水耕栽培方法及び水耕栽培装置
【課題】 栽培槽の無駄なスペースを省いて生産効率を向上させるとともに、発根及び発芽段階にある苗に有効に養液を供給することができる水耕栽培方法を提供する。
【解決手段】 複数の育苗ポットに装填された培地のそれぞれに植物の種子を播種して、育苗室9内に格納する。育苗ポットは保持部材によって所定の配列状態で保持されるものであるが、育苗室9内に育苗ポットを格納するときには、その配列状態よりも密な配列で格納する。そして、種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分を含む養液を育苗室9内に噴霧して種子を発根及び発芽させる。その後に、育苗ポットを養液が溜められたベッド2に設置して養液に浸すことにより当該育苗ポット内で育苗を行う。
【解決手段】 複数の育苗ポットに装填された培地のそれぞれに植物の種子を播種して、育苗室9内に格納する。育苗ポットは保持部材によって所定の配列状態で保持されるものであるが、育苗室9内に育苗ポットを格納するときには、その配列状態よりも密な配列で格納する。そして、種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分を含む養液を育苗室9内に噴霧して種子を発根及び発芽させる。その後に、育苗ポットを養液が溜められたベッド2に設置して養液に浸すことにより当該育苗ポット内で育苗を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水耕栽培方法及び水耕栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水耕栽培装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、ハウス内に設置されて、培養液(以下、養液という)が溜められる栽培槽と、植物を支持する培地が装填されて、前記栽培槽に溜められた養液に浸される複数の育苗ポットとを備えたものが知られている。前記栽培槽には、当該栽培槽に溜められた養液の液面を覆うようにパネル部材が取り付けられるようになっているとともに、前記栽培槽に溜められた養液には、複数のフロート体が並んで浮かべられるようになっている。これらのパネル部材とフロート体は、植物の種類によって使い分けられている。
【0003】
前記パネル部材には、前記各育苗ポットが個別に嵌り込み可能な挿入口が設けられているとともに、前記フロート体には、所定数の前記育苗ポットが一列に並んだ状態で嵌り込み可能な挿入口が設けられており、これらの挿入口に育苗ポットが嵌り込むことにより、当該育苗ポットが下部を前記養液に浸された状態で前記パネル部材やフロート体に保持されるようになっている。
【0004】
このような栽培槽及び育苗ポットを用いた水耕栽培においては、前記植物の種子を前記培地に播種し、この培地を装填した育苗ポットを前記パネル部材やフロート体(以下、保持部材という)に保持させることにより、同じ栽培槽内で種子の発根及び発芽から苗の最終成長までを一貫して行うことが一般的である。そして、前記養液としては、種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分が含まれたものが採用されている。
【特許文献1】特開2003−265057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記保持部材が育苗ポットを保持する間隔は、苗の成長時を考慮して設定されているので、育苗時、特に発根及び発芽時には無駄なスペースが多くなり、生産効率が悪い。また、種子を播種した培地を養液に浸すだけでは、発根及び発芽段階にある苗に有効に養液を供給することができない。そこで、栽培槽を効率良く利用して生産効率を向上させるとともに、発根及び発芽段階にある苗に有効に養液を供給することが望まれている。
【0006】
なお、特開平6−319392号公報には、育苗室を使用して種子を発根及び発芽させる技術が開示されているが、この技術は、同じ保持部材を用いて種子の発根及び発芽から苗の最終成長までを行うものである。すなわち、前記技術では、まず保持部材を育苗室に配置した後に、当該保持部材を栽培槽に移すようにしており、スペースを効率利用する技術思想はない。また、前記技術では、湿度を90〜100%にするだけで、発根及び発芽段階にある苗に有効な養分補給を実現する手段はない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、栽培槽を効率良く利用して生産効率を向上させるとともに、発根及び発芽段階にある苗に有効に養液を供給することができる水耕栽培方法及び水耕栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係る水耕栽培方法は、植物の種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分を含む養液を用いて前記植物の水耕栽培を行う方法であって、前記植物を支持する培地が装填される複数の育苗ポットのそれぞれの培地に前記植物の種子を播種するステップと、これらの育苗ポットを育苗室内に格納してこの育苗室内で前記種子を発根及び発芽させるステップと、その発根及び発芽後に、前記各育苗ポットをこれらの育苗ポットが少なくとも一方向について互いに所定間隔をおいて離間する配列で保持部材に保持させ、その配列状態で、前記養液が溜められた栽培槽に前記各育苗ポットを設置して前記養液に浸すことにより当該育苗ポット内で育苗を行うステップとを含み、前記育苗室内には、前記各育苗ポットをこれらの育苗ポットが前記保持部材により保持されるときの配列よりも密な配列で格納し、この育苗室内に前記養液を噴霧することにより前記種子を発根及び発芽させることを特徴とするものである。
【0009】
この構成によれば、種子が発根及び発芽するまでの植物が場所をとならい段階では、育苗ポットを保持部材で保持されるときの配列よりも密な配列で格納することにより、育苗室内の空間を有効に活用して多くの種子の発根及び発芽を行わせることができる。さらに、育苗室内では、種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分を含む養液を噴霧することにより、発根及び発芽段階にある苗に養液を有効に供給することができる。種子を発根及び発芽させた後には、育苗ポットを栽培槽に移して保持部材に保持させることにより、育苗ポット同士の間に所定の隙間を形成して、苗の周りに成長に必要なスペースを確保しながらその成長を進めさせることができる。そして、このように育苗室では育苗ポットを密に配列し、栽培槽では育苗ポットを苗の成長時を考慮した間隔で配列することにより、栽培槽における育苗ポット同士の間の空間が苗の成長に有効に利用されることになり、栽培槽を効率良く利用して生産効率を向上させることができる。
【0010】
前記水耕栽培方法においては、前記種子を発根及び発芽させる際には、前記育苗室内の温度を18〜25℃に保ち、かつ、この育苗室内の湿度を90〜100%に調整するように当該育苗室内に前記養液を噴霧することが好ましい。
【0011】
このようにすれば、育苗室内を種子の発根及び発芽に最適な環境とすることができる。しかも、養液で湿度を調整することにより、種子をより積極的に発根及び発芽させることができる。
【0012】
また、前記栽培槽に前記養液を供給する途中で、当該養液に植物の成長に必要な栄養分を加えることが好ましい。
【0013】
このようにすれば、成長段階にある苗に効率的に栄養分を供給することができる。
【0014】
また、前記保持部材は、前記栽培槽に溜められた養液に並んで浮かぶ複数のフロート体であって、このフロート体として、その並び方向の幅寸法が異なる2種類のフロート体を用い、前記育苗ポット内で育苗を行うステップでは、前記種子を発根及び発芽させた直後は前記育苗ポットを幅寸法の小さなフロート体に保持させ、植物の成長に合わせて前記育苗ポットを幅寸法の小さなフロート体から幅寸法の大きなフロート体に移し変えることが好ましい。
【0015】
