説明

水性組成物

【課題】 酸化防止剤の黄変等を起因とした着色が抑制された経時での香りの変化が少ない着香を行う為の水性組成物、及び酸化防止剤の着色抑制方法の提供。
【解決手段】 下記(a)成分、酸化防止剤、及び水を含有する水性組成物、並びに酸化防止剤に、下記(a)成分を添加する、酸化防止剤の着色抑制方法。
(a)成分:下記一般式(1)で表されるケイ素化合物
【化1】


〔式中、Xは、R1基、OR2基、OR3基又はOH基、Yは、X、−O−Si(X)3基又はOH基、R1基は炭素数1〜22の炭化水素基等、R2は炭素数1〜4の炭化水素基、R3は置換基としてアルコキシ基、ヒドロキシ基又はエーテル基を有していても良い、総炭素数6〜22の炭化水素基、nは0〜15である。但し、分子中にOR3基を少なくとも一つ有する。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性組成物及び酸化防止剤の着色抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に繊維製品処理用組成物等の水性組成物に色やにおいの変化を抑える為に酸化防止剤を配合することは知られている。特許文献1には特定の黄色色素の安定性を向上させる為に2,6−ジ−t−ジブチル−4−ヒドロキシトルエンを含有する柔軟剤組成物が開示されている。特許文献2には特定の酸化防止剤を配合し、衣類に優れた防臭効果を付与する繊維処理組成物が開示されている。特許文献3には香気安定性の為に酸化防止剤を配合することが開示されている。また、2,6−ジ−t−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)は種々の要因によって黄変することが知られている(特許文献4)。
【0003】
一方、特定のケイ素化合物を用いて、香りの持続性を付与する技術、衣類の風合いを改善する技術が知られており、特許文献5には特定のケイ素化合物、及び脂肪アルキル第4級アンモニウム化合物を含有し、編織物に長期間持続する香気を付与する編織物コンディショナー組成物が開示され、特許文献6には特定のケイ素化合物を含有し、編織物に長期間持続する香気を付与する芳香付与成分を含有する、洗浄剤組成物が開示されている。特許文献7には耐加水分解性に優れた特定のケイ酸エステルを含むケイ酸エステル混合物、及びそれらを含有する組成物が開示されている。特許文献8には香気発散に持続性を与え、長寿命の香料原料として有用なアルケニルオキシ基を有するシラン誘導体が開示されている。特許文献9には、陽イオン界面活性剤と特定のアルコキシシランを含有し、繊維製品に柔軟効果を付与し、吸水性を改善できる柔軟剤組成物が開示されている。
【特許文献1】特開平8−27669号公報
【特許文献2】特開平10−131042号公報
【特許文献3】特開2003−105668号公報
【特許文献4】特開2001−279576号公報
【特許文献5】特開昭54−59498号公報
【特許文献6】特開昭54−93006号公報
【特許文献7】特表2003−526644号公報
【特許文献8】特開昭58−90593号公報
【特許文献9】特開2007−177337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3には酸化防止剤を配合することによる種々の有益性が開示されているが、一方で特許文献4に記載のようにBHTが種々の要因で黄変する為、BHTのような酸化防止剤の黄変による組成物の着色が課題となっていた。
【0005】
従って、本発明の課題は、酸化防止剤の黄変等を起因とした着色が抑制された経時での香りの変化が少ない着香を行う為の水性組成物、及び酸化防止剤の着色抑制方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記(a)成分、(b)成分、及び水を含有する水性組成物、さらに(c)成分として、界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含有する水性組成物、並びに(b)成分の酸化防止剤に、下記(a)成分を添加する、酸化防止剤の着色抑制方法を提供する。
(a)成分:下記一般式(1)で表されるケイ素化合物
【0007】
【化2】

