説明

泡吐出器

【課題】 泡吐出器において、空気室に浸入した水による菌の発生を防止すること。
【解決手段】 泡吐出器10であって、空気室Aの底部の下部に液室Lを配置し、空気室Aと液室Lを液ピストン52により区画し、液ピストン52による液室Lの収縮端側で、液室Lを空気室Aに連通する液通路101を液ピストン52の外周と液室Lの内壁の間に形成するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泡吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
洗剤等の泡吐出器として、特許文献1、2に記載の如く、容器本体の口部に固定したキャップに対し往復動可能に設けられる頭部を有し、頭部を往復動させることにより、容積可変の液室から内容液を、容積可変の空気室から空気を、それぞれ泡生成部に送り、この内容液と空気を泡生成部で混合発泡させ、生成した泡を頭部に設けた吐出口から吐出するに際し、頭部の往復動に連動して液室内を往復動する液ピストンを設け、液ピストンにより拡張される液室に容器本体の抗菌性のある内容液を吸入し、液ピストンにより収縮される液室の内容液を泡生成部に吐出し、頭部の往復動に連動して空気室内を往復動するエアピストンを設け、エアピストンにより拡張される空気室に外部の空気を吸入し、エアピストンにより収縮される空気室の空気を泡生成部に排出するものがある。これらの泡吐出器では、頭部とキャップの微小隙間を空気室に通ずる空気吸入経路としている。
【特許文献1】特開2005-193972
【特許文献2】特開2004-121898
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1、2に記載の泡吐出器では、外部の空気を空気吸入経路から空気室に取り込むときに、外水も吸引されて空気室に浸入するおそれがある。
【0004】
特許文献1に記載の泡吐出器は、頭部のスカート部の外径をキャップの外周との間の空気室への外気取り込み口を覆う傘状に張り出し、空気室への外水の浸入を防止しようとしている。
【0005】
また、特許文献2に記載の泡吐出器は、頭部のスカート部の下端に内側に張り出す環状凸部を設け、この環状凸部がキャップの外周との間に形成する空気室への外気取り込み口を狭小にし、空気室への外水の浸入を防止しようとしている。
【0006】
しかしながら、例えば容器本体を倒し、又は容器本体の外周を洗浄する環境では、空気室への外水の浸入を十分には防止できない。空気室に一旦浸入した外水は排出されず、菌等を発生する問題がある。
【0007】
本発明の課題は、泡吐出器において、空気室に浸入した水による菌の発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、容器本体の口部に固定したキャップに対し往復動可能に設けられる頭部を有し、頭部を往復動させることにより、容積可変の液室から内容液を、容積可変の空気室から空気を、それぞれ泡生成部に送り、この内容液と空気を泡生成部で混合発泡させ、生成した泡を頭部に設けた吐出口から吐出するに際し、頭部の往復動に連動して液室内を往復動する液ピストンを設け、液ピストンにより拡張される液室に容器本体から抗菌性のある内容液を吸入し、液ピストンにより収縮される液室の内容液を泡生成部に吐出し、頭部の往復動に連動して空気室内を往復動するエアピストンを設け、エアピストンにより拡張される空気室に容器外部の空気を吸入し、エアピストンにより収縮される空気室の空気を泡生成部に排出する泡吐出器であって、液室は空気室の底部より下方に延在し、空気室と液室を液ピストンにより区画し、液ピストンを液室の収縮端側に押し込んだときに、液室と空気室とを連通させる液通路を液ピストンの外周と液室の内壁の間に形成するようにしたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施例1)(図1〜図5)
