説明

水性メイクアップ化粧料

【課題】 塗布時の伸び広がりが良好で清涼感があり、上滑りやズルつきなどがなく肌への密着性が高く均一で美しい仕上がりの化粧膜が得られ、乾燥やつっぱり感などの肌負担がない良好な使用感を有し、化粧持ちも良好な水性メーキャップ化粧料に関する。
【解決手段】 本発明の水性メイクアップ化粧料は、次の成分(a)、(b)及び(c);(a)グリコシルトレハロース、(b)ポリアクリル酸塩、(c)粉体を配合したことを特徴とする水性メイクアップ化粧料を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリコシルトレハロース、ポリアクリル酸塩および粉体を配合する水性メイクアップ化粧料に関するものであり、更に詳しくは、塗布時の伸び広がりが良好で清涼感があり、上滑りやズルつきなどがなく肌への密着性が高く均一で美しい仕上がりの化粧膜が得られ、乾燥やつっぱり感などの肌負担がない良好な使用感を有し、化粧持ちも良好なメーキャップ化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、メーキャップ化粧料は、美しい肌や彩りや陰影のある印象的な目元、口元を創り上げることを目的として使用されるものであり、その化粧効果を最大限に発揮させるためには皮膚上において均一で美しい化粧膜を形成させることが重要である。水中に粉体を分散した分散型水性化粧料や粉体を含有する水中油型乳化化粧料などの水性メイクアップ化粧料は、高い清涼感と、ベトつきがなくみずみずしくなめらかな使用感に優れる化粧料剤型として汎用されている。しかし、水性メイクアップ化粧料はみずみずしくなめらかな使用感に優れる反面、油性メーキャップ化粧料や油中水型メーキャップ化粧料に比較して肌への密着性に劣り、化粧膜の均一性や化粧持ちを高めることが難しい剤型であった。
そこで、水性メイクアップ化粧料において肌への密着性を高める技術が多数検討されている。例えば皮膜形成剤を配合して密着性を高める技術や、ワックス状フッ素含有ポリマー及び疎水性粉体を併用する技術(例えば、特許文献1参照)等が挙げられる。また、粉体と水溶性高分子を併用した水性メイクアップ化粧料では、みずみずしくなめらかな使用感に優れる反面、塗布時にズルつきや上スベリ、ヨレが生じる場合もあり、化粧膜の均一性や美しい仕上がり、化粧持ちに劣るものがあった。この上滑り感を改善した技術として、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを配合したものがある。(例えば、特許文献2参照)
【0003】
【特許文献1】特開平10−175817号公報
【特許文献2】特開2006−225330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら皮膜形成剤を配合したり撥水性の皮膜形成高分子を用いる水中油型乳化化粧料は肌への密着性は高いものの、強固な皮膜が形成されるためにつっぱり感や乾燥感やかさつきなどの肌負担感を感じる場合があったり、化粧膜の柔軟性が低く使用中にヨレが生じるものもあった。また、上滑り感を改善した技術では、メーキャップ化粧料のように化粧効果演出のため粉体を配合した場合にはヨレが生じたり、化粧膜の均一性という点で満足のいくものが得られない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、水性メイクアップ化粧料において、粉体を配合し、グリコシルトレハロースとポリアクリル酸塩とを併用することにより、塗布時の伸び広がりが良好で清涼感があり、上滑りやズルつきがなく肌への密着性が高く、均一でヨレのない美しい仕上がりの化粧膜が得られ、乾燥やつっぱり感などの肌負担がない良好な使用感で、かつ化粧持ちも良好なメーキャップ化粧料を実現できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(a)、(b)及び(c);
(a)グリコシルトレハロース
(b)ポリアクリル酸塩
(c)粉体
を配合した水性メイクアップ化粧料を提供するものである。
【0007】
更には、成分(a)のグリコシルトレハロースを0.1〜10質量%、成分(b)のポリアクリル酸塩を0.001〜0.1質量%配合した水性メイクアップ化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水性メイクアップ化粧料は、塗布時の伸び広がりが良好で清涼感があり、上滑りやズルつきなどがなく肌への密着性が高く均一で美しい仕上がりの化粧膜が得られ、乾燥やつっぱり感などの肌負担がない良好な使用感を有し、化粧持ちも良好なメーキャップ化粧料に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水性メイクアップ化粧料は、分散媒としての水中に粉体を分散させた化粧料であり、その形態は水中に粉体を分散させた単純水系、前記単純水系に非乳化状態で油分を配合した多層水中油型系、水中油型エマルジョンに粉体を分散させた水中油型系等が挙げられる。静置時、粉体は沈降していても、分散していてもかまわない。
【0010】
本発明の水性メイクアップ化粧料に用いられる成分(a)のグリコシルトレハロースとは末端にトレハロース構造を有するトレハロースの糖質誘導体で、グリコシルトレハロース、マルトシルトレハロース、マルトトリオシルトレハロース等があげられる。
【0011】
