説明

水処理制御方法及び装置

【課題】被処理水の水質及び生物反応槽の状態から、処理水中のりん濃度について目標値を満足した上で、エネルギー消費量を最小とするよう曝気風量と凝集剤注入率を調整する。
【解決手段】嫌気槽4と好気槽5をもつ生物反応槽と、凝集剤注入設備が取付けられた撹拌槽7と、攪拌槽7に接続された最終沈殿池8と、計算機1を備え、計算機1は、被処理水と処理水の水質偏差及び生物反応槽の状態から、処理水中のりん濃度について目標値を満足した上でエネルギー消費量を最小とするよう、曝気風量及び凝集剤注入率を演算する演算部2と、演算結果に基づいて曝気設備及び凝集剤注入設備14を制御する制御部3を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曝気設備と凝集剤注入設備を備え、処理水中のりん濃度の目標値を満たし、エネルギー消費量が最小となるように曝気風量と凝集剤注入量を調整する、下水や産業排水の水処理制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば湖沼や内湾など水の流出流入があまりない閉鎖性水域では、高度成長期以降、依然として富栄養化が解消されておらず、深刻な問題となっている。この富栄養化の主たる要因は、窒素,りんなどいわゆる栄養塩の流入であり、栄養塩の流入負荷量を低減することが水質保全上重要となる。
【0003】
下水処理場では、活性汚泥法と呼ばれる活性汚泥(微生物群を主成分とする浮遊性有機汚泥の総称)を用いた生物学的処理により、主に有機物の除去が行われている。しかし、下水中には有機物と共に窒素やりんも含まれているため、それらの除去も求められている。
【0004】
このような要求に対応する策として、前述した活性汚泥法の一施設である微生物反応槽を、好気領域と嫌気領域とに分割する等いくつかの方法が知られている。
【0005】
例えば、活性汚泥循環法では、好気領域においてBOD酸化と硝化反応を行った後に、この硝化液を嫌気領域へ循環ポンプなどを用いて送り出し、脱窒を行う。また、りん除去率向上を目的とした方法としては、嫌気−好気法(AO法)や嫌気−無酸素−好気法(A2O法)があり、このうちA2O法ではりんだけでなく窒素の除去率向上も期待される。
【0006】
これらの方法は、りん過剰摂取現象を利用した方法である。前段に位置する嫌気領域において、活性汚泥はりんを放出するものの、後段の好気領域では放出した以上のりんを摂取する。これが過剰摂取現象と呼ばれるもので、工程全体では水中のりん濃度が低減される。
【0007】
活性汚泥のりん過剰摂取現象は、対象となる被処理水の水質や活性汚泥自身の状態によって左右されやすく、放出不良や摂取不良からりん濃度が低減されない、もしくは増加を招く場合がある。従って、りんの除去状況に応じて金属塩などの凝集剤を注入し、処理水中のりん濃度を調整する対策が一般的に行われている。
【0008】
従来、こうした生物反応槽の好気領域及びその後段における物理化学的処理方法は、前述のりん過剰摂取現象を利用した生物学的処理を補完する目的で用いられていた。そのため、使用量は必要最低限にすることが望ましいと考えられ、使用量を必要最低限にする方法が考えられてきた。
【0009】
例えば、[特許文献1]に記載の従来の技術では、生物反応槽のりん除去能力を判定し、処理水のりん濃度をその目標値以下に維持できないと予測されるとき、被処理水または処理水中のりん濃度計測値と目標値との対数比率に基づいて凝集剤注入率を求め、凝集剤注入設備を制御することを提案している。また、[特許文献2]に記載の従来の技術では、凝集剤の注入量を最適な量に調整するため、曝気風量を最適に制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−169885号公報
【特許文献2】特開2006−315004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術の水処理制御装置が、曝気して生物学的りん除去を行った後に、注入する凝集剤の使用量を最低限とするように制御している背景には、凝集剤の注入率増加及びそれに伴う汚泥量の増加が、薬品代や汚泥処理費用に直結することにある。
