説明

油中水型乳化化粧料

【課題】油中水型乳化化粧料において皮丘と皮溝の粉体の付着性を制御し、皮膚への粉体付着性が高く、均一で自然な美しい仕上がりが得られ、かつ高い化粧持続性及び優れた乳化安定性を有する、油中水型乳化粧料を提供することである。
【解決手段】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)シリコーン油を含有する油性成分 15〜70質量%
(B)下記式(i)で表されるモノマーとSP値が19〜24であるN原子含有ラジカル重合性モノマーを重合してなる共重合体であって、
式(i)で表されるモノマーの含有量が60〜96質量%である共重合体。
(aは式(i)で表されるモノマーの平均分子量を1000〜10000とする数である)
0.1〜20質量%
(C)粉体 0.1〜50質量%
(D)水 5〜70質量%
を含有する油中水型乳化化粧料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料における油中水型乳化組成物には、優れた撥水性、高い安全性などに加えてべたつきが少なくさっぱりとして伸びが軽い感触を付与するために、ジメチルポリシロキサンに代表されるシリコーンオイルが油剤として広く用いられている。しかし、ジメチルポリシロキサンは、溶解度パラメーターが低く、低表面張力であり、従来の炭化水素油、エステル油、油脂等の油剤との相溶性が低く、排出現象が発生しやすいなど、化粧料の調製において処方的な制約が少なからずあった。
【0003】
従来、シリコーン油を多く含有する油中水型乳化組成物を調製するには、界面活性剤として親油性のポリオキシアルキレン変性シリコーンが使用されてきた。
しかし、この界面活性剤だけでは、シリコーン油を多量に含む乳化組成物を経時的に安定なものにすることは難しかった。その為、ワックスを配合したり、ゲル化剤である有機変性粘土鉱物を配合することが試みられたが(特許文献1及び2参照)、感触や使用性を満足し、且つ、経時安定性が良好なものは得難かった。また、これらの問題を解決すべく、油相成分中に特定のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体と特定のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン系界面活性剤を組み合わせる試みが行われているが(特許文献3参照)、顔料、粉体等の分散性や使用感においては十分ではなかった。
【0004】
また、粉体を良好に分散させるため、ラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン単量体、ならびに窒素含有単量体及び/又はラジカル重合性基とポリオキシアルキレン基を有する単量体を構成成分とするポリマーを粉体の表面に処理する手法が提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、この手法は、粉体の分散性を解決するにとどまり、上記ポリマーによる化粧料の乳化作用については一切開示がない。
【0005】
一方、粉体の皮膚への付着状態は化粧料の剤形や塗布方法に大きく影響を受ける。特に剤形の違いにより粉体の流動性が大きく変わるために、付着量及び付着状態も大きく変わる。皮膚表面は皮丘と皮溝から構成されているが、液状成分を多く含むリキッドファンデーションは皮溝に剤が流れやすいために、パウダーファンデーションと比較して、皮溝に粉体が集まり易く、均一な美しい仕上がりが得られない。マイカや雲母チタンのような配向性の高い板状粉体であっても、皮溝に入ってしまい十分な効果を発揮しにくいことが多い。この現象は、着色顔料や紫外線遮蔽剤などの金属酸化物微粒子などにおいてより顕著な傾向がある。それ故、粉体の配合量を増量したり、剤のレオロジー特性を調整するなどにより皮丘への付着性を向上させる工夫がなされている。しかし、皮丘と皮溝に均一に付着させることは難しく、結果的に厚ぼったい、化粧感の高い仕上がりになってしまう傾向にあった。
【0006】
【特許文献1】特開昭61-66752号公報
【特許文献2】特開昭61-218509号公報
【特許文献3】特許平3-8432号公報
【特許文献4】特開平11-263708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、油中水型乳化化粧料において皮丘と皮溝の粉体の付着性を制御し、皮膚への粉体付着性が高く、均一で自然な美しい仕上がりが得られ、かつ高い化粧持続性及び優れた乳化安定性を有する、油中水型乳化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特定のオルガノポリシロキサン含有共重合体を油中水型乳化物の乳化剤として用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)シリコーン油を含有する油性成分 15〜70質量%
(B)下記式(i)で表されるモノマーとSP値が19〜24であるN原子含有ラジカル重合性モノマーを重合してなる共重合体であって、
式(i)で表されるモノマーの含有量が60〜96質量%である共重合体 0.1〜20質量%
【化1】

(aは式(i)で表されるモノマーの平均分子量を1000〜10000とする数である)
(C)粉体 0.1〜50質量%
(D)水 5〜70質量%
