説明

水系顔料分散液及び水系顔料インクの製造方法及びこれを用いた記録装置、記録物

【課題】 温度条件変化によらず物性の変化及び/又は多量の凝集異物を発生することのない分散安定な、インクジェットプリンタ用に好適な水系顔料分散液及び水系顔料インクを提供する。
【解決手段】 少なくとも顔料と酸価が90以下のアルカリ可溶型樹脂分散剤と水とを含有する水系顔料分散液及び水系顔料インクを加熱処理することにより、分散安定な水系顔料分散液及び水系顔料インクを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記録方法及び装置用の水系顔料インク及びその製造方法、並びに前記水系顔料インクの原料である水系顔料分散液に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェットプリンタ用インクの着色剤として染料が用いられているが、耐光性や耐水性等堅牢性に劣るという課題がある。これらの課題を解決するため堅牢性に優れる顔料の利用について多々検討されている。
【0003】しかし、顔料は染料と異なり水不溶性であるため、顔料を水中に微粒子状で安定に分散することが重要であるが、この分散は必ずしも簡単ではない。
【0004】特に、顔料分散系に対する温度条件が変化すると分散剤の顔料への吸着平衡がくずれ、これが顔料粒子同士の相互作用に影響を及ぼし、長期の保存において物性の変化及び/又は多量の凝集異物を発生することが多々ある。
【0005】インクジェットプリンタ用インクにとって、こうした物性変化(特に、粘度の変化)及び/又は多量の凝集異物の発生は致命的である。これらは、インクジェットヘッドにおける特性の変化及び/又は吐出ノズルの目詰まりを起こすため、適正な印字が不可能となってしまうからである。
【0006】これまで、凝集異物の対策として、例えば、特開平3−64376号公報では顔料インクを50℃で100〜500時間加熱処理することにより、長期保存下にて発生する凝集異物を予め取り除く方法が提案されている。しかし、顔料インク分散系をこれほどの長時間にわたって加熱すると分散系自体の劣化をも促進してしまうため、凝集異物を取り除くことができても、顔料インクの全体的な物性変化(すなわち、劣化)を招いていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記課題を解決するものであり、温度条件の変化によらず物性の変化及び/又は多量の凝集異物を発生することのない分散安定な、インクジェットプリンタ用に好適な水系顔料分散液及び水系顔料インクを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の欠点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、或る特定の水系顔料分散液(又はそのような水系顔料分散液を使用して調製した水系顔料インク)を加熱処理すると、劣化を伴わずに、温度条件変化に対して安定な水系顔料分散液及び水系顔料インクを得ることができることを見出した。
【0009】本発明は、少なくとも顔料と酸価が90以下のアルカリ可溶型樹脂分散剤と水とを含有する水系顔料分散液を加熱処理することを特徴とする、水系顔料分散液の製造方法に関する。
【0010】前記の水系顔料分散液の製造方法の好ましい態様においては、前記加熱処理を65〜75℃の温度で20〜50時間行う。
【0011】更に、本発明は、少なくとも顔料と酸価が90以下のアルカリ可溶型樹脂分散剤と水とを含有する水系顔料分散液を加熱処理してなることを特徴とする、水系顔料分散液にも関する。
【0012】前記の水系顔料分散液の好ましい態様においては、前記加熱処理が65〜75℃の温度で20〜50時間の処理である。
【0013】更にまた、本発明は、少なくとも顔料と酸価が90以下のアルカリ可溶型樹脂分散剤と水とを含有する水系顔料インクを加熱処理することを特徴とする、水系顔料インクの製造方法に関する。
【0014】前記の水系顔料インクの製造方法の好ましい態様においては、前記加熱処理を65〜75℃の温度で20〜50時間行う。
【0015】更にまた、本発明は、少なくとも顔料と酸価が90以下のアルカリ可溶型樹脂分散剤と水とを含有する水系顔料インクを加熱処理してなることを特徴とする、水系顔料インクにも関する。
【0016】前記の水系顔料インクの好ましい態様においては、前記加熱処理が65〜75℃の温度で20〜50時間の処理である。
【0017】更にまた、本発明は、インクの液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクとして、前記の本発明による水系顔料インクを用いることを特徴とする、インクジェット記録方法にも関する。
【0018】更にまた、本発明は、前記の本発明による水系顔料インクを用いる前記インクジェット記録方法によって記録された、記録媒体にも関する。
【0019】更にまた、本発明は、インクの液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録装置であって、前記インクとして、前記の本発明による水系顔料インクを用いることを特徴とする、記録装置にも関する。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明による水系顔料分散液は、少なくとも顔料と酸価が90以下のアルカリ可溶型樹脂分散剤と水とを含有する。
