水銀原子吸光分析装置および水銀分析システム
【課題】長光路長と短光路長とのフローセルを設け、広いダイナミックレンジ測定において正確さと精度を向上させる水銀原子吸光分析装置を提供する。
【解決手段】水銀原子吸光分析装置は、水銀ランプ1の光線を第1ビーム21および第2ビーム22に分割する第1ビームスプリッタ3と、第2ビーム22を第3ビーム23および第4ビーム24に分割する第2ビームスプリッタ4と、第1ビーム21が通過する第1フローセル5と、第1ビームの光強度を検出する第1検出器7と、第1フローセル5とともに測定ガス流路10を形成して、第1フローセル5の光路長と異なる光路長を有し、第3ビーム23および測定ガスSが通過する第2フローセル6と、第3ビームの光強度を検出する測定側の第2検出器8と、第4ビームの光強度を検出する参照側の検出器9とを備え、各検出器の出力信号に基づいて測定ガスS中の水銀を定量手段15により定量する。
【解決手段】水銀原子吸光分析装置は、水銀ランプ1の光線を第1ビーム21および第2ビーム22に分割する第1ビームスプリッタ3と、第2ビーム22を第3ビーム23および第4ビーム24に分割する第2ビームスプリッタ4と、第1ビーム21が通過する第1フローセル5と、第1ビームの光強度を検出する第1検出器7と、第1フローセル5とともに測定ガス流路10を形成して、第1フローセル5の光路長と異なる光路長を有し、第3ビーム23および測定ガスSが通過する第2フローセル6と、第3ビームの光強度を検出する測定側の第2検出器8と、第4ビームの光強度を検出する参照側の検出器9とを備え、各検出器の出力信号に基づいて測定ガスS中の水銀を定量手段15により定量する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定ガスを流して測定ガス中の水銀を測定するフローセルを2つ有する水銀原子吸光分析装置および水銀分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子吸光分析法による水銀分析装置は、長年にわたり環境分析や品質管理分析などで広く使用されている。河川水などの分析では還元気化法を用いた装置、ゴミ焼却炉の煙突から排出される排ガスの分析では、排ガス中の水銀をオンラインで測定する装置(特許文献1)、固体試料の分析では、空気ポンプで所定流量の空気を流しながら、試料容器に入れられた試料を試料加熱炉で加熱分解し、試料から発生した水銀を水銀捕集管で捕集して測定する水銀原子吸光分析装置などがある。
【0003】
このように分析される試料は多種多様であり、試料の水銀含有量は広範囲にわたっている。そのため、試料中の水銀を低濃度から高濃度まで広いダイナミックレンジで測定可能な装置が望まれている。
【0004】
そこで、試料中の水銀をpg(ピコグラム)からμg(マイクログラム)オーダまでの広い範囲にわたって測定する装置として、図16に示す水銀原子吸光分析装置がある。この従来の第1の水銀原子吸光分析装置500は、水銀ランプ1と、低濃度を測定するための第1フローセル5と、高濃度を測定するための光路が第1フローセル5よりも短い第2フローセル6と、水銀ランプ1から放射されて第1フローセル5の通過後に第2フローセル6を通過する分析線の光強度を検出する第1検出器507とを備える。第1フローセル5は内径10mm×長さ200mmの円筒、第2フローセル6は内径10mm×長さ10mmの円筒である。
【0005】
そして、測定ガスSが流れるガス流路の一部として第1フローセル5と第2フローセル6との間に測定ガスSを滞留するための内径10mm×長さ200mmの円筒のバッファタンク520を設け、第1フローセル5に測定ガスが到達する時刻と第2フローセル6に測定ガスが到達する時刻との間に時間差を設けて、測定ガスSが第1フローセル5を通過する時刻に第1検出器(光電管)507によって検出される光強度信号と第2フローセル6を通過する時刻に検出される光強度信号とを時間的に分離することによって、第1フローセル5によって測定されたピークプロファイルと第2フローセル6によって測定されたピークプロファイルとを分離している。このように低濃度測定用の第1フローセル5によるピークプロファイルと高濃度測定用の第2フローセル6によるピークプロファイルとを分離して広いダイナミックレンジで測定している。
【0006】
また、水銀ランプ1から放射された光線は、レンズ2で集光されて石英板のハーフミラーであるビームスプリッタ503に入射し、ビームスプリッタ503を透過して水銀量を検出するための第1フローセル5に入射する測定光521と、ビームスプリッタ503によって反射されて第2検出器509に入射する参照光522とに分割される。参照光522は、いわゆるダブルビーム測光のために、すなわち、水銀ランプ1の光強度変動をモニターして第1検出器507での測定光強度との比に基づいて水銀ランプ1から放射される光強度変動を補償するために利用される。
【0007】
この水銀原子吸光分析装置500の動作について以下に説明する。測定ガスSはまず第1フローセル5を通過し、バッファタンク520を介して第2フローセル6に運ばれる。第1フローセル5内を測定ガスSが通過する間に第1検出器507で第1フローセル5を通過した光強度が第1の信号として検出され、バッファタンク520を通って流れが遅延した測定ガスSが第2フローセル6を通過したときの光強度がやはり第1検出器507で第2の信号として検出される。また、併せて、参照光522が第3の信号として第2検出器509で検出される。低濃度領域では、光路がより長く感度の高い第1フローセル5によって得られた第1の信号と参照光522の第3の信号との比が信号処理回路(図示なし)で処理され、高濃度領域では、第1の信号と第3の信号との比が飽和状態になっても、光路がより短く感度の低い第2フローセル6の第2の信号と第3の信号との比が信号処理回路で処理されることにより、ダイナミックレンジを広げている。
【0008】
また、従来の第2の水銀原子吸光分析装置として非特許文献1に記載されている装置がある。この水銀原子吸光分析装置600は、図19に示すように、上記の水銀原子吸光分析装置500と同様に第1フローセル5と第2フローセル6の間にバッファタンク620を備えている。そして、第1フローセル5よりもさらに光路が長い第3フローセル610を備え、ダイナミックレンジをいっそう拡大している。この装置600では、水銀ランプ1の分析線は水銀ランプ1の2箇所の光線放射窓601、602から第1フローセル5と第3フローセル610に入射し、第1および第2フローセルを通過した光線の強度が第1検出器607で検出され、第3フローセルを通過した光線の強度が第2検出器608で検出される。なお、この水銀原子吸光分析装置600は、水銀ランプ1の同一個所から放射される分析線を測定光と参照光に分割して参照光をモニターする構成にはなっておらず、水銀ランプ1の光強度の変動を補償することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−33434号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】“NEW PRODUCT RELEASE Milestone Tri−cell DMA−80”,(イタリア国), MILESTONE SRL
