説明

水中コンクリート柱の補強方法

【課題】 従来のように河川の流れを大きく妨げるような締切工事を施す必要が無く、僅かに水中コンクリート柱の周囲に外枠を配設し、その外枠の内側における間隙の空気を抜く、という極めて限られた作業領域において施工のできる水中コンクリート柱の補強方法を提供しようとするものである。
【解決手段】 水中コンクリート柱の外周に繊維シートを巻付る工程と、その周囲に間隙が残る状態、しかも繊維シートと河川の水を遮るように外枠を配設する工程と、外枠内の下部における排出部から外枠内の空気をポンプで吸引排出すると共に、排出部から離れた位置に空気供給部を設けて、そこから繊維シートにおける周囲の間隙を利用し、柱の外周に巻付けた繊維シートの周面に沿わせて下部排出部に向けて空気を供給することにより水中コンクリート柱の外周に巻かれた繊維シート乾燥させる工程と、上記柱の外周に巻付けられた繊維シートに硬化性樹脂を被せる工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は河川内において樹立状に設けられているコンクリート柱に関し、例えば橋における橋脚であって、河川内に設けられているコンクリート柱の補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の河川内にある水中コンクリート橋脚の補強方法、例えば特許文献1の図1に示される水中コンクリート柱で構成される橋脚の補強方法にあっては、
まず、水中コンクリート柱の外周面を囲むように、鉄板を用いて補強鉄板層を形成し、この補強鉄板層の外周面に、高強度の連続繊維シートでなる繊維補強層を形成した後、その外周面に樹脂保護層を形成していた。
この方法によれば、連続繊維シートにて形成した繊維補強層によって水中コンクリート柱は高強度に補強される。(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載の方法を実施するためには、まず、補強する水中コンクリート柱の周囲に、作業者や作業用の機械が入れる大掛かりな締切工事を施工したのち、この締切工区内に作業者が入って補強鉄板層の施工や、連続繊維シートを用いての繊維補強層作業を行わなければならない。
従って、大掛かりな締切工事を施すと、川の流れが大きく制限され、他への悪影響が生じる問題点があった。また川の流れを制限する工事であるがため、工期は長くなり、施工コストは高くつくといった問題点があった。
【0003】
【特許文献1】特開2003−96715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、出願人会社は、次の補強方法を考えた。
水中コンクリート柱の外周に、水中作業により繊維シ一トを巻き付けて繊維補強層を形成し、次いで、形成した繊維補強層の外周を、型枠を兼ねる外枠で囲み、脱水乾燥後、硬化性樹脂を注入して含浸、硬化させる補強方法である。
【0005】
しかし、この水中コンクリート柱の補強方法では、外枠内の繊維シートを完全乾燥させることが困難で、繊維シートが多量の水分を含んだまま、次段の硬化性樹脂を注入する作業を施してみても、硬化性樹脂の硬化は不十分で、繊維補強層の強化を期待することは困難になる。
【0006】
そこで本件出願の目的は、従来のように河川の流れを大きく妨げるような締切工事を施す必要が無く、僅かに水中コンクリート柱の周囲に外枠を配設し、その外枠の内側における間隙の空気を抜く、という極めて限られた作業領域において施工のできる水中コンクリート柱の補強方法を提供しようとするものである。
他の目的は、水中コンクリート柱の周囲にまかれた繊維シートを乾燥させる手段として、その周囲に外枠を配置し、外枠内の空気を抜くという極めて簡易な手段でもって、水中コンクリート柱の周囲にまかれた繊維シートを乾燥させることのできる水中コンクリート柱の補強方法を提供しようとするものである。
他の目的は、水中コンクリート柱の外周に配設する外枠を、複数の包囲枠要素を連結して構成する場合、複数の包囲枠要素相互間に介設するパッキングが簡易な構成でもって止水効果が高くなるようにしたパッキングを提供しようとするものである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明における水中コンクリート柱の補強方法は、水中コンクリート柱1の外周に繊維シート6を巻付る工程と、上記巻付けた繊維シート6の周囲に間隙Gが残る状態で外枠10を配設し、しかも外枠10の配設状態は、繊維シートと河川の水を遮るように配設する工程と、上記外枠内の下部における排出部から、外枠内の空気をポンプで吸引排出すると共に、上記排出部から離れた位置に空気供給部を設けて、空気供給部から上記繊維シート6における周囲の間隙Gを利用し、上記柱1の外周に巻付けた繊維シート6の周面に沿わせて上記外枠内の下部排出部に向けて空気を供給することにより水中コンクリート柱1の外周に巻かれた繊維シート6を乾燥させる工程と、上記柱1の外周に巻付けられた繊維シートに硬化性樹脂を被せる工程とを含むものである。
【0008】
