水晶発振器の発振周波数の調整方法、水晶発振器及びその製造方法
【課題】発振周波数の経年変化の改善が可能であって、しかも、水晶発振器全般において汎用的に適用可能な水晶発振器の発振周波数の調整方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法は、製造された水晶発振器に対して、2水準以上の温度加速試験を実施し(ステップS1)、温度加速試験の結果より、周波数経年変化のモード分類、及び加速モデルの推定を行い(ステップS2)、モード分類が、収束モードを含むか否かを判定し(ステップS3)、判定の結果、収束モードを含むと判定された場合には、推定した加速モデルに基づいて、使用前加速エージングの条件を決定する(ステップS4)ものである。
【解決手段】本発明に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法は、製造された水晶発振器に対して、2水準以上の温度加速試験を実施し(ステップS1)、温度加速試験の結果より、周波数経年変化のモード分類、及び加速モデルの推定を行い(ステップS2)、モード分類が、収束モードを含むか否かを判定し(ステップS3)、判定の結果、収束モードを含むと判定された場合には、推定した加速モデルに基づいて、使用前加速エージングの条件を決定する(ステップS4)ものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶発振器の発振周波数の調整方法、並びに前記調整方法により調整された水晶発振器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器は、周波数の基準源として各種の電子機器に広く用いられている。高安定発振器として、周囲温度・電源電圧・接続負荷・経年変化等の影響による周波数変動を抑制する水晶発振器が、精力的に研究され、報告されている。
【0003】
特許文献1においては、水晶振動子(水晶発振器)の経時変化特性を良好とする方法として、封止前に、真空中で250℃〜400℃の温度領域で、1時間〜10時間、加熱処理工程を行う方法が提案されている。
【0004】
特許文献2においては、水晶振動子の経年変化を抑える方法として、封止前に、導電性接着材を加熱硬化する工程と、真空雰囲気中で加熱する工程を備え、さらに、封止後に300℃で少なくとも2時間放置する加熱処理工程が提案されている。
【0005】
特許文献3においては、表面実装型圧電デバイス(水晶発振器)に対して、個々のアニール工程における加熱処理時間を長くするのではなく、アニール処理回数を増やすとともに、アニール炉内に充満しているアウトガス成分を除去する回数を増やす方法が提案されている。これにより、導電性接着剤から発生したアウトガス成分が圧電振動素子に付着して周波数の安定性を阻害したり、水晶振動素子に内在する応力ひずみが十分に解消されずにエージング特性の不安定化を招いたりする問題を解消することができることが記載されている。
【0006】
特許文献4においては、圧電発振器(水晶発振器)の周波数の合わせ込み精度を向上させる方法として、図15のフローチャート図に示すような製造方法が提案されている。具体的には、ステップS101において、圧電振動片に励振電極を形成する。次いで、ステップ102として、圧電振動片を容器にマウントする。ステップS103として、励振電極の質量を調整して圧電振動子の周波数を調整する(第1の周波数調整工程)。その後、ステップS104として、圧電振動片がマウントされた容器を加熱処理する。続いて、ステップS105として励振電極の質量を調整して圧電振動子の周波数を調整する(第2の周波数調整工程)。最後に、ステップS106として、容器を機密に封止することにより圧電発振器を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−307367号公報
【特許文献2】特開2006−5676号公報
【特許文献3】特開2007−336320号公報
【特許文献4】特開2008−199147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
水晶発振器においては、前述したとおり、水晶発振器の周波数の経年変化を抑制する技術が極めて重要である。上記特許文献1〜4の方法によれば、水晶発振器全般において汎用的に適用可能な技術ではなかった。また、上記それぞれの文献に開示された特有の構成においても、水晶振動子等を構成する部材の種類等によって最適条件は変動し得るものであり、発振周波数の最適化が図られているとは言えなかった。
【0009】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発振周波数の経年変化の改善が可能であって、しかも、水晶発振器全般において汎用的に適用可能な水晶発振器の発振周波数の調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法は、水晶発振器の発振周波数の調整方法であって、製造された水晶発振器に対して、2水準以上の温度加速試験を実施し、前記温度加速試験の結果より、周波数経年変化のモード分類、及び加速モデルの推定を行い、前記モード分類が、収束モードを含むか否かを判定し、前記判定の結果、収束モードを含むと判定された場合には、推定した前記加速モデルに基づいて、使用前加速エージングの条件を決定するものである。
【0011】
本発明に係る水晶発振器の製造方法は、基板に水晶振動素子を支持固定する工程と、前記水晶振動素子を封止する工程と、上記態様の水晶発振器の発振周波数の調整方法により決定された前記使用前加速エージングの条件に基づいて加熱処理を実施する工程とを備えるものである。