このように、植物の成長に合わせて幅寸法の異なる2種類のフロート体を使い分けることにより、栽培槽をさらに有効に活用してより多くの苗を育苗することが可能となり、生産効率をさらに向上させることができる。
【0016】
また、前記養液を前記育苗室内で噴霧する前に、当該養液をエアレーションと活水器とで水処理することが好ましい。
【0017】
このようにすれば、種子をより効果的に発根及び発芽させることができる。
【0018】
また、本発明に係る水耕栽培装置は、種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分を含む養液が溜められる栽培槽と、植物を支持する培地が装填される複数の育苗ポットと、これらの育苗ポットを少なくとも一方向について互いに所定間隔をおいて離間する配列で、かつ、前記栽培槽に溜められた養液に一部が浸された状態で保持する保持部材とを備えた水耕栽培装置において、養液を溜める養液タンクと、前記育苗ポットが前記保持部材で保持されるときの配列よりも密な配列で格納される育苗室と、この育苗室内に養液を噴霧する噴霧器と、前記養液タンクに溜められた養液を前記噴霧器と前記栽培槽とに供給する養液供給手段とをさらに備えることを特徴とするものである。
【0019】
この構成によれば、育苗ポットを保持部材で保持されるときの配列よりも密な配列で育苗室内に格納して、当該育苗室内で養液を噴霧しながら種子を発根及び発芽させることが可能であり、これにより、育苗室内の空間を有効に活用することができるとともに、発根及び発芽段階にある苗に養液を有効に供給することができる。そして、種子を発根及び発芽させた後に育苗ポットを栽培槽に移して保持部材に保持させれば、育苗ポット同士の間に所定の隙間を形成して、苗の周りに成長に必要なスペースを確保しながらその成長を進めさせることができる。そして、このように育苗室では育苗ポットを密に配列し、栽培槽では育苗ポットを苗の成長時を考慮した間隔で配列することにより、栽培槽における育苗ポット同士の間の空間が苗の成長に有効に利用されることになり、栽培槽を効率良く利用して生産効率を向上させることができる。
【0020】
前記水耕栽培装置においては、前記育苗室には、当該育苗室内の温度を18〜25℃に保つ空調機が設けられており、前記噴霧器は、前記育苗室内の湿度を90〜100%に調整するように前記養液を噴霧するものであることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、育苗室内を種子の発根及び発芽に最適な環境とすることができる。しかも、養液で湿度を調整することにより、種子をより積極的に発根及び発芽させることができる。
【0022】
また、前記養液を溜めて、植物の成長に必要な栄養分を加えるための肥料タンクと、この肥料タンクで栄養分が加えられた栄養液を前記栽培槽に供給するための肥料供給手段とをさらに備え、前記養液供給手段は、前記肥料供給タンクにも前記養液を供給するように構成されていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、成長段階にある苗に効率的に栄養分を供給することができる。
【0024】
また、前記保持部材は、前記栽培槽に溜められた養液に並んで浮かぶ複数のフロート体であって、このフロート体として、その並び方向の幅寸法が異なる2種類のフロート体が用いられていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、植物の成長に合わせて幅寸法の異なる2種類のフロート体を使い分けることが可能となり、これにより、栽培槽をさらに有効に活用してより多くの苗を育苗することができる。
【0026】
また、前記養液タンクには、当該養液タンクに溜められた養液を循環させる循環路であって、途中にエアレーションと活水器とが配設された循環路が設けられていることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、エアレーションと活水器とで水処理された養液を育苗室内に噴霧することができ、種子をより効果的に発根及び発芽させることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、栽培槽の無駄なスペースを省いて生産効率を向上させるとともに、発根及び発芽段階にある苗に有効に養液を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る水耕栽培装置は、ハウス1と、このハウス1内に設置される複数の栽培槽(以下、ベッドという)2とを備えている。また、図示は省略するが、ハウス1内にはボイラが設けられていて、ハウス1内の温度が一定温度以上に保たれるようになっている。
【0031】
前記各ベッド2は、図2に示すように、特定方向に延びるとともに上方に開口する平面視で略長方形の容器状をなしていて、内部に養液3が溜められるようになっている。これらのベッド2は、複数の脚25によって所定の高さ位置に保持された状態で、その長手方向と直交する方向に並んで設置されている。なお、図例では、ベッド2が上下方向に1段で設けられているが、ベッド2は上下方向に多段で設けられていてもよい。
【0032】
前記各ベッド2の長手方向の一端側には、養液3が供給される供給パイプ21が設けられているとともに、他端側には、ベッド2の下面から養液3を排出する排出パイプ22が設けられていて、養液3がベッド2内を一端側から他端側に向かって流れるようになっている。なお、排出パイプ22から排出された養液3は、後述する循環路76(図9参照)を通って、再度供給パイプ21からベッド2に供給されるようになっている。
【0033】
前記ベッド2には、図3に示すように、当該ベッド2の開口を覆うようにパネル部材5が取り付けられるようになっているとともに、ベッド2に溜められた養液3には、図4に示すように、複数の育苗フロート体4Aまたは後述する栽培フロート体4B(図5(b)参照)がベッド2の長手方向に並んで浮かべられるようになっている。
【0034】
前記育苗フロート体4Aは、各種の植物に共通に使用されるものであり、種子を発根及び発芽させた直後から苗をある程度成長させるまで用いられる。一方、前記パネル部材5は、トマト、胡瓜、かぼちゃなどの果菜類やキャベツ、レタスなどの結球性野菜をある程度成長させた段階から最終成長させるまで用いられ、前記栽培フロート体4Bは、ほうれん草や小松菜などの非結球性野菜をある程度成長させた段階から最終成長させるまで用いられる。そして、これらのパネル部材5とフロート体4A,4Bに複数の育苗ポット6Aが保持されるようになっている。
【0035】
前記育苗ポット6Aは、植物を支持する培地68を養液3に浸した状態で保持するためのものであり、合成樹脂などで一体に成形されて、図6(a),(b)に示すように、水平方向の断面形状は略正方形状のままで上方に向かうほど外側に広がる形状をなしている。
【0036】
具体的には、育苗ポット6Aは、平面視で略正方形をなす容器状の培地保持部61と、この培地保持部61よりも上側に位置し、平面視で培地保持部61よりも一回り大きな略正方形をなす枠状の鍔部62と、この鍔部62の下面の内側端部と前記培地保持部61の上端部とを連結する連結部63とからなっている。そして、培地保持部61と連結部63には、適所に窓65が設けられており、この窓65を通じて育苗ポット6Aの内外での空気や養液3の流通が可能となっている。
【0037】
前記パネル部材5には、前記各育苗ポット6Aが個別に嵌り込み可能な挿入口51が適所に設けられている。この挿入口51は、パネル部材5を板厚方向に貫通する円形状の貫通穴で構成されている。そして、この挿入口51に育苗ポット6Aが嵌め込まれたときには、図7に示すように、育苗ポット6Aの鍔部62がパネル部材5の上面に載置されることにより、培地保持部61が養液3に浸された状態で育苗ポット6Aがパネル部材5に保持されるようになる。
【0038】
前記育苗フロート体4Aは、前記ベッド2の長手方向と直交する幅方向に沿って延びるとともに水平方向に扁平な略直方体状をなしている。この育苗フロート体4Aの長さ寸法は、ベッド2の幅方向における内側面同士の間の寸法よりも僅かに小さく設定されており、幅寸法W1(図5(a)参照)は、苗がある程度成長したときでもフロート体4Aが沈まない程度に設定されている。この育苗フロート体4Aには、所定数の育苗ポット6Aが一列に並んだ状態で嵌り込み可能な挿入口41が設けられている。
