説明

治療用自己細胞の配送支援システム及びその方法

緊急の障害に対して迅速な体内投与によって治療効果を発揮する自己細胞を使用した再生医療を支援するシステムを提供する。治療用自己細胞配送支援システム100は、会員から採取した治療用自己細胞を保管手段34に保管しておき、会員からのID情報及び位置情報を含む自己細胞の配送要求を配送要求受信手段21によって受信し、ID情報に基づいて会員情報を検索し、配送元の保管設備から配送先の施設に自己細胞を配送するための会員情報と位置情報を出力する。保管手段が地理的に異なる位置に複数存在する場合、配送要求に含まれる会員の位置情報に基づいて配送時間が最も短い保管手段を選択する。手動あるいは自動でID情報を送信するID情報記憶手段11によって、簡単な操作により、あるいは身体状況のデータのモニターにより自動的に配送要求を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、治療用自己細胞配送支援システムに関し、より詳しくは、本人から採取した治療用自己細胞を保管しておき、本人からの配送要求に応じて、治療のために治療用自己細胞をそれの保管設備から本人の元へと配送することを支援する治療用自己細胞配送支援システムに関する。また、本出願は下記の日本国特許出願に関連する。参照による文献の組み込みが認められる指定国については、当該下記の出願に記載された内容を参照により本出願に組み込み、本出願の記載の一部とする。
出願番号 特願2003−185260 出願日 2003年6月27日
【背景技術】
近年、再生医療が脚光を浴びている。再生医療においては、人体の再生能力が及ばないような体の障害に対して、自己の細胞を人工増殖により再生した器官等を障害部位に外科的に接合することによって、幅広い分野において障害部位の治癒を行うことができるようになって来ている。再生医療においては、実際の治療の前段階に非常に多くの準備作業が必要であるため、医療技術のみならず、治療を支援するシステムも非常に重要となってくる。
従来の、再生医療に関する支援システムとしては、細胞を予め採取しておき、依頼者からの要求に応じて、細胞に関する情報を閲覧できると共に、細胞を複数の企業に配達し、そこで細胞の増殖、分化、あるいはオーダメードの薬品、化粧品の製造を可能にするセルバンクシステム及び細胞凍結/解凍方法に関する技術がある(例えば、特開2002−27983号公報を参照。)。その技術においては、依頼者から採取した細胞を保管しておく細胞保管手段と、保管されている細胞に関する情報が格納されているメモリとを備え、インターネットを経由して保管しておいた細胞及びその遺伝子情報を随時閲覧できる。そしてそれによって、依頼者からの指示により細胞を組織培養企業に輸送して、増殖、分化させると共に、薬品/化粧品製造企業に輸送して、ホームメードの薬品及び化粧品を製造することができる。
しかしこの技術は、自己細胞を保管しているときに、依頼者からの要求に応じて、その自己細胞を目的に応じて増殖、分化させるために薬品/化粧品製造企業等に輸送することを基本とするものであり、輸送後にその企業等で増殖、分化させるためにはかなりの日数がかかるため、急病・事故などの緊急の障害発生に対して効果のある再生医療には適用することが極めて困難である。また、そこで使用される自己細胞は、遺伝子情報の取得、薬剤感応試験のデータ取得、増殖させた自己細胞からのタンパク質等の成分の抽出、移植治療、全能性のあるES細胞(胚幹細胞)の保管を目的とするものであるが、そこには、緊急の障害に対して迅速な体内投与によって治療効果を発揮するものは開示されていない。また、そのような方法を実際に実施化する際には、利用者の金銭的負担感の軽減を含む現実的なシステムの運営方法の構築が必須であるところ、当該先行技術に関しては、そのような問題は認識すらされていない。
上述のように、緊急の障害に対して迅速な体内投与によって治療効果を発揮する自己細胞を使用した再生医療を支援するシステムは存在しておらず、そのような治療用自己細胞による治療を実施する上での障害が解決されていない。具体的には以下のような課題が存在する。簡単な操作により利用者のID情報及び位置情報を送信することによって、治療用自己細胞を配送元であるその保管設備から配送先である治療施設へ配送する配送要求を発し、それに応じて配送手段である交通機関などに配送の指令が送信されることが必要である。その場合、保管設備及び治療施設が複数存在するときには、それらの内から適切なものが選択されることが必要である。保管設備の選択に当たっては、配送先までの時間が最小となるようにすることが必要である。配送要求は、患者の意識水準が低下した場合や運動・感覚能力が傷害された場合に備えて、誤作動を防ぎながら、自動的に発することができるようにする必要がある。配送要求に含める利用者の位置情報は、自動的に正確な位置を取得することができる必要がある。意識水準などが低下した利用者に対して、他者がその利用者本人であることを確認した上で治療用自己細胞による治療を開始できるようにする必要がある。治療についての利用者の事前合意を取得する必要があり、治療時にそれがない場合には、関係者から合意を取得する必要がある。費用面で利用者に大きい負担をかけずにシステムの運用及び緊急時の治療が行うことができるような運営方法を備えることが必要である。そのような運営方法は、好適には会費制組織と保険とを組み合わせたものとする必要がある。保険が無責であった場合には、利用者又はその関係者にその旨を通知して保険金が支払われない旨を事前に知らせておき、費用を準備するための機会を早期に与える必要がある。システムにおけるプロセスの進行状況すなわち治療の支援作業の進捗をネットワーク等でリアルタイムに利用者又はその関係者に通知する必要がある。また、配送要求によって確実にシステムを起動できるようにする必要がある。
しかし従来、上述のような課題を解決するシステムは存在していなかった。本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、本人から採取した治療用自己細胞を保管しておき、本人からの配送要求に応じて、治療のために治療用自己細胞をそれの保管設備から本人の元へと配送することを支援するシステムを提供するものである。
【発明の開示】
上述の課題の解決は、以下の特徴を有する本発明によって達成される。
請求項1に記載の発明は、会員の体内から採取され、かつ、採取後に少なくとも治療に必要な量まで増殖させられた当該会員本人への体内投与による生体内損傷部位再生治療のための治療用自己細胞を当該会員毎に区別して保管する保管手段と、前記保管手段に前記治療用自己細胞が保管されている会員と一意的に対応するID情報と、少なくとも会員名を含む当該会員の会員情報とを関連付けて記憶する、コンピュータによって機能させられる会員情報記憶手段と、治療のために前記治療用自己細胞の配送先への配送を必要とする会員のID情報及び当該会員の位置情報を含む配送要求を通信ネットワークを介して受信する、コンピュータによって機能させられる配送要求受信手段と、前記配送要求受信手段によって受信された配送要求に含まれるID情報に基づいて、前記会員情報記憶手段から当該会員の会員情報を検索する、コンピュータによって機能させられる会員情報検索手段と、前記保管手段に関連して情報を出力するための、前記会員情報検索手段によって検索された会員情報及び当該会員の位置情報を出力する配送要求出力手段と、を有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の特徴に加えて、前記保管手段、及び前記配送要求出力手段は地理的に異なる位置に複数存在し、前記配送要求受信手段によって受信された配送要求に含まれる会員の位置情報に基づいて、あらかじめ登録された複数の治療施設を含む場所の内から当該会員が治療を受けるべき適切な配送先を特定し、前記複数の保管手段の内の適切な保管手段を配送元として特定する、コンピュータによって機能させられる配送元特定手段と、前記会員情報検索手段によって検索された、会員名を少なくとも含む会員情報、及び前記特定された配送先に関する配送先情報を前記配送元特定手段によって特定された配送元の保管手段に関連する配送要求出力手段に送信する、コンピュータによって機能させられる配送要求転送手段と、を更に有し、及び前記配送要求出力手段は、前記配送要求転送手段によって送信された、会員情報及び配送先情報を出力する、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明の特徴に加えて、前記配送元特定手段が配送元として特定する保管手段は、前記特定された配送先への配送時間が最も小さい地理的位置にある保管手段であることを特徴とする請求項2に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記会員のID情報を記録し、かつ、当該ID情報を前記通信ネットワークを介して前記配送要求受信手段に送信するID情報記憶手段、を更に有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明の特徴に加えて、前記ID情報記憶手段は、会員の手動による操作に応じて前記ID情報を前記通信ネットワークに送信することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明の特徴に加えて、前記ID情報記憶手段は、心拍数、呼吸周期、心電図パターン、音声及び身体動作の少なくともいずれかを含む身体的データをモニターしており、それに異常が検出された場合に前記ID情報を前記通信ネットワークに送信することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明の特徴に加えて、前記ID情報記憶手段は、前記身体状況のデータに異常が検出された場合に一旦その旨を出力し、それから所定の時間内に確認の入力がなされなかったことを条件として前記ID情報を前記通信ネットワークに送信することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記ID情報記憶手段は、無線によって前記通信ネットワークに接続されることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記会員の所在位置を特定し、かつ、当該特定された所在位置を当該会員の位置情報として前記通信ネットワークを介して前記配送要求受信手段に送信する位置通報手段、を更に有することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明の特徴に加えて、前記位置通報手段は、無線によって前記通信ネットワークに接続されることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明の特徴に加えて、前記位置通報手段は、GPSによって前記会員の所在位置を特定することを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の発明の特徴に加えて、前記位置通報手段は、地上無線設備から電波を受信することによって前記会員の所在位置を特定することを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項1から12のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記会員情報記憶手段が記憶する会員情報には、顔写真イメージ、指紋パターン、静脈パターン、及び虹彩パターンの内の少なくともいずれかを含む識別用身体的特徴データが含まれることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項1から13にいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記会員から治療用自己細胞の使用についての事前合意の有無を前記通信ネットワークを通じて確認する、コンピュータによって機能させられる合意確認手段、を更に有し、及び前記配送要求出力手段は、前記会員の事前合意がある場合には当該会員の会員情報及び位置情報を出力し、当該会員の事前合意がない場合には当該会員あるいは所定の当該会員の関係者からの合意が確認できたことを条件として当該会員の会員情報及び位置情報を出力すること、を特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項1から14のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記会員の位置情報に基づいて前記治療用自己細胞を配送する配送手段を地理的に異なる位置に存在する複数の配送手段の中から特定し、当該特定された配送手段に対して配送指令を送信する配送指令手段、を更に有することを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の発明の特徴に加えて、配送要求の受信時間、配送要求に含まれる位置情報、配送元として特定された保管手段、特定された配送先、特定された配送手段、配送の状況、配送元の出発時間、配送先への到着予定時間、治療合意の有無、保険適用の有無、の内の少なくともいずれかを前記通信ネットワークを介して前記配送要求を発した会員あるいは当該会員の所定の関係者に送信するプロセス通知手段、を更に有することを特徴とする。
請求項17に記載の発明は、請求項1から16のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、入会意思の確認を前記通信ネットワークを通じて行い、少なくとも会員名を含む会員情報を当該通信ネットワークを通じて取得し、所定のアンケートの回答を当該通信ネットワークを通じて入力し、当該アンケートの回答結果に基づいたフィードバックを当該通信ネットワークを通じて提供する、コンピュータによって機能させられる入会受付手段、を更に有することを特徴とする。
請求項18に記載の発明は、請求項1から17のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記配送要求受信手段は、前記配送要求のための通信ネットワークとの専用の接続部を有しており、データを受信したことによって前記配送要求が送信されてきたと判断することを特徴とする。
請求項19に記載の発明は、請求項1から17のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記配送要求受信手段は、前記通信ネットワークとの接続部を有しており、受信したデータから配送要求を特徴付ける所定のデータを検出することによって前記配送要求が送信されてきたと判断することを特徴とする。
請求項20に記載の発明は、請求項1から19のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記治療用自己細胞は、脳梗塞、脳出血、脊椎損傷、心筋梗塞、クモ膜下出血を含む脳卒中、中枢性および末梢性の脱髄疾患、中枢性および末梢性の変性疾患、脳腫瘍、痴呆を含む高次機能障害、精神疾患、てんかん、頭部外傷や脳挫傷や脊髄損傷を含む外傷性の神経系疾患、炎症性疾患、及びヤコブ病を含む脳細胞損傷性の感染性疾患の少なくともいずれかの治療に用いられるものであることを特徴とする。
請求項21に記載の発明は、請求項1から20のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記治療用自己細胞は、会員の体内から未分化の状態で採取された間葉系幹細胞であることを特徴とする。
