説明

水処理方法および水処理装置

【課題】微量のアンモニア性窒素等の有害成分を効率よく処理できる水処理方法および水処理装置を提供する。
【解決手段】ろ過機能を有する上部ろ材部54近傍に水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機65を配置して、上部ろ材部54で処理した水と、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機65で発生させたマイクロナノバブルを含有する水とを混合して、淡水魚6の飼育のための上部展示水槽2に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば魚類や貝類などの生き物の飼育水の処理などに使用される水処理方法および水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水族館などでは、飼育槽内の水を重力式ろ過槽または急速式ろ過機等に送って浄化している。
【0003】
上記重力式ろ過槽では、主としてろ過材に砂を用い、生き物から排出されるアンモニア性窒素を亜硝酸生成菌や硝酸生成菌などの微生物で酸化処理していた。
【0004】
上記亜硝酸生成菌や硝酸生成菌などの微生物を繁殖させるためには、ろ過槽の容積を大きくする必要があった。
【0005】
また、上記亜硝酸生成菌や硝酸生成菌を常に繁殖させるためには、飼育槽とろ過槽との間で水を1日24時間連続して循環させ、ろ過槽に繁殖している亜硝酸生成菌や硝酸生成菌などの好気性の微生物に酸素を供給する必要があった。
【0006】
そして、生き物の飼育や養殖における水処理は、できる限りシンプルで、構造が簡単で、投資金額が少ない方が良いが、その様な利点ばかりの水処理システムは存在していなかった。
【0007】
ところで、特開2004−121962号公報(特許文献1)には、ナノバブルを用いた水処理の技術が開示されている。この技術は、ナノバブルが有する浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、静電分極の実現による界面活性作用および殺菌作用などの特性を活用したものである。より具体的には、上記技術では、それらが相互に関連することによって、汚れ成分の吸着機能、物体表面の高速洗浄機能、殺菌機能によって各種物体を高機能、低環境負荷で洗浄することができ、汚濁水の浄化を行うことができる。
【0008】
また、特開2003−334548号公報(特許文献2)には、オゾンマイクロバブルを廃液の処理に利用する技術が開示されている。この技術は、液体中において液体の一部を分解ガス化する工程、液体中で超音波を印加する工程または液体の一部を分解ガス化する工程、および、超音波を印加する工程から構成されている。
【0009】
また、特開2004−321959号公報(特許文献3)には、オゾンマイクロバブルを廃液の処理に利用する技術が開示されている。この技術では、マイクロバブル発生装置に、オゾン発生装置より生成されたオゾンガスと、処理槽の下部から抜き出された廃液とを、加圧ポンプを介して供給している。また、上記技術では、オゾン発生装置より生成されたオゾンマイクロバブルを、ガス吹き出しパイプの開口部より処理槽内の廃液中に通気している。
【0010】
しかしながら、特開2004−121962号公報、特開2003−334548号公報および特開2004−321959号公報の技術には、微量のアンモニア性窒素を効率よく処理できない問題がある。
【0011】
上記微量のアンモニア性窒素が充分に処理されていない水で、絶滅危惧種であり、タナゴの1種であるスイゲンゼニタナゴを飼育すると、スイゲンゼニタナゴは、生育がしだいに悪くなり、死滅してしまうことがある。
【0012】
それ故、河川の水質汚濁がしだいに進行したところでは、スイゲンゼニタナゴの数が激減している状況にある。
【0013】
特に、上記スイゲンゼニタナゴは、広島県東部、岡山県および兵庫県にしか生息していないため、将来絶滅の可能性が高い。
【特許文献1】特開2004−121962号公報
【特許文献2】特開2003−334548号公報
【特許文献3】特開2004−321959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明の課題は、微量のアンモニア性窒素等の有害成分を効率よく処理できる水処理方法および水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の水処理方法は、
ろ過機能を有するろ材部近傍に第1マイクロナノバブル発生機を配置して、上記ろ材部で処理した水と、上記第1マイクロナノバブル発生機で発生させたマイクロナノバブルを含有する水とを混合して、生き物の飼育に使用する飼育水槽内に供給することを特徴としている。
【0016】
上記構成の水処理方法によれば、上記ろ材部で処理した水と、第1マイクロナノバブル発生機で発生させたマイクロナノバブルを含有する水とを混合して、生き物の飼育に使用する飼育水槽内に供給する。このとき、上記ろ材部近傍に第1マイクロナノバブル発生機を配置しているので、ろ材部で処理した水は、第1マイクロナノバブル発生機で発生させたマイクロナノバブルと即座に混合する。
【0017】
したがって、上記ろ材部で処理した水の中に、微量の有害成分(例えばアンモニア性窒素)が残存していても、その微量の有害成分を、マイクロバブルが有する酸化作用で効率良く処理することができる。
【0018】
一実施形態の水処理方法では、
ろ過硝化部、脱窒部および第2マイクロナノバブル発生機を有するろ過水槽に、上記飼育水槽内の水を供給する。
【0019】
上記実施形態の水処理方法によれば、上記飼育水槽内の水をろ過水槽に供給する。このろ過水槽は、ろ過硝化部、脱窒部および第2マイクロナノバブル発生機を有するので、飼育水槽からの水に微量の有害成分が残存していても、その微量の有害成分をろ過水槽で処理できる。
【0020】
したがって、上記ろ過水槽を処理した水は再び飼育水槽に戻して再び使用できるので、ランニングコストを低減できる。
【0021】
一実施形態の水処理方法では、
上記ろ材部に、粒径サイズが異なる複数のマイクロナノバブルを供給する。
【0022】
上記実施形態の水処理方法によれば、上記ろ材部は、粒径サイズが異なる複数のマイクロナノバブルで処理されるので、ろ材部において、単に比較的微小な好気性バクテリアのみならず、比較的大型の微生物である原生動物も活性化し、ろ材部の水処理効率を向上させることができる。
【0023】
