説明

治療

本発明者らは、コルチゾールの異常分泌に起因する状態の治療のための治療レジームについて記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概日リズムにおけるコルチゾール分泌を同調させるために、ヒドロコルチゾン又はその変異体の遅延及び持続放出配合物の送達から利益を受ける状態(例えば、うつ病)の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳類では、概日リズム又は中枢時計の根本振動子(principle oscillator)は、視交叉上核に存在する。このマスター振動子は、睡眠・覚醒サイクル及びホルモンリズム(例えば、コルチゾール及びメラトニン)に関与する。免疫細胞のような末梢組織及び肝臓もまた、時計遺伝子を有し、そこにはそれ自身の分子振動能力が存在することが認識されている。本発明者らは、コルチゾールの概日リズムは、視交叉上核における中枢時計に従って、末梢組織時刻を設定する二次メッセンジャーであることを開示する。
【0003】
中枢時計の混乱は、環境的変化(個体が異なる時間帯へ移動するか、交代制勤務を行うか、又は季節が変わる)の結果として、又は中枢振動子に直接的に影響を及ぼすか、又は概日リズム若しくは二次メッセンジャーコルチゾールを変更させる疾患の結果として起こり得る。概日リズムの喪失は、疾患、例えばうつ病及び炎症性障害をもたらす。したがって、炎症及びうつ病のような疾患は、概日リズムの喪失を引き起こす可能性があり、概日リズムの喪失は、うつ病のような疾患を引き起こし得る。例えば、うつ病及び慢性関節リウマチは、正常なコルチゾール概日リズムの喪失(例えば、リズムに影響を及ぼす疾患)に関連することが十分認識されている。同様に、腫瘍がコルチゾールの概日リズムの喪失をもたらすクッシング症候群は、うつ病を引き起こし、例えば、概日リズムの喪失は、疾患を引き起こすことが十分認識されている。
【0004】
概日リズムを有する末梢組織の例は、免疫系である。サイトカインレベルを特徴とする免疫応答は、概日リズムを有する。例えば、Tヘルパー1サイトカインの最大発現は、血漿コルチゾールの夜間の最下点状態と同時に起こるのに対して、Tヘルパー2サイトカイン応答は、日中に優性である。慢性関節リウマチ及び喘息のような多くの炎症性疾患は、免疫応答の混乱された概日の結果として、朝一番により悪い別個の概日を有する。
【0005】
遺伝子発現、生理学及び挙動における日周リズムは、一定条件下で存続し、したがって、概日時計と呼ばれる自己自続性生物学的振動子により駆動されなくてはならない[概説に関して、1.J. C. Dunlap, Cell 96, 271 (1999)、2.S.A. Brown and U. Schiber, Curr. Opin. Genet. Dev. 9, 588 (1999)を参照]。概日時計は、概して単に時間を計数することしかできず、外界と調和するためには、光周期により毎日調節されなくてはならない。哺乳類では、網膜により感知される光シグナルは、網膜−視床下部路を介して、視交叉上核(SCN)へ直接伝達される[M.H. Hastings, Curr. Biol. 7, 670 (1997).]視床下部の腹側部分に位置するSCNは、生理学及び挙動における公然のリズムすべてを同調させるマスターペースメーカーを含有すると考えられている[B. Rusak and I. Zucker, Physiol. Rev. 59, 449 (1979).]。
【0006】
分子振動子は、哺乳類のほとんどの末梢細胞に存在する[A. Balsalobre, F. Damiola, U. Schibler, Cell 93, 929 (1998). S. Yamazaki et al., Science 288, 682 (2000).]。哺乳類では、これらの末梢タイムキーパーの位相は、SCNペースメーカーにより調節されるシグナルによりリセットされると考えられている[S. Yamazaki et al., Science 288, 682 (2000).]。血清は、培養rat−1線維芽細胞において概日遺伝子発現誘導する[A. Balsalobre, F. Damiola, U. Schibler, Cell 93, 929 (1998).]ため、1つ又はそれ以上の血行性因子が、末梢細胞において分子振動子に影響を与えるシグナル伝達経路を刺激するにちがいない。グルココルチコイドホルモンが、(i)日周期で分泌され、且つ(ii)グルココルチコイド受容体(GR)が、ほとんどの末梢細胞型で発現されるが、SCNニューロンでは発現されない[P. Rosenfeld, J.A.M. Van Eekelen, S. Levine, E.R. De Kloet, Dev. Brain Res. 42, 119 (1988).]ことから、グルココルチコイドホルモンは、特に魅力的な候補物である。第2の点は、概日遺伝子発現がSCN及び末梢組織において異なる位相角を有する[L. Lopez-Molina, F. Conquet, M. Dubois-Dauphin, U. Schibler, EMBO J. 16, 6762 (1997).]ことを考慮すると、同調シグナルとしてグルココルチコイドに相応する。
【0007】
