水処理方法及び水処理装置
【課題】通常のフェントン反応で発生する汚泥よりも発生汚泥を低減させ、且つ汚泥循環における閉塞、分解率の低下をほとんど伴わずに原水中の有機物を分解することができる水処理方法を提供する。
【解決手段】有機物含有原水に過酸化水素、第一鉄塩または第二鉄塩、及び活性炭を添加して有機物を分解する水処理方法において、添加する第一鉄イオンの量に対する活性炭の量を重量比で1〜20倍に、かつ添加する第一鉄イオンの量に対する返送する汚泥の量を重量比で50〜1300倍に規定することにより、通常の活性炭を添加しないフェントン反応で発生する汚泥よりも発生汚泥を低減させ、且つ汚泥循環における閉塞、分解率の低下をほとんど伴わずに原水中の有機物を分解することができる。
【解決手段】有機物含有原水に過酸化水素、第一鉄塩または第二鉄塩、及び活性炭を添加して有機物を分解する水処理方法において、添加する第一鉄イオンの量に対する活性炭の量を重量比で1〜20倍に、かつ添加する第一鉄イオンの量に対する返送する汚泥の量を重量比で50〜1300倍に規定することにより、通常の活性炭を添加しないフェントン反応で発生する汚泥よりも発生汚泥を低減させ、且つ汚泥循環における閉塞、分解率の低下をほとんど伴わずに原水中の有機物を分解することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物含有原水中の有機物を分解処理する水処理方法及び水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フェントン処理とは、フェントン法を利用した有機物の酸化分解法である。この反応は1980年代にフェントン氏によってその現象が初めて発見され、その後の研究により、酸化剤と遷移金属イオンとの反応により生成するラジカルが有機物の酸化分解反応に有用であることが見出された。この時の代表的な酸化剤と遷移金属イオンとの組み合わせが、過酸化水素と第一鉄イオン(Fe2+)である。酸化剤としては、過酸化水素の他に過硫酸、過炭酸、過塩素酸とその塩などが使用できるが、過酸化水素が好適に使用される(以下、過酸化水素とFe2+の反応をフェントン法、それを利用した処理をフェントン処理と称する)。
【0003】
このようなフェントン法において、フェントン反応に活性炭を添加することによって、反応を促進させる試みがなされている。この技術は、特許文献1以前にも記載されている古くからの技術であり、特許文献1では、フェントン処理中に活性炭を添加することに加えて、その汚泥の全量を反応槽に返送し、再利用することが提案されている。また、特許文献2では、活性炭充填塔に通水しながらフェントン処理する方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭56−48290号公報
【特許文献2】特開昭62−241596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フェントン反応と活性炭の併用利用については、反応系に活性炭を添加するだけで反応が促進されるが、反応条件によっては多量の活性炭を必要とするため、活性炭を添加しない場合に比べてかえって発生汚泥が増加してしまう問題があった。これに対して、特許文献1に記載されている、活性炭を含んだ汚泥を硫酸にて溶解させた後、全量反応系に返送する方法は、活性炭を再利用するためにコスト及び汚泥削減に有用であるが、本発明者らによる再現検討の結果、処理直後からしばらくは良好に運転できるものの、通常の運転では処理後数百時間の内に分解効率の低下が引き起こされ、処理技術として利用できない問題が明らかとなった。また、本発明者らは特許文献1に記述されている添加過酸化水素に対する活性炭の添加割合の範囲内(10〜200重量%)に収まるように返送汚泥量を操作し、有機物の分解処理を行ったが、この範囲内においては特に顕著な促進効果は見られなかった。
【0006】
一方、反応中の活性炭濃度を上昇させる観点から、通水方法を活性炭充填搭型としている特許文献2の方法では、活性炭と排水と過酸化水素、鉄塩の接触頻度を高めることで高い促進効果を得ることが可能であるが、処理充填塔内の活性炭表面上に鉄が析出しやすく閉塞しやすい問題がある。
【0007】
以上の理由から、活性炭によりフェントン反応を促進する方法は、比較的多くの活性炭を要する等の問題のために広く普及するに至っていない。
【0008】
本発明は、通常の活性炭を添加しないフェントン反応で発生する汚泥よりも発生汚泥を低減させ、且つ汚泥循環における閉塞、分解率の低下をほとんど伴わずに原水中の有機物を分解することができる水処理方法及び水処理装置である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、有機物を含有する原水の処理を行う水処理方法であって、前記原水に過酸化水素、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、及び活性炭を添加し、前記有機物を分解する分解工程と、前記分解した反応液中の第二鉄イオンと活性炭とを含む混合物を固液分離する固液分離工程と、前記固液分離した汚泥の少なくとも一部を前記分解工程に返送する返送工程と、を含み、前記分解工程において、前記添加する第一鉄塩の第一鉄イオンに対して重量比で1〜20倍となるように前記活性炭を添加し、かつ、前記返送工程において、前記第一鉄イオンに対して重量比で50〜1300倍の前記汚泥を返送する水処理方法である。
【0010】
また、前記水処理方法の前記分解工程において、前記原水のCOD(Chemical oxygen demand)濃度に対して、化学当量比で0.05〜0.25倍の前記第一鉄イオンを添加することが好ましい。
【0011】
また、前記水処理方法の前記分解工程において、前記原水のCOD濃度に対して、化学当量比で0.8〜3倍の前記過酸化水素を添加することが好ましい。
【0012】
また、前記水処理方法において、前記有機物がジメチルスルホキシドを含むことが好ましい。
【0013】
さらに、本発明は、有機物を含有する原水の処理を行う水処理装置であって、前記原水に過酸化水素、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、及び活性炭を添加することにより前記有機物を分解するための反応槽と、前記分解した反応液中の第二鉄イオンと活性炭とを含む混合物を固液分離する固液分離手段と、前記固液分離した汚泥の少なくとも一部を前記反応槽に返送する返送手段と、を有し、前記添加する活性炭の量は、前記第一鉄塩の第一鉄イオンに対して重量比で1〜20倍であり、前記返送する汚泥の量は、前記第一鉄イオンに対して重量比で50〜1300倍である水処理装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、有機物含有原水に過酸化水素、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、及び活性炭を添加して有機物を分解する水処理方法において、添加する第一鉄イオンの量に対する活性炭の量及び返送する汚泥の量を所定の範囲に規定することにより、通常の活性炭を添加しないフェントン反応で発生する汚泥よりも発生汚泥を低減させ、且つ汚泥循環における閉塞、分解率の低下をほとんど伴わずに原水中の有機物を分解することができる。またそのような水処理方法に使用する水処理装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0016】
本発明者らは、フェントン処理に活性炭を併用する処理方法において、反応槽に少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒と、添加する第一鉄塩の第一鉄イオン(Fe2+)に対して重量比で1倍〜20倍となるように活性炭を添加しながら、中和処理後の活性炭を含んだ廃汚泥の少なくとも一部を排出しつつ反応槽に返送するとき、返送汚泥量を添加するFe2+に対して重量比で50倍〜1300倍の範囲になるように添加することで、汚泥循環における閉塞、分解率の低下が改善し、良好な分解率を保ちながら有機物含有原水を酸化処理できることを見出した。
【0017】
本実施形態に係る水処理装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。水処理装置1は、反応槽10と、中和槽12と、還元槽14と、凝集槽16と、固液分離手段である沈殿槽18とを備える。水処理装置1において、反応槽10の出口と中和槽12の入口、中和槽12の出口と還元槽14の入口、還元槽14の出口と凝集槽16の入口、凝集槽16の出口と沈殿槽18の入口がそれぞれ配管等により接続されている。また、沈殿槽18は配管等により返送手段であるポンプ(図示せず)等を介して反応槽10と接続されている。
【0018】
次に、本実施形態に係る水処理装置1の動作及び水処理方法について説明する。汚染物質である有機物を含む原水(被処理水)を反応槽10に送液し、反応槽10において、過酸化水素、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、活性炭を添加し、有機物を酸化により分解する(分解工程)。このとき、硫酸等の酸により酸性条件に調整する。酸化処理後、反応液を中和槽12に送液し、中和槽12においてアルカリ剤を添加し、pHを6〜10.5に調整する(中和工程)。その後、中和された中和液を還元槽14に送液し、還元剤を添加して残留過酸化水素を還元し(還元工程)、残留過酸化水素を除去する。残留過酸化水素が除去された還元液を凝集槽16へ送液し、凝集剤を添加してフロックを成長させ、凝集させる(凝集工程)。成長したフロックを含む凝集液を沈殿槽18へ送液し、自然沈降分離により、第二鉄イオン(Fe3+)及び活性炭を含む汚泥と処理水とに固液分離する(固液分離工程)。汚泥のうち少なくとも一部を過酸化水素、分解触媒、活性炭と共に再び反応槽10へ添加する。汚泥のうち一部は引き抜き汚泥として系外へ排出してもよい。一方、固液分離された処理水は系外へ排出する。
