説明

水質センサー、排水処理装置、排水処理システム

【課題】 水質に関する情報である水質情報の取得や利用を簡便に行うことができる技術を提供する。
【解決手段】 受光強度が閾値よりも大きいという閾値条件が成立するか否かのN個の判定の結果に基づいて、水質情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質センサー、排水処理装置、排水処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水質の測定に、水質センサーが利用されている。水質センサーとしては、例えば、濁度センサーやpHセンサーなどが知られている。このような水質センサーは、例えば、河川、湖沼、海洋における水質の測定や、生活排水や産業排水等の排水を処理する排水処理装置(例えば、浄化槽)における水質の測定に利用されている。また、水質センサーから得られた信号を処理する様々な信号処理装置(例えば、データロガー)も利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−49250号公報
【特許文献2】特開2009−80072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な水質センサーは、高い分解能での測定が要求される場合を想定して作られており、高性能な部品を用いて構成されている場合が多い。高性能な部品としては、例えば、広い入力範囲に亘って良好な線形性を示す検出素子(例えば、光センサー)や、広い入力範囲に亘って歪みの小さい信号処理回路(例えば、検出素子からの出力信号を増幅するアンプ)が挙げられる。その結果、水質センサーのコストが高くなる場合が多かった。また、水質測定が行われる場合としては、精密な(分解能の高い)測定結果が要求される場合に限らず、おおよその水質が特定できればよい場合もある(例えば、排水処理装置のおおよその処理状態を確認する場合)。この場合、水質センサーの性能が過剰であった。また、測定結果を表す出力信号(例えば、水質センサーからのアナログ出力信号)を処理するために、高い分解能での信号処理が可能な信号処理装置(例えば、アナログデジタル(AD)コンバーターやアナログ信号ロガー)が要求される場合があった。そのような信号処理装置の性能が過剰な場合もあり、また、そのような信号処理装置の利用に起因してコストが高くなる場合もあった。
【0005】
本発明の主な利点は、水質に関する情報である水質情報の取得や利用を簡便に行うことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は態様として実現することが可能である。
【0007】
[態様1]
測定対象水の水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサーであって、
発光して前記測定対象水に光を照射する発光素子と、
前記測定対象水を介して前記発光素子からの前記光を受けて、前記受けた光の強度である受光強度を検出する受光素子と、
予め決定された閾値よりも前記受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かを判定する判定部と、
前記発光素子の発光強度を、N段階(Nは2以上の整数)に変化させる発光制御部と、
前記N段階の発光強度のそれぞれの光が前記測定対象水に照射されることによって得られるN個の前記判定の結果に基づいて、前記水質情報を出力する水質情報出力部と、
を備える水質センサー。
この構成によれば、N段階の発光強度を利用して得られるN個の判定の結果に基づいて水質情報が出力されるので、高分解能な測定を行う場合と比べて、簡便に水質情報を取得できる。
【0008】
[態様2]
測定対象水の水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサーであって、
発光して前記測定対象水に光を照射する発光素子と、
前記測定対象水を介して前記発光素子からの前記光を受けて、前記受けた光の強度である受光強度を検出するN個(Nは2以上の整数)の受光素子と、
前記受光素子に予め対応付けられた閾値よりも前記受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かの判定を、前記N個の受光素子のそれぞれについて実行する判定部と、
前記N個の受光素子を用いて得られるN個の前記判定の結果に基づいて、前記水質情報を出力する水質情報出力部と、
を備え、
前記発光素子と前記受光素子との間の距離が、前記N個の受光素子の間で互いに異なるように、前記N個の受光素子が配置されている、
水質センサー。
この構成によれば、発光素子までの距離が互いに異なるN個の受光素子を利用して得られるN個の判定の結果に基づいて水質情報が出力されるので、高分解能な測定を行う場合と比べて、簡便に水質情報を取得できる。
【0009】
[態様3]
態様2に記載の水質センサーであって、さらに、
前記発光素子と前記受光素子との間の前記距離が長いほど、前記閾値が大きくなるように、前記N個の受光素子のそれぞれの前記閾値を設定する閾値設定部を備える、
水質センサー。
この構成によれば、距離が長いほど閾値が大きいので、N個の判定によってカバーされる水質のレンジを広げることができる。
【0010】
[態様4]
測定対象水の水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサーであって、
発光して前記測定対象水に光を照射する発光素子と、前記測定対象水を介して前記発光素子からの前記光を受けて前記受けた光の強度である受光強度を検出する受光素子とのN組(Nは2以上の整数)のペアと、
前記受光素子に予め対応付けられた閾値よりも前記受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かの判定を、前記N個の受光素子のそれぞれについて実行する判定部と、
前記発光素子の発光強度が前記N個の発光素子の間で互いに異なるように、前記N個の発光素子のそれぞれの発光強度を設定する発光制御部と、
前記N組のペアを用いて得られるN個の前記判定の結果に基づいて、前記水質情報を出力する水質情報出力部と、
を備える水質センサー。
この構成によれば、発光強度が互いに異なるN組のペアを用いて得られるN個の判定の結果に基づいて水質情報が出力されるので、高分解能な測定を行う場合と比べて、簡便に水質情報を取得できる。
【0011】
[態様5]
測定対象水の水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサーであって、
発光して前記測定対象水に光を照射する発光素子と、前記測定対象水を介して前記発光素子からの前記光を受けて前記受けた光の強度である受光強度を検出する受光素子とのN組(Nは2以上の整数)のペアと、
前記受光素子に対応付けられた閾値よりも前記受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かの判定を、前記N個の受光素子のそれぞれについて実行する判定部と、
前記閾値が前記N個の受光素子の間で互いに異なるように、前記N個の受光素子のそれぞれの前記閾値を設定する閾値設定部と、
前記N組のペアを用いて得られるN個の前記判定の結果に基づいて、前記水質情報を出力する水質情報出力部と、
を備える水質センサー。
この構成によれば、閾値が互いに異なるN組のペアを用いて得られるN個の判定の結果に基づいて水質情報が出力されるので、高分解能な測定を行う場合と比べて、簡便に水質情報を取得できる。
【0012】
[態様6]
測定対象水の水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサーであって、
発光して前記測定対象水に光を照射するN個(Nは2以上の整数)の発光素子と、
前記測定対象水を介して前記発光素子からの前記光を受けて、前記受けた光の強度である受光強度を検出する受光素子と、
予め決定された閾値よりも前記受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かを判定する判定部と、
前記発光素子の発光強度が前記N個の発光素子の間で互いに異なるように、前記N個の発光素子のそれぞれの発光強度を設定する発光制御部と、
前記N個の発光素子のそれぞれを用いて得られるN個の前記判定の結果に基づいて、前記水質情報を出力する水質情報出力部と、
を備える水質センサー。
この構成によれば、発光強度が互いに異なるN個の発光素子のそれぞれを用いて得られるN個の判定の結果に基づいて水質情報が出力されるので、高分解能な測定を行う場合と比べて、簡便に水質情報を取得できる。
【0013】
[態様7]
測定対象水の水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサーであって、
発光して前記測定対象水に光を照射するN個(Nは2以上の整数)の発光素子と、
前記測定対象水を介して前記発光素子からの前記光を受けて、前記受けた光の強度である受光強度を検出する受光素子と、
予め決定された閾値よりも前記受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かを判定する判定部と、
前記N個の発光素子を用いて得られるN個の前記判定の結果に基づいて、前記水質情報を出力する水質情報出力部と、
