説明

水素生成装置、燃料電池システム、及び水素生成装置の運転方法

【課題】原料の組成変化に対し、従来よりも適切に対応できる水素生成装置、燃料電池システム、及び水素生成装置の運転方法を提供する。
【解決手段】改質器への原料の供給量を一定としかつ改質器への水の供給量及び燃焼器への燃焼空気の供給量のうちのいずれか一方の供給量を一定とし他方の供給量を改質器の温度が所定の温度になるように制御しているときの他方の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる、改質器への原料の供給量の目標値、改質器への水の供給量の目標値、及び燃焼器への燃焼空気の供給量の目標値の少なくともいずれか一つである制御パラメータを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素生成装置、燃料電池システム、及び水素生成装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、発電時の燃料として用いられる水素含有ガスガスが一般的な原料インフラとして整備されていないため、通常、一般的な原料インフラである天然ガスやLPGから水素含有ガスを生成させる改質器を有する水素生成装置を備えている。改質器では、水蒸気改質反応が一般的に用いられている。この水蒸気改質反応は、例えば、原料となる都市ガスと水蒸気とをNi系やRu系といった貴金属系の改質触媒を用いて、600℃〜700℃程度の高温で反応させることにより、水素を主成分とした水素含有ガスを生成するものである。水蒸気改質反応を効率よく安定して行うためには、供給される原料組成に適した量の水を供給する必要がある。例えば、メタン(CH)ガスやエタン(CH)ガスが水蒸気改質されて水素と二酸化炭素とが生成される改質反応では、理論的には、1モルのメタンに対して必要な水は2モルであり、また、エタンに対しては必要な水は4モルである。通常は、改質器への水の供給量が不足すると供給された原料中の炭素が析出する等の問題が生じることから、これを防ぐべく、原料の供給流量から算出された理論水量の1.5倍程度の水が改質器に供給されるように水供給流量が設定され、原料の供給流量に応じて水の供給流量が制御されている。
【0003】
また、水蒸気改質反応に必要な熱エネルギーは改質器に設けた燃焼器で供給しており、起動時は、水素生成装置を通流したガスを燃焼器へ戻して燃焼させ、燃料電池へ水素含有ガスを供給している時は、燃料電池から排出される燃料オフガスを燃焼器で燃焼させる方法が一般的である。
【0004】
燃焼器での燃焼を安定して行うためには、供給される原料組成に適した量の燃焼空気を供給する必要がある。例えば、メタンガスやエタンガスが酸素ともに燃焼して水と二酸化炭素とが生成される燃焼反応では、理論的には、1モルのメタンに対して必要な酸素は2モルであり、また、エタンに対しては必要な酸素は3.5モルである。通常は、燃焼部への燃焼空気の供給量が不足すると燃焼不良が生じることから、これを防ぐべく、原料の供給流量から算出された理論燃焼空気量の1.5倍程度の燃焼空気が燃焼部に供給されるように燃焼空気の供給量が設定され、原料の供給流量に応じて燃焼空気の供給量が制御されている。
【0005】
ところで、原料インフラの構成上、水素生成装置に供給される原料組成は変化することがある。例えば、既存のインフラから供給される都市ガスは、主たる組成は同様であっても、供給元(具体的にはガス会社)によって組成に違いがあることから、供給元を変更すると、水素生成装置に供給される原料の組成が変化する。また、決められた基準の中で、同一の供給元においても原料の組成が変更される場合がある。
【0006】
供給される原料の組成が変化した場合、組成変化前の原料供給流量に応じて設定された供給水量のままで水を供給すると、組成変化後の理論水量と実際の供給水量との間に差が生じ、実際に必要な供給水量が理論水量に対して大きな過不足を生じる可能性がある。
【0007】
例えば、供給水量が組成変化後の理論水量よりも多い場合には、改質反応自体は速やかに進行するが、改質反応のための水蒸発に消費するエネルギー量が多くなるため、水素製造時のエネルギー効率が低下する。
【0008】
一方、供給水量が組成変化後の理論水量よりも少ない場合には、供給された原料が熱分解して炭化したり、あるいは、改質ガスの不均化反応によって炭素析出が生じうる。このため、水素生成装置の圧損の増大や、さらには改質ガス流路の閉塞を起こし、その結果、水素生成効率の低下や、装置の運転停止を招くおそれがある。
【0009】
また、供給される原料の組成が変化した場合、組成変化前の原料供給流量に応じて設定された燃焼空気量のままで運転を継続すると、変化後の組成に応じた理論燃焼空気量と実際の燃焼空気の供給量との間に差が生じ、実際の燃焼空気の供給量が理論燃焼空気量に対して大きな過不足を生じ、燃焼不良を引き起こす可能性がある。
【0010】
上記問題を解決する手段として、原料組成を推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されている水素製造装置では、起動時に水素製造装置へ水が供給されるまでの間の改質部温度または燃焼部温度の変化から原料組成を推定することにより、水素生成部への水の供給量および燃焼部への燃焼空気量を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−200260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1に開示されている燃料電池システムでは、原料の組成を推定することで、運転条件をある程度適正化できる。しかし、水素生成装置および燃料電池システムのエネルギー効率を向上させるためには、原料の組成変化により適切に対応することが望まれている。
