説明

油性スティック状口唇化粧料

【課題】崩れるようなのびの軽い使用感を持つ、付着の良さ、化粧膜の均一性、発色の良さを演出することができる油性スティック状口唇化粧料の提供。
【解決手段】(A)コメヌカロウ、(B)フィッシャートロプシュワックス、(C)キャンデリラワックス、(D)長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体、を含有し、成分(A)と成分(B)が(A):(B)=65:35〜95:5の質量比であり、成分(D)を1〜10質量%含有することを特徴とする油性スティック状口唇化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コメヌカロウを含有するスティック状口唇化粧料に関し、特に、崩れるようなのびの軽い使用感、発色の良さ、付着の良さ、及び化粧膜の均一性を得ることができる口唇化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
口紅やリップグロスに代表される口唇化粧料は、口唇に色彩を付与し、華やかな印象に仕上げるといった化粧効果をもつものである。近年、口唇化粧料には、色彩を付与する以外にも、感触や使用性などの様々な効果が求められており、その構成成分である、ワックス、油剤、及び粉体に関して様々な検討がなされてきた。例えば、コメヌカロウを含有することで少ないワックス量でも保型性を向上させる技術(特許文献1)、また、長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体を含有し特定の硬度範囲にすることにより、化粧持ちのよさとみずみずしいツヤの持続性や潤い感を同時に満足する技術(特許文献2)、さらに分岐脂肪酸とペンタエリスリトールのエステルを含有し特定の硬度範囲にすることにより、高温安定性や離型性のよさと発色のよさとを同時に満足する技術(特許文献3)等が挙げられる。
【0003】
しかしながら、コメヌカロウを含有することで少量のワックスでも保型性を向上させる技術においては、のびの軽さやツヤには優れるものの、十分な塗布量が得られず、一度塗りで発色する化粧膜を得る点で満足のいくものは得られなかった。また、長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体を含有し特定の硬度範囲にすることにより、化粧持ちのよさとみずみずしいツヤの持続性や潤い感を同時に満足する技術に関しては、化粧持続効果や潤い感は得られるものの、のびが重くなるため、使用感の点で満足のいくものが得られなかった。さらに、分岐脂肪酸とペンタエリスリトールのエステルを含有し特定の硬度範囲にすることにより、高温安定性や離型性のよさと発色のよさとを同時に満足する技術においては、発色性の向上は得られるものの、化粧膜がべたつき、使用時に違和感を感じる点で満足のいくものは得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−179564号公報
【特許文献2】特開2009−234991号公報
【特許文献3】特開2009−234992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本願は崩れるようなのびの軽い使用感、発色の良さ、付着の良さ、及び化粧膜の均一性を演出することができる油性スティック上口唇化粧料を提供することを課題とするものである。尚、本願での崩れるようなのびの軽い使用感とは、化粧料が口唇上でのび広がる際に、スティック状の化粧料が肌との間に適度な密着感を持ちながら、崩れるように、厚みを持ちながら肌に付着していく感覚のことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のワックス、すなわちコメヌカロウ、フィッシャートロプシュワックス、及びキャンデリラワックスを、長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体と組み合わせ、更にコメヌカロウとフィッシャートロプシュワックスを特定の比率で含有した場合に、スティックとしての保形性を有しながら、崩れるような使用感、付着の良さが得られ、また、スティック形状が使用時に崩れることで、唇への化粧料の塗布量が多くなり、一度塗りで十分な発色と均一な化粧膜が得られる油性口唇化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)
(A)コメヌカロウ
(B)フィッシャートロプシュワックス
(C)キャンデリラワックス
(D)長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体
を含有し、成分(A)と成分(B)が(A):(B)=65:35〜95:5の質量比であり、成分(D)を1〜10質量%含有することを特徴とする油性スティック状口唇化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、崩れるようなのびの軽い使用感、発色の良さ、付着の良さ、及び化粧膜の均一性を演出することができる油性スティック状口唇化粧料に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の油性スティック状口唇化粧料に使用される成分(A)のコメヌカロウはINCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling name)であり、米ぬかから抽出される米ぬか油を精製する際に、脱ろうまたはウィンタリング工程で製出される粗ろうを精製したもので、主な成分は高級脂肪酸と高級アルコールのエステルであるが、この他に不けん化物、少量の遊離脂肪酸および若干の炭化水素などを含む。成分(A)コメヌカロウの融点は、特に制限されないが、70〜83℃のものが好ましい。この範囲であれば、付着の良さ、化粧膜の均一性を演出するものが得られる。市販品としては、例えば、FLORABEADS RBW(融点77℃、池田物産社製)、精製ライスワックスS−100(融点80℃、横関油脂工業社製)、TOWAX−3P3(融点75℃、東亜化成社製)等が挙げられる。成分(A)は、本発明化粧料中に5〜12質量%(以下、単に「%」とする)含有されることが好ましい。この範囲であれば、発色の良さ、付着の良さの点で満足のいくものが得られる。