また、上記複数のマイクロナノバブルのうち、粒径サイズが比較的大きいものは、ろ材部が含むろ材を撹拌する効果を奏する。
【0024】
一実施形態の水処理方法では、
上記ろ材部の溶存酸素濃度を2ppm〜6ppmの範囲内にする。
【0025】
上記実施形態の水処理方法によれば、上記ろ材部の溶存酸素濃度を2ppm〜6ppmの範囲内にするので、ろ材部における好気性のバクテリアの繁殖効果を極めて高くすることができ、ろ材部の水処理効率を大きく向上させることができる。
【0026】
また、上記ろ材部の溶存酸素濃度が2ppm未満だと、ろ材部で好気性のバクテリアが繁殖し難く、ろ材部の水処理効率が低くなってしまう。
【0027】
また、上記ろ材部の溶存酸素濃度が6ppmを越えると、溶存酸素が過剰濃度となってしまう。
【0028】
また、本発明の水処理装置は、
生き物の飼育に使用する飼育水槽と、
ろ過機能を有して、上記飼育水槽に供給すべき水を処理するろ材部と、
上記ろ材部近傍に配置され、マイクロナノバブルを発生する第1マイクロナノバブル発生機と備えていることを特徴としている。
【0029】
上記構成の水処理装置によれば、上記第1マイクロナノバブル発生機はろ材部近傍に配置されているので、ろ材部で処理した水は、第1マイクロナノバブル発生機で発生させたマイクロナノバブルと即座に混合する。
【0030】
したがって、上記ろ材部で処理した水の中に、微量の有害成分(例えばアンモニア性窒素)が残存していても、その微量の有害成分を、マイクロバブルが有する酸化作用で効率良く処理することができる。
【0031】
一実施形態の水処理装置は、
マイクロナノバブルを含む水を上記ろ材部に向けて吐出する多孔管を備えている。
【0032】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記多孔管が、マイクロナノバブルを含む水をろ材部に向かって吐出するので、ろ材部全体の溶存酸素濃度を高くすることができる。
【0033】
したがって、上記ろ材部全体において好気性バクテリアを繁殖させて、ろ材部の水処理効率を向上させることができる。
【0034】
一実施形態の水処理装置は、
ナノバブルを含む水を上記ろ材部に向けて吐出する多孔管を備えている。
【0035】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記多孔管が、ナノバブルを含む水を上記ろ材部に向けて吐出するので、ろ材部全体の溶存酸素濃度を高くすることができる。
【0036】
したがって、上記ろ材部全体において好気性バクテリアを繁殖させて、ろ材部の水処理効率を向上させることができる。
【0037】
また、上記マイクロナノバブルを含む水をろ材部に与える場合よりも、ナノバブルを含む水をろ材部に与える方が、ろ材部にいる好気性バクテリアを活性化できる。
【0038】
また、上記ナノバブルが有するフリーラジカルによる強力な酸化作用により、例えば微量の有害性アンモニア性窒素を短時間で酸化処理して硝酸性窒素にすることができる。
【0039】
一実施形態の水処理装置は、
上記飼育水槽内の水が供給されると共に、ろ過硝化部、脱窒部および第2マイクロナノバブル発生機を有するろ過水槽を備えている。
【0040】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記飼育水槽内の水はろ過水槽に供給される。このろ過水槽は、ろ過硝化部、脱窒部および第2マイクロナノバブル発生機を有するので、飼育水槽からの水に微量のアンモニア性窒素等の有害成分が残存していても、その微量のアンモニア性窒素等の有害成分をろ過水槽で処理できる。
【0041】
したがって、上記ろ過水槽を処理した水は再び飼育水槽に戻して再び使用できるので、ランニングコストを低減できる。
【0042】
一実施形態の水処理装置は、
上記飼育水槽内の水が供給されると共に、ろ過硝化部、脱窒部およびナノバブル発生機を有するろ過水槽を備えている。
【0043】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記飼育水槽内の水はろ過水槽に供給される。このろ過水槽は、ろ過硝化部、脱窒部およびナノバブル発生機を有するので、飼育水槽からの水に微量の有害性アンモニア性窒素が残存していても、ナノバブルが有するフリーラジカルによる強力な酸化作用により、その微量の有害性アンモニア性窒素を短時間で酸化処理して硝酸性窒素とすることができる。
【0044】
一実施形態の水処理装置は、
マイクロナノバブルを含む水を上記ろ過硝化部に向けて吐出する多孔管を備えている。
【0045】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記多孔管が、マイクロナノバブルを含む水をろ過硝化部に向けて吐出するので、ろ過硝化部全体の溶存酸素を高めることができる。
【0046】
したがって、上記ろ過硝化部全体に好気性バクテリアを繁殖させることができるので、ろ材部の水処理効率を向上させることができる。
【0047】
一実施形態の水処理装置は、
ナノバブルを含む水を上記ろ過硝化部に向けて吐出する多孔管を備えている。
【0048】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記多孔管が、ナノバブルを含む水を上記ろ過硝化部に向けて吐出するので、ろ過硝化部全体の溶存酸素濃度を高くすることができる。
【0049】
したがって、上記ろ過硝化部全体において好気性バクテリアを繁殖させて、ろ過硝化部の水処理効率を向上させることができる。
【0050】
また、上記マイクロナノバブルを含む水をろ過硝化部に与える場合よりも、ナノバブルを含む水をろ過硝化部に与える方が、ろ過硝化部にいる好気性バクテリアを活性化できる。
【0051】
また、上記ナノバブルが有するフリーラジカルによる強力な酸化作用により、例えば微量の有害性アンモニア性窒素を短時間で酸化処理して硝酸性窒素にすることができる。
【0052】
一実施形態の水処理装置では、
上記脱窒部にはひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物が充填されている。
【0053】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物は別名放射状輪状体とも言われ、中心部が網目構造で容易に嫌気状態となり、脱窒菌を高濃度に培養でき、硝酸性窒素を効率よく窒素ガスまで還元して除去することができる。
【0054】
