説明

汚泥の再資源化方法及びその装置。

【課題】汚泥を経済的に再資源化するための手段を提供する。
【解決手段】汚泥をメタン発酵させて消化ガスを生成する消化槽16と、消化ガスを生成した消化汚泥を脱水処理する脱水機24と、脱水処理後の脱水汚泥を乾燥処理する乾燥機26と、上記消化ガスを燃焼させて燃焼生成ガスを生成する炭化炉22とを有している。炭化炉22で生成した燃焼生成ガスの保有熱を利用して乾燥処理のための高温のガスを得、乾燥処理に用いた後の高温のガスと消化槽16に供給される汚泥を加温塔9で接触させることにより消化槽16に供給される汚泥を加温し、加温した汚泥に経路6から供給される有機性廃棄物を加え、この有機性廃棄物含有汚泥に対して、メタン発酵、脱水処理および乾燥処理を順次施すことにより乾燥汚泥を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥の再資源化方法及びその装置に関し、特に、下水処理場などで発生する汚泥の再資源化方法及びその装置に関する。さらに、詳しくは、工業的に有用な資源を経済的な方法で製造することができる、地球温暖化防止と循環型社会の形成に貢献することができる汚泥の再資源化方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化防止対策の一つとして、カーボンニュートラルであるバイオマスが注目されているが、ウエット系バイオマスは含水率が高いことが問題となって、大半が埋め立て処理されるか又は化石燃料を使用して焼却処理されており、エネルギーとして利用されていない。ウエット系バイオマスを有用なエネルギーとして利用するためには、効率的且つ経済的に水分を除去することが必要である。その中で、性状や量が比較的安定している点や発生量が多いことで下水汚泥が注目されており、その効率的な再資源化方法が求められている。
【0003】
既設の下水処理場の中には下水汚泥の消化槽(メタン発酵槽と同義)を備えているものがあるが、消化槽から発生する消化ガスの一部を消化槽の加温用蒸気または加温用温水を発生させるボイラの燃料として使用しているため、その処理場で発生する下水汚泥に脱水処理を施すことによって得られる脱水汚泥を乾燥させるための熱源として消化ガスのみでは不足することが多い。そこで、バイオマス燃料として乾燥汚泥やその炭化物を得る場合、その製造工程で灯油や重油や都市ガスや天然ガスなどの化石燃料が大量に使用されていることが殆どである。化石燃料の代替燃料を製造するために多量の化石燃料が使用されてしまっては、実質的なCO2の低減を図ることができず、地球環境にやさしいと言えない。 例えば、この種の技術に関するものとして、特許文献1には、図11に示すように、下水汚泥81を脱水する脱水機82と、脱水した下水汚泥に熱風を直接接触させて乾燥させる乾燥炉83と、乾燥させた下水汚泥を炭化処理する炭化炉84と、炭化炉84で生成した熱分解ガスを燃焼する燃焼炉85と、脱水された下水汚泥を焼却する汚泥焼却炉86と、排ガス処理装置87とから主に構成される汚泥の燃料化装置が開示されている。
【0004】
この燃料化装置の汚泥焼却炉86は化石燃料を燃焼させて汚泥を焼却するものであるが、その化石燃料の使用量を減少するために、ライン88を経て炭化物89の一部を汚泥焼却炉86に供給するか、またはライン90を経て乾燥汚泥の一部を汚泥焼却炉86に供給している。これでは、得られるバイオマス量が少なくなる。
【0005】
また、特許文献2には、図12に示すように、採取池91に後続して、最初沈澱池92、エアレーションタンク93および最終沈澱池94と、最初沈澱池92と最終沈澱池94から排出された汚泥を濃縮する汚泥濃縮槽95とを備え、汚泥濃縮槽95で濃縮された汚泥を脱水装置96と遠心分離装置97に分離して供給し、食品廃棄物98を粉砕フィーダー99を経てスラリータンク100に供給するとともに、上記遠心分離装置97で遠心分離された汚泥もライン101を経てスラリータンク100に供給し、スラリータンク100内のスラリーを粉砕機102を経てバイオリアクター103に供給し、バイオリアクター103で発生させたバイオガスをガスホルダー104に供給し、このガスホルダー104内のガスを用いてガスエンジン105で発電し、ガスエンジン105で発電時の排ガスを用いて汚泥乾燥機106で汚泥を乾燥させてコンポストを得る食品廃棄物循環資源のリサイクルシステムが開示されている。
【0006】
このシステムには、汚泥乾燥機106から排出されたガスを脱臭するための脱臭炉は図示されていないが、異臭防止に関する法規制に適合させるために汚泥乾燥機106の排ガスを燃焼して脱臭するための脱臭炉は必須の設備であって、この脱臭炉で使用するための多量の燃料が必要である。また、上記システムでは、汚泥濃縮槽95で濃縮された汚泥の一部しかスラリータンク100の水分調整用に使用されないので、バイオリアクター103でのバイオガスの発生量が十分に多くない。
【特許文献1】特開2005−319374号公報