【0021】本発明においては、顔料として、インクジェット記録方法に通常使用されている任意の無機顔料及び/又は有機顔料を用いることができる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン及び酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネスト法、又はサーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを利用することができる。また、有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、又はキレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ベリレン顔料、ベリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、又はキノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを利用することができる。
【0022】特に具体例としては、イエロー顔料として、C.I.ピグメントイエロー74、109、110、138、マゼンタ顔料として、C.I.ピグメントレッド122、202、209、シアン顔料として、C.I.ピグメントブルー15:3、60、ブラック顔料として、C.I.ピグメントブラック7、オレンジ顔料として、C.I.ピグメントオレンジ36、43、グリーン顔料として、C.I.ピグメントグリーン7、36等を用いることができる。
【0023】上記顔料のインク中における濃度は、0.1〜10重量%が好ましい。
【0024】顔料の粒径は、累積平均径が好ましくは20nm〜250nmであり、より好ましくは50nm〜200nmである。
【0025】分散剤としては、前記のとおり、酸価が90以下のアルカリ可溶型樹脂分散剤を用いる。ここで、「酸価」とは、アルカリ可溶型樹脂分散剤中に含まれる遊離脂肪酸1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数をいう。本発明で用いるアルカリ可溶型樹脂分散剤の酸価は、好ましくは70以下、より好ましくは60以下である。酸価が90を越えるアルカリ可溶型樹脂分散剤を用いると、加熱処理時に分散破壊を起こすことがある。
【0026】アルカリ可溶型樹脂分散剤は、アルカリ性条件下で水溶性を示す任意の樹脂分散剤を意味する。本発明で用いることのできるアルカリ可溶型樹脂分散剤としては、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのアクリル系樹脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのスチレン−アクリル酸樹脂;スチレン−マレイン酸;スチレン−無水マレイン酸を挙げることができる。これらの共重合体の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜30,000、より好ましくは5,000〜15,000である。
【0027】また、分散剤として好ましい界面活性剤の例としては、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホ琥珀酸エステル塩、ナフテン酸塩、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤;脂肪酸アミン塩、第四アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウムなどのカチオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などのノニオン性界面活性剤などを挙げることができる。
【0028】これらの分散剤の添加量は、顔料1重量%に対して、好ましくは0.06〜3重量%の範囲、より好ましくは0.125〜3重量%の範囲である。
【0029】本発明による水系顔料分散液は、例えば、以下の方法によって調製することができる。
【0030】最初に、顔料と界面活性剤との比率を決定する。それは、顔料と水との混合物をビーズミルにて分散しながら、界面活性剤を10%程度の濃度で含む水溶液を徐々に添加して、粒径が小さくなると同時に最も粘度の低くなった比率に決定する。なお、ビーズミルで分散する場合に、泡の発生を抑制するために少量の消泡剤を添加するのが好ましい。
【0031】顔料と界面活性剤の比率を決定した後、顔料と界面活性剤と水との混合物を分散機で分散する。分散機としては、例えば、微細オリフィス内で超高速に加速して顔料同士を衝突させ分散するナノマイザー(ナノマイザー株式会社製)等を使用することができる。こうして得られた分散液に、前記のアルカリ可溶型樹脂分散剤を当量の中和剤(例えば、アルカノールアミン)で中和した水溶液を加え、約20〜40時間にわたり室温(25℃)付近にて撹拌する。顔料とアルカリ可溶型樹脂分散剤との比率(アルカリ可溶型樹脂分散剤/顔料)は、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは15〜25重量%であることができる。こうして得られた水系顔料分散液を加熱処理することにより、優れた分散安定性を有する本発明の水系顔料分散液を得ることができる。