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それぞれ20ng(ナノグラム)、500ng、1000ngの水銀を含有する測定ガスを従来の第1の水銀原子吸光分析装置500で測定したピークプロファイルを図17に示す。このピークプロファイルによると、20〜500ngまでは第1フローセルのピークプロファイルと第2フローセルのピークプロファイルとは分離できているが、1000ngでは第1フローセルのピークプロファイルと第2フローセルのピークプロファイルとが重なり、それぞれのピークプロファイルが分離できていない。水銀原子吸光分析法ではピークプロファイルの積分値が信号強度としてよく用いられるが、ピークプロファイル同士が重なると各ピークプロファイルを個別に積分することができなくなる。さらに、中濃度の測定ガスを測定した場合、図18に示すように、第1フローセルのピークのテーリングにより第2フローセルの見かけのピークが大きくなり、正確な水銀量の測定が困難になることもある。したがって、広いダイナミックレンジで精度の良い測定ができないという問題があった。加えて、バッファタンクを設けることにより測定時間が長くなるとともに、装置全体が大きくなるという問題もあった。3つのフローセルを備えた従来の第2の水銀原子吸光分析装置600でも同様の問題が生じる。
【0012】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、広いダイナミックレンジ測定において水銀分析の正確さと精度を向上させ、かつコンパクトで測定時間を短縮できる水銀原子吸光分析装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の水銀原子吸光分析装置は、水銀の分析線の光線を放射する水銀ランプと、前記水銀ランプから放射される光線を第1ビームおよび第2ビームに分割する第1ビームスプリッタと、前記第2ビームを第3ビームおよび第4ビームに分割する第2ビームスプリッタと、前記第1ビームおよび測定ガスが通過する第1フローセルと、前記第1フローセルを通過した第1ビームの光強度を検出する測定側の第1検出器と、前記第1フローセルとともに測定ガス流路を形成して前記第1フローセルの下流側に配置され、前記第1フローセルの光路長と異なる光路長を有し、前記第3ビームおよび測定ガスが通過する第2フローセルと、前記第2フローセルを通過した第3ビームの光強度を検出する測定側の第2検出器と、前記第4ビームの光強度を検出する参照側の検出器と、前記測定側の第1検出器で検出された光強度と前記参照側の検出器で検出された光強度との比および前記測定側の第2検出器で検出された光強度と前記参照側の検出器で検出された光強度との比に基づいて、前記測定ガス流路に流された測定ガス中の水銀を定量する定量手段とを備える。
【0014】
本発明の装置によれば、低濃度測定用第1フローセルと高濃度測定用第2フローセルとの間にバッファタンクを備えないコンパクトな構成で、第1フローセルの測定と第2フローセルの測定をそれぞれに対応した検出器で同時に行うことにより、測定時間を短縮するとともに、第1フローセルによるピークと第2フローセルによるピークとの重なりをなくし、さらに第1フローセル、第2フローセルともにダブルビーム測光によって水銀ランプから放射される光線の強度変動を補償するので、広いダイナミックレンジ測定において水銀分析の正確さと精度を向上させることができる。
【0015】
本発明の水銀原子吸光分析装置において、前記第1ビームスプリッタでの前記第1ビームと前記第2ビームとの分割比率が1:1であり、前記第2ビームスプリッタでの前記第3ビームと前記第4ビームとの分割比率が1:1であることが好ましい。この構成により、測定光である第1ビームおよび第3ビームと、参照光である第4ビームとが同程度の光強度になり安定したダブルビーム測光を行うことができ、水銀分析の正確さと精度をより向上させることができる。
【0016】
本発明の水銀分析システムは、本発明の水銀原子吸光分析装置と、試料中の水銀を気化させて測定ガスとして水銀原子吸光分析装置に導入する水銀気化装置とを備える。
【0017】
本発明の水銀分析システムによれば、本発明の水銀原子吸光分析装置を備えているので、本発明の水銀原子吸光分析装置と同様の作用・効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態である水銀分析システムの概略ブロック図である。
【図2】同システムの水銀原子吸光分析装置の概略ブロック図である。
【図3】同装置のビームスプリッタであるハーフミラーの上面図である。
【図4】同装置の変形例のハーフミラーの上面図である。
【図5】同装置のさらなる変形例のハーフミラーの上面図である。
【図6】同装置で測定した測定信号のプロファイルである。
【図7】同装置で測定した測定信号の拡大プロファイルである。
【図8】同装置で測定可能な水銀量の範囲を示す図である。
【図9】同装置の第1フローセルで測定した検量線を示す図である。
【図10】同装置の第1フローセルで測定したピークプロファイルである。
【図11】同装置で測定した1次式検量線を示す図である。
【図12】同装置で測定した3次式検量線を示す図である。
【図13】同装置でビームスプリッタとして無蒸着の石英板を用いた場合のベースラインを示す図である。
【図14】同装置で別のビームスプリッタを用いた場合のベースラインを示す図である。
【図15】同装置のビームスプリッタの変形例の側面図である。
【図16】従来の水銀原子吸光分析装置の概略ブロック図である。
【図17】同装置で測定した測定信号のプロファイルである。
【図18】同装置で測定した他の測定信号のプロファイルである。
【図19】他の従来の水銀原子吸光分析装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1に示す本発明の実施形態である水銀分析システムについて説明する。本水銀分析システム120は、試料中の水銀を気化させて測定ガスSとする水銀気化装置200と、水銀気化装置200によって気化された測定ガスSを導入して測定する水銀原子吸光分析装置100とで構成されている。
【0020】
水銀気化装置200は、例えば、試料である煙道排ガス中の水銀を捕集した活性炭C
を加熱分解して水銀ガスを生成する加熱分解部210と、生成された水銀ガスを運ぶキャリアガスGとともに運ばれてくる水分を除去する除湿器202と、加熱分解部210によって生成された水銀ガスを捕集する水銀捕集ユニット204と、水銀捕集ユニット204を加熱して水銀ガスを生成する加熱気化部205と、加熱分解部210の試料投入口213から除湿器202までのキャリアガスGの流路である第1の配管216と、除湿器202から水銀捕集ユニット204までの第2の配管203と、キャリアガスGの流量を制御するキャリアガス制御手段206とを備えている。
【0021】
加熱分解部210は、試料中の水銀を捕集した活性炭Cを収容する、例えばセラミック製である試料容器212と、試料容器212に収容された活性炭Cを加熱する試料加熱炉211と、活性炭Cが試料加熱炉211によって加熱されることにより生成される2価水銀を金属水銀に還元する触媒炉214と、活性炭Cが試料加熱炉211によって加熱されることにより生成される硫黄やハロゲンを捕集して除去するハロゲン除去炉215とを有する。
【0022】
水銀捕集ユニット204の充填材としては、例えば金属水銀と反応してアマルガムを生成する金や銀などの粒状体や、ウール状細線、多孔質担体の表面に金や銀などをコーティングしたものなどが用いられる。加熱気化部205は、加熱分解部210によって生成された水銀を捕集する水銀捕集ユニット204を加熱炉内に収容しており、水銀捕集ユニット204を加熱して、捕集された水銀を気化させる。キャリアガス制御手段206は、キャリアガス供給手段(図示なし)から供給されるキャリアガスGをキャリアガスGの導入部である試料加熱炉211の試料投入口213から吸引するためのポンプ261と、キャリアガスGの流量を制御する流量計262とを有する。
