説明

油組成物及び該油組成物を含むクレンジング化粧料

【課題】肌に優しいフォーム型のクレンジング化粧料として使用することができる油組成物であって、油性化粧料に対して優れた洗浄力を発揮し、肌が濡れた状態でも使用することができる油組成物を提供する。
【解決手段】本発明の油組成物は、下記式(1)
1O−(C362n1−H (1)
(式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示す。n1はグリセリンの量体数で、1〜3を示す)
で表されるグリセリンモノエーテル化合物を1〜50重量%と、下記式(2)
2O−(C362n2−H (2)
(式中、R2は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示す。n2はグリセリンの量体数で、4〜20を示す)
で表されるポリグリセリンモノエーテル化合物を1〜50重量%含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性化粧料のクレンジング剤などとして有用な油組成物に関し、さらに詳細には、グリセリンモノアルキルエーテル及び/又はジグリセリンモノアルキルエーテルを含有し、且つ、ポリグリセリンモノアルキルエーテルを含有することを特徴とし、洗浄力、使用性に優れ、洗い上がりが良好で、きめの細かい泡沫を安定的に形成することができる油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料のクレンジング剤としては、主として、オイル型、ジェル型、フォーム型がある。一般的にオイル型やジェル型は化粧料を落とす際に、化粧料と馴染ませるために手指でマッサージする必要があり、肌に圧力をかけることとなり、肌を傷め易いことが問題であった。また、使用する際にベタベタ感があり、さらに、簡単にはすすぎ落とせない点も問題であった。一方、フォーム型は、肌への刺激性が低く、また、使用感に優れる。そのため、クレンジング剤として好ましく用いられてきた。
【0003】
従来、フォーム型クレンジング剤としては、噴射剤が溶解している油相からなる内相と、噴射剤との溶解性が悪い水相との2相からなるO/W型エマルジョンで形成された泡沫エアゾール組成物を含むものが知られていた。しかし、O/W型エマルジョンで形成された泡沫エアゾール組成物をクレンジング剤として使用すると、連続相が水相であるため油性化粧料との馴染みが悪く、洗浄力が低いため、油性化粧料の洗浄剤としては不適当であった。油性化粧料の洗浄力を改善したフォーム型クレンジング剤等としては、ポリオキシエチレン付加型非イオン界面剤、アルキルリン酸誘導体、及びポリグリセリン脂肪酸エステルとを含むW/O型油状泡沫性エアゾール用組成物が知られている(特許文献1、2、3参照)。しかし、これらのW/O型油状泡沫性エアゾール用組成物は、化粧料を落とす際に、W/O型からO/W型への相転移が起こり易いため、肌が濡れた状態では使用しにくいという問題があった。さらに、洗浄力についても未だ十分ではなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−75589号公報
【特許文献2】WO2003/035015号公報
【特許文献3】特開2006−347896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、肌に優しいフォーム型のクレンジング化粧料として使用することができる油組成物であって、油性化粧料に対して優れた洗浄力を発揮し、肌が濡れた状態でも使用することができる油組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のグリセリンモノエーテル化合物と特定のポリグリセリンモノエーテル化合物とを含有する油組成物は、きめの細かい泡沫を安定的に形成することができ、油性化粧料のクレンジング剤として使用すると、肌に負担をかけずに油性化粧料をきれいに落とすことができることを見出した。また、水相、油相の双方に対して優れた溶解性を有するため、水相及び油相が混合しても幅広い領域で一相状態を維持することができ、肌が濡れた状態でも優れた洗浄力を発揮することができ、洗い上がりも良好であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき、さらに研究を重ねて完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、下記式(1)
1O−(C362n1−H (1)
(式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示す。n1はグリセリンの量体数で、1〜3を示す)
で表されるグリセリンモノエーテル化合物を1〜50重量%と、下記式(2)
2O−(C362n2−H (2)
(式中、R2は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示す。n2はグリセリンの量体数で、4〜20を示す)
で表されるポリグリセリンモノエーテル化合物を1〜50重量%含有する油組成物を提供する。
【0008】
