説明

水性毛髪洗浄剤

【課題】泡立ちと抗フケ性に優れるとともに、頭皮のかゆみを抑える効果を有する毛髪洗浄剤を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C):(A)特定の構造を有する硫酸塩型アニオン界面活性剤、(B)特定の構造を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤、(C)トリクロサン、トリクロカルバン、ピロクトンオーラミン、ジンクピリチオン、二硫化セレン、3−メチル−4−(1−メチルエチル)フェノール、特定の構造を有するベンザルコニウム塩もしくはベンゼトニウム塩及び特定の構造を有するピリジニウム塩から選ばれる抗菌剤、及び水を含有し、(B)/((A)+(B))の質量割合が1/100〜25/100である水性毛髪洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性毛髪洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪洗浄剤の主な目的は、毛髪及び頭皮の汚れを除去し、頭皮のフケ、かゆみを防止することにある。洗浄力の高い毛髪洗浄剤を得るためには、洗浄主剤として、毛髪及び頭皮と同電荷を有するアニオン界面活性剤を用いるのが汚れの再付着防止の観点から好ましい。その中でも、アルキル硫酸塩やアルキルエーテル硫酸塩は豊富な泡量と優れた汚れ落ち性を有することから、毛髪洗浄剤の主剤として最も一般的に用いられている。また、フケを防止する1つの手段としては、頭皮の常在菌を殺菌することが効果的であることが一般的に知られており、毛髪洗浄剤に抗菌剤が配合されることも多い。
【0003】
アルキルエーテル硫酸塩を主洗浄成分として含み、抗菌剤を併用した例としては、特許文献1に記載されているような毛髪洗浄剤がある。アニオン界面活性剤と抗菌剤を併用することで、優れた洗浄性と抗フケ性が得られることが報告されているが、かゆみを抑制するという点に関しては、依然改善の余地があった。
【0004】
頭皮に限らず、皮膚表面には10〜20層の角層細胞が存在するが、この角層細胞は皮膚内部に水分を保持するとともに、外部からの刺激を守るという重要な役割を担っている。上述のアルキルエーテル硫酸塩は、角層内に浸透して細胞を膨潤させ、細胞内部に本来存在するアミノ酸や脂質等の天然保湿成分を細胞外に溶出する性質が強い。そのため、これらの界面活性剤を主剤とした毛髪洗浄剤で繰り返し洗髪すると、頭皮の水分保持量が低下するため皮膚がカサついたり、界面活性剤や他の刺激物質が皮膚内部に侵入しやすくなるため頭皮がかゆくなる傾向にある。
【0005】
角層膨潤を抑制する手段としては、アルキルエーテル硫酸塩に替えてアミノ酸系アニオン界面活性剤を主剤として毛髪洗浄剤を調整する方法がある。一般にアミノ酸系界面活性剤は角層を膨潤させにくい性質を有するが、一方で、アニオン部がカルボン酸のような弱酸であることが多いため、泡立ちや汚れ落ち性が充分ではなく、毛髪洗浄剤としての基本性能を満たすには不充分であった。そこで、この課題を解決すべく特許文献2に記載されているように、アニオン部がスルホン酸基であるアルキロイルアルキルタウリン塩型陰イオン界面活性剤を主剤とした洗浄剤組成物が提案されている。しかしながら、アルキル硫酸塩やアルキルエーテル硫酸塩に比較すると、依然泡立ちや泡量が充分でなく、毛髪洗浄剤としての基本性能を満たすのは困難であった。
【0006】
その他、角層膨潤抑制と泡立ちを両立する試みとしては、特許文献3に記載されたように、アルキルエーテル硫酸塩等のアニオン界面活性剤に対して、アルコール部分が炭素数8〜16のアルキル基を有し、1分子当り10〜45のエトキシ基を有するポリエトキシル化アルコール等のノニオン界面活性剤を組み合わせて使用し、組成物のpHが6.0〜8.0であるシャンプー組成物が提案されている。また、同様の試みとして、特許文献4に記載されたように、アルキルエーテルスルフェート等のアニオン界面活性剤に対して、HLBが少なくとも8のノニオン界面活性剤を組み合わせて使用したシャンプー組成物が提案されている。
【0007】
一般にノニオン界面活性剤は、角層膨潤性が少なく皮膚にマイルドな性質を有することが知られているが、毛髪洗浄剤に適した豊富な泡量を得るのが難しい。上述の特許文献3において、ノニオン界面活性剤は組成物中に少なくとも38重量%使用され、特許文献4においては、ノニオン界面活性剤は組成物中に少なくとも29重量%使用されている。このように比較的多量のノニオン界面活性剤を配合した場合、毛髪洗浄剤として必要な泡量が得られず、依然マイルド性と泡立ちの両立は達成できていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−131592号公報
【特許文献2】特開昭61−272295号公報
【特許文献3】特開昭49−99104号公報
【特許文献4】特開平4−225909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、アルキル硫酸塩又はアルキルエーテル硫酸塩を洗浄主剤とする毛髪洗浄剤において、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤及び抗菌剤を併用することで、泡立ちに優れるとともに、頭皮のフケ防止効果とかゆみ抑制効果が高い水性毛髪洗浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、アルキル硫酸塩又はアルキルエーテル硫酸塩を洗浄主剤とする毛髪洗浄剤において、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤及び抗菌剤を併用することで、泡立ちに優れるとともに、頭皮のフケ防止効果を有し、さらに頭皮の角層の膨潤を効果的に抑制することによりかゆみ抑制効果が高い水性毛髪洗浄剤が得られることを見出した。