SCNにおいて中枢概日ペースメーカーに影響を及ぼさないデキサメタゾンを使用すると、末梢振動子は、24時間の全日中、位相遅延され得るか、又は位相前進され得ることが示されている。この位相移動挙動は、常にSCNからの位相リセットシグナルに応答した状態でなければならないため、マスターペースメーカーにより同調されるスレーブ(slave)振動子に関して予想される[Balsalobre et al., Science 289, 2344 (2000)]。これらの結果により、グルココルチコイドは、SCNからほとんどの哺乳類組織へ二次メッセンジャーを提供することが示唆される。
【0008】
グルココルチコイド(例えばコルチゾール)により調節される組織における生物時計としては、脳、内分泌、免疫系、肺、心臓血管系、尿生殖器系(genitor-urinary system)、生殖系が挙げられ得る。「ストレスホルモン」とも呼ばれるコルチゾールは、腎臓に隣接している副腎により分泌される。身体的又は精神的に身体にストレスがかかると、コルチゾール分泌が増大する。ヒドロコルチゾンは、コルチゾールと同等であり、迅速に吸収され、且つ安価であるため、最も一般的に使用される薬物である。コルチゾールは、下垂体に由来するACTHの調節下で、副腎から放出される(図1)。朝一番に高レベルで、真夜中付近では非常に低レベルでのコルチゾール放出に対する概日リズムがみられる(図2)。ACTH、したがってコルチゾールレベルは、およそ午前3時に上昇し始めて、午前7時にピークに達して、一日かけて徐々に、真夜中の最下点まで下がる(Krieger et al., 1971; Ross et al., 1991)。
【0009】
うつ病又は全身倦怠感をもたらす状態は既知である。これらとしては、臨床的うつ病、反応性うつ病、産後うつ病、広範囲にわたる手術の結果として起こるうつ病、慢性疲労、筋痛性脳炎及び時差ぼけのような状態が挙げられるが、これらに限定されない。抑うつ状態はまた、自主的である外部的な影響により誘導され得て、例えば、人が減量のために努力してダイエットしている場合、また、人が嗜癖(例えば、喫煙又はコカイン嗜癖)を治療しようと試みている場合に、うつ病が起こり得る。また、全身倦怠感をもたらすそれほど重篤でない状態も存在し、例えば人が働かない時間に働く交代制勤務者は、正常な睡眠パターンにおける混乱に起因して、疲労及び抑うつ状態となり得る。1年のある特定の期間に、うつ病、例えばクリスマス及び季節性感情障害(SAD)が誘導されることも知られている。
【0010】
うつ病の生理学的影響は、多様である。しかしながら、幾つかの一般的な特徴としては、高コルチゾールレベルをもたらす視床下部−下垂体−副腎軸の機能亢進、コルチゾール概日リズムの喪失及び早朝覚醒を伴う睡眠障害が挙げられる。夜間での又は就寝時間での高グルココルチコイドレベルもまたそれ自体、睡眠を混乱させ得る。コルチゾールレベルを低減させる拮抗薬は、うつ病の症状を軽減することが知られている。例えば、コルチコトルフィン放出因子(CRF)(ACTH放出を誘導し、順次コルチゾール放出を誘導する視床下部ホルモン)アンタゴニストは、うつ病に対する有力な療法として研究されている。
【0011】
さらに、コルチゾール活性の特定のアンタゴニストが、当該技術分野で既知である。国際公開第99/17779号パンフレットは、精神障害を改善させるためのグルココルチコイド受容体アンタゴニストの使用について記載している。コルチゾールは、細胞内グルココルチコイド受容体を結合するグルココルチコイドであり、コルチゾールレベルの上昇、すなわち高コルチゾール症は、コルチゾールが結合する受容体の活性を阻止することにより制御することができる。コルチゾール受容体アンタゴニストの例は、ミフェプリストンであり、国際公開第99/17779号パンフレットは、コルチゾールレベルの上昇に起因する状態を治療するためのこのアンタゴニストの使用を教示している。さらなる例は、個体におけるストレス状態、例えば外傷後ストレス障害を治療するためのグルココルチコイド受容体アンタゴニストの使用を教示する国際公開第02/076390号パンフレットに記載されている。
【0012】
欧州特許出願公開第1201244号明細書では、上昇したコルチゾールレベルの低減は、うつ病及び精神的ストレスを軽減する組成物の投与により達成される。この組成物は、ホスファチジル−L−セリン及びホスファチジン酸の複合体を含み、コルチゾールを低減して、セロトニンを正常レベルに増大させる。
【0013】
米国特許出願公開2003/027802号明細書は、抗精神病薬投薬(例えば、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン又はセルチンドール)により誘導される体重増加の結果として生じるうつ病の症状を軽減する治療のさらなる例を提供する。これは、コルチゾール受容体アンタゴニスト、特にミフェプリストンに関する第2の医療的適応である。
【0014】
上述から明らかである事項は、うつ病及び関連障害を治療するのに現在使用されている投薬は主として、直接的に又は間接的にグルココルチコイド受容体の受容体活性化を阻止することによるコルチゾール活性の阻害剤であることである。
【0015】