【0008】
〔式中、Xはそれぞれ独立に、R1基、OR2基、OR3基又はOH基であり、Yはそれぞれ独立に、X、−O−Si(X)3基又はOH基であり、R1基は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い炭素数1〜22の炭化水素基、R2は炭素数1〜4の炭化水素基、R3は置換基としてアルコキシ基、ヒドロキシ基又はエーテル基を有していても良い、置換基も含めて総炭素数6〜22の炭化水素基であり、nは0〜15の数であり、nが0より大きい場合には平均値を示す。但し、分子中にOR3基を少なくとも一つ有する。〕
(b)成分:酸化防止剤
【発明の効果】
【0009】
本発明により、経時での香りの変化が少ない着香を行う為の水性組成物において、酸化防止剤の黄変等を起因とした水性組成物の着色を抑制することができ、色調の変化がない外観が良好な水性組成物を得ることができる。また、本発明により、酸化防止剤の着色を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[(a)成分]
本発明の(a)成分は、上記一般式(1)で表されるケイ素化合物である。
【0011】
一般式(1)において、R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い炭素数1〜22の炭化水素基を示すが、置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、nが0の場合には、炭素数6〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基がより好ましく、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の炭素数6〜18の直鎖アルキル基が更に好ましく、炭素数10〜18の直鎖アルキル基が更により好ましい。
【0012】
2は炭素数1〜4の炭化水素基を示すが、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましい。R3は置換基としてアルコキシ基、ヒドロキシ基又はエーテル基を有していても良い置換基も含めて総炭素数6〜22の炭化水素基を示すが、炭素数6〜18の炭化水素基が好ましく、炭素数8〜18の炭化水素基がより好ましい。炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基又はアルキルアリール基が好ましく、特に分岐構造を有するアルキル基、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基及びアリールアルキル基から選ばれる基が好ましい。
【0013】
一般式(1)において、nが0の場合には、4個のXのうち2〜4個、好ましくは3又は4個が−OR3であり、残りが−R1 若しくは―OR2である化合物が好適である。
【0014】
n=0の場合の好ましい化合物としては、下記式(1−1)〜(1−3)で表される化合物が挙げられる。より好ましい化合物は式(1−1)又は(1−3)で表される化合物であり、最も好ましくは式(1−1)で表される化合物である。
【0015】
【化3】

【0016】
〔式中、R1、R2及びR3は前記と同じ意味を示す。〕
一般式(1)において、nが1〜15の場合には、nは平均値を示し、全てのX及びYに対して、1/10以上、好ましくは1/8以上が−OR3であり、残りが−R1又は−OR2である化合物が好ましい。nとしては、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
【0017】
nが1〜15の場合の好ましい化合物としては、下記式(1−4)〜(1−6)で表される化合物が挙げられる。より好ましい化合物は式(1−4)又は(1−6)で表される化合物であり、最も好ましくは式(1−4)で表される化合物である。
【0018】
【化4】

【0019】
〔式中、R1、R2及びR3は前記と同じ意味を示す。mは1〜15の数を示し、Tは、−OR3又は−OR2を示す。〕
一般式(1)で表される化合物は、特許文献1や特許文献4などに記載されている方法で入手することができる。
【0020】
[(b)成分]
本発明の(b)成分である酸化防止剤としては、一般に酸化防止効果が知られている化合物であれば、特に限定されるものではない。具体的には、2,6−ジ−t−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、t−ブチル−p−ヒドロキシアニソール(BHA)、β−ナフトール、フェニル−α−ナフチルアミン、テトラメチルジアミノジフェニルメタン、ビタミンE(α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール)、ビタミンC(L−アスコルビン酸)、クェルセチン等が挙げられる。これらの中では、フェノール系酸化防止剤及びトコフェロール系酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種が好ましく、2,6−ジ−t−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン、t−ブチル−p−ヒドロキシアニソール、α−トコフェロール、γ−トコフェロール及びδ−トコフェロールから選ばれる少なくとも1種が好ましい。より好ましくは2,6−ジ−t−ジブチル−4−ヒドロキシトルエンである。
【0021】
[(c)成分]
本発明の水性組成物は(c)成分として、界面活性剤を含有することが好ましい。
【0022】
界面活性剤としては、水性組成物の用途により、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも用いることができる。
【0023】
本発明に用いられる陽イオン界面活性剤としては、分子内にエステル基又はアミド基で分断されていても良い総炭素数12〜28の炭化水素基を少なくとも1つ有する第3級アミン、その酸塩又はその4級化物(以下(c1)成分という)が好ましい。
【0024】
(c1)成分としては、一般式(2)で表される第3級アミン、その酸塩又はその4級化物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0025】
【化5】