【0012】
本発明に係る水晶発振器は、上記態様の水晶発振器の製造方法により製造されたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発振周波数の経年変化の改善が可能であって、しかも、水晶発振器全般において汎用的に適用可能な水晶発振器の発振周波数の調整方法を提供することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法のフローチャート図。
【図2】実施形態1に係る水晶発振器の模式的断面図。
【図3】『収束/減少モード』の経年変化の一例を示すグラフ。
【図4】『収束/減少モード』の加速モデルの一例を示すグラフ。
【図5】『収束/増加モード』の経年変化の一例を示すグラフ。
【図6】『収束/増加モード』の加速モデルの一例を示すグラフ。
【図7】『単調/減少モード』の経年変化の一例を示すグラフ。
【図8】『単調/減少モード』の加速モデルの一例を示すグラフ。
【図9】『単調/増加モード』の経年変化の一例を示すグラフ。
【図10】『単調/増加モード』の加速モデルの一例を示すグラフ。
【図11】実施形態1に係る温度加速試験結果の数値例を示すグラフ。
【図12】実施形態1に係る加速モデルの推定結果の数値例を示すグラフ。
【図13】実施形態1に係る使用前加速エージング特性の数値例を示すグラフ。
【図14】実施形態1に係る使用前加速エージングの効果を示す数値例を示すグラフ。
【図15】特許文献4に記載の圧電発振器に係る製造方法を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。
[実施形態1]
本実施形態1に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法を図1のフローチャート図を参照しつつ説明する。本実施形態1に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法は、図1に示すように、少なくとも以下のステップS1〜S4の工程を備える。
【0016】
ステップS1において、製造された完成品である水晶発振器に対し、2水準以上の温度加速試験を実施する。本実施形態1に適用可能な水晶発振器は、その種類を問わず、無線通信装置等に適用される水晶発振器全般に適用可能である。図2に、水晶発振器100の一例(特開2004−363735号公報)の断面図を示す。
【0017】
水晶発振器100は、機能主要部として立体配線基板1と、ベース基板3と、水晶振動素子4と、制御IC5とを有している。立体配線基板1は、制御IC5を実装する内面側に信号配線パターン2が形成されている。この信号配線パターン2は、立体配線基板1の前記内面側に金属を全面塗布し、エッチング等により金属の配線パターン2を形成する。このようにして信号配線パターン2が形成された立体配線基板1に、制御IC5をバンプ10によるバンプ接続により実装する。
【0018】
ベース基板3には、水晶振動素子4を導電性接着剤11により機械的に固定する。導電性接着剤11により接着することで、水晶振動素子4とベース基板3とが電気的に接続される。
【0019】
水晶振動素子4が実装されたベース基板3と、制御IC5が実装された立体配線基板1とは、半田付け、導電性接着剤、超音波などの手法によって接続され、立体配線基板1とベース基板3とで形成される内部空間が外気を遮断されるように接続される。この時、立体配線基板1に形成された信号配線パターン2とベース基板3の上面に設けられたパット6とが電気的に接続され、制御IC5からの信号がパット6、IO端子12を介して外部に出力される。立体配線基板1とベース基板3とで形成される内部空間は、真空、又は不活性ガスで充填されている。
【0020】
なお、本発明に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法は、前述したとおり、水晶発振器の構成によらずに水晶発振器全般に対して適用可能である。従って、水晶発振器100の構造や構成部材は、一例であって、必須構成要素ではないことは言うまでもない。
【0021】
完成された水晶発振器100に対し、前述した通り、2水準以上の温度加速試験を実施する。換言すると、少なくとも2以上の温度条件において、加速試験をそれぞれ実施する。ここで、2水準以上の温度加速試験を実施する理由は、温度条件に対する加速モデル(故障時間の関数)を推定するためである。かかる観点より、温度加速試験は、多水準で行うことが好ましい。
【0022】
ステップS2において、温度加速試験の結果より、周波数経年変化のモード分類、及び加速モデルの推定を行う。周波数経年変化のモード分類として、表1のモードを挙げることができる。
【表1】
【0023】
本実施形態1においては、ステップS1の温度加速試験の結果に基づき、表1に示す4つのモード、若しくはこれらの複合型に分類する。そして、得られた温度加速試験結果に基づいて加速モデルを推定する。
【0024】
(1)収束/減少モードの場合の、温度加速試験の典型的な一例を図3に示す。図3中の横軸は、時間(H)であり、縦軸は、周波数変化量(ppm)を示している。また、図4に、試験温度に対して、周波数変化量が10ppm変動したときの周波数変動時間をプロットしたものを示す。図4においては、10℃2倍速に従った例となっている。
【0025】