本発明の操作で使用され得る送達ビヒクルは、当該技術分野で既知である。例えば、米国特許第4,261,969号明細書(参照されて本明細書の一部とする)は、酵素活性化されるポリマー組成物について開示している。この組成物は、薬物に対する身体の必要性の指標である複雑な混合物(例えば、血液)中の少量の化合物を検出することができる検知手段、及び検知手段における変化を感知して、それにより用量依存性様式で所要の時間に薬物を放出する送達手段を含む。この系は、避妊薬の送達における使用に適している。さらなる例は、欧州特許出願公開第01077065号明細書(参照されて本明細書の一部とする)に開示されている。制御放出配合物は、既定の遅延後に崩壊する放出制御層に取り囲まれる薬物コアを含む。欧州特許出願公開第01077065号明細書はまた、初期の迅速な放出、続いての薬物コアからの薬物の放出を提供する放出制御層の外側の薬物制御層を開示する。これは、遅延型様式での少なくとも2つの薬物用量の送達を提供する。
【0016】
米国特許第6,207,197号明細書(参照されて本明細書の一部とする)は、潰瘍のような疾患を治療するために胃の中に保持されるように適合される医薬組成物を開示している。これらは、胃保持薬(gastro-retentive drugs)と称される。この発明は、生体接着性陽イオン性ポリマーの外側層が備えられている水不溶性ポリマーにより取り囲まれる治療用作用物質を含有する内部コアを含むミクロスフェアについて記載している。接着性ポリマーは、胃の中にミクロスフェアを保持するように機能して、それにより胃の中で治療用作用物質の集中放出を促進する。欧州特許出願公開第01053752号明細書(参照されて本明細書の一部とする)は、制御放出を示す調製物のさらなる例を開示する。この調製物は、2つの部分、すなわち雌部分及び雄部分を含み、雌部分は、水不溶性ポリマーから作製され、雄部分は、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートコポリマー及びメチルアクリル:エチルアクリレートコポリマーから成る組成物から形成される。治療用作用物質は、雄部分及び雌部分内に含有される。配合物は、pH感受性であり、もっぱら中性pHで治療用作用物質を放出し、それにより、そのままで胃を通過して、もっぱら小腸の中性環境で放出される。
【0017】
国際公開第01/0957号パンフレット(参照されて本明細書の一部とする)は、両性(zwitteronic)モノマー、例えば2−メタクリロイルオキシオキシエチル−2’−トリメチルアンモニウムエチルホスフェート塩を包含するエチレン不飽和モノマーから形成されるポリマーマトリックスを含むコーティングを備えたインプラントを開示している。この組成物は、治療上活性な物質を吸収し、続いて活性な物質とともに含まれる溶媒の蒸発により乾燥される。続いて、そのインプラントは、患者へ移植する状態となって、活性な物質を徐々に放出し始める。米国特許第6,217,911号明細書(参照されて本明細書の一部とする)は、24時間から2ヶ月の非ステロイド系抗炎症薬の制御放出用の制御放出マイクロカプセルを開示している。マイクロカプセルは、生体適合性且つ生分解性であり、DL−ラクチド−コ−グリコリドから製造される。この組成物は通常、外科的切開又は創傷部位周囲の軟部組織に適用される。典型的には、ミクロスフェアにリドカインを負荷して、徐放性疼痛緩和を提供する。
【0018】
遅延型放出配合物のさらなる例は、国際公開第02/30398号パンフレット(参照されて本明細書の一部とする)に開示されている。この配合物は、薬物及び崩壊剤を含むコアを含み、さらに水溶性ゲル形成ポリマー及び水不溶性フィルム形成ポリマーの混合物から形成されるコア上の調節性膜コーティングを含む。崩壊剤は、例えば、水和時に膨張する作用物質(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、グリコール酸デンプンナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム又はカルボマー)である。コアは、球形化助剤(例えば、微結晶性セルロース)を含む。調節性膜コーティングの水溶性ゲル形成ポリマーは、高粘度等級ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)又はメチルセルロースである。調節性膜コーティングの水不溶性フィルム形成ポリマーは、アルキルセルロース(例えば、エチルセルロース)である。
【0019】
遅延型及び持続性形態のヒドロコルチゾンの生成は、概日コルチゾールを投与するためのツールを提供する。適用時間を変化させることにより、身体の概日リズムを、遅延、前進、同調させることができ、このメカニズムにより、うつ病、睡眠障害、疲労、異常摂食、嗜癖、不安、免疫応答、炎症、関節炎、時差ぼけをもたらす生物時計における障害がみられる疾患を治療することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明者らの同時係属中出願である国際公開第03/015793号パンフレットでは、本発明者らは、遅延及び持続放出の特徴を有し、且つコルチゾールの概日放出における欠陥を正すヒドロコルチゾン組成物の提供による副腎機能障害の治療について記載している。本発明者らは、この出願において、コルチゾール分泌の同調から恩恵を受けるうつ病及び関連状態の治療において国際公開第03/015793号パンフレットに記載されている組成物の遅延及び持続放出特性を利用する治療レジームについて記載する。