説明

波長クロスコネクト装置、波長クロスコネクト通信システム、波長クロスコネクト制御方法、及び波長クロスコネクト制御プログラム

【課題】本発明の目的は、WXC通信での装置間の接続制限を無くし、更にファイバを接続する際にポートへの設定を自動化させることでフレキシブルで確実な通信導通が可能となるWXC装置を提供することにある。
【解決手段】本発明に係るWXC装置1は、波長多重信号が伝搬するファイバと接続される複数のポートを持つWXC通信機能部5−1と、ポートの各々に設定するために予め保持されている設定値の中から、ファイバが接続されたポートに適する設定値を選択するWXC通信設定値保持部3−1と、ポートにファイバが接続されたことの接続情報をWXC通信設定値保持部へ出力する接続先管理部2−1と、ポートとファイバと接続したときにWXC通信機能部から出力されるファイバ接続フラグONを受信して接続情報を発生させ、受信した設定値をファイバと接続したポートに反映させる設定値分岐送受信部4−1と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WDM通信が可能な波長クロスコネクト通信に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信容量の増大に伴い、波長分割多重方式(Wavelength Division Multiplexing、以下WDM)を用いた光伝送装置や技術がバックボーンやメトロエリアの領域で導入されている。WDM装置では近年、更なる大容量通信と柔軟なネットワーク構成が求められおり、その中でも多方路へのWDM通信が可能な波長クロスコネクト(Wavelength Cross Connect、以下WXC)通信は重要な役割を担っている。
【0003】
このようなWXC通信においては、ファイバを接続するポートが一意にルール化されており、実際のファイバ接続と設定値が異なることや、接続するポートに制限があることにより誤接続が発生しやすく、接続したものの主信号が導通しない導通不良となる可能性がある。また、使用ポート毎に手動での設定が必要であり、こちらも実際使用するポートと設定したポートが異なっていることにより主信号が導通しないといった導通不良となる可能性がある。
【0004】
例えば、光ファイバ接続状態認識を含むデータリンク情報の設定を容易に行うことができるネットワークシステムが特許文献1に記載されている。特許文献1のネットワークシステムは、隣接する光クロスコネクト(PXC)装置とWDM装置とが光ファイバで接続されるとともに電気通信路が設けられ、PXC装置とWDM装置との間の光ファイバ接続状態を自動認識する。
【0005】
具体的には、WDM装置は、光ファイバ接続状態の自動認識を指示する信号を受けて、自動認識をすべき光ファイバのポートの識別情報と自ノードID情報とを含む情報を光信号のオンオフパターンでPXC装置側に送信するとともに、折り返される光信号のオンオフパターンを監視して導通確認を行う。PXC装置は、非運用の光ファイバのポートをループバック設定しておき、入力された光信号のオンオフパターンを折り返すとともに、該光信号のオンオフパターンを検出して前記ポートの識別情報と前記ノードID情報とを取得し、これらの情報を用いて制御チャネルを確立し、データリンク情報の設定を行う。
【0006】
また、隣接するノード装置間でインタフェースに関するポリシーが異なる場合でもネットワーク情報を自動設定するネットワーク情報設定システムの一例が特許文献2に記載されている。特許文献2のネットワーク情報設定システムは、2つのノード装置がリンク接続されると、それをトリガとして、ノード装置間で設定情報を交換して、ネットワーク情報を設定する。ここで、ノード装置は互いのネットワーク情報を参照して、ネットワーク情報に設定される設定内容が異なるとき、自ノード装置で希望するポリシーを隣接ノードに提案する。また、この隣接ノード装置がポリシーの変更を受け入れない場合、自ノード装置が隣接ノード装置のポリシーを受け入れるように動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−212778号公報
