説明

油含有界面活性剤ゲル

【課題】油及び/又はワックスを含み、増粘剤を使用しなくても安定である化粧品用界面活性剤含有ゲル配合物を提供する。
【解決手段】(a)5〜50 重量%の界面活性剤、(b)5〜50 重量%の油及び/又はワックス、(c)0〜15 重量%の水溶性ポリオールを含むゲル状化粧品製剤であって、成分(a)が製剤全体に基づいて少なくとも 10 重量%のアルコキシル化アルコールのクエン酸エステルを含み、成分(a)及び(b)の合計が製剤全体の 10〜70 重量%であるゲル状化粧品製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、化粧品製剤として使用される界面活性剤含有ゲルに関する。
【背景技術】
【0002】
水性界面活性剤配合物は、通常、油及びワックスのようなケア成分に対して、非常に限られた吸収能しか有しない。界面活性剤配合物の透明性及び熱力学的安定性を維持するには、界面活性剤の重量に基づいて、少量の油又はワックスしか配合できない。例外は、界面活性剤に基づいて 100 重量%超の油を配合できるマイクロエマルションである。しかしながら、マイクロエマルションは粘度が低く、使用する界面活性剤の種類によっては、その安定性が極めて温度に依存する。感触及び身体への化粧品用途のためには高粘度が望ましいので、マイクロエマルションが低粘度であることは、化粧品への応用の余地を著しく制限する。
【0003】
増粘剤は肌及び毛髪上に沈着し得、増粘化製剤はしばしば所望の安定性を有さないので、通常の増粘剤の使用も欠点を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明が解決しようとする課題は、油及び/又はワックスを含み、増粘剤を使用しなくても安定である化粧品用界面活性剤含有ゲル配合物を提供することである。ゲルは、高寸法安定性を有し、外観は透明又はやや不透明である。更に、ゲルは、肌に非常に良好な感触を与える。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
(a)5〜50 重量%の界面活性剤、
(b)5〜50 重量%の油及び/又はワックス、
(c)0〜15 重量%の水溶性ポリオール
を含むゲル状化粧品製剤であって、成分(a)が製剤全体に基づいて少なくとも 10 重量%のアルコキシル化アルコールのクエン酸エステルを含み、成分(a)及び(b)の合計が製剤全体の 10〜70 重量%であるゲル状化粧品製剤に関する。
【0006】
意外にも、基本の界面活性剤としてアルコキシル化アルコールのクエン酸エステルを使用することによって、界面活性剤に基づいて 300 重量%までの油又はワックスを配合できる高粘度ないし超高粘度の界面活性剤配合物を得られることが見出された。この極めて高粘度の配合物が、著しい寸法安定性を示し、外観が透明又はやや不透明のゲルである。本発明のゲル状製剤は、重合体増粘剤を含まない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
成分(a)
本発明のゲル状製剤は、アルコキシル化アルコールのクエン酸エステル以外の界面活性剤も含み得る。ある態様では、本発明の製剤は、成分(a)として、アルコキシル化アルコールのクエン酸エステル以外に、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる共界面活性剤を含む。
【0008】
アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤の典型例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、α-メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、モノ-及びジアルキルスルホスクシネート、モノ-及びジアルキルスルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸及びその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、N-アシルアミノ酸、例えば、アシルラクチレート、アシルタートレート、アシルグルタメート及びアシルアスパルテート、アルキルオリゴグルコシドスルフェート及びタンパク質脂肪酸縮合物(特に、小麦系植物性の生成物)である。
【0009】
カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤の典型例は、第四アンモニウム化合物及びエステルクォート、より好ましくは四級化脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩である。
【0010】
非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤の典型例は、アルキル(アルケニル)オリゴグリコシド、脂肪酸-N-アルキルグルカミド、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、アルコールエトキシレート及びアミンオキシドである。好ましい非イオン性界面活性剤は、特に式(II):
