部には、水抜き孔81aが形成されている。ウォーターロック44の内部の上流側部分に溜まった冷却水は、水抜き孔81aを通って下流側部分に流れる。ウォーターロック44の上面には取付穴44bが形成されている。排気管45の上流側端部は、取付穴44bを通って、ウォーターロック44の下流側部分に挿入されている。排気管45の上流側端部は、ウォーターロック44の底部近傍まで延びている。
【0050】
図15は、水ジェット推進艇1が備える冷却水経路90を示す模式図である。冷却水経路90は、上述したシリンダヘッド35の水流路35eと、第1排気管41のウォータージャケット部68aと、触媒収容管65のウォータージャケット部68bと、触媒部材64のウォータージャケット部68c(図9参照)と、第2接続部75のウォータージャケット部68dと、テールパイプ77のウォータージャケット部68eと、第2ジョイント部79内の冷却水通路79aとを含む。
【0051】
ジェットポンプ91から吐出された冷却水は、第2接続部75のウォータージャケット部68dに送られる。冷却水は、第2接続部75のウォータージャケット部68dと、触媒収容管65のウォータージャケット部68bと、第1排気管41のウォータージャケット部68aとを順に流れる。冷却水は、第1排気管41のウォータージャケット部68aからシリンダヘッド35の水流路35eに流れる。また、第1排気管41のウォータージャケット部68aにおいて、冷却水の一部は、蓄電制御装置39へ流れる。冷却水は、蓄電制御装置39からクランクケース32の水流路32aを通り、シリンダヘッド35の水流路35eへ流れる。冷却水は、シリンダヘッド35の水流路35eからサーモスタット92を通り、水排出口(図示せず)へ流れる。冷却水は、水排出口から水中へ排出される。なお、サーモスタット92は、冷却水の温度が所定温度以上であるときに流路を開き、冷却水の温度が所定温度より低いときには流路を閉じる。これにより、サーモスタット92は、冷却水の温度制御を行う。
【0052】
また、触媒収容管65のウォータージャケット部68bにおいて、冷却水の一部は、テールパイプ77のウォータージャケット部68eに送られ、第2ジョイント部79内の冷却水通路79aを通ってウォーターロック44へ送られる。また、ジェットポンプ91から吐出された冷却水の一部は、オイルクーラ37に送られる。さらに、クランクケース32の水流路32aにおいて、冷却水の一部は、オイルクーラ37に送られる。冷却水は、オイルクーラ37からパイロットウォーター排出口(図示せず)へ流れる。冷却水は、パイロットウォーター排出口から水ジェット推進艇1の外部へ排出される。
【0053】
本実施形態に係る水ジェット推進艇1は、以下の特徴を有する。
【0054】
第1排気管41は、触媒ユニット42に結合されており、触媒ユニット42は、エンジン3の後面に対向するように配置されている。これにより、エンジン3の第1〜第4排気ポート35a−35dから触媒ユニット42までの排気通路4の経路長が短縮されている。その結果、高温の排出ガスを触媒ユニット42に導くことができるので、エンジン3の始動後に、速やかに触媒ユニット42を活性化させることができる。これにより、排出ガス中に含まれる有害成分(たとえば、HC、CO、NOxなど)を、触媒ユニット42で充分に反応させて、効率的に浄化することがきる。
【0055】
排気通路4において、第1酸素センサ15が触媒部材64よりも上流に配置される。また、第2酸素センサ16が触媒部材64よりも下流に配置される。このため、第1酸素センサ15の検出結果と第2酸素センサ16の検出結果とを比較することにより、触媒が有効に機能しているか否かを監視することができる。また、第2酸素センサ16は、ウォーターロック44よりも上流に配置される。このため、排気通路4を逆流してきた水によって、第2酸素センサ16が被水することを防止することができる。これにより、第1酸素センサ15と第2酸素センサ16とによる監視の信頼性を向上させることができる。
【0056】
第2酸素センサ16は、触媒収容管65の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線C2より上方、且つ、前後方向における中心線C3よりもエンジン3に近い位置に配置されている。このため、第2酸素センサ16は、触媒収容管65からエンジン3へ向かって突出するように配置されている。これにより、第2酸素センサ16を触媒収容管65とエンジン3との間にコンパクトに配置することができる。
【0057】
第2酸素センサ16が取り付けられている触媒収容管65は、ウォーターロック44の軸線及び第2排気管43に対して平行ではない。このため、排気管45から水が逆流しても、水が触媒収容管65まで到達し難い。これにより、第2酸素センサ16の被水を抑えることができる。
【0058】
第2酸素センサ16は、触媒収容管65の縮径部65cに配置されている。このため、第2酸素センサ16は、縮径部65cにおいて撹拌された排出ガスに対して酸素濃度の検出を行うことができる。これにより、第2酸素センサ16による酸素濃度の検出の精度を向上させることができる。
【0059】