前記油組成物には、シリコーン油、エステル油、トリアシルグリセロールから選択された少なくとも1種を50〜98重量%含有することが好ましい。
【0009】
本発明は、また、前記油組成物を含むクレンジング化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る油組成物は、特定のグリセリンモノエーテル化合物と特定のポリグリセリンモノエーテル化合物とを含有するため、水相、油相の双方に対して優れた溶解性を有し、水相及び油相が混合しても幅広い領域で一相状態を維持することができ、肌が濡れた状態でも優れた洗浄力を発揮することができる。また、使用する際にベタベタ感がなく、きめの細かい泡沫を安定的に形成することができ、さらに、簡単にすすぎ落とせる。本発明に係る油組成物を油性化粧料のクレンジング剤として使用すると、肌に負担をかけずに油性化粧料をきれいに落とすことができ、洗い上がりが良好である。
【0011】
そして、本発明に係る油組成物を、密封された容器の中に噴射剤と共に、圧力のかかった状態で仕込むと、噴射ボタンを押すことにより、油組成物と噴射剤の混合物が、噴霧口から一気に放出され、減圧による噴射剤の急激な膨張によって油組成物が非常に細かい泡沫を形成することができ、肌に優しいフォーム型のクレンジング化粧料として好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[油組成物]
本発明に係る油組成物は、下記式(1)
1O−(C362n1−H (1)
(式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示す。n1はグリセリンの量体数で、1〜3を示す)
で表されるグリセリンモノエーテル化合物を1〜50重量%と、下記式(2)
2O−(C362n2−H (2)
(式中、R2は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示す。n2はグリセリンの量体数で、4〜20を示す)
で表されるポリグリセリンモノエーテル化合物を1〜50重量%含有する。
【0013】
[グリセリンモノエーテル化合物]
本発明におけるグリセリンモノエーテル化合物は、下記式(1)
1O−(C362n1−H (1)
(式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示す。n1はグリセリンの量体数で、1〜3を示す)
で表される。
【0014】
式(1)の括弧内のC362は、下記式(3)及び(4)で示される両方の構造を有する。
−CH2−CHOH−CH2O− (3)
−CH(CH2OH)CH2O− (4)
【0015】
1は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示す。R1におけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、ヘプタデシル、ステアリル、ベヘニル基などの炭素数1〜25(好ましくは10〜25、さらに好ましくは11〜22)程度の直鎖状アルキル基;イソプロピル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ブチルオクチル、イソミリスチル、イソセチル、ヘキシルデシル、イソステアリル、イソベヘニル、オクチルデシル、オクチルドデシル、イソベヘニル基などの炭素数1〜25(好ましくは10〜25、さらに好ましくは12〜25、特に好ましくは12〜22)程度の分岐鎖状アルキル基などが挙げられる。
【0016】
1におけるアルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、1−ブテニル、オレイル、リノレイル、リノレニル基などの炭素数2〜25(好ましくは10〜25、さらに好ましくは12〜25、特に好ましくは12〜22)程度のアルケニル基などが挙げられる。
【0017】
上記アルキル基、アルケニル基は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基などを有していてもよい。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。本発明においては、R1におけるアルキル基、アルケニル基が有する置換基としては、ヒドロキシル基が好ましい。
【0018】
本発明における式(1)で表されるグリセリンモノエーテル化合物としては、なかでも、両連続構造形成能の点で、R1が、炭素数12〜25程度の分岐鎖状アルキル基(ヘキシルデシル、オクチルドデシル基等)、または炭素数12〜25程度のアルケニル基(オレイル基等)などの炭素数12〜25程度のアルキル基またはアルケニル基であるグリセリンモノアルキルエーテル化合物が好ましい。本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】
式(1)で表されるグリセリンモノエーテル化合物のグリセリン量体数(n1)は分子量分布を有し、1〜3の範囲である。グリセリン量体数(n1)が上記範囲を上回ると、曲率が正に偏るため、両連続構造を形成しにくくなる。
【0020】
グリセリン量体数(n1)が上記分子量分布を有する式(1)で表されるグリセリンモノエーテル化合物は、例えば、対応する下記式(5)