【0011】
すなわち本発明によれば、次の成分(A)、(B)、(C):
(A)下記一般式(1)で表される硫酸塩型アニオン界面活性剤、
1O(CH2CH2O)nSO3M (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸由来のカチオンを示し、nは質量平均で0〜5の数を示す。);
(B)下記一般式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤、
O(CHCHO)H (2)
(上記一般式(2)中、Rは炭素数16〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは質量平均で5〜30の数を示す。);
(C)トリクロサン、トリクロカルバン、ピロクトンオーラミン、ジンクピリチオン、二硫化セレン、3−メチル−4−(1−メチルエチル)フェノール、一般式(3)で表されるベンザルコニウム塩もしくはベンゼトニウム塩及び一般式(5)で表されるピリジニウム塩から選ばれる抗菌剤、
【0012】
【化1】

(式中、R5は炭素数8〜18のアルキル基又は(4)式で表される基を示し、Z-はハロゲンイオンを示す。)
【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

(式中、R6は炭素数6〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Z-はハロゲンイオンを示す。);
及び水を含有し、(B)/((A)+(B))の質量割合が1/100〜25/100である水性毛髪洗浄剤が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、優れた泡立ちと抗フケ性を有するとともに、頭皮のかゆみを抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】泡立ちの速さに関する評価に使用する装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、上記の成分(A)、(B)、(C)及び水を含む。以下、各成分について具体的に説明する。
【0018】
はじめに、成分(A)について説明する。
本発明の水性毛髪洗浄剤において、成分(A)は、一般式(1)で表されるアルキル硫酸塩またはアルキルエーテル硫酸塩の硫酸塩型アニオン界面活性剤である。
【0019】
(A)下記一般式(1)で表される硫酸塩型アニオン界面活性剤
1O(CH2CH2O)nSO3M (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、nは質量平均で0〜5の数を示す。)
【0020】
この中でも特に、すばやい泡立ちと高い洗浄力を有する観点から、上記一般式(1)中のR1が炭素数12〜14のアルキル基、nが質量平均で1〜2の数を示し、Mがアンモニウム又はナトリウムであるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
【0021】
成分(A)は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよく、またその含有量は、泡立ち、使用時の液性、すすぎ時の指通り性の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の1〜25質量%が好ましく、更には5〜23質量%、特に8〜20質量%が好ましい。
【0022】
次に、成分(B)について説明する。
本発明の水性毛髪洗浄剤において、成分(B)は、一般式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤である。
【0023】
(B)下記構造式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤
O(CHCHO)H (2)
(上記一般式(2)中、Rは炭素数16〜22の直鎖または分岐アルキル基又はアルケニル基を示し、mは質量平均で5〜30の数を示す。)
【0024】
このような成分(B)に該当する代表的な市販品としては、エマレックス606(ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル、分子量518、日本エマルジョン製)、エマルゲン306P(ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル、分子量518、花王社製)、エマルゲン320P(ポリオキシエチレン(13)ステアリルエーテル、分子量827、花王社製)、エマルゲン210(ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、分子量534、花王社製)、エマルゲン409P(ポリオキシエチレン(9)オレイルエーテル、分子量648、花王社製)、エマルゲン430(ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル、分子量1132、花王社製)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤が挙げられる。
【0025】