泡吐出器10は、図1に示す如く、洗剤等の内容液が収容された容器本体1の口部1Aに、キャップ20の取付部20Aを固定する。キャップ20の取付部20Aの内側部にはシリンダ30の大径部30Aの上端部が突当てられ、大径部30Aの上端部にパッキン31とともに、キャップ20の取付部20Aの内側部と容器本体1の口部1Aとの間に挟圧固定される。シリンダ30は大径部30Aに連なる小径部30Bを有し、小径部30Bにディップチューブ32を嵌合し、このディップチューブ32を容器本体1の内部に挿入している。シリンダ30は、大径部30Aの内部に空気室Aを形成し、小径部30Bの内部に液室Lを形成する。キャップ20の筒部20Bには頭部40のステム41が上下方向に往復動可能に挿入される。泡吐出器10は、頭部40を往復動させることにより、容積可変の液室Lから内容液を、容積可変の空室Aから空気を、それぞれステム41の内部に設けてある後述する泡生成部80で混合発泡させ、生成した泡を頭部40に設けた吐出口42から吐出する。
【0010】
泡吐出器10に収容される洗剤等の内容液は抗菌剤(又は防腐剤ともいう)を添加される等により抗菌性を有する。防腐剤又は抗菌剤としては、例えば安息香酸、安息香酸パントテニルエチルエーテル、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、サリチル酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、フェノール、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジシン、グルコン酸クロルヘキシジン、オルトフェニルフェノール、臭化アルキルイソキノリニウム、チモール、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、ヒノキチオール、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ポリリジン、亜鉛塩、銀塩等の1つ或いは複数の組合せを用いることができる。
【0011】
泡吐出器10は、頭部40の吐出口42に通ずるステム41の下端中空部に中空ピストンガイド51を嵌合固定し、ピストンガイド51の下端中空部に中空液ピストン52の中空筒部52Aを嵌合固定し、液ピストン52の外周ピストン部52Bをシリンダ30の小径部30Bの内壁に摺動可能に挿入し、小径部30Bの下端側ばね受け部33及び後述するポペット60の下端バルブ62の上端面と液ピストン52との間に圧縮コイルばね53を介装している。即ち、頭部40を押しているときには、圧縮コイルばね53の下端部が小径部30Bの下端側ばね受け部33に支持されるとともに、ポペット60の下端バルブ62の上端面は圧縮コイルばね53の下端部から離れる。頭部40から手を離したときには、圧縮コイルばね53の下端部が小径部30Bの下端側ばね受け部33に支持されるとともに、ポペット60の下端バルブ62の上端面は圧縮コイルばね53の下端部に接する。泡吐出器10は、ピストンガイド51と液ピストン52の中空部を液室Lから延在する液吐出路54とし、ピストンガイド51における液吐出路54の上端部には上端側弁座51Aが設けられ、弁座51Aには液吐出路54からの圧力によって開くボール弁55が密接して載置される。
【0012】
泡吐出器10は、シリンダ30の小径部30Bから液ピストン52、ピストンガイド51に沿って延在するポペット60を有し、ポペット60の上端部61をピストンガイド51及び液ピストン52の内周に摩擦嵌合し、ポペット60の下端バルブ62を小径部30Bの下端側弁座34(小径部30Bの下端に形成された縮径領域)に密接して配置し、容器本体1の内部に対して液室Lを開閉する。ポペット60の外周溝と液ピストン52の内周との間、更にはピストンガイド51の内周溝との間が前述の液吐出路54とされる。ポペット60は下端側の領域においてコイルばね53の中心部に延在する。
【0013】
泡吐出器10は、頭部40の上下の往復動に連動して液室L内を上下動するピストンガイド51及び液ピストン52を有し、ポペット60の下端バルブ62がピストンガイド51及び液ピストン52の上動に連動して弁座34から離れ、かつ液ピストン52の上動により拡張される液室Lに容器本体1の内容液を吸入し、ポペット60の下端バルブ62がピストンガイド51及び液ピストン52の下動に連動して弁座34に接し、かつ液ピストン52の下動により収縮される液室Lの内容液を液吐出路54経由で弁座51Aと離れて開かれたボール弁55から後述する泡生成部80に吐出する。
