説明

水中電動ポンプ

【課題】可搬式の仮設ポンプの据付において、ポンプ脚に大きな衝撃荷重が加わる場合でも衝撃荷重を吸収し破損を防止しながらポンプの座りを安定し、運転時のポンプ振動を吸収し、工具を使用することなく容易に取外しができてしかも強固に装着される緩衝機構を備えた脚保護設置体を装着した、水中電動ポンプを提供する。
【解決手段】ポンプケーシング5の下端面に複数凸設させたポンプ脚6の内部に設けられた楔リブ6rにより、脚保護設置体7のティパー形状の凸子7tに刻設されたV字溝7sに、楔リブ6rの導下先端部が楔着され、上記凸子7tの外側面に複数凸設された嵌合リブ7rが、ポンプ脚6の凹部6o内周面に嵌着し、脚保護設置体7がポンプ脚6に装着されると共に、脚保護設置体7におけるポンプ脚6下端面との当接面7fに複数凹設された当接凹部7oと嵌合リブ7rによる緩衝機構を備えた脚保護設置体7を強力に装着するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば、仮設現場等で使用される可搬式の水中電動ポンプにおいて、特に仮設ポンプ据付時等のポンプの設置脚の損傷防止および安定設置構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の水中ポンプでは、モータケーシングの下側にポンプケーシングをモータケーシングと一体に設け、そのポンプケーシングの下部に吸込口を開口した水中ポンプにおいて、ポンプケーシングの吸込口の周囲に下方に突出するフランジ部を設け、そのフランジ部に平板状のストレーナをボルトで取付け、そのボルトのヘッドをポンプ脚を構成する弾性部材で着脱可能に被覆してなり、前記弾性部材はボルトのヘッドと前記ストレーナとの間の第1の部分とボルトのヘッドの下方の第2の部分とを有した構成の水中ポンプ(例えば、特許文献1参照。)は公知である。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1の構成ではポンプ運転時の振動等は弾性部材を有しない剛体設置と比べれば防振効果は有しているが、設置部の前記弾性部材の弾性力のみでしか振動等を吸収できず、外力の逃し作用が低いことから、設置条件の劣悪な可搬式の仮設ポンプの据付においては、安定して設置することは困難であり、人力でのポンプ据付作業も多いことから、ポンプの取扱も煩雑に扱われる場合も多々発生するため、据付時にポンプが落下してポンプ脚に大きな衝撃荷重が加わり、ポンプ脚の螺合のネジ孔やネジ部等の破損を生来させるという問題を有すると共に、上記ボルトによる螺合締結構成のためボルトの取付や取外しには締結用の工具が必要であり簡単な作業で対応できないという問題も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7−5278号公報 (第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、前述の従来水中ポンプの特許文献1記載の構成による、前記の問題点を払拭し、可搬式の仮設ポンプの据付において、ポンプが落下してポンプ脚に大きな衝撃荷重が加わる場合にも衝撃荷重を吸収してポンプ脚の破損を防止しながらポンプの座りを安定させると共に運転時のポンプ振動を吸収し、然もポンプ脚の保護部材を工具を使用することなく、容易に取外しができてしかも強固に装着される緩衝機構を備えた組立およびメンテナンス性にも優れてたポンプ脚の保護部材を装着した、水中電動ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は以下のような構成にしたものである。
【0007】
請求項1に係る発明は、モータの下端にオイル室を設け、該オイル室を貫通して導延されたモータ軸導延部に羽根車を嵌着してその外周をポンプケーシングで囲繞し、該ポンプケーシングの下端面に複数凸設させた下端開口の内部が空洞状に凹設されるポンプ脚内の凹部に挿入される下方に向けて広がるティパー形状の弾性部材の脚保護設置体に凸設された凸子の外側面に複数凸設された嵌合リブの外面が、上記ポンプ脚の凹部内周面に嵌着されて該脚保護設置体がポンプ脚に装着されると共に、該脚保護設置体における該ポンプ脚下端面との当接面に複数凹設された当接凹部と上記嵌合リブによる緩衝機構を備えた脚保護設置体により、ポンプ脚を保護しながらポンプの座りを安定させると共に運転時のポンプ振動を吸収するよう構成されたことを特徴するものである。
【0008】
また、請求項2に係る発明は前記請求項1発明に基づいて、前記ポンプケーシングの下端面に複数凸設させた下端開口の内部が空洞状に凹設されるポンプ脚内部に設けられた楔リブにより、前記脚保護設置体に凸設された凸子に刻設されたV字溝に、上記楔リブの導下先端部が楔着されることで、前記嵌合リブが外方向に押されて上記ポンプ脚の凹部内周面に嵌着されて該脚保護設置体がポンプ脚に強力に装着されるよう構成されたことを特徴するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1および2の発明によれば、ポンプケーシングの下端面に凸設された下端開口の内部が空洞状に凹設されるポンプ脚内部に設けられた楔リブにより、該ポンプ脚内の凹部に挿入される下方に向けて広がるティパー形状の弾性部材の脚保護設置体に凸設された凸子の外側面に複数凸設された嵌合リブの外面が、上記凸子に刻設されたV字溝に、上記楔リブの導下先端部が楔着されることで、上記嵌合リブが外方向に押されて上記ポンプ脚の凹部内周面に嵌着されて該脚保護設置体がポンプ脚に強力に装着されると共に、該脚保護設置体における該ポンプ脚下端面との当接面に複数凹設された当接凹部と上記嵌合リブの嵌合および当接の接触面における非接触の凹部による外力の逃がし作用を利用した、緩衝機構を備えた脚保護設置体により、可搬式の仮設ポンプの据付において、ポンプが落下してポンプ脚に大きな衝撃荷重が加わる場合にも、衝撃荷重を吸収してポンプ脚の破損を防止しながらポンプの座りを安定させると共に運転時のポンプ振動を吸収し、然も該脚保護設置体を工具を使用することなく、上記V字溝に上記楔リブの導下先端部が楔着されることで発生する楔作用により、容易に脚保護設置体の凸子に凸設された嵌合リブを挿入しながらポンプ脚の凹部内周面に嵌着されて強力に装着できるという効果を有している。