本発明において成分(B)であるノニオン界面活性剤は角層表面に保護膜を形成すると考えられ、その結果成分(A)であるアニオン界面活性剤の角層内部への浸透を抑制する効果を有する。このような効果を発現するためには、成分(B)であるノニオン界面活性剤が、角層表面へ効率的に吸着するとともに、それ自身が角層内部へ浸透しないことが好ましい。
【0026】
成分(B)が角層表面へ効率的に吸着するためには、成分(B)が1×10−6M程度以下の臨界ミセル濃度(CMC)を有することが好ましい。CMCの値はアルキル鎖長が大きくなるにつれ低下する。その観点から、上記(2)式中のR2が炭素数16〜22の直鎖または分岐アルキル基またはアルケニル基であるが、中でも角層への吸着性と毛髪洗浄剤の泡立ちを両立する観点から、上記(2)式中のR2の炭素数が18であるポリオキシエチレンステアリルエーテルが特に好ましい。
【0027】
また、成分(B)が角層内部へ浸透しないためには、成分(B)の分子量が500以上であることが好ましい。その観点から、上記(2)式中のmは5〜30であるが、中でも角層膨潤と泡立ちを両立する観点からmが5〜20であることが好ましく、特にmが6〜10であることが好ましい。
【0028】
成分(B)は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよく、またその含有量は、角層の膨潤抑制、泡立ち、すすぎ時の指通りの点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.1〜10質量%が好ましく、更には0.5〜7質量%、特に1〜5質量%が好ましい。
【0029】
また、頭皮へのマイルド性と優れた泡立ちを両立する観点から、成分(A)、(B)は(B)/((A)+(B))の質量割合が1/100〜25/100であることが好ましく、中でも3/100〜23/100であることが好ましく、特に5/100〜20/100であるのが好ましい。
【0030】
本発明の成分(C)である抗菌剤としては、トリクロサン、トリクロカルバン、ピロクトンオーラミン、ジンクピリチオン、二硫化セレン、3−メチル−4−(1−メチルエチル)フェノール、一般式(3)で表されるベンザルコニウム塩もしくはベンゼトニウム塩及び一般式(5)で表されるピリジニウム塩が挙げられる。
【0031】
【化4】

【0032】
(式中、R5は炭素数8〜18のアルキル基又は(4)式で表される基を示し、Z-はハロゲンイオンを示す。)
【0033】
【化5】

【0034】
【化6】

【0035】
(式中、R6は炭素数6〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Z-はハロゲンイオンを示す。)
【0036】
成分(C)は、充分な抗菌性を得る目的から、毛髪洗浄剤中に0.1〜4質量%、特に0.4〜3質量%配合するのが好ましい。
【0037】
成分(C)としては、ジンクピリチオン、ピロクトンオーラミン、一般式(3)中R5が炭素数12〜16のアルキル基であるベンザルコニウム塩が好ましい。
【0038】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、更に洗浄性能を向上させるため、成分(A)以外のアニオン界面活性剤、成分(B)以外の非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤を含有させてもよい。
【0039】
成分(A)以外のアニオン界面活性剤としては、硫酸系、スルホン酸系、カルボン酸系のものが使用できる。例えばスルホコハク酸アルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩等が挙げられ、なかでもアルキルエーテルカルボン酸又はその塩が好ましい。
【0040】
成分(B)以外の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド、モノアルキル又はモノアルケニルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0041】
これらのうち、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン(C8〜C20)脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油、アルキルグリコシドが好ましい。
【0042】
また、脂肪酸アルカノールアミドも好適であって、モノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよく、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましい。また、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、例えばオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
【0043】
モノアルキルグリセリルエーテル又はモノアルケニルグリセリルエーテルも好適であって、アルキル基又はアルケニル基としては、炭素数4〜10、特に炭素数8〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。具体的には、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基等が挙げられ、特に2−エチルヘキシル基、イソデシル基が好ましい。
【0044】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタインがより好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0045】