【0013】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、原料の組成変化に対し、従来よりも適切に対応することが可能な水素生成装置、およびこれを備える燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
【0015】
特許文献1記載の燃料電池システムは、水素含有ガスの生成を開始する前に改質器の昇温を行っているときの改質器の温度よりも、改質器に原料及び水の供給を開始してからの改質器の温度の方が、原料組成の変化に対してより大きく温度変化することを発見した。これは、改質器に水の供給を開始すると、改質器に原料のみを供給しているときよりも、水蒸発に伴う体積膨張により燃焼器に流入する可燃性ガスの量が増加するため、原料組成の相違に伴う発熱量の相違がより顕著に現れるためであると推定される。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の水素生成装置は、原料を供給する原料供給器と、水を供給する水供給器と、前記原料供給器から供給される原料及び前記水供給器から供給される水を用いて改質反応により水素含有ガスを生成する改質器と、前記改質器より排出される水素含有ガスを燃焼して前記改質器を加熱する燃焼器と、前記燃焼器に燃焼空気を供給する空気供給器と、前記改質器の温度を検知する温度検知器と、前記改質器への原料の供給量を一定としかつ前記改質器への水の供給量及び前記燃焼器への燃焼空気の供給量のうちのいずれか一方の供給量を一定とし他方の供給量を前記改質器の温度が所定の温度になるように制御しているときの前記他方の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる、前記改質器への原料の供給量の目標値、前記改質器への水の供給量の目標値、及び前記燃焼器への燃焼空気の供給量の目標値の少なくともいずれか一つである制御パラメータを設定する制御パラメータ設定器とを備える。
【0017】
また本発明の燃料電池システムは、上記水素生成装置と、前記水素生成装置より供給される水素含有ガスを用いて発電する燃料電池とを備える。
【0018】
また、本発明の水素生成装置の運転方法は、改質器への原料の供給量を一定としかつ改質器への水の供給量及び燃焼器への燃焼空気の供給量のうちのいずれか一方の供給量を一定とし、他方の供給量を前記改質器の温度が所定の温度になるように制御するステップと、前記ステップにおける前記他方の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる、前記改質器への原料の供給量の目標値、前記改質器への水の供給量の目標値、及び前記燃焼器への燃焼空気の供給量の目標値の少なくともいずれか一つを設定するステップとを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の水素生成装置、燃料電池システム、及び水素生成装置の運転方法によれば、原料の組成変化に対し、従来よりも適切に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、第1実施形態にかかる水素生成装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態にかかる水素生成装置の動作方法の一例を示すフローチャートである。
【図3】図3は、第1実施形態において原料組成の変化を検出する方法の一例を説明するための概念図である。
【図4】図4は、第1実施形態において原料組成の変化を検出する方法の一例を説明するための概念図である。
【図5】図5は、原料の組成毎に水素生成量の目標値と原料供給量の目標値との対応関係を示すテーブルデータを示す図である。
【図6】図6は、原料の組成とスチームカーボン比(S/C)との対応関係、及び原料の組成と空気比(λ)との対応関係を示すテーブルデータを示す図である。
【図7】図7は、第2実施形態にかかる水素生成装置の動作方法の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、第3実施形態にかかる水素生成装置の動作方法の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第4実施形態にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
第1実施形態にかかる水素生成装置は、原料を供給する原料供給器と、水を供給する水供給器と、原料供給器から供給される原料及び水供給器から供給される水を用いて改質反応により水素含有ガスを生成する改質器と、改質器より排出される水素含有ガスを燃焼して改質器を加熱する燃焼器と、燃焼器に燃焼空気を供給する空気供給器と、改質器の温度を検知する温度検知器と、改質器への原料の供給量を一定としかつ改質器への水の供給量及び燃焼器への燃焼空気の供給量のうちのいずれか一方の供給量を一定とし他方の供給量を改質器の温度が所定の温度になるように制御しているときの他方の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる、改質器への原料の供給量の目標値、改質器への水の供給量の目標値、及び燃焼器への燃焼空気の供給量の目標値の少なくともいずれか一つである制御パラメータを設定する制御パラメータ設定器とを備える。