このような成分(a)は水溶液として配合することも可能であり、例えば市販品としてはグリコシルトレハロース(47質量%)、加水分解水添デンプン(27質量%)、および水(26質量%)の混合水溶液であるTORNALE(登録商標、林原生物化学研究所製)が挙げられる。
【0012】
本発明の水性メイクアップ化粧料に用いられる成分(a)グリコシルトレハロースは、一種または二種以上を配合することができ、その配合量は0.1〜10質量%(以下、単に「%」と示す。)が好ましく、更には0.5〜8%がより好ましい。成分(a)をこの範囲で配合すると、塗布時の伸び広がりが良好で肌への密着性が高く均一で美しい化粧膜が得られ、化粧持ちも良好な水性メイクアップ化粧料を得ることができる。
【0013】
本発明の水性メイクアップ化粧料に用いられる成分(b)のポリアクリル酸塩は通常化粧料に用いられるものであれば何れのものも使用でき、特に限定されないが、例えばポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアクリル酸カリウム塩、ポリアクリル酸アンモニウム塩などがあり、中でも、化粧品原料基準第二版注解に記載のポリアクリル酸ナトリウムが製剤中での安定性の点でより好ましい。このような成分(b)の市販品としてはアロンビスAH(日本純薬社製)、アロンビスS(日本純薬社製)、アロンA−20P(東亜合成社製)等があげられる。
【0014】
本発明の水性メイクアップ化粧料に用いられる成分(b)のポリアクリル酸塩は、一種または二種以上を配合することができ、その配合量は、0.001〜0.1%が好ましく、更には0.005%〜0.08%がより好ましい。成分(b)をこの範囲で配合すると、化粧料塗布時の滑らかな伸び広がりがより良好で、肌への密着性と化粧膜の均一性に優れた化粧料を得ることができる。
【0015】
本発明の水性メーキャップに用いられる成分(c)の粉体は、着色剤、紫外線遮蔽剤、賦形剤、感触調整剤等の目的で、配合されるものであり、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、ラメ類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆合成マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、紺青処理マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、魚鱗箔、酸化チタン被覆ガラス末、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等の樹脂積層末のラメ剤、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロースパウダー、N−アシルリジンパウダー等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有無水ケイ酸、酸化亜鉛含有無水ケイ酸等の複合粉体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。尚、これら粉体は、フッ素化合物、シリコーン化合物、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等の通常公知の処理剤により表面処理を施して用いても良い。
【0016】
本発明の水性メーキャップに用いられる成分(c)の粉体の配合量は5〜60%が好ましく、更には10〜50%がより好ましい。成分(c)をこの範囲で配合すると、十分な化粧効果を有し塗布時の伸び広がりが特に良好な水性メイクアップ化粧料を得ることができる。
【0017】
本発明の水性メイクアップ化粧料における水の配合量は、成分(a)〜(c)の配合量にも依存するが、概ね15〜95%が好ましい。
【0018】
本発明の水性メイクアップ化粧料には、上記成分に加え、必要に応じて通常、化粧料に使用される成分、例えば、水性成分、界面活性剤、油剤、紫外線吸収剤、成分(b)以外の水溶性高分子、保湿剤、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、酸化防止剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0019】
水性成分は、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
【0020】
界面活性剤は、粉体の分散剤、感触調整剤等の目的で用いられるものであり、グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤類、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミンおよびアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、レシチン、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0021】
