永久磁石回転電機
【課題】回転電機に設けられている電機子巻線の発熱を効率よく冷却する永久磁石回転電機を提供することである。
【解決手段】コイル巻線4を有する固定子と、前記固定子に対し回転可能に支持され、ハルバッハ配列された永久磁石16を有する回転子5からなる回転電機の前記回転子5が回転軸の中心から周方向に鉄心レスでハルバッハ配列された2列の永久磁石列2,3を設け、前記永久磁石列2,3の間に前記固定子のコイル巻線4を設け、前記永久磁石列2,3は、永久磁石列2の外側永久磁石16の磁極の向きと永久磁石列3の内側永久磁石16の磁極の向きとが、径方向の磁極の向きについては同一方向で、周方向の磁極向きについては逆方向を向く前記固定子において、前記コイル巻線4を非磁性体のモールド部材で成型する。
【解決手段】コイル巻線4を有する固定子と、前記固定子に対し回転可能に支持され、ハルバッハ配列された永久磁石16を有する回転子5からなる回転電機の前記回転子5が回転軸の中心から周方向に鉄心レスでハルバッハ配列された2列の永久磁石列2,3を設け、前記永久磁石列2,3の間に前記固定子のコイル巻線4を設け、前記永久磁石列2,3は、永久磁石列2の外側永久磁石16の磁極の向きと永久磁石列3の内側永久磁石16の磁極の向きとが、径方向の磁極の向きについては同一方向で、周方向の磁極向きについては逆方向を向く前記固定子において、前記コイル巻線4を非磁性体のモールド部材で成型する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子巻線を有する固定子に対し回転可能に支持された回転子にハルバッハ配列された永久磁石を有する永久磁石回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石をハルバッハ配列した永久磁石回転電機は、径方向にN極とS極を交互に配置した主磁極磁石と、この主磁極磁石の周方向両面に径方向以外(例えば周方向)に着磁された補助磁石を備えたものである(例えば、特許文献1、2参照)。永久磁石をハルバッハ配列した永久磁石回転電機の主磁極磁石と補助磁石とは、全体で略円筒状をなしており、永久磁石をハルバッハ配列にすると、特定の方向の磁力を強めることができる。このハルバッハ配列された永久磁石を有する回転電機は、大きくすることなく高出力化を図ることが可能になる。
【0003】
また、従来の永久磁石回転電機は、鉄心が設けられている。したがって、鉄心に磁束が集中し、回転子と固定子間のギャップの磁束が滑らかに変化しない。このため、高調波のトルクむら(トルクリップル)が発生し、振動・騒音発生の要因となっていた。これに対して、磁石列にハルバッハ配列を適用して磁束をギャップ間に集中させるとともに、鉄心レスの永久磁石回転電機は、磁束が滑らかに変化し、大きなトルクを発生させてもトルクリップルが大きくならない。
【0004】
図18は、従来のハルバッハ配列した永久磁石列を有する回転電機の磁束密度分布を示した磁束密度分布図である。ヨーク鉄心15に電機子巻線4が巻かれており、永久磁石16、電機子巻線4、ヨーク鉄心15の間に磁束が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−320109号公報(第1図)
【特許文献2】特開2004−350427号公報(第1乃至2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のものでは、固定子や回転子に鉄心を用いているため回転電機の質量が重くなり、高出力を図るには、回転電機の軸方向若しくは径方向に長くする必要がある。また、特許文献2のものにおいても、固定子に鉄心を用いているため回転電機の質量が重くなり、高出力を図るには、回転電機の軸方向若しくは径方向に長くする必要がある。また、このようなハルバッハ配列した永久磁石列を有する回転電機では、電機子巻線に対して冷却する必要がある。
【0007】
具体的には、コイルから発生するジュール熱は主に熱伝導により取付べ一スヘと伝導し、固定子フレームの表面から大気へと自然対流により放熱される。したがって、コイルから取付ベースと固定子フレームヘの熱抵抗を小さくすることが重要である。コイルと固定子フレームは、一見接触しているように見えていても、実際には空気層が存在する。空気層は、熱抵抗が大きく、コイルの熱を固定子のフレームへ伝えにくい。
【0008】
また、鉄心レスの永久磁石回転電機は、鉄心がないことからリップルが小さい。しかしながら、鉄心レスの永久磁石回転電機は、固定子フレームに非磁性体を用いているため、伝達してきた振動に対して振動減衰が小さい。そのため、振動が固定子フレームで拡大する場合がある。
【0009】
さらに、固定子フレームは、非磁性体の金属からの削りだしのため加工時間がかかる。そのため、鉄心レスの永久磁石回転電機は、コスト低減が課題となっている。
【0010】
この発明の目的は、回転電機に設けられているコイル巻線の発熱を効率よく冷却できる永久磁石回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る永久磁石回転電機は、コイル巻線を有する固定子と、前記固定子に対し回転可能に支持され、ハルバッハ配列された永久磁石を有する回転子からなる回転電機の前記回転子が回転軸の中心から周方向に鉄心レスでハルバッハ配列された2列の永久磁石列を設け、前記永久磁石列の間に前記固定子のコイル巻線を設け、前記永久磁石列は、永久磁石列の外側永久磁石の磁極の向きと永久磁石列の内側永久磁石の磁極の向きとが、径方向の磁極の向きについては同一方向で、周方向の磁極向きについては逆方向を向き、前記コイル巻線を非磁性体のモールド部材で成型する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転電機に設けられているコイル巻線の発熱を効率よく冷却でき、固定子フレームに振動減衰を持たせ、量産時の生産性効果が上がる永久磁石回転電機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図2】第1の実施形態に係る固定子フレームの斜視図。
【図3】第1の実施形態に係る固定子フレームの斜視図。
【図4】第1の実施形態に係る永久磁石回転電機の径方向断面図。
【図5】第1の実施形態に係る永久磁石回転電機の磁束密度分布の一例を示す磁束密度分布図。
【図6】第1の実施形態に係る永久磁石回転電機の磁力線分布の一例を示す磁力線分布図。
【図7】第1の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図8】第2の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図9】第3の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図10】第4の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図11】第5の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図12】第6の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図13】第6の実施形態に係る固定子フレームの斜視図。
【図14】第7の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図15】第7の実施形態に係る固定子フレームの斜視図。