を含有する油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の油中水型乳化化粧料は、肌への粉体付着性が高く、均一で自然な美しい仕上がりが得られ、かつ高い化粧持続性及び乳化安定性に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で用いる成分(A)の油性成分は、シリコーン油を含むものであり、シリコーン油のみからなる単一成分であってもよく、シリコーン油以外の油剤を含むこともできる。シリコーン油としては、揮発性、不揮発性の液状油や溶剤に分散されているものなど、特に限定されないが、例えばジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高級脂肪酸変性オルガノポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等が挙げられ、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0011】
これらのシリコーン油のうち、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサンが好ましく、揮発性シリコーンを用いることが好ましい。ジメチルポリシロキサンとしては、25℃の粘度が50mm2/s以下、好ましくは0.5以上10mm2/s以下のものが良い。揮発性シリコーンとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、25℃の粘度が2mm2/s以下のジメチルポリシロキサンが好ましい。これらのシリコーン油は、化粧料を塗布する際に特にのびが良く、肌表面に残存するオイル分が少なくなるため密着性が良く好ましい。
【0012】
シリコーン油の含有量は、成分(A)中に5〜100質量%、さらには50〜100質量%が好ましい。5質量%以上であると伸びや塗布した後のベタツキのない使用感を向上させるなどの利点がある。
【0013】
シリコーン油と共に用いられる油剤は、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、オリーブ油、ホホバ油、ジグリセライド、トリグリセライド、ヒマシ油等のエステル油;スクワラン、流動パラフィン、イソパラフィン等の炭化水素油;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤等の液体油剤;ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、高級脂肪酸、高級アルコール等の固形又は半固形油剤が挙げられる。これらの油剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0014】
本発明で用いる成分(A)シリコーン油を含有する油性成分の含有量は、油中での顔料分散性や肌に塗布した時の伸びなどの使用感の点から、油中水型乳化化粧料中15〜70質量%、さらには20〜60質量%含むことが好ましい。
【0015】
本発明で用いる成分(B)共重合体は、乳化剤として機能し、優れた乳化安定性を有するとともに、粉体を皮丘と皮溝に均一に付着させることを可能とするものである。
【0016】
成分(B)共重合体の構成モノマーである式(i)で表されるモノマーの含有量は、シリコーン油への親和性の点、肌に乳化物を伸ばした時の伸びの良さやベタツキのなさなどの使用感の点から、60質量%以上96質量%以下、さらには、70〜92質量%であることが好ましい。
なお、式(i)で表されるモノマーとSP値(溶解度パラメーター)が19〜24であるN原子含有ラジカル重合性モノマーを重合してなる重合体は、ブロック体であっても、ランダム体であってもよい。
【0017】
また、前記式(i)におけるaの値は、乳化性や乳化安定性などの点からオルガノポリシロキサン(式(i)で表されるモノマー)の平均分子量を1000〜10000とする数である。
【0018】
成分(B)中におけるSP値が19〜24であるN原子含有ラジカル重合性モノマーとしては、N,N-ジメチルアクリルアミド(SP値:20.7)、t-ブチルアクリルアミド(SP値:22.2)、アクリロイルモルホリン(SP値:21.6)、イソプロピルアクリルアミド(SP値:23.2)、イソプロピルメタクリルアミド(SP値:22.2)、N,N-ジエチルアクリルアミド(SP値:19.9)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート(SP値:21.1)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(SP値:20.4)、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(SP値:22.3)、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(SP値:21.6)、N,N-ジメチルメタクリルアミド(SP値:19.8)が挙げられる。SP値を19〜24に設定することで、水との親和性が高まり、乳化性能が向上すると共に、皮丘と皮溝に均一に付着させる機能に優れると考えられる。