【特許文献2】特開2002−326071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は従来の技術の有する上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、汚泥を再資源化するに際して、そのために化石燃料のような余分な外部燃料を不要とするか又は低減し、汚泥の消化に伴って発生する消化ガス量を多くし、再資源を極力多く得ることができる汚泥の再資源化方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の汚泥の再資源化方法は、汚泥をメタン発酵させて消化ガスを生成する消化工程と、消化ガスを生成した消化汚泥を脱水処理する脱水工程と、脱水処理後の脱水汚泥を乾燥処理する乾燥工程と、上記消化ガスを燃焼させて燃焼生成ガスを生成する燃焼工程とを有する汚泥の再資源化方法において、燃焼工程で生成した燃焼生成ガスの保有熱を利用して乾燥処理のための高温のガスを得、乾燥処理に用いた後の高温のガスと直接的または間接的に接触させることにより汚泥を加温し、加温した汚泥に有機性廃棄物を加えた有機性廃棄物含有汚泥が消化工程に供給される汚泥であることを特徴としている。
【0009】
乾燥工程に引き続いて乾燥汚泥を炭化処理する炭化工程を有することが好ましい。
【0010】
汚泥が下水処理場由来の下水汚泥であることが好ましい。
【0011】
消化工程に後続して、脱水工程に至る経路とは別の経路に消化ガスの熱源を利用して発電を行う発電工程を有することが好ましい。
【0012】
また、本発明の汚泥の再資源化装置は、汚泥をメタン発酵させて消化ガスを生成する消化槽と、消化ガスを生成した消化汚泥を脱水処理する脱水機と、脱水処理後の脱水汚泥を乾燥処理する乾燥機と、上記消化ガスを燃焼させて燃焼生成ガスを生成する燃焼炉とを有する汚泥の再資源化装置において、有機性廃棄物を消化槽に供給するための有機性廃棄物供給経路と、燃焼炉で生成した燃焼生成ガスの保有熱を利用することによって得た高温のガスを乾燥機に供給する第一ガス供給経路と、上記乾燥機から排出されたガスと直接的または間接的に接触させることにより汚泥を加温するために乾燥機排ガスを供給する第二ガス供給経路とを有し、第二ガス供給経路を経て供給された乾燥機排ガスにより加温した汚泥に有機性廃棄物供給経路を経て供給された有機性廃棄物を加え、この有機性廃棄物含有汚泥が消化槽に供給される汚泥であることを特徴としている。
【0013】
燃焼炉が乾燥機に後続して乾燥汚泥を炭化処理する炭化炉であることが好ましい。
【0014】
炭化炉が活性炭化物製造炉であることが好ましい。
【0015】
下水を受け入れて処理水と下水汚泥に分離する水処理設備を備え、この水処理設備から消化槽に至る下水汚泥供給経路を有し、汚泥としてこの下水汚泥を用いることが好ましい。
【0016】
第一ガス供給経路と第二ガス供給経路がガスの循環ループの一部または全部を形成し、このガス循環ループに熱交換器を有し、この熱交換器において燃焼炉で生成した燃焼生成ガスとガス循環ループを循環するガスとを熱交換することにより第一ガス供給経路を流通する高温のガスを得ることが好ましい。
【0017】
有機性廃棄物供給経路に破砕選別機と可溶化・酸発酵槽からなる前処理設備を有し、さらに、水処理設備から上記可溶化・酸発酵槽に至る下水汚泥供給経路に乾燥機から排出されたガスと可溶化・酸発酵槽に供給される下水汚泥を直接的または間接的に接触させることにより可溶化・酸発酵槽に供給される下水汚泥を加温するための加温設備を有することが好ましい。
【0018】
ガス循環ループに加温設備とこの加温設備に後続して除湿設備を有し、燃焼炉から乾燥機と加温設備と除湿設備を経て同燃焼炉に戻るガスの循環ループを形成することが好ましい。
【0019】
消化槽から加温設備に至る汚泥の引抜経路と、水処理設備から加温設備を経由せずに消化槽に至る下水汚泥の供給経路を有することが好ましい。
【0020】
加温設備で加温した下水汚泥の一部を可溶化・酸発酵槽を経由せずに消化槽に供給する汚泥の供給経路を有することが好ましい。
【0021】
消化槽に後続して、脱水機に至る経路とは別の経路に消化ガスの熱源を利用して発電を行う発電機を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上記のとおり構成されているので、次の効果を奏する。
(1)請求項1、5記載の発明によれば、有機性廃棄物を受け入れることにより消化ガス(バイオガス)発生量が増加し、可溶化、メタン発酵または乾燥処理のための熱源としての化石燃料の使用量を低減するか又は不要とすることができる。さらに、余剰のバイオガスにより、その熱量を発電等に有効利用することができる。また、有機性廃棄物を受け入れることにより、その受け入れ収入を獲得することができる。
【0023】
また、請求項1、5記載の発明によれば、乾燥機(乾燥工程)の排ガスの顕熱およびその排ガスに含まれる水分の潜熱を利用して、汚泥の加温を行うと同時に水分が凝縮することにより、その排ガスの除湿も行うことができる。従って、従来は必要とされた消化槽加温のためのボイラ設備が不要となるので、そのボイラ設備で消化ガスを消費することもなくなる。その結果、消化ガスを脱水汚泥の乾燥および炭化のための熱源として有効に利用することができる。
(2)請求項2、6記載の発明によれば、汚泥の有用な再資源化手段を提供することができる。特に、請求項7記載の発明によれば、経済的に一層有利な汚泥の再資源化手段を提供することができる。
(3)有機性廃棄物をメタン発酵すると、発酵残渣の処理が課題となるが、請求項3、8記載の発明によれば、下水処理場の既設の設備を用いて発酵残渣の排水を処理することができるので、発酵残渣の排水の処理に煩わされるという問題が生じない。
(4)請求項4、14記載の発明によれば、汚泥の有用な再資源化手段を提供することができる。
