説明

水性毛髪洗浄剤

【課題】適正な粘度を有し、洗髪時には良好な泡立ちとキメ細かくすべりの良い泡質を有し、すすぎ時には滑らかな感触を有し、かつ、低温安定性が良好である水性毛髪洗浄剤の提供。
【解決手段】一般式(1)で表されるアルキルエーテル硫酸塩を5〜30質量%含有する水性毛髪洗浄剤。
RO−(PO)m(EO)nSO3M (1)
〔Rは平均炭素数8〜24のアルキル基を示し、POはプロピレンオキシ基を、mは0<m<1の範囲のPO平均付加モル数を示し、EOはエチレンオキシ基を、nは0<n≦2.3の範囲のEO平均付加モル数を示し、Mは陽イオンを示す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のアルキルエーテル硫酸塩を含有する水性毛髪洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ドデシル硫酸ナトリウムに代表されるアルキル硫酸塩は、その洗浄力の高さと起泡量の多さから水性洗浄剤の洗浄成分として古くから用いられてきた。しかし、アルキル硫酸塩は、低温で析出しやすいといった安定性に対する課題を抱えており、また、水性毛髪洗浄剤に用いた場合、洗浄剤をすすぐ際の毛髪のきしみ感が強いという問題もあった。
【0003】
そこで、これらの問題を解決すべくアルキル基と硫酸基の間にエチレンオキサイドを付加させたポリオキシエチレン付加型アルキル硫酸塩が開発され、現在、水性毛髪洗浄剤の主成分として広く用いられている。このポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩に関しては、エチレンオキサイドの付加モル数を増加させるに伴い、低温での安定性が向上し、すすぎ時のきしみ感が軽減することが知られているが、一方で、泡立ち、泡のすべり感等の泡性能が低下するといった問題がある。更に、エチレンオキサイドの付加モル数を増加させると毛髪洗浄剤の粘度が低下するため、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の配合量を増加させる、あるいは多量の補助界面活性剤や増粘剤を添加する等の対応が必要となるという、コスト上の観点からの課題も抱えていた。現在、エチレンオキサイドが平均2〜3モル付加したポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が毛髪洗浄剤に最も多く使用されているが、その使用感に関しては十分な性能とはいえず、また、低温安定性という観点でも十分とはいえなかった。
【0004】
アルキル硫酸塩の低温安定性を改善する他の技術としては、平均1〜10モルのプロピレンオキサイドを付加したアルキル硫酸塩を含む毛髪洗浄剤が特許文献1に記載されている。ポリオキシエチレン基は直鎖のオキシアルキレン構造を有するのに対し、ポリオキシプロピレン基は分岐構造を有するため、このようなポリオキシプロピレン付加型アルキル硫酸塩は、界面活性剤分子同士のパッキング性を低下させ低温での結晶性を抑制する効果を有するが、一方で洗浄剤をすすぐ際のきしみ感が依然として強いといった問題もあった。
【0005】
また、特許文献2においては、平均1〜10モルのプロピレンオキサイドと平均0〜33モルのエチレンオキサイドを付加したアルキル硫酸塩が報告されている。この文献には当該アルキルエーテル硫酸塩の、洗浄剤一般としての用途が記載されているが、特に毛髪洗浄剤として用いた場合の特徴については何の開示もない。特許文献2においても特許文献1と同様に、プロピレンオキサイドを平均1モル以上付加したことにより、低温安定性はある程度改善されるが、すすぎ時のきしみ感は依然強いままであり、更にポリオキシエチレン基を導入することによる毛髪洗浄剤の粘度低下という問題も解決されていない。
【0006】
【特許文献1】特開平5-97633号公報
【特許文献2】特表2007-534669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、適正な粘度を有し、洗髪時には良好な泡立ちとキメ細かくすべりの良い泡質を有し、すすぎ時には滑らかな感触を有し、かつ、低温安定性が良好である水性毛髪洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、プロピレンオキシ基及びエチレンオキシ基の付加モル数が一定範囲内にあるアルキルエーテル硫酸塩を毛髪洗浄剤に使用すれば、上記要求を満たすものとなることを見出した。
【0009】
すなわち本発明は、一般式(1)で表されるアルキルエーテル硫酸塩を5〜30質量%含有する水性毛髪洗浄剤を提供するものである。
RO−(PO)m(EO)nSO3M (1)
〔式中、Rは平均炭素数8〜24のアルキル基を示し、POはプロピレンオキシ基を、mは0<m<1の範囲のPO平均付加モル数を示し、EOはエチレンオキシ基を、nは0<n≦2.3の範囲のEO平均付加モル数を示し、Mは陽イオンを示す。〕
【発明の効果】
【0010】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、適正な粘度を有し、洗髪時には良好な泡立ちとキメ細かくすべりの良い泡質を有し、すすぎ時には滑らかな感触を有し、かつ、低温安定性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
一般式(1)で表されるアルキルエーテル硫酸塩において、一般式(1)中のRのアルキル基の平均炭素数は8〜24であるが、8〜16であるのが好ましく、より好ましくは10〜14であり、特に好ましくは12〜14である。更に、起泡力、泡のキメ細かさといった性能面から、Rは、油脂原料由来の直鎖アルキル基であることが好ましい。
【0012】
一般式(1)中のPO平均付加モル数mは0<m<1であるが、増粘性とすすぎ時の滑らかさ等の性能、及び低温安定性の理由から、好ましくは0.1〜0.9であり、より好ましくは0.2〜0.7である。
【0013】
また、一般式(1)中のEO平均付加モル数nは0<n≦2.3であるが、泡立てやすさやすすぎ時の滑らかさ等の性能から、好ましくは0.5〜2.0であり、より好ましくは1.0〜2.0である。
【0014】
製造時における反応性、使用感及び低温安定性の総合的観点より、PO及びEOの平均付加モル数は、POが0.1〜0.9かつEOが0.5〜2.0であることが好ましく、より好ましくはPOが0.2〜0.7かつEOが1.0〜2.0であり、特に好ましくはPOが0.4〜0.7かつEOが1.0〜1.5である。
