説明

水素を直接発生し、収集するための光電池

公知の光電池は水に包囲され、蓄積された日光により放射され、横方向の電流を集める部品のない光電気化学的に活性な光電池構造を有する。しかし前記光電池構造は腐食にきわめて弱く、製造される分解ガスを分離しなければならない。光の発生が片側からのみ起きる。本発明の光電池には自立する光電池膜(PM)が用意され、これをとおり電気分解電流が流れ、前記膜が包囲する水を2つの別々の水室(WKA、WKK)に分割する。一方の水室(WKA)で酸素が製造され、他方の水室(WKK)で水素が製造される。2つの室は日光に照射される。水室(WKK)に活性光電池構造(PVS)が水素を生じるために、特に簡略化されたCIS太陽電池の形で配置される。前記光電池膜(PM)は両面に導電性かつ光透過性二酸化チタン層(TS)が被覆されている。2つの二酸化チタン層(TS)は材料に関して変性され、酸素触媒特性および水素触媒特性を有する。有利に光電池膜(PM)は柔軟であり、軸方向の隔壁として柔軟な管(S)に組み込まれ、前記管は光透過性充填物(LE)を有し、簡単に光を集め、燃料を集める構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は横方向に電流を収集する部品を有しない、水により包囲され、少なくとも一方の面から収集された日光で照射された光電化学的に活性な光電池構造を有する容器中で電気分解流により水素を直接発生し、収集するための光電池に関する。
【0002】
電気分解の際に流動する電流により水が分離する。この水の分離はまず環境に優しい燃料として水素を発生するために行う。2つの電極の間の電流の流れによる典型的な電気分解のほかに炭化水素のリホーミングまたは水の熱分解を水素の製造のために使用する。新しい一次エネルギーおよび環境を損なわない方法は例えば遺伝的に変動した藻類の栽培または本発明に重要な直接的水素電気分解であり、この場合に太陽電流を中間製造および中間貯蔵せずに太陽エネルギーを直接使用する。この場合に天然の光合成膜を手本として使用し、電気現象を燃料の製造に使用するが、電流でなく、一次燃料が集まる。このカスケード系において、2つの異なる光反応、まず光電池反応、引き続き光触媒反応が続いて起きる。この直接的水素電気分解の工業的反応のために、一般に多くの太陽電池を連続して接続し、必要な分解電圧を達成する。セル表面に金属触媒が被覆され、触媒に接触して水が分離する。光電化学的(PEC)太陽電池として例えば異なる波長を吸収する種々のセルタイプのスタック(例えばタンデムソーラーセル)を使用し、これにより入射した日光が個々の電池より良好に利用される。種々の半導体、特にアモルファスシリコンが研究中であるが、このシリコンはかなり費用を節約できるが、効率が最大13%であり、安定性が制限される。他の種類はガリウム−インジウム−二リン酸塩またはヒ化ガリウムであり、これらは高い効率(25%より高い)を示すが、明らかに高い費用を示す。この技術は将来水素のより安い製造を可能にできるが、なお腐食の問題を解決すべきである。太陽電池は、特に電気的接触が電解質(酸または塩基)の作用下に急速に老化する。太陽電池層構造の費用のかかる封止は一般に実施できる解決でない。
【0003】
本発明の出発点である技術水準は、刊行物I、O.Khasalev und J.A.Turner、A monolithic Photovoltanic Photoelectrochemical Device for Hydrogen Production via Water Splitting(SCIENCE Vol.280、1998年4月、425−427)に記載される。ここで議論される水の分離により水素を製造するための光起電力光電化学的光電池においてソーラータンデム電池の例によりp−ガリウム−インジウム−二燐化物層を片面が日光に照射される電気化学的活性層として緩衝層を介してp−n−ヒ化ガリウム太陽電池と連続して接続する。太陽電池の下側の透明な金属層を抵抗接触体として用いる。太陽電池の上側の電流を集める部品は光電流の直接的利用により必要でない。全部のタンデム光電池構造が水により包囲される。金属層に対して白金表面が水中に金属アノードとして配置され、この間に電流が貫流する電気分解領域が形成される。この光電池から生じる光電圧は、電気分解領域で水が分離するために十分である。しかし使用される表面は電解質に対して十分に耐腐食性でなく、有毒である(太陽電池)かまたは特に高価である(金属アノード)。