【0014】
即ち、泡吐出器10は、頭部40の上下の往復動に連動して液室L内を上下動する液ピストン52を有し、頭部40が上動する吸入行程で液ピストン52の上動により拡張される液室Lに容器本体1の抗菌性のある内容液を吸入し、頭部40が押込下動される吐出行程で液ピストン52の下動により収縮される液室Lの内容液を後述する泡生成部80に吐出する。
【0015】
泡吐出器10は、ピストンガイド51の外周にエアピストン70の中空筒部70Aを遊挿し、エアピストン70の外周ピストン部70Bをシリンダ30の大径部30Aの内壁に摺動自在に挿入する。本実施例では、頭部40のステム41において後述する空気吸入路71を環状形成するための内外筒41A、41Bの下端段差状内周孔にエアピストン70の筒部70Aの上端部に設けた内外筒を挿入し、頭部40を図1の初期状態から僅かに下動させたときに、内外筒41A、41Bの内周孔の段差面がエアピストン70の内外筒の上端面に突き当たる一定の時間差の後、頭部40(ピストンガイド51、液ピストン52も一体)の下動によりエアピストン70も下動させる。従って、エアピストン70はピストンガイド51の外周に沿って僅かに上下相対移動可能にし、それらの下端間に後述する空気排出口73Aを形成可能にする(図2)。
【0016】
泡吐出器10は、頭部40のステム41内に空気吸入路71を延在し、空気吸入路71の外気取り込み口71Aをステム41の外面における頭部40の上端寄りに開口し、空気吸入路71をエアピストン70のピストン部70Bの端面に設けた孔71B、筒部70Aの外周に固定した吸入チェック弁72を介して空気室Aに連通可能にする。
【0017】
泡吐出器10は、ピストンガイド51の外周溝とエアピストン70の筒部70Aの内周との間から、更にピストンガイド51の外周とステム41の内周溝との間に連続する上下に続く空気排出路73を設け、ピストンガイド51の下端とエアピストン70の下端とが空気排出口73Aを開閉する開閉弁74を形成する。開閉弁74は、頭部40の下動時に頭部40とともに下動するピストンガイド51の下端をエアピストン70の下端から離隔させてそれらの下端間に空気排出口73Aを開き(図3)、頭部40の上動時に該頭部40とともに上動するピストンガイド51の下端フランジ部51Bをエアピストン70の下端に下から衝合させてそれらの下端間の空気排出口73Aを閉じる(図4)。
【0018】
尚、頭部40は、筒状カバー75を吊下げ、カバー75によりステム41及びキャップ20の筒部20Bの上領域を囲み、カバー75の下端部によりキャップ20の筒部20Bまわりに微小間隙を形成する。カバー75は外気取り込み口71Aへの外水の浸入を困難にする。
【0019】
即ち、泡吐出器10は、頭部40の上下の往復動に連動して空気室A内を上下動するエアピストン70を有し、頭部40が上動する吸入行程でエアピストン70の上動により拡張される空気室Aに外部の空気を吸入し、頭部40が押込下動される吐出行程でエアピストン70の下動により収縮される空気室Aの空気を後述する泡生成部80に排出する。
【0020】
泡吐出器10は、頭部40の吐出口42に泡生成部80を備える。泡生成部80は、液吐出路54と空気排出路73の会合領域(ボール弁55の直上部)に設けたジェットリング81により空気と内容液とを混合発泡し、この発泡された内容液をジェットリング81の上側に配置したメッシュリング82に貼ったメッシュ82Aを通すことにより細かな泡を生成し、吐出口42から吐出可能にする。
【0021】
泡吐出器10は、液室Lが空気室Aの底部より下方に延在し、空気室Aと液室Lを液ピストン52の外周ピストン部52Bにより区画している。従って、空気室Aの底部は液ピストン52の外周ピストン部52Bにより画定される。液ピストン52の上下動により、空気室Aの範囲はシリンダ30の大径部30Aの内壁から、ピストンガイド51を中心軸としてピストンガイド51に向かうシリンダ30の下り勾配の円錐面B〜シリンダ30の小径部30Bの内壁に渡るものになる。