【0019】
本実施形態に係る水処理方法は、有機物、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、フェノール類、有機塩素化合物、環境ホルモン、生物処理水、揚水した汚染地下水、界面活性剤等の難生物分解性有機物の酸化分解、又は易生物分解化等に使用される。原水中の有機物の対象濃度としては、どのような濃度であっても薬剤濃度の最適化により効果はあるが、CODで1000mg/L以下であることが好ましい。
【0020】
反応槽10では、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒から発生する第一鉄イオン及び活性炭、過酸化水素が同時に存在すればよい。本実施形態で用いられる活性炭は、特に限定されるものではないが、比表面積を確保するために粉炭であることが望ましい。活性炭は、分解工程において発生する第二鉄イオン(Fe3+)の触媒活性を上昇させ、分解反応を促進する役割を主に行う。活性炭の反応促進効果は、活性炭の原料によってある程度は左右されるが著しい差はなく、コスト及び汎用性を考慮すると石炭系又は木質系の活性炭が好適に使用される。活性炭によるフェントン法の促進効果は、反応系中に存在するFe3+を活性化させる作用によるものなので、添加する鉄塩は、第一鉄塩の他に、通常のフェントン法では使用に適さない第二鉄塩も使用することができる。第一鉄塩及び第二鉄塩としては、それらの硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩などが使用できるが、硫酸鉄や塩化鉄が特に好適に使用される。
【0021】
反応槽10におけるpHは酸性条件であれば良いが、系内の溶存鉄濃度を保つことを考慮すると、pH2〜3の範囲、特にpH2.4〜2.6の範囲(2.5付近)が反応に好適である。pHの調整には硫酸、塩酸、酢酸、リン酸、硝酸等の酸が用いられるが、硫酸を使用することが好ましい。硝酸は高価であり且つ後段の窒素負荷上昇につながり、塩酸は塩化物イオンによる反応がラジカルスカベンジャーとして作用するため好ましくない。
【0022】
活性炭の添加量は、反応槽10において添加する第一鉄塩のFe2+に対して重量比で1〜20倍(すなわち、活性炭/Fe2+(重量比)=1〜20)である。活性炭の添加量がFe2+に対して20倍を超えてもCOD分解率は大きく向上せず、また凝集不良が起きやすくなる。活性炭の添加量がFe2+に対して1倍未満であると良好なCOD分解率が得られない。また、活性炭/Fe2+(重量比)=1〜10の範囲であることが好ましい。
【0023】
また、活性炭の添加量は、反応槽10において添加する過酸化水素に対して重量比で0.1〜1倍(すなわち、活性炭/過酸化水素(重量比)=0.1〜1)であることが好ましい。活性炭の添加量が過酸化水素に対して1倍を超えてもCOD分解率は大きく向上せず、0.1倍未満であると良好なCOD分解率が得られない場合がある。また、活性炭/過酸化水素(重量比)=0.1〜0.5の範囲であることがより好ましい。
【0024】
反応槽10における薬剤の添加濃度は、処理対象となる原水のCOD濃度によって異なるが、概ねFe2+の添加量は原水のCOD濃度に対して化学当量比で0.05〜0.25倍(すなわち、Fe2+/COD(化学当量比)=0.05〜0.25)であることが好ましい。Fe2+の添加量が原水のCOD濃度に対して0.25倍を超える範囲では、活性炭を添加しないフェントン反応で十分なCOD除去率を期待できる条件において発生する汚泥量よりも、多くの汚泥が発生してしまう場合があるため好ましくない。また、Fe2+の添加量が原水のCOD濃度に対して0.05倍未満であると良好なCOD分解率が得られない場合があるため好ましくない。また、Fe2+/COD(化学当量比)=0.05〜0.15の範囲であることがより好ましい。
【0025】
処理対象物質である有機物が活性炭に吸着する物質である場合は、添加する活性炭に吸着する分のCOD値を、初期COD値に加算した濃度について、前記Fe2+/COD(化学当量比)の範囲内を適用すればよい。
【0026】
過酸化水素の添加量は概ね原水のCODに対して化学当量比で0.8〜3倍(すなわち、過酸化水素/COD(化学当量比)=0.8〜3)であることが好ましい。過酸化水素の添加量が原水のCODに対して3倍を超えると、残留過酸化水素濃度が高くなり過酸化水素の還元処理のコストが増大してしまう場合がある。過酸化水素の添加量が原水のCODに対して0.8倍未満であると、良好なCOD分解率が得られない場合がある。また、過酸化水素/COD(化学当量比)=1〜2の範囲であることがより好ましい。
【0027】
原水に含まれる有機物がジメチルスルホキシド(DMSO)を含む場合は、概ねFe2+の添加量は原水のジメチルスルホキシドに対して化学当量比で0.5〜1.5倍(すなわち、Fe2+/DMSO(化学当量比)=0.5〜1.5)であることが好ましい。Fe2+の添加量が原水のジメチルスルホキシドに対して1.5倍を超える範囲では、活性炭を添加しないフェントン反応で十分なCOD除去率を期待できる条件において発生する汚泥量よりも、多くの汚泥が発生してしまう場合があるため好ましくない。また、Fe2+の添加量が原水のジメチルスルホキシドに対して0.5倍未満であると良好なCOD分解率が得られない場合があるため好ましくない。また、Fe2+/DMSO(化学当量比)=0.5〜1の範囲であることがより好ましい。
【0028】
反応槽10における反応方法としては、バッチ処理、連続処理のどちらでも可能である。バッチ処理の場合、反応槽10系内のpHを酸性にした後、分解触媒、活性炭、返送汚泥を添加し、過酸化水素を所定の反応時間内で所定の添加量になるまで除々に添加していくことが過酸化水素の自己分解を抑制できる点で好ましい。さらに、過酸化水素について、初期段階でFe2+と当モル量添加し、その後残りの量を所定の反応時間内で除々に添加していくことが過酸化水素の自己分解を抑制できる点で好ましい。また、過酸化水素を添加後、概ね反応時間の10〜20%程度、薬剤を添加せずに撹拌する時間を設けることが過酸化水素を分解させ、処理水中の過酸化水素濃度を低減できる点で好ましい。また、このような撹拌時間を設けることによって、固液分離工程において、残留している過酸化水素の自己分解により発生した酸素が一旦沈降した汚泥を浮上させることを防止することもできる。
【0029】
連続処理の場合、本実施形態における反応槽10は、反応速度論の観点から分割することが好ましい。図2に反応槽を少なくとも2つ備える水処理装置の一例の概略を示す。図2における水処理装置2は、反応槽を3つの反応槽10a,10b,10cに分割した例である。反応槽10の数は特に制限はないが、反応速度論の観点から2個〜10個に分割することが好ましく、2個〜4個に分割することがより好ましい。また、反応槽10を分割した場合の各薬剤の添加は、各槽へ分割添加することもできる。このとき、過酸化水素の添加は、反応槽10を分割した場合には各槽へそれぞれ分割して添加すると過酸化水素の自己分解を抑制できるという望ましい効果をもたらす。活性炭及び分解触媒、循環した汚泥の分割した反応槽への添加方法に特に限定はないが、コスト及び装置形状の簡便さの観点から、第一の反応槽10aに添加することが好ましい。
【0030】
また、図3に示すように、過酸化水素を各反応槽10a〜10cへそれぞれ分割して添加し、分割した反応槽1段目(反応槽10a)に分解触媒、反応槽2段目(反応槽10b)に活性炭及び返送汚泥を添加するとさらに分解率が向上するという望ましい効果をもたらす。これは、反応槽1段目においてFe2+により分解反応を行い、反応槽2段目において生成したFe3+を活性炭により活性化する方が効率的に分解反応が進行するからである。このように反応槽1段目に分解触媒、反応槽2段目に活性炭及び返送汚泥を添加する場合、2段目以降の容積を1段目の反応槽10aよりも大きくして、反応液に対するFe3+の存在量を多くしてもよいし、1段目の反応槽10aの容積を2段目以降よりも大きくして1段目の反応槽10aにおけるFe2+の滞留時間を長くしてもよい。これらにより、さらに分解率を向上することができる。
【0031】
反応槽10の後段には、中和槽12の後、残留過酸化水素が高濃度の場合は除去するための還元手段として還元槽14が設けられる。中和槽12におけるアルカリ剤は、特に限定はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の塩基が好適に使用される。還元槽14における還元方法としては、還元剤として還元物質や酵素の添加又は曝気処理等が挙げられる。過酸化水素の除去のための還元剤には、還元物質として亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硝酸塩、チオ尿素、アリルチオ尿素、硫化水素、水素、チオグリコール酸、水素化ホウ素塩の他、アスコルビン酸等の各種有機物が、また、酵素にはカタラーゼ等が使用される。また、図4に示すように、還元物質や酵素等の還元剤により過酸化水素を除去する場合は、反応槽10の後段で中和槽12の前段に還元槽14を設置してもよい。
【0032】