(1)収束/減少モードにおいては、周波数の減少が時間経過とともに収束し、その後一定となる。このモードは、周波数の減少発現期が使用後の初期段階にある。このモードは、水晶素板接着部等からのアウトガスの発生、若しくは、電極部、水晶素板接着部等より水晶素板に加えられた応力の変動により振動モードが抑制された場合等に発生すると考えられる。
【0026】
(2)収束/増加モードの場合の、温度加速試験の典型的な一例を図5に示す。図5中の横軸は、時間(H)であり、縦軸は、周波数変化量(ppm)を示している。また、図6に、試験温度に対して、周波数変化量が10ppm変動したときの周波数変動時間をプロットしたものを示す。図6においては、10℃2倍速に従った例となっている。
【0027】
(2)収束/増加モードにおいては、周波数の増加が時間経過とともに収束し、その後一定となる。このモードは、周波数の増加発現期が使用後の初期段階にある。このモードは、電極部、水晶素板接着部等より水晶素板に加えられた応力の変動により振動モードが開放された場合に発生すると考えられる。
【0028】
(3)単調/減少モードの場合の、温度加速試験の典型的な一例を図7に示す。図7中の横軸は、時間(H)であり、縦軸は、周波数変化量(ppm)を示している。また、図8に、試験温度に対して、周波数変化量が10ppm変動したときの周波数変動時間をプロットしたものを示す。図8においては、10℃2倍速に従った例となっている。
【0029】
(3)単調/減少モードにおいては、時間経過とともに出力周波数が単調減少する。このモードは、周波数の減少発現期が使用後、ある程度の期間が経過してからのことが多い。このモードは、気密封止パッケージ内への外気進入、電極部の化学変化等により振動モードが抑制された場合に発生すると考えられる。
【0030】
(4)単調/増加モードの場合の、温度加速試験の典型的な一例を図9に示す。図9中の横軸は、時間(H)であり、縦軸は、周波数変化量(ppm)を示している。また、図10に、試験温度に対して、周波数変化量が10ppm変動したときの周波数変動時間をプロットしたものを示す。図10においては、10℃2倍速に従った例となっている。
【0031】
(4)単調/増加モードにおいては、時間経過とともに出力周波数が単調増加する。このモードは、比較対象用として示したが、長期的には様々な要因により振動モードが抑制されるため、単調/増加モードは現実的でない。
【0032】
ステップS3において、モード分類が、収束モードを含むか否かを判定する。ここで、収束モードを含むと判定された場合には、ステップS4に進む。一方、収束モードが含まれないと判定された場合には、水晶発振器の完成後の使用前加速エージングによる発振周波数の調整の必要がないと判定し、ステップS4をスキップして終了する。なお、ステップS3において、「モード分類が、収束モードを含む」とは、モード分類が収束モードのみに帰属される(1)収束/減少モード、(2)収束/増加モードの場合の他、収束モードと他のモードが含まれた複合型の場合も含む。例えば、上記(1)収束/減少モードと(3)単調/減少モードの複合型モードの場合等を含む。
【0033】
ステップS4において、前述のステップS2において推定した加速モデルに基づいて、使用前加速エージングの条件を決定する。使用前に、使用前加速エージングを実施することにより、収束モードによる周波数経年変化を除去する。これにより、経年変化を改善することができる。使用前加速エージングの条件(温度、時間)は、実施した多水準の温度加速試験を基に決定する。
【0034】
上記水晶発振器の発振周波数の調整方法は、水晶発振器の構造や構成する部材等の変更を行った際には、新たに実施する。完成した水晶発振器に対し、上記ステップS4により決定した使用前加速エージングの条件(温度、時間)に基づいて、加熱処理を実施する。これにより、周波数経年変化の収束モード成分を除去することができる。
【0035】
次に、数値例を用いて、本実施形態1の効果を検証する。まず、3水準(Ta=80℃、100℃、120℃)の温度加速試験を行う(ステップS1)。そして、図11に示すように、加速試験時間に対し、周波数変化をプロットする。図11の例においては、Ta=120℃の場合、加速試験実施後50時間までは+10ppmの周波数増加がみられる。その後、200時間まではほぼ変化がなく、200時間以降は、6ppm程度の周波数減少がみられる。
【0036】
次に、表1のモード分類及び加速モデルの推定を行う(ステップS2)。図11の例においては、(1)収束/増加モードと(3)単調/減少モードの複合型と推定される。図11の例において、試験温度に対して出力周波数が+10ppmとなる時間をプロットしたものを図12に示す。図12の加速モデルにおいては、10℃3倍則が成立している。
【0037】
次に、収束モードを含むか否かを判定する(ステップS3)。ここでは、前述したとおり、(1)収束/増加モードと(3)単調/減少モードの複合型であるので、ステップS4に進む。図11の例においては、使用前加速エージングを<1>Ta=80℃、4050時間、<2>Ta=100℃、450時間、<3>Ta=120℃、50時間等の条件にて実施すれば、経年変化+10ppmの(1)収束/増加モードを除去できる可能性がある。ここでは、短時間で実施する観点から、<3>Ta=120℃、50時間に条件を設定する。
【0038】
上記のようにして決定された使用前加速エージングの条件に基づき、完成品である水晶発振器に使用前加速エージングを実施する。図13に、完成品である水晶発振器に対し、使用前加速エージングを実施した際の実施時間に対する周波数変化をプロットした図を示す。なお、図13においては、使用前加速エージングを実施した後の出力周波数を基準(Δf=0ppm)としている。
【0039】