【0023】
水銀気化装置200は、上記した装置に限らず、試料容器に採取された固体や液体の試料を加熱炉で加熱して試料中の水銀を気化させて測定ガスを生成する装置であってもよい。
【0024】
水銀気化装置200は還元気化装置であってもよい。還元気化装置は、液体試料に還元剤を投入し空気でバブリングすることによって液体試料中の水銀を還元気化させて測定ガスを生成する。
【0025】
図2に示すように、水銀原子吸光分析装置100は、水銀の分析線である波長253.7nmの紫外線を放射する水銀ランプ1と、レンズ2を透過した水銀ランプ1から放射される紫外線20を第1ビーム21と第2ビーム22に分割するハーフミラーである第1ビームスプリッタ3と、第1ビーム21が通過する第1フローセル5と、第1フローセル5を通過した第1ビーム21の光強度を検出する光電管である測定側の第1検出器7と、第2ビーム22を第3ビーム23および第4ビーム24に分割するハーフミラーである第2ビームスプリッタ4と、第1フローセル5の光路よりも短い光路を有する第2フローセル6と、第2フローセル6を通過した第3ビーム23の光強度を検出する光電管である測定側の第2検出器8と、第4ビーム24の光強度を検出する光電管である参照側の検出器9とを備える。第2フローセル6は、第1フローセル5とともに測定ガス流路10を形成して第1フローセル5の下流側に配置されている。
【0026】
さらに、水銀原子吸光分析装置100は、測定ガスSが測定ガス流路10を通過したときに、測定側の第1検出器7で検出された光強度と参照側の検出器9で検出された光強度との比31および測定側の第2検出器8で検出された光強度と参照側の検出器9で検出された光強度との比32に基づいて、測定ガス流路10に流された測定ガスS中の水銀を定量する定量手段15を備える。また、各検出器7、8、9と定量手段15の間には、各検出器に対応した第1、第2、第3電流−電圧変換器11、12、13と、信号処理回路14とを備えている。
【0027】
水銀ランプ1は原子吸光分析に通常使用される水銀ランプや水銀中空陰極ランプである。第1および第2フローセル5、6は、測定ガスSである気化水銀のフローセルへの導入口と排出口とを備える円筒形状のフローセル本体を有するとともに、このフローセル本体の円筒の両端に分析線である波長253.7nmの紫外線を入射させる、例えば溶融石英で製作された入射窓と出射窓とを有している。第1フローセル5は低濃度測定用であり、第2フローセル6は第1フローセル5よりも光路が短く、高濃度測定用である。第1フローセル5と第2フローセル6の光路長の比率は、50:1〜300:1が好ましく、150:1〜250:1がより好ましい。例えば、第1フローセル5は、内径100mm、光路長200mmの円筒であり、第2フローセル6は、内径100mm、光路長1mmの円筒である。
【0028】
第1ビームスプリッタ3は、水銀ランプ1から放射される光線を、透過光である第1ビーム21と反射光である第2ビーム22とに1:1の比率で分割し、第2ビームスプリッタ4は、第2ビーム22を、透過光である第3ビーム23と反射光である第4ビーム24とに1:1の比率で分割する。第1および第2ビームスプリッタ3、4は同じハーフミラーで、例えば図3に示すように表面にストライプ状にアルミニウムが蒸着された厚さ1mmの石英板である。なお、図3のストライプ状に限らず、図4に示す格子状または図5に示す水玉状にアルミニウム蒸着されたハーフミラーでも、誘電体多層膜を片面にコートしたハーフミラーでもよい。
【0029】
次に、本実施形態の水銀分析システムの動作について説明する。図1の水銀原子吸光分析装置100の電源が入れられると、水銀ランプ1が点灯し、第1フローセル5の入射窓に第1ビーム21が照射され、第1フローセル5を透過し出射窓から出射した第1ビーム21の光強度を第1検出器7で検出し、生じた電流を第1電流−電圧変換器11で電圧に変換して第1信号として出力し、その第1信号が信号処理回路14に入力される。同時に、第2フローセル6の入射窓に第3ビーム23が照射され、第2フローセル6を透過し出射窓から出射した第3ビーム23の光強度を第2検出器12で検出し、生じた電流を第2電流−電圧変換器12で電圧に変換して第2信号として出力し、その第2信号が信号処理回路14に入力される。一方、第4ビーム24の光強度を第3検出器9で検出し、生じた電流を第3電流−電圧変換器13で電圧に変換して第3信号として出力し、その第3信号が信号処理回路14に入力され、信号処理回路14で第1信号と第3信号との比31および第2信号と第3信号との比32の信号にされて定量手段15に入力される。
【0030】
図1において、試料中の水銀を捕集した活性炭Cが試料容器212に収容され、その試料容器212が加熱気化装置200に挿入される。加熱気化装置200の加熱分解部210によって活性炭Cが加熱分解されると、捕集されていた水銀がガス状となって水銀捕集ユニット204に捕集される。捕集ユニット204が加熱気化部205によって加熱され、捕集ユニット204から気化した水銀ガスが測定ガスSとして、流量0.2l/min.に調整されたキャリアガスGによって図2の水銀原子吸光分析装置100の測定ガス流路10に導入され、測定ガスSが第1フローセル5、第2フローセル6の順に流れる。第1、第2フローセル5,6に測定ガスSが流れると、測定ガスS中の水銀によって、第1、第2フローセル5,6を通過している分析線の紫外線が吸光されて、それらの光強度が減少する。信号処理回路14で各信号が処理され、第1信号/第3信号31および第2信号/第3信号32は、一般に、図6に第1フローセルのピーク、第2フローセルのピークとしてそれぞれのプロファイルを示すように、各信号強度は上昇して極大値に達し、その後下降する。測定ガスSが測定ガス流路10に導入されると、測定が開始され信号強度の立下りまで信号強度が積分される。求められた積分値が定量手段15に入力されて試料中の水銀が定量される。
【0031】
本実施形態の水銀原子吸光分析装置100を用いて、5ngの水銀を測定したときの第1フローセル5(セル長 200mm)と第2フローセル6(セル長 1mm)とのピークプロファイルを図7に示す。図7では、第2フローセル6のピークを明確に示すためにスケールを拡大して表示しているので、第1フローセル5のピークプロファイルの上部がカットされている。
【0032】
第2フローセルで5ngの水銀を5回繰り返して測定したときに検出された水銀量と測定値のばらつきの程度を表すCV値(変動係数)を下表に示す。CV値は1.50%であり、精度の良い測定結果が得られている。
【0033】
【表1】
【0034】
図8に、この水銀原子吸光分析装置100による水銀量の測定可能範囲を示す。2pgから10ngまでは第1フローセル5によって、5ngから2000ng(2μg)までは第2フローセル6によって検量線のリニアリティがあり、ほぼ7桁の範囲で検量線のリニアリティを確保することができた。3次式の検量線を用いると、ほぼ8桁の範囲まで測定が可能である。5ngから10ngまでは第1、第2フローセル5、6いずれでも測定可能な領域である。
【0035】