【0012】
昨今は、温室効果ガスとその排出が注目されるようになり、エネルギー消費の低減が重要な課題とされるようになった。それに伴って、従来技術の大胆な見直しが求められている。
【0013】
一般に、下水処理工程においてエネルギー消費量が最も多いのは好気槽における曝気であり、曝気風量の低減は下水処理工程全体のエネルギー消費量低減に直結する。ただし、曝気風量を低減するに伴ってりんの生物学的除去量も減少すると考えられ、そうした生物学的りん除去量の減少を物理化学的除去で補う、つまり、凝集剤注入率を増大させることで処理水におけるりん濃度を同レベルに保つことは可能である。しかし、前述のように薬品代や汚泥処理費用は増大し、これに伴うエネルギー消費量も増大する。
【0014】
このような、りんの除去における生物学的処理と物理化学的処理のエネルギー効率を考慮した制御方法及び装置は、これまで開発されてこなかった。
【0015】
本発明の目的は、処理水中のりん濃度の目標値を満たした上で、エネルギー消費量が最小となるように、生物学的処理と物理化学的処理の適切な配分を演算して制御する水処理制御方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の水処理設備は、嫌気槽と好気槽をもつ生物反応槽と、凝集剤注入設備をもつ撹拌槽と、沈殿池と、計算機を備え、計算機は、処理水の水質及び生物反応槽の状態から、処理水中のりん濃度について目標値を満足した上でエネルギー消費量が最小となるように、曝気風量及び凝集剤注入率を演算する演算部と、演算結果に基づいて曝気設備及び凝集剤注入設備を制御する制御部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、処理水のりん濃度の目標値を満たし、曝気風量と凝集剤注入量の相関関係を調節することでエネルギー消費量が最小となるように制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例である水処理制御装置の構成図。
【図2】A2O法を用いた水処理制御装置の構成図。
【図3】撹拌槽を用いない水処理制御装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施例を図1から図3により説明する。
【0020】
図1は、嫌気−好気法(AO法)による水処理装置の構成図で、曝気風量及び凝集剤注入率を演算する制御装置を設けている。
【0021】
本実施例の水処理装置は、被処理水が配水管20を経て流入する嫌気槽4と、嫌気槽4に接続された好気槽5と、好気槽5に配水管21を介して接続された撹拌槽7と、撹拌槽7に配水管22を介して接続された最終沈殿池8と、水質計や制御装置と信号線を介して接続された計算機1とを備えている。
【0022】
配水管20には被処理水の流量を計測する流量計15と被処理水中のりん成分濃度を測定する前段水質計16が取付けられている。ここで、処理水及び浄化計画に応じて、アンモニア濃度や窒素成分濃度など、他の水質項目について追加的に前段水質計を取付けてもよい。
【0023】
嫌気槽4には、嫌気槽4内の特定指標を測定する嫌気槽水質計18が取付けられている。本実施例では指標としてORPを用いているが、生物的りん除去量と相関関係を持つ他の指標や濃度を用いてもよい。また、嫌気槽4には嫌気槽4内を撹拌する嫌気槽撹拌機19が取付けられている。好気槽5には、好気槽5内を曝気する曝気設備が取付けられている。曝気設備は、ブロワ10(送風機ともいう)と散気管9からなる。
【0024】
撹拌槽7には、撹拌槽7に凝集剤を注入する凝集剤注入設備14と、撹拌槽7内を撹拌する撹拌槽撹拌機11が取付けられている。最終沈殿池8と嫌気槽4とは、返送ポンプ12が取付けられた配水管24により連結されている。最終沈殿池8には、余剰汚泥を引抜する引抜ポンプ13が配水管25により接続されている。最終沈殿池8には、処理水を排出する配水管23が接続されている。
