説明

水素化処理触媒の硫化方法

【課題】 水素化処理触媒、特に耐硫化性の水素化処理触媒酸化物の硫化方法、前記硫化方法によって硫化された触媒、炭化水素供給原料の水素化精製および/または水素化転化/水素化分解のための前記硫化方法によって得られた触媒の使用を提供する。
【解決手段】 本発明は、硫化水素(HS)、水素(H)を含むガス雰囲気下での硫化工程を含む水素化処理触媒の硫化方法であって、HS/Hモル比が4を超え、かつHSの分圧が少なくとも1kPaであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素化処理触媒、特に耐硫化性の水素化処理触媒酸化物の硫化方法に関する。
【0002】
本発明は、前記硫化方法によって硫化された触媒にも同様に関する。
【0003】
本発明は、炭化水素供給原料の水素化精製および/または水素化転化/水素化分解のための前記硫化方法によって得られた触媒の使用にも関する。
【背景技術】
【0004】
硫黄含有石油留分のような炭化水素供給原料の水素化精製は、石油生成物中に存在する硫黄の量を減少させ、かつ重質フラクションを、燃料としての価値向上が可能なより軽質なフラクションに転化する必要性が増大していることにより精製の実務において次第に重要になっている。この事情は、一方で、重質フラクションの含有量が次第に高くなっており、水素の含有量が低く、かつ窒素および硫黄が含まれるヘテロ原子の含有量が高い輸入原油の品質を最大に向上させるという経済的な利益および他方で市販の燃料に関して種々の国々で課される規定が原因である。
【0005】
現在の接触水素化精製方法は、これらの留分の利用に有用な主要な反応、特に芳香核の水素化(HAR)、水素化脱硫(HDS)、水素化脱窒素(HDN)およびその他の水素化除去を推進できる触媒を使用している。水素化精製は、ガソリン、軽油、真空軽油、常圧または真空の脱アスファルトまたは脱アスファルトでない残渣のような供給原料を処理するために用いられる。それは、接触水素化分解および分解方法の供給原料の前処理用にも同じように示されている。通例、少なくとも1回の水素化精製工程が公知の石油留分各品質向上の各仕組みに加えられる。
【0006】
これらの方法で使用される触媒は、一般的にVIB族(元素周期表の新規表記法の6族)の少なくとも1種の金属および/またはVIII族(元素周期表の新規表記法の8、9および10族)の少なくとも1種の金属を含む。最も一般的な調合は、コバルト−モリブデン(CoMo)、ニッケル−モリブデン(NiMo)、およびニッケル−タングステン(Ni−W)タイプである。これらの触媒は、担持された状態または塊形を呈し得る。担持された状態で、多孔質マトリックスは、一般的に、非晶質または不十分に結晶化した酸化物(アルミナ、シリカ−アルミナ等)であり、場合によりゼオライトまたは非ゼオライト系モレキュラーシーブと組み合わされる。
【0007】
これらの水素化処理触媒の活性でかつ安定した形態が硫化された形態であるので、これらの触媒が調製後に酸化物の形態を呈する場合には、それらは硫化を受けなければならない。硫化は、水素化処理装置自体において(その場合、現場(in situ)硫化という用語を使う)、または装置において触媒の装入に先立って(その場合「現場外(ex situ)硫化」という用語を使う)行われ得る。同様に硫化は、活性化または予備硫化工程と、この工程に続く装置内での触媒の完全硫化工程との2工程で行われ得る。活性化または予備硫化工程は、操作の性質に応じて現場外または現場(水素化装置内)で行われ得る。
【0008】
これら様々な硫化は、硫黄を含み、かつ硫化水素(HS)を与え得る化合物を介在させてなされるが、これらの触媒の実際の硫化剤は、硫化水素である。
【0009】
現場硫化手順は、多くの場合、オレフィン化合物も、ジオレフィン化合物もほぼ含まない、原油の蒸留から生じた、多少硫黄を含有する液体供給原料により、水素加圧下の装置内で実行される。その場合、湿式現場硫化という用語を使う。
【0010】
水素加圧下の現場硫化は同様に、HSによって直接的に行われ得る。その場合、乾式現場硫化という用語を使う。液相を使用する主要な利点の一つは、発生するカロリーが液相によって容易に除去されるので、硫化反応の発熱性による温度上昇が非常に低くとどまることである。乾式現場硫化の場合、カロリーが液相によってもはや除去されないので、反応の発熱性はより大きい。
【0011】
湿式現場硫化の中で、「スパイキング剤(spiking agents)」によるかまたはよらない硫化が見出される。「スパイキング剤」は、最初から液体供給原料に含まれる硫黄含有化合物よりも低温で硫化水素を生成することを可能にする液体供給原料に可溶の硫黄含有化合物であり、このようにして低温での金属酸化物の還元反応を制限している(実際、還元金属酸化物は、非還元金属酸化物よりも硫化されにくい)。追加硫化剤なしの硫化(非スパイク供給原料)は、非特許文献1においてH.Hallieが示すように、一般的により活性でない硫化触媒を与える。工業的には、好ましい追加硫化剤は、経済、安全(低揮発性、低可燃性、低毒性)および効率(高い硫黄含有量を有する硫化剤)上の理由からDMDSである。追加硫化剤として使用され得る硫黄を含むその他の化合物は、多硫化物(例えば有機多硫化物)、メルカプタン、硫化物、二硫化物、溶解したおよび/または部分的に懸濁状の硫黄元素からなる群から選択される。
【0012】
このタイプの現場硫化に関して、特許文献1は、活性および安定性の点で触媒性能を改良するために、好ましくは、特許文献2に従って温度が250℃に達する前に触媒の完全硫化に必要な硫黄の化学量論の少なくとも50%が取り込まれるという条件を守りながら、触媒が硫化の最終温度(コーキング反応を制限するために一般的に380℃未満)に達する前に触媒の完全硫化に必要な硫黄の化学量論の少なくとも130%を注入することを推奨している。
【0013】
特許文献3によれば、追加硫化剤(「スパイキング剤」)による湿式現場硫化の場合に、追加硫化剤に対して0.02〜5重量%の割合でのオルトフタル酸ジアルキルタイプの添加剤の存在により、より活性な硫化触媒を得ることが可能になる。
【0014】
最後に、VIII族(元素周期表の新規表記法の8、9および10族)の少なくとも1種の金属および少なくとも1種の酸性元素を含む水素化転化触媒の硫化のために、硫化供給原料中に窒素化合物を添加することを、特許文献4が勧奨している。硫化中に窒素化合物を添加することによる、このタイプの触媒の酸性部位の一部の不動態化を実行して得られるこれら部位の活性制御により、これらの部位で処理される供給原料の時宜を得ない分解が回避される。
【0015】
水素化処理反応器の外で触媒を硫化することからなる現場外硫化方法により、精製業者が、時間を消費する現場硫化工程から解放されることが可能になる。現場外硫化のもう一つの有用性は、反応器に装入する前に触媒活性の特徴を示すことができる、すでに活性がある触媒を使用者に直接提供することである。このタイプの硫化によって、反応器内で最適でない触媒活性を得るというあらゆる危険が、このようにして取り除かれる。
【0016】
これらの現場外硫化は、最後に不動態化工程を行うことを特徴とする。実際、硫化相は、周囲空気に対して非常に大きな反応性(酸化による自己加熱性)を示し、それにより、この反応性を制限することを目的とする補足処理がなければ、その後の操作が不可能になる。商業用現場外硫化手順の中で、Eurecat社のTOTSUCAT法(特許文献5および6)およびTRICAT社のXpresS法(特許文献7)を挙げ得る。
