油圧無段変速走行装置の変速制御
【課題】本発明は、HST斜板角を自動制御する油圧無段変速走行装置の変速制御において、急激な駆動負荷の増加を検出して、駆動負荷の増加程度に応じて最適のHST斜板角に変更して変速することで 駆動負荷の急激な増加が生じてもエンジン停止に至らないで出来るだけ走行速度を落とさないで走行できるようにすることを課題とする。
【解決手段】走行スロットル手段90と走行速度検出手段100と制御手段92及び油圧無段変速走行装置1のHST斜板角変更手段113を設け、前記走行スロットル手段90を最大加速に設定した場合に前記走行速度検出手段100で検出する走行速度減少率が大であると、HST斜板角変更目標角度を小さな目標角度に変更してなる油圧無段変速走行装置の変速制御とする。
【解決手段】走行スロットル手段90と走行速度検出手段100と制御手段92及び油圧無段変速走行装置1のHST斜板角変更手段113を設け、前記走行スロットル手段90を最大加速に設定した場合に前記走行速度検出手段100で検出する走行速度減少率が大であると、HST斜板角変更目標角度を小さな目標角度に変更してなる油圧無段変速走行装置の変速制御とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業車における油圧無段変速走行装置の変速制御に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧無段変速走行装置の変速制御として、例えば、特開2003−130177号公報に記載の技術が有る。
この技術は、油圧無段変速装置(HST)に掛かる負荷値を制御回転数と実際の出力回転数の差で検出し、検出した負荷値に応じてHST斜板角を変更制御する。
【0003】
HSTに掛かる負荷が大きい場合には、可動斜板の斜板角に対して油圧モータの回転数の上昇率が少なく、負荷が小さい場合には、可動斜板の斜板角に対して油圧モータの回転数の上昇率が大きくなる。このために、負荷値によって可動斜板の斜板角修正を行って加速や減速時或いは変速段の切換時のショックを軽減しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−130177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の負荷制御では、所定の走行速度に達するまで負荷値をフィードバックしながらHST斜板角を修正していくので、制御に時間がかかり、急激な負荷がかかった場合には、HST斜板角の変更が間に合わず駆動力不足でエンジンが停止することがある。
【0006】
本発明は、HST斜板角を自動制御する油圧無段変速走行装置の変速制御において、急激な駆動負荷の増加を検出して、駆動負荷の増加程度に応じて最適のHST斜板角に変更して変速することで 駆動負荷の急激な増加が生じてもエンジン停止に至らないで出来るだけ走行速度を落とさないで走行できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、走行スロットル手段(90)と走行速度検出手段(100)と制御手段(92)及び油圧無段変速走行装置(1)のHST斜板角変更手段(113)を設け、前記走行スロットル手段(90)を最大加速に設定した場合に前記走行速度検出手段(100)で検出する走行速度減少率が大であると、HST斜板角変更目標角度を小さな目標角度に変更してなる油圧無段変速走行装置の変速制御とする。
【0008】
この構成で、走行スロットル手段90を最大加速にしても増速せずに減速する場合は過負荷状態となっているので、その過負荷の程度を走行速度減少率で判断し、走行速度減少率が大であるとHST斜板角変更目標角度を小さな目標角度にすることで、エンジン停止に至らないようにする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、走行速度を高・低に切換えたことを検出する高・低切換検出手段(105)を設け、高速切換時には低速切換時よりもHST斜板角変更目標角度を小さく設定してなる請求項1に記載の油圧無段変速走行装置の変速制御とする。
【0010】
この構成で、高速切換時は低速切換時よりも駆動トルクが弱いので、HST斜板角変更目標角度を高速切換時に低速切換時よりも小さくして、エンジン停止に至らないようにする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、登坂走行か降坂走行を判断する坂走行判断手段(102)を設け、登坂走行中には平坦地走行時よりもHST斜板角変更目標角度を小さく設定してなる請求項1に記載の油圧無段変速走行装置の変速制御とする。
【0012】
この構成で、登坂走行中には平坦地走行時よりも駆動負荷が大きいので、登坂走行中には平坦地走行時よりもHST斜板角変更目標角度を小さくして、エンジン停止に至らないようにする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によって、走行負荷が大きく走行スロットル手段90をフルスロットルにしても減速する場合にエンジン停止に至らないで出来るだけ速い走行速度に自動的に減速し走行を継続できる。