第1酸素センサ15は、集合管61eに取り付けられており、第4接続口61iよりも下流に位置している。第4接続口61iは、第1〜第4接続口61f−61iのうちで最も下流に位置しているので、第1酸素センサ15は、第1〜第4接続口61f−61iを通り集合管61eにおいて集合した排出ガスに対して、酸素濃度の検出を行うことができる。このため、第1〜第4接続口61f−61iのそれぞれを通る排出ガスの酸素濃度にバラツキがあっても、精度よく酸素濃度を検出することができる。
【0060】
第1酸素センサ15は、第1排気管41において第1ジョイント部63よりも上流に位置する。従って、第1酸素センサ15は、排気通路4においてエンジン3から第1酸素センサ15までの経路長が短い。このため、高温の排出ガスによって第1酸素センサ15を高温に保つことができ、第1酸素センサ15を良好に活性化させることができる。
【0061】
また、排気マニホールド61は、エンジン3に直接的に固定されている。これに対して、第1接続部62は、第1ジョイント部63よりも下流に位置している。また、エンジン3と第1接続部62との間には、第1ジョイント部63が配置されている。このため、エンジン3の熱は、第1接続部62まで伝わり難い。特に、第1ジョイント部63がゴム製である場合には、第1ジョイント部63の伝熱性が低いため、エンジン3の熱は、さらに第1接続部62まで伝わりにくい。このため、排気マニホールド61は、第1接続部62よりも高温になる。従って、第1酸素センサ15が排気マニホールド61に取り付けられることにより、第1酸素センサ15を良好に活性化させることができる。
【0062】
第1排気管41と触媒収容管65と第2排気管43との内面の底部は、下流へ向かって上昇する部分を有さない。このため、第1排気管41と触媒収容管65と第2排気管43とにおいて凝縮水が発生したとしても、凝縮水がエンジン3へ向かって流れることを防止することができる。
【0063】
第1排気管41のウォータージャケット部68aは、冷却水経路90において、触媒収容管65のウォータージャケット部68bよりも下流に位置している。従って、第1排気管41の排気マニホールド61には、触媒ユニット42を通過した後の温度の低すぎない冷却水が流れる。このため、排気マニホールド61での結露の発生が抑えられる。これにより、第1酸素センサ15の被水が防止される。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0065】
上記の実施形態では、触媒ユニット42がエンジン3の後面に対向するように配置されているが、触媒ユニット42の配置はこの位置に限られない。例えば、図16に示すように、触媒ユニット42がエンジン3の前面に対向するように配置されてもよい。或いは、触媒ユニット42がエンジン3の側面に対向するように配置されてもよい。ダンパーの数は上記の実施形態のように4つに限らず、4つより少ない、或いは、4つより多くてもよい。排気ポートの数は上記の実施形態のように4つに限らず、4つより少ない、或いは、4つより多くてもよい。
【0066】
冷却水経路は上記の実施形態の構成に限られない。例えば、水ジェット推進艇は、図17に示すような冷却水経路95を備えてもよい。ジェットポンプ91から吐出された冷却水は、シリンダヘッド35の水流路35eに送られる。冷却水は、シリンダヘッド35の水流路35eから、第1排気管41のウォータージャケット部68aと、触媒収容管65のウォータージャケット部68bと、第2接続部75のウォータージャケット部68dとを順に流れる。冷却水は、第2接続部75のウォータージャケット部68dから水排出口(図示せず)へ流れる。冷却水は、水排出口から水中へ排出される。また、シリンダヘッド35の水流路35eにおいて、冷却水の一部は、クランクケース32の水流路32aを通り、蓄電制御装置39へ流れる。冷却水は、蓄電制御装置39からサーモスタット92を通り第1排気管41のウォータージャケット部68aに流れる。また、第1排気管41のウォータージャケット部68aの冷却水の一部および触媒収容管65のウォータージャケット部68bの冷却水の一部が合流して、テールパイプ77のウォータージャケット部68eに送られる。冷却水は、テールパイプ77のウォータージャケット部68eから第2ジョイント部79内の冷却水通路79aを通ってウォーターロック44へ送られる。ジェットポンプ91から吐出された冷却水の一部は、オイルクーラ37に送られる。また、クランクケース32の水流路32aにおいて、冷却水の一部は、オイルクーラ37に送られる。冷却水は、オイルクーラ37からパイロットウォーター排出口(図示せず)へ流れる。冷却水は、パイロットウォーター排出口から水ジェット推進艇1の外部へ排出される。この冷却水経路95では、第1排気管41のウォータージャケット部68aは、シリンダヘッド35の水流路35eよりも下流に位置している。従って、排気マニホールド61には、シリンダヘッド35を通過した後の温度の低すぎない冷却水が流れる。このため、排気マニホールド61での結露の発生が抑えられる。これにより、第1酸素センサ15の被水が防止される。
【0067】
第2酸素センサ16は、排気通路4において触媒収容管65の縮径部65cよりも下流に配置されてもよい。例えば、第2酸素センサ16が触媒収容管65の傾斜部70bに配置されてもよい。