請求項22に記載の発明は、請求項1から20のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記治療用自己細胞は、会員の体内から未分化の状態で採取された間葉系幹細胞に遺伝子操作を加えたものであることを特徴とする。
請求項23に記載の発明は、請求項1から20のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記治療用自己細胞は、会員の体内から未分化の状態で採取された間葉系幹細胞を分化誘導させたものであることを特徴とする。
請求項24に記載の発明は、請求項1から23のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システムと、前記会員から徴収した徴収金からの、費用への充当を要求する、コンピュータによって機能させられる費用充当要求手段と、を有しており、当該費用充当要求手段は、定常的に発生する維持管理費用への充当を定期的に要求し、かつ、前記配送要求に伴って発生する配送等一時費用への充当を当該配送要求に応じて要求すること、を特徴とする。
請求項25に記載の発明は、請求項24に記載の発明の特徴に加えて、前記費用充当要求手段は、前記配送要求に関連する治療費用への徴収金からの充当を当該配送要求に応じて要求することを特徴とする。
請求項26に記載の発明は、請求項24に記載の発明の特徴に加えて、前記費用充当要求手段は、前記配送要求に関連する治療費用への徴収金からの充当を、前記徴収金の少なくとも一部を保険料とする保険からの保険金の支出として当該配送要求に応じて要求することを特徴とする。
請求項27に記載の発明は、請求項26に記載の発明の特徴に加えて、前記費用充当要求手段が前記配送要求に伴う治療費用に充当すべき保険金の払出を要求する場合には、保険契約及び前記配送要求の理由に基づいて、当該保険契約が有責か無責かを事前に確認し、無責である場合には前記通信ネットワークを通じて無責である旨を前記会員又はその関係者に通知することを特徴とする。
請求項28に記載の発明は、請求項26又は27に記載の発明の特徴に加えて、前記保険への加入意思の確認を前記通信ネットワークを通じて行い、かつ、保険の加入に必要な所定の情報の少なくとも一部を当該通信ネットワークを通じて取得する、コンピュータによって機能させられる保険加入受付手段、を更に有することを特徴とする。
請求項29に記載の発明は、請求項26から28のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記保険への加入時と未加入時のそれぞれについて、保険料を含む徴収金、配送要求を行った場合の費用、及び保険金を含む典型的設計を前記通信ネットワークを通じて送信する保険設計提供手段、を更に有することを特徴とする。
請求項30に記載の発明は、会員の体内から採取され、かつ、採取後に少なくとも治療に必要な量まで増殖させられた当該会員本人への体内投与による生体内損傷部位再生治療のための治療用自己細胞を当該会員毎に区別して保管手段に保管するステップと、前記保管手段に前記治療用自己細胞が保管されている会員と一意的に対応するID情報と、少なくとも会員名を含む当該会員の会員情報とを関連付けて記憶する、コンピュータによって実施される会員情報記憶のステップと、治療のために前記治療用自己細胞の配送先への配送を必要とする会員のID情報及び当該会員の位置情報を含む配送要求を通信ネットワークを介して受信する、コンピュータによって実施される配送要求受信のステップと、前記配送要求受信のステップによって受信された配送要求に含まれるID情報に基づいて、前記会員情報記憶のステップで記憶された会員情報から当該会員の会員情報を検索する、コンピュータによって実施される会員情報検索のステップと、前記保管手段に関連して情報を出力するための、前記会員情報検索のステップによって検索された会員情報及び当該会員の位置情報を出力する配送要求出力のステップと、を有することを特徴とする。
請求項31に記載の発明は、請求項30に記載の治療用自己細胞配送支援方法に含まれるそれぞれのステップと、前記会員から徴収した徴収金からの、費用への充当を要求する、コンピュータによって実施される費用充当要求のステップと、を有しており、当該費用充当要求のステップは、定常的に発生する維持管理費用への充当を定期的に要求し、かつ、前記配送要求に伴って発生する配送等一時費用への充当を当該配送要求に応じて要求すること、を特徴とする。
請求項32に記載の発明は、請求項31に記載の発明の特徴に加えて、前記費用充当要求のステップは、前記配送要求に関連する治療費用への徴収金からの充当を当該配送要求に応じて要求すること、を特徴とする。
請求項33に記載の発明は、請求項32に記載の発明の特徴に加えて、前記費用充当要求のステップは、前記配送要求に関連する治療費用への徴収金からの充当を、前記徴収金の少なくとも一部を保険料とする保険からの保険金の支出として当該配送要求に応じて要求すること、を特徴とする。
請求項34に記載の発明は、会員の体内から採取され、かつ、採取後に少なくとも治療に必要な量まで増殖させられた当該会員本人への体内投与による生体内損傷部位再生治療のための治療用自己細胞を当該会員毎に区別して保管する保管手段と、前記保管手段に前記治療用自己細胞が保管されている会員と一意的に対応するID情報と、少なくとも会員名を含む当該会員の会員情報とを関連付けて記憶する、コンピュータによって機能させられる会員情報記憶手段と、治療のために前記治療用自己細胞の配送先への配送を必要とする会員のID情報及び当該会員の位置を特定するための位置特定情報を含む配送要求を通信ネットワークを介して受信する、コンピュータによって機能させられる配送要求受信手段と、前記配送要求受信手段によって受信された配送要求に含まれるID情報に基づいて、前記会員情報記憶手段から当該会員の会員情報を検索する、コンピュータによって機能させられる会員情報検索手段と、前記保管手段に関連して情報を出力するための、前記会員情報検索手段によって検索された会員情報及び当該会員の位置特定情報を出力する配送要求出力手段と、を有することを特徴とする。
請求項35に記載の発明は、請求項34に記載の発明の特徴に加えて、前記位置特定情報に基づいて前記位置情報を求める位置特定手段をさらに有することを特徴とする。
請求項36に記載の発明は、請求項35に記載の発明の特徴に加えて、前記保管手段、及び前記配送要求出力手段は地理的に異なる位置に複数存在し、前記位置特定手段によって特定された会員の位置情報に基づいて、あらかじめ登録された複数の治療施設を含む場所の内から当該会員が治療を受けるべき適切な配送先を特定し、前記複数の保管手段の内の適切な保管手段を配送元として特定する、コンピュータによって機能させられる配送元特定手段と、前記会員情報検索手段によって検索された、会員名を少なくとも含む会員情報、及び前記特定された配送先に関する配送先情報を前記配送元特定手段によって特定された配送元の保管手段に関連する配送要求出力手段に送信する、コンピュータによって機能させられる配送要求転送手段と、を更に有し、及び前記配送要求出力手段は、前記配送要求転送手段によって送信された、会員情報及び配送先情報を出力する、ことを特徴とする。
請求項37に記載の発明は、請求項36に記載の発明の特徴に加えて、前記配送元特定手段が配送元として特定する保管手段は、前記特定された配送先への配送時間が最も小さい地理的位置にある保管手段であることを特徴とする。
請求項38に記載の発明は、請求項34から37のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記会員のID情報を記録し、かつ、当該ID情報を前記通信ネットワークを介して前記配送要求受信手段に送信するID情報記憶手段、を更に有することを特徴とする。
請求項39に記載の発明は、請求項38に記載の発明の特徴に加えて、前記ID情報記憶手段は、前記ID情報を記憶した外部メモリ素子であることを特徴とする。
請求項40に記載の発明は、請求項39に記載の発明の特徴に加えて、前記外部メモリ素子は、前記ID情報記憶手段がコンピュータ端末に接続されたときに会員の前記ID情報を前記通信ネットワークを介して前記配送要求受信手段に送信するためのプログラムをさらに記憶していることを特徴とする。
請求項41に記載の発明は、請求項39に記載の発明の特徴に加えて、前記外部メモリ素子は、前記ID情報記憶手段がコンピュータ端末に接続されたときに当該コンピュータ端末の位置を前記会員の位置として特定するための位置特定情報を前記通信ネットワークを介して前記配送要求受信手段に送信するためのプログラムをさらに記憶していることを特徴とする。
請求項42に記載の発明は、請求項39から42のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記位置情報伝達プログラムは、それが動作しているコンピュータ端末の操作者に位置の入力を促し、入力された情報を位置特定情報として前記配送要求受信手段に送信することを特徴とする。
請求項43に記載の発明は、請求項39から42のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、前記外部メモリ素子は、USBキーの形態であることを特徴とする。
請求項44に記載の発明は、会員の体内から採取され、かつ、採取後に少なくとも治療に必要な量まで増殖させられた当該会員本人への体内投与による生体内損傷部位再生治療のための治療用自己細胞を当該会員毎に区別して保管する保管手段と、前記保管手段に前記治療用自己細胞が保管されている会員と一意的に対応するID情報と、少なくとも会員名を含む当該会員の会員情報とを関連付けて記憶する、コンピュータによって機能させられる会員情報記憶手段と、会員の位置を特定するための位置特定情報を常時的に通信ネットワークを介して受信する、コンピュータによって機能させられる常時位置受信手段と、施設と施設の位置情報とを対応付けて記憶する施設位置記憶手段と、受信された前記位置特定情報から特定される位置情報と前記位置記憶手段に記憶された位置情報とを比較して、会員の位置情報に対応する施設の有無を確認する位置比較手段と、前記位置比較手段によって会員の位置情報に対応する施設があると判断された場合に、当該会員のID情報と位置情報を含む配送要求を発する配送要求発信手段と、前記配送要求発信によって発せられたID情報を取得し、当該ID情報に基づいて、前記会員情報記憶手段から当該会員の会員情報を検索する、コンピュータによって機能させられる会員情報検索手段と、前記保管手段に関連して情報を出力するための、前記会員情報検索手段によって検索された会員情報及び当該会員の位置情報を出力する配送要求出力手段と、を有することを特徴とする。
請求項45に記載の発明は、請求項44に記載の発明の特徴に加えて、前記配送要求発信手段は、配送要求を発する前に、当該会員に対して配送要求を発するかどうかの確認を行うことを特徴とする。
請求項46に記載の発明は、請求項45に記載の発明の特徴に加えて、前記配送要求発信手段は、配送要求を発する前に、施設の専門性指標、時刻の少なくともいずれかを含む二次的指標に基づいて、当該配送要求を発するか否かを判断することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
図1は、治療用自己細胞配送支援システム100の構成を表わすシステム構成図である。
図2は、治療用自己細胞配送支援システム100の典型的な動作を示す動作フロー図である。
図3は、治療用自己細胞配送支援システム100の典型的な動作を示す動作フロー図であり、図2の続きである。
図4は、治療用自己細胞配送支援システム100の典型的な動作を示す動作フロー図であり、図3の続きである。
図5は、治療用自己細胞配送支援システム100の典型的な動作を示す動作フロー図であり、図4の続きである。
図6は、会員登録画面のイメージ図である。
図7は、会費徴収方法選択画面のイメージ図である。
図8は、保険加入画面のイメージ図である。
図9は、説明事項確認画面のイメージ図である。
図10は、事前合意確認画面のイメージ図である。
図11は、アンケート画面のイメージ図である。
図12は、生活アドバイス画面のイメージ図である。
図13は、プロセス通知画面のイメージ図である。
図14は、保険設計例表示画面(1)のイメージ図である。
図15は、保険設計例表示画面(2)のイメージ図である。
図16は、重症脳梗塞(ラット中大脳動脈永久閉塞モデル)に対して間葉系幹細胞(1×10cell)を静脈内投与した結果を画像として示すMRI画像である。
図17は、重症脳梗塞(ラット中大脳動脈永久閉塞モデル)に対して間葉系幹細胞(1×10cell)を静脈内投与した結果を脳梗塞領域の体積として示すグラフである。
図18は、重症脳梗塞(ラット中大脳動脈永久閉塞モデル)に対して間葉系幹細胞(1×10cell)を静脈内投与した結果を障害発生後の生存率の変化として示すグラフである。
図19は、本発明の他の実施形態に係る治療用自己細胞配送支援システム101の構成を表わすシステム構成図である。
図20は、治療用自己細胞配送支援システム100及び101における治療用自己細胞の保管設備30への入庫までの動作を示す動作フロー図である。
図21は、治療用自己細胞配送支援システム101の常時位置通報に関する典型的な動作を示す動作フロー図であり、図3の動作フローを部分的に置換するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
(本発明を適用できる治療用自己細胞による治療の機序)
本発明に係る治療用自己細胞配送支援システムは、治療用自己細胞を使用した外科的手術を必要としない再生医療による治療を支援する。治療用自己細胞とは、会員の体内から未分化の状態で採取された自己細胞を治療に必要な量まで増殖等させたものをいう。治療用自己細胞による治療の機序は以下の通りである。
骨髄中には幹細胞として、造血幹細胞と「間葉系幹細胞(MSC:mesenchymal stem cell)」とがある。ここで「幹細胞」とは、一般に、生体を構成する細胞の生理的な増殖・分化などの過程において、自己増殖能と、特定の機能を持つ細胞に分化する能力とをあわせ有する未分化細胞のことである。造血幹細胞は、赤血球、白血球、あるいは血小板に分化する幹細胞である。間葉系幹細胞は、神経幹細胞を経て神経に分化する場合、神経幹細胞を経ないで直接的に神経に分化する場合、ストローマ細胞を経て神経に分化する場合(ただし効率は悪い)、内蔵に分化する場合、血管系に分化する場合、又は骨、軟骨、脂肪、あるいは筋肉に分化する場合があることが知られている。本発明では、主として間葉系幹細胞を利用するが、造血幹細胞や、体内の他の幹細胞を利用できる可能性があることにも言及しておく。間葉系幹細胞は骨髄から採取された骨髄細胞から分離して得られる。なお、間葉系幹細胞を分離していない骨髄細胞も、有効性は若干劣るものの、間葉系幹細胞と同じように治療に用いることができる。また、間葉系幹細胞に遺伝子操作を加えた細胞や、特定の因子を作用させた細胞も治療に用いることができる。さらには、間葉系幹細胞から分化誘導した細胞、具体的には、神経幹細胞、神経系細胞、赤血球、白血球、血小板、心筋、それらの前駆細胞なども、治療に用いることができると考えられている。