1O−(C362n3−H (5)
(式中、R1は上記に同じ。n3はグリセリンの量体数で、1〜1.6を示す)
で表されるグリセリンモノエーテル化合物と、対応する下記式(6)
1O−(C362n4−H (6)
(式中、R1は上記に同じ。n4はグリセリンの量体数で、1.7〜3を示す)
で表されるジグリセリンモノエーテル化合物を単独で、又は混合して使用することにより得ることができる。
【0021】
例えば、式(1)で表されるグリセリンモノエーテル化合物におけるR1がドデシル基である場合は、R1がドデシル基である式(5)で表されるグリセリンモノエーテル化合物(グリセリンモノドデシルエーテル)若しくは、R1がドデシル基である式(6)で表されるジグリセリンモノエーテル化合物(ジグリセリンモノドデシルエーテル)を単独で、又は、混合して使用することにより、所望するグリセリン量体数を有し、R1がドデシル基である式(1)で表されるグリセリンモノエーテル化合物を得ることができる。
【0022】
上記式(5)で表されるグリセリンモノエーテル化合物、及び式(6)で表されるジグリセリンモノエーテル化合物の製造方法としては、特に限定されることがなく、例えば、塩基性触媒の存在下、脂肪族アルコールに、該脂肪族アルコール/グリシドール(モル比)が特定の値となるような割合でグリシドールを添加して反応させる方法、ポリグリセリンにα−オレフィンエポキシドを反応させる方法、酸触媒若しくはアルカリ触媒の存在下、アルキルグリシジルエーテルをポリグリセリンを使用して開環させる方法等が挙げられる。
【0023】
[ポリグリセリンモノエーテル化合物]
ポリグリセリンモノエーテル化合物は、下記式(2)
2O−(C362n2−H (2)
(式中、R2は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示す。n2はグリセリンの量体数で、4〜20を示す)
で表される。
【0024】
式(2)の括弧内のC362は、上記式(3)及び(4)で示される両方の構造を有する。また、R2における置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基としては、上記R1における置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基と同様の例を挙げることができる。
【0025】
式(2)で表されるポリグリセリンモノエーテル化合物のグリセリン量体数(n2)は分子量分布を有し、4〜20、好ましくは4〜15、特に好ましくは10〜15である。グリセリン量体数(n2)が4を下回ると、水溶性が低くなる傾向があり、グリセリン量体数(n2)が20を上回ると、粘度が高くなりすぎる傾向がある。
【0026】
本発明におけるポリグリセリンモノエーテル化合物としては、なかでも、両連続構造形成能の点で、式(2)において、R2が、炭素数12〜25程度の分岐鎖状アルキル基(ヘキシルデシル、オクチルドデシル基等)、または炭素数12〜25程度のアルケニル基(オレイル基等)などの炭素数12〜25程度のアルキル基またはアルケニル基であるポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物が好ましい。本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
式(2)で表されるポリグリセリンモノエーテル化合物の製造方法としては、特に限定されることがなく、例えば、塩基性触媒の存在下、脂肪族アルコールに、該脂肪族アルコール/グリシドール(モル比)が特定の値となるような割合でグリシドールを添加して反応させる方法、ポリグリセリンにα−オレフィンエポキシドを反応させる方法、酸触媒若しくはアルカリ触媒の存在下、アルキルグリシジルエーテルをポリグリセリンを使用して開環させる方法等が挙げられる。
【0028】
本発明に係る油組成物は、上記式(1)で表されるグリセリンモノエーテル化合物を含有し、且つ、上記式(2)で表されるポリグリセリンモノエーテル化合物を含有することを必須条件とする。該条件を具備しない場合、水相、油相の双方に対して優れた溶解性を発揮することができないため、一相状態を維持することができず、結果として、肌が濡れた状態では優れた洗浄力を発揮することができない。
【0029】
油組成物中の、上記式(1)で表されるグリセリンモノエーテル化合物の含有量としては、1〜50重量%であり、洗浄性及び泡沫安定性に優れる点で、10〜50重量%が好ましい。また、上記式(2)で表されるポリグリセリンモノエーテル化合物の含有量としては、1〜50重量%であり、使用感と経済性の点で、1〜25重量%が好ましい。
【0030】
また、上記式(1)で表されるグリセリンモノエーテル化合物、及び、上記式(2)で表されるポリグリセリンモノエーテル化合物は、HLB値(Hydorophile Lipophile Balance)が10程度(例えば、9〜11、好ましくは9.5〜10.5)になる割合で配合することが好ましい。なお、HLB値とは、界面活性剤の親水性及び親油性のバランスを表す値である。本発明においては,有機概念図法による下記式により算出した値を用いた。
