説明

油性皮膚用組成物

【課題】補酵素Qを均一に溶解してなり、皮膚に対する安全性や経時的な劣化・変臭等がなく安定性に懸念が無く、皮膚に適用する際の使用感が良好で、肌のハリ・シワ・たるみなどの改善に効果の高い油性皮膚用組成物を提供する。
【解決手段】次の一般式(1)で表される補酵素Qと、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸と分岐多価アルコールとをエステル化して得られる中鎖脂肪酸エステルを含有し、水を配合しない油性皮膚用組成物。
【化1】


(一般式(1)中、nは1〜12の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補酵素Qと、中鎖脂肪酸エステルを含有し、水を配合せずに液状、スティック、パック、ジェル等の形態で使用される油性皮膚用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
補酵素Qは、細菌から哺乳動物まで広く生体に分布する必須成分であり、生体内の細胞中におけるミトコンドリアの電子伝達系構成成分として知られている。補酵素Qは、ミトコンドリア内において酸化と還元を繰り返すことで、電子伝達系における伝達成分としての機能を担っているほか、還元型補酵素Qは抗酸化作用をもつことが知られている。ヒトでは、補酵素Qの側鎖が繰り返し構造を10個持つ、補酵素Q10が主成分であり、生体内においては通常40〜98%程度が還元型で存在している。補酵素Qの生理的作用としては、ミトコンドリア賦活作用によるエネルギー生産の活性化、心機能の活性化、細胞膜の安定化効果、抗酸化作用による細胞の保護効果、肌質の改善効果などが挙げられている。
【0003】
補酵素Qは、心臓疾患用医薬、サプリメントとして経口的に用いられる以外に、クリーム、乳液等の化粧料、育毛剤等の皮膚用組成物等としても用いられている。
これらの用途に補酵素Qを使用するには、補酵素Qを均一な溶液又は分散液とすることが必要であり、アルコール等の溶媒、界面活性剤或いは油脂による溶解、懸濁等種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【特許文献1】特開昭58−180410号公報
【特許文献2】特開2001−48773号公報
【特許文献3】特表平9−510723号公報
【特許文献4】特開2002−332217号公報
【特許文献5】特開2003−238333号公報
【特許文献6】特開2005−104928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら従来の方法は、均一溶解または分散状態を保つことが難しく、経時的に補酵素Qが析出してしまうという問題点があった。さらに、これら文献に示された化粧品は水を含有することが多く、そのため水中に溶存する酸素により、補酵素Qの変質が懸念され、抗酸化剤などが添加されることが多かった。また水を含有するために、各種防腐剤や多価アルコール等を添加して抗菌性を持たせることが必須であった。
これらの抗酸化剤は経時的に着色し商品価値を低下させることがあり、またパラベンに代表される各種防腐剤は肌への悪影響が懸念される化学種であることから、肌に塗付する化粧品などへの配合は可能な限り避けるか、必要最低限の使用に留めることが好ましい。さらに多価アルコールは防腐性を発揮する量を添加すると、臭いが強くなり、商品価値を低下させてしまうことがあった。
また、これら水を含む化粧品を肌に塗付した場合、水が肌に先に馴染んでしまうことにより、油溶性成分の補酵素Qが肌に浸透するのに時間がかかり、その効果が充分に発揮できていなかったという問題点もあった。
【0005】
一方で化粧油という剤型をとっているものも一部提案されているが、これらの化粧油は、経時的に臭いが発生することや油の感触が重く肌へのなじみが悪いことなどの問題点を有し、使用時の心地よさと安定性を満足するものでは無かった。
【0006】
したがって、本発明はこれら従来技術の問題点を解消して、補酵素Qを均一に溶解してなり、皮膚に対する安全性や経時的な劣化・変臭等がなく安定性に懸念が無く、皮膚に適用する際の使用感が良好で、肌のハリ・シワ・たるみなどの改善に効果の高い油性皮膚用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は鋭意検討した結果、補酵素Qに炭素数6〜12の中鎖脂肪酸と分岐多価アルコールとをエステル化して得られる中鎖脂肪酸エステルを配合し、水を配合しないことにより、調製時に補酵素Qの結晶化や凝集を生じず、皮膚に適用した際に安全性への懸念や経時的な劣化・変臭が無く、使用感が良好で肌なじみが良く、肌のハリ・シワ・たるみに効果を発揮することを見出し、本発明を完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、次の一般式(1)で表される補酵素Qと、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸と分岐多価アルコールとをエステル化して得られる中鎖脂肪酸エステルを含有し、水を配合しない油性皮膚用組成物である。
【0009】
【化1】