【0068】
触媒収容管65がエンジン3の側方に配置されてもよい。この場合、図18に示すように、第2酸素センサ16は、触媒収容管65の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線C4より上方、且つ、左右方向における中心線C5よりもエンジン3に近い位置に配置されることが好ましい。
【0069】
第2酸素センサ16と同様に、第1酸素センサ15は、第1排気管41の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線より上方、且つ、左右方向における中心線よりもエンジン3に近い位置に配置されてもよい。また、第1排気管41がエンジン3の前面又は後面に対向するように配置されてもよい。この場合、第1酸素センサ15は、排気マニホールド61の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線より上方、且つ、前後方向における中心線よりもエンジン3に近い位置に配置されてもよい。
【0070】
第1酸素センサ15は、第4接続口61iに対向する範囲に位置してもよい。或いは、第1酸素センサ15は、第1〜第3接続口61f−61hのいずれかに対向する範囲に位置してもよい。或いは、第1酸素センサ15は、第1〜第4分岐管61a−61dのいずれかに配置されてもよい。
【0071】
上記の実施形態では、第1〜第4分岐管61a−61dは、第1〜第4排気ポート35a−35dから側方且つ下方に向かって延びるように構成されている。しかし、分岐管は、排気ポートから水平方向に延びるように構成されてもよい。
【0072】
ウォーターロックの形状は上記の実施形態のような形状に限られない。例えば、図19に示すように、円筒形状のウォーターロック84が備えられてもよい。ただし、上記の実施形態のようにウォーターロック44の幅方向の寸法L1が上下方向の寸法L2より小さい場合、同じ容積の円筒形状のウォーターロック84と比べて、幅方向の寸法L1を小さくすることができる。図20(a)は、円筒形状のウォーターロック84を備える水ジェット推進艇10の平面図である。図20(b)は、上記の実施形態と同様のウォーターロック44を備える水ジェット推進艇1の平面図である。図20に示すように、上記の実施形態におけるウォーターロック44のエンジン3からの幅方向への突出距離D2は、円筒形状のウォーターロック44のエンジン3からの幅方向への突出距離D1よりも小さい。このように、上記の実施形態におけるウォーターロック44によって、排気系統の配置スペースを幅方向に小型化することができる。
【0073】
上記の実施形態の水ジェット推進艇1は、パーソナルウォータークラフトであるが、水ジェット推進艇はスポーツボートであってもよい。例えば、図21に示す水ジェット推進艇11は、スポーツボートであり、複数の駆動装置12a,12bを備える。各駆動装置12a,12bは、上述した実施形態と同様のエンジン3と排気通路4とジェット推進ユニット5とを備えている。
【0074】
上記の実施形態においてエンジン3は自然吸気型のエンジンであるが、図22に示す水ジェット推進艇13のように、エンジン3に過給器85が備えられてもよい。図22は、水ジェット推進艇13の船体内の平面図である。図23は、水ジェット推進艇13のエンジン3及び排気通路4の一部を示す平面図である。図24は、エンジン3の右側面図である。図25は、図23におけるXXV−XXV断面図である。図23に示すように、エンジン3の前方には、過給器85が配置されている。従って、エンジン3は、過給器85と触媒ユニット42との間に配置されている。過給器85は、エンジン3に供給する空気を圧縮する。図25に示すように、クランク軸31の前部に接続されたギア機構86を介して、クランク軸31の回転が過給器85に伝達される。これにより、過給器85が駆動される。また、図24に示すように、エンジン3の右前方には、エアクーラ87が配置されている。エアクーラ87は、第1吸気管88aを介して過給器85に接続されている、エアクーラ87は、過給器85によって圧縮された空気を冷却する。また、エアクーラ87は、第2吸気管88bを介してスロットルボディ26に接続されている。スロットルボディ26は、吸気マニホールド23の下方に配置されており、吸気マニホールド23に接続されている。なお、吸気マニホールド23とスロットルボディ26との間には、フレームアレスタ27が配置されている。他の構成については、上述した実施形態の水ジェット推進艇1と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、触媒が有効に機能していることを監視することができる水ジェット推進艇を提供することができる。
【符号の説明】
【0076】
2 船体
3 エンジン
4 排気通路
5 ジェット推進ユニット
15 第1酸素センサ
16 第2酸素センサ
41 第1排気管(第1管体、第1排気管)
42 触媒ユニット
43 第2排気管(第2排気管、第2管部)
44 ウォーターロック
35a−35d 排気ポート
61 排気マニホールド
61a−61d 分岐管
61e 集合管