これら界面活性剤は、水性毛髪洗浄剤中に1種または2種以上を併用することもできるが、本発明の水性毛髪洗浄剤を水性液状洗浄剤の形態とする場合には、成分(A)、(B)とともに、脂肪酸アミドプロピルベタイン、脂肪酸アルカノールアミド、モノアルキルグリセリルエーテルを用いるのが、起泡力がより良好となるだけでなく、適度な液性が得られるので特に好ましい。
【0046】
これら界面活性剤の含有量は、本発明の毛髪洗浄剤中0.1〜15質量%が良好な増泡効果が得られ好ましい。以上の点から、更には0.5〜8質量%、特に1〜6質量%の範囲が好ましい。
【0047】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、すすぎ時の指通り及び乾燥後の仕上がり向上のため、更に、カチオン界面活性剤、カチオン化ポリマーならびにシリコーン類を更に配合することができる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミン塩、アルコキシジメチルアミン塩、アルキルアミドジメチルアミン塩等が挙げられる。
【0048】
(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
11−N(CH3-
(上記式中、R11は炭素数12〜22のアルキル基を示し、X-はハロゲン(塩素又は臭素)イオンを示す。)
具体的には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0049】
(ii)アルコキシトリメチルアンモニウム塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
12−O−R13−N(CH-
(上記式中、R12は炭素数12〜22のアルキル基を示し、R13はエチレン基もしくはプロピレン基を示し、、X-は上記と同じである。)
具体的には、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0050】
(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
142−N(CH2-
(上記式中、R14は炭素数12〜22のアルキル基又はベンジル基を示し、X-は上記と同じである。)
具体的には、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0051】
(iv)アルキルジメチルアミン塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
15−N(CH2
(上記式中、R15は炭素数12〜22のアルキル基を示す。)
具体的には、ベヘニルジメチルアミンやステアリルジメチルアミンの有機酸塩が挙げられる。
【0052】
(v)アルコキシジメチルアミン塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
16−O−R17−N(CH2
(上記式中、R16は炭素数12〜22のアルキル基を示し、R17はエチレン基もしくはプロピレン基を示す。)
【0053】
(vi)アルキルアミドジメチルアミン塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
18−C(=O)NH−R19−N(CH2
(上記式中、R18は炭素数11〜21のアルキル基を示し、R19はエチレン基もしくはプロピレン基を示す。)
【0054】
上記(i)〜(vi)以外のカチオン界面活性剤としては、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリエチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルトリエチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C14〜C20)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C18〜C22)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソステアリン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソノナン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム及びアルキルトリメチルアンモニウムサッカリンなどが挙げられる。
【0055】
カチオン界面活性剤は、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜10質量%が好ましく、更には0.05〜5質量%、特に0.1〜2質量%が好ましい。
【0056】
次に、カチオン化ポリマーとしては、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化グァーガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化キサンタンガム、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社,カルタレチン)、特開昭53−139734号公報、特開昭60−36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられ、特にカチオン化セルロース、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化グァーガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガム、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体が好ましい。