図14に、本実施形態1に係る使用前加速エージングを実施した後の使用環境Ta=60℃における経年変化の推定値を示す。また、比較例として、使用前加速エージングを未実施とした場合の使用環境Ta=60℃における経年変化の推定値を示す。
【0040】
使用前加速エージングを行わない比較例の場合、図14の例においては、収束/増加モードの影響により約20,000時間(約2.3年)にて+10ppm程度の周波数増加が発生する。一方、使用前加速エージングを実施した場合、図14の例においては、(1)収束/増加モードの影響が除去されているため、100,000時間(11.4年)以上にわたってほぼ平坦な経年変化となる。図14の例においては、使用前加速エージングにより除去できない(3)単調/減少モードの影響により3ppm程度の周波数減少がみられるものの、比較例に係る使用前加速エージング未実施の場合に比して、経年変化改善の効果は明らかである。
【0041】
水晶発振器においては、前述したとおり、水晶発振器の周波数の経年変化を抑制する技術が極めて重要である。従来例においては、加熱処理工程を経験的に行っている面があり、最適化が図られているとは言い難かった。本実施形態1によれば、個々の水晶発振器に応じた加速モデルを推定することにより、周波数の経年変化をさらに改善することができる。従って、最適条件を設定することが可能となる。これにより、必要以上に加熱温度を高めに設定したり、加熱時間を長く設定したりする必要がない。これにより、省エネルギー化を図ることも可能となる。
【0042】
また、本実施形態1によれば、水晶発振器の出力周波数の経年変化及びその改善の可能性を簡便に検討することができるという優れた効果を有する。さらに、完成した水晶発振器に対して、使用前加速エージングを実施すればよいので、製造メーカ側で実施する場合のほか、ユーザ側において実施することも可能である。また、水晶発振器の完成品に対して行うため、既存の製造工程を変更することなく、使用前加速エージングを追加するだけでよい。従って、製造設備の新たな設置が不要である。
【0043】
また、加速モデルを推定することにより、数年にわたる長期の経年変化の予測が可能となる。これにより、ニーズや用途に応じた水晶発振器の構造、若しくは構成する部材を選定することも可能となる。
【0044】
[実施形態2]
次に、上記実施形態1とは異なる水晶発振器の製造方法の一例について説明する。本実施形態2に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法は、上記実施形態1と同様である。但し、上記実施形態1においては、製造工程後の完成品に使用前加速エージングを実施していたのに対し、本実施形態2においては、製造工程中の水晶発振器に対して使用前加速エージングを実施する点において相違する。
【0045】
本実施形態2においては、上記実施形態1の水晶発振器の調整方法に基づいて決定された使用前加速エージング条件を、完成前の製造工程中の水晶発振器に対して実施する。本実施形態2においては、上記特許文献4のように、封止前に加熱処理工程を行い、その加熱処理工程において、上述の方法で決定された使用前加速エージング条件にて加熱処理を実施する。
【0046】
本実施形態2に係る水晶発振器の製造方法によれば、上記実施形態1と同様の水晶発振器の発振周波数の調整方法を適用しているので、上記実施形態1と同様の効果が得られる。また、完成前の製造工程中に、使用前加速エージングを実施することにより、完成した段階で、周波数経年変化が改善された製品を得ることができる。また、封止前に、水晶素板接着部等からのアウトガス除去及び電極部、水晶素板接着部等より水晶素板に加えられた応力除去作用のための加熱処理工程等と同時に実施すれば、製造工程の効率化を図ることができる。
【0047】
なお、上記実施形態1及び2においては、周波数経年変化のモード分類として表1の4つのモードを挙げたが、上記モードに限定されるものではない。また、上記実施形態1及び2においては、加熱処理工程として、使用前加速エージング条件にて加熱処理を実施する例を述べたが、製造工程中に、上述の条件以外の加熱処理工程を実施することを排除するものではない。言い換えると、発振周波数の経年変化を改善するための加熱処理工程以外の目的の加熱処理工程等を適宜行うことを排除するものではない。
【0048】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
1 立体配線基板
2 信号配線パターン
3 ベース基板
4 水晶振動子
5 制御IC
6 パッド
11 導電性接着剤
12 IO端子
100 水晶発振器
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶発振器の発振周波数の調整方法、並びに前記調整方法により調整された水晶発振器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器は、周波数の基準源として各種の電子機器に広く用いられている。高安定発振器として、周囲温度・電源電圧・接続負荷・経年変化等の影響による周波数変動を抑制する水晶発振器が、精力的に研究され、報告されている。
【0003】
特許文献1においては、水晶振動子(水晶発振器)の経時変化特性を良好とする方法として、封止前に、真空中で250℃〜400℃の温度領域で、1時間〜10時間、加熱処理工程を行う方法が提案されている。
【0004】
特許文献2においては、水晶振動子の経年変化を抑える方法として、封止前に、導電性接着材を加熱硬化する工程と、真空雰囲気中で加熱する工程を備え、さらに、封止後に300℃で少なくとも2時間放置する加熱処理工程が提案されている。