【特許文献2】特開2010−239547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のネットワークシステムは、2装置(WDM装置とPXC装置)間の接続の自動認識を行っているが、WDM装置間を接続するための技術でなく、前述したWXC通信での導通不調を回避することができないという問題点があった。
【0009】
さらに、特許文献2のネットワーク情報設定システムは、隣接するノード装置間を接続するリンクのインタフェースに関し、ポリシーが異なる場合でもネットワーク情報を自動設定することが可能であるが、WDM装置間を接続するための技術でなく、特許文献1と同様に前述したWXC通信での導通不調を回避することができないという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、WXC通信での装置間の接続制限を無くし、更にファイバを接続する際にポートへの設定を自動化させることでフレキシブルで確実な通信導通が可能となるWXC装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るWXC装置は、波長多重信号が伝搬するファイバと接続される複数のポートを持つ波長クロスコネクト(WXC:Wavelength Cross Connect)通信機能部と、
前記WXC通信機能部の前記ポートの各々に設定するために予め保持されている設定値の中から、前記ファイバが接続された前記ポートに適する前記設定値を選択するWXC通信設定値保持部と、
前記WXC通信機能部の前記ポートに前記ファイバが接続されたことの接続情報を前記WXC通信設定値保持部へ出力する接続先管理部と、
前記ポートと前記ファイバと接続したときに前記WXC通信機能部から出力されるファイバ接続フラグONを受信して前記接続情報を発生させて前記接続先管理部へ出力し、前記WXC通信設定値保持部から受信した前記設定値を前記ファイバと接続した前記ポートに反映させる設定値分岐送受信部と、
を備える。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係るWXC通信システムは、前記WXC装置と、前記接続先管理部から前記接続情報を取得する上位監視装置と、を備える。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係るWXC制御方法は、波長多重信号が伝搬するファイバをWXC装置のWXC通信機能部の複数のポートのいずれかに接続する際に、
前記ポートと前記ファイバと接続したときに前記WXC通信機能部から出力されるファイバ接続フラグONを受信し、前記WXC通信機能部の前記ポートに前記ファイバが接続されたことの接続情報を出力する接続情報出力手順と、
前記接続情報出力手順で出力された前記接続情報に基づき、前記WXC通信機能部の前記ポートの各々に設定するために予め保持されている設定値の中から、前記ファイバが接続された前記ポートに適する前記設定値を選択するWXC通信設定値選択手順と、
前記接続情報があったときに、前記WXC通信設定値選択手順で選択された前記設定値を前記ファイバと接続した前記ポートに反映させる設定値反映手順と、
を順に行う。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係るWXC制御プログラムは、波長多重信号が伝搬するファイバをWXC装置のWXC通信機能部の複数のポートのいずれかに接続する際に、
前記ポートと前記ファイバと接続したときに前記WXC通信機能部から出力されるファイバ接続フラグONを受信し、前記WXC通信機能部の前記ポートに前記ファイバが接続されたことの接続情報を出力する接続情報出力手順と、
前記接続情報出力手順で出力された前記接続情報に基づき、前記WXC通信機能部の前記ポートの各々に設定するために予め保持されている設定値の中から、前記ファイバが接続された前記ポートに適する前記設定値を選択するWXC通信設定値選択手順と、
前記接続情報があったときに、前記WXC通信設定値選択手順で選択された前記設定値を前記ファイバと接続した前記ポートに反映させる設定値反映手順と、