更に、上記のモノマーの中でもホモポリマーのTg値が90℃以下であることが好ましく、0℃以上90℃以下であることがさらに好ましい。Tgの値を90℃以下、さらには0℃以上90℃以下に設定することで、粉体の皮膚への粉体付着性が高くなり、且つ、化粧持続性を高める。具体的には、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドが挙げられる。この中で、特にN,N-ジメチルアクリルアミドが好ましい。
【0019】
なお、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)により測定された値をいう。具体的には、下記の連続する温度プログラム1〜4の条件で測定を行った場合、温度プログラム3で測定される値をガラス転移温度とすることが好ましい。
温度プログラム:
1.30 〜250℃:昇温速度 30℃/min,保持時間 1min
2.250〜−50℃:冷却速度200℃/min,保持時間10min
3.−50〜250℃:昇温速度 10℃/min,保持時間 1min
4.250〜 30℃:冷却速度 30℃/min,保持時間 2min
【0020】
SP値及びTg値は実測することが好ましいが、ポリマーの物性推算ソフトフェアPolymer-Design Tools(DTW Associates,Inc)中のBicerano法を用いて算出することも出来る。
【0021】
成分(B)共重合体の重量平均分子量は、油中水型乳化化粧料の乳化安定性と使用感の点から5000〜200000、更には10000〜100000であることが好ましい。重量平均分子量は、GPCによるポリスチレン換算により得られる。
【0022】
成分(B)共重合体は、主鎖が親水性で、側鎖にポリシロキサン鎖を有することにより、エタノールのような助溶剤がなくても、成分(A),(C)の分散性を向上させることが可能となり、乳化特性も向上した。
本発明で用いる成分(B)共重合体は、乳化安定性を有するとともに、粉体を皮丘と皮溝に均一に付着させる点から0.1〜20質量%、更には0.5〜5質量%が好ましい。
【0023】
本発明で用いられる成分(C)粉体としては、通常の化粧料に使用されるものであれば特に限定されない。粉体の平均粒径は0.001〜120μm、特に0.02〜80μmであるのが好ましい。なお、平均粒径はレーザー散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所社製、LA-920型)で測定される。
材質は、無機粉体、有機粉体いずれでも良く、顔料を含む。形状は、球状、針状、板状等いずれでもよい。また、粒子構造も特に制限はなく、多孔質、無孔質等いずれのものも使用することができる。
【0024】
無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素等が挙げられる。
【0025】
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、コメデンプン、ラウロイルリジン等が挙げられる。
【0026】
また、有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した複合粉体等が挙げられる。
【0027】
パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。これらの粉体は、シリコーン、又はフッ素化合物で表面処理を行なうことが、化粧持続性を向上させる点から好ましい。
【0028】
本発明で用いる成分(C)粉体は、塗布時の使用感と均一な仕上がりの観点から0.1〜50質量%、更には0.5〜30質量%が好ましい。
【0029】
本発明の成分(D)は水である。水としては純水、イオン交換水等の精製水が好ましい。水を含むことにより、塗布時に清涼感を与え、塗布性を向上させる。成分(D)は全組成中に5〜70質量%含むことが好ましい。
【0030】
本発明の化粧料には、その目的に応じて、水溶性高分子又は水膨潤性高分子を1種又は2種以上を用いることもできる。
水溶性高分子又は水膨潤性高分子としては、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、ローカストビーンガム等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン、カチオンポリマーなどの他の合性水溶性高分子;シリコーン化プルラン等の半合成高分子等がある。また、この中には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。
【0031】
本発明の化粧料には、乳化安定性を向上させるために界面活性剤を1種又は2種以上用いることもできる。このような界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の活性剤があるが、非イオン性の界面活性剤が好ましい。
【0032】
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0033】
本発明の化粧料には油溶性のゲル化剤を含有することができる。油溶性のゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン;N−ラウロイル−L−グルタミン酸等のアミノ酸誘導体;デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル;ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体等が挙げられ、また、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物も含まれる。これらは、使用感、乳化安定性を向上させることができ、全組成物中0.1〜5質量%含有することが出来る。