【0005】
特許文献3においては、表面実装型圧電デバイス(水晶発振器)に対して、個々のアニール工程における加熱処理時間を長くするのではなく、アニール処理回数を増やすとともに、アニール炉内に充満しているアウトガス成分を除去する回数を増やす方法が提案されている。これにより、導電性接着剤から発生したアウトガス成分が圧電振動素子に付着して周波数の安定性を阻害したり、水晶振動素子に内在する応力ひずみが十分に解消されずにエージング特性の不安定化を招いたりする問題を解消することができることが記載されている。
【0006】
特許文献4においては、圧電発振器(水晶発振器)の周波数の合わせ込み精度を向上させる方法として、図15のフローチャート図に示すような製造方法が提案されている。具体的には、ステップS101において、圧電振動片に励振電極を形成する。次いで、ステップ102として、圧電振動片を容器にマウントする。ステップS103として、励振電極の質量を調整して圧電振動子の周波数を調整する(第1の周波数調整工程)。その後、ステップS104として、圧電振動片がマウントされた容器を加熱処理する。続いて、ステップS105として励振電極の質量を調整して圧電振動子の周波数を調整する(第2の周波数調整工程)。最後に、ステップS106として、容器を機密に封止することにより圧電発振器を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−307367号公報
【特許文献2】特開2006−5676号公報
【特許文献3】特開2007−336320号公報
【特許文献4】特開2008−199147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
水晶発振器においては、前述したとおり、水晶発振器の周波数の経年変化を抑制する技術が極めて重要である。上記特許文献1〜4の方法によれば、水晶発振器全般において汎用的に適用可能な技術ではなかった。また、上記それぞれの文献に開示された特有の構成においても、水晶振動子等を構成する部材の種類等によって最適条件は変動し得るものであり、発振周波数の最適化が図られているとは言えなかった。
【0009】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発振周波数の経年変化の改善が可能であって、しかも、水晶発振器全般において汎用的に適用可能な水晶発振器の発振周波数の調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法は、水晶発振器の発振周波数の調整方法であって、製造された水晶発振器に対して、2水準以上の温度加速試験を実施し、前記温度加速試験の結果より、周波数経年変化のモード分類、及び加速モデルの推定を行い、前記モード分類が、収束モードを含むか否かを判定し、前記判定の結果、収束モードを含むと判定された場合には、推定した前記加速モデルに基づいて、使用前加速エージングの条件を決定するものである。
【0011】
本発明に係る水晶発振器の製造方法は、基板に水晶振動素子を支持固定する工程と、前記水晶振動素子を封止する工程と、上記態様の水晶発振器の発振周波数の調整方法により決定された前記使用前加速エージングの条件に基づいて加熱処理を実施する工程とを備えるものである。
【0012】
本発明に係る水晶発振器は、上記態様の水晶発振器の製造方法により製造されたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発振周波数の経年変化の改善が可能であって、しかも、水晶発振器全般において汎用的に適用可能な水晶発振器の発振周波数の調整方法を提供することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法のフローチャート図。
【図2】実施形態1に係る水晶発振器の模式的断面図。
【図3】『収束/減少モード』の経年変化の一例を示すグラフ。
【図4】『収束/減少モード』の加速モデルの一例を示すグラフ。
【図5】『収束/増加モード』の経年変化の一例を示すグラフ。
【図6】『収束/増加モード』の加速モデルの一例を示すグラフ。
【図7】『単調/減少モード』の経年変化の一例を示すグラフ。
【図8】『単調/減少モード』の加速モデルの一例を示すグラフ。
【図9】『単調/増加モード』の経年変化の一例を示すグラフ。
【図10】『単調/増加モード』の加速モデルの一例を示すグラフ。
【図11】実施形態1に係る温度加速試験結果の数値例を示すグラフ。
【図12】実施形態1に係る加速モデルの推定結果の数値例を示すグラフ。
【図13】実施形態1に係る使用前加速エージング特性の数値例を示すグラフ。
【図14】実施形態1に係る使用前加速エージングの効果を示す数値例を示すグラフ。
【図15】特許文献4に記載の圧電発振器に係る製造方法を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。
[実施形態1]
本実施形態1に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法を図1のフローチャート図を参照しつつ説明する。本実施形態1に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法は、図1に示すように、少なくとも以下のステップS1〜S4の工程を備える。
【0016】
ステップS1において、製造された完成品である水晶発振器に対し、2水準以上の温度加速試験を実施する。本実施形態1に適用可能な水晶発振器は、その種類を問わず、無線通信装置等に適用される水晶発振器全般に適用可能である。図2に、水晶発振器100の一例(特開2004−363735号公報)の断面図を示す。