(一般式(1)中、nは1〜12の整数を表す。)
【0010】
本発明の第2の発明は、一般式(1)で表される補酵素Qがn=10のものである第1の発明に記載の油性皮膚用組成物である。
【0011】
本発明の第3の発明は、分岐多価アルコールがネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、及びイソプレングリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のものある第1の発明又は第2の発明に記載の油性皮膚用組成物である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の油性皮膚用組成物によれば、調製時に補酵素Qの結晶化や凝集を生じず、皮膚に適用した際に安全性への懸念や経時的な劣化・変臭が無く、使用感が良好で肌なじみが良く、肌のハリ・シワ・たるみに効果を発揮する油性皮膚用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の油性皮膚用組成物は、次の一般式(1)で表される補酵素Qと、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸と分岐多価アルコールとをエステル化して得られる中鎖脂肪酸エステルを含有し、水を配合しない油性皮膚用組成物である。本発明において、中鎖脂肪酸エステルとは、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸と分岐多価アルコールとをエステル化して得られるエステル化合物のことを意味する。
【0014】
【化2】


(一般式(1)中、nは1〜12の整数を表す。)
【0015】
本発明における補酵素Q(コエンザイムQ、CoQと呼ばれることもある)は、上記一般式(1)で表される補酵素Qが用いられる。補酵素Qは、上記一般式(1)においてn=10の補酵素Q10(コエンザイムQ10、CoQ10、ユビデカレノンと呼ばれることもある)であることが特に好ましい。
【0016】
本発明で用いる中鎖脂肪酸エステルは、中鎖脂肪酸と分岐多価アルコールとをエステル化することにより得られる。中鎖脂肪酸エステルは、補酵素Qを均一に溶解でき、皮膚に塗付したときの感触が軽いことから常温で液体であることが好ましい。
【0017】
中鎖脂肪酸エステルを構成する中鎖脂肪酸としては、炭素数6〜12の脂肪酸を使用することが好ましい。炭素数が5以下の脂肪酸を使用した場合には、加水分解により生じる脂肪酸に刺激性がある。一方、炭素数が13以上の脂肪酸を使用した場合には、補酵素Qの溶解性が悪くなる。
【0018】
中鎖脂肪酸は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の混合物のいずれをも使用することができるが、酸化等に対する安定性が向上することから、飽和脂肪酸を使用することが好ましい。
また、中鎖脂肪酸は、直鎖状脂肪酸、分岐状脂肪酸、直鎖状脂肪酸と分岐状脂肪酸の混合物のいずれをも使用することができる。
中鎖脂肪酸の具体例としては、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、2−エチルヘキサン酸等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0019】
中鎖脂肪酸エステルを構成するアルコールとしては、分岐多価アルコールを用いることが好ましい。本発明において、分岐多価アルコールとは、分岐鎖を有する多価アルコールのことを意味する。分岐多価アルコールを用いた中鎖脂肪酸エステルは、熱安定性が高く、酸化安定性が向上し、保存中における劣化・変臭が無くなるため、好ましい。また、分岐多価アルコールを用いた中鎖脂肪酸エステルは、肌に塗付したとき、非常に肌なじみの良い感触が得られるため、好ましい。
分岐多価アルコールの具体例としては、例えば、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、イソペンチルグリコール等が挙げられる。これらの分岐多価アルコールは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合したものを用いてもよい。
中でも、ネオペンチルグリコールを用いることが特に好ましい。ネオペンチルグリコールを用いた中鎖脂肪酸エステルは、補酵素Qの溶解性が特に良好で、肌へ塗付した時のなじみが良好なものになる。
【0020】
したがって、これら中鎖脂肪酸エステルを用いて調製した本発明の油性皮膚用組成物は、肌へ塗付したときの感触が良好になり、高温安定性に優れたものになる。