また好ましくは、水中コンクリート柱1の外周に繊維シート6を巻付る工程と、上記巻付けた繊維シート6の周囲に間隙Gが残る状態で外枠10を配設し、しかも外枠10の配設状態は、繊維シートと河川の水を遮るように配設する工程と、上記外枠内にあって、外枠内の下部を含む複数個所に排出部を設け、それらの排出部から、外枠内の空気をポンプで吸引排出すると共に、上記夫々の排出部から離れた複数個所に空気供給部を設け、それら複数個所の空気供給部から上記繊維シート6における周囲の間隙Gを利用し、夫々上記外枠内の夫々の排出部に向かう特有の経路中に存在する柱1の外周に巻付けられた繊維シート6の周面に沿わせて上記外枠内の複数の排出部に向けて空気を供給することにより水中コンクリート柱1の外周に巻かれた繊維シート6を乾燥させる工程と、上記巻付けられた繊維シートに硬化性樹脂を被せる工程とを含むものであればよい。
【0009】
また好ましくは、上記複数の包囲枠要素の連結部相互間に介在させる防水用のパッキングは、弾力性のあるゴム材で板状に形成してあるものを、包囲枠要素の連結部相互間の対向面に板状パッキングの板面が夫々沿う状態で介在させ、しかも上記板状パッキングの板面の表裏においては、夫々連結部相互間の対向面に圧接する位置に、コンクリート柱1からの放射方向に対して直交する方向に向けた保持溝を夫々凹設し、それらの保持溝には上記板状パッキングの硬度よりも比較的柔軟で弾力性のある材料で形成された柔軟パッキング材を、常態では保持溝よりも盛上がり、介設状態では保持溝に押し込まれる状態となるように備えさせたものであればよい。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本願発明は、水中コンクリート柱1の外周に繊維シート6を巻き付けて補強する場合、水中コンクリート柱1の周囲に、僅かな間隙Gが残る状態に外枠10を配設し、内側の空気を排出して繊維シートを乾燥させるものであるから、その作業領域(占有容積)は極めて狭く、実質的に河川の流れを妨げることなく補強作業を行うことのできる特長がある。
また当然のことながら、実質的に河川の流れを妨げるような大掛かりな工事にはならないので、短期間でもって、低コストの補強作業ができる画期的効果がある。
【0011】
さらに本願発明は、水中コンクリート柱1の外周に巻き付けた繊維シート6を乾燥させる場合、外枠と、繊維シート6の周面との間に間隙Gを作り、その繊維シート6における周囲の間隙Gを利用して、空気供給部から排出部に向かわせる空気を、上記柱1の外周に巻付けた繊維シート6の周面に沿わせ、繊維シート6を乾燥させるようにするものであるから、繊維シート6の乾燥速度は早く、短時間で信頼度高く乾燥させることができる作業上の効果がある。
【0012】
さらに本願発明において、複数の包囲枠要素の連結部相互間(複数の包囲枠の連結部相互間、止水枠と包囲枠との連結部相互間等を含む)に介在させる防水用のパッキングに関し、弾力性のあるゴム材で板状に形成されている主たるパッキングに対して、それの板面の表裏に保持溝を凹設し、その保持溝に、上記板状パッキングの硬度よりも比較的柔軟で弾力性のある材料で形成された柔軟パッキング材を、常態では保持溝よりも盛上がり、介設状態では弾力性のある主たるパッキングに形成された凹状の保持溝で保護するよう押し込まれるものを用いる場合は、
河川の水圧に対しては比較的硬度の高い主たるパッキングが型崩れすることなく耐えて防水効果を発揮し、主たるパッキングと包囲枠要素とのほんの僅かな間隙から滲入してくる滲みだし水に対しては、凹状の保持溝で、水圧から保護される柔軟パッキング材で防水するので、水中コンクリート柱1の外周に巻かれた繊維シート6を乾燥させ、その後行うべき、吸引排出ポンプ37を止めてから行う硬化性樹脂を被せる工程は、滲みだし水による弊害を心配する必要はなく迅速に作業が着手できる施工上の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本願発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
まず本願発明を実施する工程に関連する機材等について説明する。
図1乃至図8において、1は水中コンクリート柱を示し、例えば河川2内に立設された周知の水中コンクリート橋脚を示す。
【0014】
6は補強の為、上記水中コンクリート柱1の外周に巻付る繊維シートを示す。
上記繊維シート6としては、例えばアラミド繊維、炭素繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ガラス繊維、およびパラフェニレンべンゾビスオキサゾール繊維等の高強度の繊維からなるシート(織布、不織布等)があり、中でもアラミド繊維の繊維シートが好適に使用される。
アラミド繊維の繊維シートとして例えばパラ系アラミド繊維製の連続繊維シート〔ファイべックス社製のAK−40〕を用いてもよい。
繊維シートの大きさは、連続繊維シート6の場合、幅寸法は水中において巻き付け作業がし易い寸法であればよく、例えば5〜100cm程度であってもよい。