R2O-[G]p (II)
[式中、R2 は 4〜22 個の炭素原子を有するアルキル及び/又はアルケニル基であり、G は 5 又は 6 個の炭素原子を有する糖単位であり、p は 1〜10 の数である。]
に相当するアルキル及び/又はアルケニルオリゴグルコシドである。それらは従来の有機化学の適切な方法によって得ることができる。
【0011】
アルキル及び/又はアルケニルオリゴグリコシドは、5 又は 6 個の炭素原子を有するアルドース又はケトース、好ましくはグルコースから誘導され得る。従って、好ましいアルキル及び/又はアルケニルオリゴグリコシドは、アルキル及び/又はアルケニルオリゴグルコシドである。一般式(II)の添字 p は、オリゴマー度(DP)、即ちモノ-及びオリゴグリコシドの分布を示しており、1〜10 の数である。与えられた化合物中の p は常に整数でなくてはならず、とりわけ 1〜6 の値をとり得るのに対して、あるアルキルオリゴグリコシドの値 p は、一般的に整数でない分析的に決定された計算値である。平均オリゴマー度 p が 1.1〜3.0 である、アルキル及び/又はアルケニルオリゴグリコシドが好ましく使用される。オリゴマー度が 1.7 未満、更に好ましくは 1.2〜1.4 であるアルキル及び/又はアルケニルオリゴグリコシドは、応用の観点から好ましい。
【0012】
アルキル又はアルケニル基 R2 は、4〜11 個、好ましくは 8〜10 個の炭素原子を有する第一級アルコールから誘導され得る。典型例は、ブタノール、カプロンアルコール、カプリルアルコール、カプリンアルコール及びウンデシルアルコール並びにそれらの工業用混合物(例えば、工業用脂肪酸メチルエステルを水素化することによって、又は Roelen のオキソ合成由来のアルデヒドを水素化することによって得られる。)である。工業用 C8〜18 ヤシ油脂肪アルコールの蒸留分離の初留として得られ、不純物として 6 重量%未満の C12 アルコールを含み得る C8〜C10(DP = 1〜3)の鎖長を有するアルキルオリゴグルコシド、及び工業用 C9/11 オキソアルコール(DP = 1〜3)ベースのアルキルオリゴグルコシドが好ましい。加えて、アルキル又はアルケニル基 R2 は、12〜22 個、好ましくは 12〜14 個の炭素原子を有する第一級アルコールからも誘導され得る。典型例は、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、ブラシジルアルコール並びに上記に示したように得られるそれらの工業用混合物である。DP が 1〜3 である水素化 C12/14 ヤシ油脂肪アルコールベースのアルキルオリゴグルコシドが好ましい。
【0013】
アルコールエトキシレートは、その製法から脂肪アルコールエトキシレート又はオキソアルコールエトキシレートとして知られており、好ましくは式(III):
R1O(CH2CH2O)nH (III)
[式中、R1 は 6〜22 個の炭素原子を有する直鎖又は分枝のアルキル及び/又はアルケニル基であり、n は 1〜50 の数である。]
に相当する。典型例は、平均 1〜50 mol、好ましくは 5〜40 mol、より好ましくは 10〜25 mol のエチレンオキシドと、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、べヘニルアルコール、エルシルアルコール及びブラシジルアルコール並びにそれらの工業用混合物(例えば、脂肪及び油ベースの工業用メチルエステル又は Roelen のオキソ合成由来のアルデヒドを高圧水素化することによって、及び不飽和脂肪アルコールの二量化においてモノマー留分として得られる)との付加生成物である。10〜40 mol のエチレンオキシドと、工業用 C12〜18 脂肪アルコール(例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油又は獣脂脂肪アルコール)との付加生成物が好ましい。
【0014】
双性イオン性及び両性界面活性剤
適当な両性又は双性イオン性界面活性剤の例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタイン及びスルホベタインである。
【0015】
適当なアルキルベタインの例は、式(IV):
【化1】

[式中、R3 は 6〜22 個の炭素原子を有するアルキル及び/又はアルケニル基であり、R4 は水素又は 1〜4 個の炭素原子を有するアルキル基であり、R5 は 1〜4 個の炭素原子を有するアルキル基であり、q1 は 1〜6 の数であり、Z はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属又はアンモニウムである。]