【0015】
また、一般式(1)中のMは、塩を形成する陽イオンであり、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アルカノールアンモニウムイオン等が挙げられる。アルカリ金属イオンとしてはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等が、またアルカリ土類金属イオンとしてはカルシウムイオン等が、アルカノールアンモニウムイオンとしてはトリエタノールアンモニウムイオン等が挙げられる。これらの中でアンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンがより好ましく、アンモニウムイオン、ナトリウムイオンが特に好ましい。
【0016】
一般式(1)で表されるアルキルエーテル硫酸塩において、PO及びEOの付加順序は、それぞれの平均付加モル数が前記の範囲である条件でランダムであってもよいが、一般式(1)に示した順序、即ち、まずPOが付加した上でEOが付加する順序であることが、本発明の効果を奏する上で好ましい。かかるアルキルエーテル硫酸塩は、例えば、以下に示す工程(I)〜(III)を含む工程によって製造することができる。
【0017】
工程(I):平均炭素数8〜24のアルキル基を有するアルカノール1モルに対し、プロピレンオキサイドを平均で0モル超1モル未満の範囲で付加させる工程
工程(II):工程(I)で得られたプロピレンオキサイド付加物1モルに対し、エチレンオキサイドを平均で0モル超2.3モル以下の範囲で付加させる工程
工程(III):工程(II)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和する工程
【0018】
工程(I)で使用するアルカノールのアルキル基の平均炭素数は8〜24であるが、原料の汎用性、取り扱い性の点から8〜16が好ましく、より好ましくは10〜14であり、特に好ましくは12〜14である。更に、起泡力、泡質といった性能の点から、直鎖アルキル基が好ましい。
【0019】
上記アルカノールに反応させるプロピレンオキサイドの使用量は、所定のPO付加モル数が得られる量であればよい。また、工程(II)において、工程(I)で得られたプロピレンオキサイド付加物に反応させるエチレンオキサイドの使用量も、所定のEO付加モル数が得られる量であればよい。
【0020】
工程(I)及び(II)を実施する方法としては、従来公知の方法が適用できる。すなわち、オートクレーブにアルカノールと、アルカノールに対し0.5〜1モル%の水酸化カリウム等のアルカリを触媒として仕込み、昇温・脱水し、130〜160℃の温度で、それぞれ所定量のプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドを付加反応させればよい。このとき、付加形態はブロック付加であり、かつプロピレンオキサイド付加〔工程(I)〕、エチレンオキサイド付加〔工程(II)〕の順に行う。使用するオートクレーブは、撹拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたものであることが望ましい。
【0021】
工程(III)において、アルコキシレートの硫酸化の方法としては、三酸化硫黄(液体又は気体)、三酸化硫黄含有ガス、発煙硫酸、クロルスルホン酸等を用いる方法が挙げられるが、特に、廃硫酸、廃塩酸等の発生を防止する観点から、アルコキシレートと同時にガス状又は液状の三酸化硫黄を連続的に供給する方法が好ましい。
【0022】
得られた硫酸化物の中和方法としては、所定量の中和剤へ硫酸化物を添加・撹拌しながら中和を行うバッチ式と、硫酸化物と中和剤を配管内へ連続的に供給し、撹拌混合機にて中和を行う連続式が挙げられ、いずれによってもよい。中和剤としては、アルカリ金属水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン等が挙げられるが、アルカリ金属水酸化物が好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
【0023】
このようにして得られた一般式(1)で表されるアルキルエーテル硫酸塩の含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中、5〜30質量%であるが、7〜23質量%、特に10〜20質量%が好ましい。
【0024】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、更に洗浄性能を向上させるため、上記アルキルエーテル硫酸塩以外の界面活性剤として、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤を含有させてもよい。
【0025】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド、モノアルキルグリセリルエーテル、モノアルケニルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0026】
これらのうち、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(C8〜C20)脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油、アルキルグリコシドが好ましい。
【0027】
また、脂肪酸アルカノールアミドも好適であって、モノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよく、平均炭素数8〜18、更には10〜16のアシル基を有するものが好ましい。また、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、例えばオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
【0028】
モノアルキルグリセリルエーテル及びモノアルケニルグリセリルエーテルも好適であり、そのアルキル基又はアルケニル基としては、炭素数4〜10、更には炭素数8〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。具体的には、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、2-メチルブチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基等が挙げられ、更には2-エチルヘキシル基、イソデシル基が好ましい。