【0004】
刊行物II、S.Licht等、Efficient Solar Water Splitting Exemplified by RuO−Catalyzed ALGaAs/Si Photoelectrolysis(J.Phys.Chem.B2000、104、8920−8924)から、光電池構造が水の外部に配置されている他の光電池が公知である。電気分解領域は白金電極と二酸化ルテニウム電極の間に存在し、この2つは光電池構造から水に到達する。同様に電流を集める部品を有しない光電池構造のソーラー電池層構造は水表面に平行に配列され、ソーラー電池層構造の上側からかなり小さい入射領域で日光の照射が行われる。この光電池においては光電池構造の腐食しやすい半導体層が水の外部に配置されるが、それにもかかわらず毛管力および大気湿度により強い腐食の危険にさらされている。ここで有効な保護は知られていない。更に水中に高価で手間をかけて製造される電極を使用する。生じる分離ガスの分離および収集に関して2つの刊行物にはより詳しい情報を与えない。
【0005】
従って本発明の課題は、冒頭に記載された形式の光電池を、使用される光電池構造の腐食安定性が最適であり、環境に優しく費用が安い材料を使用することができるように形成することを見出すことである。全体として本発明の光電池はできるだけ簡単でコンパクトであるべきであり、費用のかかる電気分解電極系を有するべきでない。更に得られる分離ガスの簡単な分離を可能にすべきである。
【0006】
従って、本発明により、前記課題の解決手段として、水により包囲され、少なくとも一方の面から集められた日光が照射する光電化学的に活性な光電池構造を有する容器中で電流を集める部品なしに電気分解流により水素を直接発生し、収集するための冒頭に記載の形式の光電池において、光電池構造が、組み込まれたプロトンロックを有する電気分解流が貫流する、自立する光電池膜として形成され、前記構造が包囲する水を容器に対して2つの別々の水室に分け、両面に導電性および光透過性二酸化チタン層が被覆され、その際材料技術的変性により二酸化チタン層が一方の面で酸素触媒特性を示し、他方の面で水素触媒特性を示し、光電池膜が相当する光の供給により両面から日光で照射されることが提案される。
【0007】
本発明による光電池は貫通する電気的に有効な、機能性構造を有する光電池膜の形の最適化された光電池構造を有し、前記構造の燃料を製造する表面が材料技術的に変性された二酸化チタンからなり、前記二酸化チタンは水性電解液中で熱力学的に安定であり、これにより完全に腐食に安定である。その際電気的に活性な二酸化チタンは環境に優しく、廉価な生成物であり、高価な貴金属の使用に対して重要な費用の節約を生じる。二酸化チタンは毒性がなく、問題なく使用できる。光電池構造に、例えばスパッタリングできる光活性層もしくは窓層として作用する二酸化チタン層は、封止作用せず、自体光活性である。二酸化チタン層はアノード側(酸素発生)ですでに製造可能な光電圧の大きな寄与を生じることができる。更に安定な表面を有する本発明の光電池は寸法がきわめてコンパクトであり、それというのも光電池膜がそれ自体導体および触媒を同時に形成し、電気分解循環を隣接する水室およびプロトンロックにより直ちに閉鎖する。電気分解領域を形成するための互いに間隔をおいた電極を有する別の電気分解系が必要でなく、付加的な電解質中で電気分解が行われない。生じた電気分解流は光電池膜の全部の平面に、カソード側(水素発生)からアノード側に流動する。光電池膜に組み込まれたプロトンロックはアノード側からカソード側へのプロトンの移動を配慮し、アノード側で酸素の製造の際にプロトンが遊離し、カソード側で水素製造のためにプロトンが使用される。本発明の光電池は更に自立する光電池膜を両面から同時に集めた日光で照射することにより水素分離の際に高い効率を達成する。このために相当する光導体を使用し、光導体は種々の変形で実施することができる(更に以下参照)。この場合に最も簡単な場合は相当して形成され、配置されるコレクターおよびリフレクターである。従って日光は酸素触媒作用する二酸化チタン層および直接電気分解流を推進する組み込まれた光電池構造およびこの上に存在する水素触媒作用する二酸化チタン層に到達する。
【0008】