【0010】
本発明の油性スティック状口唇化粧料に使用される成分(B)のフィッシャートロプシュワックスは、フィッシャートロプシュ法により製造される合成の炭化水素ワックスである。成分(B)の融点は、特に制限されないが、70〜120℃のものが好ましい。この範囲であれば、崩れるようなのびの軽い使用感、付着の良さを演出するものが得られる。市販品としては、例えば、SASOLWAX C80(融点83℃)、SASOLWAX H1(融点97℃、SASOL社製)、CIREBELLE108(融点81℃)、CIREBELLE109L(融点93℃、CIREBELLE社製)等が挙げられる。成分(B)は、本発明化粧料中の含有量が0.4〜4%であることが好ましい。この範囲であれば、発色の良さ、付着の良さの点で満足のいくものが得られる。
【0011】
本発明の油性スティック状口唇化粧料に使用される成分(C)のキャンデリラワックスは、キャンデリラロウを分画して得られるエステル画分であり、ケン化価が70〜100のものである。融点は特に制限されないが、70℃〜85℃のものが好ましい。この範囲であれば、発色の良さを演出する点で満足のいくものが得られる。市販品としては、高融点キャンデリラワックスFR100(融点80℃、日本ナチュラルプロダクツ社製)が挙げられる。成分(C)は、本発明化粧料中の含有量が0.1〜5質量%、更には0.1〜3%であることが好ましい。この範囲であれば、発色の良さ、付着の良さの点で満足のいくものが得られる。
【0012】
なお、本発明化粧料には成分(B)フィッシャートロプシュワックスと成分(C)キャンデリラワックスとして、市販されているこれらの混合品を利用しても良い。この混合品の市販品としては、フィッシャートロプシュワックス(融点79〜84℃)とキャンデリラワックス(融点83℃)を混合した、SMART WAX 7743S(融点78℃〜85℃、日本ナチュラルプロダクツ社製)等が挙げられる。
【0013】
本発明の油性スティック状口唇化粧料において成分(A)コメヌカロウと(B)フィッシャートロプシュワックスは、(A):(B)=65:35〜95:5の質量比で含有される。この範囲であれば、崩れるようなのびの軽い使用感、付着の良さ、化粧膜の均一性を演出する点で満足のいくものが得られる。成分(A)が多すぎると化粧料が固くなり、肌への塗布量が少なくなってしまうため、十分な発色を得ることが難しくなる。一方で成分(B)が多すぎると、化粧料に芯の固さが生じてしまい、上滑りをするように肌に付着するため、崩れるようなのびの軽い使用感が得られなくなってしまう。
【0014】
本発明において、成分(A)、(B)、(C)及び、その他のワックスの総含有量は7.5〜12.5%以下、更には8%を超え、12.5%以下であることが好ましい。この範囲であれば、スティックの形状保持、崩れるようなのびの軽い使用感、化粧膜の均一性の点で満足のいくものが得られる。
【0015】
本発明の油性スティック状口唇化粧料に使用される成分(D)の長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体は、N−ラウロイル−L−グルタミン酸等の長鎖アシルアミノ酸と、コレステロール、フィトステロール等のステロール類とベヘニルアルコール、オクチルドデシルアルコール等の高級アルコール類とのジエステルである。このような長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体の具体例として、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(オクチルドデシル・フィトステリル・ベヘニル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)等が挙げられる。市販品としては、エルデュウPS−203、PS−306(以上、味の素社製)等が挙げられる。成分(D)の含有量は、1〜10%が好ましく、5〜10%が更に好ましい。この範囲であれば、ベタツキがなく、崩れるようなのびの軽い使用感、発色の良さの点で満足のいくものが得られる。
【0016】
本発明の口唇化粧料は、上記の成分(A)〜(D)の他に、通常化粧料に使用される成分、アルカリ剤、炭化水素、エステル、植物油、抱水性油剤、シリコーン油、シリコーン誘導体等の油性成分、無機顔料、有機顔料及び色素等の粉体およびそれらのシリコーン処理物やフッ素化合物処理物、界面活性剤、繊維、多価アルコール、水溶性高分子、水溶性皮膜形成性樹脂、保湿剤等の水性成分、糖類、紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0017】
油性成分としては、成分(A)〜(D)以外の成分であり、化粧料に一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。
成分(A)〜(C)以外のワックスとしては、通常化粧料に使用されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、ポリイソブチレン、セレシンワックス、オゾケライトワックス、モクロウ、ミツロウ、ゲイロウ、カルナウバワックス等が挙げられる。