を順にWXC装置に実施させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、WXC通信での装置間の接続制限を無くし、更にファイバを接続する際にポートへの設定を自動化させることでフレキシブルで確実な通信導通が可能となるWXC装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るWXC装置を説明する図である。
【図2】本発明に係るWXC通信システムを説明する図である。
【図3】本発明に係るWXC制御方法を説明する図である。
【図4】本発明に係るWXC制御方法を説明する図である。
【図5】本発明に係るWXC装置の設定値分岐送受信部が行う設定値の選択を説明する図である。
【図6】本発明に係るWXC装置の設定値分岐送受信部が行う設定値の選択を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0018】
(実施形態1)
図1は、本実施形態のWXC装置10を説明する図である。WXC装置10は、波長多重信号が伝搬するファイバと接続される複数のポート(5−1−1〜5−1−6)を持つWXC通信機能部5−1と、
WXC通信機能部5−1のポートの各々に設定するために予め保持されている設定値の中から、ファイバが接続されたポートに適する設定値を選択するWXC通信設定値保持部3−1と、
WXC通信機能部5−1のポートにファイバが接続されたことの接続情報をWXC通信設定値保持部3−1へ出力する接続先管理部2−1と、
ポートとファイバと接続したときにWXC通信機能部5−1から出力されるファイバ接続フラグONを受信して接続情報を発生させて接続先管理部2−1へ出力し、WXC通信設定値保持部3−1から受信した設定値をファイバと接続したポートに反映させる設定値分岐送受信部4−1と、
を備える。
【0019】
WXC装置10は、図3のように動作する。すなわち、WXC装置10は、波長多重信号が伝搬するファイバをWXC通信機能部5−1の複数のポート(5−1−1〜5−1−6)のいずれかに接続する際に、
ポートとファイバと接続したときにWXC通信機能部5−1から出力されるファイバ接続フラグONを受信し、WXC通信機能部5−1のポートにファイバが接続されたことの接続情報を出力する接続情報出力手順(ステップS01)と、
接続情報出力手順で出力された接続情報に基づき、WXC通信機能部5−1のポートの各々に設定するために予め保持されている設定値の中から、ファイバが接続されたポートに適する設定値を選択するWXC通信設定値選択手順(ステップS02)と、
接続情報があったときに、WXC通信設定値選択手順で選択された設定値をファイバと接続したポートに反映させる設定値反映手順(ステップS03)と、
を順に行う。
【0020】
WXC装置10は、より詳細には次のように動作する。
接続先管理部2−1は設定値分岐送受信部4−1を介してポート(5−1−1〜5−1−6)に接続されたファイバの接続情報を管理し、その情報をWXC通信設定値保持部3−1と上位監視装置に送信する。
【0021】
WXC通信設定値保持部3−1はWXC通信機能部5−1に設定すべき設定値を全て保持しており、接続先管理部2−1から受信したファイバの接続情報を元に、WXC通信機能部5−1のポートに設定する設定値を選択して設定値分岐送受信部4−1に送信する。
【0022】
設定値分岐送受信部4−1はポート(5−1−1〜5−1−6)から送信されたファイバ接続ON/OFFのフラグを受信し、ファイバの接続状態を接続情報として接続先管理部2−1に送信する。
【0023】
また、設定値分岐送受信部4−1はWXC通信設定値保持部3−1から受信した設定値をWXC通信機能部5−1に送信する。この際、設定値分岐送受信部4−1は、ポート(5−1−1〜5−1−6)のどこに設定するかをWXC通信設定値保持部3−1から受信した設定値から読み取り、該当ポートのファイバ接続フラグがONになっていることを確認後、該当するポートへ設定値を送信する。
【0024】
WXC通信機能部5−1のポート(5−1−1〜5−1−6)はそれぞれファイバが接続された際に、ファイバが物理的に接続されたことをトリガにファイバ接続のフラグをONに変更し、設定値分岐送受信部4−1に送信する。なお、各ポートは、ファイバ未接続時はOFF設定としておく。
【0025】