更に本発明の光電池の光電池膜はきわめて簡略化された構造を有する太陽電池の形の光電池構造のみを有し、これにより有毒な物質の使用が回避されるかまたは最小に減少する。太陽電池の場合に一般に使用されるような、構造化に手間がかかり、腐食しやすい電流を集める部品が同様に使用されない。横方向の電流の収集のこの排除により被覆層の高い導電性がもはや必要でなく、かなり導電性が劣る二酸化チタンを問題なく使用できる。太陽電池の場合に、電流を集める部品のために、一般に導電性が良好であるが、有毒な、腐食に不安定な酸化亜鉛を使用する。直接燃料を製造するために必要な2つの変性した二酸化チタン層の間の光電圧は本発明において容易に達成される。更に本発明の光電池において容器中の構造的隔壁として光電池膜の系の最適化により簡単なやり方で2つの別々の水室が生成し、この中でそれぞれ異なる材料技術的に変性された二酸化チタン層によりそれぞれ他の分解ガスが生じる。従って分離して生じた分解ガスの排出は問題がなく、他の分離手段を必要としない。
【0009】
特に水を分離する際の光アノードとしての光触媒特性による、光電池の分野での二酸化チタン層の使用は技術水準から一般に知られており、集中した研究の対象である。その際二酸化チタン(TiO)の変性能力が特に重要である。従って本発明の実施態様により、酸素触媒特性を有する材料技術的に変性された二酸化チタン層に窒素、硫黄、または炭素またはこれらの組合せがドープされているおよび/または水素触媒特性を有する二酸化チタン層にニッケルモリブデン粒子または同様の作用をする水素触媒またはこれらの組合せが組み込まれている場合が有利である。窒素、硫黄または炭素での二酸化チタンのドーピングにより二酸化チタンのスペクトル感光性が高まり、感光性が近紫外線から短波の可視領域まで拡大することができる。2つのドーピング手段により水素もしくは酸素を発生するための二酸化チタン層の触媒能力をそれぞれ著しく高めることができ、十分な数の陽子および電子により水素を多くの量で製造することができる。更にドーピングされていない二酸化チタンが可視光線を吸収できないことは公知であり、従って白い光を散乱する着色顔料として良好に使用できる。すでに日光からの可視でない部分をドーピングされていない二酸化チタンに太陽電流を生じるために利用できるにもかかわらず、電流収率を更に高めるために、次の本発明の実施態様により二酸化チタン層に光活性着色顔料が組み込まれている場合がなお重要である。なお他の場合により更に研究する際にはじめて探求される変性を取り入れることができるこの前記手段により、本発明に使用される二酸化チタンは主に水素を発生する意図された目的のために光電池構造の腐食保護を同時に確実にして優れた特性を達成する。
【0010】
しかし技術水準から公知の二酸化チタン層は従来被覆としてのみ使用され、本発明のような自立する光電池膜に使用されない。しかし自立特性により、本発明による光電池において安定する手段および節約する手段を省くことができ、簡単で良好に入手できる構造を実現できる。その際特に次の本発明の1つの構成により光電池膜が柔軟に形成されることが用意されている場合が特に有利である。これにより別々に分解ガスを製造するためにほとんど任意の形状の水室の構成を実現することができ、これを明細書でなお詳細に説明する。しかし柔軟な光電池膜の内部安定化のために、次の本発明の構成により光電池膜が特にチタンからなる中心の柔軟な支持体フィルムを有することが用意されていてもよい。これは光不透過性であり、2つの触媒領域を分離する。チタンを使用するために、すでに記載された重要な利点が適用される。その際本発明のために光電池膜を製造する場合に使用すべき材料の数を最小にできることが有利である。前記膜の柔軟化の際に、光電池構造として膜に取り入れる著しく簡略化された太陽電池の選択も相当して省くことができる。次の本発明の1つの構成により組み込まれた光電池構造は特に簡略化された銅−インジウムセレニド/スルフィドタンデム太陽電池(CIS)またはアモルファスまたは結晶質シリコン太陽電池を利用して薄層太陽電池からなることができる。この種の薄層太陽電池は良好な柔軟性を有する。その際次の本発明の1つの構成により、タンデム薄層電池またはシリコン太陽電池に一般的な酸化亜鉛窓層の代わりに二酸化チタン層を使用し、電流を集める部品を除去する場合に、従来の、従って商業的に簡単で廉価に購入できる太陽電池を有利に使用できる。