この治療は、従来技術で教示されるようにコルチゾール又はコルチゾール活性を低減するのではなく、同調によりコルチゾールの患者の概日レベルを正常に戻すことによりその効果を生み出して、それにより異常に高いコルチゾール濃度の結果としてのうつ病の症状を軽減させる。したがって、本発明は、少なくともヒドロコルチゾンの投与を含む動物に適した治療レジーム、及びコルチゾール分泌の概日同調から恩恵を受ける状態の治療のためのヒドロコルチゾンの遅延及び持続放出を可能にする手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の態様によれば、コルチゾールの正常な概日分泌の崩壊に起因する疾患又は状態の治療で使用するための薬剤の製造のためのヒドロコルチゾン及び送達ビヒクルを含む複合組成物の使用が提供され、ここで、上記送達ビヒクルは、ヒドロコルチゾンの遅延及び持続放出を提供する。
【0022】
中枢時計振動子は、午前2時頃最下点であり、且つ午前7時頃にピークとなるコルチゾールの非常に正確な概日リズムを駆動する。コルチゾールの上昇は、午前2時〜3時頃から始まる。18:00〜24:00の間に、遅延及び持続ヒドロコルチゾンを投与することにより、コルチゾールの概日リズムをリセット及び再同調させることができる。例えば、投与を前方へ位相シフトさせて、コルチゾールのより早期の増強を創出する場合、これは、コルチゾールの上昇を誘発する正常な時計遺伝子のスイッチオンを防止し、錠剤をより後期に摂取することにより位相を緩める場合、これは、正常な概日リズムが確立されるのを可能にする。例えば、抑うつ状態の患者では、コルチゾールの概日リズムの喪失が見られる。患者に、21:00に遅延型及び持続性コルチゾールの錠剤を施して、コルチゾールの正常な上昇前1:00時に、コルチゾールの上昇をもたらす。これは、負のフィードバックによりコルチゾールの内因性の上昇のスイッチをオフにする。したがって、概日リズムが確立され、続いて長期にわたって、遅延型及び持続性ヒドロコルチゾンの投与を低減させて、より後期に付与して、コルチゾールの正常な同調概日リズムの再現を可能にすることができる。同じプロセスを使用して、他の状態、例えば炎症性障害を治療することができる。治療レジメンのさらなる特徴は、概日コルチゾールリズムの同調を可能にするために、位相前進された周期でヒドロコルチゾンの超生理学的用量を付与すべき要件である。
【0023】
コルチゾール分泌の同調から恩恵を受ける疾患又は状態としては、うつ病、睡眠障害、疲労、異常摂食、嗜癖、不安、免疫応答、炎症、関節炎、喘息、時差ぼけが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態では、上記使用は、うつ病又はうつ病をもたらす状態、又は類似の状態の治療である。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態では、うつ病は、臨床的うつ病である。
【0026】
本発明のさらに好ましい実施の形態では、うつ病は、反応性うつ病である。
【0027】
本発明のさらなる好ましい実施の形態では、うつ病は、産後うつ病である。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施の形態では、上記状態又は倦怠感は、慢性疲労症候群、筋痛性脳炎、時差ぼけ、交代制勤務、過重量の人に起因するうつ病、ダイエットに起因するうつ病、たばこ嗜癖の治療に起因するうつ病、アルコール嗜癖の治療に起因するうつ病、薬物嗜癖(例えば、コカイン、ヘロイン)の治療に起因するうつ病、季節性感情障害又は同等の状態から成る群から選択される。
【0029】
本発明のさらなる好ましい実施の形態では、上記状態は、抗精神病薬の投与に起因する。
【0030】
本発明の好ましい方法では、上記抗精神病薬は、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン又はセルチンドールから成る群から選択される。
【0031】
投与される場合、本発明の組成物は、医薬的に許容可能な調製物で投与される。かかる調製物は日常的に、医薬的に許容可能な濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、適合性キャリア及び任意にうつ病等の治療で有用な他の治療用作用物質を含有する。
【0032】
本発明の組成物は、注射を含む任意の従来の経路により投与することができる。投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋内、腔内、皮下又は経皮であり得る。
【0033】
本発明の組成物は、有効量で投与される。「有効量」は、単独で、又はさらなる用量と一緒に、望ましい応答をもたらす組成物の量である。これは、単に疾患の進行を一時的に遅らせることを包含し得るが、より好ましくは、疾患の進行を永久に停止させることを包含する。これは、日常的な方法によりモニタリングすることができ、又は診断方法に従ってモニタリングすることができる。
【0034】