また、これら中鎖脂肪酸エステルを用いた本発明の油性皮膚用組成物は、補酵素Qの溶解性にも優れていることから、補酵素Qを均一でかつ持続的に肌に浸透させることができ、その結果として肌での補酵素Qの効果が最大限に発揮され、肌質の改善効果につながるものと考えられる。
【0021】
本発明の油性皮膚用組成物における補酵素Qと中鎖脂肪酸エステルとの配合割合は、質量比で補酵素Q:中鎖脂肪酸エステルが1:4〜1:99999とすることが好ましく、1:9〜1:9999とすることがより好ましく、1:99〜1:9999とすることが最も好ましい。
また、本発明の油性皮膚用組成物中の補酵素Qの配合量は、組成物全体を基準として0.001〜10質量%とすることが好ましく、0.001〜5質量%とすることがより好ましく、0.01〜1質量%とすることが最も好ましい。油性皮膚用組成物中の補酵素Qの配合量が上記範囲にあると、肌質改善効果が良好なものとなる。
【0022】
本発明に用いる中鎖脂肪酸エステルは、中鎖脂肪酸と分枝多価アルコールを原料として、酸触媒、アルカリ触媒、金属触媒などを添加し、加温して反応をさせ脱水反応により製造することができる。酸価測定により、フリーの中鎖脂肪酸がほとんど残っていないことを確認し、反応の終点とする。この後、触媒を吸着・ろ過などで除いて中鎖脂肪酸エステルを得る。
【0023】
本発明の油性皮膚用組成物は、水を配合しないことが好ましい。本発明で言う水を配合しないという意味は水を単独成分として配合しないということである。水を配合しない場合には、補酵素Qの安定性や補酵素Qの肌への浸透性が良好なものとなり、また、防腐剤や抗酸化剤の添加が必要なくなる。
また、界面活性剤、粉体原料、その他原料にわずかに含まれる水分については排除する必要は無いが、原料等由来の水分の総量は油性皮膚用組成物全量に対して5質量%以下にすることが好ましい。原料由来の水の存在により、防腐剤や抗酸化剤を添加したとしても、その添加量は微量で済むため安全性に懸念がでることは少ない。
【0024】
また、本発明の油性皮膚用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の油脂類、例えばオリーブ油、ホホバ油、ひまわり油等の植物油、パラフィン等の鉱油等、ジメチコン、シクロメチコン等のシリコーン油を配合することもできる。
【0025】
本発明の油性皮膚用組成物には、上記の成分以外にその用途に応じて、化粧品、医薬部外品、医薬品に配合される薬効成分、皮膚用組成物に通常配合される各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
【0026】
これらの添加剤の例としては、アルコール、多価アルコール、酸化防止剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、界面活性剤、香料、防腐剤、抗菌剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、清涼剤、保存剤、発泡性抑制剤、着色剤、着色作用を持つ顔料、乳化剤、柔軟剤、増湿剤及び/又は保湿剤、あるいは、気泡安定剤、電解質、有機溶剤またはシリコン誘導体などの通常の化粧品成分、あるいはホルモン類、ビタミン類、アミノ酸類、収れん剤および胎盤抽出物、エラスチン、コラーゲン、ムコ多糖、アロエ抽出物、ローヤルゼリー、バーチ、ニンジンエキス、カモミラエキス、甘草エキス、サルビアエキス、アルテアエキス、セイヨウノコギリソウエキスなどの生薬成分をはじめとする動植物抽出成分等を挙げることができる。
【0027】
本発明の油性皮膚用組成物は、液状はもちろんのこと、ワックス類を配合しスティック状に成型したもの、不織布等に含浸させてパック剤にしたもの、その他、ジェル状等の形態にも適用でき、皮膚外用剤や化粧品として使用することができる。これらの液状、スティック、パック、ジェル等の形態の油性皮膚用組成物は、それぞれの形態についての常法の製造方法により調製することができる。
【実施例】
【0028】
つぎに、実施例により本発明をさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
実施例1〜3、比較例1、2の油性皮膚用組成物
(溶解性試験)
補酵素Q10を各種油剤に5質量%溶解し、25℃及び5℃で1ヶ月保存したときの溶解性を目視にて確認した。その結果を表1に示す。
(保存安定性試験)
補酵素Q10を各種油剤に5質量%溶解し、50℃で1ヶ月及び80℃で1週間保存したときの臭気について、5℃で1ヶ月保存したものと比較して、臭気の差を官能試験にて確認した。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