また、繊維シート6の大きさとしては、水中コンクリート柱1の巻付ける範囲を一枚で包める面積を有する大きさの広幅繊維シート6であってもよい。
【0015】
10は、上記水中コンクリート柱1の外周に巻付けた繊維シート6の周囲に配設される外枠を示す。
上記外枠10は、外枠10内に河川2の水が下方から、或は状況によっては上方から入るのを阻止する為の止水枠11と、水中コンクリート柱1に巻付けた繊維シート6の周囲に間隙Gが残る状態で繊維シート6を包囲する包囲枠16(図4参照)とからなる。
【0016】
まず、止水枠11につき詳しく説明する。
12は、止水枠要素を示し、複数個相互を結合分離自在に連結して環状の止水枠11を形成する為のものである。
止水枠要素12の形状は、図3、図5、図6によく表れるように6個の止水枠要素12を連結させて止水枠11を形成するように構成してある。しかし、配設対象の水中コンクリート柱1の外径寸法や、後述する連結作業において作業のし易さを考慮して大きさ、分割数等は任意選択的に決めれば良く、例えば2〜4個の要素を連結させて止水枠11を形成するように構成しても良い。
12bは、複数の止水枠要素12相互を連結させる為の連結部を示し、図6によく示されるように止水枠要素12の両側にフランジ状にして備えさせてある。
12cは上記連結部12bに設けられた透孔を示す。この透孔12cは、他の後述する連結部に設けられる透孔12cを含め全て同様に止具として知られているボルトを挿通してナットで固着できるように形成されている。
12dは、止水枠要素12のほぼ中間位置に配置されている補強板を示す。
12fは、後述する包囲枠16に連結する為の連結部を示し、図6(A)によく示されるように止水枠要素12の上側(また、下側にも設けることがある。)に備えさせてある。
なお、図6(A)には、外枠10の下部に配置される止水枠11bに用いられる止水枠要素12を示して説明したが、外枠10の上部に対して、必要に応じて配置される止水枠11aに用いる止水枠要素12は、図6(A)における上下方向を逆にひっくり返したものを用いればよい。
さらに、止具32については、ボルト及びナットの例を示したが、複数の止水枠要素12相互が結合分離自在に連結できるものであれば良く、周知の連結手段、例えば楔を活用した構成、クリップ力を活用した構成等、任意の嵌着手段を用いてもよい。
【0017】
23aは、上記連結する止水枠要素12の相互間に介在させる防水用の板状パッキングを示す(図6(B)参照)。上記板状パッキング23aは、弾力性のあるゴム材(例えばゴム、合成樹脂)で図示の如く板状に形成し、板面24が上記連結部12bの対向面12eに沿うように対応形状に形成してある。
25は、上記止水枠要素12の透孔12cに対応する位置及び形状に形成させたボルト挿通孔を示す。
次に26は、上記板状パッキング23aの表裏板面24において凹設した保持溝を示す。上記表裏の保持溝26の配設状態は、夫々、上記連結部12bの対向面12eに圧接させる位置に設けてある。また上記溝26の延びる方向は止水枠11をコンクリート柱1に配設した状態で、コンクリート柱1からの放射方向に対して直交する方向、即ち図示のような向きに向けて設けてある。
27は、上記保持溝26に図示のように備えさせた柔軟パッキング材を示し、上記板状パッキング23aの硬度よりも比較的柔軟で弾力性のある材料で形成させてある。(例えば板状パッキング23aを合成ゴム、柔軟パッキング材としてブチルゴムを主成分とする商品名「メジデルテープ」を用いてもよい。)
上記柔軟パッキング材27の上記保持溝26における状態は、常態では図示のように保持溝26よりも盛上がり、止水枠要素12の相互間に介設させた状態では保持溝26に押し込まれ、表面が対向面12eに圧接して水密状態となるように構成させればよい。
【0018】
13は、弾力性のあるゴム材で図示の如く環状に形成した防水用の環状パッキングを示し、複数の止水枠要素12を連結して構成した止水枠11とコンクリート柱1の相互間に介在させる。13dは上記環状パッキング13の装着時に利用する切れ目を示す。上記環状パッキング13は、止水枠11をコンクリート柱1に配設した状態で、板体の内周面13bがコンクリート柱1の外周に沿い、かつ外周面13cが上記止水枠要素12の壁12aに沿って、外枠10内に河川2の水が浸入するのを阻止するように形成してある。
【0019】
次に、外枠10における包囲枠16につき詳しく説明する。
17は、包囲枠要素を示す。これらの複数個相互を結合分離自在に連結して図示のように包囲枠16を形成する。
包囲枠要素17の形状は、図4、7によく表れるように6個の包囲枠要素17を連結させて包囲枠16を形成するように構成してしている。
なお配設対象の水中コンクリート柱1の外径寸法や、後述する連結作業において作業のし易さを考慮して分割数等は任意選択的に決めれば良く、例えば2〜4個の要素を連結させて包囲枠16を形成するように構成しても良い。
19は、複数の包囲枠要素17相互を連結させる為の連結部を示し、図7によく示されるように包囲枠要素17の両側においてフランジ状に形成して備えさせてある。
