説明

水栓

【課題】浄水カートリッジを内蔵しつつ、外観が良く、設置スペースの省スペース化とメンテナンスの円滑化を図ることができる水栓を提供する。
【解決手段】水栓ボディ10と、水栓ボディ10から供給される水を受け入れ可能なカートリッジ挿入部Kが設けられた吐水支持部材(把持部61)と、吐水口(62w、62v)を備える吐水口部材(頭部62)と、吐水支持部材の着脱口Mを通じてカートリッジ挿入部Kに挿入される浄水カートリッジ70を備える。カートリッジ挿入部Kには浄水カートリッジ70にカートリッジ挿入部Kの外側に向かう付勢力を負荷する付勢手段(コイルスプリングB)が配設される。吐水口部材には付勢力の負荷された浄水カートリッジ70をカートリッジ挿入部の内側に向かって押圧するための押圧部(後端面E)が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水栓において、浄水器(浄水カートリッジ)を一体化することが行われている。例えば、図24に示すように、水栓ボディ80と、水栓ボディ80の側部に一体化された浄水器82とを備える水栓が提案されている(特許文献1、以下、「従来例」という。)。この水栓ボディ80には、給湯源から給湯管81Hを用いて供給される湯と、給水源から給水管81Cを用いて供給される水とを混合可能な混合弁が内蔵されている(図示を省略)。また、浄水器82の内部には、浄水カートリッジ82cが収納されている。
【特許文献1】特開平9−228437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この従来例に係る湯水混合水栓では、浄水器82が水栓ボディ80に外付けされた状態となるため、外観(見栄え)が悪いという、問題点を有している。また、水栓ボディ80の側部に浄水器82を配設する分だけ、設置スペースが拡大するとう、問題点も有している。
【0004】
一方、本発明者は、かかる問題点を解決するために、以下に示すような「水栓(以下、「改良例」という。)」を完成し、当該改良例に係る特許出願を行った(特願2007−4498号)。つまり、この改良例に係る水栓は、図21に示すように、支持部185bを備える水栓ボディ185と、この支持部185aによって着脱可能に支持される吐水支持部材186と、この吐水支持部材186に着脱可能に支持される吐水ヘッド187と、を備えている。
【0005】
この改良例においては、吐水支持部材186を外筒体186aに内筒体186bを挿入した2重管構造としている。そして、有底の略円筒形状に構成される内筒体186bの内部空間を用いてカートリッジ挿入部188sを構成している。また、吐水支持部材186には、その突端部で開口する着脱口188tが設けられ、この着脱口188tを通じて、浄水カートリッジ186jをカートリッジ挿入部188sに挿入したり、カートリッジ挿入部188sから取り外すことができる。
【0006】
ところが、この改良例には更に改良の余地がある。つまり、この改良例においては、浄水カートリッジ186jの交換時等に、浄水カートリッジ186jがカートリッジ挿入部188sに入り込んでしまい、浄水カートリッジ186jを吐水支持部材186から取り外することが困難となったり、取り外せなくなる可能性がある。かかる場合、この種の水栓(浄水カートリッジ内蔵式の水栓)のメンテナンスを円滑に行うことが困難となる。
【0007】
以上のような事情より、この改良例に係る水栓に対して更に改良を加えることが必要である。つまり、前述の従来例の問題点を解決しつつ、改良例に更なる改良を加え、浄水カートリッジ内蔵式の水栓のメンテナンスの円滑化を図ることが必要である。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、浄水カートリッジを内蔵しつつ、外観(見栄え)が良く、設置スペースの省スペース化を図ることができると共に、メンテナンスの円滑化を図ることができる水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の水栓は、
水栓ボディと、
前記水栓ボディから供給される水を受け入れ可能なカートリッジ挿入部が設けられた吐水支持部材と、
前記吐水支持部材に装着されると共に、所定の部位に吐水口を開口させた吐水口部材と、
前記吐水支持部材に設けられた着脱口を通じて前記カートリッジ挿入部に挿入されて前記吐水支持部材に装着されると共に、前記カートリッジ挿入部に受け入れた水を取り入れるための取入部と、該取入部で取り入れた水に浄水処理を施すための浄化部材と、該浄化部材によって浄水処理が施された水を取り出すための取出部と、を具備する浄水カートリッジと、
を備え、前記取出部から取り出された水を、前記吐水口を通じて吐水可能な水栓であって、
前記カートリッジ挿入部には、前記浄水カートリッジに対して前記カートリッジ挿入部の外側に向かう付勢力を負荷するための付勢手段が配設され、
前記吐水口部材には、前記付勢力の負荷された浄水カートリッジを前記カートリッジ挿入部の内側に向かって押圧するための押圧部が設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明の水栓によると、吐水支持部材内に浄水カートリッジを配設するため、浄水カートリッジ(浄水器)を水栓ボディに外付けすることが必要とされない。このため、外観(見栄え)が良く、設置スペースの省スペース化を図ることができる。また、請求項1の発明の水栓によると、浄水カートリッジの交換作業を円滑に行うことができるため、メンテナンスの円滑化を図ることができる。即ち、吐水口部材を吐水支持部材から取り外したときに、たとえ、浄水カートリッジがカートリッジ挿入部内に残ったとしても、吐水口部材を取り外した段階で、「浄水カートリッジに対する吐水口部材による拘束」が解除される。従って、浄水カートリッジは付勢手段の付勢力によって、「カートリッジ挿入部の外側方向」に押される。換言すると、吐水口部材を取り外せば、浄水カートリッジが付勢手段の付勢力によって作業者(浄水カートリッジの交換作業を行う者)の手元に近づくため、浄水カートリッジの交換作業を円滑に行うことができ、水栓のメンテナンスの円滑化を図ることができる。
【0011】
ここで、本明細書においては、「混合水」及び「湯水」を以下のように定義する。つまり、「混合水」とは、「湯(給湯源から供給された湯)」及び「水(給水源から供給された水)を混合して生成される「湯水」を指す。また、「湯水」を「水栓が取り扱う流体の総称」として用いる。つまり、「湯水」には、「湯(給湯源から供給された湯)」、「水(給水源から供給された水)」及び「混合水」が含まれる。更に、「原水」とは、「浄水カートリッジ」や「浄水器」を通過せずに(浄化部材で浄化されることなく)、吐水されることになる湯水(湯、水、若しくは、混合水)」を指し、「浄水」とは、「浄水カートリッジや浄水器を通過して吐水される湯水(湯、水、若しくは、混合水)」を指す。
【0012】
各請求項の発明の水栓は、「水(給水源から供給された水)」及び浄水を扱うが、「湯(給湯源から供給された湯)」や「混合水」を扱わない水栓であってもよいし、「水(給水源から供給された水)」及び浄水と共に「湯(給湯源から供給された湯)」や「混合水」を扱う水栓(湯水混合水栓)であってもよい。
【0013】
本明細書において、「浄水処理」とは、水道水中から「カルキ分」等の不要成分やトリハロメタン等の有害成分を除去して浄水とする処理等を指す。また、各請求項の発明の「浄水カートリッジ」は、浄化部材(浄化材)のみで構成されてもよいし、この浄化部材(浄化材)と、この浄化部材を被覆する外装体とを備えてもよい。また、この「浄化部材(浄化材、つまり、ろ過材)」としては、(1)活性炭を用いて構成される浄化部材、(2)中空糸膜と、活性炭を用いて構成される浄化部材、(3)セラミックと、活性炭を用いて構成される浄化部材、(4)逆浸透膜と、活性炭を用いて構成される浄化部材等を例示できる。
【0014】