その後、凝集槽16にて高分子凝集剤等の凝集剤を添加してフロックを成長させる。このときの高分子凝集剤の種類には特に限定はなく、アニオン系、ノニオン系のものが好適に使用される。フロックは沈殿槽18において沈降分離により固液分離される。固液分離は、沈降分離の他に、膜分離、加圧浮上等の分離方法により行われてもよい。
【0033】
本実施形態において、分離された汚泥は第二鉄イオン(Fe3+)と活性炭とを含み、その少なくとも一部は、反応槽10において添加される第一鉄塩のFe2+に対して重量比で50〜1300倍の量(すなわち、返送汚泥/Fe2+(重量比)=50〜1300)となるように反応槽10へ返送されて循環再利用され、残りは系外へ排出される。返送汚泥/Fe2+(重量比)が50未満であると反応促進効果が得がたく、1300を超えてもそれ以上の反応促進効果が得がたい。また、返送汚泥/Fe2+(重量比)=100〜1000の範囲であることが好ましい。分離された汚泥は、分離方法にもよるが、沈降分離の場合は通常15000〜40000mg/L程度の濃度となる。
【0034】
このとき、原水にSS(Suspended solids)成分がある場合は、Fe3+と活性炭由来の汚泥の他にSS成分が加算される。したがって、SS成分が加算される分、同様の添加しているFe2+とFe2+と活性炭由来の返送汚泥量重量比に設定するために返送すべき全体の汚泥量が増加してしまうので、原水中のSS成分は、後述するような凝集処理、膜処理、加圧浮上などで予め除去しておくことが好ましい。
【0035】
反応槽10を経由した後の中和槽12での汚泥量は、Fe2+に対して返送汚泥重量及び返送される濃縮汚泥濃度、分解対象COD濃度によって概ね決定されるが、15000mg/Lを越えると、その後の凝集処理によるフロック形成が困難になるので15000mg/L以下であることが好ましい。
【0036】
このように返送汚泥量を設定する場合、返送汚泥流量は原水流量に対して10〜200%の範囲内が好ましく、返送汚泥流量が30〜100%の範囲内がより好ましい。返送汚泥比R[−]及び中和槽12内の汚泥濃度S[mg/L]を、Fe2+/COD=a(重量比)、返送汚泥/Fe2+=b(重量比)、沈殿槽濃縮汚泥濃度=c[mg/L]、活性炭/Fe2+=d(重量比)、COD濃度=x[mg/L]で示すと、以下の式となる。
【0037】
【数1】
【0038】
返送汚泥が反応槽10へ返送されるとき、返送される汚泥に含まれる活性炭と添加している活性炭の合計量は、添加しているFe2+に対して重量比で50〜1300倍、且つ過酸化水素に対して重量比で2〜80倍の範囲内となることが好ましい。また、活性炭の合計量は、過酸化水素に対して7〜80倍の範囲内となることがより好ましい。
【0039】
汚泥を返送する場合、そのまま反応槽10へ添加することもできるが、図5に示すように、汚泥滞留槽20を設け、そこで反応槽10に添加すべき薬剤を添加した後に、反応槽10へ返送して原水に添加してもよい。すなわち、このような形態で、原水に過酸化水素、分解触媒及び活性炭を添加してもよい。これにより、分解率をさらに向上させるという望ましい効果をもたらす。また、図6に示すように、酸もしくはアルカリで汚泥を少しでも溶解させた後に反応槽10へ返送したり、還元剤を添加してFe3+イオンをFe2+イオンに少しでも還元した後に反応槽10へ返送したりすることも、分解率をさらに向上させるという望ましい効果をもたらす。なお、還元剤を添加する場合は、酸もしくはアルカリによって汚泥を溶解させた状態へ添加すると、Fe3+イオンの還元剤との接触効率向上によるFe2+イオンへの還元効率向上の点でさらに好ましい。
【0040】
本実施形態では発生する汚泥を循環させるので、反応系に鉄塩及び活性炭以外の汚泥が流入することは好ましくない。したがって、反応槽10の前段に凝集処理設備、膜処理設備、加圧浮上設備などの固形分(SS)除去手段を設けることが好ましい。図7に反応槽10の前段に凝集処理装置として凝集処理用凝集槽22と凝集処理用沈殿槽24とを設置した水処理装置の一例の概略を示す。図7における水処理装置7において、凝集処理用凝集槽22の出口は凝集処理用沈殿槽24の入口に、凝集処理用沈殿槽24の出口は反応槽10の入口に配管等により接続されている。原水に凝集処理用凝集槽22及び凝集処理用沈殿槽24において凝集処理等が施された(固形分除去工程)後、反応槽10において分解処理が行われる。特に前段が凝集処理の場合、本実施形態により発生した廃汚泥を凝集処理に再利用することで、廃汚泥中の活性炭による有機物の除去、フロックの沈降性改善などに有効である。
【0041】
系外へ引き抜かれる汚泥量は、反応系内の汚泥量を一定量に維持するために、前述した反応槽10へのFe2+添加量、活性炭添加量及び流入原水のSS量で決定され、それらの合計量と等しい量が引き抜かれる。引き抜かれた汚泥は、例えば図7に示すようにフェントン反応の前段に凝集処理装置を設置している場合、その凝集処理用凝集槽22に返送すると、凝集処理のCOD低減及び凝集性向上の効果をもたらすので好ましい。
【0042】
また、図8に示すように汚泥濃縮槽26を設け、汚泥濃縮槽26から反応槽10へ汚泥を返送してもよい。これにより、返送汚泥の濃度を高くして、返送流量を減らすことができるという効果をもたらすので好ましい。
【0043】
本実施形態に係る水処理方法を適用することにより、通常の活性炭を添加しないフェントン反応で発生する汚泥よりも発生汚泥を低減させ、且つ汚泥循環における閉塞、分解率の低下をほとんど伴わずに原水中の有機物を分解することができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
汚泥の引き抜きを行わなくては分解率が大きく低下すること、返送汚泥/Fe2+(重量比)を上昇させるとCOD分解が促進することを確認するために、以下の実験を行った。
【0046】
図1と同様の装置を作製し、活性炭によってほとんど吸着除去されない物質であるDMSOをCOD=40mg/Lとなるように純水に溶解させた模擬排水を対象として、原水流量1L/minで、反応槽での返送汚泥流量を考慮しない滞留時間を1hrとし、反応槽のpHを硫酸によりpH=2.5に設定して、H2O2=250mg/L、FeCl2・4H2O及び木質系粉末活性炭、返送汚泥を表1に記載の量で添加した。残留過酸化水素を亜硫酸水素ナトリウムで除去した後、水酸化ナトリウム(NaOH)でpH=6.5〜8に中和し、沈殿槽で汚泥を沈降分離した。暫く系内の汚泥を引き抜かずに循環運転して、所定の返送汚泥/Fe2+(重量比)になったことを確認した後、添加している活性炭及びFeCl2・4H2O由来の発生汚泥量を引き抜きながら、反応槽へ汚泥を返送して運転したときの、沈殿槽上澄みのCOD濃度を、JIS−K0102(1998)−17「100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(CODMn)」に従い測定してCOD分解率を求めた。本実験において、沈殿槽の濃縮汚泥濃度は17000mg/Lであった。処理開始から24hr後と300hr後での、各条件の時のCOD分解率を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
比較例1においては、実施例1のような汚泥の引き抜き及びFeCl2・4H2Oと活性炭の添加を行わなかった。Fe3+に対して活性炭が1.4倍(重量比)の組成の汚泥を、沈殿槽における濃縮汚泥濃度が17000mg/Lで、中和槽の汚泥濃度が5000mg/Lで一定となる量で予め添加し、汚泥濃度が安定していることを確認してから24hr後と300hr後のCOD分解率を測定した。
【0048】
(比較例2)
比較例2においては、返送汚泥/Fe2+(重量比)=18.4とした以外は実施例1と同様にしてCOD分解率を求めた。
【0049】
(比較例3)
比較例3においては、返送汚泥/Fe2+(重量比)=7.1とした以外は実施例1と同様にしてCOD分解率を求めた。
【0050】
表1の比較例1の結果より、汚泥を引き抜かずに汚泥を循環利用し続けると、初期は全ての返送汚泥の分解活性が高いために良好な処理水質が得られているが、時間の経過と共にその分解活性が低下していき、COD分解率が大きく低下していることが分かる。また、比較例2と実施例1との比較より、返送汚泥/Fe2+(重量比)を大きくすることで、COD分解率が向上することが分かる。さらに、比較例2及び3と実施例1とを比較することにより、反応槽中の活性炭量/H2O2(重量比)が1.3〜2.6の範囲(添加過酸化水素に対して反応槽中の活性炭量が130〜260重量%の範囲)ではCOD分解率が低下しており、その値を7.2とすることでCOD分解率が向上していることがわかる。
【0051】
【表1】
【0052】
(実施例2)
実施例2では、添加する鉄塩及び活性炭の最適添加割合を検討した。活性炭の添加による反応促進効果は、主にFe3+の触媒活性を上昇させるものなので、最適添加割合を検討するにあたっては、Fe3+イオンを使用した。
【0053】
500mLビーカーに、発生する汚泥量が5000mg/Lとなるように、木質系粉末活性炭及び触媒としてFeCl3を添加した。両者の割合をFe3+原子としての重量:活性炭重量=1:0.001〜26の範囲で設定し、DMSOを500mg/Lとなるように添加し、硫酸でpH=2.5に調整して、過酸化水素を250mg/L添加して1hr反応させた。その後NaOHによりpH=7として、残留過酸化水素を重亜硫酸水素ナトリウムで除去し、高分子凝集剤としてアニオン系ポリマーOA−23(オルガノ社製)を用いて、フロックを形成させ、静置後その上澄みのDMSO濃度を分析した。活性炭/Fe3+(重量比)とDMSO除去率(%)の関係を図9に示す。
【0054】
