説明

水性ゲル状組成物及びその製造方法

【課題】香料等の水性ゲル状組成物への添加物を高温に晒すことなく、水性ゲル状組成物を得る。
【解決手段】ゲル化剤として化学式1で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物と、ゲル化剤を溶解する溶剤として水及び水溶性アルコール類とを混合し、ゲル化剤を溶剤に溶解させてゲル化剤溶解液を得るゲル化剤溶解工程と、ゲル化剤溶解液に水を加えてゲル化するゲル化工程とを含み、ゲル化剤溶解工程とゲル化工程との間またはゲル化工程で、室温のゲル化剤溶解液に対して水性ゲル状組成物への添加物を添加し混合してゲル化剤溶解液に均一に分散させるようにした。
<化1>
CH3(CH2)9CH(C12H25)CH2-O-(CH2CH2O)20-CONH-(CH2)6-NHCO-[O-(CH2CH2O)240-CONH(CH2)6NHCO]n-(OCH2CH2)20-O-CH2(C12H25)CH(CH2)9CH3

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性ゲル状組成物及びその製造方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、特に水性ゲル状芳香剤としての使用に好適な水性ゲル状組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水性ゲル状組成物は、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、食品等といった各方面で用いられている。例えば、水性ゲル状組成物を用いた芳香剤は、香りの蒸散性、持続性に優れており、取り扱いも簡単であるという利点を有している。
【0003】
従来の水性ゲル状組成物を用いた芳香剤としては、例えば、溶剤として水を使用し、ゲル化剤としてカラギーナン等を用いたものが知られている(特許文献1〜4参照)。
【0004】
【特許文献1】特開昭56−57451号公報
【特許文献2】特開平10−226749号公報
【特許文献3】特開2001−276203号公報
【特許文献4】特開2001−279119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、カラギーナンを水に分散させて70℃に加温して溶解させた後、香料を添加するようにしていた。また、特許文献2では、カッパー型カラギーナンを水に分散させて80℃〜90℃に加温して溶解させた後、60℃程度に冷却してから香料を添加するようにしていた。さらに、特許文献3及び4では、離水防止剤としての疎水変性ポリエーテルウレタンを保湿剤に70℃で加熱溶解し、室温まで冷却した溶液にゲル化剤であるカラギーナン等を70℃で溶解し、これに香料等を70℃で添加するようにしていた。即ち、いずれの場合においても、香料は室温よりも遙かに高い温度で添加されており、水性ゲル状芳香剤の製造過程において、香料の揮発や熱的劣化が生じる問題があった。
【0006】
また、複数の香料成分が調合された香料を使用する場合、水性ゲル状芳香剤の製造中に低沸点の香料成分のみが揮発して香料成分の調合バランスが崩れ、所望の香りが得られにくいという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、水性ゲル状組成物への添加物である香料等を高温に晒すことなく、水性ゲル状組成物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本願発明者等は鋭意研究を行い、上記特許文献3及び4で離水防止剤として使用されていた物質のうち、以下の化学式1で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物をゲル化剤とし、このゲル化剤を溶解する溶剤として水と水溶性アルコールとを併用することにより、従来にはない新たな性質を発揮することを見出した。
<化1>
CH3(CH2)9CH(C12H25)CH2-O-(CH2CH2O)20-CONH-(CH2)6-NHCO-[O-(CH2CH2O)240-CONH(CH2)6NHCO]n-(OCH2CH2)20-O-CH2(C12H25)CH(CH2)9CH3
【0009】
即ち、化学式1で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物をゲル化剤とし、このゲル化剤を溶解する溶剤として水及び水溶性アルコール類を用いることにより、このゲル化剤を溶解させた溶剤(ゲル化剤溶解液)の流動性を室温でも維持できることを知見した。そして、このゲル化剤溶解液に室温の水を加えて混合することで、ゲル化できることを知見した。本願発明者等は、これらの知見に基づき、さらに種々検討を行い、本願発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、請求項1に記載の水性ゲル状組成物は、以下の化学式1で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物をゲル化剤とし、このゲル化剤と水と水溶性アルコール類とを少なくとも含むものとしている。
【0011】
<化1>