また19は、上記止水枠11を連結する為の連結部を示し、図7(A)によく示されるように包囲枠要素17の上部側及び下部側に備えさせてある。また、これらには、止具として知られているボルトを挿通してナットで固着できるように透孔12cが形成されている。
21は、包囲枠要素17の剛性を高める為に配置されている複数の補強板を示し、図2、図7(A)によく示される状態に配置されている。
なお、上記止水枠11及び包囲枠16は、繊維強化プラスチックや、あるいは防錆処理鋼板等任意の硬質材で形成されている。
【0020】
23bは、上記連結する包囲枠要素17の相互間に介在させる防水用の板状パッキングを示す(図7(B)参照)。上記板状パッキング23bは、上記した板状パッキング23aと同様に弾力性のあるゴム材で図示の如く板状に形成し、板面24が上記連結部19の対向面19aに沿うように対応形状に形成してある。
上記板状パッキング23bにおける挿通孔25、保持溝26及び柔軟パッキング材27は、上記した板状パッキング23aと同様の考えで構成させてある。
【0021】
23cは、上記止水枠11と包囲枠16の間及び包囲枠16の相互間に介在させる防水用の板状パッキングを示す(図7(C)参照)。
上記板状パッキング23cは、上記した板状パッキング23aと同様に弾力性のあるゴム材で図示の如く板状に形成し、板面24が上記止水枠11の対向面12eと、包囲枠16の対向面19aに沿うように対応円弧形状に形成してある。
上記板状パッキング23cにおける挿通孔25、保持溝26及び柔軟パッキング材27は、上記した板状パッキング23aと同様の考えで構成させてある。
【0022】
なお、上記包囲枠16は、包囲枠16の軸方向の長さが、水中コンクリート柱1における補強すべき領域(繊維テープ6を巻付ける領域)の高さ寸法L1に満たないときは、1つの包囲枠16の上端に、さらに別の包囲枠16を積重ねて連結させ、補強すべき領域(繊維テープ6を巻付ける領域)の高さ寸法L1に対応する長さの包囲枠16を構成させればよい。
その場合、上記積重ねて連結させる包囲枠16の相互間には、上記板状パッキング23cを複数用意し、環状に連続させて介在させるとよい。
さらに、図2及び図8において外枠10の上部側の上記止水枠11aを備えさせたものを図示したが、河川2の水面4が低く(例えば図1,図8において4Lで示す水面)、外枠10における包囲枠16の上部が水面4Lよりも上へ突出する場合は、上記止水枠11aを配設しないで外枠10を構成させてもよい。
【0023】
次に上記水中コンクリート柱1に巻付けた繊維シート6と、その周囲に配設した外枠10との間に形成される間隙Gについて説明する。間隙Gは図4に現れているように繊維シート6の表面と包囲枠16の鏡面的に平滑な内面16aとの間に形成された空間である。この間隙Gは、柱1に巻付けた繊維シート6を乾燥させるときには外枠10に囲まれて空気流通路として利用され、繊維シート6の表面に硬化性樹脂を被せる工程では、流動性のある硬化性樹脂に対して外枠10が外形を形成するための型枠として働くので、硬化性樹脂の厚みを決定する働きをする。
通常、図4の状態では、コンクリート柱1に巻付けた繊維シート6の厚みはアラミド繊維の場合は0.1〜0.6mm前後、他の繊維シート6の場合は、0.1〜1.0mm位であり、繊維シート6の外周面と、外枠10の内面16aとの間隙Gの寸法は、コンクリート柱1の直径、補強のための硬化性樹脂寸法、補強するための高さ方向の寸法(区間)等、要求される工程によって種々異なるが、例えばエポキシ樹脂の場合、約5〜10〜20mm前後にする場合が多い。なお、他の硬化性樹脂の場合は補強の仕様によって20mmより大きい場合がある。
【0024】
次に30と31は、上記外枠10内の空気をポンプで吸引排出する場合に用いられる排出部と、空気の供給部を示す。
排出部30は、外枠10の内側に存在する水及び空気を外部に排出する為のものであり、その目的を達成するために任意の構成、例えば、外枠10を貫通するパイプ30aと、外枠10の内部に開口させた開口部30b(吸出口)と、ホース34を連結するための任意構成の連結部(配管接続部)30c、例えば筒状部材で構成されている。
また、供給部31は外気を外枠10の内側に向けて導入する為のものであり、その目的を達成するために任意の構成、例えば上記排出部30と同様の構成にしてある。
なお、供給部31は外気を外枠10の内側に向けて導入し、柱1の外周に巻付けた繊維シート6の周面に沿わせて外枠の排出部に向けて空気を供給し、繊維シート6を乾燥させる為に使うものであるから、河川の水位が低い場合は、外枠10の上部に形成される開放口を供給部31として利用することができる。
次に排出部30と供給部31の配設場所と数であるが、排出部30は図にも表れているように外枠10の内部における実質上最低の位置にある水を吸出口30bを通して排出することができるようにする。さらにコンクリート柱1の直径、補強のための硬化性樹脂寸法、補強するための高さ方向の寸法(区間)等、要求される事情に対応して図2〜4に示されているように上下方向或いは周方向の複数カ所に亘って散設すると良い。供給部31の配設場所と数であるが、これは排出部30の配置位置を考慮し、複数個所の空気供給部から夫々特有の経路を経由して繊維シート6の周面に沿いながら排出部に向けて空気を供給することが出来るように、適当に複数個所に亘って定めればよい。