【0010】
更に、前述の如くポンプ脚下端面に弾性部材の脚保護設置体を挿嵌する極めて簡潔な構成から、脚保護設置体の装着のために、例えば螺合のネジ加工のような機械加工を要することなく、しかも簡単に取付・取外しができることから組立作業も容易であり、生産コストが嵩むことなく組立およびメンテナンス性にも優れているという効果も有している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る脚保護設置体がポンプ脚内部に挿嵌され装着された、水中電動ポンプの下部縦断側面図である。
【図2】図1のX−X線における要部拡大縦断側面図である。
【図3】本発明に係るポンプケーシングのポンプ脚部を示した要部縦断側面図である。
【図4】図3の要部底面図である。
【図5】本発明に係る脚保護設置体の拡大平面図である。
【図6】図5の拡大縦断側面図である。
【図7】図5の拡大右側面図である。
【図8】図5の拡大正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の脚保護設置体がポンプ脚に装着された水中電動ポンプの実施の形態を実施例に基づき、添付図面の図1ないし図8を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
図1ないし図8において、1は水中電動ポンプを駆動するモータ、2はモータ1の下端に設けられたオイル室であり、該オイル室2を貫通しモータ1から導延されたモータ軸3に嵌着され該オイル室2に内装された軸封装置Sにより、上記モータ1内への浸水を防止し、4はモータ軸3の導下先端部に嵌着された羽根車であり、5は該羽根車4を囲繞するポンプケーシングであり、該ポンプケーシング5の下端面に複数凸設させた下端開口の内部が空洞状に凹設されるポンプ脚6内部に設けられた楔リブ6rにより、該ポンプ脚6内の凹部6oに挿入される下方に向けて広がるティパー形状の、例えばゴムや軟質樹脂等の弾性部材で形成された脚保護設置体7に凸設された凸子7tに刻設されたV字溝7sに、上記楔リブ6rの導下先端部が楔着されることで、上記凸子7tの外側面に縦または周方向に複数凸設された嵌合リブ7r・・7rが外方向に押されて、上記ポンプ脚6の凹部6o内周面に嵌着されて該脚保護設置体7がポンプ脚6に強力に装着されると共に、該脚保護設置体7における該ポンプ脚6下端面との当接面7fに複数凹設された当接凹部7o・・7oと上記嵌合リブ7r・・7rによる緩衝機構を備えた脚保護設置体7により、ポンプ脚6を保護しながらポンプの座りを安定させると共に運転時のポンプ振動を吸収する。なお、望ましくは保護設置体7の凸子7tに有底孔7Hを設けることで凸子7t自体も弾性変形し易くなることから、ポンプ脚6脚への取付・取外の装着性を向上するように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、例えば河川や池沼等の仮設現場における、汚水や泥水等を可搬式の水中電動ポンプにより所定の目的場所への排水などに利用することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 モータ
2 オイル室
3 モータ軸
4 羽根車
5 ポンプケーシング
6 ポンプ脚
6o ポンプ脚内の凹部
6r ポンプ脚内の楔リブ
7 脚保護設置体
7f 脚保護設置体の当接面
7o 脚保護設置体の当接凹部
7r 脚保護設置体の嵌合リブ
7s 脚保護設置体のV字溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの下端にオイル室を設け、該オイル室を貫通して導延されたモータ軸導延部に羽根車を嵌着してその外周をポンプケーシングで囲繞し、該ポンプケーシングの下端面に複数凸設させた下端開口の内部が空洞状に凹設されるポンプ脚内の凹部に挿入される、下方に向けて広がるティパー形状の弾性部材の脚保護設置体に凸設された凸子の外側面に複数凸設された嵌合リブの外面が、上記ポンプ脚の凹部内周面に嵌着されて該脚保護設置体がポンプ脚に装着されると共に、該脚保護設置体における該ポンプ脚下端面との当接面に複数凹設された当接凹部と上記嵌合リブによる緩衝機構を備えた脚保護設置体により、ポンプ脚を保護しながらポンプの座りを安定させると共に運転時のポンプ振動を吸収するよう構成されたことを特徴する水中電動ポンプ。
【請求項2】
前記ポンプケーシングの下端面に複数凸設させた下端開口の内部が空洞状に凹設されるポンプ脚内部に設けられた楔リブにより、前記脚保護設置体に凸設された凸子に刻設されたV字溝に、上記楔リブの導下先端部が楔着されることで、前記嵌合リブが外方向に押されて上記ポンプ脚の凹部内周面に嵌着されて該脚保護設置体がポンプ脚に強力に装着されるよう構成されたことを特徴する、請求項1記載の水中電動ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−159696(P2010−159696A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2478(P2009−2478)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000150844)株式会社鶴見製作所 (56)
【Fターム(参考)】