したがって、上記ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物を脱窒部に充填しているので、脱窒部において硝酸性窒素を効率よく窒素ガスまで還元して除去することができる。
【0055】
一実施形態の水処理装置では、
上記脱窒部にはリング型ポリ塩化ビニリデン充填物が充填されている。
【0056】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記リング型ポリ塩化ビニリデン充填物は別名放射状輪状体とも言われ、中心部が網目構造で容易に嫌気状態となり、脱窒菌を高濃度に培養でき、硝酸性窒素を効率よく窒素ガスまで還元して除去することができる。
【0057】
したがって、上記リング型ポリ塩化ビニリデン充填物を脱窒部に充填しているので、脱窒部において硝酸性窒素を効率よく窒素ガスまで還元して除去することができる。
【0058】
ところで、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物を脱窒部に充填する場合、ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物の両端部を固定する金具が必要となる。
【0059】
これに対して、上記リング型ポリ塩化ビニリデン充填物を脱窒部に充填する場合、上記金具のような固定具は不要である。
【0060】
したがって、上記ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物を脱窒部に充填するよりも、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物を脱窒部に充填する方が、イニシャルコストを低減できる。
【0061】
一実施形態の水処理装置では、
上記ろ材部は活性炭をろ材として含む。
【0062】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記ろ材部のろ材が活性炭であるので、活性炭が有する物理的な吸着作用と、活性炭に繁殖した好気性のバクテリアとにより、飼育水槽に供給すべき水が含む成分を生物学的に処理できる。
【0063】
また、上記活性炭に繁殖した好気性のバクテリアは、マイクロナノバブルにより、活性化されるので、ろ材部の水処理効率を向上させることもできる。
【0064】
一実施形態の水処理装置では、
上記ろ材部はサンゴをろ材として含む。
【0065】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記ろ材部のろ材がサンゴであるので、飼育水槽に供給すべき水の液性が酸性に傾いた時は、サンゴの成分である炭酸カルシウムが溶解して、中和作用を示すと同時に、サンゴに存在する無数の小孔にバクテリアが繁殖して、バクテリアにより、飼育水槽に供給すべき水が含む成分を生物学的に処理できる。
【0066】
また、上記サンゴに繁殖した好気性のバクテリアは、マイクロナノバブルにより、活性化されるので、ろ材部の水処理効率を向上させることもできる。
【0067】
一実施形態の水処理装置では、
上記ろ材部は活性炭とサンゴとの混合物をろ材として含む。
【0068】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記ろ材部のろ材が活性炭とサンゴとの混合物であるので、活性炭による物理学的吸着作用や、サンゴの主成分による炭酸カルシウムによるpH調整作用を利用でき、また、活性炭およびサンゴに繁殖する好気性のバクテリアによる生物学的な水質の処理作用も利用できる。
【0069】
一実施形態の水処理装置では、
上記ろ材部は竹炭をろ材として含む。
【0070】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記ろ材部のろ材が竹炭であるので、竹炭が有する物理的な吸着作用と、竹炭に繁殖した好気性のバクテリアとにより、飼育水槽に供給すべき水が含む成分を生物学的に処理できる。
【0071】
また、上記竹炭に繁殖した好気性のバクテリアは、マイクロナノバブルにより、活性化されるので、ろ材部の水処理効率を向上させることができる。
【0072】
一実施形態の水処理装置では、
上記ろ材部は木炭をろ材として含む。
【0073】
上記実施形態の水処理装置によれば、上記ろ材部のろ材が木炭であるので、木炭が有する物理的な吸着作用と、木炭に繁殖した好気性のバクテリアとにより、飼育水槽に供給すべき水が含む成分を生物学的に処理できる。
【0074】
また、上記木炭に繁殖した好気性のバクテリアは、マイクロナノバブルにより、活性化されるので、ろ材部の水処理効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0075】
本発明の水処理装置によれば、ろ過機能を有するろ材部で処理した水と、第1マイクロナノバブル発生機で発生させたマイクロナノバブルを含有する水とを混合して、生き物の飼育に使用する飼育水槽内に供給するとき、ろ材部近傍に第1マイクロナノバブル発生機を配置しているので、ろ材部で処理した水は、第1マイクロナノバブル発生機で発生させたマイクロナノバブルと即座に混合する。
【0076】
したがって、上記ろ材部で処理した水の中に、微量の有害成分(例えばアンモニア性窒素)が残存していても、その微量の有害成分を、マイクロバブルが有する酸化作用で効率良く処理することができる。
【0077】
本発明の水処理装置によれば、第1マイクロナノバブル発生機はろ材部近傍に配置されているので、ろ材部で処理した水は、第1マイクロナノバブル発生機で発生させたマイクロナノバブルと即座に混合する。
【0078】
したがって、上記ろ材部で処理した水の中に、微量の有害成分(例えばアンモニア性窒素)が残存していても、その微量の有害成分を、マイクロバブルが有する酸化作用で効率良く処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0079】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0080】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の微量アンモニア性窒素処理装置1を模式的に示す図である。
【0081】
上記微量アンモニア性窒素処理装置1は、生き物の一例である淡水魚6を入れる上部展示水槽2と、この上部展示水槽2下に配置された下部ろ過槽3とを備え、例えば水族館で使用される。尚、上記上部展示水槽2は飼育水槽の一例であり、下部ろ過槽3はろ過水槽の一例である。