【0039】
前記挿入口41は、育苗フロート体4Aの長手方向に沿って延びる平面視で長方形状をなしているとともに、育苗フロート体4Aを上下方向に貫通している。そして、この挿入口41に育苗ポット6Aが嵌め込まれたときには、図8に示すように、育苗ポット6Aの鍔部62が育苗フロート体4Aの上面に載置されることにより、培地保持部61が養液3に浸された状態で育苗ポット6Aが育苗フロート体4Aに保持されるようになる。
【0040】
なお、パネル部材5の挿入口51は、前記果菜類や結球性野菜が成長したときに適正な密生状態となるような間隔で設けられていて、育苗ポット6Aがパネル部材5の挿入口51に嵌め込まれたときには、これらの育苗ポット6Aが相互に所定の間隔を隔てた位置で保持されるようになる。一方、育苗ポット6Aが育苗フロート体4Aの挿入口41に嵌め込まれたときには、その挿入口41内で隣り合う育苗ポット6A同士は互いに接触または近接するが、育苗フロート体4Aの並び方向、すなわちベッド2の長手方向では、隣り合う育苗フロート体4A同士が当接することにより、隣り合うフロート体4Aの挿入口41に嵌め込まれた育苗ポット6A同士の間に所定の隙間が形成されるようになる。
【0041】
前記栽培フロート体4Bは、図5(a),(b)に示すように、前記育苗フロート体4Aの幅寸法W1が大きくなっただけのものである。この栽培フロート体4Bの幅寸法W2は、前記非結球性野菜が成長したときに、栽培フロート体4Bの並び方向、すなわちベッド2の長手方向で適正な密生状態となるように設定されている。そして、この栽培フロート体4Bの挿入口41に育苗ポット6Aが嵌め込まれたときも、図8で示したのと同様に、育苗ポット6Aの培地保持部61が養液3に浸されるようになる。
【0042】
次に、本実施形態に係る水耕栽培装置を、図9に示す配管系統図を用いて養液3の流れの観点から説明する。
【0043】
本実施形態に係る水耕栽培装置は、ハウス1内に、養液3を溜める養液タンク73と、養液3に植物の成長に必要な栄養分を加えるための肥料タンク75と、種子を発根及び発芽させるための育苗室9とをさらに備えている。なお、これらのタンク73,75や育苗室9はハウス1内に設置されている必要はなく、ハウス1外に設置されていてもよい。
【0044】
前記養液タンク73には、外部の水源71から水が供給されるようになっており、その途中で養液供給部72から原液が供給されて養液が生成されるようになっている。この原液には、種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分が含まれており、その成分は、例えば、窒素、リン酸、カリ及び多種類の微量ミネラル、多種類の有機酸等である。
【0045】
養液タンク73には、当該養液タンク73に溜められた養液3を循環させる循環路73aが設けられている。この循環路73aの途中には、養液3に酸素を供給するエアレーション81と、養液3を活性化する活水器82とが配設されており、これらのエアレーション81と活水器82によって養液タンク73に溜められた養液3が常に活水化処理されるようになっている。また、このように養液3を循環させることにより、水と原液とを均一に混ぜ合わせることができる。
【0046】
養液タンク73に溜められた養液3は、養液供給ポンプ74によって加圧された後、複数本(本実施形態では3本)の養液供給路74a〜74cに分配されて、前記育苗室9内に設けられた噴霧器91と、前記肥料タンク75と、前述した循環路76とに供給される。
【0047】
前記噴霧器92は、育苗室9内の湿度を90〜100%に調整するように当該育苗室9内に養液3を噴霧するものである。また、育苗室9には、噴霧器91の他に空調機92が設けられていて、室内の温度が18〜25℃に、より好ましくは19.5〜20.5℃に保たれるようになっている。
【0048】
前記循環路76は、各ベッド2に設けられた供給パイプ21と排出パイプ22に接続されていて、閉ループとなっている。この循環路76には、循環ポンプ77が配設されており、前述したように排出パイプ22から排出された養液3が循環ポンプ77によって汲み上げられ、再び供給パイプ21からベッド2に供給される。
【0049】
また、循環路76には、その一部が分岐されて分岐路78が形成されている。この分岐路78にもエアレーション81及び活水器82が配設されていて、循環する養液3の一部が水処理された後に、処理液供給パイプ24(図2では省略)からベッド2に供給されるようになっている。
【0050】
前記肥料タンク75に養液3を供給する養液供給路74bの途中には、手動弁75bが配設されている。そして、この手動弁75bを開くことにより、必要な量だけ養液3が肥料タンク75に溜められる。
【0051】
前記肥料タンク75では、当該肥料タンク75に溜められた養液3に、植物の成長に必要な栄養分(例えば、窒素、リン酸、カリなど)が所定量だけ加えられて、高濃度の栄養液が生成される。この栄養液の生成は、手作業で行われる。肥料タンク75には、肥料供給ポンプ75aが接続されているとともに、ベッド2には、養液3中の栄養分の濃度を検出する濃度検出センサ23が設けられていて、濃度検出センサ23が検出する濃度が設定値の下限値を下回ったときには、肥料供給ポンプ75aが自動で稼働し、栄養液が循環路76に送り込まれる。すなわち、養液供給路74cから循環路76を介してベッド2に養液が供給される途中で、当該養液3に植物の成長に必要な栄養分が加えられることになる。そして、栄養分の濃度が設定値の上限値に至るまで栄養液が自動的に供給される。なお、肥料タンク75に栄養液がなくなったときには、再度手動弁75bを開いて肥料タンク75に養液3を供給して栄養液を生成する。
【0052】
次に、このように構成された水耕栽培装置を用いて水耕栽培する方法を説明する。
【0053】
まず、各育苗ポット6Aに装填された培地68に植物の種子を播種し、これらの育苗ポット6Aを育苗室9内に格納する。このとき、育苗室9内では、図10に示すように、育苗ポット6Aを育苗フロート体4Aまたはパネル部材5で保持されるときの配列よりも密な配列で格納する。この実施の形態では、育苗ポット6Aを育苗フロート体4Aに保持させたときには、ベッド2の長手方向では隣り合う育苗ポット6A同士の間に所定の隙間が形成されるのに対し、育苗室9内では、育苗ポット6A同士を隙間なくまたはそれらが僅かに離間するように敷き詰めて、前記のように密な配列で格納するようにする。
【0054】
そして、育苗室9内の温度を空調機92によって18〜25℃に保った状態で、育苗室9内の湿度を90〜100%に調整するように噴霧器91で養液3を噴霧しながら前記種子を発根及び発芽させる。
【0055】
種子を発根及び発芽させた後には、育苗フロート体4Aをベッド2に浮かべ、この育苗フロート体4Aに育苗ポット6Aを保持させる。
【0056】
植物が果菜類や結球性野菜である場合には、育苗フロート体4Aで苗をある程度成長させた後に、栽培フロート体4Bをベッド2に浮かべ、育苗ポット6Aを育苗フロート体4Aから栽培フロート体4Bに移し変える。一方、植物が非結球性野菜である場合には、ベッド2にパネル部材5を取り付け、育苗ポット6Aを育苗フロート体4Aからパネル部材5に移し変える。そして、栽培フロート体4Bまたはパネル部材5にて苗を最終成長させる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る水耕栽培装置を用いた水耕栽培方法によれば、種子が発根及び発芽するまでの植物が場所をとならい段階では、育苗ポット6Aを育苗フロート体4Aまたはパネル部材5で保持されるときの配列よりも密な配列で格納することにより、育苗室9内の空間を有効に活用して多くの種子の発根及び発芽を行わせることができる。さらに、育苗室9内では、種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分が含む養液3を噴霧することにより、発根及び発芽段階にある苗に養液3を有効に供給することができる。