請求項1〜請求項4の各発明においては、「吐水支持部材」が水栓ボディと一体的に配設されてもよいし、水栓ボディとは別に配設されてもよい。また、各請求項の発明の「吐水支持部材」としては、内部に「湯水の通路」を設けつつ、水栓ボディから突出する部材(特に、筒状の部材)を例示できる。この吐水支持部材は水栓ボディに対して着脱可能とされてもよいし、水栓ボディに対して着脱不可能な状態に装着されてもよいし、水栓ボディに一体的に設けられてもよい。尚、吐水支持部材が「略筒状若しくは略柱状等に構成される本体部(例えば、前述する外筒体)」を備えてもよく、かかる場合、「湯水の通路」は本体部の内部空間を用いて構成されてもよいし、この本体部に挿入される管状体(例えば、ホース)によって構成されてもよい。また、後者の「湯水の通路を管状体によって構成する態様」においては、この管状体を本体部から引き出し可能とするか否かを特に問わない。そして、「管状体を本体部から引き出し可能とする態様」では、浄水カートリッジが管状体と共に引き出し可能とされてもよい。
【0015】
各請求項の発明の「カートリッジ挿入部」は吐水支持部材に対して浄水カートリッジを挿入可能な空間部(以下、「挿入用空間部」という。)を構成する。この「挿入用空間部」の空間形状は、例えば、浄水カートリッジの外形との関係で定めることができる。例えば、浄水カートリッジが略円柱形状とされる場合、挿入用空間部を「浄水カートリッジの外形と凹凸が反転する略円柱状の形状を備える空間部」として構成することができる。
【0016】
また、吐水支持部材が「略筒状若しくは略柱状等に構成される本体部(例えば、後述する外筒体)」を備える場合、「カートリッジ挿入部」を本体部に直接設ける態様(以下、「前者の態様」という。)や、「カートリッジ挿入部」を本体部に挿入される別部材によって設ける態様(以下、「後者の態様」という。)を例示することができる。そして、「前者の態様」の具体例としては、本体部にその突端部で開口する挿入用空間部(例えば、挿入穴)を設けることで、「カートリッジ挿入部」を構成するものを例示できる。また、「後者の態様」の具体例としては、本体部(外筒体)を内部に筒状体(例えば、奥端に底部を有する有底の内筒体)を挿入し、この筒状体の内部空間によって挿入用空間部を構成するものを例示することもできる。
【0017】
吐水口部材としは、吐水ヘッド(シャワーヘッド等)、吐水管、若しくは、「これらの部材(吐水ヘッドや吐水管)を一部に備える部材」を例示できる。また、吐水口の開口箇所としては、「吐水口部材」の端末部を例示できるが、この開口箇所は吐水口部材のその他の箇所(中間部等)であってもよい。尚、吐水ヘッド(例えば、シャワーヘッド)においては、吐水口を吐水フェイス(例えば、シャワーフェイス)によって構成することができる。また、吐水口が複数の部分(以下、「吐水口部分」という。)によって構成される場合、全ての「吐水口部分」が、原水と浄水の吐水を行ってもよいし、原水を吐水するための吐水口部分と、浄水を吐水するための吐水口部分が別々とされてもよい。
【0018】
尚、吐水口部材を吐水ヘッドによって構成する場合、吐水支持部材を、「吐水ヘッドを着脱自在に支持する把持部(握り部)」によって構成し、吐水ヘッド及び把持部(握り部)の接続品によって吐水具を構成することもできる。この場合、把持部(握り部)が水栓ボディに一体化されたり、水栓ボディに設けられた支持部によって支持されてもよいし、水栓ボディとは別位置に配置された係止具(フック等)によって支持されてもよい。
【0019】
「付勢手段」の態様は種々例示でき、例えば、コイルバネ、板バネ、「ゴム若しくはエラストマーを用いて構成される弾性体」等を例示できる。この付勢手段によって生ずる付勢力(弾性定数)も種々選択可能である。例えば、押圧部による浄水カートリッジの押圧が解除されたときに、付勢手段によって浄水カートリッジの一部(挿入方向に沿った端末部)を着脱口の外部に押し出すことが可能であることが望ましい。但し、押圧部による押圧が解除されたときに、浄水カートリッジがカートリッジ挿入部に入り込んだままであっても、押圧部による押圧が解除される前に比べて、浄水カートリッジの端部(挿入方向に沿った端末側の端部)と着脱口との距離を狭めることができれば、「浄水カートリッジの交換作業の容易化」の要請を満足させることができる。尚、押圧部による押圧が解除されたときに、浄水カートリッジがカートリッジ挿入部から勢いよく飛び出すと、浄水カートリッジに付着していた水やカートリッジ挿入部内の水が周囲に飛び出そたり、浄水カートリッジがカートリッジ挿入部から飛び出す可能性がある。このため、付勢手段によって生ずる付勢力(弾性定数)が過大とならないようにすることが望ましい。
【0020】
請求項2の発明の水栓は、請求項1に記載の水栓において、
前記付勢手段は、前記カートリッジ挿入部の内壁部と、前記浄水カートリッジとの間に介在されるコイルスプリングであることを特徴とする。
【0021】
請求項2の発明によると、付勢手段をコイルスプリングで構成するため、付勢手段を付加することが原因で「カートリッジ挿入部内の通水路」を徒に狭くすることはない。つまり、付勢手段を、線材を加工して構成されるコイルスプリングで構成すると、付勢手段をゴムの成形品等で構成する場合に比べて、付勢手段自身に隙間部を確保することが容易である。従って、請求項2の発明によると、浄水カートリッジの交換作業の容易化を図りつつも、浄水カートリッジの浄水能力を低下させることはない。
【0022】
請求項3の発明の水栓は、請求項1又は2に記載の水栓において、
前記吐水口部材は、前記吐水支持部材に対して螺合接続されることを特徴とする。
【0023】
請求項3の発明では、吐水口部材を吐水支持部材に対してねじ込んで固定する接続方式を採用する。このため、付勢手段によって生ずる付勢力(弾性定数)を大きくしても、吐水口部材の回転量(吐水支持部材から取り外すための回転量)の増減に「浄水カートリッジの着脱口から出没量」を追従させることができる。従って、付勢力(弾性定数)を大きくしても、押圧部による押圧が完全に解除されたとき、浄水カートリッジがカートリッジ挿入部から勢いよく飛び出すことを防止できる。
【0024】
請求項4の発明の水栓は、請求項1〜3の何れかに記載の水栓において、
前記取入部が前記浄水カートリッジの外周部に設けられることを特徴とする。
【0025】
請求項4の発明では、浄水カートリッジの浄水効率を向上させつつも、浄水カートリッジの交換作業の容易化を図ることができる。つまり、浄水カートリッジの外周部に取入部を設けると、取入部の表面積が拡大して浄水カートリッジの浄水効率を向上させることができるが、その反面、浄水カートリッジの外周部に水垢等が付着し易くなる。このため、浄水カートリッジがカートリッジ挿入部の内壁に付着して、浄水カートリッジの交換作業の作業性を低下させる可能性がある。
【0026】
これに対して、請求項4の発明では、たとえ、浄水カートリッジがカートリッジ挿入部の内壁に付着しても、付勢手段の付勢力を用いて浄水カートリッジを「カートリッジ挿入部の外側方向」に押し出すことができる。従って、請求項4の発明によると、浄水カートリッジの浄水効率を向上させつつも、浄水カートリッジの交換作業の容易化を図ることができる。
【0027】
請求項5の発明の水栓は、請求項1〜4の何れかに記載の水栓において、
前記吐水支持部材は、前記水栓ボディから突出する状態に配設され、
前記水栓ボディ内には、給湯源に連絡される給湯路と給水源に連絡される給水路とが形成されると共に、前記給湯路を通じて供給される湯と前記給水路を通じて供給される水とを所定の混合割合にて混合し、排出口を通じて排出可能な混合弁が配設され、
前記排出口及び前記吐水口を連絡するための原水用の通水路と、前記給水路及び前記取入部を連絡するための浄水用の通水路と、が別々に設けられたことを特徴とする。
【0028】