【0014】
請求項2では高速切換時に前記効果が発揮でき、請求項3では登坂走行中に前記効果は発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】多目的作業車の右側面図である。
【図2】多目的作業車の一部の拡大側面図である。
【図3】ミッションケースの全体側断面図である。
【図4】ミッションケースの一部拡大側断面図である。
【図5】ミッションケースの一部拡大側断面図である。
【図6】ミッションケースの一部拡大側断面図である。
【図7】一部の拡大斜視図である。
【図8】別実施例の多目的作業車の左側面図である。
【図9】制御ブロック図である。
【図10】制御フローチャート図である。
【図11】制御フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
図1は、多目的作業車の全体を示す図面で、機体の前側に操縦席7を設けたキャビン5を構成し、機体の後部にエンジン6を搭載し、底部に前後輪8,9を装着している。
【0017】
キャビン5の内部には、操縦席7の前側中央にステアリングハンドル10を立設し、ステアリングハンドル10の左右側部にPTOクラッチレバー11と変速レバー4を設け、足元にブレーキペダル12とアクセルペダル90を設けている(図2参照)。キャビン5の下側で左右前輪8の中央に作業機の駆動用PTO出力軸13を突設している。
【0018】
次に、前後輪8,9とPTO出力軸13に駆動力を伝動するミッションケース14の内部構造を図3乃至図6で説明する。
ミッションケース14は、図3に示す如く、前ケース15、繋ぎケース16、中間ケース17、後ケース18の4つの中空ケースを連結した構成で、後ケース18に軸支した入力軸19にエンジン6の駆動力が入力し、この入力軸19の回転がインプットケース20内の増速ギア21,22で第一中継軸23へ伝動し、さらに増速ギア24,25で増速され、この増速ギア25に油圧変速装置1の油圧入力軸38をスプライン嵌合している。繋ぎケース16は従来の前ケース15と中間ケース17を連結してミッションケース14を長くするもので、前ケース15と中間ケース17及び後ケース18を従来のミッションケースと共用化することで製作コストを低く出来る。
【0019】
増速ギア21,22と増速ギア24,25を内装するインプットケース20は、高速走行を可能にするためにディーゼルエンジン6の出力回転を増速するために設けるもので、従来のトラクタのミッションケース14内に伝動機構を収納可能にしている。このインプットケース20は図5に示す如く、密封ケースにしてミッションケース14の外部へ通じる給油管からオイルを給油するようにすれば、増速ギア21,22,24,25の修理の際にミッションケース14内のオイルを抜かずにインプットケース20のみを取り外せるので、作業が楽になる。
【0020】
油圧変速装置1の内部では油圧変速により出力を大きく無段階で変速して、PTO駆動軸26と走行駆動軸27の二つの軸へ出力する。油圧モータのHST斜板の傾斜角をトラニオン軸91の回動で行い、走行駆動軸27の回転速度を正逆回転で無段階に変速する。
【0021】
PTO駆動軸26にはPTOギア軸28を連結し、このPTOギア軸28のギア29と第二中継軸30に遊嵌したギア31を噛み合わせ、このギア31をPTO軸32に装着したPTOクラッチ34のギア33に噛み合わせている。PTOクラッチ34はギア33からPTO軸32への回転伝動を断続する。
【0022】
PTO軸32にはPTO延長軸35を連結し、このPTO延長軸35のギア36をPTO出力軸13にスプライン嵌合したクラッチギア37に噛み合わせてPTO出力軸13を駆動している。(図3参照)
PTOクラッチ34の詳細を図6に示しているが、クラッチ入ではクラッチ盤88が繋がってケーシング86が回転して伝動するが、クラッチ切では戻しバネ87の圧でクラッチ盤88が離れてケーシング86をフリーにする。この時にケーシング86の付き回りを防ぐ為に繋ぎケース16のボス部81に当接する突起部を形成した係止リング85をケーシング86の外周に装着している。
【0023】
走行駆動軸27には第三中継軸39を連結し、この第三中継軸39に固着したギア40へギア41,42を噛み合わせて第四中継軸43に伝動する。第四中継軸43にはメインギア軸44を連結している。
【0024】
メインギア軸44には、大ギア45と中ギア46を一体的に固着し、このメインギア軸44の延長上にサブギア軸47を分離して回転可能に軸支している。このサブギア軸47には小ギア48と大ギア74及び走行伝動ギア75を一体的に固着している。従って、大ギア45と中ギア46は同一回転をし、小ギア48と大ギア74及び走行伝動ギア75は後述するクラッチギア77からの回転を受ける。(図6参照)