【0025】
流量計15,前段水質計16,嫌気槽水質計18,目標値入力部17には、それぞれの情報に基づいて曝気風量及び凝集剤注入率を演算する計算機1の演算部2が信号線31,32,33,34を介して接続されている。ブロワ10と凝集剤注入設備14には、計算機1の演算部2の演算結果を基にブロワ10の曝気風量と凝集剤注入設備14の凝集剤注入量を制御する計算機1の制御部3が信号線35と信号線36を介して接続されている。
【0026】
このように構成されているので、図1に示すように、被処理水は最初沈殿池(図示せず)で粗大な夾雑物が沈殿除去された後、配水管20を介して生物反応槽に流入する。被処理水が導かれる嫌気槽4には、最終沈殿池8から配水管24介して返送汚泥が供給され、被処理水と返送汚泥とが撹拌槽撹拌機19によって撹拌混合される。
【0027】
嫌気槽4は嫌気状態にあるため、活性汚泥は細胞内に蓄積していたポリりん酸を加水分解してオルトりん酸(PO4−P)を液中に放出し、一方で有機物を吸着して細胞内に蓄積する。このため、嫌気槽4ではりん濃度が増加し、有機物が減少する。
【0028】
嫌気槽4の混合液は隔壁を介して好気槽5に導かれる。好気槽5の底部には散気管9が設置されており、ブロワ10からの空気を散気することで、混合液を撹拌し、活性汚泥への酸素供給を行う。好気槽5は好気状態にあるため、活性汚泥は吸着した有機物を水と炭酸ガスに分解し、アンモニア性窒素を硝酸性あるいは亜硝酸性窒素に酸化する。また、液中のオルトりん酸をポリりん酸として細胞内に摂取する。前述の通り、この現象はりん過剰摂取と呼ばれ、通常、好気槽5での摂取量は嫌気槽4での放出量を上回る。従って、工程全体でみると液中のりん濃度は減少する。
【0029】
好気槽5からの移入水は配水管21を介して撹拌槽7へ導かれる。撹拌槽7では凝集剤注入設備14により凝集剤が注入され、撹拌槽撹拌機11により凝集剤と移入水とが混合撹拌される。撹拌槽7の混合液は配水管22を介して最終沈殿池8に導かれる。ここで、混合液中の活性汚泥が重力沈降することで固液分離が行われる。
【0030】
上澄み液は、配水管23を介して処理水として塩素殺菌後河川や海洋に放流される。沈殿した活性汚泥は、返送汚泥として返送ポンプ12により配水管24介して生物反応槽に返送され、余剰分は余剰汚泥として引抜ポンプ13を介して系外に排出される。
【0031】
この間、配水管20に取付けられた流量計15は、配水管20中を流れる被処理水の流量を計測し、その計測信号を信号線31を介して演算部2に送信する。配水管20に取付けられた前段水質計16は、配水管20中を流れる被処理水のりん成分濃度を計測し、その計測信号を信号線32を介して演算部2に送信する。嫌気槽4に取付けられた嫌気槽水質計18は、嫌気槽4中のORP値を計測し、その計測信号を信号線33を介して演算部2に送信する。目標値入力部17は、入力された目標値を信号線34を介して演算部2に送信する。演算部2は、流量計15と前段水質計16からの計測信号、及び目標値入力部17からの目標値に基づいて数1の演算を行い、りん除去量目標値の算出を行う。
【0032】
(数1)
Prem=(Pqua−Ptar)・Wvol (1)
ここで、Premはりん除去量目標値、Pquaは被処理水のりん成分濃度、Ptarは処理水のりん成分濃度目標値、Wvolは被処理水水量である。
【0033】
演算部2は、数1によって算出されたりん除去量目標値を達成する際の、ブロワ10の曝気風量と凝集剤注入設備14の凝集剤注入量を、数2〜数12により算出する。
【0034】
数2に示すように、りん除去量算出値は、生物学的処理による除去量と、物理化学的による除去量の和で求まる。
【0035】
(数2)
Prema=Prbio+Prche (2)
ここで、Premaはりん除去量算出値、Prbioはりんの生物学的処理量、Prcheはりんの物理化学的処理量である。
【0036】
数3に示すように、生物学的処理によるりん除去量は、嫌気槽4におけるORP値とORP係数、好気槽5における曝気風量と曝気風量係数の乗算によって求まる。
【0037】
(数3)