【0026】
〔式中、R21基は、エステル基又はアミド基で分断されていても良い総炭素数12〜28の炭化水素基であり、R22基及びR23基はそれぞれ独立に、R21基、炭素数1〜3のアルキル基、及び炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。〕
前記一般式(2)において、R21基としては、下記(i)〜(iii)に示す基が挙げられ、R22基及びR23基としては、それぞれ独立に下記(i)〜(v)に示す基が挙げられる。
(i)エステル基又はアミド基で分断されている総炭素数12〜28、好ましくは14〜26の飽和炭化水素基
(ii)エステル基又はアミド基で分断されている総炭素数12〜28、好ましくは14〜26の二重結合を1個以上有する不飽和炭化水素基
(iii)上記基(i)及び基(ii)が混在するもの
(iv)炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基
(v)炭素数1〜3のアルキル基
(c1)成分は、脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルと、アルカノールアミン又はアミノアルキルアミン等のアミンとを、エステル化反応、アミド化反応、又はエステル交換反応させて得ることができる。上記の好ましい炭化水素組成を有する脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルを得るために、通常油脂便覧等で知られているような脂肪酸を用いるだけでは達成できない場合は、不飽和結合への水素添加反応、不飽和結合の異性化反応、または蒸留操作、ボトムカット、トップカットによるアルキル鎖長の調整、あるいは複数の脂肪酸の混合により得ることが出来る。
【0027】
上記アミノアルキルアミンは分子内に1級アミノ基、2級アミノ基、及び3級アミノ基から選ばれる、少なくとも2種以上のアミノ基を有するアミンが好ましい。またアルカノールアミンは分子内にヒドロキシ基を必須とし、1級〜3級アミノ基を有するアミンが好ましい。より具体的な例として、ジアルキルモノアルカノールアミン(好ましくはジメチルモノエタノールアミンもしくはジメチルモノプロパノールアミン)、モノアルキルジアルカノールアミン(好ましくはメチルジエタノールアミンもしくはメチルジプロパノールアミン)、またはトリアルカノールアミン(好ましくはトリエタノールアミンもしくはトリプロパノールアミン)、またはジ(アミノアルキル)アルキルアミン(例えば、N−メチル−N,N−ジ(3−アミノプロピル)アミン)、ジアルキルアミノアルキルアミン(例えば、N,N−ジメチル−N−(3−アミノプロピル)アミン)、アルキルアミノプロピルモノアルキルアルカノールアミン(好ましくは、N−メチルーN−(2−ヒドロキシエチル)−N−(3−アミノプロピル)アミン)が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましくはN−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルーN−(2−ヒドロキシエチル)−N−(3−アミノプロピル)アミン、N,N−ジメチル−N−(3−アミノプロピル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミンである。
【0028】
(c1)成分を得るために行うエステル化反応、アミド化反応又はエステル交換反応において、脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルと、前記アミンのヒドロキシル基、及び1級〜2級アミノ基の合計モル数とのモル比は、0.5:1〜2:1が好ましく、0.6:1〜2:1がより好ましく、0.7:1〜0.98:1が特に好ましく、最も好ましくは、0.8:1〜0.98:1である。
【0029】
一般式(2)で表される第3級アミンの酸塩としては、無機酸及び有機酸で中和された酸塩が挙げられる。好ましい無機酸は、塩酸、硫酸、リン酸であり、好ましい有機酸は炭素数1〜10の1価又は多価のカルボン酸、又は炭素数1〜20の1価又は多価のスルホン酸、又は炭素数6〜36のアルキル硫酸エステル、又はポリオキシアルキレンアルキル(アルキル基の炭素数6〜36)硫酸エステルである。より好ましくはメチル硫酸、エチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、(o−、m−、p−)キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、グリコール酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、炭素数12〜36のアルキル硫酸エステル、又はポリオキシアルキレンアルキル(アルキル基の炭素数12〜36)硫酸エステルである。一般式(2)で表される第3級アミンの4級化物としては、一般式(2)で表される第3級アミンを、アルキルハライド、ジアルキル硫酸、アルキレンオキシド等のアルキル化剤で4級化した化合物が挙げられる。アルキルハライドとしてはメチルクロリドが好ましく、ジアルキル硫酸としては、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸が好ましく、アルキレンオキシドとしてはエチレンオキシドが好ましい。また、アルキル化剤を用いた4級化反応は、溶媒存在下(例えば、エタノール)でも行うことができるが、合成物の臭い、保存安定性を維持する観点及び/又は不純物の生成を抑える観点から、無溶媒下で行うことも出来る。
【0030】
本発明に用いられる陰イオン界面活性剤(以下(c2)成分という)としては、アルキル基の炭素数10〜15のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数10〜24のアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜24のアルキル基と数平均付加モル数1〜6のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜24のα−オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸の炭素数10〜24のα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩等を挙げることができる。
【0031】
本発明に用いられる非イオン界面活性剤(以下(c3)成分という)としては、分子内に炭素数8〜36の炭化水素基を有し、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均2〜200モル、好ましくは8〜150モル付加した非イオン界面活性剤が好適である。
【0032】
(c3)成分としては、下記一般式(3)で表される非イオン界面活性剤が好ましい。
【0033】
31−E−〔(R32O)a−R33b (3)
〔式中、R31は、炭素数8〜18、好ましくは8〜16のアルキル基又はアルケニル基である。R32は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。R33は、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。aは、2〜100、好ましくは4〜80、より好ましくは5〜60、特に好ましくは8〜50の数を示す。Eは、−O−、−COO−、−CON<又は−N<であり、Eが−O−又は−COO−の場合bは1であり、Eが−CON<又は−N<の場合bは2である。〕
一般式(3)で表される化合物の具体例として、以下の式(3−1)〜(3−4)で表される化合物を挙げることができる。
【0034】
31−O−(C24O)d−H (3−1)
〔式中、R31は前記の意味を示す。dは2〜100、好ましくは10〜50の数である。〕
31−O−(C24O)e−(C36O)f−H (3−2)
〔式中、R31は前記の意味を示す。eは1〜100、fは1〜100の数であり、(C24O)と(C36O)はランダムあるいはブロック付加体であってもよい。〕
【0035】
【化6】