を備え、
前記発光素子と前記受光素子との間の距離が、前記N個の発光素子の間で互いに異なるように、前記N個の発光素子が配置されている、
水質センサー。
この構成によれば、受光素子までの距離が互いに異なるN個の発光素子を用いて得られるN個の判定の結果に基づいて水質情報が出力されるので、高分解能な測定を行う場合と比べて、簡便に水質情報を取得できる。
【0014】
[態様8]
態様7に記載の水質センサーであって、さらに、
前記発光素子と前記受光素子との間の前記距離が長いほど、前記発光素子の前記発光強度が小さくなるように、前記N個の発光素子のそれぞれの発光強度を設定する発光制御部を備える、
水質センサー。
この構成によれば、距離が長いほど発光強度が小さいので、N個の判定によってカバーされる水質のレンジを広げることができる。
【0015】
[態様9]
測定対象水の水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサーであって、
発光して前記測定対象水に光を照射する発光素子と、
前記測定対象水を介して前記発光素子からの前記光を受けて、前記受けた光の強度である受光強度を検出するN個(Nは2以上の整数)の受光素子と、
前記受光素子に予め対応付けられた閾値よりも前記受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かの判定を、前記N個の受光素子のそれぞれについて実行する判定部と、
前記閾値が前記N個の受光素子の間で互いに異なるように、前記N個の受光素子のそれぞれの前記閾値を設定する閾値設定部と、
前記N個の受光素子を用いて得られるN個の前記判定の結果に基づいて、前記水質情報を出力する水質情報出力部と、
を備える水質センサー。
この構成によれば、閾値が互いに異なるN個の受光素子を用いて得られるN個の判定の結果に基づいて水質情報が出力されるので、高分解能な測定を行う場合と比べて、簡便に水質情報を取得できる。
【0016】
[態様10]
測定対象水の水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサーであって、
発光して前記測定対象水に光を照射する発光素子と、前記測定対象水を介して前記発光素子からの前記光を受けて前記受けた光の強度である受光強度を検出する受光素子とのN組(Nは2以上の整数)のペアと、
前記受光素子に予め対応付けられた閾値よりも前記受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かの判定を、前記N個の受光素子のそれぞれについて実行する判定部と、
前記N組のペアを用いて得られるN個の前記判定の結果に基づいて、前記水質情報を出力する水質情報出力部と、
を備え、
前記発光素子と前記受光素子との間の距離が、前記N組のペアの間で互いに異なるように、前記N組のそれぞれのペアの前記発光素子と前記受光素子とが配置されている、
水質センサー。
この構成によれば、発光素子と受光素子との間の距離が互いに異なるN組のペアを用いて得られるN個の判定の結果に基づいて水質情報が出力されるので、高分解能な測定を行う場合と比べて、簡便に水質情報を取得できる。
【0017】
[態様11]
態様10に記載の水質センサーであって、さらに、
前記発光素子と前記受光素子との間の前記距離が長いほど、前記発光素子の前記発光強度が小さくなるように、前記N個の発光素子のそれぞれの発光強度を設定する発光制御部を備える、
水質センサー。
この構成によれば、距離が長いほど発光強度が小さいので、N個の判定によってカバーされる水質のレンジを広げることができる。
【0018】
[態様12]
態様10または態様11に記載の水質センサーであって、さらに、
前記発光素子と前記受光素子との間の前記距離が長いほど、前記閾値が大きくなるように、前記N個の受光素子のそれぞれの前記閾値を設定する閾値設定部を備える、
水質センサー。
この構成によれば、距離が長いほど閾値が大きいので、N個の判定によってカバーされる水質のレンジを広げることができる。
【0019】
[態様13]
測定対象水の水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサーであって、
発光して前記測定対象水に光を照射する発光素子と、
前記測定対象水を介して前記発光素子からの前記光を受けて、前記受けた光の強度である受光強度を検出する受光素子と、
閾値よりも前記受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かを判定する判定部と、
前記閾値を、N段階(Nは2以上の整数)に変化させる閾値設定部と、
前記N段階の閾値のそれぞれを利用することによって得られるN個の前記判定の結果に基づいて、前記水質情報を出力する水質情報出力部と、
を備える、水質センサー。
この構成によれば、N段階の閾値のそれぞれを利用することによって得られるN個の判定の結果に基づいて水質情報が出力されるので、高分解能な測定を行う場合と比べて、簡便に水質情報を取得できる。
【0020】
[態様14]
測定対象水の水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサーであって、
発光して前記測定対象水に光を照射する発光素子と、
前記測定対象水を介して前記発光素子からの前記光を受けて、前記受けた光の強度である受光強度を検出する受光素子と、
予め決定された閾値よりも前記受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かを判定する判定部と、
前記N個(Nは1)の判定の結果に基づいて、前記水質情報を出力する水質情報出力部と、
を備える水質センサー。
この構成によれば、予め決定された閾値よりも受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かの判定の結果に基づいて水質情報が出力されるので、高分解能な測定を行う場合と比べて、簡便に水質情報を取得できる。
【0021】
[態様15]
態様1ないし態様14のいずれかに記載の水質センサーであって、
前記水質情報出力部は、前記前記水質情報として前記N個の判定の結果をそれぞれ表すN個の二値情報を出力する二値情報出力部を含む、
水質センサー。
この構成によれば、二値情報を処理可能な処理装置を利用して水質情報を処理できるので、簡便に水質情報を利用することができる。
【0022】
[態様16]
態様1ないし態様15のいずれかに記載の水質センサーであって、
前記水質情報出力部は、前記水質情報のユーザに対する報知を、前記水質情報の前記出力として実行する報知部を含み、
前記報知部は、前記N個の判定の結果に基づいて決まる情報であって、N+1段階で前記水質を表す情報を、前記水質情報として前記ユーザに報知する、
水質センサー。
この構成によれば、ユーザは、報知された水質情報によって、N+1段階で表された水質を容易に確認できるので、水質情報を簡便に利用することができる。
【0023】
[態様17]
排水処理装置であって、
排水の浄化処理を行う水処理部と、
態様1ないし態様16のいずれかに記載の水質センサーであって、前記発光素子と前記受光素子とが、前記水処理部における水質情報の取得の対象となる水の流れる部分に配置された水質センサーと、
を備える、排水処理装置。
この構成によれば、水処理部における対象の水の水質に関する水質情報を簡便に取得することができる。
【0024】
[態様18]
排水処理システムであって、
互いに離れて設置されたM基(Mは2以上の整数)の排水処理装置と、
前記M基の排水処理装置のそれぞれを管理するための管理装置と、
を備え、
前記M基の排水処理装置のそれぞれは、
前記排水の浄化処理を行う水処理部と、
態様15に記載の水質センサーであって、前記発光素子と前記受光素子とが、前記水処理部における水質情報の取得の対象となる水の流れる部分に配置された水質センサーと、
前記二値情報出力部によって出力された前記N個の二値情報を表すデータを前記管理装置に送信する送信部と、
を備え、
前記管理装置は、
前記M基の排水処理装置のそれぞれの前記送信部によって送信された前記N個の二値情報を表すデータを受信する受信部と、
前記受信したデータを処理するデータ処理部と、
を備える、排水処理システム。
この構成によれば、複数(M基)の排水処理装置における水質に関する水質情報を簡便に取得することができる。また、管理装置は、水質情報としてN個の二値情報を受信するので、水質情報が高い分解能で表される場合と比べて、管理装置に要求される処理能力を高くせずに済む。その結果、簡便に水質情報を利用することができる。
【0025】
[態様19]
態様18に記載の排水処理システムであって、
前記データ処理部は、前記受信したデータによって表される前記N個の二値情報に基づいて決まる情報であってN+1段階で前記水質を表す情報を、ユーザに報知する、
排水処理システム。
この構成によれば、ユーザは、報知された水質情報によって、N+1段階で表された水質を容易に確認できるので、排水処理装置の数が多い場合であっても、それぞれの排水処理装置における水質を簡便に把握することができる。
【0026】
[態様20]
態様18または態様19に記載の排水処理システムであって、
前記管理装置は、さらに、データを記録する記録部を備え、
前記データ処理部は、前記受信したデータによって表される前記二値情報の履歴を前記記録部に記録する、