【0058】
また、種子を発根及び発芽させる際には、育苗室9内の温度を18〜25℃に保ち、湿度を90〜100%に調整するように養液3を噴霧しているので、育苗室9内を種子の発根及び発芽に最適な環境とすることができる。しかも、養液3で湿度を調整することにより、種子をより積極的に発根及び発芽させることができる。
【0059】
さらには、養液3を育苗室9内で噴霧する前に、養液タンク73にて当該養液3をエアレーションと活水器とで水処理しているので、種子をより効果的に発根及び発芽させることができる。そして、本実施形態に係る方法によれば、通常1日半から2日程度と短期間で種子を発根及び発芽させることができる。
【0060】
そして、種子を発根及び発芽させた後に育苗ポット6Aをベッド2に移すことにより、当該ベッド2の略全面を利用して育苗することができ、ベッド2の無駄なスペースを省いて生産効率を向上させることができる。
【0061】
さらに、ベッド2に養液3を供給する途中では、肥料供給ポンプ75aによって自動的に当該養液3に植物の成長に必要な栄養分が加えられるようになっているので、成長段階にある苗に効率的に栄養分を供給することができる。
【0062】
また、果菜類や結球性野菜を栽培する場合には、植物の成長に合わせて幅寸法の異なる2種類のフロート体4A,4Bを使い分けることにより、ベッド2をさらに有効に活用してより多くの苗を育苗することが可能となり、生産効率をさらに向上させることができる。
【0063】
なお、前記実施形態では、平面視で略正方形状の育苗ポット6Aを用いた形態を示したが、育苗フロート体4A及び栽培フロート体4Bを使用して果菜類や結球性野菜を栽培する場合には、図11に示す、平面視で略長方形状の育苗ポット6Bを用いてもよい。この育苗ポット6Bは、育苗フロート体4A及び栽培フロート体4Bの挿入口41の大きさに合わせて育苗ポット6Aを一方向に延ばしたものであり、挿入口41に1つだけ嵌り込むようになっている。この育苗ポット6Bを育苗室9内に配置するには、図12に示すように、その長手長方向と直交する方向で、当接または近接するように並べればよい。
【0064】
また、育苗ポットとしては、図6で示した育苗ポット6Aや図11で示した育苗ポット6Bに限らず、種々の形状のものが採用可能である。例えば、側面視で台形状のものであってもよいし、平面視で円形状のものであってもよい。そして、育苗ポットの形状に合わせて、パネル部材5の挿入口51及びフロート体4A,4Bの挿入口41の形状も適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る水耕栽培装置のハウスの正面図である。
【図2】図1に示すハウス内に設置されるベッドの側面図である。
【図3】図2に示すベッドにパネル部材を取り付けたときの斜視図である。
【図4】図2に示すベッドにフロート体を浮かべたときの斜視図である。
【図5】(a)は育苗フロート体の平面図、(b)栽培フロート体の平面図である。
【図6】育苗ポットを示す図であり、(a)は平面図、(b)は一部断面側面図である。
【図7】育苗ポットをパネル部材に保持させたときの断面側面図である。
【図8】育苗ポットを育苗フロート体(栽培フロート体)に保持させたときの断面側面図である。
【図9】水耕栽培装置の配管系統図である。
【図10】育苗室に育苗ポットを配置したときの平面図である。
【図11】変形例の育苗ポットを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図12】育苗室に変形例の育苗ポットを配置したときの平面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ハウス
2 ベッド(栽培槽)
3 養液
4A 育苗フロート体(保持部材)
4B 栽培フロート体(保持部材)
5 パネル部材(保持部材)
6A,6B 育苗ポット
73 養液タンク
74 養液供給ポンプ
74a,74b,74c 養液供給路
75 肥料タンク
76 循環路
81 エアレーション
82 活水器
9 育苗室
91 噴霧器
92 空調機
【技術分野】
【0001】
本発明は、水耕栽培方法及び水耕栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水耕栽培装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、ハウス内に設置されて、培養液(以下、養液という)が溜められる栽培槽と、植物を支持する培地が装填されて、前記栽培槽に溜められた養液に浸される複数の育苗ポットとを備えたものが知られている。前記栽培槽には、当該栽培槽に溜められた養液の液面を覆うようにパネル部材が取り付けられるようになっているとともに、前記栽培槽に溜められた養液には、複数のフロート体が並んで浮かべられるようになっている。これらのパネル部材とフロート体は、植物の種類によって使い分けられている。
【0003】
前記パネル部材には、前記各育苗ポットが個別に嵌り込み可能な挿入口が設けられているとともに、前記フロート体には、所定数の前記育苗ポットが一列に並んだ状態で嵌り込み可能な挿入口が設けられており、これらの挿入口に育苗ポットが嵌り込むことにより、当該育苗ポットが下部を前記養液に浸された状態で前記パネル部材やフロート体に保持されるようになっている。
【0004】
このような栽培槽及び育苗ポットを用いた水耕栽培においては、前記植物の種子を前記培地に播種し、この培地を装填した育苗ポットを前記パネル部材やフロート体(以下、保持部材という)に保持させることにより、同じ栽培槽内で種子の発根及び発芽から苗の最終成長までを一貫して行うことが一般的である。そして、前記養液としては、種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分が含まれたものが採用されている。
【特許文献1】特開2003−265057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記保持部材が育苗ポットを保持する間隔は、苗の成長時を考慮して設定されているので、育苗時、特に発根及び発芽時には無駄なスペースが多くなり、生産効率が悪い。また、種子を播種した培地を養液に浸すだけでは、発根及び発芽段階にある苗に有効に養液を供給することができない。そこで、栽培槽を効率良く利用して生産効率を向上させるとともに、発根及び発芽段階にある苗に有効に養液を供給することが望まれている。
【0006】
なお、特開平6−319392号公報には、育苗室を使用して種子を発根及び発芽させる技術が開示されているが、この技術は、同じ保持部材を用いて種子の発根及び発芽から苗の最終成長までを行うものである。すなわち、前記技術では、まず保持部材を育苗室に配置した後に、当該保持部材を栽培槽に移すようにしており、スペースを効率利用する技術思想はない。また、前記技術では、湿度を90〜100%にするだけで、発根及び発芽段階にある苗に有効な養分補給を実現する手段はない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、栽培槽を効率良く利用して生産効率を向上させるとともに、発根及び発芽段階にある苗に有効に養液を供給することができる水耕栽培方法及び水耕栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係る水耕栽培方法は、植物の種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分を含む養液を用いて前記植物の水耕栽培を行う方法であって、前記植物を支持する培地が装填される複数の育苗ポットのそれぞれの培地に前記植物の種子を播種するステップと、これらの育苗ポットを育苗室内に格納してこの育苗室内で前記種子を発根及び発芽させるステップと、その発根及び発芽後に、前記各育苗ポットをこれらの育苗ポットが少なくとも一方向について互いに所定間隔をおいて離間する配列で保持部材に保持させ、その配列状態で、前記養液が溜められた栽培槽に前記各育苗ポットを設置して前記養液に浸すことにより当該育苗ポット内で育苗を行うステップとを含み、前記育苗室内には、前記各育苗ポットをこれらの育苗ポットが前記保持部材により保持されるときの配列よりも密な配列で格納し、この育苗室内に前記養液を噴霧することにより前記種子を発根及び発芽させることを特徴とするものである。