【0017】
水晶発振器100は、機能主要部として立体配線基板1と、ベース基板3と、水晶振動素子4と、制御IC5とを有している。立体配線基板1は、制御IC5を実装する内面側に信号配線パターン2が形成されている。この信号配線パターン2は、立体配線基板1の前記内面側に金属を全面塗布し、エッチング等により金属の配線パターン2を形成する。このようにして信号配線パターン2が形成された立体配線基板1に、制御IC5をバンプ10によるバンプ接続により実装する。
【0018】
ベース基板3には、水晶振動素子4を導電性接着剤11により機械的に固定する。導電性接着剤11により接着することで、水晶振動素子4とベース基板3とが電気的に接続される。
【0019】
水晶振動素子4が実装されたベース基板3と、制御IC5が実装された立体配線基板1とは、半田付け、導電性接着剤、超音波などの手法によって接続され、立体配線基板1とベース基板3とで形成される内部空間が外気を遮断されるように接続される。この時、立体配線基板1に形成された信号配線パターン2とベース基板3の上面に設けられたパット6とが電気的に接続され、制御IC5からの信号がパット6、IO端子12を介して外部に出力される。立体配線基板1とベース基板3とで形成される内部空間は、真空、又は不活性ガスで充填されている。
【0020】
なお、本発明に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法は、前述したとおり、水晶発振器の構成によらずに水晶発振器全般に対して適用可能である。従って、水晶発振器100の構造や構成部材は、一例であって、必須構成要素ではないことは言うまでもない。
【0021】
完成された水晶発振器100に対し、前述した通り、2水準以上の温度加速試験を実施する。換言すると、少なくとも2以上の温度条件において、加速試験をそれぞれ実施する。ここで、2水準以上の温度加速試験を実施する理由は、温度条件に対する加速モデル(故障時間の関数)を推定するためである。かかる観点より、温度加速試験は、多水準で行うことが好ましい。
【0022】
ステップS2において、温度加速試験の結果より、周波数経年変化のモード分類、及び加速モデルの推定を行う。周波数経年変化のモード分類として、表1のモードを挙げることができる。
【表1】
【0023】
本実施形態1においては、ステップS1の温度加速試験の結果に基づき、表1に示す4つのモード、若しくはこれらの複合型に分類する。そして、得られた温度加速試験結果に基づいて加速モデルを推定する。
【0024】
(1)収束/減少モードの場合の、温度加速試験の典型的な一例を図3に示す。図3中の横軸は、時間(H)であり、縦軸は、周波数変化量(ppm)を示している。また、図4に、試験温度に対して、周波数変化量が10ppm変動したときの周波数変動時間をプロットしたものを示す。図4においては、10℃2倍速に従った例となっている。
【0025】
(1)収束/減少モードにおいては、周波数の減少が時間経過とともに収束し、その後一定となる。このモードは、周波数の減少発現期が使用後の初期段階にある。このモードは、水晶素板接着部等からのアウトガスの発生、若しくは、電極部、水晶素板接着部等より水晶素板に加えられた応力の変動により振動モードが抑制された場合等に発生すると考えられる。
【0026】
(2)収束/増加モードの場合の、温度加速試験の典型的な一例を図5に示す。図5中の横軸は、時間(H)であり、縦軸は、周波数変化量(ppm)を示している。また、図6に、試験温度に対して、周波数変化量が10ppm変動したときの周波数変動時間をプロットしたものを示す。図6においては、10℃2倍速に従った例となっている。
【0027】
(2)収束/増加モードにおいては、周波数の増加が時間経過とともに収束し、その後一定となる。このモードは、周波数の増加発現期が使用後の初期段階にある。このモードは、電極部、水晶素板接着部等より水晶素板に加えられた応力の変動により振動モードが開放された場合に発生すると考えられる。
【0028】
(3)単調/減少モードの場合の、温度加速試験の典型的な一例を図7に示す。図7中の横軸は、時間(H)であり、縦軸は、周波数変化量(ppm)を示している。また、図8に、試験温度に対して、周波数変化量が10ppm変動したときの周波数変動時間をプロットしたものを示す。図8においては、10℃2倍速に従った例となっている。
【0029】
(3)単調/減少モードにおいては、時間経過とともに出力周波数が単調減少する。このモードは、周波数の減少発現期が使用後、ある程度の期間が経過してからのことが多い。このモードは、気密封止パッケージ内への外気進入、電極部の化学変化等により振動モードが抑制された場合に発生すると考えられる。
【0030】
(4)単調/増加モードの場合の、温度加速試験の典型的な一例を図9に示す。図9中の横軸は、時間(H)であり、縦軸は、周波数変化量(ppm)を示している。また、図10に、試験温度に対して、周波数変化量が10ppm変動したときの周波数変動時間をプロットしたものを示す。図10においては、10℃2倍速に従った例となっている。
【0031】
(4)単調/増加モードにおいては、時間経過とともに出力周波数が単調増加する。このモードは、比較対象用として示したが、長期的には様々な要因により振動モードが抑制されるため、単調/増加モードは現実的でない。
【0032】