61f−61i 接続口
63 第1ジョイント部(可撓管部)
64 触媒部材
65 触媒収容管(第2管体、管部、第1管部)
65c 縮径部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
前記船体に収容されるエンジンと、
前記エンジンにより駆動され、前記船体のまわりの水を吸い込んで噴射するジェット推進ユニットと、
前記エンジンから前記船体の外部へ排出ガスを導く排気通路と、
前記排気通路中に配置される触媒部材と、
前記排気通路において前記触媒部材よりも下流に配置されるウォーターロックと、
前記排気通路において前記触媒部材よりも上流に配置される第1酸素センサと、
前記排気通路において前記触媒部材よりも下流、且つ、前記ウォーターロックよりも上流に配置される第2酸素センサと、
を備える水ジェット推進艇。
【請求項2】
前記排気通路は、前記エンジンの側面に対向するように配置されており前後方向に延びるように構成された第1管体を含み、
前記第1酸素センサ又は前記第2酸素センサは、前記第1管体の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線より上方、且つ、前記左右方向における中心線よりも前記エンジンに近い位置に配置される、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項3】
前記排気通路は、前記エンジンの前面又は後面に対向するように配置されており左右方向に延びるように構成された第2管体を含み、
前記第1酸素センサ又は前記第2酸素センサは、前記第2管体の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線より上方、且つ、前記前後方向における中心線よりも前記エンジンに近い位置に配置される、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項4】
前記排気通路は、前記第2酸素センサが取り付けられる管部を含み、
前記管部の軸線は、前記ウォーターロックの軸線に対して平行ではない、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項5】
前記排気通路は、前記第2酸素センサが取り付けられる第1管部と、前記第1管部よりも下流、且つ、前記ウォーターロックよりも上流に位置する第2管部とを含み、
前記第1管部の軸線は、前記第2管部の軸線に対して平行ではない、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項6】
前記排気通路は、前記触媒部材よりも下流に位置しており下流へ向かって徐々に小さくなる断面積を有する縮径部を含み、
前記第2酸素センサは、前記縮径部、又は、前記排気通路において前記縮径部よりも下流に配置される、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項7】
前記エンジンは、複数の排気ポートを含み、
前記排気通路は、前記エンジンに接続される排気マニホールドを含み、
前記排気マニホールドは、複数の前記排気ポートのそれぞれに接続される複数の分岐管と、複数の前記分岐管に接続される集合管とを含み、
前記分岐管は、前記排気ポートから水平方向又は下方に向かって延びるように構成されている、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項8】
前記エンジンは、複数の排気ポートを含み、
前記排気通路は、前記エンジンに接続される排気マニホールドを含み、
前記排気マニホールドは、複数の前記排気ポートのそれぞれに接続される複数の分岐管と、複数の前記分岐管に接続される複数の接続口を有する集合管とを含み、
前記分岐管は、前記排気ポートから側方へ延びるように構成されており、
前記集合管は、前記エンジンの側方において前後方向に延びるように構成されており、
前記第1酸素センサは、前記集合管に取り付けられており、複数の前記接続口のうち最も下流に位置する接続口に対向する範囲、又は、前記範囲よりも下流に位置する、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項9】
前記排気通路は、前記触媒部材を含む触媒ユニットと、前記エンジンと前記触媒ユニットとを連結する第1排気管とを含み、
前記第1排気管は、可撓性を有する可撓管部を含み、
前記第1酸素センサは、前記第1排気管において前記可撓管部よりも上流に位置する、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項10】
前記排気通路は、前記エンジンに接続される第1排気管と、前記第1排気管に接続されており前記触媒部材を含む触媒ユニットと、前記触媒ユニットと前記ウォーターロックとを連結する第2排気管とを含み、
前記第1排気管と前記触媒ユニットと前記第2排気管との内面の底部は、下流へ向かって上昇する部分を有さない、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項1】
船体と、
前記船体に収容されるエンジンと、