【0032】加熱処理の加熱温度は、好ましくは65〜75℃、より好ましくは68〜72℃であり、加熱時間は、好ましくは20〜50時間、より好ましくは25〜35時間である。加熱温度が65℃よりも低いと安定化が不充分となることがあり、75℃を越えると、分散破壊を起こすことがある。また、加熱時間が20時間未満であると安定化が不充分となることがあり、50時間を越えると、分散破壊を起こすことがある。
【0033】こうして得られた本発明による水系顔料分散液に、後記インク組成分(例えば、湿潤剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐/防カビ剤等)を加え、1〜3時間にわたり、20〜30℃にて撹拌することにより、本発明による水系顔料インクを得ることができる。
【0034】本発明のインク組成分としては、その湿潤剤を含んでなるのが好ましい。湿潤剤の好ましい例としては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられ、特にエチレンオキサイド基を有するものが好ましく、ジエチレングリコールが最も好ましい。更に、これらの湿潤剤に加えて、低沸点有機溶剤を更に添加するのが好ましい。低沸点有機溶剤の好ましい例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。特に一価アルコールが好ましい。
【0035】これらの湿潤剤の添加量はインクの0.5〜40重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲が適当である。また、低沸点有機溶剤の添加量はインクの0.5〜10重量%、好ましくは1.5〜6重量%の範囲が適当である。
【0036】本発明のインクは、界面活性剤を含むことができる。好ましい界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、ノニオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)を挙げることができ、これらを単独又は二種以上を混合して用いることができる。また、アセチレングリコール〔オレフィンY、並びにサーフィノール82、104、440、465、485、及びTG(いずれもAir Productsand Chemicals Inc.製)〕系界面活性剤を用いることも可能である。
【0037】また、本発明においては、水系顔料分散液に対して前記の加熱処理を実施しない未加熱処理水系顔料分散液を用いて、前記インク組成分を加え、1〜3時間にわたり、20〜30℃にて撹拌することにより、水系顔料インクを調製し、その後で、前記本発明水系顔料分散液と同様の加熱処理を行うことにより、本発明の水系顔料インクを得ることができる。すなわち、前記の未加熱処理水系顔料インクに対する加熱処理の加熱温度は、好ましくは65〜75℃、より好ましくは68〜72℃であり、加熱時間は、好ましくは20〜50時間、より好ましくは25〜35時間である。
【0038】前記加熱処理を実施した水系顔料分散液から水系顔料インクとする場合、あるいは未加熱処理水系顔料分散液を用いて調製した水系顔料インクに対して前記加熱処理を実施した水系顔料インクの場合のいずれにおいても、水系顔料インクの調製後に、金属フィルター、メンブレンフィルター等を用いた減圧/加圧濾過や遠心分離機による遠心濾過を行い、粗大粒子、異物(ほこり・ごみ)等を除去するのが好ましい。
【0039】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例において、%は、特に断らない限り、重量%である。
【0040】(実施例1)
《水系顔料分散液の調製》以下の組成分を用いた。
【0041】
カーボンブラックMA7(三菱化成株式会社製) 20% ポリオキシエチレンアセチルエーテル(日光ケミカルズ製) 5% 消泡剤(サーフィノール440 1%水溶液 Air Products and Chemicals Inc.製) 30% 純水 45%上記の各配合成分を撹拌下で混合した後、ナノマイザーにて分散した。次に、アルカリ可溶型樹脂分散剤〔スチレン−アクリル酸共重合体(酸価=60)〕を当量のトリエタノールアミンで純水に20%濃度で溶解した水溶液を、前記の分散液に、アルカリ可溶型樹脂分散剤の濃度が15%になる量で加え、30時間室温(25℃)にて撹拌した後、70℃の温度で20時間加熱処理し、遠心分離機による遠心濾過を行って粗大粒子やごみを除去して、水系顔料分散液を得た。
【0042】(実施例2)
《水系顔料インクの調製》実施例1で調製した未加熱処理水系顔料分散液を用い、以下に記載のその他のインク組成分を加えた。
【0043】
