説明

水素結合によって結合した多層中性ポリマーフィルムのカプセル

水素結合によって結合している層である中性(非荷電)ポリマー層を含むマイクロスケールおよびナノスケールのカプセル、ならびにそのようなカプセルの作製方法。本発明のカプセルは、レイヤー・バイ・レイヤー技術を使用してコア粒子上に層が形成される。本発明のカプセルのカプセル壁は、外部刺激に対する反応を調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非荷電の層が水素結合によって結合している多層中性ポリマーフィルムのカプセルに関する。より詳細には、本発明はマイクロサイズおよびナノサイズのカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途において、物質の放出を制御できることが望まれる。近年、マイクロカプセルは、特にバイオテクノロジー、医学、医薬品、例えば薬剤送達、食品、農業、香水、パーソナルケアおよび化粧品の分野で、カプセル化有効成分の放出制御に関してかなり注目されている。例えば、K.PARK、CONTROLLED DRUG DELIVERY:CHALLENGES AND STRATEGIES、(Am.Chem.Soc.、ワシントンD.C.、1997年);J.Kost、R.Langer、Responsive Polymeric Delivery Systems、46 ADVANCED DRUG DELIVERY REVIEWS 125(2001年)を参照。
【0003】
静電結合しているポリマー多層からなるカプセルが、制御された送達での使用のために研究されてきた。例えば、G.B.Sukhorukovら、pH Controlled Macromolecule Encapsulation In And Release From Polyelectrolyte Multilayer Nanocapsules、22 MACROMOL.RAPID COMMUN.、44(2001年)を参照。そのような静電結合多層カプセルは、一般には基質上への静電荷電ポリマーの層毎の逐次吸着によって調製される。G.DecherおよびJ.D.Hong、Buildup of Uultrathin Multilayer Films by a Self−assembly Process:I.Consecutive Adsorption of Anionic and Cationic Bipolar 46 MACROMOL.CHEM.MACROMOL.SYMP.321(1991年);P.Fisherら、Polyelectrolytes Bearing Azobenzenes for the Functionalization of Multilayers、137 MACROMOL.SYMP.1(1999年)。この自己集合技術は、正と負が交互する静電的荷電による交互ポリマー層間の誘引に依存する。同上。この技術を使用して、静電荷電超薄膜がマイクロサイズおよびナノサイズの粒状基質上に形成されている。
【0004】
有利なことに、この多層が可溶性粒状基質の上に形成される場合には、この基質をその後適当な条件下で溶かして静電結合した中空の多層ポリマーフィルムカプセルを生成することが可能である。例えば、G.B.Sukhorukovら、Stepwise Polyelectrolyte Assembly on Particle Surfaces:a Novel Approach to Colloid Design、9 POLYM.ADV.TECHNOL.759(1998年)を参照。色素、小有機分子、酵素および生体高分子が封入されているそのようなカプセルが製造されている。例えば、A.A.Antipov、ら、Sustained Release Properties of Polyelectrolyte Multilayer Capsule、105PHYS.CHEM.B 2281(2001年);X.Qiu、ら、Permeability of Ibuprofen in Various Polyelectrolyte Multilayer、286 MATER.ENG.591(2001年);F Caruso、ら、Microencapsulation of Uncharged Low Molecular Weight Organic Materials by Polyelectrolyte Multilayer Self−Assembly、16 LANGMUIR 8932(2000年);F.Caruso、ら、Enzyme Encapsulation in Layer−by−Layer Engineered Polymer Multilayer Capsules、16 LANGMUIR 1485(2000年);G.B.Sukhorukov、ら、pH Controlled Macromolecule Encapsulation in and Release from Polyelectrolyte Multilayer Nanocapsules、 22 RAPID COMMUN.44(2001年)を参照。
【0005】
しかし、残念なことに、特定の制御された送達に応用するために静電結合多層カプセル系を微調整することは困難である。したがって、そのようなカプセルは、周囲環境への物質の放出を制御する上での有用性は限られたものである。
【非特許文献1】K.PARK、CONTROLLED DRUG DELIVERY:CHALLENGES AND STRATEGIES、(Am.Chem.Soc.、ワシントンD.C.、1997年)
【非特許文献2】J.Kost、R.Langer、Responsive Polymeric Delivery Systems、46 ADVANCED DRUG DELIVERY REVIEWS 125(2001年)
【非特許文献3】G.B.Sukhorukovら、pH Controlled Macromolecule Encapsulation In And Release From Polyelectrolyte Multilayer Nanocapsules、22 MACROMOL.RAPID COMMUN.、44(2001年)
【非特許文献4】G.DecherおよびJ.D.Hong、Buildup of Uultrathin Multilayer Films by a Self−assembly Process:I.Consecutive Adsorption of Anionic and Cationic Bipolar 46 MACROMOL.CHEM.MACROMOL.SYMP.321(1991年)
【非特許文献5】P.Fisherら、Polyelectrolytes Bearing Azobenzenes for the Functionalization of Multilayers、137 MACROMOL.SYMP.1(1999年)
【非特許文献6】G.B.Sukhorukovら、Stepwise Polyelectrolyte Assembly on Particle Surfaces:a Novel Approach to Colloid Design、9 POLYM.ADV.TECHNOL.759(1998年)
【非特許文献7】A.A.Antipov、ら、Sustained Release Properties of Polyelectrolyte Multilayer Capsule、105 PHYS.CHEM.B 2281(2001年)
【非特許文献8】X.Qiu、ら、Permeability of Ibuprofen in Various Polyelectrolyte Multilayer、286 MATER.ENG.591(2001年)
【非特許文献9】F Caruso、ら、Microencapsulation of Uncharged Low Molecular Weight Organic Materials by Polyelectrolyte Multilayer Self−Assembly、16 LANGMUIR 8932(2000年)
【非特許文献10】F.Caruso、ら、Enzyme Encapsulation in Layer−by−Layer Engineered Polymer Multilayer Capsules、16 LANGMUIR 1485(2000年)
【非特許文献11】F.ALBERT COTTONおよびGEOFFREY WILKINSON、ADVANCED INORGANIC CHEMISTRY 90〜94頁(第5版、1988年)
【非特許文献12】S.A.Sukhishviliら、Layered,Erasable Polymer Multilayers Formed by Hydrogen−Bonded Sequential Self−Assembly、35 MACROMOLECULES 301(2002年)
【非特許文献13】G.B.Sukhorukov、ら、Layer−by−Layer Self Assembly of Polyelectrolytes on Colloidal Particles、137 COLLOIDS SURF.A 253(1998年)
【非特許文献14】F.Caruso、ら、Electostatic Self−Assembly of Silica Nanoparticle−Polyelectrolyte Multilayers on Polystyrene Latex Particles、120 J.AM.CHEM.Soc.8523(1998年)
【非特許文献15】J.B.Schlenoffら、Sprayed Polyelectrolyte Multilayers、16、LANGMUIR 9968(2000年)
【非特許文献16】G.B.Sukhorukov、ら、Microencapsulation By Means of Step−Wise Adsorption of Polyelectrolytes、17 J.MICROENCAPSULATION 177(2000年)
【非特許文献17】R.F.EGERTON、ELECTRON ENERGY−LOSS SPECTROSCOPY IN THE ELECTRON MICROSCOPE(第2版、1996年)
【非特許文献18】V.Kozlovskaya、ら、Hydrogen−Bonded Polymer Capsules Formed by Layer−by−Layer Self−Assembly、36 MACROMOLECULES 8590〜8592(2003年)
【非特許文献19】A.A.Antipovら、Carbonate Microparticles for Hollow Polyelectrolyte Capsules Fabrication、224 COLLOIDS SURF.A 175(2003年)
【非特許文献20】M.Adamczykら、Immunoassay Reagents for Thyroid Testing 1.Synthesis of Thyroxine Conjugates 5 BIOCONJUGATE CHEM.459(1994年)
【非特許文献21】T.Serizawaら、Thermoresponsive Ultrathin Hydrogels Prepared by Sequential Chemical Reactions 35 MACROMOLECULES 2184(2002年)
【非特許文献22】Antipovら、Polyelectrolyte Multilayer Capsule Permeability Control、200 COLLOIDS AND SURFACES A:PHYSIOCHEM.ENG.ASPECTS 198(2002年)
【特許文献1】国際公開02/17888(2002年3月7日公表)
【非特許文献23】S.A.Sukhishviliら、Layered,Erasable,Ultrathin Polymer Films、122 J.AM.CHEM.Soc.955(2000年)
【非特許文献24】Shchukinら、Micron−Scale Hollow Polyelectrolyte Capsules with Nanosized Magnetic Fe3O4 Inside、57 MATERIALS LETTERS 1743(2003年)
【非特許文献25】Shiら、Release Behavior of Thin−Walled Microcapsules Composed of Polyelectrolyte Multilayers、17 LANGMUIR 2036(2001年)
【非特許文献26】Nicolら、Polyelectrolyte Multilayers as Nanocontainers for Functional Hydrophilic Molecules、19 LANGMUIR 6178(2003年)
【非特許文献27】A.Janekovic、ら、Preparation of Monodispersed Colloidal Cadmium Compounds、103 J.COLLOID INTERFACE SCI.436(1985年)