一回の骨髄細胞の採取は、被験者に局所麻酔を施した上で行い、その量は数ml程度が適切である。被験者は、治療用自己細胞配送支援システム100の利用者であり、管理を確実に行うために、所定の手続を経て会員として登録される。治療に用いられる間葉系幹細胞は、免疫反応による拒絶を防止するために、免疫抑制などの特殊な操作を行わない限りは会員本人の体内から採取されたもの、あるいはそれに由来するものに限られる。採取された間葉系幹細胞は、増殖培養することができるため、これを用いる治療に必要な量まであらかじめ増殖させておくことができる。増殖させられた間葉系幹細胞は、凍結などの所定の方法により長期間保存しておくことができ、さらには、必要時には迅速に活性状態に戻してその会員の治療のために使用することができる。
ここで、間葉系幹細胞を利用して、以下のような極めて大きな特徴を有する再生治療を行うことできるという所見が得られている。すなわち、間葉系幹細胞を利用した再生治療では、従来は治療が事実上不可能であった神経系の損傷に対して、間葉系自己細胞を体内に注射・点滴などで体内投与(静脈内投与)するだけで、その損傷部位を再生させることができ、障害を治癒させることができるということである。特に、脳梗塞、脳出血、及び脊椎損傷などによる、神経系の損傷に対して有効であることが確認されており、中でも脳梗塞については厳密な有効性の検証がなされている。更には、心筋梗塞、クモ膜下出血を含む脳卒中、中枢性および末梢性の脱髄疾患、中枢性および末梢性の変性疾患、脳腫瘍、痴呆を含む高次機能障害、精神疾患、てんかん、頭部外傷や脳挫傷や脊髄損傷を含む外傷性の神経系疾患、炎症性疾患、及びヤコブ病を含む脳細胞損傷性の感染性疾患に対してもこの治療は有効である。そのような治療は、所定の治療施設においても、さらには現場においても行うことができる。従来治療ができなかった障害を治癒させることができる点、及びそれが静脈内投与などの簡単な処置によって可能である点を考えてみても、これがいかに画期的な治療法であるのかということがわかる。しかも、神経系の損傷は患者に重大な障害をもたらすものであるため、障害の治癒により患者が得られる恩恵は極めて大きく、ひいては社会的な意義も大きい。この再生治療の医学的な作用機序は、間葉系幹細胞が患部(生体内損傷部位)まで遊走した上でそこに定着し、適切な細胞に分化して、その患部の機能を回復することによるものであると考えられている。このため、神経系の損傷を伴う、あらゆる種類の疾患や事故に効果が得られるものと考えられている。間葉系幹細胞の体内への投与は、静脈への1回の投与が基本であるが、複数回の投与でもよい。また、静脈投与ではなく、局所投与やその他の投与方法(動脈内投与、髄液内投与、脳室内投与)であってもよい。
(間葉系幹細胞の投与による脳梗塞の治療効果)
これから間葉系幹細胞による再生医療によって、どの程度、障害を受けた組織を回復させることができるのかについて、ラットを用いた実験結果を示して説明する。図16は、重症脳梗塞(ラット中大脳動脈永久閉塞モデル)に対して間葉系幹細胞(1×10cell)を静脈内投与した結果を画像として示すMRI画像である。その図では、障害発生から間葉系幹細胞の投与までの経過時間ごとに分けて結果を示している。上段から、無処置、3時間後に治療、6時間後に治療、12時間後に治療、24時間後に治療、及び72時間後に治療の結果の画像である。それぞれ、脳梗塞発生の1週間後におけるMRI検査(TWI)によるものである。画像において、脳梗塞巣は白く描出される。非治療群(最上段)では明確に認められる脳梗塞巣は、脳梗塞後3時間で間葉系幹細胞を静脈内投与した群では、わずかにしか見られない。この治療効果は、治療(移植)が早いほど著明であるが、脳梗塞後24時間以上を経過した時点で治療した場合でも、ある程度の治療効果が見られることは特記すべきことである。治療効果は、神経保護効果と神経再生効果の相乗効果と考察される。脳梗塞後、早期に移植した場合ほど、神経保護効果や抗浮腫作用が強く、また、比較的遅く治療した場合には、相対的に神経保護効果が弱くなるが、そのかわり、神経再生効果が強くなる。
図17は、重症脳梗塞(ラット中大脳動脈永久閉塞モデル)に対して間葉系幹細胞(1×10cell)を静脈内投与した結果を脳梗塞領域の体積として定量的に示すグラフである。その図では、障害発生から間葉系幹細胞の投与までの経過時間ごとに分けて結果を示している。このグラフからわかるように、無処置の場合では約500mmに及んでいた障害部位が、3時間後に治療の場合では200mmにしか及んでおらず、著明な効果が得られている。12時間後までに治療の場合、無処置の場合と比較して、明らかに障害部位の体積が小さくなっている。また、治療が早ければ早いほど、障害部位の体積が小さくなっており、予後が良好であることがわかる。
図18は、重症脳梗塞(ラット中大脳動脈永久閉塞モデル)に対して間葉系幹細胞(1×10cell)を静脈内投与した結果を障害発生後の生存率の変化として示すグラフである。その図では、障害発生から間葉系幹細胞の投与までの経過時間ごとに分けて結果を示している。nはサンプル数である。このグラフから、間葉系幹細胞の静脈内投与による治療は、重症脳梗塞における生存率を著明に向上させることが分かる。同脳梗塞モデルラットは、無治療の場合では90%が死亡するが、間葉系幹細胞を脳梗塞発生後3時間で静脈内投与すると、全例が生存する。治療開始時期が早いほど生存率が高まることが明確に示されている。また治療後の生存率も、画期的な数値である。
(治療用自己細胞による治療支援の概要)
この間葉系幹細胞を利用した再生治療は上述のように極めて画期的な治療法ではあるが、その一方でいくつか制限もある。その制限の一つは、患者自身の体内からあらかじめ採取した幹細胞(あるいはそれに由来するもの)を使用しなければならないということである。しかし最も重要な制限は、患者に障害が発生してから所定の時間内に迅速に治療を行う必要があるということである。障害の発生から治療の開始の時間が遅くなればなるほど、良好な治療効果が得られなくなってくる。ただし、逆にこれは、患者に障害が発生してから治療までの時間が短いと、著効が得られるということでもある。従って、間葉系幹細胞を利用した再生治療においては、患者自身の体内から採取した間葉系幹細胞を、障害の発生からいかに短い時間内に確実に患者のもとに配送することができるか、ということが極めて重大なポイントであり、この再生治療を実施する上での課題である。具体的には、障害の発生から6時間以内、遅くとも72時間以内に治療を行うこと(セラピティック・タイム・ウィンドウズ)が必要とされている。また、障害の発生時に、患者の意識水準や運動・感覚能力が低下する恐れもある。そのような場合にも確実に対処できるように、簡単な操作によって、治療用自己細胞の配送要求を行うことができるようにする必要がある。
治療用自己細胞は、上述のように、一種の会員専用の医薬品のような働きをする。ただし、治療用自己細胞を保管するためには専門の設備が必要である。従って、数多くの会員の治療用自己細胞を適切に保管しておくためには、集中的に管理する専用の施設である保管設備を設けると好適である。会員に障害が発生した場合は、短時間に患者の元に治療用自己細胞を準備する必要がある。そのため、そのような専用施設を地理的に異なる位置に複数設置すると、いずれか一番近いところから治療用自己細胞を配送することでき、好都合である。また、会員が治療を必要とするのは、病気・事故などの障害が発生した緊急時であるため、できるだけ簡単な操作で会員の情報をシステムに伝えることによって配送要求を発することができるようにする。会員からの配送要求を受信したシステムは、適切な交通手段である配送手段に対し、適切な配送元である保管設備から適切な配送先である治療設備等に治療用自己細胞を配送するような配送指令を出す。本発明の一実施形態に係る治療用自己細胞配送支援システム100は、上述の目的に応じた動作を行う。
ここで、治療用自己細胞配送支援システム100に関する費用等に関する事項について説明する。治療用自己細胞配送支援システム100の運営には、治療用自己細胞の保管などのための定常的な維持管理費用、及び治療用自己細胞の配送などのための配送等一時費用が発生し、これは基本的には会員の負担によらなければならない。これらの費用を賄うために、会員から徴収金を会費として集め、それを適切に支出する必要がある。会費は、一月ごと、半年ごとなどのように定期的に徴収することを基本とするが、入会金のような一時払い徴収金を組み合わせてもよい。ある程度のまとまった入会金を徴収するようにすると、運営主体に対しては手持ち資金が潤沢になるという利点などがあり、会員に対しては定期的会費を相対的に低額にすることができるという利点などがある。ある会員に関する支出については、会員個人毎の徴収金から支出するようにしてもいいし、あるいは会員全体の徴収金から支出するようにしてもよい。会員全体の徴収金から支出するようにすると、徴収金は互助的な意味合いをより強く帯びてくる。また会員は、治療用自己細胞による治療を受ける際には治療費用も必要となってくる。従って、会員の治療時の負担を軽減するためには、その治療費用も一時費用の一種として会員からの徴収金から充当するようにすると好適である。この治療費用も、純粋に再生医療に関する部分の費用のみならず、会員の治療全体に関する費用を充当するようにしてもよい。さらには、健康保険の自己負担分なども含めた種々の関連費用の自由な組み合わせについて徴収金から充当できるようにしてもよい。また、この治療費用や関連費用への充当については、会員からの徴収金の少なくとも一部を保険料とする保険等の金融商品を設定し、その保険の保険金をそれに充当するようにすることもできる。このように会費徴収のシステムとは別に保険を独立して設定することによって、必要となった治療についての偶発的費用が、どの程度の事前の自己負担によって互助的に補償されるのかということを、受け取り保険金と支払い保険料の関係として入会希望者に明確に示すことができる。保険料についても、会費と同様に、一時払い、分割払い、又はそれらの組み合わせによって徴収することができる。なお、保険については、治療用自己細胞配送支援システム100は、払い込まれた保険料の詳細な情報までをも必ずしも記憶している必要はないため、保険料が適正に払い込まれていて保険契約が有効に存続しているかどうかの情報だけを管理するようにしてもよい。
また、治療用自己細胞の配送時にかかる配送等一時費用は、配送手段62の種類などによってはかなりの高額になる可能性がある。また、何らかの原因により、ある会員の会費の納入が滞っている場合もあり得る。このような金銭的な裏付けが乏しい場合においても、配送要求を発した会員に対しては確実に治療用自己細胞を配送することが、会員にとって望ましいことである。しかし、どのような場合においても治療用自己細胞の配送を行うということにすると、治療用自己細胞配送支援システム100の運用主体の財政的健全性を損なって、それの正常な運営に支障を来たすおそれもあり、これでは却って会員の不利益につながる場合もあり得る。これを防ぐために、徴収した会費の一部を前払いプール金として積み立てておき、特に配送等一時費用の発生時には、会費の不足分についてはここから支出するということが考えられる。この前払いプール金については、会員個人を単位とするものでも、会員全体をまとめたものでも、あるいはそれらを適宜組み合わせたものであってもよい。このようにすると、治療用自己細胞配送支援システム100の運用主体の財政的健全性と、会員に対する治療の確実性とを両立させることができる。
(実施形態)
これから図面を参照して、本発明の一実施形態に係る治療用自己細胞配送支援システム100について説明する。まず、治療用自己細胞配送支援システム100の構成について説明する。図1は、治療用自己細胞配送支援システム100の構成を表わすシステム構成図である。治療用自己細胞配送支援システム100は、大きく、配送要求部10、配送要求処理部20、保管設備30、通信ネットワーク40、及び会員端末50から構成される。治療用自己細胞配送支援システム100は、配送処理部60に接続されている。治療用自己細胞配送支援システム100は、それの利用者が会員制の組織となっていると好適である。治療用自己細胞配送支援システム100は、会員の体内から未分化の状態で採取され、かつ、採取後に少なくとも治療に必要な量まで増殖させられた会員本人への体内投与による生体内損傷部位再生治療のための治療用自己細胞を保管しておき、会員から発された配送要求に基づいてそれを配送する配送処理部60に指令を出すためのシステムである。
配送要求部10は、ID記憶手段11及び位置通報手段12から構成される。ID記憶手段11は、会員と一意的に対応する会員番号等のID情報を記憶しており、それを出力するための構成要素である。ID記憶手段11は、典型的には、情報を記憶した小型の半導体チップを有し、その情報を出力する通信手段を有する。ID記憶手段11は、好適には、会員が携帯して持ち歩くために適したカード型などの形状を有している。ID記憶手段11は、外部からの読み出し用の無線の信号に応答して、ID情報を通信ネットワーク40へと出力する。ID情報は、治療用自己細胞の配送の要求も表わすものとし、当該会員に対して治療用自己細胞配送支援システム100を起動させる働きもする。なお、ID記憶手段11は、会員の心拍数、呼吸周期、心電図パターン、音声、身体動作などの身体的データをモニターしておき、それらのデータに異常が発生した場合にID情報を自動的に出力するような構成であってもよい。このようにすると、たとえ会員が意識を失ったような場合でも、身体に異常があれば、会員の異常を確実に察知してID情報を送信することができる。この場合、ID記憶手段11が、異常が発生したと判断したときに、一旦、異常が検知された旨を会員に対して出力し、その後、所定の期間内に会員から(実際には異常がないことの)確認の入力がなされなかったことを条件としてID情報を出力するようにすると好適である。このようにすると、会員の身体状況を誤って異常と判断することによる誤作動を防止することができる。
他には、ID情報記憶手段11を会員番号等のID情報を記憶した外部メモリ素子の形態とすることもできる。外部メモリ素子としては、USBキー、SDカード(登録商標)、メモリースティック(登録商標)、などの形態とすることができる。外部メモリ素子の場合、その外面に非常用の表示を付して、本人が発症したときにはこの外部メモリ素子をコンピュータに装着・接続して、治療用自己細胞の配送を受けるための手続を行うような注意書きを記載すると好適である。ID情報記憶手段11は、携帯電話機に内蔵されたメモリ素子の形態とすることもできる。外部メモリ素子は、それがコンピュータに接続されたときに会員のID情報を通信ネットワーク40を介して前記配送要求受信手段に送信するためのプログラムをさらに記憶していると好適である。このプログラムを自動起動するようにしておけば、外部メモリ素子をコンピュータに接続するだけで自動的に会員のID情報を送信することができるようになる。
位置通報手段12は、それの位置情報を出力する構成要素である。位置通報手段12は、典型的には、GPS受信機の機能、あるいは携帯電話会社の位置情報サービスの受信機能を有しており、それによって位置情報を取得し、それを通信ネットワーク40に出力する。位置通報手段12は、好適には会員が携帯して持ち歩くために適した携帯機器型などの形状を有しており、これにより、その位置通報手段12を携帯している会員の位置情報を通信ネットワーク40に送信することができる。位置通報手段12は、会員が音声、ボタン操作などによって自分自身で入力した位置情報を通信ネットワーク40に送信することもできる。なお、会員のID情報及び位置情報は、会員が治療用自己細胞の配送を要求するための基本的情報であるため、配送要求と称することにする。