図9より、活性炭/Fe3+(重量比)=0.001〜26の範囲では、活性炭の割合が多くなるほど除去率が上昇することがわかる。また、その上昇率は活性炭/Fe3+(重量比)=1付近までにおいて急激に上昇し、活性炭/Fe3+(重量比)=5付近である程度安定することがわかる。
【0055】
(実施例3)
Fe2+/COD(化学当量比)の値は、小さければ処理における汚泥発生量が少ない反面、CODの除去率が低くなる傾向にある。逆に大きくなればCODの除去率が上昇する一方で、処理における発生汚泥が多くなる。COD除去率の低下に対しては汚泥を返送することで補える。そこで、一定の反応時間における、Fe2+/COD(化学当量比)の各値における返送汚泥/Fe2+とCOD除去率の関係に着目し、Fe2+/CODの各値における、COD除去率80%以上となる返送汚泥/Fe2+の範囲を検討するために、以下の実験を行った。
【0056】
図1と同様の装置を作製し、活性炭によってほとんど吸着除去されない物質であるDMSOをCOD=40mg/Lとなるように純水に溶解させた模擬排水を対象として、原水流量1L/minで、反応槽での返送汚泥流量を考慮しない滞留時間を1hrとし、反応槽のpHを硫酸によりpH=2.5に設定して、H2O2を過酸化水素/COD(化学当量比)=3、FeCl2・4H2OをFe2+/COD(化学当量比)=n=0.07,0.1,0.15,0.25、木質系粉末活性炭を活性炭/Fe2+(重量比)=5となるように添加した。中和槽での発生汚泥が15000mg/Lを超えないように35〜40%の範囲内で原水流量に対する返送汚泥流量比を変化させて、各n値の時に返送汚泥/Fe2+(重量比)を所定の値に設定した。その後、残留過酸化水素を亜硫酸水素ナトリウムで除去した後、水酸化ナトリウムで中和し、沈殿槽で汚泥を沈降分離した。本実験において、沈殿槽の濃縮汚泥濃度は27000mg/Lであった。実験の開始時間としては、暫く系内の汚泥を引き抜かずに循環運転して、所定の返送汚泥/Fe2+の比になったことを確認した時とした。添加している活性炭及びFeCl2・4H2O由来の発生汚泥量を引き抜きながら、反応槽へ汚泥を返送して連続運転したときの沈殿槽上澄みのCOD濃度をJIS−K0102(1998)−17に従い測定して、濃度が安定した時の測定値からCOD分解率を求めた。結果を図10に示す。
【0057】
図10より、反応槽の滞留時間1hr以上において、n=0.1より下では、返送汚泥/Fe2+を増加させてもCOD分解率が80%以上に達しないことがわかる。n=0.1〜0.15では、返送汚泥/Fe2+が600〜1000の間で80%以上のCOD分解率が得られることがわかる。また、n=0.15〜0.25では、返送汚泥/Fe2+が200〜1000の間で80%以上のCOD分解率が得られることがわかる。さらに、n=0.25以上では、返送汚泥/Fe2+が50〜1000で80%以上のCOD分解率が得られることがわかる。
【0058】
なお、n=0.3を超える場合については、以下の理由で好ましくない。本実験において、H2O2=250mg/L、FeCl2・4H2O=500mg/Lの通常の活性炭を添加しないフェントン反応を行うと、COD除去率は85%であった。このとき発生する汚泥量を計算すると、理論的に269mg/Lである。本実施例の活性炭を添加するフェントン反応では、n=0.3とすると、H2O2=250mg/L、FeCl2・4H2O=148mg/L、活性炭=210mg/Lとなり、理論的に発生する汚泥は290mg/Lと計算される。したがって、n=0.3以上では、COD分解率80%以上とするときに発生する汚泥量が、活性炭を添加しないフェントン反応よりも多くなってしまうため、好ましくない。活性炭/Fe2+(重量比)=5の場合の各n値における従来の活性炭を添加しないフェントン反応に対する汚泥削減率を表2及び図11に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
(実施例4)
実施例3の実験において、Fe2+/COD=n=0.05,0.07における反応槽での返送汚泥流量を考慮しない滞留時間を1hrから2hrに増加させたときの、返送汚泥/Fe2+(重量比)=1300と一定にした場合のCOD除去率の関係について検討した。滞留時間以外の条件は、実施例3と同様である。図12に反応槽の滞留時間(hr)とCOD分解率(%)の関係を示すように、反応槽での滞留時間を1hrから2hrへ増加させることでn=0.05,0.07においてもCOD分解率を80%以上とすることができることは明らかである。これより、滞留時間を上昇させれば、COD除去率が上昇することがわかる。また、図10において滞留時間1hrにおけるn=0.07でのCOD除去率が70%以上である場合、図12より滞留時間2hrに設定すればCOD除去率は80%以上に維持できることは明らかであるので、滞留時間2hr以上においては、n=0.07〜0.1の時、返送汚泥/Fe2+(重量比)=800〜1300に設定することで、COD分解率80%以上が得られることが分かる。また、n=0.05〜0.07においては、返送汚泥/Fe2+(重量比)=1300に設定することで、滞留時間2hr以上においてCOD分解率80%以上が得られることが分かる。
【0061】
以上の結果より、図13にCOD分解率80%となるn値と返送汚泥/Fe2+の関係を示す。有機物含有排水に少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、活性炭及び過酸化水素を添加して有機物を分解し、第一鉄イオン(Fe2+)から生成された第二鉄イオン(Fe3+)と活性炭を含む混合物を固液分離し、分離した汚泥を分解工程に返送する水処理方法において、図13の太線の範囲内、すなわち、返送汚泥/Fe2+(重量比)=50〜1300の範囲内で処理することにより、従来の活性炭を添加しないフェントン反応で発生する汚泥よりも発生汚泥を低減させ、効果的にCODを除去できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る水処理装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図5】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図6】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図7】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図8】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図9】本発明の実施例2における、活性炭/Fe3+(重量比)[−]とDMSO除去率[%]の関係を示す図である。
【図10】本発明の実施例3における、反応槽の滞留時間1hrでのFe2+/CODの各値(n)における返送汚泥/Fe2+[−]とCOD除去率[%]の関係を示す図である。
【図11】活性炭/Fe2+(重量比)=5の場合の各n値における従来の活性炭を添加しないフェントン反応に対する汚泥削減率を示す図である。
【図12】本発明の実施例4における、反応槽の滞留時間[hr]とCOD分解率[%]の関係を示す図である。
【図13】COD分解率80%となるn値と返送汚泥/Fe2+の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1,2,3,4,5,6,7,8 水処理装置、10,10a,10b,10c 反応槽、12 中和槽、14 還元槽、16 凝集槽、18 沈殿槽、20 汚泥滞留槽、22 凝集処理用凝集槽、24 凝集処理用沈殿槽、26 汚泥濃縮槽。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物含有原水中の有機物を分解処理する水処理方法及び水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フェントン処理とは、フェントン法を利用した有機物の酸化分解法である。この反応は1980年代にフェントン氏によってその現象が初めて発見され、その後の研究により、酸化剤と遷移金属イオンとの反応により生成するラジカルが有機物の酸化分解反応に有用であることが見出された。この時の代表的な酸化剤と遷移金属イオンとの組み合わせが、過酸化水素と第一鉄イオン(Fe2+)である。酸化剤としては、過酸化水素の他に過硫酸、過炭酸、過塩素酸とその塩などが使用できるが、過酸化水素が好適に使用される(以下、過酸化水素とFe2+の反応をフェントン法、それを利用した処理をフェントン処理と称する)。
【0003】
このようなフェントン法において、フェントン反応に活性炭を添加することによって、反応を促進させる試みがなされている。この技術は、特許文献1以前にも記載されている古くからの技術であり、特許文献1では、フェントン処理中に活性炭を添加することに加えて、その汚泥の全量を反応槽に返送し、再利用することが提案されている。また、特許文献2では、活性炭充填塔に通水しながらフェントン処理する方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭56−48290号公報