【0022】
かかる構成により、原料の組成変化に対し、従来よりも適切に対応することができる。
【0023】
上記水素生成装置において、制御パラメータ設定器により設定された制御パラメータに基づき運転を制御する制御器を備えてもよい。
【0024】
上記水素生成装置において、制御器は、次の起動時において制御パラメータ設定器により設定された制御パラメータに基づき起動を実行する制御器を備えてもよい。
【0025】
上記水素生成装置において、他方の供給量は、燃焼器への燃焼空気の供給量であってもよい。
【0026】
上記水素生成装置において、制御パラメータ設定器は、改質器への原料の供給量を一定とし、かつ改質器への水の供給量を一定とし、燃焼器への燃焼空気の供給量を改質器の温度が所定の温度になるように制御しているときの燃焼器への燃焼空気の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる改質器への原料の供給量の目標値を設定してもよい。
【0027】
上記水素生成装置において、制御パラメータ設定器は、改質器への原料の供給量を一定とし、かつ改質器への水の供給量を一定とし、燃焼器への燃焼空気の供給量を改質器の温度が所定の温度になるように制御しているときの燃焼器への燃焼空気の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる改質器への水の供給量の目標値を設定してもよい。
【0028】
上記水素生成装置において、制御パラメータ設定器は、改質器への原料の供給量を一定とし、かつ改質器への水の供給量を一定とし、燃焼器への燃焼空気の供給量を改質器の温度が所定の温度になるように制御しているときの燃焼器への燃焼空気の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる燃焼器への燃焼空気の供給量の目標値を設定してもよい。
【0029】
また、第1実施形態にかかる水素生成装置の運転方法は、改質器への原料の供給量を一定としかつ改質器への水の供給量及び燃焼器への燃焼空気の供給量のうちのいずれか一方の供給量を一定とし、他方の供給量を改質器の温度が所定の温度になるように制御するステップと、また、第1実施形態にかかる水素生成装置の運転方法は、ステップにおける他方の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる、改質器への原料の供給量の目標値、改質器への水の供給量の目標値、及び燃焼器への燃焼空気の供給量の目標値の少なくともいずれか一つを設定するステップとを有する。
【0030】
[装置構成]
図1は、第1実施形態にかかる水素生成装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
図1に示す例では、本実施形態の水素生成装置100は、原料供給器2と、水供給器4と、改質器6と、燃焼器8と、空気供給器10と、温度検知器12と、制御パラメータ設定器50と、制御器51とを備えている。
【0032】
以下、図1に示す例に含まれる各構成要素の構成例について説明する。
【0033】
原料供給器2は、原料を改質器6へと供給する。原料供給器2は、例えば、昇圧器及び流量調整弁の少なくともいずれか一方により構成される。
【0034】
水供給器4は、水を改質器6へと供給する。水供給器4は、例えば、ポンプおよび流量調整弁の少なくともいずれか一方により構成される。
【0035】
改質器6は、原料を改質反応させて水素含有ガスを生成する。原料は、少なくとも炭素及び水素を構成元素とする有機化合物を含み、具体的には、天然ガス、都市ガス、LPG、LNG等の炭化水素、及びメタノール、エタノール等のアルコールが例示される。都市ガスとは、ガス会社から配管を通じて各家庭等に供給されるガスをいう。改質反応は、いずれの改質反応でもよく、具体的には、水蒸気改質反応、オートサーマル反応及び部分酸化反応が例示される。改質器6で生成された水素含有ガスは、水素供給経路を介して水素利用機器150へと供給される。
【0036】
燃焼器8は、改質器6を加熱する。燃焼器8の燃料には、少なくとも改質器6より排出される水素含有ガスが用いられる。燃焼器8に供給される水素含有ガスは、改質器6から燃焼器8に直接供給されてもよいし、水素利用機器150から排出される水素含有ガスが燃焼器8に供給されてもよい。燃焼器8において、水素含有ガスに原料が添加されて燃焼されてもよい。
【0037】
空気供給器10は、燃焼器8に燃焼空気を供給する。空気供給器10は、例えば、ファン及びポンプの少なくともいずれか一方により構成される。
【0038】
温度検知器12は、改質器6の温度を検知する。温度検知器12は、例えば、熱電対により構成される。
【0039】
制御パラメータ設定器50および制御器51は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備える。演算処理部としては、MPU、CPUが例示される。記憶部としては、メモリが例示される。制御パラメータ設定器50および制御器51は、単一の制御器で構成されていてもよい。あるいは、制御パラメータ設定器50および制御器51のそれぞれが、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。この点は、他の実施形態及びその変形例の制御器においても同様である。