CH3(CH2)9CH(C12H25)CH2-O-(CH2CH2O)20-CONH-(CH2)6-NHCO-[O-(CH2CH2O)240-CONH(CH2)6NHCO]n-(OCH2CH2)20-O-CH2(C12H25)CH(CH2)9CH3
【0012】
また、請求項10に記載の水性ゲル状組成物の製造方法は、ゲル化剤として化学式1で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物と、ゲル化剤を溶解する溶剤として水及び水溶性アルコール類とを混合し、ゲル化剤を溶剤に溶解させてゲル化剤溶解液を得るゲル化剤溶解工程と、ゲル化剤溶解液に水を加えてゲル化するゲル化工程とを含み、ゲル化剤溶解工程とゲル化工程との間またはゲル化工程で、室温のゲル化剤溶解液に対して水性ゲル状組成物への添加物を添加し混合してゲル化剤溶解液に均一に分散させるようにしている。
【0013】
このように、ゲル化剤として化学式1で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物を用い、ゲル化剤を溶解する溶剤として水及び水溶性アルコール類とを用いることで、このゲル化剤を溶解させた溶剤(ゲル化剤溶解液)の流動性が室温でも維持される。したがって、ゲル化剤溶解工程とゲル化工程との間またはゲル化工程で、室温のゲル化剤溶解液に対して水性ゲル状組成物への添加物を添加し混合することで、ゲル化剤溶解液に添加物を均一に分散させることができる。そして、この添加物は、水性ゲル状組成物の製造過程において、常に室温に維持されることとなり、高温に晒されて揮発や熱的劣化を起こすことが無くなる。
【0014】
ここで、請求項2または請求項11に記載のように、水溶性アルコール類は、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール及び2−(2−エトキシエトキシ)エタノールから選ばれる1種または2種以上とすることが好ましい。
【0015】
また、請求項12に記載の水性ゲル状組成物の製造方法のように、水溶性アルコール類として、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及び3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールから選ばれる1種または2種以上とした場合には、化学式1で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物のゲル化剤を、水及び水溶性アルコール類を混合した溶剤に室温で溶解させることができ、且つこのゲル化剤を溶解させた溶剤(ゲル化剤溶解液)の流動性が室温で維持される。しかも、ゲル化剤溶解工程からゲル化工程においてゲル化剤溶解液は常に室温に維持して、流動性を確保することができる。したがって、この場合には、水性ゲル状組成物への添加物の添加を、ゲル化剤溶解工程とゲル化工程との間またはゲル化工程だけでなく、ゲル化剤溶解工程においても行うこともできる。
【0016】
さらに、請求項3または13に記載のように、ゲル化剤は、組成物全体に対し少なくとも1.5質量%含むことが好ましい。
【0017】
また、請求項4記載のように、本発明の水性ゲル状組成物は、水溶性アルコール類の質量に対し、少なくとも4倍を超える質量の水を含むものとすることが好ましい。そして、請求項14に記載のように、ゲル化剤を溶解する溶剤としての水と水溶性アルコール類とが、1:200〜4:1の質量比で含まれていることが好ましい。
【0018】
ここで、請求項5または15に記載のように、水溶性アルコール類としてエタノールを使用することが特に好ましい。そして、請求項6または請求項16記載のように、エタノールを使用する場合には、ゲル化剤1質量部に対し、エタノールを3〜10質量部含むことが好ましい。
【0019】
また、請求項7に記載の水性ゲル状組成物は、添加物として蒸散性物質を含むものとしている。さらに、請求項8に記載の水性ゲル状組成物は、蒸散性物質として、少なくとも香料を含むものとしている。そして、請求項9に記載のように、本発明の水性ゲル状組成物は、水または水及び水溶性アルコール類が蒸散して、ゲル化剤の溶解状態が維持できなくなったときに白濁するという特徴を有するものである。
【0020】
また、請求項17に記載の水性ゲル状組成物の製造方法では、添加物として少なくとも蒸散性物質を添加するようにしている。さらに、請求項18に記載の水性ゲル状組成物の製造方法では、蒸散性物質として少なくとも香料を添加するようにしている。
【発明の効果】
【0021】
以上、本発明によれば、水性ゲル状組成物への添加物、例えば香料等を、水性ゲル状組成物の製造過程において室温で均一に分散させ、その後、添加物を高温に晒すこと無く、室温で水性ゲル状組成物を得ることができる。したがって、熱による添加物の揮発や劣化が生じることが無いので、添加物の有する機能を損なうことなく、水性ゲル状組成物に分散させることができる。
【0022】
しかも、本発明によれば、水または水及び水溶性アルコール類が蒸散して、ゲル化剤の溶解状態が維持できなくなったときに白濁するという優れた特徴を有している。したがって、蒸散すべき水または水及び水溶性アルコール類が全て蒸散するまでの時間に合わせて添加剤としての蒸散性物質を添加することで、添加剤としての蒸散性物質が殆ど蒸散しきったあたりで組成物に白濁を生じさせることができ、取り替え時期を目視で容易に判断できるという利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0024】