Prbio=ORP・Corp・AirC・Cairq (3)
ここで、ORPは嫌気槽4におけるORP値、CorpはORP係数、AirCは嫌気槽4における曝気風量、Cairqは曝気風量係数である。
【0038】
数4に示すように、物理化学的処理によるりん除去量は、撹拌槽7における凝集剤注入量と凝集剤注入係数の乗算により求まる。
【0039】
(数4)
Prche=PacC・Cpacq (4)
ここで、PacCは撹拌槽7における凝集剤注入量、Cpacqは凝集剤注入量係数である。
【0040】
数5に示すように、りん除去に伴う総エネルギー消費量増減値は、生物学的処理に伴うエネルギー消費量増減値と、物理化学的処理に伴うエネルギー消費量増減値の和で求まる。
【0041】
(数5)
ΔEtotal=ΔEbio+ΔEche (5)
ここで、ΔEtotalは総エネルギー消費量増減値、ΔEbioは生物学的処理に伴うエネルギー消費量増減値、ΔEcheは物理化学的処理に伴うエネルギー消費量増減値である。
【0042】
数6に示すように、生物学的処理に伴うエネルギー消費量増減値は、曝気風量の制御値と標準値の差に曝気エネルギー係数を乗じることで求まる。
【0043】
(数6)
ΔEbio=Caire(AirC−AirS) (6)
ここで、Caireは曝気エネルギー係数、AirCは曝気風量制御値、AirSは曝気風量標準値である。
【0044】
数7に示すように、物理化学的処理に伴うエネルギー消費量増減値は、凝集剤注入量の制御値と標準値の差に凝集剤注入エネルギー係数を乗じることで求まる。
【0045】
(数7)
ΔEche=Cpace(PacC−PacS) (7)
ここで、Cpaceは凝集剤注入エネルギー係数、PacCは凝集剤注入量制御値、PacSは凝集剤注入量標準値である。
【0046】
演算部2は、嫌気槽4における曝気風量AirC、撹拌槽7における凝集剤注入量PacCを変化させて、数1で求めたりん除去量目標値Premを満たし、総エネルギー消費量増減値ΔEtotalが最小となる曝気風量AirC、凝集剤注入量PacCを求める。ここで、総エネルギー消費量増減値ΔEtotalは必ずしも最小とする必要はなく、最小値から予め定めた設定値以下であればよい。
【0047】
数8に示すように、りん除去に伴う総コスト増減値は、生物学的処理に伴うコスト増減値と、物理化学的処理に伴うコスト増減値の和で求まる。
【0048】
(数8)
ΔCOSTtotal=ΔCOSTbio+ΔCOSTche (8)
ここで、ΔCOSTtotalは総コスト増減値、ΔCOSTbioは生物学的処理に伴うコスト増減値、ΔCOSTcheは物理化学的処理に伴うコスト増減値である。
【0049】
数9に示すように、生物学的処理に伴うコスト増減値は、曝気風量の制御値と標準値の差に曝気コスト係数を乗じることで求まる。
【0050】
(数9)
ΔCOSTbio=Cairc(AirC−AirS) (9)
ここで、Caircは曝気コスト係数である。
【0051】
数10に示すように、物理化学的処理に伴うコスト増減値は、凝集剤注入量の制御値と標準値の差に凝集剤注入コスト係数を乗じることで求まる。
【0052】
(数10)
ΔCOSTche=Cpacc(PacC−PacS) (10)
ここで、Cpaccは凝集剤注入エネルギー係数である。
【0053】
数11に示すように、エネルギー増減値を最小化する。これによって、エネルギー消費量が最小となるような条件を求める。
【0054】
(数11)
minimize ΔEtotale (11)
その際、数12に示すように、りん除去量算出値はりん除去量目標値を満足しなければならない。また、必要に応じてコスト等に制約を設けてもよい。
【0055】
(数12)
subject to Prema≧Prem (12)
このように演算部2で算出された曝気風量制御値と凝集剤注入量制御値は、制御部3へ送られる。曝気風量制御値は、信号線35を介して制御部3からブロワ10へ送られる。ブロワ10は、曝気風量制御値に基づいて散気管9を介し好気槽の曝気を行う。凝集剤注入量の制御値は、信号線36を介して制御部3から凝集剤注入設備14へ送られる。凝集剤注入設備14は、凝集剤注入量制御値に基づいて撹拌槽7への凝集剤注入を行う。以上により、処理水中のりん濃度について目標値を満足した上でエネルギー消費量が最小となるように、曝気風量と凝集剤注入率が調整,制御される。