【0029】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等がより好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインがより好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、平均炭素数8〜18、更には10〜16のアシル基を有するものが好ましく、更にはラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0030】
これら非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤は、水性毛髪洗浄剤中に単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができるが、本発明の水性毛髪洗浄剤を水性液状洗浄剤の形態とする場合には、脂肪酸アミドプロピルベタイン、脂肪酸アルカノールアミド又はモノアルキルグリセリルエーテルを用いるのが、起泡力がより良好となるだけでなく、適度な液性が得られるので好ましい。
【0031】
非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤の含有量は、それぞれ、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0〜15質量%、更に0.5〜10質量%、特に1〜5質量%が好ましい。
【0032】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、乾燥後の仕上がり向上のため、更に、カチオン界面活性剤、カチオン性ポリマーを配合することができる。
【0033】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミン及びその塩、アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩等が挙げられる。
【0034】
(i) アルキルトリメチルアンモニウム塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
1−N+(CH3)3-
〔式中、R1は炭素数12〜22のアルキル基を示し、X-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンを示す。〕
具体的には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0035】
(ii) アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
2−O−R3−N+(CH3)3-
〔式中、R2は炭素数12〜22のアルキル基を示し、R3はヒドロキシ基が置換していてもよいエチレン基又はプロピレン基を示し、X-は上記と同じである。〕
具体的には、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0036】
(iii) ジアルキルジメチルアンモニウム塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
(R4)2+(CH3)2-
〔式中、R4はそれぞれ独立して炭素数12〜22のアルキル基又はベンジル基を示し、X-は上記と同じである。〕
具体的には、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0037】
(iv) アルキルジメチルアミン及びその塩
例えば下記一般式で表されるもの及びその塩が挙げられる。
5−N(CH3)2
〔式中、R5は炭素数12〜22のアルキル基を示す。〕
具体的には、ベヘニルジメチルアミンやステアリルジメチルアミン及びそれらの有機酸塩が挙げられる。
【0038】
(v) アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩
例えば下記一般式で表されるもの及びその塩が挙げられる。
6−O−R7−N(CH3)2
〔式中、R6は炭素素数12〜22のアルキル基を示し、R7はエチレン基又はプロピレン基を示す。〕
【0039】
(vi) アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩
例えば下記一般式で表されるもの及びその塩が挙げられる。
8−CONH−R9−N(CH3)2
〔式中、R8は炭素数11〜21のアルキル基を示し、R9はエチレン基又はプロピレン基を示す。〕
【0040】
上記(i)〜(vi)以外のカチオン界面活性剤としては、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリエチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルトリエチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C14〜C20)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C18〜C22)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソステアリン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソノナン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウムサッカリン等が挙げられる。
【0041】
カチオン界面活性剤は、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜10質量%が好ましく、更には0.05〜6質量%、特に0.1〜3質量%、とりわけ0.2〜2質量%が好ましい。
【0042】