【0009】
この構成によれば、種子が発根及び発芽するまでの植物が場所をとならい段階では、育苗ポットを保持部材で保持されるときの配列よりも密な配列で格納することにより、育苗室内の空間を有効に活用して多くの種子の発根及び発芽を行わせることができる。さらに、育苗室内では、種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分を含む養液を噴霧することにより、発根及び発芽段階にある苗に養液を有効に供給することができる。種子を発根及び発芽させた後には、育苗ポットを栽培槽に移して保持部材に保持させることにより、育苗ポット同士の間に所定の隙間を形成して、苗の周りに成長に必要なスペースを確保しながらその成長を進めさせることができる。そして、このように育苗室では育苗ポットを密に配列し、栽培槽では育苗ポットを苗の成長時を考慮した間隔で配列することにより、栽培槽における育苗ポット同士の間の空間が苗の成長に有効に利用されることになり、栽培槽を効率良く利用して生産効率を向上させることができる。
【0010】
前記水耕栽培方法においては、前記種子を発根及び発芽させる際には、前記育苗室内の温度を18〜25℃に保ち、かつ、この育苗室内の湿度を90〜100%に調整するように当該育苗室内に前記養液を噴霧することが好ましい。
【0011】
このようにすれば、育苗室内を種子の発根及び発芽に最適な環境とすることができる。しかも、養液で湿度を調整することにより、種子をより積極的に発根及び発芽させることができる。
【0012】
また、前記栽培槽に前記養液を供給する途中で、当該養液に植物の成長に必要な栄養分を加えることが好ましい。
【0013】
このようにすれば、成長段階にある苗に効率的に栄養分を供給することができる。
【0014】
また、前記保持部材は、前記栽培槽に溜められた養液に並んで浮かぶ複数のフロート体であって、このフロート体として、その並び方向の幅寸法が異なる2種類のフロート体を用い、前記育苗ポット内で育苗を行うステップでは、前記種子を発根及び発芽させた直後は前記育苗ポットを幅寸法の小さなフロート体に保持させ、植物の成長に合わせて前記育苗ポットを幅寸法の小さなフロート体から幅寸法の大きなフロート体に移し変えることが好ましい。
【0015】
このように、植物の成長に合わせて幅寸法の異なる2種類のフロート体を使い分けることにより、栽培槽をさらに有効に活用してより多くの苗を育苗することが可能となり、生産効率をさらに向上させることができる。
【0016】
また、前記養液を前記育苗室内で噴霧する前に、当該養液をエアレーションと活水器とで水処理することが好ましい。
【0017】
このようにすれば、種子をより効果的に発根及び発芽させることができる。
【0018】
また、本発明に係る水耕栽培装置は、種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分を含む養液が溜められる栽培槽と、植物を支持する培地が装填される複数の育苗ポットと、これらの育苗ポットを少なくとも一方向について互いに所定間隔をおいて離間する配列で、かつ、前記栽培槽に溜められた養液に一部が浸された状態で保持する保持部材とを備えた水耕栽培装置において、養液を溜める養液タンクと、前記育苗ポットが前記保持部材で保持されるときの配列よりも密な配列で格納される育苗室と、この育苗室内に養液を噴霧する噴霧器と、前記養液タンクに溜められた養液を前記噴霧器と前記栽培槽とに供給する養液供給手段とをさらに備えることを特徴とするものである。
【0019】
この構成によれば、育苗ポットを保持部材で保持されるときの配列よりも密な配列で育苗室内に格納して、当該育苗室内で養液を噴霧しながら種子を発根及び発芽させることが可能であり、これにより、育苗室内の空間を有効に活用することができるとともに、発根及び発芽段階にある苗に養液を有効に供給することができる。そして、種子を発根及び発芽させた後に育苗ポットを栽培槽に移して保持部材に保持させれば、育苗ポット同士の間に所定の隙間を形成して、苗の周りに成長に必要なスペースを確保しながらその成長を進めさせることができる。そして、このように育苗室では育苗ポットを密に配列し、栽培槽では育苗ポットを苗の成長時を考慮した間隔で配列することにより、栽培槽における育苗ポット同士の間の空間が苗の成長に有効に利用されることになり、栽培槽を効率良く利用して生産効率を向上させることができる。
【0020】
前記水耕栽培装置においては、前記育苗室には、当該育苗室内の温度を18〜25℃に保つ空調機が設けられており、前記噴霧器は、前記育苗室内の湿度を90〜100%に調整するように前記養液を噴霧するものであることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、育苗室内を種子の発根及び発芽に最適な環境とすることができる。しかも、養液で湿度を調整することにより、種子をより積極的に発根及び発芽させることができる。
【0022】
また、前記養液を溜めて、植物の成長に必要な栄養分を加えるための肥料タンクと、この肥料タンクで栄養分が加えられた栄養液を前記栽培槽に供給するための肥料供給手段とをさらに備え、前記養液供給手段は、前記肥料供給タンクにも前記養液を供給するように構成されていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、成長段階にある苗に効率的に栄養分を供給することができる。
【0024】
また、前記保持部材は、前記栽培槽に溜められた養液に並んで浮かぶ複数のフロート体であって、このフロート体として、その並び方向の幅寸法が異なる2種類のフロート体が用いられていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、植物の成長に合わせて幅寸法の異なる2種類のフロート体を使い分けることが可能となり、これにより、栽培槽をさらに有効に活用してより多くの苗を育苗することができる。
【0026】
また、前記養液タンクには、当該養液タンクに溜められた養液を循環させる循環路であって、途中にエアレーションと活水器とが配設された循環路が設けられていることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、エアレーションと活水器とで水処理された養液を育苗室内に噴霧することができ、種子をより効果的に発根及び発芽させることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、栽培槽の無駄なスペースを省いて生産効率を向上させるとともに、発根及び発芽段階にある苗に有効に養液を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る水耕栽培装置は、ハウス1と、このハウス1内に設置される複数の栽培槽(以下、ベッドという)2とを備えている。また、図示は省略するが、ハウス1内にはボイラが設けられていて、ハウス1内の温度が一定温度以上に保たれるようになっている。
【0031】
前記各ベッド2は、図2に示すように、特定方向に延びるとともに上方に開口する平面視で略長方形の容器状をなしていて、内部に養液3が溜められるようになっている。これらのベッド2は、複数の脚25によって所定の高さ位置に保持された状態で、その長手方向と直交する方向に並んで設置されている。なお、図例では、ベッド2が上下方向に1段で設けられているが、ベッド2は上下方向に多段で設けられていてもよい。
【0032】
前記各ベッド2の長手方向の一端側には、養液3が供給される供給パイプ21が設けられているとともに、他端側には、ベッド2の下面から養液3を排出する排出パイプ22が設けられていて、養液3がベッド2内を一端側から他端側に向かって流れるようになっている。なお、排出パイプ22から排出された養液3は、後述する循環路76(図9参照)を通って、再度供給パイプ21からベッド2に供給されるようになっている。