【0022】
そして、泡吐出器10は、シリンダ30の大径部30Aが形成する空気室Aへの水の滞留を防止するため、空気室Aからの空気排出口73Aを空気室Aの底部近傍に設ける。更に、空気室Aの底部を空気排出口73Aに向かって下り勾配をなすものとする。本実施例では、空気室Aの空気を排出開始するエアピストン70の下動開始時に(図2)、ピストンガイド51の下端とエアピストン70の下端とが形成する空気排出口73Aを空気室Aの円錐面B以下のレベルに位置させ、エアピストン70の下動過程でピストンガイド51と液ピストン52がシリンダ30の小径部30Bに押し込まれるときには、空気排出口73Aを空気室Aの底部による円錐面B以下で円錐面Bに近いレベルから小径部30B内の更に下方レベルに位置させるものとする。
【0023】
尚、泡吐出器10は、キャップ20の筒部20Bと頭部40のステム41の外筒41Bとの間隙91A、シリンダ30が形成する空気室Aのエアピストン70に対する上部の外部解放室91Bを容器本体1の内部への空気導入路91とし、容器本体1の内部への空気導入口91Cをシリンダ30の大径部30Aの上端側に穿設する。泡吐出器10の初期状態(図1)で、空気導入口91Cはエアピストン70のピストン部70Bによりカバーされ、空気導入路91に対し閉じられ、頭部40の上下の往復動時に、空気導入口91Cはエアピストン70のピストン部70Bによるカバーが外れて空気導入路91に対し開口され、かつ空気導入口91Cは、空気室Aとは常時遮断されている。前述のカバー75はキャップ20の筒部20Bまわりに微小間隙を形成するから、空気導入路91への外水の浸入を困難にする。
【0024】
泡吐出器10にあっては、空気の外部取り込み口71Aから空気吸入路71を通って空気室Aへ外部の空気を吸入する空気吸入経路と、空気導入路91から空気導入口91Cを通って容器本体1の内部へ外部の空気を導入する空気導入経路を別系統とする。
【0025】
しかるに、泡吐出器10にあっては、空気吸入路71から空気室Aに取り込まれる外気に随伴して空気室Aに浸入した水による菌の発生を防止するため、以下の構成を具備する。即ち、液ピストン52による液室Lの収縮端側で、液室Lを空気室Aに連通する液通路101を液ピストン52の外周と液室Lの内壁(シリンダ30の小径部30Bの内壁)の間に形成する。
【0026】
具体的には、泡吐出器10が吐出完了/吸入開始状態(図4)にあり、下動側(収縮端)に位置する液ピストン52の外周ピストン部52Bの全長を超える範囲に対応するシリンダ30の小径部30Bの内壁の周方向一部にリブ100Aを成形する。液ピストン52が液室Lの収縮端側に移動したとき、液ピストン52のゴム等の弾性材料からなっていて可撓性のある外周ピストン部52Bがリブ100Aに乗り上げ、液ピストン52とシリンダ30の小径部30Bの内壁との間に隙間状液通路101が形成される。これにより、収縮端にある液ピストン52により加圧された液室Lの抗菌性内容液が液通路101経由で液ピストン52の外周ピストン部52Bの上部の空気室Aの底部に送り込まれる(図4(B))。
【0027】
泡吐出器10は以下の如く動作する。
(動作1)(図2)
(1)図1の初期状態から頭部40を押すと最初に頭部40と一体となって、ピストンガイド51、ピストン52、ポペット60が下へ下がる。
【0028】
(2)ポペット60の下端バルブ62がシリンダ30の小径部30Bの下端側に設けられた弁座34に当たり(IA部分)、液室Lを閉じる。
【0029】
(3)エアピストン70はこの時点では動かないため(頭部40とエアピストン70の上端の隙間が狭くなる)(IB部分)、エアピストン70の下端とピストンガイド51の下端の間に隙間ができ、空気室Aの排出口73Aとなる(IC部分)。
【0030】
(動作2)(図3)
(1)頭部40を更に押すと、頭部40と一体となって、ピストンガイド51、ピストン52、エアピストン70が下へ下がる。
【0031】
(2)空気室A内の空気は空気排出路73を通り、液室L内の液は液吐出路54を通り、泡生成部80のジェットリング81の部分で混合され泡となる。泡はメッシュリング82に貼られたメッシュ82Aを通り細かな泡となって頭部40の吐出口42から吐出される。