油剤としては、エモリエント感、感触調整剤等の目的で用いられるものであり、通常化粧料に用いられるものであれば限定されないが、動物油、植物油、合成油等の起源および、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤があげられる。具体的にはパラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素系類、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然ロウ類、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ホホバ油、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、モクロウ等の油脂類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0022】
紫外線吸収剤としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリアニリノ−パラ−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン等のベンゾフェノン系、サリチル酸−2−エチルヘキシル等のサリチル酸系、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等のPABA系、パラメトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシル等の桂皮酸系、4−tert−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0023】
水溶性高分子は、安定性向上、感触改良等を目的として配合されるものであり、一般的に化粧料に配合されるものであれば特に限定されず何れのものでも良いが、具体的には、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類、アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類、ポリビニルアルコール、カルボシキビニルポリマー、アルキル付加カルボシキビニルポリマー、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル,ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0024】
本発明の水性メイクアップ化粧料の用途としては特に限定されないが例えば、ファンデーション、下地クリーム、フェイスカラー、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、アイシャドウ、頬紅、口紅、コントロールカラー、コンシーラー等が挙げられる。これらの中でも特にアイシャドウとして使用した場合には、本発明の上滑りやズルつきが生じずに密着性が高くヨレのない均一で美しい化粧膜が得られる効果が顕著に発揮されるのでより好ましい。本発明の水性メイクアップ化粧料の形状は、特に限定されないが例えば液状、ゲル状、乳液状、クリーム状等が挙げられる。
【実施例】
【0025】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0026】
実施例1〜5及び比較例1〜2:水性アイシャドウ(水中油型クリーム状)
表1に示す組成の水中油型クリーム状アイシャドウを下記製造方法により調製し、「塗布時の伸び広がり」、「肌への密着性」、「化粧膜の均一性」、「化粧効果の持続性」「つっぱり感のなさ」を以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1に示した。
【0027】
【表1】

【0028】
注1:プライマルASE−60(ポリマーラテックス社製)
注2:TORNARE(林原生物化学研究所製)
注3:アロンビスS(日本純薬社製)を精製水で膨潤し、1%水溶液としたもの。
注4:カーボポール1342(BFグッドリッチケミカル社製)
注5:オルガゾール2002NATCOS(アトフィナ・ジャパン社製)
注6:チミロンスプレンディドゴールド(メルク社製)をジメチルポリシロキサン3%処理したもの
注7:メタシャイン1080RC−S(日本板硝子社製)
【0029】
(製造方法)
A:成分(1)〜(5)を70℃で加熱溶解する。
B:成分(6)〜(8)を70℃で均一に混合する。
C:AにBを添加し乳化する。
D:成分(9)〜(25)およびCを均一に混合する。
E:Dを容器に充填し、水性アイシャドウを得た。
【0030】
〔評価方法1〕
化粧料評価専門パネル20名に、実施例及び比較例の水性アイシャドウ(水中油型クリーム状)を指で使用してもらい、「塗布時の伸び広がり」、「肌への密着性」、「化粧膜の均一性」、「化粧効果の持続性」、「つっぱり感のなさ」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し、各アイシャドウに評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。尚、「肌への密着性」については、アイシャドウを瞼に塗布する際に上滑りやズルつきが起こらないかどうかを基準にして、「化粧膜の均一性」については化粧膜にヨレや色ムラ、パールやラメの偏りが生じないかどうかを基準として、「化粧効果の持続性」については、アイシャドウ塗布後、日常生活を6時間した後に評価してもらった。
評価基準:
[評価結果]:[評点]
非常に良好:5点
良好:4点
普通:3点
やや不良:2点
不良:1点
判定基準:
[評点の平均点]:[判定]
4.5以上:◎
3.5以上〜4.5未満:○
1.5以上〜3.5未満:△
1.5未満:×