排水処理システム。
この構成によれば、水質の変化の履歴を利用した排水処理装置の管理を簡便に行うことができる。
【0027】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサー、水質に関する情報である水質情報を取得する方法、その水質センサーを有する排水処理装置、複数の排水処理装置と管理装置とを有する排水処理システム、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例としての水質センサーを示す説明図である。
【図2】水質センサー300の構成を示すブロック図である。
【図3】3つの判定結果と水質との関係を示す表である。
【図4】水質に応じた表示パネル280の状態を示す説明図である。
【図5】水質センサー300を有する排水処理装置の一例を示す説明図である。
【図6】沈殿槽816におけるセンサーユニット100の配置を示す説明図である。
【図7】水質情報の取得を示すタイミングチャートである。
【図8】排水処理装置900(図5、図6)を利用した広域水質管理システム1100の説明図である。
【図9】水質センサーの別の実施例を示す説明図である。
【図10】図3と同様の3つの判定結果と水質との関係を示す表である。
【図11】水質情報の取得を示すタイミングチャートである。
【図12】水質センサーの別の実施例を示す説明図である。
【図13】水質センサーの別の実施例を示す説明図である。
【図14】図10と同様の3つの判定結果と水質との関係を示す表である。
【図15】水質センサーの別の実施例を示す説明図である。
【図16】水質センサーの別の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、この発明の実施の形態を第1〜第7実施例と変形例とに基づいて説明する。
【0030】
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としての水質センサーを示す説明図である。水質センサー300は、水質に関する情報(以下「水質情報」と呼ぶ)を取得するセンサーである。水質センサー300は、棒状のセンサーユニット100と、センサーユニット100の一端にケーブル12を介して接続された制御部200とを有している。センサーユニット100の他端には、凹部120が形成されている。凹部120の内面は、第1壁122と、第1壁122と対向する第2壁124とを有している。これらの壁122、124は、センサーユニット100の側面まで延びていて、凹部120は、センサーユニット100の側面から見て貫通している。第1壁122には発光素子130が設けられ、第2壁124における発光素子130と対向する位置には、受光素子140が設けられている。一方、制御部200は、端子パネル260と、表示パネル280とを有している。端子パネル260には、3組の端子対261〜263が設けられている。表示パネル280には、3つのランプ281〜283(例えば、発光ダイオード)が設けられている。
【0031】
図2は、水質センサー300の構成を示すブロック図である。測定対象水10の水質情報を取得するために、センサーユニット100(特に凹部120)は、測定対象水10に浸漬される。これにより、凹部120には、測定対象水10が導入される。この状態で、発光素子130が発光する。発光素子130からの光は、測定対象水10を通って減衰し、そして、減衰した光が受光素子140に入射する。光の減衰の原因としては、測定対象水10による光の吸収や散乱等がある。測定対象水10には、水質低下の原因となる種々の成分が含まれ得る(例えば、有機物、窒素化合物(アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素等)、リン化合物等)。そのような成分の濃度が高いほど、光の減衰は強くなる。従って、発光素子130から発せられる光の強度(以下「発光強度EI」と呼ぶ)に対して、受光素子140が受ける光の強度(以下「受光強度RI」と呼ぶ)が小さいほど、水質が悪いということができる(換言すれば、測定対象水10の透過率が高いほど、水質が良いということができる)。なお、光の強度としては、単位時間、単位面積当たりのエネルギー量(例えば、W/cm)を採用すればよい。
【0032】
減衰の強さ(透過率)は、光の波長に依存して変化し得る。そして、その波長依存性は、測定対象水10に含まれる成分に応じて、異なる。例えば、測定対象水10に硝酸イオンが含まれている場合には、硝酸イオンの濃度が高いほど、紫外光(例えば、波長が220nmの光)が吸収され、減衰が強い(透過率が低い)ことが知られている。また、測定対象水10に含まれるSS(浮遊物質)や有機物に起因するBOD(生物化学的酸素要求量)が高いほど、近赤外光(例えば、波長が700〜1000nmの光)の減衰が強いことが知られている。本実施例では、発光素子130として、近赤外光を発光する発光ダイオードを採用し、受光素子140として、近赤外光の強度を検出可能なフォトダイオードを採用している。これにより、測定対象水10のBODに関する水質情報(光の減衰の強さ)を取得することができる。
【0033】
水質情報によって表される水質の項目としては、BOD、硝酸イオン濃度に限らず、濁度、透視度、SS(浮遊物質)の量、などの種々の項目を採用可能である。そして、減衰の強さの検出に利用される光の波長は、水質の項目に応じて、予め実験的に決定すればよい。いずれの場合も、水質の項目に適した波長の光を利用するための構成としては、種々の構成を採用可能である。例えば、適した波長の光を選択的に発光する発光素子を利用してもよく、適した波長の光の強度を選択的に検出する受光素子を利用してもよく、発光素子と受光素子との間に、適した波長の光を選択的に透過するフィルタを配置してもよい。また、発光素子としては、発光ダイオードに限らず、種々の発光素子(例えば、放電ランプ)を採用可能である。受光素子としては、フォトダイオードに限らず、受けた光の強度を検出可能な種々の受光素子(例えば、フォトレジスタやフォトトランジスタ)を採用可能である。
【0034】
制御部200は、発光制御部210と、判定部220と、水質情報出力部230と、端子パネル260と、表示パネル280と、操作パネル290と、を有している。本実施例では、制御部200の処理部210、220、230は、それぞれ、専用の電子回路を用いて構成されている。
【0035】
操作パネル290は、ユーザが操作するための図示しない操作手段(例えば、スイッチやボタン)を有している。制御部200の各要素210、220、230は、操作パネル290に入力されたユーザの指示に従って、種々の処理を実行する。
【0036】
発光制御部210は、発光素子130に電力を供給して発光素子130を発光させる電源回路である。また、発光制御部210は、発光素子130の発光強度EIを制御する。発光強度EIを制御するための構成としては、発光素子130に適した任意の構成を採用可能である。例えば、発光素子130を流れる電流に応じて発光強度EIが決まる場合には、電流を制御可能な電源回路を採用すればよい。
【0037】
判定部220は、受光素子140によって検出された受光強度RIが閾値よりも大きいという閾値条件が成立するか否かを判定する回路である。判定のための回路の構成としては、受光素子140に適した任意の構成を採用可能である。例えば、受光強度RIに応じて受光素子140を流れる電流が決まる場合には、受光素子140を流れる電流に応じた電圧を取得する回路と、その電圧と基準電圧(受光強度RIの閾値に相当する電圧)とを比較するコンパレーター回路とを採用可能である。受光強度RIに応じて受光素子140の抵抗値が決まる場合には、受光素子140の抵抗値に応じた電圧を取得する回路と、その電圧と基準電圧とを比較するコンパレーター回路とを採用可能である。
【0038】
なお、本実施例では、発光制御部210は、発光強度EIを、予め決定された第1レベルLV1(弱)、第2レベルLV2(中)、第3レベルLV3(強)の3段階に変化させる。そして、判定部220は、3段階の発光強度LV1、LV2、LV3のそれぞれに関して、予め決定された閾値を利用した判定を行う。すなわち、本実施例では、1回の水質情報の取得のために、3つの判定が行われる。
【0039】
図3は、3つの判定結果と水質との関係を示す表である。図中では、判定結果は、「○」と「×」とのいずれかで表されている。「○」は、閾値条件が成立したこと(受光強度RIが閾値より大きいこと)を示し、「×」は、閾値条件が成立しなかったこと(受光強度RIが閾値以下であること)を示している。本実施例では、同じ閾値が3つの判定に共通に用いられるので、測定対象水10の水質が良いほど、「○」の判定結果を得ることが可能な最小発光強度が小さくなる。従って、3つの判定結果は、4段階で水質の概略を表すことになる。具体的には、「○」の判定結果の総数(0〜3の4段階)が多いほど、水質が良い、ということができる。換言すれば、「○」の判定結果が得られた発光強度EIのうちの最も弱い発光強度が、4段階で水質を表している、と言うこともできる(図3では、2重線で示されている)。全ての判定結果が「×」である場合には、水質が最も悪いと評価される。また、「×」の判定結果が得られた発光強度EIのうちの最も強い発光強度が、4段階で水質を表している、と言うこともできる(図3では、3重線で示されている)。全ての判定結果が「○」である場合には、水質が最も良いと評価される。図3では、水質が、「良好」、「普通」、「要注意」、「悪い」の4段階に分類されている。