次に、カチオン性ポリマーとしては、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化キサンタンガム、ジアリルジアルキル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社,カルタレチン)、特開昭53-139734号公報、特開昭60-36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられ、特にカチオン化セルロース、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガム、ジアリルジアルキル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物が好ましい。
【0043】
また、例えば、マーコート550(NALCO社,アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウム塩の共重合体;CTFA名ポリクォータニウム-7)、ルビクァットFC370(BASF社,1-ビニル-2-ピロリドンと1-ビニル-3-メチルイミダゾリウム塩の共重合体;CTFA名ポリクォータニウム-16)、ガフクァット755N(ISP社,1-ビニル-2-ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体;CTFA名ポリクォータニウム-11)、UcareポリマーJR及び同LRシリーズ(アマーコール社,トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;CTFA名ポリクォータニウム-10)、ポイズC-60H、ポイズC-80M、ポイズC-150L(花王社,トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;CTFA名ポリクォータニウム-10)、ジャガーシリーズ(ローディア社,トリメチルアンモニウム置換エポキシドとグァーガムとの反応物の塩)、カチナールCF-100(東邦化学工業社、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとフェヌグリークガムとの反応物の塩)、カチナールCTR-100(東邦化学工業社、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとタラガムとの反応物の塩)、カチナールCLB-100(東邦化学工業社、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとローカストビーンガムとの反応物の塩)等の市販品を用いることができる。
【0044】
これらのカチオン性ポリマーは、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜3質量%が好ましく、更には0.05〜2質量%、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。
【0045】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、乾燥後の仕上がり向上のため、更にシリコーン類等のコンディショニング成分を更に配合することができる。シリコーン類としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
【0046】
(i) ジメチルポリシロキサン
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
10(CH3)2SiO−[(CH3)2SiO]p−Si(CH3)210
〔式中、R10はメチル基又はヒドロキシ基を示し、pは1〜20,000の数を示す。〕
【0047】
ジメチルポリシロキサンは、泡立て時及びすすぎ時のなめらかさ、乾燥後のなめらかさの点から、25℃における粘度が、10,000〜30,000,000mm2/sであることが好ましく、より好ましくは20,000〜20,000,000mm2/s、特に好ましくは30,000〜10,000,000mm2/sである。市販品としては、KF-96H-1万cs、KF-96H-5万cs、KF-96H-10万cs、KF-96H-100万cs(信越化学工業社)が挙げられる。これらのジメチルポリシロキサンは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。特に、1,000,000mm2/s以上の粘度を有するジメチルポリシロキサンは、ハンドリング性向上のため、10,000mm2/s以下の粘度を有する低粘度ポリジメチルシロキサン、又はオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の液状の環状シリコーンとの混合物として市販されているものを用いてもよい。
【0048】
ジメチルポリシロキサンは、水性エマルションの形態で用いることが好ましい。該水性エマルションを調製する際には、エマルションを安定化する点から少なくとも1種の乳化剤を含むことが好ましい。
【0049】
乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーン等の非イオン界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミン塩、アルコキシアルキルジメチルアミン塩、アルキルアミドアルキルジメチルアミン塩等のカチオン界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のアニオン界面活性剤が挙げられる。
【0050】
上記の水性エマルションを調製する方法としては、ジメチルポリシロキサン及び乳化剤を混合した後、撹拌しながら水をゆっくり添加し、W/OエマルションからO/Wエマルションに転相する際に高剪断ミキサーを用いて高速で混合し、その後に残りの水を添加し、再び高剪断ミキサーにより速い速度で混合するといった方法が挙げられる。
【0051】
水性エマルションの平均粒径は、使用する乳化剤の種類と量、及び高剪断ミキサーの撹拌回転数を変化させることにより任意に変化させることができる。
【0052】
水性エマルションの平均粒径は、本発明の水性毛髪洗浄剤組成物中での安定性、すすぎ時のなめらかさ及び乾燥後のなめらかさの観点から、50μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは4μm以下、特に2μm以下が好ましい。なお、上記の平均粒径は、レーザー光散乱を用いた粒径測定装置によって、例えばコールター社LS-130を用いて測定することができる。