【図16】第8の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図17】第7の実施形態に係る固定子フレームの斜視図。
【図18】従来のハルバッハ配列した永久磁石列を有する永久磁石回転電機の磁束密度分布を示した磁束密度分布図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、実施形態について説明する。図1は第1の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。永久磁石回転電機1は、鉄心レスの回転電機である。永久磁石回転電機1は、固定子フレーム6に電機子巻線4及びとシャフト7が形成され、回転子5に永久磁石列2、3及び軸受14が形成されて構成される。第1の実施形態では、固定子フレーム6及び電機子巻線4が樹脂モールド部材8で成型されている。
【0015】
ここで、図2は、樹脂モールド部材8で成型された電機子巻線4及びとシャフト7が設けられた固定子フレーム6の斜視図である。図3は、図2に示す状態から電機子巻線4の径方向の樹脂モールド部材8を取り除いた状態の電機子巻線4及びとシャフト7が設けられた固定子フレーム6の斜視図である。
【0016】
固定子フレーム6には、中心にシャフト7が形成されている。電機子巻線4は、例えば三相交流を用いる場合、U相−V相−W相の順に巻かれている。電機子巻線4は、集中巻きの巻線で形成されている。電機子巻線4は、ボビン41に巻線を巻いたコイル42により形成されている。そして、電機子巻線4は、回転軸であるシャフト7を中心として周方向に複数のボビン41で構成されている。
【0017】
固定子フレーム6と回転子5との間には、軸受14が構成されており、回転子5は固定子フレーム6の上で回転する構造になっている。回転子5にはハルバッハの配列で構成された略円筒形状の2列の永久磁石列2、3が周方向に設けられている。回転子5は、固定子フレーム6に対向する側に凸部を2列有し、回転子5の外側の凸部には永久磁石列(外側)2の永久磁石16を、内側の凸部には永久磁石列(内側)3の永久磁石16が例えば接着等により取付けられている。そして、回転子5に取り付けられた永久磁石列2、3の間に電機子巻線4を配置するように構成されている。
【0018】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る永久磁石回転電機の径方向断面図である。回転子5に取り付けられた永久磁石列2,3は、図4に示すような磁極の配列とする。つまり、径方向に着磁された磁極については、外側の永久磁石列2の磁極と内側の永久磁石列3の永久磁石の磁極とが同一方向になるように構成する。径方向に着磁された磁極の間にある周方向に着磁された永久磁石については、外側の永久磁石列2の磁極と内側の永久磁石列3の磁極とが反対方向になるように構成する。
【0019】
次に、図5は本発明の第1の実施形態に係る永久磁石回転電機1の磁束密度分布の一例を示す磁束密度分布図、図6は本発明の第1の実施形態に係る永久磁石回転電機1の磁力線分布の一例を示す磁力線分布図である。
【0020】
図5に示すように、永久磁石列2、3の磁束が電機子巻線4を鎖交する様子が分かる。電機子巻線4に例えば三相交流を流すことで回転子5が回転する。図5及び図6から分かるように、径方向に着磁された永久磁石に多くの磁束が発生していることが分かる。つまり、電機子巻線4に鎖交することにより大きなトルクを得ることが可能になる。周方向に着磁された永久磁石の磁束は、外側の永久磁石列2と内側の永久磁石列3とでは反対の向きになり、互いの磁束をキャンセルする働きをする。径方向の磁束密度分布について、従来例の図18と対比すると、図5の磁束密度分布は、図18の磁束密度分布に比べ約2倍の磁束が得られることが分かる。また、図18ではヨーク鉄心15に電機子巻線4を巻いた結果であり、質量増大の要因になっている。
【0021】
このように、回転子5にハルバッハ配列した略円筒形状の2列の永久磁石列2、3を設け、略円筒形状の永久磁石列2、3の間に固定子フレーム6の電機子巻線4を設けることで、永久磁石回転電機1の軸方向の幅を薄くすることができる。また、ハルバッハ配列した略円筒形状の永久磁石列を2列構成することで、従来例に比べ磁束密度が大きいことから、永久磁石回転電機1の形状を大きくすることなく高出力化が可能になる。
【0022】
次に、第1の実施形態に係る樹脂モールド部材8で成型されたコイル巻線4及び固定子フレーム6について説明する。第1の実施形態では、コイル巻線4及び固定子フレーム6は一体として共に樹脂モールド部材8で成型されて構成されている。コイル巻線4は、固定子フレーム6と接する底面及び径方向の内周面、外周面を樹脂モールド部材8で覆うように成型されている。コイル巻線4は、回転子5と対向する面も外周面を樹脂モールド部材8で覆うように成型されていてもよい。
【0023】
次に、樹脂モールド部材8の材料について説明する。樹脂モールド部材8は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、プラスチック系樹脂とする。樹脂モールド部材8は、非磁性体で、熱伝導性の高い材料あればよい。したがって、コイル巻線4及び固定子フレーム6は、樹脂の代わりにアルミ材を材料としてモールド成型されてもよい。永久磁石回転電機1の径方向断面図である図7に示すように、樹脂モールド部材8は、前記した樹脂と窒化アルミなどの金属粉である非磁性体材粉体の複合材である非磁性体材料で構成されていてもよい。
【0024】
次に、第1の実施形態に係る永久磁石回転電機1の作用を説明する。第1点目は、コイル巻線4で発生した熱を効率よく冷却できる点である。永久磁石回転電機1の動作時にコイル巻線4で発生した熱は、樹脂モールド部材8を介して、固定子フレーム6へ熱伝導する。熱伝導を良くするためには、コイル巻線4から取付ベースと固定子フレーム6ヘの熱抵抗を小さくすることが重要である。
【0025】
ここで、比較例として、コイル巻線4と固定子フレーム6を接着剤で接着した場合、一見接触しているように見えていても、実際には空気層が存在する。そのため、空気層は、熱抵抗が大きく、コイル巻線4の熱を固定子フレーム6へ伝えにくい。空気層の熱伝導率は0.024、これに対して、第1の実施形態に係る樹脂モールド部材8の一例であるエポキシ樹脂の熱伝導率は0.21である。したがって、樹脂モールド部材8の熱伝導率は、空気層の10倍と大きい。
【0026】
したがって、コイル巻線4の熱は、固定子フレーム6に効率よく伝導する。固定子フレーム6に伝導した熱は、固定子フレーム6の表面から自然対流により大気へと放熱される。これ以外にも、空気と接している部材からも対流により放熱される。したがって、コイル巻線4で発生した熱は、効率よく冷却される。
【0027】
第2点目は、固定子フレーム6の振動減衰を持たせる点である。永久磁石回転電機1は鉄心が設けられていないため、リップルが小さい。ここで、比較例として、固定子フレーム6が例えば非磁性体であるアルミ材で成型されている場合、永久磁石回転電機1の動作に伴い振動伝達してきた振動に対する固定子フレーム6の振動減衰率は0.01%である。これに対して、第1の実施形態に係る樹脂モールド材8で成型される固定子フレーム6の振動減衰率は0.5%である。したがって、樹脂モールド材8で成型される固定子フレーム6の振動減衰は、非磁性体で成型される固定子フレーム6の50倍程度と大きい。よって、第1の実施形態に係る固定子フレーム6に振動減衰を持たせせることができる。永久磁石回転電機1は、動作時であっても低振動となる。