【0040】
なお、3段階の発光強度LV1、LV2、LV3は、4段階の水質の評価が、水質の基準値(例えば、BOD=20mg/L)よりも良い水質評価と、基準値よりも悪い水質評価とを含むように、予め実験的に決定すればよい。例えば、第1レベルLV1がBOD=10mg/Lに相当し、第2レベルLV2がBOD=20mg/Lに相当し、第3レベルLV3がBOD=40mg/Lに相当するように、各レベルLV1〜LV3を決定してもよい。この場合には、第3レベルLV3および第2レベルLV2での判定結果が「○」である場合には、水質がBODの基準値を満たしていると判断できる(なお、第3レベルLV3での判定結果を参照せずに、第2レベルLV2での判定結果が「○」である場合には、水質がBODの基準値を満たしていると判断してもよい)。第2レベルLV2での判定結果が「×」である場合には、水質がBODの基準値よりも低いと判断できる。
【0041】
制御部200(図2)の水質情報出力部230は、3つの判定結果に基づいて、水質情報を出力する回路である。本実施例では、水質情報出力部230は、二値情報出力部240と、報知部270と、を有している。
【0042】
二値情報出力部240は、3つのスイッチ251、252、253を有している。これらのスイッチ251、252、253のそれぞれは、いわゆる接点出力を形成する。二値情報出力部240は、3つ発光強度LV1、LV2、LV3の判定結果を表すように、3つのスイッチ251、252、253を、それぞれ制御する。本実施例では、スイッチのオン(接点のクローズ)が、閾値条件の成立を表す。ただし、スイッチのオフ(接点のオープン)が閾値条件の成立を表してもよい。スイッチ251、252、253は、端子対261、262、263に、それぞれ接続されている。二値情報出力部240は、端子対261、262、263を通じて、外部装置(例えば、データロガー)に、3つの判定結果を表す情報(接点のオープン/クローズ)を出力する。3つの接点出力によって出力される情報は、「水質情報」に相当する。
【0043】
報知部270には、3つのランプ281、282、283が接続されている。報知部270は、3つの発光強度LV1、LV2、LV3の判定結果を表すように、3つのランプ281、282、283のそれぞれの点灯状態を制御する。本実施例では、ランプ点灯が、閾値条件の成立を表す。ただし、ランプ消灯が、閾値条件の成立を表してもよい。
【0044】
図4は、水質に応じた表示パネル280の状態を示す説明図である。図中には、4段階の水質(「良好」、「普通」、「要注意」、「悪い」)のそれぞれに対応する表示パネル280の状態280A、280B、280C、280Dが示されている。図中のハッチングが付されたランプ281〜283は、「消灯」を示し、ハッチングの無いランプ281〜283は、「点灯」を示している。ユーザは、3つのランプ281〜283の点灯状態(例えば、点灯しているランプの総数)を観察するだけで、簡便に水質を確認することができる。特に、水質項目の値の細かい表示(例えば、アナログメータの目盛りや、桁数の多い数値)を読み取らずに済むので、水質の概要の確認が容易である。
【0045】
図5は、水質センサー300を有する排水処理装置の一例を示す説明図である。本実施例では、排水処理装置900は、水処理槽800と、水質センサー300(センサーユニット100と制御部200)と、制御部200に接続されたデータロガー400と、を有している。この排水処理装置900では、水質センサー300が常設されて、継続的に水質情報が取得される。
【0046】
水処理槽800は、一般家庭等からの排水の浄化処理を行う装置である(このような装置は「浄化槽」とも呼ばれる)。水処理槽800は、複数のステップを経て浄化処理を行うために、複数の水処理領域(「水処理機構」とも呼ぶ)を有している。図5の実施例では、水処理槽800は、上流(図5の左側)から順番に、夾雑物除去槽810、嫌気濾床槽812、接触曝気槽814、沈殿槽816、消毒槽818の各水処理領域を、収容している。水処理槽800に流入した排水は、夾雑物除去槽810、嫌気濾床槽812、接触曝気槽814、沈殿槽816、消毒槽818で順次処理された後に、水処理槽800の外部に放流される。以下、各水処理領域を流れる水を「被処理水」あるいは、単に「水」と呼ぶ。
【0047】
夾雑物除去槽810は、排水中の夾雑物を被処理水から分離する水処理領域である。流入口802からの排水は、まず、夾雑物除去槽810に流入する。夾雑物除去槽810は、流入バッフル(図示省略)等の固液分離手段を有しており、排水中の夾雑物を被処理水から分離する。夾雑物が分離(除去)されたあとの水は、嫌気濾床槽812に移流する。
【0048】
嫌気濾床槽812は、嫌気性微生物による嫌気処理を行う水処理領域である。嫌気濾床槽812は、嫌気性微生物が付着するための濾材(図示省略)を有している。嫌気処理によって、被処理水中の有機物が分解される。また、濾材は、被処理水中の浮遊物を捕捉し得る。嫌気濾床槽812で処理された水は、接触曝気槽814に移流する。
【0049】
接触曝気槽814は、好気性微生物による好気処理を行う水処理領域である。接触曝気槽814は、好気性微生物が付着するための接触材(図示省略)を有している。また、接触曝気槽814には、図示しないブロワー(送風機)によって、空気が供給される。好気性微生物は、空気に含まれる酸素を利用して、被処理水中の有機物を分解する。接触曝気槽814で処理された水は、沈殿槽816に移流する。なお、接触曝気槽814で処理された水の一部を、夾雑物除去槽810に移送(循環)してもよい。こうすれば、接触曝気槽814に存在する浮遊物質(例えば、汚泥)を、夾雑物除去槽810に移送することができる。
【0050】
沈殿槽816は、接触曝気槽814から移流した水を一時的に滞留させて、水中の浮遊物質を沈殿・分離する水処理領域である。沈殿槽816で処理された水は、消毒槽818に移流する。
【0051】
消毒槽818は、被処理水を消毒する水処理領域である。消毒槽818は、消毒剤(例えば、固形塩素剤)が充填された薬剤筒を有している(図示省略)。消毒槽818において、被処理水は消毒剤と接触し、消毒剤によって被処理水が消毒される。消毒された水は、流出口804を通じて、水処理槽800の外部へ放流される。
【0052】
本実施例では、沈殿槽816に、センサーユニット100が配置されている。また、制御部200には、データロガー400が接続されている。データロガー400は、沈殿槽816における被処理水の水質(すなわち、接触曝気槽814によって処理された後の水の水質)を記録する。
【0053】
図6は、沈殿槽816におけるセンサーユニット100の配置を示す説明図である。図中には、沈殿槽816と消毒槽818とが示されている。センサーユニット100は、沈殿槽816と他の水処理領域との間を仕切る仕切り板816aに、沈殿槽816の被処理水中に浸漬した状態で、固定されている。接触曝気槽814からの水は、仕切り板816aの下部に形成された開口(図示省略)を通じて、沈殿槽816に移流する。また、沈殿槽816の上部の下流側(図6の右側)には、消毒槽818が配置されている。沈殿槽816からの水は、消毒槽818の壁818aに形成された開口(図示省略)を通じて、消毒槽818に移流する。
【0054】
図6には、さらに、制御部200の構成の一部と、データロガー400の構成とが示されている。上述したように、制御部200の二値情報出力部240は、端子対261〜263を通じて、3つの判定結果を表す情報(接点のオープン/クローズ)を出力する。
【0055】
データロガー400は、データ処理部410と、記録装置420と、表示装置430と操作パネル440と、端子パネル460と、を有している。データ処理部410は、種々のデータ処理を行うコンピュータである。記録装置420は、データを記録する不揮発性の記録装置である(例えば、フラッシュメモリー等の半導体メモリーやハードディスクドライブ)。表示装置430は、情報を表示する装置である(本実施例では、液晶ディスプレイ)。操作パネル440は、ユーザが操作するための図示しない操作手段を有している。端子パネル460には、3組の端子対461〜463が設けられている。3つの端子対461〜463は、制御部200の3つの端子対261〜263に、それぞれ接続されている。
【0056】
データ処理部410は、操作パネル440に入力されたユーザの指示に従って、種々処理を実行する。例えば、データ処理部410は、端子対461〜463の状態(接点のオープン/クローズ)と、それらの状態を取得した日時とを表すデータを、継続的に記録装置420に記録する。そして、ユーザの指示に従って、データ処理部410は、記録装置420に記録されたデータを表示装置430に表示する。
【0057】
