永久磁石型回転機
【課題】ステータユニットに対して永久磁石が軸方向に変位して組み付けられてもコギングトルクを低減でき、しかもコスト低減や更なるトルクアップが可能な永久磁石型回転機を提供する。
【解決手段】Q=2(2相モータ)、m=1、n=2の場合、1相目のステータユニットはA相−A´相の2つに分割されており、2相目のステータユニットはB相−B´相の2つに分割されている。A相のステータユニットはいずれか一方の積層端から1番目に、一つ目の永久磁石4aに対向して積層され、B相ステータユニットは積層端から3番目に、二つ目の永久磁石4bと対向して、A相‐A´相‐B相‐B´相となるように積層されている。
【解決手段】Q=2(2相モータ)、m=1、n=2の場合、1相目のステータユニットはA相−A´相の2つに分割されており、2相目のステータユニットはB相−B´相の2つに分割されている。A相のステータユニットはいずれか一方の積層端から1番目に、一つ目の永久磁石4aに対向して積層され、B相ステータユニットは積層端から3番目に、二つ目の永久磁石4bと対向して、A相‐A´相‐B相‐B´相となるように積層されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機、プリンター等のOA機器やコンピュータ周辺機器、自動車、FA関連の搬送装置などの駆動源に用いられる多相ステッピングモータなどの永久磁石型回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
多相ステッピングモータには、ロータに永久磁石を用いたPM型、ロータに歯車状の鉄芯を用いたVR型、ロータに歯車状の鉄芯と永久磁石を用いたハイブリッド(HB)型など様々なモータ(インナーロータ型、アウターロータ型)が用いられる。PM型の多相ステッピングモータは、軸方向に積層された複数のステータユニットに対向してN極とS極が交互に着磁された永久磁石を備えたロータが設けられる。各ステータユニットのコイルに電流方向を切り換えて通電することで、ステータ磁極とロータ磁極との吸引反発によりロータが回転するようになっている。
【0003】
永久磁石型回転機においては、ロータとしてシャフトに単一の永久磁石を設け、2つのステータユニットを対向配置したものが数多く用いられている。ステータユニットは相数と同じ数だけ積層される(特許文献1参照)。近年のモータ高効率化ニーズに応え、少ない入力で大きなトルクを出すために、永久磁石に最大磁気エネルギー積の大きい希土類磁石(例えば、ネオジウム鉄ボロン等)を用いるケースが増加しているが、この構造では、極歯(クローポール)根元部分での磁束が飽和しやすく、十分なトルク特性を得られない問題が見られる場合がある。
【0004】
そこで、近年ステータヨークの極歯(クローポール)根元部分での磁束が飽和しにくくトルクを出しやすいこと、一ステータユニットの板厚を薄型にでき加工コストの抑制や加工精度の向上が実現できる、などの理由から、4ステータユニット以上のステータを備えた永久磁石型回転機が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−4570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、多相ステッピングモータをユーザー側が装置に組み付ける際に、ステータユニットに対して永久磁石が軸方向に移動して組み付けられると、コギングトルクを相殺するように積層されたステータユニット同士の、対向する永久磁石の軸方向長さ(磁石とクローポールの対向する面積)のバランスを失うおそれがある。その結果、ロータのコギングトルクがばらつき、モータの振動・騒音が増加するおそれがある。
さらに、モータの高効率化のニーズに応えるために最大磁気エネルギー積の大きい希土類磁石を用いる場合、永久磁石とステータユニットの位置関係のズレが微小であっても、磁束変化量の不均衡は大きくなってしまい、振動・騒音の問題が一層顕著に現われるおそれがある。
【0007】
このため、シャフトの軸受部材とロータとの間に断面コ字状のワッシャとスプリングワッシャ、板ばねなどを設けてロータに対して予圧を加えることが行なわれているが、部品点数が嵩み製造コストも高くなるうえに、摩擦負荷の増加等モータトルクを減少させる要因も増加する。さらに、ばねの劣化によりロータ位置が出荷時から時系列的に変化し、コギングトルクが時間とともに増加するという問題も考えられる。
【0008】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、ステータユニットに対して永久磁石が軸方向に変位して組み付けられてもコギングトルクを低減でき、しかもコスト低減や更なるトルクアップが可能な永久磁石型回転機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
Q相励磁駆動方式(Qは2以上の偶数)で、空芯状に巻かれたコイルをステータヨークにより挟み込んで極歯どうしが噛み合うように形成されるステータユニットが複数積層され、積層される全てのステータユニットの各ステータヨークが同数の極歯をロータ回転方向に所定ピッチで形成され、かつ同相のステータユニットが1相当たりn個(nは1以上の整数でQとの積nQが4以上の整数になる)に分割されて同芯状に積層される多相励磁方式のステータと、前記ステータヨークに形成される極歯に対向する磁極が形成され軸方向に複数個配置された永久磁石を備えたロータを有する永久磁石型回転機であって、前記永久磁石の磁極数をPとすると、 (360°/(2P))の角度差を持って積層された相が異なる2つのステータユニットのうち、少なくとも1相目のステータユニットはいずれか一方の積層端からm番目(mは(nQ/2)以下で1以上の整数)に、永久磁石と対向して積層され、前記1相目のステータユニットと励磁周期で1/4周期ずれている2相目のステータユニットは前記積層端から((nQ/2)+m)番目に、他の永久磁石と対向して各々積層される構造を含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記永久磁石は、シャフトの軸方向に沿って第1磁石と第2磁石が分割されて設けられており、前記第1磁石は前記ステータユニットのいずれか一方の積層端から1番目から(nQ/2)番目のステータユニットの極歯に対向配置され、前記第2磁石は前記積層端から((nQ/2)+1)番目からnQ番目のステータユニットの極歯に各々対向配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、いずれか一方の積層端の軸方向に直交する面から第1磁石までの軸方向の距離T1と、積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面から第2磁石までの軸方向の距離T2が、0.6<T2/T1<1.6となる位置に配置されていることを特徴とする。
【0012】
或いは、前記永久磁石は、シャフトの軸方向に沿って第1磁石,第2磁石,第3磁石,第4磁石が各々分割配置されており、前記第1磁石及び第2磁石は、前記ステータユニットのいずれか一方の積層端から1番目から(nQ/2)番目のステータユニットの極歯に対向配置され、前記第3磁石及び第4磁石は、前記積層端から((nQ/2)+1)番目から(nQ)番目のステータユニットの極歯に各々対向配置されていることを特徴とする。
【0013】
この場合、いずれか一方の積層端の軸方向に直交する面から前記第1磁石までの距離T1、及び第2磁石までの距離T2と、積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面から前記第3磁石までの距離T3及び第4磁石までの距離T4が、0.6<T3/T1<1.6、0.6<T4/T2<1.6となる位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述した永久磁石型回転機を具体例で説明すると、以下の通りである。例えば、Q=2(2相モータ)、m=1、n=2の場合、1相目のステータユニットはA相−A´相の2つに分割されており、2相目のステータユニットはB相−B´相の2つに分割されている。A相のステータユニットはいずれか一方の積層端から1番目に、一つ目の永久磁石に対向して積層され、B相ステータユニットは積層端から3番目に、二つ目の永久磁石と対向して、A相‐A´相‐B相‐B´相となるように積層されている。尚、永久磁石の磁極数PとしたときA相とB相、A´相とB´相は(360°/(2P))の位相角(電気角で90°e(eは電気角表記の意))を持たせて積層されており、同相のステータユニットA相‐A´相間、B相‐B´相間は、 (360°/(4P))の位相角(電気角で45°e)を持たせて積層されている。なお、A相とB相、A´相とB´相は励磁周期で1/4周期ずれている。
このようにステータユニットを積層することで、永久磁石とステータ間の磁気回路により生じるコギングトルクをA相‐B相、A´相‐B´相間で各々打ち消すことができるのでモータ全体のコギングトルクを低減することができる。
【0015】
永久磁石は、シャフトの軸方向に沿って第1磁石と第2磁石が設けられており、第1磁石は、ステータユニットのいずれか一方の積層端から1番目から2番目のステータユニットに対向配置され、第2磁石は、積層端から3番目から4番目のステータユニットに各々対向配置されている。このように第1磁石と第2磁石が配置されていると、ステータに対してロータが軸方向に変位して組み付けられても、(360°/(2P))の角度差を持つA相‐B相間、A´‐B´相間においてコギングトルクを相殺することができる。
【0016】
第1磁石と第2磁石は、いずれか一方の積層端の軸方向に直交する面から第1磁石までの軸方向の距離T1と、積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面から第2磁石までの軸方向の距離T2が、0.6<T2/T1<1.6となる位置に配置されていると、ロータの軸方向に組み付け誤差が生じても、第1磁石と第2磁石との隙間によりステータの磁極歯と対向する永久磁石の対向面積の増減量が軸方向で変化せず、磁束量の不均衡を少なくしてコギングトルクを低減することができる。