HLB値=無機性値/有機性値×10
なお、HLB値は、上記式(1)、(2)中のR1、R2の種類及びグリセリンの量体数(n1)、(n2)の組み合わせにより調整できる。
【0031】
[油脂]
本発明に係る油組成物には、上記式(1)で表されるグリセリンモノエーテル化合物と上記式(2)で表されるポリグリセリンモノエーテル化合物の他に油脂を含有することが好ましい。油脂としては、起泡時に液体状態を呈するものであればよく、天然油脂であっても合成油脂であってもよい。油脂を添加することにより、安定な泡沫を形成することができる。
【0032】
油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、菜種油、卵黄油、ごま油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、米ぬか油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリンなどの液状油脂;流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、プリスタンなどの炭化水素;オレイン酸、トール油、イソステアリン酸などの高級アルコール脂肪酸;ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノールなどの高級アルコール;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルポリシロキサンなどのシリコーン油;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルなどのエステル油;トリパルミトイルグリセロール、1−パルミトイル−2,3−レオイルグリセロール、1,3−オレオイル−2−パルミトイルグリセロール、1−パルミトオレオイル−2−ステアロイル−3−リノレオイルグリセロール、1−リノレオイル−2−パルミトオレオイル−3−ステアロイルグリセロールなどのトリアシルグリセロールなどが挙げられる。また、上記油脂に水素添加、分離などの処理を施して得られるものであってもよい。なお、不飽和脂肪酸、側鎖状脂肪酸、ジグリセリド、モノグリセリドなどのグリセリド成分も、若干量であれば含んでいてもよい。
【0033】
本発明における油脂としては、なかでも、シリコーン油、エステル油、トリアシルグリセロールから選択された1種以上の油脂であることが、洗浄性の点で好ましい。
【0034】
油脂の配合量としては、特に限定されることなく適宜調整することができ、例えば、油組成物全量の50〜98重量%、好ましくは30〜95重量%程度である。
【0035】
本発明に係る油組成物には、さらに、本発明の目的を達成できる範囲内で、必要に応じて、他の成分を適宜配合することができる。他の成分としては、例えば、水、ポリオール、上記グリセリンモノエーテル化合物、及びポリグリセリンモノエーテル化合物以外の非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、低級アルコール類、粉体、酸化防止剤、酸化防止助剤、紫外線吸収剤、保湿剤、消炎剤、防腐剤、pH調整剤、動物・植物・魚貝類・微生物由来の抽出物、香料などを挙げることができる。
【0036】
水としては、硬水、軟水の何れでもよく、例えば、工業用水、水道水、イオン交換水、蒸留水などが挙げられる。水の配合量としては、用途に応じて適宜調整することができ、例えば、油組成物全量の1〜50重量%程度、好ましくは、2〜20重量%程度である。
【0037】
ポリオールは、ポリグリセリンモノアルキル(又はアルケニル)エーテルの液晶構造を破壊する作用を有し、添加することにより、油分及び水分の可溶化量を飛躍的に増大させることができ、使用感及び気泡性を向上させることができる。
【0038】
ポリオールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール、ソルビタン、マルチトール、トレハロース、キシリトール、グルコース、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、ショ糖、マンニトール、グルコン酸、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリフェノール等が挙げられる。
【0039】
本発明においては、なかでも、グリセリン、マルチトール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトールを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることが、より優れた液晶構造破壊作用を発揮することができ、使用感及び気泡性を向上させることができる点で好ましい。ポリオールの配合量としては、例えば、組成物全量の1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%程度である。
【0040】