【0028】
第3点目は、固定子フレーム6の生産性を向上させる点である。ここで、比較例として、固定子フレーム6が非磁性体で成型される場合、固定子フレーム6は非磁性体の金属から削りだしで成型される。永久磁石回転電機1の量産時の生産性において、加工時間がかかりコスト低減が課題となっている。これに対して、第1の実施形態に係る樹脂モールド部材8によれば、削り出しがないため量産時の生産性が向上する。
【0029】
次に、第1の実施形態に係る永久磁石回転電機1による効果について説明する。第1の実施形態によれば、第1にコイル巻線4の発熱を効率よく冷却でき、第2に固定子フレーム6に振動減衰を持たせることができ、第3に永久磁石回転電機1の量産時の生産性を向上させることができる。コイル巻線4が効率よく冷却されると、コイル巻線4に流す電流を増やすことができる。そのため、永久磁石回転電機1の出力をより増やすことができる。
【0030】
第1の実施形態では、コイル巻線4及び固定子フレーム6は樹脂モールド部材8で成型されているが、回転子5のフレームが樹脂モールド部材8で成型されていてもよい。この場合、第1に、回転子5に振動減衰を持たせることができる。第2に、回転子5の生産性を向上させることができる。
【0031】
次に、第2の実施形態について説明する。図8は、第2の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。回転子5は、説明の都合上取り除いた状態である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。
【0032】
コイル巻線4は、固定子フレーム6と接する底面及び径方向の内周面、外周面を樹脂モールド部材8で覆うように成型されている。コイル巻線4は、回転子5と対向する面も外周面を樹脂モールド部材8で覆うように成型されていてもよい。
【0033】
固定子フレーム6は、コイル巻線4とは別体として樹脂モールド部材8で成型されている。固定子フレーム6は、コイル巻線4の成形型として用いられる。コイル巻線4を固定子フレーム6に嵌め込むことで、コイル巻線4と固定子フレーム6は結合し、一体となる。コイル巻線4は、固定子フレーム6との結合部形状が、永久磁石回転電機1の軸方向断面において、矩形状の凸形状である。固定子フレーム6は、コイル巻線4との結合部形状が、永久磁石回転電機1の軸方向断面において、矩形状の凹形状である。
【0034】
第2の実施形態における作用、効果は、第1の実施形態で説明した作用、効果と同様である。第2の実施形態では、コイル巻線4と固定子フレーム6が共に別体として樹脂モールド部材8で成型されているが、コイル巻線4のみ樹脂モールド部材8で整形されていても、同様の作用、効果を奏する。第2の実施形態では、コイル巻線4と固定子フレーム6は、別体として成型される。したがって、永久磁石回転電機1のサイズが大きい場合、永久磁石回転電機1は、コイル巻線4と固定子フレーム6を一体として樹脂モールド部材8で成型するよりも作成しやすくなる。
【0035】
次に、第3の実施形態について説明する。図9は、第3の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。回転子5は、説明の都合上取り除いた状態である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。
【0036】
第3の実施形態は、第2の実施形態と同様にコイル巻線4は、樹脂モールド部材8で成型されている。固定子フレーム6は、コイル巻線4とは別体として樹脂モールド部材8で成型されている。固定子フレーム6は、コイル巻線4の成形型として用いられる。
【0037】
コイル巻線4は、固定子フレーム6との結合部形状が、永久磁石回転電機1の軸方向断面において、丸みを持った略U形状の凸形状である。固定子フレーム6は、コイル巻線4との結合部形状が、永久磁石回転電機1の軸方向断面において、丸みを持った略U形状の凹形状である。コイル巻線4の凸部は、固定子フレーム6の凹部に対してちょうど嵌り込む。
【0038】
第3の実施形態における作用、効果は、第1の実施形態で説明した作用、効果と同様である。さらに、第3の実施形態によれば、永久磁石回転電機1の量産時の生産性において、樹脂モールド部材8が浸透しやすく、固定子フレーム6の結合部にも樹脂モールド部材8が入り込むため熱伝導と、コイル巻線4の固定強度が向上する。したがって、第3の実施形態によれば、永久磁石回転電機1の動作時であっても、強度を上げることができる。
【0039】
次に、第4の実施形態について説明する。図10は、第4の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。回転子5は、説明の都合上取り除いた状態である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。
【0040】
第4の実施形態は、第2の実施形態と同様にコイル巻線4は、樹脂モールド部材8で成型されている。固定子フレーム6は、コイル巻線4とは別体として樹脂モールド部材8で成型されている。固定子フレーム6は、コイル巻線4の成形型として用いられる。
【0041】
コイル巻線4は、固定子フレーム6との結合部形状が、永久磁石回転電機1の軸方向断面において、角部に丸みを持った略台形状の凸形状である。固定子フレーム6は、コイル巻線4との結合部形状が、永久磁石回転電機1の軸方向断面において、角部に丸みを持った略台形状の凹形状である。コイル巻線4の凸部は、固定子フレーム6の凹部に対してちょうど嵌り込む。
【0042】
第4の実施形態における作用、効果は、第1の実施形態で説明した作用、効果と同様である。さらに、第3の実施形態によれば、永久磁石回転電機1の量産時の生産性において、樹脂モールド部材8が浸透しやすく、固定子フレーム6の結合部にも樹脂モールド部材8が入り込むため熱伝導と、コイル巻線4の固定強度が向上する。したがって、第4の実施形態によれば、永久磁石回転電機1の動作時であっても、強度を上げることができる。
【0043】
次に、第5の実施形態について説明する。図11は、第5の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。コイル巻線4及び固定子フレーム6は、第1の実施形態のように一体として樹脂モールド部材8で成型されていても、第2の実施形態のように別体として樹脂モールド部材8で成型されていてもよい。
【0044】
固定子フレーム6の外縁には断面が矩形状の凸状部61が設けられている。凸状部61は、例えば電機子巻線4の先端部と軸方向に同位置となる高さを有している。凸状部61は、回転子5に設けられた断面が矩形状の凸状部51よりも径方向の外側に位置するように固定子フレーム6に設けられている。
【0045】
固定子フレーム6に設けられた凸状部61と回転子5に設けられた凸状部51は、径方向に所定間隔離間して設けられている。また、回転子5は、永久磁石列(外側)2の永久磁石16が取り付けられた凸状部61よりも径方向の外側に延在した平面部53を有する。そのため、回転子5は、固定子フレーム6に設けられた凸状部61と軸方向に対向する。固定子フレーム6と軸方向に対向する回転子5に設けられた凸状部51および回転子5と軸方向に対向する固定子6に設けられた凸状部61は、それぞれ軸方向に所定間隔離間して設けられている。
【0046】