請求項5の発明によると、「浄水カートリッジを構成する浄化部材(浄化材)に付着していた有害物質(トリハロメタン等)が、吐水口から流出するという不具合」の発生を抑制すること(つまり、有害物質の予定外の吐水を抑制すること)ができる。以下、この点に関して、図22及び図23を用いて更に詳細に説明する。
【0029】
つまり、本発明者は、前述の従来例(特開平9−228437号公報)の問題点を解決するために、図22及び図23に示すような水栓を完成した。この水栓は、湯と水を混合可能な混合弁85aを内蔵すると共に支持部85bを備える水栓ボディ85と、この支持部85aによって着脱支持される吐水具86と、混合弁85aの排出口に対して、始端部(1次側の端部)が接続されたシャワーホース88と、を備えている。
【0030】
この吐水具86は、略筒状の把持部86aと、頭部(シャワーヘッド)86bとを備えている。また、この把持部86a内には、浄水カートリッジ86jが遊入(遊びを持った状態で挿入)されていると共に、「把持部86aにおいて、浄水カートリッジ86jの配設部位よりも、1次側に位置する部位」に、シャワーホース88の終端部(2次側の端部)が接続されている。そして、把持部86aの内壁部と、浄水カートリッジ86jの外壁部との間に形成される環状の空間部を用いて、「原水用の吐水流路86d」が構成され、浄水カートリッジ86j内の空間部(浄化材が充填された空間部)によって、「浄水用の吐水流路86e」が構成される。
【0031】
また、頭部86bは、端部にシャワーフェイス(吐水口)86kを備えると共に、吐水流路(吐水流路86d、86e)等を選択するための弁装置86fを内蔵している。更に、この頭部86bの外面部からは、弁装置86fを操作するための操作ボタン86g、86hが、複数個、露呈している。そして、「原水吐水用の操作ボタン86g」を操作すると、「シャワーホース88を通じて供給される湯水」が、原水用の吐水流路86d、シャワーフェイス86kを通じて吐水される。一方、「浄水吐水用の操作ボタン86h」を操作すると、「シャワーホース88を通じて供給される湯水」が、浄水用の吐水流路86e、シャワーフェイス86kを通じて吐水される。
【0032】
このように、この図22及び図23に示す水栓は、吐水具86の先端の操作ボタン86g、86hによって、シャワーフェイス86kから吐水する湯水の種類(浄水と原水)を切り換える構造を備える。また、「原水用の吐水流路86d」及び「浄水用の吐水流路86e」の直前までの通水路が、「1本のシャワーホース88」で構成されている。このため、例えば、「混合弁85aから湯を排出させ、シャワーホース88から吐水具86に湯を供給している状態で、操作ボタン86g、86hの操作を間違った場合」や、「シャワーホース88内に湯が滞留している場合」等においては、「浄水カートリッジ86jの取入口861j」から「浄水カートリッジ86j内部」に向かって湯が進入することがある。
【0033】
かかる場合、この湯が、浄水カートリッジ86jを通過して、シャワーフェイス86kから吐水されることとなるが、その際、以下の不具合を生ずることがある。つまり、「浄水カートリッジ86jを構成する浄化部材(活性炭等)に既に付着していた(吸着されていた)有害物質(トリハロメタン等)」が、浄水カートリッジ86j内を通過する湯と共に、シャワーフェイス86kから流出してしまう、不具合を生ずる可能性がある。
【0034】
これに対して、請求項5の発明では、原水用の通水路と、浄水用の通水路とが隔離され、各々が専用の通水路とされるため、「原水用の通水路を通過する湯水」が、浄水カートリッジの取入部(例えば、取入口)に流入することはない。換言すると、給水路を経て「浄水用の通水路」に流入した「水」のみが、浄水カートリッジの取入部に流入することになる。従って、請求項5の発明の水栓によると、「浄水カートリッジを構成する浄化材に付着していた有害物質(トリハロメタン等)が、吐水口から流出するという不具合」の発生を抑制すること(つまり、有害物質の予定外の吐水を抑制すること)ができる。
【0035】
請求項5の発明においては、混合弁(つまり、温度調節用の弁装置)の態様は種々選択でき、摺動ディスクタイプ、サーモスタットタイプ、2ハンドルタイプ等の種々の混合弁を例示できる。また、この混合弁は、(i)「原水」の吐止水の選択を行うものであってもよいし、(ii)「原水の吐止水の選択」及び「原水の吐水量の選択」を行うものであってもよい。また、混合弁の2次側(原水用の通水路の途中、若しくは、吐水口の部分等)に配設された弁装置(吐止水弁)によって、(i)「原水」の吐止水の選択を行ったり、(ii)「原水の吐止水の選択」及び「原水の吐水量の選択」を行ってもよい。尚、これらの点(適用可能な混合弁の態様、機能等)に関しては、請求項1〜4の発明の水栓が湯水混合水栓である場合においても同様である。
【0036】
請求項5の発明においては、「浄水用の通水路」の1次側の端部を、給水路の中間部に常時連通させると共に、浄水用の通水路の中間部に、「浄水用の弁装置」を配設してもよい。この場合、「浄水用の弁装置」に操作(開閉操作)を施すこととで、(c)「浄水の吐止水の選択」を行ったり、(d)「浄水の吐止水の選択」及び「浄水の吐水量の選択」を行うこととしてもよい。つまり、この「浄水用の弁装置」に操作(開閉操作)を施すこととで、(c)「浄水用の通水路において、浄水用の弁装置の1次側に位置する部位」と、「浄水用の弁装置において、浄水用の弁装置の2次側に位置する部位」と、を択一的に連通させることとしてもよいし、(b)「浄水用の通水路において、浄水用の弁装置の1次側に位置する部位」と、「浄水用の弁装置において、浄水用の弁装置の2次側に位置する部位」との連通度合いを調節すること(非連通とすることも含む。)としてもよい。
【0037】
この「浄水用の弁装置」を用いる態様では、混合弁の1次側に、「常時、必要な量、給水圧の水」が待機しているため、「所定温度の混合水の吐水」を試みようとする場合、吐水口から吐水される混合水の温度を、直ぐに、所望の温度とすることができる。つまり、混合水の吐水の初期段階において、吐水口から、「予定外の熱湯(給湯源から供給されたままの湯、若しくは、それに近い温度の湯)」が吐水されることがない。
【0038】
また、請求項5の発明においては、給水路の中間部に、「給水路用の弁装置」を配設してもよい。つまり、給水路を、この中間部よりも1次側に位置する「1次側の給水路部」と、この中間部よりも2次側に位置する「2次側の給水路部」とに、便宜上、分けて考える。また、「1次側の給水路部」と、「2次側の給水路部」とを、「給水路用の弁装置」で接続すると共に、この「給水路用の弁装置」に、「浄水用の通水路」の一次側の端部を接続する。そして、この「給水路用の弁装置」に操作(開閉操作)を施すこととで、(a)「浄水の吐止水の選択」を行ったり、(b)「浄水の吐止水の選択」及び「浄水の吐水量の選択」を行うこととしてもよい。つまり、この「給水路用の弁装置」に操作(開閉操作)を施すこととで、(a)1次側の給水路部と、浄水用の通水路とを択一的に連通させることとしてもよいし、(b)1次側の給水路部と、浄水用の通水路との連通度合いを調節すること(非連通とすることも含む。)としてもよい。
【0039】
この「給水路用の弁装置」としては、(A)1次側の給水路部と2次側の給水路部とを連通させ、1次側の給水路部と浄水用の通水路とを非連通とする状態と、(B)1次側の給水路部と2次側の給水路部とを非連通とし、1次側の給水路部と浄水用の通水路と連通させる状態と、を択一的に実現する「切換弁」という。)」を例示できる。但し、この「給水路用の弁装置」は、1次側の給水路部と2次側の給水路部とを常時連通させつつ、1次側の給水路部と浄水用の通水路とを連通させたり、非連通とする「切換弁(以下、「後者の切換弁」という。)」であってもよい。尚、「後者の切換弁」によると、前述の「浄水用の弁装置を用いる態様」と同様に、2次側の給水路部に、「常時、必要な量、給水圧の水」が待機しているため、「所定温度の混合水の吐水」を試みようとする場合、吐水口から吐水される混合水の温度を、直ぐに、所望の温度とすることができる。