図9〜12はこの水銀原子吸光分析装置100によって得られた測定結果を示す。図9は第1フローセル5によって得られた水銀量0〜10ngまでの検量線を示す。図10は水銀量2、4、6、10ngについて第1フローセル5で測定したピークプロファイルを示す。図11は第2フローセル6によって得られた0〜2000ngまでの検量線を示す。図12は第2フローセル6によって得られた0〜25000ngまでの検量線を示す。2000ng以上の領域は3次式近似の検量線を用いることで25000ngまでの水銀量が測定可能である。図9、11および12に示す検量線において、横軸が水銀量、縦軸がピークプロファイルを時間積分した値を示している。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の水銀原子吸光分析装置100は、2pg〜2000ngまでで検量線のリニアリティがあり、3次式近似式の検量線を用いることで25000ngまでの広範囲の水銀測定が可能であり、第1、第2フローセルの水銀原子吸光信号をそれぞれ独立に測定しているので、それぞれのプロファイルの積分値を個別に正確に求めることができる。また、従来技術のようなバッファタンクを使用する必要がないので、光学系のコンパクト化が図れ、さらに第1、第2フローセルのピークプロファイルを同時に測定することができ、測定時間の短縮化が図れる。
【0037】
次に、本実施形態の水銀原子吸光分析装置100において、第1ビームスプリッタ3および第2ビームスプリッタ4の透過光と反射光の比率の違いによる測定データのノイズレベルについて実験した結果を説明する。水銀原子吸光分析装置100で重要なことは、低濃度測定用の第1フローセル3の測定上限と、高濃度測定用の第2フローセル4の測定下限とがオーバーラップしていることであり、第2フローセル4での5ng付近の測定精度が十分に得られることが要求される。測定の検出下限値は吸光度プロファイルのベースラインのノイズレベルに依存し、ノイズレベルが小さいほど、より低濃度まで測定が可能となる。第1および第2ビームスプリッタ3、4として厚さ1mmの無蒸着の石英板を用いたときの第2フローセル4のベースラインプロファイルを図13に示す。図13に示すように、ノイズレベルがAbs.(吸光度)約0.0004である。第2フローセルでの5ngの信号強度はAbs.約0.0007であり、この状態で5ngを測定するとよい精度が得られず、低濃度範囲と高濃度範囲との連続した測定においてもよい精度が得られない。
【0038】
無蒸着の石英板を用いたときにノイズが大きくなっている原因は、分析線である紫外線の透過率が高く反射率が低いために、第1フローセル5に入射する光量に比較して第2フローセル6に入射する光量が低すぎたためと考えられる。具体的には、水銀ガスが流れていない状態での第1フローセル5側の第1電流−電圧変換器11に流れる光電流が、約200nAであるのに対して、第2フローセル6側の第2電流−電圧変換器12に流れる電流は、その1/50の4nAであった。これは、オペアンプ等を用いた電流−電圧変換器は、信号電流が小さくなると外部からの電磁ノイズなどの影響を受けやすいという特性を持っているので、第2フローセル6を透過する光量が少なく第2電流−電圧変換器12に流す光電流が小さいと、ベースラインのノイズが大きくなることによる。
【0039】
第2検出器8に入射する光量を上げるための手段として、図3に示すような石英板の片面にストライプ状にアルミニウム蒸着し、透過部(蒸着のない部分)の面積と反射部(蒸着した部分)の面積を約1:1にしたハーフミラーを第1と第2ビームスプリッタに用いた。反射率を向上させたハーフミラーをビームスプリッタとして用いることで第2フローセル6に入射する光量を約10倍に増加させることができた。透過部の面積と反射部の面積を約1:1にしたハーフミラーは、第1ビームと第2ビームとに1:1の比率で分割し、第3ビームと第4ビームとに1:1の比率で分割する。分割比率1:1のハーフミラーを第1、第2ビームスプリッタとした水銀原子吸光分析装置100のベースラインのプロファイルを図14に示す。図13のノイズレベルに比較して大きく改善していることが分かる。このようにビームスプリッタの透過光と反射光のビーム分割比率を1:1にすることによって、無蒸着の石英板に比べてベースラインのノイズと安定性を大幅に改善することができ、低濃度範囲の測定上限と高濃度範囲の測定下限とがオーバーラップして精度よく測定できるようになった。
【0040】
本実施形態で説明したように、本発明の水銀原子吸光分析装置100は、低濃度測定用第1フローセル5と高濃度測定用第2フローセル6との間にバッファタンクを備えないコンパクトな構成で、第1フローセル5の測定と第2フローセル6の測定をそれぞれに対応した検出器7、8で同時に行うことにより、測定時間を短縮するとともに、第1フローセル5によるピークと第2フローセル6によるピークとの重なりをなくし、さらに第1フローセル5、第2フローセル6ともにダブルビーム測光によって水銀ランプ1から放射される光線の強度変動を補償するので、広いダイナミックレンジ測定において水銀分析の正確さと精度を向上させることができる。
【0041】
なお、本発明の実施形態ではビームスプリッタとしてハーフミラーを用いたが、ハーフミラーに限らず、図15に示すように水銀ランプの光線20を第1ビーム21と第2ビーム22に分割する楔型のビームスプリッタ703や、貫通孔で形成された透過部とミラーで形成された反射部とを交互に円周に沿って連続して有している回転セクタ(図示せず)などであってもよい。第1、第2および第3検出器は、253.7nmの水銀の分析線を検出することができる光電子増倍管であってもよい。本発明の実施形態では、第1フローセル5は光路が第2フローセル6よりも長い低濃度測定用であり、第2フローセル6は光路が第1フローセル5よりも短い高濃度測定用であったが、その逆であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 水銀ランプ
3 第1ビームスプリッタ
4 第2ビームスプリッタ
5 第1フローセル
6 第2フローセル
7 第1検出器
8 第2検出器
9 参照側の検出器
10 測定ガス流路
15 定量手段
21 第1ビーム
22 第2ビーム
23 第3ビーム
24 第4ビーム
100 水銀原子吸光分析装置
120 水銀分析システム
200 水銀気化装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定ガスを流して測定ガス中の水銀を測定するフローセルを2つ有する水銀原子吸光分析装置および水銀分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子吸光分析法による水銀分析装置は、長年にわたり環境分析や品質管理分析などで広く使用されている。河川水などの分析では還元気化法を用いた装置、ゴミ焼却炉の煙突から排出される排ガスの分析では、排ガス中の水銀をオンラインで測定する装置(特許文献1)、固体試料の分析では、空気ポンプで所定流量の空気を流しながら、試料容器に入れられた試料を試料加熱炉で加熱分解し、試料から発生した水銀を水銀捕集管で捕集して測定する水銀原子吸光分析装置などがある。
【0003】
このように分析される試料は多種多様であり、試料の水銀含有量は広範囲にわたっている。そのため、試料中の水銀を低濃度から高濃度まで広いダイナミックレンジで測定可能な装置が望まれている。
【0004】
そこで、試料中の水銀をpg(ピコグラム)からμg(マイクログラム)オーダまでの広い範囲にわたって測定する装置として、図16に示す水銀原子吸光分析装置がある。この従来の第1の水銀原子吸光分析装置500は、水銀ランプ1と、低濃度を測定するための第1フローセル5と、高濃度を測定するための光路が第1フローセル5よりも短い第2フローセル6と、水銀ランプ1から放射されて第1フローセル5の通過後に第2フローセル6を通過する分析線の光強度を検出する第1検出器507とを備える。第1フローセル5は内径10mm×長さ200mmの円筒、第2フローセル6は内径10mm×長さ10mmの円筒である。
