説明

水車発電装置及び水車発電方法

【課題】 日本全国で用水路が約40万キロメートル設置されているが、ここを流れる流水のエネルギを発電に活用することには困難が多かった。
【解決手段】 浮力体を内包させた4台の水車と、ベアリングを具備した両側の円盤を回動自在のアームの先端に設け、取付け架台に設置し、連結板とベルトを用いて4台の水車を連結連動してエネルギを1箇所に集積させ、2箇所に設置されたプーリで2種類の回転数を同時に発生させ、連結軸と前記連結軸の両端に可動式のユニバーサルジョイントを連結して、水車の回転により永久磁石発電機と誘導発電機が、2種類の発電を同時に行なわれる如く構成され、水車にあたる水流が増大する場合には、浮上がりを防止するため弾性体で位置を制御し、水量が減少して着床した場合にはベアリングを具備した両側の円盤が回転を停止し、水車の破損を防ぎ、水車は停止せずに単独で発電を続ける。この時整流板が水流を効率よく水車へ供給して発電効率を低下させないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用水路などを流れる水のエネルギを電気に変換する水車発電装置及び水車発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマイクロ水力発電装置は、水車が固定式で水量が計画水位より下がると発電しなかった。(非特許文献1参照。)。
また、流水の取り入れ口に木の葉などがつまりやすく効率を落としてしまうものもある。(非特許文献2参照。)。
【非特許文献1】(株)パワー社 小型水力発電機製作ガイドブック
【非特許文献2】(株)パワー社 小型水力発電実践記
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上に述べた従来のマイクロ水力発電装置では、外部の影響を受けやすかった。
【0004】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり年間を通して安定的に水のエネルギを電気に変換する水車発電装置及び水車発電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そして、本発明は上記課題を解決するために請求項1の発明による水車発電装置は、4台の水車本体は浮力体を内包させた水車と、ベアリングを具備した両側の円盤と、一端に前記水車が取着されたアームと、前記アームを設置する為の支持台と、2台の前記水車を1セットとして同時に連動するようにした連結手段と、前記2台の連結した水車を連動させる回転伝達手段と、出力軸の左右に配置した前記連結した1セットずつの前記水車を連動する回転伝達手段と、2種類の回転数を同時に発生可能とした回転手段と、低速回転出力軸と永久磁石発電機29間の回転伝達手段と、高速回転出力軸と誘導発電機間の回転伝達手段として、連結軸と前記連結軸の両端に可動式のユニバーサルジョイントとを具備することを要旨とする。
【0006】
請求項2の発明による水車発電装置は、請求項1記載の水車発電装置において、さらに、整流板と、前記水車の位置を調整可能とする弾性体とを具備することを要旨とする。
【0007】
請求項3の発明による水車発電装置は、前記アームの他端には支持手段が取着されており、前記支持手段を支点として前記アームと前記支持台との間にて回動自在に支持されていることを要旨とする。
【0008】
請求項4の発明による水車発電方法は、水流に対して発電用の水車を4台配置してこの水車の回転により発電を行う水車発電方法において、前記水流の流量増減に応じて前記水車位置を調整することを要旨とする。
【0009】
請求項5の発明による水車発電方法は、水流に対して発電用の水車を4台設置してこの水車の回転により発電を行う水車発電方法において、前記水流の流量が減少して水車が着床した場合には、両側に設置されている円盤の回転が止まり前記水車に取着している羽の破損を防止し、前記水車を単独で回転させ発電し、前記水流の流量が増大した場合には、取付け架台に設置されている弾性体が、前記水車の浮上りを防止し、前記水車の両側に設置されている円盤が水流を逃がさない壁体の役目をしながら共に回転し発電を行うことを要旨とする。
【0010】
請求項6の発明による水車発電方法は、前記水車が4台連動し発電を行う方法において、前記4台の水車によって変換された水のエネルギを回転伝達手段によって1箇所に集積され、前記集積されたエネルギで2種類の発電を行うため、2箇所に設置した出力軸と発電機間を連結した前記連結軸と前記連結軸の両端に可動式のユニバーサルジョイントを回転伝達手段として設置し発電を行うことを要旨とする。
【0011】