【0017】
また、永久磁石は、シャフトの軸方向に沿って第1磁石,第2磁石,第3磁石,第4磁石が設けられており、第1磁石及び第2磁石は、ステータユニットのいずれか一方の積層端から1番目から2番目のステータユニットに対向配置され、第3磁石及び第4磁石は、積層端から3番目から4番目のステータユニットに各々対向配置されている。このように、第1磁石乃至第4磁石が分割されて配置されていると、ステータに対してロータが軸方向に変位して組み付けられても、(360°/(2P))の角度差を持つA相‐B相間、A´‐B´相間においてコギングトルクを相殺することができる。
【0018】
また、ロータの軸方向に組み付け誤差が生じても、第1磁石乃至第4磁石に存在する隙間によりステータの磁極歯と対向する永久磁石の対向面積の増減量が軸方向で変化せず、磁束量の不均衡を少なくしてコギングトルクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ステータの断面図及びロータの前方斜視図である。
【図2】ステータとロータの分解斜視図である。
【図3】第1実施例に係るステータの積層構造とロータの配置関係を示す模式図である。
【図4】図3の各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図5】図3のロータが軸方向にずれて組み付けられた状態を示す模式図である。
【図6】図5の状態で各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図7】図3に示すステータの積層構造及びロータの配置の対比例を示す模式図である。
【図8】図7の各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図9】図7のロータが軸方向にずれて組み付けられた状態を示す模式図である。
【図10】図9の状態で各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図11】図3に示すステータの積層構造及びロータの配置の他の対比例を示す模式図である。
【図12】図11の各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図13】図11のロータが軸方向にずれて組み付けられた状態を示す模式図である。
【図14】図13の状態で各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図15】第2実施例に係るステータの積層構造とロータの配置関係を示す模式図である。
【図16】図15の各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図17】図15のロータが軸方向にずれて組み付けられた状態を示す模式図である。
【図18】図17の状態で各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図19】図15に示すステータの積層構造及びロータの配置の対比例を示す模式図である。
【図20】図19の各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図21】図19のロータが軸方向にずれて組み付けられた状態を示す模式図である。
【図22】図21の状態で各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図23】ステータユニットの積層端からの永久磁石の距離とコギングトルクの大きさの関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る永久磁石型回転機の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。以下の実施形態では、永久磁石型回転機の一例として多相ステッピングモータを例示して説明するものとする。多相ステッピングモータは、例えばOA機器やコンピュータ周辺機器、自動車、FA関連の搬送装置などに用いられる。本実施形態では、インナーロータ型の多相ステッピングモータを例示して説明する。
【0021】
図2において励磁相数Q(本実施例ではQ=2)である多相ステッピングモータは、空芯状に巻かれたコイル(図示せず)をステータヨーク1により挟み込んでクローポール(極歯)2どうしが噛み合うように形成されるステータユニットU1〜U4を具備し、励磁周期が同じ(同相の)ステータユニットが1相当たりn個(nは励磁相数Qとの積nQが4以上の整数となるような1以上の整数;本実施例ではn=2)に分割されて同芯状に積層されたステータ3と、ステータヨーク1に形成されるクローポール2に対向して磁極が形成された永久磁石4を備えたロータ5を有する。
【0022】
多相ステッピングモータの概略構成について図1を参照して説明する。ロータ5は、周方向にN極とS極が交互に着磁された永久磁石4がシャフト(回転軸)6に一体に設けられている。永久磁石4は、シャフト6の軸方向に沿って第1磁石4aと第2磁石4bが設けられており、ステータ3のクローポール2に対向して設けられる。
【0023】
図1において、ステータ3は、図示しないボビンに空芯状に巻かれたコイルを磁性材料からなる上下のステータヨーク1a,1bにより挟み込んで櫛歯状のクローポール2a、2bどうしが噛み合うように形成される。ステータ3は、図示しないハウジングに収納され軸受部にてシャフト6が回転可能に軸支されて組み付けられる。
【0024】
図1において、ステータ3は、励磁周期が同じ(同相の)ステータユニットU1及びU2と、ステータユニットU3及びU4が1相当たりn個(nは2以上の整数;図1ではn=2)に分割されて同芯状に積層されている。
【0025】
[第1実施例]
図3において、ステータ3は、ステータユニットU1及びU2をA相及びA´相とし、ステータユニットU3及びU4をB相及びB´相とする2相励磁方式(Q=2)が採用されている。永久磁石4の磁極数をPとすると、A相とB相及びA´相とB´相は(360°/(2P))の角度差を持って積層されている。A相のステータユニットU1は一方の積層端から1番目(m番目=1;mは(nQ/2)以下で1以上の整数)に積層され、B相のステータユニットU3は積層端から3番目((m+(nQ/2))番目=3)に各々積層されている。
【0026】
ステータの積層構造について説明すると、A相‐A´相‐B相‐B´相となるように積層されている。具体的には、永久磁石4の磁極数Pとしたとき、A相とB相、A´相とB´相は(360°/(2P))の位相角(電気角で90°e(eは電気角表記の意))を持たせて積層されており、同相のステータユニットA相‐A´相間、B相‐B´相間は、 (360°/(4P))の位相角(電気角で45°e)を持たせて積層されている。なお、A相とB相、A´相とB´相は励磁周期で1/4周期ずれている。
【0027】
永久磁石4は、シャフト6の軸方向に沿って第1磁石4aと第2磁石4bが分割されて設けられており、バックヨーク4e,4fを介してシャフト6に一体に組み付けられている。
【0028】
第1磁石4aは、ステータ3のうち一方の積層端(上端)から1番目から2(=nQ/2)番目のステータユニットU1,U2に対向配置され、第2磁石4bは、積層端(上端)から3((nQ/2)+1)番目から4(nQ)番目のステータユニットU3,U4に各々対向配置されている。より具体的には、積層端(上端)の軸方向に直交する面(第1ステータユニットU1の上端面)から第1磁石4aまでの軸方向の距離T1と、第2ステータユニットU2と第3ステータユニットU3の界面(積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面)から第2磁石4bまでの軸方向の距離T2が等しくなるような位置に配置されている。
なお、T1とT2が同じ距離になることが理想ではあるが必ずしも同じ距離にならなくてもよく、モータの使用上問題無い程度の違いならば良い。これに関して図23を用いて以下に説明する。
【0029】
図23は図3のステータ3と永久磁石4の構成で、T2/T1を横軸に、コギングトルクの大きさを縦軸にとりその関係を示したものである。T2/T1が1のときT1=T2、1未満のときT1>T2、1を超えるときT1<T2である。横軸で1(T1=T2)を中心にコギングトルクが小さくなっていくことがわかる。経験上この最小値から20%程度コギングトルクが増えてもモータを使用するうえで問題とならないことがわかっている。20%増加するのはT2/T1が0.6と1.6であり、したがって0.6<T2/T1<1.6であれば十分コギングトルクを低く抑えることができると考えてよい。
【0030】
図4(a)にA相ステータユニットU1及びA´相ステータユニットU2と第1磁石4a間、B相ステータユニットU3及びB´相ステータユニットU4と第2磁石4b間に各々発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。図4(b)にはこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3との間、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間でコギングトルクの大きさが各々相殺されるため、ステータ3全体で発生するコギングトルクを低減することができる。
【0031】
図5は、ロータ5が軸方向にずれて組み付けられた場合を示す。図5においては、ロータ5が軸方向でA相ステータユニットU1側に移動した状態を示す。このとき、A相ステータユニットU1と第1磁石4aとの対向面積、B相ステータユニットU3と第2磁石4bとの対向面積は各々増えているが、A´相ステータユニットU2と第1磁石4aとの対向面積、B´相ステータユニットU4と第2磁石4bとの対向面積が各々減少している。
【0032】