位置通報手段12を、GPS受信機あるいは携帯電話会社の位置情報サービスの受信機能を有し、それによって取得した位置情報を出力する携帯電話機の形態とすることもできる。このようにすると、極めて普及度が高く、また、外出時に携帯される可能性が高い携帯電話機に位置通報手段12を組み込むことによって、会員が位置通報手段12の携帯を忘れることを防ぐことができる。
なお会員の位置情報は、例えば、緯度、経度で表わされるような直接的な位置の情報である必要はなく、間接的に位置の情報を特定することができるような位置特定情報でもよい。位置特定情報としては、位置通報手段12が所定の場所に設置されたコンピュータ端末を通じて配送要求処理部20と通信する場合に、どのコンピュータ端末から配送要求処理部20に通信してきたのかを特定する端末特定情報を使用することができる。この場合、図示しないが、配送要求処理部20は、コンピュータ端末を特定する端末特定情報と、そのコンピュータ端末が設置された場所との対応関係をあらかじめ記憶しておき、それに基づいて端末特定情報からその端末の設置場所を特定する端末特定手段を有している。位置通報手段12は、それをコンピュータ端末に接続したときに、そのコンピュータ端末を特定する端末特定情報を出力する。位置通報手段12は、前記ID情報記憶手段がコンピュータ端末に接続されたときに当該コンピュータ端末の位置を前記会員の位置として特定するための位置特定情報を前記通信ネットワークを介して前記配送要求受信手段に送信するためのプログラムを含む外部メモリ素子の形態とすることができる。また位置通報手段12が含むプログラムは、コンピュータ端末にそれの端末特定情報が記憶されていない場合は、端末の操作者に位置の入力を促すウィンドウを表示し、入力された情報を位置情報あるいは位置特定情報として配送要求受信手段に送信するためのプログラムでもよい。外部メモリ素子としては、USBキー、SDカード(登録商標)、メモリースティック(登録商標)、などの形態とすることができる。外部メモリ素子の場合、その外面に非常用の表示を付して、本人が発症したときにはこの外部メモリ素子をコンピュータに装着・接続して、治療用自己細胞の配送を受けるための手続を行うような注意書きを記載すると好適であり、また、ID情報記憶手段11と一体の構成であるとさらに好適である。配送要求処理部20は、配送要求受信手段21、会員情報検索手段22、会員情報記憶手段23、合意確認手段24、費用充当要求手段25、配送元特定手段26、配送要求転送手段27、配送指令手段28、及び通信・制御手段29から構成される。それらの形態は、別個の物理的構成を有する必要はなく、サーバなどのコンピュータにおいて所定のプログラムが実行されることによって当該コンピュータが機能させられる構成である。配送要求受信手段21は、配送要求を、通信ネットワーク40を介して受信する構成要素である。配送要求受信手段21は、典型的には、通信ネットワーク40に接続された、通信アプリケーションが実行されているWebサーバなどのサーバの形態とすることができる。配送要求受信手段21は、配送要求を発する配送要求部10との間で自動的に一連の情報の送受信を行うことができ、かつ、受信した配送要求に基づいて自動的に後段に必要な情報を伝達することによって、配送要求処理部20を確実に起動させることができる。配送要求受信手段21は、他には、公衆電話網を通じて送信された音声を解釈することによって得られた配送要求のデータを入力するものであってもよい。
会員情報検索手段22は、会員情報のデータ管理を行う構成要素であり、典型的にはデータベース管理を行うコンピュータの形態である。会員情報は、ID情報、パスワード、氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、治療用自己細胞の保管状況(保管している保管設備30の情報、保管している治療用自己細胞の種類など)、入会時アンケートの結果、保険契約の内容、事前合意の有無、(事前合意がない場合に)治療に合意できる会員の関係者の情報などであり、これらの情報により、会員の確実な登録を行うことができる。さらに会員情報として、顔写真イメージ、指紋パターン、静脈パターン、及び虹彩パターンなどの識別用身体的特徴を表わす会員識別情報を使用することもでき、これらの情報により、会員が意識不明の状態に陥っていても、会員本人であることの確実な識別を第三者が行うことが可能となる。また会員情報に、会員の医学的情報、例えば、血液型、健康診断の結果、既往症やその治療状態、常用薬物、薬物アレルギーなども含めることができ、これらの情報を治療施設に転送することによって、救急治療に有用な情報を現場に伝達することができる。
会員情報記憶手段23は、前記の会員情報を記憶する構成要素である。会員情報記憶手段23は、好適にはデータが格納されたハードディスクドライブなどの形態であり、種々の会員情報を記憶している。合意確認手段24は、ネットワークを通じて、会員から治療の事前合意を得たり、事前合意がない場合に配送時に合意を得る構成要素である。費用充当要求手段25は、金銭の管理を行う構成要素である。費用充当要求手段25は、会員からの会費(及び保険に加入している場合は保険料)の徴収が正常に行われていることをモニターしておき、費用発生時にはその徴収金から当該費用を充当する旨の要求をする。費用充当要求手段25は、治療用自己細胞配送支援システムが金融システムとしての機能を有する場合の追加的構成要素である(請求項では、金融システムとしての機能を有する場合は、治療用自己細胞配送支援金融システムとの名称を使用している。)。
配送元特定手段26は、会員の位置情報に基づいて、あらかじめ登録された複数の治療施設を含む場所の内から当該会員が治療を受けるべき適切な配送先を特定し、複数の保管設備の内の適切な保管設備を配送元として特定する構成要素である。
配送要求転送手段27は、配送元特定手段26によって特定された保管設備30に関連する転送配送要求受信手段31に、配送要求(会員の情報及び配送先の情報)を送信する構成要素である。送信される会員の情報には、識別用身体的特徴を表わす会員識別情報を含めてもよい。配送要求は通信ネットワーク40を介して送信されてもいいし、その他のネットワークを通じて送信されてもよい。なお、保管設備30が1つしか存在しない場合は、配送元特定手段26、及び配送要求転送手段27は必ずしも必要ない。配送指令手段28は、配送処理部60に治療用自己細胞の配送を行わせるために、配送指令受信手段61に、治療用自己細胞の配送指令を送信する構成要素である。なお、配送手段62が複数ある場合には、それの種類及び地理的位置に基づいて、その中から適切なものを選択し、そこに対して配送指令を送信する。通信・制御手段29は、配送要求処理部20の通信ネットワークに対する送受信処理及びその関連の制御を行う構成要素であり、配送処理のプロセスの進行状況を通信ネットワーク40を介して会員端末50に送信したり(プロセス通知手段としての機能)、入会時などにおける各種の情報を会員端末50との間で送受信したりする。会員あるいは会員の関係者は、インターネットなどを通じて、配送処理の進行状況を知ることができる。通信・制御手段29は、配送要求処理部20に含まれるそれぞれの構成要素と接続されており、それらの状況を受信して配送要求処理部20の状況として通信ネットワーク40を介して送信する。
保管設備30は、転送配送要求受信手段31、会員識別情報出力手段32、配送要求出力手段33、及び保管手段34から構成される。保管設備30は、1カ所あるいは地理的に異なる複数の箇所に設置された施設であり、治療用自己細胞の保管・配送基地として機能する。転送配送要求受信手段31は、配送要求転送手段27から送信される配送要求を受信する構成要素であり、典型的には、Webクライアント等のネットワーククライアントの形態である。会員識別情報出力手段32は、配送要求転送手段27から識別用身体的特徴を表わす会員識別情報を受信した場合にそれを出力する構成要素であり、これによって保管設備30内の担当者に対して会員識別のための身体的特徴を知らせる。会員識別情報出力手段32は、典型的には、ディスプレイ、スピーカ等の形態である。配送要求出力手段33は、受信された配送要求を出力する構成要素であり、これによって保管設備30内の担当者に対して、治療用自己細胞の配送を要求している会員の情報及び配送先を出力する。配送要求出力手段33は、典型的には、ディスプレイ、スピーカ等の形態であり、地図等の付加情報もあわせて出力することができると好適である。保管手段34は、治療用自己細胞を保管する構成要素である。保管手段34は、典型的には、会員の治療用自己細胞を所定の容器に収めた上で低温(例えば、液体窒素の常圧での沸点であるマイナス196℃)に保持することによって冷凍保存するための構成を有している。会員の治療用自己細胞は、会員毎にラベリングすることによって厳密に区別して保管される。また、同じ会員の治療用自己細胞であっても、複数の種類の治療用自己細胞を区別して保管しておくこともできる。
通信ネットワーク40は、情報の伝達を媒介する網状組織からなる構成要素であり、典型的にはインターネット、専用線ネットワークなどの情報通信ネットワークの形態である。音声で情報を伝達する場合には、公衆電話網であってもよい。
会員端末50は、通信ネットワーク40に接続され、情報を入出力したり操作したりする構成要素であり、典型的には、Webブラウザを装備したパーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDAなどの携帯端末である。入会希望者、会員、あるいは会員の関係者(会員の家族など)は、この会員端末50を通じて、当該会員に関連する情報の授受を行う。
治療用自己細胞配送支援システム100に接続されている配送処理部60は、配送指令受信手段61及び配送手段62から構成される。配送指令受信手段61は、配送指令手段28からの配送指令を受信して出力する構成要素であり、典型的には、Webクライアント等のネットワーククライアントの形態である。配送指令手段28と配送指令受信手段61とは、通信ネットワーク40を介して接続されていてもよい。配送手段62は、保管設備30内に保管されている治療用自己細胞を病院などの配送先に配送する交通手段であり、典型的には、自動車、二輪車、ヘリコプターなどである。配送指令手段28から出力された配送指令を見た担当者は、配送手段62を使用して保管設備30から治療用自己細胞を配送先へ配送する。
次に図面を参照して、本発明の他の実施形態に係る治療用自己細胞配送支援システム101の構成について説明する。治療用自己細胞配送支援システム101は、治療用自己細胞配送支援システム100に対して、会員の位置情報を常時的にモニターすることによって、会員が病院などの施設に入ったことを自動的に判断することができる点が異なっている。図19は、治療用自己細胞配送支援システム101の構成を表わすシステム構成図である。治療用自己細胞配送支援システム101は、治療用自己細胞配送支援システム100と同じ構成要素を備え、それに対してさらに、常時位置通報手段71、常時位置受信手段72、位置比較手段73、施設位置記憶手段74、及び配送要求確認手段75を含む。治療用自己細胞配送支援システム100と同じ符号の構成要素は、それと同じ構成・機能を有する。
常時位置通報手段71は、それの位置情報を常時的に出力する構成要素である。
前述の位置通報手段12は、会員が配送要求を発するときにそれに位置情報を含ませるために使用されるのに対し、常時位置通報手段71は、会員の常時的な位置を積極的に報知し、当該会員の位置をモニターさせる点で異なっている。常時位置通報手段71は、典型的には、GPS受信機の機能、携帯電話会社の位置情報サービス、アドホックネットワークロケータなどの受信機能を有しており、それによって位置情報を取得し、それを通信ネットワーク40に常時的に出力する。
常時位置通報手段71は、好適には会員が携帯して持ち歩くために適した携帯機器型などの形状を有しており、これにより、その常時位置通報手段71を携帯している会員の位置情報あるいは位置特定情報を通信ネットワーク40に常時的に送信することができる。常時位置通報手段71は、位置通報手段12と同様の構成のものを、動作を常時的に行わせるようにしたものでもよい。この場合、常時位置通報手段71は、位置通報手段12を構成的、機能的に包含するものとすることができる。
常時位置受信手段72は、通信ネットワーク40を介して常時位置通報手段71と接続される。常時位置受信手段72は、常時位置通報手段71から会員の位置情報あるいは位置特定情報を受信し、それを位置比較手段73に伝達する。
位置比較手段73は、常時位置受信手段72から伝達された会員の位置情報を、施設位置記憶手段74に記憶された、病院などの施設の位置情報と比較し、当該会員が位置情報が記憶された施設内にいるかどうかを判断する構成要素である。位置比較手段73は、伝達された位置情報を検索キーとして、当該位置情報から所定の距離内に位置する施設を検索する。施設位置記憶手段74に記憶された位置情報を検索し、施設位置記憶手段74が位置情報を記憶する施設は、治療用自己細胞による治療が可能である病気の治療施設とする。そのような治療施設としては、病気の種類に応じて、緊急病院、総合病院、脳外科病院、などが挙げられる。位置比較手段73は、会員の位置情報が、施設の位置情報と合致すると、当該会員がその施設内に入ったと判断し、配送要求確認手段75にその旨を伝達する。位置比較手段73は、位置以外の二次的指標にさらに基づいて付加的な判断を行い、判定制度を高めることができる。例えば、施設位置記憶手段74は、専門性に応じた専門性指標をそれぞれの病院について記憶しておくこともでき、位置比較手段73は、位置情報の比較時に、それに基づいて配送の要否の高い精度の判定を行うようにすることができる。脳梗塞治療を専門的に行う緊急病院であれば最高値の専門性指標、緊急病院であればそれに次ぐ高い専門性指標、といったような指標とし、専門性指標が高いほど、配送が必要であると判定する確率を高くするようにするなどしてそれを判定の際に用いることができる。また、位置比較手段73は、時刻を判定の指標とすることもできる。例えば、深夜、早朝などであれば、平常時であればそのような時刻に病院に行くことはあまり考えられないために、配送が必要であると判定する確率を高くすることができる。
配送要求確認手段75は、位置比較手段73によって施設内に入ったと判定された会員についての配送要求を発するかどうかの確認を行い、確認後に当該会員の会員のID情報及び位置情報から配送要求を生成して配送要求処理部20に送信し、治療用自己細胞の配送要求を発する。発送要求を発するかどうかの配送要求確認は、種々の方法で行うことができる。例えば、配送要求確認手段75が、会員本人に対して電話やメールなどを自動的に発信してその応答によって配送要求の有無を確認することや、施設の担当者に電話やメールなどを発信してその応答によって配送要求の有無を確認することや、配送要求確認手段75が運営主体側のオペレータに会員の位置情報を出力し、オペレータによって判断された配送要求の入力を受け付けることによって、配送要求の確認を行うことができる。会員本人に対する確認は、常時位置通報手段71と近接して配送要求確認手段75からの配送要求確認を受信して会員に出力する専用の配送要求確認受信手段を設け、そこに配送要求の確認を送信することによって行うこともできる。配送要求確認手段75は、配送要求が発せられたことの確認がされると、配送要求を配送要求処理部20に送信する。配送要求には、会員が入ったと判定された施設の情報を含めることもでき、配送手段62による治療用自己細胞の配送が円滑に行われるように、配送先である施設の情報を伝達することもできる。これから治療用自己細胞配送支援システム100及び101の動作の準備段階である治療用自己細胞の保管のための動作を、動作フロー図を参照しながら説明する。図20は、治療用自己細胞配送支援システム100及び101における治療用自己細胞の保管設備30への入庫までの動作を示す動作フロー図である。図20においては、上段の点線内のブロックが検体(自己細胞)に関するフローを表わし、中段の点線内のブロックが会員情報を記憶する会員情報記憶手段23に関するフローを表わし、下段の点線内のブロックがICタグに関するフローを表わす。ICタグは、検体の容器に貼付され、検体の識別のための検体番号などの情報を記憶する。情報の書き込み及び読み出しは非接触で行われる。図20では、左側の点線内のブロックが病院・研究施設内のフローの部分を表わし、中央の点線内のブロックが移送手段内のフローの部分を表わし、右側の点線内のブロックが保管設備30内のフローの部分を表わす。