【0040】
次に、請求項5の発明に関連する発明(以下、「関連発明」という。)について説明する。
【0041】
関連発明1の水栓は、請求項5に記載の水栓において、
前記取出部及び前記吐水口を連絡する吐水路と、前記原水用の通水路とが所定の合流部において合流すると共に、
前記取出部と、前記合流部との間に逆止弁が配設されたことを特徴とする。
【0042】
関連発明1では、吐水路において、合流部と吐水口との間に位置する部分(以下、「共用路」という。)を、原水及び浄水が通過する。つまり、吐水部材の「内部流路の一部」を、原水吐水用及び浄水吐水用として兼用するため、その分、吐水部材の構造の簡略化を図ることができる。しかも、請求項2の発明では、逆止弁を備えるため、「共用路」内の原水が、「浄水カートリッジ」に向かって逆流することが防止できる。つまり、請求項2の発明によると、吐水部材の構造の簡略化を図りつつ、「原水の浄水カートリッジへの逆流」を防止することができる。
【0043】
関連発明2の水栓は、請求項5に記載の水栓において、
前記取出部及び前記吐水口を連絡する吐水路が、前記原水用の通水路と分離されて設けられていることを特徴とする。
【0044】
関連発明2では、吐水路と、原水用の通水路とが分離されているため、「原水用の通水路内の原水が、浄水カートリッジに向かって逆流すること」を確実に防止できる。
【0045】
関連発明3の水栓は、請求項5の発明、関連発明1及び関連発明2のうちの何れかの発明に係る水栓において、
前記水栓ボディは、上がり傾斜状に突出して、前記吐水支持部材の基端部を挿嵌状に支持するボディ側支持部を具備し、
該ボディ側支持部の内部空間が隔壁を用いて、前記原水用の通水路の一部を構成する第1の通水路部と、前記浄水用の通水路の一部を構成する第2の通水路部とに区画され、
前記浄水カートリッジは、流入口を具備する外郭ケースに挿入された状態で前記吐水部材に遊入され、
前記流入口と前記第2の通水路部とが水密状に連結され、外郭ケースの外壁部と前記吐水部材の内壁部との間に形成された空間部が、前記第1の通水路部に水密状に連通することを特徴とする。
【0046】
関連発明3によると、「外郭ケース」を用いて、「原水用の通水路と、浄浄化材とを隔離するための隔壁」を構成する。従って、関連発明3によると、「吐水部材の内部空間を区画するための隔壁」を吐水部材に形成したり、吐水部材を2重管構造とすること等が必要とされないため、吐水部材の内部構造の簡略化を図ることができる。
【発明の効果】
【0047】
以上のように、請求項1〜5の各発明によると、浄水カートリッジを内蔵しつつ、外観(見栄え)が良く、設置スペースの省スペース化を図ることができると共に、メンテナンスの円滑化を図ることができる水栓を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
次に、本各発明に係わる「水栓」の最良の形態(以下、「実施例」という。)を図面に従って詳細に説明する。尚、本実施例では、各請求項の発明の水栓の具体例として湯水混合水栓Sについて説明する。
【0049】
この湯水混合水栓Sは、図1〜図3を用いて示すように、水栓ボディ10と、第1の摺動弁装置30と、第2の摺動弁装置50と、吐水具60と、浄水カートリッジ70と、コイルスプリングBとを備えている。尚、図4に示すように、この湯水混合水栓Sは、デッキ部(流し台の天板等)d上に設置されて用いられる。また、給湯源H(給湯配管の端末部)と、給水源C(給水配管の端末部)は、デッキ部(流し台の天板等)dの下方に到達している。
【0050】
水栓ボディ10は鋳物を用いて構成され、図1に示すように、略円柱形の外形を備える本体部11と、略筒状となりつつ、本体部11の外周部から上がり傾状に突出する支持部12と、略筒状とされつつ、本体部11の外周部から側方に突出する取付部(図3及び図6を参照)13と、を備えている。また、図3に示すように、支持部12の外周部には雄ねじ部12aが設けられている。
【0051】
図3に示すように、支持部12の内部空間は、隔壁12bを用いて上下に分割されている。つまり、支持部12の内部空間は、隔壁12bの上方に位置する空間部分(以下、「上方空間部」という。)12uと、隔壁12bの下方に位置する空間部分(以下、「下方空間部」という。)12dとに分けられている。尚、この隔壁12bは、関連発明3の「隔壁」の具体例を構成する。また、「上方空間部」12uによって、関連発明3の「第1の通水路部」の具体例が構成され、「下方空間部」によって、関連発明3の「第2の通水路部」の具体例が構成される。
【0052】
「上方空間部12u」の全体が、支持部12の突端部において斜め上方に開放され、下方空間部12dの一部が、支持部12の突端部において斜め上方に開放されている。つまり、下方空間部12dは、「支持部12の軸心位置に設けられた略円柱状の被接続部12e」によって、斜め上方に開放されている。また、下方空間部12dの残りの部分(被接続部12eの設けられていない部分)には、略扇形状の蓋部12fが配設されている。更に、被接続部12eの中間部には装着溝が設けられ、この装着溝には、シール部材(パッキン等)12pが装着されている。
【0053】
図4に示すように、水栓ボディ10の内部には、給湯路20と、給水路21と、分岐流路23と、排出流路25とが設けられている。尚、本実施例では、水栓ボディ10内に設けられる空洞部(空間部)によって、内部流路(給湯路20、給水路21、分岐流路23、排出流路25)を形成するが、ホース、パイプ等の配管用部品を用いて水栓ボディ10の内部流路を構成することもできる。
【0054】
図4に示すように、給湯路20は、1次側の端部20aを本体部11の下方側に配設し、2次側の端部20bを本体部11の上方側に配設している。そして、「給湯路20の1次側の端部20a」と、給湯源H(給湯配管の端末部)とは、給湯用の中継ぎ管26Hを介して接続されている。また、「給湯路20の2次側の端部20b」は、後述する「第1の摺動弁装置30」の給湯口30aに接続されている。
【0055】
図4に示すように、給水路21も、1次側の端部21aを本体部11の下方側に配設し、2次側の端部21bを本体部11の上方側に配設している。そして、「給水路21の1次側の端部21a」と、給水源C(給湯配管の端末部)とは、給水用の中継ぎ管26Cを介して接続されている。また、「給水路21の2次側の端部21b」は、後述する「第1の摺動弁装置30」の給水口30bに接続されている。
【0056】
第1の摺動弁装置30は、「混合弁」の具体例を構成するものであり、図3に示すように、本体部11の上端部側に配設されている。また、第1の摺動弁装置30の「排出口30c」は、図4に示すように、排出流路25の一次側の端部25aに接続されている。この第1の摺動弁装置30は、図3に示すように、固定弁体31と、固定弁体31上で摺動する可動弁体32とを備えている。
【0057】
第1の摺動弁装置30は、本体部11の上方に装着された操作レバー(図1を参照)35を用いて操作される。そして、この第1の摺動弁装置30は、給湯路20を通じて供給される湯と、給水路21を通じて供給される水とを所定の混合割合にて混合し、排出口30cを通じて、排出流路25に排出可能である。また、第1の摺動弁装置30は、給湯路20から供給される湯を、そのまま、排出流路25に排出したり、給水路21から供給される水を、そのまま、排出流路25に排出することもできる。
【0058】
排出流路25は、図3及び図4に示すように、第1の摺動弁装置30を起点として(1次側の端部として)下降する流路部25aと、上方空間部12u(第1の流路部25b)と、によって構成されている。この排出流路25の「2次側の端部25d」は、「上方空間部12uの上端部(開口部)」によって構成されている(図3を参照)。
【0059】