【0040】
制御器51は、制御パラメータ設定器50により設定された制御パラメータに基づいて水素生成装置100の運転を制御する。
【0041】
[制御パラメータの設定方法]
次に、制御パラメータ設定器50による制御パラメータの設定方法について説明する。
【0042】
図2は、第1実施形態にかかる水素生成装置の動作方法の一例を示すフローチャートである。
【0043】
制御パラメータの設定動作が開始されると(スタート)、制御パラメータ設定器50は、原料供給器2から改質器6への原料の供給量を一定とし、かつ水供給器4から改質器6への水の供給量及び空気供給器10から燃焼器8への燃焼空気の供給量のうちのいずれか一方の供給量を一定に制御する(ステップS101)。
【0044】
そして、ステップS101の制御を行っているときに、水の供給量及び燃焼空気の供給量のうち他方の供給を改質器6の温度が所定の温度になるよう制御する(ステップS102)。
【0045】
次に、制御パラメータ設定器50は、ステップS101における他方の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる、改質器6への原料の供給量の目標値、改質器6への水の供給量の目標値、及び燃焼器8への燃焼空気の供給量の目標値の少なくともいずれか一つである制御パラメータを設定し(ステップS103)、制御パラメータの設定動作が終了する(エンド)。
【0046】
制御パラメータは、水素生成量の目標値から、直接的に導かれてもよいし、間接的に導かれてもよい。
【0047】
改質器6への原料の供給量の目標値は、水素生成量の目標値から直接的に導かれるのが好ましい。
【0048】
改質器6への水の供給量の目標値は、水素生成量の目標値から、直接的に導かれてもよいし、間接的に導かれてもよい。間接的に導かれる場合は、例えば、改質器6への原料の供給量の目標値に基づいて、所定のスチームカーボン比(S/C:モル比)が満たされるように、水の供給量が決定されうる。
【0049】
燃焼器8への燃焼空気の供給量の目標値は、水素生成量の目標値から、直接的に導かれてもよいし、間接的に導かれてもよい。具体的には、水素生成量の目標値に基づいて、水素利用機器(例えば、燃料電池)での水素消費量から導かれる所定量のオフガスが所定の空気比(λ)を満たすように、空気の供給量が決定されうる。空気比とは、実際に供給される空気量(実空気量)を、燃料を完全燃焼させるために理論上必要とされる空気量(理論空気量)で除した比(実空気量/理論空気量)をいう。
【0050】
[原料組成の変化を検出する方法]
本実施形態では、原料組成の変化を検出して制御パラメータの設定が行われる。以下、本実施形態における、原料組成の変化を検出する方法を説明する。
【0051】
まず、改質器6への原料の供給量及び改質器6への水の供給量が一定であって、燃焼器8への燃焼空気の供給量が制御されることにより、改質器6の温度が所定温度に制御される場合について説明する。
【0052】
図3は、第1実施形態において原料組成の変化を検出する方法の一例を説明するための概念図である。図3では、組成の異なる原料ガスA〜Cの各々が水素生成装置100に供給された場合における、温度検知器12の検出温度及び燃焼空気の供給量の経時的な変化を示す。原料ガスAは20vol%の窒素を含むメタンであり、原料ガスBは100vol%のメタンであり、原料ガスCは20vol%のプロパンを含むメタンである。
【0053】
原料ガスA、原料ガスB及び原料ガスCについて単位供給流量あたりのガス中の炭素量(重量%)を比較すると、原料ガスCが最も多く、原料ガスB、及び原料ガスAの順に炭素量が減少する。原料中の炭素量が減少すると、基本的に、原料の燃焼により生じる発熱量は減少する。このため、原料ガスA、原料ガスB、及び原料ガスCをそれぞれ供給している場合において、原料の供給流量、水の供給流量、及び燃焼空気の供給量がそれぞれ等しく、かつ燃焼不良が生じていない場合、改質器6の昇温速度は原料ガスAを供給している場合が最も遅く、原料ガスB、及び原料ガスCの順に速くなる。
【0054】
原料ガスAが供給されている場合を例にとると、改質器6が昇温し、温度検知器12の検出温度が温度T1に到達した時間t1Aにおいて、燃焼空気の供給量の制御が開始される。
【0055】
ここで、本実施形態の水素生成装置100では、燃焼不良が生じていない場合、燃焼空気の供給量が多いほど、改質器6はより温度が低くなる。この理由を以下に説明する。
【0056】
燃焼器8に供給される燃焼空気の供給量が多い、換言すれば、空気比(λ)が高いほど、燃焼器8で生成される燃焼排ガス中に含まれる燃焼空気量も多くなる。燃焼器8に供給される燃焼空気は、通常、燃焼排ガスよりも温度が低いので、燃焼排ガス中に含まれる燃焼空気の量が増加すると燃焼排ガス温度も低下する。従って、燃焼器8に供給される燃焼空気の供給量が多いほど、改質器6はより多く温度が低くなる。
【0057】
なお、温度T1については、水の供給が開始される時点の温度よりも高い温度であればどのような温度でもよく、例えば、450℃としうる。また、燃焼空気の供給量を制御している時において、燃焼空気の供給量の上限と下限をあらかじめ設定しておいてもよい。
【0058】
時間t1Aにおいて燃焼空気の供給量の制御が開始された後、温度検知器12の検出温度が制御温度T2となるよう燃焼空気の供給量が調整され、改質器6が昇温する。
【0059】