(5)請求項9記載の発明によれば、汚泥の加温と乾燥のために使用されるガスが循環ループを形成して外部に排出されないので、環境汚染の問題が生じない。本発明は汚泥の再資源化に関するものであり、循環ループを循環するガスは多量の水蒸気を含んでいる。一般に、循環ループをガスが循環しうるようにガス循環用の高速回転駆動部には負圧が生じやすく、この負圧発生部位においては不可避的に外気を吸引してしまう。この場合、請求項11記載の発明によれば、多量の水蒸気を含むガスを加温設備と除湿設備に導入してガス中の水分を除去し、このガスに不可避的に含まれる空気を燃焼炉における消化ガスの燃焼用空気として利用することにより、燃焼脱臭も行うことができる。
(6)請求項10記載の発明によれば、水処理設備から排出される下水汚泥を可溶化・酸発酵槽の固形物濃度を調整する希釈水として用い、同時にその汚泥を加温することで可溶化反応と酸発酵反応を促進するとともに、可溶化・酸発酵槽を加温するための外部熱源を必要としなくなる。
(7)請求項12記載の発明によれば、消化槽からの汚泥の引抜量と水処理設備から加温設備を経由せずに消化槽に至る下水汚泥の量をコントロールすることにより、消化槽内の汚泥の温度を適正温度に調整することができる。
(8)請求項13記載の発明によれば、加温設備で加温した下水汚泥の中で可溶化・酸発酵槽を経由せずに消化槽に供給する汚泥量をコントロールすることにより、可溶化・酸発酵槽内の固形物濃度を適正濃度に調整することができる。
【実施例】
【0024】
[実施例1]
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更と修正が可能である。図1および後記する図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9および図10において、実線の矢示は液状物、スラリー状物、懸濁状物または固形物およびこれらの混合物の経路を示し、点線の矢示はガスの経路を示す。
【0025】
図1は本発明の汚泥の再資源化装置として好適な実施例の概略構成図である。図1において、1は主たる設備として沈澱槽と曝気槽と濃縮槽(図示せず)を有する水処理設備であり、水処理設備1に対して経路2より下水が供給され、水処理装置1において処理水と下水汚泥に分離され、処理水は経路3より排出され、下水汚泥は経路4より排出される。
【0026】
5は破砕選別機であり、経路6より有機性廃棄物を受け入れて発酵不適物を経路7より排出する。破砕選別機5に後続して可溶化・酸発酵槽8があり、これら破砕選別機5と可溶化・酸発酵槽8から前処理設備が構成される。経路6と、破砕選別機5と可溶化・酸発酵槽8を接続する経路30と、可溶化・酸発酵槽8と後記する消化槽16を接続する経路32とが有機性廃棄物供給経路に相当する。
【0027】
9は加温塔、10は除湿塔であり、加温塔9には後記する乾燥機26から排出される高温の排ガス(約120℃)が経路11(乾燥機排ガスを供給する第二ガス供給経路に相当)を経て供給され、この高温の排ガスと汚泥を直接的に接触させることによって汚泥の加温が行われる。加温塔9から経路12を経て排出される湿潤ガスは除湿塔10に導入される。除湿塔10には経路13を経て一部の処理水が供給されており、この処理水が塔内下方に向けてスプレーされ、上記湿潤ガスとこのスプレー水が直接的に接触することにより湿分が凝縮して、ガスの除湿が行われる。除湿されたガスは経路14を経て排出され、スプレー水は経路15および経路2を経て水処理設備1に戻される。
【0028】
16は消化槽であり、中温菌または高温菌により嫌気性消化(メタン発酵)が行われる。消化槽16で発生したバイオガス(メタンを主成分とするガス)は経路17を経てガス精製装置18aおよび貯留設備18bへ送られる。このバイオガスの一部は経路21を経て炭化炉22へ供給されて炭化炉の燃料として使用され、後記するようにして燃焼ガスが生成する。残りのバイオガスは、経路19を経て発電機20へ供給される。
【0029】
一方、消化槽16でバイオガスを生成した後の消化汚泥は経路23を経て脱水機24で脱水処理される。脱水後の脱水汚泥は経路25を経て乾燥機26へ供給され、乾燥処理される。炭化炉22で生成する燃焼生成ガスは経路27を経て熱交換器28に供給され、この燃焼生成ガスと循環ループ29を循環するガスとが熱交換をし、熱交換後の高温ガス(約200〜500℃)は経路36(第一ガス供給経路に相当)を経て乾燥機26へ供給されて上記した乾燥処理に供され、乾燥汚泥を得ることができる。そして、この乾燥汚泥を、乾燥ゾーン、乾留炭化ゾーンおよび賦活ゾーンを有する炭化炉22において後記する方法で炭化することにより活性炭化物を得ることができる。
【0030】
上記した経路11と、経路12と、経路14とは循環ループ29に合流し、かくして、図1に示すように、第一ガス供給経路(経路36)と、第二ガス供給経路(経路11)はガスの循環ループの一部を形成している。
(A)活性炭化物の製造
以上のように構成される汚泥の再資源化装置を用いることによって、以下に説明するようにして活性炭化物を得ることができる。
(1)下水の受け入れ
経路2より下水を受け入れて水処理設備1の沈澱槽において初沈汚泥が沈降分離された後、曝気槽において好気的に生物処理される。その後、濃縮槽で余剰汚泥が分離され、処理水は経路3から排出される。汚泥(初沈汚泥および余剰汚泥)の一部は経路4から経路33を経て加温塔9に供給され、残りの汚泥は経路33に分岐することなく直接消化槽16に供給される。本発明は下水処理場などで発生する汚泥を再資源化するプロセスに関するものであるが、本発明は下水道法で定義される公共下水道、流域下水道の他に、農業集落排水処理施設や漁業集落排水処理施設や林業集落排水処理施設やコミュニティプラントなどにも適用することができる。
【0031】