【0036】
〔式中、R31は前記の意味を示す。g、h、i及びjはそれぞれ独立に0〜40の数であり、g+h+i+jは5〜150、好ましくは5〜100の数であり、(C24O)と(C36O)はランダムあるいはブロック付加体であってもよい。R34及びR35は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である〕。
【0037】
本発明に用いられる両性界面活性剤(以下(c4)成分という)としては、アルキル基の炭素数10〜24のアルキルジメチルアミンオキサイド、アルカノイル基の炭素数が10〜24のアルカノイルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、アルキル基の炭素数が10〜24のN−アルキル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N−アルキル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、アルカノイル基の炭素数が10〜24のN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等を挙げることができる。
【0038】
これらの界面活性剤の中では、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤が好ましく、陽イオン界面活性剤がより好ましく、分子内にエステル基又はアミド基で分断されていても良い総炭素数12〜28の炭化水素基を少なくとも1つ有する第3級アミンの酸塩又はその4級化物が更に好ましい。
【0039】
[水性組成物]
本発明の水性組成物は、上記(a)成分、(b)成分、及び水を含有する。本発明の組成物中の(a)成分の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜18質量%がより好ましく、0.3〜15質量%が更に好ましい。本発明の組成物中の(b)成分の含有量は、5〜5000mg/kgが好ましく、10〜3000mg/kgがより好ましく、20〜1500mg/kgが更に好ましい。
【0040】
本発明の水性組成物は更に、上記(c)成分を含有することが好ましい。本発明の組成物中の(c1)成分の含有量は、0.5〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、5〜25質量%が更に好ましい。(c2)成分の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。(c3)成分の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。(c4)成分の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。
【0041】
本発明の水性組成物は、エマルジョンであることが好ましく、水中油型エマルジョンがより好ましい。また、本発明の水性組成物は、繊維製品処理用であることが好ましい。
【0042】
本発明の水性組成物は、多様な香り付けの観点から、更に(d)成分として、香料を含有することが好ましい。香料としては、特に限定されないが、香料成分として具体的には、炭化水素系香料、アルコール系香料、エーテル系香料、アルデヒド系香料、ケトン系香料、エステル系香料、ラクトン系香料、環状ケトン系香料、ニトリル系香料、環状エーテル系香料、アミン系香料等の香料成分を挙げることができる。
【0043】
炭化水素系香料成分としては、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、リモネン、ターピネオール、ターピノレン、γ−ターピネン、オレンジペラ等が挙げられる。
【0044】
アルコール系香料としては、トランス−2−ヘキセノール、シス−3−ヘキセノール、3−オクタノール、リナロール、ゲラニオール、β−フェニルエチルアルコール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ミルセノール、ラバンジュロール、テトラヒドロリナロール、ターピネオール、l−メントール、ボルネオール、イソプレゴール、ノポール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、o−t−ブチルシクロヘキサノール、アンブリノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、ジメチルベンジルカルビノール、オイゲノール、ポリサントール、フェニルヘキサノール、ジヒドロミルセノール等が挙げられる。
【0045】
エーテル系香料成分としては、ネロールオキサイド、1,8−シネオール、ローズオキサイド、リメトールメントフラン、リナロールオキサイド、ブチルジメチルジヒドロピラン、セドリルメチルエーテル、メトキシシクロドデカン、1−メチル−1−メトキシシクロドデカン、アニソール、アセトアニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、メチルオイゲノール、フェニルエチルイソアミルエーテル、β−ナフチルメチルエーテル、β−ナフチルエチルエーテル等が挙げられる。
【0046】
アルデヒド系香料成分としては、ヘキシルアルデヒド、トリプラール、ノニルアルデヒド、アルデヒド C−10(デシルアルデヒド)、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、トリデシルアルデヒド、2,6−ノナジエナール、シス−4−デセナール、ウンデシレンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、センテナール、ボロナール、セトナール、サリチルアルデヒド、ミラックアルデヒド、リラール、ベルンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−エチル−2,2−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、マイラックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、リリアール等が挙げられる。
【0047】