【0082】
上記上部展示水槽2は、水槽本体4と、この水槽本体4内の淡水である飼育水を下部ろ過槽3へ導くオーバーフロー管5と、その水槽本体4内に配置された第1マイクロナノバブル発生部53とを有している。そして、上記水槽本体4内には、図示しない流入配管を介して淡水が導入される。この上部展示水槽2は、淡水魚である各種タナゴや絶滅危惧種のタナゴ(例えばスイゼンゼニタナゴ)の飼育に使用できる。また、上記淡水魚6を展示しない場合は、上部展示水槽2は養殖にも使用できる。
【0083】
上記第1マイクロナノバブル発生部53は、ろ材収容容器63と、このろ材収容容器63下に配置された水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20とを有している。尚、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20は第1マイクロナノバブル発生機の一例である。
【0084】
上記ろ材収容容器63の上部は上部ろ材部54であり、この上部ろ材部54内にはろ材13が充填されている。また、上記ろ材収容容器63の下部内には多孔管11,19を配置している。尚、上記上部ろ材部54はろ材部の一例である。
【0085】
また、上記上部ろ材部54において上側のろ材13には、下部ろ過槽3で、微量のアンモニア性窒素が高度に処理された飼育水が、散水配管14を経由して散水される。この散水はろ過槽ポンプ48によって行われる。また、上記散水時には電動バルブ15が開放される。
【0086】
本第1実施形態では、ろ材13として顆粒状のヤシガラ活性炭を採用している。このヤシガラ活性炭には、吸着能力があるため、微量のアンモニア性窒素を吸着処理できる。また、上記ヤシガラ活性炭では亜硝酸菌や硝酸菌が繁殖するので、ヤシガラ活性炭は吸着した微量のアンモニア性窒素を生物学的に酸化して、亜硝酸や硝酸まで酸化できる。
【0087】
上記多孔管11,19は、溶存酸素を豊富に含有する飼育水をろ材13に向けて吐出する。この多孔管11,19から吐出される飼育水は、下部ろ過槽3で処理された飼育水であるから、微量のアンモニア性窒素を含有していない。
【0088】
また、上記多孔管11,19は、飼育水を常時吐出するのではなく、シーケンサー50に組み込まれたシーケンスにしたがって吐出する。具体的には、上記ろ材収容容器63の溶存酸素濃度が常に高濃度となるような間隔で電動バルブ17が開となり、吐出運転される。そして、上記ろ材収容容器63内の溶存酸素濃度を可能な限り高めることにより、亜硝酸菌や硝酸菌の活動を可能な限り高めることができる。
【0089】
また、上記ろ材収容容器63内では、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20から発生したマイクロナノバブルが滞留する。このマイクロナノバブルが、マイクロナノバブルが亜硝酸菌や硝酸菌の微生物活性を溶存酸素が豊富な条件でさらに高めることになる。
【0090】
したがって、上記水槽本体4へ供給すべき飼育水中に含まれる微量アンモニア性窒素を上部ろ材部54で生物学的に処理することができる。
【0091】
尚、上記多孔管11,19の形状は特に限定するものではなく、スリット状でも多孔状でも良い。要するに、上記多孔管11,19の形状は、上部ろ材部54において下側のろ材13の全部に向かって、微量のアンモニア性窒素が完全に処理された飼育水を吐出できるものであればよい。
【0092】
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20は、上部ろ材部54近傍に位置して、吸込み部21、吐出部22、モータ部23および仕切り板64を有している。
【0093】
本第1実施形態では、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20として市販のものを使用し、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20の吸込み部21と、その水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20の吐出部22との間に仕切り版64を取り付けている。これにより、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20において、吸込み側の飼育水と吐出側の飼育水が可能な限り混合しないようにしている。
【0094】
すなわち、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20の吸込み部21近傍の飼育水は、マイクロナノバブルを含まず、微量のアンモニア性窒素を含有する飼育水である。これに対して、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20の吐出部22近傍の飼育水は、マイクロナノバブルを含み、かつ、微量のアンモニア性窒素が処理された飼育水である。
【0095】
また、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20が吐出部22からマイクロナノバブルを吐出することにより、水槽本体4内でマイクロナノバブル流8が発生する。
【0096】
上記微量のアンモニア性窒素が処理された飼育水とは、散水配管14からの飼育水が含有する微量のアンモニア性窒素を、ろ材収容容器63内のろ材15であるヤシガラ活性炭で吸着し、このヤシガラ活性炭に繁殖した好気性のバクテリアである硝酸菌や亜硝酸菌で処理して得られる飼育水である。
【0097】
このように、上記ヤシガラ活性炭による処理は、ヤシガラ活性炭の物理学的吸着処理、および、活性炭に繁殖した亜硝酸菌や硝酸菌による微生物学的処理とを含む。
【0098】
また、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20は、水槽本体4外に設置された小型ブロワ44から、空気配管43を介して、空気を1〜5リットル/分のレベルで空気を受け入れている。そして、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20は、小型ブロワ44からの空気を飼育水と混合しながら、図示しないインペラを高速回転させることによって、その空気と飼育水との混合物をせん断して、マイクロナノバブルを発生させている。
【0099】