【0034】
本発明の化粧料には、更にグリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコールを含むことが出来る。多価アルコールを含むことにより、乳化特性、保湿効果を向上させることができ、全組成物中1〜10質量%含有することが出来る。
【0035】
本発明の油中水型乳化化粧料には、その他成分として、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン等を適宜配合することができる。
【0036】
本発明の油中水型乳化化粧料はその形状としては、液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、ムース状等、種々の形態を選択することができる。また、その用途としては、ファンデーション、メイクアップ下地、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ等のメイクアップ化粧料及び酸化チタンや酸化亜鉛等の無機紫外線遮蔽粉体を配合しているUVカット剤などが好適である。
【実施例】
【0037】
(評価方法)
(1)乳化保存安定性:各実施例及び比較例の油中水型乳化化粧料を100ml入りポリエチレン容器に約70g充填し、5℃、室温(20〜25℃)、40℃に1カ月保存後、各乳化物の安定性を、以下の基準に従って外観から判断した。
◎:変化なし
○:表面にムラが発生した。
△:表面に1mm以内の液体の分離がみられた。
×:完全に分離(1mm以上)した。
【0038】
(2)使用感(べたつきのなさ):専門パネラー15名により各実施例及び比較例の油中水型乳化化粧料を顔に塗布し、べたつきのなさについて、以下の基準に従って評価し、その平均点より判定した。
悪い・・・・スコア1
やや悪い・・スコア2
普通・・・・スコア3
やや良い・・スコア4
良い・・・・スコア5
【0039】
(3)カバー力:前記(2)べたつきのなさと同様の方法で油中水型乳化化粧料を顔に塗布し以下の基準に従って評価し、その平均点より判定した。なお、カバー力とは塗布前の地肌の色むらや色などが隠れる度合のことをいう。
カバー力が低い・・・・スコア1
カバー力がやや低い・・スコア2
普通・・・・スコア3
カバー力がやや高い・・スコア4
カバー力が高い・・・・スコア5
【0040】
(4)皮溝へのパール顔料の落ち込み度合いの評価:前記(2)べたつきのなさと同様の方法で油中水型乳化化粧料を顔に塗布し、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VXH-500)にて倍率:500倍にて塗布膜を観察し、皮溝に落ち込んだ干渉パール顔料の量を以下の基準に従って評価し、その平均点より判定した。
皮溝に落ちている量がかなり多い・・スコア1
皮溝に落ちている量がやや多い・・スコア2
皮溝に半分程度落ちている・・スコア3
皮溝に落ちている量がやや少ない・・スコア4
皮溝に落ちている量が少ない・・スコア5
【0041】
(5)パール感(パール顔料(紫パール)の発色性):前記(2)べたつきのなさと同様の方法で油中水型乳化化粧料を顔に塗布し以下の基準に従って評価し、その平均点より判定した。
発色性が低い・・・・スコア1
発色性がやや低い・・スコア2
普通・・・・・・・・スコア3
発色性がやや高い・・スコア4
発色性が高い・・・・スコア5
【0042】
(6)化粧持続性:専門パネラー15名により各実施例及び比較例の油中水型乳化化粧料を一定量:120〜140mg(0.35〜0.40mg/cm2)、顔に塗布し、5時間経過後に仕上がり評価を以下の基準に従って評価し、その平均点より判定した。
かなり化粧崩れしている・・・スコア1
化粧崩れしている・・・・・・スコア2
少し化粧崩れしている・・・・スコア3
殆ど化粧崩れしていない・・・スコア4
全く化粧崩れしていない・・・スコア5
【0043】
製造例1 (B)成分の共重合体(1)の合成
ジメチルポリシロキシプロピルメタクリレート(チッソ(株)「FM0711」分子量1000)140g、N,N-ジメチルアクリルアミド((株)興人「DMAA」)60g、メチルエチルケトン200gをビーカーに取り、混合した後、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(和工純薬工業(株)「V−65」)2.0gを加え、均一に溶解した。得られた混合モノマー溶液の10質量%を、還流冷却器、滴下ロート、撹拌機、温度計を付したガラス製4つ口フラスコに、仕込み、窒素置換した。
次いで、70℃に加熱した後、混合モノマー溶液の残り90質量%を2時間かけて滴下し、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(和工純薬工業(株)「V−65」)0.4g、メチルエチルケトン20gからなる溶液を5分かけて滴下した。その後、さらに70℃にて2時間加熱することで重合を終了した。減圧下にて揮発性成分を加熱留去することにより(B)成分の共重合体を得た。該共重合体中のモノマー組成は仕込み組成とほぼ一致していた(重量平均分子量6.5万)。(式(i)で表されるモノマーの含有率:70質量%)
【0044】