ケトン系香料成分としては、アセトイン、ジアセチル、メチルアミルケトン、エチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、α−イオノン、β−イオノン、メチルイオノン、α−イロン、α−ダマスコン、ジヒドロジャスモン、シス−ジャスモン、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、ベンジルアセトン、カローン、ラズベリーケトン、アニシルアセトン、メチルナフチルケトン、ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0048】
エステル系香料成分としては、ベンジルアセテート、ギ酸エチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸スチラリル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸リナリル、酪酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸シトロネリル、イソ吉草酸ゲラニル、桂皮酸エチル、桂皮酸ベンジル、桂皮酸シンナミル、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、フルテート、シクロヘキシルサリチレート等が挙げられる。
【0049】
ニトリル系香料成分、環状エーテル系香料成分、アミン系香料成分、ラクトン系香料成分、環状ケトン系香料成分、その他香料成分としては、シトロネリルニトリル、アンブロキサン、ルボフィックス、メチルアンスラニレイト、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、δ−デカラクトン、クマリン、ジャスモノラクトン、ジャスミンラクトン、ムスコン、シベトン、シクロペンタデカノン、パーライド、アンバーコア、メチルジヒドロジャスモネート等が挙げられる。
【0050】
なお、上記香料成分の名称は「香料と調香の実際知識」(中島 基貴著、産業図書(株)、1995年6月21日発行)の記載に従った。
【0051】
本発明の水性組成物中の(d)成分の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.1〜4質量%がより好ましく、0.2〜3.5質量%が更に好ましい。
【0052】
本発明の水性組成物は、保存安定性の観点から、更に(e)成分として、炭素数12〜24の脂肪酸、その塩又はその低級アルキル(アルキル基の炭素数1〜4)エステル、及び炭素数12〜36の1価アルコールから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0053】
炭素数12〜24の脂肪酸、その塩又はその低級アルキル(アルキル基の炭素数1〜4)エステルの具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、ベヘニン酸等の炭素数12〜24の飽和又は不飽和脂肪酸、又はそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、炭素数2〜8のアルカノールアミン塩又はアルカノールアンモニウム塩、あるいは前記脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、n−プロピルエステル等が挙げられる。また、炭素数12〜36の1価アルコールの具体例としては、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、炭素数24、28若しくは36のゲルベアルコール等が挙げられる。
【0054】
本発明の水性組成物中の(e)成分の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましく、0.2〜5質量%が更に好ましい。
【0055】
本発明の組成物は、粘度を調整する目的で、(f)成分として無機あるいは有機の電解質を配合する事ができる。無機電解質としては、塩酸、硫酸、りん酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩が好ましく、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムがより好ましい。有機電解質としてはグリコール酸、クエン酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸のアルカリ金属、又はアルカリ土類金属の塩が好ましく、グリコール酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウムなどがより好ましい。本発明の水性組成物中の(f)成分の含有量は、0〜5質量%が好ましく、0〜4質量%がより好ましく、0.0001〜3質量%が更に好ましい。
【0056】
本発明の水性組成物は、保存安定性の観点から、必要に応じて(g)成分として、溶剤を含有していても良い。溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールから選ばれる溶剤が好ましく、特にエタノールが匂いの点から好ましい。本発明の水性組成物中の(g)成分の含有量は、0〜90質量%が好ましく、0〜80質量%がより好ましく、0〜30質量%が更に好ましく、0.1〜10質量%が最も好ましい。
【0057】
[酸化防止剤の着色抑制方法]
本発明においては、(b)成分の酸化防止剤に、(a)成分のケイ素化合物を添加することにより、酸化防止剤の着色を抑制することができる。(a)成分と(b)成分の質量比は、(a)成分/(b)成分=500/1〜1/1が好ましく、150/1〜30/1がより好ましい。
【実施例】
【0058】
実施例及び比較例で使用した各成分をまとめて以下に示す。尚、例中の%は、特記しない限り質量%である。
【0059】
<(a)成分>
(a−1):下記合成例1で得たケイ素化合物
(a−2):下記合成例2で得たケイ素化合物
(a−3):下記合成例3で得たケイ素化合物
(a−4):下記合成例4で得たケイ素化合物
(a−5):下記合成例5で得たケイ素化合物
(a−6):下記合成例6で得たケイ素化合物
<(a’)成分((a)成分の比較品)>
(a’−1):テトラエトキシケイ酸
(a’−2):メチルトリエトキシケイ酸
<(b)成分>
(b−1):2,6−ジ−t−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン、
(b−2):t−ブチル−p−ヒドロキシアニソール
(b−3):α−トコフェロール
<(c)成分>
(c−1):下記式(4)で表される化合物90%とエタノール10%の混合物。表3中の(c−1)成分は、式(4)で表される化合物のみの配合量を示す。尚、混合物中のエタノールは、(g)成分として取り扱うものとする。
【0060】
【化7】