【0017】
TOTSUCAT法は、触媒内およびこの触媒の多孔内の多少大きな部分に、例えば特に硫黄元素および有機多硫化物からなる群から選択される硫化剤を取り込むことを含む方法からなり、この取り込みは、オレフィンまたはオレフィン留分タイプ、例えば植物性油タイプの成分、または類似の成分を全体的または部分的に包含するホワイトスピリットタイプの溶剤の存在下で実施され、この方法は、150〜700℃、希釈されたまたは純粋な水素で触媒を処理する工程と、これに続く酸化不動態化工程とを含む。この酸化不動態化工程は、酸素を含む酸化ガス流を触媒に吹き付けることを実行することからなる。特許文献8は、硫化触媒を、50℃を超える熱処理の際に、少なくとも2kPaの酸素を含む酸化剤ガス流と接触させ、ガス流が湿潤または乾燥していても良い不動態化方法を記載している。
【0018】
XpresS法は、膨張床(lit expanse)または流動床を有する反応器内でガスHS/H/Nの雰囲気下で触媒を硫化することからなる。この膨張床技術は、硫化反応の発熱性に関連した温度上昇の問題を限定し、これにより固定床を有する反応器内で使用される硫化温度よりも高い硫化温度を加えることを可能にする。この技術により、同様に反応体および触媒間の接触を最大にでき、これにより良好な硫化が促進される。最後に、ガスHS/H/Nの雰囲気により、コーキングされない硫化触媒が得られる。硫化ガスは、容積で3〜10%のHS、3〜10%のHおよび80〜94%の窒素を含み、すなわちモル比HS/Hは、0.33〜3.33の値をとる。同様に酸化タイプである不動態化工程は、酸素容積濃度が0.25〜21%、好ましくは0.25〜2.5%であるように窒素で希釈された空気の吹きつけによって実行される。
【0019】
二段階硫化手順は、活性化または予備硫化工程と、これに続く水素化処理装置内での触媒の完全硫化工程とを含む。活性化または予備硫化工程は、操作の性質に応じて、現場外または水素化処理装置内で行われ得る。
【0020】
この枠内で、特許文献9は、水素不存在下での第三メルカプタン(tert−ドデシルメルカプタン)による触媒の処理工程と、これに続く水素存在下での同じ反応器内における他の硫化剤(DMDSタイプ)による処理ス工程とを含む、水素化処理触媒の現場硫化方法の特許請求をしている。この二段階硫化により、DMDSのみで硫化された触媒よりも著しく活性な触媒が得られることが発見された。
【0021】
特許文献10は、硫化工程を行う前に水素以外の少なくとも1種の還元ガスにより予備還元工程が行われることを特徴とする硫化方法を特許請求している。このタイプの方法は、伝統的な硫化方法では事実上効果がない、ランタノイドおよびアクチノイドを含むIIIB族(元素周期表の新規表記法の3族)、IVB族(元素周期表の新規表記法の4族)、VB族(元素周期表の新規表記法の5族)から選択される少なくとも1種の元素を含む触媒に特に適している。水素以外の還元ガスによる、中程度に予め還元されたこのタイプの触媒の硫化により、より良好な硫化およびより良好な活性相の分散が得られる。
【0022】
CRI社のACTICAT予備硫化法(特許文献11および12)、およびEURECAT社のSULFICAT法(特許文献13および14)も同様に、この方法の範疇に入る。
【0023】
ACTICAT法は、硫黄の融解温度で触媒の多孔内に硫黄元素を取り込む工程と、これに続く液体オレフィン族炭化水素の存在下、200〜325℃、不活性ガス下に熱処理する工程とを含むことを特徴とする。このように予備硫化された触媒は、水素化処理装置に装入され、かつ本当の供給原料下の温度上昇の際に水素下で硫化される。金属酸化物および水素は、取り込まれた硫黄と反応し、このようにして硫化水素、水および金属硫化物を生成する。特許文献15によれば、この方法は、揮発性フラクションで焼成されない酸化物触媒の硫化にとって好ましい。
【0024】
SULFICAT法は、水素の不存在下で、かつホワイトスピリットタイプの適当な溶剤内に溶解された多硫化物であるジtert−ドデシルポリスルフィド(TPS32)またはジtert−ノニルポリスルフィド(TPS37)から、触媒の細孔部位内に硫黄を取り込むことからなり、この取り込みは、好ましくは周囲温度で行われる。現場で行われる第2工程で、水素存在下で活性化工程を行う。ACTICAT法のように、触媒に所定量で導入される硫化剤は、触媒中に存在する1種以上の金属の1種以上の所望の硫化物に至る、硫化水素を水素下で生み出す。
【特許文献1】仏国特許出願公開第2778347号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2755379号明細書
【特許文献3】米国特許第6325920号明細書
【特許文献4】仏国特許出願公開第2778346号明細書
【特許文献5】欧州特許第0564317号明細書
【特許文献6】欧州特許第0707890号明細書
【特許文献7】米国特許第5958816号明細書
【特許文献8】国際公開第2004/028691号パンフレット
【特許文献9】国際公開第02/066161号パンフレット
【特許文献10】米国特許第6316382号明細書
【特許文献11】米国特許第5688736号明細書
【特許文献12】米国特許第5468372号明細書
【特許文献13】欧州特許第0130850号明細書
【特許文献14】米国特許第4530917号明細書
【特許文献15】国際公開第02/32572号パンフレット
【非特許文献1】Oil and Gas Journal,Dec.20,1982,p.69−74
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
当業者に提起される問題は、活性化および安定性の点で触媒性能を最大にするために、非常に良好に硫化された触媒を得ることである。硫化性は、100で乗じた、実験によるS/(金属)モル比および理論によるS/(金属)モル比間の比率として定義される硫化率によって評価される;理論比は、金属酸化物の硫化物への全変換に対応する。触媒は、その硫化率が90%超え、好ましくは95%を超え、かつ更に好ましくは100%に等しい時に、良好に硫化されていると考えられる。
【0026】
このような完全またはほぼ完全な硫化率は、活性相の前駆体の酸化物相が耐硫化性であるだけに一層、その達成が困難である。
【0027】
耐硫化性は、酸化物相(担持触媒または塊状触媒)の高い含有量の存在、および/または活性相の前駆体の酸化物相の性質、および/または望まない結晶化酸化物相の存在、および/またはドーパント元素の存在、および/または担持触媒の場合に担体の性質に関連し得る。伝統的な硫化方法(炭化水素供給原料と、DMDSのような硫黄含有化合物との混合による水素加圧下の液相での硫化、または低いHS/Hモル比によるガス混合物HS−H下での硫化)は、耐硫化性触媒の完全な硫化率を得るためには、効果がない。
【課題を解決するための手段】
【0028】
今般、驚くべきことに、予備活性化がなくても、硫化水素および水素を含むガス雰囲気下で、4を超える、好ましくは7を超えるHS/Hモル比および少なくとも1kPaに等しいHS分圧を有するという条件で耐硫化性触媒が非常に良好に硫化され得ることを発見した。何らかの理論によって拘束されることは望まないが、出願人によって発見された硫化条件によって、耐硫化性酸化物の硫化のために水素による金属酸化物の還元反応を制限することができる。