ステップS3において、モード分類が、収束モードを含むか否かを判定する。ここで、収束モードを含むと判定された場合には、ステップS4に進む。一方、収束モードが含まれないと判定された場合には、水晶発振器の完成後の使用前加速エージングによる発振周波数の調整の必要がないと判定し、ステップS4をスキップして終了する。なお、ステップS3において、「モード分類が、収束モードを含む」とは、モード分類が収束モードのみに帰属される(1)収束/減少モード、(2)収束/増加モードの場合の他、収束モードと他のモードが含まれた複合型の場合も含む。例えば、上記(1)収束/減少モードと(3)単調/減少モードの複合型モードの場合等を含む。
【0033】
ステップS4において、前述のステップS2において推定した加速モデルに基づいて、使用前加速エージングの条件を決定する。使用前に、使用前加速エージングを実施することにより、収束モードによる周波数経年変化を除去する。これにより、経年変化を改善することができる。使用前加速エージングの条件(温度、時間)は、実施した多水準の温度加速試験を基に決定する。
【0034】
上記水晶発振器の発振周波数の調整方法は、水晶発振器の構造や構成する部材等の変更を行った際には、新たに実施する。完成した水晶発振器に対し、上記ステップS4により決定した使用前加速エージングの条件(温度、時間)に基づいて、加熱処理を実施する。これにより、周波数経年変化の収束モード成分を除去することができる。
【0035】
次に、数値例を用いて、本実施形態1の効果を検証する。まず、3水準(Ta=80℃、100℃、120℃)の温度加速試験を行う(ステップS1)。そして、図11に示すように、加速試験時間に対し、周波数変化をプロットする。図11の例においては、Ta=120℃の場合、加速試験実施後50時間までは+10ppmの周波数増加がみられる。その後、200時間まではほぼ変化がなく、200時間以降は、6ppm程度の周波数減少がみられる。
【0036】
次に、表1のモード分類及び加速モデルの推定を行う(ステップS2)。図11の例においては、(1)収束/増加モードと(3)単調/減少モードの複合型と推定される。図11の例において、試験温度に対して出力周波数が+10ppmとなる時間をプロットしたものを図12に示す。図12の加速モデルにおいては、10℃3倍則が成立している。
【0037】
次に、収束モードを含むか否かを判定する(ステップS3)。ここでは、前述したとおり、(1)収束/増加モードと(3)単調/減少モードの複合型であるので、ステップS4に進む。図11の例においては、使用前加速エージングを<1>Ta=80℃、4050時間、<2>Ta=100℃、450時間、<3>Ta=120℃、50時間等の条件にて実施すれば、経年変化+10ppmの(1)収束/増加モードを除去できる可能性がある。ここでは、短時間で実施する観点から、<3>Ta=120℃、50時間に条件を設定する。
【0038】
上記のようにして決定された使用前加速エージングの条件に基づき、完成品である水晶発振器に使用前加速エージングを実施する。図13に、完成品である水晶発振器に対し、使用前加速エージングを実施した際の実施時間に対する周波数変化をプロットした図を示す。なお、図13においては、使用前加速エージングを実施した後の出力周波数を基準(Δf=0ppm)としている。
【0039】
図14に、本実施形態1に係る使用前加速エージングを実施した後の使用環境Ta=60℃における経年変化の推定値を示す。また、比較例として、使用前加速エージングを未実施とした場合の使用環境Ta=60℃における経年変化の推定値を示す。
【0040】
使用前加速エージングを行わない比較例の場合、図14の例においては、収束/増加モードの影響により約20,000時間(約2.3年)にて+10ppm程度の周波数増加が発生する。一方、使用前加速エージングを実施した場合、図14の例においては、(1)収束/増加モードの影響が除去されているため、100,000時間(11.4年)以上にわたってほぼ平坦な経年変化となる。図14の例においては、使用前加速エージングにより除去できない(3)単調/減少モードの影響により3ppm程度の周波数減少がみられるものの、比較例に係る使用前加速エージング未実施の場合に比して、経年変化改善の効果は明らかである。
【0041】
水晶発振器においては、前述したとおり、水晶発振器の周波数の経年変化を抑制する技術が極めて重要である。従来例においては、加熱処理工程を経験的に行っている面があり、最適化が図られているとは言い難かった。本実施形態1によれば、個々の水晶発振器に応じた加速モデルを推定することにより、周波数の経年変化をさらに改善することができる。従って、最適条件を設定することが可能となる。これにより、必要以上に加熱温度を高めに設定したり、加熱時間を長く設定したりする必要がない。これにより、省エネルギー化を図ることも可能となる。
【0042】
また、本実施形態1によれば、水晶発振器の出力周波数の経年変化及びその改善の可能性を簡便に検討することができるという優れた効果を有する。さらに、完成した水晶発振器に対して、使用前加速エージングを実施すればよいので、製造メーカ側で実施する場合のほか、ユーザ側において実施することも可能である。また、水晶発振器の完成品に対して行うため、既存の製造工程を変更することなく、使用前加速エージングを追加するだけでよい。従って、製造設備の新たな設置が不要である。
【0043】
また、加速モデルを推定することにより、数年にわたる長期の経年変化の予測が可能となる。これにより、ニーズや用途に応じた水晶発振器の構造、若しくは構成する部材を選定することも可能となる。
【0044】
[実施形態2]