※1 日清オイリオグループ(株)製 エステモールN−01
※2 日清オイリオグループ(株)製 サラコス525
※3 日清オイリオグループ(株)製 サラコス5408
【0030】
表1によれば、油剤として本発明の構成成分の中鎖脂肪酸エステル(中鎖脂肪酸と分岐多価アルコールとのエステル)である、ジデカン酸ネオペンチルグリコール(日清オイリオグループ社製、商品名「エステモールN−01」)を用いた実施例1、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(日清オイリオグループ社製、商品名「サラコス525」)を用いた実施例2及びテトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスチチル(日清オイリオグループ社製、商品名「サラコス5408」)を用いた実施例3は、25℃での補酵素Q10の溶解性がきわめて良好であり、また、5℃という低温でも良好な溶解性を示し、結晶として析出することがなかった。また、保存安定性試験においても、高温保存下で品質劣化がほとんど認められなかった。
これに対して、油剤として本発明の構成成分である中鎖脂肪酸エステル(中鎖脂肪酸と分岐多価アルコールとのエステル)に代えて、サフラワー油を用いた比較例1、ホホバ油を用いた比較例2は、補酵素Q10の溶解性は劣り、特に低温保存では結晶として析出した。また、保存安定性試験においても、高温保存下では油脂自体の劣化による不快な臭い(酸敗臭)が発生した。
【0031】
実施例4〜6、比較例3〜6の油性皮膚用組成物
(油性皮膚外用組成物の調製)
表2、3に示す組成にて、常温で各成分を、プロペラを装着したスリーワンモーター(スリーワンモーター、ヤマト科学製)で混合撹拌して実施例4〜6、比較例3〜6の油性皮膚用組成物を調製した。得られた油性皮膚用組成物について、安定性テスト「臭い」「着色」、パネラーによる使用テスト「使用感」「肌質の改善(肌のハリ、シワ、たるみの改善)」を行った。結果を表2、3に示す。
【0032】
(安定性テスト)
表2、3に示す油性皮膚用組成物を5℃、50℃に1ヶ月保存し、臭い・着色について以下の基準にて評価した。
「臭い」50℃保存品の臭いを評価
◎:5℃保存品と比較して差が無い。
○:5℃保存品と比較してわずかに臭気が感じられる。
△:5℃保存品と比較して明らかに臭気が感じられる。
×:5℃保存品と比較して著しく臭気が感じられる。
「着色」50℃保存品の着色を評価
◎:5℃保存品と比較して差が無い。
○:5℃保存品と比較してわずかな着色を認める。
△:5℃保存品と比較して明らかな着色を認める。
×:5℃保存品と比較して著しく着色している。
【0033】
(使用テスト)
パネラー10名に表2、3に示す油性皮膚用組成物を10日間就寝前に肌に塗付してもらい、使用感、肌質の改善効果についてアンケート形式で返答をもらった。評価は以下の基準にて行った。
「使用感」
◎:10名中8名以上が、肌なじみが良好で、使用感が良いと答えた。
○:10名中6〜7名が、肌なじみが良好で、使用感が良いと答えた。
△:10名中3〜5名が、肌なじみが良好で、使用感が良いと答えた。
×:10名中2名以下が、肌なじみが良好で、使用感が良いと答えた。
「肌質の改善」
◎:10名中8名以上が、ハリ・シワ・たるみに改善が見られたと答えた。
○:10名中6〜7名が、ハリ・シワ・たるみに改善が見られたと答えた。
△:10名中3〜5名が、ハリ・シワ・たるみに改善が見られたと答えた。
×:10名中2名以下が、ハリ・シワ・たるみに改善が見られたと答えた。
【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
表2に示すように、本発明の構成成分である中鎖脂肪酸エステル(中鎖脂肪酸と分岐多価アルコールとのエステル)を用いた実施例4〜6の油性皮膚用組成物は安定性テスト、使用テストともに高いスコアが得られ、防腐剤の添加が不要で、非常に有用な皮膚用組成物であることが確認された。
一方、表3に示すように、本発明の構成成分である中鎖脂肪酸エステル(中鎖脂肪酸と分岐多価アルコールとのエステル)に代えて、サフラワーオイル、スクワラン、トリ(オクタン・デカン酸)グリセリルを使用した比較例3〜6の油性皮膚用組成物については、安定性テスト、使用テストともを満足するものは得られなかった。
【0037】
比較例7〜10のクリーム(皮膚用組成物)
水を多量配合した皮膚用組成物として、表4に示す組成にてクリームを調製した。
具体的には、成分1〜6と成分7〜12を別のビーカーに入れ70℃に加温溶解した。次に成分7〜12の混合物をホモミキサー(卓上ホモミキサー、みずほ工業(株)製)で撹拌しながら、成分1〜6の混合物を徐々に添加し、添加終了後、30℃まで冷却し、成分13を加え、減圧で脱泡して調製した。
得られた比較例7〜10のクリームについて、実施例4〜6、比較例3〜6の油性皮膚用組成物と同様の安定性テスト、使用感テストを行った。
【0038】
【表4】