供給部31及び排出部30に接続されているホース34は、空気の供給・吸引排出に用いたり、硬化性樹脂の注入に用いたりする為のもので、周知のように金属、或いは合成樹脂、ゴムなどで製作されたものであればよい。
【0025】
次に36は上記空気供給部31に向けて空気を供給する為の供給ポンプの存在を示す。供給ポンプとしては、空気を外枠10内に圧入できればよく、例えば周知のエアコンプレッサー等を用いてもよい。
次に37は、上記外枠10内における排出部30から、外枠10内の水及び空気を吸引排出する為の周知のポンプの存在を示す。上記吸引排出ポンプ37としては、例えば、市販されている土木用の真空ポンプでもよく、鶴見製作所製の型式:EVM−3700−10、最大真空度:−93kPa(700mmHg)、最大吐出し量:450〜600l/min、最大吸気量:6.4m/h(吸込み口1本当り)でもよい。
なお、上記真空ポンプ37に対して、さらに必要に応じては市販の真空ポンプを付設して、真空の度合いを高めるようにしてもよい。真空度は任意でよく、真空ポンプで空気を吸引、排出することにより、空気供給部31から供給された空気が、上記繊維シート6における周囲の間隙Gを利用し、上記柱1の外周に巻付けた繊維シート6の周面に沿って上記外枠内の下部排出部に向けて排出され、水中コンクリート柱1の外周に巻かれた繊維シート6を乾燥させればよい。
【0026】
次に38は本実施例において使用する繊維シート6、供給ポンプ36、吸引排出ポンプ37等の部材や設備等を支持する支持物の存在を示す。
上記支持物としては、例えば舟、橋桁、道路に駐車したトラック等を利用してもよい。
【0027】
次に、水中コンクリート柱1の外周に巻付けられた繊維シートに硬化性樹脂を被せる工程において使用する硬化性樹脂について説明する。
硬化性樹脂としては、補強効果を阻害する気泡を生じないために、揮発成分を含まない、無溶剤型の硬化性樹脂が好ましく、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、硬化性アクリル樹脂およびビニールエステル樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂を用いるのが好ましい。
例えば接着性にも優れたエポキシ樹脂を用いてもよい。
なお、硬化性樹脂としては、繊維シート6内に、隙間を生じることなく十分に含浸させるために、長時間に渡って流動性を維持するべく、硬化時間の長いものを用いるのが好ましく、特に硬化時間が24時間以上の硬化性樹脂を用いるのが好ましい。
【0028】
上記構成のものを用いる水中コンクリート柱の補強方法の施工作業について説明する。
まず、河川の水位が図1に示されるように4Hにあるものとする。その場合、上記水中コンクリート柱1の外周に繊維シート6を巻付る工程を次のように行う。
水中コンクリート柱1における補修対象の領域に巻付けるに必要な長さの繊維シート6を準備する。
ダイバーによる水中作業によって、図1に示すように、水中コンクリート柱1の外周における補強すべき領域(例えばL1の範囲)に連続繊維シート6を図示のように巻き付ける(シート6としては前述した広幅繊維シート6であっても良い)。
巻き付け作業は、ダイバーが上記領域L1の下部から上部に向けて巻付けていく。
その巻き初めは繊維シート下端部を柱1に対して任意手段(例えば水中硬化パテを用いて接着)で固定して巻付けていくとよい。
なお、ダイバーの手作業による巻付け方法を説明したが、機械的な巻立機等を使用して巻付けてもよい。
【0029】
次に、図2に示されるように、上記巻付けた繊維シート6の周囲に対して、外枠10を配設する工程を次のように行う。
図2に示される外枠10を構成する前述の部材を必要数準備する。
【0030】
まず、下部の止水枠11bを水中コンクリート柱1に対して装着する。
装着位置は、上記領域L1が外枠10における包囲枠16に包囲されるような位置であればよいので、図2のような位置に装着する。
装着状態は図2、図5(A)(B)に示される状態になるように、環状パッキング13の装着、複数の止水枠要素12の連結、板状パッキング23aの介在など必要な作業を行う。
次に、上記止水枠11bの上に図2、図4に示される状態になるように、包囲枠16を連結する。
包囲枠16を構成する6個の包囲枠要素17の連結は、上記6個の止水枠要素12を連結配置させたのと同様の考えで、板状パッキング23bを介在させながら行えばよい。
さらに、包囲枠16の高さ寸法が水位に比較して短い場合は、上記包囲枠16の上に、もう1つの包囲枠16を図2、図4に示される状態になるように同じような考えで装着して連結させる。
最後に、図2、図3に示されるように上部の止水枠11aを柱1に対して装着し、止水枠11aと包囲枠16を上記と同様の考えで連結する。