まず、自己細胞を採取しようとする会員は、病院・研究施設において、検体(自己細胞)が採取される(ステップS51)。検体は、骨髄から必要量、例えば5ml程度採取される。採取された検体は、治療用自己細胞として適しているかどうかを判断するために生化学的に検査される(ステップS53)。検査された検体の生化学的情報は、会員ID情報に関連付けられて会員情報記憶手段23に記憶される(ステップS55)。検体を識別するための検体番号が、その検体の容器に貼付されているICタグに入力される(ステップS57)。この検体番号は、会員ID情報に関連付けられて会員情報記憶手段23に記憶される。病院・研究施設が保管設備30とは別の場所にある場合には、検体を識別するためにICタグから検体番号を読み出した後(ステップS59)、その検体は自動車等の移送手段により保険設備30へと移送される(ステップS61)。移送された検体は、保管設備30において受け付けられる(ステップS63)。受付時には、ICタグから検体番号が読み出されて照合される(ステップS65)。会員情報記憶手段23に記憶された生化学的な検体情報が出力され(ステップS67)、これ以降の検体の処理のために使用される。検体受付時に、受付日、受付量、細胞種別などの受付情報が、会員情報記憶手段23へと入力されて記憶される(ステップS69)。次に検体から幹細胞が分離され、細胞が調製される(ステップS71)。次に検体は細胞培養され、少なくとも治療に必要な量まで増殖させられる(ステップS73)。必要な量は、典型的には、10個程度である。培養された自己細胞は検査され、治療用として適しているかどうかが判定される(ステップS75)。培養結果の検査結果は、会員情報記憶手段23へと入力されて記憶される(ステップS77)。培養され、検査で治療用として適していると判断された自己細胞は、治療用自己細胞として、それを収容する容器とともに保管手段へと入庫されて凍結保存される(ステップS79)。保管手段は、所定の低温に温度制御された冷凍設備である。保管開始日、保管期限、保管量、細胞種別などの保管情報が会員情報記憶手段23へと入力されて記憶される(ステップS81)。この状態で、治療用自己細胞を長期間保存しておくことができる。
保管設備30において会員から発せられた配送要求が受信されると(ステップS83)、検体番号をICタグから読み出して治療用自己細胞を識別し(ステップS85)、該当する治療用自己細胞が保管手段から出庫され、配送先へと出荷される(ステップS87)。凍結状態からの解凍は、出荷前に行ってもいいし、また配送先に到着した後に解凍を行ってもいいが、好適には、出庫直後から配送中にかけて、専用の携帯解凍機器に入れて温度管理を行いながら解凍を行わせることが望ましい。このようにすると、保存されていた治療用自己細胞を最短の時間で使用できる状態にすることができる。出庫日等の出庫情報は、会員情報記憶手段23へと入力されて記憶される(ステップS89)。
これから治療用自己細胞配送支援システム100(以下、「本システム100」と略する。)の動作を、動作フロー図を参照しながら説明する。図2から図5は、本システム100の典型的な動作を示す動作フロー図である。図6から図15は、主な画面のイメージ図である。まず、会員の入会の受付から、定常時の処理の流れまでについて説明する。入会の受付は典型的にはインターネットである通信ネットワーク40を経由して会員端末50の画面上で行われる。
まず、通信・制御手段29は、本システム100のサービスヘ入会するためのWebサイトをインターネットである通信ネットワーク40を介して提供している。入会希望者が、会員端末50から通信ネットワーク40を介して会員登録のために当該Webサイトを通じて本システム100にアクセスしてくると、通信・制御手段29は、会員登録のための画面を会員端末50に表示させ、それを介して必要な会員情報のデータを取得する(ステップS101)。入会時には、以下のような処理が行われる。まず、本システム100は、会員番号などの会員に一意的に対応するID情報を発番し、入会希望者にパスワードを決定させる。そして、会員の氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、メールアドレスなどの必要項目の入力を促す。図6は、このための会員登録画面のイメージ図である。次に本システム100は、会費の支払方法(月払い、年払い)、入会時一時払い金の有無及びそれの金額、振替口座の銀行名・口座種別・口座番号などの入力のための画面を表示し、入会希望者に入力を促す。図7は、このための会費徴収方法選択画面である。なお、振替口座の入力項目のみならず、クレジットカードなどの他の決済手段についての入力項目を表示させてもよい。また入会時には、治療費用、配送等一時費用などを保険金で支払うための保険の加入画面も表示する。すなわち、ここでは、保険への加入意思の確認が通信ネットワーク40を通じて行われ、かつ、保険の加入に必要な所定の情報の少なくとも一部が通信ネットワーク40を通じて取得される。図8は、このための保険加入画面のイメージ図である。その保険加入画面では、保障内容に応じた複数のコースが選択できるようになっている。例えば、保険料の金額が、5万円、3万円、又は1万円のコースから、選択することができる。また、支払方法(月払い、年払い)、加入時一時払い金の有無及びそれの金額、振替口座の銀行名・口座種別・口座番号(あるいはクレジットカード番号)などの入力も行うことができる。ここで、保険のコースとして、保険金の限度額については、治療費用が50万円、配送等一時費用が30万円で、保険料については、5万円のコース、同様に、それぞれ30万円、20万円、及び3万円のコース、10万円、6万円、及び1万円のコースが提供されているとする。それぞれのコースについて、保険への加入を促進するために、保険への加入時と未加入時における、保険料、配送要求を行った場合の費用(事故時の対応費用や治療費)、及び保険金の典型的な設計例を表示し、保険加入のメリットを印象付けて保険の加入を促進するようにすると好適である。図14は、このための保険設計例表示画面(1)のイメージ図であり、図15は、このための保険設計例表示画面(2)のイメージ図である。なお、ここでの事故時の対応費用には配送費用が含まれるが、その配送費用は、入会希望者の住所、最も近い保管設備30の所在位置、配送手段62の種類などから所定の計算によって求めたものであると好適である。
入会時には、問診を兼ねて、所定のアンケートを実施すると好適である。図11は、このためのアンケート画面のイメージ図である。アンケートにおいては、この治療用自己細胞による治療が可能な疾病・事故についてのリスク・ファクターを項目とする。項目は、例えば、職業、起床時間、就寝時間、仕事時間、仕事の内容、飲酒量、タバコの有無、食事内容、運動時間、ストレス度、脳梗塞の既往、脳卒中の既往、脳卒中の家族歴、年齢、性別、糖尿病の既往、高血圧の有無、高脂血症の有無、タバコの常用、酒の常用、ピルの常用、肥満度、などである。それぞれのアンケート項目は、所定のリスク寄与度が与えられており、アンケートの入力結果とリスク寄与度とから計算によって、脳梗塞危険度を算出することができる。ここで、このアンケート結果(すなわち、脳梗塞危険度)に応じて、保険の料率を変更することも可能であるが、そのような差別化を行わなくてもよい。さらに、アンケート結果に応じて危険度や生活アドバイスなどを表示して簡単なカウンセリングを実施することによって、会員の生活態度を正すとともに、危険度を低減させることもできる。このように、脳梗塞危険度や生活アドバイスなどのフィードバックを行うと好適である。図12は、このための生活アドバイス画面のイメージ図である。その図では、脳梗塞危険度が「B」と評価されている。さらに、脳梗塞危険度が高い場合などに、脳ドックなどの検査の案内や申込画面などを表示するようにすることもできる。なお、生活アドバイスの効果によって危険度を低くすることができると、徴収金から配送等一時費用として支出される金額が小さくなり、徴収した会費や保険料に余裕を持たせることができる。
次に、合意確認手段24が、治療用自己細胞による治療についての説明事項を会員端末50に表示させ、治療についての合意を会員の情報の一部として取得する(ステップS103)。ここでの合意は、障害発生時(病気や事故)には会員の状態にかかわらず治療を開始してもよい、という積極的な治療意思を含めてのインフォームド・コンセントである。ここで、事前にそのような治療意思の確認をすることによって合意を取得しておくことは、会員が障害発生時に意識が低下する可能性を考慮すると、非常に重要なことである。なお、説明事項の表示の際には、一つ一つの説明事項にチェック欄を設けてチェックをさせたり、説明中の重要なキーワードの入力を求めたり、文節を並べ替えて説明事項を再現させたりして、入会する人の確実な説明の理解を促すようにすると好適である。図9は、チェック欄を設けた、このための説明事項確認画面のイメージ図である。ここで、会員から治療意思についての合意が得られなかった場合には、合意確認手段24は、治療に代理承認者として合意できる会員の関係者についての情報(氏名、住所、電話番号(緊急連絡先)、メールアドレス、続柄など)の会員端末50からの入力を促す(ステップS105)。会員の関係者とは、例えば、会員の家族、会社の関係者、主治医など、会員の健康に一定の責任を有している者である。障害発生時に会員本人の意思確認ができない場合、これらの関係者からの(本人代理としての)合意により治療を開始してもよいということを事前に確認しておくことによって、障害発生時にはこれらの関係者に連絡して合意を確認することができる。図10は、事前合意の有無の確認と、代理承認者の入力を行うための、事前合意確認画面のイメージ図である。
上記のステップで取得した会員の情報は、会員情報検索手段22によって会員情報記憶手段23に記憶させられる(ステップS107)。入会した会員は、所定の病院等の施設で治療用自己細胞を採取し、治療に必要な量まで増殖・培養した後に保管手段34に保管する(ステップS109)。治療用自己細胞としては、間葉系幹細胞(MSC:mesenchymal stem cell)を骨髄から採取する。すなわち、まず、採取後の骨髄細胞から間葉系幹細胞を分離する。分離した間葉系幹細胞は、治療に必要な量まで、典型的には1×10から1×10個程度の量にまで増殖させる。増殖させた間葉系幹細胞は、数十cc程度の溶液に浮遊させた状態に調整する。これは、そのまま患者の体内に投与できる状態でもある。その後、プログラムフリーザーによって目的温度まで下げ、液体窒素を満たした保存容器内で保管する。なお、間葉系幹細胞に遺伝子操作を加えたり、特定の因子を働かせたりしてもよい。また、間葉系幹細胞から分化誘導させた細胞、具体的には、神経幹細胞、神経系細胞、赤血球、白血球、血小板、心筋、それらの前駆細胞などを治療用自己細胞とすることもできる。この際、基本的には、あらゆる細胞への誘導が将来的に可能となることが見込まれている。従って、治療用自己細胞は複数の種類であってもよく、この場合、保管手段34はそれら複数の種類を区別して保管する。保管手段34は、保管設備30及び保管手段34が、地理的に異なる複数の場所にある場合には、会員の住所等を考慮して、最も近い保管手段34を選択すると好適である。最も近い保管手段34とは、距離が最小のものであってもよいし、交通手段、交通経路を考慮して、最短の時間で結ばれる、配送時間が最小の地理的位置にあるものであってもよい。もちろん、すべて、あるいは複数の保管設備30を使用してもよい。出張などに備えて、それまでに使用していなかった保管設備30を一時的に使用してもよい。また、会員の転勤・引越しなどにより居住地が移動した場合は、治療用自己細胞を、新しい居住地に近い保管設備30に移動させてもよい。このような移動は、会員が登録された住所などの変更のためにインターネットを通じて本システム100にアクセスしてきたときに、新しい保管設備30の候補を表示して選択させ、それが選択されたことを契機として行うようにすると好適である。
保管の作業が終わると、会員情報検索手段22が、ある会員の治療用自己細胞がどの保管設備30に保管されているのかを会員情報記憶手段23に記憶させる(ステップS111)。その後、費用充当要求手段25が、維持管理費用の会費の徴収処理及び保険料の払込処理を行う(ステップS113)。すなわち、会費については、会費の徴収が正常に行われており、保険については払込が正常に行われていることを、通信・制御手段29を介して関連する情報を受信して確認する。費用充当要求手段25は、徴収した会費から維持管理費用への充当を通信・制御手段29を介して関連する要素に定期的に要求する(ステップS115)。すなわち、例えば月1回の割合で、徴収会費用の口座から、本システム100の運営主体外の維持管理費用用の口座に振込あるいは振替することによって支出する要求をする。維持管理費用が振込あるいは振替にて送金された維持管理費用用の口座の運営主体は維持管理費用の入金が完了した旨の処理を行う(ステップS117)。費用充当要求手段25は、徴収した会費から維持管理費用を減じた金額の一部を、前払いプール金として積み立てる処理を行う(ステップS119)。すなわち、例えば月1回の割合で、徴収会費用の口座から、前払いプール金用の口座に振込あるいは振替することによって支出する要求をする。
次に、会員の障害発生時における流れについて説明する。配送要求部10は、会員の心拍数、呼吸周期、心電図パターン、音声、身体動作などの身体的データモニターを備えており、それは身体的データに所定の異常が検出された場合に、障害発生と判断して配送要求部10を起動させる(ステンプS151)。この場合、脳梗塞などの、本発明が対象とする所定の疾病に特に特徴的な異常を検出するようにしておくと好適である。ここで、誤作動を防止するために、前記身体状況のデータに異常が検出された場合に一旦その旨を出力し、それから所定の時間内に確認の入力がなされなかったことを条件として配送要求を送信するようにしてもよい。また、会員が手動によって配送要求部10を起動させることもできる。脳梗塞は、それが発生する脳の場所、その程度により、軽症から重症に至るまで症状は多彩であるが、運動麻痺、感覚障害、意識障害、失語、痴呆、不随意運動、心臓停止(死亡)などが中心的な症状である。しかし、脳梗塞の場合は、障害発生後も患者の意識は保たれるのが普通であるため、会員が手動によって配送要求部10を起動する構成をとることによっても、障害の発生した会員は、ほとんどの場合、確実に配送要求部10を起動させることができると考えられる。配送要求部10に含まれる位置通報手段12は、当該会員の位置情報を取得する(ステップS153)。位置情報は、会員の手入力、GPS信号の受信、携帯電話会社の位置情報サービスのような地上無線局からの信号の受信によって取得する。ID情報記憶手段11は、それが記憶しているID情報を読み出し、配送要求処理部20に向けて通信ネットワーク40に対して出力する(ステップS155)。出力は、読み出し無線信号に応答して無線で行うと好適である。この際に、位置情報も送信され、これによって会員の身辺から配送要求が送信される。