上述の方法で使用される組成物は好ましくは、無菌であり、患者への投与に適した重量又は容量の単位で望ましい応答を生じるための有効量のコルチゾール/ヒドロコルチゾン、グルココルチコイド又はそれらの誘導体を含有する。応答は、例えば、疾患症状の減少のような組成物の生理学的影響を測定すること、及び/又は、適宜、ACTH及びコルチゾールレベルの測定によりモニタリングすることができる。アッセイは、当業者に既知であり、応答のレベルを測定するのに使用することができる。
【0035】
被験体へ投与される組成物の用量は、種々のパラメータに従って、特に使用される投与の様式、投薬の時間及び被験体の状態(すなわち、年齢、性別、体重、ボディマス指数(BMI))に従って選択することができる。他の要因としては、望ましい治療期間が挙げられる。被験体における応答が、適用される初期用量で不十分である事象では、投薬の時間を変更してもよく、且つより高い用量(又は異なるより局在化される送達経路により、有効により高い用量)が、患者の耐性が可能である程度に使用され得る。
【0036】
概して、組成物の用量は、当該技術分野における任意の標準的な手順に従って、1mg〜30mg、好ましくは10mg〜25mgの用量で配合且つ投与される。さらに好ましくは、上記持続放出組成物は、夜間に1mg〜30mg、午前中に1〜15mg投与される。ある特定の患者では、増加した投薬量、例えば約100mg〜200mgのヒドロコルチゾンの投薬が望ましい場合がある。投与の時期は、患者の医師との相談に従う。通常、投薬は、18:00〜24:00に投与され得る。
【0037】
動物は、本明細書中で使用する場合、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ又はげっ歯類を包含する哺乳類(好ましくはヒト)である。
【0038】
投与する場合、本発明の組成物は、医薬的に許容可能な量で、且つ医薬的に許容可能な組成で適用される。かかる調製物は日常的に、塩、緩衝剤、防腐剤、適合性キャリア及び任意に他の治療用作用物質を含有し得る。薬剤で使用される場合、塩は、医薬的に許容可能であるべきであるが、医薬的に許容可能でない塩は、それらの医薬的に許容可能な塩を調製するのに利便性よく使用される場合があり、本発明の範囲から排除されない。かかる薬理学的且つ医薬的に許容可能な塩としては、以下の酸:塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸等から調製されるものが挙げられるが、これらに限定されない。また、医薬的に許容可能な塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩)として調製することができる。
【0039】
上記組成物は、所望であれば、医薬的に許容可能なキャリアと組み合わせてもよい。「医薬的に許容可能なキャリア」という用語は、本明細書中で使用する場合、ヒトへの投与に適切な1つ又はそれ以上の適合性固体若しくは液体充填剤、希釈剤又は封入物質を意味する。「キャリア」という用語は、有効成分と組み合わせて適用を促進する有機又は無機成分(天然又は合成)を意味する。薬学的組成物の構成成分はまた、本発明の分子と、及び互いに、所望の医薬的有効性を実質的に減じる相互作用が存在しない様式で混合することが可能である。
【0040】
上記組成物は、塩中の酢酸、塩中のクエン酸、塩中のホウ酸及び塩中のリン酸を含む適切な緩衝剤を含有してもよい。上記組成物はまた、任意に、塩化ベンズアルコニウム、クロロブタノール、パラベン及びチメロサールのような適切な防腐剤を含有してもよい。
【0041】
上記組成物は、単位投薬形態で利便性よく提供されてもよく、薬学の技術分野で既知の方法のいずれかにより調製され得る。方法はすべて、活性作用物質を1つ又はそれ以上の補助成分を構成するキャリアと会合させる工程を包含する。概して、組成物は、活性化合物を液体キャリア、微細固体キャリア又はその両方と、一様且つ緊密に会合させること、そして、必要であれば、生成物を成形することにより調製される。
【0042】
経口投与に適した組成物は、それぞれが既定量の活性化合物を含有するカプセル、錠剤、ロゼンジのような別個の単位として提供されてもよい。他の組成物としては、水性液体又は非水性液体中の懸濁液(例えば、シロップ、エリキシル又はエマルジョン)が挙げられる。
【0043】
非経口投与に適した組成物は、好ましくはレシピエントの血液と等張性であるコルチゾール/ヒドロコルチゾン若しくはそれらの機能的誘導体の滅菌水性又は非水性調製物を利便性よく含む。この調製物は、適切な分散剤又は湿潤剤及び沈殿防止剤を使用した既知の方法に従って配合され得る。滅菌注射可能調製物はまた、無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の滅菌注射可能溶液又は懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であってもよい。使用され得る許容可能な溶媒には、水、リンガー溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液が存在する。さらに、滅菌不揮発性油は従来、溶媒又は懸濁媒質として使用される。この目的で、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油が使用され得る。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射剤(injectables)の調製において使用され得る。経口、皮下、静脈内、筋内等の投与に適したキャリア配合物は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.,ペンシルベニア州イーストンに見出すことができる。