【0029】
本発明は、硫化水素(HS)、水素(H)を含むガス雰囲気下での硫化工程を含む水素化処理触媒の硫化方法であって、HS/Hモル比が4を超え、かつHSの分圧が少なくとも1kPaであることを特徴とするものである。
【0030】
上記本発明の方法において、HS/Hモル比が7を超えることが好ましい。
【0031】
上記本発明の方法において、ガス雰囲気は、希釈不活性ガスを含むことが好ましい。
【0032】
上記本発明の方法において、硫化工程は、600℃未満の温度で行われることが好ましい。
【0033】
上記本発明の方法において、硫化工程は、500℃未満の温度で行われることが好ましい。
【0034】
上記本発明の方法において、硫化工程は、現場で行われることが好ましい。
【0035】
上記本発明の方法において、硫化水素は、水素化処理、熱分解、接触分解及び水素化分解装置に由来するガスを浄化するために精油所に存在するアミン類でのガス洗浄装置に由来することが好ましい。
【0036】
上記本発明の方法において、
・不活性ガス、次に水素により、触媒装入後の水素化処理装置をパージし、水素化処理方法の設計圧力または再循環コンプレッサの最小機能圧力まで装置を与圧する工程と、
・触媒床の水素下で200℃未満の温度まで加熱する工程と、
・硫化工程であって、
− 標準温度及び圧力条件で測定される、装入された触媒の容積に対して計算されるHS−HまたはHS−H−不活性ガスの全ガス流量を触媒1リットル当たりガス1〜10000リットル、硫化ガスの注入温度を200℃未満として、純粋なまたは不活性ガスと混合されたHSを注入し、
− 最終硫化安定期まで直接的に、または1回若しくは複数回の安定期を遵守して、300℃を超え、かつ600℃未満の最終硫化温度まで温度を上昇させ、
− 24時間未満の時間、最終硫化温度で安定させる、工程と、
・硫化雰囲気下で300℃未満の温度まで装置を冷却する工程と、
・純粋なまたは不活性ガスと混合されたHSの供給を停止し、必要な場合には装置を水素化処理方法の圧力に置く工程と
を包含することが好ましい。
【0037】
上記本発明の方法において、硫化ガスの注入温度及び最終硫化温度の間の温度上昇は、210〜250℃の温度での中間安定期を含むことが好ましい。
【0038】
上記本発明の方法において、最終硫化温度は、300〜380℃であることが好ましい。
【0039】
上記本発明の方法において、硫化工程は、現場外で行われることが好ましい。
【0040】
上記本発明の方法において、硫化工程の後には、多くとも21.3kPaの酸素分圧を含む酸化ガス流での酸化不動態化工程が続くことが好ましい。
【0041】
上記本発明の方法において、触媒が固定床、流動床または移動床にあることが好ましい。
【0042】
上記本発明において、
・不活性ガス、次に水素により、触媒装入後の硫化装置をパージし、必要な場合には装置を与圧する工程と、
・触媒床の水素下で200℃未満の温度まで加熱する工程と、
・硫化工程であって、
− 標準温度及び圧力条件で測定される、装入された触媒の容積に対して計算されるHS−HまたはHS−H−不活性ガスの全ガス流量を触媒1リットル当たりガス1〜10000リットル、硫化ガスの注入温度を200℃未満として、硫化装置内に純粋なまたは不活性ガスと混合されたHSを注入し、
− 最終硫化安定期まで直接的に、または1回若しくは複数回の安定期を遵守して、300℃を超え、かつ600℃未満の最終硫化温度まで温度を上昇させ、
− 24時間未満の時間の最終硫化温度で安定させる、工程と、
・硫化雰囲気下で300℃未満の温度まで装置を冷却する工程と
・H下で150℃未満の温度まで装置を冷却する工程と、
・不活性ガス下、150℃未満の温度で装置をパージする工程と、
・多くとも21.3kPaの酸素分圧を含み、かつ150℃未満の温度の酸化ガス流で、最大時間24時間の触媒処理を行う酸化不動態化工程と、
・周囲温度まで装置を冷却し、必要な場合には減圧し、周囲空気下で触媒を放出する工程と
を包含することが好ましい。
【0043】
上記本発明の方法において、酸素分圧は、2〜4kPaの安定期に分けて1kPaから21.3kPaに増加されることが好ましい。
【0044】
また、本発明の水素化処理触媒は、上記本発明の方法の硫化処理を受けるものである。
【0045】
また、本発明は、炭化水素供給原料の水素化精製及び/または水素化転化/水素化分解のための上記記載の方法によって得られた触媒、または上記記載の触媒の使用に関するものである。
【発明の効果】
【0046】
本発明によると、HS/Hモル比が4を超え、かつHSの分圧が少なくとも1kPaであるというような条件で硫化水素(HS)、水素(H)を含むガス雰囲気下で水素化処理触媒を硫化し、これにより、耐硫化性触媒を非常に良好に硫化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
(本発明による硫化方法の記載)
本発明は、触媒、特に耐硫化性水素化処理触媒の硫化方法であって、硫化水素(HS)、水素(H)、および場合により希釈不活性ガスを含み、かつモル比HS/Hが4を超え、好ましくは7を超え、かつHSの分圧が、少なくとも1kPaに等しいガス雰囲気下での硫化工程を包含する、方法に関する。
【0048】
本発明の好ましい態様によれば、硫化雰囲気の不活性ガス(好ましくは窒素)による希釈は、硫化反応の発熱性に関連した温度上昇を制限するために行われる。
【0049】
硫化工程は、現場でまたは現場外で行われ得る。
【0050】
前記硫化工程は、一般的に硫化ガスの注入温度(一般的に200℃未満)を超え、かつ600℃未満、好ましくは500℃未満の温度で行われる。
【0051】
モル比HS/Hは、好ましくは20未満、更に好ましくは10未満である。
【0052】
(現場の実施態様)
現場の実施態様において、硫化水素は、水素化処理、熱分解、接触分解および水素化分解装置に由来するガスを浄化するために製油所に存在するアミン類でのガス洗浄装置に由来し得る。
【0053】
現場の実施態様において、水素化装置は、触媒の装入後に不活性ガス(好ましくは窒素)によって、次に水素によってパージされ、次に、方法の設計圧力まで、または再循環コンプレッサの最小機能圧力まで与圧される。全圧は、耐硫化性酸化物の硫化可能性に影響力を持たず、主要なパラメータであるモル比HS/Hは4を超えなければならず、好ましくは7を超えなければならず、HSの分圧は、少なくとも1kPaに等しくなければならない。次に、触媒床は、一般的に、水素下で、200℃未満、好ましくは180℃未満の温度まで加熱される。純粋なまたは不活性ガス(好ましくは窒素)と混合されたHSが、注入される。硫化ガスの注入温度は、一般的に200℃未満である。純粋なまたは不活性ガス(好ましくは窒素)と混合されたHSの注入に好ましい温度範囲は、80〜180℃である。
【0054】
装入された触媒の容積に対して計算されるHS−HまたはHS−H−不活性ガスの全ガス流量は、標準の温度および圧力条件で測定される、触媒1リットル当たりガス1〜10000リットル、かつ好ましくは触媒1リットル当たりガス5〜5000リットルである。
【0055】
最終硫化温度は、一般的に300℃を超え、かつ600℃未満、好ましくは500℃未満である。300〜380℃の最終硫化温度が更に好ましい。最終硫化温度での安定期間は、一般的に数時間(24時間未満)である。
【0056】