本発明の水性ゲル状組成物は、以下の化学式1で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物をゲル化剤とし、このゲル化剤と水と水溶性アルコール類とを少なくとも含むものとしている。
【0025】
<化1>
CH3(CH2)9CH(C12H25)CH2-O-(CH2CH2O)20-CONH-(CH2)6-NHCO-[O-(CH2CH2O)240-CONH(CH2)6NHCO]n-(OCH2CH2)20-O-CH2(C12H25)CH(CH2)9CH3
【0026】
また、本発明の水性ゲル状組成物の製造方法は、ゲル化剤として化学式1で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物と、ゲル化剤を溶解する溶剤として水及び水溶性アルコール類とを混合し、ゲル化剤を溶剤に溶解させてゲル化剤溶解液を得るゲル化剤溶解工程と、ゲル化剤溶解液に水を加えてゲル化するゲル化工程とを含み、ゲル化剤溶解工程とゲル化工程との間またはゲル化工程で、室温のゲル化剤溶解液に対して水性ゲル状組成物への添加物を添加し混合してゲル化剤溶解液に均一に分散させるようにしている。
【0027】
尚、本明細書において、室温とは、水性ゲル状組成物への添加物、例えば香料等を熱的に劣化させることの無い温度範囲、例えば、5℃〜35℃、好適には20℃〜35℃を指す。
【0028】
化学式1で表されるn=1〜10のコポリマーは、化粧品成分表示名称が(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマーである。またINCI名は、PEG−240/HDI COPOLYMER BIS−DECYLTETRADECETH−20 ETHERである。本発明では、化学式1で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物をゲル化剤として使用する。以降の説明では、このコポリマーの混合物をPDHコポリマーと呼ぶこととする。
【0029】
PDHコポリマーは、例えば以下のようにして得ることができる。即ち、温度計、窒素導入管および攪拌機を付した1000mL容の4つ口フラスコにポリエチレングリコール11000(PEG、分子量約11000)を131質量部、2−ドデシル−ドデシルアルコールのエチレンオキサイド(EO)20モル付加物を552質量部仕込み、減圧下(10mmHg以下)にて90〜110℃で3時間脱水し、系の水分量を0.03%以下とする。次いで、80℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)17.9質量部を加え、窒素気流下80〜90℃で2時間反応させ、イソシアネートが0%であることを確認し、常温で淡黄色の固体〜ろう状固体の反応生成物として得ることができる。但し、このPDHコポリマーの製造方法はあくまでも一例であって、これに限定されるものではなく、他の公知の方法あるいは新規の方法を適宜採用することができる。
【0030】
ここで、PDHコポリマーの含有量は、水性ゲル状組成物全体に対し少なくとも1.5質量%以上とすることが好ましく、2.0質量%以上とすることがさらに好ましい。PDHコポリマーの含有量を1.5質量%未満とすると、水性ゲル状組成物に流動性が生じる虞がある。尚、PDHコポリマーの含有量の上限値については、溶剤に溶解しうる限り特に限定されるものではないが、水性ゲル状組成物全体のコストが向上するだけでなく、水性ゲル状芳香剤とした場合には残渣が増え見栄えも悪くなるため、最大でも5.0質量%とすれば十分である。
【0031】
PDHコポリマーは、水及び水溶性アルコール類を溶剤として溶解させることができる。
【0032】
ここで、溶剤としての水と水溶性アルコール類との混合比は、質量換算で1:200〜4:1とすることが好ましく、1:100〜1:1とすることがより好ましい。この範囲より水が少なくなると、PDHコポリマーが溶解しなくなる虞がある。また、この範囲より水が多くなると、PDHコポリマーを溶解する際に系全体が容易にゲル化してしまい、流動性を失って、水性ゲル状組成物への添加物を、水性ゲル状組成物中に均一に分散させることが困難になる。つまり、溶剤としての水と水溶性アルコール類との混合比を上記範囲とすることで、PDHコポリマーを完全に溶解させ、且つ系全体の流動性を室温で維持して水性ゲル状組成物への添加物を水性ゲル状組成物に均一に分散させることが可能となる。
【0033】
水溶性アルコール類としては、水溶性アルコールや水溶性ジオール(水溶性グリコール)が挙げられる。この中でも、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール及び2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを用いることが好ましく、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを用いることがより好ましく、エタノールを用いることが特に好ましい。
【0034】
エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール及び2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを水溶性アルコール類として水と併用することで、PDHコポリマーを完全に溶解させ、且つ系全体の流動性を室温で維持する効果を確実に得ることができる。また、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを水溶性アルコール類として水と併用することで、PDHコポリマーを室温で完全に溶解させ、且つ系全体の流動性を室温で維持する効果を確実に得ることができる。
【0035】
つまり、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを水溶性アルコール類として水と併用する場合には、PDHコポリマーを室温でも完全に溶解させることができるので、PDHコポリマーを溶解する段階で水性ゲル状組成物への添加物を混合しても以降の工程でこの添加物が高温に晒されることが無く、熱的劣化が生じない。一方で、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを水溶性アルコール類として水と併用する場合には、PDHコポリマーを室温で完全に溶解させることができず、若干加熱(40℃〜65℃)する必要がある。この場合には、PDHコポリマーを溶解する段階で水性ゲル状組成物への添加物を混合すると、添加物が熱的に劣化したり揮発したりする虞がある。但し、一旦溶解したPDHコポリマーは室温まで冷却しても析出することがない。また、室温まで冷却しても系全体としての流動性は失われることがない。したがって、PDHコポリマーを溶解した後、これを室温まで冷却した後に水性ゲル状組成物への添加物を混合することで、添加物の揮発や熱的劣化が生じなくなる。
【0036】
また、エタノールは上記効果に加え、安価で且つ入手し易く、しかも水と非常になじみやすいことから、水溶性アルコール類として特に好ましい。
【0037】
尚、水溶性アルコール類は、水性ゲル状組成物への添加物、例えば、香料や界面活性剤等に含まれている場合もある。したがって、添加物に含まれている水溶性アルコール類を利用して、PDHコポリマーを溶解することも可能である。
【0038】
ここで、エタノールを水溶性アルコール類として使用する場合には、PDHコポリマー1質量部に対し、エタノールを3〜10質量部とすることが好ましく、4〜9質量部とすることがより好ましく、5〜8質量部とすることがさらに好ましい。エタノールの量をこの範囲よりも少ないものとすると、PDHコポリマーは溶解しなくなる虞がある。また、エタノールの量をこの範囲よりも多いものとすると、水性ゲル状組成物が柔らかくなって、保形性に問題が生じる虞がある。
【0039】
PDHコポリマーが溶解された溶剤(ゲル化剤溶解液)は、水を加えて混合することでゲル化させることができる。ゲル化する際に加える水の量は、水溶性アルコール類の使用量により規定される。即ち、水溶性アルコール類の質量に対し、4倍を超える質量の水が系全体として混合されることで、ゲル化が生じるので、この水の質量から溶剤として使用した水の質量を差し引いた質量以上の水を混合することで、ゲル化させることができる。尚、水の温度は、室温とすればよいが、室温より低いものとしてもゲル化は可能である。尚、本発明の水性ゲル状組成物には、上記の通り、水溶性アルコール類の質量に対し、4倍を超える質量の水が含まれるものであるが、水の量を多くし過ぎると、製造時のハンドリング性が低下する虞がある。したがって、水の量の上限値については、製造時のハンドリング性を低下させることが無い量、例えば、水溶性アルコールの質量に対して最大でも1000倍とすることが好適であり、100倍とすることがより好適であり、25倍とすることがさらに好適である。
【0040】
水性ゲル状組成物への添加物は、PDHコポリマーを溶解する際に加熱が必要な場合には、PDHコポリマーを溶解した溶剤(ゲル化剤溶解液)を冷却して室温とした後の工程、つまり、ゲル化剤溶解工程とゲル化工程との間において添加される。または、ゲル化工程において、水と共に添加物を添加するようにして添加物を均一に分散させることも可能である。PDHコポリマーを室温で溶解できる場合には、さらにゲル化剤溶解工程において添加物を添加することも可能である。尚、添加物を複数添加する場合には、これらの工程においてすべてを同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。また、添加物を添加する場合には、独立に添加してもよいが、溶剤や水に一旦溶解あるいは分散させて、PDHコポリマーを溶解した溶剤(ゲル化剤溶解液)への添加剤の分散性を高めてから添加するようにしてもよい。
【0041】
尚、本発明における水性ゲル状組成物への添加物としては、例えば、蒸散性物質である香料が挙げられる。また、香料単独では水性ゲル状組成物に分散させることが難しい場合には、さらに界面活性剤を添加物として併用することも可能である。本発明によれば、水性ゲル状組成物への添加物を高温に晒すことなく製造することができるので、揮発や熱的劣化が生じやすい香料を添加物とした水性ゲル状芳香剤の製造に非常に好適である。また、香料を水性ゲル状組成物に均一に分散するために香料と共に添加される界面活性剤についても、熱的劣化を生じさせることなく、その機能を最大限に発揮させることができる。さらには、油性成分を溶解し易くするための溶解助剤や香料の蒸散制御剤等についても、添加物として併用することができ、熱的劣化を生じさせることなく、その機能を最大限に発揮させることができる。