前記エンジンにより駆動され、前記船体のまわりの水を吸い込んで噴射するジェット推進ユニットと、
前記エンジンから前記船体の外部へ排出ガスを導く排気通路と、
前記排気通路中に配置される触媒部材と、
前記排気通路において前記触媒部材よりも下流に配置されるウォーターロックと、
前記排気通路において前記触媒部材よりも上流に配置される第1酸素センサと、
前記排気通路において前記触媒部材よりも下流、且つ、前記ウォーターロックよりも上流に配置される第2酸素センサと、
を備える水ジェット推進艇。
【請求項2】
前記排気通路は、前記エンジンの側面に対向するように配置されており前後方向に延びるように構成された第1管体を含み、
前記第1酸素センサ又は前記第2酸素センサは、前記第1管体の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線より上方、且つ、前記左右方向における中心線よりも前記エンジンに近い位置に配置される、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項3】
前記排気通路は、前記エンジンの前面又は後面に対向するように配置されており左右方向に延びるように構成された第2管体を含み、
前記第1酸素センサ又は前記第2酸素センサは、前記第2管体の軸線に垂直な断面において、上下方向における中心線より上方、且つ、前記前後方向における中心線よりも前記エンジンに近い位置に配置される、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項4】
前記排気通路は、前記第2酸素センサが取り付けられる管部を含み、
前記管部の軸線は、前記ウォーターロックの軸線に対して平行ではない、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項5】
前記排気通路は、前記第2酸素センサが取り付けられる第1管部と、前記第1管部よりも下流、且つ、前記ウォーターロックよりも上流に位置する第2管部とを含み、
前記第1管部の軸線は、前記第2管部の軸線に対して平行ではない、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項6】
前記排気通路は、前記触媒部材よりも下流に位置しており下流へ向かって徐々に小さくなる断面積を有する縮径部を含み、
前記第2酸素センサは、前記縮径部、又は、前記排気通路において前記縮径部よりも下流に配置される、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項7】
前記エンジンは、複数の排気ポートを含み、
前記排気通路は、前記エンジンに接続される排気マニホールドを含み、
前記排気マニホールドは、複数の前記排気ポートのそれぞれに接続される複数の分岐管と、複数の前記分岐管に接続される集合管とを含み、
前記分岐管は、前記排気ポートから水平方向又は下方に向かって延びるように構成されている、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項8】
前記エンジンは、複数の排気ポートを含み、
前記排気通路は、前記エンジンに接続される排気マニホールドを含み、
前記排気マニホールドは、複数の前記排気ポートのそれぞれに接続される複数の分岐管と、複数の前記分岐管に接続される複数の接続口を有する集合管とを含み、
前記分岐管は、前記排気ポートから側方へ延びるように構成されており、
前記集合管は、前記エンジンの側方において前後方向に延びるように構成されており、
前記第1酸素センサは、前記集合管に取り付けられており、複数の前記接続口のうち最も下流に位置する接続口に対向する範囲、又は、前記範囲よりも下流に位置する、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項9】
前記排気通路は、前記触媒部材を含む触媒ユニットと、前記エンジンと前記触媒ユニットとを連結する第1排気管とを含み、
前記第1排気管は、可撓性を有する可撓管部を含み、
前記第1酸素センサは、前記第1排気管において前記可撓管部よりも上流に位置する、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【請求項10】
前記排気通路は、前記エンジンに接続される第1排気管と、前記第1排気管に接続されており前記触媒部材を含む触媒ユニットと、前記触媒ユニットと前記ウォーターロックとを連結する第2排気管とを含み、
前記第1排気管と前記触媒ユニットと前記第2排気管との内面の底部は、下流へ向かって上昇する部分を有さない、
請求項1に記載の水ジェット推進艇。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2013−14278(P2013−14278A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149722(P2011−149722)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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