硫化ガスの注入温度および最終温度の間の温度増加は、機械的に良好に保持されること、および設備の様々な部品の膨張によって発生した制約を除去することと矛盾しないテンポで、当業者に公知の手段によって行われる。参考までに、温度上昇は、一般的に1時間当たり約1〜25℃である。この温度上昇は、最終温度安定期まで直接的に、または1回若しくは数回の中間安定期を遵守して実行され得る。
【0057】
最終硫化温度までの温度上昇前の中間温度安定期は、好ましくは210〜250℃である。
【0058】
硫化安定期後、温度を、300℃未満、好ましくは250℃未満に減少させる。この冷却後、純粋なまたは不活性ガス(好ましくは窒素)と混合されたHSの供給は停止される。装置は、必要な場合には方法の圧力に置かれ、かつ装入される準備ができている。
【0059】
好ましくは、現場の態様で、本発明の硫化方法は、
・触媒装入後に、不活性ガス(好ましくは窒素)、次に水素により水素化処理装置をパージし、水素化処理方法の設計圧力まで、または再循環コンプレッサの最小機能圧力まで装置を与圧する工程と、
・触媒床の水素下、200℃未満の温度まで加熱する工程と、
・硫化工程であって、
− 標準温度および圧力条件で測定される、装入された触媒の容積に対して計算されるHS−HまたはHS−H−不活性ガスの全ガス流量が、触媒1リットル当たりガス1〜10000リットル、硫化ガスの注入温度が200℃未満として、純粋なまたは不活性ガス(好ましくは窒素)と混合されたHSを注入し、
− 最終硫化安定期まで直接的に、または1回若しくは数回の安定期を遵守して、300℃を超え、かつ600℃未満の最終硫化温度まで温度を上昇させ、
− 24時間未満の時間、最終硫化温度で安定化させる、工程と、
・硫化雰囲気下、300℃未満の温度まで装置を冷却する工程と、
・純粋なまたは不活性ガス(好ましくは窒素)と混合されたHSの供給を停止し、必要な場合には、装置を水素化処理方法の圧力に置く工程と
を包含する。
【0060】
この態様の応用例によれば、最終硫化温度までの温度上昇前の中間温度安定期は、好ましくは210〜250℃である。
【0061】
この態様の他の応用例によれば、300〜380℃の最終硫化温度が、更に好ましい。
【0062】
(現場外での実施態様)
現場外での実施態様において、硫化工程の後には、多くとも21.3kPaの酸素を含むガス流下、好ましくは150℃未満の温度で酸化不動態化する工程が続く。
【0063】
固定床、流動床または移動床の技術が使用され得る。
【0064】
本発明による方法の現場外の実施態様において、硫化工程の温度、圧力および流量の条件は、現場での条件(好ましい態様、特に固定床技術による)とほぼ同じであっても良いが、特に流量に関して異なっても良い。その上、最終不動態化工程が必要である。
【0065】
S−HまたはHS−H−不活性ガス(好ましくは窒素)下、300℃未満、好ましくは250℃未満の温度まで冷却する工程を行った後、触媒は、H下、150℃未満の温度まで、好ましくは50〜100℃の温度まで冷却される。次に、HSおよびHを除去するために、不活性ガス(好ましくは窒素)下、この温度で数時間(好ましくは24時間未満)パージされる。次に触媒は、21.3kPaに達し得る酸素分圧を含む酸化ガス流で処理される。
【0066】
供給された最大酸素分圧で、装置は、周囲温度まで冷却され、必要な場合には減圧され、かつ触媒は、いかなる自己加熱の危険もなく、周囲空気下で放出される。
【0067】
好ましくは、現場外の態様において硫化方法は、
・不活性ガス(好ましくは窒素)、次に水素により、触媒装入後の硫化装置をパージし、必要な場合には装置の与圧する工程と、
・水素下で触媒床を200℃未満の温度まで加熱する工程と、
・硫化工程であって、
− 標準温度および圧力条件で測定される、装入された触媒の容積に対して計算されるHS−HまたはHS−H−不活性ガスの全ガス流量を、触媒1リットル当たりガス1〜10000リットル、硫化ガスの注入温度を200℃未満として、硫化装置内に純粋なまたは不活性ガス(好ましくは窒素)と混合されたHSを注入し、
− 最終硫化安定期まで直接的にまたは1回若しくは数回の安定期を遵守して、300℃を超え、かつ600℃未満の最終硫化温度まで温度を上昇させ、
− 最終硫化温度で24時間未満の時間安定させる、工程と、
・硫化雰囲気下で300℃未満の温度まで装置を冷却する工程と、
・H下で150℃未満の温度まで装置を冷却する工程と、
・HSおよびHを除去するために不活性ガス(好ましくは窒素)下で150℃未満の温度で装置をパージする工程と、
・多くとも21.3kPaの酸素分圧を含み、かつ150℃未満の温度の酸化ガス流で最大で24時間触媒を処理する酸化不動態化工程と、
・周囲温度まで装置を冷却し、必要な場合には減圧し、かつ、周囲空気下で触媒を放出する工程と
を包含する。
【0068】
非常に好ましくは、酸素分圧は、2〜4kPaの安定期に分けて1kPaから21.3kPaに増加される。安定期の変更は、発熱効果の完全消失および酸素導入前の温度への復帰によって条件付けられる。
【0069】
(本発明による硫化処理を受けることが可能な触媒の特徴)
水素化処理方法は、固体触媒を用いて石油留分を水素圧力下で処理することからなる。水素化処理触媒、特に本発明に係る耐硫化性触媒は、VIBおよびVIII族の少なくとも1種の元素(高い活性相含有量で担持された触媒または塊状触媒)、および場合により、ランタノイドおよびアクチノイドを含むIIIBy族、IVB族、およびVB族から選択される少なくとも1種の元素を含む活性相が高い含有量で存在し、場合により、群:P、B、Siおよびハロゲン(VIIA族)から選択されるドーパントが存在し、かつ場合によりVIBおよびVIII族元素をベースとする水素化処理触媒の調製および/または再生の際に現れ得る、Al(MoO)、CoAl、NiAl、MoO、Co、CoMoO、NiMoO等の相のような結晶化酸化物相が存在することを特徴とする。
【0070】
これらの触媒は、一般に酸化物状態の触媒の全質量に対する重量%で、次の群から選択される少なくとも1種の金属を、次の含有量で包含する:
− IIIB、IVB、VB族の元素から選択される少なくとも1種の金属:0.01〜75%、好ましくは0.01〜50%、更に好ましくは0.01〜40%、
− VIB族の元素から選択される少なくとも1種の金属:0.01〜75%、好ましくは0.01〜50%、更に好ましくは0.01〜40%、
− VIII族の少なくとも1種の金属:0〜30%、好ましくは0.01〜25%、
− 非晶質非晶質マトリックス、および不十分に結晶化されたマトリックスからなる群から選択される少なくとも1種の担体:0〜99%、好ましくは1〜98%、および場合により、
− ゼオライトまたは非ゼオライト系モレキュラーシーブ:0〜90%、好ましくは0.01〜85%、更に好ましくは0.01〜80%、
− ホウ素、ケイ素およびリンからなる群から選択される少なくとも1種の元素:0〜40%、好ましくは0.01〜30%、更に好ましくは0.01〜20%、
−VIIA族から選択される少なくとも1種の元素: 0〜20%、好ましくは0.01〜15%、更に好ましくは0.01〜10%。
【0071】
本発明の方法によって硫化された担持触媒は、当業者に周知のあらゆる方法によって調製され得る。
【0072】
一般的に、本発明の方法によって硫化された担持触媒の調製方法は、