【0056】
本実施例では対象プロセスをAO法で説明した。この他に、図2に示すようなA2O法(嫌気−無酸素−好気法)にも適用できる。A2O法では、嫌気槽4と好気槽5との間に無酸素槽6が設けられており、無酸素槽6を設けることにより、好気槽5内の汚泥が図示しない循環装置で無酸素槽6に戻され、無酸素槽6に送り込まれた亜硝酸性窒素と硝酸性窒素は、無酸素の条件下で脱窒細菌による硝酸性呼吸あるいは亜硝酸性呼吸により、窒素ガスへと還元され、系外に除去される。
【0057】
又、図3に示すように、攪拌混合が十分に行われる場合は、攪拌槽7を用いず、好気槽5と最終沈殿池8を配水管21で接続し、配水管21に凝集剤注入設備14から凝集剤を注入するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 計算機
2 演算部
3 制御部
4 嫌気槽
5 好気槽
6 無酸素槽
7 撹拌槽
8 最終沈殿池
9 散気管
10 ブロワ
11 撹拌槽撹拌機
12 返送ポンプ
13 引抜ポンプ
14 凝集剤注入設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水が配水管を経て流入する嫌気槽と、前記配水管に取付けられ被処理水の流量を計測する流量計及び被処理水のりん成分濃度を計測する前段水質計と、前記嫌気槽に設けられ嫌気槽における生物的りん除去量と相関関係を有する特定指標を計測する嫌気槽水質計と、前記嫌気槽に接続され曝気設備が取付けられている好気槽と、該好気槽に接続され凝集剤注入設備から凝集剤を注入され攪拌機が取付けられた攪拌槽と、処理水を排出する攪拌槽に接続された最終沈殿池と、該処理水のりん成分濃度目標値を入力する目標値入力部と、該処理水のりん成分濃度目標値と前記計測された被処理水のりん成分濃度と被処理水の流量からりん除去量目標値を算出し、該算出されたりん除去量目標値を満たし、前記特定指標も用いてエネルギー消費量が最小となるような曝気風量と凝集剤注入量を算出する演算部と、該演算部で算出された前記曝気風量と凝集剤注入量を基に前記曝気設備及び凝集剤注入設備を制御する制御部と、を備えた下水や産業排水の水処理制御装置。
【請求項2】
前記エネルギー消費量は、曝気による生物学的処理に伴うエネルギー消費増減値と、凝集剤による物理学的処理に伴うエネルギー消費増減値により計算される請求項1に記載の下水や産業排水の水処理制御装置。
【請求項3】
被処理水が嫌気槽に流入する配水管に取付けられた流量計で計測された被処理水の流量及び前段水質系で計測された被処理水のりん成分濃度と、目標値入力部により、最終沈殿池から排出する処理水のりん成分濃度目標値を入力し、算出部により、前記処理水のりん成分濃度目標値と前記計測された被処理水のりん成分濃度と被処理水の流量からりん除去量目標値を算出し、該算出されたりん除去量目標値を満たし、前記嫌気槽に設けられた嫌気槽水質計により計測された嫌気槽における生物的りん除去量と相関関係を有する特定指標も用いて、エネルギー消費量が最小となるような前記嫌気槽に接続された好気槽に取付けられている曝気設備の曝気風量と、前記好気槽に接続された攪拌槽に取付けられた凝集剤注入設備の凝集剤注入量を算出し、制御部により、前記演算部で算出された前記曝気風量と凝集剤注入量を基に前記曝気設備及び凝集剤注入設備を制御する下水や産業排水の水処理制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−269276(P2010−269276A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124836(P2009−124836)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】