やがて時間t2Aの時、温度検知器12の検出温度が制御温度T2で安定する。この時の燃焼空気の供給量をAAとする。原料ガスB及び原料ガスCにおいても同様に、それぞれ時間t2B、t2Cの時、温度検知器12が制御温度T2で安定し、その時の燃焼空気の空気量をそれぞれAB、ACとする。
【0060】
原料の単位体積あたりの燃焼熱は、原料ガスA、原料ガスB、原料ガスCの順に大きいため、改質器6に供給される原料の流量が一定の場合、温度検知器12を制御温度T2で安定させるのに必要な燃焼空気の供給量は、原料ガスA、原料ガスB、原料ガスCの順に大きくなる。
【0061】
ここで、温度検知器12を制御温度T2で安定させるのに必要な燃焼空気の供給量と原料の単位供給流量あたりのガス中の炭素量とは正の相関関係にある。制御パラメータ設定器50は、原料の組成毎に、この相関関係をあらかじめ記憶している。したがって、原料組成が変化しても、温度検知器12の検出温度を制御温度T2で安定させるのに必要な燃焼空気の供給量と、制御パラメータ設定器50の記憶している相関式とを用いることにより、原料の組成を推定することができる。
【0062】
なお、制御温度T2は例えば、300℃以上700℃未満の所定温度とすることができ、570℃以上650℃未満の所定温度であることがより好ましく、例えば、590℃としうる。また、温度検知器12の検出温度が制御温度T2で安定したか否かの判定は、例えば、温度検知器12の検出温度が、1分間に亘り、制御温度T2を含む所定温度範囲内に1分間入り続けたか否かを判断する方法等により行うことができる。
【0063】
次に、改質器6への原料の供給量及び燃焼器8への燃焼空気の供給量が一定であって、改質器6への水の供給量が制御されることにより、改質器6の温度が所定温度に制御される場合について説明する。
【0064】
図4は、第1実施形態において原料組成の変化を検出する方法の一例を説明するための概念図である。図4では、組成の異なる原料ガスA〜Cの各々が水素生成装置100に供給された場合における、温度検知器12の検出温度及び水の供給量の経時的な変化を示す図である。原料ガスA〜Cの組成は、図3の場合と同様である。
【0065】
原料ガスAが供給されている場合を例にとると、改質器6が昇温し、温度検知器12の検出温度が温度T1に到達した時間t1Aにおいて、改質器6への水の供給量の制御が開始される。
【0066】
ここで、本実施形態の水素生成装置100では、改質器6への水の供給量が多いほど、改質器6はより温度が低くなる。この理由を以下に説明する。
【0067】
改質器6への水の供給量が多いと、換言すれば、スチームカーボン比(S/C)が高いほど、水を蒸発させるのに必要な熱量が多くなる。このため、水の供給量が多いと、改質器6への加熱に使用される熱量が低下し、改質器6はより温度が低くなる。
【0068】
なお、水の供給量を制御している時において、水の供給量の上限と下限をあらかじめ設定しておいてもよい。
【0069】
時間t1Aにおいて水の供給量の制御が開始された後、温度検知器12の検出温度が制御温度T2となるよう水の供給量が調整され、改質器6が昇温する。
【0070】
やがて時間t2Aの時、温度検知器12の検出温度が制御温度T2で安定する。この時の水の供給量をWAとする。原料ガスB及び原料ガスCにおいても同様に、それぞれ時間t2B、t2Cの時、温度検知器12の検出温度が制御温度T2で安定し、その時の水の供給量をそれぞれWB、WCとする。
【0071】
原料の単位体積あたりの燃焼熱は、原料ガスA、原料ガスB、原料ガスCの順に大きいため、改質器6に供給される原料の流量が一定の場合、温度検知器12を制御温度T2で安定させるのに必要な水の供給量は、原料ガスA、原料ガスB、原料ガスCの順に大きくなる。
【0072】
ここで、温度検知器12を制御温度T2で安定させるのに必要な水の供給量と原料単位供給流量あたりのガス中の炭素量は正の相関関係にある。制御パラメータ設定器50は、原料の組成毎に、この相関関係をあらかじめ記憶している。したがって、原料組成が変化しても、温度検知器12の検出温度を制御温度T2で安定させるのに必要な水の供給量と、50の記憶している相関式とを用いることにより、原料の組成を推定することができる。
【0073】
制御温度T2および温度検知器12の検出温度が安定したか否かの判定方法は、図3の場合と同様としうるので、説明を省略する。
【0074】
制御パラメータ設定器50は、例えば、以上のような方法で、原料の組成を推定し、推定された原料の組成に基づいて、水素生成量の目標値から導かれる、改質器6への原料の供給量の目標値、改質器6への水の供給量の目標値、及び燃焼器8への燃焼空気の供給量の目標値の少なくともいずれか一つである制御パラメータを設定する。制御器51は、設定された制御パラメータに基づいて、水素生成装置100の運転を制御する。
【0075】
推定された原料の組成に基づく制御パラメータの設定方法は、いずれの方法であってもよいが、その一例について説明する。
【0076】
図5に示すような、水素生成量の目標値と原料供給量の目標値との対応関係を示すテーブルデータが原料の組成毎に設けられ、これが、制御パラメータ設定器50に記憶されている。制御パラメータ設定器50は、原料の組成が推定されると、推定された原料の組成に対応するテーブルデータを、水素生成量の目標値に応じて原料供給量の目標値を決定する際の参照データに設定する。
【0077】