図6(a)にA相ステータユニットU1及びA´相ステータユニットU2と第1磁石4aとの間、B相ステータユニットU3及びB´相ステータユニットU4と第2磁石4bとの間に各々発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。図6(b)にはこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3との間、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間でコギングトルクの大きさが各々相殺されるため、ステータ3全体で発生するコギングトルクを低減することができる。
よって、ロータ5の軸方向に組み付け誤差が生じても、第1磁石4aと第2磁石4bとの隙間によりステータ3の磁極歯と対向する永久磁石4の対向面積の増減量が軸方向で変化せず、磁束量の変化を少なくしてコギングトルクを低減することができる。
【0033】
[比較例1]
次に図3のステータ配置に対する比較例について図7乃至図10を参照して説明する。尚、ロータ5の構成は図3と同様であるので説明を省略する。
ステータ3は2相励磁方式で1相当たり2つのユニットに分割されている点は第1実施例と同様であるが、ステータユニットの積層構造が異なっている。
【0034】
図7において、ステータ3は、上端側よりA相ステータユニットU1、A´相ステータユニットU2、B´相ステータユニットU4及びB相ステータユニットU3の順に積層されている。即ち、A相及びA´相とB´相及びB相が積層方向中間部を対称面として面対称に組み付けられている。
また、永久磁石4の磁極数Pとしたとき、A相とB相、A´相とB´相は(360°/(2P))の位相角(電気角で90°e(eは電気角表記の意))を持たせて積層されており、同相のステータユニットA相‐A´相間、B相‐B´相間は、 (360°/(4P))の位相角(電気角で45°e)を持たせて積層されている点は第1実施例と同様である。なお、A相とB相、A´相とB´相は励磁周期で1/4周期ずれていることも同様である。
【0035】
図8(a)に、A相ステータユニットU1及びA´相ステータユニットU2と対向する第1磁石4a、B´相ステータユニットU4及びB相ステータユニットU3と対向する第2磁石4b間に各々発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。図8(b)にはこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3との間、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間でコギングトルクの大きさが各々相殺されるため、ステータ3全体で発生するコギングトルクを低減することができる。
【0036】
図9は、ロータ5が軸方向にずれて組み付けられた場合を示す。図9においては、ロータ5が軸方向でA相ステータユニットU1側に移動した状態を示す。このとき、A相ステータユニットU1と第1磁石4aとの対向面積及びB´相ステータユニットU4と第2磁石4bとの対向面積が各々増加しているが、A´相ステータユニットU2と第1磁石4aとの対向面積、B相ステータユニットU3と第2磁石4bとの対向面積は各々減少している。
【0037】
図10(a)は、A相ステータユニットU1及びA´相ステータユニットU2と第1磁石4aとの間に発生するコギングトルク、B´相ステータユニットU4及びB相ステータユニットU3と第2磁石4b間に発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。図10(b)はこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3間においてはコギングトルクが相殺されずに残り、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間においてもコギングトルクが相殺されずに残ってしまうため、ステータ3全体においてもコギングトルクが発生する。
【0038】
[比較例2]
次に図3のステータ配置に対する他の比較例について図11乃至図14を参照して説明する。尚、ロータ5の構成は図3と同様であるので説明を省略する。
ステータ3は2相励磁方式で1相当たり2つのユニットに分割されている点は第1実施例と同様であるが、ステータユニットの積層構造が異なっている。
【0039】
図11において、ステータ3は、上端側よりA相ステータユニットU1、B相ステータユニットU3、A´相ステータユニットU2、B´相ステータユニットU4の順に積層されている。即ち、A相ステータユニットとB相ステータユニットが交互に積層されている。
【0040】
また、永久磁石4の磁極数Pとしたとき、A相とB相、A´相とB´相は(360°/(2P))の位相角(電気角で90°e(eは電気角表記の意))を持たせて積層されており、同相のステータユニットA相‐A´相間、B相‐B´相間は、 (360°/(4P))の位相角(電気角で45°e)を持たせて積層されている点は第1実施例と同様である。なお、A相とB相、A´相とB´相は励磁周期で1/4周期ずれていることも同様である。
【0041】
図12(a)にA相ステータユニットU1及びB相ステータユニットU3と第1磁石4a間、A´相ステータユニットU2及びB´相ステータユニットU4と第2磁石4b間に各々発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。図12(b)にこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3との間、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間でコギングトルクの大きさが各々相殺されるため、ステータ3全体で発生するコギングトルクを低減することができる。
【0042】
図13は、ロータ5が軸方向にずれて組み付けられた場合を示す。図13においては、ロータ5が軸方向でA相ステータユニットU1側に移動した状態を示す。このとき、A相ステータユニットU1と第1磁石4aとの対向面積及びA´相ステータユニットU2と第2磁石4bとの対向面積が各々増加しているが、B相ステータユニットU3と第1磁石4aとの対向面積、B´相ステータユニットU4と第2磁石4bとの対向面積は各々減少している。
【0043】
図14(a)は、A相ステータユニットU1及びB相ステータユニットU3と第1磁石4aとの間に発生するコギングトルク、A´相ステータユニットU2及びB´相ステータユニットU4と第2磁石4b間に各々発生するコギングトルクの大きさを示す。図14(b)はこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3間においてはコギングトルクが相殺されずに残り、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間においてもコギングトルクが相殺されずに残ってしまうため、ステータ3全体においてもコギングトルクが発生する。
【0044】
このように第一実施例の積層順であれば、永久磁石が2個配置されており、A相のステータユニットU1が一方の積層端から1番目(m番目=1;mは(nQ/2)以下で1以上の整数)に積層され、B相のステータユニットU3が積層端から3番目((m+(nQ/2))番目=3)に各々積層されている時、ステータ3に対してロータ5が軸方向にずれて組み付けられても、A相‐B相間、A´‐B´相間においてコギングトルクを相殺することができる。
【0045】
[第2実施例]
次に永久磁石回転機の他例について図15乃至図18を参照して説明する。
第1実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする
本実施例は、ステータ3の積層構造は図3と同様であるが、ロータ5の構成が異なっている。
【0046】
図15において、永久磁石4は、シャフト6の軸方向に沿って第1磁石4a,第2磁石4b,第3磁石4c,第4磁石4dが各々設けられている。第1磁石4aは一方の積層端(上端)から1番目のA相ステータユニットU1に対向配置され、第2磁石4bは2番目のA´相ステータユニットU2に対向配置され、第3磁石4cは3番目のB相ステータユニットU3に対向配置され、第4磁石4dは、4番目のB´相ステータユニットU4に各々対向配置されている。
【0047】
この場合、第1磁石4a乃至第4磁石4dは、積層端(上端)の軸方向に直交する面(第1ステータユニットU1の上端面)から第1磁石4aまでの軸方向の距離T1及び第2磁石4bまでの距離T2と、第2ステータユニットU2と第3ステータユニットU3の界面(積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面)から第3磁石4cまでの軸方向の距離T3及び第4磁石4dまでの距離T4がそれぞれ等しくなるような位置に配置されている。
【0048】
実施例1において図23を用いて説明したように、距離T1,T2,T3,T4がすべて同じ距離になることが理想ではあるが必ずしも同じ距離にならなくてもよく、モータの使用上問題無い程度の違いならば良い。すなわち0.6<T3/T1<1.6、0.6<T4/T2<1.6となる位置に各々配置されていればよい。
【0049】
尚、第1磁石4a乃至第4磁石4dは図示しないがバックヨークを介してシャフト6に組み付けられている。また、永久磁石4の磁極数Pとしたとき、A相とB相、A´相とB´相は(360°/(2P))の位相角(電気角で90°e(eは電気角表記の意))を持たせて積層されており、同相のステータユニットA相‐A´相間、B相‐B´相間は、 (360°/(4P))の位相角(電気角で45°e)を持たせて積層されている点は第1実施例と同様である。なお、A相とB相、A´相とB´相は励磁周期で1/4周期ずれていることも同様である。
【0050】
図16(a)にA相ステータユニットU1と第1磁石4a間及びB相ステータユニットU3と第3磁石4c間、A´相ステータユニットU2と第2磁石4b間及びB´相ステータユニットU4と第4磁石4d間に各々発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。図16(b)にこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3との間、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間でコギングトルクの大きさが各々相殺されるため、ステータ3全体で発生するコギングトルクを低減することができる。