【0042】
また、PDHコポリマー以外のポリマーやゲル化剤、増粘剤、消臭剤、色素、溶剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、ラメなどの装飾物などを、水性ゲル状組成物の機能を低下させない範囲で添加物として併用することができる。そして、これらについても水性ゲル状組成物の製造過程において高温に晒されることないので、熱的劣化を防いで、その機能を最大限に発揮させることができる。
【0043】
さらに、本発明の水性ゲル状組成物によれば、水または水及び水溶性アルコール類が蒸散して、ゲル化剤の溶解状態が維持できなくなったときに白濁する性質を有している。より詳細には、水または水及び水溶性アルコール類が蒸散して、ゲル化剤の溶解状態が維持できなくなり始めると組成物の白濁が生じ始め、蒸散すべき水または水及び水溶性アルコール類が全て蒸散すると組成物全体が完全に白濁する。したがって、蒸散すべき水または水及び水溶性アルコール類が全て蒸散するまでの時間に合わせて添加剤としての蒸散性物質を添加することで、添加剤としての蒸散性物質が殆ど蒸散しきったあたりで組成物に白濁を生じさせて、取り替え時期を目視で簡単に確認することができるようになる。例えば、添加剤としての蒸散性物質として香料を使用し、水性ゲル状芳香剤とした場合には、取り替え時期を組成物の白濁により目視で簡単に確認することができる機能を有する芳香剤とすることが可能となる。
【0044】
上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、水性ゲル状組成物の添加物として香料を例に挙げ、芳香剤として利用するようにしていたが、本発明の水性ゲル状組成物は芳香剤としての利用には限定されない。即ち、本発明の水性ゲル状組成物は、添加物を香料以外の他の蒸散性物質等に適宜変更することにより、消臭剤、除菌剤、防虫剤、忌避剤、誘引剤、殺虫剤、殺菌剤、燻蒸剤、殺ダニ剤、貼付剤、外用剤等として使用することも可能である。即ち、本発明によれば、添加物が高温に晒されることなく、水性ゲル状組成物を製造することができるので、添加物として香料を使用する場合に限らず、水性ゲル状組成物に添加されて用いられる公知あるいは新規の様々な添加物の揮発や熱的劣化を防いで、その機能を最大限に発揮させることができる。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。尚、以降に示す表1〜4における材料の配合量は全て質量%を意味している。
【0046】
(実施例1)
ゲル化に必要なPDHコポリマーの濃度について検討した。
【0047】
80℃に加温した水とPDHコポリマーとを表1に示す割合で添加し、攪拌した。均一白濁状になったことを確認した後、攪拌下で徐冷した。PDHコポリマー各濃度における固化の状態を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1に示される結果から、水性ゲル状組成物として、PDHコポリマーは組成物全体に対し少なくとも1.5質量%必要であることが明らかとなった。
【0050】
(実施例2)
PDHコポリマーをゲル化剤として室温で水性ゲル状組成物を製造する方法について検討した。
【0051】
本実施例では、以下の5つの製法(製法A〜E)を検討した。配合割合を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
(1)製法A
水溶性溶剤としてエタノールを用いた場合について検討した。実験にて使用したエタノールは日本アルコール販売株式会社から購入した95v/v%品である(以降の実験にて使用した95v/v%エタノールも同一品である)。即ち、少量の水(4.5〜4.7v/v%)とエタノール(95v/v%)が含まれているものである。
まず、この95v/v%エタノールにPDHコポリマーを室温にて添加し、攪拌したところ、室温でも十分に溶解することが確かめられた。一方で、水が殆ど含まれていないエタノールの99.5v/v%品を使用した場合には、PDHコポリマーを完全に溶解させることはできなかった。したがって、エタノールに少量の水を混合したものを使用することで、PDHコポリマーを室温で溶解可能であることが明らかとなった。
そして、95v/v%エタノールにPDHコポリマーを室温にて添加し、攪拌した後、これに室温にて水を加えることで、ゲル化が可能であることが明らかとなった。
この結果から、エタノールに水を混合したものを使用することで、これに室温でPDHコポリマーを添加して溶解させた後、室温にて水を加えてゲル化することができ、全工程を室温として水性ゲル状組成物を製造可能であることが明らかとなった。
【0054】
(2)製法B
水溶性溶剤として、n−プロパノール(ダイセル化学工業株式会社、純度99%以上、水分0.2質量%以下)、イソプロパノール(三菱商事ケミカル株式会社、純度99.9%以上、水分0.1質量%以下)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(クラレ株式会社、純度99%以上、水分0.2質量%以下)を用いた場合について検討した。これらは、水が殆ど含まれておらず、そのままではPDHコポリマーを室温で溶解させることができなかった。そこで、配合するPDHコポリマーと同量の水をこれらの水溶性溶剤にそれぞれ混合したところ、PDHコポリマーを室温で完全に溶解できることが確認された。