請求項7の発明による水車発電方法は、前記2箇所に設置した出力軸を回転手段として発電方法を2段階方式とし、第1段階は、低速回転出力軸に、永久磁石発電機を連結し、降雪時の消雪と操作盤の電源や、誘導発電機の励磁電源に充て、第2段階は、高速回転出力軸に安定した電力を発電する前記誘導発電機を連結し発電を行うことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
水車本体が略上下動するので用水路に草や木が流れて来ても、乗り越えることが出来るので発電効率を落とすことなく発電できる。また単独発電が出来るので電力会社から電気を買う必要もないため、何処でも設置できる。場所と水量を選ばない、そして地球温暖化防止に積極的に貢献し、未来を担う子供たちへすばらしい自然を残す事が出来る。
【0013】
日本全国で用水路の長さが、40万キロメートル位あると言われているので、この装置を設置することによって、火力発電所が排出する二酸化炭素も少なくなり、2020年までの二酸化炭素排出量25%削減に大きく寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を、図1、図2を参照して説明する。本発明の実施形態にあたっては用水路32に水車発電装置Aを設置するようにしたものである。
【0015】
水車発電装置Aにおいては、4台の水車本体はベアリング付円盤1と水車2の自重を、最適発電を得るように発泡スチロールのような浮力体を内包させる。水車2の両側にベアリング付円盤1を設置し、水車本体13aにおいては、上流から見て左側にダブルプーリー4を軸12に取着する。2本のアーム7の両端に支持台9を取着し軸12を前記2本のアーム7の下端に取着されている支持台9に軸支する。水車本体13aは、上流から見て右側のアーム7の上端を支持台14と、軸15で取付け架台8に可回動に軸支されている。左側のアーム7の上端は、出力軸24aに取着されたトリプルプーリー17と、取付け架台8へ取着された支持台9に可回動に軸支されている。水車本体13bと13aとの違いは、上流から見て左側の軸24bにダブルプーリー23が取着されていることである。水車本体13cと13dは、上流から見て左側のアーム7の上端を軸24cで、取付け架台8へ取着された支持台9に可回動に軸支され、シングルプーリー3を軸12に取着した構成としたものである。
【0016】
水車本体13a,13dを1セットとして連動させるために連結装置5が両側に設置されたアーム7に可回動に軸支されている。これと同じく、水車本体13b,13cを1セットとして連動させるために連結装置5が両側に設置されたアーム7に可回動に軸支されている。連結された水車本体13a、13d間と、水車本体13b、13c間をベルト10によって連結され一体に可回転する。
【0017】
トリプルプーリ17とダブルプーリ23は、ベルト20によって連結されており、トリプルプーリ17の両側の近傍に2種類の出力軸を設置するための取付け架台18a、18bが設置されている。出力軸24aの左側の取付け架台18aには、シングルプーリ16が低速回転出力軸21aに取着され支持台9によって軸支されており、出力軸24aの右側の取付け架台18bには、シングルプーリ22が高速回転出力軸21bに取着され支持台9によって軸支されており、トリプルプーリ17とシングルプーリ16は、ベルト28によって連結されており、トリプルプーリ17とシングルプーリ22は、ベルト19によって連結されている。
【0018】
低速回転出力軸21aと永久磁石発電機29間の回転手段と、高速回転出力軸21bと誘導発電機30間の回転手段として、図示しない数箇所に設置された支持台が、回転する連結軸27を軸支し振動防止をする如く構成されており、連結軸27と前記連結軸27の両端に可動式のユニバーサルジョイント25を設置する。
【0019】
このような構成で、永久磁石発電機29と誘導発電機30によって2種類の発電が同時に行われることになる。
【0020】
水量が減少し水車本体13a,13b,13c,13dが着床した場合には、整流板6が破損しないように上流側の近傍に設置されており、水量が増大した場合には、取付け架台8に取着している支持台9を支点として可回動するアーム7の位置を調整するために、浮き上がり防止スプリング26を設置する。上流から見て右側は、軸15によって軸支され、上流から見て左側は、出力軸24a、軸24b、軸24cによって軸支されおり、このアーム7は浮き上がり防止スプリング26と一体回動する如く構成されている。すなわち、アーム7と浮き上がり防止スプリング26は取付け架台8に取着している支持台9を支点として可回動する。
【0021】
このようにして、本発明に係る水車発電装置Aが構成される。アーム7の先端に取り付けられた水車2は水力にて回転し、永久磁石発電機29と誘導発電機30によって2種類の発電が同時に行われる。すなわち、水車2の位置は発電に最適なエネルギが得られる位置に配置される。