また、固定子6に設けられた凸状部61には、径方向に延在するようにフィン62が設けられている。フィン62は、複数の凹凸形状で構成されているため、固定子フレーム6の外側表面積を増すことができる。フィン62の凹凸の数、サイズは、永久磁石回転電機1のサイズ、用途などによって可変である。固定子フレーム6は、フィン62を含めて樹脂モールドで成型されている。
【0047】
第5の実施形態における作用、効果は、第1の実施形態で説明した作用、効果と同様である。さらに、第3の実施形態によれば、外気と直接触れるフィン62を固定子6に設けることで、固定子フレーム6は、電機子巻線4で発生した熱の放熱面積を大きく得られる。したがって、樹脂モールド8で成型されたフィン62は、放熱作用を高めることができる。第5の実施形態によれば、コイル巻線4の発熱をさらに効率よく冷却できる永久磁石回転電機1を提供できる。
【0048】
次に、第6の実施形態について説明する。図12は、第6の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。回転子5は、説明の都合上取り除いた状態である。図13は、第6の実施形態に係る樹脂モールド部材8で成型された電機子巻線4及びとシャフト7が設けられた固定子フレーム6の斜視図である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。コイル巻線4及び固定子フレーム6は、第1の実施形態のように一体として樹脂モールド部材8で成型されていても、第2の実施形態のように別体として樹脂モールド部材8で成型されていてもよい。
【0049】
固定子フレーム6は、樹脂モールド部材8と非磁性体材部材81の複合部材で構成されている。非磁性体材部材81は、例えば、固定子フレーム6の内部であって、シャフト7の回転軸の位置を中心として放射状、かつ、周方向に等間隔で複数本設けられている。非磁性体材部材81は、板状または棒状である。
【0050】
第6の実施形態における作用、効果は、第1の実施形態で説明した作用、効果と同様である。第6の実施形態では、非磁性体材部材81により、固定子フレーム6の強度を向上させることができる。したがって、非磁性体材部材81は、固定子フレーム6全体に熱伝導するため、固定子フレーム6は冷却特性が向上する。非磁性体材部材81の形状、本数及び固定子フレーム6における非磁性体材部材81の配置は、任意に変更できる。
【0051】
次に、第7の実施形態について説明する。図14は、第7の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。回転子5は、説明の都合上取り除いた状態である。図15は、樹脂モールド部材8で成型された電機子巻線4及びとシャフト7が設けられた固定子フレーム6の斜視図である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。コイル巻線4及び固定子フレーム6は、第1の実施形態のように一体として樹脂モールド部材8で成型されていても、第2の実施形態のように別体として樹脂モールド部材8で成型されていてもよい。
【0052】
固定子フレーム6は、樹脂モールド部材8と非磁性体材部材81の複合部材で構成されている。非磁性体材部材81は、例えば、固定子フレーム6の内部であって、シャフト7の回転軸の位置を中心とした任意の位置、かつ、周方向に等間隔で複数設けられている。非磁性体材部材81は、板材もしくは網材である。
【0053】
非磁性体材部材81の形状及び固定子フレーム6における非磁性体材部材81の配置は、任意に変更できる。第7の実施形態における作用、効果は、第6の実施形態で説明した作用、効果と同様である。
【0054】
次に、第8の実施形態について説明する。図16は、第8の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。回転子5は、説明の都合上取り除いた状態である。図17は、第8の実施形態に係る樹脂モールド部材8で成型された電機子巻線4及びとシャフト7が設けられた固定子フレーム6の斜視図である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。コイル巻線4及び固定子フレーム6は、第1の実施形態のように一体として樹脂モールド部材8で成型されていても、第2の実施形態のように別体として樹脂モールド部材8で成型されていてもよい。
【0055】
固定子フレーム6は、樹脂モールド部材8と非磁性体のヒートパイプ9で構成されている。ヒートパイプ9は、例えば、固定子フレーム6の内部であって、シャフト7の回転軸の位置を中心とした同心円状に設けられている。ヒートパイプ9の形状、本数及び固定子フレーム6におけるヒートパイプ9の配置は、任意に変更できる。
【0056】
第8の実施形態における作用、効果は、第1の実施形態で説明した作用、効果と同様である。第8の実施形態では、ヒートパイプ9により、固定子フレーム6の強度を向上させることができる。さらに、ヒートパイプ9は、固定子フレーム6全体にわたって冷却特性を向上させる。
【0057】
上記説明した第1の実施形態から第8の実施形態は、適宜組み合わせることができる。本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…永久磁石回転電機、2…永久磁石列(外側)、3…永久磁石列(内側)、4…電機子巻線、5…回転子、6…固定子フレーム、7…シャフト、8…樹脂モールド部材、9…ヒートパイプ、16…永久磁石、62…フィン、81…非磁性体材部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子巻線を有する固定子に対し回転可能に支持された回転子にハルバッハ配列された永久磁石を有する永久磁石回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石をハルバッハ配列した永久磁石回転電機は、径方向にN極とS極を交互に配置した主磁極磁石と、この主磁極磁石の周方向両面に径方向以外(例えば周方向)に着磁された補助磁石を備えたものである(例えば、特許文献1、2参照)。永久磁石をハルバッハ配列した永久磁石回転電機の主磁極磁石と補助磁石とは、全体で略円筒状をなしており、永久磁石をハルバッハ配列にすると、特定の方向の磁力を強めることができる。このハルバッハ配列された永久磁石を有する回転電機は、大きくすることなく高出力化を図ることが可能になる。
【0003】
また、従来の永久磁石回転電機は、鉄心が設けられている。したがって、鉄心に磁束が集中し、回転子と固定子間のギャップの磁束が滑らかに変化しない。このため、高調波のトルクむら(トルクリップル)が発生し、振動・騒音発生の要因となっていた。これに対して、磁石列にハルバッハ配列を適用して磁束をギャップ間に集中させるとともに、鉄心レスの永久磁石回転電機は、磁束が滑らかに変化し、大きなトルクを発生させてもトルクリップルが大きくならない。
【0004】
図18は、従来のハルバッハ配列した永久磁石列を有する回転電機の磁束密度分布を示した磁束密度分布図である。ヨーク鉄心15に電機子巻線4が巻かれており、永久磁石16、電機子巻線4、ヨーク鉄心15の間に磁束が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−320109号公報(第1図)