送信された会員のID情報及び位置情報を、配送要求受信手段21が受信する(ステップS157)。これによって配送要求処理部20が起動させられる。会員のID情報及び位置情報は、1回のデータの送受信動作によって伝達されるものであっても、複数回のデータの送受信動作によって伝達されるものであってもよい。ここで、配送要求受信手段21が配送要求部10からの配送要求に応じて配送要求処理部20を確実に起動させるためには、まず、配送要求受信手段21自体が、受信したデータに応答して自律的に起動しなければならない。このためには、配送要求受信手段21は、受信するデータを常にモニターしており、その中から配送要求を弁別しなければならない。そのための手法としては、配送要求受信手段21は通信ネットワークとの配送要求専用の接続部(WWWにおいてはURLなどのアドレスで特定される接続部、電子メールにおいてはメールアドレスで特定される接続部、電話回線においては電話番号で特定される接続部、など)を通じてのみ受信を行うこととし、そのアドレスに送信されてきたデータは必ず配送要求であることとすることが考えられる。この場合、配送要求受信手段21は、データを受信したことのみによって配送要求を発しようとする配送要求部10があると判断し、受信したデータの発信元の情報を参照して、その発信元である配送要求部10に続く会員のID情報及び位置情報の送信許可信号を送る。データの発信元の情報は、通信がWWWを通じたものであれば、データを伝達するHTTPセッションのヘツダー部分などに含まれる。通信が、電子メールによるものであれば、発信元メールアドレスに発信元の情報が含まれる。通信が、電話回線を通じたものであれば、例えばナンバーディスプレイサービス(関連技術としては、特開2003−18634号公報などを参照する。)を利用して発信元の情報を取得することができる。
配送要求部10は受信した送信許可信号に応答して、会員のID情報及び位置情報を配送要求受信手段21に送信する。配送要求受信手段21は、これによって確実に会員のID情報及び位置情報を含む配送要求を受信することができ、後続の処理を行うような指令をコンピュータに出すことによって、配送要求処理部20の一連の動作を起動させることができる。なお、上記の動作の例は、送信許可信号を使用することによって、2回以上のデータの送信によって配送要求の全体を伝達するものであるが、1回の送信データに配送要求の全体の情報を含めることによって、1回の送受信動作によって配送要求の全体を伝達するようにしてもよい。
あるいは、配送要求受信手段21は、特定の接続部であって、配送要求専用ではない接続部を通じて受信を行うこととすることも考えられる。この場合、そのアドレスに送信されてきたデータから配送要求を特徴付ける所定のデータ(ヘツダー情報など)を検出することによって配送要求が送信されてきたことを判断するようにすることも考えられる。
受信したID情報に基づいて、会員情報検索手段22が会員情報記憶手段23から当該会員の情報を検索する(ステップS159)。すなわち、ID情報を検索キーとして、当該会員の治療用自己細胞に関する情報が読み出される。次に、合意確認手段24が、ステップS103において当該会員の治療に対する事前合意が得られているかどうかを確認する(ステップS161)。事前合意が得られている場合は、ステップS165に進行する。一方、事前合意が得られていない場合は、会員本人(会員に意識がある場合)又は会員の関係者(会員に意識がない場合)による、会員の治療についての合意を、通信ネットワーク40を介して会員端末50から取得し(ステップS163)、その後にステップS165に進行する。
次に、費用充当要求手段25が、会費不足分の有無があるかどうか、すなわち会費の入金が滞っていないかどうかを会員情報検索手段22に会員情報記憶手段23から必要な会員の情報を検索させて確認する(ステップS165)。ここで、会費に不足がある場合には、費用充当要求手段25が、前払いプール金からの会費不足分の充当を要求する。すなわち、前払いプール金用の口座から、徴収会費用の口座に振込あるいは振替することによって支出する要求をする(ステップS167)。これによって、会費が不足していることによる会員登録抹消の危険性を回避し、会員は万一会費納入に不備があっても、障害発生時に確実に治療用自己細胞による治療を受けることができる。その後、ステップS169に進行する。一方、ステップS165で会費の不足がないことが確認された場合は、そのままステップS169に進行する。次に、費用充当要求手段25が、配送等一時費用の徴収会費からの充当を要求する(ステップS169)。すなわち、徴収会費用の口座から、配送等一時費用用の口座に振込あるいは振替することによって支出する要求をする。配送等一時費用が振込あるいは振替にて送金された配送等一時費用用の口座の運営主体は、維持管理費用の入金が完了した旨の処理を行う(ステップS171)。費用充当要求手段25は、会員情報記憶手段23に記憶された保険契約の内容に基づいて、配送要求に係る治療に対して保険が適用されるか否か、すなわち保険が有責か無責かを判断する(ステップS173)。費用充当要求手段25が保険は無責であると判断し、保険金が支払われない場合、通信・制御手段29は、その旨を通信ネットワーク40を通じて会員端末50に送信し、会員又は会員の関係者にその旨を通知する(ステップS175)。これは、保険金が支払われない場合には会員に多額の一時的な費用が発生するおそれがあるため、治療に先立ってそれを注意喚起のために早期に通知するものである。さらには、保険金でカバーされない治療費用について、それの支払意思を事前に示す機会を会員又は会員の関係者に与えることによって、治療費用の支払意思を病院が確認できないことにより障害発生時に治療用自己細胞による治療が受けられないという危険性を小さくするためでもある。その後、ステップS177に進行する。一方、ステップS173で保険が有責であることが確認された場合は、そのままステップS177に進行する。次に、費用充当要求手段25が、診療費用に充当されるべき保険金の支払を要求する(ステップS177)。なお、ここでは、契約者サイドの合意を支払の要求の前に取り付ける処理があってもよい。すなわち、費用充当要求手段25が、保険会社のコンピュータに当該会員及び保険を特定する情報などを送信し、保険金の支払処理を行うことを要求する。保険金の支払要求を受信した保険会社のコンピュータは、保険金の支払処理を実行する(ステップS179)。費用の充当の要求や保険金の支払の要求は、治療用自己細胞による治療が開始された後に一括して行ってもよいが、このように、それらを配送要求を受け取ってから逐次的に短時間で行うことによって、金銭的な裏付けを関連の機関に早期に与えることができ、システムを極めて円滑に運用することができる。
配送元特定手段26が、会員の位置情報に基づいて、あらかじめ登録された複数の治療施設を含む場所の内から当該会員が治療を受けるべき適切な配送先を特定し、複数の保管設備の内の適切な保管設備を配送元として特定する(ステップS181)。このステップの詳細な動作は以下の通りである。まず配送元特定手段26は、会員の位置情報に基づいて、あらかじめ登録された配送先の中から、その会員の位置に近い適切な配送先を特定する。配送先は、治療用自己細胞による治療を受けられる場所であり、所定の病院などである。特定した配送先は、通信ネットワーク40を介して会員端末50などの会員側に送信して通知すると好適である。こうすると、障害発生状態にある会員を、治療用自己細胞が配送されてくる配送先の病院等に確実に搬送することができる。なおこの配送先は、会員が特定した上で、配送要求処理部20に対して送信してきてもよい。次に配送元特定手段26は、その会員の治療用自己細胞を保管している保管手段30の中からその特定された配送先への距離が最も小さい保管設備30を配送元として特定する。より好適には、配送先への到達時間が最も短い、すなわち配送時間が最も小さい保管設備30を配送元として特定する。その到達時間を算出する際には、適切な配送手段62を選択した上で、その配送手段62が使用する経路の混雑状況などを勘案すると好適である。
配送要求転送手段27は、配送元の保管設備30に関連する転送配送要求受信手段31に、会員の情報及び配送先の情報からなる配送要求を送信する(ステップS183)。転送配送要求受信手段31によって受信された配送要求は、配送要求出力手段33によって担当者に向けて出力される(ステップS185)。担当者は、出力された配送要求を見て、その配送要求に係る会員の治療用自己細胞を保管手段34から準備する。
配送要求転送手段27は、配送元の保管設備30に関連する転送配送要求受信手段31に、配送要求に係る会員の識別用身体的特徴のデータも送信する(ステップS187)。転送配送要求受信手段31によって受信された識別用身体的特徴のデータは、会員識別情報出力手段32によって担当者に向けて出力される(ステップS189)。出力された識別用身体的特徴のデータは、顔写真イメージ、指紋パターン、静脈パターン、又は虹彩パターンなどの、会員を他者が見て会員本人であることを客観的に識別できる身体的特徴であり、その情報を携えて治療用自己細胞を配送先に配送することにより、会員が意識を失っている場合でも、配送先において確実に当該会員本人であることが確認される(ステップS189)。なお配送要求転送手段27は、配送元の保管設備30に関連する転送配送要求受信手段31に、会員情報に含まれる当該会員の医学的情報(血液型、健康診断の結果、既往症やその治療状態、常用薬物、薬物アレルギーなど)を送信することもできる。
配送指令手段28は、治療用自己細胞を配送する配送手段62を会員の位置情報に基づいて特定し、その配送手段62に関連する配送指令受信手段61に配送指令を送信する(ステップS191)。具体的には、配送指令手段28は、すべての配送手段62の種類(自動車、二輪車、ヘリコプターなど)及び所在位置をあらかじめ記憶しており、会員の位置情報に基づいて会員の近傍の配送手段62を実際に配送するものとして特定する。より精密には、配送元及び配送先の情報に基づき、配送手段62の基地(配送処理部60)から配送元を経由して配送先に到達するまでの時間が最小となるような配送手段62を選択するとよい。そして、そのようにして特定された配送手段62に関連する配送指令受信手段61に、配送元、配送先などを情報として含む配送指令を送信する。配送指令が配送指令受信手段61によって受信されると、配送手段62の運転者はその配送指令を知ることができ、配送手段62を運転して配送元の保管手段34から配送先まで、配送要求に係る治療用自己細胞を配送する(ステップS193)。配送手段62は、凍結保管されている治療用自己細胞を保管状態のまま配送するが、好適には、配送先に到着する予定時刻には治療のために使用可能となるように、配送中に解凍していてもよい。
治療用自己細胞を受け取った治療施設では、治療用自己細胞を解凍して体内投与できる状態に戻した後、会員の体内に点滴等で投与する。障害の発生から投与までの時間が短いほど、著明な効果が得られることは前述した通りである。そして、本発明に係る本システム100の支援を受けた適切かつ迅速な配送により、会員のもとに早期に治療用自己細胞を届けることができる。これによって、会員に対する治療効果は飛躍的に高まることになる。
通信・制御手段29が、配送要求処理部20の状況を通信ネットワーク40を介して会員端末50に送信する(ステップS195)。具体的には通信・制御手段29は、配送要求の受信時間、配送要求が送信された場所(会員の位置情報)、配送元として特定された保管設備、配送先の施設、配送指令手段28によって特定された配送手段、配送の状況(出発準備中、出発完了、移動中(順調)、移動中(混雑)、配送完了など)、配送元の出発時間、配送先への到着予定時間(配送手段62の種類、距離、経路の混雑状況などから計算によって求める。また配送手段62からの連絡により、リアルタイムに修正することもできる。)、治療合意の有無、保険適用の有無(有責か無責)などの情報を会員端末50に送信する。図13は、このためのプロセス通知画面のイメージ図である。このステップは上記の各ステップと並行的に動作しており、これによって配送要求処理部20の動作状況、すなわち治療用自己細胞の配送作業の進行状況を会員の関係者がリアルタイムに把握できる。
次に、本発明の他の実施形態に係る治療用自己細胞配送支援システム101(以下、「本システム101」と略する。)の動作を、動作フロー図を参照しながら説明する。図21は、治療用自己細胞配送支援システム101の常時位置通報に関する典型的な動作を示す動作フロー図であり、図3の動作フローを部分的に置換するものである。本システム101は、本システム100とほぼ同様の動作を行うが、本システム100におけるステップS151からS155の動作に代えて、図21に示すステップS201からS209の動作を行う点が相違する。従って、その相違点の動作について説明する。
会員は、常時位置通報手段71を常時的に携帯している。常時位置通報手段71が、会員のID情報及び位置情報を通信ネットワーク40を介して常時的に常時位置通報手段72に通報する(ステップS201)。位置比較手段73が、会員の位置情報に対応する施設の有無を、会員の位置情報を施設位置記憶手段74に記憶された病院などの施設の位置情報と比較して当該会員が位置情報が記憶された施設内にいるかどうかを判断することによって確認する(ステップS203)。施設が無い場合は、ステップS201に戻る。施設があった場合は、会員に緊急事態が発生している可能性があるため、配送要求が必要かどうかをさらに確認するために次のステップに進む。次のステップでは、位置比較手段73が、二次的指標により配送の要否を判定する(ステップS205)。二次的指標は、施設の専門性に応じた専門性指標、時刻などとすることができる。施設の専門性指標が高いほど、配送が必要であると判定する確率を高くする。また、時刻が、深夜、早朝などであれば、配送が必要であると判定する確率を高くする。配送が不要と判断されればステップS201に戻る。配送が必要であると判断されれば、実際に配送要求を発するかどうかを確認するために、次のステップに進む。次のステップでは、配送要求確認手段75が、配送要求を発するかどうかを確認する(ステップS207)。配送要求を発するかどうかの確認は、本人、施設の担当者、運営主体側のオペレータ、などに対して行うことができる。本人に対しては、あらかじめ会員情報に登録されている電話番号やメールアドレスに基づいて、電話やメールを発信して確認することができる。施設の担当者に対しては、施設位置記憶手段74に、それぞれの施設の電話番号やメールアドレスなどを記憶させておき、それを読み出すことによって、電話やメールを発信して確認することができる。これにより、会員本人が応答できないような状況の場合でも、確実な状況の把握が可能となり、配送要求を発するかどうかの確認を適切に行うことができる。運営主体側のオペレータに対しては、配送要求確認手段75が会員の位置情報を出力し、オペレータの判断に基づく配送要求の入力を受け付けることによって、配送要求の確認を行うことができる。なおここで、オペレータは施設の担当者に連絡をして確認することもできる。配送要求をしないことが確認されればステップS201に戻る。配送要求をすることが確認されれば次のステップに進む。