【0022】
用水路32を流れる水の量は日々変化している。従って、水車2を固定しておくと、最適発電を行うことが困難になる。そこで、本発明にあっては、最適発電を得るために浮力体を内包させた水車2の位置を、変更調整することが出来る。アーム7の先端に軸支された水車2を、取付け架台8に取着している支持台9を支点として、水量の増減に応じて略上下動を行う。
【0023】
水量が減少して水車本体13a,13b,13c、13dが着床したときには、両側に設置されているベアリング付円盤1の回転が止まり、水車2に取着している羽の破損を防止し、水車2を単独で回転させて発電を行う。この時、整流板6を通過した水流が、水車2に取着している羽根に水流を効率よく供給する。
【0024】
水量が増大すると水車本体13a,13b,13c、13dが上方へ上がる。このときに、流速も速くなり発電する力よりも上方へ上げる力が大きく働き、最適発電を行うことが困難になる。そこで、アーム7の位置を、浮き上がり防止スプリング26によって制御することにより最適発電を行う位置に配置させることが出来る。
【0025】
ベルト10によって連動する水車本体13a,13b,13c、13dが変換した水のエネルギは、出力軸24a,軸24bにベルト11を介して伝達される。軸24bに集積されたエネルギは、ダブルプーリ23からトリプルプーリ17へ、ベルト20を介して伝達される。
【0026】
常時は取付け架台18aに取着された支持台9に配置された低速回転出力軸21aと、永久磁石発電機29が、連結軸27と前記連結軸27の両端に可動式のユニバーサルジョイント25を設置し発電しており、取付け架台18bに取着された支持台9に配置された高速回転出力軸21bと、誘導発電機30が、連結軸27と前記連結軸27の両端に可動式のユニバーサルジョイント25を設置し発電しているが、図示しない格納倉庫によって、2種類の発電機が漏電や動物による食害から守る如く構成されており、台風や、地震などで水車発電装置Aか、図示しない格納倉庫の基礎が異常な事態に陥って、最も必要なとき最適発電を得るために、両端に設置されている可動式のユニバーサルジョイント25が最適な位置に移動する。
【0027】
従来の水力発電方法においては、1種類の発電しか行われていなかった。そこで、本発明にあっては2段階方式とし、2種類の発電を行うことが出来る。第1段階は、取付け架台18aに取着された支持台9に軸支された低速回転出力軸21aと、永久磁石発電機29が、連結軸27と前記連結軸27の両端に可動式のユニバーサルジョイント25を設置し発電を行い、この電力を用いてPL法の観点からカバーを設置するので、降雪時の消雪と操作盤の電源や誘導発電機の励磁電源に充て、第2段階は、取付け架台18aに取着された支持台9に軸支された高速回転出力軸21bと誘導発電機30が連結軸27と前記連結軸27の両端に可動式のユニバーサルジョイント25を設置し発電を行う。
【0028】
上述した本発明の実施形態では、回転伝達手段としてプーリとベルトを用いたものを使用しているが、水車の回転を確実に発電機に伝達可能なものであれば、これに限られることはなく、例えば、スプロケットとチェーンを用いた回転伝達装置も同様に用いることが出来る。
【0029】
尚、本発明は上記実施形態に何等制限されるものではなく、必要に応じて各構成要素を適宜設計変更することが出来る。
【実施例】
【0030】
以下、水力発電装置を用いた場合の具体的例について説明する。水車2のドラムの径を68cm、πを3.14159、シングルプーリ22の径;5cmを(変速比1)として、シングルプーリ16;10cm(変速比2)、トリプルプーリ17;40cm、5cm、40cm(変速比8:1:8)、ダブルプーリ23;40cm、5cm(変速比8:1)、ダブルプーリ4;40cm、40cm(変速比8:8)、シングルプーリ3;40cm(変速比8)として、ダブルプーリ4が1回転すると、トリプルプーリ17が8回転し、シングルプーリ22が64回転し、シングルプーリ16が32回転する。水流の速度を7km/hと仮定して、計算すると
水車2の回転数(毎分);7000÷π÷0.68÷60=54.612rpm
シングルプーリ22の回転数;54.612×64=3495.168rpm
シングルプーリ16の回転数;54.612×32=1747.584rpm
上記の計算結果により特別な発電機ではなく、市販の廉価な発電機の使用を可能にした。
【0031】