【特許文献2】特開2004−350427号公報(第1乃至2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のものでは、固定子や回転子に鉄心を用いているため回転電機の質量が重くなり、高出力を図るには、回転電機の軸方向若しくは径方向に長くする必要がある。また、特許文献2のものにおいても、固定子に鉄心を用いているため回転電機の質量が重くなり、高出力を図るには、回転電機の軸方向若しくは径方向に長くする必要がある。また、このようなハルバッハ配列した永久磁石列を有する回転電機では、電機子巻線に対して冷却する必要がある。
【0007】
具体的には、コイルから発生するジュール熱は主に熱伝導により取付べ一スヘと伝導し、固定子フレームの表面から大気へと自然対流により放熱される。したがって、コイルから取付ベースと固定子フレームヘの熱抵抗を小さくすることが重要である。コイルと固定子フレームは、一見接触しているように見えていても、実際には空気層が存在する。空気層は、熱抵抗が大きく、コイルの熱を固定子のフレームへ伝えにくい。
【0008】
また、鉄心レスの永久磁石回転電機は、鉄心がないことからリップルが小さい。しかしながら、鉄心レスの永久磁石回転電機は、固定子フレームに非磁性体を用いているため、伝達してきた振動に対して振動減衰が小さい。そのため、振動が固定子フレームで拡大する場合がある。
【0009】
さらに、固定子フレームは、非磁性体の金属からの削りだしのため加工時間がかかる。そのため、鉄心レスの永久磁石回転電機は、コスト低減が課題となっている。
【0010】
この発明の目的は、回転電機に設けられているコイル巻線の発熱を効率よく冷却できる永久磁石回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る永久磁石回転電機は、コイル巻線を有する固定子と、前記固定子に対し回転可能に支持され、ハルバッハ配列された永久磁石を有する回転子からなる回転電機の前記回転子が回転軸の中心から周方向に鉄心レスでハルバッハ配列された2列の永久磁石列を設け、前記永久磁石列の間に前記固定子のコイル巻線を設け、前記永久磁石列は、永久磁石列の外側永久磁石の磁極の向きと永久磁石列の内側永久磁石の磁極の向きとが、径方向の磁極の向きについては同一方向で、周方向の磁極向きについては逆方向を向き、前記コイル巻線を非磁性体のモールド部材で成型する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転電機に設けられているコイル巻線の発熱を効率よく冷却でき、固定子フレームに振動減衰を持たせ、量産時の生産性効果が上がる永久磁石回転電機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図2】第1の実施形態に係る固定子フレームの斜視図。
【図3】第1の実施形態に係る固定子フレームの斜視図。
【図4】第1の実施形態に係る永久磁石回転電機の径方向断面図。
【図5】第1の実施形態に係る永久磁石回転電機の磁束密度分布の一例を示す磁束密度分布図。
【図6】第1の実施形態に係る永久磁石回転電機の磁力線分布の一例を示す磁力線分布図。
【図7】第1の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図8】第2の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図9】第3の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図10】第4の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図11】第5の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図12】第6の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図13】第6の実施形態に係る固定子フレームの斜視図。
【図14】第7の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図15】第7の実施形態に係る固定子フレームの斜視図。
【図16】第8の実施形態に係る永久磁石回転電機の軸方向断面図。
【図17】第7の実施形態に係る固定子フレームの斜視図。
【図18】従来のハルバッハ配列した永久磁石列を有する永久磁石回転電機の磁束密度分布を示した磁束密度分布図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、実施形態について説明する。図1は第1の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。永久磁石回転電機1は、鉄心レスの回転電機である。永久磁石回転電機1は、固定子フレーム6に電機子巻線4及びとシャフト7が形成され、回転子5に永久磁石列2、3及び軸受14が形成されて構成される。第1の実施形態では、固定子フレーム6及び電機子巻線4が樹脂モールド部材8で成型されている。
【0015】
ここで、図2は、樹脂モールド部材8で成型された電機子巻線4及びとシャフト7が設けられた固定子フレーム6の斜視図である。図3は、図2に示す状態から電機子巻線4の径方向の樹脂モールド部材8を取り除いた状態の電機子巻線4及びとシャフト7が設けられた固定子フレーム6の斜視図である。
【0016】
固定子フレーム6には、中心にシャフト7が形成されている。電機子巻線4は、例えば三相交流を用いる場合、U相−V相−W相の順に巻かれている。電機子巻線4は、集中巻きの巻線で形成されている。電機子巻線4は、ボビン41に巻線を巻いたコイル42により形成されている。そして、電機子巻線4は、回転軸であるシャフト7を中心として周方向に複数のボビン41で構成されている。
【0017】
固定子フレーム6と回転子5との間には、軸受14が構成されており、回転子5は固定子フレーム6の上で回転する構造になっている。回転子5にはハルバッハの配列で構成された略円筒形状の2列の永久磁石列2、3が周方向に設けられている。回転子5は、固定子フレーム6に対向する側に凸部を2列有し、回転子5の外側の凸部には永久磁石列(外側)2の永久磁石16を、内側の凸部には永久磁石列(内側)3の永久磁石16が例えば接着等により取付けられている。そして、回転子5に取り付けられた永久磁石列2、3の間に電機子巻線4を配置するように構成されている。
【0018】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る永久磁石回転電機の径方向断面図である。回転子5に取り付けられた永久磁石列2,3は、図4に示すような磁極の配列とする。つまり、径方向に着磁された磁極については、外側の永久磁石列2の磁極と内側の永久磁石列3の永久磁石の磁極とが同一方向になるように構成する。径方向に着磁された磁極の間にある周方向に着磁された永久磁石については、外側の永久磁石列2の磁極と内側の永久磁石列3の磁極とが反対方向になるように構成する。
【0019】
次に、図5は本発明の第1の実施形態に係る永久磁石回転電機1の磁束密度分布の一例を示す磁束密度分布図、図6は本発明の第1の実施形態に係る永久磁石回転電機1の磁力線分布の一例を示す磁力線分布図である。
【0020】
図5に示すように、永久磁石列2、3の磁束が電機子巻線4を鎖交する様子が分かる。電機子巻線4に例えば三相交流を流すことで回転子5が回転する。図5及び図6から分かるように、径方向に着磁された永久磁石に多くの磁束が発生していることが分かる。つまり、電機子巻線4に鎖交することにより大きなトルクを得ることが可能になる。周方向に着磁された永久磁石の磁束は、外側の永久磁石列2と内側の永久磁石列3とでは反対の向きになり、互いの磁束をキャンセルする働きをする。径方向の磁束密度分布について、従来例の図18と対比すると、図5の磁束密度分布は、図18の磁束密度分布に比べ約2倍の磁束が得られることが分かる。また、図18ではヨーク鉄心15に電機子巻線4を巻いた結果であり、質量増大の要因になっている。