【非特許文献28】A.Antipov、ら、Urease−Catalyzed Carbonate Precipitation inside the Restricted Volume of Polyelectrolyte Capsules、24 MACROMOL.RAPID COMMUN.274(2003年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特定の用途および環境に応じて制御可能に物質を封入しかつ/または放出するようにカプセルを合わせられる設計の柔軟性を可能にするマイクロサイズおよびナノサイズの多層カプセル系が求められている。そのようなカプセルは、薬剤送達および他の制御された送達の応用など、広範囲の用途において有用となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水素結合(静電的荷電に対するものとして)によって結合しているポリマーの中性(非荷電)層からなるカプセルを提供する。好ましくは、本発明のカプセルは、ミリメートル、マイクロメートルまたはナノメートル−スケールのカプセル、より好ましくはナノメートル−スケールのカプセルである。
【0008】
本発明は、そのようなカプセルの製造方法も提供する。本発明のカプセルは、レイヤー・バイ・レイヤー技術を使用してコア粒子上に中性ポリマーフィルムを積層、形成することによって調製される。したがって、1実施形態では、本発明のカプセルはコア粒子を含む。
【0009】
本発明のカプセルは、カプセルの特定の組成に応じて特定の外部刺激、例えばpH、塩濃度、温度および溶媒組成における変化、電界の印加、日光照射または他の外部環境変化に曝すことにより、コア粒子または他の封入された物質を制御された明確な方法で送達するのに有用である。
【0010】
多層カプセルを生成するために以前に使用された静電気的自己集合とは対照的に、本発明の水素結合相互作用は、多層カプセルのレイヤー・バイ・レイヤー成長を促進させるための有利な代替原動力となる。
【0011】
水素結合は、(1)電気陰性度のより高い原子と結合した水素原子と、(2)同じく水素よりも電気陰性度が高く1つまたは複数の孤立電子対を有する他の原子、例えば酸素、硫黄、窒素またはリンとの間の比較的弱い二次相互作用である。水素結合は、広く研究されてきている。例えば、参照により本明細書に組み込まれているF.ALBERT COTTONおよびGEOFFREY WILKINSON、ADVANCED INORGANIC CHEMISTRY 90〜94頁(第5版、1988年)を参照。
【0012】
1実施形態では、本発明のカプセルは、外部刺激に対して状況に応じた反応を与える。例えば、この実施形態の1バージョンにおいて、カプセルは外部のpH値に対して感受性が高い。カプセルは、特定の外部刺激に応じてコア粒子または封入物質を放出するように設計することが可能である。例えば、カプセル壁は層数およびポリマー系に従い、選択されたpHである期間にわたってコア粒子または他の封入物質を放出するように設計することが可能である。本発明のカプセルがコア粒子または封入物質の放出速度を急激に高くし始めるpHは、本明細書で臨界pHと称す。臨界pH値は、ポリマー系および他の変数の選択によって制御される。
【0013】
他の実施形態では、本発明の水素結合した多層カプセルは、酸性条件下では急速にまた制御不能的に分離する既知の静電気結合ポリマー多層とは対照的に、特に弱いポリ酸で構成されたものとは対照的に、低いpH(例えばpH約1以下)で注目に値する安定性を示す。
【0014】
ある実施形態において、本発明のカプセルの層間の分子間水素結合による接着は減少して、崩壊を開始する。しかし1実施形態では、本発明のカプセルの水素結合多層は、中性および塩基性のpH値では共有結合性架橋により安定する。本発明のカプセルのポリマー層が架橋している場合は、高いpH値でも多層壁の安定性は向上する。この実施形態のある態様において、架橋壁は超薄ゲルであり、その厚みおよび特性は個体コアに最初に形成されたポリマー層の数、架橋度およびポリマー系の選択によって都合よく制御することが可能である。
【0015】
本発明の他の実施形態では、本発明のカプセルは封入された物質、例えば医薬物質または他の生体活性物質を含む。そのようなカプセルは、カプセル壁が物質を放出するように設計されている環境にそれらを置くと、封入物質を制御可能に送達するために使用することが可能である。例えば、本発明のカプセルは、人体内で特定のpH値で制御可能に崩壊するように調整することが可能である。人体の異なる領域は異なるpH値を有し、例えば消化管のpHはその部位によって口の塩基性pHから、胃の高い酸性度、および腸の中性乃至弱塩基性pH(約7.5)まで変化する。本発明のカプセルは、消化管の特定部分で崩壊して封入物質をそこに送達するように設計することが可能である。
【0016】
他の実施形態では、本発明のカプセルに含まれているコア粒子は、その後カプセル壁が不溶解性である媒体中で溶解することにより除去することが可能である。本発明の中空カプセルは、以降の放出制御用途のための物質、例えばそれには限定されないが、細胞および遺伝物質などの生体材料;生体活性剤および医薬品、例えば小分子薬剤、ワクチン、抗体、ホルモン、成長因子、性不稔剤、受精阻害剤、受精促進剤、タンパク質、ペプチド、芳香剤、香料、ビタミンおよび栄養素;ならびに化学薬剤、例えばヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、農業物質(例えば肥料および農薬)、保存料、触媒、酵素、ポリマー、着色剤および色素(例えば蛍光化合物)、センサー分子、製剤賦形剤、界面活性剤およびデタージェント、および環境修復に用いる化学物質などをさらに取り込む上で有用である。
【0017】
本発明のマイクロカプセルは多くの分野、特に封入有効成分の明確な条件下での制御された放出のために、例えばバイオテクノロジー、医学、医薬品、例えば薬剤送達制御、食品、農業、香水、パーソナルケアおよび化粧品の分野で有用であるが、これには限定されない。
【0018】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明、実施例、特許請求の範囲および添付図に関してよりよく理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
1実施形態では、本発明のカプセルは、コア粒子上に水素結合によって結合している中性ポリマーフィルムの層からなる。他の実施形態において、本発明のカプセルは、水素結合によって結合している中性ポリマーフィルムの層で構成される中空のシェルである。本発明の他の実施形態において、中空のシェルはある物質を封入する。
【0020】
カプセルの形は、カプセル形成で使用されるコア粒子の形状およびカプセル壁の物理的化学的特性などの変数によって決まる。本発明のカプセルの好ましい平均総容積は、約50nmから約50mm、より好ましくは約13,000nmから約60,000μm、より好ましくは約60,000nmから約4,000μm、より好ましくは500,000nmから約1,000μmである。総容積は、カプセル壁を含むカプセルの全容積を意味する。
【0021】
好ましくは、本発明のカプセルは実質的に球状である。本発明のカプセルの好ましい平均直径は、約3.5nmから約3.5mm、より好ましくは約16nmから約1mm、より好ましくは約25nmから約40μm、より好ましくは約40nmから約20μm、より好ましくは80nmから約10μmである。カプセルの直径は、カプセル壁を含むカプセルの全直径を意味する。
【0022】
カプセルシェル(即ちポリマーフィルム層)の厚みは、好ましくは約5nmから約500nm、より好ましくは約10nmから約30nmである。
【0023】
本発明のカプセルの大きさおよび容積の分布は、かなりの程度それらの形成で使用されるコア粒子の大きさおよび容積の分布に依存する。こうした大きさおよび容積の分布は、一定の大きさおよび容積の分布を有するコア粒子を選択することによって当業者によって容易に制御される。
【0024】
本発明のカプセルは、カプセルの特定の組成に応じて特定の外部刺激、例えばpH、塩濃度、温度および溶媒組成における変化、電界の印加、日光照射または他の外部環境変化に曝すことにより、コア粒子または封入物質を制御された明確な方法で送達するのに有用である。
【0025】
5.1 コア粒子上へのカプセルシェルの多層フィルム形成
コア粒子を含む本発明のカプセルは、前に報告されたレイヤー・バイ・レイヤー技術を応用することによって調製することが可能である。例えば、その引用の全てが本明細書で参照により組み込まれている、S.A.Sukhishviliら、Layered,Erasable Polymer Multilayers Formed by Hydrogen−Bonded Sequential Self−Assembly、35 MACROMOLECULES 301(2002年);G.B.Sukhorukov、ら、Layer−by−Layer Self Assembly of Polyelectrolytes on Colloidal Particles、137 COLLOIDS SURF.A 253(1998年);G.D.Sukhorukov、ら、Stepwise Polyelectrolyte Assembly on Particle Surfaces:a Novel Approach to Colloid Design、9 POLYM.ADV.TECHNOL.759(1998年);F.Caruso、ら、Electostatic Self−Assembly of Silica Nanoparticle−Polyelectrolyte Multilayers on Polystyrene Latex Particles、120 J.AM.CHEM.Soc.8523(1998年);A.A.Antipov、ら、Sustained Release Properties of Polyelectrolyte Multilayer Capsule、105 PHYS.CHEM B 2281(2001年)を参照。
【0026】
一般に、本発明のカプセルは次のように調製される。先ず、吸着される第1の非荷電のポリマーの溶液をコア粒子の表面と接触させると、ポリマーとコア粒子表面とが結合して第1のポリマー層を形成する。次に、第1のポリマーとは異なる第2のポリマーの溶液を第1の層と接触させると、ポリマー層の間で水素結合を形成して層状フィルムを形成する。表面を第1のポリマーの溶液と接触させ、次に第2のポリマーの溶液と接触させるプロセスは、所望の厚みおよび層数を有するフィルムがコア粒子周囲に形成されてその結果本発明のカプセルが形成されるまで繰り返すことが可能である。成長するカプセルの表面は、過剰なまたは非結合のポリマーを除去するために、塗布と塗布の間に洗浄することが可能である。2つより多くのポリマーを使用してカプセルを形成する場合は、そのプロセスの任意の点で更なるポリマーの溶液を成長中のフィルムと接触させることが可能である。
【0027】
ポリマー層のエアゾール析出も、本発明のカプセルを調製するために使用することが可能である。他の実施形態において、本発明の多層は、J.B.Schlenoffの方法を応用してポリマー溶液を逐次的に吹き付けることによって調製することが可能である。例えば、本明細書で参照により組み込まれているJ.B.Schlenoffら、Sprayed Polyelectrolyte Multilayers、16、LANGMUIR 9968(2000年)を参照。
【0028】
他の実施形態において、本発明の多層フィルムは、第1のポリマーを蒸発させてコア粒子の表面へ凝縮させ、次に第2のポリマーを蒸発させてその表面に凝縮させ、所望の厚みおよび層数が達成されるまでこれらの工程を繰り返すことによって形成することが可能である。好ましくは、そのような蒸発/凝縮析出のために、ポリマーは約5000g/mol未満、好ましくは約2000g/mol未満の分子量を有する。
【0029】
液相析出のためには、溶媒中のポリマー濃度は、通常約0.01mg/mlから約0.5mg/mlの範囲にある。液相析出のための溶媒としては、ポリマーがそれとわかるほど溶解する任意の液体が含まれる。好ましくは、溶媒は適当なpHの水溶液である。本発明で有用な他の溶媒としては、それには限定されないが、ペンタン、ヘキサンおよびトルエンなどの炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノールおよびフェノールなどのアルコール;酢酸ブチルなどのエステル;ホルムアルデヒド、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのアルデヒドおよびケトン;ジメチルスルホキシド;炭酸プロピレンなどのカーボネート;N−メチルホルムアミド、テトラメチル尿素、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミドおよびジメチルホルムアミドなどのアミドおよび尿素;超臨界二酸化炭素などの超臨界液体;ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0030】
析出のために水性系が使用されるときは、析出溶液の適当なpHは使用される特定のポリマー系によって決まる。一般に、析出pHは約1から約5である。当業者は、下記2つの考慮事項に基づいて析出に適当なpHを容易に選択することが可能である:(a)水素結合ポリマー対間の接着;(2)コア粒子の不溶性。析出および洗浄工程中の溶液pHは、適当な濃度、一般には約0.005Mから約0.1Mの濃度のリン酸緩衝液などの緩衝液を使用して制御することが可能である。緩衝液のpHを塩酸などの酸で調節して、所望のpHの緩衝液を作製することが可能である。
【0031】