次のステップでは、配送要求確認手段75が通信ネットワーク40を通じて配送要求処理部20に対して配送要求を発する(ステップS209)。なお、この配送要求には、会員が入ったと判定された施設の情報、例えば施設の名前、電話番号、周辺の地図などを含めることもでき、配送手段62による治療用自己細胞の配送が円滑に行われるように、配送先のそのような情報を伝達することもできる。これによって、当該会員に対する治療用自己細胞の配送要求が発せられることになる。以下、本システム100のステップS157以下と同じステップが進行する。
この実施形態によると、会員が自発的に配送要求を発しなくても、その会員の位置をモニターすることによって、会員に対して治療用自己細胞の配送が必要かどうかを自律的に判断することができる。
なお、常時的に通報する会員の位置情報は、直接的な位置情報である必要はなく、間接的に位置の情報を特定することができるような位置特定情報でもよい。位置特定情報としては、例えば、施設にあらかじめ受信機を設置しておき、会員の常時位置通報手段71からの信号をどの受信機が受信したのかという受信機特定情報でよい。この場合、その受信機が設置されている施設の位置はあらかじめ分かっているため、受信機特定情報とその施設の位置情報とをあらかじめ記憶しておくことによって、どの受信機が受信したのかという受信機特定情報が分かると、その受信機が設置されている施設を特定できるからである。
本発明によると、会員から採取した治療用自己細胞を保管手段に保管しておき、会員からのID情報及び位置情報を含む自己細胞の配送要求を受信し、ID情報に基づいて会員情報を検索し、配送元の保管設備から配送先の施設に自己細胞を配送するための会員情報と位置情報を出力するため、緊急の障害に対して迅速な体内投与によって治療効果を発揮する保管された自己細胞を使用した再生医療を効果的に支援することができるという効果が得られる。他には本発明によると、保管手段が地理的に異なる位置に複数存在し、配送要求に含まれる会員の位置情報に基づいて配送時間が最も短い保管手段を選択するため、各地に分散配置された保管手段のうちで最寄りのものから最短の配送時間で自己細胞を配送することができるという効果が得られる。他には本発明によると、手動あるいは自動でID情報を送信するID情報記憶手段によって、簡単な操作により、あるいは身体状況のデータのモニターにより自動的に配送要求を発することができるため、会員が緊急状況にあるときや意識水準や運動・感覚能力が低下したときでも、確実に配送要求を発することができるという効果が得られる。他には本発明によると、前記身体状況のデータに異常が検出された場合に一旦その旨を出力し、それから所定の時間内に確認の入力がなされなかったことを条件としてID情報を通信ネットワークに送信するため、患者の意識が低下した場合に備えて、誤作動を防ぎながらも、自動的に配送要求を発することができるという効果が得られる。他には本発明によると、会員の位置をGPSなどを使用して自動的に取得し、配送要求に含めて送信することができるため、会員の正確な位置を知ることができ、配送元及び配送先を確実に特定できるという効果が得られる。他には本発明によると、会員の識別用身体的特徴データを記憶しておき、それを会員情報として配送元に提供するために、たとえ会員に意識がない場合であっても、第三者が会員本人であることを確実に識別できるという効果が得られる。他には本発明によると、会員の事前合意を取得することができるため、緊急時に会員に意識がない場合であっても、治療をする許可をあらためて取る必要なく、治療を開始できるという効果が得られる。他には本発明によると、地理的に異なる位置に存在する複数の配送手段の中から適切な配送手段を特定し、そこに配送指令を送信するために、配送元から配送先への配送時間が最短となる配送手段を選択して配送を開始させることができるという効果が得られる。他には本発明によると、配送要求の受信時間、配送要求に含まれる位置情報、配送元として特定された保管手段、特定された配送先、特定された配送手段、配送の状況、配送元の出発時間、配送先への到着予定時間、治療合意の有無、保険適用の有無などを通信ネットワークを介して送信するため、会員あるいは会員の関係者は、配送プロセスの進行状況をリアルタイムに確認することができるという効果が得られる。他には本発明によると、入会意思の確認、会員情報の取得、アンケートの入力、アンケートのフィードバックを通信ネットワークを通じて行うため、入会、会員登録、入会時の調査、及びその調査に基づくアドバイスといった一連の手続をインターネットなどを通じて行うことができるという効果が得られる。他には本発明によると、配送要求のための通信ネットワークとの専用の接続部を有するために、データを受信したことによって配送要求が送信されてきたと判断して、確実にシステムを起動させることができるという効果が得られる。他には本発明によると、通信ネットワークとの接続部を有しており、受信したデータから配送要求を特徴付ける所定のデータを検出することによって前記配送要求が送信されてきたと判断して、確実にシステムを起動させることができるという効果が得られる。他には本発明によると、短時間で配送される治療用自己細胞によって、心筋梗塞、クモ膜下出血を含む脳卒中、中枢性および末梢性の脱髄疾患、中枢性および末梢性の変性疾患、脳腫瘍、痴呆を含む高次機能障害、精神疾患、てんかん、頭部外傷や脳挫傷や脊髄損傷を含む外傷性の神経系疾患、炎症性疾患、及びヤコブ病を含む脳細胞損傷性の感染性疾患の治療を行うことができるという効果が得られる。他には本発明によると、治療用自己細胞を、会員の体内から未分化の状態で採取された間葉系幹細胞に遺伝子操作を加えたものや、会員の体内から未分化の状態で採取された間葉系幹細胞を分化誘導させたものとすることにより、幅広い再生医療が可能になるという効果が得られる。
他には本発明によると、会員から徴収した徴収金からの、定常的に発生する維持管理費用への定期的な充当、及び配送要求に伴って発生する配送等一時費用への充当を要求するため、徴収金から定常的支出と偶発的支出とを適切に充当することができ、財政的な裏付けを有するシステムの運営を行うことができるという効果が得られる。他には本発明によると、配送要求に関連する治療費用への徴収金からの充当を配送要求に応じて要求するため、システムの運営のみならず、治療に要する費用も一括して徴収金から充当することができるという効果が得られる。他には本発明によると、配送要求に関連する治療費用への徴収金からの充当を、徴収金の少なくとも一部を保険料とする保険からの保険金の支出として配送要求に応じて要求するため、治療についての偶発的費用がどの程度の事前の自己負担によって互助的に補償されるのかということを、受け取り保険金と支払い保険料の関係として明確に示すことができるという効果が得られる。他には本発明によると、保険契約が有責か無責かを事前に確認し、無責である場合には通信ネットワークを通じて無責である旨を通知するため、費用を準備するための機会を早期に与えることができるという効果が得られる。他には本発明によると、保険への加入意思の確認、加入者の情報の取得を通信ネットワークを通じて行うため、保険加入のための一連の手続をインターネットなどを通じて行うことができるという効果が得られる。他には本発明によると、前記保険への加入時と未加入時のそれぞれについて、保険料を含む徴収金、配送要求を行った場合の費用、及び保険金を含む典型的設計を通信ネットワークを通じて送信するため、保険の内容を確認する機会を与え、配送要求を行った場合の保険の有利さを印象付けることができるという効果が得られる。
他には本発明によると、治療のために治療用自己細胞の配送先への配送を必要とする会員のID情報及び当該会員の位置を特定するための位置特定情報を含む配送要求を通信ネットワークを介して伝達するため、会員の位置の情報を直接的に伝達しなくても、当該会員のもとへ治療用自己細胞を配送することによる自己細胞を使用した再生医療を効果的に支援することができるという効果が得られる。他には本発明によると、位置特定情報に基づいて位置情報を求めることによって、会員の位置情報を確実に特定することができるという効果が得られる。他には本発明によると、会員のID情報をUSBキーなどの外部メモリー素子に記憶させ、好適にはさらに、コンピュータ端末に接続されたときに会員のID情報を通信ネットワークを介して伝達するためのプログラム、又は、接続されたコンピュータ端末の位置特定情報を通信ネットワークを介して伝達するためのプログラムをその外部メモリ素子に記憶させることによって、会員が携帯しやすいデバイスを、会員やその会員の位置を特定するために機能させることができるという効果が得られる。他には本発明によると、外部メモリ素子をUSBキーの形態とすることによって、広範な汎用性を有し、かつ、携帯性に優れたUSBキーを会員やその会員の位置を特定するために機能させることができるという効果が得られる。他には本発明によると、会員の位置情報を常時的にモニターすることによって、会員に対して治療用自己細胞の配送が必要かどうかを自律的に判断することができるという効果が得られる。他には、本発明によると、常時的にモニターされた位置に加えて、会員に対する配送要求の有無の確認や、施設の位置情報、時刻などの二次的指標に基づいて配送要求の有無を判断することによって、配送要求の有無の判断の精度を高めることができるという効果が得られる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
会員の体内から採取され、かつ、採取後に少なくとも治療に必要な量まで増殖させられた当該会員本人への体内投与による生体内損傷部位再生治療のための治療用自己細胞を当該会員毎に区別して保管する保管手段と、
前記保管手段に前記治療用自己細胞が保管されている会員と一意的に対応するID情報と、少なくとも会員名を含む当該会員の会員情報とを関連付けて記憶する、コンピュータによって機能させられる会員情報記憶手段と、
治療のために前記治療用自己細胞の配送先への配送を必要とする会員のID情報及び当該会員の位置情報を含む配送要求を通信ネットワークを介して受信する、コンピュータによって機能させられる配送要求受信手段と、
前記配送要求受信手段によって受信された配送要求に含まれるID情報に基づいて、前記会員情報記憶手段から当該会員の会員情報を検索する、コンピュータによって機能させられる会員情報検索手段と、
前記保管手段に関連して情報を出力するための、前記会員情報検索手段によって検索された会員情報及び当該会員の位置情報を出力する配送要求出力手段と、を有することを特徴とする治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項2】
前記保管手段、及び前記配送要求出力手段は地理的に異なる位置に複数存在し、
前記配送要求受信手段によって受信された配送要求に含まれる会員の位置情報に基づいて、あらかじめ登録された複数の治療施設を含む場所の内から当該会員が治療を受けるべき適切な配送先を特定し、前記複数の保管手段の内の適切な保管手段を配送元として特定する、コンピュータによって機能させられる配送元特定手段と、
前記会員情報検索手段によって検索された、会員名を少なくとも含む会員情報、及び前記特定された配送先に関する配送先情報を前記配送元特定手段によって特定された配送元の保管手段に関連する配送要求出力手段に送信する、コンピュータによって機能させられる配送要求転送手段と、を更に有し、及び
前記配送要求出力手段は、前記配送要求転送手段によって送信された、会員情報及び配送先情報を出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項3】
前記配送元特定手段が配送元として特定する保管手段は、前記特定された配送先への配送時間が最も小さい地理的位置にある保管手段であることを特徴とする請求項2に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項4】
前記会員のID情報を記録し、かつ、当該ID情報を前記通信ネットワークを介して前記配送要求受信手段に送信するID情報記憶手段、を更に有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項5】
前記ID情報記憶手段は、会員の手動による操作に応じて前記ID情報を前記通信ネットワークに送信することを特徴とする請求項4に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項6】
前記ID情報記憶手段は、心拍数、呼吸周期、心電図パターン、音声及び身体動作の少なくともいずれかを含む身体的データをモニターしており、それに異常が検出された場合に前記ID情報を前記通信ネットワークに送信することを特徴とする請求項4に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項7】
前記ID情報記憶手段は、前記身体状況のデータに異常が検出された場合に一旦その旨を出力し、それから所定の時間内に確認の入力がなされなかったことを条件として前記ID情報を前記通信ネットワークに送信することを特徴とする請求項6に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項8】
前記ID情報記憶手段は、無線によって前記通信ネットワークに接続されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項9】
前記会員の所在位置を特定し、かつ、当該特定された所在位置を当該会員の位置情報として前記通信ネットワークを介して前記配送要求受信手段に送信する位置通報手段、を更に有する請求項1から8のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項10】
前記位置通報手段は、無線によって前記通信ネットワークに接続されることを特徴とする請求項9に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項11】
前記位置通報手段は、GPSによって前記会員の所在位置を特定することを特徴とする請求項10に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項12】
前記位置通報手段は、地上無線設備から電波を受信することによって前記会員の所在位置を特定することを特徴とする請求項10に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項13】
前記会員情報記憶手段が記憶する会員情報には、顔写真イメージ、指紋パターン、静脈パターン、及び虹彩パターンの内の少なくともいずれかを含む識別用身体的特徴データが含まれることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項14】
前記会員から治療用自己細胞の使用についての事前合意の有無を前記通信ネットワークを通じて確認する、コンピュータによって機能させられる合意確認手段、を更に有し、及び
前記配送要求出力手段は、前記会員の事前合意がある場合には当該会員の会員情報及び位置情報を出力し、当該会員の事前合意がない場合には当該会員あるいは所定の当該会員の関係者からの合意が確認できたことを条件として当該会員の会員情報及び位置情報を出力すること、を特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項15】