【0051】
図17は、ロータ5が軸方向にずれて組み付けられた場合を示す。図17においては、ロータ5が軸方向でA相ステータユニットU1側に移動した状態を示す。このとき、A相ステータユニットU1と第1磁石4aとの対向面積、A´相ステータユニットU2と第2磁石4bとの対向面積、B相ステータユニットU3と第3磁石4cとの対向面積、B´相ステータユニットU4と第4磁石4dとの対向面積は変化していない。
【0052】
図18(a)は、A相ステータユニットU1と第1磁石4a間、A´相ステータユニットU2と第2磁石4b間、B相ステータユニットU3と第3磁石4c間、B´相ステータユニットU4と第4磁石4d間に各々発生するコギングトルクの大きさを示す。図18(b)はこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1、A´相ステータユニットU2、B相ステータユニットU3、B´相ステータユニットU4に発生するコギングトルクの大きさが変化しないため、図16(a)(b)同様にコギングトルクが相殺され、ステータ3全体で発生するコギングトルクを低減することができる。
【0053】
[比較例]
次に第1実施例及び第2実施例の永久磁石型回転機の比較例について図19乃至図22を参照して説明する。第2実施例と同一部材には同一番号を付して説明を省略するものとする。図19において、ステータ3の積層構造は第2実施例と同様であるため説明を省略する。ロータ5はシャフト6に対してバックヨーク4gを介して単一の永久磁石4hが設けられている。即ち、永久磁石4hは、A相ステータユニットU1、A´相ステータユニットU2、B相ステータユニットU3、B´相ステータユニットU4の各磁極歯と対向配置されている。同一モータ長を前提とした場合、永久磁石4hの両端側、即ちA相ステータユニットU1及びB´相ステータユニットU4の軸方向の対向面積は、ロータ5を回転可能とするため短くなっている。
【0054】
図20(a)にA相ステータユニットU1、A´相ステータユニットU2、B相ステータユニットU3、B´相ステータユニットU4と永久磁石4h間に各々発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。A´相ステータユニットU2、B相ステータユニットU3の軸方向の対向面積に比べてA相ステータユニットU1及びB´相ステータユニットU4の軸方向の対向面積が小さいため、A相−B相間、A´相‐B´相間においてコギングトルクを打ち消すことができない。図20(b)にこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3との間、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間でコギングトルクの大きさが各々相殺できないため、ステータ3全体においてもコギングトルクが残ってしまう。
【0055】
図21は、ロータ5が軸方向にずれて組み付けられた場合を示す。図21においては、ロータ5が軸方向でA相ステータユニットU1側に移動した状態を示す。このとき、A´相ステータユニットU2、B相ステータユニットU3と永久磁石4hとの対向面積は変化していないが、A相ステータユニットU1と永久磁石4hとの対向面積は増加し、B´相ステータユニットU4と永久磁石4hとの対向面積は減少している。
【0056】
図22(a)は、A相ステータユニットU1、A´相ステータユニットU2、B相ステータユニットU3、B´相ステータユニットU4と永久磁石4h間に各々発生するコギングトルクの大きさを示す。図22(b)はこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A´相ステータユニットU2−B´相ステータユニットU4間においてはコギングトルクが相殺されずに残り、ステータ3全体においてもコギングトルクが発生する。
【0057】
このように第一及び第二の実施例のような磁石配置方法であれば、ロータ5の軸方向に組み付け誤差が生じても、複数設けられた永久磁石4の間に存在する隙間によりステータ3の磁極歯と対向する永久磁石4の対向面積の増減量が軸方向で変化せず、磁束量の不均衡を少なくしてコギングトルクを低減することができる。
また、予圧ばね等の部品を省略して製造コストも低減することができる。
【0058】
また、ロータ5に設けられる永久磁石4を2つ組み付ける第1実施例は、ロータ5に設けられる永久磁石4を4つ組み付ける第2実施例よりも部品点数が少ないため組立コストも減り、ステータ3に対するロータ5の組み付け精度(寸法公差)の影響を少なくすることが可能になることから、部品コストとしても低減できる。
さらに、第1実施例及び第2実施例の、複数の永久磁石の間に存在する隙間の長さが等しいとした場合、第一実施例の方が磁石長を長くすることでモータトルク特性を向上させることができる。
【0059】
上述した実施例では、インナーロータ型の多相ステッピングモータについて説明したが、ステータがロータに囲まれて配置されるアウターロータ型の多相ステッピングモータについても適用できる。
【0060】
また、ステータ3はA相及びB相が励磁周期で1/4周期ずれるように励磁される2相励磁方式の場合について説明したが、4相励磁方式であってもよい。この場合、励磁周期で1/8周期ずれるように励磁される相が4相設けられるが、これは励磁周期で1/4周期ずれるように励磁される、異なる2相が2組設けられるという、本実施例と同じ形態をとることができる。
【0061】
また、積層された各ステータユニット間に磁極歯どうしが直に重なり合う界面部が軸方向で3箇所以上形成され、これらの界面部のうちで直に重なり合う磁極歯どうしのロータ回転方向の中間位置が電気角で90°±30°の位相差で積層される界面部が1対以上存在するようにステータユニットを積層することにより、永久磁石4と対向する磁極歯が軸方向で直に重なり合う界面部を通過する磁気回路に起因するコギングトルクをさらに低減することができる。
【0062】
また、1パルスで1ステップ角の回転駆動を行なうフルステップ駆動のみならず、分解能を高め振動低減を図るマイクロステップ駆動を行なう場合には、相乗効果として低振動性をより向上させることができる。
また、本実施例では、2相ステッピングモータについて説明したが、これに限定されるものではなく、軸方向の長さが長くなるが低振動を実現した4相、6相…などの多相ステッピングモータなどの多様な永久磁石型回転機を提供することができる。
【0063】
また、本実施例では、複数の永久磁石を用いたときその実施例内の永久磁石は同じ形態(形状、材質等)であることを前提にして説明したが、磁束量が同じならば異なる形態の磁石でも良い。
また、本実施例では、A相を常に積層端に配置して説明したが、B相が積層端になる、とするように、A相とB相、A´相とB´相の積層順が入れ替わっても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0064】
U1,U2,U3,U4 ステータユニット
1,1a,1b ステータヨーク
2,2a,2b クローポール
3 ステータ
4,4h 永久磁石
4a 第1磁石
4b 第2磁石
4c 第3磁石
4d 第4磁石
4e,4f,4g バックヨーク
5 ロータ
6 シャフト
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機、プリンター等のOA機器やコンピュータ周辺機器、自動車、FA関連の搬送装置などの駆動源に用いられる多相ステッピングモータなどの永久磁石型回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
多相ステッピングモータには、ロータに永久磁石を用いたPM型、ロータに歯車状の鉄芯を用いたVR型、ロータに歯車状の鉄芯と永久磁石を用いたハイブリッド(HB)型など様々なモータ(インナーロータ型、アウターロータ型)が用いられる。PM型の多相ステッピングモータは、軸方向に積層された複数のステータユニットに対向してN極とS極が交互に着磁された永久磁石を備えたロータが設けられる。各ステータユニットのコイルに電流方向を切り換えて通電することで、ステータ磁極とロータ磁極との吸引反発によりロータが回転するようになっている。
【0003】
永久磁石型回転機においては、ロータとしてシャフトに単一の永久磁石を設け、2つのステータユニットを対向配置したものが数多く用いられている。ステータユニットは相数と同じ数だけ積層される(特許文献1参照)。近年のモータ高効率化ニーズに応え、少ない入力で大きなトルクを出すために、永久磁石に最大磁気エネルギー積の大きい希土類磁石(例えば、ネオジウム鉄ボロン等)を用いるケースが増加しているが、この構造では、極歯(クローポール)根元部分での磁束が飽和しやすく、十分なトルク特性を得られない問題が見られる場合がある。
【0004】
そこで、近年ステータヨークの極歯(クローポール)根元部分での磁束が飽和しにくくトルクを出しやすいこと、一ステータユニットの板厚を薄型にでき加工コストの抑制や加工精度の向上が実現できる、などの理由から、4ステータユニット以上のステータを備えた永久磁石型回転機が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−4570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、多相ステッピングモータをユーザー側が装置に組み付ける際に、ステータユニットに対して永久磁石が軸方向に移動して組み付けられると、コギングトルクを相殺するように積層されたステータユニット同士の、対向する永久磁石の軸方向長さ(磁石とクローポールの対向する面積)のバランスを失うおそれがある。その結果、ロータのコギングトルクがばらつき、モータの振動・騒音が増加するおそれがある。