水処理設備1で生成した処理水の一部は経路13を経て除湿塔10に供給される。この処理水は除湿塔10内下方に向けてスプレーされ、経路12から除湿塔10内に導入される湿潤ガスとこのスプレー水が直接的に接触して湿潤ガス中の湿分が凝縮することにより除湿され、除湿後のガスは経路14から排出される。スプレー水は経路15および経路2を経て水処理設備1に戻され、再び汚泥と処理水に分離される。
(2)有機性廃棄物の受け入れと破砕選別
生ゴミや食品工場廃棄物や賞味期限切れ食品や外食産業食品残渣などの有機性廃棄物を経路6から破砕選別機5に受け入れる。有機性廃棄物の受け入れ方法として、車による搬入以外に配管などによってディスポーザ排水を受け入れることもできる。破砕選別機5は、受け入れた有機性廃棄物を破砕する機能と、その破砕物を選別して可溶化・酸発酵の反応に適さない物質を取り除く機能(磁選による鉄類金属およびアルミ類金属の除去と、比重差による軽量樹脂包装物の除去など)を有しており、発酵不適物は経路7から排出される。
(3)可溶化・酸発酵
破砕選別機5で発酵不適物を除去された有機性廃棄物と加温塔9で加温された汚泥は、それぞれ経路30と31を経て可溶化・酸発酵槽8へ供給される。可溶化・酸発酵工程は、有機物を微生物で分解して低分子化し、酸発酵を促進させる工程である。この可溶化・酸発酵工程は、比較的温度が高いこと(約30〜60℃)と流動性を持たせること(固形物濃度が約3〜20重量%)により反応が促進される傾向にあるので、加温塔9から汚泥を受け入れることにより、被可溶化物の希釈化効果と同時に加温効果が得られる。
(4)消化
可溶化・酸発酵を経た汚泥は消化槽16において、中温(約37℃)または高温(約55℃)下で活発に働くメタン生成菌により嫌気性消化が行われる。本発明では、下水処理場で生成する下水汚泥に有機性廃棄物を加えた有機性廃棄物含有汚泥を可溶化・酸発酵させるので、嫌気性消化によって生成する消化ガス(メタンを主とするバイオガス)の発生量が多くなることが期待できる。そこで、このバイオガスの燃焼熱を利用することにより、可溶化、メタン発酵または乾燥処理のための熱源としての化石燃料の使用量を低減するか又は不要とすることができる。
【0032】
水処理設備1から経路4を経て排出された下水汚泥の一部は経路33を経て加温塔9に供給された後、一部の汚泥は経路31を経て可溶化・酸発酵槽8に供給され、加温塔9で加温された残りの汚泥は経路34を経て経路4の汚泥に付加されて消化槽16に供給される。この場合、経路33と経路31と経路34の汚泥量は上記した被可溶化物の希釈化効
果と加温効果が最適となるように選択される。
【0033】
また、加温塔9で加温した下水汚泥の一部を可溶化・酸発酵槽を経由せずに経路34を経て消化槽16に供給し、加温塔9から可溶化・酸発酵槽8に供給する加温汚泥量を適宜コントロールすることにより、可溶化・酸発酵槽8内の固形物濃度を適正濃度に調整することができる。
【0034】
さらに、消化槽16内の消化汚泥の一部は経路35を経て引き抜かれる。消化槽16内の汚泥の滞留時間は約30日と長いため、この間に消化槽16内の汚泥の温度が低下することもあり、その結果、消化反応の促進が妨げられることがある。そこで、経路35から引き抜く汚泥の量と、水処理装置1から加温塔9を経由せずに経路4を経て直接消化槽9に供給される汚泥量と、加温塔9で加温して可溶化・酸発酵槽8を経て消化槽16に供給される加温汚泥量とを適宜コントロールすることにより、消化槽16内の汚泥の温度を適正温度に保持することが可能になる。
(5)脱水処理
消化槽16から経路23を経て引き抜かれる消化汚泥は脱水機24で脱水処理が行われ、脱水汚泥と脱離液に分離される。なお、図示していないが、脱離液は水処理設備1に返送されて処理される。
(6)乾燥処理
脱水機24で脱水処理された脱水汚泥は経路25を経て乾燥機26に供給される。炭化炉22の高温の燃焼生成ガスと循環ループ29を循環するガスとが熱交換器28において熱交換することによって得られる高温のガスが経路36を経て乾燥機26に供給される。乾燥機26に供給された脱水汚泥はこの高温のガスにより乾燥される。乾燥機26において脱水汚泥の乾燥に供された後の排ガスの一部は経路11を経て加温塔9に供給され、残りのガスは循環ループ29を循環する。さらに、加温塔9から除湿塔10を経て排出される除湿ガスの一部は経路14を経て循環ループ29に合流し、残りのガスは経路37を経て炭化炉22に供給される。
【0035】
本発明は汚泥の再資源化に関するものであり、循環ループを循環するガスは多量の水蒸気を含んでいる。一般に、循環ループをガスが循環しうるようにガス循環用の高速回転駆動部には負圧が生じやすく、この負圧発生部位においては不可避的に外気を吸引してしまう。乾燥機26から経路11を経て排出される多量の水蒸気を含むガスは加温塔9と除湿塔10に導入されてガス中の水分が除去され、このガスに不可避的に含まれる空気は経路37を経て炭化炉22に供給され、炭化炉22の燃焼用空気として利用することができる。
(7)炭化
乾燥機26において乾燥処理を施された乾燥汚泥は、経路26aを経て炭化炉22に供給されて炭化される。経路21を経て炭化炉22に供給されるバイオガスは炭化炉22の燃料として使用され、経路37を経て炭化炉22に供給される空気は炭化炉22の燃焼用空気として使用される。かくして、炭化炉22においてバイオガスを燃焼させることによって生成する高温の燃焼生成ガスの顕熱により、以下に説明するように炭化物を製造することができる。また、バイオガスを燃焼させることによりバイオガスの燃焼脱臭も兼ねることができる。