分岐流路23は、「浄水用の通水路J」の具体例を構成するものであり、図5に示すように、1次側の端部23aを給水路21の中間部に接続し、2次側の端部23bを「下方空間部12dの上端部(開口部)」によって構成している(図3を参照)。また、図6に示すように、取付部13の内部空間13aによって、分岐流路23の一部(1次側の端部23aに近接する部位)を構成している。尚、以下の説明において、この分岐流路23において内部空間13aよりも1次側に位置する部位を、弁前流路部23cと称し、内部空間13aよりも2次側に位置する部位を、弁後流路部23dと称することがある。
【0060】
第2の摺動弁装置50は、図6に示すように、取付部13(内部空間13a)に装着されている。この第2の摺動弁装置50は、ハウジング51と、ハウジング51内に配置される固定弁体52と、固定弁体52に対して摺動可能な可動弁体53とを備えている。
【0061】
ハウジング51は、導入口51aと導出口51bとを備え、導入口51aは、弁前流路部23cに向かって開口し(弁前流路部23cと接続され)、導出口51bは、弁後流路部23dに向かって開口している(弁後流路部23dと接続されている。)。
【0062】
第2の摺動弁装置50は、取付部13の側方に配置されるハンドル50hを用いて操作される。これにより、給水路21と弁後流路部23dとを遮断し、給水路21から弁後流路部23dに水が流入することを停止させたり、給水路21と弁後流路部23dとを連通させ、給水路21から弁後流路部23dに水を流入させる。また、弁前流路部23cと弁後流路部23dとの連通度合いを調節することで、給水路21から弁後流路部23dに流入する水量の調節が行われる。
【0063】
吐水具60は、図7に示すように、把持部61と頭部62とを備えている。また、この吐水具60は、その後端部を支持部12によって支持されて水栓ボディ10から突出する状態(斜め上がり傾斜状に突出する状態)に配設されている。尚、この吐水具60及びその構成部材においては、水栓ボディ10に「近接する側(つまり、通水方向に沿った1次側)」を「後」と称し、「水栓ボディ10から離間する側(つまり、通水方向に沿った2次側)」を「前」と称することがある。例えば、水栓ボディ10に「近接する側の端部」を「後端部」と称し、「水栓ボディ10から離間する側の端部」を「前端部」と称することがある。
【0064】
把持部61は、吐水支持部材の具体例を構成する部材であり、図7に示すように、外筒体65と内筒体66とを備えている。このうち、外筒体65は、図8に示すように、把持部61の外郭部を構成する部材であり、外径が軸心方向に略一定とされた略円筒体を用いて構成されている。この外筒体65の内径は、外筒体65の後端部(下端部)において段差状に小さくされているが、外筒体65のその他の部位においては略一定とされている。また、外筒体65の後端部(下端部)の内壁部には、支持部12の雄ねじ部12aに螺合可能な雌ねじ部65aが設けられている。
【0065】
内筒体66は、図8及び図9に示すように、有底の略円筒形状に構成され、後端部(下端部)に底部66aを配置している。この内筒体66は、外筒体65の内側に挿入されると共に、その内部空間によって「カートリッジ挿入部K」の具体例を構成する。
【0066】
図10及び図11に示すように、底部66aの中心部(内筒体66の軸心が通過する位置)には、「略円筒状の接続部66c」が貫通状態に設けられている。つまり、この接続部66cは底部66aの外側面(内筒体66の表側に位置する面)と、底部66aの内側面(内筒体66の内側に位置する面)との双方において略円筒状に突出しつつ内筒体66の内外を連通させている。また、この接続部66cは、前述の被接続部12eを嵌入可能なサイズとされている(図7を参照)。尚、この接続部66cは、水栓ボディ10から分岐流路23を介して供給される水を、内筒体66の内部(つまり、カートリッジ挿入部K)に受け入れるための「受入口」を構成する。
【0067】
図10(a)及び図11(a)に示すように、底部66aの外側面において接続部66cの周囲に位置する箇所には、位置決め部66dが突出している。この位置決め部66dには、突端部で開口する位置決め穴66eが設けられている。尚、この位置決め穴66eに対して、支持部12に設けられた位置決め用突起(図示を省略)に嵌合することで、内筒体66が支持部12に対して、内筒体66の軸心回りに位置決めされた状態となる。
【0068】
図10(b)及び図11(b)に示すように、底部66aの内側面において接続部66cの周囲に位置する2箇所からは、略円弧状の突起部66f、66fが突出している。また、図9及び図10に示すように、内筒体66の外周面のうちで後端部側に位置する部位からは、4個のリブ66hが突出している。これらのリブ66hは内筒体66の半径外側方向に突出すると共に、内筒体66の外周面を周回する方向に沿って等間隔に設けられている。尚、4個のリブ66hの突端部を通過する円(仮想的な円)の直径は、外筒体65の内径より僅かに小さくされている。
【0069】
図8及び図9に示すように、内筒体66の前端側の部位は、内径及び外径が段差状に大きくされた大径部66kとされている。この大径部66kは、前述の外筒体65に嵌合可能なサイズとされている(図7を参照)。また、内筒体66の外周部において、大径部66kの後方に位置する部位には鍔部66mが形成され、大径部66kの後端部と、鍔部66mとに形成される隙間部よって、内筒体66の外周部を周回する装着溝を構成している。そして、この装着溝には、シール部材(パッキン)66pが装着されている。
【0070】
図9に示すように、内筒体66において、シール部材66pの後方の部位(直後の部位)には連通孔66rが設けられている(図13も参照)。この連通孔66rは、内筒体66をその肉厚方向に貫通しつつ、略円弧状の開口形状を備えている。また、図8に示すように、大径部66kの内壁には、雌ネジ部66sが形成されている。この雌ネジ部66sは後述する頭部62を把持部61(内筒体66)に接続するために用いられる。
【0071】
このように構成される把持部61(外筒体65及び内筒体66)は、水栓ボディ10に対して以下のように装着されている。先ず、内筒体66の接続部66cを被接続部12eに嵌入することで、内筒体66が水栓ボディ10に装着される。これにより、内筒体66が水栓ボディ10から「斜め上がり傾斜状」に突出する状態とされると共に、分岐流路23と、内筒体66の内部(カートリッジ挿入部K)とが連通する(図7を参照)。このとき、接続部66c及び被接続部12e間の水密性がシール部材(パッキン等)12pによって確保される。また、位置決め穴66eに対して支持部12の位置決め用突起(図示を省略)が嵌合され、内筒体66がその軸心回りに位置決めされた状態とされる。
【0072】
この後、外筒体65の内部に内筒体66を挿入しつつ、雌ねじ部65aを支持部12の雄ねじ部12aに螺合することで、この外筒体65が水栓ボディ10に装着される(図7を参照)。このとき、内筒体66の4個のリブ66hの突端部が「外筒体65の内壁部の下端側」に当接すると共に、大径部66kが「外筒体65の内壁部の上端側」に当接することで、外筒体65及び内筒体66の軸心位置が揃えられると共に、内筒体66の「がたつき」の防止が図られる(図10を参照)。そして、外筒体65の内壁部と内筒体66の外壁部との間には環状の空間部(以下、「中間通水路部」という。)67が形成される。この中間通水路部67は、「原水用の通水路Gの中間部」を構成する部分であり、その「1次側の端部(後端部)」が、前述の上方空間部(第1の通水路部)12uに連通している。
【0073】
このように、外筒体65を水栓ボディ10に装着すると、内筒体66の前端側の開口部が、外筒体65の前端側の開口部よりも僅かに後退する位置に配置される。このため、本実施例では、外筒体65の前端側の開口部によって「着脱口M」の具体例が構成される(図7を参照)が、各請求項の発明では、本実施例と異なり、内筒体66の前端側の開口部によって「着脱口M」の具体例を構成することもできる。尚、把持部61に頭部62が装着されると、中間通水路67の「2次側の端部(前端部)」が、内筒体66の連通孔66rを介して原水吐水路62m(後述する。)に接続される。また、分岐流路23及びカートリッジ挿入部Kは、浄水吐水路62n(後述する。)に接続される。