その他の油性成分としては、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリブテン、等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、トリグリセライド、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性オルガノポリシロキサン、ベヘニル変性オルガノポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0018】
粉体成分としては、化粧料に一般に使用される粉体として用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等や、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、セルロース等の維等が挙げられる。これらはフッ素化合物、シリコ−ン油、粉体、油剤、ゲル化剤、エマルションポリマー、界面活性剤等で表面処理されていてもよい。これらの粉体は、1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。
【0019】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ水等の植物抽出液が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2−ペンタジオール等が挙げられる。
【0020】
本発明の口唇化粧料は、口紅、リップグロス、口紅ベースコート、口紅オーバーコート、リップクリーム、リップトリートメント等が挙げられるが、特に口唇に発色を与える目的で使用される、口紅、リップグロスに好適である。
本発明の油性スティック状口唇化粧料は、ワックスや半固形状の油剤や、油溶性化合物である油性成分を連続相とする棒状に固めたスティック形状のものであり、油性、油中水型であるが、油性成分を連続相した、水の含有量が1%以下である実質的に水を含まない油性であることが好ましい。
【実施例】
【0021】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
実施例1〜9及び比較例1〜6:口紅
表1に示す処方及び下記に示す製造方法により、口紅を製造した。得られた各口紅について、以下の評価方法により、(a)崩れるようなのびの軽い使用感、(b)発色の良さ、(c)付着の良さ、(d)化粧膜の均一性について評価した。この結果も併せて表1に示す。
【0022】
【表1】

※1:TOWAX−3P3(東亜化成社製)
※2:CIREBELLE108(CIREBELLE社製)
※3:高融点キャンデリラワックスFR100(日本ナチュラルプロダクツ社製)
※4:PERFORMALENE500(融点83〜92℃、ニューフェーズテクノロジー社製)
※5:エルデュウPS−306(味の素社製)
※6:AEROSIL300(日本アエロジル社製)
※7:FLAMENCO SPARKLE GOLD220J(BASF社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(9)を100℃〜110℃にて加熱溶解する。
B:Aに成分(10)〜(16)を加えて、均一に混合する。
C:Bを脱泡後、100℃に加熱した後スティック状口紅容器に直接流し込み、冷却後、口紅を得た。
【0023】
(評価方法)
(a)〜(d)の項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。各試料を口唇に1度塗布し、パネル各人が下記絶対評価にて6段階に評価し、評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
尚、評価項目(a)は塗布時の感触について、また、評価項目(b)〜(d)は、塗布後の化粧膜について評価した。評価項目(b)は一度塗布の化粧膜で、十分な発色が得られているかを評価した。

<評価項目>
(a)崩れるようなのびの軽い使用感
(b)発色の良さ
(c)付着の良さ
(d)化粧膜の均一性
<6段階絶対評価>
(評点):(評価)
5:非常に良い
4:良い
3:やや良い
2:普通
1:やや悪い
0:悪い
<4段階判定基準>
◎:4点以上 :非常に良好
○:3点以上で4点未満 :良好
△:1.5点以上で3点未満 :やや不良
×:1.5点未満 :不良
【0024】
表1から明らかなごとく、本発明の実施例1〜9は、比較例1〜6に比べて、崩れるようなのびの軽い使用感、発色の良さ、付着の良さ、化粧膜の均一性のすべての点で満足のいくものであった。
一方、成分(A)のコメヌカロウを含有しない比較例1では、口紅が柔らかくなり、崩れるようなのびの軽さが得られず、均一な膜を得られず、付着の良さおよび化粧膜の均一性の点で満足のいくものが得られなかった。また、成分(B)のフィッシャートロプシュワックスを含有しない比較例2では、口紅が若干固くなるため、崩れるようなのびの軽い使用感の点で満足のいくものが得られなかった。また、成分(C)のキャンデリラワックスを含有しない比較例3では、口紅自体は柔らかいものの、唇に塗布する際に上滑りしてしまい、化粧膜がしっかり形成されずに、一度塗りで発色する化粧膜の点で満足のいくものが得られなかった。また、成分(D)の長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体を含有しない比較例4では、化粧膜のべたつきが強く、崩れるようなのびの軽い使用感および発色の良さの点で満足のいくものが得られなかった。また、成分(A)の含有比が高すぎる比較例5では、口紅が非常に固くなり、発色の良さの点で満足のいくものが得られなかった。さらに、成分(B)の含有比が高すぎる比較例6では、口紅が固くなり、崩れるようなのびの軽い使用感の点で満足のいくものが得られなかった。
【0025】
実施例10:リップグロス
(成分) (%)
1.コメヌカロウ※1 6
2.フィッシャートロプシュワックス※2 2
3.キャンデリラワックス※3 0.5
4.2−エチルヘキサン酸セチル 10
5.ポリブテン 20
6.重質流動イソパラフィン※8 5