その他のインク組成分: グリセリン 20% トリエタノールアミン 0.5% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10% オルフィンE1010(日信化学株式会社製) 1% ベンゾトリアゾール 0.05% 純水 48.45%実施例1で調製した未加熱処理水系顔料分散液に、上記のその他のインク組成分を加え、1時間程度室温(25℃)にて撹拌した後、そのインクを70℃の温度で20時間加熱処理し、5μmのメンブランフィルターで加圧濾過を行い粗大粒子やごみを除去して、水系顔料インクを得た。
【0044】(実施例3〜8及び比較例1〜4)下記の表1及び表2に記載の組成分を用い、その他実施例3〜8及び比較例1〜4の水系顔料分散液、水系顔料インクを上記実施例1及び2に準じて得た。なお、下記の表1及び表2には、実施例1及び2も併せて記載した。
【0045】
【表1】


【0046】
【表2】


【0047】(水系顔料分散液及び水系顔料インク評価)上記各水系顔料分散液及び水系顔料インクについて、以下の評価を行った。
【0048】(1)保存安定性各水系顔料分散液及び水系顔料インクを加温条件下(60℃)にて6日間放置した後の粘度変化を以下の3段階で評価し、その結果を表3に示す。
【0049】放置前の粘度(20℃)との変化量について以下の基準にて判断した。
A:粘度変化量0.2mPa・s未満。
B:粘度変化量0.2mPa・s以上0.5mPa・s未満。
C:粘度変化量0.5mPa・s以上。
【0050】(2)吐出安定性各水系インクを加温条件(60℃)下にて6日間放置した後の吐出安定性、及び室温(25℃)下で6ヶ月放置した後の吐出安定性を評価し、その結果を表3に示す。
【0051】表1の水系顔料分散液については、表2のインク組成分を加え、その後の加熱処理はなしで、実施例2に準じて得た水系顔料インクについて評価を行った。
【0052】評価機としてMJ8000C〔セイコーエプソン(株)製〕を用い、そのインクカートリッジに上記各インクを充填し、実際に印字操作を行った。印字操作は、キャラクターとグラフィックが混在するパターンをA4紙に連続1000枚印字するものである。
【0053】評価判断として、その印字の間での曲がりや抜けの発生を観察し、それが発生する毎にクリーニング操作を行って回復させ、そのクリーニング回数をもって吐出安定性を判断した。評価判断は以下の基準とした。
評価A:曲がり及び抜け回復クリーニング回数2回以内。
評価B:曲がり及び抜け回復クリーニング回数3回以上。
評価C:曲がり及び抜け回復せず(多量の凝集異物発生)。
【0054】以上の評価結果は表3に示されるとおりであった。
【0055】
【表3】


【0056】
【発明の効果】本発明によれば、特定の水系顔料分散液(又はその特定の水系顔料分散液から調製した特定の水系顔料インク)を加熱処理することにより、劣化を伴わずに、温度条件変化に対して安定な水系顔料分散液及び水系顔料インクを得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも顔料と酸価が90以下のアルカリ可溶型樹脂分散剤と水とを含有する水系顔料分散液を加熱処理することを特徴とする、水系顔料分散液の製造方法。
【請求項2】 前記加熱処理を65〜75℃の温度で20〜50時間行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】 少なくとも顔料と酸価が90以下のアルカリ可溶型樹脂分散剤と水とを含有する水系顔料分散液を加熱処理してなることを特徴とする、水系顔料分散液。
【請求項4】 前記加熱処理が65〜75℃の温度で20〜50時間の処理である、請求項3に記載の水系顔料分散液。
【請求項5】 少なくとも顔料と酸価が90以下のアルカリ可溶型樹脂分散剤と水とを含有する水系顔料インクを加熱処理することを特徴とする、水系顔料インクの製造方法。
【請求項6】 前記加熱処理を65〜75℃の温度で20〜50時間行う、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】 少なくとも顔料と酸価が90以下のアルカリ可溶型樹脂分散剤と水とを含有する水系顔料インクを加熱処理してなることを特徴とする、水系顔料インク。
【請求項8】 前記加熱処理が65〜75℃の温度で20〜50時間の処理である、請求項7に記載の水系顔料インク。
【請求項9】 インクの液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクとして、請求項3又は7に記載の水系顔料分散液又は水系顔料インクを用いることを特徴とする、インクジェット記録方法。
【請求項10】 請求項9に記載の記録方法によって記録された、記録物。
【請求項11】 インクの液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録装置であって、前記インクとして、請求項3又は7に記載のインクを用いることを特徴とする、記録装置。

【公開番号】特開2000−345093(P2000−345093A)
【公開日】平成12年12月12日(2000.12.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−161294
【出願日】平成11年6月8日(1999.6.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】