【0031】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜5のクリーム状アイシャドウは、「塗布時の伸び広がり」、「肌への密着性」、「化粧膜の均一性」、「化粧効果の持続性、「つっぱり感のなさ」の全ての項目において優れたメーキャップ化粧料であった。これに対して、成分(a)を配合しない比較例1では、肌への密着性が低く、塗布時に上滑りやズルつきが生じ化粧膜の均一性が低く化粧効果の持続性に劣っていた。また、成分(b)を配合しない比較例2では、塗布時の伸び広がりが良好でなく、ヨレやムラ付きが起こる等、化粧膜の均一性に劣っていた。
【0032】
実施例6 水性アイシャドウ(分散型ゲル状)
(成分) (%)
1 エタノール 10
2 1,3−ブチレングリコール 5
3 グリセリン 5
4 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
5 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(注4) 0.3
6 水 残量
7 グルコシルトレハロース水溶液(注2) 10
8 ポリアクリル酸ナトリウム1%水溶液(注3) 5
9 アクリル酸アルキル共重合体エマルション(注1) 0.2
10 トリエタノールアミン 0.3
11 1,3−ブチレングリコール 1.5
12 パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
14 タルク 2
15 黄酸化鉄 0.02
16 シリコーン処理ベンガラ被覆雲母チタン(注8) 15
17 合成金雲母 5
18 ヒアルロン酸 0.01
19 香料 0.1
(注8)チミカラジアントゴールド(エンゲルハード社製)をジメチルポリシロキサン3%処理したもの
【0033】
(製造方法)
A:成分(1)〜(19)を混合する。
B:Aを容器に充填し、水性アイシャドウを得た。
実施例6の水性アイシャドウは「塗布時の伸び広がり」、「肌への密着性」、「化粧膜の均一性」、「化粧効果の持続性」「つっぱり感のなさ」の全ての項目に優れた水性アイシャドウであった。
【0034】
実施例7 水性ファンデーション(水中油型クリーム状)
(成分) (%)
1 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(注9) 0.5
2 トリエタノールアミン 0.05
3 精製水 残量
4 グリコシルトレハロース水溶液(注2) 3
5 ポリアクリル酸ナトリウム(注10) 0.08
6 トリエタノールアミン 1.3
7 1,3−ブチレングリコール 5
8 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9 グリセリン 3
10 1,3−ブチレングリコール 5
11 水素添加大豆リン脂質 0.3
12 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.8
13 酸化チタン 5
14 ベンガラ 0.05
15 黄酸化鉄 1
16 黒酸化鉄 0.05
17 ステアリン酸 0.9
18 モノステアリン酸グリセリン 0.3
19 セトステアリルアルコール 0.4
20 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
21 トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
22 メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 5
(注9)ペミュレンTR−2(NOVEON社製)
(注10)アロンビスAH(日本純薬社製)
【0035】
(製造方法)
A:成分(1)〜(10)を70℃で均一に混合する。
B:成分(11)〜(22)を70℃で混合する。
C:AにBを添加し乳化する。
D:Cを室温まで冷却する。
E:Dを容器に充填し水性ファンデーションを得た。
実施例7の水性ファンデーションは「塗布時の伸び広がり」、「肌への密着性」、「化粧膜の均一性」、「化粧効果の持続性」「つっぱり感のなさ」の全ての項目に優れた化粧料であった。
【0036】
実施例8 水性マスカラ(分散型ゲル状)
(成分) (%)
1 1,3−ブチレングリコール 15
2 パラオキシ安息香酸メチル 0.2
3 精製水 残量
4 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(注9) 0.6
5 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.05
6 トリエタノールアミン 1
7 グリコシルトレハロース水溶液(注2) 10
8 ポリアクリル酸ナトリウム1%水溶液(注3) 10
9 水溶性コラーゲン溶液 3
10 ポリエチレンテレフタレート・
ポリメチルメタクリレート積層フィルム末 8
11 酸化チタン被覆ガラス末(注7) 8
【0037】
(製造方法)
A:成分(1)〜(11)を均一に混合する。
B:Aを容器に充填し水性マスカラを得た。
実施例8の水性マスカラは「塗布時の伸び広がり」、「肌への密着性」、「化粧膜の均一性」、「化粧効果の持続性」、「つっぱり感のなさ」の全ての項目に優れた化粧料であった。
【0038】
実施例9 水性マスカラ(水中油型クリーム状)
(成分) (%)
1 ステアリン酸 2
2 カルナバロウ 4
3 セトステアリルアルコール 0.2