【0011】
本発明による光電池における光電池膜の柔軟性が特に重要であり、それというのもこの特性により特に有利な光および燃料を集める構造を有する特定の系の最適化を実現できるからである。本発明の1つの有利な構成により、有利に柔軟な光電池膜が軸方向に延伸する隔壁として容器として任意の長さの柔軟な管に配置され、前記管が光導体として軸方向に光電池膜の上側に伸びる柔軟な光透過性充填物を有することが用意され、その際光電池膜が下で管壁によりおよび上で光透過性充填物により2つの別々の水室を形成して遮断され、その際管が連続的に2つの水室に水を同じ方向に貫流し、光電池で生じる分解ガスをガス交換器に一緒に導く。この手段によりきわめて高価な、材料の製造に実用的でない材料を有する文献(刊行物IおよびII参照)での従来のまさに理論的な取り付け部品に比べて更に重要な進歩が達成できる。これに対してこの種の光および燃料を集める管構造は直接的電気分解の際に使用される材料を最適なやり方で実用的な太陽エネルギー変換に使用することができる形状の1つのきわめて実用的な同時の規定および決定である。このために燃料を製造する光電池膜は長さと同様に正確に直径をほとんど任意に決定できる柔軟な管に組み込まれ、ここでいわば全部の管の長さにわたり2つの水室の間に分離壁が形成され、水室はなお管および光透過性充填物により分けられている。日光が、1つの実施例により有利に円形切片状横断面を有する単一の廉価なプラスチックレンズとして形成されていてもよい柔軟な光透過性充填物を通過して管内部に侵入し、両面から光電池膜に入射し、管を流れる水中でそれぞれの分解工程を大きな面積で活性化する。この水は引き続き別々に生じるガスを同時に閉鎖すべきガス交換器に搬送し、ガス交換器は中間貯蔵器と結合していてもよい。従って本発明において最適な製造工程、搬送工程および貯蔵工程が安全で簡単な形で保証される。燃料を製造する組み込まれた光電池膜を備えた燃料管の寸法は大きくても小さくてもよい。しかし太陽による電流と燃料の取得のための従来の技術と比較して、本発明による光電池のこの実施態様において材料および装置の消耗は明らかに減少する。更に製造技術が完全に変性され、ケーブル製造技術に実質的に依存する。これにより費用を減少するための付加的な可能性が開かれる。一般的な太陽電池の場合のような金属からなる電流を集める部品が存在しないので、腐食および短絡工程を生じることがない。それにもかかわらず組み込まれた光電池膜の個々の微視的な領域が腐食する場合に、この領域は光電池の機能に影響せずに維持され、燃料の製造が維持される。燃料管を有する提案された技術は戸外で実現できるので、場合により存在する漏出口から排出される水素は自由な排出を保証して考慮できない危険の可能性が生じることなく直接大気におよび宇宙に排出することができる。記載された管技術の他の利点は、使用される材料の負荷限界まで任意の高い光濃度を管構造に導くことができることにあり、それというのも限定する電流の収集が行われないからである。その際本発明の1つの構成により有利に照射する日光が他の光導体として集光器により光電池膜に導かれる。更に管内を流動する水が光電池膜を冷却するかもしくは高い水温が水の分離をエネルギーにより促進する。使用される材料はCIS太陽電池の使用の際に場合により存在する少量のインジウムを除いて危険がなく、豊富に存在する。更に容易に将来的に選択的な光電池構造、特にタンデム光電池構造を本発明により光電池の二酸化チタンで保護された光電池膜に組み込むことができる。
【0012】
燃料電池管を使用する場合に、次の本発明の1つの構成により光電池膜に規則的な間隔でフォトンロックとして膜部品を配置し、フォトンロックが管内に形成され、きわめて長く延びた2つの水室の間のフォトン交換を確実に保証することにより、フォトンロックによりフォトンの返送が実現できる。きわめて長く延びた光電池膜への両面の光の入射を改良するために、更に次の本発明の1つの構成により、管が内側に2つの分離した水室の領域に他の光導体として光を反射する表面を有することがなお用意される。管内面に光を透過する充填物により生じる日光は光電池膜の方向に反射し、これを利用する。次の本発明の1つの構成により水の腐蝕に耐える二酸化珪素層が被覆されているアルミニウム層として光を反射する表面が形成される場合に、石灰の沈積から管内面を同時に保護する良好に廉価にかつ簡単に製造すべき反射層が与えられる。二酸化珪素層は更に本発明の光電池の他の構成により管が内面に分離した水室の領域に、他の光導体として有することができるウィンストン状コレクター構造のための最適な下地を形成する。この特別のコレクター構造は湾曲を有して延び、湾曲が入射する全部の日光を確実に光電池膜に反射し、部分的に利用されずに光透過性充填物により管を再び離れない。この簡単な手段により太陽エネルギーを水電気分解に変換する場合に本発明による光電池の効率を更に上昇できる。