任意選択に、第1のポリマー層のフィルム接着性を増やすために、コア粒子はプライマー層を使用して前処理される。当業者は、コア粒子および化学系(例えば表面基の表面荷電および化学的性質)に従い適当なプライマーおよび方法を容易に理解するであろう。一例では、水素結合を形成する傾向がより少ないコア粒子は、ポリマー系に従い約5から約7のpHにおいて水性媒体中で約0.05mg/mlから約0.5mg/mlの濃度の第1のポリマーの溶液で処理し、次にpH3.5の緩衝液で洗浄することが可能である。
【0032】
好ましくは、各ポリマー析出サイクルの後に、過剰なポリマーは、(a)粒子分散液の遠心分離、(b)ポリマー非含有溶媒、好ましくは析出溶媒中への粒子の再分散、および(c)この洗浄方法を少なくとも2回繰り返すことにより、除去される。多層カプセルの形成の後は、当技術分野で公知であるように、蛍光光学顕微鏡検査で追跡することが可能である。例えば、本明細書で参照により組み込まれているG.B.Sukhorukov、ら、Microencapsulation By Means of Step−Wise Adsorption of Polyelectrolytes、17 J.MICROENCAPSULATION 177(2000年)を参照。
【0033】
5.1.1 カプセル壁上に析出したポリマーの定量
カプセル壁上に析出したポリマーの定量は、in situ ATR−FTIRを使用して実施することができる。多層成長は、ポリマーが適当な平面上に析出するモデル系で追跡することが可能である。例えば、本明細書で参照により組み込まれているS.A.SukhishviliおよびS.Granick、Layered,Erasable Polymer Multilayers Formed by Hydrogen−Bonded Sequential Self−Assembly、35 MACROMOLECULES 301〜310(2002年)を参照。
【0034】
カプセル壁上に析出したポリマーの定量は、公知の技術を使用したコア溶解の後に電子エネルギー損失分光(EELS)を使用してカプセル壁の厚みを測定することによっても行うことが可能である。例えば、本明細書で参照により組み込まれているR.F.EGERTON、ELECTRON ENERGY−LOSS SPECTROSCOPY IN THE ELECTRON MICROSCOPE(第2版、1996年);V.Kozlovskaya、ら、Hydrogen−Bonded Polymer Capsules Formed by Layer−by−Layer Self−Assembly、36 MACROMOLECULES 8590〜8592(2003年)を参照。
【0035】
5.2 本発明のコア粒子
一般に、いかなる表面も本発明の方法に従って水素結合多層中性ポリマーフィルムでコーティングして、本発明のカプセルを形成することが可能である。好ましくは、表面は粒状材、好ましくはマイクロサイズまたはナノサイズの粒状材(「コア粒子」)である。当業者は、粒子の素性およびポリマー系に従い多層フィルム析出のための適当な条件を容易に決定することができる。本発明のカプセルが溶液相のレイヤー・バイ・レイヤー析出によって形成されるならば、好ましくはコア粒子はその析出条件下では実質的に不溶性である。
【0036】
コア粒子の大きさおよび形は、カプセルの所望の大きさおよび形、本発明のカプセルが使用される用途、コア粒子に加えられる層の数、およびポリマー系の化学的物理的特性に従い変化する。
【0037】
コア粒子の好ましい平均総容積は、約50nmから約50mm、より好ましくは約4,000nmから約1mm、より好ましくは約13,000nmから約64,000μm、より好ましくは約60,000nmから約8,000μm、より好ましくは500,000nmから約1,000μmである。
【0038】
コア粒子の好ましい平均直径は、約3.5nmから約3.5mm、より好ましくは約16nmから約1mm、より好ましくは約25nmから約40μm、より好ましくは約40nmから約20μm、より好ましくは80nmから約10μmである。
【0039】
本発明で有用なコア粒子としては、それには限定されないが、結晶性物質、非晶質物質、凍結乾燥物質、スプレー乾燥物質ならびに/または粉砕物、例えばそれには限定されないが鉱物、無機塩、小分子有機化合物および有機高分子が含まれる。適当なコア粒子としては、医薬品、香料、細胞、香味料、色素、ビタミン、栄養素、ホルモン、成長因子および保存料がある。
【0040】
適当なコア粒子としては、さらに塩および鉱物などの多孔質物質がある。例えば、本明細書で参照により組み込まれているA.A.Antipovら、Carbonate Microparticles for Hollow Polyelectrolyte Capsules Fabrication、224 COLLOIDS SURF.A 175(2003年)を参照。本発明の一態様によると、そのような多孔質のコア粒子は、それらの多孔質構造内にそれには限定されないが医薬品、香料、細胞、着香料、色素、ビタミン、栄養素、ホルモン、成長因子および保存料などの物質を取り込むことが可能である。
【0041】
5.3 共有結合性架橋
多層壁の間に共有結合性架橋、例えば公知のカルボジイミド化学に基づく架橋を導入することによって、より高い安定性を水素結合多層カプセルに与えることができる。本発明のカプセルの架橋結合は、本明細書で参照により組み込まれている、M.Adamczykら、Immunoassay Reagents for Thyroid Testing 1.Synthesis of Thyroxine Conjugates 5 BIOCONJUGATE CHEM.459(1994年)の方法、また、T.Serizawaら、Thermoresponsive Ultrathin Hydrogels Prepared by Sequential Chemical Reactions 35 MACROMOLECULES 2184(2002年)の方法を応用することによって達成することができる。
【0042】
5.4 本発明で用いられるポリマー
本発明に用いられるポリマーとしては、水素結合供与体および/または水素結合受容体を含有するポリマーがある。水素結合供与体は、水素結合形成に加わることができる少なくとも1つの水素原子およびこの水素原子と結合したより電気陰性度の高い原子を含有する部分である。これらの部分の例としては、それには限定されないが、O−H、N−H、P−HおよびS−Hがある。部分C−Hも、その炭素原子が三重結合を通して他の原子に結合しているか、その炭素原子が二重結合を通してOに結合しているか、またはその炭素原子がO、F、ClおよびBrから選択される少なくとも2つの原子に結合しているならば、水素結合供与体であることができる。
【0043】
水素結合受容体は、水素よりも電気陰性度の高い原子を有し、また孤立電子対も有する部分である。そのような原子の例としては、それには限定されないが、N、O、F、Cl、Br、I、SおよびPがある。水素結合受容体部分の例としては、それには限定されないが、C=O、O−H、N−H、C−F、P=OおよびC≡Nがある。
【0044】
水素結合供与体を有しているポリマーとしては、それには限定されないが、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸などのポリカルボン酸;ポリ(アデニル酸)、ポリ(ウリジル酸)、ポリ(シチジル酸)、ポリ(ウリジル酸)およびポリ(イノシン酸)などのポリヌクレオチド;ポリ(ビニルアデニン)などのビニル核酸ポリマー;ポリグルタミン酸およびポリ(E−N−カルボベンゾキシ−L−リジン)などのポリアミノ酸;ならびにポリ(ビニルアルコール)などの多価アルコール;またそれらのコポリマーがある。
【0045】
水素結合受容体の例としては、それには限定されないが、ポリエチレンオキシド、ポリ(1,2−ジメトキシエチレン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)およびポリ(ビニルベンゾ−18−クラウン−6)などのポリエーテル;ポリビニルブチラールおよびポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)などのポリケトンおよびポリアルデヒド;ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドおよびポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)などのポリアクリルアミド;ポリ(4−アミン)スチレンなどのポリアミン;ポリ(シクロヘキサン−1,4−ジメチレンテレフタレート)およびポリヒドロキシアクリル酸メチルなどのポリエステル;ポリ(ビス(メチルアミノ)ホスファゼン)およびポリ(ビス(メトキシエトキシエトキシ)ホスファゼンなどのポリホスファゼン;ならびにカルボキシメチルセルロースなどの多糖類;またそれらのコポリマーがある。
【0046】
好ましくは、本発明のポリマーは、1つまたは複数の環境変化に曝されたときに電荷を発生させることのできる部分である電荷形成構造を有する。環境変化の例は、pH変化、イオン強度の変化、電界への曝露または溶存イオンへの曝露などである。pHが変化する条件下で電荷を発生させることのできる部分の例としては、酸または塩基の部分がある。電界曝露下で電荷を発生させることのできる部分の例としては、カルボン酸がある。溶存イオン曝露下で電荷を発生させることのできる部分の例としては、クラウンエーテル(あるアルカリ金属イオンへの曝露により)がある。
【0047】
本発明のカプセルを形成するためのポリマー系の例としては、下記表中のタイプ1のものがある。
【0048】
5.4.1 タイプ1:特定のポリマーBと対になったポリカルボン酸のホモポリマー
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
表中の前記5つのポリマーBの例において、陽子受容のモチーフはNC=O...HOである。
【0052】
そのようなポリマー系から形成された本発明のカプセルは、高いpHで、または溶解によって溶かすことが可能である。ポリメタクリル酸−PVPから形成されたフィルムは、テトラメチル尿素およびジメチルホルムアミド中で安定で、またジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルリン酸トリアミドに溶ける。これらのフィルムの安定性は温度の影響を受ける可能性があり、これらのフィルムは、水の中で温度が上昇するとより安定になるが、DMF中では温度上昇により不安定化する。
【0053】
5.4.2 タイプ2:1成分としてクラウンエーテルを含む多層
【0054】
【表3】

【0055】
この種のフィルムは、環境中に存在する特定の一価イオンに従い、高pHまたは低pHで破壊される。例えば、クラウンエーテルによって錯化した型のカチオンに対して高い感受性がある。
【0056】
【表4】

【0057】
5.4.3 タイプ3:1成分として−P=O部分を含む分子を含むフィルム。水素結合のモチーフは、P=O...HOである
【0058】
【表5】

【0059】
例えば、上記のフィルムは、ヘキサメチルリン酸トリアミドに溶ける。
【0060】
5.4.4 タイプ4:1成分としてアミノ酸を含む多層
【0061】
【表6】

【0062】
5.4.5 タイプ5:合成ポリヌクレオチド間または核酸塩基を含むビニル型のポリマー間の水素結合に基づくフィルム
【0063】
【表7】

【0064】
これらの核酸ポリマーは、また、天然のRNA(リボ核酸)、DNA(デオキシリボ核酸)、ならびに合成ポリヌクレオチドとともにフィルムを形成する。
【0065】
5.5 本発明の中空カプセル
ある場合は、上述したように、コア粒子を本発明のカプセルから、例えば溶解によって除去して、本発明の中空カプセルを提供することが望ましい。ポリマー被覆粒子のコアは、コア粒子は部分的または実質的に可溶性であるがカプセル壁は実質的に不溶性である溶液に粒子を曝すことによって溶出する。粒子は、コアを実質的に除去するのに十分な時間、一般には約30分から60分の間処理される。
【0066】
本発明のこの実施形態の実行のために有用な適当なコア粒子としては、それには限定されないが炭酸カルシウム、炭酸カドミウム、炭酸マンガンなどの無機化合物、およびメラミンホルムアルデヒド、ポリスチレンスルホン酸ラテックス粒子、色素または医薬品などの有機化合物がある。
【0067】
空洞の好ましい平均総容積は、約50nmから約50mm、より好ましくは約4,000nmから約1mm、より好ましくは約13,000nmから約64,000μm、より好ましくは約60,000nmから約8,000μm、より好ましくは500,000nmから約1,000μmである。
【0068】
空洞の好ましい平均直径は、約3.5nmから約3.5mm、より好ましくは約16nmから約1mm、より好ましくは約25nmから約40μm、より好ましくは約40nmから約20μm、より好ましくは80nmから約10μmである。
【0069】