さらに、モータの高効率化のニーズに応えるために最大磁気エネルギー積の大きい希土類磁石を用いる場合、永久磁石とステータユニットの位置関係のズレが微小であっても、磁束変化量の不均衡は大きくなってしまい、振動・騒音の問題が一層顕著に現われるおそれがある。
【0007】
このため、シャフトの軸受部材とロータとの間に断面コ字状のワッシャとスプリングワッシャ、板ばねなどを設けてロータに対して予圧を加えることが行なわれているが、部品点数が嵩み製造コストも高くなるうえに、摩擦負荷の増加等モータトルクを減少させる要因も増加する。さらに、ばねの劣化によりロータ位置が出荷時から時系列的に変化し、コギングトルクが時間とともに増加するという問題も考えられる。
【0008】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、ステータユニットに対して永久磁石が軸方向に変位して組み付けられてもコギングトルクを低減でき、しかもコスト低減や更なるトルクアップが可能な永久磁石型回転機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
Q相励磁駆動方式(Qは2以上の偶数)で、空芯状に巻かれたコイルをステータヨークにより挟み込んで極歯どうしが噛み合うように形成されるステータユニットが複数積層され、積層される全てのステータユニットの各ステータヨークが同数の極歯をロータ回転方向に所定ピッチで形成され、かつ同相のステータユニットが1相当たりn個(nは1以上の整数でQとの積nQが4以上の整数になる)に分割されて同芯状に積層される多相励磁方式のステータと、前記ステータヨークに形成される極歯に対向する磁極が形成され軸方向に複数個配置された永久磁石を備えたロータを有する永久磁石型回転機であって、前記永久磁石の磁極数をPとすると、 (360°/(2P))の角度差を持って積層された相が異なる2つのステータユニットのうち、少なくとも1相目のステータユニットはいずれか一方の積層端からm番目(mは(nQ/2)以下で1以上の整数)に、永久磁石と対向して積層され、前記1相目のステータユニットと励磁周期で1/4周期ずれている2相目のステータユニットは前記積層端から((nQ/2)+m)番目に、他の永久磁石と対向して各々積層される構造を含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記永久磁石は、シャフトの軸方向に沿って第1磁石と第2磁石が分割されて設けられており、前記第1磁石は前記ステータユニットのいずれか一方の積層端から1番目から(nQ/2)番目のステータユニットの極歯に対向配置され、前記第2磁石は前記積層端から((nQ/2)+1)番目からnQ番目のステータユニットの極歯に各々対向配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、いずれか一方の積層端の軸方向に直交する面から第1磁石までの軸方向の距離T1と、積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面から第2磁石までの軸方向の距離T2が、0.6<T2/T1<1.6となる位置に配置されていることを特徴とする。
【0012】
或いは、前記永久磁石は、シャフトの軸方向に沿って第1磁石,第2磁石,第3磁石,第4磁石が各々分割配置されており、前記第1磁石及び第2磁石は、前記ステータユニットのいずれか一方の積層端から1番目から(nQ/2)番目のステータユニットの極歯に対向配置され、前記第3磁石及び第4磁石は、前記積層端から((nQ/2)+1)番目から(nQ)番目のステータユニットの極歯に各々対向配置されていることを特徴とする。
【0013】
この場合、いずれか一方の積層端の軸方向に直交する面から前記第1磁石までの距離T1、及び第2磁石までの距離T2と、積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面から前記第3磁石までの距離T3及び第4磁石までの距離T4が、0.6<T3/T1<1.6、0.6<T4/T2<1.6となる位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述した永久磁石型回転機を具体例で説明すると、以下の通りである。例えば、Q=2(2相モータ)、m=1、n=2の場合、1相目のステータユニットはA相−A´相の2つに分割されており、2相目のステータユニットはB相−B´相の2つに分割されている。A相のステータユニットはいずれか一方の積層端から1番目に、一つ目の永久磁石に対向して積層され、B相ステータユニットは積層端から3番目に、二つ目の永久磁石と対向して、A相‐A´相‐B相‐B´相となるように積層されている。尚、永久磁石の磁極数PとしたときA相とB相、A´相とB´相は(360°/(2P))の位相角(電気角で90°e(eは電気角表記の意))を持たせて積層されており、同相のステータユニットA相‐A´相間、B相‐B´相間は、 (360°/(4P))の位相角(電気角で45°e)を持たせて積層されている。なお、A相とB相、A´相とB´相は励磁周期で1/4周期ずれている。
このようにステータユニットを積層することで、永久磁石とステータ間の磁気回路により生じるコギングトルクをA相‐B相、A´相‐B´相間で各々打ち消すことができるのでモータ全体のコギングトルクを低減することができる。
【0015】
永久磁石は、シャフトの軸方向に沿って第1磁石と第2磁石が設けられており、第1磁石は、ステータユニットのいずれか一方の積層端から1番目から2番目のステータユニットに対向配置され、第2磁石は、積層端から3番目から4番目のステータユニットに各々対向配置されている。このように第1磁石と第2磁石が配置されていると、ステータに対してロータが軸方向に変位して組み付けられても、(360°/(2P))の角度差を持つA相‐B相間、A´‐B´相間においてコギングトルクを相殺することができる。
【0016】
第1磁石と第2磁石は、いずれか一方の積層端の軸方向に直交する面から第1磁石までの軸方向の距離T1と、積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面から第2磁石までの軸方向の距離T2が、0.6<T2/T1<1.6となる位置に配置されていると、ロータの軸方向に組み付け誤差が生じても、第1磁石と第2磁石との隙間によりステータの磁極歯と対向する永久磁石の対向面積の増減量が軸方向で変化せず、磁束量の不均衡を少なくしてコギングトルクを低減することができる。
【0017】
また、永久磁石は、シャフトの軸方向に沿って第1磁石,第2磁石,第3磁石,第4磁石が設けられており、第1磁石及び第2磁石は、ステータユニットのいずれか一方の積層端から1番目から2番目のステータユニットに対向配置され、第3磁石及び第4磁石は、積層端から3番目から4番目のステータユニットに各々対向配置されている。このように、第1磁石乃至第4磁石が分割されて配置されていると、ステータに対してロータが軸方向に変位して組み付けられても、(360°/(2P))の角度差を持つA相‐B相間、A´‐B´相間においてコギングトルクを相殺することができる。
【0018】
また、ロータの軸方向に組み付け誤差が生じても、第1磁石乃至第4磁石に存在する隙間によりステータの磁極歯と対向する永久磁石の対向面積の増減量が軸方向で変化せず、磁束量の不均衡を少なくしてコギングトルクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ステータの断面図及びロータの前方斜視図である。
【図2】ステータとロータの分解斜視図である。
【図3】第1実施例に係るステータの積層構造とロータの配置関係を示す模式図である。
【図4】図3の各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図5】図3のロータが軸方向にずれて組み付けられた状態を示す模式図である。
【図6】図5の状態で各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図7】図3に示すステータの積層構造及びロータの配置の対比例を示す模式図である。
【図8】図7の各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図9】図7のロータが軸方向にずれて組み付けられた状態を示す模式図である。
【図10】図9の状態で各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図11】図3に示すステータの積層構造及びロータの配置の他の対比例を示す模式図である。
【図12】図11の各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図13】図11のロータが軸方向にずれて組み付けられた状態を示す模式図である。
【図14】図13の状態で各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図15】第2実施例に係るステータの積層構造とロータの配置関係を示す模式図である。
【図16】図15の各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図17】図15のロータが軸方向にずれて組み付けられた状態を示す模式図である。
【図18】図17の状態で各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図19】図15に示すステータの積層構造及びロータの配置の対比例を示す模式図である。
【図20】図19の各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図21】図19のロータが軸方向にずれて組み付けられた状態を示す模式図である。
【図22】図21の状態で各ステータユニットに発生するコギングトルクの大きさとこれらを合成したコギングトルクの大きさを示すグラフ図である。