に相当する二級、とりわけ三級アミンのカルボキシアルキル化生成物である。典型例は、ヘキシルメチルアミン、ヘキシルジメチルアミン、オクチルジメチルアミン、デシルジメチルアミン、ドデシルメチルアミン、ドデシルジメチルアミン、ドデシルエチルメチルアミン、C12/14 ココアルキルジメチルアミン、ミリスチルジメチルアミン、セチルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、ステアリルエチルメチルアミン、オレイルジメチルアミン、C16/18 獣脂アルキルジメチルアミン及びこれらの工業用混合物のカルボキシメチル化生成物である。
【0016】
また、適当なアルキルベタインの例は、式(V):
【化2】

[式中、R6CO は 6〜22 個の炭素原子及び 0〜3 個の二重結合を有する脂肪族アシル基であり、R7 は水素又は 1〜4 個の炭素原子を有するアルキル基であり、R8 は 1〜4 個の炭素原子を有するアルキル基であり、q2 は 1〜6 の数であり、q3 は 1〜3 の数であり、Z はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属又はアンモニウムである。]
に相当するアミドアミンのカルボキシアルキル化生成物である。典型例は、クロロ酢酸ナトリウムと縮合された、6〜22 個の炭素原子を有する脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸、及びそれらの工業用混合物)と、N,N-ジメチルアミノエチルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジエチルアミノエチルアミン及び N,N-ジエチルアミノプロピルアミンとの反応生成物である。C8/18-ココ脂肪酸-N,N-ジメチルアミノプロピルアミドとクロロ酢酸ナトリウムとの縮合生成物が、好ましく使用される。
【0017】
イミダゾリニウムベタインもまた使用され得る。イミダゾリニウムベタインは、例えば、1 又は 2 mol の脂肪酸と多官能性アミン(例えばアミノエチルエタノールアミン(AEEA)又はジエチレントリアミン)との縮合環化によって得られる既知の化合物である。対応するカルボキシアルキル化生成物は、異なる開鎖ベタインの混合物である。典型例は、上記脂肪酸と AEEA との縮合生成物、好ましくは、続いてクロロ酢酸ナトリウムによりベタイン化されたラウリン酸又は C12/14 ココ脂肪酸ベースイミダゾリンである。
【0018】
本発明における特に好ましい製剤は、アルコキシル化アルコールのクエン酸エステル以外に、成分(a)が、ベタイン、アシル化アミノ酸、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート及びアルキルオリゴグリコシドからなる群から選ばれる共界面活性剤を含む製剤である。
【0019】
アルコキシル化アルコールのクエン酸エステル混合物
アルコキシル化アルコールのクエン酸エステル混合物を、成分(a)の基本界面活性剤として使用する。好ましい成分(a)の基本界面活性剤は、一般式(I):
R1O(CH2CH2O)nH (I)
[式中、R1 は 4〜24 個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、n は 5〜9 の数である。]
に相当するエトキシル化アルコールのクエン酸エステル混合物(ただし、クエン酸エステル混合物中のジエステルに対するモノエステルの重量比は、3:1〜10:1 の範囲である。)である。
【0020】
成分(a)のクエン酸エステル混合物は、アニオン性界面活性剤、即ち、主として、少なくとも 1 個の遊離カルボキシル基を含む化合物である。従って、クエン酸エステル混合物は、酸性エステル又はその中和生成物であり得る。部分エステルが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩及び/又はグルカンモニウム塩の状態で、好ましく存在する。
【0021】
クエン酸エステル混合物は、アルコキシル化アルコール、好ましくは、アルコキシル化 C4〜24 脂肪族アルコールから誘導される。クエン酸エステル混合物は、好ましくはエトキシル化 C4〜24 アルコールから、より好ましくは一般式(II):
R2O(CH2CH2O)nH (II)
[式中、R2 は 4〜24 個の炭素原子を有する直鎖又は分枝のアルキル及び/又はアルケニル基であり、n は 1〜50 の数である。]