水の供給量の目標値、及び燃焼空気供給量の目標値についても、図5と同様に原料組成毎に水素生成量の目標値と水の供給量の目標値との対応関係、及び水素生成量の目標値と燃焼空気の目標値との対応関係を示すテーブルデータが制御パラメータ設定器50に記憶され、推定された原料の組成に対応するテーブルデータを上記各目標値を決定する際の参照データに設定してもよい。または、図6に示すように、原料の組成とスチームカーボン比(S/C)との対応関係、及び原料の組成と空気比(λ)との対応関係を示すテーブルデータが制御パラメータ設定器50に記憶され、推定された原料の組成に対応する値が、水の供給量の目標値、及び燃焼空気量の目標値を決定する際に用いられる係数として設定される。
【0078】
なお、原料の組成を推定することは必須ではなく、例えば、改質器6への原料の供給量を一定としかつ改質器6への水の供給量及び燃焼器8への燃焼空気の供給量のうちのいずれか一方の供給量を一定とし他方の供給量を改質器6の温度が所定の温度になるように制御しているときの他方の供給量と制御パラメータとの対応関係を示すテーブルデータに基づいて、制御パラメータが設定されてもよい。この場合には、原料の組成が推定される必要はない。なお、水の供給量の目標値の設定及び燃焼空気量の目標値の設定については、上記他方の供給量とスチームカーボン比(S/C)との対応関係を示すテーブルデータ、及び上記他方の供給量と空気比(λ)との対応関係を示すテーブルデータを用いる形態であってもよい。
【0079】
改質器6への原料の供給量を一定に制御する場合には、制御器等による能動的な制御によって原料の供給量を一定に制御する場合と、他のパラメータ(例えば、水素生成量の目標値)に基づいて運転が制御されている場合において、他のパラメータが一定であるために、原料の供給量が結果的に一定となった場合の両方を含む。
【0080】
水の供給量及び燃焼空気の供給量のうちのいずれか一方の供給量を一定とすることには、制御器等による能動的な制御によって該一方の供給量を一定に制御する場合と、他のパラメータ(例えば、水素生成量の目標値)に基づいて運転が制御されている場合において、他のパラメータが一定であるために、該一方の供給量が結果的に一定となった場合の両方を含む。
【0081】
図3、図4では、起動時を例として説明したが、改質器6への原料の供給量を一定としかつ改質器6への水の供給量及び燃焼器8への燃焼空気の供給量のうちのいずれか一方の供給量を一定とし他方の供給量を改質器6の温度が所定の温度になるように制御するタイミングは、起動時である必要はなく、一定出力で運転する定常運転時などであってもよいし、改質器6の温度が突然変化した時や、特定のスイッチが押された場合に該制御が行なわれることとしてもよい。
【0082】
[水素生成装置100の運転制御]
制御器51は、制御パラメータ設定器50により設定された制御パラメータに基づいて、水素生成装置100の運転を制御してもよい。この制御は、例えば、水素生成装置100に供給される流体の流量を制御することとしうる。該流体としては、例えば、原料を反応させられる流体とすることができる。該流体は、より具体的には例えば、改質器6に供給される原料、改質器6に供給される水、および燃焼器8に供給される燃焼空気の少なくともいずれか一つとしうる。
【0083】
制御器51は、水素生成装置100における水素生成量の目標値に基づいて、改質器6への原料の供給量、改質器6への水の供給量、及び燃焼器8への燃焼空気の供給量の少なくともいずれか一つを決定して、水素生成装置100の運転を制御する。該決定が、改質器6への原料の供給量を一定としかつ改質器6への水の供給量及び燃焼器8への燃焼空気の供給量のうちのいずれか一方の供給量を一定とし他方の供給量を改質器6の温度が所定の温度になるように制御しているときの他方の供給量に基づいて行われることで、原料の組成変化に対し、従来よりも適切に対応することができる。
【0084】
制御器51は、次の起動時において、制御パラメータ設定器50により設定された制御パラメータに基づいて起動を実行してもよい。次の起動時には、原料の組成が変化していない蓋然性が高いので、制御パラメータをそのまま利用すれば、効率的な運転が可能となる。
【0085】
(第2実施形態)
第2実施形態の水素生成装置は、上記水素生成装置において、制御パラメータ設定器は、他方の供給量が上限値より大きい場合、運転を停止する。
【0086】
かかる構成により、原料組成の異常の恐れがあるときに、運転が停止されるので水素生成装置の損傷を抑制することができる。
【0087】
本実施の形態の水素生成装置は、上記特徴以外は、第1実施形態の水素生成装置と同様に構成されていてもよい。
【0088】
次に、本実施形態の水素生成装置の一例について詳細について説明する。
【0089】
本実施形態の水素生成装置の具体的構成は、第1実施形態の水素生成装置と同様に構成されるので、その説明を省略する。
【0090】
次に、本実施形態の水素生成装置の動作の一例について説明する。
【0091】
図7は、本実施形態の水素生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図に示すように、第1実施形態の水素生成装置と同様に、ステップS101及びステップS102を実行しているときの他方の供給量が上限値より大きいか否かを制御器51が判定する(ステップS104)。他方の供給量が、上限値よりも大きい場合(ステップS104でYes)、水素生成装置の運転を停止する(ステップS105)。ここで、上記上限値は、水素生成装置の運転を継続することが可能な上限の値として設定される。
【0092】