【0032】
(3)このとき、空気室A内に溜まっていた水も、空気の流れに沿って空気排出路73を通り、吐出口42から排出される。
【0033】
(4)頭部40を押している途中で、エアピストン70が塞いでいた空気室Aの側面の空気導入口91Aが開放されるため、空気が容器本体1の内部へ導入される。
【0034】
(動作3)(図4)
(1)頭部40が押込端に達し、液ピストン52が収縮端(下動端)に達すると、液ピストン52の外周ピストン部52Bがリブ100Aに乗り上げて液室Lを空気室Aに連通する液通路101が形成される。液室Lの内容液が液通路101経由で空気室Aの底部に送り込まれる。空気吸入路71から空気室Aに取り込まれた外気に随伴して空気室Aに浸入し、空気室Aの底部に滞留していた外水に抗菌性内容液が混合することになる。
【0035】
(動作4)(図4)
(1)頭部40を押すのをやめて頭部40から手を離すと、頭部40と一体となって、ピストンガイド51、ピストン52、ポペット60がコイルばね53のばね力で上がる。
【0036】
(2)ポペット60の下端がシリンダ30の小径部30Bの弁座34から離れ隙間ができ(IIIA部分)、液室Lを開く。
【0037】
(3)エアピストン70はこの時点では動かないため(頭部40とエアピストン70の上端の隙間が広くなる)(IIIB部分)、エアピストン70の下端とピストンガイド51の下端の隙間が閉じ、空気排出口73Aが閉じられる(IIIC部分)。
【0038】
(動作5)(図5)
(1)頭部40が更に上昇すると、頭部40と一体となって、ピストンガイド51、ピストン52、エアピストン70が上昇する。
【0039】
(2)空気室A内は負圧となるため、吸入チェック弁72が開き、空気吸入路71を通り空気室A内へ空気が吸入される。また、液室L内も負圧となるため、容器本体1内の内容液がディップチューブ32を通って液室Lへ導入される。
【0040】
(3)図1の初期状態に戻る。
【0041】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)泡吐出器10の吐出行程における、頭部40を押込んだ液ピストン52による液室Lの収縮端側で、液室Lを空気室Aに連通する液通路101を液ピストン52の外周と液室Lの内壁の間に形成する。従って、液ピストン52により加圧された液室Lの内容液が空気室Aの底部に送り込まれる。これにより、空気室Aに浸入して空気室Aの底部に滞留していた外水に抗菌性内容液が混合し、外水の菌の繁殖を防止する。
【0042】
(b)次回吐出行程における、頭部40を押込んだエアピストン70による空気室Aの収縮時に、空気室Aに滞留している上述(a)の抗菌性内容液が混合した水は空気とともに泡生成部80に排出される。
【0043】
(c)抗菌性の液剤を空気室A内に予め装填するものと異なり、吐出行程の度に、容器本体から液室Lに吸引される抗菌性内容液を空気室Aの底部に送り込む。従って、泡吐出器10が詰め替え用容器本体に繰り返し用いられるときにも、上述(a)、(b)の防菌作用を発揮できる。
【0044】
(d)空気室Aから泡生成部80への空気の排出口73Aが空気室Aの底部近くに設けられた。従って、エアピストン70が空気室Aを収縮して空気室Aの空気を排出口73Aから泡生成部80に排出するとき、空気室Aに滞留している前述(a)の抗菌性内容液が混合した水を空気の流れに乗せて排出口73Aから吐出口42の側へ排出し、前述(b)の排水作用を促進できる。
【0045】
(e)空気室Aの底部近傍部を空気の排出口73Aに向かう下り勾配にしたから、空気室Aに滞留している前述(a)の抗菌性内容液が混合した水をその底部近くの排出口73Aの周辺に集め、上述(d)による排水作用の一層の確実を図ることができる。
【0046】
(f)容器本体1の内容液が防腐剤を含むことにより、内容液の抗菌性を高め、前述(a)の防菌作用の確実を図ることができる。
【0047】
(実施例2)(図6、図7)