前記会員の位置情報に基づいて前記治療用自己細胞を配送する配送手段を地理的に異なる位置に存在する複数の配送手段の中から特定し、当該特定された配送手段に対して配送指令を送信する配送指令手段、を更に有することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項16】
配送要求の受信時間、配送要求に含まれる位置情報、配送元として特定された保管手段、特定された配送先、特定された配送手段、配送の状況、配送元の出発時間、配送先への到着予定時間、治療合意の有無、保険適用の有無、の内の少なくともいずれかを前記通信ネットワークを介して前記配送要求を発した会員あるいは当該会員の所定の関係者に送信するプロセス通知手段、を更に有することを特徴とする請求項15に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項17】
入会意思の確認を前記通信ネットワークを通じて行い、少なくとも会員名を含む会員情報を当該通信ネットワークを通じて取得し、所定のアンケートの回答を当該通信ネットワークを通じて入力し、当該アンケートの回答結果に基づいたフィードバックを当該通信ネットワークを通じて提供する、コンピュータによって機能させられる入会受付手段、を更に有することを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項18】
前記配送要求受信手段は、前記配送要求のための通信ネットワークとの専用の接続部を有しており、データを受信したことによって前記配送要求が送信されてきたと判断することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項19】
前記配送要求受信手段は、前記通信ネットワークとの接続部を有しており、受信したデータから配送要求を特徴付ける所定のデータを検出することによって前記配送要求が送信されてきたと判断することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項20】
前記治療用自己細胞は、脳梗塞、脳出血、脊椎損傷、心筋梗塞、クモ膜下出血を含む脳卒中、中枢性および末梢性の脱髄疾患、中枢性および末梢性の変性疾患、脳腫瘍、痴呆を含む高次機能障害、精神疾患、てんかん、頭部外傷や脳挫傷や脊髄損傷を含む外傷性の神経系疾患、炎症性疾患、及びヤコブ病を含む脳細胞損傷性の感染性疾患の少なくともいずれかの治療に用いられるものであることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項21】
前記治療用自己細胞は、会員の体内から未分化の状態で採取された間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項22】
前記治療用自己細胞は、会員の体内から未分化の状態で採取された間葉系幹細胞に遺伝子操作を加えたものであることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項23】
前記治療用自己細胞は、会員の体内から未分化の状態で採取された間葉系幹細胞を分化誘導させたものであることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システムと、
前記会員から徴収した徴収金からの、費用への充当を要求する、コンピュータによって機能させられる費用充当要求手段と、を有する治療用自己細胞配送支援金融システムであって、
当該費用充当要求手段は、定常的に発生する維持管理費用への充当を定期的に要求し、かつ、前記配送要求に伴って発生する配送等一時費用への充当を当該配送要求に応じて要求すること、を特徴とする治療用自己細胞配送支援金融システム。
【請求項25】
前記費用充当要求手段は、前記配送要求に関連する治療費用への徴収金からの充当を当該配送要求に応じて要求すること、を特徴とする請求項24に記載の治療用自己細胞配送支援金融システム。
【請求項26】
前記費用充当要求手段は、前記配送要求に関連する治療費用への徴収金からの充当を、前記徴収金の少なくとも一部を保険料とする保険からの保険金の支出として当該配送要求に応じて要求すること、を特徴とする請求項24に記載の治療用自己細胞配送支援金融システム。
【請求項27】
前記費用充当要求手段が前記配送要求に伴う治療費用に充当すべき保険金の払出を要求する場合には、保険契約及び前記配送要求の理由に基づいて、当該保険契約が有責か無責かを事前に確認し、無責である場合には前記通信ネットワークを通じて無責である旨を前記会員又はその関係者に通知することを特徴とする請求項26に記載の治療用自己細胞配送支援金融システム。
【請求項28】
前記保険への加入意思の確認を前記通信ネットワークを通じて行い、かつ、保険の加入に必要な所定の情報の少なくとも一部を当該通信ネットワークを通じて取得する、コンピュータによって機能させられる保険加入受付手段、を更に有することを特徴とする請求項26又は27に記載の治療用自己細胞配送支援金融システム。
【請求項29】
前記保険への加入時と未加入時のそれぞれについて、保険料を含む徴収金、配送要求を行った場合の費用、及び保険金を含む典型的設計を前記通信ネットワークを通じて送信する保険設計提供手段、を更に有することを特徴とする請求項26から28のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援金融システム。
【請求項30】
会員の体内から採取され、かつ、採取後に少なくとも治療に必要な量まで増殖させられた当該会員本人への体内投与による生体内損傷部位再生治療のための治療用自己細胞を当該会員毎に区別して保管手段に保管するステップと、
前記保管手段に前記治療用自己細胞が保管されている会員と一意的に対応するID情報と、少なくとも会員名を含む当該会員の会員情報とを関連付けて記憶する、コンピュータによって実施される会員情報記憶のステップと、
治療のために前記治療用自己細胞の配送先への配送を必要とする会員のID情報及び当該会員の位置情報を含む配送要求を通信ネットワークを介して受信する、コンピュータによって実施される配送要求受信のステップと、
前記配送要求受信のステップによって受信された配送要求に含まれるID情報に基づいて、前記会員情報記憶のステップで記憶された会員情報から当該会員の会員情報を検索する、コンピュータによって実施される会員情報検索のステップと、
前記保管手段に関連して情報を出力するための、前記会員情報検索のステップによって検索された会員情報及び当該会員の位置情報を出力する配送要求出力のステップと、を有することを特徴とする治療用自己細胞配送支援方法。
【請求項31】
請求項30に記載の治療用自己細胞配送支援方法に含まれるそれぞれのステップと、
前記会員から徴収した徴収金からの、費用への充当を要求する、コンピュータによって実施される費用充当要求のステップと、を有する治療用自己細胞配送支援金融方法であって、
当該費用充当要求のステップは、定常的に発生する維持管理費用への充当を定期的に要求し、かつ、前記配送要求に伴って発生する配送等一時費用への充当を当該配送要求に応じて要求すること、を特徴とする治療用自己細胞配送支援金融方法。
【請求項32】
前記費用充当要求のステップは、前記配送要求に関連する治療費用への徴収金からの充当を当該配送要求に応じて要求すること、を特徴とする請求項31に記載の治療用自己細胞配送支援金融方法。
【請求項33】
前記費用充当要求のステップは、前記配送要求に関連する治療費用への徴収金からの充当を、前記徴収金の少なくとも一部を保険料とする保険からの保険金の支出として当該配送要求に応じて要求すること、を特徴とする請求項32に記載の治療用自己細胞配送支援金融方法。
【請求項34】
会員の体内から採取され、かつ、採取後に少なくとも治療に必要な量まで増殖させられた当該会員本人への体内投与による生体内損傷部位再生治療のための治療用自己細胞を当該会員毎に区別して保管する保管手段と、
前記保管手段に前記治療用自己細胞が保管されている会員と一意的に対応するID情報と、少なくとも会員名を含む当該会員の会員情報とを関連付けて記憶する、コンピュータによって機能させられる会員情報記憶手段と、
治療のために前記治療用自己細胞の配送先への配送を必要とする会員のID情報及び当該会員の位置を特定するための位置特定情報を含む配送要求を通信ネットワークを介して受信する、コンピュータによって機能させられる配送要求受信手段と、
前記配送要求受信手段によって受信された配送要求に含まれるID情報に基づいて、前記会員情報記憶手段から当該会員の会員情報を検索する、コンピュータによって機能させられる会員情報検索手段と、
前記保管手段に関連して情報を出力するための、前記会員情報検索手段によって検索された会員情報及び当該会員の位置特定情報を出力する配送要求出力手段と、を有することを特徴とする治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項35】
前記位置特定情報に基づいて前記位置情報を求める位置特定手段をさらに有することを特徴とする請求項34に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項36】
前記保管手段、及び前記配送要求出力手段は地理的に異なる位置に複数存在し、
前記位置特定手段によって特定された会員の位置情報に基づいて、あらかじめ登録された複数の治療施設を含む場所の内から当該会員が治療を受けるべき適切な配送先を特定し、前記複数の保管手段の内の適切な保管手段を配送元として特定する、コンピュータによって機能させられる配送元特定手段と、
前記会員情報検索手段によって検索された、会員名を少なくとも含む会員情報、及び前記特定された配送先に関する配送先情報を前記配送元特定手段によって特定された配送元の保管手段に関連する配送要求出力手段に送信する、コンピュータによって機能させられる配送要求転送手段と、を更に有し、及び
前記配送要求出力手段は、前記配送要求転送手段によって送信された、会員情報及び配送先情報を出力する、ことを特徴とする請求項35に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項37】
前記配送元特定手段が配送元として特定する保管手段は、前記特定された配送先への配送時間が最も小さい地理的位置にある保管手段であることを特徴とする請求項36に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項38】
前記会員のID情報を記録し、かつ、当該ID情報を前記通信ネットワークを介して前記配送要求受信手段に送信するID情報記憶手段、を更に有することを特徴とする請求項34から37のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項39】
前記ID情報記憶手段は、前記ID情報を記憶した外部メモリ素子であることを特徴とする請求項38に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項40】
前記外部メモリ素子は、前記ID情報記憶手段がコンピュータ端末に接続されたときに会員の前記ID情報を前記通信ネットワークを介して前記配送要求受信手段に送信するためのID情報伝達プログラムをさらに記憶していることを特徴とする請求項39に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項41】
前記外部メモリ素子は、前記ID情報記憶手段がコンピュータ端末に接続されたときに当該コンピュータ端末の位置を前記会員の位置として特定するための位置特定情報を前記通信ネットワークを介して前記配送要求受信手段に送信するための位置特定情報伝達プログラムをさらに記憶していることを特徴とする請求項39に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項42】
前記位置情報伝達プログラムは、それが動作しているコンピュータ端末の操作者に位置の入力を促し、入力された情報を位置特定情報として前記配送要求受信手段に送信することを特徴とする治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項43】
前記外部メモリ素子は、USBキーの形態であることを特徴とする請求項39から42のいずれか1項に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項44】
会員の体内から採取され、かつ、採取後に少なくとも治療に必要な量まで増殖させられた当該会員本人への体内投与による生体内損傷部位再生治療のための治療用自己細胞を当該会員毎に区別して保管する保管手段と、
前記保管手段に前記治療用自己細胞が保管されている会員と一意的に対応するID情報と、少なくとも会員名を含む当該会員の会員情報とを関連付けて記憶する、コンピュータによって機能させられる会員情報記憶手段と、
会員の位置を特定するための位置特定情報を常時的に通信ネットワークを介して受信する、コンピュータによって機能させられる常時位置受信手段と、
施設と施設の位置情報とを対応付けて記憶する施設位置記憶手段と、
受信された前記位置特定情報から特定される位置情報と前記位置記憶手段に記憶された位置情報とを比較して、会員の位置情報に対応する施設の有無を確認する位置比較手段と、
前記位置比較手段によって会員の位置情報に対応する施設があると判断された場合に、当該会員のID情報と位置情報を含む配送要求を発する配送要求発信手段と、
前記配送要求発信によって発せられたID情報を取得し、当該ID情報に基づいて、前記会員情報記憶手段から当該会員の会員情報を検索する、コンピュータによって機能させられる会員情報検索手段と、
前記保管手段に関連して情報を出力するための、前記会員情報検索手段によって検索された会員情報及び当該会員の位置情報を出力する配送要求出力手段と、
を有することを特徴とする治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項45】
前記配送要求発信手段は、配送要求を発する前に、当該会員に対して配送要求を発するかどうかの確認を行うことを特徴とする請求項44に記載の治療用自己細胞配送支援システム。
【請求項46】
前記配送要求発信手段は、配送要求を発する前に、施設の専門性指標、時刻の少なくともいずれかを含む二次的指標に基づいて、当該配送要求を発するか否かを判断することを特徴とする請求項45に記載の治療用自己細胞配送支援システム。

【国際公開番号】WO2005/001732
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【発行日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507896(P2005−507896)
【国際出願番号】PCT/JP2004/009406
【国際出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【特許番号】特許第3706128号(P3706128)
【特許公報発行日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(502455393)株式会社レノメディクス研究所 (5)
【出願人】(399106192)三井住友海上火災保険株式会社 (19)
【出願人】(000002990)あすか製薬株式会社 (39)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】