a)溶媒、VIIIおよびVIB族の元素の少なくとも1種の供給源、および/またはランタニドおよびアクチノイドを含むIIIB、IVB族およびVB族の元素の少なくとも1種の供給源、および場合によりP、B、Siおよびハロゲン(VIIA族)からなる元素の群から選択される元素の少なくとも1種の供給源の化合物を少なくとも包含する溶液を形成する工程と、
b)前記溶液によってマトリックスを湿らせるかまたは含浸し、前記混合物を周囲温度〜80℃の温度に数時間維持する工程と、
c)工程b)で得られた湿潤固体を、80〜150℃の温度で、一般的に空気下で乾燥させる工程と、
d)工程c)で得られた乾燥固体を、150℃を超える温度で、一般的に空気下で焼成する工程と
を含む。
【0073】
上記の各工程a)からd)を、別個にまたは上記工程a)からd)の少なくとも1つの他のものと組み合わせて、当業者に公知であるように、複数回行うことが可能である。例えば、工程b)、c)およびd)の連続を少なくとも2回行うことが可能である。
【0074】
マトリックスの含浸は、好ましくは、当業者に周知のいわゆる「乾式」含浸方法によって実行される。
【0075】
含浸は、最終触媒の構成元素全体を含む溶液によって単一の工程で実行され得る。
【0076】
ランタノイドドおよびアクチノイドを含むIIIBy族、IVB族、VB族、VIB族およびVIII族から選択される元素、同様にP、BおよびSiからなる群から選択される元素およびVIIA族のアニオンから選択される元素は、遷移金属または希土類金属の少なくとも1種の前駆体塩を含む溶液を用いて、選択されたマトリックスに対する1回または複数回のイオン交換操作により導入され得る。
【0077】
本発明の方法によって硫化された(担体のない)塊状触媒は、当業者に周知のあらゆる方法によって調製され得る。一般的にVIBおよびVIII族の少なくとも1種の元素、および/またはランタノイドおよびアクチノイドを含むIIIBy族、IVB族およびVB族から選択される少なくとも1種の元素を含む固体から、および場合により群:P、B、Siおよびハロゲン(VIIA族)から選択されるドーパントの存在下で、塊状触媒の合成を行い、前記固体は、選択された元素の塩からそれぞれ得られ、前記合成は同時または相次いで、順序は重要でなく、同じ物理的空間内、または別個に行われる;次に場合によりマトリックスによって前記固体の機械的混合を行い、かつ最後に成形後、触媒を得るように、前記機械的混合物の焼成を行う。
【0078】
VB族の元素は、バナジウム、ニオブ、タリウムから選択され、IVB族の元素は、チタン、ジルコニウム、ハフニウムから選択され、好ましくはチタンである。IIIB族の元素は、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、アクチニウム、トリウムおよびウランから選択される。VIII族の元素は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金から選択され、好ましくは鉄、コバルト、ニッケルである。VIB族の元素は、クロム、モリブデンおよびタングステンから選択される。
【0079】
ランタノイドおよびアクチノイドを含むIIIB族、IVB族およびVB族、VIB族およびVIII族の元素からなる集合に原子番号が含まれる、少なくとも1種の元素を含む化合物から、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、酸、ポリオキソメタレート(polyoxometallates)、アルコキシド、オキサレート、アンモニウム塩、ニトレート、カルボネート、ヒドロキシカルボネート、カルボキシレート、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、フォスフェート、水素化物、チオ塩(thiosel)(特にアンモニウムの)を使用できる。好ましくは酸化物、および遷移金属塩、ランタノイドおよびアクチノイドを使用する。
【0080】
好ましいリン源は、リン酸HPOであるが、その塩、およびそのエステル、例えばアルカリリン酸塩、リン酸アンモニウムも同様に適する。リンは、例えばリン酸と、窒素を含む塩基性有機化合物、例えばアンモニア、第一および第二アミン、環状アミン、ピリジン族の化合物、キノリン族の化合物およびピロール族の化合物との混合物の形で導入され得る。
【0081】
多数のケイ素源が用いられ得る。例えば、ヒドロゲル、エアロゲルまたは酸化ケイ素のコロイド状懸濁液、沈降酸化物、オルトケイ酸エチルSi(OEt)のようなエステルの加水分解に由来する酸化物、シランおよびポリシラン、シロキサンおよびポリシロキサン、またはケイ酸ハロゲン化物、例えばフルオロケイ酸アンモニウム(NHSiFまたはフルオロケイ酸ナトリウムNaSiFを使用してよい。ケイ素は、例えばアルコール中の溶解ケイ酸エチルの含浸により添加され得る。
【0082】
ホウ素源は、二ホウ酸アンモニウムまたは五ホウ酸アンモニウムのような非晶質ボレート(borate)であっても良い。ホウ素は、例えばアルコール中のホウ酸溶液によって導入され得る。
【0083】
使用されてよいVIIA族の元素源は、当業者に周知である。例えばフッ素アニオンがフッ化水素酸またはその塩の形で導入され得る。この塩は、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機化合物によって形成される。有機化合物の場合、塩は、好適には有機化合物とフッ化水素酸との間の反応による反応混合物中に形成される。フルオロケイ酸アンモニウム(NHSiF、テトラフッ化ケイ素SiFまたはフルオロケイ酸ナトリウムNaSiFのような、水中にフッ素アニオンを放出し得る加水分解可能な化合物を使用することも同様に可能である。フッ素は、例えばフッ化水素酸またはフッ化アンモニウムの水溶液の含浸により導入され得る。
【0084】
塩素アニオンは、塩酸またはその塩の形で導入され得る。この塩は、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機化合物によって形成される。有機化合物の場合、塩は、好適には有機化合物と塩酸との間の反応による反応混合物中に形成される。
【0085】
通常には非晶質または不十分に結晶化された無機多孔質マトリックスは、通常、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、マグネシア、クレー、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、リン酸アンモニウム、リン酸ホウ素または上記の酸化物の少なくとも2種の混合物、およびアルミナ−酸化ホウ素の組合せ、アルミナ−チタニア(titane)、アルミナ−ジルコニア、およびチタン−ジルコニアの混合物からなる群から選択される。アルミン酸塩、例えばアルミン酸のマグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅または亜鉛塩、混合アルミン酸塩、例えば上記金属の少なくとも2種を含有するものも同様に選択できる。チタン酸塩、例えばチタン酸の亜鉛、ニッケル、コバルト塩も同様に選択できる。好ましくは、アルミナを、当業者に公知のそのあらゆる形で、例えばガンマアルミナを含むマトリックスを使用する。また、好適には、アルミナとシリカの混合物、およびアルミナと酸化ホウ素の混合物を使用することもできる。
【0086】