一方、他方の供給量が、上限値以下である場合(ステップS104でNo)、制御パラメータ設定器50により制御パラメータを設定する(ステップS103)。上記制御パラメータは、第1実施形態と同様に、水素生成量の目標値から導かれる、改質器への原料の供給量の目標値、改質器への水の供給量の目標値、及び燃焼器への燃焼空気の供給量の目標値の少なくともいずれか一つである。
【0093】
(第3実施形態)
第3実施形態の水素生成装置は、上記水素生成装置において、制御パラメータ設定器は、他方の供給量が下限値未満である場合、運転を停止する。
【0094】
かかる構成により、原料組成の異常の恐れがあるときに、運転が停止されるので水素生成装置の損傷を抑制することができる。
【0095】
本実施の形態の水素生成装置は、上記特徴以外は、第1実施形態及び第2実施形態の少なくともいずれか一つの水素生成装置と同様に構成されていてもよい。
【0096】
次に、本実施形態の水素生成装置の一例について詳細について説明する。
【0097】
本実施形態の水素生成装置の具体的構成は、第1実施形態の水素生成装置と同様に構成されるので、その説明を省略する。
【0098】
次に、本実施形態の水素生成装置の動作の一例について説明する。
【0099】
図8は、本実施形態の水素生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図に示すように、第1実施形態の水素生成装置と同様に、ステップS101を実行しているときの他方の供給量が下限値未満か否かを制御器51が判定する(ステップS106)。他方の供給量が、下限値未満である場合(ステップS106でYes)、水素生成装置の運転を停止する(ステップS107)。ここで、上記下限値は、水素生成装置の運転を継続することが可能な下限の値として設定される。
【0100】
一方、他方の供給量が、下限値以上である場合(ステップS106でNo)、制御パラメータ設定器50により制御パラメータを設定する(ステップS103)。上記制御パラメータは、第1実施形態と同様に、水素生成量の目標値から導かれる、改質器への原料の供給量の目標値、改質器への水の供給量の目標値、及び燃焼器への燃焼空気の供給量の目標値の少なくともいずれか一つである。
【0101】
(第4実施形態)
第4実施形態の燃料電池システムは、第1実施形態−第3実施形態のいずれかの水素生成装置と、水素生成装置より供給される水素含有ガスを用いて発電する燃料電池とを備える。
【0102】
上記燃料電池システムにおいて、制御パラメータ設定器は、改質器の昇温動作が完了してから燃料電池システムの発電運転が開始されるまでの間において、他方の供給量に応じた設定を実行してもよい。
【0103】
かかる構成により、原料組成に応じて設定された制御パラメータに基づき燃料電池システムの発電運転が実行されるので、燃料電池システムを安定して運転することができる。
【0104】
本実施形態の燃料電池システムは、上記特徴以外は、第1実施形態−第3実施形態の少なくともいずれか一つの水素生成装置と同様に構成されていてもよい。
【0105】
[装置構成]
図9は、第2実施形態にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0106】
図9に示す例では、本実施形態の燃料電池システム200は、第1実施形態の水素生成装置100と、燃料電池160とを備えている。
【0107】
本実施形態の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1実施形態の水素生成装置と同様に構成することができる。よって、図9と図1とで共通する構成要素については、同一の符号及び名称を付して説明を省略する。
【0108】
燃料電池160は、水素生成装置より供給される水素含有ガスを用いて発電する燃料電池である。燃料電池160は、いずれの種類の燃料電池であってもよく、例えば、高分子電解質形燃料電池(PEFC)、固体酸化物形燃料電池またはりん酸形燃料電池等を用いることができる。
【0109】
本実施形態における燃料電池システム200は、制御パラメータ設定器50による制御パラメータの設定の方法については、第1実施形態の水素生成装置と同様とすることができる。よって、詳細な説明を省略する。
【0110】
なお、制御パラメータ設定器50は、改質器6の昇温動作が完了してから燃料電池システム200の発電運転が開始されるまでの間において、制御パラメータの設定を実行してもよい。制御パラメータは、第1実施形態と同様に、水素生成量の目標値から導かれる、改質器への原料の供給量の目標値、改質器への水の供給量の目標値、及び燃焼器への燃焼空気の供給量の目標値の少なくともいずれか一つである。
【0111】
第1実施形態では、制御器51は、水素生成装置100における水素生成量の目標値に基づいて、改質器6への原料の供給量、改質器6への水の供給量、及び燃焼器8への燃焼空気の供給量の少なくともいずれか一つを決定して、水素生成装置100の運転を制御することとされていた。
【0112】
本実施形態の燃料電池システムは、第1実施形態と同様に、水素生成量の目標値に基づいて、改質器6への原料の供給量、改質器6への水の供給量、及び燃焼器8への燃焼空気の供給量の少なくともいずれか一つを決定してもよい。
【0113】
本実施形態の燃料電池システムは、燃料電池システム200における発電量の目標値に基づいて、改質器6への原料の供給量、改質器6への水の供給量、及び燃焼器8への燃焼空気の供給量の少なくともいずれか一つを決定して、燃料電池システム200の運転を制御してもよい。