製造例2 (B)成分の共重合体(2)の合成
製造例1で使用したFM0711を160g、N,N-ジメチルアクリルアミド40gを仕込み、製造例1と同様にして、(B)成分の共重合体(2)を得た共重合体(2)中のモノマー組成は仕込み組成とほぼ一致していた(重量平均分子量6.1万)。(式(i)で表されるモノマーの含有率:80質量%)
【0045】
製造例3 (B)成分の共重合体(3)の合成
製造例1で使用したFM0711を176g、N,N-ジメチルアクリルアミド24gを仕込み、製造例1と同様にして、(B)成分の共重合体(3)を得た。共重合体(3)中のモノマー組成は仕込み組成とほぼ一致していた(重量平均分子量6.3万)。(式(i)で表されるモノマーの含有率:88質量%)
【0046】
製造例4 (B)成分の共重合体(4)の合成
製造例1で使用したFM0711を184g、N,N-ジメチルアクリルアミド16gを仕込み、製造例1と同様にして、(B)成分の共重合体(4)を得た。共重合体(4)中のモノマー組成は仕込み組成とほぼ一致していた(重量平均分子量4.0万)。(式(i)で表されるモノマーの含有率:92質量%)
【0047】
製造例5 (B)成分の共重合体(5)の合成
製造例1で使用したFM0711に代えて、ジメチルポリシロキシプロピルメタクリレート(チッソ(株)「FM0721」分子量5000)を160g、N,N-ジメチルアクリルアミド40gを仕込み、製造例1と同様にして、(B)成分の共重合体(5)を得た。共重合体(5)中のモノマー組成は仕込み組成とほぼ一致していた(重量平均分子量7.4万)。(式(i)で表されるモノマーの含有率:80質量%)
【0048】
製造例6 (B)成分の共重合体(6)の合成
製造例1で使用したFM0711に代えて、ジメチルポリシロキシプロピルメタクリレート(チッソ(株)「FM0725」分子量10000)を180g、N,N-ジメチルアクリルアミド20gを仕込み、製造例1と同様にして、(B)成分の共重合体(6)を得た。共重合体(6)中のモノマー組成は仕込み組成とほぼ一致していた(重量平均分子量6万)。(式(i)で表されるモノマーの含有率:90質量%)
【0049】
製造比較例1
製造例1で使用したFM0711を110g、N,N-ジメチルアクリルアミド90gを仕込み、製造例1と同様にして、共重合体(7)を得た。共重合体(7)中のモノマー組成は仕込み組成とほぼ一致していた(重量平均分子量5.6万)。(式(i)で表されるモノマーの含有率:55質量%)
【0050】
製造比較例2
製造例1で使用したFM0711を194g、N,N-ジメチルアクリルアミド6gを仕込み、製造例1と同様にして、共重合体(8)を得た。共重合体(8)中のモノマー組成は仕込み組成とほぼ一致していた(重量平均分子量3.8万)。(式(i)で表されるモノマーの含有率:97質量%)
【0051】
実施例1〜6及び比較例1〜6
第1表に示す組成の油中水型乳化組成物(ファンデーション)を下記方法により製造し、上記評価方法にて評価した。結果を第1表に示す。
(製造法)成分(1)〜(16)の油相成分を混合した。また、別に成分(21)〜(25)の粉体を粉砕機で粉砕・混合し、油相成分に添加、攪拌して粉体を分散させた。成分(17)〜(20)を混合して水相成分とし、粉体を分散させた油相に攪拌しながら水相成分をゆっくりと滴下しながら添加した。さらに10分間ホモミキサーで攪拌して乳化した。次いで脱泡してポリエチレン製容器に充填し、各油中水型乳化化粧料を調製した。
【0052】
【表1】

【0053】
第1表の結果から明らかなように、本発明の(B)共重合体を配合した実施例1〜6の油中水型乳化化粧料(ファンデーション)は、比較例1〜6に比べ、安定性、べたつきのなさ、カバー力、皮溝へのパール顔料の落ち込み度合いの少なさ、パール顔料の発色性において優れ、また、化粧持ちも非常に良いことが実証された。カバー力やパール顔料の発色性が高いということは本実施例のファンデーションは、比較例と比べてより多くの配合粉体を皮丘により付着させ、更にパール顔料の皮丘における配向性を高くさせている事が示唆される。
【0054】
実施例7:クリーム状口紅
(成分) 質量(%)
1.パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリン(注1) 9.0
2.トリイソオクタン酸グリセリル 22.0
3.ベントナイト 1.0
4.アクリルアミド変性シリコーン(製造例3) 1.5
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 38.0
6.1,3−ブチレングリコール 5.0
7.塩化ナトリウム 0.5
8.精製水 10.0
9.着色顔料(平均粒径0.1〜0.3μm) 3.0
10.雲母チタン(平均粒径:8μm) 10.0
(注1)パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリン:レオパールTT(千葉製粉(株))
(製造方法)
A:成分1、成分2の一部、成分3〜5を混合し、溶解する。
B:成分2の残部に、成分9を混合しローラーにて分散する。
C:Bと成分10をAに加え均一に混合する。
D:成分6〜8を混合し加温する。
E:DをCに加え乳化する。
以上のようにして得られた口紅は、化粧持続性に優れたW/O型のクリーム状口紅であり、のび広がりが軽くてべたつきや油っぽさがなく、更にはパール顔料の発色性が高いことがわかった。
【0055】