【0036】
炭化炉22は、乾燥ゾーンと、乾留炭化ゾーンと、賦活ゾーンを備えているので、吸着能力のある活性炭化物を製造することができるが、必要に応じて処理温度を変えることで炭化物を製造することもできる。しかしながら、活性炭化物は経済的価値が炭化物の20倍から60倍もあり、その用途も広いので、活性炭化物を製造する方が有利である。
【0037】
例えば、活性炭化物の製造装置としては、図2に示すように、炭化炉22内に、上段のスクリューコンベヤ38と下段のスクリューコンベヤ39の2段のスクリューコンベヤが設置されているものを使用することができる。40はスクリューコンベヤ38または39と炭化炉22の炉体との間に設けられた仕切板で、燃焼排ガスが蛇行して流れるようなガス通路が形成されるように、すなわち、仕切板40は燃焼排ガス整流用バッフルの役目を果たすべく設けられたものである。41は燃料と空気の導入口、42は空気の導入口である。43は乾燥汚泥を貯留するホッパー、44は乾燥汚泥の切り出しスクリュー、45は冷却器、46は水蒸気および還元ガスの排出口、47は活性炭化物の排出口である。
【0038】
以上のように構成される活性炭化物製造装置によれば、上段のスクリューコンベヤ38の略前半部が主として乾燥ゾーン、上段のスクリューコンベヤ38の略後半部および下段のスクリューコンベヤ39の略前半部が主として乾留炭化ゾーン、下段のスクリューコンベヤ39の略後半部が主として賦活ゾーンとなるように構成されており、乾燥汚泥貯留ホッパー43から炉内に供給された汚泥は乾燥ゾーンで乾燥され、次いで、乾留炭化ゾーンで炭化され、乾燥ゾーンで発生した水蒸気および乾留炭化ゾーンで発生したCO、CH4、H2等の還元ガスを炭化物とともに賦活ゾーンに導入して接触させることにより、炭化物を賦活・活性化するので、吸着力のある活性炭化物を効率よく製造することができる。
【0039】
かくして、炭化炉22で製造された活性炭化物は排出口47から排出されて冷却器45で冷却されて、製品活性炭化物を得ることができる。
【0040】
このようにして得られる活性炭化物や炭化工程に供する前の乾燥汚泥は、例えば、発電所もしくは事業用ボイラの燃料、製鉄所または製鋼所での燃料もしくは保温材、セメント工場での原燃料、緑農地での土壌改良材もしくは土質改良材もしくはコンポスト副資材などに利用することができる。このように、本発明によれば、汚泥から得られた乾燥汚泥や炭化物を化石燃料の代替として利用したり、副資材等として利用することにより、地球温暖化の防止に貢献するとともに循環型社会の形成に貢献できる。
(8)余剰の消化ガス(バイオガス)による発電
消化槽16から排出されてガス精製装置18aおよび貯留設備18bへ送られたバイオガスの一部は経路21を経て炭化炉22へ供給され、余剰のバイオガスは経路19を経て発電機20へ供給される。発電機20としては、ガスエンジン発電機またはガスタービン発電機を用いることができる。この発電機で得られた電力により、下水処理場内で必要とされる電力の一部または全部を賄うことができる。また、発電機20に代えて燃料電池を用いることもできる。
(B)実際の下水処理場に本実施例1の装置を適用した場合の処理能力の評価
中規模の下水処理場において現実的に収集可能な有機性廃棄物(ここでは、生ゴミ)を投入した場合について熱計算を行ったので、その結果を説明する。以下に説明する内容は一例であって、下水処理場の規模や受け入れる有機性廃棄物の種類や量によって結果が異なることは、言うまでもない。
【0041】
本実施例1および後記する各実施例ならびに各比較例における共通の試算条件は、下記のとおりである。
【0042】
下水処理場の処理量は30000m3/日、濃縮汚泥の発生量は200トン/日、濃縮汚泥の固形物濃度は2.9重量%、濃縮汚泥の有機物濃度は82重量%(対固形物量)、濃縮汚泥の消化槽での有機物分解率は55%、濃縮汚泥の消化槽での消化ガス発生量は900Nm3/トン(分解有機物量より求めると、2354Nm3/日)、この消化ガス中のメタン濃度は62%、有機性廃棄物の異物混入量は10重量%、異物除去後の有機性廃棄物の固形物濃度は15重量%、異物除去後の有機性廃棄物の有機物濃度は92重量%(対固形物量)、異物除去後の有機性廃棄物の消化槽での消化ガス発生量は810Nm3/トン(分解有機物量より求めると、1270Nm3/日)、この消化ガス中のメタン濃度は58%、消化汚泥の含水率は82.0重量%、下水汚泥由来の消化汚泥脱水汚泥量は17.2トン/日、有機性廃棄物由来の消化汚泥脱水汚泥量は2.9トン/日、有機性廃棄物の受け入れ量は15トン/日、他の下水処理場の脱水汚泥受け入れ量は50トン/日である。
【0043】
そして、以下の表1に示すような処理能力の試算結果を得た。
【0044】
【表1】

【0045】
〔比較例1〕
比較のために、図7に示すように、図1の装置から、破砕選別機5と可溶化・酸発酵槽8をなくし、発電機20に代えてボイラ71を有する汚泥の再資源化装置について、上記試算条件に基づいて、以下の表2に示すような処理能力の試算結果を得た。重複説明を避けるため、図7において実施例1と同じ構成要素には同一参照番号を付してその説明を省略する。
【0046】
【表2】

【0047】
《実施例1の装置》
表1と表2を比較すると明かなように、実施例1の装置は有機性廃棄物の受け入れと、乾燥機排ガスの凝縮熱を利用して汚泥を加温するので、以下のような利点を享受できる。
(1)発電
炭化炉の燃焼に必要なガスを除いて大量の余剰消化ガスが発生するので、これを用いて発電できる。この電力(149kW)を用いれば、下水処理場内で必要とされる電力の一部または全部を賄うことができる。