【0033】
前記ベッド2には、図3に示すように、当該ベッド2の開口を覆うようにパネル部材5が取り付けられるようになっているとともに、ベッド2に溜められた養液3には、図4に示すように、複数の育苗フロート体4Aまたは後述する栽培フロート体4B(図5(b)参照)がベッド2の長手方向に並んで浮かべられるようになっている。
【0034】
前記育苗フロート体4Aは、各種の植物に共通に使用されるものであり、種子を発根及び発芽させた直後から苗をある程度成長させるまで用いられる。一方、前記パネル部材5は、トマト、胡瓜、かぼちゃなどの果菜類やキャベツ、レタスなどの結球性野菜をある程度成長させた段階から最終成長させるまで用いられ、前記栽培フロート体4Bは、ほうれん草や小松菜などの非結球性野菜をある程度成長させた段階から最終成長させるまで用いられる。そして、これらのパネル部材5とフロート体4A,4Bに複数の育苗ポット6Aが保持されるようになっている。
【0035】
前記育苗ポット6Aは、植物を支持する培地68を養液3に浸した状態で保持するためのものであり、合成樹脂などで一体に成形されて、図6(a),(b)に示すように、水平方向の断面形状は略正方形状のままで上方に向かうほど外側に広がる形状をなしている。
【0036】
具体的には、育苗ポット6Aは、平面視で略正方形をなす容器状の培地保持部61と、この培地保持部61よりも上側に位置し、平面視で培地保持部61よりも一回り大きな略正方形をなす枠状の鍔部62と、この鍔部62の下面の内側端部と前記培地保持部61の上端部とを連結する連結部63とからなっている。そして、培地保持部61と連結部63には、適所に窓65が設けられており、この窓65を通じて育苗ポット6Aの内外での空気や養液3の流通が可能となっている。
【0037】
前記パネル部材5には、前記各育苗ポット6Aが個別に嵌り込み可能な挿入口51が適所に設けられている。この挿入口51は、パネル部材5を板厚方向に貫通する円形状の貫通穴で構成されている。そして、この挿入口51に育苗ポット6Aが嵌め込まれたときには、図7に示すように、育苗ポット6Aの鍔部62がパネル部材5の上面に載置されることにより、培地保持部61が養液3に浸された状態で育苗ポット6Aがパネル部材5に保持されるようになる。
【0038】
前記育苗フロート体4Aは、前記ベッド2の長手方向と直交する幅方向に沿って延びるとともに水平方向に扁平な略直方体状をなしている。この育苗フロート体4Aの長さ寸法は、ベッド2の幅方向における内側面同士の間の寸法よりも僅かに小さく設定されており、幅寸法W1(図5(a)参照)は、苗がある程度成長したときでもフロート体4Aが沈まない程度に設定されている。この育苗フロート体4Aには、所定数の育苗ポット6Aが一列に並んだ状態で嵌り込み可能な挿入口41が設けられている。
【0039】
前記挿入口41は、育苗フロート体4Aの長手方向に沿って延びる平面視で長方形状をなしているとともに、育苗フロート体4Aを上下方向に貫通している。そして、この挿入口41に育苗ポット6Aが嵌め込まれたときには、図8に示すように、育苗ポット6Aの鍔部62が育苗フロート体4Aの上面に載置されることにより、培地保持部61が養液3に浸された状態で育苗ポット6Aが育苗フロート体4Aに保持されるようになる。
【0040】
なお、パネル部材5の挿入口51は、前記果菜類や結球性野菜が成長したときに適正な密生状態となるような間隔で設けられていて、育苗ポット6Aがパネル部材5の挿入口51に嵌め込まれたときには、これらの育苗ポット6Aが相互に所定の間隔を隔てた位置で保持されるようになる。一方、育苗ポット6Aが育苗フロート体4Aの挿入口41に嵌め込まれたときには、その挿入口41内で隣り合う育苗ポット6A同士は互いに接触または近接するが、育苗フロート体4Aの並び方向、すなわちベッド2の長手方向では、隣り合う育苗フロート体4A同士が当接することにより、隣り合うフロート体4Aの挿入口41に嵌め込まれた育苗ポット6A同士の間に所定の隙間が形成されるようになる。
【0041】
前記栽培フロート体4Bは、図5(a),(b)に示すように、前記育苗フロート体4Aの幅寸法W1が大きくなっただけのものである。この栽培フロート体4Bの幅寸法W2は、前記非結球性野菜が成長したときに、栽培フロート体4Bの並び方向、すなわちベッド2の長手方向で適正な密生状態となるように設定されている。そして、この栽培フロート体4Bの挿入口41に育苗ポット6Aが嵌め込まれたときも、図8で示したのと同様に、育苗ポット6Aの培地保持部61が養液3に浸されるようになる。
【0042】
次に、本実施形態に係る水耕栽培装置を、図9に示す配管系統図を用いて養液3の流れの観点から説明する。
【0043】
本実施形態に係る水耕栽培装置は、ハウス1内に、養液3を溜める養液タンク73と、養液3に植物の成長に必要な栄養分を加えるための肥料タンク75と、種子を発根及び発芽させるための育苗室9とをさらに備えている。なお、これらのタンク73,75や育苗室9はハウス1内に設置されている必要はなく、ハウス1外に設置されていてもよい。
【0044】
前記養液タンク73には、外部の水源71から水が供給されるようになっており、その途中で養液供給部72から原液が供給されて養液が生成されるようになっている。この原液には、種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分が含まれており、その成分は、例えば、窒素、リン酸、カリ及び多種類の微量ミネラル、多種類の有機酸等である。
【0045】
養液タンク73には、当該養液タンク73に溜められた養液3を循環させる循環路73aが設けられている。この循環路73aの途中には、養液3に酸素を供給するエアレーション81と、養液3を活性化する活水器82とが配設されており、これらのエアレーション81と活水器82によって養液タンク73に溜められた養液3が常に活水化処理されるようになっている。また、このように養液3を循環させることにより、水と原液とを均一に混ぜ合わせることができる。
【0046】
養液タンク73に溜められた養液3は、養液供給ポンプ74によって加圧された後、複数本(本実施形態では3本)の養液供給路74a〜74cに分配されて、前記育苗室9内に設けられた噴霧器91と、前記肥料タンク75と、前述した循環路76とに供給される。
【0047】
前記噴霧器92は、育苗室9内の湿度を90〜100%に調整するように当該育苗室9内に養液3を噴霧するものである。また、育苗室9には、噴霧器91の他に空調機92が設けられていて、室内の温度が18〜25℃に、より好ましくは19.5〜20.5℃に保たれるようになっている。
【0048】
前記循環路76は、各ベッド2に設けられた供給パイプ21と排出パイプ22に接続されていて、閉ループとなっている。この循環路76には、循環ポンプ77が配設されており、前述したように排出パイプ22から排出された養液3が循環ポンプ77によって汲み上げられ、再び供給パイプ21からベッド2に供給される。
【0049】
また、循環路76には、その一部が分岐されて分岐路78が形成されている。この分岐路78にもエアレーション81及び活水器82が配設されていて、循環する養液3の一部が水処理された後に、処理液供給パイプ24(図2では省略)からベッド2に供給されるようになっている。
【0050】
前記肥料タンク75に養液3を供給する養液供給路74bの途中には、手動弁75bが配設されている。そして、この手動弁75bを開くことにより、必要な量だけ養液3が肥料タンク75に溜められる。
【0051】
前記肥料タンク75では、当該肥料タンク75に溜められた養液3に、植物の成長に必要な栄養分(例えば、窒素、リン酸、カリなど)が所定量だけ加えられて、高濃度の栄養液が生成される。この栄養液の生成は、手作業で行われる。肥料タンク75には、肥料供給ポンプ75aが接続されているとともに、ベッド2には、養液3中の栄養分の濃度を検出する濃度検出センサ23が設けられていて、濃度検出センサ23が検出する濃度が設定値の下限値を下回ったときには、肥料供給ポンプ75aが自動で稼働し、栄養液が循環路76に送り込まれる。すなわち、養液供給路74cから循環路76を介してベッド2に養液が供給される途中で、当該養液3に植物の成長に必要な栄養分が加えられることになる。そして、栄養分の濃度が設定値の上限値に至るまで栄養液が自動的に供給される。なお、肥料タンク75に栄養液がなくなったときには、再度手動弁75bを開いて肥料タンク75に養液3を供給して栄養液を生成する。