【0074】
浄水カートリッジ70は、図7に示すように、略円柱状の外形を備え、軸心を内筒体66(カートリッジ挿入部K)の軸心に揃えた状態で、カートリッジ挿入部K内に挿入されている。この浄水カートリッジ70は、図8に示すように、略円柱状に構成される浄化部材(浄化材)72jと、浄化部材72jの前半側を被覆する外装体72aとを備えている。また、外装体72aは、前端部に蓋部72cを備える略円筒状に構成されている。この蓋部72cの略中心部には、外装体72aの内外を連通させる取出口72fが形成されている。そして、この取出口72fは、浄水カートリッジ70の「取出部」の具体例を構成する。この取出口72fは、浄化部材72jから離間する方向に突出する略円筒状に形成されている。また、取出口72fの外周部には周回溝が設けられ、この周回溝にはシール部材(パッキン等)72pが装着されている。
【0075】
また、浄化部材72jの後端面には、円板状の板部材72dが装着されている。そして、板部材72dには、その肉厚方向に連通する取入口72eが形成されている。この取入口72eは浄化部材72jから離間する方向に突出する略円筒状に形成されている。そして、浄化部材72jの外周部のうちで外装体72aで被覆されていない部分(浄化部材72jの外周部の後半側)721aと、取入口72eとは、夫々浄水カートリッジ70の「取入部」の具体例を構成する。
【0076】
浄化部材(浄化材)72jは、「前半部(吐水口に近接する側の部分)を構成しつつ、外装体72aで被覆される中空糸膜」と、「後半部(吐水口に離間する側の部分)を構成する繊維状活性炭」と、を備える。但し、繊維状活性炭は、その外周部を不織布を用いたフィルタ72gにより被覆された状態とされている。
【0077】
コイルスプリングBは、図7に示すように、浄水カートリッジ70をカートリッジ挿入部K(内筒体66)に挿入する際に、浄水カートリッジ70の後端面(板部材72d)と内筒体66の底部66aとの間に圧縮状態で介在されて、浄水カートリッジ70をカートリッジ挿入部Kの外側に付勢するためのものである。このコイルスプリングBは後端部を底部66aに当接させると共に、前端部を浄水カートリッジ70の後端面に当接させ、更に後端側に突起部66f、66fを挿入した状態で、浄水カートリッジ70の後端面(板部材72d)と内筒体66の底部66aとの間に介在されている。つまり、コイルスプリングBの後端部側は、内筒体66の内周部と突起部66f、66fの外周部との間の空間部に挿入された状態とされている(図14及び図15を参照)。
【0078】
本実施例では、「コイルスプリングBの自由高さ(H)」と「浄水カートリッジ70の軸心長(h)」との和が、「内筒体66の底部66aと着脱口Mとの距離(T)」よりも大きくされている{図20(a)を参照}。このため、浄水カートリッジ70に外力(後述する頭部62からの押圧力)が負荷されない場合、浄水カートリッジ70の前端部が着脱口Mを通じて把持部61外へ露呈するものとされている。
【0079】
頭部62は、吐水口部材の具体例を構成するものであり、図12に示すように、本体部62aと、本体部62aの前端側から垂下する原水吐水管62bと、本体部62aの前端側から垂下する浄水吐水管62cと、本体部62aの後端部に接続されるジョイント部62dとを備えている。このうち、本体部62aの内部には、原水吐水路62mと浄水吐水路62nとが隔壁で区画された状態に形成されている。また、原水吐水管62bは1次側の端部を原水吐水路62mの2次側の端部に接続し、2次側の端部(下端部)を外部に開放している。そして、この原水吐水管62aの2次側の端部(下端部)によって原水吐水口62wが構成される。また、浄水吐水管62cは1次側の端部を浄水吐水路62nの2次側の端部に接続し、2次側の端部(下端部)を外部に開放している。そして、この浄水吐水管62cの2次側の端部(下端部)によって浄水吐水口62vが構成される。尚、原水吐水口62w及び浄水吐水口62vは「吐水口」の具体例を構成する。
【0080】
本体部62aの後端側の外周面には、前述の雌ネジ部66s(大径部66kの雌ネジ部66s)に螺合可能な雄ネジ部62hが形成されている。また、本体部62aの外周面において、雄ネジ部62hの直後に位置(雄ネジ部62hよりも後方の位置)には周回溝が設けられ、この周回溝にはシール部材(パッキン)62iが装着されている。
【0081】
ジョイント部62dは本体部62aの後端部に挿入させて本体部62aと一体化されている。このジョイント部62dは、蓋付きの略円筒形状に構成されるジョイント本体62qと、ジョイント本体62qの後端部側の外周面から突出する鍔部62rと、ジョイント本体62qの前端面(蓋部)から突出する挿入筒62sとを備えている。この挿入筒62sは軸心をジョイント本体62qの軸心から偏心させていると共に、内部空間をジョイント本体62qの内部空間に連通させている。また、挿入筒62sの外周部の周回溝にシール部材(パッキン)62tが装着され、このシール部材(パッキン)62tを用いて浄水吐水路62nの1次側の端部と挿入筒62sとの間の水密状が確保されている。また、鍔部62rには周回溝が設けられ、この周回溝にもシール部材(パッキン)62uが装着されている。そして、この「シール部材(パッキン)62uが装着された状態の鍔部62r」は、「内筒体66において大径部66kの奥側(後側)に位置する部位」に嵌合可能なサイズとされる。
【0082】
この頭部62は、「シール部材62uが装着された状態の鍔部62r」を「内筒体66において大径部66kの奥側(後側)に位置する部位」に嵌合しつつ(つまり、鍔部62rを内筒体66に水密状に挿入しつつ)、雄ネジ部62hを雌ネジ部66sに螺合することで把持部61に接続されて一体化される。この際、鍔部62rの後端面Eが、浄水カートリッジ70を「カートリッジ挿入部Kの内側方向」に押圧するため、底部66aと浄水カートリッジ70の後端部(底面)とでコイルスプリングBが圧縮され、撓んだ状態(圧縮状態)となる(図7を参照)。この鍔部62rの後端面Eは「押圧部」の具体例を構成する。また、頭部62が把持部61に接続されると、「浄水カートリッジ70の取出口72f」が鍔部62rに内側に嵌合される。この嵌合は取出口72fに装着されたシール部材(パッキン等)72pの弾性を用いて圧入状態で行われるため、シール部材(パッキン等)72pが十分な弾性を有していれば(劣化していなければ)、浄水カートリッジ70は頭部62に対して、しっかりと接続された状態となる。尚、頭部62を把持部61に接続する作業は、(1)予め内筒体66の内部(カートリッジ挿入部K)に浄水カートリッジ70を挿入した状態で、頭部62を把持部61に螺合することによって行われてもよいし、(2)頭部62に浄水カートリッジ70を取り付けた後、この浄水カートリッジ70と一体の頭部62を把持部61に螺合することによって行われてもよい。
【0083】
このように、頭部62を把持部61に接続すると、図12及び図13に示すように、中間通水路67の「2次側の端部」が、内筒体66の連通孔66rを介して原水吐水路62mに接続されると共に、カートリッジ挿入部Kがジョイント部62dを介して浄水吐水路62nに接続される。これにより、本水栓Sは使用可能な状態となる。
【0084】
本実施例においては、図4に示すように、「原水用の通水路G」が「水栓ボディ10内の排出流路25(流路部25a及び流路部25b)」と、中間通水路部67と、原水吐水路62mと、原水吐水管62bとを備えて構成される。そして、操作レバー35を用いて、第1の摺動弁装置30に開弁操作を施すと、「原水用の通水路Gを通過した原水A」が、原水吐水口62wから吐水される。