(2)高温発酵
消化槽における発酵は、中温菌による発酵と高温菌による発酵のいずれでもよいが、高温菌による発酵の場合、病原性菌や雑菌が死滅し、比較的発酵速度が速いため、発酵効率も良いという点で、中温発酵に比べて有利である。実施例1の装置によれば、高温発酵(55℃)もできるように汚泥を加温することができるという効果が期待できる。
(3)有機性廃棄物の受け入れ収入
有機性廃棄物の処理には一定の費用が必要なため、これを受け入れて処理することにより、有機性廃棄物の受け入れ費用を獲得することができる。
《比較例1の装置》
一方、表2に明かなように、比較例1の装置では、炭化炉の燃焼とボイラの燃焼に必要なガスを除いた後の余剰のガスからは、僅かに0.9GJ(キ゛カ゛シ゛ュール)/日の熱量しか得られない。この程度の熱量では有効な用途もないので、大気中に放散せざるを得ない。実施例1と比較例1との間でこのように余剰ガス量に大きな差が発生した理由は、比較例1は、有機性廃棄物の受け入れがないので消化ガス量の発生量が少なく、その上、乾燥機排ガスの凝縮熱を利用するという構成がないため、汚泥を加温するためのボイラの燃料が必要であるという理由によるものである。しかも、ボイラの燃焼熱では、中温菌による発酵に適した温度(37℃)にしか汚泥を加温することができない。
[実施例2−1]
図3は本発明の汚泥の再資源化装置として好適な別の実施例の概略構成図である。この実施例2−1は、炭化炉22がなく、消化ガスを燃焼させる炉としてガス燃焼炉51を有する点が実施例1と異なる。重複説明を避けるため、図3において実施例1と同じ構成要素には同一参照番号を付してその説明を省略する。
【0048】
そして、実際の下水処理場に本実施例2−1の装置を適用した場合について、上記試算条件に基づいて、以下の表3に示すような処理能力の試算結果を得た。
【0049】
【表3】

【0050】
〔比較例2〕
比較のために、図8に示すように、図3の装置から、破砕選別機5と可溶化・酸発酵槽8をなくし、発電機20に代えてボイラ71を有する汚泥の再資源化装置について、上記試算条件に基づいて、以下の表4に示すような処理能力の試算結果を得た。重複説明を避けるため、図8において実施例1と同じ構成要素には同一参照番号を付してその説明を省略する。
【0051】
【表4】

【0052】
《実施例2−1の装置》
表3と表4を比較すると明かなように、実施例2−1の装置は有機性廃棄物の受け入れと、乾燥機排ガスの凝縮熱を利用して汚泥を加温するので、以下のような利点を享受できる。
(1)発電
炭化炉の燃焼に必要なガスを除いて余剰の消化ガスが発生するので、これを用いて発電できる。この電力を用いれば、下水処理場内で必要とされる電力の一部を賄うことができる。
(2)高温発酵
実施例1の装置と同じように、高温発酵(55℃)もできるように汚泥を加温することができるという効果が期待できる。
(3)有機性廃棄物の受け入れ収入
実施例1の装置と同じように、有機性廃棄物の受け入れ費用を獲得することができる。
(4)補助燃料の不要化
ガス燃焼炉の燃焼のための補助燃料の使用が不要となる。
《比較例2の装置》
一方、表4に明かなように、比較例2の装置では、ガス燃焼炉の燃焼とボイラの燃焼に必要なガスを除いた後に、余剰のガスは得られない。実施例2−1と比較例2との間でこのように余剰ガスの発生の有無という差が発生した理由は、比較例2は、有機性廃棄物の受け入れがないので消化ガス量の発生量が少なく、その上、乾燥機排ガスの凝縮熱を利用するという構成がないため、汚泥を加温するためのボイラの燃焼が必要であるという理由によるものである。しかも、ガス燃焼炉の燃焼のために消化ガスの保有熱量だけでは賄うことができないため、大量の補助燃料が必要である。さらに、ボイラの燃焼熱では、中温菌による発酵に適した温度(37℃)にしか汚泥を加温することができない。
[実施例2−2]
図4は本発明の汚泥の再資源化装置として好適な別の実施例の概略構成図である。この実施例2−2は実施例2−1と同じように、炭化炉22がなく、消化ガスを燃焼させる炉としてガス燃焼炉51を有する点が実施例1と異なる。さらに、実施例2−2では、熱交換器28においてガス燃焼炉51で生成する高温の燃焼生成ガスと循環ループ29aを循環するガスとを熱交換することによって得られる高温のガスが乾燥機26へ供給されるのではなくガス燃焼炉51へ返送され、ガス燃焼炉51の燃焼生成ガスが直接乾燥機26へ供給される点が実施例2−1と異なる。重複説明を避けるため、図4において実施例1と同じ構成要素には同一参照番号を付してその説明を省略する。
[実施例3]
図5は本発明の汚泥の再資源化装置として好適なさらに別の実施例の概略構成図である。この実施例3は他の下水処理場の脱水汚泥を受け入れる場合を示し、実施例1と異なり、発電機20を有しない。経路61は他の下水処理場の脱水汚泥の受け入れ経路を示し、経路62は灯油または重油など化石燃料からなる補助燃料の受け入れ経路を示す。重複説明を避けるため、図5において実施例1と同じ構成要素には同一参照番号を付してその説明を省略する。
【0053】
そして、実際の下水処理場に本実施例3の装置を適用した場合について、上記試算条件に基づいて、以下の表5に示すような処理能力の試算結果を得た。
【0054】
【表5】

【0055】
〔比較例3〕
比較のために、図9に示すように、図5の装置から、破砕選別機5と可溶化・酸発酵槽8をなくし、ボイラ71を有する汚泥の再資源化装置について、上記試算条件に基づいて、以下の表6に示すような処理能力の試算結果を得た。重複説明を避けるため、図9において実施例1と同じ構成要素には同一参照番号を付してその説明を省略する。