【0053】
このようなジメチルポリシロキサンエマルションとしては、例えば、25℃での動粘度が8,000,000mm2/sと5,000mm2/sであるポリジメチルシロキサンを1対1の比で混合した後、塩化セチルトリメチルアンモニウムで乳化した、平均粒径20μmである東レ・ダウコーニング社の「シリコーンCF2460」として市販されているものや、25℃での動粘度が6,000,000mm2/sと500mm2/sであるポリジメチルシロキサンを3対7の比で混合した後、ポリオキシエチレンラウリルエーテルで乳化した、平均粒径0.8μmである東レ・ダウコーニング社の「シリコーンCF2450」として市販されているものを使用することができる。
【0054】
(ii) アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、特にアモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国,Cosmetic Ingredient Dictionary)第3版中に記載されているもの、アミノ基がプロピレングリコールで修飾されたタイプのアミノ変性シリコーン、主鎖又は側鎖にポリエーテル基が修飾されたタイプのアミノ変性シリコーンが好ましい。市販品としては、SM 8704C、Dow Corning Toray JP-8500 Conditioning Agent、Dow Corning Toray SS-3588、Dow Corning Toray Silstyle 104(東レ・ダウコーニング社)、DC 929(ダウコーニング社)等が挙げられる。
【0055】
(iii) その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0056】
シリコーン類は2種以上を併用してもよく、乾燥後のなめらか感や、ツヤ向上の点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.01〜10質量%が好ましく、更には0.05〜6質量%、特に0.5〜3質量%、とりわけ0.8〜2質量%が好ましい。
【0057】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、更にエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールジ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノアルキルエーテル又はエチレングリコールジアルキルエーテル、好ましくはエチレングリコールモノ脂肪酸エステル又はエチレングリコールジ脂肪酸エステルをパール化剤として含有していてもよい。
【0058】
エチレングリコールモノ脂肪酸エステルとしては、エチレングリコールモノステアリン酸エステル、エチレングリコールモノベヘニン酸エステル等が、エチレングリコールジ脂肪酸エステルとしては、エチレングリコールジステアリン酸エステル、エチレングリコールジベヘニン酸エステル等が挙げられる。エチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノステアリルエーテル等が、エチレングリコールジアルキルエーテルとしてはエチレングリコールジステアリルエーテル等が挙げられる。
【0059】
これらは2種以上を併用してもよく、またその含有量は、毛髪洗浄剤の良好なパール外観と保存安定性、及び泡立て時、すすぎ時の滑らかさ向上の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.1〜10質量%が好ましく、更には0.5〜5質量%、特に1〜4質量%が好ましい。
【0060】
また、本発明の毛髪洗浄剤には、他のコンディショニング剤として、油剤を含有することができる。油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素類;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボカド油、オリーブ油、ヒマワリ油、椿油等の油脂類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル油;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸;その他イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、高級アルコール、油脂類が好ましく、特にミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヒマワリ油、椿油が好ましい。これらの油剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することもでき、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.1〜2質量%が好ましく、更には0.2〜1.5質量%、特に0.3〜1.0質量%が好ましい。
【0061】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、粘度調整剤を含有させてもよく、粘度調整剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、エタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、粘土鉱物、塩類(塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、クエン酸ナトリウム等)などが挙げられ、中でもベンジルアルコール、エタノール、ポリプロピレングリコール、塩化ナトリウム、及びクエン酸ナトリウムが好ましい。粘度調整剤は2種以上を併用してもよく、またその使用量は、泡量、泡質の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜5質量%が好ましく、更には0.05〜4質量%、特に0.1〜3質量%が好ましい。