この実施形態の他の態様において、そのような可溶性コア粒子は2つ以上の物質を含み、その1つまたは複数の物質は以降の工程で上記の溶解によって除去することが可能であるが、他の物質はカプセル内に残留する。本発明のこの実施形態での使用に適当なコア粒子としては、それには限定されないが、医薬品、香料、細胞、香味料、色素、ビタミン、栄養素、ホルモン、成長因子および保存料などの生体活性物質を取り込んでいる多孔性の無機粒子(例えば多孔性の炭酸カルシウムまたは多孔性の炭酸マグネシウム)がある。例えば、本明細書で参照により組み込まれているA.A.Antipovら、Carbonate Microparticles for Hollow Polyelectrolyte Capsules Fabrication、224 COLLOIDS SURF.A 175(2003年)を参照。
【0070】
5.6 本発明のカプセルへの物質の封入
本発明のカプセルのカプセル壁は、特定の外部刺激、例えばpH、塩濃度、温度および溶媒組成における変化、電界の印加、または他の外部環境変化に曝すことにより、それらが物質を封入できるように調整することが可能である。例えば、本発明のカプセルは、可逆的に透過性(「開放状態」)になり、封入する物質を透過させることによって物質を封入することが可能である。その後、透過性を逆転させ(「閉鎖状態)、それにより物質を封入することが可能である。この工程は、本発明のカプセルをカプセル系に従い適当な条件に露出させることによって達成される。例えば、本明細書で参照により組み込まれているG.B.Sukhorukovら、pH−Controlled Macromolecule Encapsulation in and Release from Polyelectrolyte Multilayer Nanocapsules、22 MACROMOL.RAPID COMMUN.、44(2001年);Antipovら、Polyelectrolyte Multilayer Capsule Permeability Control、200 COLLOIDS AND SURFACES A:PHYSIOCHEM.ENG.ASPECTS 198(2002年);国際公開02/17888(2002年3月7日公表)を参照。
【0071】
一例では、ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸で形成された本発明のカプセルは、約pH6.0のフルオレセインイソチオシアネートデキストラン70,000抱合体(conjugate)溶液(濃度約1mg/ml)で約20分間処理し、次にカプセルをpH2.0の緩衝液に5分間曝すことにより前記デキストラン抱合体を封入することが可能である。処理中の溶液pHは、0.01Mのリン酸緩衝液を使用して制御することが可能である。この系に関連する透過性データは、下記の表に記載する。
【0072】
【表8】

【0073】
5.6.1 封入物質
任意の物質を本発明のカプセルに、例えば第5.5の項目に従い上記の方法および/または他の公知の文献方法を用いて調製された本発明の中空カプセルに導入することが可能である。本発明のカプセルに取り込むことが有用な物質としては、それには限定されないが、細胞および遺伝物質などの生体材料;生体活性剤および医薬品、例えば小分子薬剤、ワクチン、抗体、ホルモン、成長因子、性不稔剤、受精阻害剤、受精促進剤、タンパク質、ペプチド、芳香剤、香料、ビタミンおよび栄養素;ならびに化学薬剤、例えばヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、農業物質(例えば肥料および農薬)、保存料、触媒、酵素、ポリマー、着色剤および色素(例えば蛍光化合物)、センサー分子、製剤賦形剤、界面活性剤および洗浄剤、および環境修復に用いる化学物質などがある。
【0074】
適当な条件下での後の制御放出のための取り込みおよび/または封入に適当な物質としては、それには限定されないが、以下のものがある。オリゴマー分子およびポリマー分子、例えば天然および合成のポリペプチド、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド、または合成水溶性ポリマー、例えばヘパリン、インスリン、カルシトニン、クロモリン、ヒト成長因子およびホルモン;ポリカチオン;塩基性成長因子、例えば線維芽細胞成長因子2(FGF2)、インスリン様成長因子IGF−I、スペルミンおよびキトサン;合成のポリカルボン酸、例えばポリ(スチレンスルホン酸)およびポリ(リン酸);タンパク質、例えばアルブミンおよび主大豆タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;成長因子、例えば線維芽細胞成長因子1(FGF1)およびインスリン様成長因子IGF−II;組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)、例えばモンテプラーゼ;ヘパリンコファクターIIなどのコファクター、ヒアルロン酸、ヘパリンならびにDNA分子およびRNA分子;抗生物質、例えばピバンピシリンおよびセファロリジン;抗炎症薬、例えばグラフェニンアスピリン、フェナム酸(フルフェナム酸およびメフェナム酸)、イブプロフェン、フリブプロフェン(flibuprofen)、ナプロキセンおよびインドメタシン;麻酔薬、例えばエクゴニン(ecgoninic)酸、ベンゾカイン、プロカインおよびピリドカイン;ホルモン;神経伝達物質;体液性因子、例えばアンフェタミン、プロスタグランジン(ジノプロスト、PGE、PGF1α、PGF2αおよびPGE)ならびにメパルフィノール;抗鬱薬およびトランキライザー、例えばジベンゾキセピン、エトリプタミン、メトピマジン(methpimazine)およびピパマジン;鎮痙剤、例えば臭化メタンテリン、臭化プロパンテリンおよびフェネサイリン(fenethylline);その他医薬品、例えばヒカントン;血圧降下薬、例えばブレチリウムトシレート、ジヒドララジンおよびブレチリウムトシレート;麻酔薬および中枢神経興奮薬、例えばネオスチグミン、エフェドリン、オキシフェドリン、レボノルデフリン、アンフェタミン、トラニルシプロミン、フェンカミンおよびヒドロキシアンフェタミン;抗鬱薬、例えばフェネルジンおよびフェニプラジン(pheniprazine);抗糖尿病薬剤、例えばフェンホルミン;抗生物質、例えばアセフィリン、カルベニシリン、セファロチン、ナフシリン、メチシリンおよびペニシリンG、エチオナミド、プロントジル、スルファニルアミドならびにスルファニルアミド誘導体;抗感染剤、例えばクロラザニル、アミノフェナゾール(aminophenazole)、トリメトプリム、ピリメタミン、プリマキンおよびソントキン(sontoquine);鎮痛薬、例えばフェナゾピリジン;降圧剤、例えばミノキシジル;肥満抑制剤、例えばフェンテルミンおよびクロルフェンテルミン;利尿剤、例えばエタクリン酸、プロベネシド、クロラザニル、アミノテトラジン(aminotetradine)、アミロリドおよびアミソテトラジン(amisotetradine);抗コクシジウム薬、例えばアムプロリウム;駆虫薬、例えばジチアジニン(dithiazinine);神経毒;ビタミン類、例えばチアミン(B)、ニコチン酸アミド(B)、ピリドキサミン(B)およびパントテン酸(B);エストロゲン(メタレネストリル);酵素阻害剤、例えばノジュラリンおよびその合成誘導体であるシクロ[−(3S,E)−3−フェニルエチル−3−アミノプロパノイル−α−(R)−Glu−α−OH−γ−Sar−(R)−Asp−α−OH−β−(S)−Phe−]、およびシクロ[−(2S,3S,E)−2−メチル−3−フェニルエテニル−3−アミノプロパノイル−β−(R)−Glu−α−OH−γ−Sar−(R)−Asp−α−OH−β−(S)−Phe−];筋弛緩剤、例えばフェニラミドール;ならびに、ビオチンおよびトロンボモジュリンなどのコファクター。
【0075】
5.7 コア粒子または封入物質の放出
カプセル壁は、コア粒子または封入物質を周囲の環境に露出させてその物質を周囲の環境に放出するために、浸食するかまたは透過性になるようにすることが可能である。例えば、コア粒子または他の封入物は、カプセルの特定の組成に応じてある外部刺激、例えばpH、塩濃度、温度および溶媒組成における変化、電界の印加、日光照射または他の外部環境変化にそれらを曝すことにより、本発明のカプセルから放出することができる。例えば、pH誘発性のカプセル分解またはpH誘発性の透過性変化は、経口薬剤送達のために、または粘膜を通しての送達、例えば膣感染症の治療のための抗菌剤の送達のために使用することが可能である。本発明のカプセルの温度誘発は、経皮または皮内の薬剤送達のために使用することが可能である。
【0076】
文献に記載されている方法は、本発明のカプセル内に封入されているコア粒子または物質の放出のために応用することが可能である。例えば、本明細書で参照により組み込まれているS.A.Sukhishviliら、Layered,Erasable,Ultrathin Polymer Films、122 J.AM.CHEM.Soc.955(2000年);Shchukinら、Micron−Scale Hollow Polyelectrolyte Capsules with Nanosized Magnetic Fe Inside、57 MATERIALS LETTERS 1743(2003年)を参照。あるいは、ポリマー系に従い、加熱または溶媒の添加により、例えば本明細書で参照により組み込まれているShiら、Release Behavior of Thin−Walled Microcapsules Composed of Polyelectrolyte Multilayers、17 LANGMUIR 2036(2001年)で記載されている方法を使用して、封入物質の放出を誘発することが可能である。
【0077】
好ましくは、封入物質の放出は、カプセル壁が物質を放出するpH環境にカプセルを曝すことによって達成することができる。
【0078】
本発明の例示的ないくつかのポリマー系の臨界pHを下記表に示す。
【0079】
【表9】

【0080】
カプセル壁の溶解は、臨界pH以上の環境にそれらを置くことによって達成される。
5.8 本発明のカプセルの壁内および壁間に取り込まれる添加剤
【0081】
任意の剤を本発明のカプセルの壁内および壁間に取り込むことができる。添加剤は公知の文献方法、例えば本明細書で参照により組み込まれているNicolら、Polyelectrolyte Multilayers as Nanocontainers for Functional Hydrophilic Molecules、19 LANGMUIR 6178(2003年)の方法によって取り込むことが可能である。好ましくは、レイヤー・バイ・レイヤー溶相析出のためには、取り込まれる物質は、本発明のポリマーが溶解する析出溶媒中で溶解または分散する。あるいは、その物質が蒸発してポリマーの1つと凝縮することができるならば、物質はカプセル壁に取り込むことができる。
【0082】
5.8.1 添加剤としての生体活性剤および医薬品
生体活性剤は、任意の生理的活性物質もしくは薬理学的活性物質でよく、または任意選択に薬剤として許容される担体および酸化防止剤、安定化剤、透過エンハンサー、その他などの更なる成分と組み合わせた物質でよい。生体活性剤は、ヒト、動物、昆虫または植物の生体に送達されることが公知の剤のいずれでもよい。好ましくは、本発明で使用される生体活性剤は、水溶性である。適当な生体活性剤としては、それには限定されないが、細胞などの生体材料;生体活性剤および医薬品、例えば小分子薬剤、ワクチン、抗体、ホルモン、成長因子、タンパク質、ペプチドおよび遺伝物質;ビタミン;栄養素;農業物質、例えば肥料および農薬;芳香剤;香味料;保存料;酵素などの触媒;ならびにポリマー;性不稔剤、受精阻害剤および受精促進剤がある。
【0083】
本発明に用いられる生体活性剤の具体例としては、それには限定されないが、プロクロルペラジンエディシレート、硫酸第一鉄、アミノカプロン酸、塩酸メカミラミン、塩酸プロカインアミド、硫酸アンフェタミン、塩酸メタンフェタミン、塩酸ベンズアンフェタミン、硫酸イソプロテレノール、塩酸フェンメトラジン、塩化ベタネコール、塩化メタコリン、塩酸ピロカルピン、硫酸アトロピン、臭化スコポラミン、ヨウ化イソプロパミド、塩化トリジヘキセチル、塩酸フェンホルミン、塩酸メチルフェニデート、テオフィリンコリネートおよび塩酸セファレキシンがある。
【0084】
5.9 (実施例)
5.9.1 実施例1:本発明のカプセルの調製:ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリメタクリル酸およびポリエチレンオキシド
この実施例は、(1)ポリ−N−ビニルピロリドン(Mw55,000)とポリエチレンオキシド(Mw200,000)との交互層を含むカプセル、および(2)ポリメタクリル酸(Mw150,000)とポリエチレンオキシド(Mw200,000)との交互層を含むカプセルの調製を詳述する。
【0085】
コア粒子は炭酸カドミウム粒子(CdCO)であり、これは等量の1M硝酸カドミウム溶液および2M尿素溶液を混合し、次にこの混合物を90℃で16時間加熱することによって合成された。得られた結晶は菱面であり、大きさは0.1から10μmの範囲であった。
【0086】
ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸またはポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸の多層は、次に本明細書で参照により組み込まれているG.B.Sukhorukov、ら、Layer−by−Layer self assembly of polyelectrolytes on colloidal particles、137 COLLOIDS SURF.A 253(1998年);G.D.Sukhorukov、ら、Stepwise Polyelectrolyte Assembly on Particle Surfaces:a Novel Approach to Colloid Design、9 POLYM.ADV.TECHNOL.759(1998年);F.Caruso、ら、Electostatic Self−Assembly of Silica Nanoparticle−Polyelectrolyte Multilayers on Polystyrene Latex Particles、120 J.AM.CHEM.Soc.8523(1998年);A.A.Antipov、ら、Sustained Release Properties of Polyelectrolyte Multilayer Capsule、105 PHYS.CHEM B 2281(2001年)で記載されている遠心分離によるレイヤー・バイ・レイヤー技術を使用して調製された。
【0087】
ポリマーは、0.2mg/mlの溶液から析出した。析出および洗浄工程中の溶液pHは、そのpHが酸性となるように塩酸で調節された0.01Mのリン酸緩衝液を使用して調節した。フィルム接着性を増やすために、CdCO粒子はpH7.0の0.2mg/mlポリメタクリル酸溶液で前処理し、次にpH3.5の緩衝液で洗浄した。次に、ポリ−N−ビニルピロリドンまたはポリエチレンオキシド層から開始して、ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸またはポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸の層の析出をpH3.5で継続した。
【0088】
各ポリマー析出サイクルの後に、過剰なポリマーは、(a)粒子分散液の遠心分離、(b)ポリマー非含有緩衝液中への粒子の再分散、および(c)この洗浄方法を少なくとも2回繰り返すことにより除去した。第2の層から、pH3.5の緩衝液をあらゆる洗浄工程で使用した。どの系でも激しい粒子凝集は観察されなかった。遠心分離の後に粒子を再分散させるのには、通常、沈殿物を軽く振ることで十分であった。時には、凝集を破壊するために沈殿物を1分間超音波処理した。典型的な実験では、最外部層がポリ−N−ビニルピロリドンまたはポリエチレンオキシドの10のポリマー層を析出した。
【0089】
ポリマー被覆粒子のCdCOコアは、次にpH1.1の緩衝液に粒子を曝すことによって溶解した。コアを完全に取り出すための時間は30分であった。
【0090】
カプセル壁上に析出したポリマーの量を測定するために、2つの方策を使用した。先ず、in situ ATR−FTIRを用いて、ポリマーが酸化Siの平面上へ析出するモデル系で多層成長を追跡した。表面酸化、第1の層とのプライミング、多層析出、ならびに吸着量の計算は、本明細書で参照により組み込まれているS.A.SukhishviliおよびS.Granick、Layered Erasable Polymer Multilayers Formed by Hydrogen−Bonded Sequential Self−Assembly、35 MACROMOLECULES 301(2002年)で記載されているように実施した。これらのATR−FTIR研究の結果、10層のポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸系およびポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸系の吸着総量はそれぞれ56mg/mおよび36mg/mであった。
【0091】
第2に、コア溶解の後に電子エネルギー損失分光(EELS)を使用してカプセル壁の厚みを測定した。図1は、ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸カプセルのSTEM画像を示す。より具体的には、図1はレース状炭素TEMサポートフィルム上のポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸カプセル(明コントラスト)の高角環状暗視野STEM画像である。暗領域は、サポートフィルム内の孔を表す。
【0092】
下記表は、1検体につき少なくとも12の異なるカプセルから測定された多層フィルムの平均膜厚を示す。
【0093】
【表10】

【0094】
PEELSスペクトルは、個々の多層カプセルを横切るラインスキャンに沿って20nmの間隔で収集した。平均カプセル肉厚は所定のカプセルからの10の測定値を平均することによって得られ、2つの検体(ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸およびポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)のそれぞれにおいて少なくとも12のカプセルを調べた。
【0095】
カプセルは、pH3.5の緩衝溶液からレース状炭素TEMサポートフィルム上に析出させ、乾燥、−165℃への冷却を経て、200keVのフィリップス製CM20電界放出走査透過型電子顕微鏡(PEG−STEM)を使用してGatan 776 Enfina PEELSスペクトロメータで分析した。カプセル壁の肉厚は以下の関係から導いた:2t/λ=ln(It/I0)、但しtは厚みであり、λはポリマーの総非弾性電子散乱の平均自由行程(MFP)であり、ItおよびI0はそれぞれ総スペクトル強度およびゼロ−ロススペクトル強度である。ポリスチレンでの非弾性電子散乱の測定値に基づいて、λ=260nmを使用した。上の表から、Si表面モデル(1g/cmの密度を仮定した場合16nm対ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸系の56nm、および18nm対ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸系の36nm)と比較して、CdCO3コア上へ析出すると10層の厚さはかなり小さいことがわかる。
【0096】
多層カプセルの形成の後は、ニコンEclipse E1000顕微鏡を使用して40×LU Plan対物レンズで蛍光光学顕微鏡検査を実施した。全ての画像は、高量子収率光安定Alexa 488 Fluorヒドラジドフルオロフォア(例えばMolecular Probe社、ユージン、ORから市販されている)で染色した。この標識の構造式を図2に示す。この標識は、静電的水素結合ならびにファンデルワールス相互作用のために、広いpH範囲でカプセル壁の官能基に非共有結合的に結合し、水素結合カプセルの蛍光画像化を可能にする。しかし、この染色は、標識が非イオン化カルボン酸基と水素結合を形成することが恐らく可能な、酸性のpHでより効率的である。
【0097】
図2は、pH2.0における10層ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸カプセル(パネルA)およびポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸カプセル(パネルB)の蛍光画像を示す。挿入物は、Alexa Fluor 488ヒドラジドフルオロフォアの化学構造を示す。カプセルを染色するために、0.02MのAlexa Fluor 488ヒドラジドナトリウム塩溶液を使用した。バーは4μmと一致する。丈夫なカプセルが生成することがわかる。
【0098】
5.9.2 ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸およびポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸カプセルの共有結合性架橋
上記のように調製された本発明のカプセルのポリマー壁は、公知のカルボジイミド化学を応用して架橋した。カルボン酸基は、pH5.0の5mg/mlの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸(EDC)溶液(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸多層の場合)で、またはpH4.0の同溶液(ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸多層の場合)で活性化し、次にポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸多層の場合pH5.8の、またはポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸多層の場合pH4.0の0.01mg/mlエチレンジアミンと反応させた。炭酸カドミウムのコアは、架橋後、修飾された粒子をpH1.1に曝すことによって除去され、架橋カプセル壁が残された。
【0099】
図3は、pH2(パネルA)における、またpH10に2時間曝した後(パネルB)の架橋10層ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸カプセルの蛍光画像である。バーは4μmと一致する。図3は、架橋処理の後、ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸カプセルがpH10で安定したことを示す。数カ月間pH10で保存された架橋カプセルは、いかなる崩壊の徴候も示さなかった。
【0100】
図4で示すように、ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸カプセルのpH安定性も、架橋結合によって大いに改善された。図4は、pH2(パネルA)における、またpH7に2時間曝した後(パネルB)の架橋10層ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸カプセルの蛍光画像を示す。バーは4μmと一致する。pH7に曝されたとき、カプセルは少なくとも6日間観察された。
【0101】
5.9.3 前駆体層を使用し、負に荷電した炭酸カドミウムまたは炭酸マンガン粒子をコアとして使用したポリ(エチレンオキシド)/ポリ(メタクリル酸)カプセルの調製
ポリエチレンイミン(Mw600,000)およびポリメタクリル酸(Mw150,000)の前駆体層を、遠心分離とpH3.5の水による3回の洗浄サイクルにより、pH3の0.2mg/mlの溶液から負に荷電した炭酸カドミウムまたは炭酸マンガン粒子上に析出させた。各ポリマー水溶液のpHは、0.01M HClを使ってpH3.5に調節した。負に荷電した炭酸カドミウム粒子は、A.Janekovic、ら、Preparation of Monodispersed Colloidal Cadmium Compounds、103 J.COLLOID INTERFACE SCI.436(1985年)で記載されているように合成した。炭酸カドミウム平均粒度は、10ミクロンであった。負に荷電した炭酸マンガン粒子は、A.Antipov、ら、Urease−Catalyzed Carbonate Precipitation inside the Restricted Volume of Polyelectrolyte Capsules、24 MACROMOL.RAPID COMMUN.274(2003年)で記載されているように合成した。炭酸マンガン平均粒度は、2ミクロンであった。
【0102】
次に、先に述べたようにポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸の二重層1つを、得られた中間カプセル上にpH3.5でポリ−N−ビニルピロリドンから自己集合させた。
【0103】
次に、ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸層を、遠心分離を通してポリエチレンオキシドからpH3.5で自己集合させた。各析出サイクルの後は、pH3.5の緩衝溶液で過剰なポリマーを洗い落とした。
【0104】
懸濁液の1200rpmで1分間の遠心分離により、上清を除去した。所望の層数が析出した後、カプセルを0.1MのHCl水溶液で処理することによってカーボネートコアを溶解、除去した。
【0105】
得られた中空カプセルを数回HCl溶液で洗浄して、コア溶解生成物を洗い流した。具体的には、上清は2000rpmで10分間の遠心分離の後に除去された。(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)(ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸)組成物の単一のカプセル壁の厚みは、電子エネルギー損失スペクトロメトリで測定され、18±3nmであった。その種のカプセルの典型的な蛍光顕微鏡検査画像は、Alexa Fluor 488ジヒドラジドナトリウム塩蛍光色素で染色した(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)(ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸)カプセルの蛍光顕微鏡画像である図5で示す。初期のテンプレートは、炭酸カドミウムであった。
【0106】
5.9.4 前駆体層を使用し、正に荷電した炭酸カドミウムまたはマンガン粒子をコアとして使用したポリ(エチレンオキシド)/ポリ(メタクリル酸)カプセルの調製