【0013】
光電池の柔軟な構成は前記の装置の構想の場合に特に有利である。これにより管が直線だけでなく任意に湾曲して設定できる。その際設定の場合に光透過性充填物が管内に常に日光の方向に示されることは自然に理解される。次の本発明の1つの構成により柔軟な光電池膜を使用する場合に、管が任意に形成されたパネルに、特に平面状管螺旋の形で形成されることが有利に用意される場合に、特に好ましい場所を節約する配置が生じる。この種のパネルは簡単に取り扱うことができ、簡単に移送し、装置状に取り付けられる。直接的管の設定は容易に可能である。その際螺旋状の構成の場合に許容できる管の湾曲半径を有する特に有利な場所の利用が得られる。その際管は中心から半径方向にまたは大きい内部リングの後方に反対に螺旋状に戻ることができる。平面での管の設定は最大の日光の入射に関して最も有利であるが、空間的交差に対して最適な設定構造および返送構造を達成することができない。
【0014】
光および燃料を集める管構造は取り付けが特に簡単で廉価であり、完全に柔軟な大きさであり、設定の形が個々の適用事例に適合する。管を通過して流れる水が分解ガスを直ちにガス交換に移送する。管を貫流する場合に水が日光の入射により強く加熱する。次の本発明の構成により管を貫流する水が組み込まれた熱交換器に導かれる場合が重要である。この方法で太陽エネルギーにより製造した熱を回収し、再利用できる。本発明による光電池は水素と酸素を発生するために基本的に適しており、その際これらの分解ガスを有利に組み込まれた燃料電池に有利に供給できる。水素を製造する代りに、組み込まれた光電池膜の還元カソード側で相当する他の変性したチタンベースカソード表面により酸素を過酸化水素に還元できる。この場合に製造した過酸化水素を使用して例えば汚染されていない化学物質を有する水を処理し、中和することができる。製造した水素を更に反応させることができ、他の水素担体の形で化学結合した水素を本発明により同じ装置形状の光電池で得ることができる。
【0015】
組み込まれた光電池膜を有する本発明の光電池の構成を以下の図面により詳細に説明する。
【0016】
図1は水を充填した容器B中の本発明による光電池PSの光電池膜PMの原理図の縦断面図を示す。光電池膜PMは自立し、横方向の電流を集める部品を有しない。光電池膜は容器B中の水を2つの分離した水室に分割し、そのうちの左側(L)、アノード水室WKAは酸素の発生に利用し、右側(R)、カソード水室WKKは水素の発生に利用する。フィルム厚さ例えば0.2mmを有するチタンTiからなる支持体フィルムTF上に右側にカソード水室WKKに向かって電流を集めない光電池構造PVSが被覆され、この構造は図示された例ではモリブデンMoからなる金属フィルムMF、CuInS−太陽電池CISおよび透明な緩衝層PUの層構造から形成される。光電池膜PMは両側で光透過性二酸化チタン層TSにより覆われ、二酸化チタン層は光電池構造PVSの腐蝕保護および触媒作用に用いる。アノード水室WKAで二酸化チタン層TSは酸素触媒として機能し、スペクトル感光性を改良するために窒素N、硫黄Sまたは炭素Cがドープされる。カソード水室WKKで二酸化チタン層TSは水素触媒として使用され、水素遊離のための触媒能力を改良するために、ニッケルモリブデン粒子Ni−Moがドープされる。光活性二酸化チタン層TSの感光性を更に改良するために、二酸化チタン層は更に光反応性顔料粒子がドープされる。光電池膜PMは両側から日光が照射し、光電池構造PVSに日光が片側から入射する。光の供給は図3を参照。光電池膜PMは上側領域になおフォトンをカソード水室WKKに運ぶためのフォトンロックPRSを有する(図1には矢印により示される)。
【0017】