【0062】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、上記成分のほか、通常の毛髪洗浄剤に用いられる成分を目的に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えば抗フケ剤;ビタミン剤;殺菌剤;抗炎症剤;防腐剤;キレート剤;グリセリン、ソルビトール、パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ユーカリの極性溶媒抽出物、真珠層を有する貝殻又は真珠から得られる蛋白質又はその加水分解物、蜂蜜、ローヤルゼリー、シルクから得られる蛋白質又はその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、アロエ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類;酸化チタン等のパール化剤;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ〔ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (MICELLE PRESS)〕に記載されている成分等が挙げられる。
【0063】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、毛髪のツヤやまとまりを向上する観点より、毛髪に適用する際のpH(水で20質量倍希釈,25℃)が2〜6であるのが好ましく、更にはpH3〜5、特にpH3.5〜4.5であるのが好ましい。pH調整剤としては、有機酸、特にα-ヒドロキシ酸を用いることが好ましく、具体的にはリンゴ酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸が好ましい。これら有機酸は2種以上を併用してもよく、またその使用量は、泡質、洗髪時の毛髪柔軟性の向上の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜5質量%が好ましく、更には0.1〜3質量%、特に0.3〜2質量%が好ましい。また、他のpH調整剤として、これら有機酸と合わせ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウム等の塩基を用いてもよい。
【0064】
本発明の水性毛髪洗浄剤の形態は、液状、ゲル状等、適宜選択できるが、溶剤として水又は低級アルコール、特に水を用いた液状のものが好ましい。
【実施例】
【0065】
以下の実施例及び比較例において、各毛髪洗浄剤のpHとして示した数値は、毛髪洗浄剤を水で20質量倍に希釈したときの25℃における測定値である。
【0066】
製造例1
平均炭素数12の直鎖アルコール(カルコール2098,花王社)3447g、平均炭素数14の直鎖アルコール(カルコール4098,花王社)1341g、及び水酸化カリウム6.8gを、撹拌装置、温度制御装置、及び自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロピレンオキサイドを575g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行った後、145℃に昇温し、エチレンオキサイドを1625g仕込んだ。145℃にて付加反応・熟成を行った後、80℃まで冷却し、4.0kPaで未反応のエチレンオキサイドを除去した。その後、7.3gの酢酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間撹拌した後、抜き出しを行い、PO平均付加モル数が0.4モル、EO平均付加モル数が1.5モルであるアルコキシレートを得た。
得られたアルコキシレートを、SO3ガスを用いて下降薄膜式反応機(FFR)にて硫酸化した。得られた硫酸化物を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、アルキルエーテル硫酸塩組成物(硫酸塩1)を得た。
【0067】
製造例2
製造例1と同様の方法でPO平均付加モル数が0.4モル、EO平均付加モル数が2.0モルであるアルキルエーテル硫酸塩組成物(硫酸塩2)を得た。
【0068】
製造例3
製造例1と同様の方法でPO平均付加モル数が0.7モル、EO平均付加モル数が2.0モルであるアルキルエーテル硫酸塩組成物(硫酸塩3)を得た。
【0069】
比較製造例1
平均EO付加モル数が2.0であるアルキルエーテル硫酸塩(エマール270J,花王社)を使用した(比較硫酸塩1)。
【0070】
比較製造例2
製造例1と同様の方法でPO平均付加モル数が1.0モル、EO平均付加モル数が2.0モルであるアルキルエーテル硫酸塩組成物(比較硫酸塩2)を得た。
【0071】
比較製造例3
製造例1と同様の方法でPO平均付加モル数が0.5モル、EO平均付加モル数が2.5モルであるアルキルエーテル硫酸塩組成物(比較硫酸塩3)を得た。
【0072】
試験例1(増粘効果の確認)
得られた各種アルキルエーテル硫酸塩組成物に、塩化ナトリウム及びイオン交換水を添加し、界面活性剤濃度が20質量%の評価サンプルを調製した。評価サンプルは界面活性剤有効分、塩化ナトリウム及び水で構成され、塩化ナトリウムは表1に示す種々の濃度とした。
得られた評価サンプルの粘度をB型粘度計にて測定した。測定条件を下記に示す。評価サンプル組成(界面活性剤濃度、塩化ナトリウム濃度)、及び粘度測定結果を表1に示す。なお、表1中、mはPO平均付加モル数、nはEO平均付加モル数である。
(測定条件)
・粘度測定機器:B型粘度計、TOKIMEC社「DVL-B II」
・サンプル温度:30℃
・測定時間:90秒間
・ロータNo.:1〜4
・回転数:30rpm
【0073】
【表1】

【0074】
表1から明らかなように、硫酸塩1〜3を含有する界面活性剤組成物は、比較硫酸塩1〜3を含有する界面活性剤組成物よりも良好な増粘効果(塩類存在下でのシックニング効果)を示した。このため、本発明における適切なm及びnの範囲を有するアルキルエーテル硫酸塩を使用した場合には、界面活性剤や増粘剤の配合量が少ない場合でも、適正な粘度を有する毛髪洗浄剤を調製しやすい。
【0075】
実施例1〜6及び比較例1〜6 (毛髪洗浄剤の使用感及び低温安定性)
表2に示す毛髪洗浄剤を調製し、泡立ちの速さ、洗髪時のすべり感、泡のキメ細かさ、すすぎ時のすべり感、乾燥後の毛髪のツヤ、まとまり、低温安定性を評価した。
【0076】
(泡立ちの速さ)
図1に示す装置を用いて、泡立ちの速さを評価した。