マトリックスは、上記の化合物の少なくとも1種に加えて、カオリナイト、アンチゴライト、クリソタイル、モントモリロナイト、バイデライト、バーミキュライト、タルク、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイトのような、2:1二八面体フィロケイ酸塩または3:1三八面体フィロケイ酸塩タイプの合成または天然の単純クレーを同様に包含してよい。これらのクレーは必要により離層されてよい。好適には、アルミナとクレーの混合物およびシリカ−アルミナとクレーの混合物も使用され得る。
【0087】
マトリックスは、上記の化合物の少なくとも1種に加えて、結晶化アルミノケイ酸塩タイプのモレキュラーシーブのファミリー、合成または天然ゼオライト、例えばゼオライトY、フッ化ゼオライトY、希土類を含むゼオライトY、ゼオライトX、ゼオライトL、ゼオライトベータ、微細孔を有するモルデナイト、大型孔を有するモルデナイト、ゼオライトオメガ、NU−10、ZSM−22、NU−86、NU−87、NU−88およびゼオライトZSM−5からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を同様に包含し得る。ゼオライトの中で、通常、骨格ケイ素/アルミニウムの原子比(Si/Al)が約3:1を超えるゼオライトを用いることが好まれる。好適には、ホージャサイト構造のゼオライト、特に安定化ゼオライトYおよび超安定化ゼオライト(USY)を、金属カチオン、例えばアルカリ土類金属カチオンおよび/または原子番号dd57〜71の希土類金属カチオンによって少なくとも部分的に交換された形、または水素化された形で用いる(Zeolite Molecular Sieves Structure,Chemistry and Uses、D.W.Breck 、J.WILLEY and Sons 1973)。
【0088】
酸性担体は、非ゼオライト結晶化モレキュラーシーブのファミリー、例えばメソ細孔シリカ、シリカライト、シリコアルミノリン酸塩、アルミノリン酸塩、フェロケイ酸塩、シリコアルミン酸チタン、ホウケイ酸塩、クロモケイ酸塩およびアルミノリン酸遷移金属塩(コバルトを含む)からなる群から同様に選択され得る。
【0089】
マトリックスまたは塊状触媒の成形は、例えば押出、ペレット製造、油滴(オイルドロップ)法、回転プレートでの顆粒化、または当業者に周知の他のあらゆる方法によって行われてよい。その場合予備成形されたマトリックスまたは塊状触媒は、通常には、普通少なくとも100℃、一般に約200〜1000℃の温度で空気下で通常焼成される。
【0090】
上記の触媒の硫化は、本発明による方法によって行われる。
【0091】
上記の、本発明の方法によって得られる水素化処理触媒は、石油留分、石炭から生じた留分または天然ガスから生成された炭化水素のような炭化水素供給原料の水素化精製および/または水素化転化/水素化分解に使用される。前記触媒は、特には、水素化処理、水素化、水素化脱窒素、水素化脱酸素、水素化脱芳香族、水素化脱硫、水素化脱金属、水素化異性化、水素化脱アルキル、脱水素化反応において利用される。上記の、本発明の方法によって硫化される触媒は同様に、例えば芳香族および/またはオレフィンおよび/またはナフテンおよび/またはパラフィン化合物を含む供給原料のような、炭化水素供給原料の水素化転化/水素化分解に、好適に使用され、前記供給原料は、場合により金属および/または窒素および/または酸素および/または硫黄を含む。
【0092】
これらの使用の中で、上記の、本発明の方法によって硫化される触媒は、先行技術に対して改良された活性を示す。
【0093】
上記の、本発明の方法によって硫化される触媒を使用する種々の方法において用いられる供給原料は、一般的に、ガソリン、軽油、真空軽油、脱アスファルトまたは脱アスファルトでない残渣、パラフィン油、ワックスおよびパラフィン類からなる群から選択される。供給原料は、一般的に硫黄、酸素、窒素のような少なくとも1種のヘテロ原子、および場合によりニッケルおよびバナジウムのような金属を含む。温度、圧力、水素のリットル/炭化水素のリットルの容積比、時間当たりの空間速度のような水素化精製または水素化転化の条件は、供給原料の性質、所望の生成物の質、および精製業者が使用する設備に応じて大きく変動され得る。上記の、本発明の方法によって硫化される触媒を使用する種々の方法の反応器(単数または複数)内において使用される操作条件は、古典的であり、温度は200℃超、好ましくは200℃〜450℃、圧力は0.5〜30MPa、好ましくは20MPa未満、空間速度は0.1〜10h−1、好ましくは0.1〜8h−1、非常に好ましくは0.2〜6h−1であり、導入される水素の量は、水素のリットル/炭化水素のリットルの容積比が、10〜5000L/L、好ましくは100〜2000L/Lであるようにされる。
【0094】
(実施例)
以下に続く実施例は、本発明を明確にするが、しかしながらその範囲を限定することはない。
【0095】
高い活性相含有量を有する、アルミナに担持される触媒NiMoPを調製した(実施例1)。この触媒の試料を、次に様々な現場(実施例2、3、4、5、6)および現場外(実施例7)硫化方法により硫化した。これらの硫化試料の性能は、上昇流で横断する固定床を有する等温反応器を備えた水素化脱硫のパイロット装置内で評価した(実施例8)。装入された触媒の容積は40cmであり、かつ酸化物触媒に対して測定される詰込み充填密度(DRT、g/cm)に基づく。
【0096】
本発明による条件での硫化試料の硫化率を、本発明によらない条件での硫化試料の硫化率と比較した(実施例9)。
【0097】
(実施例1:酸化された状態の水素化処理触媒NiMoP:触媒C1の調製)
Condea Chemie GmbH社からSB3の名称で市販されている、アルミナゲルまたは超微細板状ベーマイトからなるマトリックスを使用した。このゲルを、66%の硝酸(乾燥ゲル1グラム当たり7重量%の酸)を含む水溶液に混合し、次に15分間混練した。この混練の終了時に、得られたペーストは、1.3mmに等しい直径の円筒形開口部を有するダイス鉄板を通過された。次に押出物を、120℃で一晩乾燥させ、次に7.5容積%の水を含む湿潤空気下で2時間、550℃で焼成した。このようにして、比表面積255m/g、細孔容積0.60cm/g、および100Åを中心とする単一モードの細孔寸法分布を有する、直径1.2mmの円筒形押出物を得た。X線分析によるマトリックスの分析により、マトリックスが、低い結晶度の立方ガンマアルミナから専らなることが明らかにされる。
【0098】
上記の、かつ「押出物」の形を呈するアルミナ担体に、ニッケル、モリブデンおよびリンを添加した。これら3種の元素の塩は、担体の乾式含浸によって同時に導入される。使用されるニッケル塩は炭酸ニッケルであり、モリブデンの前駆体は酸化モリブデンMoOであり、かつリンは、リン酸HPOの形で導入される。含浸溶液は、アルミナの細孔容積に等しい溶液容積を得るように、水で希釈されたリン酸溶液中、酸化モリブデン、炭酸ニッケルの90℃での溶解によって調製される。乾式含浸後、押出物を、12時間、水で飽和した雰囲気で熟成させ、次に一晩120℃で乾燥させ、かつ最後に乾燥空気下で2時間500℃で焼成する。その場合、最終金属酸化物含有量、(当業者に周知のBET法により決定される)触媒の比表面積、および詰込み充填密度は、次の通りである:
− MoO:21重量%
− NiO:4.3重量%
− P:5重量%
− 比表面積(S BET):165(m/g)
− DRT(g/cm):0.795