【0039】
表4に示すとおり、比較例7、8のように本発明の構成成分である中鎖脂肪酸エステル(中鎖脂肪酸と分岐多価アルコールとのエステル)と補酵素Q10を配合したものにおいても、水を多量に含み、クリーム状としたものでは、安定性テストにおいて臭いが発生してしまい、商品価値が下がったものになった。また使用性テストにおいても、その効果は実施例4〜6と比較して劣った結果となった。
【0040】
実施例7 化粧油
表5に示す配合の化粧油を以下の方法で製造した。
常温で各成分を、プロペラを装着したスリーワンモーター(スリーワンモーター、ヤマト科学製)で混合撹拌して化粧油を調製した。
得られた実施例7の化粧油について、保存テスト、使用テストを行った。
【0041】
【表5】

【0042】
実施例7の化粧油は保存テスト、使用テストとも良好な結果を示し、経時的に劣化・変臭を起こすことが無く、使用感が良好で、肌のハリ・シワ・たるみの改善効果に優れた化粧品であった。
【0043】
実施例8 スティック状化粧料
表6に示す配合のスティック状化粧料を以下の方法で製造した。
各成分をビーカーに入れ、90℃に加温、均一溶解した後、金型に流し込んで40℃まで冷却してスティック状化粧料を得た。
得られた実施例8のスティック状化粧料について、保存テスト、使用テストを行った。
【0044】
【表6】

【0045】
実施例8のスティック状化粧料は保存テスト、使用テストとも良好な結果を示し、経時的に劣化・変臭を起こすことが無く、使用感が良好で、肌のハリ・シワ・たるみの改善効果に優れた化粧品であった。
【0046】
実施例9 パック化粧料
表7に示す配合のパック化粧料を以下の方法で製造した。
パック化粧料の液部は常温で各成分を、プロペラを装着したスリーワンモーター(スリーワンモーター、ヤマト科学製)で混合撹拌して調製した。シート部は顔型に切り抜いた不織布を使用し、シート部を密閉が出来るアルミ製パウチに入れ、液部をシート部の2倍重量入れ封印して、パック化粧料を製造した。
得られた実施例9のパック化粧料について、保存テスト、使用テストを行った。
【0047】
【表7】

【0048】
実施例9のパック化粧料は保存テスト、使用テストとも良好な結果を示し、経時的に劣化・変臭を起こすことが無く、使用感が良好で、肌のハリ・シワ・たるみの改善効果に優れた化粧品であった。
【0049】
実施例10 油性ジェル
表8に示す配合の油性ジェルを以下の方法で製造した。
各成分を80℃に加温溶解し、プロペラを装着したスリーワンモーター(スリーワンモーター、ヤマト科学製)で混合撹拌して、撹拌を続けながら40℃まで冷却し、油性ジェルを調製した。
得られた実施例10の油性ジェルについて、保存テスト、使用テストを行った。
【0050】
【表8】

※4 日清オイリオグループ(株)製 商品名「ノムコートHK−G」
【0051】
実施例10の油性ジェルは保存テスト、使用テストとも良好な結果を示し、経時的に劣化・変臭を起こすことが無く、使用感が良好で、肌のハリ・シワ・たるみの改善効果に優れた化粧品であった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の油性皮膚用組成物によれば、調製時に補酵素Qの結晶化や凝集を生じず、皮膚に適用した際に安全性への懸念や経時的な劣化・変臭が無く、使用感が良好で肌なじみが良く、肌のハリ・シワ・たるみに効果を発揮する油性皮膚用組成物を提供することができる。





















【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(1)で表される補酵素Qと、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸と分岐多価アルコールとをエステル化して得られる中鎖脂肪酸エステルを含有し、水を配合しない油性皮膚用組成物。
【化1】


(一般式(1)中、nは1〜12の整数を表す。)
【請求項2】
一般式(1)で表される補酵素Qがn=10のものである請求項1に記載の油性皮膚用組成物。
【請求項3】
分岐多価アルコールがネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、及びイソプレングリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のものである請求項1又は請求項2に記載の油性皮膚用組成物。






















【公開番号】特開2007−84505(P2007−84505A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277790(P2005−277790)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】