実施例8:アイライナー
(成分) 質量(%)
1.オクタメチルシクロテトラシロキサン 53.5
2.アクリルアミド変性シリコーン(製造例4) 3.0
3.シリコーン網状樹脂(注2) 15.0
4.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 3.0
5.シリコーン処理黒酸化鉄(平均粒径:0.3μm)(注3) 10.0
6.1,3−ブチレングリコール 5.0
7.硫酸ナトリウム 0.5
8.防腐剤 適量
9.香料 微量
10.精製水 バランス
(注2)シリコーン網状樹脂:[Me3SiO1/2]/[SiO2]比が0.8のシリコーン網状化合物の50%−デカメチルペンタシロキサン溶液:KF−7312J(信越化学工業(株))
(注3)シリコーン処理黒酸化鉄;黒酸化鉄に対し、2%のメチルハイドロジェンポリシロキサンを添加後、加熱処理したもの
(製造方法)
A:成分1〜4を混合し、成分5を加えて均一に混合分散する。
B:成分6〜8及び10を混合する。
C:BをAに徐添して乳化した後、成分9を加えてアイライナーを得た。
以上のようにして得られたアイライナーは、のびが軽くて描きやすく、清涼感があってさっぱりとしてべたつきがない使用感で、温度や経時による変化もなく、使用性も安定性も非常に優れており、耐水性、耐汗性は共に優れ、化粧持ちも非常に良いことがわかった。
【0056】
実施例9:アイシャドウ
(成分) 質量(%)
1.デカメチルシクロペンタシロキサン 15.0
2.ジメチルポリシロキサン(6mm2/s(25℃)) 10.0
3.アクリルアミド変性シリコーン(製造例4) 2.0
4.PEG(10)ラウリルエ−テル 0.5
5.シリコーン処理酸化クロム(平均粒径:2.5μm)(注4) 6.2
6.シリコーン処理群青(平均粒径:0.3〜2.0μm)(注4) 4.0
7.シリコーン処理雲母チタン(平均粒径:8μm)(注4) 6.0
8.塩化ナトリウム 2.0
9.プロピレングリコール 8.0
10.防腐剤 適量
11.香料 微量
12.精製水 バランス
(注4)シリコーン処理;粉体に対して3%のメチルハイドロジェンポリシロキサン添加後、加熱処理したもの
(製造方法)
A:成分1〜4を混合し、成分5〜7を添加して均一に分散する。
B:成分8〜10及び12を均一溶解する。
C:攪拌下、AにBを徐添して乳化し、成分11を添加してアイシャドウを得た。
以上のようにして得られたアイシャドウは、のび広がりが軽くて油っぽさや粉っぽさがなく、みずみずしく、さっぱりとした使用感を与えると共にしっとりとしていて、耐水性や撥水性、耐汗性が良好で持ちも良く、化粧崩れしにくく、温度や経時的に変化がなく安定性にも優れ、更にパールの発色性が高く、使用感、化粧持続性、仕上がり共に優れていることがわかった。
【0057】
実施例10:サンカットクリーム
(成分) 質量(%)
1.デカメチルシクロペンタシロキサン 17.5
2.アクリルシリコーン樹脂/デカメチルシクロペンタシロキサン 12.0
(注5)
3.トリイソオクタン酸グリセリル 5.0
4.パラメトキシケイ皮酸オクチル 6.0
5.架橋型ポリエーテル変性シリコーン(注6) 5.0
6.アクリルアミド変性シリコーン(製造例2) 1.0
7.親油化処理酸化亜鉛(平均粒径:0.1〜0.3μm) 20.0
8.塩化ナトリウム 0.5
9.1,3−ブチレングリコール 2.0
10.防腐剤 適量
11.香料 微量
12.精製水 バランス
(注5)アクリルシリコーン樹脂/デカメチルシクロペンタシロキサン:KP545(信越化学工業(株))
(注6)架橋型ポリエーテル変性シリコーン:KSG210(信越化学工業(株))
(製造方法)
A:成分1の一部に成分2を加えて均一にし、成分7を添加してビーズミルにて分散する。
B:成分1の残部と及び3〜6を混合し、均一に混合する。
C:成分8〜10及び12を混合、溶解する。
D:BにCを加えて乳化し、A及び成分11を添加してサンカットクリームを得た。
以上のようにして得られたサンカットクリームは、べたつきがなく、のび広がりも軽く、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、つやのある仕上がりで化粧持ちも非常に優れており、温度や経時的にも非常に安定であることがわかった。
【0058】
実施例11:サンカット乳液
(成分) 質量(%)
1.デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
2.ジメチルポリシロキサン(6mm2/s(25℃)) 5.0
3.トリイソオクタン酸グリセリル 5.0
4.アクリルアミド変性シリコーン(製造例1) 1.0
5.架橋型ポリエーテル変性シリコーン(注7) 3.0
6.酸化チタン/デカメチルシクロペンタシロキサン分散液(注8) 25.0
7.酸化亜鉛/デカメチルシクロペンタシロキサン分散液(注9) 35.0
8.ジプロピレングリコール 3.0
9.クエン酸ナトリウム 0.5
10.防腐剤 適量
11.香料 微量
12.精製水 バランス
(注7)架橋型ポリエーテル変性シリコーン:KSG−210(信越化学工業(株))
(注8)酸化チタン/デカメチルシクロペンタシロキサン分散液:SPD−T5(信越化学工業(株))酸化チタン平均粒径:0.01〜0.05μm
(注9)酸化亜鉛/デカメチルシクロペンタシロキサン分散液:SPD−Z5(信越化学工業(株))酸化亜鉛平均粒径:0.02μm