(実施例2:HS/Hモル比を1とする常圧でのHS−H現場硫化(本発明によらない触媒C2))
酸化物触媒40cm(31.8g)の試料を、50容積%の硫化水素(HS)および50容積%の水素の組成、すなわちHS/Hモル比が1である混合ガスによって常圧でパイロット装置内において硫化する。硫化は、2工程で行われ、第1工程は、230℃で1時間の中間安定期を有する3℃/minに制御される温度上昇段階であり、第2工程は、350℃の最終硫化温度での2時間の安定期である。第1工程の間、HSを、100℃で注入する。混合ガスの流量は、触媒が最終硫化温度に達する前に注入される硫黄の量が、触媒の完全硫化に必要な硫黄の化学量論の130%に対応するように調整される。硫化後、触媒をHS(50%)−H(50%)の混合ガス下で周囲温度まで冷却する。周囲温度で、装置を純粋な水素の加圧下でHDSテストの全圧に置く。
【0099】
(実施例3:HS/Hモル比を9とする常圧でのHS−H現場硫化(本発明による触媒C3))
酸化物触媒40cm(31.8g)の試料を、90容積%の硫化水素(HS)および10容積%の水素の組成、すなわちHS/Hモル比を9とする混合ガスによって常圧でパイロット装置内で硫化する。硫化は、2工程で行われ、第1工程は、230℃で1時間の中間安定期を有する3℃/minに制御される温度上昇段階であり、第2工程は、350℃の最終硫化温度での2時間の安定期である。第1工程の間、HSを、100℃で注入する。混合ガスの流量は、触媒が最終硫化温度に達する前に注入される硫黄の量が、触媒の完全硫化に必要な硫黄の化学量論の130%に対応するように調整される。硫化後、触媒をHS(90%)−H(10%)の混合ガス下で周囲温度まで冷却する。周囲温度で、装置を純粋な水素の加圧下でHDSテストの全圧に置く。
【0100】
(実施例4:HS/Hモル比を9とする常圧でのHS−H−N現場硫化(本発明による触媒C4))
酸化物触媒40cm(31.8g)の試料を、85容積%の窒素、13.5容積%の硫化水素(HS)および1.5容積%の水素の組成の混合ガスによって常圧でパイロット装置内において硫化する。実施例3に対して、HSおよびHの分圧が1/6.67倍であるが、HS/Hモル比は、9に等しいままである。
【0101】
硫化は、2工程で行われ、第1工程は、230℃で1時間の中間安定期を有する3℃/minに制御される温度上昇段階であり、第2工程は、350℃の最終硫化温度での2時間の安定期である。第1工程の間、HSを、100℃で注入する。混合ガスの流量並びに温度上昇勾配は、触媒が最終硫化温度に達する前に注入される硫黄の量が、触媒の完全硫化に必要な硫黄の化学量論の130%に対応するように調整される。硫化後、触媒をHS(13.5%)−H(1.5%)−N(85%)の混合ガス下で周囲温度まで冷却する。周囲温度で、装置を純粋な水素の加圧下でHDSテストの全圧に置く。
【0102】
(実施例5:HS/Hモル比を9とする、2MPaの全圧下でのHS−H現場硫化(本発明による触媒C5)
酸化物触媒40cm(31.8g)の試料を、90容積%の硫化水素(HS)および10容積%の水素の組成の混合ガスによって2MPaの全圧下でパイロット装置内において硫化する。実施例3に対して、HSおよびHの分圧が20倍であるが、HS/Hモル比は、9に等しいままである。
【0103】
硫化は、2工程で行われ、第1工程は、230℃で1時間の中間安定期を有する3℃/minに制御される温度上昇段階であり、第2工程は、350℃の最終硫化温度での2時間の安定期である。第1工程の間、HSを、100℃で注入する。
【0104】
混合ガスの流量並びに温度上昇勾配は、触媒が最終硫化温度に達する前に注入される硫黄の量が、触媒の完全硫化に必要な硫黄の化学量論の130%に対応するように調整される。硫化後、触媒をHS(90%)−H(10%)の混合ガス下で周囲温度まで冷却する。周囲温度で、装置を純粋な水素の加圧下でHDSテストの全圧に置く。
【0105】
(実施例6:HS/Hモル比を9とする、2MPaの全圧下でのHS−H−N現場硫化(本発明による触媒C6))
酸化物触媒40cm(31.8g)の試料を、85容積%の窒素、13.5容積%の硫化水素(HS)および1.5容積%の水素の組成の混合ガスによって2MPaの全圧下でパイロット装置内で硫化する。実施例3に対して、HSおよびHの分圧が3倍であるが、HS/Hモル比は9に等しいままである。
【0106】
硫化は、2工程で行われ、第1工程は、230℃で1時間の中間安定期を有する3℃/minに制御される温度上昇段階であり、第2工程は、350℃の最終硫化温度での2時間の安定期である。第1工程の間、HSを、100℃で注入する。
【0107】
混合ガスの流量並びに温度上昇勾配は、触媒が最終硫化温度に達する前に注入される硫黄の量が、触媒の完全硫化に必要な硫黄の化学量論の130%に対応するように調整される。硫化後、触媒をHS(13.5%)−H(1.5%)−N(85%)の混合ガス下で周囲温度まで冷却する。周囲温度で、装置を純粋な水素の加圧下でHDSテストの全圧に置く。
【0108】
(実施例7:酸化不動態化工程が後に続く、HS/Hモル比を9とする、常圧の固定床でHS−H−N現場外硫化(本発明による触媒C7))
酸化物触媒40cm(31.8g)の試料を、85容積%の窒素、13.5容積%の硫化水素(HS)および1.5容積%の水素の組成、すなわちHS/Hモル比を9とする混合ガスによって常温で、HDSパイロット装置に対して使用されたものと同じ技術の反応器内で現場外硫化する。
【0109】
硫化は、2工程で行われ、第1工程は、230℃で1時間の中間安定期を有する3℃/minに制御される温度上昇段階であり、第2工程は、350℃の最終硫化温度での2時間の安定期である。第1工程の間、HSを、100℃で注入する。
【0110】
混合ガスの流量は、触媒が最終硫化温度に達する前に注入される硫黄の量が触媒の完全硫化に必要な硫黄の化学量論の130%に対応するように調整される。硫化後、触媒をHS(13.5%)−H(1.5%)−N(85%)の混合ガス下で150℃まで、次に水素下で80℃まで冷却する。80℃で、1時間窒素下で吹き付けた後、触媒は、漸増O分圧で、O−Nの酸化ガス流によって不動態化される。O分圧は、2kPaの安定期に分けて、1kPaから21.3kPaに増加される。触媒は、発熱効果が完全に消失し、かつ温度が80℃に戻るまで、酸化雰囲気の各安定期下に維持される。21.3kPaのOで、かつ発熱効果が完全に消失した後、次に触媒を周囲温度まで冷却する。次に試料全体を、触媒の評価のために、パイロット装置内に装入する。
【0111】
(実施例8:軽油SRの水素化脱硫でのテスト)
上記の酸化物触媒Cおよび触媒C〜Cを、主要な特性を以下に示す、「直留」軽油の水素化脱硫で比較した:
− 15℃での密度: 0.8537
− 硫黄: 1.35重量%
− 模擬蒸留:
・ PI : 160℃
・ 10%: 245℃
・ 50%: 317℃
・ 90%: 376℃
・ PF : 404℃
水素化脱硫テストは、次の操作条件で行われた:
− H/HC比: 400 L/L
− 全圧: 7MPa
− 触媒容積: 40cm
− 温度: 340℃
− 水素流量: 32 L/h
− 供給原料流量: 80cm/h
− 時間当たりの容積速度: 2h−1