【0021】
このように、回転子5にハルバッハ配列した略円筒形状の2列の永久磁石列2、3を設け、略円筒形状の永久磁石列2、3の間に固定子フレーム6の電機子巻線4を設けることで、永久磁石回転電機1の軸方向の幅を薄くすることができる。また、ハルバッハ配列した略円筒形状の永久磁石列を2列構成することで、従来例に比べ磁束密度が大きいことから、永久磁石回転電機1の形状を大きくすることなく高出力化が可能になる。
【0022】
次に、第1の実施形態に係る樹脂モールド部材8で成型されたコイル巻線4及び固定子フレーム6について説明する。第1の実施形態では、コイル巻線4及び固定子フレーム6は一体として共に樹脂モールド部材8で成型されて構成されている。コイル巻線4は、固定子フレーム6と接する底面及び径方向の内周面、外周面を樹脂モールド部材8で覆うように成型されている。コイル巻線4は、回転子5と対向する面も外周面を樹脂モールド部材8で覆うように成型されていてもよい。
【0023】
次に、樹脂モールド部材8の材料について説明する。樹脂モールド部材8は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、プラスチック系樹脂とする。樹脂モールド部材8は、非磁性体で、熱伝導性の高い材料あればよい。したがって、コイル巻線4及び固定子フレーム6は、樹脂の代わりにアルミ材を材料としてモールド成型されてもよい。永久磁石回転電機1の径方向断面図である図7に示すように、樹脂モールド部材8は、前記した樹脂と窒化アルミなどの金属粉である非磁性体材粉体の複合材である非磁性体材料で構成されていてもよい。
【0024】
次に、第1の実施形態に係る永久磁石回転電機1の作用を説明する。第1点目は、コイル巻線4で発生した熱を効率よく冷却できる点である。永久磁石回転電機1の動作時にコイル巻線4で発生した熱は、樹脂モールド部材8を介して、固定子フレーム6へ熱伝導する。熱伝導を良くするためには、コイル巻線4から取付ベースと固定子フレーム6ヘの熱抵抗を小さくすることが重要である。
【0025】
ここで、比較例として、コイル巻線4と固定子フレーム6を接着剤で接着した場合、一見接触しているように見えていても、実際には空気層が存在する。そのため、空気層は、熱抵抗が大きく、コイル巻線4の熱を固定子フレーム6へ伝えにくい。空気層の熱伝導率は0.024、これに対して、第1の実施形態に係る樹脂モールド部材8の一例であるエポキシ樹脂の熱伝導率は0.21である。したがって、樹脂モールド部材8の熱伝導率は、空気層の10倍と大きい。
【0026】
したがって、コイル巻線4の熱は、固定子フレーム6に効率よく伝導する。固定子フレーム6に伝導した熱は、固定子フレーム6の表面から自然対流により大気へと放熱される。これ以外にも、空気と接している部材からも対流により放熱される。したがって、コイル巻線4で発生した熱は、効率よく冷却される。
【0027】
第2点目は、固定子フレーム6の振動減衰を持たせる点である。永久磁石回転電機1は鉄心が設けられていないため、リップルが小さい。ここで、比較例として、固定子フレーム6が例えば非磁性体であるアルミ材で成型されている場合、永久磁石回転電機1の動作に伴い振動伝達してきた振動に対する固定子フレーム6の振動減衰率は0.01%である。これに対して、第1の実施形態に係る樹脂モールド材8で成型される固定子フレーム6の振動減衰率は0.5%である。したがって、樹脂モールド材8で成型される固定子フレーム6の振動減衰は、非磁性体で成型される固定子フレーム6の50倍程度と大きい。よって、第1の実施形態に係る固定子フレーム6に振動減衰を持たせせることができる。永久磁石回転電機1は、動作時であっても低振動となる。
【0028】
第3点目は、固定子フレーム6の生産性を向上させる点である。ここで、比較例として、固定子フレーム6が非磁性体で成型される場合、固定子フレーム6は非磁性体の金属から削りだしで成型される。永久磁石回転電機1の量産時の生産性において、加工時間がかかりコスト低減が課題となっている。これに対して、第1の実施形態に係る樹脂モールド部材8によれば、削り出しがないため量産時の生産性が向上する。
【0029】
次に、第1の実施形態に係る永久磁石回転電機1による効果について説明する。第1の実施形態によれば、第1にコイル巻線4の発熱を効率よく冷却でき、第2に固定子フレーム6に振動減衰を持たせることができ、第3に永久磁石回転電機1の量産時の生産性を向上させることができる。コイル巻線4が効率よく冷却されると、コイル巻線4に流す電流を増やすことができる。そのため、永久磁石回転電機1の出力をより増やすことができる。
【0030】
第1の実施形態では、コイル巻線4及び固定子フレーム6は樹脂モールド部材8で成型されているが、回転子5のフレームが樹脂モールド部材8で成型されていてもよい。この場合、第1に、回転子5に振動減衰を持たせることができる。第2に、回転子5の生産性を向上させることができる。
【0031】
次に、第2の実施形態について説明する。図8は、第2の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。回転子5は、説明の都合上取り除いた状態である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。
【0032】
コイル巻線4は、固定子フレーム6と接する底面及び径方向の内周面、外周面を樹脂モールド部材8で覆うように成型されている。コイル巻線4は、回転子5と対向する面も外周面を樹脂モールド部材8で覆うように成型されていてもよい。
【0033】
固定子フレーム6は、コイル巻線4とは別体として樹脂モールド部材8で成型されている。固定子フレーム6は、コイル巻線4の成形型として用いられる。コイル巻線4を固定子フレーム6に嵌め込むことで、コイル巻線4と固定子フレーム6は結合し、一体となる。コイル巻線4は、固定子フレーム6との結合部形状が、永久磁石回転電機1の軸方向断面において、矩形状の凸形状である。固定子フレーム6は、コイル巻線4との結合部形状が、永久磁石回転電機1の軸方向断面において、矩形状の凹形状である。
【0034】
第2の実施形態における作用、効果は、第1の実施形態で説明した作用、効果と同様である。第2の実施形態では、コイル巻線4と固定子フレーム6が共に別体として樹脂モールド部材8で成型されているが、コイル巻線4のみ樹脂モールド部材8で整形されていても、同様の作用、効果を奏する。第2の実施形態では、コイル巻線4と固定子フレーム6は、別体として成型される。したがって、永久磁石回転電機1のサイズが大きい場合、永久磁石回転電機1は、コイル巻線4と固定子フレーム6を一体として樹脂モールド部材8で成型するよりも作成しやすくなる。
【0035】
次に、第3の実施形態について説明する。図9は、第3の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。回転子5は、説明の都合上取り除いた状態である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。
【0036】
第3の実施形態は、第2の実施形態と同様にコイル巻線4は、樹脂モールド部材8で成型されている。固定子フレーム6は、コイル巻線4とは別体として樹脂モールド部材8で成型されている。固定子フレーム6は、コイル巻線4の成形型として用いられる。