7.ラウロイルグルタミン酸ジ
(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)※5 5
8.メチルフェニルポリシロキサン 5
9.酢酸液状ラノリン 10
10.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
11.リンゴ酸ジイソステアリル 10
12.シリル化処理無水ケイ酸※9 1
13.赤色202号 0.05
14.ホウケイ酸(Ca/Al)※10 5
15.ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・
エポキシ積層末※11 1
16.雲母チタン※7 5
17.ローズマリーエキス 0.1
18.香料 0.1
※8:パールリーム24(日油社製)
※9:AEROSILR972(日本アエロジル社製)
※10:メタシャイン1080RC−Y(日本板硝子社製)
※11:アルミフレークシルバー0.15mm(角八魚燐箔社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(11)を100〜110℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分(12)〜(18)を加え、均一に混合分散する。
C:Bを脱泡後、100℃に加熱した後スティック状の口紅容器に直接流し込み、冷却後、リップグロスを得た。
本発明の実施例10のリップグロスは、崩れるようなのびの軽い使用感、発色の良さ、付着の良さ、化粧膜の均一性のすべての点で満足のいくものであった。
【0026】
実施例11:リップクリーム
(成分) (%)
1.コメヌカロウ※1 5
2.フィッシャートロプシュワックス※2 2
3.キャンデリラワックス※3 2
4.デカイソステアリン酸ポリグリセリル 1
5.ラウロイルグルタミン酸ジ
(フィトステリル/オクチルドデシル)※14 5
6.ワセリン 6
7.α−オレフィンオリゴマー※15 5
8.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
9.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
10.酸化亜鉛 1
11.酸化チタン 0.1
12.黄色4号 0.1
13.ヒアルロン酸 0.1
※14:エルデュウPS−203(味の素社製)
※15:SILKFLO364NF(LIPO CHEMICALS INC社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(9)を100〜110℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分(10)〜(13)を加え、均一に混合分散する。
C:Bを脱泡後、100℃に加熱した後スティック状口紅容器に流し込み、冷却後、リップクリームを得た。
本発明の実施例11のリップクリームは、崩れるようなのびの軽い使用感、付着の良さ、化粧膜の均一性のすべての点で満足のいくものであった。
【0027】
実施例12:W/O型リップクリーム
(成分) (%)
1.コメヌカロウ※1 5
2.フィッシャートロプシュワックス※2 2
3.キャンデリラワックス※3 2
4.デカイソステアリン酸ポリグリセリル 1
5.ラウロイルグルタミン酸ジ
(フィトステリル/オクチルドデシル)※14 5
6.ワセリン 6
7.ジメチルポリシロキサン 5
8.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
9.PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 3
10.精製水 10
11.1,3−ブチレングリコール 5
12.赤色226号 0.01
13.酢酸トコフェロール 0.1
(製造方法)
A:成分(1)〜(9)を100〜110℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分(10)〜(13)を加え、均一に混合分散する。
C:Bを脱泡後、100℃に加熱した後スティック状口紅容器に流し込み、冷却後、リップクリームを得た。
本発明の実施例12のW/O型リップクリームは、崩れるようなのびの軽い使用感、付着の良さ、化粧膜の均一性のすべての点で満足のいくものであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D);
(A)コメヌカロウ;
(B)フィッシャートロプシュワックス;
(C)キャンデリラワックス;
(D)長鎖アシルアミノ酸ステロール誘導体;
を含有するものであり、成分(A)と成分(B)の質量比が(A):(B)=65:35〜95:5であり、成分(D)を1〜10質量%含有することを特徴とする油性スティック状口唇化粧料。
【請求項2】
化粧料中の総ワックス含有量が7.5〜12.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の油性スティック状口唇化粧料。
【請求項3】
前記成分(D)が、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(オクチルドデシル・フィトステリル・ベヘニル)及び/またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)であることを特徴とする請求項1または2に記載の油性スティック状口唇化粧料。


【公開番号】特開2012−176922(P2012−176922A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41818(P2011−41818)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】