大ギア45はクラッチ軸49に装着した高速油圧クラッチ51のギア50と噛み合い、中ギア46はクラッチ軸49に装着した低速油圧クラッチ52のギア53と噛み合い、メインギア軸44の回転をクラッチ軸49へ高速或いは低速で伝動する。高速油圧クラッチ51と低速油圧クラッチ52の切換えは高・低変速レバーによって行う。
【0025】
クラッチ軸49の延長上にスプライン軸76をスプライン嵌合し、このスプライン軸76にクラッチギア77をスプライン嵌合して、クラッチ軸49の回転をクラッチギア77に伝動している。クラッチギア77には大ギア78と小ギア79を形成し、大ギア78が前記サブギア軸47の小ギア48に噛み合って増速伝動したり、小ギア79がサブギア軸47の大ギア74に噛み合って減速伝動したり、大ギア78と小ギア79が共に游転して動力切になるようにしている。
【0026】
クラッチ軸49の走行伝動ギア75は、スプライン軸76に遊嵌したベベルギア軸62にスプライン嵌合した走行ギア56に噛み合ってベベルギア軸62を駆動している。ベベルギア軸62のベベルギア63が前輪8の車軸へ装着したベベルギアへ駆動力を伝動するのである。
【0027】
ベベルギア軸62は、高速油圧クラッチ51からクラッチギア77の大ギア78とサブギア軸47の小ギア48への伝動による高速Hか、高速油圧クラッチ51からクラッチギア77の小ギア79とサブギア軸47の大ギア74への伝動による中速Mか、低速油圧クラッチ52からクラッチギア77の大ギア78とサブギア軸47の小ギア48への伝動による低速Lか、低速油圧クラッチ52からクラッチギア77の小ギア79とサブギア軸47の大ギア74への伝動による超低速LLかのどれかで回転することになる。
【0028】
図示を省略するが、四輪操舵スイッチを設け、この四輪操舵スイッチを入れて四輪操舵の状態で高速油圧クラッチ51を入れて低速Lから高速Hにしようとすると警報を発して中速Mに自動的に切換え、同じく、高速Hの状態で四輪操舵スイッチを入れると警報を発して中速Mに自動的に切換えるようにして安全を図っている。
【0029】
また、四輪駆動スイッチを設け、この四輪駆動スイッチを入れて四輪駆動の状態で高速油圧クラッチ51を入れて低速Lから高速Hにしようとすると警報を発して中速Mに自動的に切換え、同じく、高速Hの状態で四輪駆動スイッチを入れると警報を発して中速Mに自動的に切換えるようにして前後輪8,9の摩耗を防ぐ。
【0030】
また、ベベルギア軸62の回転は、走行ギア56からPTO軸32に装着した大小ギア59の小ギア部57へ伝動し、さらに大ギア部58に噛み合う後輪駆動軸61のクラッチギア60で適宜に後輪9へ駆動力を伝動可能にしている。
【0031】
走行ギア56は、ベベルギア軸62に伝動すると共に大小ギア59を介して後輪駆動軸61へ伝動しているので、伝動構成を単純化して前後に長くなるのを防いでいる。
尚、高速油圧クラッチ51と低速油圧クラッチ52はコントローラからの制御信号によりソレノイドを介してどちらかを入に保持するのであるが、ブレーキペダルの踏込みを検出するスイッチを設けて、このスイッチの踏込み信号で高速油圧クラッチ51と低速油圧クラッチ52のソレノイドへの電力を断って両クラッチ51,52をニュートラルにするようにしている。このニュートラルの状態でブレーキを作用することで素早く停止でき、クラッチギア3の切換えがスムースに行える。
【0032】
また、クラッチ軸49を支持する繋ぎケース16のボス部81にはクラッチ軸49の油圧孔に通じる油圧用孔82,83,84を設けて、高速油圧クラッチ51と低速油圧クラッチ52に作動油を送るようにしている。
【0033】
図7は、変速レバー4を示し、この変速レバー4のグリップ110の頭部に設ける増速ボタン111を押すと高速油圧クラッチ51を入動作し、減速ボタン112を押すと低速油圧クラッチ52を入動作する。
【0034】
図8は、エンジン6の前後に第一オイルクーラ115と第二オイルクーラ116を配置した構成で、第一オイルクーラ115の容量より第二オイルクーラ116の容量を大きくする。
【0035】
以下において、本発明の具体的説明をするが、走行スロットル手段90はアクセルペダル90で、走行速度検出手段100は車速センサ100で、制御手段92はコントローラ92で、HST斜板角変更手段113はトラニオンモータ113で、HST斜板角変更目標角度がトラニオン目標値である。
【0036】
図9は、トラニオン軸91の回転を制御する制御ブロック図である。
コントローラ92に入力する信号は、アクセルペダルセンサ93からアクセルペダル90の踏み込み程度、トラニオンセンサ94から油圧変速装置1のトラニオン軸91の回動角度、リニアレバーセンサ95から前後進切換信号、クルーズコントロールスイッチ96から走行速度設定信号、増速ボタン111と減速ボタン112に設ける増減速スイッチ97a,97bから増減速信号、クルーズコントロールメモリスイッチ98からの走行速度記憶信号、ブレーキペダルセンサ99からブレーキペダル12の踏込み信号、高・低切換センサ105から高速油圧クラッチ51と低速油圧クラッチ52の切換信号、車速センサ100から走行速度、走行駆動軸回転センサ101から走行駆動軸27の回転速度、傾斜センサ102から機体の前後傾き、エンジン回転センサ89からエンジン6の回転速度がそれぞれ入力する。