ポリエチレンイミン(Mw600,000)およびポリメタクリル酸(Mw150,000)の前駆体層を、遠心分離とpH3.5の水による3回の洗浄サイクルにより、pH3.5の0.2mg/mlの溶液から負に荷電した炭酸カドミウムまたは炭酸マンガン粒子上に析出させた。各ポリマー水溶液のpHは、0.01M HClを使ってpH3.5に調節した。正に荷電した炭酸カドミウム粒子は、等量の1M硝酸カドミウムおよび1M炭酸ナトリウム溶液を混合することによって合成した。炭酸カドミウムの平均粒度は、1ミクロンであった。正に荷電した炭酸マンガン粒子は、A.Antipov、ら、Urease−Catalyzed Carbonate Precipitation inside the Restricted Volume of Polyelectrolyte Capsules、24 MACROMOL.RAPID COMMUN.274(2003年)で記載されているように合成した。炭酸マンガンの平均粒度は、2ミクロンであった。
【0107】
次に、先に述べたようにポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸の二重層1つを、得られた中間カプセル上にpH3.5でポリ−N−ビニルピロリドンから自己集合させた。
【0108】
次に、ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸層を、遠心分離を通してポリエチレンオキシドからpH3.5で自己集合させた。各析出サイクルの後は、pH3.5の緩衝溶液で過剰なポリマーを洗い落とした。
【0109】
懸濁液の1200rpmで1分間の遠心分離により、上清を除去した。所望の層数が析出した後、カプセルを0.1MのHCl水溶液で処理することによってカーボネートコアを溶解、除去した。
【0110】
得られた中空カプセルを数回HCl溶液で洗浄して、コア溶解の生成物を洗い流した。具体的には、上清は2000rpmで10分間の遠心分離の後に除去された。
【0111】
5.9.5 前駆体層を使用しない、正に荷電した炭酸カドミウム/炭酸マンガン粒子をコアとして使用したポリ(エチレンオキシド)/ポリ(メタクリル酸)カプセルの調製
先ず、上で述べたように、ポリメタクリル酸を正に荷電した炭酸カドミウムまたは炭酸マンガン粒子上にpH6.5の0.2mg/mlの緩衝溶液から析出させ、次にpH3.5の0.01Mリン酸緩衝液で3回洗浄した。
【0112】
次に、上で述べたようにポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸層を、ポリエチレンオキシドからpH3.5で自己集合させた。
【0113】
各析出サイクルの後は、pH3.5の緩衝溶液で過剰なポリマーを洗い落とした。懸濁液の1200rpmで1分間の遠心分離により、上清を除去した。
【0114】
所望の層数が析出した後、カーボネートコアを溶解して中空カプセルを生成した。具体的には、0.1MのHCl溶液を使用してカーボネートコアを分解した。
【0115】
得られた中空カプセルを数回HCl溶液で洗浄して、コア分解生成物を除去した。具体的には、上清は2000rpmで10分間の遠心分離の後に除去された。(ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸)組成物の単一のカプセル壁の厚みは、電子エネルギー損失スペクトロメトリで測定され、16±3nmであった。
5.9.6 前駆体層を使用しない、二酸化ケイ素粒子をコアとして使用したポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸カプセルの調製
【0116】
先ず、ポリエチレンオキシド層を、4.0±0.2μmのSiO粒子(Polysciences Inc)上に0.01MのHClでpH2.5に調節した0.2mg/mlのポリエチレンオキシド溶液から析出させ、次にpH2.5の0.01Mリン酸緩衝液で3回洗浄した。その後、先に述べたようにポリメタクリル酸層をpH2.5で自己集合させた。
【0117】
各析出サイクルの後は、pH2.5の緩衝溶液で過剰なポリマーを洗い落とした。懸濁液の1000rpmで0.5分間の遠心分離により、上清を除去した。
【0118】
所望の層数が析出した後、被覆された粒子の懸濁液を5%のフッ化水素酸/水溶液に3時間曝すことにより、ケイ酸コアを溶解して中空カプセルを生成した。得られた中空カプセルを3回HF溶液で洗浄した後、残存するHF水溶液を洗い流すためにpH2の緩衝液で数回洗浄した。上清は2000rpmで10分間の遠心分離の後に除去された。
【0119】
5.9.7 前駆体層を使用し、正または負に荷電した炭酸カドミウムまたは炭酸マンガンコア粒子を使用したポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸の調製
先ず、上で述べたように、ポリエチレンイミンおよびポリメタクリル酸の前駆体層を、間にpH3.5での洗浄サイクルを3回入れ、pH3.5の0.2mg/mlの溶液から正または負に荷電した炭酸カドミウム/炭酸マンガンコア粒子(組成は上で記載)上に析出させた。
【0120】
次に、上で述べたように、ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸層を、ポリ−N−ビニルピロリドンからpH3.5で自己集合させた。各析出サイクルの後は、pH
【0121】
3.5の緩衝溶液で過剰なポリマーを洗い落とした。
懸濁液の1200rpmで1分間の遠心分離により、上清を除去した。所望の層数が析出した後、カーボネートコアを溶解して中空カプセルを生成した。具体的には、0.1MのHCl溶液を使用して粒子を分解した。
【0122】
得られた中空カプセルを数回0.01MのHCl溶液で洗浄して、コアの分解生成物を洗い流した。上清は2000rpmで10分間の遠心分離の後に除去された。(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)組成物の単一のカプセル壁の厚みは、電子エネルギー損失スペクトロメトリで測定され、44±5nmであった。その種のカプセルの典型的な蛍光顕微鏡検査画像は、Alexa Fluor 488ジヒドラジドナトリウム塩蛍光色素で染色した(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)カプセルの蛍光顕微鏡画像である図6で示す。初期のテンプレートは、炭酸カドミウムであった。
【0123】
5.9.8 前駆体層を使用しない、二酸化ケイ素粒子をコアとして使用したポリ(N−ビニルピロリドン)/ポリメタクリル酸ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸の調製
先ず、上で述べたように、ポリ−N−ビニルピロリドン層を4μmのSiO粒子上にpH1.6の0.2mg/mlのポリ−N−ビニルピロリドン溶液から析出させ、次にpH1.6の緩衝液で3回洗浄した。
【0124】
その後、ポリメタクリル酸層をpH2で自己集合させた。自己集合は、先に述べたように行った。各析出サイクルの後、pH1.6の緩衝溶液で過剰なポリマーを洗い落とした。懸濁液の1000rpmで0.5分間の遠心分離により、上清を除去した。
【0125】
所望の層数が析出した後、粒子を分解して中空カプセルを生成するために、被覆された粒子の懸濁液を5%のHF/水溶液に3時間曝すことによりケイ酸コアを溶解した。得られた中空カプセルを3回HF水溶液で洗浄した後、残存するHFを全て除去するためにpH2の緩衝液で数回洗浄した。この洗浄工程中、上清は2000rpmで10分間の遠心分離の後に除去された。その種のカプセルの典型的な蛍光顕微鏡検査画像は、Alexa Fluor 488ジヒドラジドナトリウム塩蛍光色素で染色した(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)カプセルの蛍光顕微鏡画像である図7で示す。初期のテンプレートは、SiOであった。
【0126】
(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)組成物の単一のカプセル壁の厚みは、電子エネルギー損失スペクトロメトリで測定され、31±4nmであった。
【0127】
5.9.9 温度感応性ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド/ポリメタクリル酸カプセルの調製
上で述べたように、ポリエチレンイミンおよびポリメタクリル酸の前駆体層を、pH3.5での洗浄サイクルを3回実施しながら、pH3.5の0.2mg/mlの溶液から正または負に荷電した炭酸カドミウム粒子(16〜20μm)上に析出させた。
【0128】
次に、上で述べたように、ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸の二重層1つを、ポリ−N−ビニルピロリドンからpH3.5で自己集合させた。次に、上で述べた方法により、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(Mw 300,000、Scientific Polymer Products、Inc.)/ポリメタクリル酸層を、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドからpH3.5で自己集合させた。析出時間は、15分であった。各析出サイクルの後は、pH3.5の緩衝溶液で洗浄して過剰なポリマーを洗い落とした。洗浄後は毎回、懸濁液の1200rpmで0.5分間の遠心分離により、上清を除去した。
【0129】
所望の層数が析出した後、上で述べたようにカプセルを0.1MのHCl水溶液で処理することによってカーボネートコアを溶解した。得られた中空カプセルを数回HCl溶液で洗浄して、コア分解生成物を除去した。洗浄工程中、上清は2000rpmで10分間の遠心分離の後に除去された。
【0130】
析出サイクルの間、ポリマー溶液を冷蔵庫で冷却することによって5℃に維持した。得られた(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)(ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド/ポリメタクリル酸)カプセルの単一の壁の厚みは、電子エネルギー損失スペクトロメトリで測定され、68.9±18.7nmであった。その種のカプセルの典型的な蛍光顕微鏡検査画像は、Alexa Fluor 488ジヒドラジドナトリウム塩蛍光色素で染色した(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)(ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド/ポリメタクリル酸)カプセルの蛍光顕微鏡画像である図8で示す。初期のテンプレートは、炭酸カドミウムであった。
【0131】
5.9.10 温度感応性ポリビニルメチルエーテル/ポリメタクリル酸カプセルの調製
先ず、前記方法に従い、ポリエチレンイミンおよびポリメタクリル酸の前駆体層を、pH3.5での洗浄サイクルを3回入れながら、pH3.5の0.2mg/mlの溶液から正または負に荷電した炭酸カドミウム粒子(16〜20μm)上に析出させた。
【0132】
次に、pH4.5の緩衝液で3回洗浄することによって、懸濁液のpHを4.5に調節した。次に、上で述べた方法に従い、ポリビニルメチルエーテル/ポリメタクリル酸層を、ポリビニルメチルエーテルからpH4.5で自己集合させた。析出時間は、15分であった。各析出サイクルの後、pH4.5の緩衝溶液で洗浄することにより過剰なポリマーを除去した。洗浄中は毎回、懸濁液の1200rpmで0.5分間の遠心分離により、上清を除去した。
【0133】
所望の層数が析出した後、上で詳述したように0.1MのHCl水溶液によりカーボネートコアを溶解して中空カプセルを生成した。得られた中空カプセルを数回HCl水溶液で洗浄して、コア分解生成物を除去した。洗浄中、上清は2000rpmで10分間の遠心分離の後に除去された。析出サイクルの間、ポリマー溶液を冷蔵庫で冷却することによって5℃に維持した。
【0134】
得られた(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリビニルメチルエーテル/ポリメタクリル酸)カプセルの単一の壁の厚みは、電子エネルギー損失スペクトロメトリで測定され、52.4±3.7nmであった。その種のカプセルの典型的な蛍光顕微鏡検査画像は、Alexa Fluor 488ジヒドラジドナトリウム塩蛍光色素で染色した(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリビニルメチルエーテル/ポリメタクリル酸)カプセルの蛍光顕微鏡画像である図9で示す。初期のテンプレートは、炭酸カドミウムであった。
【0135】
5.9.11 温度感応性ポリビニルカプロラクタム/ポリメタクリル酸カプセルの調製
上で述べた方法に従い、ポリエチレンイミンおよびポリメタクリル酸の前駆体層を、pH3.5での洗浄サイクルを3回入れながら、pH3.5の0.2mg/ml溶液から正または負に荷電した炭酸カドミウム粒子(16〜20μm)上に析出させた。
【0136】