【0057】
また、例えば、マーコート550(NALCO社,アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウム塩の共重合体;CTFA名ポリクォータニウム−7)、ルビクァットFC370(BASF社,1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩の共重合体;CTFA名ポリクォータニウム−16)、ガフクァット755N(ISP社,1−ビニル−2−ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体;CTFA名ポリクォータニウム−11)、UcareポリマーJR及び同LRシリーズ(アマーコール社,トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;CTFA名ポリクォータニウム−10)、ポイズC−60H、ポイズC−80M、ポイズC−150L(花王社,トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;CTFA名ポリクォータニウム−10)、ジャガーシリーズ(ローディア社,トリメチルアンモニウム置換エポキシドとグァーガムとの反応物の塩)、カチナールCF−100(東邦化学工業社、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとフェヌグリークガムとの反応物の塩)、カチナールCTR−100(東邦化学工業社、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとタラガムとの反応物の塩)、カチナールCLB−100(東邦化学工業社、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとローカストビーンガムとの反応物の塩)等の市販品を用いることができる。
【0058】
これらのカチオン化ポリマーは、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜3質量%が好ましく、更には0.05〜2質量%、特に0.1〜1質量%が好ましい。
【0059】
シリコーン類としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
【0060】
(1)ジメチルポリシロキサン
例えば、下記一般式で表されるものが挙げられる。
(CH3Si−[(CH2SiO]d−Si(CH3 (3)
(上記式中、dは3〜2×104の数を示す。)
【0061】
ジメチルポリシロキサンは、水性毛髪洗浄剤中では分散粒子として存在するが、分散粒子の平均粒径は、乾燥後の仕上がりと毛髪洗浄剤の保存安定性の観点から、0.1〜100μm好ましく、さらに好ましくは0.1〜50μm、特に0.1〜4μm、更に0.1〜2μmであることが好ましい。
【0062】
ポリジメチルシロキサンエマルジョンの平均粒径は、レーザー光散乱法により測定されるメジアン径であり、一般的なレーザー光散乱を用いた粒径測定装置によって、例えばコールター社LS−130を用いて測定することができる。
【0063】
このようなジメチルポリシロキサンとしては、例えば、(3)式のdが300〜6,500のジメチルポリシロキサン油を60質量%含み、平均粒径が0.8μmである東レ・ダウコーニング社の「シリコーンCF2450」又はdが300〜6,500のジメチルポリシロキサン油を75質量%含み、平均粒径が20μmである東レ・ダウコーニング社の「シリコーンCF2460」として市販されているものを使用することができる。
【0064】
このようなジメチルポリシロキサンは、洗髪時の泡感触、乾燥後の感触やツヤの向上の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中に0.01〜10質量%含有することが好ましく、さらには0.05〜6質量%、特に0.3〜3質量%、とりわけ0.5〜2質量%が好ましい。
【0065】
(2)アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、特に平均分子量が3000〜100,000の、アモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国、Cosmetic Ingredient Dictionary)第9版、2002年、volume1、p107中に記載されているものが好ましい。市販品としては、SM 8704C(東レ・ダウコーニング社)、DC 929(ダウ・コーニング社)、KT 1989(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)、8500 Conditioning Agent、DOW CORNING TORAY SS−3588、DOW CORNING TORAY SILSTYLE 104(東レ・ダウコーニング社)等が挙げられる。
【0066】
(3)その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0067】
これらアミノ変性シリコーンやその他のシリコーン類は、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜5質量%が好ましく、更には0.05〜2質量%、特に0.1〜1質量%が好ましい。