(製造方法)
A:成分1〜5を混合し、均一に混合する。
B:成分8〜10及び12を混合、溶解する。
C:AにBを加えて乳化し、成分6、7及び11を加添加してサンカット乳液を得た。
以上のようにして得られたサンカット乳液は、べたつきがなく、のび広がりも軽く、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、つやのある仕上がりで化粧持ちも非常に優れており、温度や経時的にも非常に安定であることがわかった。
【0059】
実施例12:W/O型メイクアップ下地
(成分) 質量(%)
1.架橋型ポリエーテル変性シリコーン(注11) 5.0
2.架橋型ジメチルポリシロキサン(注12) 1.0
3.アクリルアミド変性シリコーン(製造例4) 0.5
4.ジメチルポリシロキサン(6mm2/s(25℃)) 6.0
5.ジメチルポリシロキサン(20mm2/s(25℃)) 2.0
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
7.酸化チタン/シクロペンタシロキサン分散物(注13) 10.0
8.ジプロピレングリコール 5.0
9.クエン酸ナトリウム 0.2
10.メチルセルロ−ス(2%水溶液)(注14) 2.5
11.エタノール 3.0
12.防腐剤 適量
13.香料 微量
14.精製水 バランス
(注11)架橋型ポリエーテル変性シリコーン:KSG−210(信越化学工業(株))
(注12)架橋型ジメチルポリシロキサン:KSG−15(信越化学工業(株))
(注13)酸化チタン/シクロペンタシロキサン分散物:SPD−T5(信越化学工業(株))酸化チタン平均粒径:0.01〜0.05μm
(注14)メチルセルロ−ス:メトローズ65−SH4000(信越化学工業(株))(製造方法)
A:成分1〜7を加熱混合する。
B:成分8〜14を混合溶解し、Aに加えて攪拌乳化する。
以上のようにして得られたメイクアップ下地は、油っぽさ、べたつきがなく、のび広がりも軽く、みずみずしいさっぱりとした使用性を持ち、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、つや感のある仕上がりが得られ、さらに紫外線カット効果のある化粧持ちの良い優れたW/O型メイクアップ下地であることがわかった。
【0060】
実施例13:クリームファンデーション
(成分) 質量(%)
1.架橋型ポリエーテル変性シリコーン 5.0
2.アクリルアミド変性シリコーン(製造例2) 0.5
3.トリオクタン酸グリセリル 4.0
4.ジメチルポリシロキサン(6mm2/s(25℃)) 5.0
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 6.0
6.フェニル変性ハイブリッドシリコーン複合粉体(注15) 2.5
7.顔料 8.0
8.アクリルシリコーン樹脂(注16) 5.0
9.ジプロピレングリコール 5.0
10.クエン酸ナトリウム 0.2
11.防腐剤 適量
12.香料 微量
13.精製水 バランス
(注15)フェニル変性ハイブリッドシリコーン複合粉体:KSP−300(信越化学工業(株))平均粒径:5.0μm
(注16)アクリルシリコーン樹脂:KP−575(信越化学工業(株))
(製造方法)
A:成分1〜6を加熱混合する。
B:成分9〜13を混合溶解し、Aに加えて攪拌乳化する。
C:成分7〜8を混合し、Bに加えて均一にする。
以上のようにして得られたクリームファンデーションは、べたつきがなく、のび広がりも軽く、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、マット感のある仕上がりが得られるクリームファンデーションであることがわかった。
【0061】
実施例14:W/O型UVカットクリーム
(成分) 質量(%)
1.シリコーン処理酸化亜鉛(平均粒径:0.1〜0.3μm) 20.0
2.アクリレート/ジメチルシリコーン共重合体(注17) 12.0
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
4.トリオクタン酸グリセリル 3.0
5.架橋型ポリエーテル変性シリコーン(注18) 7.0
6.ポリエーテル変性シリコーン(注19) 1.0
7.アルキル・ポリエーテル共変性シリコーン(注20) 0.5
8.アクリルアミド変性シリコーン(製造例4) 0.5
9.メトキシ桂皮酸オクチル 6.0
10.クエン酸ナトリウム 0.2
11.ジプロピレングリコール 3.0
12.防腐剤 適量
13.香料 微量
14.精製水 バランス
(注17)アクリレート/ジメチルシリコーン共重合体:KP−545(信越化学工業(株))
(注18)架橋型ポリエーテル変性シリコーン:KSG−210(信越化学工業(株))
(注19)ポリエーテル変性シリコーン:KF−6017(商品名)(信越化学工業(株))
(注20)アルキル・ポリエーテル共変性シリコーン:KF−6026(商品名)(信越化学工業(株))
(製造方法)
A:成分3の一部、及び4〜9を加熱混合する。
B:成分10〜12、14を混合し、Aに加えて攪拌乳化する。
C:成分1、2及び3の残部を混合分散し、Bに成分13を加えて均一にする。
以上のようにして得られたUVカットクリームは、のびが軽くさっぱりとして、べたつきや油感がなく、透明感があり化粧持ちが良く、温度や経時による変化もなく、使用性も安定性も非常に優れているW/O型UVカットクリームであった。