上記小型ブロワ44は、シーケンサー50により、時として停止するので、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20の吐出部22近傍の空気を少なくしている。これにより、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20の吐出部22近傍ではナノバブルが発生し易くなっている。
【0100】
尚、上記ろ材収容容器63内部の水の流れは、通常は、上から下へ向かう流れ、すなわち下降流であるが、ろ材収容容器63内部の溶存酸素を高める場合は、飼育水が多孔管11,19より吐出して、上降流となる。
【0101】
上記ろ材収容容器63内に繁殖する亜硝酸菌や硝酸菌を中心とした微生物は、マイクロナノバブルによって活性が増し、多量の溶存酸素を消費する。このため、上記ろ材収容容器63の内部下部では溶存酸素濃度が低下し、その結果、亜硝酸菌や硝酸菌を中心とした微生物の活性が低下する。
【0102】
そこで、上記微生物の活性が低下するのを防ぐため、定期的に、電動バブル17を開き、かつ、ろ過槽ポンプ48を稼働させる。これにより、上記多孔管11,19が、定期的に、溶存酸素を豊富に含む飼育水を吐出する。そうすると、上記ろ材収容容器63の内部全体の溶存酸素濃度が上昇するので、亜硝酸菌や硝酸菌を中心とした微生物の活性が高くなる。
【0103】
また、上記水槽本体2内の飼育水は、淡水魚6から排出されるアンモニア性窒素を含む。そして、上記水槽本体2内でアンモニア性窒素を含んだ飼育水は、オーバーフロー管5を経て、重力でオーバーフロー水7となって、下部ろ過槽3のろ過硝化部25に導入される。
【0104】
上記下部ろ過槽3は、アンモニア性窒素を亜硝酸性窒素や硝酸性窒素まで酸化するためのろ過硝化槽25と、この酸化された亜硝酸性窒素や硝酸性窒素を窒素ガスとして脱窒するための脱窒部26と、このマイクロナノバブルを発生するためのマイクロナノバブル発生部42とを有している。
【0105】
上記ろ過硝化部25は、下部ろ材部24を有し、脱窒部26とは仕切板31で仕切られている。そして、上記ろ過硝化部25には、ろ材29、多孔管27および多孔板32が上から下に向かってこの順で設置されている。上記多孔板32の設置により、ろ材29がろ過槽本体70の底部へ落下するのを防止している。
【0106】
上記ろ材29は、一部しか図示していないが、下部ろ材部24の内部上部から内部下部まで充填している。このろ材29には硝酸菌や亜硝酸菌が繁殖する。また、上記硝酸菌や亜硝酸菌は、オーバーフロー水7が含有するマイクロナノバブルにより、下部ろ材部24内でも活発に繁殖して、溶存酸素を通常よりも多く消費する。そのため、上記下部ろ材部24の内部下部では、溶存酸素濃度が低下して、硝酸菌や亜硝酸菌の活動が不充分となる。
【0107】
そこで、上記硝酸菌や亜硝酸菌の活動が不充分となるのを防ぐため、定期的に、電動バブル49を開き、かつ、ろ過槽ポンプ48を稼働させて、溶存酸素濃度が高い飼育水を逆洗配管28を介して多孔管27に供給する。これにより、上記多孔管27が、定期的に、溶存酸素濃度が高い飼育水を吐出する。そうすると、上記下部ろ材部24の内部下部における溶存酸素濃度が上昇するので、硝酸菌や亜硝酸菌の活動が高くなる。
【0108】
このように、上記ろ過硝化部25内において、硝酸菌や亜硝酸菌の活動が高くなるので、微量のアンモニア性窒素を酸化できる。
【0109】
上記脱窒部26には、ろ過硝化部25を出た飼育水が水流30となって流入する。この脱窒部26は上下方向に延びる仕切り板33を有し、脱窒部26にはひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物35を上側固定金具36および下側固定金具34で固定している。
【0110】
上記ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物35は、別名放射状輪状体充填材とも言われ、中心部である内部には、水の中の酸素が行き届かない構造になっており、構造からして嫌気部分を構築できる。また、実績としても、排水処理における脱窒槽にひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物35を充填して効果を挙げている。よって、上記ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物35に脱窒菌が繁殖して、微量のアンモニア性窒素が微量の硝酸性窒素を還元して、脱窒することになる。
【0111】
上記第2マイクロナノバブル発生部42は、脱窒部26を出た飼育水をマイクロナノバブルで処理するため、循環ポンプ型マイクロナノバブル発生機69を有している。尚、上記循環ポンプ型マイクロナノバブル発生機69は第2マイクロナノバブル発生機の一例である。
【0112】
上記循環ポンプ型マイクロナノバブル発生機69は、気体せん断部38、吐出水配管39、循環ポンプ40、吸込水配管41、空気配管51およびニードルバルブ52から構成されている。この循環ポンプ型マイクロナノバブル発生機69によって、多量のマイクロナノバブルと極少量のナノバブルとをろ過槽本体70内で発生させることができる。
【0113】
上記気体せん断部38はろ過槽本体70内に設置されている。この気体せん断部38には空気配管51を介して空気が導入され、この空気の量はニードルバルブ52で正確に調整可能である。
【0114】
上記循環ポンプ40はろ過槽本体70内に設置されて、吸込水配管41を介して吸い込んだ飼育水を吐出する。この循環ポンプ40によって圧力が高まった飼育水は吐出水配管39を介して気体せん断部38に供給される。
【0115】
上記気体せん断部38はマイクロナノバブル流37を起こす。より詳しくは、上記気体せん断部38は、空気配管51からの空気と、吐出水配管39からの飼育水とを混合、せん断して、マイクロナノバブルおよびナノバブルを発生する。ここで、上記マイクロバブルとナノバブルとを比較すると、圧倒的にマイクロバブルの方がナノバブルよりも多く発生している。
【0116】
また、上記ろ過槽本体70外にはろ過槽ポンプ48を設置している。このろ過槽ポンプ48により、マイクロナノバブルを含有した飼育水を3ヶ所に送水している。この3ヶ所うち、一ヶ所は上部ろ過部54、他の一ヶ所は多孔管11,19、残りの一ヶ所は多孔管27である。
【0117】