【0005】
そして、測定ガスSが流れるガス流路の一部として第1フローセル5と第2フローセル6との間に測定ガスSを滞留するための内径10mm×長さ200mmの円筒のバッファタンク520を設け、第1フローセル5に測定ガスが到達する時刻と第2フローセル6に測定ガスが到達する時刻との間に時間差を設けて、測定ガスSが第1フローセル5を通過する時刻に第1検出器(光電管)507によって検出される光強度信号と第2フローセル6を通過する時刻に検出される光強度信号とを時間的に分離することによって、第1フローセル5によって測定されたピークプロファイルと第2フローセル6によって測定されたピークプロファイルとを分離している。このように低濃度測定用の第1フローセル5によるピークプロファイルと高濃度測定用の第2フローセル6によるピークプロファイルとを分離して広いダイナミックレンジで測定している。
【0006】
また、水銀ランプ1から放射された光線は、レンズ2で集光されて石英板のハーフミラーであるビームスプリッタ503に入射し、ビームスプリッタ503を透過して水銀量を検出するための第1フローセル5に入射する測定光521と、ビームスプリッタ503によって反射されて第2検出器509に入射する参照光522とに分割される。参照光522は、いわゆるダブルビーム測光のために、すなわち、水銀ランプ1の光強度変動をモニターして第1検出器507での測定光強度との比に基づいて水銀ランプ1から放射される光強度変動を補償するために利用される。
【0007】
この水銀原子吸光分析装置500の動作について以下に説明する。測定ガスSはまず第1フローセル5を通過し、バッファタンク520を介して第2フローセル6に運ばれる。第1フローセル5内を測定ガスSが通過する間に第1検出器507で第1フローセル5を通過した光強度が第1の信号として検出され、バッファタンク520を通って流れが遅延した測定ガスSが第2フローセル6を通過したときの光強度がやはり第1検出器507で第2の信号として検出される。また、併せて、参照光522が第3の信号として第2検出器509で検出される。低濃度領域では、光路がより長く感度の高い第1フローセル5によって得られた第1の信号と参照光522の第3の信号との比が信号処理回路(図示なし)で処理され、高濃度領域では、第1の信号と第3の信号との比が飽和状態になっても、光路がより短く感度の低い第2フローセル6の第2の信号と第3の信号との比が信号処理回路で処理されることにより、ダイナミックレンジを広げている。
【0008】
また、従来の第2の水銀原子吸光分析装置として非特許文献1に記載されている装置がある。この水銀原子吸光分析装置600は、図19に示すように、上記の水銀原子吸光分析装置500と同様に第1フローセル5と第2フローセル6の間にバッファタンク620を備えている。そして、第1フローセル5よりもさらに光路が長い第3フローセル610を備え、ダイナミックレンジをいっそう拡大している。この装置600では、水銀ランプ1の分析線は水銀ランプ1の2箇所の光線放射窓601、602から第1フローセル5と第3フローセル610に入射し、第1および第2フローセルを通過した光線の強度が第1検出器607で検出され、第3フローセルを通過した光線の強度が第2検出器608で検出される。なお、この水銀原子吸光分析装置600は、水銀ランプ1の同一個所から放射される分析線を測定光と参照光に分割して参照光をモニターする構成にはなっておらず、水銀ランプ1の光強度の変動を補償することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−33434号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】“NEW PRODUCT RELEASE Milestone Tri−cell DMA−80”,(イタリア国), MILESTONE SRL
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それぞれ20ng(ナノグラム)、500ng、1000ngの水銀を含有する測定ガスを従来の第1の水銀原子吸光分析装置500で測定したピークプロファイルを図17に示す。このピークプロファイルによると、20〜500ngまでは第1フローセルのピークプロファイルと第2フローセルのピークプロファイルとは分離できているが、1000ngでは第1フローセルのピークプロファイルと第2フローセルのピークプロファイルとが重なり、それぞれのピークプロファイルが分離できていない。水銀原子吸光分析法ではピークプロファイルの積分値が信号強度としてよく用いられるが、ピークプロファイル同士が重なると各ピークプロファイルを個別に積分することができなくなる。さらに、中濃度の測定ガスを測定した場合、図18に示すように、第1フローセルのピークのテーリングにより第2フローセルの見かけのピークが大きくなり、正確な水銀量の測定が困難になることもある。したがって、広いダイナミックレンジで精度の良い測定ができないという問題があった。加えて、バッファタンクを設けることにより測定時間が長くなるとともに、装置全体が大きくなるという問題もあった。3つのフローセルを備えた従来の第2の水銀原子吸光分析装置600でも同様の問題が生じる。
【0012】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、広いダイナミックレンジ測定において水銀分析の正確さと精度を向上させ、かつコンパクトで測定時間を短縮できる水銀原子吸光分析装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の水銀原子吸光分析装置は、水銀の分析線の光線を放射する水銀ランプと、前記水銀ランプから放射される光線を第1ビームおよび第2ビームに分割する第1ビームスプリッタと、前記第2ビームを第3ビームおよび第4ビームに分割する第2ビームスプリッタと、前記第1ビームおよび測定ガスが通過する第1フローセルと、前記第1フローセルを通過した第1ビームの光強度を検出する測定側の第1検出器と、前記第1フローセルとともに測定ガス流路を形成して前記第1フローセルの下流側に配置され、前記第1フローセルの光路長と異なる光路長を有し、前記第3ビームおよび測定ガスが通過する第2フローセルと、前記第2フローセルを通過した第3ビームの光強度を検出する測定側の第2検出器と、前記第4ビームの光強度を検出する参照側の検出器と、前記測定側の第1検出器で検出された光強度と前記参照側の検出器で検出された光強度との比および前記測定側の第2検出器で検出された光強度と前記参照側の検出器で検出された光強度との比に基づいて、前記測定ガス流路に流された測定ガス中の水銀を定量する定量手段とを備える。
【0014】
本発明の装置によれば、低濃度測定用第1フローセルと高濃度測定用第2フローセルとの間にバッファタンクを備えないコンパクトな構成で、第1フローセルの測定と第2フローセルの測定をそれぞれに対応した検出器で同時に行うことにより、測定時間を短縮するとともに、第1フローセルによるピークと第2フローセルによるピークとの重なりをなくし、さらに第1フローセル、第2フローセルともにダブルビーム測光によって水銀ランプから放射される光線の強度変動を補償するので、広いダイナミックレンジ測定において水銀分析の正確さと精度を向上させることができる。