【0037】
コントローラ92から出力する制御信号は、トラニオン軸91を駆動するトラニオンモータへ前進出力103と後進出力104がトラニオンモータ113に出力される。トラニオンモータ113は、電動モータで、乗用車用電動パワーステアリングの電動モータを使用しても良い。
【0038】
図10は、平坦地走行中の油圧変速装置1の制御フローチャートで、アクセルペダル90のベタ踏みを判定(S1)し、エンジン6の回転が2500rpm程度の閾値以下を判定(S2)し、高・低切換センサ105が高速を検出(S3)してエンジン回転数の減少率が大きい(S4)とトラニオン軸91の回動角度を全開の50%(S5)にし、エンジン回転数の減少率が大きくないとトラニオン軸91の回動角度を全開の60%(S6)にしてリターンする。
【0039】
また、高・低切換センサ105が高速を検出(S3)しなくてエンジン回転数の減少率が大きい(S7)とトラニオン軸91の回動角度を全開の60%(S8)にし、エンジン回転数の減少率が大きくないとトラニオン軸91の回動角度を全開の70%(S9)にしてリターンする。
【0040】
図11は、坂道走行中の油圧変速装置1の制御フローチャートで、アクセルペダル90のベタ踏みを判定(S10)し、エンジン6の回転が2500rpm程度の閾値以下を判定(S11)し、高・低切換センサ105が高速を検出(S12)して傾斜センサ102が登坂走行を検出(S13)するとトラニオン軸91の回動角度を全開の50%(S14)にし、傾斜センサ102が降坂走行を検出するとトラニオン軸91の回動角度を全開の60%(S15)にしてリターンする。
【0041】
また、高・低切換センサ105が高速を検出(S3)しなくて傾斜センサ102が登坂走行を検出(S16)するとトラニオン軸91の回動角度を全開の60%(S17)にし、傾斜センサ102が降坂走行を検出するとトラニオン軸91の回動角度を全開の70%(S18)にしてリターンする。
【0042】
なお、トラニオン軸91の回動速度は、アクセルペダルセンサ93の出力をコントローラ92に読み込んで、コントローラ92からトラニオン軸91を駆動するトラニオンモータ113へ制御信号が出力されるが、クルーズコントロールスイッチ96でエンジン6の回転を高速に設定していても、トラニオンモータ113の駆動出力が一定速度となるようにして、増減速速度を安定させる。
【0043】
油圧無段変速走行装置1の油圧モータを高・低切換モータとした場合には、アクセルペダル90を踏み込んで増速する場合は低速から高速に切換り、アクセルペダル90を戻して減速する場合は高速から低速に切換るが、車速センサ100で検出する走行速度が一定車速になると自動的に高・低を切換えるようにしてスムースな変速が行えるようにする。また、走行速度が作業速度の範囲では自動的な高・低切換を行わないことで、ギクシャクした走行にならないようにする。
【0044】
油圧無段変速走行装置1の油圧モータを高・低に切換スイッチを設け、このスイッチを操作した場合には、トラニオン軸91で油圧ポンプを変速して走行車速が変わらないように制御しながら高・低を切換えて変速する。
【0045】
アクセルペダル90による増速時の前進出力103と後進出力104と減速時の前進出力103と後進出力104の信号出力間隔は自動的或いは手動スイッチで異ならせることでスムースな速度変更となる。信号出力間隔のパターンは、一定車速以下では比例関係で変化させ一定車速以上では一定とするが、を複数持ってパターン切換スイッチで適宜に変更可能とする。
【0046】
また、アクセルペダルセンサ93の検出信号の変化が大きい場合はトラニオンモータ113への制御信号の出力間隔を通常よりも小さくして、速度調整を行い易くする。
【符号の説明】
【0047】
1 油圧無段変速走行装置(HST)
90 走行スロットル手段(アクセルペダル)
92 制御手段(コントローラ)
100 走行速度検出手段(車速センサ)
102 坂走行判断手段(傾斜センサ)
113 HST斜板角変更手段(トラニオンモータ)
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業車における油圧無段変速走行装置の変速制御に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧無段変速走行装置の変速制御として、例えば、特開2003−130177号公報に記載の技術が有る。
この技術は、油圧無段変速装置(HST)に掛かる負荷値を制御回転数と実際の出力回転数の差で検出し、検出した負荷値に応じてHST斜板角を変更制御する。
【0003】