上記グリセリンモノエーテル化合物、及びポリグリセリンモノエーテル化合物以外の非イオン界面活性剤としては、親水基としてイオン化する基を有しない界面活性剤であれば特に限定されることがなく、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、糖脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールと1価又は多価アルコールとのエステル、ポリオキシアルキレン糖エーテル、脂肪酸アミドとポリオキシアルキレングリコールとの縮合物、脂肪酸アミンとポリオキシアルキレングリコールとの縮合物、アルキル又はアルケニルポリグリコシドなどが挙げられる。
【0041】
アニオン界面活性剤としては、特に限定されることがなく、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、α−オレフィンスルホン酸塩類、グルタミン酸をはじめとするアミノ酸系界面活性剤、N−アシルメチルタルリン酸塩、アルキルリン酸塩などが挙げられる。
【0042】
両性界面活性剤としては、特に限定されることがなく、例えば、カルボキシベタイン型、イミダゾリミウム型、スルホベタイン型、アラニン型両性界面活性剤などを挙げることができる。
【0043】
低級アルコールとしては、特に限定されることがなく、例えば、エタノール、プロピルアルコールなどが挙げられる。
【0044】
粉末成分としては、特に限定されることがなく、例えば、無機粉末または有機粉末等を挙げることができる。無機粉末としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーキュムライト、炭酸マグネシウム、珪酸ジルコニウム、珪酸アルミニウム、珪酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸亜鉛、珪酸マグネシウム、珪酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、燐酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、活性炭、薬用炭、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、窒化ホウ素等が挙げられる。有機粉末としては、例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、セルロース粉末等が挙げられる。
【0045】
酸化防止剤としては、特に限定されることがなく、例えば、ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0046】
酸化防止助剤としては、特に限定されることがなく、例えば、アスコルビン酸、フィチン酸、ケファリン、マレイン酸等が挙げられる。
【0047】
紫外線吸収剤としては、特に限定されることがなく、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノンモノアルキルエーテル;パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル等のパラアミノ安息香酸モノアルキルエーテル;パラメトキシ桂皮酸エチル、パラメトキシ桂皮酸イソプロピル、パラメトキシ桂皮酸オクチルなどのメトキシ桂皮酸モノアルキルエーテル;サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニルなどのサリチル酸モノアルキルエーテル;ウロカニン酸、ウロカニン酸モノアルキルエーテル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−(ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチル等が挙げられる。
【0048】
保湿剤としては、特に限定されることがなく、例えば、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸及びその塩などが挙げられる。
【0049】
消炎剤としては、特に限定されることがなく、例えば、グリチルリチン酸及びそのモノアルキルエーテル、グリチルレチン酸及びそのモノアルキルエーテル、アラントイン、酢酸ヒドロコーチゾン、アズレン等が挙げられる。
【0050】
防腐剤としては、特に限定されることがなく、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0051】
pH調整剤としては、特に限定されることがなく、例えば、クエン酸、塩酸、硫酸、リン酸、水酸化ナトリウム、アンモニア等が挙げられる。
【0052】
動物・植物・魚貝類・微生物由来の抽出物としては、特に限定されることがなく、例えば、例えば、茶エキス、アロエエキス、イチョウエキス、センブリエキス、ヨモギエキス、ニンニクエキス、オウゴンエキス、ローズマリーエキス、ヘチマエキス、胎盤抽出物、乳酸菌培養抽出物、海藻エキスの抽出物等が挙げられる。
【0053】
香料としては、通常化粧料に使用するものであれば、特に限定されない。
【0054】