【0044】
本発明のさらなる態様によれば、うつ病を患う、又はうつ病の素因を有する、又は類似の状態の動物の治療方法であって、以下の、
i)ヒドロコルチゾン又はその機能的変異体及び送達ビヒクルの複合調製物を提供する工程であって、上記ビヒクルは、ヒドロコルチゾン又はその変異体の持続放出を提供する、該工程、
ii)ヒドロコルチゾン又はその変異体が持続性様式で放出されるように、(i)における複合調製物を、治療を必要とする動物へ投与する工程、
iii)ヒドロコルチゾン又はその変異体及び送達ビヒクルの複合調製物を提供する工程であって、上記ビヒクルは、ヒドロコルチゾン又はその変異体の持続放出以外に遅延放出を提供する、該工程、及び
iv)ヒドロコルチゾン又はその変異体が、持続性様式以外に遅延型様式で放出されるように、(iii)における複合調製物を、治療を必要とする動物へ投与する工程
を含む、治療方法が提供される。
【0045】
本発明のさらなる好ましい方法では、動物は、持続性様式で放出されるヒドロコルチゾン、続いて、持続性様式以外に遅延型様式で放出されるヒドロコルチゾンが投与される。
【0046】
本発明の好ましい方法では、上記動物はヒトである。
【0047】
本発明のさらなる好ましい方法では、上記変異体は、コルチゾール又はコルチゾンである。
【0048】
本発明のさらに好ましい方法では、上記状態は、慢性疲労症候群、筋痛性脳炎、時差ぼけ、交代制勤務、過重量の人に起因するうつ病、ダイエット中の人に起因するうつ病、嗜癖(例えば、喫煙又は薬物(例えば、コカイン、ヘロイン嗜癖)、アルコール嗜癖)の治療に起因するうつ病、季節性感情障害又は同等の状態から成る群から選択される。
【0049】
本発明の代替的な好ましい方法では、上記状態は、抗精神病薬の投与に起因する。好ましくは上記薬は、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン又はセルチンドールから成る群から選択される。
【0050】
患者は、午前中に持続放出調製物を摂取し、且つ遅延及び持続放出配合物である夜間調製物を摂取する。薬物動態的モデリングに基づいて、この1日2回の投与は、例えばコルチゾール生産の正常な概日リズムを再生させる。
【0051】
本発明のさらなる好ましい方法では、上記持続放出調製物は、午前中に、好ましくは8:00〜12:00に投与される。
【0052】
本発明の他のさらなる好ましい方法では、上記遅延及び持続放出放出配合物は、夕方に、好ましくは18:00〜24:00に投与される。より好ましくは、20:00〜24:00である。
【0053】
さらに、遅延型及び持続性様式でのグルココルチコイドの投与は、主として異化作用性であるグルココルチコイドの副作用を最小限に抑える。副作用を防止する従来の方法は、全身吸収を低減させること、又は用量を低減させることに焦点を当てている。例えば、遅延型及び持続性ヒドロコルチゾンの使用は、その投与がコルチゾールの概日リズムを複製して、それにより身体が低レベルを有することを期待する場合に、身体を過剰のコルチゾールへ暴露させないため、さらにその混乱が免疫抑制のような望ましくない副作用をもたらす概日リズム障害を再同調させることにより、副作用を低減する。過剰のグルココルチコイドは、腹部脂肪の増大、筋肉の消耗、骨及び皮膚の薄化、インスリン抵抗性、並びに他の同化ホルモン(IGF−I及びエストラジール及びテストステロンのような性ステロイド)の低レベルをもたらす。概日グルココルチコイド療法は、身体が絶食状態であり、且つ異化作用性である場合、睡眠の初期位相でのグルココルチコイドレベルのピークを回避する。コルチゾールレベルの正常な増強は、覚醒前に起こり、この概日リズムを模倣することにより、この療法は、グルココルチコイド療法の異化作用性合併症を防止する。遅延型及び持続性グルココルチコイド療法は具体的に、骨、皮膚、筋肉及び脂肪塊に対するグルココルチコイドの有害な影響を低減させる。
【実施例】
【0054】
本発明の実施形態はここで、実施例によってのみ、且つ以下の図面を参照して記載される。
【0055】
材料及び方法
うつ病における問題
うつ病を伴う患者は、ACTHにより駆動されるコルチゾール放出の増大及びコルチゾール分泌の正常な概日リズムの喪失を有する。コルチゾール放出は、もっぱら下垂体からのACTH放出に依存している。したがって、正常な個体では、コルチゾールの放出は、ACTHの放出と平行している(図5)。
【0056】
抑うつ状態の患者では、全体的なコルチゾール放出がより多く、コルチゾールのレベルが夜間に低レベルに下がることができない。正常な個体と比較した抑うつ状態の患者のプロフィールを図6に示す。抑うつ状態の患者に関する曲線下のコルチゾール範囲は増大され、最下点コルチゾールレベルは、夜間に高いことがわかる。
【0057】
うつ病の治療