【特許文献2】特開昭62−241596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フェントン反応と活性炭の併用利用については、反応系に活性炭を添加するだけで反応が促進されるが、反応条件によっては多量の活性炭を必要とするため、活性炭を添加しない場合に比べてかえって発生汚泥が増加してしまう問題があった。これに対して、特許文献1に記載されている、活性炭を含んだ汚泥を硫酸にて溶解させた後、全量反応系に返送する方法は、活性炭を再利用するためにコスト及び汚泥削減に有用であるが、本発明者らによる再現検討の結果、処理直後からしばらくは良好に運転できるものの、通常の運転では処理後数百時間の内に分解効率の低下が引き起こされ、処理技術として利用できない問題が明らかとなった。また、本発明者らは特許文献1に記述されている添加過酸化水素に対する活性炭の添加割合の範囲内(10〜200重量%)に収まるように返送汚泥量を操作し、有機物の分解処理を行ったが、この範囲内においては特に顕著な促進効果は見られなかった。
【0006】
一方、反応中の活性炭濃度を上昇させる観点から、通水方法を活性炭充填搭型としている特許文献2の方法では、活性炭と排水と過酸化水素、鉄塩の接触頻度を高めることで高い促進効果を得ることが可能であるが、処理充填塔内の活性炭表面上に鉄が析出しやすく閉塞しやすい問題がある。
【0007】
以上の理由から、活性炭によりフェントン反応を促進する方法は、比較的多くの活性炭を要する等の問題のために広く普及するに至っていない。
【0008】
本発明は、通常の活性炭を添加しないフェントン反応で発生する汚泥よりも発生汚泥を低減させ、且つ汚泥循環における閉塞、分解率の低下をほとんど伴わずに原水中の有機物を分解することができる水処理方法及び水処理装置である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、有機物を含有する原水の処理を行う水処理方法であって、前記原水に過酸化水素、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、及び活性炭を添加し、前記有機物を分解する分解工程と、前記分解した反応液中の第二鉄イオンと活性炭とを含む混合物を固液分離する固液分離工程と、前記固液分離した汚泥の少なくとも一部を前記分解工程に返送する返送工程と、を含み、前記分解工程において、前記添加する第一鉄塩の第一鉄イオンに対して重量比で1〜20倍となるように前記活性炭を添加し、かつ、前記返送工程において、前記第一鉄イオンに対して重量比で50〜1300倍の前記汚泥を返送する水処理方法である。
【0010】
また、前記水処理方法の前記分解工程において、前記原水のCOD(Chemical oxygen demand)濃度に対して、化学当量比で0.05〜0.25倍の前記第一鉄イオンを添加することが好ましい。
【0011】
また、前記水処理方法の前記分解工程において、前記原水のCOD濃度に対して、化学当量比で0.8〜3倍の前記過酸化水素を添加することが好ましい。
【0012】
また、前記水処理方法において、前記有機物がジメチルスルホキシドを含むことが好ましい。
【0013】
さらに、本発明は、有機物を含有する原水の処理を行う水処理装置であって、前記原水に過酸化水素、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、及び活性炭を添加することにより前記有機物を分解するための反応槽と、前記分解した反応液中の第二鉄イオンと活性炭とを含む混合物を固液分離する固液分離手段と、前記固液分離した汚泥の少なくとも一部を前記反応槽に返送する返送手段と、を有し、前記添加する活性炭の量は、前記第一鉄塩の第一鉄イオンに対して重量比で1〜20倍であり、前記返送する汚泥の量は、前記第一鉄イオンに対して重量比で50〜1300倍である水処理装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、有機物含有原水に過酸化水素、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、及び活性炭を添加して有機物を分解する水処理方法において、添加する第一鉄イオンの量に対する活性炭の量及び返送する汚泥の量を所定の範囲に規定することにより、通常の活性炭を添加しないフェントン反応で発生する汚泥よりも発生汚泥を低減させ、且つ汚泥循環における閉塞、分解率の低下をほとんど伴わずに原水中の有機物を分解することができる。またそのような水処理方法に使用する水処理装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0016】
本発明者らは、フェントン処理に活性炭を併用する処理方法において、反応槽に少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒と、添加する第一鉄塩の第一鉄イオン(Fe2+)に対して重量比で1倍〜20倍となるように活性炭を添加しながら、中和処理後の活性炭を含んだ廃汚泥の少なくとも一部を排出しつつ反応槽に返送するとき、返送汚泥量を添加するFe2+に対して重量比で50倍〜1300倍の範囲になるように添加することで、汚泥循環における閉塞、分解率の低下が改善し、良好な分解率を保ちながら有機物含有原水を酸化処理できることを見出した。
【0017】
本実施形態に係る水処理装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。水処理装置1は、反応槽10と、中和槽12と、還元槽14と、凝集槽16と、固液分離手段である沈殿槽18とを備える。水処理装置1において、反応槽10の出口と中和槽12の入口、中和槽12の出口と還元槽14の入口、還元槽14の出口と凝集槽16の入口、凝集槽16の出口と沈殿槽18の入口がそれぞれ配管等により接続されている。また、沈殿槽18は配管等により返送手段であるポンプ(図示せず)等を介して反応槽10と接続されている。
【0018】
次に、本実施形態に係る水処理装置1の動作及び水処理方法について説明する。汚染物質である有機物を含む原水(被処理水)を反応槽10に送液し、反応槽10において、過酸化水素、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、活性炭を添加し、有機物を酸化により分解する(分解工程)。このとき、硫酸等の酸により酸性条件に調整する。酸化処理後、反応液を中和槽12に送液し、中和槽12においてアルカリ剤を添加し、pHを6〜10.5に調整する(中和工程)。その後、中和された中和液を還元槽14に送液し、還元剤を添加して残留過酸化水素を還元し(還元工程)、残留過酸化水素を除去する。残留過酸化水素が除去された還元液を凝集槽16へ送液し、凝集剤を添加してフロックを成長させ、凝集させる(凝集工程)。成長したフロックを含む凝集液を沈殿槽18へ送液し、自然沈降分離により、第二鉄イオン(Fe3+)及び活性炭を含む汚泥と処理水とに固液分離する(固液分離工程)。汚泥のうち少なくとも一部を過酸化水素、分解触媒、活性炭と共に再び反応槽10へ添加する。汚泥のうち一部は引き抜き汚泥として系外へ排出してもよい。一方、固液分離された処理水は系外へ排出する。
【0019】
本実施形態に係る水処理方法は、有機物、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、フェノール類、有機塩素化合物、環境ホルモン、生物処理水、揚水した汚染地下水、界面活性剤等の難生物分解性有機物の酸化分解、又は易生物分解化等に使用される。原水中の有機物の対象濃度としては、どのような濃度であっても薬剤濃度の最適化により効果はあるが、CODで1000mg/L以下であることが好ましい。
【0020】
反応槽10では、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒から発生する第一鉄イオン及び活性炭、過酸化水素が同時に存在すればよい。本実施形態で用いられる活性炭は、特に限定されるものではないが、比表面積を確保するために粉炭であることが望ましい。活性炭は、分解工程において発生する第二鉄イオン(Fe3+)の触媒活性を上昇させ、分解反応を促進する役割を主に行う。活性炭の反応促進効果は、活性炭の原料によってある程度は左右されるが著しい差はなく、コスト及び汎用性を考慮すると石炭系又は木質系の活性炭が好適に使用される。活性炭によるフェントン法の促進効果は、反応系中に存在するFe3+を活性化させる作用によるものなので、添加する鉄塩は、第一鉄塩の他に、通常のフェントン法では使用に適さない第二鉄塩も使用することができる。第一鉄塩及び第二鉄塩としては、それらの硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩などが使用できるが、硫酸鉄や塩化鉄が特に好適に使用される。
【0021】
反応槽10におけるpHは酸性条件であれば良いが、系内の溶存鉄濃度を保つことを考慮すると、pH2〜3の範囲、特にpH2.4〜2.6の範囲(2.5付近)が反応に好適である。pHの調整には硫酸、塩酸、酢酸、リン酸、硝酸等の酸が用いられるが、硫酸を使用することが好ましい。硝酸は高価であり且つ後段の窒素負荷上昇につながり、塩酸は塩化物イオンによる反応がラジカルスカベンジャーとして作用するため好ましくない。
【0022】
活性炭の添加量は、反応槽10において添加する第一鉄塩のFe2+に対して重量比で1〜20倍(すなわち、活性炭/Fe2+(重量比)=1〜20)である。活性炭の添加量がFe2+に対して20倍を超えてもCOD分解率は大きく向上せず、また凝集不良が起きやすくなる。活性炭の添加量がFe2+に対して1倍未満であると良好なCOD分解率が得られない。また、活性炭/Fe2+(重量比)=1〜10の範囲であることが好ましい。
【0023】