図2は電子エネルギーeVに関する光電池膜PMのエネルギー図(左軸)および規格化された水素電極(NHE)に関する電位(右側)を示す。アノード水室WKAでは水を酸素イオンと水素イオンに分離する。酸素を取り出し、遊離した電子が電子流として光電池膜PMを移動し、光電池膜の光電池構造PVSの領域で光の入射により光電位が生じ、この電位は太陽流を付加的に動かす。右側の水室WKKでは水素を発生する(それぞれ化学反応式により示される)。
【0018】
図3には光および燃料を集める管構造の横断面図が示される。柔軟な管S内に柔軟な光電池膜PMが分離壁として配置される。管Sはほとんど任意の長さであり、全部の長さにわたり二酸化チタン表面を有する分離する光電池膜PMを有する。管Sは上側領域に柔軟な光透過性充填物LEを有し、選択された実施例では円形切片状プラスチックレンズKLであり、このレンズを通り光が管内部に入射する。光電池膜PMは上側で充填物LEと、下側で管S(または反射装置)と隣接し、2つの別々の水室WKA、WKKが形成され、これらは同様に全部の管の長さにわたり延びている。水室WKA、WKKは同じ方向に連続的に水が貫流し、水は別々に形成される分解ガス(ここでは酸素と水素)を一緒に運び、更に導入する。管Sは内面に、ここではアルミニウムからなる反射する表面RSおよび密閉する腐蝕に耐えるSiO層が被覆される。これにウィンストン状に形成されたコレクター構造WKSが接続し、その特別に湾曲した表面により入射する日光の光電池膜PMへの完全な反射が確実に保証される。
【0019】
図4は螺旋状に巻かれた状態のパネルPの形の光および燃料を集める管Sの斜視図を示し、ここで中心に水が供給される。太陽に向かった柔軟な光充填物LEを有する螺旋状配置により装置の場所の要求を最小にして最適に最大の日光の入射が達成され、これにより最大の水素の製造が達成される。
【0020】
図5は複雑な光電池PS中のパネルPの形の光および燃料を集める管Sの結合を示す。集光器Kにより日光を巻かれた管Sに導く。貫流する水で生じる熱を熱交換器WTで排出する。貫流する水で生じる分解ガスを図示された例ではガス交換器GTにより中間貯蔵器ZPに供給する。燃料ガスで燃料電池BZ(またはその装置)を運転し、燃料電池は環境に優しい電流を生じる。排出された熱は燃料電池機能を保護するために、多方面で住宅装置の太陽熱利用および営業のために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】組み込まれた光電池膜の原理図である。
【図2】組み込まれた光電池膜のエネルギーの図である。
【図3】燃料電池管の横断面図である。
【図4】巻かれた燃料電池管の斜視図である。
【図5】連結した光電池の図である。
【符号の説明】
【0022】
B 容器
BZ 燃料電池
CIS CuInS太陽電池
GT ガス交換器
K 集光器
KL プラスチックレンズ
L 左側(アノード)
LE 光透過性充填物
MF 金属フィルム
P パネル
PM 光電池膜
PRS プロトンロック
PS 光電池
PU 緩衝層
PVS 光電池構造
R 右側(カソード)
RS 反射する表面
S 管
TF 支持体フィルム
TS 二酸化チタン層
WKA アノード水室
WKK カソード水室
WKS ウィンストン状に形成されたコレクター構造
WT 熱交換器
ZP 中間貯蔵器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水により包囲され、少なくとも一方の面から集めた日光が照射する、光電気化学的に活性な光電池構造を有し、横方向に電流を集める部品を有しない容器中で電気分解流により水素を直接発生し、収集する光電池において、
光電池構造(PS)が組み込まれたフォトンロック(PRS)を有する電気分解流が貫流する自立する光電池膜(PM)として形成され、前記光電池膜が包囲する水を容器(B)に対して2つの別々の水室(WKA、WKK)に分割し、両側に導電性かつ光透過性二酸化チタン層(TS)が被覆され、材料技術的変性により二酸化チタン層(TS)が一方の面(L)で酸素触媒特性および他方の面(R)で水素触媒特性を示し、光電池膜(PM)が相当する光の導入により両側から日光で照射されることを特徴とする、光電池。
【請求項2】
酸素触媒特性を有する材料技術的に変性された二酸化チタン層(TS)が窒素、硫黄または炭素またはこれらの組合せでドープされている請求項1記載の光電池。
【請求項3】