次に、上述の方法に従い、ポリビニルカプロラクタム/ポリメタクリル酸層(ポリビニルカプロラクタムの分子量は500,000であり、Polymer Source Inc.、カナダ、から購入)を、ポリビニルカプロラクタムから始めてpH3.5で自己集合させた。析出時間は、15分であった。各析出サイクルの後、pH3.5の緩衝溶液で洗浄することにより過剰なポリマーを除去した。洗浄方法の一部として、懸濁液の1200rpmで0.5分間の遠心分離により、上清を除去した。
【0137】
所望の層数が析出した後、上で述べたように0.1MのHCl溶液を使用してカーボネートコアを溶解し、中空カプセルを生成した。得られた中空カプセルを数回HCl溶液で洗浄して、コア分解生成物を除去した。洗浄方法の一部として、上清は2000rpmで10分間の遠心分離の後に除去された。析出サイクルの間、ポリマー溶液を5℃に維持した。
【0138】
得られた(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリビニルカプロラクタム/ポリメタクリル酸)カプセルの単一の壁の厚みは、電子エネルギー損失スペクトロメトリで測定され、51.0±11.1nmであった。前記方法で生成されたカプセルの蛍光顕微鏡検査画像は、Alexa Fluor 488ジヒドラジドナトリウム塩蛍光色素で染色した(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリビニルカプロラクタム/ポリメタクリル酸)カプセルの蛍光顕微鏡画像である図10で示す。初期のテンプレートは、炭酸カドミウムであった。
【0139】
5.9.12 ポリメタクリル酸のカルボン酸基および二官能性架橋試薬の官能基を通した水素結合多層の共有結合性架橋
下記表1に要約したように、(ポリメタクリル酸/ポリエチレンオキシド)多層または(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)多層を、本発明に従い、S.A.Sukhishviliら、Layered,Erasable Polymer Multilayers Formed by Hydrogen−Bonded Sequential Self−Assembly、35 MACROMOLECULES 301(2002年)で記載されている方法を応用することによって自己集合させた。析出はpH3.5で実施した。
【0140】
したがって、下記スキーム1で概説したように、自己集合した(ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸)または(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)のカルボン酸基を、pH4.0の5mg/mlの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−カルボジイミド塩酸(EDC)および5mg/mlのN−ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム塩溶液の混合物で活性化した((ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)多層および(ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸)多層の両方について)。
【0141】
次に、下記スキーム1で概説したように、適当なpHで0.01mg/mlの二官能性架橋剤エチレンジアミンと反応させることによって、層を架橋させた(下記表1を参照)。
【0142】
各組みの条件の結果を下記表1で示す。得られた多層構造を図11に図式的に示す。図11は、ポリメタクリル酸のカルボン酸基および二官能性架橋試薬の官能基を通した水素結合多層の共有結合性架橋により生成した多層構造を、模式的に表す。
【0143】
【化1】

【0144】
【表11】

【0145】
5.9.13 ポリメタクリル酸のカルボン酸基および二官能化ポリ(エチレングリコール)の官能基を通した水素結合多層の共有結合性架橋
下記表に要約したように、(ポリメタクリル酸/二官能化ポリエチレングリコール)多層を、本発明に従い、下記表に示した二官能化ポリエチレングリコールを使用して、S.A.Sukhishviliら、Layered,Erasable Polymer Multilayers Formed by Hydrogen−Bonded Sequential Self−Assembly、35 MACROMOLECULES 301(2002年)で記載されている方法を応用することによって自己集合させた。析出はpH3.5で実施した。
【0146】
【表12】

【0147】
次に、自己集合したポリマーのカルボン酸基を、pH4.0の5mg/mlの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸および5mg/mlのN−ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム塩溶液の混合物で活性化した。多層内のポリメタクリル酸の活性化カルボン酸基と二官能化ポリ(エチレングリコール)の末端基との間の共有結合性架橋性反応を完了するために、2時間を費やした。
安定性の範囲を下記表で示す。得られた多層構造は、図12で図式的に示す。
【0148】
【表13】

【0149】
5.10 定義
本明細書で使用されるように、用語中性ポリマーは、イオン結合を有さず、共有結合だけで構成されるポリマーを意味する。即ち、ポリマー上にイオン化基および塩は存在せず、したがって荷電基が存在しない。
【0150】
5.11 結論
上記の背景技術、発明の開示、図および発明を実施するための最良の形態に照らし、ある実施形態において、本発明は、
(a)粒子、
(b)第1の中性ポリマーフィルム、および
(c)第1の中性ポリマーフィルムと接触している第2の中性ポリマーフィルム
からなり、
前記粒子が水性媒体に部分的または実質的に可溶性である物品に関する。
他の実施形態では、本発明は、
(a)粒子、
(b)第1の中性ポリマーフィルム、および
(c)第1の中性ポリマーフィルムと接触している第2の中性ポリマーフィルム
からなり、
前記粒子の直径が約3.5nmから約3.5mmである物品に関する。
他の実施形態では、本発明は、
(a)第1の中性ポリマーフィルム、
(b)第1の中性ポリマーフィルムと接触している第2の中性ポリマーフィルム、および
(c)空洞
からなるカプセルに関する。
【0151】
他の実施形態では、本発明は、
(a)第1の非荷電のポリマー溶液を容積が約50nmから約50mmの粒子と接触させて粒子を第1の非荷電のポリマーフィルムでコーティングすることと、
(b)コーティングされた粒子を第2の非荷電のポリマー溶液と接触させてコーティングされた粒子を第2の非荷電ポリマーフィルムでコーティングすることとからなるカプセルの作製方法に関する。
【0152】
他の実施形態において、本発明は、
(a)第1の非荷電のポリマー溶液を粒子と接触させて粒子を第1の中性ポリマーフィルムでコーティングすることと、
(b)コーティングされた粒子を第2の非荷電のポリマー溶液と接触させてコーティングされた粒子を第2の中性ポリマーフィルムでコーティングすることとからなるカプセルの作製方法に関する。
【0153】
本発明は、明細書および実施例で開示されている具体的な実施形態によって範囲が制限されるものではなく、それらは本発明の2、3の実施形態の例示が目的である。機能的に上述したものと同等の実施形態は、いずれも本発明の範囲内である。実際、本明細書で示され記載されているものに加えて、本発明の様々な修正が当業者には明らかになろうし、また、それらは付属の請求項の範囲に含まれるものとする。引用した全ての文献は、参照により本明細書で完全に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸で構成される本発明のカプセルのSTEM画像である。
【図2】pH=2.0における本発明の10層ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸カプセル(パネルA)および本発明のポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸カプセル(パネルB)の蛍光画像である。
【図3】pH=2(パネルA)におけるまたpH=10に2時間曝した後(パネルB)の本発明の架橋10層ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸カプセルの蛍光画像である。
【図4】pH=2(パネルA)におけるまたpH=7に2時間曝した後(パネルB)の本発明の架橋10層ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸カプセルの蛍光画像である。
【図5】Alexa Fluor 488ジヒドラジドナトリウム塩蛍光色素で染色した(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)(ポリエチレンオキシド/ポリメタクリル酸)カプセルの蛍光顕微鏡画像である。
【図6】Alexa Fluor 488ジヒドラジドナトリウム塩蛍光色素で染色した(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)カプセルの蛍光顕微鏡画像である。
【図7】Alexa Fluor 488ジヒドラジドナトリウム塩蛍光色素で染色した(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)カプセルの蛍光顕微鏡画像である。
【図8】Alexa Fluor 488ジヒドラジドナトリウム塩蛍光色素で染色した(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリメタクリル酸)(ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/ポリメタクリル酸)カプセルの蛍光顕微鏡画像である。
【図9】Alexa Fluor 488ジヒドラジドナトリウム塩蛍光色素で染色した(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリビニルメチルエーテル/ポリメタクリル酸)カプセルの蛍光顕微鏡画像である。初期のテンプレートは、炭酸カドミウムであった。
【図10】Alexa Fluor 488ジヒドラジドナトリウム塩蛍光色素で染色した(ポリエチレンイミン/ポリメタクリル酸)(ポリビニルカプロラクタム/ポリメタクリル酸)カプセルの蛍光顕微鏡画像である。
【図11】ポリメタクリル酸のカルボン酸基および二官能性架橋試薬の官能基を通した水素結合多層の共有結合性架橋を表す模式図である。
【図12】水素結合多層の共有結合性架橋を表す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)粒子、
(b)第1の中性ポリマーフィルム、および
(c)第1の中性ポリマーフィルムと接触している第2の中性ポリマーフィルム
を含み、該粒子が水性媒体に部分的または実質的に可溶性であることを特徴とする物品。
【請求項2】
前記水性媒体が無機または有機の酸あるいは無機または有機の塩基を含む請求項1に記載の物品。
【請求項3】
第1の中性ポリマーフィルムが水素結合供与体を含む請求項1に記載の物品。
【請求項4】
第1の中性ポリマーフィルムがポリカルボン酸を含む請求項3に記載の物品。
【請求項5】
第1の中性ポリマーフィルムがポリメタクリル酸、ポリヌクレオチド、またはビニル核酸のポリマーあるいはそのコポリマーを含む請求項3に記載の物品。
【請求項6】
第2の中性ポリマーフィルムが水素結合受容体を含む請求項1に記載の物品。
【請求項7】
第2の中性ポリマーフィルムがポリエーテル、ポリケトン、ポリアルデヒド、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリエステル、ポリホスファゼン、または多糖類、あるいはそのコポリマーを含む請求項6に記載の物品。
【請求項8】
第2の中性ポリマーフィルムがポリエチレンオキシド、ポリ−1,2−ジメトキシエチレン、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルベンゾ−18−クラウン−6)、ポリビニルブチラール、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(4−アミン)スチレン、ポリ(シクロヘキサン−1,4−ジメチレンテレフタレート、ポリヒドロキシアクリル酸メチル、ポリ(ビス(メチルアミノ)ホスファゼン)、ポリ(ビス(メトキシエトキシエトキシ)ホスファゼン、カルボキシメチルセルロース、またはそれらのコポリマーを含む請求項6に記載の物品。
【請求項9】
第1の中性ポリマーフィルムおよび第2の中性ポリマーフィルムが架橋している請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記粒子が鉱物、無機塩、有機化合物、または有機化合物の塩を含む請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記粒子が炭酸カルシウム、炭酸カドミウムまたは炭酸マンガンを含む請求項1に記載の物品。
【請求項12】
生体材料を含む請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記生体材料が細胞または遺伝物質を含む請求項12に記載の物品。