【0085】
また、図5に示すように、「浄水用の通水路J」は、水栓ボディ10内の分岐流路23によって構成され、この浄水用の通水路Jの2次側の端部(被接続部12e)は、内筒体66の流入口(接続部66c)に水密状に接続されている。このため、本湯水混合水栓Sにおいては、「原水用の通水路G」と、「浄水用の通水路J」とは、隔離された状態(略水密状に隔離された状態)とされている。そして、ハンドル50hを用いて、第2の摺動弁装置50に開弁操作を施すと、「浄水用の通水路Jを通過した水」は、浄水カートリッジ70内を通過して浄水Dになった後、ジョイント部62dの内部空間、浄水吐水路62n、浄水吐水管62cを経て浄水吐水口62vから吐水される。
【0086】
本実施例では、浄水カートリッジ70の交換を行う場合、先ず、雄ネジ部62hの雌ネジ部66sに対する螺合を解除して頭部62を把持部61から取り外す。このとき、「取出口72fに装着されたシール部材(パッキン等)72pが未だ劣化しておらず、十分な弾性を有しており、しかも、浄水カートリッジ70が内筒体66に付着しようとしない場合」には、図14に示すように、浄水カートリッジ70を頭部62と一体で把持部61から取り外すことができる。換言すると、「シール部材(パッキン等)72pの弾性を用いて、取出口72fの鍔部62rへの圧入状態が確保され、しかも、水垢等の影響で浄水カートリッジ70が内筒体66に付着してようとしない場合」には、「浄水カートリッジ70を一体的に保持した状態の頭部62」を把持部61から取り外すことができる。
【0087】
一方、雄ネジ部62hの雌ネジ部66sに対する螺合を解除して頭部62を把持部61から取り外したときに、シール部材(パッキン等)72pが劣化してその弾性が低下していたり、浄水カートリッジ70が内筒体66に付着しようとする場合等には、図15に示すように、頭部62のみが把持部61から取り外される。つまり、浄水カートリッジ70をカートリッジ挿入部Kに残した状態で頭部62のみが把持部61から取り外される。
【0088】
但し、この場合においては、「浄水カートリッジ70への鍔部62rの後端面E(押圧部)の押圧」が解除されるため、浄水カートリッジ70はコイルスプリングBの弾性(復元力)を用いてカートリッジ挿入部Kの外側へ押し出される(付勢される)。このため、浄水カートリッジ70の前端部が着脱口Mを通じて把持部61外へ露呈する状態とされる。従って、作業者は、この浄水カートリッジ70の前端部を摘んで浄水カートリッジ70をカートリッジ挿入部Kから取り出して、新たなものに交換することができる。
【0089】
本実施例によると、把持部61(吐水支持部材)内に浄水カートリッジ70を配設するため、浄水カートリッジ70を水栓ボディ10に外付けすることが必要とされない。このため、外観(見栄え)が良く、設置スペースの省スペース化を図ることができる。また、本実施例の湯水混合水栓Sによると、浄水カートリッジ70の交換作業を円滑に行うことができるため、メンテナンスの円滑化を図ることができる。即ち、頭部(吐水口部材)62を把持部61から取り外したときに、たとえ、浄水カートリッジ70がカートリッジ挿入部Kに残ったとしても、頭部(吐水口部材)62を取り外した段階で、「浄水カートリッジ70に対する頭部62による拘束」が解除される。このため、浄水カートリッジ70はコイルスプリング(付勢手段)80の付勢力によって、「カートリッジ挿入部Kの外側」の方向に押される。換言すると、頭部62を取り外せば、コイルスプリングBの付勢力によって、浄水カートリッジ70が作業者の手元に近づくため、浄水カートリッジ70の交換作業を円滑に行うことができ、湯水混合水栓Sのメンテナンスの円滑化を図ることができる。
【0090】
また、本実施例では、付勢手段をコイルスプリングBで構成するため、付勢手段を付加することが原因で「カートリッジ挿入部K内の通水路」を徒に狭くすることはない。従って、本実施例によると、浄水カートリッジ70の交換作業の容易化を図りつつも、浄水カートリッジ70の浄水能力を低下させることない。
【0091】
更に、本実施例では、頭部62を把持部61に対してねじ込んで固定する接続方式を採用する。このため、コイルスプリングBによって生ずる付勢力を大きくしても、頭部62の回転量(把持部61から取り外すための回転量)の増減に、「浄水カートリッジ70の着脱口Mから出没量」を追従させることができる。従って、コイルスプリングBの付勢力を大きくしても、押圧部(鍔部62rの後端面E)による押圧が完全に解除されたときに、浄水カートリッジ70がカートリッジ挿入部Kから勢いよく飛び出すことはない。
【0092】
また、本実施例では、浄水カートリッジ70の浄水効率を確保しつつも、浄水カートリッジ70の交換作業の容易化を図ることができる。つまり、本実施例では、浄水カートリッジ70がカートリッジ挿入部Kの内壁に付着しても、コイルスプリングBの付勢力を用いて浄水カートリッジ70をカートリッジ挿入部Kの外側方向に押し出すことができる。このため、浄水カートリッジ70の外周部にも、取入部(721a)を設け、取入部(72e、721a)の総表面積を積極的に拡大して浄水カートリッジ70の浄水効率を向上させている。
【0093】
更に、本実施例の湯水混合水栓Sにおいては、原水用の通水路Gと浄水用の通水路Jとが隔離され、各々が専用の通水路とされるため、「原水用の通水路Gを通過する湯水」が、浄水カートリッジ70の取入口72eに流入することはない。換言すると、給水路21を経て「浄水用の通水路J」に流入した「水」のみが、浄水カートリッジ70の取入口72eに流入することになる。従って、本実施例の湯水混合水栓Sによると、「浄水カートリッジ70を構成する浄化部材72jに付着していた有害物質(トリハロメタン等)が浄水吐水口62vから流出するという不具合」の発生を抑制することができる。
【0094】
また、本実施例によると、「内筒体66」を用いて、「原水用の通水路Gと、浄化部材72jとを隔離するための隔壁を構成する。従って、吐水具60内の内部構造の簡略化を図ることができる。
【0095】
尚、本各発明の範囲は前記実施例に示す具体的な態様に限定されず、本各発明の範囲内で種々の変形例を例示できる。
【0096】
即ち、本実施例では、浄水と原水とを別々の吐水口(原水吐水口62w、浄水吐水口62v)から吐水する態様を例示したが、図16〜図18に示す変形例1のように、浄水と原水とを共通の吐水口から吐水してもよい。即ち、この変形例1では、頭部62の構成が異なることを除いて実施例と同様な構成を備えている。
【0097】
つまり、変形例1においては、頭部62の前端部を吐水フェイス162bによって構成している。この吐水フェイス162bは、中心部に位置する大型の貫通孔162cと、その周囲に位置する複数の貫通孔162dとを備える。これらの貫通孔(162c、162d)は、吐水フェイス162bを肉厚方向に貫通する状態に設けられ、「吐水口」の具体例を構成している。また、頭部62の内部には共用路162jが形成され、この共用路162jは吐水フェイス162bに到達する直前の原水と、吐水フェイス62bに到達する直前の浄水が通過する。つまり、共用路162jの2次側の端部は貫通孔162c、162d(つまり、吐水口)に接続されている。
【0098】
この変形例1においては、中間通水路部67の「2次側の端部(前端部)」が、中継通水路部168(図17を参照)を介して、「共用路162jの1次側の端部」に接続されている。また、頭部62の内部には、カートリッジ挿入部K(内筒体66)と共用路162jとを接続するための浄水吐水路162tが設けられている。
【0099】
この変形例1においては、「原水用の通水路G」が、「水栓ボディ10内の排出流路25(流路部25a及び流路部25b)」と、中間通水路部67と、中継通水路部168と、共用路162jとを備えて構成されている。そして、操作レバー35を用いて、第1の摺動弁装置30に開弁操作を施すと、「原水用の通水路Gを通過した原水A」が、吐水フェイス162bから吐水される。