そして、上記水溶性溶剤と配合するPDHコポリマーと同量の水との混合物にPDHコポリマーを室温にて添加し、攪拌した後、これに室温にて残りの水を加えることで、ゲル化が可能であることが明らかとなった。
この結果から、n−プロパノール、イソプロパノールまたは3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールに水を混合したものを使用することで、これに室温でPDHコポリマーを添加して溶解させた後、室温にて水を加えてゲル化することができ、全工程を室温として水性ゲル状組成物を製造可能であることが明らかとなった。
【0055】
(3)製法C
水溶性溶剤として、ヘキシレングリコール(シェルケミカルズジャパン株式会社、純度99%以上、水分0.2質量%以下)、ジプロピレングリコール(シェルイースタンペトロリウム社、純度99.5%以上、水分0.2質量%以下)、プロピレングリコール(ダウケミカル株式会社、純度99%以上、水分0.2質量%以下)、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール(ダイセル化学工業株式会社、純度99%以上、水分0.1質量%以下)を用いた場合について検討した。これらは、水が殆ど含まれておらず、そのままではPDHコポリマーを室温で溶解させることができなかった。そこで、配合するPDHコポリマーと同量の水をこれらの水溶性溶剤にそれぞれ混合したが、PDHコポリマーを室温で完全に溶解させることはできなかった。そこで、40〜65℃に加熱したところ、PDHコポリマーを完全に溶解可能であることが確認できた。加熱溶解後、室温まで放冷し、PDHコポリマーの析出等が起こらないことを確認した。そして、これに室温にて残りの水を加えることで、ゲル化が可能であることが明らかとなった。
この結果から、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールに水を混合したものを使用することで、これを40〜65℃に加熱して溶解させた後、室温まで放冷してから、室温にて水を加えてゲル化することができることが明らかとなった。即ち、ゲル化の際に水と共に香料等を添加すれば、香料等を熱に晒すことなく、水性ゲル状組成物に均一に分散できることがわかった。
【0056】
(4)製法D
上記で検討した製法Aについて、実際に室温で水性ゲル状芳香剤を製造することについて検討した。エタノールの95v/v%品と香料と界面活性剤とを予め混合しておき、これに室温にてPDHコポリマーを添加して完全に溶解するまで攪拌混合した。次いで、室温にてプロピレングリコールと水とを順次加え、室温にて攪拌機で均一になるまで混合した。その結果、全工程を室温として、香料等を熱的に劣化させることなく、水性ゲル状芳香剤を製造可能であることが確認できた。
【0057】
(5)製法E
水のみでPDHコポリマーを溶解した場合に、室温において香料等を添加することについて検討した。
まず、80℃に加温した水にPDHコポリマーを添加し、攪拌したところ、均一白濁状となった。そこで、製法Cと同様、これを室温まで放冷した後、香料等を添加すれば、香料等を熱に晒すことなく、水性ゲル状組成物に均一に分散可能であると考えられた。ところが、曇点である60〜75℃よりも温度が低くなると、急激に増粘してゲル化が生じてしまい、香料等を均一に分散させることはできなかった。
即ち、水のみでPDHコポリマーを加熱溶解した場合は、曇点(60〜75℃)以上の温度を維持して香料等を添加する必要があり、香料等を室温で添加することができないことが明らかとなった。
尚、表2において得られたEの水性ゲル状芳香剤は、80℃に加温した水にPDHコポリマーを添加し、攪拌し、均一白濁状になったことを確認した後、曇点(60〜75℃)以上の温度を維持し、香料、界面活性剤、エタノール、プロピレングリコールを添加したものである。
【0058】
(6)PDHコポリマーとエタノールの配合割合の検討
次に、上記製法Aに基づき、PDHコポリマーとエタノールの配合割合について検討した。表2に結果を示す。
【0059】
表2に示される結果から、エタノール3〜10質量部に対し、PDHコポリマーを1質量部溶解させることが好ましいことが明らかとなった。尚、エタノールの量が3質量部よりも少ないと、ゲル化剤として必要な量のPDHコポリマーを溶解させることができなかった。また、エタノールの量が10質量部を超えると、水性ゲル状組成物が柔らかくなって保形性の点で問題が生じることがわかった。
【0060】
(実施例3)
PDHコポリマー以外をゲル化剤として、室温で水性ゲル状組成物の製造が可能か検討した。
【0061】
PDHコポリマー以外のゲル化剤として、ジェランガム(大日本住友製薬株式会社製)、カラギーナン(新田ゼラチン株式会社製)、ゼラチン(新田ゼラチン株式会社製)、寒天(伊那食品工業株式会社製)を用いた。表3に従い、ゲル化剤に95v/v%エタノールを添加して撹拌混合し、その後水を加えて均一になるまで混合した。
【0062】
【表3】

【0063】