【0114】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の水素生成装置、燃料電池システム、及び水素生成装置の運転方法は、原料の組成変化に対し、従来よりも適切に対応することができる、水素生成装置、燃料電池システム、及び水素生成装置の運転方法として有用である。
【符号の説明】
【0116】
2 原料供給器
4 水供給器
6 改質器
8 燃焼器
10 空気供給器
12 温度検知器
50 制御パラメータ設定器
51 制御器
100 水素生成装置
200 燃料電池システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を供給する原料供給器と、
水を供給する水供給器と、
前記原料供給器から供給される原料及び前記水供給器から供給される水を用いて改質反応により水素含有ガスを生成する改質器と、
前記改質器より排出される水素含有ガスを燃焼して前記改質器を加熱する燃焼器と、
前記燃焼器に燃焼空気を供給する空気供給器と、
前記改質器の温度を検知する温度検知器と、
前記改質器への原料の供給量を一定としかつ前記改質器への水の供給量及び前記燃焼器への燃焼空気の供給量のうちのいずれか一方の供給量を一定とし他方の供給量を前記改質器の温度が所定の温度になるように制御しているときの前記他方の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる、前記改質器への原料の供給量の目標値、前記改質器への水の供給量の目標値、及び前記燃焼器への燃焼空気の供給量の目標値の少なくともいずれか一つである制御パラメータを設定する制御パラメータ設定器とを備える、水素生成装置。
【請求項2】
前記制御パラメータ設定器により設定された前記制御パラメータに基づき運転を制御する制御器を備える、請求項1記載の水素生成装置。
【請求項3】
前記制御器は、次の起動時において前記制御パラメータ設定器により設定された前記制御パラメータに基づき起動を実行する、請求項2記載の水素生成装置。
【請求項4】
前記制御パラメータ設定器は、前記他方の供給量が上限値より大きい場合、運転を停止する、請求項1−3のいずれかに記載の水素生成装置。
【請求項5】
前記制御パラメータ設定器は、前記他方の供給量が下限値未満である場合、運転を停止する、請求項1−4のいずれかに記載の水素生成装置。
【請求項6】
前記他方の供給量は、前記燃焼器への燃焼空気の供給量である、請求項1に記載の水素生成装置。
【請求項7】
前記制御パラメータ設定器は、前記改質器への原料の供給量を一定とし、かつ前記改質器への水の供給量を一定とし、前記燃焼器への燃焼空気の供給量を前記改質器の温度が所定の温度になるように制御しているときの前記燃焼器への燃焼空気の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる前記改質器への原料の供給量の目標値を設定する、請求項1に記載の水素生成装置。
【請求項8】
前記制御パラメータ設定器は、前記改質器への原料の供給量を一定とし、かつ前記改質器への水の供給量を一定とし、前記燃焼器への燃焼空気の供給量を前記改質器の温度が所定の温度になるように制御しているときの前記燃焼器への燃焼空気の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる前記改質器への水の供給量の目標値を設定する、請求項1に記載の水素生成装置。
【請求項9】
前記制御パラメータ設定器は、前記改質器への原料の供給量を一定とし、かつ前記改質器への水の供給量を一定とし、前記燃焼器への燃焼空気の供給量を前記改質器の温度が所定の温度になるように制御しているときの前記燃焼器への燃焼空気の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる前記燃焼器への燃焼空気の供給量の目標値を設定する、請求項1に記載の水素生成装置。
【請求項10】
請求項1−9のいずれかに記載の水素生成装置と、前記水素生成装置より供給される水素含有ガスを用いて発電する燃料電池とを備える、燃料電池システム。
【請求項11】
前記制御パラメータ設定器は、前記改質器の昇温動作が完了してから前記燃料電池システムの発電運転が開始されるまでの間において、前記他方の供給量に応じた前記設定を実行する、請求項10に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
改質器への原料の供給量を一定としかつ改質器への水の供給量及び燃焼器への燃焼空気の供給量のうちのいずれか一方の供給量を一定とし、他方の供給量を前記改質器の温度が所定の温度になるように制御するステップと、
前記ステップにおける前記他方の供給量に応じて、水素生成量の目標値から導かれる、前記改質器への原料の供給量の目標値、前記改質器への水の供給量の目標値、及び前記燃焼器への燃焼空気の供給量の目標値の少なくともいずれか一つを設定するステップとを有する、
水素生成装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−246170(P2012−246170A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118567(P2011−118567)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】