図1の装置は、底面に排水口(図示せず)を有し、上面が開口している透明プラスチック製筒状容器10(直径160mm,高さ55mm)、透明プラスチック製蓋20、モーター30を内蔵したコントロールユニット40、計量器50、トルク検出器60を備えている。この容器10内には、図2に示す複数の植毛孔Pに毛髪1(長さ90mm,計30g)を植毛した円板11(直径略160mm)が装着されている。容器10は、モーター30によって矢印xの方向に回転し、それにより容器10内の毛髪1も回転する。
【0077】
蓋20の裏面には、人の指に相当する第1の突起物21(直径15mm、高さ12mmの円柱状突起物×3個)と、ブラシに相当する第2の突起物22(縦10mm、横2mm、高さ12mmの突起物×9個)が、蓋20を矢印yのように容器10の上面に被せたとき毛髪1に接触するように設けられている。また、蓋20には、洗浄剤注入用のロート状注入孔25が設けられている。蓋20は、容器10に被せられたとき、容器10に固定されず、支柱41にトルク検出器60や計量器50を介して支持されている。従って、容器10に蓋20を被せ、容器10を回転させると、容器10内の毛髪1と突起物21、22とが摺動する。よって、注入孔25から毛髪1に洗浄剤をかけると、実際の毛髪の洗髪に近い状態で洗浄剤を起泡させることができる。
【0078】
まず、毛髪を水30gでぬらし、ラノリンからなるモデル皮脂0.3mLを加えた後、評価サンプル1.5mLをかけた。次に毎分70回転で容器10を回転させて毛髪1と突起物21、22とを摺動させ、生じた泡を計量器50に捕集し、泡量が250mLになるまでの時間により、下記基準に従って評価した。
【0079】
・評価基準
◎:100秒未満
○:100秒以上200秒未満
△:200秒以上300秒未満
×:300秒以上
【0080】
(洗髪時のすべり感)
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛毛束を40℃の温水で軽くすすいだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪洗浄剤を用いて手で約30秒間十分に泡立てた。その後、泡の付いた毛束のすべり感を官能評価した。評価は5人で行い、その評価の合計値を示した。
【0081】
・評価基準
4:よく滑る
3:やや滑る
2:あまり滑らない
1:滑らない
【0082】
(洗髪時の泡のキメ細かさ)
上記の方法と同様に泡立てを行った後、泡のキメ細かさを目視評価した。評価は5人で行い、その評価の合計値を示した。
【0083】
・評価基準
4:きめ細かい
3:ややきめ細かい
2:あまりきめ細かくない
1:きめ細かくない
【0084】
(すすぎ時のすべり感)
上記と同様の方法で泡立てた毛束を40℃の流水(2L/min)ですすぎ流している間のすべり感を評価した。評価は5人で行い、その評価の合計値を示した。
【0085】
・評価基準
4:よく滑る
3:やや滑る
2:あまり滑らない
1:滑らない
【0086】
(乾燥後のツヤとまとまり)
すべり評価と同様に処理した毛束を40℃の流水(2L/min)で30秒間濯いだ後、タオルで水気を十分に拭き取り自然乾燥した。乾燥後、目視によりツヤ、まとまりを評価した。評価は5人で行い、その評価の合計値を示した。
【0087】
・評価基準
4:良い
3:やや良い
2:あまり良くない
1:良くない
【0088】
(低温安定性の評価)
毛髪洗浄剤を110mLのガラス瓶に充填した後、−5℃下に1ヶ月間保存したサンプルと、室温で1ヶ月間保存したサンプル(標準品)とを比較し、目視評価を行った。
【0089】
・評価基準
○:標準品と同等、変化なし
△:標準品に比べ、やや変化あり
×:標準品に比べ、明らかに変化あり
【0090】
【表2】

【0091】
表2から明らかなように、PO及びEO平均付加モル数が適切な範囲にあるアルキルエーテル硫酸塩を用いた本発明の毛髪洗浄剤は、泡立ちが速やかで、キメ細かくすべりの良い泡質が得られ、すすぎ時のすべり、低温安定性も良好であった。これに対し、EOのみが付加したアルキルエーテル硫酸塩を用いた比較例1及び4では、泡質、すすぎ時のすべり、低温安定性に劣るものであった。また、PO、EOの両方が付加していても、それらの付加モル数が範囲外(PO又はEOの付加モル数が過剰)である比較例2、3、5及び6も、泡質、すすぎ時のすべりに劣るものであった。
【0092】
実施例7 コンディショニングシャンプー
(質量%)
硫酸塩1 13.0
カチオン化タラガム(カチナールCTR-100,東邦化学工業社) 0.3
イソデシルグリセリルエーテル 0.5
アミノ変性シリコーン(8500 Conditioning Agent,東レ・ダウコーニング社) 0.3
カチオン化セルロース(ポイズC-80M,花王社) 0.3
カチオン化グァーガム(ジャガーC-17,ローディア社) 0.1
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体
(マーコート550,ナルコ社,有効分8.5質量%) 1.2
ジメチルポリシロキサンエマルション
(シリコーン粘度10,000mm2/s,平均粒径4μm,シリコーン有効分60質量%) 1.7
エチレングリコールジステアリン酸エステル 2.0
ラウリルアミドプロピルベタイン 1.0
ラウリルヒドロキシスルホベタイン 0.1
ミリスチルアルコール 0.4
セチルアルコール 0.1
ココイルモノエタノールアミド 0.5
ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル 0.7
ポリプロピレングリコール(質量平均分子量400) 0.5
ベンジルアルコール 0.3
エタノール 3.0
ツバキ油 0.01
パンテノール 0.05
ローヤルゼリー 0.01
精製蜂蜜 0.01
シルクエキス 0.05
塩化ナトリウム 0.2
香料 適量
リンゴ酸 0.5
pH調整剤(乳酸) pH3.9になる量
イオン交換水 バランス
【0093】
実施例8 コンディショニングシャンプー
(質量%)
硫酸塩2 10.0
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 4.0
カチオン化ローカストビーンガム(カチナールCLB-100,東邦化学工業社) 0.4
イソデシルグリセリルエーテル 0.7
アミノ変性シリコーン(SS-3588,東レ・ダウコーニング社) 0.1
カチオン化グァーガム(ジャガーC-17,ローディア社) 0.1