【0052】
次に、このように構成された水耕栽培装置を用いて水耕栽培する方法を説明する。
【0053】
まず、各育苗ポット6Aに装填された培地68に植物の種子を播種し、これらの育苗ポット6Aを育苗室9内に格納する。このとき、育苗室9内では、図10に示すように、育苗ポット6Aを育苗フロート体4Aまたはパネル部材5で保持されるときの配列よりも密な配列で格納する。この実施の形態では、育苗ポット6Aを育苗フロート体4Aに保持させたときには、ベッド2の長手方向では隣り合う育苗ポット6A同士の間に所定の隙間が形成されるのに対し、育苗室9内では、育苗ポット6A同士を隙間なくまたはそれらが僅かに離間するように敷き詰めて、前記のように密な配列で格納するようにする。
【0054】
そして、育苗室9内の温度を空調機92によって18〜25℃に保った状態で、育苗室9内の湿度を90〜100%に調整するように噴霧器91で養液3を噴霧しながら前記種子を発根及び発芽させる。
【0055】
種子を発根及び発芽させた後には、育苗フロート体4Aをベッド2に浮かべ、この育苗フロート体4Aに育苗ポット6Aを保持させる。
【0056】
植物が果菜類や結球性野菜である場合には、育苗フロート体4Aで苗をある程度成長させた後に、栽培フロート体4Bをベッド2に浮かべ、育苗ポット6Aを育苗フロート体4Aから栽培フロート体4Bに移し変える。一方、植物が非結球性野菜である場合には、ベッド2にパネル部材5を取り付け、育苗ポット6Aを育苗フロート体4Aからパネル部材5に移し変える。そして、栽培フロート体4Bまたはパネル部材5にて苗を最終成長させる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る水耕栽培装置を用いた水耕栽培方法によれば、種子が発根及び発芽するまでの植物が場所をとならい段階では、育苗ポット6Aを育苗フロート体4Aまたはパネル部材5で保持されるときの配列よりも密な配列で格納することにより、育苗室9内の空間を有効に活用して多くの種子の発根及び発芽を行わせることができる。さらに、育苗室9内では、種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分が含む養液3を噴霧することにより、発根及び発芽段階にある苗に養液3を有効に供給することができる。
【0058】
また、種子を発根及び発芽させる際には、育苗室9内の温度を18〜25℃に保ち、湿度を90〜100%に調整するように養液3を噴霧しているので、育苗室9内を種子の発根及び発芽に最適な環境とすることができる。しかも、養液3で湿度を調整することにより、種子をより積極的に発根及び発芽させることができる。
【0059】
さらには、養液3を育苗室9内で噴霧する前に、養液タンク73にて当該養液3をエアレーションと活水器とで水処理しているので、種子をより効果的に発根及び発芽させることができる。そして、本実施形態に係る方法によれば、通常1日半から2日程度と短期間で種子を発根及び発芽させることができる。
【0060】
そして、種子を発根及び発芽させた後に育苗ポット6Aをベッド2に移すことにより、当該ベッド2の略全面を利用して育苗することができ、ベッド2の無駄なスペースを省いて生産効率を向上させることができる。
【0061】
さらに、ベッド2に養液3を供給する途中では、肥料供給ポンプ75aによって自動的に当該養液3に植物の成長に必要な栄養分が加えられるようになっているので、成長段階にある苗に効率的に栄養分を供給することができる。
【0062】
また、果菜類や結球性野菜を栽培する場合には、植物の成長に合わせて幅寸法の異なる2種類のフロート体4A,4Bを使い分けることにより、ベッド2をさらに有効に活用してより多くの苗を育苗することが可能となり、生産効率をさらに向上させることができる。
【0063】
なお、前記実施形態では、平面視で略正方形状の育苗ポット6Aを用いた形態を示したが、育苗フロート体4A及び栽培フロート体4Bを使用して果菜類や結球性野菜を栽培する場合には、図11に示す、平面視で略長方形状の育苗ポット6Bを用いてもよい。この育苗ポット6Bは、育苗フロート体4A及び栽培フロート体4Bの挿入口41の大きさに合わせて育苗ポット6Aを一方向に延ばしたものであり、挿入口41に1つだけ嵌り込むようになっている。この育苗ポット6Bを育苗室9内に配置するには、図12に示すように、その長手長方向と直交する方向で、当接または近接するように並べればよい。
【0064】
また、育苗ポットとしては、図6で示した育苗ポット6Aや図11で示した育苗ポット6Bに限らず、種々の形状のものが採用可能である。例えば、側面視で台形状のものであってもよいし、平面視で円形状のものであってもよい。そして、育苗ポットの形状に合わせて、パネル部材5の挿入口51及びフロート体4A,4Bの挿入口41の形状も適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る水耕栽培装置のハウスの正面図である。
【図2】図1に示すハウス内に設置されるベッドの側面図である。
【図3】図2に示すベッドにパネル部材を取り付けたときの斜視図である。
【図4】図2に示すベッドにフロート体を浮かべたときの斜視図である。
【図5】(a)は育苗フロート体の平面図、(b)栽培フロート体の平面図である。
【図6】育苗ポットを示す図であり、(a)は平面図、(b)は一部断面側面図である。
【図7】育苗ポットをパネル部材に保持させたときの断面側面図である。
【図8】育苗ポットを育苗フロート体(栽培フロート体)に保持させたときの断面側面図である。
【図9】水耕栽培装置の配管系統図である。
【図10】育苗室に育苗ポットを配置したときの平面図である。
【図11】変形例の育苗ポットを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図12】育苗室に変形例の育苗ポットを配置したときの平面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ハウス
2 ベッド(栽培槽)
3 養液
4A 育苗フロート体(保持部材)
4B 栽培フロート体(保持部材)
5 パネル部材(保持部材)
6A,6B 育苗ポット
73 養液タンク
74 養液供給ポンプ
74a,74b,74c 養液供給路
75 肥料タンク
76 循環路
81 エアレーション
82 活水器
9 育苗室
91 噴霧器
92 空調機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分を含む養液を用いて前記植物の水耕栽培を行う方法であって、
前記植物を支持する培地が装填される複数の育苗ポットのそれぞれの培地に前記植物の種子を播種するステップと、
これらの育苗ポットを育苗室内に格納してこの育苗室内で前記種子を発根及び発芽させるステップと、
その発根及び発芽後に、前記各育苗ポットをこれらの育苗ポットが少なくとも一方向について互いに所定間隔をおいて離間する配列で保持部材に保持させ、その配列状態で、前記養液が溜められた栽培槽に前記各育苗ポットを設置して前記養液に浸すことにより当該育苗ポット内で育苗を行うステップとを含み、
前記育苗室内には、前記各育苗ポットをこれらの育苗ポットが前記保持部材により保持されるときの配列よりも密な配列で格納し、この育苗室内に前記養液を噴霧することにより前記種子を発根及び発芽させることを特徴とする水耕栽培方法。
【請求項2】
前記種子を発根及び発芽させる際には、前記育苗室内の温度を18〜25℃に保ち、かつ、この育苗室内の湿度を90〜100%に調整するように当該育苗室内に前記養液を噴霧することを特徴とする請求項1に記載の水耕栽培方法。
【請求項3】