【0015】
本発明の水銀原子吸光分析装置において、前記第1ビームスプリッタでの前記第1ビームと前記第2ビームとの分割比率が1:1であり、前記第2ビームスプリッタでの前記第3ビームと前記第4ビームとの分割比率が1:1であることが好ましい。この構成により、測定光である第1ビームおよび第3ビームと、参照光である第4ビームとが同程度の光強度になり安定したダブルビーム測光を行うことができ、水銀分析の正確さと精度をより向上させることができる。
【0016】
本発明の水銀分析システムは、本発明の水銀原子吸光分析装置と、試料中の水銀を気化させて測定ガスとして水銀原子吸光分析装置に導入する水銀気化装置とを備える。
【0017】
本発明の水銀分析システムによれば、本発明の水銀原子吸光分析装置を備えているので、本発明の水銀原子吸光分析装置と同様の作用・効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態である水銀分析システムの概略ブロック図である。
【図2】同システムの水銀原子吸光分析装置の概略ブロック図である。
【図3】同装置のビームスプリッタであるハーフミラーの上面図である。
【図4】同装置の変形例のハーフミラーの上面図である。
【図5】同装置のさらなる変形例のハーフミラーの上面図である。
【図6】同装置で測定した測定信号のプロファイルである。
【図7】同装置で測定した測定信号の拡大プロファイルである。
【図8】同装置で測定可能な水銀量の範囲を示す図である。
【図9】同装置の第1フローセルで測定した検量線を示す図である。
【図10】同装置の第1フローセルで測定したピークプロファイルである。
【図11】同装置で測定した1次式検量線を示す図である。
【図12】同装置で測定した3次式検量線を示す図である。
【図13】同装置でビームスプリッタとして無蒸着の石英板を用いた場合のベースラインを示す図である。
【図14】同装置で別のビームスプリッタを用いた場合のベースラインを示す図である。
【図15】同装置のビームスプリッタの変形例の側面図である。
【図16】従来の水銀原子吸光分析装置の概略ブロック図である。
【図17】同装置で測定した測定信号のプロファイルである。
【図18】同装置で測定した他の測定信号のプロファイルである。
【図19】他の従来の水銀原子吸光分析装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1に示す本発明の実施形態である水銀分析システムについて説明する。本水銀分析システム120は、試料中の水銀を気化させて測定ガスSとする水銀気化装置200と、水銀気化装置200によって気化された測定ガスSを導入して測定する水銀原子吸光分析装置100とで構成されている。
【0020】
水銀気化装置200は、例えば、試料である煙道排ガス中の水銀を捕集した活性炭C
を加熱分解して水銀ガスを生成する加熱分解部210と、生成された水銀ガスを運ぶキャリアガスGとともに運ばれてくる水分を除去する除湿器202と、加熱分解部210によって生成された水銀ガスを捕集する水銀捕集ユニット204と、水銀捕集ユニット204を加熱して水銀ガスを生成する加熱気化部205と、加熱分解部210の試料投入口213から除湿器202までのキャリアガスGの流路である第1の配管216と、除湿器202から水銀捕集ユニット204までの第2の配管203と、キャリアガスGの流量を制御するキャリアガス制御手段206とを備えている。
【0021】
加熱分解部210は、試料中の水銀を捕集した活性炭Cを収容する、例えばセラミック製である試料容器212と、試料容器212に収容された活性炭Cを加熱する試料加熱炉211と、活性炭Cが試料加熱炉211によって加熱されることにより生成される2価水銀を金属水銀に還元する触媒炉214と、活性炭Cが試料加熱炉211によって加熱されることにより生成される硫黄やハロゲンを捕集して除去するハロゲン除去炉215とを有する。
【0022】
水銀捕集ユニット204の充填材としては、例えば金属水銀と反応してアマルガムを生成する金や銀などの粒状体や、ウール状細線、多孔質担体の表面に金や銀などをコーティングしたものなどが用いられる。加熱気化部205は、加熱分解部210によって生成された水銀を捕集する水銀捕集ユニット204を加熱炉内に収容しており、水銀捕集ユニット204を加熱して、捕集された水銀を気化させる。キャリアガス制御手段206は、キャリアガス供給手段(図示なし)から供給されるキャリアガスGをキャリアガスGの導入部である試料加熱炉211の試料投入口213から吸引するためのポンプ261と、キャリアガスGの流量を制御する流量計262とを有する。
【0023】
水銀気化装置200は、上記した装置に限らず、試料容器に採取された固体や液体の試料を加熱炉で加熱して試料中の水銀を気化させて測定ガスを生成する装置であってもよい。
【0024】
水銀気化装置200は還元気化装置であってもよい。還元気化装置は、液体試料に還元剤を投入し空気でバブリングすることによって液体試料中の水銀を還元気化させて測定ガスを生成する。
【0025】
図2に示すように、水銀原子吸光分析装置100は、水銀の分析線である波長253.7nmの紫外線を放射する水銀ランプ1と、レンズ2を透過した水銀ランプ1から放射される紫外線20を第1ビーム21と第2ビーム22に分割するハーフミラーである第1ビームスプリッタ3と、第1ビーム21が通過する第1フローセル5と、第1フローセル5を通過した第1ビーム21の光強度を検出する光電管である測定側の第1検出器7と、第2ビーム22を第3ビーム23および第4ビーム24に分割するハーフミラーである第2ビームスプリッタ4と、第1フローセル5の光路よりも短い光路を有する第2フローセル6と、第2フローセル6を通過した第3ビーム23の光強度を検出する光電管である測定側の第2検出器8と、第4ビーム24の光強度を検出する光電管である参照側の検出器9とを備える。第2フローセル6は、第1フローセル5とともに測定ガス流路10を形成して第1フローセル5の下流側に配置されている。
【0026】
さらに、水銀原子吸光分析装置100は、測定ガスSが測定ガス流路10を通過したときに、測定側の第1検出器7で検出された光強度と参照側の検出器9で検出された光強度との比31および測定側の第2検出器8で検出された光強度と参照側の検出器9で検出された光強度との比32に基づいて、測定ガス流路10に流された測定ガスS中の水銀を定量する定量手段15を備える。また、各検出器7、8、9と定量手段15の間には、各検出器に対応した第1、第2、第3電流−電圧変換器11、12、13と、信号処理回路14とを備えている。
【0027】
水銀ランプ1は原子吸光分析に通常使用される水銀ランプや水銀中空陰極ランプである。第1および第2フローセル5、6は、測定ガスSである気化水銀のフローセルへの導入口と排出口とを備える円筒形状のフローセル本体を有するとともに、このフローセル本体の円筒の両端に分析線である波長253.7nmの紫外線を入射させる、例えば溶融石英で製作された入射窓と出射窓とを有している。第1フローセル5は低濃度測定用であり、第2フローセル6は第1フローセル5よりも光路が短く、高濃度測定用である。第1フローセル5と第2フローセル6の光路長の比率は、50:1〜300:1が好ましく、150:1〜250:1がより好ましい。例えば、第1フローセル5は、内径100mm、光路長200mmの円筒であり、第2フローセル6は、内径100mm、光路長1mmの円筒である。
【0028】