また、活性炭の添加量は、反応槽10において添加する過酸化水素に対して重量比で0.1〜1倍(すなわち、活性炭/過酸化水素(重量比)=0.1〜1)であることが好ましい。活性炭の添加量が過酸化水素に対して1倍を超えてもCOD分解率は大きく向上せず、0.1倍未満であると良好なCOD分解率が得られない場合がある。また、活性炭/過酸化水素(重量比)=0.1〜0.5の範囲であることがより好ましい。
【0024】
反応槽10における薬剤の添加濃度は、処理対象となる原水のCOD濃度によって異なるが、概ねFe2+の添加量は原水のCOD濃度に対して化学当量比で0.05〜0.25倍(すなわち、Fe2+/COD(化学当量比)=0.05〜0.25)であることが好ましい。Fe2+の添加量が原水のCOD濃度に対して0.25倍を超える範囲では、活性炭を添加しないフェントン反応で十分なCOD除去率を期待できる条件において発生する汚泥量よりも、多くの汚泥が発生してしまう場合があるため好ましくない。また、Fe2+の添加量が原水のCOD濃度に対して0.05倍未満であると良好なCOD分解率が得られない場合があるため好ましくない。また、Fe2+/COD(化学当量比)=0.05〜0.15の範囲であることがより好ましい。
【0025】
処理対象物質である有機物が活性炭に吸着する物質である場合は、添加する活性炭に吸着する分のCOD値を、初期COD値に加算した濃度について、前記Fe2+/COD(化学当量比)の範囲内を適用すればよい。
【0026】
過酸化水素の添加量は概ね原水のCODに対して化学当量比で0.8〜3倍(すなわち、過酸化水素/COD(化学当量比)=0.8〜3)であることが好ましい。過酸化水素の添加量が原水のCODに対して3倍を超えると、残留過酸化水素濃度が高くなり過酸化水素の還元処理のコストが増大してしまう場合がある。過酸化水素の添加量が原水のCODに対して0.8倍未満であると、良好なCOD分解率が得られない場合がある。また、過酸化水素/COD(化学当量比)=1〜2の範囲であることがより好ましい。
【0027】
原水に含まれる有機物がジメチルスルホキシド(DMSO)を含む場合は、概ねFe2+の添加量は原水のジメチルスルホキシドに対して化学当量比で0.5〜1.5倍(すなわち、Fe2+/DMSO(化学当量比)=0.5〜1.5)であることが好ましい。Fe2+の添加量が原水のジメチルスルホキシドに対して1.5倍を超える範囲では、活性炭を添加しないフェントン反応で十分なCOD除去率を期待できる条件において発生する汚泥量よりも、多くの汚泥が発生してしまう場合があるため好ましくない。また、Fe2+の添加量が原水のジメチルスルホキシドに対して0.5倍未満であると良好なCOD分解率が得られない場合があるため好ましくない。また、Fe2+/DMSO(化学当量比)=0.5〜1の範囲であることがより好ましい。
【0028】
反応槽10における反応方法としては、バッチ処理、連続処理のどちらでも可能である。バッチ処理の場合、反応槽10系内のpHを酸性にした後、分解触媒、活性炭、返送汚泥を添加し、過酸化水素を所定の反応時間内で所定の添加量になるまで除々に添加していくことが過酸化水素の自己分解を抑制できる点で好ましい。さらに、過酸化水素について、初期段階でFe2+と当モル量添加し、その後残りの量を所定の反応時間内で除々に添加していくことが過酸化水素の自己分解を抑制できる点で好ましい。また、過酸化水素を添加後、概ね反応時間の10〜20%程度、薬剤を添加せずに撹拌する時間を設けることが過酸化水素を分解させ、処理水中の過酸化水素濃度を低減できる点で好ましい。また、このような撹拌時間を設けることによって、固液分離工程において、残留している過酸化水素の自己分解により発生した酸素が一旦沈降した汚泥を浮上させることを防止することもできる。
【0029】
連続処理の場合、本実施形態における反応槽10は、反応速度論の観点から分割することが好ましい。図2に反応槽を少なくとも2つ備える水処理装置の一例の概略を示す。図2における水処理装置2は、反応槽を3つの反応槽10a,10b,10cに分割した例である。反応槽10の数は特に制限はないが、反応速度論の観点から2個〜10個に分割することが好ましく、2個〜4個に分割することがより好ましい。また、反応槽10を分割した場合の各薬剤の添加は、各槽へ分割添加することもできる。このとき、過酸化水素の添加は、反応槽10を分割した場合には各槽へそれぞれ分割して添加すると過酸化水素の自己分解を抑制できるという望ましい効果をもたらす。活性炭及び分解触媒、循環した汚泥の分割した反応槽への添加方法に特に限定はないが、コスト及び装置形状の簡便さの観点から、第一の反応槽10aに添加することが好ましい。
【0030】
また、図3に示すように、過酸化水素を各反応槽10a〜10cへそれぞれ分割して添加し、分割した反応槽1段目(反応槽10a)に分解触媒、反応槽2段目(反応槽10b)に活性炭及び返送汚泥を添加するとさらに分解率が向上するという望ましい効果をもたらす。これは、反応槽1段目においてFe2+により分解反応を行い、反応槽2段目において生成したFe3+を活性炭により活性化する方が効率的に分解反応が進行するからである。このように反応槽1段目に分解触媒、反応槽2段目に活性炭及び返送汚泥を添加する場合、2段目以降の容積を1段目の反応槽10aよりも大きくして、反応液に対するFe3+の存在量を多くしてもよいし、1段目の反応槽10aの容積を2段目以降よりも大きくして1段目の反応槽10aにおけるFe2+の滞留時間を長くしてもよい。これらにより、さらに分解率を向上することができる。
【0031】
反応槽10の後段には、中和槽12の後、残留過酸化水素が高濃度の場合は除去するための還元手段として還元槽14が設けられる。中和槽12におけるアルカリ剤は、特に限定はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の塩基が好適に使用される。還元槽14における還元方法としては、還元剤として還元物質や酵素の添加又は曝気処理等が挙げられる。過酸化水素の除去のための還元剤には、還元物質として亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硝酸塩、チオ尿素、アリルチオ尿素、硫化水素、水素、チオグリコール酸、水素化ホウ素塩の他、アスコルビン酸等の各種有機物が、また、酵素にはカタラーゼ等が使用される。また、図4に示すように、還元物質や酵素等の還元剤により過酸化水素を除去する場合は、反応槽10の後段で中和槽12の前段に還元槽14を設置してもよい。
【0032】
その後、凝集槽16にて高分子凝集剤等の凝集剤を添加してフロックを成長させる。このときの高分子凝集剤の種類には特に限定はなく、アニオン系、ノニオン系のものが好適に使用される。フロックは沈殿槽18において沈降分離により固液分離される。固液分離は、沈降分離の他に、膜分離、加圧浮上等の分離方法により行われてもよい。
【0033】
本実施形態において、分離された汚泥は第二鉄イオン(Fe3+)と活性炭とを含み、その少なくとも一部は、反応槽10において添加される第一鉄塩のFe2+に対して重量比で50〜1300倍の量(すなわち、返送汚泥/Fe2+(重量比)=50〜1300)となるように反応槽10へ返送されて循環再利用され、残りは系外へ排出される。返送汚泥/Fe2+(重量比)が50未満であると反応促進効果が得がたく、1300を超えてもそれ以上の反応促進効果が得がたい。また、返送汚泥/Fe2+(重量比)=100〜1000の範囲であることが好ましい。分離された汚泥は、分離方法にもよるが、沈降分離の場合は通常15000〜40000mg/L程度の濃度となる。
【0034】
このとき、原水にSS(Suspended solids)成分がある場合は、Fe3+と活性炭由来の汚泥の他にSS成分が加算される。したがって、SS成分が加算される分、同様の添加しているFe2+とFe2+と活性炭由来の返送汚泥量重量比に設定するために返送すべき全体の汚泥量が増加してしまうので、原水中のSS成分は、後述するような凝集処理、膜処理、加圧浮上などで予め除去しておくことが好ましい。
【0035】
反応槽10を経由した後の中和槽12での汚泥量は、Fe2+に対して返送汚泥重量及び返送される濃縮汚泥濃度、分解対象COD濃度によって概ね決定されるが、15000mg/Lを越えると、その後の凝集処理によるフロック形成が困難になるので15000mg/L以下であることが好ましい。
【0036】
このように返送汚泥量を設定する場合、返送汚泥流量は原水流量に対して10〜200%の範囲内が好ましく、返送汚泥流量が30〜100%の範囲内がより好ましい。返送汚泥比R[−]及び中和槽12内の汚泥濃度S[mg/L]を、Fe2+/COD=a(重量比)、返送汚泥/Fe2+=b(重量比)、沈殿槽濃縮汚泥濃度=c[mg/L]、活性炭/Fe2+=d(重量比)、COD濃度=x[mg/L]で示すと、以下の式となる。
【0037】
【数1】
【0038】
返送汚泥が反応槽10へ返送されるとき、返送される汚泥に含まれる活性炭と添加している活性炭の合計量は、添加しているFe2+に対して重量比で50〜1300倍、且つ過酸化水素に対して重量比で2〜80倍の範囲内となることが好ましい。また、活性炭の合計量は、過酸化水素に対して7〜80倍の範囲内となることがより好ましい。
【0039】
汚泥を返送する場合、そのまま反応槽10へ添加することもできるが、図5に示すように、汚泥滞留槽20を設け、そこで反応槽10に添加すべき薬剤を添加した後に、反応槽10へ返送して原水に添加してもよい。すなわち、このような形態で、原水に過酸化水素、分解触媒及び活性炭を添加してもよい。これにより、分解率をさらに向上させるという望ましい効果をもたらす。また、図6に示すように、酸もしくはアルカリで汚泥を少しでも溶解させた後に反応槽10へ返送したり、還元剤を添加してFe3+イオンをFe2+イオンに少しでも還元した後に反応槽10へ返送したりすることも、分解率をさらに向上させるという望ましい効果をもたらす。なお、還元剤を添加する場合は、酸もしくはアルカリによって汚泥を溶解させた状態へ添加すると、Fe3+イオンの還元剤との接触効率向上によるFe2+イオンへの還元効率向上の点でさらに好ましい。