HSTに掛かる負荷が大きい場合には、可動斜板の斜板角に対して油圧モータの回転数の上昇率が少なく、負荷が小さい場合には、可動斜板の斜板角に対して油圧モータの回転数の上昇率が大きくなる。このために、負荷値によって可動斜板の斜板角修正を行って加速や減速時或いは変速段の切換時のショックを軽減しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−130177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の負荷制御では、所定の走行速度に達するまで負荷値をフィードバックしながらHST斜板角を修正していくので、制御に時間がかかり、急激な負荷がかかった場合には、HST斜板角の変更が間に合わず駆動力不足でエンジンが停止することがある。
【0006】
本発明は、HST斜板角を自動制御する油圧無段変速走行装置の変速制御において、急激な駆動負荷の増加を検出して、駆動負荷の増加程度に応じて最適のHST斜板角に変更して変速することで 駆動負荷の急激な増加が生じてもエンジン停止に至らないで出来るだけ走行速度を落とさないで走行できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、走行スロットル手段(90)と走行速度検出手段(100)と制御手段(92)及び油圧無段変速走行装置(1)のHST斜板角変更手段(113)を設け、前記走行スロットル手段(90)を最大加速に設定した場合に前記走行速度検出手段(100)で検出する走行速度減少率が大であると、HST斜板角変更目標角度を小さな目標角度に変更してなる油圧無段変速走行装置の変速制御とする。
【0008】
この構成で、走行スロットル手段90を最大加速にしても増速せずに減速する場合は過負荷状態となっているので、その過負荷の程度を走行速度減少率で判断し、走行速度減少率が大であるとHST斜板角変更目標角度を小さな目標角度にすることで、エンジン停止に至らないようにする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、走行速度を高・低に切換えたことを検出する高・低切換検出手段(105)を設け、高速切換時には低速切換時よりもHST斜板角変更目標角度を小さく設定してなる請求項1に記載の油圧無段変速走行装置の変速制御とする。
【0010】
この構成で、高速切換時は低速切換時よりも駆動トルクが弱いので、HST斜板角変更目標角度を高速切換時に低速切換時よりも小さくして、エンジン停止に至らないようにする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、登坂走行か降坂走行を判断する坂走行判断手段(102)を設け、登坂走行中には平坦地走行時よりもHST斜板角変更目標角度を小さく設定してなる請求項1に記載の油圧無段変速走行装置の変速制御とする。
【0012】
この構成で、登坂走行中には平坦地走行時よりも駆動負荷が大きいので、登坂走行中には平坦地走行時よりもHST斜板角変更目標角度を小さくして、エンジン停止に至らないようにする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によって、走行負荷が大きく走行スロットル手段90をフルスロットルにしても減速する場合にエンジン停止に至らないで出来るだけ速い走行速度に自動的に減速し走行を継続できる。
【0014】
請求項2では高速切換時に前記効果が発揮でき、請求項3では登坂走行中に前記効果は発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】多目的作業車の右側面図である。
【図2】多目的作業車の一部の拡大側面図である。
【図3】ミッションケースの全体側断面図である。
【図4】ミッションケースの一部拡大側断面図である。
【図5】ミッションケースの一部拡大側断面図である。
【図6】ミッションケースの一部拡大側断面図である。
【図7】一部の拡大斜視図である。
【図8】別実施例の多目的作業車の左側面図である。
【図9】制御ブロック図である。
【図10】制御フローチャート図である。
【図11】制御フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
図1は、多目的作業車の全体を示す図面で、機体の前側に操縦席7を設けたキャビン5を構成し、機体の後部にエンジン6を搭載し、底部に前後輪8,9を装着している。
【0017】
キャビン5の内部には、操縦席7の前側中央にステアリングハンドル10を立設し、ステアリングハンドル10の左右側部にPTOクラッチレバー11と変速レバー4を設け、足元にブレーキペダル12とアクセルペダル90を設けている(図2参照)。キャビン5の下側で左右前輪8の中央に作業機の駆動用PTO出力軸13を突設している。
【0018】
次に、前後輪8,9とPTO出力軸13に駆動力を伝動するミッションケース14の内部構造を図3乃至図6で説明する。