基準テストは、実施例1の酸化物触媒NiMoP(触媒C1)を装置内に装入し、350℃の温度に関することを除いて上記に定義したテストの条件で、前記温度を10時間維持して、2重量%のジメチルジスルフィド(DMDS)を添加した、上記に定義したテスト供給原料を通過させて硫化工程を行うことにより実施される。この工程後に、温度をテスト温度340℃に下げ、かつ純粋な軽油の供給原料を注入する。
【0112】
テストされた触媒の触媒性能を、次の表に示す。テストされた触媒の触媒性能は、触媒C1の触媒性能が100に等しいと仮定し、かつテストされた触媒の触媒性能が1.5次(order)と考えて、触媒性能は相対活性で表す。活性および水素化脱硫の転化率(%HDS)を結ぶ関係は、次の通りである:
HDS=[100/(100−%HDS)]0.5−1
【表1】

【0113】
表1は、供給原料下で硫化された触媒(C1)、または1に等しいHS/H容積比によりHS−H下で硫化された触媒(C2)と比較した、本発明により硫化された触媒(C3、C4、C5、C6、C7)に関して得られた大きな活性利得を示す。
【0114】
(実施例9:硫化率)
実施例2、3、4および7に記された硫化条件で硫化された試料の硫化率を、表2に示す。実施例2、3および4の条件で行われた硫化の場合、試料を、硫黄含有量の分析のために、窒素雰囲気下に移した。硫化率は、100で乗じた、実験S/(Ni+Mo)および理論S/(Ni+Mo)のモル比間の比率として定義され、この理論値は、酸化モリブデンMoOおよび酸化ニッケルNiOのそれぞれの硫化物であるMoSおよびNiへの全変換に対応する。
【表2】

【0115】
本発明によらない条件(実施例2の条件)で硫化された触媒に対して、本発明の条件(実施例3、4および7の条件)により硫化された触媒が、100%に近い硫化率を示すことが認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫化水素(HS)、水素(H)を含むガス雰囲気下での硫化工程を含む水素化処理触媒の硫化方法であって、HS/Hモル比が4を超え、かつHSの分圧が少なくとも1kPaであることを特徴とする方法。
【請求項2】
S/Hモル比が7を超える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガス雰囲気は、希釈不活性ガスを含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
硫化工程は、600℃未満の温度で行われる請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
硫化工程は、500℃未満の温度で行われる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
硫化工程は、現場で行われる請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
硫化水素は、水素化処理、熱分解、接触分解及び水素化分解装置に由来するガスを浄化するために精油所に存在するアミン類でのガス洗浄装置に由来する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の方法であって、
・不活性ガス、次に水素により、触媒装入後の水素化処理装置をパージし、水素化処理方法の設計圧力または再循環コンプレッサの最小機能圧力まで装置を与圧する工程と、
・触媒床の水素下で200℃未満の温度まで加熱する工程と、
・硫化工程であって、
− 標準温度及び圧力条件で測定される、装入された触媒の容積に対して計算されるHS−HまたはHS−H−不活性ガスの全ガス流量を触媒1リットル当たりガス1〜10000リットル、硫化ガスの注入温度を200℃未満として、純粋なまたは不活性ガスと混合されたHSを注入し、
− 最終硫化安定期まで直接的に、または1回若しくは複数回の安定期を遵守して、300℃を超え、かつ600℃未満の最終硫化温度まで温度を上昇させ、
− 24時間未満の時間、最終硫化温度で安定させる、工程と、
・硫化雰囲気下で300℃未満の温度まで装置を冷却する工程と、
・純粋なまたは不活性ガスと混合されたHSの供給を停止し、必要な場合には装置を水素化処理方法の圧力に置く工程と
を包含する、方法。
【請求項9】
硫化ガスの注入温度及び最終硫化温度の間の温度上昇は、210〜250℃の温度での中間安定期を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
最終硫化温度は、300〜380℃である請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
硫化工程は、現場外で行われる請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
硫化工程の後には、多くとも21.3kPaの酸素分圧を含む酸化ガス流での酸化不動態化工程が続く請求項11に記載の方法。
【請求項13】
触媒が固定床、流動床または移動床にある請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか1つに記載の方法であって、
・不活性ガス、次に水素により、触媒装入後の硫化装置をパージし、必要な場合には装置を与圧する工程と、
・触媒床の水素下で200℃未満の温度まで加熱する工程と、
・硫化工程であって、
− 標準温度及び圧力条件で測定される、装入された触媒の容積に対して計算されるHS−HまたはHS−H−不活性ガスの全ガス流量を触媒1リットル当たりガス1〜10000リットル、硫化ガスの注入温度を200℃未満として、硫化装置内に純粋なまたは不活性ガスと混合されたHSを注入し、
− 最終硫化安定期まで直接的に、または1回若しくは複数回の安定期を遵守して、300℃を超え、かつ600℃未満の最終硫化温度まで温度を上昇させ、
− 24時間未満の時間の最終硫化温度で安定させる、工程と、
・硫化雰囲気下で300℃未満の温度まで装置を冷却する工程と
・H下で150℃未満の温度まで装置を冷却する工程と、
・不活性ガス下、150℃未満の温度で装置をパージする工程と、
・多くとも21.3kPaの酸素分圧を含み、かつ150℃未満の温度の酸化ガス流で、最大時間24時間の触媒処理を行う酸化不動態化工程と、
・周囲温度まで装置を冷却し、必要な場合には減圧し、周囲空気下で触媒を放出する工程と
を包含する、方法。
【請求項15】
酸素分圧は、2〜4kPaの安定期に分けて1kPaから21.3kPaに増加される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法の硫化処理を受ける水素化処理触媒。
【請求項17】
炭化水素供給原料の水素化精製及び/または水素化転化/水素化分解のための請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法によって得られた触媒、または請求項16に記載の触媒の使用。

【公開番号】特開2006−75830(P2006−75830A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260481(P2005−260481)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(591007826)アンスティテュ フランセ デュ ペトロール (261)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT FRANCAIS DU PETROL
【Fターム(参考)】