【0037】
コイル巻線4は、固定子フレーム6との結合部形状が、永久磁石回転電機1の軸方向断面において、丸みを持った略U形状の凸形状である。固定子フレーム6は、コイル巻線4との結合部形状が、永久磁石回転電機1の軸方向断面において、丸みを持った略U形状の凹形状である。コイル巻線4の凸部は、固定子フレーム6の凹部に対してちょうど嵌り込む。
【0038】
第3の実施形態における作用、効果は、第1の実施形態で説明した作用、効果と同様である。さらに、第3の実施形態によれば、永久磁石回転電機1の量産時の生産性において、樹脂モールド部材8が浸透しやすく、固定子フレーム6の結合部にも樹脂モールド部材8が入り込むため熱伝導と、コイル巻線4の固定強度が向上する。したがって、第3の実施形態によれば、永久磁石回転電機1の動作時であっても、強度を上げることができる。
【0039】
次に、第4の実施形態について説明する。図10は、第4の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。回転子5は、説明の都合上取り除いた状態である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。
【0040】
第4の実施形態は、第2の実施形態と同様にコイル巻線4は、樹脂モールド部材8で成型されている。固定子フレーム6は、コイル巻線4とは別体として樹脂モールド部材8で成型されている。固定子フレーム6は、コイル巻線4の成形型として用いられる。
【0041】
コイル巻線4は、固定子フレーム6との結合部形状が、永久磁石回転電機1の軸方向断面において、角部に丸みを持った略台形状の凸形状である。固定子フレーム6は、コイル巻線4との結合部形状が、永久磁石回転電機1の軸方向断面において、角部に丸みを持った略台形状の凹形状である。コイル巻線4の凸部は、固定子フレーム6の凹部に対してちょうど嵌り込む。
【0042】
第4の実施形態における作用、効果は、第1の実施形態で説明した作用、効果と同様である。さらに、第3の実施形態によれば、永久磁石回転電機1の量産時の生産性において、樹脂モールド部材8が浸透しやすく、固定子フレーム6の結合部にも樹脂モールド部材8が入り込むため熱伝導と、コイル巻線4の固定強度が向上する。したがって、第4の実施形態によれば、永久磁石回転電機1の動作時であっても、強度を上げることができる。
【0043】
次に、第5の実施形態について説明する。図11は、第5の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。コイル巻線4及び固定子フレーム6は、第1の実施形態のように一体として樹脂モールド部材8で成型されていても、第2の実施形態のように別体として樹脂モールド部材8で成型されていてもよい。
【0044】
固定子フレーム6の外縁には断面が矩形状の凸状部61が設けられている。凸状部61は、例えば電機子巻線4の先端部と軸方向に同位置となる高さを有している。凸状部61は、回転子5に設けられた断面が矩形状の凸状部51よりも径方向の外側に位置するように固定子フレーム6に設けられている。
【0045】
固定子フレーム6に設けられた凸状部61と回転子5に設けられた凸状部51は、径方向に所定間隔離間して設けられている。また、回転子5は、永久磁石列(外側)2の永久磁石16が取り付けられた凸状部61よりも径方向の外側に延在した平面部53を有する。そのため、回転子5は、固定子フレーム6に設けられた凸状部61と軸方向に対向する。固定子フレーム6と軸方向に対向する回転子5に設けられた凸状部51および回転子5と軸方向に対向する固定子6に設けられた凸状部61は、それぞれ軸方向に所定間隔離間して設けられている。
【0046】
また、固定子6に設けられた凸状部61には、径方向に延在するようにフィン62が設けられている。フィン62は、複数の凹凸形状で構成されているため、固定子フレーム6の外側表面積を増すことができる。フィン62の凹凸の数、サイズは、永久磁石回転電機1のサイズ、用途などによって可変である。固定子フレーム6は、フィン62を含めて樹脂モールドで成型されている。
【0047】
第5の実施形態における作用、効果は、第1の実施形態で説明した作用、効果と同様である。さらに、第3の実施形態によれば、外気と直接触れるフィン62を固定子6に設けることで、固定子フレーム6は、電機子巻線4で発生した熱の放熱面積を大きく得られる。したがって、樹脂モールド8で成型されたフィン62は、放熱作用を高めることができる。第5の実施形態によれば、コイル巻線4の発熱をさらに効率よく冷却できる永久磁石回転電機1を提供できる。
【0048】
次に、第6の実施形態について説明する。図12は、第6の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。回転子5は、説明の都合上取り除いた状態である。図13は、第6の実施形態に係る樹脂モールド部材8で成型された電機子巻線4及びとシャフト7が設けられた固定子フレーム6の斜視図である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。コイル巻線4及び固定子フレーム6は、第1の実施形態のように一体として樹脂モールド部材8で成型されていても、第2の実施形態のように別体として樹脂モールド部材8で成型されていてもよい。
【0049】
固定子フレーム6は、樹脂モールド部材8と非磁性体材部材81の複合部材で構成されている。非磁性体材部材81は、例えば、固定子フレーム6の内部であって、シャフト7の回転軸の位置を中心として放射状、かつ、周方向に等間隔で複数本設けられている。非磁性体材部材81は、板状または棒状である。
【0050】
第6の実施形態における作用、効果は、第1の実施形態で説明した作用、効果と同様である。第6の実施形態では、非磁性体材部材81により、固定子フレーム6の強度を向上させることができる。したがって、非磁性体材部材81は、固定子フレーム6全体に熱伝導するため、固定子フレーム6は冷却特性が向上する。非磁性体材部材81の形状、本数及び固定子フレーム6における非磁性体材部材81の配置は、任意に変更できる。
【0051】
次に、第7の実施形態について説明する。図14は、第7の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。回転子5は、説明の都合上取り除いた状態である。図15は、樹脂モールド部材8で成型された電機子巻線4及びとシャフト7が設けられた固定子フレーム6の斜視図である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。コイル巻線4及び固定子フレーム6は、第1の実施形態のように一体として樹脂モールド部材8で成型されていても、第2の実施形態のように別体として樹脂モールド部材8で成型されていてもよい。
【0052】
固定子フレーム6は、樹脂モールド部材8と非磁性体材部材81の複合部材で構成されている。非磁性体材部材81は、例えば、固定子フレーム6の内部であって、シャフト7の回転軸の位置を中心とした任意の位置、かつ、周方向に等間隔で複数設けられている。非磁性体材部材81は、板材もしくは網材である。
【0053】
非磁性体材部材81の形状及び固定子フレーム6における非磁性体材部材81の配置は、任意に変更できる。第7の実施形態における作用、効果は、第6の実施形態で説明した作用、効果と同様である。
【0054】