前記栽培槽に前記養液を供給する途中で、当該養液に植物の成長に必要な栄養分を加えることを特徴とする請求項1または2に記載の水耕栽培方法。
【請求項4】
前記保持部材は、前記栽培槽に溜められた養液に並んで浮かぶ複数のフロート体であって、このフロート体として、その並び方向の幅寸法が異なる2種類のフロート体を用い、
前記育苗ポット内で育苗を行うステップでは、前記種子を発根及び発芽させた直後は前記育苗ポットを幅寸法の小さなフロート体に保持させ、植物の成長に合わせて前記育苗ポットを幅寸法の小さなフロート体から幅寸法の大きなフロート体に移し変えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水耕栽培方法。
【請求項5】
前記養液を前記育苗室内で噴霧する前に、当該養液をエアレーションと活水器とで水処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水耕栽培方法。
【請求項6】
種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分を含む養液が溜められる栽培槽と、植物を支持する培地が装填される複数の育苗ポットと、これらの育苗ポットを少なくとも一方向について互いに所定間隔をおいて離間する配列で、かつ、前記栽培槽に溜められた養液に一部が浸された状態で保持する保持部材とを備えた水耕栽培装置において、
養液を溜める養液タンクと、前記育苗ポットが前記保持部材で保持されるときの配列よりも密な配列で格納される育苗室と、この育苗室内に養液を噴霧する噴霧器と、前記養液タンクに溜められた養液を前記噴霧器と前記栽培槽とに供給する養液供給手段とをさらに備えることを特徴とする水耕栽培装置。
【請求項7】
前記育苗室には、当該育苗室内の温度を18〜25℃に保つ空調機が設けられており、前記噴霧器は、前記育苗室内の湿度を90〜100%に調整するように前記養液を噴霧するものであることを特徴とする請求項6に記載の水耕栽培装置。
【請求項8】
前記養液を溜めて、植物の成長に必要な栄養分を加えるための肥料タンクと、この肥料タンクで栄養分が加えられた栄養液を前記栽培槽に供給するための肥料供給手段とをさらに備え、前記養液供給手段は、前記肥料供給タンクにも前記養液を供給するように構成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の水耕栽培装置。
【請求項9】
前記保持部材は、前記栽培槽に溜められた養液に並んで浮かぶ複数のフロート体であって、このフロート体として、その並び方向の幅寸法が異なる2種類のフロート体が用いられていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の水耕栽培装置。
【請求項10】
前記養液タンクには、当該養液タンクに溜められた養液を循環させる循環路であって、途中にエアレーションと活水器とが配設された循環路が設けられていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の水耕栽培装置。
【請求項1】
植物の種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分を含む養液を用いて前記植物の水耕栽培を行う方法であって、
前記植物を支持する培地が装填される複数の育苗ポットのそれぞれの培地に前記植物の種子を播種するステップと、
これらの育苗ポットを育苗室内に格納してこの育苗室内で前記種子を発根及び発芽させるステップと、
その発根及び発芽後に、前記各育苗ポットをこれらの育苗ポットが少なくとも一方向について互いに所定間隔をおいて離間する配列で保持部材に保持させ、その配列状態で、前記養液が溜められた栽培槽に前記各育苗ポットを設置して前記養液に浸すことにより当該育苗ポット内で育苗を行うステップとを含み、
前記育苗室内には、前記各育苗ポットをこれらの育苗ポットが前記保持部材により保持されるときの配列よりも密な配列で格納し、この育苗室内に前記養液を噴霧することにより前記種子を発根及び発芽させることを特徴とする水耕栽培方法。
【請求項2】
前記種子を発根及び発芽させる際には、前記育苗室内の温度を18〜25℃に保ち、かつ、この育苗室内の湿度を90〜100%に調整するように当該育苗室内に前記養液を噴霧することを特徴とする請求項1に記載の水耕栽培方法。
【請求項3】
前記栽培槽に前記養液を供給する途中で、当該養液に植物の成長に必要な栄養分を加えることを特徴とする請求項1または2に記載の水耕栽培方法。
【請求項4】
前記保持部材は、前記栽培槽に溜められた養液に並んで浮かぶ複数のフロート体であって、このフロート体として、その並び方向の幅寸法が異なる2種類のフロート体を用い、
前記育苗ポット内で育苗を行うステップでは、前記種子を発根及び発芽させた直後は前記育苗ポットを幅寸法の小さなフロート体に保持させ、植物の成長に合わせて前記育苗ポットを幅寸法の小さなフロート体から幅寸法の大きなフロート体に移し変えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水耕栽培方法。
【請求項5】
前記養液を前記育苗室内で噴霧する前に、当該養液をエアレーションと活水器とで水処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水耕栽培方法。
【請求項6】
種子の発根及び発芽から苗の最終成長まで共通して必要となる成分を含む養液が溜められる栽培槽と、植物を支持する培地が装填される複数の育苗ポットと、これらの育苗ポットを少なくとも一方向について互いに所定間隔をおいて離間する配列で、かつ、前記栽培槽に溜められた養液に一部が浸された状態で保持する保持部材とを備えた水耕栽培装置において、
養液を溜める養液タンクと、前記育苗ポットが前記保持部材で保持されるときの配列よりも密な配列で格納される育苗室と、この育苗室内に養液を噴霧する噴霧器と、前記養液タンクに溜められた養液を前記噴霧器と前記栽培槽とに供給する養液供給手段とをさらに備えることを特徴とする水耕栽培装置。
【請求項7】
前記育苗室には、当該育苗室内の温度を18〜25℃に保つ空調機が設けられており、前記噴霧器は、前記育苗室内の湿度を90〜100%に調整するように前記養液を噴霧するものであることを特徴とする請求項6に記載の水耕栽培装置。
【請求項8】
前記養液を溜めて、植物の成長に必要な栄養分を加えるための肥料タンクと、この肥料タンクで栄養分が加えられた栄養液を前記栽培槽に供給するための肥料供給手段とをさらに備え、前記養液供給手段は、前記肥料供給タンクにも前記養液を供給するように構成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の水耕栽培装置。
【請求項9】
前記保持部材は、前記栽培槽に溜められた養液に並んで浮かぶ複数のフロート体であって、このフロート体として、その並び方向の幅寸法が異なる2種類のフロート体が用いられていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の水耕栽培装置。
【請求項10】
前記養液タンクには、当該養液タンクに溜められた養液を循環させる循環路であって、途中にエアレーションと活水器とが配設された循環路が設けられていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の水耕栽培装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−82414(P2007−82414A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271850(P2005−271850)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(595053375)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(595053375)
【Fターム(参考)】
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