本発明に係る油組成物を、密封された容器の中に噴射剤と共に、圧力のかかった状態で仕込むと、噴射ボタンを押すことにより、油組成物と噴射剤の混合物が、噴霧口から一気に放出され、減圧による噴射剤の急激な膨張によって油組成物が非常に細かい泡沫を形成することができる。
【0055】
本発明に使用される噴射剤としては、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボン;プロパン、イソブタン、イソペンタン、ノルマルブタン、液化石油ガスなどの液化ガスなどを挙げることができる。これらを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、これらの噴射剤にジメチルエーテル、炭酸ガス、窒素ガスを混合して使用してもよい。
【0056】
噴射剤の配合量としては、例えば、油組成物全量の2〜90重量%程度が好ましい。噴射剤の配合量が2重量%を下回ると、良好な泡沫を得ることが困難となる傾向がある。
【0057】
本発明に係る油組成物は、油汚れ等の洗浄剤、油性化粧料等のクレンジング化粧料、日焼けオイル、ベビーオイル、ヘアーオイル、泡状マッサージオイルなどとして使用することができ、特に、油性化粧料等のクレンジング化粧料として好適に使用することができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0059】
実施例1〜5、比較例1〜3
原料を、表1に示される割合(重量%比)で配合し、80℃にて撹拌、溶解し、その後、常温(25℃)まで冷却して、油組成物を得た。
100mLエアゾール缶に、得られた油組成物18gを充填し、バルブをセットし、続いて噴射剤として液化石油ガス2gを充填し、エアゾールを得た。
得られた油組成物及びエアゾールの評価方法は、下記の通りである。評価結果を表1に示す。なお、表1における「n」はグリセリンモノエーテル化合物、ポリグリセリンモノエーテル化合物におけるグリセリンの量体数(平均量体数)を示す。
【0060】
[相状態の確認]
実施例及び比較例で得られた油組成物1gを、乾いた状態の手及び水に濡れた状態の手にとり、液相の状態を目視で観察して、下記基準に従って評価した。
評価基準:
液相に濁りがない:○
液相が半透明である:×
【0061】
[起泡性試験]
実施例及び比較例で得られたエアゾールを2秒間噴射して、得られた泡沫を目視で観察し、下記基準に従って評価した。
評価基準:
極めて均一できめ細かい泡が得られた:◎
均一できめ細かい泡が得られた:○
きめが粗い泡が得られた:△
泡にならず液状であった:×
【0062】
[泡沫安定性試験]
実施例及び比較例で得られたエアゾールを2秒間噴射して、得られた泡沫の持続性を下記基準に従って評価した。なお、泡沫の体積が、噴射直後の90%以下に減少するまでの時間を泡沫持続時間とする。
評価基準:
泡沫持続時間が1分以上:◎
泡沫持続時間が30秒以上、1分未満:○
泡沫持続時間が10秒以上、30秒未満:△
泡にならず液状であった:×
【0063】
[洗浄力試験]
1.乾いた状態での洗浄力試験
口紅(商品名「マキアージュ スーペリアルージュ RD759」、資生堂(株)製)0.2gを前腕に塗布し、実施例及び比較例で得られたエアゾール組成物約0.5gを手に取り、30回マッサージして、口紅と馴染ませた。マッサージ後の口紅の落ち具合を目視で観察し、下記基準に従って評価した。
2.水に濡れた状態での洗浄力試験
口紅(商品名「マキアージュ スーペリアルージュ RD759」、資生堂(株)製)0.2gを前腕に塗布し、前腕を水で濡らした後、実施例及び比較例で得られたエアゾール組成物約0.5gを手に取り、30回マッサージして、口紅と馴染ませた。マッサージ後の口紅の落ち具合を目視で観察し、下記基準に従って評価した。
評価基準:
完全に落ちた:◎
ほぼ落ちた:○
少し残った:△
ほとんど落ちなかった:×
【0064】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
1O−(C362n1−H (1)
(式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示す。n1はグリセリンの量体数で、1〜3を示す)
で表されるグリセリンモノエーテル化合物を1〜50重量%と、下記式(2)
2O−(C362n2−H (2)
(式中、R2は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示す。n2はグリセリンの量体数で、4〜20を示す)
で表されるポリグリセリンモノエーテル化合物を1〜50重量%含有する油組成物。
【請求項2】
シリコーン油、エステル油、トリアシルグリセロールから選択された少なくとも1種を50〜98重量%含有する請求項1に記載の油組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の油組成物を含むクレンジング化粧料。

【公開番号】特開2010−64977(P2010−64977A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232021(P2008−232021)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】