【0061】
(式中、R41は、ミリスチン酸及びステアリン酸の質量比がミリスチン酸/ステアリン酸=35/65である混合飽和脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基を示す。)
(c−2):下記式(5)で表される化合物90%とエタノール10%の混合物。表3中の(c−2)成分は、式(5)で表される化合物のみの配合量を示す。尚、混合物中のエタノールは、(g)成分として取り扱うものとする。
【0062】
【化8】

【0063】
(式中、R51は、ミリスチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸の質量比がミリスチン酸/ステアリン酸/オレイン酸=25/55/20である混合脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基を示す。)
(c−3):下記式(6)で表される化合物90%とエタノール10%の混合物。表3中の(c−3)成分は、式(6)で表される化合物のみの配合量を示す。尚、混合物中のエタノールは、(g)成分として取り扱うものとする。
【0064】
【化9】

【0065】
(式中、R61は、ミリスチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸の質量比がミリスチン酸/ステアリン酸/オレイン酸=25/55/20である混合脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基を示す。)
(c−4):N−オクタデカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミン塩酸塩90%とエタノール10%の混合物。表2、表3中の(c−4)成分は、N−オクタデカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミン塩酸塩のみの配合量を示す。尚、混合物中のエタノールは、(g)成分として取り扱うものとする。
(c−5):2−デシルテトラデシル硫酸エステルナトリウム塩
(c−6):ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
(c−7):平均EO付加モル数20モルのポリオキシエチレンラウリルエーテル
(c−8):平均EO付加モル数6モルのポリオキシエチレンラウリルエーテル
上記(c−1)〜(c−8)の化合物は公知の方法により製造した。
【0066】
<(d)成分>
(d−1):下記に示す組成の香料組成物
[フェニルエチルアルコール(15%)、イソブチルサリシレート(25%)、パールライド(30%)、オイゲノール(20%)、ゲラニオール(10%)、( )内の数字は香料組成物中の各成分の割合]
<その他成分>
(e−1):ステアリン酸
(e−2):ステアリン酸メチルエステル
(f−1):塩化カルシウム
(g−1):エタノール
合成例1:ケイ素化合物(a−1)の合成
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン35.45g(0.13mol)、シス−3−ヘキセノール64.74g(0.65mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.34mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら118℃〜120℃で約2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながらさらに3時間攪拌した。3時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、ケイ素化合物(a−1)を得た。
【0067】
合成例2:ケイ素化合物(a−2)の合成
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン27.08g(0.13mol)、3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−オール72.5g(0.47mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.485mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら110〜120℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら117〜120℃でさらに4時間攪拌した。4時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行いケイ素化合物(a−2)を得た。
【0068】
合成例3:ケイ素化合物(a−3)の合成
100mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン18.78g(0.09mol)、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール 63.0g(0.324mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.635mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら109〜110℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら117〜120℃でさらに3時間攪拌した。3時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行いケイ素化合物(a−3)を得た。