表3に示される結果から、ゲル化剤をPDHコポリマー以外とした場合では、室温での水性ゲル状組成物の製造が困難であることが明らかとなった。
【0064】
(実施例4)
ゲル化剤をPDHコポリマーとして室温で製造した水性ゲル状芳香剤及び従来からあるゲル化剤を使用して製造した水性ゲル状芳香剤について、各種評価を行った。結果を表4に示す。
【0065】
【表4】

【0066】
(1)PDHコポリマーを用いた水性ゲル状芳香剤の製造
95v/v%エタノールに香料と界面活性剤とを事前に混合しておき、これにPDHコポリマーを添加して完全に溶解するまで室温で攪拌混合した。その後、プロピレングリコールと水を順次加え、攪拌機で均一になるまで室温にて混合し、所定容量の無色透明ガラスに充填した。
【0067】
(2)従来からあるゲル化剤を用いた水性ゲル状芳香剤の製造
従来からあるゲル化剤として、ジェランガム、カラギーナン、ゼラチン、寒天を用いた。まず、ゲル化剤をプロピレングリコールに分散させ、水を加えて攪拌混合し、90℃以上に昇温して約2時間以上攪拌溶解させ、ゲル化剤水溶液を得た。また、95v/v%エタノールに香料と界面活性剤とを混合し、70℃に加熱した。これをゲル化剤水溶液に添加し、加温下(60℃)で攪拌混合した後、所定容量の無色透明ガラス容器に充填した。尚、ジェランガム、カラギーナン、ゼラチン、寒天を用いた場合、室温での水性ゲル状芳香剤の製造はできなかった。
【0068】
以下、上記により製造された水性ゲル状芳香剤について評価を行った。
【0069】
(A)製造直後の状態
上記にて製造した水性ゲル状芳香剤の製造直後の状態を目視にて評価した。表4において、○は製造直後にゲル状であったことを示し、×は製造直後に液状であったことを示す。PDHコポリマー、ジェランガム及びカラギーナンをゲル化剤とした場合には、製造直後においてゲル状であったが、寒天とゼラチンについては製造直後において液状であり、ゲル化しなかった。
【0070】
(B)外観(透明性)
製造した水性ゲル状芳香剤の外観(透明性)を評価した。評価は、各組成物の後ろに黒色の紙を置き、容器に充填した水と比較したときの透明性を目視にて評価した。その結果、ゲル化剤をPDHコポリマー及びカラギーナンとした場合には、水と同じ程度に無色透明であることが確認された。これに対し、ゲル化剤としてジェランガムを用いた場合には、水と比べて透明性がやや劣り、しかも若干色が黄ばんでいた。
【0071】
(C)耐熱性(50℃)
製造した各芳香剤を、50℃恒温槽(yamato Incubator 400)に一週間静置して取り出し、状態を目視にて確認した。その結果、ゲル化剤をジェランガム及びカラギーナンとした場合には、取り出し直後に傾けても、形状が維持されることが確認された。これに対し、ゲル化剤をPDHコポリマーとした場合には、取り出し直後に傾けると若干の流動性があったものの、使用に際して特に問題にならないレベルであった。
【0072】
(D)復元性(70℃から室温へ)
製造した各芳香剤を、70℃恒温槽(yamato Incubator 400)に一週間静置して取り出し、各芳香剤を室温にて一日放冷し、室温になっていることを確認した後、各芳香剤の状態を目視にて評価した。その結果、ゲル化剤をPDHコポリマー及びジェランガムとした場合には、室温に戻すと元に戻ることが確認された。これに対し、ゲル化剤としてカラギーナンを用いた場合には、室温に戻しても完全には元には戻らなかった。
【0073】
(E)離水評価
(C)における耐熱性試験の際に、各芳香剤に含まれる液体の染み出し(離水)があるかどうかを目視にて評価した。その結果、ゲル化剤をPDHコポリマーとした場合には、離水は全く見られなかった。これに対し、ゲル化剤をジェランガムとした場合には、やや離水があった。また、ゲル化剤としてカラギーナンを用いた場合には、著しい離水が発生した。
【0074】
(F)残渣評価
各芳香剤を質量変化がなくなるまで静置蒸散させた後、残渣の状態を目視にて評価した。その結果、ゲル化剤をPDHコポリマーとした場合には、残渣が白く濁ることが確認された。これに対し、ゲル化剤をジェランガム及びカラギーナンとした場合には、残渣が透明であることが確認された。このことから、ゲル化剤としてPDHコポリマーを用いた場合には、ゲルが白濁した段階で取り替え時期であるとして、インジケーターとしても機能することが明らかとなった。
【0075】
以上の結果から、ゲル化剤をPDHコポリマーとすることで、室温で製造することが可能となり、香料等を熱的に劣化させることなく、均一に分散させることができることがわかった。しかもゲル化剤をPDHコポリマーとすることで、透明性も高く、使用終焉時における白濁により取替え時期が分かり易いものとなり、従来品と比べて格段に優れた水性ゲル状芳香剤を製造できることが明らかとなった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学式1
<化1>
CH3(CH2)9CH(C12H25)CH2-O-(CH2CH2O)20-CONH-(CH2)6-NHCO-[O-(CH2CH2O)240-CONH(CH2)6NHCO]n-(OCH2CH2)20-O-CH2(C12H25)CH(CH2)9CH3
で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物をゲル化剤とし、このゲル化剤と水と水溶性アルコール類とを少なくとも含むことを特徴とする水性ゲル状組成物。