上記3ヶ所への飼育水の供給は、電動バルブ15,17,49のうちの1つを開放し、残りの2つを閉鎖するように、シーケンサー50に予め組み込まれたシーケンスによってしたがって行われる。また、上記電動バルブ15を開放する時間は最も長く、電動バルブ17,49を開放する時間は短い。また、上記電動バルブ17,49は、上部ろ材部54および下部ろ材部24の内部下部の溶存酸素濃度を上昇させる時に開放される。
【0118】
尚、上記シーケンサー50は、信号線16,45,46,47を介して、電動バルブ15,17,49、小型ブロワ44およびろ過槽ポンプ48を制御している。
【0119】
ここで、3種類のバブルについて説明する。
(i) 通常のバブル(気泡)は水の中を上昇して、ついには表面でパンとはじけて消滅する。
(ii) マイクロバブルは、例えば、発生時において10〜数十μmの気泡径を有する気泡である。
(iii) ナノバブルは、マイクロバブルよりさらに小さいバブル(直径が1ミクロン以下、例えば100nm〜200nm)でいつまでも水の中に存在することが可能な気泡である。
【0120】
したがって、マイクロナノバブルとは、マイクロバブルとナノバブルとが混在したバブルと説明できる。
【0121】
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20,循環ポンプ型マイクロナノバブル発生機69で発生するバブルは、マイクロバブルが大部分で、ナノバブルは僅かです。上記マイクロバブルの発生量とナノバブルの発生量との割合は、ある程度だが、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20,循環ポンプ型マイクロナノバブル発生機69に導入する空気の量で調整可能である。
【0122】
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20がマイクロバブルおよびナノバブルを発生することによって、マイクロバブルおよびナノバブルが上部ろ材部54に付着するので、上部ろ材部54において、単に微細な好気性バクテリアのみならず、大型の微生物である原生動物も活性化し、上部ろ材部54にの水処理効率を向上させることができる。
【0123】
また、上記マイクロバブルおよびナノバブルのうち、マイクロバブルはろ材部が含むろ材を撹拌する効果を奏する。
【0124】
尚、本第1実施形態では使用していないが、ナノバブル発生機で発生するバブルは、ナノバブルが大部分で、マイクロバブルは僅かです。上記マイクロバブルの発生量とナノバブルの発生量との割合は、ある程度だが、ナノバブル発生機に導入する空気の量で調整可能である。
【0125】
また、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20は、市販されているものならば、メーカーを限定するものではない。本第1実施形態では、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20として野村電子工業株式会社のマイクロバブラーMB−150を採用した。
【0126】
また、本第1実施形態では、気体せん断部38としてナノプラネット研究所の製品(M2−LM型)を採用した。
【0127】
言うまでもないが、目的に応じて、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機20や気体せん断部38として他のメーカのものを採用してもよい。
【0128】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態の微量アンモニア性窒素処理装置201を模式的に示す図である。また、図2において、図1に示した第1実施形態の微量アンモニア性窒素処理装置1と同一の構成部は、図1における構成部と同一参照番号を付して説明を省略する。
【0129】
上記微量アンモニア性窒素処理装置201は、脱窒部226にリング型ポリ塩化ビニリデン充填物56を充填している点が上記第1実施形態と異なる。
【0130】
また、上記リング型ポリ塩化ビニリデン充填物56を設置するために、脱窒部226の下部に多孔板32を設けている。
【0131】
上記構成の微量アンモニア性窒素処理装置201によれば、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物56は別名放射状輪状体とも言われ、中心部が網目構造で容易に嫌気状態となり、脱窒菌を高濃度に培養でき、硝酸性窒素を効率よく窒素ガスまで還元して除去することができる。
【0132】
したがって、上記リング型ポリ塩化ビニリデン充填物56を脱窒部226に充填しているので、脱窒部226において硝酸性窒素を効率よく窒素ガスまで還元して除去することができる。
【0133】
また、上記リング型ポリ塩化ビニリデン充填物56を脱窒部226に充填する場合、上記第1実施形態の上側固定金具36および下側固定金具34は不要である。
【0134】
したがって、上記第1実施形態に比べて本第2実施形態の方がイニシャルコストを低減できる。
【0135】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態の微量アンモニア性窒素処理装置301を模式的に示す図である。また、図3において、図1に示した第1実施形態の微量アンモニア性窒素処理装置1と同一の構成部は、図1における構成部と同一参照番号を付して説明を省略する。
【0136】
上記微量アンモニア性窒素処理装置301は、下部ろ過槽3にナノバブル発生部67を設けている点が上記第1実施形態と異なる。
【0137】
上記ナノバブル発生部67はナノバブル発生機68を有している。このナノバブル発生機68は、吐出水配管39、吸込水配管41、気液混合循環ポンプ57、第1気体せん断部(マイクロバブル発生部)58、第2気体せん断部59、第3気体せん断部60、気体配管61およびニードルバルブ62から構成され、多量のナノバブルと少量のマイクロバブルとを発生する。
【0138】
以下、上記ナノバブル発生機68のメカニズムについて説明する。
【0139】
上記ナノバブル発生機68は、大きくは、第1段階と第2段階を経て、ナノバブルを製造する。
【0140】
まず、上記第1段階について簡単に説明すると、第1気体せん断部58において、流体力学的に圧力を制御し、負圧形成部分から気体を吸入し、高速流体運動させて、負圧部を形成し、マイクロバブルを発生させる。より解かりやすく簡単に説明すると、水と空気を効果的に自給混合溶解し、圧送することにより、マイクロバブル白濁水を製造することが、第1段階である。
【0141】