【0056】
【表6】

【0057】
《実施例3の装置》
表5と表6を比較すると明かなように、実施例3の装置は有機性廃棄物の受け入れと、乾燥機排ガスの凝縮熱を利用して汚泥を加温するので、以下のような利点を享受できる。
(1)補助燃料の低減
消化ガスの生成量が多いので、炭化炉の燃焼のための補助燃料を比較例3の約半分に低減することができる。
(2)高温発酵
実施例1および実施例2−1の装置と同じように、高温発酵(55℃)もできるように汚泥を加温することができるという効果が期待できる。
(3)有機性廃棄物の受け入れ収入
実施例1および実施例2−1の装置と同じように、有機性廃棄物の受け入れ費用を獲得することができる。
《比較例3の装置》
一方、表6に明かなように、比較例3の装置では、有機性廃棄物の受け入れがないので消化ガス量の発生量が少なく、その上、乾燥機排ガスの凝縮熱を利用するという構成がないため、炭化炉の燃焼のために消化ガスの保有熱量だけでは賄うことができないので、大量の補助燃料が必要である。さらに、ボイラの燃焼熱では、中温菌による発酵に適した温度(37℃)にしか汚泥を加温することができない。
[実施例4]
図6は本発明の汚泥の再資源化装置として好適なさらに別の実施例の概略構成図である。この実施例4は実施例3と同じように、他の下水処理場の脱水汚泥を受け入れる場合を示す。また、発電機20と炭化炉22がなく、消化ガスを燃焼させる炉としてガス燃焼炉51を有する点が実施例1と異なる。重複説明を避けるため、図6において実施例1と同じ構成要素には同一参照番号を付してその説明を省略する。
【0058】
そして、実際の下水処理場に本実施例4の装置を適用した場合について、上記試算条件に基づいて、以下の表7に示すような処理能力の試算結果を得た。
【0059】
【表7】

【0060】
〔比較例4〕
比較のために、図10に示すように、図6の装置から、破砕選別機5と可溶化・酸発酵槽8をなくし、ボイラ71を有する汚泥の再資源化装置について、上記試算条件に基づいて、以下の表8に示すような処理能力の試算結果を得た。重複説明を避けるため、図10において実施例1と同じ構成要素には同一参照番号を付してその説明を省略する。
【0061】
【表8】

【0062】
《実施例4の装置》
表7と表8を比較すると明かなように、実施例4の装置は有機性廃棄物の受け入れと、乾燥機排ガスの凝縮熱を利用して汚泥を加温するので、以下のような利点を享受できる。
(1)補助燃料の低減
消化ガスの生成量が多いので、ガス燃焼炉の燃焼のための補助燃料を比較例4の約80%に低減することができる。
(2)高温発酵
実施例1、実施例2−1および実施例3の装置と同じように、高温発酵(55℃)もできるように汚泥を加温することができるという効果が期待できる。
(3)有機性廃棄物の受け入れ収入
実施例1、実施例2−1および実施例3の装置と同じように、有機性廃棄物の受け入れ費用を獲得することができる。
《比較例4の装置》
一方、表8に明かなように、比較例4の装置では、有機性廃棄物の受け入れがないので消化ガス量の発生量が少なく、その上、乾燥機排ガスの凝縮熱を利用するという構成がないため、ガス燃焼炉の燃焼のために消化ガスの保有熱量だけでは賄うことができないので、大量の補助燃料が必要である。さらに、ボイラの燃焼熱では、中温菌による発酵に適した温度(37℃)にしか汚泥を加温することができない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は以上のように構成されているので、下水処理場などで発生する汚泥から、工業的に有用な資源を経済的な方法で製造することができるとともに、地球温暖化防止と循環型社会の形成に貢献することができる画期的な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の汚泥の再資源化装置の実施例1の概略構成図である。
【図2】活性炭化物の製造装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の汚泥の再資源化装置の実施例2−1の概略構成図である。
【図4】本発明の汚泥の再資源化装置の実施例2−2の概略構成図である。
【図5】本発明の汚泥の再資源化装置の実施例3の概略構成図である。
【図6】本発明の汚泥の再資源化装置の実施例4の概略構成図である。
【図7】本発明の汚泥の再資源化装置の実施例1に対応する比較例1の概略構成図である。
【図8】本発明の汚泥の再資源化装置の実施例2−1に対応する比較例2の概略構成図である。
【図9】本発明の汚泥の再資源化装置の実施例3に対応する比較例3の概略構成図である。
【図10】本発明の汚泥の再資源化装置の実施例4に対応する比較例4の概略構成図である。
【図11】従来の汚泥の燃料化装置の概略構成図である。
【図12】従来の食品廃棄物等循環資源のリサイクルシステムを示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 水処理設備
5 破砕選別機
6 経路
8 可溶化・酸発酵槽
9 加温塔
10 除湿塔
11 第二ガス供給経路
16 消化槽
18a ガス精製装置
18b 貯留設備
20 発電機
22 炭化炉
24 脱水機
26 乾燥機
28 熱交換器
36 第一ガス供給経路
38 上段のスクリューコンベヤ
39 下段のスクリューコンベヤ
40 仕切板
41 燃料と空気の導入口