【請求項2】
前記水溶性アルコール類は、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール及び2−(2−エトキシエトキシ)エタノールから選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の水性ゲル状組成物。
【請求項3】
組成物全体に対し、前記ゲル化剤を少なくとも1.5質量%含む請求項1に記載の水性ゲル状組成物。
【請求項4】
前記水溶性アルコール類の質量に対し、少なくとも4倍を超える質量の前記水を含む請求項1に記載の水性ゲル状組成物。
【請求項5】
前記水溶性アルコール類は、エタノールである請求項1に記載の水性ゲル状組成物。
【請求項6】
前記ゲル化剤1質量部に対し、前記エタノールを3〜10質量部含む請求項5に記載の水性ゲル状組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の水性ゲル状組成物に、添加物として蒸散性物質を含んでなる水性ゲル状組成物。
【請求項8】
前記蒸散性物質として少なくとも香料を含む請求項7に記載の水性ゲル状組成物。
【請求項9】
前記水または前記水及び前記水溶性アルコール類が蒸散して、前記ゲル化剤の溶解状態が維持できなくなったときに白濁する請求項1〜8のいずれか一つに記載の水性ゲル状組成物。
【請求項10】
水性ゲル状組成物を製造する方法であって、ゲル化剤として以下の化学式1
<化1>
CH3(CH2)9CH(C12H25)CH2-O-(CH2CH2O)20-CONH-(CH2)6-NHCO-[O-(CH2CH2O)240-CONH(CH2)6NHCO]n-(OCH2CH2)20-O-CH2(C12H25)CH(CH2)9CH3
で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物と、前記ゲル化剤を溶解する溶剤として水及び水溶性アルコール類とを混合し、前記ゲル化剤を前記溶剤に溶解させてゲル化剤溶解液を得るゲル化剤溶解工程と、前記ゲル化剤溶解液に水を加えてゲル化するゲル化工程とを含み、前記ゲル化剤溶解工程と前記ゲル化工程との間または前記ゲル化工程で、室温の前記ゲル化剤溶解液に対して前記水性ゲル状組成物への添加物を添加し混合して前記ゲル化剤溶解液に均一に分散させることを特徴とする水性ゲル状組成物の製造方法。
【請求項11】
前記水溶性アルコール類として、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール及び2−(2−エトキシエトキシ)エタノールから選ばれる1種または2種以上を使用する請求項10に記載の水性ゲル状組成物の製造方法。
【請求項12】
水性ゲル状組成物を製造する方法であって、ゲル化剤として以下の化学式1
<化1>
CH3(CH2)9CH(C12H25)CH2-O-(CH2CH2O)20-CONH-(CH2)6-NHCO-[O-(CH2CH2O)240-CONH(CH2)6NHCO]n-(OCH2CH2)20-O-CH2(C12H25)CH(CH2)9CH3
で表されるn=1〜10のコポリマーの混合物と、前記ゲル化剤を溶解する溶剤として水及び水溶性アルコール類とを室温で混合し、前記ゲル化剤を前記溶剤に溶解させてゲル化剤溶解液を得るゲル化剤溶解工程と、前記ゲル化剤溶解液に水を加えてゲル化するゲル化工程とを含み、前記水溶性アルコール類として、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及び3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールから選ばれる1種または2種以上を使用し、前記ゲル化剤溶解工程、前記ゲル化剤溶解工程と前記ゲル化工程との間または前記ゲル化工程で、前記ゲル化剤溶解液に対して前記水性ゲル状組成物への添加物を添加し混合して前記ゲル化剤溶解液に均一に分散させることを特徴とする水性ゲル状組成物の製造方法。
【請求項13】
組成物全体に対し、前記ゲル化剤を少なくとも1.5質量%使用する請求項10または12に記載の水性ゲル状組成物の製造方法。
【請求項14】
前記溶剤としての前記水と前記水溶性アルコール類との質量比を、1:200〜4:1とする請求項10または12に記載の水性ゲル状組成物の製造方法。
【請求項15】
前記水溶性アルコール類として、エタノールを使用する請求項10または12に記載の水性ゲル状組成物の製造方法。
【請求項16】
前記ゲル化剤1質量部に対し、前記エタノールを3〜10質量部使用する請求項15に記載の水性ゲル状組成物の製造方法。
【請求項17】
前記添加物として少なくとも蒸散性物質を添加する請求項10〜16のいずれか一つに記載の水性ゲル状組成物の製造方法。
【請求項18】
前記蒸散性物質として少なくとも香料を添加する請求項17に記載の水性ゲル状組成物の製造方法。

【公開番号】特開2010−95592(P2010−95592A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266601(P2008−266601)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(591011410)小川香料株式会社 (173)
【Fターム(参考)】