【0031】
以上のように水中コンクリート柱1に対して外枠10が装着された状態では、図4によく示されるように、上記巻付けた繊維シート6の周囲に僅かな間隙Gが残る状態となる。さらに、外枠10の配設状態は、図2〜図5に示されるように、繊維シート6と河川の水を遮るような水密的な状態となる。
更に水中コンクリート柱1に対して外枠10が装着された状態では、水中コンクリート柱1の外周に対して外枠10が実質的に密着した状態になり、図8から明らかなように水中コンクリート柱1の外形が僅かに太くなった程度でスリムな状態に仕上がる。従って、実質的に河川2の流れを妨げるような恐れはない。
なお、河川の水位が低く、図1に示されるように4Lにある場合は、上記止水枠11aの装着作業は任意選択的である。
なお、上記外枠10における各連結部12b、19の相互間の外周面側に対して、図4、図5(B)にみられるように、周知の水中ボンドを塗りつけ被せ付けるように装着し、防水効果をより高めるようにしてもよい。
【0032】
次に、水中コンクリート柱1の外周に巻かれた繊維シート6を乾燥させる工程を次のように行う。
このときの外枠10内の状態は、上記繊維シート6の周囲の間隙Gに水が充満した状態となっている。
まず、上記全ての排出部30(例えば図示の場合は4口)にホース34の一端を夫々接続し、それらのホース34の他端は、外枠10内の空気を吸引排出する為のポンプ37に夫々接続する。
同様に、上記全ての空気供給部31(例えば図示の場合は2口が図示されているが、必要に応じては最上部に大気中の空気を取り入れる口が設けてあっても良い)にもホース34の一端を夫々接続し、それらのホース34の他端を、外枠10内に空気を供給する為のコンプレッサー36に接続する。
ホース接続完了後、上記ポンプ37とコンプレッサー36を夫々作動させる。
すると、外枠10内の間隙Gに充満していた水は、上記排出部30から吸い出され、上記ポンプ37の吐出し口から勢いよく排出される。コンプレッサー36から供給される空気は上記空気供給部31から外枠10内に供給される。この状態が続くと、外枠10内の水は、次々と吸出されて次第にその量が減り、水面は下がる。
外枠10内の水面が、排出部30Aの位置よりも下に向けて下がった状態では、上記排出部30Aからは外枠10内の空気が吸引排出されるようになる。
この状態においては図8に示されるように、空気供給部31Aから供給される空気は、繊維シート6における周囲の間隙Gを利用して、繊維シート6の周面に沿う状態で複数の排出部30A、30Aに向けて、夫々特有の経路R1、R2を形成して通過する。最上部に大気中の空気を取り入れる口が設けてある場合は、そこからも排出部30A、30Aに向けて空気が流れる。
よって、上記特有の経路中に存在する柱1の外周に巻付けられた繊維シート6の周面は、上記経路を流動する空気の流れにより、乾燥させられることになる。
一方引き続き、排出部30Bからは、水が吸い出されて排出され、水位は下がり続ける。
【0033】
さらに時間が経過すると、外枠10内の水面は、上記外枠10内の下部における排出部30Bの位置以下になり、ついには、外枠10内の底に水溜りが殆ど無くなる。
すると、上記排出部30Bからも外枠10内の空気が吸引排出されるようになる。
この状態においては、図8に示されるように、空気供給部31Aから供給される空気は、間隙Gを利用して、複数の排出部30A、30A、30B、30Bに向けて、夫々特有の経路R1、R2、R3、R4を形成して通過する。
同様に空気供給部31Bから供給される空気は、間隙Gを利用して、複数の排出部30A、30A、30B、30Bに向けて、夫々特有の経路R5、R6、R7、R8を形成して通過する。
よって、複数個所の供給部31A、31Bから、夫々上記特有の経路R1〜R8中に存在する柱1の外周に巻付けられた繊維シート6の周面に沿わせて、複数の排出部に向けて空気が供給されることになる。
このことは、夫々特有の経路R1〜R8中に存在する柱1の外周に巻付けられた繊維シート6の周面を、多岐に亘る色々な経路を流動する空気の流れによって、効率よく乾燥させることになる。
【0034】
なお、上部の止水枠11aを配設した場合を説明したが、上部の止水枠11aを配設しないで外枠10を構成させた場合は、外枠10の上部に形成される開放口を供給部31として利用することができる。
よって、上記開放口から排出部30に向う特有の経路が生じ、その経路中に存在する柱1の外周に巻付けられた繊維シート6の周面に沿わせて、複数の排出部に向けて空気が供給されることになる。よって、上記特有の経路を流動する空気の流れにより、繊維シート6全体の乾燥速度は早く乾燥させることができる。
また、外枠10内に供給する空気については、乾燥空気或は任意温度に加熱された空気を用いてもよい。そうすれば、乾燥空気或は温風が上記特有の経路を流動することになり、繊維シート6全体の乾燥速度はより速くなる。
【0035】