次に、第8の実施形態について説明する。図16は、第8の実施形態に係る永久磁石回転電機1の軸方向断面図である。回転子5は、説明の都合上取り除いた状態である。図17は、第8の実施形態に係る樹脂モールド部材8で成型された電機子巻線4及びとシャフト7が設けられた固定子フレーム6の斜視図である。図1に示す第1の実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一番号を付して説明を省略する。コイル巻線4及び固定子フレーム6は、第1の実施形態のように一体として樹脂モールド部材8で成型されていても、第2の実施形態のように別体として樹脂モールド部材8で成型されていてもよい。
【0055】
固定子フレーム6は、樹脂モールド部材8と非磁性体のヒートパイプ9で構成されている。ヒートパイプ9は、例えば、固定子フレーム6の内部であって、シャフト7の回転軸の位置を中心とした同心円状に設けられている。ヒートパイプ9の形状、本数及び固定子フレーム6におけるヒートパイプ9の配置は、任意に変更できる。
【0056】
第8の実施形態における作用、効果は、第1の実施形態で説明した作用、効果と同様である。第8の実施形態では、ヒートパイプ9により、固定子フレーム6の強度を向上させることができる。さらに、ヒートパイプ9は、固定子フレーム6全体にわたって冷却特性を向上させる。
【0057】
上記説明した第1の実施形態から第8の実施形態は、適宜組み合わせることができる。本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…永久磁石回転電機、2…永久磁石列(外側)、3…永久磁石列(内側)、4…電機子巻線、5…回転子、6…固定子フレーム、7…シャフト、8…樹脂モールド部材、9…ヒートパイプ、16…永久磁石、62…フィン、81…非磁性体材部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル巻線を有する固定子と、前記固定子に対し回転可能に支持され、ハルバッハ配列された永久磁石を有する回転子からなる回転電機の前記回転子が回転軸の中心から周方向に鉄心レスでハルバッハ配列された2列の永久磁石列を設け、前記永久磁石列の間に前記固定子のコイル巻線を設け、前記永久磁石列は、永久磁石列の外側永久磁石の磁極の向きと永久磁石列の内側永久磁石の磁極の向きとが、径方向の磁極の向きについては同一方向で、周方向の磁極向きについては逆方向を向く前記固定子において、
前記コイル巻線を非磁性体のモールド部材で成型することを特徴とする永久磁石回転電機。
【請求項2】
前記固定子のフレームを前記モールド部材で成型することを特徴とする請求項1記載の永久磁石回転電機。
【請求項3】
前記固定子のフレームを成形型として用いて、前記コイル巻線と前記固定子を一体とすることを特徴とする請求項1記載の永久磁石回転電機。
【請求項4】
前記固定子のフレームの外周面を凸凹形状で成型することを特徴とする請求項2記載の永久磁石回転電機。
【請求項5】
前記モールド部材は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、プラスチック樹脂、アルミ材のいずれかであることを特徴とする請求項4記載の永久磁石回転電機。
【請求項6】
前記固定子のフレームは、前記モールド部材と非磁性体材部材との複合部材で成型されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の永久磁石回転電機。
【請求項7】
前記非磁性体材部材は、板材、網材、粉体のいずれかであることを特徴とする請求項6記載の永久磁石回転電機。
【請求項8】
前記非磁性体材部材は、前記回転軸を中心とした放射上および円周方向に配置したことを特徴とする請求項7記載の永久磁石回転電機。
【請求項9】
前記固定子のフレームは、ヒートパイプを有することを特徴とする請求項2記載の永久磁石回転電機。
【請求項10】
前記固定子のフレーム及び前記コイル巻線は、結合部形状を凹状部に丸みを持った略U状とすることを特徴とする請求項3記載の永久磁石回転電機。
【請求項11】
前記固定子のフレーム及び前記コイル巻線は、結合部形状を角部に丸みを持った略台形状とすることを特徴とする請求項3記載の永久磁石回転電機。
【請求項12】
前記回転子のフレームをモールド部材で成型することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の永久磁石回転電機。
【請求項1】
コイル巻線を有する固定子と、前記固定子に対し回転可能に支持され、ハルバッハ配列された永久磁石を有する回転子からなる回転電機の前記回転子が回転軸の中心から周方向に鉄心レスでハルバッハ配列された2列の永久磁石列を設け、前記永久磁石列の間に前記固定子のコイル巻線を設け、前記永久磁石列は、永久磁石列の外側永久磁石の磁極の向きと永久磁石列の内側永久磁石の磁極の向きとが、径方向の磁極の向きについては同一方向で、周方向の磁極向きについては逆方向を向く前記固定子において、
前記コイル巻線を非磁性体のモールド部材で成型することを特徴とする永久磁石回転電機。
【請求項2】
前記固定子のフレームを前記モールド部材で成型することを特徴とする請求項1記載の永久磁石回転電機。
【請求項3】
前記固定子のフレームを成形型として用いて、前記コイル巻線と前記固定子を一体とすることを特徴とする請求項1記載の永久磁石回転電機。
【請求項4】
前記固定子のフレームの外周面を凸凹形状で成型することを特徴とする請求項2記載の永久磁石回転電機。
【請求項5】
前記モールド部材は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、プラスチック樹脂、アルミ材のいずれかであることを特徴とする請求項4記載の永久磁石回転電機。
【請求項6】
前記固定子のフレームは、前記モールド部材と非磁性体材部材との複合部材で成型されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の永久磁石回転電機。
【請求項7】
前記非磁性体材部材は、板材、網材、粉体のいずれかであることを特徴とする請求項6記載の永久磁石回転電機。
【請求項8】
前記非磁性体材部材は、前記回転軸を中心とした放射上および円周方向に配置したことを特徴とする請求項7記載の永久磁石回転電機。
【請求項9】
前記固定子のフレームは、ヒートパイプを有することを特徴とする請求項2記載の永久磁石回転電機。
【請求項10】
前記固定子のフレーム及び前記コイル巻線は、結合部形状を凹状部に丸みを持った略U状とすることを特徴とする請求項3記載の永久磁石回転電機。
【請求項11】
前記固定子のフレーム及び前記コイル巻線は、結合部形状を角部に丸みを持った略台形状とすることを特徴とする請求項3記載の永久磁石回転電機。
【請求項12】
前記回転子のフレームをモールド部材で成型することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の永久磁石回転電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−175755(P2012−175755A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33435(P2011−33435)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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