次に、上記実施形態1とは異なる水晶発振器の製造方法の一例について説明する。本実施形態2に係る水晶発振器の発振周波数の調整方法は、上記実施形態1と同様である。但し、上記実施形態1においては、製造工程後の完成品に使用前加速エージングを実施していたのに対し、本実施形態2においては、製造工程中の水晶発振器に対して使用前加速エージングを実施する点において相違する。
【0045】
本実施形態2においては、上記実施形態1の水晶発振器の調整方法に基づいて決定された使用前加速エージング条件を、完成前の製造工程中の水晶発振器に対して実施する。本実施形態2においては、上記特許文献4のように、封止前に加熱処理工程を行い、その加熱処理工程において、上述の方法で決定された使用前加速エージング条件にて加熱処理を実施する。
【0046】
本実施形態2に係る水晶発振器の製造方法によれば、上記実施形態1と同様の水晶発振器の発振周波数の調整方法を適用しているので、上記実施形態1と同様の効果が得られる。また、完成前の製造工程中に、使用前加速エージングを実施することにより、完成した段階で、周波数経年変化が改善された製品を得ることができる。また、封止前に、水晶素板接着部等からのアウトガス除去及び電極部、水晶素板接着部等より水晶素板に加えられた応力除去作用のための加熱処理工程等と同時に実施すれば、製造工程の効率化を図ることができる。
【0047】
なお、上記実施形態1及び2においては、周波数経年変化のモード分類として表1の4つのモードを挙げたが、上記モードに限定されるものではない。また、上記実施形態1及び2においては、加熱処理工程として、使用前加速エージング条件にて加熱処理を実施する例を述べたが、製造工程中に、上述の条件以外の加熱処理工程を実施することを排除するものではない。言い換えると、発振周波数の経年変化を改善するための加熱処理工程以外の目的の加熱処理工程等を適宜行うことを排除するものではない。
【0048】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
1 立体配線基板
2 信号配線パターン
3 ベース基板
4 水晶振動子
5 制御IC
6 パッド
11 導電性接着剤
12 IO端子
100 水晶発振器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶発振器の発振周波数の調整方法であって、
製造された水晶発振器に対して、2水準以上の温度加速試験を実施し、
前記温度加速試験の結果より、周波数経年変化のモード分類、及び加速モデルの推定を行い、
前記モード分類が、収束モードを含むか否かを判定し、
前記判定の結果、収束モードを含むと判定された場合には、推定した前記加速モデルに基づいて、使用前加速エージングの条件を決定する水晶発振器の発振周波数の調整方法。
【請求項2】
前記使用前加速エージングの温度は、前記温度加速試験の試験温度のいずれかとし、前記使用前加速エージングの時間は、当該試験温度における収束時間を適用することを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器の製造方法。
【請求項3】
基板に水晶振動素子を支持固定する工程と、
前記水晶振動素子を封止する工程と、
請求項1又は2に記載の水晶発振器の発振周波数の調整方法により決定された前記使用前加速エージング条件に基づいて加熱処理を実施する工程とを備える水晶発振器の製造方法。
【請求項4】
前記加熱処理は、完成された水晶発振器に対して行うことを特徴とする請求項3に記載の水晶発振器の製造方法。
【請求項5】
前記加熱処理は、完成前の製造工程中の水晶発振器に対して行うことを特徴とする請求項3に記載の水晶発振器の製造方法。
【請求項6】
請求項3〜5の水晶発振器の製造方法により製造された水晶発振器。
【請求項1】
水晶発振器の発振周波数の調整方法であって、
製造された水晶発振器に対して、2水準以上の温度加速試験を実施し、
前記温度加速試験の結果より、周波数経年変化のモード分類、及び加速モデルの推定を行い、
前記モード分類が、収束モードを含むか否かを判定し、
前記判定の結果、収束モードを含むと判定された場合には、推定した前記加速モデルに基づいて、使用前加速エージングの条件を決定する水晶発振器の発振周波数の調整方法。
【請求項2】
前記使用前加速エージングの温度は、前記温度加速試験の試験温度のいずれかとし、前記使用前加速エージングの時間は、当該試験温度における収束時間を適用することを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器の製造方法。
【請求項3】
基板に水晶振動素子を支持固定する工程と、
前記水晶振動素子を封止する工程と、
請求項1又は2に記載の水晶発振器の発振周波数の調整方法により決定された前記使用前加速エージング条件に基づいて加熱処理を実施する工程とを備える水晶発振器の製造方法。
【請求項4】
前記加熱処理は、完成された水晶発振器に対して行うことを特徴とする請求項3に記載の水晶発振器の製造方法。
【請求項5】
前記加熱処理は、完成前の製造工程中の水晶発振器に対して行うことを特徴とする請求項3に記載の水晶発振器の製造方法。
【請求項6】
請求項3〜5の水晶発振器の製造方法により製造された水晶発振器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−245978(P2010−245978A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94466(P2009−94466)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]