次に、上記第2段階について簡単に説明すると、第2気体せん断部59と第3気体せん断部60において、高速流体運動させて、負圧部を形成し、マイクロバブルを発生させて、第2気体せん断部59と第3気体せん断部60に導入し、流体運動としてせん断することによって、マイクロバブルからナノバブルを発生させることになる。
【0142】
さらにより、詳細に第1段階と第2段階を説明する。
【0143】
上記第1段階では、ナノバブル発生機68に使用している気液混合循環ポンプ57は、揚程40m以上(すなわち、4kg/cm2の高圧)の高揚程のポンプである。
【0144】
すなわち、上記第1気体せん断部58を有する気液混合循環ポンプ57は、必ず、高揚程のポンプであり、かつ、4ポールのものに比べてトルクが安定している2ポールのものを選定することが必要である。
【0145】
また、上記気液混合循環ポンプ57は圧力の制御が必要で、この高揚程のポンプの回転数を回転数制御器(一般的にはインバーターと呼ばれるもの)で目的にあった圧力としている。
【0146】
上記第2段階では、第1気体せん断部58で発生させたマイクロバブルを、第2気体せん断部59に圧送する際、第2気体せん断部59と第3気体せん断部60においては、吸い込み配管41と比較して、さらに、配管サイズを細くして、かつ高速流体運動させて、竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。これにより、上記マイクロバブルからナノバブルが発生すると同時に、超高温の極限反応場が形成される。
【0147】
上記第2気体せん断部59と第3気体せん断部60を設ける理由は、ナノバブル量をより多く発生させるためには、ナノバブル作製のための気体せん断部も2段階で構成する方が、1段階で気体せん断部を構成するよりも、ナノバブル量が多量であるからである。
【0148】
したがって、上記ナノバブル発生機68からナノバブルが多量に発生するので、微量のアンモニア性窒素が、ナノバブルの強力な酸化力によって、短時間に硝酸性窒素まで酸化され、飼育水中のアンモニア性窒素の濃度を低減できる。
【0149】
(第4実施形態)
図4は、本発明の第4実施形態の微量アンモニア性窒素処理装置401を模式的に示す図である。また、図4において、図2,図3に示した第2,第3実施形態の微量アンモニア性窒素処理装置301と同一の構成部は、図2,図3における構成部と同一参照番号を付して説明を省略する。
【0150】
上記微量アンモニア性窒素処理装置401は、脱窒部226にリング型ポリ塩化ビニリデン充填物56を充填している点が上記第3実施形態と異なる。
【0151】
また、上記リング型ポリ塩化ビニリデン充填物56を設置するために、脱窒部226の下部に多孔板32を設けている。
【0152】
上記構成の微量アンモニア性窒素処理装置401によれば、リング型ポリ塩化ビニリデン充填物56は別名放射状輪状体とも言われ、中心部が網目構造で容易に嫌気状態となり、脱窒菌を高濃度に培養でき、硝酸性窒素を効率よく窒素ガスまで還元して除去することができる。
【0153】
したがって、上記リング型ポリ塩化ビニリデン充填物56を脱窒部226に充填しているので、脱窒部226において硝酸性窒素を効率よく窒素ガスまで還元して除去することができる。
【0154】
また、上記リング型ポリ塩化ビニリデン充填物56を脱窒部226に充填する場合、上記第1実施形態の上側固定金具36および下側固定金具34は不要である。
【0155】
したがって、上記第1実施形態に比べて本第2実施形態の方がイニシャルコストを低減できる。
【0156】
(実験例)
図1の微量アンモニア性窒素処理装置1に対応する処理装置を製作した。この処理装置では、上部展示水槽の全体容量は800リットル、第1マイクロナノバブル発生部の容量は30リットル、下部ろ過槽の全体容量は500リットル、ろ過硝化部の容量は100リットル、脱窒部の容量は150リットル、第2マイクロナノバブル発生部の容量は250リットル、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機のモータ部の電気容量は150W、循環ポンプ40の電気容量は300Wとし、工業用水を投入して、約1ヶ月慣らし運転をした。
【0157】
上記慣らし運転後、処理装置において、数種類の水質に敏感なタナゴ(ヤリタナゴ、アブラボテ、シロヒレタビラ、カネヒラ、スイゲンゼニタナゴ等)を、最初数匹から時間の経過と共にタナゴ数を増加させて飼育した。
【0158】
そして、比較データを得るため、従来のシステムを用いて、タナゴ(ヤリタナゴ、アブラボテ、カネヒラ)を、最初数匹から時間の経過と共にタナゴ数を増加させて飼育した。尚、上記従来のシステムは、全体容量800リットルの上部展示水槽、全体容量250リットルの下部ろ過槽、容量100リットルのろ過硝化部、および、容量150リットルの脱窒部を備え、第1,第2マイクロナノバブル発生部53,42、ナノバブル発生部67に対応する機器を備えていないものである。
【0159】
そして、2ヶ月後、上記処理装置と従来のシステムとのそれぞれの処理装置における上部展示水槽の微量アンモニア性窒素の濃度を測定したところ、処理装置の上部展示水槽のアンモニア性窒素濃度0.4ppmがであったに対して、従来システムの上部展示水槽2のアンモニア性窒素濃度0.8ppmであった。
【0160】
以上より明らかなように、本発明の水処理方法および水処理装置は、例えば、アンモニア性窒素の生物毒性に弱い絶滅危惧種スイゲンゼニタナゴの飼育に用いることができる。
【0161】
上記第1〜第4実施形態において、シーケンサー50は、上部ろ材部54の溶存酸素濃度を2ppm〜6ppmの範囲内になるように、多孔管11,19による飼育水の吐出を制御してもよい。このような制御を行うことにより、上部ろ材部54における好気性のバクテリアの繁殖効果を極めて高くすることができ、上部ろ材部54の水処理効率を大きく向上させることができる。
【0162】
また、上記第1〜第4実施形態では、ろ材13としてヤシガラ活性炭を採用していたが、他の活性炭を採用してもよいし、あるいは、ろ材13として、サンゴ、活性炭とサンゴとの混合物、竹炭、木炭として採用をしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】図1は本発明の第1実施形態の微量アンモニア性窒素処理装置の模式図である。
【図2】図2は本発明の第2実施形態の微量アンモニア性窒素処理装置の模式図である。
【図3】図3は本発明の第3実施形態の微量アンモニア性窒素処理装置の模式図である。
【図4】図4は本発明の第4実施形態の微量アンモニア性窒素処理装置の模式図である。