ミッションケース14は、図3に示す如く、前ケース15、繋ぎケース16、中間ケース17、後ケース18の4つの中空ケースを連結した構成で、後ケース18に軸支した入力軸19にエンジン6の駆動力が入力し、この入力軸19の回転がインプットケース20内の増速ギア21,22で第一中継軸23へ伝動し、さらに増速ギア24,25で増速され、この増速ギア25に油圧変速装置1の油圧入力軸38をスプライン嵌合している。繋ぎケース16は従来の前ケース15と中間ケース17を連結してミッションケース14を長くするもので、前ケース15と中間ケース17及び後ケース18を従来のミッションケースと共用化することで製作コストを低く出来る。
【0019】
増速ギア21,22と増速ギア24,25を内装するインプットケース20は、高速走行を可能にするためにディーゼルエンジン6の出力回転を増速するために設けるもので、従来のトラクタのミッションケース14内に伝動機構を収納可能にしている。このインプットケース20は図5に示す如く、密封ケースにしてミッションケース14の外部へ通じる給油管からオイルを給油するようにすれば、増速ギア21,22,24,25の修理の際にミッションケース14内のオイルを抜かずにインプットケース20のみを取り外せるので、作業が楽になる。
【0020】
油圧変速装置1の内部では油圧変速により出力を大きく無段階で変速して、PTO駆動軸26と走行駆動軸27の二つの軸へ出力する。油圧モータのHST斜板の傾斜角をトラニオン軸91の回動で行い、走行駆動軸27の回転速度を正逆回転で無段階に変速する。
【0021】
PTO駆動軸26にはPTOギア軸28を連結し、このPTOギア軸28のギア29と第二中継軸30に遊嵌したギア31を噛み合わせ、このギア31をPTO軸32に装着したPTOクラッチ34のギア33に噛み合わせている。PTOクラッチ34はギア33からPTO軸32への回転伝動を断続する。
【0022】
PTO軸32にはPTO延長軸35を連結し、このPTO延長軸35のギア36をPTO出力軸13にスプライン嵌合したクラッチギア37に噛み合わせてPTO出力軸13を駆動している。(図3参照)
PTOクラッチ34の詳細を図6に示しているが、クラッチ入ではクラッチ盤88が繋がってケーシング86が回転して伝動するが、クラッチ切では戻しバネ87の圧でクラッチ盤88が離れてケーシング86をフリーにする。この時にケーシング86の付き回りを防ぐ為に繋ぎケース16のボス部81に当接する突起部を形成した係止リング85をケーシング86の外周に装着している。
【0023】
走行駆動軸27には第三中継軸39を連結し、この第三中継軸39に固着したギア40へギア41,42を噛み合わせて第四中継軸43に伝動する。第四中継軸43にはメインギア軸44を連結している。
【0024】
メインギア軸44には、大ギア45と中ギア46を一体的に固着し、このメインギア軸44の延長上にサブギア軸47を分離して回転可能に軸支している。このサブギア軸47には小ギア48と大ギア74及び走行伝動ギア75を一体的に固着している。従って、大ギア45と中ギア46は同一回転をし、小ギア48と大ギア74及び走行伝動ギア75は後述するクラッチギア77からの回転を受ける。(図6参照)
大ギア45はクラッチ軸49に装着した高速油圧クラッチ51のギア50と噛み合い、中ギア46はクラッチ軸49に装着した低速油圧クラッチ52のギア53と噛み合い、メインギア軸44の回転をクラッチ軸49へ高速或いは低速で伝動する。高速油圧クラッチ51と低速油圧クラッチ52の切換えは高・低変速レバーによって行う。
【0025】
クラッチ軸49の延長上にスプライン軸76をスプライン嵌合し、このスプライン軸76にクラッチギア77をスプライン嵌合して、クラッチ軸49の回転をクラッチギア77に伝動している。クラッチギア77には大ギア78と小ギア79を形成し、大ギア78が前記サブギア軸47の小ギア48に噛み合って増速伝動したり、小ギア79がサブギア軸47の大ギア74に噛み合って減速伝動したり、大ギア78と小ギア79が共に游転して動力切になるようにしている。
【0026】
クラッチ軸49の走行伝動ギア75は、スプライン軸76に遊嵌したベベルギア軸62にスプライン嵌合した走行ギア56に噛み合ってベベルギア軸62を駆動している。ベベルギア軸62のベベルギア63が前輪8の車軸へ装着したベベルギアへ駆動力を伝動するのである。
【0027】
ベベルギア軸62は、高速油圧クラッチ51からクラッチギア77の大ギア78とサブギア軸47の小ギア48への伝動による高速Hか、高速油圧クラッチ51からクラッチギア77の小ギア79とサブギア軸47の大ギア74への伝動による中速Mか、低速油圧クラッチ52からクラッチギア77の大ギア78とサブギア軸47の小ギア48への伝動による低速Lか、低速油圧クラッチ52からクラッチギア77の小ギア79とサブギア軸47の大ギア74への伝動による超低速LLかのどれかで回転することになる。
【0028】