図7は、水質情報の取得を示すタイミングチャートである。図7の実施例では、水質センサー300(図2)は、1時間毎に水質情報を取得している。1回の取得においては、発光制御部210は、3つの発光強度LV1、LV2、LV3のそれぞれでの第1所定時間(例えば、5秒間)の発光を、第2所定時間(例えば、5秒)の間隔をあけて順番に行う。判定部220は、発光素子130が発光している状態での受光素子140の受光強度を取得することによって、3つの発光強度LV1、LV2、LV3のそれぞれに関する判定を行う。図中では、判定結果が「○」と「×」とのいずれかで表されている。「○」は、閾値条件の成立を示し、「×」は閾値条件の不成立を示している。図7の例では、17時の測定では、3つの判定結果の全てが「○」であるので、水質は「良好」である。18時の測定では、第3レベルLV3の判定のみが「○」であるので、水質は「要注意」である。19時の測定では、第2レベルLV2と第3レベルLV3との判定のみが「○」であるので、水質は「普通」である。
【0058】
データロガー400(図6)のデータ処理部410は、判定結果と日時(判定結果の履歴)を記録装置420に記録する。本実施例では、図7に示すように、水質情報の1回の取得で得られる3つの判定の間で、日時は10秒ずつ異なっている。また、データ処理部410は、ユーザの指示に従って、記録された判定結果(ユーザに指示された日時の判定結果)を表示装置430に表示する。表示の形式としては、任意の形式を採用可能である。例えば、図7のような、判定結果のタイミングチャートを採用してもよい。こうすれば、ユーザは、表示されたチャートを観察することによって、所望の日時での水質を簡便に確認することができる。
【0059】
以上のように、本実施例の水質センサー300は、以下の種々の利点を有する。水質センサー300が、3段階の発光強度を利用して得られる3つの判定結果に基づいて水質情報を出力するので、高い分解能で測定を行う場合(例えば、12ビットのADコンバーターを利用する場合)と比べて、簡便に水質情報を取得できる。また、本実施例では、高い分解能で水質を評価する代わりに、4段階で水質の概略を評価することとしている。従って、発光制御部210と、判定部220と、発光素子130と、受光素子140とに対する精度(性能)の要求を、高い分解能で水質を評価する場合と比べて、緩和することができる。その結果、水質センサー300の構成を簡素化することができ、簡便に水質情報を取得することができる。また、水質センサー300のコストを低減できる。また、図4に示すように、報知部270(図2)が、3つの判定結果のそれぞれを二値(点灯/消灯)で表示するので、報知部270の構成を簡素化することができる。ユーザは、3つの判定結果から、4段階で表された水質を容易に確認することができる。また、図2、図6に示すように、二値情報出力部240が、判定結果を表す二値情報を出力するので、二値情報を処理可能な簡素な処理装置(例えば、図6のデータロガー400)を利用して、水質情報を処理することができる。このように、水質センサー300やデータロガー400の構成を簡素化できるので、コストの低減が可能である。これらの結果、水処理槽800に水質センサー300を常設して、長期間に亘って水質をモニターし続けることを、安価に行うことができる。
【0060】
B.第2実施例:
図8は、排水処理装置900(図5、図6)を利用した広域水質管理システム1100の説明図である。広域水質管理システム1100は、互いに離れた3つの場所L1、L2、L3に設置された3つの排水処理装置900と、それらの排水処理装置900の水質情報を管理する管理装置1000と、を有している。図8の実施例では、各排水処理装置900に、通信端末500が追加されている。以下、制御部200とデータロガー400と通信端末500との全体を、「制御端末600」とも呼ぶ。
【0061】
管理装置1000は、データ処理部1010と、記録装置1020と、表示装置1030と、操作パネル1040と、通信端末1050と、を有している。データ処理部1010は、種々のデータ処理を行うコンピュータである。記録装置1020は、データを記録する不揮発性の記録装置である(本実施例では、ハードディスクドライブ)。表示装置1030は、情報を表示する装置である(本実施例では、液晶ディスプレイ)。操作パネル1040は、ユーザが操作するための図示しない操作手段(例えば、ボタン)を有している。
【0062】
各排水処理装置900の通信端末500と、管理装置1000の通信端末1050とは、通信ネットワークを介して通信可能である。通信ネットワークとしては、無線通信と有線通信との少なくとも一方を用いた通信経路を採用可能である。通信端末500、1050としては、種々の通信装置を採用可能である。例えば、携帯電話を採用してもよい。各排水処理装置900の通信端末500は、水質情報と、その水質情報に対応付けられた日時とを表すデータをデータロガー400から取得し、取得したデータを、管理装置1000の通信端末1050に送信する。送信される水質情報は、3組の端子対461〜463(図6)に入力された接点状態(接点のオープン/クローズ)を表すデータであり、本実施例では、3つの二値データ(3ビット)で表されている。管理装置1000のデータ処理部1010は、受信した水質情報と日時(水質情報の履歴)を、記録装置1020に記録する。そして、ユーザの指示に従って、データ処理部1010は、記録装置1020に記録されたデータを、表示装置1030に表示する。表示の形式としては、任意の形式を採用可能である。例えば、図4のように3つの判定結果を表示してもよく、図7のような、判定結果のタイミングチャートを表示してもよい。
【0063】
第1実施例で説明したように、水質センサー300とデータロガー400との構成を簡素化することができるので、コストの低減が可能である。その結果、複数の水処理槽800に水質センサー300を常設して、長期間に亘って水質をモニターし続けることを、安価に行うことができる。また、1つの水質センサー300から得られる水質情報が3つの二値データ(3ビット)で表されているので、高い分解能(例えば、12ビット)で水質情報を表す場合と比べて、データ量を大幅に低減できる。その結果、複数の排水処理装置900からの水質情報を管理装置1000が処理する場合に、その管理装置1000に要求される処理能力(例えば、記録装置1020の容量や、データ処理部1010の処理速度)を高くせずに済む。これにより、広域水質管理システム1100のコストを低減できる。また、図3、図4、図7に示すように、本実施例では、水質情報が3つの二値データで表されているので、水質情報がアナログデータや高分解能のデジタルデータで表されている場合と比べて、ユーザ(管理者)は、経験やスキルに関わらずに、3つの判定結果(二値データ)から容易に排水処理装置900の水質(処理状態)の良否(異常の有無)を判断できる。従って、複数の排水処理装置900からの水質情報が管理装置1000に集められた場合であっても、管理者は、経験やスキルに関わらずに、管理装置1000を利用して、それらの排水処理装置900の水質(処理状態の良否)を容易に確認することができる。その結果、それらの排水処理装置900の管理のための管理者の労力の増大を抑制できる。
【0064】
また、排水処理装置900の処理状態の良否を、一時的に得られた水質情報ではなく、水質情報の履歴を総合して判断すれば、水質の一時的な変動の影響を抑えた、より適切な判断が可能である。ところが、従来は、時々刻々と変動する水質情報から異常の有無を判断する場合には、水質情報の種々の変動パターンに精通した管理者の経験に頼って判断しているのが実情であった(種々の変動パターンは、排水処理装置900を種々の条件下で利用することによって得られる)。特に、水質情報が、アナログデータや高分解能(例えば、12ビット)のデジタルデータで表されている場合には、経験を十分に積んでいない管理者にとって、水質情報の履歴から異常の有無を判断することは困難であった。一方、本実施例によれば、ある時点での水質情報が3つの二値データで表されているので、水質情報の履歴に基づく処理状態の良否の判断基準として、簡素な基準を採用することができる。例えば、処理状態に異常があると判断するための基準として、「1日間に得られた水質情報のうちの50%以上の水質情報が「悪い」を示している」を採用してもよい。このように、水質情報が複数(本実施例では3つ)の二値データで表されている場合には、簡素な判断基準を採用できるので、管理者は、経験やスキルに関わらずに、同じ品質で容易に判断を行うことができる。その結果、多数の排水処理装置900からの水質情報が管理装置1000に集められた場合であっても、管理者は、容易にそれらの排水処理装置900の管理を行うことができる。
【0065】
判断基準としては、水質情報の履歴を総合して判断結果を導く種々の基準を採用可能である。例えば、「1日間に得られた水質情報のうちの、「普通」の水質情報と「良好」の水質情報とを合わせた水質情報の割合が、60%以上である」を、異常が無いことの基準として採用してもよい。このように、所定期間内(例えば、1日や2日や1週間)に得られた水質情報のうちの所定の水質を表す水質情報の割合と、所定の閾値との比較結果から、異常の有無を判断してよい。
【0066】
なお、排水処理装置900の総数は3に限らず、2や4以上であってもよい。特に、本実施例では、水質情報の取得と利用を簡便に行うことが可能であるので、100を超える排水処理装置900の管理を行ってもよい。なお、本実施例において、記録装置1020に対する水質情報の履歴の記録を省略してもよい。また、ユーザに対する水質情報の表示(報知)を省略してもよい。
【0067】
C.第3実施例:
図9は、水質センサーの別の実施例を示す説明図である。図1、図2に示す水質センサー300との差異は、3つある。第1の差異は、3つの受光素子140a、140b、140cが、第2壁124に設けられている点である。これらの受光素子140a、140b、140cの間では、発光素子130までの距離が互いに異なっている。3つの受光素子140a、140b、140cのなかでは、第1受光素子140aが発光素子130に最も近く、第3受光素子140cが発光素子130から最も遠い。第2の差異は、判定部220aが、3つの受光素子140a、140b、140cのそれぞれの受光強度RIa、RIb、RIcを、共通の閾値と比較することによって、3つの判定を行う点である(共通の閾値は、予め、3つの受光素子140a、140b、140cのそれぞれに対応付けられている、ということもできる)。判定部220aの構成としては、3つの受光強度を利用した3つの判定を行う種々の構成を採用可能である。例えば、判定部220aが、1つのコンパレーター回路を3つの受光素子140a、140b、140cに共通に利用してもよい。この代わりに、判定部220aが、3つの受光素子140a、140b、140cのための3つのコンパレーター回路を有してもよい。こうすれば、3つの判定を並行して行うことができる。第3の差異は、発光制御部210aが、発光素子130の発光強度EIを変更せずに所定値に維持する点である。本実施例の水質センサー300aの他の要素の構成は、図1、図2に示す水質センサー300の同じ符号の要素の構成と、同様である。例えば、二値情報出力部240は、3つの判定結果を3つの接点出力によって出力し、報知部270は、3つの判定結果を、図4と同様に出力する。なお、後述する各実施例では、先の実施例の要素と同じ要素に同じ符号を付して、その詳細な説明を省略している。
【0068】
図10は、図3と同様の、3つの判定結果と水質との関係を示す表である。判定結果を表すマーク(「○」と「×」)の意味は、図3の同じマークの意味と同じである。本実施例では、同じ発光強度EIが、3つの判定に共通に利用される。従って、発光素子130から受光素子までの距離が遠いほど、受光強度は小さくなる(RIa>RIb>RIc)。そして、水質が良いほど、「○」の判定結果を得ることが可能な最短距離が長くなる。従って、図3の実施例と同様に、3つの判定結果は、4段階で水質を表している。具体的には、「○」の判定結果の総数(0〜3の4段階)が多いほど、水質は良い。また、「○」の判定結果が得られた受光素子のうちの発光素子130から最も遠い受光素子(図10では、2重線で表されている)が、4段階で水質を表している、ということもできる。また、「×」の判定結果が得られた受光素子のうちの発光素子130に最も近い受光素子(図10では、3重線で表されている)が、4段階で水質を表している、ということもできる。なお、3つの距離は、それぞれ、図3の実施例の発光強度LV1、LV2、LV3と同様に、予め実験的に決定すればよい。
【0069】
図11は、水質情報の取得を示すタイミングチャートである。このチャートは、図6に示す排水処理装置900において、水質センサー300の代わりに水質センサー300a(図9)を適用した場合のチャートを示している。図11の実施例では、水質センサー300aは、1時間毎に水質情報を取得している。1回の取得においては、発光制御部210aは、予め決められた発光強度EIで発光素子130を所定時間(例えば、5秒間)発光させる。判定部220aは、発光素子130が発光している状態で受光素子140a、140b、140cの受光強度RIa、RIb、RIcをそれぞれ取得して、3つの受光強度RIa、RIb、RIcに関する3つの判定を行う。図中では、判定結果が、図7と同様の「○」と「×」とのいずれかで表されている。図11の例では、水質が、図7の例と同様に変化している。データロガー400(図6)は、上述の各実施例と同様に、判定結果と日時とを記録し、そして、ユーザの指示に従って、判定結果を表示する。これにより、ユーザは、所望の日時での水質を簡便に確認することができる。なお、本実施例では、水質センサー300aが3つの受光素子140a、140b、140cを有しているので、3つの判定を並行して行うことができる。こうすれば、判定に要する時間を短縮できる。
【0070】
以上のように、本実施例の水質センサー300aも、上述の水質センサー300と同様に3つの判定結果に基づいて水質情報を出力する。従って、この水質センサー300aも、上述の水質センサー300と同様の種々の利点を有している。また、発光強度を変更せずに済むので、発光制御部210aの構成を簡素化することもできる。また、水質センサー300aを、図8に示す広域水質管理システム1100に適用してもよい。この場合も、水質センサー300を利用する場合と同様の利点を得ることができる。
【0071】
D.第4実施例:
図12は、水質センサーの別の実施例を示す説明図である。図9に示す水質センサー300aとの差異は、2つある。第1の差異は、3つの発光素子130a、130b、130cが、第1壁122に設けられている点である。第1発光素子130aは、第1受光素子140aと対向する位置に配置され(第1ペアPa)、第2発光素子130bは、第2受光素子140bと対向する位置に配置され(第2ペアPb)、第3発光素子130cは、第3受光素子140cと対向する位置に配置されている(第3ペアPc)。これにより、第1受光素子140aは、主に、第1発光素子130aからの光を受け、第2受光素子140bは、主に、第2発光素子130bからの光を受け、第3受光素子140cは、主に、第3発光素子130cからの光を受ける。本実施例では、発光素子と受光素子との間の距離は、3組のペアPa、Pb、Pcのそれぞれにおいて、同じである。第2の差異は、発光制御部210bが、3つの発光素子130a、130b、130cのそれぞれの発光強度EIa、EIb、EIcを、互いに異なる強度に設定する点である(本実施例では、第1発光強度EIa>第2発光強度EIb>第3発光強度EIc)。判定部220aは、図9の実施例と同様に、3つの受光素子140a、140b、140cのそれぞれの受光強度RIa、RIb、RIcを、共通の閾値と比較することによって、3つの判定を行う(共通の閾値は、3つの受光素子140a、140b、140cのそれぞれに、予め対応付けられている、ということができる)。本実施例の水質センサー300bの他の要素の構成は、図9に示す水質センサー300aの同じ符号の要素の構成と、同様である。
【0072】
本実施例では、発光素子と受光素子との間の距離と、閾値とのそれぞれが、3組のペアPa、Pb、Pcに共通である。従って、閾値条件が成立するという判定結果を得ることが可能な最小発光強度が小さいほど、水質が良いということができる。従って、本実施例の水質センサー300bでは、図3の表と同様に、水質を評価することができる。このように、本実施例の水質センサー300bは、上述の水質センサー300、300aと同様に、3つの判定結果に基づいて水質情報を出力する。従って、この水質センサー300bも、上述の水質センサー300、300aと同様の種々の利点を有している。また、本実施例では、水質センサー300bが3組のペアPa、Pb、Pcを有しているので、3つの判定を並行して行うことができる。こうすれば、3つの判定を1つずつ順番に行う場合と比べて、判定に要する時間を短縮できる。また、本実施例においても、4段階で水質の概略を評価することとしているので、水質センサー300bの構成を簡素化できる。また、水質センサー300bを、図8に示す広域水質管理システム1100に適用してもよい。この場合も、水質センサー300を利用する場合と同様の利点を得ることができる。なお、3つの発光強度EIa、EIb、EIcは、それぞれ、図3の実施例の発光強度LV1、LV2、LV3と同様に、予め実験的に決定すればよい。
【0073】
E.第5実施例:
図13は、水質センサーの別の実施例を示す説明図である。図12に示す水質センサー300bとの差異は、2つある。第1の差異は、発光制御部210cが、3つの発光素子130a、130b、130cのそれぞれの発光強度EIa、EIb、EIcを、同じ値に設定する点である。第2の差異は、判定部220cが、閾値設定部222cを有している点である。閾値設定部222cは、3つの受光強度RIa、RIb、RIcにそれぞれ対応付けられた3つの閾値Tha、Thb、Thcを、互いに異なる値に設定する(本実施例では、第1閾値Tha<第2閾値Thb<第3閾値Thc)。判定部220cは、第1受光強度RIaを第1閾値Thaと比較し、第2受光強度RIbを第2閾値Thbと比較し、第3受光強度RIcを第3閾値Thcと比較することによって、3つの判定を行う。水質センサー300cの他の要素の構成は、図12に示す同じ符号の要素の構成と、同じである。なお、閾値設定部222cの構成としては、判定部220cによって利用される閾値を設定する種々の構成を採用可能である。例えば、コンパレーター回路に利用される基準電圧(閾値に相当する)を出力する回路を採用してもよい。
【0074】
図14は、図10と同様の、3つの判定結果と水質との関係を示す表である。判定結果を表すマーク(「○」と「×」)の意味は、図10の同じマークの意味と同じである。本実施例では、発光素子と受光素子との間の距離と、発光強度とのそれぞれが、3組のペアPa、Pb、Pcに共通である。これにより、3つの受光強度RIa、RIb、RIcは、ほぼ同じ値となる。従って、「○」の判定結果を得ることが可能な最大閾値が大きいほど、水質が良いということができる。その結果、図10の実施例と同様に、3つの判定結果は、4段階で水質を表している。具体的には、「○」の判定結果の総数(0〜3の4段階)が多いほど、水質は良い。また、「○」の判定結果が得られた閾値のうちの最も高い閾値(図14では、2重線で表されている)が、4段階で水質を表している、ということもできる。また、「×」の判定結果が得られた閾値のうちの最も低い閾値(図14では、3重線で表されている)が、4段階で水質を表している、ということもできる。なお、3つの閾値Tha、Thb、Thcは、それぞれ、図3の実施例の発光強度LV1、LV2、LV3と同様に、予め実験的に決定すればよい。