水素触媒特性を有する材料技術的に変性された二酸化チタン層(TS)に、ニッケルモリブデン粒子または同様に作用する水素触媒またはその組合せが組み込まれている請求項1または2記載の光電池。
【請求項4】
二酸化チタン層(TS)に光活性着色顔料が組み込まれている請求項1から3までのいずれか1項記載の光電池。
【請求項5】
光電池膜(PM)が柔軟に形成されている請求項1から4までのいずれか1項記載の光電池。
【請求項6】
光電池膜(PM)が特にチタンからなる中心の柔軟な支持体フィルム(TF)を有する請求項5記載の光電池。
【請求項7】
組み込まれた光電池構造(PVS)が特に簡略化された銅−インジウム−(スルフィド、セレニド)−タンデム太陽電池(CIS)を利用するタンデム薄層太陽電池または非晶質または結晶質シリコン太陽電池を有する請求項1から6までのいずれか1項記載の光電池。
【請求項8】
タンデム薄層太陽電池(CIS)またはシリコン太陽電池において通常の亜鉛酸化物窓層の代わりに二酸化チタン層(TS)が使用され、電流を集める部品が除去されている請求項7記載の光電池。
【請求項9】
柔軟な光電池膜(PM)が、軸方向に伸びる分離壁として、容器として任意の長さの柔軟な管(S)内に配置され、管(S)が光電池膜(PM)の上側に軸方向に伸びる柔軟な光透過性充填物(LE)を光導体として有し、光電池膜(PM)が、下側が管壁によりおよび上側が光透過性充填物(LE)により2つの別々の水室(WKA、WKK)を形成して遮断され、管(S)の2つの水室(WKA、WKK)内で同じ方向に水が連続的に貫流し、光電池(PS)内で生じる分解ガスがガス交換器(GT)に流入する請求項5から8までのいずれか1項記載の光電池。
【請求項10】
光透過性充填物(LE)がプラスチックレンズ(KL)として円形の切片状横断面を有して形成される請求項9記載の光電池。
【請求項11】
光電池膜(PM)内に規則的な間隔で膜部品がプロトンロック(PRS)として配置されている請求項9または10記載の光電池。
【請求項12】
管(9)が内側に2つの別々の水室(WKA、WKK)の領域に他の光導体として反射する表面(RS)を有する請求項9から11までのいずれか1項記載の光電池。
【請求項13】
反射する表面(RS)が水の腐食に耐える二酸化珪素層が被覆されているアルミニウム層として形成されている請求項12記載の光電池。
【請求項14】
管(S)が内側に2つの別々の水室(WKA、WKK)の領域に他の光導体としてウィンストン状コレクター構造(WKA)を有する請求項9から13までのいずれか1項記載の光電池。
【請求項15】
管(S)が特に平面状管螺旋の形の任意の成形されたパネル(P)に形成されている請求項9から14までのいずれか1項記載の光電池。
【請求項16】
管(S)を貫流する水が組み込まれた熱交換器(WT)に導かれる請求項9から15までのいずれか1項記載の光電池。
【請求項17】
照射する日光を他の光導体として集光器(K)により光電池膜(PM)に導く請求項1から16までのいずれか1項記載の光電池。
【請求項18】
分解ガスを組み込まれた燃料電池(BZ)に供給する請求項1から17までのいずれか1項記載の光電池。
【請求項19】
水素触媒特性を有する変性された二酸化チタン層(TS)を使用して分解ガスとして過酸化水素を形成する請求項1から18までのいずれか1項記載の光電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−528935(P2007−528935A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519762(P2006−519762)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001542
【国際公開番号】WO2005/007932
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(591157202)ハーン−マイトネル−インスチツート ベルリン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (22)
【氏名又は名称原語表記】Hahn−Meitner−Institut Berlin GmbH
【住所又は居所原語表記】Glienicker Str.100,D−14109 Berlin,Germany
【Fターム(参考)】