【図23】ステータユニットの積層端からの永久磁石の距離とコギングトルクの大きさの関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る永久磁石型回転機の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。以下の実施形態では、永久磁石型回転機の一例として多相ステッピングモータを例示して説明するものとする。多相ステッピングモータは、例えばOA機器やコンピュータ周辺機器、自動車、FA関連の搬送装置などに用いられる。本実施形態では、インナーロータ型の多相ステッピングモータを例示して説明する。
【0021】
図2において励磁相数Q(本実施例ではQ=2)である多相ステッピングモータは、空芯状に巻かれたコイル(図示せず)をステータヨーク1により挟み込んでクローポール(極歯)2どうしが噛み合うように形成されるステータユニットU1〜U4を具備し、励磁周期が同じ(同相の)ステータユニットが1相当たりn個(nは励磁相数Qとの積nQが4以上の整数となるような1以上の整数;本実施例ではn=2)に分割されて同芯状に積層されたステータ3と、ステータヨーク1に形成されるクローポール2に対向して磁極が形成された永久磁石4を備えたロータ5を有する。
【0022】
多相ステッピングモータの概略構成について図1を参照して説明する。ロータ5は、周方向にN極とS極が交互に着磁された永久磁石4がシャフト(回転軸)6に一体に設けられている。永久磁石4は、シャフト6の軸方向に沿って第1磁石4aと第2磁石4bが設けられており、ステータ3のクローポール2に対向して設けられる。
【0023】
図1において、ステータ3は、図示しないボビンに空芯状に巻かれたコイルを磁性材料からなる上下のステータヨーク1a,1bにより挟み込んで櫛歯状のクローポール2a、2bどうしが噛み合うように形成される。ステータ3は、図示しないハウジングに収納され軸受部にてシャフト6が回転可能に軸支されて組み付けられる。
【0024】
図1において、ステータ3は、励磁周期が同じ(同相の)ステータユニットU1及びU2と、ステータユニットU3及びU4が1相当たりn個(nは2以上の整数;図1ではn=2)に分割されて同芯状に積層されている。
【0025】
[第1実施例]
図3において、ステータ3は、ステータユニットU1及びU2をA相及びA´相とし、ステータユニットU3及びU4をB相及びB´相とする2相励磁方式(Q=2)が採用されている。永久磁石4の磁極数をPとすると、A相とB相及びA´相とB´相は(360°/(2P))の角度差を持って積層されている。A相のステータユニットU1は一方の積層端から1番目(m番目=1;mは(nQ/2)以下で1以上の整数)に積層され、B相のステータユニットU3は積層端から3番目((m+(nQ/2))番目=3)に各々積層されている。
【0026】
ステータの積層構造について説明すると、A相‐A´相‐B相‐B´相となるように積層されている。具体的には、永久磁石4の磁極数Pとしたとき、A相とB相、A´相とB´相は(360°/(2P))の位相角(電気角で90°e(eは電気角表記の意))を持たせて積層されており、同相のステータユニットA相‐A´相間、B相‐B´相間は、 (360°/(4P))の位相角(電気角で45°e)を持たせて積層されている。なお、A相とB相、A´相とB´相は励磁周期で1/4周期ずれている。
【0027】
永久磁石4は、シャフト6の軸方向に沿って第1磁石4aと第2磁石4bが分割されて設けられており、バックヨーク4e,4fを介してシャフト6に一体に組み付けられている。
【0028】
第1磁石4aは、ステータ3のうち一方の積層端(上端)から1番目から2(=nQ/2)番目のステータユニットU1,U2に対向配置され、第2磁石4bは、積層端(上端)から3((nQ/2)+1)番目から4(nQ)番目のステータユニットU3,U4に各々対向配置されている。より具体的には、積層端(上端)の軸方向に直交する面(第1ステータユニットU1の上端面)から第1磁石4aまでの軸方向の距離T1と、第2ステータユニットU2と第3ステータユニットU3の界面(積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面)から第2磁石4bまでの軸方向の距離T2が等しくなるような位置に配置されている。
なお、T1とT2が同じ距離になることが理想ではあるが必ずしも同じ距離にならなくてもよく、モータの使用上問題無い程度の違いならば良い。これに関して図23を用いて以下に説明する。
【0029】
図23は図3のステータ3と永久磁石4の構成で、T2/T1を横軸に、コギングトルクの大きさを縦軸にとりその関係を示したものである。T2/T1が1のときT1=T2、1未満のときT1>T2、1を超えるときT1<T2である。横軸で1(T1=T2)を中心にコギングトルクが小さくなっていくことがわかる。経験上この最小値から20%程度コギングトルクが増えてもモータを使用するうえで問題とならないことがわかっている。20%増加するのはT2/T1が0.6と1.6であり、したがって0.6<T2/T1<1.6であれば十分コギングトルクを低く抑えることができると考えてよい。
【0030】
図4(a)にA相ステータユニットU1及びA´相ステータユニットU2と第1磁石4a間、B相ステータユニットU3及びB´相ステータユニットU4と第2磁石4b間に各々発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。図4(b)にはこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3との間、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間でコギングトルクの大きさが各々相殺されるため、ステータ3全体で発生するコギングトルクを低減することができる。
【0031】
図5は、ロータ5が軸方向にずれて組み付けられた場合を示す。図5においては、ロータ5が軸方向でA相ステータユニットU1側に移動した状態を示す。このとき、A相ステータユニットU1と第1磁石4aとの対向面積、B相ステータユニットU3と第2磁石4bとの対向面積は各々増えているが、A´相ステータユニットU2と第1磁石4aとの対向面積、B´相ステータユニットU4と第2磁石4bとの対向面積が各々減少している。
【0032】
図6(a)にA相ステータユニットU1及びA´相ステータユニットU2と第1磁石4aとの間、B相ステータユニットU3及びB´相ステータユニットU4と第2磁石4bとの間に各々発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。図6(b)にはこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3との間、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間でコギングトルクの大きさが各々相殺されるため、ステータ3全体で発生するコギングトルクを低減することができる。
よって、ロータ5の軸方向に組み付け誤差が生じても、第1磁石4aと第2磁石4bとの隙間によりステータ3の磁極歯と対向する永久磁石4の対向面積の増減量が軸方向で変化せず、磁束量の変化を少なくしてコギングトルクを低減することができる。
【0033】
[比較例1]
次に図3のステータ配置に対する比較例について図7乃至図10を参照して説明する。尚、ロータ5の構成は図3と同様であるので説明を省略する。
ステータ3は2相励磁方式で1相当たり2つのユニットに分割されている点は第1実施例と同様であるが、ステータユニットの積層構造が異なっている。
【0034】
図7において、ステータ3は、上端側よりA相ステータユニットU1、A´相ステータユニットU2、B´相ステータユニットU4及びB相ステータユニットU3の順に積層されている。即ち、A相及びA´相とB´相及びB相が積層方向中間部を対称面として面対称に組み付けられている。
また、永久磁石4の磁極数Pとしたとき、A相とB相、A´相とB´相は(360°/(2P))の位相角(電気角で90°e(eは電気角表記の意))を持たせて積層されており、同相のステータユニットA相‐A´相間、B相‐B´相間は、 (360°/(4P))の位相角(電気角で45°e)を持たせて積層されている点は第1実施例と同様である。なお、A相とB相、A´相とB´相は励磁周期で1/4周期ずれていることも同様である。
【0035】
図8(a)に、A相ステータユニットU1及びA´相ステータユニットU2と対向する第1磁石4a、B´相ステータユニットU4及びB相ステータユニットU3と対向する第2磁石4b間に各々発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。図8(b)にはこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3との間、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間でコギングトルクの大きさが各々相殺されるため、ステータ3全体で発生するコギングトルクを低減することができる。
【0036】
図9は、ロータ5が軸方向にずれて組み付けられた場合を示す。図9においては、ロータ5が軸方向でA相ステータユニットU1側に移動した状態を示す。このとき、A相ステータユニットU1と第1磁石4aとの対向面積及びB´相ステータユニットU4と第2磁石4bとの対向面積が各々増加しているが、A´相ステータユニットU2と第1磁石4aとの対向面積、B相ステータユニットU3と第2磁石4bとの対向面積は各々減少している。
【0037】
図10(a)は、A相ステータユニットU1及びA´相ステータユニットU2と第1磁石4aとの間に発生するコギングトルク、B´相ステータユニットU4及びB相ステータユニットU3と第2磁石4b間に発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。図10(b)はこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3間においてはコギングトルクが相殺されずに残り、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間においてもコギングトルクが相殺されずに残ってしまうため、ステータ3全体においてもコギングトルクが発生する。