42 空気の導入口
43 乾燥汚泥貯留ホッパー
44 乾燥汚泥の切り出しスクリュー
45 冷却器
46 水蒸気および還元ガスの排出口
47 活性炭化物排出口
51 ガス燃焼炉
61 他の下水処理場の脱水汚泥の受け入れ経路
62 補助燃料の受け入れ経路
71 ボイラ
81 下水汚泥
82 脱水機
83 乾燥炉
84 炭化炉
85 燃焼炉
86 汚泥焼却炉
87 排ガス処理装置
89 炭化物
91 採取池
92 最初沈澱池
93 エアレーションタンク
94 最終沈澱池
95 汚泥濃縮槽
96 脱水装置
97 遠心分離装置
98 食品廃棄物
99 粉砕フィーダー
100 スラリータンク
102 粉砕機
103 バイオリアクター
104 ガスホルダー
105 ガスエンジン
106 汚泥乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥をメタン発酵させて消化ガスを生成する消化工程と、消化ガスを生成した消化汚泥を脱水処理する脱水工程と、脱水処理後の脱水汚泥を乾燥処理する乾燥工程と、上記消化ガスを燃焼させて燃焼生成ガスを生成する燃焼工程とを有する汚泥の再資源化方法において、燃焼工程で生成した燃焼生成ガスの保有熱を利用して乾燥処理のための高温のガスを得、乾燥処理に用いた後の高温のガスと直接的または間接的に接触させることにより汚泥を加温し、加温した汚泥に有機性廃棄物を加えた有機性廃棄物含有汚泥が消化工程に供給される汚泥であることを特徴とする汚泥の再資源化方法。
【請求項2】
乾燥工程に引き続いて乾燥汚泥を炭化処理する炭化工程を有することを特徴とする請求項1記載の汚泥の再資源化方法。
【請求項3】
汚泥が下水処理場由来の下水汚泥であることを特徴とする請求項1または2記載の汚泥の再資源化方法。
【請求項4】
消化工程に後続して、脱水工程に至る経路とは別の経路に消化ガスの熱源を利用して発電を行う発電工程を有することを特徴とする請求項1、2または3記載の汚泥の再資源化方法。
【請求項5】
汚泥をメタン発酵させて消化ガスを生成する消化槽と、消化ガスを生成した消化汚泥を脱水処理する脱水機と、脱水処理後の脱水汚泥を乾燥処理する乾燥機と、上記消化ガスを燃焼させて燃焼生成ガスを生成する燃焼炉とを有する汚泥の再資源化装置において、有機性廃棄物を消化槽に供給するための有機性廃棄物供給経路と、燃焼炉で生成した燃焼生成ガスの保有熱を利用することによって得た高温のガスを乾燥機に供給する第一ガス供給経路と、上記乾燥機から排出されたガスと直接的または間接的に接触させることにより汚泥を加温するために乾燥機排ガスを供給する第二ガス供給経路とを有し、第二ガス供給経路を経て供給された乾燥機排ガスにより加温した汚泥に有機性廃棄物供給経路を経て供給された有機性廃棄物を加え、この有機性廃棄物含有汚泥が消化槽に供給される汚泥であることを特徴とする汚泥の再資源化装置。
【請求項6】
燃焼炉が乾燥機に後続して乾燥汚泥を炭化処理する炭化炉であることを特徴とする請求項5記載の汚泥の再資源化装置。
【請求項7】
炭化炉が活性炭化物製造炉であることを特徴とする請求項6記載の汚泥の再資源化装置。
【請求項8】
下水を受け入れて処理水と下水汚泥に分離する水処理設備を備え、この水処理設備から消化槽に至る下水汚泥供給経路を有し、汚泥としてこの下水汚泥を用いることを特徴とする請求項5、6または7記載の汚泥の再資源化装置。
【請求項9】
第一ガス供給経路と第二ガス供給経路がガスの循環ループの一部または全部を形成し、このガス循環ループに熱交換器を有し、この熱交換器において燃焼炉で生成した燃焼生成ガスとガス循環ループを循環するガスとを熱交換することにより第一ガス供給経路を流通する高温のガスを得ることを特徴とする請求項5、6、7または8記載の汚泥の再資源化装置。
【請求項10】
有機性廃棄物供給経路に破砕選別機と可溶化・酸発酵槽からなる前処理設備を有し、さらに、水処理設備から上記可溶化・酸発酵槽に至る下水汚泥供給経路に乾燥機から排出されたガスと可溶化・酸発酵槽に供給される下水汚泥を直接的または間接的に接触させることにより可溶化・酸発酵槽に供給される下水汚泥を加温するための加温設備を有することを特徴とする請求項8または9記載の汚泥の再資源化装置。
【請求項11】
ガス循環ループに加温設備とこの加温設備に後続して除湿設備を有し、燃焼炉から乾燥機と加温設備と除湿設備を経て同燃焼炉に戻るガスの循環ループを形成したことを特徴とする請求項10記載の汚泥の再資源化装置。
【請求項12】
消化槽から加温設備に至る汚泥の引抜経路と、水処理設備から加温設備を経由せずに消化槽に至る下水汚泥の供給経路を有することを特徴とする請求項10または11記載の汚泥の再資源化装置。
【請求項13】
加温設備で加温した下水汚泥の一部を可溶化・酸発酵槽を経由せずに消化槽に供給する汚泥の供給経路を有することを特徴とする請求項10、11または12記載の汚泥の再資源化装置。
【請求項14】
消化槽に後続して、脱水機に至る経路とは別の経路に消化ガスの熱源を利用して発電を行う発電機を備えていることを特徴とする請求項5、6、7、8、9、10、11、12または13記載の汚泥の再資源化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−330918(P2007−330918A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167376(P2006−167376)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】