問題に対する解決法は、正常な概日コルチゾール放出を同調させることである。これは、コルチゾールレベルの概日リズムにおける漸次位相シフトにより達成される。遅延型及び持続性ヒドロコルチゾンは、コルチゾールレベルにおける正常な上昇を先取りする時点で施される。したがって、内因性ACTH及びコルチゾールレベルをスイッチオフにすることが可能である。例えば、抑うつ状態の患者では、コルチゾールレベルの上昇が、真夜中頃に起こり、且つ午前2時〜3時に予想されるACTH及びコルチゾールレベルの上昇を防止するように、錠剤は、例えば午後8時頃に付与されてもよい。これは図7に示す。
【0058】
うつ病におけるコルチゾールの正常な概日リズムのモニタリング及び同調
有効な治療は、内因性ACTH及びコルチゾールレベルを抑制する。治療の影響は、午前中のACTHレベルを測定することによりモニタリングされる。続いて、これが抑制されると、治療の時間を変更させて、概日コルチゾールプロフィールを位相に戻すことができる。これを達成するために、遅延型及び持続性ヒドロコルチゾンの錠剤を夕方遅くに施して、コルチゾールの上昇が、午前2時〜3時に起こるのを可能にし得る。また、療法の成功は、ACTHの測定によりモニタリングすることができる。したがって、治療の初期位相は、コルチゾールの内因性放出を抑制することであり、第2の位相は、コルチゾールの正常な概日放出を同調させることであり、就寝時に低レベルのコルチゾールを可能にし、コルチゾールレベルの上昇は午前2時〜3時に起こり、覚醒時にピークになる。
【0059】
交代制勤務及び時差ぼけ
交代制勤務を請け負う個体又は時間帯を移動する個体は、睡眠/覚醒パターンを適合させるためのコルチゾールの概日リズムを有さない。したがって、高レベルのコルチゾールと伴って就寝し、且つ低レベルのコルチゾール及び疲労を伴って覚醒することを試みる場合が多い。解決法は、睡眠の前に遅延型及び持続性ヒドロコルチゾンを摂取することである。24時間後に、遅延型及び持続性ヒドロコルチゾンは、睡眠/覚醒サイクルが逆転されるまで、コルチゾール放出の正常なパターンを再開させて、睡眠/覚醒サイクルが逆転された時点で、治療を中止させてもよく、又は個体は、通常6週間かかるコルチゾールの新たな概日リズムを確立/同調させた。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】動物におけるコルチゾール調節の概略図を表す図である。
【図2】動物におけるコルチゾールの正常な概日リズムを表す図である。
【図3】24時間中に3度、ヒドロコルチゾンを摂取する患者におけるコルチゾールプロフィールを表す図である。
【図4】ヒドロコルチゾンの持続放出組成物、並びに持続及び遅延放出組成物を摂取する患者におけるコルチゾールプロフィールを表す図である。
【図5】正常な抗体におけるACTH及びコルチゾール放出を示す図である。
【図6】正常な個体及び抑うつ状態の個体におけるコルチゾール分泌プロフィールを示す図である。
【図7】内因性コルチゾールレベルに対する遅延型及び持続性ヒドロコルチゾンの影響を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
うつ病又はうつ病をもたらす状態、又は類似の状態の治療で使用するための薬剤の製造のためのヒドロコルチゾン及び送達ビヒクルを含む複合組成物の使用であって、該送達ビヒクルは、ヒドロコルチゾンの遅延及び持続放出を提供する、複合組成物の使用。
【請求項2】
前記疾患又は状態が、うつ病、睡眠障害、疲労、異常摂食、嗜癖、不安、時差ぼけ慢性疲労症候群、筋痛性脳炎、時差ぼけ、交代制勤務、過重量の人に起因するうつ病、ダイエットに起因するうつ病、たばこ嗜癖の治療に起因するうつ病、アルコール嗜癖の治療に起因するうつ病、薬物嗜癖の治療に起因するうつ病、季節性感情障害又は同等の状態から成る群から選択される、請求項1に記載の複合組成物の使用。
【請求項3】
前記疾患又は状態がうつ病、又は類似の状態である、請求項2に記載の複合組成物の使用。
【請求項4】
前記うつ病が臨床的うつ病である、請求項3に記載の複合組成物の使用。
【請求項5】
前記うつ病は、反応性うつ病である、請求項3に記載の複合組成物の使用。
【請求項6】
前記うつ病が産後うつ病である、請求項3に記載の複合組成物の使用。
【請求項7】
前記状態が抗精神病薬の投与に起因する、請求項1に記載の複合組成物の使用。
【請求項8】
前記抗精神病薬がクロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン又はセルチンドールから成る群から選択される、請求項7に記載の複合組成物の使用。
【請求項9】
うつ病をもたらす疾患若しくは状態(複数)、又はうつ病をもたらす状態(単数)、若しくは類似の状態の治療方法であって、以下の、
i)ヒドロコルチゾン又はその機能的変異体及び送達ビヒクルの複合調製物を提供する工程であって、該ビヒクルは、ヒドロコルチゾン又はその変異体の持続放出を提供する、該工程、
ii)ヒドロコルチゾン又はその変異体が持続性様式で放出されるように、(i)における複合調製物を、治療を必要とする動物へ投与する工程、
iii)ヒドロコルチゾン又はその変異体及び送達ビヒクルの複合調製物を提供する工程であって、該ビヒクルは、ヒドロコルチゾン又はその変異体の持続放出以外に遅延放出を提供する、該工程、及び
iv)ヒドロコルチゾン又はその変異体が、持続性様式以外に遅延型様式で放出されるように、(iii)における複合調製物を、治療を必要とする動物へ投与する工程