【符号の説明】
【0164】
1 微量アンモニア性窒素処理装置 2 上部展示水槽
3 下部ろ過槽 4 水槽本体
5 オーバーフロー管 6 魚
7 オーバーフロー水 8 マイクロナノバブル流
9 水流 10 逆洗配管
11多孔管 12 マイクロナノバブル含有水流
13 ろ材 14 散水配管
15 電動バルブ 16 信号線
17 電動バルブ 18 マイクロナノバブル含有水流
19 多孔管 20 水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機
21 吸込み部 22 吐出部
23 モータ部 24 下部ろ材部
25 ろ過硝化部 26 脱窒部
27 多孔管 28 逆洗配管
29 ろ材 30 水流
31 仕切り板 32 多孔板
33 仕切り板 34 固定金具
35 ひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物
36 固定金具 37 マイクロナノバブル流
38 気体せん断部 39 吐出水配管
40 循環ポンプ 41 吸込水配管
42 第2マイクロナノバブル発生部 43 空気配管
44 小型ブロワ 45 信号線
46 信号線 47 信号線
48 ろ過槽ポンプ 49 電動バルブ
50 シーケンサー 51 空気配管
52 ニードルバルブ 53 第1マイクロナノバブル発生部
54 上部ろ材部 55 吸込および吐出部
56 リング型ポリ塩化ビニリデン充填物
57 気液混合循環ポンプ 58 第1気体せん断部
59 第2気体せん断部 60 第3気体せん断部
61 気体配管 62 ニードルバルブ
63 ろ材収容容器 64 仕切板
66 多孔壁 67 ナノバブル発生部
68 ナノバブル発生機 69 循環ポンプ型マイクロナノバブル発生機
70 ろ過槽本体
201,301,401 微量アンモニア性窒素処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過機能を有するろ材部近傍に第1マイクロナノバブル発生機を配置して、上記ろ材部で処理した水と、上記第1マイクロナノバブル発生機で発生させたマイクロナノバブルを含有する水とを混合して、生き物の飼育に使用する飼育水槽内に供給することを特徴とする水処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理方法において、
ろ過硝化部、脱窒部および第2マイクロナノバブル発生機を有するろ過水槽に、上記飼育水槽内の水を供給することを特徴とする水処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水処理方法において、
上記ろ材部に、粒径サイズが異なる複数のマイクロナノバブルを供給することを特徴とする水処理方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の水処理方法において、
上記ろ材部の溶存酸素濃度を2ppm〜6ppmの範囲内にすることを特徴とする水処理方法。
【請求項5】
生き物の飼育に使用する飼育水槽と、
ろ過機能を有して、上記飼育水槽に供給すべき水を処理するろ材部と、
上記ろ材部近傍に配置され、マイクロナノバブルを発生する第1マイクロナノバブル発生機と
備えていることを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の水処理装置において、
マイクロナノバブルを含む水を上記ろ材部に向けて吐出する多孔管を備えていることを特徴とする水処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の水処理装置において、
ナノバブルを含む水を上記ろ材部に向けて吐出する多孔管を備えていることを特徴とする水処理装置。
【請求項8】
請求項5から7までのいずれか一項に記載の水処理装置において、
上記飼育水槽内の水が供給されると共に、ろ過硝化部、脱窒部および第2マイクロナノバブル発生機を有するろ過水槽を備えていることを特徴とする水処理装置。
【請求項9】
請求項5から7までのいずれか一項に記載の水処理装置において、
上記飼育水槽内の水が供給されると共に、ろ過硝化部、脱窒部およびナノバブル発生機を有するろ過水槽を備えていることを特徴とする水処理装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の水処理装置において、
マイクロナノバブルを含む水を上記ろ過硝化部に向けて吐出する多孔管を備えていることを特徴とする水処理装置。
【請求項11】
請求項8または9に記載の水処理装置において、
ナノバブルを含む水を上記ろ過硝化部に向けて吐出する多孔管を備えていることを特徴とする水処理装置。
【請求項12】
請求項8から11までのいずれか一項に記載の水処理装置において、
上記脱窒部にはひも状型ポリ塩化ビニリデン充填物が充填されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項13】
請求項8から11までのいずれか一項に記載の水処理装置において、
上記脱窒部にはリング型ポリ塩化ビニリデン充填物が充填されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項14】
請求項5から13までのいずれか一項に記載の水処理装置において、
上記ろ材部は活性炭をろ材として含むことを特徴とする水処理装置。
【請求項15】
請求項5から13までのいずれか一項に記載の水処理装置において、
上記ろ材部はサンゴをろ材として含むことを特徴とする水処理装置。
【請求項16】
請求項5から13までのいずれか一項に記載の水処理装置において、
上記ろ材部は活性炭とサンゴとの混合物をろ材として含むことを特徴とする水処理装置。
【請求項17】
請求項5から13までのいずれか一項に記載の水処理装置において、
上記ろ材部は竹炭をろ材として含むことを特徴とする水処理装置。
【請求項18】
請求項5から13までのいずれか一項に記載の水処理装置において、
上記ろ材部は木炭をろ材として含むことを特徴とする水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−172469(P2009−172469A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11544(P2008−11544)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】