図示を省略するが、四輪操舵スイッチを設け、この四輪操舵スイッチを入れて四輪操舵の状態で高速油圧クラッチ51を入れて低速Lから高速Hにしようとすると警報を発して中速Mに自動的に切換え、同じく、高速Hの状態で四輪操舵スイッチを入れると警報を発して中速Mに自動的に切換えるようにして安全を図っている。
【0029】
また、四輪駆動スイッチを設け、この四輪駆動スイッチを入れて四輪駆動の状態で高速油圧クラッチ51を入れて低速Lから高速Hにしようとすると警報を発して中速Mに自動的に切換え、同じく、高速Hの状態で四輪駆動スイッチを入れると警報を発して中速Mに自動的に切換えるようにして前後輪8,9の摩耗を防ぐ。
【0030】
また、ベベルギア軸62の回転は、走行ギア56からPTO軸32に装着した大小ギア59の小ギア部57へ伝動し、さらに大ギア部58に噛み合う後輪駆動軸61のクラッチギア60で適宜に後輪9へ駆動力を伝動可能にしている。
【0031】
走行ギア56は、ベベルギア軸62に伝動すると共に大小ギア59を介して後輪駆動軸61へ伝動しているので、伝動構成を単純化して前後に長くなるのを防いでいる。
尚、高速油圧クラッチ51と低速油圧クラッチ52はコントローラからの制御信号によりソレノイドを介してどちらかを入に保持するのであるが、ブレーキペダルの踏込みを検出するスイッチを設けて、このスイッチの踏込み信号で高速油圧クラッチ51と低速油圧クラッチ52のソレノイドへの電力を断って両クラッチ51,52をニュートラルにするようにしている。このニュートラルの状態でブレーキを作用することで素早く停止でき、クラッチギア3の切換えがスムースに行える。
【0032】
また、クラッチ軸49を支持する繋ぎケース16のボス部81にはクラッチ軸49の油圧孔に通じる油圧用孔82,83,84を設けて、高速油圧クラッチ51と低速油圧クラッチ52に作動油を送るようにしている。
【0033】
図7は、変速レバー4を示し、この変速レバー4のグリップ110の頭部に設ける増速ボタン111を押すと高速油圧クラッチ51を入動作し、減速ボタン112を押すと低速油圧クラッチ52を入動作する。
【0034】
図8は、エンジン6の前後に第一オイルクーラ115と第二オイルクーラ116を配置した構成で、第一オイルクーラ115の容量より第二オイルクーラ116の容量を大きくする。
【0035】
以下において、本発明の具体的説明をするが、走行スロットル手段90はアクセルペダル90で、走行速度検出手段100は車速センサ100で、制御手段92はコントローラ92で、HST斜板角変更手段113はトラニオンモータ113で、HST斜板角変更目標角度がトラニオン目標値である。
【0036】
図9は、トラニオン軸91の回転を制御する制御ブロック図である。
コントローラ92に入力する信号は、アクセルペダルセンサ93からアクセルペダル90の踏み込み程度、トラニオンセンサ94から油圧変速装置1のトラニオン軸91の回動角度、リニアレバーセンサ95から前後進切換信号、クルーズコントロールスイッチ96から走行速度設定信号、増速ボタン111と減速ボタン112に設ける増減速スイッチ97a,97bから増減速信号、クルーズコントロールメモリスイッチ98からの走行速度記憶信号、ブレーキペダルセンサ99からブレーキペダル12の踏込み信号、高・低切換センサ105から高速油圧クラッチ51と低速油圧クラッチ52の切換信号、車速センサ100から走行速度、走行駆動軸回転センサ101から走行駆動軸27の回転速度、傾斜センサ102から機体の前後傾き、エンジン回転センサ89からエンジン6の回転速度がそれぞれ入力する。
【0037】
コントローラ92から出力する制御信号は、トラニオン軸91を駆動するトラニオンモータへ前進出力103と後進出力104がトラニオンモータ113に出力される。トラニオンモータ113は、電動モータで、乗用車用電動パワーステアリングの電動モータを使用しても良い。
【0038】
図10は、平坦地走行中の油圧変速装置1の制御フローチャートで、アクセルペダル90のベタ踏みを判定(S1)し、エンジン6の回転が2500rpm程度の閾値以下を判定(S2)し、高・低切換センサ105が高速を検出(S3)してエンジン回転数の減少率が大きい(S4)とトラニオン軸91の回動角度を全開の50%(S5)にし、エンジン回転数の減少率が大きくないとトラニオン軸91の回動角度を全開の60%(S6)にしてリターンする。
【0039】
また、高・低切換センサ105が高速を検出(S3)しなくてエンジン回転数の減少率が大きい(S7)とトラニオン軸91の回動角度を全開の60%(S8)にし、エンジン回転数の減少率が大きくないとトラニオン軸91の回動角度を全開の70%(S9)にしてリターンする。
【0040】
図11は、坂道走行中の油圧変速装置1の制御フローチャートで、アクセルペダル90のベタ踏みを判定(S10)し、エンジン6の回転が2500rpm程度の閾値以下を判定(S11)し、高・低切換センサ105が高速を検出(S12)して傾斜センサ102が登坂走行を検出(S13)するとトラニオン軸91の回動角度を全開の50%(S14)にし、傾斜センサ102が降坂走行を検出するとトラニオン軸91の回動角度を全開の60%(S15)にしてリターンする。