【0040】
本実施形態では発生する汚泥を循環させるので、反応系に鉄塩及び活性炭以外の汚泥が流入することは好ましくない。したがって、反応槽10の前段に凝集処理設備、膜処理設備、加圧浮上設備などの固形分(SS)除去手段を設けることが好ましい。図7に反応槽10の前段に凝集処理装置として凝集処理用凝集槽22と凝集処理用沈殿槽24とを設置した水処理装置の一例の概略を示す。図7における水処理装置7において、凝集処理用凝集槽22の出口は凝集処理用沈殿槽24の入口に、凝集処理用沈殿槽24の出口は反応槽10の入口に配管等により接続されている。原水に凝集処理用凝集槽22及び凝集処理用沈殿槽24において凝集処理等が施された(固形分除去工程)後、反応槽10において分解処理が行われる。特に前段が凝集処理の場合、本実施形態により発生した廃汚泥を凝集処理に再利用することで、廃汚泥中の活性炭による有機物の除去、フロックの沈降性改善などに有効である。
【0041】
系外へ引き抜かれる汚泥量は、反応系内の汚泥量を一定量に維持するために、前述した反応槽10へのFe2+添加量、活性炭添加量及び流入原水のSS量で決定され、それらの合計量と等しい量が引き抜かれる。引き抜かれた汚泥は、例えば図7に示すようにフェントン反応の前段に凝集処理装置を設置している場合、その凝集処理用凝集槽22に返送すると、凝集処理のCOD低減及び凝集性向上の効果をもたらすので好ましい。
【0042】
また、図8に示すように汚泥濃縮槽26を設け、汚泥濃縮槽26から反応槽10へ汚泥を返送してもよい。これにより、返送汚泥の濃度を高くして、返送流量を減らすことができるという効果をもたらすので好ましい。
【0043】
本実施形態に係る水処理方法を適用することにより、通常の活性炭を添加しないフェントン反応で発生する汚泥よりも発生汚泥を低減させ、且つ汚泥循環における閉塞、分解率の低下をほとんど伴わずに原水中の有機物を分解することができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
汚泥の引き抜きを行わなくては分解率が大きく低下すること、返送汚泥/Fe2+(重量比)を上昇させるとCOD分解が促進することを確認するために、以下の実験を行った。
【0046】
図1と同様の装置を作製し、活性炭によってほとんど吸着除去されない物質であるDMSOをCOD=40mg/Lとなるように純水に溶解させた模擬排水を対象として、原水流量1L/minで、反応槽での返送汚泥流量を考慮しない滞留時間を1hrとし、反応槽のpHを硫酸によりpH=2.5に設定して、H2O2=250mg/L、FeCl2・4H2O及び木質系粉末活性炭、返送汚泥を表1に記載の量で添加した。残留過酸化水素を亜硫酸水素ナトリウムで除去した後、水酸化ナトリウム(NaOH)でpH=6.5〜8に中和し、沈殿槽で汚泥を沈降分離した。暫く系内の汚泥を引き抜かずに循環運転して、所定の返送汚泥/Fe2+(重量比)になったことを確認した後、添加している活性炭及びFeCl2・4H2O由来の発生汚泥量を引き抜きながら、反応槽へ汚泥を返送して運転したときの、沈殿槽上澄みのCOD濃度を、JIS−K0102(1998)−17「100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(CODMn)」に従い測定してCOD分解率を求めた。本実験において、沈殿槽の濃縮汚泥濃度は17000mg/Lであった。処理開始から24hr後と300hr後での、各条件の時のCOD分解率を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
比較例1においては、実施例1のような汚泥の引き抜き及びFeCl2・4H2Oと活性炭の添加を行わなかった。Fe3+に対して活性炭が1.4倍(重量比)の組成の汚泥を、沈殿槽における濃縮汚泥濃度が17000mg/Lで、中和槽の汚泥濃度が5000mg/Lで一定となる量で予め添加し、汚泥濃度が安定していることを確認してから24hr後と300hr後のCOD分解率を測定した。
【0048】
(比較例2)
比較例2においては、返送汚泥/Fe2+(重量比)=18.4とした以外は実施例1と同様にしてCOD分解率を求めた。
【0049】
(比較例3)
比較例3においては、返送汚泥/Fe2+(重量比)=7.1とした以外は実施例1と同様にしてCOD分解率を求めた。
【0050】
表1の比較例1の結果より、汚泥を引き抜かずに汚泥を循環利用し続けると、初期は全ての返送汚泥の分解活性が高いために良好な処理水質が得られているが、時間の経過と共にその分解活性が低下していき、COD分解率が大きく低下していることが分かる。また、比較例2と実施例1との比較より、返送汚泥/Fe2+(重量比)を大きくすることで、COD分解率が向上することが分かる。さらに、比較例2及び3と実施例1とを比較することにより、反応槽中の活性炭量/H2O2(重量比)が1.3〜2.6の範囲(添加過酸化水素に対して反応槽中の活性炭量が130〜260重量%の範囲)ではCOD分解率が低下しており、その値を7.2とすることでCOD分解率が向上していることがわかる。
【0051】
【表1】
【0052】
(実施例2)
実施例2では、添加する鉄塩及び活性炭の最適添加割合を検討した。活性炭の添加による反応促進効果は、主にFe3+の触媒活性を上昇させるものなので、最適添加割合を検討するにあたっては、Fe3+イオンを使用した。
【0053】
500mLビーカーに、発生する汚泥量が5000mg/Lとなるように、木質系粉末活性炭及び触媒としてFeCl3を添加した。両者の割合をFe3+原子としての重量:活性炭重量=1:0.001〜26の範囲で設定し、DMSOを500mg/Lとなるように添加し、硫酸でpH=2.5に調整して、過酸化水素を250mg/L添加して1hr反応させた。その後NaOHによりpH=7として、残留過酸化水素を重亜硫酸水素ナトリウムで除去し、高分子凝集剤としてアニオン系ポリマーOA−23(オルガノ社製)を用いて、フロックを形成させ、静置後その上澄みのDMSO濃度を分析した。活性炭/Fe3+(重量比)とDMSO除去率(%)の関係を図9に示す。
【0054】
図9より、活性炭/Fe3+(重量比)=0.001〜26の範囲では、活性炭の割合が多くなるほど除去率が上昇することがわかる。また、その上昇率は活性炭/Fe3+(重量比)=1付近までにおいて急激に上昇し、活性炭/Fe3+(重量比)=5付近である程度安定することがわかる。
【0055】
(実施例3)
Fe2+/COD(化学当量比)の値は、小さければ処理における汚泥発生量が少ない反面、CODの除去率が低くなる傾向にある。逆に大きくなればCODの除去率が上昇する一方で、処理における発生汚泥が多くなる。COD除去率の低下に対しては汚泥を返送することで補える。そこで、一定の反応時間における、Fe2+/COD(化学当量比)の各値における返送汚泥/Fe2+とCOD除去率の関係に着目し、Fe2+/CODの各値における、COD除去率80%以上となる返送汚泥/Fe2+の範囲を検討するために、以下の実験を行った。
【0056】
図1と同様の装置を作製し、活性炭によってほとんど吸着除去されない物質であるDMSOをCOD=40mg/Lとなるように純水に溶解させた模擬排水を対象として、原水流量1L/minで、反応槽での返送汚泥流量を考慮しない滞留時間を1hrとし、反応槽のpHを硫酸によりpH=2.5に設定して、H2O2を過酸化水素/COD(化学当量比)=3、FeCl2・4H2OをFe2+/COD(化学当量比)=n=0.07,0.1,0.15,0.25、木質系粉末活性炭を活性炭/Fe2+(重量比)=5となるように添加した。中和槽での発生汚泥が15000mg/Lを超えないように35〜40%の範囲内で原水流量に対する返送汚泥流量比を変化させて、各n値の時に返送汚泥/Fe2+(重量比)を所定の値に設定した。その後、残留過酸化水素を亜硫酸水素ナトリウムで除去した後、水酸化ナトリウムで中和し、沈殿槽で汚泥を沈降分離した。本実験において、沈殿槽の濃縮汚泥濃度は27000mg/Lであった。実験の開始時間としては、暫く系内の汚泥を引き抜かずに循環運転して、所定の返送汚泥/Fe2+の比になったことを確認した時とした。添加している活性炭及びFeCl2・4H2O由来の発生汚泥量を引き抜きながら、反応槽へ汚泥を返送して連続運転したときの沈殿槽上澄みのCOD濃度をJIS−K0102(1998)−17に従い測定して、濃度が安定した時の測定値からCOD分解率を求めた。結果を図10に示す。
【0057】
図10より、反応槽の滞留時間1hr以上において、n=0.1より下では、返送汚泥/Fe2+を増加させてもCOD分解率が80%以上に達しないことがわかる。n=0.1〜0.15では、返送汚泥/Fe2+が600〜1000の間で80%以上のCOD分解率が得られることがわかる。また、n=0.15〜0.25では、返送汚泥/Fe2+が200〜1000の間で80%以上のCOD分解率が得られることがわかる。さらに、n=0.25以上では、返送汚泥/Fe2+が50〜1000で80%以上のCOD分解率が得られることがわかる。
【0058】