【0038】
[比較例2]
次に図3のステータ配置に対する他の比較例について図11乃至図14を参照して説明する。尚、ロータ5の構成は図3と同様であるので説明を省略する。
ステータ3は2相励磁方式で1相当たり2つのユニットに分割されている点は第1実施例と同様であるが、ステータユニットの積層構造が異なっている。
【0039】
図11において、ステータ3は、上端側よりA相ステータユニットU1、B相ステータユニットU3、A´相ステータユニットU2、B´相ステータユニットU4の順に積層されている。即ち、A相ステータユニットとB相ステータユニットが交互に積層されている。
【0040】
また、永久磁石4の磁極数Pとしたとき、A相とB相、A´相とB´相は(360°/(2P))の位相角(電気角で90°e(eは電気角表記の意))を持たせて積層されており、同相のステータユニットA相‐A´相間、B相‐B´相間は、 (360°/(4P))の位相角(電気角で45°e)を持たせて積層されている点は第1実施例と同様である。なお、A相とB相、A´相とB´相は励磁周期で1/4周期ずれていることも同様である。
【0041】
図12(a)にA相ステータユニットU1及びB相ステータユニットU3と第1磁石4a間、A´相ステータユニットU2及びB´相ステータユニットU4と第2磁石4b間に各々発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。図12(b)にこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3との間、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間でコギングトルクの大きさが各々相殺されるため、ステータ3全体で発生するコギングトルクを低減することができる。
【0042】
図13は、ロータ5が軸方向にずれて組み付けられた場合を示す。図13においては、ロータ5が軸方向でA相ステータユニットU1側に移動した状態を示す。このとき、A相ステータユニットU1と第1磁石4aとの対向面積及びA´相ステータユニットU2と第2磁石4bとの対向面積が各々増加しているが、B相ステータユニットU3と第1磁石4aとの対向面積、B´相ステータユニットU4と第2磁石4bとの対向面積は各々減少している。
【0043】
図14(a)は、A相ステータユニットU1及びB相ステータユニットU3と第1磁石4aとの間に発生するコギングトルク、A´相ステータユニットU2及びB´相ステータユニットU4と第2磁石4b間に各々発生するコギングトルクの大きさを示す。図14(b)はこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3間においてはコギングトルクが相殺されずに残り、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間においてもコギングトルクが相殺されずに残ってしまうため、ステータ3全体においてもコギングトルクが発生する。
【0044】
このように第一実施例の積層順であれば、永久磁石が2個配置されており、A相のステータユニットU1が一方の積層端から1番目(m番目=1;mは(nQ/2)以下で1以上の整数)に積層され、B相のステータユニットU3が積層端から3番目((m+(nQ/2))番目=3)に各々積層されている時、ステータ3に対してロータ5が軸方向にずれて組み付けられても、A相‐B相間、A´‐B´相間においてコギングトルクを相殺することができる。
【0045】
[第2実施例]
次に永久磁石回転機の他例について図15乃至図18を参照して説明する。
第1実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする
本実施例は、ステータ3の積層構造は図3と同様であるが、ロータ5の構成が異なっている。
【0046】
図15において、永久磁石4は、シャフト6の軸方向に沿って第1磁石4a,第2磁石4b,第3磁石4c,第4磁石4dが各々設けられている。第1磁石4aは一方の積層端(上端)から1番目のA相ステータユニットU1に対向配置され、第2磁石4bは2番目のA´相ステータユニットU2に対向配置され、第3磁石4cは3番目のB相ステータユニットU3に対向配置され、第4磁石4dは、4番目のB´相ステータユニットU4に各々対向配置されている。
【0047】
この場合、第1磁石4a乃至第4磁石4dは、積層端(上端)の軸方向に直交する面(第1ステータユニットU1の上端面)から第1磁石4aまでの軸方向の距離T1及び第2磁石4bまでの距離T2と、第2ステータユニットU2と第3ステータユニットU3の界面(積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面)から第3磁石4cまでの軸方向の距離T3及び第4磁石4dまでの距離T4がそれぞれ等しくなるような位置に配置されている。
【0048】
実施例1において図23を用いて説明したように、距離T1,T2,T3,T4がすべて同じ距離になることが理想ではあるが必ずしも同じ距離にならなくてもよく、モータの使用上問題無い程度の違いならば良い。すなわち0.6<T3/T1<1.6、0.6<T4/T2<1.6となる位置に各々配置されていればよい。
【0049】
尚、第1磁石4a乃至第4磁石4dは図示しないがバックヨークを介してシャフト6に組み付けられている。また、永久磁石4の磁極数Pとしたとき、A相とB相、A´相とB´相は(360°/(2P))の位相角(電気角で90°e(eは電気角表記の意))を持たせて積層されており、同相のステータユニットA相‐A´相間、B相‐B´相間は、 (360°/(4P))の位相角(電気角で45°e)を持たせて積層されている点は第1実施例と同様である。なお、A相とB相、A´相とB´相は励磁周期で1/4周期ずれていることも同様である。
【0050】
図16(a)にA相ステータユニットU1と第1磁石4a間及びB相ステータユニットU3と第3磁石4c間、A´相ステータユニットU2と第2磁石4b間及びB´相ステータユニットU4と第4磁石4d間に各々発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。図16(b)にこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3との間、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間でコギングトルクの大きさが各々相殺されるため、ステータ3全体で発生するコギングトルクを低減することができる。
【0051】
図17は、ロータ5が軸方向にずれて組み付けられた場合を示す。図17においては、ロータ5が軸方向でA相ステータユニットU1側に移動した状態を示す。このとき、A相ステータユニットU1と第1磁石4aとの対向面積、A´相ステータユニットU2と第2磁石4bとの対向面積、B相ステータユニットU3と第3磁石4cとの対向面積、B´相ステータユニットU4と第4磁石4dとの対向面積は変化していない。
【0052】
図18(a)は、A相ステータユニットU1と第1磁石4a間、A´相ステータユニットU2と第2磁石4b間、B相ステータユニットU3と第3磁石4c間、B´相ステータユニットU4と第4磁石4d間に各々発生するコギングトルクの大きさを示す。図18(b)はこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1、A´相ステータユニットU2、B相ステータユニットU3、B´相ステータユニットU4に発生するコギングトルクの大きさが変化しないため、図16(a)(b)同様にコギングトルクが相殺され、ステータ3全体で発生するコギングトルクを低減することができる。
【0053】
[比較例]
次に第1実施例及び第2実施例の永久磁石型回転機の比較例について図19乃至図22を参照して説明する。第2実施例と同一部材には同一番号を付して説明を省略するものとする。図19において、ステータ3の積層構造は第2実施例と同様であるため説明を省略する。ロータ5はシャフト6に対してバックヨーク4gを介して単一の永久磁石4hが設けられている。即ち、永久磁石4hは、A相ステータユニットU1、A´相ステータユニットU2、B相ステータユニットU3、B´相ステータユニットU4の各磁極歯と対向配置されている。同一モータ長を前提とした場合、永久磁石4hの両端側、即ちA相ステータユニットU1及びB´相ステータユニットU4の軸方向の対向面積は、ロータ5を回転可能とするため短くなっている。
【0054】
図20(a)にA相ステータユニットU1、A´相ステータユニットU2、B相ステータユニットU3、B´相ステータユニットU4と永久磁石4h間に各々発生するコギングトルクの大きさの関係を示す。A´相ステータユニットU2、B相ステータユニットU3の軸方向の対向面積に比べてA相ステータユニットU1及びB´相ステータユニットU4の軸方向の対向面積が小さいため、A相−B相間、A´相‐B´相間においてコギングトルクを打ち消すことができない。図20(b)にこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A相ステータユニットU1‐B相ステータユニットU3との間、A´相ステータユニットU2‐B´相ステータユニットU4との間でコギングトルクの大きさが各々相殺できないため、ステータ3全体においてもコギングトルクが残ってしまう。
【0055】
図21は、ロータ5が軸方向にずれて組み付けられた場合を示す。図21においては、ロータ5が軸方向でA相ステータユニットU1側に移動した状態を示す。このとき、A´相ステータユニットU2、B相ステータユニットU3と永久磁石4hとの対向面積は変化していないが、A相ステータユニットU1と永久磁石4hとの対向面積は増加し、B´相ステータユニットU4と永久磁石4hとの対向面積は減少している。
【0056】