次に繊維シート6全体の乾燥速度をより速くしたい場合には外枠10内の真空度を高めればよい。その場合は、排出量に比較して供給する空気の量を僅かに少なくする。例えば、空気供給口を狭める等任意の手段を講じればよい。そうすれば外枠10内の真空度は高まり、繊維シート6全体の乾燥速度はより速くなる。
【0036】
次に、コンクリート柱1の直径が細い場合、補強するための高さ方向の寸法(区間)が小さい場合、繊維シート6全体の乾燥をあまり急がない場合等、必要に応じては、外枠10内の下部に単一の排出部30Bを備え、上方の離れた1又は2カ所以上の任意の位置に、コンプレッサー36に連なる空気供給部又は/及び外気が供給できる上方位置の空気供給部を備えさればよい。
【0037】
次に、ポンプ37による吸引中において、ホース34に透明な管が介設してある場合は、排水の流れ、空気混じりの泡の流れ等を目視することができ、外枠10内の排水状況を知ることができる。
また、吸引中のホース34から空気を分離採取することにより空気に含まれる湿度を断続的に或いは連続的に計測し、繊維シート6の乾燥状態を知ることができる。
【0038】
以上のようにして、繊維シート6における周囲の間隙Gを利用して、空気供給部31から排出部30に向かわせる空気を、上記柱1の外周に巻付けた繊維シート6の周面に沿わせていき、繊維シート6を乾燥させる。
繊維シート6の乾燥度合は、後述する次の工程において、注入硬化させる硬化性樹脂が充分に硬化する程度に乾燥させれば良く、例えば繊維シートの重量換算で水分量20%以下で良い。好ましくは、水分量5%以下に乾燥させればよい。
この繊維シート6を乾燥させる所要時間は、天候、季節、コンクリート柱の補強領域、ポンプの条件等により種々異なるが、約1日前後の場合が多い。
【0039】
次に、上記巻付けられた繊維シート6が予定している乾燥の度合いに達したならば、それを確認して、硬化性樹脂を被せる工程に入る。
上記硬化性樹脂を外枠10内に注入する前提としては、前記上記吸引排出ポンプ37による吸引排出を止めなければならない。
しかし、ポンプを止めるに先立って、外枠10における各所の連結部相互間(複数の包囲枠要素12の連結部相互間、複数の包囲枠17の連結部相互間、止水枠11と包囲枠16との連結部相互間)からの滲みだし水が無いことを確認する。
なぜならば、上記滲みだし水があると、ポンプを止めた途端、外枠10内に水が溜まり、硬化性樹脂の注入作業に弊害をもたらし、全体の作業が中止されるからである。しかしながら、本願の提案によれば、介在させた板状パッキング23a、23b、23cの構成が前述の通りであるから、包囲枠要素12の連結部相互間等、連結部においては、滲みだし水はない。
【0040】
次に、上記巻付けられた繊維シート6に硬化性樹脂を被せる工程を次のように行う。
上記巻付けられた繊維シート6に硬化性樹脂を被せるのに必要量の上記硬化性樹脂を準備する。
まず、上記ポンプ37とコンプレッサー36の作動を止める。
次に、硬化性樹脂が入ったタンクに対して上記任意複数本のホース34を接続し、上記硬化性樹脂を外枠10内の間隙Gに注入する。上記硬化性樹脂の厚みは、上記間隙Gを埋める厚みとなる。
硬化性樹脂の硬化後、ホース34を除去し、外枠10を取外す。
これにより、水中コンクリート柱1の補強が完了する。
なお、必要に応じて外枠10を装着したままにしてもよい。その場合は配管接続部27からホース34を取り外すとよい。
【0041】
以上のように、上記の工事は、実質的に河川の流れを妨げるような大掛かりな工事にはならないので、短期間でもって、低コストの補強作業ができる画期的効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】河川内の水中コンクリート柱と、補強すべき領域に巻付ける繊維テープを説明する為の概略図。
【図2】水中コンクリート柱と、繊維テープと、外枠の関係を説明する為の図。
【図3】図2におけるIII−III線断面図。
【図4】図2におけるIV−IV線断面図。
【図5】(A)は図2におけるV−V線断面図、(B)は図2における符号Aで示される部分を破断した部分断面図。
【図6】(A)は止水枠要素を説明する為の図、(B)は板状パッキング23aを説明する為の図、(C)は図6(B)、図7(B)(C)におけるVIC−VIC線断面図。(D)は環状パッキング13を説明する為の図で図6(E)の上方向から見た図、(E)環状パッキング13を図6(D)の符号E方向から見た図。
【図7】(A)は包囲枠要素を説明する為の図、(B)は板状パッキング23bを説明する為の図、(C)は板状パッキング23cを説明する為の図。
【図8】水中コンクリート柱1の外周に巻かれた繊維シート6の周囲に外枠10が装着された状態を示し、外周に巻かれた繊維シート6を乾燥させる工程を説明する為の概念図。
【符号の説明】
【0043】
1・・・水中コンクリート柱(橋脚)、2・・・河川、4・・・水面、6・・・繊維シート、10・・・外枠(型枠)、11・・・止水枠、12・・・止水枠要素、13・・・環状パッキング、16・・・包囲枠、17・・・包囲枠要素、23a,23b,23c・・・パッキング、26・・・保持溝、27・・・柔軟パッキング材、30・・・排出部、30a・・・パイプ、30b・・・開口部(吸出口)