を含む、治療方法。
【請求項10】
前記疾患又は状態は、うつ病である、請求項9に記載の治療方法。
【請求項11】
前記動物は、持続性様式で放出されるヒドロコルチゾン、続いて、持続性様式以外に遅延型様式で放出されるヒドロコルチゾンが投与される、請求項9又は10に記載の治療方法。
【請求項12】
前記動物はヒトである、請求項9ないし11のいずれか1項に記載の治療方法。
【請求項13】
前記変異体はコルチゾール又はコルチゾンである、請求項9ないし12のいずれか1項に記載の治療方法。
【請求項14】
前記状態は、慢性疲労症候群、筋痛性脳炎、時差ぼけ、交代制勤務、過重量の人に起因するうつ病、ダイエット中の人に起因するうつ病、嗜癖、例えば喫煙又は薬物、アルコール嗜癖の治療に起因するうつ病、季節性感情障害又は同等の状態から成る群から選択される、請求項9ないし13のいずれか1項に記載の治療方法。
【請求項15】
前記状態は、抗精神病薬の投与に起因する、請求項9に記載の治療方法。
【請求項16】
前記薬は、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン又はセルチンドールから成る群から選択される、請求項15に記載の治療方法。
【請求項17】
前記持続放出調製物は、午前中に、好ましくは8:00〜12:00に投与される、請求項9ないし16のいずれか1項に記載の治療方法。
【請求項18】
前記遅延及び持続放出配合物は、夕方に、好ましくは18:00〜24:00に投与される、請求項9ないし16のいずれか1項に記載の治療方法。
【請求項19】
グルココルチコイドの投与に起因した副作用の治療で使用するための薬剤の製造のためのグルココルチコイド及び送達ビヒクルを含む複合組成物の使用であって、該送達ビヒクルは、該グルココルチコイドの遅延及び持続放出を提供する、複合組成物の使用。
【請求項20】
前記グルココルチコイドは、ヒドロコルチゾン又はその機能的変異体、コルチゾール、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、デキサメタゾンから成る群から選択される、請求項19に記載の複合組成物の使用。
【請求項21】
前記副作用が体重増加である、請求項19又は20に記載の複合組成物の使用。
【請求項22】
前記副作用が骨密度の低減である、請求項19又は20に記載の複合組成物の使用。
【請求項23】
前記副作用が筋肉又は皮膚の消耗である、請求項19又は20に記載の複合組成物の使用。
【請求項24】
前記副作用がインスリン抵抗性である、請求項19又は20に記載の複合組成物の使用。
【請求項25】
グルココルチコイド投与の結果として副作用を患う動物の治療方法であって、以下の、
i)グルココルチコイド及び送達ビヒクルの複合調製物を提供する工程であって、該ビヒクルは、該グルココルチコイドの持続放出を提供する、該工程、
ii)該グルココルチコイドが持続性様式で放出されるように、(i)における複合調製物を、治療を必要とする動物へ投与する工程、
iii)グルココルチコイド及び送達ビヒクルの複合調製物を提供する工程であって、該ビヒクルは、該グルココルチコイドの持続放出以外に遅延放出を提供する、該工程、及び
iv)前記グルココルチコイドが、持続性様式以外に遅延型様式で放出されるように、(iii)における複合調製物を、治療を必要とする動物へ投与する工程
を含む、動物の治療方法。
【請求項26】
前記グルココルチコイドは、ヒドロコルチゾン又はその機能的変異体、コルチゾール、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、デキサメタゾンから成る群から選択される、請求項25に記載の治療方法。
【請求項27】
前記副作用が体重増加である、請求項25又は26に記載の治療方法。
【請求項28】
前記副作用が骨密度の低減である、請求項25又は26に記載の治療方法。
【請求項29】
前記副作用が筋肉又は皮膚損耗である、請求項25又は26に記載の治療方法。
【請求項30】
前記副作用がインスリン抵抗性である、請求項25又は26に記載の治療方法。
【請求項31】
コルチゾール欠損に起因するのではなく、コルチゾールの正常な概日分泌における崩壊の結果である状態におけるコルチゾールの内因性概日リズムを回復及び同調させるための薬剤の製造のためのヒドロコルチゾン及び送達ビヒクルを含む複合組成物の使用であって、該送達ビヒクルは、ヒドロコルチゾンの遅延及び持続放出を提供する、複合組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−517790(P2007−517790A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546321(P2006−546321)
【出願日】平成16年12月30日(2004.12.30)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005418
【国際公開番号】WO2005/065692
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(500085769)ユニヴァーシティー オヴ シェフィールド (7)
【Fターム(参考)】