に相当するエトキシル化アルコールから誘導される。1〜20 のエトキシル化度 n を有する式(II)の化合物が好ましい。典型例は、平均 1〜20 mol、好ましくは 1〜10 mol、より好ましくは 1〜8 mol のエチレンオキシドと、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、べヘニルアルコール、エルシルアルコール及びブラシジルアルコール並びにそれらの工業用混合物(例えば、脂肪及び油ベースの工業用メチルエステル又は Roelen のオキソ合成由来のアルデヒドを高圧水素化することによって、及び不飽和脂肪アルコールの二量化においてモノマー留分として得られる)との付加生成物である。1〜10 mol のエチレンオキシドと、工業用 C12〜18 脂肪アルコール(例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油又は獣脂脂肪アルコール)との付加生成物が好ましい。特に適当な脂肪アルコール混合物は、65〜75 重量%の C12 アルコール、20〜30 重量%の C14 アルコール、0〜5 重量%の C16 アルコール及び 0〜5 重量%の C18 アルコールを含む。このアルコール混合物は、例えば、Cognis Deutschland GmbH & Co. KG から Dehydol LS(登録商標)として市販されている。その他の特に適当な脂肪アルコール混合物は、45〜60 重量%の C12 アルコール、15〜30 重量%の C14 アルコール、5〜15 重量%の C16 アルコール及び 8〜20 重量%の C18 アルコールを含む。このアルコール混合物は、例えば、Cognis Deutschland GmbH & Co. KG から Dehydol LT(登録商標)として市販されている。
【0022】
成分(b)
本発明の配合物は、成分(b)として、スキンケア及びヘアケア特性を有する油及び/又はワックスを含む。
無極性油及び極性油、又はそれらの混合物を、成分(b)として使用し得る。このような油は、例えば、6〜18 個、好ましくは 8〜10 個の炭素原子を有する脂肪アルコールベースのゲルベアルコール、直鎖 C6〜22 脂肪酸と直鎖又は分枝 C6〜22 脂肪アルコールとのエステル、分枝 C6〜13 カルボン酸と直鎖又は分枝 C6〜22 脂肪アルコールとのエステル、例えばミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネート、及びエルシルエルケートを含む。
【0023】
他の適当な油成分の例は、直鎖 C6〜22 脂肪酸と分枝アルコール(とりわけ 2-エチルヘキサノール)とのエステル、ヒドロキシカルボン酸と直鎖又は分枝 C6〜22 脂肪アルコールとのエステル(とりわけジオクチルマレート)、直鎖及び/又は分枝脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、二量体ジオール又は三量体トリオール)及び/又はゲルベアルコールとのエステル、C6〜10 脂肪酸ベースのトリグリセリド、C6〜18 脂肪酸ベースの液体モノ-/ジ-/トリ-グリセリド混合物、C6〜22 脂肪アルコール及び/又はゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(とりわけ安息香酸)とのエステル、C2〜12 ジカルボン酸と 1〜22 個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルコール又は 2〜10 個の炭素原子及び 2〜6 個のヒドロキシル基を有するポリオールとのエステル、植物油、分枝第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖及び分枝 C6〜22 脂肪アルコールカーボネート(例えばジカプリリルカーボネート(Cetiol(登録商標)CC))、C6〜18 好ましくは C8〜10 脂肪アルコールベースのゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖及び/又は分枝 C6〜22 アルコールとのエステル(例えば Finsolv(登録商標)TN)、各アルキル基に 6〜22 個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の対称又は非対称ジアルキルエーテル(例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE))、エポキシ化脂肪酸エステルのポリオールによる開環生成物、シリコーン油(シクロメチコン、シリコンメチコンなど)、及び/又は脂肪族又はナフテン族炭化水素(例えばスクアラン、スクアレン又はジアルキルシクロヘキサン)、又はシリコーン油、或いは特に好ましい態様では水素化ポリデセンである。
【0024】
しかしながら、固体の脂肪及び/又はワックスも、成分(b)として使用され得る。固体の脂肪及び/又はワックスは、上記の油と共に添加剤中に存在し得る。脂肪の典型例は、グリセリド、即ち、高級脂肪酸の混合グリセロールエステルから実質的になる、固体又は液体の植物性又は動物性生成物である。例えばグリセロールモノオレエート又はグリセロールモノステアレートのような固体モノグリセリド及びジグリセリドを、脂肪については特に挙げることができる。適当なワックスはとりわけ、天然ワックス、例えばカンデリラろう、カルナウバろう、木ろう、アフリカハネガヤろう、コルクろう、グアルマろう、ライスオイルろう、サトウキビろう、オウリカリろう、モンタンろう、蜜ろう、セラックろう、鯨ろう、ラノリン(羊毛ろう)、尾羽脂、セレシン、オゾケライト(地ろう)、ペトロラタム、パラフィンワックス、マイクロワックス;化学修飾ワックス(硬ろう)、例えばモンタンエステルろう、サソールろう、水素化ホホバろう、並びに合成ワックス、例えばポリアルキレンワックス及びポリエチレングリコールワックスである。