【0041】
また、高・低切換センサ105が高速を検出(S3)しなくて傾斜センサ102が登坂走行を検出(S16)するとトラニオン軸91の回動角度を全開の60%(S17)にし、傾斜センサ102が降坂走行を検出するとトラニオン軸91の回動角度を全開の70%(S18)にしてリターンする。
【0042】
なお、トラニオン軸91の回動速度は、アクセルペダルセンサ93の出力をコントローラ92に読み込んで、コントローラ92からトラニオン軸91を駆動するトラニオンモータ113へ制御信号が出力されるが、クルーズコントロールスイッチ96でエンジン6の回転を高速に設定していても、トラニオンモータ113の駆動出力が一定速度となるようにして、増減速速度を安定させる。
【0043】
油圧無段変速走行装置1の油圧モータを高・低切換モータとした場合には、アクセルペダル90を踏み込んで増速する場合は低速から高速に切換り、アクセルペダル90を戻して減速する場合は高速から低速に切換るが、車速センサ100で検出する走行速度が一定車速になると自動的に高・低を切換えるようにしてスムースな変速が行えるようにする。また、走行速度が作業速度の範囲では自動的な高・低切換を行わないことで、ギクシャクした走行にならないようにする。
【0044】
油圧無段変速走行装置1の油圧モータを高・低に切換スイッチを設け、このスイッチを操作した場合には、トラニオン軸91で油圧ポンプを変速して走行車速が変わらないように制御しながら高・低を切換えて変速する。
【0045】
アクセルペダル90による増速時の前進出力103と後進出力104と減速時の前進出力103と後進出力104の信号出力間隔は自動的或いは手動スイッチで異ならせることでスムースな速度変更となる。信号出力間隔のパターンは、一定車速以下では比例関係で変化させ一定車速以上では一定とするが、を複数持ってパターン切換スイッチで適宜に変更可能とする。
【0046】
また、アクセルペダルセンサ93の検出信号の変化が大きい場合はトラニオンモータ113への制御信号の出力間隔を通常よりも小さくして、速度調整を行い易くする。
【符号の説明】
【0047】
1 油圧無段変速走行装置(HST)
90 走行スロットル手段(アクセルペダル)
92 制御手段(コントローラ)
100 走行速度検出手段(車速センサ)
102 坂走行判断手段(傾斜センサ)
113 HST斜板角変更手段(トラニオンモータ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行スロットル手段(90)と走行速度検出手段(100)と制御手段(92)及び油圧無段変速走行装置(1)のHST斜板角変更手段(113)を設け、前記走行スロットル手段(90)を最大加速に設定した場合に前記走行速度検出手段(100)で検出する走行速度減少率が大であると、HST斜板角変更目標角度を小さな目標角度に変更してなる油圧無段変速走行装置の変速制御。
【請求項2】
走行速度を高・低に切換えたことを検出する高・低切換検出手段(105)を設け、高速切換時には低速切換時よりもHST斜板角変更目標角度を小さく設定してなる請求項1に記載の油圧無段変速走行装置の変速制御。
【請求項3】
登坂走行か降坂走行を判断する坂走行判断手段(102)を設け、登坂走行中には平坦地走行時よりもHST斜板角変更目標角度を小さく設定してなる請求項1に記載の油圧無段変速走行装置の変速制御。
【請求項1】
走行スロットル手段(90)と走行速度検出手段(100)と制御手段(92)及び油圧無段変速走行装置(1)のHST斜板角変更手段(113)を設け、前記走行スロットル手段(90)を最大加速に設定した場合に前記走行速度検出手段(100)で検出する走行速度減少率が大であると、HST斜板角変更目標角度を小さな目標角度に変更してなる油圧無段変速走行装置の変速制御。
【請求項2】
走行速度を高・低に切換えたことを検出する高・低切換検出手段(105)を設け、高速切換時には低速切換時よりもHST斜板角変更目標角度を小さく設定してなる請求項1に記載の油圧無段変速走行装置の変速制御。
【請求項3】
登坂走行か降坂走行を判断する坂走行判断手段(102)を設け、登坂走行中には平坦地走行時よりもHST斜板角変更目標角度を小さく設定してなる請求項1に記載の油圧無段変速走行装置の変速制御。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−7671(P2012−7671A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143964(P2010−143964)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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