WXC装置10は、物理的なファイバ接続でポートへの設定値を自動で設定することにより、設定ミスの危険性を解消することができる。
【0026】
(実施形態2)
図2は、WXC装置10とWXC装置20とを接続したWXC通信システム101を説明する図である。WXC装置10とWXC装置20とは同一である。そして、WXC通信システム101は、WXC装置(10、20)の情報を監視する上位監視装置60を有する。上位監視装置60は、接続先管理部(2−1、2−2)から接続情報を取得する。
【0027】
WXC通信機能部5−1は、ファイバを介してWXC装置20におけるWXC通信機能部5−2のポート(5−2−1〜5−2−6)と通信を行い、WXC装置20におけるWXC通信機能部5−2のポートの番号を受信し、設定値分岐送受信部4−1に装置間リンク情報として報告する。
【0028】
ポート(5−1−1〜5−1−6)とポート(5−2−1〜5−2−6)同士はファイバ接続されることにより互いに通信を行い、対向に接続されているポートを自動的に認識し、それを装置間リンク情報として設定値分岐送受信部(4−1、4−2)を介して接続先管理部(2−1、2−2)に送信する。
【0029】
上位監視装置60は、装置間リンク情報をさらに取得する。上位監視装置60は、接続先管理部(2−1、2−2)から受信した接続先設定(装置間リンク情報)を保持する。ここで、接続設定にエラーがあった場合、接続先管理部(2−1、2−2)がエラー情報を送信するため、上位監視装置60は、そのエラー情報を遠隔で監視できる。
【0030】
WXC通信システム101は、図4のように動作する。設定値反映手順(ステップS03)までは図3の説明と同様である。WXC通信システム101のWXC装置10は、ファイバをWXC通信機能部5−1のポートに接続した後に、ファイバを介してWXC装置20におけるWXC通信機能部5−2のポートと通信を行い、WXC装置20におけるWXC通信機能部5−2のポートの番号を受信し、設定値分岐送受信部4−1に装置間リンク情報として報告するリンク情報報告手順(ステップS04)を行う。
【0031】
さらに、WXC装置10は、リンク情報報告手順で報告された自身の装置間リンク情報と、WXC装置20でのリンク情報報告手順で報告された装置間リンク情報とを比較して一致確認を行う一致確認手順(ステップS05)を行う。
【0032】
また、上位監視装置60は、接続情報出力手順で出力された接続情報を監視する上位監視手順(ステップS07)を行う。さらに、上位監視装置60は、リンク情報報告手順で報告された装置間リンク情報を監視する上位リンク監視手順(ステップS08)を行う。
【0033】
WXC通信システム101の動作について図2及び図4を用いて説明する。WXC装置10とWXC装置20の動作は同じである。そこで、WXC装置10の動作を中心に説明する。
【0034】
まず、ポート(5−1−1〜5−1−6)のいずれかにファイバが接続されたことをトリガにポート(5−1−1〜5−1−6)は自身の持つファイバ接続フラグのスイッチをONに設定し、その信号を設定値分岐送受信部4−1に送信する。
【0035】
設定値分岐送受信部4−1はポート(5−1−1〜5−1−6)から受信したファイバ接続フラグONの情報を保持し、それを接続情報として接続先管理部2−1に送信する。
【0036】
接続先管理部2−1は設定値分岐送受信部4−1から受信した接続情報を管理のために保持し、その接続情報を上位監視装置60とWXC通信設定値保持部3−1に送信する。
【0037】
WXC通信設定値保持部3−1は接続先管理部2−1から受信した接続情報に基づいて、ポート(5−1−1〜5−1−6)にそれぞれのポートに適した設定を自身が保持している設定値の中から自動的に選択する。そして、WXC通信設定値保持部3−1は選択した設定値とその設定値を設定するポート番号を設定値分岐送受信部4−1に送信する。
【0038】
設定値分岐送受信部4−1はWXC通信設定値保持部3−1から受信した設定値を設定するポート番号と自身が管理しているファイバ接続フラグONのポート番号とを比較する。設定値を設定するポート番号のポートがファイバ接続フラグONである場合、設定値分岐送受信部4−1はWXC通信設定値保持部3−1から受信した設定値を当該ポートに反映させる。一方、設定値を設定するポート番号のポートがファイバ接続フラグOFFである場合、例えば、ファイバがポートから抜けてしまっている場合、設定値分岐送受信部4−1は接続先管理部2−1にエラー報告を送信する。