実施例2は、実施例1の構造に加え、エアピストン70による空気室Aの収縮端側で、空気室Aを、該空気室Aのエアピストン70に対する上部に形成してある外部解放室91Bに連通する空気通路201を空気ピストン70の外周と空気室Aの内壁(シリンダ30の大径部30Aの内壁)との間に形成したことにある。
【0048】
具体的には、泡吐出器10が吐出完了/吸入開始状態(図7)にあり、下動端(収縮端)に位置するエアピストン70の外周ピストン部70Bの全長を超える範囲に対応するシリンダ30の大径部30Aの内壁の周方向一部にリブ200A(凸部、溝部でも可)を成形する。エアピストン70が空気室Aの収縮端側に移動したとき、エアピストン70の外周ピストン部70Bがリブ200Aに乗り上げ、エアピストン70とシリンダ30の大径部30Aの内壁との間に隙間状空気通路201が形成される(図7(C))。
【0049】
従って、実施例2によれば、実施例1の前述(a)〜(f)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0050】
実施例1の前述(a)の吐出行程において液ピストン52が液室Lの収縮端に達するタイミングは、エアピストン72が空気室Aの収縮端に達するタイミングでもある。このとき、空気室Aのエアピストン72に対する上部に外部解放室91Bが形成され、空気室Aを外部解放室91Bに連通する空気通路201がエアピストン72の外周と空気室Aの内壁の間に形成される。従って、液室Lと空気室Aとが前述(a)の液通路101により連通する状態で、液ピストン52により加圧された液室Lの圧力が外部解放室91Bに連通している空気室Aの圧力に対してより高圧になり、液室Lの内容液が空気室Aの底部にスムースに送り込まれ、前述(a)の防菌作用を促進できる。
【0051】
(実施例3)(図8、図9)
実施例3が実施例1と異なる点は、液ピストン52による液室Lの収縮端側で、液室Lを空気室Aに連通する液通路101を液ピストン52の外周と液室Lの内壁(シリンダ30の小径部30Bの内壁)の間に形成するための具体的構造として、リブ100Aに代わる凸部100Bを設けたことにある。即ち、泡吐出器10が吐出完了/吸入開始状態(図9)にあり、下動側(収縮端)に位置する液ピストン52の外周ピストン部52Bに対応するシリンダ30の小径部30Bの内壁の周方向一部に凸部100Bを成形する。液ピストン52が液室Lの収縮端側に移動したとき、液ピストン52のゴム等の弾性材料からなっていて可撓性のある外周ピストン部52Bが凸部100Bに乗り上げ、液ピストン52とシリンダ30の小径部30Bの内壁との間に隙間状液通路101が形成される。これにより、収縮端にある液ピストン52により加圧された液室Lの抗菌性内容液が液通路101経由で液ピストン52の外周ピストン部52Bの上部の空気室Aの底部に送り込まれ(図9(B))、実施例1におけると同様に、空気室Aに浸入した水による菌の発生を防止する。
【0052】
(実施例4)(図10、図11)
実施例4が実施例1と異なる点は、液ピストン52による液室Lの収縮端側で、液室Lを空気室Aに連通する液通路101を液ピストン52の外周と液室Lの内壁(シリンダ30の小径部30Bの内壁)の間に形成するための具体的構造として、リブ100Aに代わる溝部100Cを設けたことにある。即ち、泡吐出器10が吐出完了/吸入開始状態(図11)にあり、下動側(収縮端)に位置する液ピストン52の外周ピストン部52Bに対応するシリンダ30の小径部30Bの内壁の周方向一部に溝部100Cを成形する。液ピストン52が液室Lの収縮端側に移動したとき、液ピストン52の外周ピストン部52Bが溝部100Cの上に位置付けられ、液ピストン52とシリンダ30の小径部30Bの内壁(溝部100C)との間に隙間状液通路101が形成される。これにより、収縮端にある液ピストン52により加圧された液室Lの抗菌性内容液が液通路101経由で液ピストン52の外周ピストン部52Bの上部の空気室Aの底部に送り込まれ(図11(B))、実施例1におけると同様に、空気室Aに浸入した水による菌の発生を防止する。
【0053】