【0075】
以上のように、本実施例の水質センサー300cも、上述の水質センサー300と同様に3つの判定結果に基づいて水質情報を出力する。従って、この水質センサー300cも、上述の水質センサー300と同様の種々の利点を有している。また、本実施例では、水質センサー300cが3組のペアPa、Pb、Pcを有しているので、3つの判定を並行して行うことができる。こうすれば、3つの判定を1つずつ順番に行う場合と比べて、判定に要する時間を短縮できる。また、水質センサー300cを、図8に示す広域水質管理システム1100に適用してもよい。この場合も、水質センサー300を利用する場合と同様の利点を得ることができる。
【0076】
なお、図13に示す閾値設定部222cを、図9に示す水質センサー300aに適用してもよい。この場合には、発光素子と受光素子との間の距離が長いほど、閾値を大きくすることが好ましい。こうすれば、閾値条件の成立のために3つの閾値のうちの最小の閾値を必要とする水質(悪い水質)と、3つの閾値のうちの最大の閾値で十分に閾値条件が成立する水質(良い水質)との間の水質の差を大きくすることができる。これにより、3つの判定によってカバーされる水質のレンジを広げることができる。また、図13に示す閾値設定部222cを、図9に示す水質センサー300aに適用した場合に、発光素子130と受光素子との間の距離が、3つの受光素子140a、140b、140cのそれぞれについて同じであってもよい。この場合も、閾値の異なる3つの判定結果を利用して、水質情報を取得できる。また、図13に示す閾値設定部222cを、図2に示す水質センサー300に適用してもよい。ここで、発光制御部210が、発光素子130の発光強度EIを変えずに所定値に維持してもよい。この場合も、閾値の異なる3つの判定結果を利用して、水質の概略を評価できる。いずれの場合も、上述の水質センサー300と同様の種々の利点を得ることができる。
【0077】
F.第6実施例:
図15は、水質センサーの別の実施例を示す説明図である。図12に示す水質センサー300bとの差異は、2つの受光素子140b、140cが省略されている点である。本実施例では、発光素子130aに加えて、発光素子130b、130cから受光素子140aに入射する光を利用して、3つの判定を行う。具体的には、発光制御部210bは、図7に示す発光のタイミングチャートと同様に、3つの発光素子130a、130b、130cを1つずつ順番に発光させる。判定部220は、図7に示す判定のタイミングチャートと同様に、発光素子が発光している状態での受光素子140aの受光強度RIaを取得することによって、3つの発光強度EIa、EIb、EIcのそれぞれに関する判定を行う。判定に利用される所定の閾値は、3つの判定に共通である。水質センサー300dの他の要素の構成は、図1、図2、図12に示す水質センサー300、300bの同じ符号の要素の構成と、同様である。
【0078】
本実施例では、発光強度が強いほど、受光素子140aの受光強度RIaも強いので、水質の評価を、図3の実施例と同様に行うことができる。このように、本実施例の水質センサー300dも、上述の水質センサー300と同様の種々の利点を有している。また、本実施例では、3つの発光素子130a、130b、130cのなかでは、第1発光素子130aが受光素子140aに最も近く、第3発光素子130cが受光素子140aから最も遠い。発光制御部210bは、発光素子と受光素子140aとの間の距離が長いほど、その発光素子の発光強度が小さくなるように、3つの発光強度EIa、EIb、EIcを設定する。従って、3つの発光強度EIa、EIb、EIcに対する受光強度RIaの違いを大きくすることができる。すなわち、閾値条件の成立に3つの発光強度のうちの最大の発光強度EIaを必要とする水質(悪い水質)と、3つの発光強度のうちの最小の発光強度EIcで十分に閾値条件が成立する水質(良い水質)との間の水質の差を大きくすることができる。これにより、3つの判定によってカバーされる水質のレンジを広げることができる。
【0079】
なお、本実施例において、3つの発光強度EIa、EIb、EIcが同じであってもよい。この場合も、図9の実施例と同様に、距離の違いに基づく3つの判定を利用して水質情報を取得できる。また、本実施例において、発光素子と受光素子140aとの間の距離が、3つの発光素子130a、130b、130cについて同じであってもよい。この場合も、図3の実施例と同様に、発光強度の違いに基づく3つの判定を利用して水質情報を取得できる。
【0080】
G.第7実施例:
図16は、水質センサーの別の実施例を示す説明図である。図13に示す水質センサー300cとの差異は、2つある。第1の差異は、ペアPa、Pb、Pc毎に、発光素子と受光素子との間の距離が異なっている点である(本実施例では、第1ペアPaの距離が最も短く、第3ペアPcの距離が最も長い)。第2の差異は、判定部220eから閾値設定部222cが省略されている点である。判定部220eは、図12の判定部220aと同様に、3つの受光強度RIa、RIb、RIcに、共通の同じ閾値を利用して、3つの判定を行う。また、発光制御部210eは、図13の発光制御部210cと同様に、3つの発光素子130a、130b、130cのそれぞれの発光強度EIa、EIb、EIcを、同じ値に設定する。本実施例の水質センサー300eを利用すれば、図9、図10の実施例と同様に、水質センサー300eの構成を簡素化でき、そして、距離の違いに基づく3つの判定を利用して簡便に水質情報を取得できる。
【0081】
なお、本実施例の発光制御部210eが、図15の発光制御部210bと同様に、発光素子と受光素子との間の距離が長いほど発光強度が小さくなるように、各発光強度EIa、EIb、EIcを設定してもよい。こうすれば、図15の実施例と同様に、3つの判定によってカバーされる水質のレンジを広げることができる。また、本実施例の判定部220eが、図13の実施例のように閾値設定部222cを有していても良い。この場合には、閾値設定部222cは、発光素子と受光素子との間の距離が長いほど閾値が大きくなるように、3つの受光強度RIa、RIb、RIcのための3つの閾値を、それぞれ、設定することが好ましい。こうすれば、3つの判定によってカバーされる水質のレンジを広げることができる。
【0082】
H.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0083】
変形例1:
水質情報の取得に利用される複数の判定としては、上述の各実施例で利用された判定に限らず、閾値条件の成立に必要となる水質(最も悪い水質)が互いに異なる種々の判定を採用可能である。また、そのような判定の総数は3に限らず、2でもよく、4以上であってもよい(一般には、N個(Nは2以上の整数)の判定を利用してよい)。ただし、簡便に水質情報の取得や利用を簡便に行うためには、判定の総数が10以下であることが好ましく、5以下であることが特に好ましい。また、1つの判定を利用して水質情報を取得してもよい。こうすれば、より簡便に水質情報を取得できる。
【0084】
変形例2:
上述の各実施例において、判定結果を表す二値情報としては、接点出力によって表される情報に限らず、種々の情報を採用可能である。例えば、所定のHレベル電圧と、所定のLレベル電圧とで表された二値信号を採用してもよく、また、1ビットのデジタルデータを採用してもよい。
【0085】
変形例3:
ユーザに対する水質情報の報知の形態としては、図4に示すようなN個の判定結果のそれぞれを表示する形態に限らず、N+1段階で表された水質を表す情報を報知する任意の形態を採用可能である。例えば、「良好」、「普通」などのN+1段階のうちの1つを表す情報を表示してもよい。また、報知の方法としては、表示に限らず、音や振動を利用してユーザに伝える方法等の種々の方法を採用可能である。
【0086】
変形例4:
上述の各実施例において、報知部270(図2)と、データ処理部410(図6)と、データ処理部1010(図8)との少なくとも1つが、水質が所定の基準を満たさないことを表す判定結果が得られたことを契機として、そのことをユーザに報知してもよい。例えば、データ処理部410は、水質が「悪い」との判定結果が得られたことを契機として、表示装置430に、その事実を表示してもよい。こうすれば、ユーザは、表示装置430を観察することによって、水処理槽800の不具合の有無を容易に確認することができる。
【0087】
変形例5:
発光素子と受光素子とを保持するセンサーユニットの構成としては、上述の各実施例の構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、図1に示す実施例において、凹部120がセンサーユニット100の中央部分に設けられていても良い。また、図12、図13、図16に示す実施例において、ペアとペアとの間(例えば、第1ペアPaと第2ペアPbとの間)に遮光板を配置してもよい。また、1ペアずつ順番に発光(判定)を行って、全てのペアの判定結果を取得してもよい。また、放射される光の指向性の高い発光素子を採用してもよい。これらの構成によれば、1つのペアの判定結果に、別のペアの発光素子からの光が影響を与える可能性を低減できる。また、凹部の形状としても、図1の凹部120の形状や図16の凹部120eの形状に限らず、他の形状を採用してもよい。一般には、センサーユニットの構成としては、測定対象水が導入される空間を挟むように発光素子と受光素子とを配置するような任意の構成を採用可能である。
【0088】
変形例6:
水質センサーの構成としては、上記各実施例の構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、図2に示す水質センサー300において、制御部200の構成の一部あるいは全部が、センサーユニット100に設けられていても良い。また、図6、図7に示す実施例において、制御部200の二値情報出力部240が、3つの判定結果を取得した後に、同じタイミング(同時刻)で3つの接点出力を更新してもよい。この場合には、データロガー400は、3つの判定結果を同時刻に記録する。また、制御部200が、センサーユニット100からの信号に加えて、他の装置(例えば、ブロワーの警報装置)からの信号を処理してもよい。また、1つの制御部200に複数のセンサーユニットが接続されてもよい。
【0089】
変形例7:
上述の各実施例において、水処理槽800(図5、図6)におけるセンサーユニットの位置は、沈殿槽816に限らず、水処理槽800における任意の位置を採用可能である。例えば、嫌気濾床槽812から接触曝気槽814へ移流する水の流路にセンサーユニット100を配置してもよい。
【0090】
また、水処理槽800の構成としては、図5に示す構成に限らず、排水の浄化処理を行う種々の構成を採用可能である。例えば、接触曝気槽814の代わりに、担体流動生物濾過槽を採用してもよい。また、流量調整槽を水処理槽800に設けてもよい。また、他の処理方式(例えば、膜分離方式)に従って排水を浄化する水処理槽を採用してもよい。
【0091】
変形例8:
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図2の水質情報出力部230を、所定のプログラムに従って動作するコンピュータを用いて構成してもよい。
【0092】
また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【符号の説明】
【0093】
10...測定対象水
12...ケーブル
100...センサーユニット
120、120e...凹部
122...第1壁
124...第2壁
130、130a、130b、130c...発光素子
140、140a、140b、140c...受光素子
200...制御部
210、210a、210b、210c、210e...発光制御部
220、220a、220c、220e...判定部
222c...閾値設定部
230...水質情報出力部
240...二値情報出力部
251...スイッチ
260...端子パネル
261、262、263...端子対
270...報知部
280...表示パネル
281、282、283...ランプ
290...操作パネル
300、300a、300b、300c、300d、300e...水質センサー
400...データロガー
410...データ処理部
420...記録装置
430...表示装置
440...操作パネル
460...端子パネル
461、462、463...端子対
500...通信端末
600...制御端末
800...水処理槽
802...流入口
804...流出口
810...夾雑物除去槽
812...嫌気濾床槽
814...接触曝気槽
816...沈殿槽
816a...仕切り板
818...消毒槽
818a...壁
900...排水処理装置
1000...管理装置
1010...データ処理部
1020...記録装置
1030...表示装置
1040...操作パネル
1050...通信端末
1100...広域水質管理システム
Pa、Pb、Pc...ペア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象水の水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサーであって、
発光して前記測定対象水に光を照射する発光素子と、
前記測定対象水を介して前記発光素子からの前記光を受けて、前記受けた光の強度である受光強度を検出する受光素子と、
予め決定された閾値よりも前記受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かを判定する判定部と、
前記発光素子の発光強度を、N段階(Nは2以上の整数)に変化させる発光制御部と、
前記N段階の発光強度のそれぞれの光が前記測定対象水に照射されることによって得られるN個の前記判定の結果に基づいて、前記水質情報を出力する水質情報出力部と、
を備える水質センサー。
【請求項2】
測定対象水の水質に関する情報である水質情報を取得する水質センサーであって、
発光して前記測定対象水に光を照射する発光素子と、
前記測定対象水を介して前記発光素子からの前記光を受けて、前記受けた光の強度である受光強度を検出するN個(Nは2以上の整数)の受光素子と、
前記受光素子に予め対応付けられた閾値よりも前記受光強度が大きいという閾値条件が成立するか否かの判定を、前記N個の受光素子のそれぞれについて実行する判定部と、
前記N個の受光素子を用いて得られるN個の前記判定の結果に基づいて、前記水質情報を出力する水質情報出力部と、
を備え、
前記発光素子と前記受光素子との間の距離が、前記N個の受光素子の間で互いに異なるように、前記N個の受光素子が配置されている、
水質センサー。
【請求項3】
請求項2に記載の水質センサーであって、さらに、
前記発光素子と前記受光素子との間の前記距離が長いほど、前記閾値が大きくなるように、前記N個の受光素子のそれぞれの前記閾値を設定する閾値設定部を備える、
水質センサー。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の水質センサーであって、
前記水質情報出力部は、前記前記水質情報として前記N個の判定の結果をそれぞれ表すN個の二値情報を出力する二値情報出力部を含む、
水質センサー。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の水質センサーであって、
前記水質情報出力部は、前記水質情報のユーザに対する報知を、前記水質情報の前記出力として実行する報知部を含み、
前記報知部は、前記N個の判定の結果に基づいて決まる情報であって、N+1段階で前記水質を表す情報を、前記水質情報として前記ユーザに報知する、
水質センサー。
【請求項6】
排水処理装置であって、
排水の浄化処理を行う水処理部と、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の水質センサーであって、前記発光素子と前記受光素子とが、前記水処理部における水質情報の取得の対象となる水の流れる部分に配置された水質センサーと、
を備える、排水処理装置。
【請求項7】
排水処理システムであって、
互いに離れて設置されたM基(Mは2以上の整数)の排水処理装置と、
前記M基の排水処理装置のそれぞれを管理するための管理装置と、
を備え、
前記M基の排水処理装置のそれぞれは、
前記排水の浄化処理を行う水処理部と、
請求項4に記載の水質センサーであって、前記発光素子と前記受光素子とが、前記水処理部における水質情報の取得の対象となる水の流れる部分に配置された水質センサーと、
前記二値情報出力部によって出力された前記N個の二値情報を表すデータを前記管理装置に送信する送信部と、
を備え、
前記管理装置は、
前記M基の排水処理装置のそれぞれの前記送信部によって送信された前記N個の二値情報を表すデータを受信する受信部と、
前記受信したデータを処理するデータ処理部と、
を備える、排水処理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の排水処理システムであって、
前記データ処理部は、前記受信したデータによって表される前記N個の二値情報に基づいて決まる情報であってN+1段階で前記水質を表す情報を、ユーザに報知する、
排水処理システム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の排水処理システムであって、
前記管理装置は、さらに、データを記録する記録部を備え、
前記データ処理部は、前記受信したデータによって表される前記二値情報の履歴を前記記録部に記録する、
排水処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−22083(P2011−22083A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169182(P2009−169182)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(390021348)フジクリーン工業株式会社 (71)
【Fターム(参考)】