【0039】
接続先管理部2−1は設定値分岐送受信部4−1から受信したエラー情報を上位監視装置60に送信する。これにより上位監視装置60は遠隔から設定ミス及びファイバ抜け等の監視を行うことができる。
【0040】
WXC装置20の基本的な動作はWXC装置10と同様である。
【0041】
ポートへの設定値反映が完了した後、WXC装置(10、20)は、ポート間で互いに通信を行い、自身と対向するポート番号を確認し、装置間リンク情報としてそれぞれの設定値分岐送受信部(4−1、4−2)に送信する。
【0042】
設定値分岐送受信部(4−1、4−2)は各ポートから受信した装置間リンク情報を接続先管理部(2−1、2−2)に送信する。接続先管理部(2−1、2−2)はその装置間リンク情報を保持するとともに、互いが保持する装置間リンク情報について一致していることの確認を行う。また、接続先管理部(2−1、2−2)は装置間リンク情報を上位監視装置60に送信する。このため、上位監視装置60は遠隔からWXC装置間の接続設定の監視が可能である。
【0043】
このように、WXC通信システム101は、上位監視装置60がWXC装置間の接続状態を把握しており、いずれのポート同士でもWXC通信を可能とする。つまり、実施形態1で説明したポートへの設定値の自動設定、及び本実施形態で説明したWXC装置間の接続状態の把握により、WXC装置のいずれのポートにファイバを接続しても確実なWXC通信を行うことが可能となる。
【0044】
(プログラム)
WXC装置(10、20)はコンピュータ(不図示)を有していてもよい。このコンピュータは、プログラムを実行することでWXC装置(10、20)を図4で説明したステップS01〜ステップS05のように動作させることができる。
【0045】
(実施例)
次にWXC通信システム101の具体的な実施例について図2を用いて説明する。
【0046】
WXC装置10において、WXC通信機能部5−1のポート5−1−4にファイバを接続したとする。この場合、ポート5−1−4は自身の持つファイバ接続フラグ設定をOFFからONに変更し、ファイバ接続フラグ設定がONになったことを設定値分岐送受信部4−1に送信する。
【0047】
設定値分岐送受信部4−1はポート5−1−4から受信したファイバ接続フラグ設定ONの情報を保持し、その情報を接続情報として接続先管理部2−1に送信する。この時点での設定値分岐送受信部4−1が保持しているファイバ接続フラグ情報は以下の通りである。
・ WXC通信機能ポート5−1−1:OFF
・ WXC通信機能ポート5−1−2:OFF
・ WXC通信機能ポート5−1−3:OFF
・ WXC通信機能ポート5−1−4:ON
・ WXC通信機能ポート5−1−5:OFF
・ WXC通信機能ポート5−1−6:OFF
【0048】
接続先管理部2−1は設定値分岐送受信部4−1から受信したポート5−1−4のファイバ接続フラグがONであるという接続情報を上位監視装置60とWXC通信設定値保持部3−1に送信する。
【0049】
WXC通信設定値保持部3−1は接続先管理部2−1から受信した接続情報に基づき、自身が保持しているデータの中からポート5−1−4に設定すべき設定値を自動的に選択し、その設定値を設定値分岐送受信部4−1に送信する。自動的に選択する手法を図5に示す。詳細には、WXC通信設定値保持部3−1は、自身が保持する全データと接続先管理部2−1から受信した接続情報とを比較し、一致するデータを検索する。WXC通信設定値保持部3−1は、一致するデータを設定値分岐送受信部4−1に送信する設定値と判断する。
【0050】
設定値分岐送受信部4−1はWXC通信設定値保持部3−1から受信したポート5−1−4の設定値とそのポート番号に基づき、自身がもつファイバ接続フラグ情報を確認する。設定値分岐送受信部4−1は、ポート5−1−4のファイバ接続フラグがONになっていることを確認後、ポート5−1−4に受信した設定値を反映させる。
【0051】