脂肪以外に適当な他の添加剤は、脂肪様物質、例えばレシチン及びリン脂質である。レシチンは、脂肪酸、グリセロール、リン酸及びコリンからエステル化によって生成するグリセロリン脂質として専門家に知られる。即ち、レシチンはしばしば専門家にホスファチジルコリン(PC)とも称される。天然レシチンの例はケファリンで、これはホスファチジン酸としても知られ、1,2-ジアシル-sn-グリセロール-3-リン酸の誘導体である。一方、リン脂質は一般的に、リン酸とグリセロールのモノエステル及び好ましくはジエステルであると理解され(グリセロホスフェート)、通常脂肪として分類される。スフィンゴシン及びスフィンゴ脂質も、成分(b)として適当であり、同様に、トコフェロール及び精油も適当である。
【0025】
成分(c)
本発明のゲル状製剤は、任意に、配合物全体に基づいて 0〜15 重量%の量で、1〜4 個の炭素原子を有する一価又は多価アルコールを含み得る。好ましい態様では、本発明の製剤は、成分(c)としてグリセロール、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールを含む。このようなアルコールの添加により、製剤の油に対する吸収量が増加する。更に、生じ得る濁りを減少するように、水相の屈折率を、分散された油相の屈折率に適応させ得る。加えて、低温、例えば -5 ℃でのゲルの貯蔵安定性が増す。
【0026】
過酸化水素
好ましい態様では、本発明の製剤は過酸化水素を含む。本発明の寸法安定性ゲルは、毛髪に塗りやすく、寸法安定性が高いために、塗布後、毛髪に密着して残り、即ち液体のように垂れない。
本発明の製剤を、約 70 ℃の温度で単純な撹拌機により撹拌することによって調製する。超高速撹拌は不要である。ワックス成分を配合する場合は、撹拌前にワックス成分の融点を超える温度までワックス成分を加熱しなければならない。
【実施例】
【0027】
以下の表における実施例は、成分を重量%活性成分で示す。表には、活性成分の INCI 名だけでなく、市販品に対応する商品名も記す。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)5〜50 重量%の界面活性剤、
(b)5〜50 重量%の油及び/又はワックス、
(c)0〜15 重量%の水溶性ポリオール
を含むゲル状化粧品製剤であって、成分(a)が製剤全体に基づいて少なくとも 10 重量%のアルコキシル化アルコールのクエン酸エステルを含み、成分(a)及び(b)の合計が製剤全体の 10〜70 重量%であるゲル状化粧品製剤。
【請求項2】
アルコキシル化アルコールのクエン酸エステル以外に、成分(a)が、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる共界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
アルコキシル化アルコールのクエン酸エステル以外に、成分(a)が、ベタイン、アシル化アミノ酸、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート及びアルキルオリゴグリコシドからなる群から選ばれる共界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
一般式(I):
R1O(CH2CH2O)nH (I)
[式中、R1 は 4〜24 個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、n は 5〜9 の数である。]
に相当するエトキシル化アルコールのクエン酸エステル混合物(ただし、クエン酸エステル混合物中のジエステルに対するモノエステルの重量比は、3:1〜10:1 の範囲である。)を、成分(a)として使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製剤。
【請求項5】
成分(c)がグリセロール、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールから選ばれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項6】
製剤が更に過酸化水素を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の製剤。

【公開番号】特開2006−137756(P2006−137756A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325809(P2005−325809)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】