【0100】
また、図18に示すように、カートリッジ挿入部K(内筒体66)の2次側の端部(着脱口M)は、頭部62内の浄水吐水路162t及び共用路162jを介して吐水フェイス162bに接続されている。このため、ハンドル50hを用いて第2の摺動弁装置50に開弁操作を施すと、「浄水用の通水路Jを通過した水」は、浄水カートリッジ70内を通過して浄水Dになった後、浄水吐水路162t及び共用路162jを経て吐水フェイス162bから吐水される。
【0101】
この変形例1によっても、実施例と同様な効果を得ることができる。また、変形例1においては、図19に示すように、浄水カートリッジ70の2次側(カートリッジ挿入部Kの2次側)に、逆止弁78を配設してもよい(以下、図19に示す具体例を「変形例2」という。)。つまり、この変形例2においては浄水吐水路162tと、中継通水路部168とが吐水ヘッド60内の合流部H(共用路162jの1次側の端部)において合流する。そして、変形例2では、浄水吐水路162tのうちで合流部Hよりも1次側に位置する部位(着脱口Mと合流部Hとの間に位置する部位)に、逆止弁78を配設している。そして、この変形例2によると、吐水ヘッド60の構造の簡略化を図りつつ、「原水の浄水カートリッジ70への逆流」を防止することができる。
【0102】
また、実施例、変形例1及び変形例2では、図20(a)に示すように、コイルスプリングBを用いて構成される付勢手段を、内筒体66の底部66aと浄水カートリッジ70の後端部(底面)と間に圧縮状態で介在する態様を例示したが、付勢手段の態様はコイルスプリングBに限定されない。例えば、図20(b)に示す変形例3のように、ゴム若しくはエラストマー等で構成される弾性体(例えば、略筒形状の弾性体)800で構成することもできる。この場合、弾性体800に孔状若しくは切り欠き状の通水部801を設けることが望ましい。カートリッジ挿入部K(内筒体66)内において、この通水部801の部分が空間部として確保され、この空間部によって十分なサイズの通水路を確保できるからである。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、例えば、水栓の製造、販売、施工、加工等を行う分野で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】実施例の湯水混合水栓の概略的な側面図である。
【図2】実施例の湯水混合水栓の正面図である。
【図3】実施例の湯水混合水栓の要部縦断面図である。
【図4】実施例の湯水混合水栓の流路構造を説明するための説明図である。
【図5】実施例の湯水混合水栓の流路構造を説明するための説明図である。
【図6】第2の摺動弁装置を説明するための縦断面図である。
【図7】実施例の湯水混合水栓の要部拡大縦断面図である。
【図8】実施例の把持部の要部分解縦断面図である。
【図9】実施例の把持部を構成する内筒体の側面図である。
【図10】(a)は図9の1−1断面図であり、(b)は図9の2−2断面図である。
【図11】(a)は図10(b)の3−3断面図であり、(b)は図10(b)の4−4断面図である。
【図12】実施例の頭部を説明するための縦断面図である。
【図13】図12の5−5断面図である。
【図14】浄水カートリッジの交換方法等を説明図である。
【図15】浄水カートリッジの交換方法等を説明図である。
【図16】変形例1の湯水混合水栓の要部拡大縦断面図である。
【図17】変形例1の湯水混合水栓の流路構造を説明するための説明図である。
【図18】変形例1の湯水混合水栓の流路構造を説明するための説明図である。
【図19】変形例2を説明するための説明図である。
【図20】(a)は実施例を説明するための説明図であり、(b)は変形例3を説明するための説明図である。
【図21】本発明者が、本出願前に発明した湯水混合水栓(改良例)を説明するための説明図である。
【図22】本発明者が、本出願前に発明した湯水混合水栓(他の改良例)を説明するための説明図である。
【図23】本発明者が、本出願前に発明した湯水混合水栓(他の改良例)の流路構造を説明するための説明図である。
【図24】従来例に係る湯水混合水栓を説明するための正面図である。
【符号の説明】
【0105】
S;湯水混合水栓、
B;コイルスプリング(付勢手段)、
C;給水源、
H;給湯源、
G;原水用の通水路、
J;浄水用の通水路(分岐流路23)
H;合流部、
K;カートリッジ挿入部、
10;水栓ボディ、
30;第1の摺動弁装置(混合弁)、
12;支持部、
12d;下方空間部(第2の通水路部)、
12u;上方空間部(第1の通水路部)、
20;給湯路、
21;給水路、
60;吐水具、
61;把持部(吐水支持部材)、
62;頭部(吐水口部材)、
62v、62w;吐水口、
70;浄水カートリッジ、
71c;接続部(流入口)、
72j;浄化部材、
72e;取入口(取入部)、
721a;浄化部材72jの外周部のうちで外装体72aで被覆されていない部分(取入部)、
72f;取出口(取出部)、
78;逆止弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓ボディと、
前記水栓ボディから供給される水を受け入れ可能なカートリッジ挿入部が設けられた吐水支持部材と、
前記吐水支持部材に装着されると共に、所定の部位に吐水口を開口させた吐水口部材と、
前記吐水支持部材に設けられた着脱口を通じて前記カートリッジ挿入部に挿入されて前記吐水支持部材に装着されると共に、前記カートリッジ挿入部に受け入れた水を取り入れるための取入部と、該取入部で取り入れた水に浄水処理を施すための浄化部材と、該浄化部材によって浄水処理が施された水を取り出すための取出部と、を具備する浄水カートリッジと、
を備え、前記取出部から取り出された水を、前記吐水口を通じて吐水可能な水栓であって、
前記カートリッジ挿入部には、前記浄水カートリッジに対して前記カートリッジ挿入部の外側に向かう付勢力を負荷するための付勢手段が配設され、
前記吐水口部材には、前記付勢力の負荷された浄水カートリッジを前記カートリッジ挿入部の内側に向かって押圧するための押圧部が設けられることを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記付勢手段は、前記カートリッジ挿入部の内壁部と、前記浄水カートリッジとの間に介在されるコイルスプリングであることを特徴とする請求項1に記載の水栓。
【請求項3】
前記吐水口部材は、前記吐水支持部材に対して螺合接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の水栓。
【請求項4】
前記取入部が前記浄水カートリッジの外周部に設けられることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の水栓。
【請求項5】
前記吐水支持部材は、前記水栓ボディから突出する状態に配設され、
前記水栓ボディ内には、給湯源に連絡される給湯路と給水源に連絡される給水路とが形成されると共に、前記給湯路を通じて供給される湯と前記給水路を通じて供給される水とを所定の混合割合にて混合し、排出口を通じて排出可能な混合弁が配設され、
前記排出口及び前記吐水口を連絡するための原水用の通水路と、前記給水路及び前記取入部を連絡するための浄水用の通水路と、が別々に設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−267028(P2008−267028A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112707(P2007−112707)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000242378)株式会社ケーブイケー (130)
【Fターム(参考)】