このとき、ポート5−1−4のファイバ抜けや、WXC通信設定値保持部3−1等の故障によりポート5−1−4以外の設定値が選択されていた場合、WXC通信設定値保持部3−1から受信した設定値と、自身のもつファイバ接続フラグONのWXC通信機能ポート情報の比較は不一致となり、設定値分岐送受信部4−1は上位監視装置60に設定値不一致のエラー情報を送信する。
【0052】
次にポート5−1−4に接続したファイバの対向側をWXC装置20のポート5−2−1にファイバを接続したとする。この場合、ポート5−2−1は自身の持つファイバ接続フラグ設定をOFFからONに変更し、ファイバ接続フラグ設定がONになったことを設定値分岐送受信部4−2に送信する。
【0053】
設定値分岐送受信部4−2はポート5−2−1から受信したファイバ接続フラグ設定ONの情報を保持し、その情報を接続情報として接続先管理部2−2に送信する。この時点での設定値分岐送受信部4−2が保持しているファイバ接続フラグ情報は以下の通りである。
・ WXC通信機能ポート5−2−1:ON
・ WXC通信機能ポート5−2−2:OFF
・ WXC通信機能ポート5−2−3:OFF
・ WXC通信機能ポート5−2−4:OFF
・ WXC通信機能ポート5−2−5:OFF
・ WXC通信機能ポート5−2−6:OFF
【0054】
接続先管理部2−2は設定値分岐送受信部4−2から受信したポート5−2−1のファイバ接続フラグONの情報をWXC装置10の接続先管理部2−1を経由して上位監視装置60に、WXC装置20内部ではWXC通信設定値保持部3−2に送信する。
【0055】
WXC通信設定値保持部3−2は接続先管理部2−2から受信した接続情報に基づき、自身が保持しているデータの中からポート5−2−1に設定すべき設定値を自動的に選択し、その設定値を設定値分岐送受信部4−2に送信する。自動的に選択する手法を図6に示す。WXC通信設定値保持部3−2の自動的に選択する手法は図5で説明したWXC通信設定値保持部3−1の自動的に選択する手法と同様である。
【0056】
設定値分岐送受信部4−2はWXC通信設定値保持部3−2から受信したポート5−2−1の設定値とのポート番号に基づき、自身のもつファイバ接続フラグ情報を確認する。設定値分岐送受信部4−2は、ポート5−2−1のファイバ接続フラグがONになっていることを確認後、ポート5−2−1に受信した設定値を反映させる。
【0057】
このとき、ポート5−2−1のファイバ抜けや、WXC通信設定値保持部3−2等の故障によりポート5−2−1以外の設定値が選択されていた場合、WXC通信設定値保持部3−2から受信した設定値と、自身のもつファイバ接続フラグONのWXC通信機能ポート情報の比較は不一致となり、設定値分岐送受信部4−2はWXC装置10の接続先管理部2−1を経由して上位監視装置60に設定値不一致のエラー情報を送信する。
【0058】
ポート5−1−4とポート5−2−1は互いに対向の接続先ポートを認識し、その情報を接続先管理部2−1および接続先管理部2−2に送信する。接続先管理部(2−1、2−2)は互いにポート5−1−4とポート5−2−1が接続されているという装置リンク情報を比較し、一致することを確認する。また、接続先管理部(2−1、2−2)は、上位監視装置60にポート5−1−4とポート5−2−1が接続されていることと、互いの設定に問題がないことを通知する。
【0059】
今後、WXC通信においてより多方路での運用が予想されるが、その接続に制限がある場合、本設定に対して深い知識がない人間では誤接続が発生し易く、主信号導通に影響を与える場面が想定される。だが、本発明によりファイバ接続のみで設定が反映され、更に上位(接続先管理部、WXC通信設定値保持部、及び設定分岐送受信部)から2つのWXC装置のポートの設定を行えるため、誤接続防止も行うことができる。これにより安全で確実なWXC通信を行うことが可能となる。
【0060】
(付記1)
波長多重信号が伝搬するファイバと接続される複数のポートを持つ波長クロスコネクト(WXC:Wavelength Cross Connect)通信機能部と、
前記WXC通信機能部の前記ポートの各々に設定するために予め保持されている設定値の中から、前記ファイバが接続された前記ポートに適する前記設定値を選択するWXC通信設定値保持部と、
前記WXC通信機能部の前記ポートに前記ファイバが接続されたことの接続情報を前記WXC通信設定値保持部へ出力する接続先管理部と、