【0068】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、更にエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールジ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノアルキルエーテル又はエチレングリコールジアルキルエーテルを含むパール化剤を含有していてもよい。
エチレングリコールモノ脂肪酸エステルとしては、エチレングリコールモノステアリン酸エステル、エチレングリコールモノベヘニン酸エステルなど、エチレングリコールジ脂肪酸エステルとしては、エチレングリコールジステアリルエステル、エチレングリコールジベヘニルエステルなどが挙げられる。エチレングリコールモノアルキルエーテルとしてはエチレングリコールモノステアリルエーテルなど、エチレングリコールジアルキルエーテルとしてはエチレングリコールジステアリルエーテルなどが挙げられる。
これらは2種以上を併用してもよく、またその含有量は、毛髪洗浄剤の保存安定性の向上及び泡立て時、すすぎ時の滑らかさ向上、また毛髪洗浄剤の安定性向上の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.1〜10質量%が好ましく、更には0.5〜5質量%、特に1〜4質量%が好ましい。
【0069】
また、本発明の水性毛髪洗浄剤には、他のコンディショニング剤として、油剤を含有することができる。油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素油;
ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、オリーブ油、ヒマワリ油、椿油等のグリセリド;
ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ;
セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、グリセリン、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール;
パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2−エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル油;
カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸;
その他イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、高級脂肪酸、高級アルコール、グリセリドが好ましく、特にラウリン酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヒマワリ油、椿油等が好ましい。これらの油剤は、1種単独で又は2種以上を併用することもでき、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.1〜2質量%が好ましく、更には0.2〜1.5質量%、特に0.3〜1質量%が好ましい。
【0070】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、粘度調整剤を含有させてもよく、粘度調整剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、エタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、粘土鉱物、塩類(塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、クエン酸ナトリウム等)などが挙げられ、中でもベンジルアルコール、エタノール、ポリプロピレングリコール、塩化ナトリウム、及びクエン酸ナトリウムが好ましい。粘度調整剤は2種以上を併用してもよく、またその使用量は、泡量、泡質の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜5質量%が好ましく、更には0.05〜4質量%、特に0.1〜3質量%が好ましい。
【0071】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、ジンクピリチオン等の抗菌剤の保存安定性の観点から、毛髪に適用する際のpH(水で20重量倍希釈,25℃)が5〜8であるのが好ましく、一般的に使用されるpH調整剤(酸、アルカリ)にて調整することができる。
【0072】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、上記成分のほか、通常の毛髪洗浄剤に用いられる成分を目的に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えば防腐剤;キレート剤;ソルビトール、パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ユーカリの極性溶媒抽出物、真珠層を有する貝殻又は真珠から得られる蛋白質又はその加水分解物、蜂蜜、ローヤルゼリー、シルクから得られる蛋白質又はその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、アロエ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類;酸化チタン等のパール化剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ(ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (Hunting, Anthony L.L.著、1983年発行、MICELLE PRESS))に記載されている成分等が挙げられる。