図22(a)は、A相ステータユニットU1、A´相ステータユニットU2、B相ステータユニットU3、B´相ステータユニットU4と永久磁石4h間に各々発生するコギングトルクの大きさを示す。図22(b)はこれら4つのコギングトルクを全て合成した大きさを示す。A´相ステータユニットU2−B´相ステータユニットU4間においてはコギングトルクが相殺されずに残り、ステータ3全体においてもコギングトルクが発生する。
【0057】
このように第一及び第二の実施例のような磁石配置方法であれば、ロータ5の軸方向に組み付け誤差が生じても、複数設けられた永久磁石4の間に存在する隙間によりステータ3の磁極歯と対向する永久磁石4の対向面積の増減量が軸方向で変化せず、磁束量の不均衡を少なくしてコギングトルクを低減することができる。
また、予圧ばね等の部品を省略して製造コストも低減することができる。
【0058】
また、ロータ5に設けられる永久磁石4を2つ組み付ける第1実施例は、ロータ5に設けられる永久磁石4を4つ組み付ける第2実施例よりも部品点数が少ないため組立コストも減り、ステータ3に対するロータ5の組み付け精度(寸法公差)の影響を少なくすることが可能になることから、部品コストとしても低減できる。
さらに、第1実施例及び第2実施例の、複数の永久磁石の間に存在する隙間の長さが等しいとした場合、第一実施例の方が磁石長を長くすることでモータトルク特性を向上させることができる。
【0059】
上述した実施例では、インナーロータ型の多相ステッピングモータについて説明したが、ステータがロータに囲まれて配置されるアウターロータ型の多相ステッピングモータについても適用できる。
【0060】
また、ステータ3はA相及びB相が励磁周期で1/4周期ずれるように励磁される2相励磁方式の場合について説明したが、4相励磁方式であってもよい。この場合、励磁周期で1/8周期ずれるように励磁される相が4相設けられるが、これは励磁周期で1/4周期ずれるように励磁される、異なる2相が2組設けられるという、本実施例と同じ形態をとることができる。
【0061】
また、積層された各ステータユニット間に磁極歯どうしが直に重なり合う界面部が軸方向で3箇所以上形成され、これらの界面部のうちで直に重なり合う磁極歯どうしのロータ回転方向の中間位置が電気角で90°±30°の位相差で積層される界面部が1対以上存在するようにステータユニットを積層することにより、永久磁石4と対向する磁極歯が軸方向で直に重なり合う界面部を通過する磁気回路に起因するコギングトルクをさらに低減することができる。
【0062】
また、1パルスで1ステップ角の回転駆動を行なうフルステップ駆動のみならず、分解能を高め振動低減を図るマイクロステップ駆動を行なう場合には、相乗効果として低振動性をより向上させることができる。
また、本実施例では、2相ステッピングモータについて説明したが、これに限定されるものではなく、軸方向の長さが長くなるが低振動を実現した4相、6相…などの多相ステッピングモータなどの多様な永久磁石型回転機を提供することができる。
【0063】
また、本実施例では、複数の永久磁石を用いたときその実施例内の永久磁石は同じ形態(形状、材質等)であることを前提にして説明したが、磁束量が同じならば異なる形態の磁石でも良い。
また、本実施例では、A相を常に積層端に配置して説明したが、B相が積層端になる、とするように、A相とB相、A´相とB´相の積層順が入れ替わっても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0064】
U1,U2,U3,U4 ステータユニット
1,1a,1b ステータヨーク
2,2a,2b クローポール
3 ステータ
4,4h 永久磁石
4a 第1磁石
4b 第2磁石
4c 第3磁石
4d 第4磁石
4e,4f,4g バックヨーク
5 ロータ
6 シャフト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Q相励磁駆動方式(Qは2以上の偶数)で、空芯状に巻かれたコイルをステータヨークにより挟み込んで極歯どうしが噛み合うように形成されるステータユニットが複数積層され、積層される全てのステータユニットの各ステータヨークが同数の極歯をロータ回転方向に所定ピッチで形成され、かつ同相のステータユニットが1相当たりn個(nは1以上の整数でQとの積nQが4以上の整数になる)に分割されて同芯状に積層される多相励磁方式のステータと、前記ステータヨークに形成される極歯に対向する磁極が形成され軸方向に複数個配置された永久磁石を備えたロータを有する永久磁石型回転機であって、
前記永久磁石の磁極数をPとすると、 (360°/(2P))の角度差を持って積層された相が異なる2つのステータユニットのうち、少なくとも1相目のステータユニットはいずれか一方の積層端からm番目(mは(nQ/2)以下で1以上の整数)に、永久磁石と対向して積層され、前記1相目のステータユニットと励磁周期で1/4周期ずれている2相目のステータユニットは前記積層端から((nQ/2)+m)番目に、他の永久磁石と対向して各々積層される構造を含むことを特徴とする永久磁石型回転機。
【請求項2】
前記永久磁石は、シャフトの軸方向に沿って第1磁石と第2磁石が分割されて設けられており、前記第1磁石は前記ステータユニットのいずれか一方の積層端から1番目から(nQ/2)番目のステータユニットの極歯に対向配置され、前記第2磁石は前記積層端から((nQ/2)+1)番目からnQ番目のステータユニットの極歯に各々対向配置されている請求項1記載の永久磁石型回転機。
【請求項3】
いずれか一方の積層端の軸方向に直交する面から第1磁石までの軸方向の距離T1と、積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面から第2磁石までの軸方向の距離T2が、0.6<T2/T1<1.6となる位置に配置されている請求項2記載の永久磁石型回転機。
【請求項4】
前記永久磁石は、シャフトの軸方向に沿って第1磁石,第2磁石,第3磁石,第4磁石が各々分割配置されており、前記第1磁石及び第2磁石は、前記ステータユニットのいずれか一方の積層端から1番目から(nQ/2)番目のステータユニットの極歯に対向配置され、前記第3磁石及び第4磁石は、前記積層端から((nQ/2)+1)番目から(nQ)番目のステータユニットの極歯に各々対向配置されている請求項1記載の永久磁石型回転機。
【請求項5】
いずれか一方の積層端の軸方向に直交する面から前記第1磁石までの距離T1、及び第2磁石までの距離T2と、積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面から前記第3磁石までの距離T3及び第4磁石までの距離T4が、0.6<T3/T1<1.6、0.6<T4/T2<1.6となる位置に配置されている請求項4記載の永久磁石型回転機。
【請求項1】
Q相励磁駆動方式(Qは2以上の偶数)で、空芯状に巻かれたコイルをステータヨークにより挟み込んで極歯どうしが噛み合うように形成されるステータユニットが複数積層され、積層される全てのステータユニットの各ステータヨークが同数の極歯をロータ回転方向に所定ピッチで形成され、かつ同相のステータユニットが1相当たりn個(nは1以上の整数でQとの積nQが4以上の整数になる)に分割されて同芯状に積層される多相励磁方式のステータと、前記ステータヨークに形成される極歯に対向する磁極が形成され軸方向に複数個配置された永久磁石を備えたロータを有する永久磁石型回転機であって、
前記永久磁石の磁極数をPとすると、 (360°/(2P))の角度差を持って積層された相が異なる2つのステータユニットのうち、少なくとも1相目のステータユニットはいずれか一方の積層端からm番目(mは(nQ/2)以下で1以上の整数)に、永久磁石と対向して積層され、前記1相目のステータユニットと励磁周期で1/4周期ずれている2相目のステータユニットは前記積層端から((nQ/2)+m)番目に、他の永久磁石と対向して各々積層される構造を含むことを特徴とする永久磁石型回転機。
【請求項2】
前記永久磁石は、シャフトの軸方向に沿って第1磁石と第2磁石が分割されて設けられており、前記第1磁石は前記ステータユニットのいずれか一方の積層端から1番目から(nQ/2)番目のステータユニットの極歯に対向配置され、前記第2磁石は前記積層端から((nQ/2)+1)番目からnQ番目のステータユニットの極歯に各々対向配置されている請求項1記載の永久磁石型回転機。
【請求項3】
いずれか一方の積層端の軸方向に直交する面から第1磁石までの軸方向の距離T1と、積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面から第2磁石までの軸方向の距離T2が、0.6<T2/T1<1.6となる位置に配置されている請求項2記載の永久磁石型回転機。
【請求項4】
前記永久磁石は、シャフトの軸方向に沿って第1磁石,第2磁石,第3磁石,第4磁石が各々分割配置されており、前記第1磁石及び第2磁石は、前記ステータユニットのいずれか一方の積層端から1番目から(nQ/2)番目のステータユニットの極歯に対向配置され、前記第3磁石及び第4磁石は、前記積層端から((nQ/2)+1)番目から(nQ)番目のステータユニットの極歯に各々対向配置されている請求項1記載の永久磁石型回転機。
【請求項5】
いずれか一方の積層端の軸方向に直交する面から前記第1磁石までの距離T1、及び第2磁石までの距離T2と、積層されたステータユニットの軸方向に直交する中間面から前記第3磁石までの距離T3及び第4磁石までの距離T4が、0.6<T3/T1<1.6、0.6<T4/T2<1.6となる位置に配置されている請求項4記載の永久磁石型回転機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−151902(P2011−151902A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9570(P2010−9570)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】
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