前記ポートと前記ファイバと接続したときに前記WXC通信機能部から出力されるファイバ接続フラグONを受信して前記接続情報を発生させて前記接続先管理部へ出力し、前記WXC通信設定値保持部から受信した前記設定値を前記ファイバと接続した前記ポートに反映させる設定値分岐送受信部と、
を備えるWXC装置。
(付記2)
前記WXC通信設定値保持部は、
保持する前記設定値の中から前記接続先管理部からの前記接続情報と一致する前記設定値を選択することを特徴とする付記1に記載のWXC装置。
(付記3)
前記設定値分岐送受信部は、
前記WXC通信設定値保持部から受信した前記設定値について、いずれの前記ポート用であるかを確認し、
自身が管理しているファイバ接続フラグONとなっている前記ポート用である場合には前記設定値を前記ポートに反映させ、
自身が管理しているファイバ接続フラグOFFとなっている前記ポート用である場合には前記接続先管理部にエラー報告を送信することを特徴とする付記1又は2に記載のWXC装置。
(付記4)
前記WXC通信機能部は、
前記ファイバを介して他のWXC装置における前記WXC通信機能部の前記ポートと通信を行い、前記他のWXC装置における前記WXC通信機能部の前記ポートの番号を受信し、前記設定値分岐送受信部に装置間リンク情報として報告することを特徴とする付記1から3のいずれかに記載のWXC装置。
(付記5)
前記接続先管理部は、
前記設定値分岐送受信部に報告された前記装置間リンク情報を取得し、前記他のWXC装置における前記接続先管理部が取得している前記装置間リンク情報と比較して一致確認を行うことを特徴とする付記4に記載のWXC装置。
(付記6)
付記1から5のいずれかに記載のWXC装置と、
前記接続先管理部から前記接続情報を取得する上位監視装置と、
を備えるWXC通信システム。
(付記7)
前記上位監視装置は、前記装置間リンク情報をさらに取得することを特徴とする付記5を引用する付記6のWXC通信システム。
(付記8)
波長多重信号が伝搬するファイバをWXC装置のWXC通信機能部の複数のポートのいずれかに接続する際に、
前記ポートと前記ファイバと接続したときに前記WXC通信機能部から出力されるファイバ接続フラグONを受信し、前記WXC通信機能部の前記ポートに前記ファイバが接続されたことの接続情報を出力する接続情報出力手順と、
前記接続情報出力手順で出力された前記接続情報に基づき、前記WXC通信機能部の前記ポートの各々に設定するために予め保持されている設定値の中から、前記ファイバが接続された前記ポートに適する前記設定値を選択するWXC通信設定値選択手順と、
前記接続情報があったときに、前記WXC通信設定値選択手順で選択された前記設定値を前記ファイバと接続した前記ポートに反映させる設定値反映手順と、
を順に行うWXC制御方法。
(付記9)
前記WXC通信設定値選択手順では、
保持する前記設定値の中から前記接続情報出力手順で出力された前記接続情報と一致する前記設定値を選択することを特徴とする付記8に記載のWXC制御方法。
(付記10)
前記設定値反映手順では、
前記WXC通信設定値選択手順で選択された前記設定値について、いずれの前記ポート用であるかを確認し、
自身が管理しているファイバ接続フラグONとなっている前記ポート用である場合には前記設定値を前記ポートに反映させ、
自身が管理しているファイバ接続フラグOFFとなっている前記ポート用である場合にはエラー報告を送信することを特徴とする付記8又は9に記載のWXC制御方法。
(付記11)
前記ファイバをWXC装置における前記WXC通信機能部の前記ポートに接続した後に、
前記ファイバを介して他のWXC装置における前記WXC通信機能部の前記ポートと通信を行い、前記他のWXC装置における前記WXC通信機能部の前記ポートの番号を受信し、装置間リンク情報として報告するリンク情報報告手順を行うことを特徴とする付記8から10のいずれかに記載のWXC制御方法。
(付記12)
前記リンク情報報告手順で報告された前記装置間リンク情報と、前記他のWXC装置での前記リンク情報報告手順で報告された前記装置間リンク情報とを比較して一致確認を行う一致確認手順を行うことを特徴とする付記11に記載のWXC制御方法。
(付記13)