【0073】
本発明の水性毛髪洗浄剤の形態は、液状、ゲル状等適宜選択できるが、媒体として水又は低級アルコール、特に水を用いた液状のものが好ましい。
【実施例】
【0074】
(実施例1〜7及び比較例1〜8)
表1に示す水性毛髪洗浄剤を調製し、以下の評価方法により評価した。その結果を表1に示す。なお、pHは水で20質量倍希釈した際の25℃での値である。
【0075】
評価方法1
(1)泡立ちの速さ
特開平10−73584号公報に記載の装置を用い、同公報実施例に記載の方法により評価した。
すなわち、図1は、洗浄剤を適用する対象物(毛髪1)を収容する容器10、毛髪1に接触する突起物21、22、容器10内で起泡した泡を計量する計量器50、容器10に被さり、容器10内で起泡した泡を計量器50へ導出する蓋20、容器10に収容された毛髪1と突起物21、22とが摺動するように、容器10を動かすモーター30が備えられた泡立ち性能評価装置である。毛髪1を等量の水で濡らし、評価サンプル1.5mLと、ラノリンからなるモデル皮脂0.3mLとを注入孔25から注入し、起泡量を測定し、泡量が250mLになるまでの時間により評価した。
【0076】
なお、毛髪1としては、長さ90mmの毛髪30gを直径略160mmの円板に植毛したものを使用した。容器10は、直径160mm、高さ20mmの円筒状のものを使用し、蓋20には、第1の突起物21として直径15mm、高さ12mmの円柱状の突起物を3個備え、第2の突起物22として縦10mm、横2mm、高さ12mmの突起物を9個備えたものを使用した。また、モーターによる容器10の回転数は毎分70回転に設定した。
【0077】
評価基準は以下の通りである。
◎:100秒未満
○:100秒以上200秒未満
△:200秒以上300秒未満
×:300秒以上
【0078】
(2)抗フケ性
10人の男性パネラーに、1ヶ月間、各洗浄剤を用いて頭髪を1日1回洗浄させた。最終洗髪後、2日間洗髪を行わずに生活させた後、再度同じ洗浄剤組成物3gを用いた洗髪を2回行い、この2回の全洗髪液を回収した。回収した洗髪液全量を50ナイロンメッシュにてろ過し、不要なゴミ、毛髪を取り除いた。ろ液全量を予め重量を測定しておいた255ナイロンメッシュ(100×100μm)にてろ過した。該ナイロンメッシュを約48時間、室温にて風乾した後、その重量増加をフケ重量とした。10人のフケ重量の平均値を求め、以下の基準により示した。
◎:フケ重量≦30mg
○:30mg<フケ重量≦40mg
△:40mg<フケ重量≦50mg
×:50mg<フケ重量
【0079】
(3)角層膨潤性
ヒト踵部をエタノールで消毒した後、角層を削り取り、充分乾燥させた角層パウダーを用意した。この乾燥させた角層パウダーを直径5mmのNMR用測定チューブに20mg入れた後、イオン交換水で20質量倍に希釈した毛髪洗浄剤溶液0.8mLを注ぎこみ、2時間静置した際の高さを測定した。なお、評価基準は、イオン交換水0.8mLを角層パウダー20mgに添加した場合の高さを100%とした場合の相対数値とし、数値が大きいほど角層が膨潤したことを示す。なお、評価基準は以下の通りである。
◎:110%未満
○:110%以上120%未満
△:120%以上125%未満
×:125%以上
【0080】
(4)かゆみ抑制効果
10人の男性パネラーに1ヶ月間各洗浄剤を用いて、頭髪を1日1回洗浄させた。1ヶ月使用後、洗髪後の頭皮のかゆみについて、5段階評価を行ない、10人の平均値が平均4.0以上を「◎」、3.2〜3.9を「○」、2.5〜3.1を「△」、2.4以下を「×」として示した。
5:かゆみが少ない
4:ややかゆみが少ない
3:普段と同じと感じる
2:ややかゆい
1:かゆい
【0081】
【表1】

【0082】
*1 カチオン化セルロース;「ポイズC−80M」、花王社製
*2 pH調整剤として用いた。
*3 比較例では、成分(A)もしくは成分(A')、成分(B)もしくは成分(B')の値を用いて計算を行った。
【0083】
表1より、実施例1〜7の組成物では、泡立ち、抗フケ性に優れるとともに、角層膨潤を抑制する効果が高く、頭皮のかゆみを抑制する効果を有していた。
【0084】
評価方法2
実施例1および比較例6の処方を用いて、角層膨潤性について「成分(A)、および成分(B)又は成分(B')」中の「成分(B)又は成分(B')」(すなわち、(BorB')/((A)+(BorB')))の質量%の値を変動させて評価した。
ヒト踵部をエタノールで消毒した後、角層を削り取り、充分乾燥させた角層パウダーを用意した。この乾燥させた角層パウダーを直径5mmのNMR用測定チューブに20mg入れた後、イオン交換水で界面活性剤濃度を30mMに調整した毛髪洗浄剤溶液0.8mLを注ぎこみ混合した後、2時間静置した際の高さを測定した。なお、評価基準は、イオン交換水0.8mLを角層パウダー20mgに添加した場合の高さを100%とした場合の相対数値とした。評価結果を以下に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