30c・・・連結部(配管接続部)、31・・・空気供給部、31a・・・パイプ、31b・・・開口部、31c・・・連結部(配管接続部)、36・・・供給ポンプ、37・・・吸引排出ポンプ、R1〜R8・・・経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中コンクリート柱の外周に繊維シートを巻付る工程と、
上記巻付けた繊維シートの周囲に間隙が残る状態で外枠を配設し、しかも外枠の配設状態は、繊維シートと河川の水を遮るように配設する工程と、
上記外枠内の下部における排出部から、外枠内の空気をポンプで吸引排出すると共に、
上記排出部から離れた位置に空気供給部を設けて、
空気供給部から上記繊維シートにおける周囲の間隙を利用し、上記柱の外周に巻付けた繊維シートの周面に沿わせて上記外枠内の下部排出部に向けて空気を供給することにより水中コンクリート柱の外周に巻かれた繊維シート乾燥させる工程と、
上記柱の外周に巻付けられた繊維シートに硬化性樹脂を被せる工程とを含むことを特徴とする水中コンクリート柱の補強方法。
【請求項2】
水中コンクリート柱の外周に繊維シートを巻付る工程と、
上記巻付けた繊維シートの周囲に間隙が残る状態で外枠を配設し、しかも外枠の配設状態は、繊維シートと河川の水を遮るように配設する工程と、
上記外枠内の下部における排出部から、外枠内の空気をポンプで吸引排出すると共に、
上記排出部から離れた複数個所に空気供給部を設け、
それら複数個所の空気供給部から上記繊維シートにおける周囲の間隙を利用し、夫々上記外枠内の下部排出部に向かう特有の経路中に存在する柱の外周に巻付けられた繊維シートの周面に沿わせて上記外枠内の下部排出部に向けて空気を供給することにより水中コンクリート柱の外周に巻かれた繊維シートを乾燥させる工程と、
上記巻付けられた繊維シートに硬化性樹脂を被せる工程とを含むことを特徴とする水中コンクリート柱の補強方法。
【請求項3】
水中コンクリート柱の外周に繊維シートを巻付る工程と、
上記巻付けた繊維シートの周囲に間隙が残る状態で外枠を配設し、しかも外枠の配設状態は、繊維シートと河川の水を遮るように配設する工程と、
上記外枠内にあって、外枠内の下部を含む複数個所に排出部を設け、それらの排出部から、外枠内の空気をポンプで吸引排出すると共に、
上記夫々の排出部から離れた複数個所に空気供給部を設け、
それら複数個所の空気供給部から上記繊維シートにおける周囲の間隙を利用し、夫々上記外枠内の夫々の排出部に向かう特有の経路中に存在する柱の外周に巻付けられた繊維シートの周面に沿わせて上記外枠内の複数の排出部に向けて空気を供給することにより水中コンクリート柱の外周に巻かれた繊維シートを乾燥させる工程と、
上記巻付けられた繊維シートに硬化性樹脂を被せる工程とを含むことを特徴とする水中コンクリート柱の補強方法。
【請求項4】
上記水中コンクリート柱の外周の周囲に配設する外枠は、複数の包囲枠要素を、上記水中コンクリート柱の外周を取り囲む状態に配置し、かつ、相互を結合分離自在に連結して構成し、しかも相互の連結部においては、夫々防水用のパッキングを介在させて構成してあることを特徴とする請求項1、2又は3記載の水中コンクリート柱の補強方法。
【請求項5】
上記複数の包囲枠要素の連結部相互間に介在させる防水用のパッキングは、弾力性のあるゴム材で板状に形成してあるものを、包囲枠要素の連結部相互間の対向面に板状パッキングの板面が夫々沿う状態で介在させ、しかも上記板状パッキングの板面の表裏においては、夫々連結部相互間の対向面に圧接する位置に、コンクリート柱からの放射方向に対して直交する方向に向けた保持溝を夫々凹設し、それらの保持溝には上記板状パッキングの硬度よりも比較的柔軟で弾力性のある材料で形成された柔軟パッキング材を、常態では保持溝よりも盛上がり、介設状態では保持溝に押し込まれる状態となるように備えさせたことを特徴とする請求項4記載の水中コンクリート柱の補強方法。
【請求項6】
複数の包囲枠要素の連結部相互間に介在させるための防水用のパッキングは、弾力性のあるゴム材で板状に形成してあり、上記板状パッキングの板面の表裏においては、夫々板状パッキングの長手方向に向けて保持溝を夫々凹設し、それらの保持溝には上記板状パッキングの硬度よりも比較的柔軟で弾力性のある材料で形成された柔軟パッキング材を、常態では保持溝よりも盛上がり、介設状態では保持溝に押し込まれる状態となるように備えさせたことを特徴とする防水用のパッキング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−23671(P2007−23671A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209568(P2005−209568)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(595132441)▲蔦▼井株式会社 (10)
【Fターム(参考)】