【請求項14】
生体活性剤または薬剤を含む請求項1に記載の物品。
【請求項15】
前記生体活性剤または薬剤が小分子薬剤、ワクチン、抗体、ホルモン、成長因子、性不稔剤、受精阻害剤、受精促進剤、タンパク質、ペプチド、芳香剤、香味料、ビタミンまたは栄養素を含む請求項14に記載の物品。
【請求項16】
化学薬剤を含む請求項1に記載の物品。
【請求項17】
前記化学薬剤がヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、農業物質、肥料、農薬、保存料、触媒、酵素、ポリマー、着色剤、色素、蛍光化合物、センサー分子、賦形剤、界面活性剤、洗浄剤または環境修復で使用される化学物質を含む請求項16に記載の物品。
【請求項18】
(a)粒子、
(b)第1の中性ポリマーフィルム、および
(c)第1の中性ポリマーフィルムと接触している第2の中性ポリマーフィルム
を含み、該粒子の直径が約3.5nmから約3.5mmであることを特徴とする物品。
【請求項19】
前記粒子の直径が約15nmから約1mmである請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記粒子の直径が約25nmから約40μmである請求項18に記載の物品。
【請求項21】
前記粒子の直径が約40nmから約20μmである請求項18に記載の物品。
【請求項22】
前記粒子の直径が約80nmから約10μmである請求項18に記載の物品。
【請求項23】
第1の中性ポリマーフィルムが水素結合供与体を含む請求項18に記載の物品。
【請求項24】
第1の中性ポリマーフィルムがポリカルボン酸を含む請求項18に記載の物品。
【請求項25】
第1の中性ポリマーフィルムがポリメタクリル酸、ポリヌクレオチド、またはビニル核酸のポリマー、あるいはそれらのコポリマーを含む請求項24に記載の物品。
【請求項26】
第2の中性ポリマーフィルムが水素結合受容体を含む請求項18に記載の物品。
【請求項27】
第2の中性ポリマーフィルムがポリエーテル、ポリケトン、ポリアルデヒド、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリエステル、ポリホスファゼン、または多糖類、あるいはそれらのコポリマーを含む請求項26に記載の物品。
【請求項28】
第2の中性ポリマーフィルムがポリエチレンオキシド、ポリ−1,2−ジメトキシエチレン、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルベンゾ−18−クラウン−6)、ポリビニルブチラール、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(4−アミン)スチレン、ポリ(シクロヘキサン−1,4−ジメチレンテレフタレート)、ポリヒドロキシアクリル酸メチル、ポリ(ビス(メチルアミノ)ホスファゼン)、ポリ(ビス(メトキシエトキシエトキシ)ホスファゼン、カルボキシメチルセルロース、またはそれらのコポリマーを含む請求項26に記載の物品。
【請求項29】
第1の中性ポリマーフィルムおよび第2の中性ポリマーフィルムが架橋している請求項18に記載の物品。
【請求項30】
前記粒子が鉱物、無機塩、有機化合物、または有機化合物の塩を含む請求項18に記載の物品。
【請求項31】
前記粒子が炭酸カルシウム、炭酸カドミウムまたは炭酸マンガンを含む請求項18に記載の物品。
【請求項32】
生体材料を含む請求項18に記載の物品。
【請求項33】
前記生体材料が細胞または遺伝物質を含む請求項32に記載の物品。
【請求項34】
生体活性剤または薬剤を含む請求項18に記載の物品。
【請求項35】
前記生体活性剤または薬剤が小分子薬剤、ワクチン、抗体、ホルモン、成長因子、性不稔剤、受精阻害剤、受精促進剤、タンパク質、ペプチド、芳香剤、香味料、ビタミンまたは栄養素を含む請求項34に記載の物品。
【請求項36】
化学薬剤を含む請求項18に記載の物品。
【請求項37】
前記化学薬剤がヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、農業物質、肥料、農薬、保存料、触媒、酵素、ポリマー、着色剤、色素、蛍光化合物、センサー分子、賦形剤、界面活性剤、洗浄剤または環境修復で使用される化学物質を含む請求項36に記載の物品。
【請求項38】
(a)第1の中性ポリマーフィルム、
(b)第1の中性ポリマーフィルムと接触している第2の中性ポリマーフィルム、および
(c)空洞
を含むことを特徴とするカプセル。
【請求項39】
前記空洞の直径が約3.5nmから約3.5mmである請求項38に記載のカプセル。
【請求項40】
前記空洞の直径が約15nmから約1mmである請求項38に記載のカプセル。
【請求項41】
前記空洞の直径が約25nmから約40μmである請求項38に記載のカプセル。
【請求項42】
前記空洞の直径が約40nmから約20μmである請求項38に記載のカプセル。
【請求項43】
前記空洞の直径が約80nmから約10μmである請求項38に記載のカプセル。
【請求項44】
第1の中性ポリマーフィルムが水素結合供与体を含む請求項38に記載のカプセル。
【請求項45】
第1の中性ポリマーフィルムがポリカルボン酸を含む請求項44に記載のカプセル。
【請求項46】
第1の中性ポリマーフィルムがポリメタクリル酸、ポリヌクレオチド、またはビニル核酸のポリマー、あるいはそれらのコポリマーを含む請求項44に記載のカプセル。
【請求項47】
第2の中性ポリマーフィルムが水素結合受容体を含む請求項38に記載のカプセル。
【請求項48】
第2の中性ポリマーフィルムがポリエーテル、ポリケトン、ポリアルデヒド、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリエステル、ポリホスファゼン、または多糖類、あるいはそれらのコポリマーを含む請求項47に記載のカプセル。
【請求項49】
第2の中性ポリマーフィルムがポリエチレンオキシド、ポリ−1,2−ジメトキシエチレン、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルベンゾ−18−クラウン−6)、ポリビニルブチラール、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド、ポリ(4−アミン)スチレン、ポリ(シクロヘキサン−1,4−ジメチレンテレフタレート)、ポリヒドロキシアクリル酸メチル、ポリ(ビス(メチルアミノ)ホスファゼン)、ポリ(ビス(メトキシエトキシエトキシ)ホスファゼン、カルボキシメチルセルロース、またはそれらのコポリマーを含む請求項47に記載のカプセル。
【請求項50】
第1の中性ポリマーフィルムおよび第2の中性ポリマーフィルムが架橋している請求項38に記載のカプセル。
【請求項51】
生体材料を含む請求項38に記載のカプセル。
【請求項52】
前記生体材料が細胞または遺伝物質を含む請求項51に記載のカプセル。
【請求項53】
生体活性剤または薬剤を含む請求項38に記載のカプセル。
【請求項54】
前記生体活性剤または薬剤が小分子薬剤、ワクチン、抗体、ホルモン、成長因子、性不稔剤、受精阻害剤、受精促進剤、タンパク質、ペプチド、芳香剤、香味料、ビタミンまたは栄養素を含む請求項53に記載のカプセル。
【請求項55】
化学薬剤を含む請求項38に記載のカプセル。
【請求項56】
前記化学薬剤がヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、農業物質、肥料、農薬、保存料、触媒、酵素、ポリマー、着色剤、色素、蛍光化合物、センサー分子、賦形剤、界面活性剤、洗浄剤または環境修復で使用される化学物質を含む請求項55に記載のカプセル。
【請求項57】
(a)第1の非荷電のポリマー溶液を粒子と接触させて粒子を第1の中性ポリマーフィルムでコーティングすることと、
(b)コーティングされた粒子を第2の非荷電のポリマー溶液と接触させてコーティングされた粒子を第2の中性ポリマーフィルムでコーティングすることと
を含むことを特徴とするカプセルを製造する方法。
【請求項58】
前記粒子が水性媒体に部分的または実質的に可溶性である請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記粒子の直径が約3.5nmから約3.5mmである請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記粒子の直径が約15nmから約1mmである請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記粒子の直径が約25nmから約40μmである請求項57に記載の方法。
【請求項62】
前記粒子の直径が約40nmから約20μmである請求項57に記載の方法。
【請求項63】
前記粒子の直径が約80nmから約10μmである請求項57に記載の方法。
【請求項64】
前記第2の中性ポリマーフィルムでコーティングされた粒子を水性媒体と接触させて空洞を形成することをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記空洞の直径が約3.5nmから約3.5mmである請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記空洞の直径が約15nmから約1mmである請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記空洞の直径が約25nmから約40μmである請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記空洞の直径が約40nmから約20μmである請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記空洞の直径が約80nmから約10μmである請求項64に記載の方法。
【請求項70】
前記水性媒体が無機または有機の酸あるいは無機または有機の塩基を含む請求項57に記載の方法。
【請求項71】
第1の中性ポリマーフィルムが水素結合供与体を含む請求項57に記載の方法。
【請求項72】
第1の中性ポリマーフィルムがポリカルボン酸を含む請求項71に記載の方法。
【請求項73】
第1の中性ポリマーフィルムgがポリメタクリル酸、ポリヌクレオチド、またはビニル核酸のポリマー、あるいはそれらのコポリマーを含む請求項71に記載の方法。
【請求項74】
第2の中性ポリマーフィルムが水素結合受容体を含む請求項57に記載の方法。
【請求項75】
第2の中性ポリマーフィルムがポリエーテル、ポリケトン、ポリアルデヒド、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリエステル、ポリホスファゼン、または多糖類、あるいはそれらのコポリマーを含む請求項74に記載の方法。
【請求項76】
第2の中性ポリマーフィルムがポリエチレンオキシド、ポリ−1,2−ジメトキシエチレン、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルベンゾ−18−クラウン−6)、ポリビニルブチラール、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(4−アミン)スチレン、ポリ(シクロヘキサン−1,4−ジメチレンテレフタレート)、ポリヒドロキシアクリル酸メチル、ポリ(ビス(メチルアミノ)ホスファゼン)、ポリ(ビス(メトキシエトキシエトキシ)ホスファゼン、カルボキシメチルセルロースまたそれらのコポリマーを含む請求項74に記載の方法。
【請求項77】
第1の中性ポリマーフィルムおよび第2の中性ポリマーフィルムが架橋している請求項57に記載の方法。
【請求項78】
生体材料をカプセル内に取り込むことをさらに含む請求項57に記載の方法。
【請求項79】
前記生体材料が細胞または遺伝物質を含む請求項78に記載の方法。
【請求項80】
生体活性剤または薬剤をカプセル内に取り込むことをさらに含む請求項57に記載の方法。
【請求項81】
前記生体活性剤または薬剤が小分子薬剤、ワクチン、抗体、ホルモン、成長因子、性不稔剤、受精阻害剤、受精促進剤、タンパク質、ペプチド、芳香剤、香味料、ビタミンまたは栄養素を含む請求項80に記載の方法。
【請求項82】
化学薬剤をカプセル内に取り込むことをさらに含む請求項57に記載の方法。
【請求項83】
前記化学薬剤がヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、農業物質、肥料、農薬、保存料、触媒、酵素、ポリマー、着色剤、色素、蛍光化合物、センサー分子、賦形剤、界面活性剤、洗浄剤または環境修復で使用される化学物質を含む請求項82に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−514518(P2007−514518A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534181(P2006−534181)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/032491
【国際公開番号】WO2005/032512
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(506109812)トラスティーズ オブ スティーヴンス インスティチュート オブ テクノロジー (1)
【Fターム(参考)】