第1ビームスプリッタ3は、水銀ランプ1から放射される光線を、透過光である第1ビーム21と反射光である第2ビーム22とに1:1の比率で分割し、第2ビームスプリッタ4は、第2ビーム22を、透過光である第3ビーム23と反射光である第4ビーム24とに1:1の比率で分割する。第1および第2ビームスプリッタ3、4は同じハーフミラーで、例えば図3に示すように表面にストライプ状にアルミニウムが蒸着された厚さ1mmの石英板である。なお、図3のストライプ状に限らず、図4に示す格子状または図5に示す水玉状にアルミニウム蒸着されたハーフミラーでも、誘電体多層膜を片面にコートしたハーフミラーでもよい。
【0029】
次に、本実施形態の水銀分析システムの動作について説明する。図1の水銀原子吸光分析装置100の電源が入れられると、水銀ランプ1が点灯し、第1フローセル5の入射窓に第1ビーム21が照射され、第1フローセル5を透過し出射窓から出射した第1ビーム21の光強度を第1検出器7で検出し、生じた電流を第1電流−電圧変換器11で電圧に変換して第1信号として出力し、その第1信号が信号処理回路14に入力される。同時に、第2フローセル6の入射窓に第3ビーム23が照射され、第2フローセル6を透過し出射窓から出射した第3ビーム23の光強度を第2検出器12で検出し、生じた電流を第2電流−電圧変換器12で電圧に変換して第2信号として出力し、その第2信号が信号処理回路14に入力される。一方、第4ビーム24の光強度を第3検出器9で検出し、生じた電流を第3電流−電圧変換器13で電圧に変換して第3信号として出力し、その第3信号が信号処理回路14に入力され、信号処理回路14で第1信号と第3信号との比31および第2信号と第3信号との比32の信号にされて定量手段15に入力される。
【0030】
図1において、試料中の水銀を捕集した活性炭Cが試料容器212に収容され、その試料容器212が加熱気化装置200に挿入される。加熱気化装置200の加熱分解部210によって活性炭Cが加熱分解されると、捕集されていた水銀がガス状となって水銀捕集ユニット204に捕集される。捕集ユニット204が加熱気化部205によって加熱され、捕集ユニット204から気化した水銀ガスが測定ガスSとして、流量0.2l/min.に調整されたキャリアガスGによって図2の水銀原子吸光分析装置100の測定ガス流路10に導入され、測定ガスSが第1フローセル5、第2フローセル6の順に流れる。第1、第2フローセル5,6に測定ガスSが流れると、測定ガスS中の水銀によって、第1、第2フローセル5,6を通過している分析線の紫外線が吸光されて、それらの光強度が減少する。信号処理回路14で各信号が処理され、第1信号/第3信号31および第2信号/第3信号32は、一般に、図6に第1フローセルのピーク、第2フローセルのピークとしてそれぞれのプロファイルを示すように、各信号強度は上昇して極大値に達し、その後下降する。測定ガスSが測定ガス流路10に導入されると、測定が開始され信号強度の立下りまで信号強度が積分される。求められた積分値が定量手段15に入力されて試料中の水銀が定量される。
【0031】
本実施形態の水銀原子吸光分析装置100を用いて、5ngの水銀を測定したときの第1フローセル5(セル長 200mm)と第2フローセル6(セル長 1mm)とのピークプロファイルを図7に示す。図7では、第2フローセル6のピークを明確に示すためにスケールを拡大して表示しているので、第1フローセル5のピークプロファイルの上部がカットされている。
【0032】
第2フローセルで5ngの水銀を5回繰り返して測定したときに検出された水銀量と測定値のばらつきの程度を表すCV値(変動係数)を下表に示す。CV値は1.50%であり、精度の良い測定結果が得られている。
【0033】
【表1】
【0034】
図8に、この水銀原子吸光分析装置100による水銀量の測定可能範囲を示す。2pgから10ngまでは第1フローセル5によって、5ngから2000ng(2μg)までは第2フローセル6によって検量線のリニアリティがあり、ほぼ7桁の範囲で検量線のリニアリティを確保することができた。3次式の検量線を用いると、ほぼ8桁の範囲まで測定が可能である。5ngから10ngまでは第1、第2フローセル5、6いずれでも測定可能な領域である。
【0035】
図9〜12はこの水銀原子吸光分析装置100によって得られた測定結果を示す。図9は第1フローセル5によって得られた水銀量0〜10ngまでの検量線を示す。図10は水銀量2、4、6、10ngについて第1フローセル5で測定したピークプロファイルを示す。図11は第2フローセル6によって得られた0〜2000ngまでの検量線を示す。図12は第2フローセル6によって得られた0〜25000ngまでの検量線を示す。2000ng以上の領域は3次式近似の検量線を用いることで25000ngまでの水銀量が測定可能である。図9、11および12に示す検量線において、横軸が水銀量、縦軸がピークプロファイルを時間積分した値を示している。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の水銀原子吸光分析装置100は、2pg〜2000ngまでで検量線のリニアリティがあり、3次式近似式の検量線を用いることで25000ngまでの広範囲の水銀測定が可能であり、第1、第2フローセルの水銀原子吸光信号をそれぞれ独立に測定しているので、それぞれのプロファイルの積分値を個別に正確に求めることができる。また、従来技術のようなバッファタンクを使用する必要がないので、光学系のコンパクト化が図れ、さらに第1、第2フローセルのピークプロファイルを同時に測定することができ、測定時間の短縮化が図れる。
【0037】
次に、本実施形態の水銀原子吸光分析装置100において、第1ビームスプリッタ3および第2ビームスプリッタ4の透過光と反射光の比率の違いによる測定データのノイズレベルについて実験した結果を説明する。水銀原子吸光分析装置100で重要なことは、低濃度測定用の第1フローセル3の測定上限と、高濃度測定用の第2フローセル4の測定下限とがオーバーラップしていることであり、第2フローセル4での5ng付近の測定精度が十分に得られることが要求される。測定の検出下限値は吸光度プロファイルのベースラインのノイズレベルに依存し、ノイズレベルが小さいほど、より低濃度まで測定が可能となる。第1および第2ビームスプリッタ3、4として厚さ1mmの無蒸着の石英板を用いたときの第2フローセル4のベースラインプロファイルを図13に示す。図13に示すように、ノイズレベルがAbs.(吸光度)約0.0004である。第2フローセルでの5ngの信号強度はAbs.約0.0007であり、この状態で5ngを測定するとよい精度が得られず、低濃度範囲と高濃度範囲との連続した測定においてもよい精度が得られない。
【0038】
無蒸着の石英板を用いたときにノイズが大きくなっている原因は、分析線である紫外線の透過率が高く反射率が低いために、第1フローセル5に入射する光量に比較して第2フローセル6に入射する光量が低すぎたためと考えられる。具体的には、水銀ガスが流れていない状態での第1フローセル5側の第1電流−電圧変換器11に流れる光電流が、約200nAであるのに対して、第2フローセル6側の第2電流−電圧変換器12に流れる電流は、その1/50の4nAであった。これは、オペアンプ等を用いた電流−電圧変換器は、信号電流が小さくなると外部からの電磁ノイズなどの影響を受けやすいという特性を持っているので、第2フローセル6を透過する光量が少なく第2電流−電圧変換器12に流す光電流が小さいと、ベースラインのノイズが大きくなることによる。
【0039】