表2によれば、実施例1の処方による水性毛髪洗浄剤の方が、比較例6の処方のものよりも、成分(B)に相当するポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤の量を少なくしても、角層膨潤を抑制することが可能であった。表1に示した結果から成分(B)の量が少ないほど泡立ち速さに優れることがわかるため、実施例にて用いたような特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤を用いることによって、角層膨潤を抑制することから頭皮へのマイルド性に優れ、かつ、成分(B)の量を少なくすることが可能なことから泡立ちに優れる水性毛髪洗浄剤を得ることが可能になる。
【0087】
以下に、本発明の水性毛髪洗浄剤を用いた処方例を示す。
(実施例8) シャンプー
(質量%)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 12.5
ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル 2.5
ジンクピリチオン 0.3
塩化ベンザルコニウム(C12/C14=50/50) 0.2
イソデシルグリセリルエーテル 2.0
ラウリルヒドロキシスルホベタイン 1.0
カチオン化グァーガム 0.2
(「ジャガーC−13」、ローディア社)
カチオン化タラガム 0.2
(「カチナールCTR−100」、東邦化学社)
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体 1.2
(「マーコート550」、オンデオ ナルコ社、有効分8.5質量%)
ジメチルポリシロキサン 2.0
(「シリコーンCF2450」、東レ・ダウコーニング社、有効分60%)
エチレングリコールジステアリン酸エステル 2.0
セチルアルコール 0.2
ラウリン酸 0.1
ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル 0.3
ポリプロピレングリコール(質量平均分子量400) 0.5
ベンジルアルコール 0.3
エタノール 3.0
ツバキ油 0.01
パンテノール 0.05
ローヤルゼリー 0.01
精製蜂蜜 0.01
シルクエキス 0.05
塩化ナトリウム 0.2
香料 適量
pH調整剤(クエン酸) pH6.5になる量
イオン交換水 バランス
【0088】
(実施例9) シャンプー
(質量%)
ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム 4.0
ポリオキシエチレン(5)ベヘニルエーテル 1.5
塩化セチルピリジニウム 1.5
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 0.5
ラウロイルアミドプロピルベタイン 2.5
カチオン化ローカストビーンガム 0.2
(「カチナールCLB−100」、東邦化学社)
カチオン化フェヌグリークガム 0.2
(「カチナールCLB−100」、東邦化学社)
アミノポリエーテル変性シリコーン 0.2
(「シリコーンSILSTYLE104」、東レ・ダウコーニング社)
ジプロピレングリコール 3.0
ベンジルオキシエタノール 0.5
l−メントール 1.0
塩化ナトリウム 0.2
香料 適量
pH調整剤(リンゴ酸) pH7.0になる量
イオン交換水 バランス
【0089】
実施例8〜9の毛髪洗浄剤は、泡立ちと抗フケ性に優れるとともに、角層膨潤を抑制し、頭皮のかゆみを抑える効果を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C):
(A)下記一般式(1)で表される硫酸塩型アニオン界面活性剤、
1O(CH2CH2O)nSO3M (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸由来のカチオンを示し、nは質量平均で0〜5の数を示す。);
(B)下記一般式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤、
O(CHCHO)H (2)
(上記一般式(2)中、Rは炭素数16〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは質量平均で5〜30の数を示す。);
(C)トリクロサン、トリクロカルバン、ピロクトンオーラミン、ジンクピリチオン、二硫化セレン、3−メチル−4−(1−メチルエチル)フェノール、一般式(3)で表されるベンザルコニウム塩もしくはベンゼトニウム塩及び一般式(5)で表されるピリジニウム塩から選ばれる抗菌剤、
【化1】

(式中、R5は炭素数8〜18のアルキル基又は(4)式で表される基を示し、Z-はハロゲンイオンを示す。)
【化2】

【化3】

(式中、R6は炭素数6〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Z-はハロゲンイオンを示す。);
及び水を含有し、(B)/((A)+(B))の質量割合が1/100〜25/100である水性毛髪洗浄剤。
【請求項2】
前記成分(C)が、前記水性毛髪洗浄剤全体に対して、0.1〜4質量%含有される請求項1記載の水性毛髪洗浄剤。

【図1】
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【公開番号】特開2010−235500(P2010−235500A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84335(P2009−84335)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】