なお、n=0.3を超える場合については、以下の理由で好ましくない。本実験において、H2O2=250mg/L、FeCl2・4H2O=500mg/Lの通常の活性炭を添加しないフェントン反応を行うと、COD除去率は85%であった。このとき発生する汚泥量を計算すると、理論的に269mg/Lである。本実施例の活性炭を添加するフェントン反応では、n=0.3とすると、H2O2=250mg/L、FeCl2・4H2O=148mg/L、活性炭=210mg/Lとなり、理論的に発生する汚泥は290mg/Lと計算される。したがって、n=0.3以上では、COD分解率80%以上とするときに発生する汚泥量が、活性炭を添加しないフェントン反応よりも多くなってしまうため、好ましくない。活性炭/Fe2+(重量比)=5の場合の各n値における従来の活性炭を添加しないフェントン反応に対する汚泥削減率を表2及び図11に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
(実施例4)
実施例3の実験において、Fe2+/COD=n=0.05,0.07における反応槽での返送汚泥流量を考慮しない滞留時間を1hrから2hrに増加させたときの、返送汚泥/Fe2+(重量比)=1300と一定にした場合のCOD除去率の関係について検討した。滞留時間以外の条件は、実施例3と同様である。図12に反応槽の滞留時間(hr)とCOD分解率(%)の関係を示すように、反応槽での滞留時間を1hrから2hrへ増加させることでn=0.05,0.07においてもCOD分解率を80%以上とすることができることは明らかである。これより、滞留時間を上昇させれば、COD除去率が上昇することがわかる。また、図10において滞留時間1hrにおけるn=0.07でのCOD除去率が70%以上である場合、図12より滞留時間2hrに設定すればCOD除去率は80%以上に維持できることは明らかであるので、滞留時間2hr以上においては、n=0.07〜0.1の時、返送汚泥/Fe2+(重量比)=800〜1300に設定することで、COD分解率80%以上が得られることが分かる。また、n=0.05〜0.07においては、返送汚泥/Fe2+(重量比)=1300に設定することで、滞留時間2hr以上においてCOD分解率80%以上が得られることが分かる。
【0061】
以上の結果より、図13にCOD分解率80%となるn値と返送汚泥/Fe2+の関係を示す。有機物含有排水に少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、活性炭及び過酸化水素を添加して有機物を分解し、第一鉄イオン(Fe2+)から生成された第二鉄イオン(Fe3+)と活性炭を含む混合物を固液分離し、分離した汚泥を分解工程に返送する水処理方法において、図13の太線の範囲内、すなわち、返送汚泥/Fe2+(重量比)=50〜1300の範囲内で処理することにより、従来の活性炭を添加しないフェントン反応で発生する汚泥よりも発生汚泥を低減させ、効果的にCODを除去できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る水処理装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図5】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図6】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図7】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図8】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略図である。
【図9】本発明の実施例2における、活性炭/Fe3+(重量比)[−]とDMSO除去率[%]の関係を示す図である。
【図10】本発明の実施例3における、反応槽の滞留時間1hrでのFe2+/CODの各値(n)における返送汚泥/Fe2+[−]とCOD除去率[%]の関係を示す図である。
【図11】活性炭/Fe2+(重量比)=5の場合の各n値における従来の活性炭を添加しないフェントン反応に対する汚泥削減率を示す図である。
【図12】本発明の実施例4における、反応槽の滞留時間[hr]とCOD分解率[%]の関係を示す図である。
【図13】COD分解率80%となるn値と返送汚泥/Fe2+の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1,2,3,4,5,6,7,8 水処理装置、10,10a,10b,10c 反応槽、12 中和槽、14 還元槽、16 凝集槽、18 沈殿槽、20 汚泥滞留槽、22 凝集処理用凝集槽、24 凝集処理用沈殿槽、26 汚泥濃縮槽。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を含有する原水の処理を行う水処理方法であって、
前記原水に過酸化水素、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、及び活性炭を添加し、前記有機物を分解する分解工程と、
前記分解した反応液中の第二鉄イオンと活性炭とを含む混合物を固液分離する固液分離工程と、
前記固液分離した汚泥の少なくとも一部を前記分解工程に返送する返送工程と、
を含み、
前記分解工程において、添加する第一鉄塩の第一鉄イオンに対して重量比で1〜20倍となるように前記活性炭を添加し、かつ、
前記返送工程において、前記第一鉄イオンに対して重量比で50〜1300倍の前記汚泥を返送することを特徴とする水処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理方法であって、
前記分解工程において、前記原水のCOD濃度に対して、化学当量比で0.05〜0.25倍の前記第一鉄イオンを添加することを特徴とする水処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水処理方法であって、
前記分解工程において、前記原水のCOD濃度に対して、化学当量比で0.8〜3倍の前記過酸化水素を添加することを特徴とする水処理方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の水処理方法であって、
前記有機物がジメチルスルホキシドを含むことを特徴とする水処理方法。
【請求項5】
有機物を含有する原水の処理を行う水処理装置であって、
前記原水に過酸化水素、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、及び活性炭を添加することにより前記有機物を分解するための反応槽と、
前記分解した反応液中の第二鉄イオンと活性炭とを含む混合物を固液分離する固液分離手段と、
前記固液分離した汚泥の少なくとも一部を前記反応槽に返送する返送手段と、
を有し、
前記添加する活性炭の量は、前記第一鉄塩の第一鉄イオンに対して重量比で1〜20倍であり、前記返送する汚泥の量は、前記第一鉄イオンに対して重量比で50〜1300倍であることを特徴とする水処理装置。
【請求項1】
有機物を含有する原水の処理を行う水処理方法であって、
前記原水に過酸化水素、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、及び活性炭を添加し、前記有機物を分解する分解工程と、
前記分解した反応液中の第二鉄イオンと活性炭とを含む混合物を固液分離する固液分離工程と、
前記固液分離した汚泥の少なくとも一部を前記分解工程に返送する返送工程と、
を含み、
前記分解工程において、添加する第一鉄塩の第一鉄イオンに対して重量比で1〜20倍となるように前記活性炭を添加し、かつ、
前記返送工程において、前記第一鉄イオンに対して重量比で50〜1300倍の前記汚泥を返送することを特徴とする水処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理方法であって、
前記分解工程において、前記原水のCOD濃度に対して、化学当量比で0.05〜0.25倍の前記第一鉄イオンを添加することを特徴とする水処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水処理方法であって、
前記分解工程において、前記原水のCOD濃度に対して、化学当量比で0.8〜3倍の前記過酸化水素を添加することを特徴とする水処理方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の水処理方法であって、
前記有機物がジメチルスルホキシドを含むことを特徴とする水処理方法。
【請求項5】
有機物を含有する原水の処理を行う水処理装置であって、
前記原水に過酸化水素、少なくとも第一鉄塩を含む分解触媒、及び活性炭を添加することにより前記有機物を分解するための反応槽と、
前記分解した反応液中の第二鉄イオンと活性炭とを含む混合物を固液分離する固液分離手段と、
前記固液分離した汚泥の少なくとも一部を前記反応槽に返送する返送手段と、
を有し、
前記添加する活性炭の量は、前記第一鉄塩の第一鉄イオンに対して重量比で1〜20倍であり、前記返送する汚泥の量は、前記第一鉄イオンに対して重量比で50〜1300倍であることを特徴とする水処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−229415(P2008−229415A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68663(P2007−68663)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】
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