第2検出器8に入射する光量を上げるための手段として、図3に示すような石英板の片面にストライプ状にアルミニウム蒸着し、透過部(蒸着のない部分)の面積と反射部(蒸着した部分)の面積を約1:1にしたハーフミラーを第1と第2ビームスプリッタに用いた。反射率を向上させたハーフミラーをビームスプリッタとして用いることで第2フローセル6に入射する光量を約10倍に増加させることができた。透過部の面積と反射部の面積を約1:1にしたハーフミラーは、第1ビームと第2ビームとに1:1の比率で分割し、第3ビームと第4ビームとに1:1の比率で分割する。分割比率1:1のハーフミラーを第1、第2ビームスプリッタとした水銀原子吸光分析装置100のベースラインのプロファイルを図14に示す。図13のノイズレベルに比較して大きく改善していることが分かる。このようにビームスプリッタの透過光と反射光のビーム分割比率を1:1にすることによって、無蒸着の石英板に比べてベースラインのノイズと安定性を大幅に改善することができ、低濃度範囲の測定上限と高濃度範囲の測定下限とがオーバーラップして精度よく測定できるようになった。
【0040】
本実施形態で説明したように、本発明の水銀原子吸光分析装置100は、低濃度測定用第1フローセル5と高濃度測定用第2フローセル6との間にバッファタンクを備えないコンパクトな構成で、第1フローセル5の測定と第2フローセル6の測定をそれぞれに対応した検出器7、8で同時に行うことにより、測定時間を短縮するとともに、第1フローセル5によるピークと第2フローセル6によるピークとの重なりをなくし、さらに第1フローセル5、第2フローセル6ともにダブルビーム測光によって水銀ランプ1から放射される光線の強度変動を補償するので、広いダイナミックレンジ測定において水銀分析の正確さと精度を向上させることができる。
【0041】
なお、本発明の実施形態ではビームスプリッタとしてハーフミラーを用いたが、ハーフミラーに限らず、図15に示すように水銀ランプの光線20を第1ビーム21と第2ビーム22に分割する楔型のビームスプリッタ703や、貫通孔で形成された透過部とミラーで形成された反射部とを交互に円周に沿って連続して有している回転セクタ(図示せず)などであってもよい。第1、第2および第3検出器は、253.7nmの水銀の分析線を検出することができる光電子増倍管であってもよい。本発明の実施形態では、第1フローセル5は光路が第2フローセル6よりも長い低濃度測定用であり、第2フローセル6は光路が第1フローセル5よりも短い高濃度測定用であったが、その逆であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 水銀ランプ
3 第1ビームスプリッタ
4 第2ビームスプリッタ
5 第1フローセル
6 第2フローセル
7 第1検出器
8 第2検出器
9 参照側の検出器
10 測定ガス流路
15 定量手段
21 第1ビーム
22 第2ビーム
23 第3ビーム
24 第4ビーム
100 水銀原子吸光分析装置
120 水銀分析システム
200 水銀気化装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水銀の分析線の光線を放射する水銀ランプと、
前記水銀ランプから放射される光線を第1ビームおよび第2ビームに分割する第1ビームスプリッタと、
前記第2ビームを第3ビームおよび第4ビームに分割する第2ビームスプリッタと、
前記第1ビームおよび測定ガスが通過する第1フローセルと、
前記第1フローセルを通過した第1ビームの光強度を検出する測定側の第1検出器と、
前記第1フローセルとともに測定ガス流路を形成して前記第1フローセルの下流側に配置され、前記第1フローセルの光路長と異なる光路長を有し、前記第3ビームおよび測定ガスが通過する第2フローセルと、
前記第2フローセルを通過した第3ビームの光強度を検出する測定側の第2検出器と、
前記第4ビームの光強度を検出する参照側の検出器と、
前記測定側の第1検出器で検出された光強度と前記参照側の検出器で検出された光強度との比および前記測定側の第2検出器で検出された光強度と前記参照側の検出器で検出された光強度との比に基づいて、前記測定ガス流路に流された測定ガス中の水銀を定量する定量手段と、
を備える水銀原子吸光分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水銀原子吸光分析装置において、前記第1ビームスプリッタでの前記第1ビームと前記第2ビームとの分割比率が1:1であり、前記第2ビームスプリッタでの前記第3ビームと前記第4ビームとの分割比率が1:1である水銀原子吸光分析装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水銀原子吸光分析装置と、
試料中の水銀を気化させて測定ガスとして前記水銀原子吸光分析装置に導入する水銀気化装置と、
を備える水銀分析システム。
【請求項1】
水銀の分析線の光線を放射する水銀ランプと、
前記水銀ランプから放射される光線を第1ビームおよび第2ビームに分割する第1ビームスプリッタと、
前記第2ビームを第3ビームおよび第4ビームに分割する第2ビームスプリッタと、
前記第1ビームおよび測定ガスが通過する第1フローセルと、
前記第1フローセルを通過した第1ビームの光強度を検出する測定側の第1検出器と、
前記第1フローセルとともに測定ガス流路を形成して前記第1フローセルの下流側に配置され、前記第1フローセルの光路長と異なる光路長を有し、前記第3ビームおよび測定ガスが通過する第2フローセルと、
前記第2フローセルを通過した第3ビームの光強度を検出する測定側の第2検出器と、
前記第4ビームの光強度を検出する参照側の検出器と、
前記測定側の第1検出器で検出された光強度と前記参照側の検出器で検出された光強度との比および前記測定側の第2検出器で検出された光強度と前記参照側の検出器で検出された光強度との比に基づいて、前記測定ガス流路に流された測定ガス中の水銀を定量する定量手段と、
を備える水銀原子吸光分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水銀原子吸光分析装置において、前記第1ビームスプリッタでの前記第1ビームと前記第2ビームとの分割比率が1:1であり、前記第2ビームスプリッタでの前記第3ビームと前記第4ビームとの分割比率が1:1である水銀原子吸光分析装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水銀原子吸光分析装置と、
試料中の水銀を気化させて測定ガスとして前記水銀原子吸光分析装置に導入する水銀気化装置と、
を備える水銀分析システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−174852(P2011−174852A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40031(P2010−40031)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(599102310)日本インスツルメンツ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(599102310)日本インスツルメンツ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
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