【0062】
実施例15:W/O型UVカット乳液
(成分) 質量(%)
1.ジメチルポリシロキサン(6mm2/s(25℃)) 5.0
2.トリオクタン酸グリセリル 2.0
3.架橋型ポリグリセリン変性シリコーン(注21) 6.0
4.ポリグリセリン変性シリコーン(注22) 0.5
5.アクリルアミド変性シリコーン(製造例1) 0.5
6.酸化チタン/デカメチルシクロペンタシロキサン分散物(注23)30.0
7.酸化亜鉛/デカメチルシクロペンタシロキサン分散物(注24) 30.0
8.ジプロピレングリコール 3.0
9.クエン酸ナトリウム 0.2
10.防腐剤 適量
11.香料 微量
12.精製水 バランス
(注21)架橋型ポリグリセリン変性シリコーン:KSG−710(信越化学工業(株))
(注22)ポリグリセリン変性シリコーン:KF−6104(商品名)(信越化学工業(株))
(注23)酸化チタン/デカメチルシクロペンタシロキサン分散物:SPD−T5(信越化学工業(株))酸化チタン平均粒径:0.01〜0.05μm
(注24)酸化亜鉛/デカメチルシクロペンタシロキサン分散物:SPD−Z5(信越化学工業(株))酸化亜鉛平均粒径:0.02μm
(製造方法)
A:成分1〜5を加熱混合する。
B:成分8〜10、12を混合溶解し、Aに加えて攪拌乳化する。
C:成分6、7、11をBに加えて均一にする。
以上のようにして得られたUVカット乳液は、のびが軽くさっぱりとして、べたつきや油感がなく、透明感があり化粧持ちが良く、温度や経時による変化もなく、使用性も安定性も非常に優れているW/O型UVカット乳液であった。
【0063】
実施例16:クリームアイシャドウ
(成分) 質量(%)
1.アクリレート/ジメチルシリコーン共重合体(注25) 10.0
2.アクリレート/ジメチルシリコーン共重合体(注26) 2.0
3.アクリルアミド変性シリコーン(製造例3) 0.3
4.ポリグリセリン変性シリコーン(注27) 1.5
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
6.有機変性粘土鉱物(注28) 1.2
7.イソオクタン酸セチル 3.0
8.ポリアミド 3.0
9.タルク(平均粒径:13μm) 4.0
10.アクリルシリコーン樹脂(注29)処理顔料(平均粒径:0.5μm)20.0
11.エタノール 5.0
12.精製水 30.0
(注25)アクリレート/ジメチルシリコーン共重合体:KP−545(信越化学工業(株))
(注26)アクリレート/ジメチルシリコーン共重合体:KP−561P(信越化学工業(株))
(注27)ポリグリセリン変性シリコーン:KF−6105(信越化学工業(株))
(注28)有機変性粘土鉱物:ベントン38(NLインダストリー社)
(注29)アクリルシリコーン樹脂:KP−574(信越化学工業(株))
(製造方法)
A:成分1〜10を混合した。
B:成分10〜11を混合した後、Aに加えて均一に混合した。
以上のようにして得られたアイシャドウは、べたつきがなく、のび広がりも軽く、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、つやのある仕上がりが得られ、しっとりとした化粧持ちの良いクリームアイシャドウであることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の油中水型乳化化粧料は、高い乳化安定性、べたつき感がない軽い使用感、粉体付着性などにおいて非常に優れており、さらに化粧持続性においても優れており、化粧料として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)シリコーン油を含有する油性成分 15〜70質量%
(B)下記式(i)で表されるモノマーとSP値が19〜24であるN原子含有ラジカル重合性モノマーを重合してなる共重合体であって、式(i)で表されるモノマーの含有量が60〜96質量%である共重合体 0.1〜20質量%
【化1】

(aは式(i)で表されるモノマーの平均分子量を1000〜10000とする数である)
(C)粉体 0.1〜50質量%
(D)水 5〜70質量%
を含有する油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
前記成分(B)共重合体の重量平均分子量が5000〜200000である請求項1に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
前記成分(B)共重合体を構成するN原子含有ラジカル重合性モノマーにおいて、N原子含有ラジカル重合性モノマーのホモポリマーのTgが90℃以下である請求項1又は2に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
前記成分(B)共重合体を構成するN原子含有ラジカル重合性モノマーがN,N-ジメチルアクリルアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。

【公開番号】特開2008−100940(P2008−100940A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284388(P2006−284388)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】