4 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.9
5 ロジン酸ペンタエリスリチル(注11) 3
6 セスキオレイン酸ソルビタン 1
7 黒酸化鉄 9
8 マイカ 2
9 ベンガラ被覆雲母 2
10 精製水 残量
11 グリコシルトレハロース水溶液(注2) 10
12 ポリアクリル酸ナトリウム1%水溶液(注3) 10
13 アクリル酸アルキル共重合体エマルション(注1) 1
14 トリエタノールアミン 1
15 無水ケイ酸 1
16 1,3−ブチレングリコール 5
17 パラオキシ安息香酸メチル 0.2
18 ナイロンファイバー(6T、2mm) 3
19 アクリル酸アルキル共重合体エマルション(注12) 20
20 香料 0.1
(注11)ペンセルA(ロジン社製)
(注12)固形分30%
【0039】
(製造方法)
A:成分(1)〜(9)を90℃以上で混合する。
B:成分(10)〜(20)を80℃で混合する。
C:BにAを添加し乳化する。
D:Cを室温まで冷却する。
E:Dを容器に充填して水性マスカラを得た。
実施例9の水性マスカラは「塗布時の伸び広がり」、「肌への密着性」、「化粧膜の均一性」、「化粧効果の持続性」、「つっぱり感のなさ」の全ての項目に優れた化粧料であった。
【0040】
実施例10 水性頬紅(水中油型乳液状)
(成分) (%)
1 ステアリン酸 0.9
2 セトステアリルアルコール 0.4
3 モノステアリン酸グリセリン 0.3
4 モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.2
5 ジメチルポリシロキサン(注13) 3
6 精製水 残量
7 1,3−ブチレングリコール 15
8 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9 トリエタノールアミン 1.5
10 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(注4) 0.3
11 ペクチン 0.4
12 寒天 0.3
13 グリコシルトレハロース水溶液(注2) 7
14 ポリアクリル酸ナトリウム1%水溶液(注3) 5
15 タルク 15
16 酸化チタン 5
17 ベンガラ 0.5
18 黄酸化鉄 1
19 黒酸化鉄 0.1
20 雲母チタン(注14) 1
21 香料 0.1
(注13)KF−96(10cs)(信越化学工業社製)
(注14)チミロンスーパーレッド(メルク社製)
【0041】
(製造方法)
A:成分(1)〜(5)を70℃で混合する。
B:成分(6)〜(21)を70℃で混合する。
C:BにAを添加し乳化する。
D:Cを室温まで冷却する。
E;Dを容器に充填し、水性頬紅を得た。
実施例10の水性頬紅は「塗布時の伸び広がり」、「肌への密着性」、「化粧膜の均一性」、「化粧効果の持続性」、「つっぱり感のなさ」の全ての項目に優れた化粧料であった。
【0042】
実施例11 日焼け止め料(水中油型クリーム状)
(成分) (%)
1 ステアリン酸 1
2 セトステアリルアルコール 0.5
3 モノステアリン酸グリセリン 0.5
4 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
5 パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 8
6 スクワラン 5
7 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
8 微粒子酸化チタン 3
9 デカメチルシクロペンタシロキサン 6
10 トリイソステアリン酸ジグリセリル 1
11 精製水 残量
12 1,3−ブチレングリコール 10
13 トリエタノールアミン 0.9
14 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(注4) 2
15 グリコシルトレハロース水溶液(注2) 13
16 ポリアクリル酸ナトリウム(注10) 0.03
17 香料 0.1
【0043】
(製法)
A:成分(1)〜(10)を80℃で混合する。
B:成分(11)〜(17)を80℃で混合する。
C:BにAを加えて乳化する。
D:Cを室温まで冷却する。
E:Dを容器に充填して日焼け止め料(水中油型クリーム状)を得た。
実施例11の日焼け止め料は「塗布時の伸び広がり」、「肌への密着性」、「化粧膜の均一性」、「化粧効果の持続性」、「つっぱり感のなさ」の全ての項目に優れた化粧料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)、(b)及び(c);
(a)グリコシルトレハロース
(b)ポリアクリル酸塩
(c)粉体
を配合したことを特徴とする水性メイクアップ化粧料。
【請求項2】
成分(a)のグリコシルトレハロースを0.1〜10質量%、成分(b)のポリアクリル酸塩を0.001〜0.1質量%配合したことを特徴とする請求項1記載の水性メイクアップ化粧料。
【請求項3】
前記水性メイクアップ化粧料がアイシャドウであることを特徴とする請求項1又は2記載の水性メイクアップ化粧料。

【公開番号】特開2008−273943(P2008−273943A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76864(P2008−76864)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】