【0069】
合成例4:ケイ素化合物(a−4)の合成
100mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン18.78g(0.09mol)、オレイルアルコール 91.5g(0.324mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.65mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら109〜110℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら117〜120℃でさらに3時間攪拌した。3時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行いケイ素化合物(a−4)を得た。
【0070】
合成例5:ケイ素化合物(a−5)の合成
200mLの四つ口フラスコにヘキサデシルトリエトキシシラン50.56g(0.13mol)、2−フェニルエタノール44.43g(0.36mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.375mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら113〜120℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら120℃でさらに3時間攪拌した。3時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行いケイ素化合物(a−5)を得た。得られた油状物の純度は90%である。
【0071】
合成例6:ケイ素化合物(a−6)の合成
100mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン72.96gと水酸化カリウム0.24g、イオン交換水0.4mLを入れ、窒素気流下120〜125℃、33kPa〜101kPa(常圧)で約37時間反応を行った。この間イオン交換水を0.4mL追加した。反応後、33kPaで更に2時間反応させた後、冷却、濾過を行い、67.29gのエトキシシランの縮合物を淡黄色液体として得た。
【0072】
続いて、100mLの四つ口フラスコに先のテトラエトキシシラン縮合物25.00gと4−メトキシフェニルメタノール56.39g、4.8%水酸化ナトリウム水溶液0.17gを入れ、エタノールを留出させながら95〜119℃でさらに2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら116〜119℃でさらに3時間攪拌した。3時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、58.83gのケイ素化合物(a−6)を得た。
【0073】
合成例1〜6で得られたケイ素化合物の名称及び構造を表1にまとめて示す。
【0074】
【表1】

【0075】
実施例1〜11及び比較例1〜2
表2に示す成分を用い、以下に示す方法で表2に示す組成の水性組成物を調製した。得られた水性組成物の形態を表2に示す。なお、表2中(c−4)成分の数値はN−オクタデカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミン塩酸塩自体の含有量である。また、実施例5,6,8,10、及び比較例2の(g)成分の数値は、前記(c−4)成分からキャリーオーバーされる量である。また得られた水性組成物を下記評価方法で外観変化を評価した。結果を表2に示す。
【0076】
<水性組成物の調製方法>
以下の方法で水性組成物300gを調製した。
一枚の長さが2.5cmのタービン型羽根が3枚ついた攪拌羽根をビーカー底面より1cm上部に設置した。500mLのガラスビーカーに必要量の95%イオン交換水、及び必要に応じて(g)成分を入れ、ウォーターバスで65℃まで昇温した。500rpmで攪拌しながら、(a)成分を添加した後、(b)成分のエタノール溶液(有効分50%)を添加した。必要に応じて(c)成分((c−5)以外は加熱し溶融状態で添加した)、(d)成分、(e)成分、(f)成分を添加し、次に所定のpHになるように20%塩酸水溶液及び/又は20%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。15分間攪拌した後、5℃のウォーターバスで30℃まで冷却し、最後に再度pHを確認し、必要に応じて20%塩酸水溶液及び/又は20%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを調整した。なお、表2中、(c)成分の数値は化合物自体の含有量である。
【0077】
<外観変化の評価方法>
水性組成物をNo.11規格瓶(ガラス製)に60g充填し、40℃の恒温槽に入れ、2週間保存し保存後の色調を5℃保存品と比較した。評価は10人のパネラー(30代男性5人、20代女性5人)が下記基準で色調を評価し平均化した。平均点が0.7以上を合格とした。
+2:色調の変化が見られなかった
+1:色調がわずかに変化したが許容範囲内
0:色調が変化した(許容範囲外)
【0078】
【表2】