ジアリルジメチル四級アンモニウム塩ホモポリマー
(マーコート100,NALCO社,有効分40質量%) 0.8
高重合ジメチルポリシロキサンエマルション
(シリコーンCF2450,東レ・ダウコーニング社,粒径0.2〜0.8μm,
シリコーン有効分60質量%) 2.0
エチレングリコールジステアリン酸エステル 3.0
ラウリルアミドプロピルベタイン 2.0
ココイルモノエタノールアミド 0.5
ミリスチルアルコール 0.5
セチルアルコール 0.5
ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル 1.0
ベンジルアルコール 1.0
ポリプロピレングリコール(質量平均分子量400) 0.2
塩化ナトリウム 1.0
加水分解コンキオリン液(乾燥分3質量%) 0.05
オタネニンジンエキス(乾燥分3質量%) 0.05
ダイズエキス(乾燥分0.4質量%) 0.05
ユーカリエキス(乾燥分0.2質量%) 0.05
米胚芽油 0.05
グリコール酸 1.0
香料 適量
pH調整剤(水酸化ナトリウム) pH3.9になる量
イオン交換水 バランス
【0094】
実施例9 コンディショニングシャンプー
(質量%)
硫酸塩3 16.0
カチオン化グァーガム(ジャガーC-13S,ローディア社) 0.3
2-エチルヘキシルグリセリルエーテル 0.3
アミノ変性シリコーン(8500 Conditioning Agent,東レ・ダウコーニング社) 0.5
高重合ジメチルポリシロキサンエマルション
(シリコーンCF2460,東レ・ダウコーニング社,平均粒径20μm,
シリコーン有効分75質量%) 3.0
エチレングリコールジステアリン酸エステル 2.0
ココイルモノエタノールアミド 0.8
セチルアルコール 1.0
グリセリン 1.0
塩化ナトリウム 0.2
ベンジルオキシエタノール 0.5
リンゴ酸 0.7
香料 適量
乳酸 0.1
pH調整剤(クエン酸) pH5.5になる量
イオン交換水 バランス
【0095】
実施例10 コンディショニングシャンプー
(質量%)
硫酸塩1 15.0
カチオン化フェヌグリークガム(カチナールCF-100,東邦化学工業社) 0.3
2-エチルヘキシルグリセリルエーテル 1.5
アミノ変性シリコーン(SILSTYLE 104,東レ・ダウコーニング社) 1.0
カチオン化ローカストビーンガム(カチナール CLB-100,東邦化学工業社) 0.2
メチルポリシロキサンエマルション
(シリコーン粘度5,000mm2/s,粒径0.2〜0.8μm,シリコーン有効分65質量%) 2.0
エチレングリコールジステアリン酸エステル 2.0
ラウリルアミドプロピルベタイン 3.0
ココイルモノエタノールアミド 0.8
ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル 2.0
ココアンホ酢酸ナトリウム 1.0
ステアロキシプロピルジメチルアミン・リンゴ酸塩 0.5
ポリプロピレングリコール(質量平均分子量400) 0.5
塩化ナトリウム 1.0
リンゴ酸 0.8
クエン酸 0.75
pH調整剤(水酸化ナトリウム) pH5.5になる量
イオン交換水 バランス
【0096】
実施例7〜10の毛髪洗浄剤は、適正な粘度を有し、すばやい泡立ちとキメ細かな泡質、良好な泡立て時及びすすぎ時のすべりを有し、かつ仕上がりの髪のツヤとまとまり性が良好であり、低温安定性に優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】泡立ちの速さの評価に用いた装置の全体図である。
【図2】(a)毛髪を植毛する円板の上面図、及び(b)毛髪を植毛した円板の断面図である。
【符号の説明】
【0098】
1 毛髪
10 容器
11 円板
20 蓋
21 第1の突起物
22 第2の突起物
23 泡誘導壁
24 毛髪の巻込み防止ピン
25 注入孔
30 モーター
40 コントロールユニット
41 支柱
50 計量器
51 注水孔
60 トルク検出器
P 植毛孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるアルキルエーテル硫酸塩を5〜30質量%含有する水性毛髪洗浄剤。
RO−(PO)m(EO)nSO3M (1)
〔式中、Rは平均炭素数8〜24のアルキル基を示し、POはプロピレンオキシ基を、mは0<m<1の範囲のPO平均付加モル数を示し、EOはエチレンオキシ基を、nは0<n≦2.3の範囲のEO平均付加モル数を示し、Mは陽イオンを示す。〕
【請求項2】
アルキルエーテル硫酸塩が、工程(I)〜(III)を含む工程によって製造されるものである請求項1記載の水性毛髪洗浄剤。
工程(I):平均炭素数8〜24のアルキル基を有するアルカノール1モルに対し、プロピレンオキサイドを平均で0モル超1モル未満の範囲で付加させる工程
工程(II):工程(I)で得られたプロピレンオキサイド付加物1モルに対し、エチレンオキサイドを平均で0モル超2.3モル以下の範囲で付加させる工程
工程(III):工程(II)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和する工程
【請求項3】
更に、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤を含有する請求項1又は2記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項4】
更に、カチオン性ポリマーを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項5】
更に、シリコーン類を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項6】
更に、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル又はエチレングリコールジ脂肪酸エステルを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−298743(P2009−298743A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156862(P2008−156862)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】