用水路における流水エネルギを利用した電力発生装置、方法であったが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、他の最良の実施形態例として、図3、図4に示す通り取付け架台8を延長することにより、河川にも利用可能であり、回転伝達装置と発電機を上流側から見て右側へ設置すれば、河川の両岸に設置することも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態を示す水車発電装置Aの基本構造斜視図
【図2】本発明全体斜視図
【図3】参考図、河川改修された所に設置した全体斜視図
【図4】参考図、河川の水の一部を取水して発電するように設置した全体斜視図
【図5】ユニバーサルジョイント25の部品斜視図
【図6】ベアリングを円盤に配置した部品斜視図
【符号の説明】
1 ベアリング付円盤
2 水車
3 シングルプーリ
4 ダブルプーリ
5 連結装置
6 整流板
7 アーム
8 取付け架台
9 支持台
10 ベルト
11 ベルト
12 軸
13a 水車本体
13b 水車本体
13c 水車本体
13d 水車本体
14 支持台
15 軸
16 シングルプーリ
17 トリプルプーリ
18a 取付け架台
18b 取付け架台
19 ベルト
20 ベルト
21a 低速回転出力軸
21b 高速回転出力軸
22 シングルプーリ
23 ダブルプーリ
24a 出力軸
24b 出力軸
24c 軸
25 可動式ユニバーサルジョイント
26 浮上がり防止スプリング
27 連結軸
28 ベルト
29 永久磁石発電機
30 誘導発電機
31 ベアリング
32 用水路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4台の水車本体は浮力体を内包させた水車と、ベアリングを具備した両側の円盤と一端に前記水車が取着されたアームと、前記アームを配置する為の支持台と、2台の前記水車を1セットとして同時に連動するようにした連結手段と、前記2台の連結した水車を連動させる回転伝達手段と、出力軸の左右に配置した前記連結した1セットずつの前記水車を連動する回転伝達手段と、2種類の回転数を同時に発生可能とした回転手段と、低速回転出力軸と永久磁石発電機間の回転伝達手段と、高速回転出力軸と誘導発電機間の回転伝達手段として、連結軸と前記連結軸の両端に可動式のユニバーサルジョイントとを具備することを特徴とする水車発電装置。
【請求項2】
請求項1記載の水車発電装置において、さらに、整流板と、前記水車の位置を調整可能とする弾性体とを具備することを特徴とする水車発電装置。
【請求項3】
前記アームの両端には支持手段が取着されており、前記支持手段を支点として前記アームと前記支持台との間にて回動自在に支持されていることを特徴とする請求項1記載の水車発電装置。
【請求項4】
水流に対して発電用の水車を4台配置し、この水車の回転により発電を行う水車発電方法において、前記水流の流量増減に応じて前記水車位置を調整することを特徴とする水車発電方法。
【請求項5】
水流に対して発電用の水車を4台配置し、この水車の回転により発電を行う水車発電方法において、前記水流の流量が減少して水車が着床した場合には、両側に設置されている円盤の回転が止まり前記水車に取着している羽の破損を防止し、前記水車を単独で回転させ発電し、前記水流の流量が増大した場合には、前記支持台に設置されている前記弾性体が、前記水車の浮上りを防止し、前記水車の両側に設置されている円盤が水流を逃がさない壁体の役目をしながら共に回転し発電を行うことを特徴とする水車発電方法。
【請求項6】
前記水車が4台連動して発電を行う方法において、前記4台の水車によって変換された水のエネルギを回転伝達手段によって1箇所に集積され、前記集積されたエネルギで2種類の発電を行うため、2箇所に設置した出力軸と発電機間を連結した前記連結軸と前記連結軸の両端に可動式のユニバーサルジョイントを回転伝達手段として設置し発電を行うことを特徴とする請求項4記載の水車発電方法。
【請求項7】
前記水車が4台連動して発電を行う方法において、前記2箇所に設置した出力軸を回転手段として発電方法を2段階方式とし、第1段階は、低速回転出力軸に、永久磁石発電機を連結し、降雪時の消雪と操作盤の電源や、誘導発電機の励磁電源に充て、第2段階は、高速回転出力軸に安定した電力を発電する前記誘導発電機を連結し発電を行うことを特徴とする請求項5記載の水車発電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−137439(P2011−137439A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12571(P2010−12571)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【出願人】(510021465)
【Fターム(参考)】