【0079】
実施例12〜26及び比較例3〜5
本発明の水性組成物を柔軟剤組成物へ応用した例を示す。
表3に示す成分を用い、実施例1〜11と同様の方法で表3に示す組成の水性組成物を調製した。なお、表3中、(c−1)〜(c−4)成分の数値は式(4)〜(6)で表される化合物又はN−オクタデカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミン塩酸塩化合物自体の含有量である。また、実施例12〜24、26、及び比較例3〜5の(g)成分の数値は、前記(c−1)〜(c−4)成分からキャリーオーバーされる量である。得られた水性組成物の形態を表3に示す。また得られた水性組成物について、外観変化、及び匂い変化を評価した。外観変化は実施例1〜11と同様な評価方法で行った。但し保存期間を1ヶ月とした。また、匂い変化は下記に示す評価方法で行った。結果を表3に示す。なお、柔軟性能は一般に市販品として入手できる柔軟剤と同等以上であった。
【0080】
<匂い変化の評価方法>
水性組成物をNo.11規格瓶(ガラス製)に60g充填し、40℃と5℃の恒温槽に入れ1ヶ月間保存した。40℃保存品の匂いを5℃保存品と比較した。評価は10人のパネラー(30代男性5人、20代女性5人)が下記基準で色調を評価し平均化した。平均点が1.0以上を合格とした。
+2:匂いがごく僅かに変化しているが充分許容範囲内
+1:匂いがやや変化しているが許容範囲内
0:明らかに匂いが変化している(許容範囲外)
【0081】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、(b)成分、及び水を含有する水性組成物。
(a)成分:下記一般式(1)で表されるケイ素化合物
【化1】

〔式中、Xはそれぞれ独立に、R1基、OR2基、OR3基又はOH基であり、Yはそれぞれ独立に、X、−O−Si(X)3基又はOH基であり、R1基は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い炭素数1〜22の炭化水素基、R2は炭素数1〜4の炭化水素基、R3は置換基としてアルコキシ基、ヒドロキシ基又はエーテル基を有していても良い、置換基も含めて総炭素数6〜22の炭化水素基であり、nは0〜15の数であり、nが0より大きい場合には平均値を示す。但し、分子中にOR3基を少なくとも一つ有する。〕
(b)成分:酸化防止剤
【請求項2】
(b)成分が、フェノール系酸化防止剤及びトコフェロール系酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の水性組成物。
【請求項3】
(b)成分が、2,6−ジ−t−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン、t−ブチル−p−ヒドロキシアニソール、α−トコフェロール、γ−トコフェロール及びδ−トコフェロールから選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の水性組成物。
【請求項4】
(a)成分の含有量が0.1〜20質量%、(b)成分の含有量が5〜5000mg/kgである請求項1〜3いずれかに記載の水性組成物。
【請求項5】
さらに(c)成分として、界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜4いずれかに記載の水性組成物。
【請求項6】
(c)成分の界面活性剤が、分子内にエステル基又はアミド基で分断されていても良い総炭素数12〜28の炭化水素基を少なくとも1つ有する第3級アミン、その酸塩又はその4級化物から選ばれる陽イオン界面活性剤である請求項5記載の水性組成物。
【請求項7】
水性組成物がエマルジョンである請求項1〜6いずれかに記載の水性組成物。
【請求項8】
繊維製品処理用である請求項1〜7いずれかに記載の水性組成物。
【請求項9】
(b)成分の酸化防止剤に、請求項1記載の(a)成分を添加する、酸化防止剤の着色抑制方法。

【公開番号】特開2010−144143(P2010−144143A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326025(P2008−326025)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】