尚、本実施形態(実施例1〜4)においては、泡吐出器10は、空気吸入路71と空気導入路91を環状形成するために内外筒41A、41Bの2つの筒によりステム41を形成しているが、この外筒41Bを形成せず、内筒41Aをステム41とし、内筒41Aの下方外周面とキャップ20の筒部20Bの内周面とを近接配置し、この内筒41Aと筒部20Bの間のみを空気吸入路71とすることもできる。この場合、一つの空気吸入路71が孔71Bに連続しているとともに、外部解放室91Bへも連通可能としており、頭部40が上下動したときには、空気吸入路71から外部解放室91B、空気導入口91Cを経由して容器本体内へ連通可能とし、頭部40が上動したときに孔71Bからチェック弁82を経由して空気室Aへ連通可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は実施例1の泡吐出器の初期状態を示す断面図である。
【図2】図2は泡吐出器の吐出開始状態を示す断面図である。
【図3】図3は泡吐出器の吐出中間状態を示す断面図である。
【図4】図4は泡吐出器の吐出完了/吸入開始状態を示す断面図である。
【図5】図5は泡吐出器の吸入中間状態を示す断面図である。
【図6】図6は実施例2の泡吐出器の初期状態を示す断面図である。
【図7】図7は泡吐出器の吐出完了/吸入開始状態を示す断面図である。
【図8】図8は実施例3の泡吐出器の初期状態を示す断面図である。
【図9】図9は泡吐出器の吐出完了/吸入開始状態を示す断面図である。
【図10】図10は実施例4の泡吐出器の初期状態を示す断面図である。
【図11】図11は泡吐出器の吐出完了/吸入開始状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 容器本体
1A 口部
10 泡吐出器
20 キャップ
30 シリンダ
30A 大径部
30B 小径部
40 頭部
42 吐出口
51 ピストンガイド
52 液ピストン
53 コイルばね
54 液吐出路
60 ポペット
70 エアピストン
71 空気吸入路
73 空気排出路
73A 空気排出口
74 開閉弁
80 泡生成部
91 空気導入路
91B 外部解放室
100A リブ
100B 凸部
100C 溝部
101 液通路
200A リブ
201 空気通路
A 空気室
B 底部
L 液室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に固定したキャップに対し往復動可能に設けられる頭部を有し、頭部を往復動させることにより、容積可変の液室から内容液を、容積可変の空気室から空気を、それぞれ泡生成部に送り、この内容液と空気を泡生成部で混合発泡させ、生成した泡を頭部に設けた吐出口から吐出するに際し、
頭部の往復動に連動して液室内を往復動する液ピストンを設け、液ピストンにより拡張される液室に容器本体から抗菌性のある内容液を吸入し、液ピストンにより収縮される液室の内容液を泡生成部に吐出し、
頭部の往復動に連動して空気室内を往復動するエアピストンを設け、エアピストンにより拡張される空気室に容器外部の空気を吸入し、エアピストンにより収縮される空気室の空気を泡生成部に排出する泡吐出器であって、
液室は空気室の底部より下方に延在し、空気室と液室を液ピストンにより区画し、
液ピストンを液室の収縮端側に押し込んだときに、液室と空気室とを連通させる液通路を液ピストンの外周と液室の内壁の間に形成する泡吐出器。
【請求項2】
前記エアピストンを空気室の収縮端側に押し込んだときに、空気室と空気室のエアピストンに対する上部に形成された外部解放室とを連通させる空気通路をエアピストンの外周と空気室の内壁の間に形成する請求項1に記載の泡吐出器。
【請求項3】
前記空気室から泡生成部への空気の排出口を空気室の底部に設けた請求項2に記載の泡吐出器。
【請求項4】
前記空気室の底部近傍部が空気の排出口に向かって下り勾配をなす請求項2に記載の泡吐出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−179349(P2009−179349A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19832(P2008−19832)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】