前記接続情報出力手順で出力された前記接続情報を監視する上位監視手順を行うことを特徴とする付記8から12のいずれかに記載のWXC制御方法。
(付記14)
前記リンク情報報告手順で報告された前記装置間リンク情報を監視する上位リンク監視手順を行うことを特徴とする付記12を引用する付記13のWXC制御方法。
(付記15)
波長多重信号が伝搬するファイバをWXC装置のWXC通信機能部の複数のポートのいずれかに接続する際に、
前記WXC通信機能部の前記ポートの各々に設定するために予め保持されている設定値の中から、前記ファイバが接続された前記ポートに適する前記設定値を選択するWXC通信設定値選択手順と、
前記ポートと前記ファイバと接続したときに前記WXC通信機能部から出力されるファイバ接続フラグONを受信し、前記WXC通信機能部の前記ポートに前記ファイバが接続されたことの接続情報を出力する接続情報出力手順と、
前記接続情報があったときに、前記WXC通信設定値選択手順で選択された前記設定値を前記ファイバと接続した前記ポートに反映させる設定値反映手順と、
を順にWXC装置に実施させるWXC制御プログラム。
(付記16)
前記WXC通信設定値選択手順では、
保持する前記設定値の中から前記接続情報出力手順で出力された前記接続情報と一致する前記設定値を選択することを特徴とする付記15に記載のWXC制御プログラム。
(付記17)
前記設定値反映手順では、
前記WXC通信設定値選択手順で選択された前記設定値について、いずれの前記ポート用であるかを確認し、
自身が管理しているファイバ接続フラグONとなっている前記ポート用である場合には前記設定値を前記ポートに反映させ、
自身が管理しているファイバ接続フラグOFFとなっている前記ポート用である場合にはエラー報告を送信することを特徴とする付記15又は16に記載のWXC制御プログラム。
(付記18)
前記ファイバを前記WXC通信機能部の前記ポートに接続した後に、
前記ファイバを介して他のWXC装置における前記WXC通信機能部の前記ポートと通信を行い、前記他のWXC装置における前記WXC通信機能部の前記ポートの番号を受信し、前記設定値分岐送受信部に装置間リンク情報として報告するリンク情報報告手順を行うことを特徴とする付記15から17のいずれかに記載のWXC制御プログラム。
(付記19)
前記リンク情報報告手順で報告された前記装置間リンク情報と、前記他のWXC装置での前記リンク情報報告手順で報告された前記装置間リンク情報と比較して一致確認を行う一致確認手順を行うことを特徴とする付記18に記載のWXC制御プログラム。
(付記20)
前記接続情報出力手順で出力された前記接続情報を監視する上位監視手順を行うことを特徴とする付記15から19のいずれかに記載のWXC制御プログラム。
(付記21)
前記リンク情報報告手順で報告された前記装置間リンク情報を監視する上位リンク監視手順を行うことを特徴とする付記19を引用する付記20のWXC制御プログラム。
【符号の説明】
【0061】
10、20:WXC装置
60:上位監視装置
2−1、2−2:接続先管理部
3−1、3−2:WXC通信設定値保持部
4−1、4−2:設定値分岐送受信部
5−1、5−2:WXC通信機能部
5−1−1〜5−1−6、5−2−1〜5−2−6:ポート
101:WXC通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長多重信号が伝搬するファイバと接続される複数のポートを持つ波長クロスコネクト(WXC:Wavelength Cross Connect)通信機能部と、
前記WXC通信機能部の前記ポートの各々に設定するために予め保持されている設定値の中から、前記ファイバが接続された前記ポートに適する前記設定値を選択するWXC通信設定値保持部と、
前記WXC通信機能部の前記ポートに前記ファイバが接続されたことの接続情報を前記WXC通信設定値保持部へ出力する接続先管理部と、
前記ポートと前記ファイバと接続したときに前記WXC通信機能部から出力されるファイバ接続フラグONを受信して前記接続情報を発生させて前記接続先管理部へ出力し、前記WXC通信設定値保持部から受信した前記設定値を前記ファイバと接続した前記ポートに反映させる設定値分岐送受信部と、
を備えるWXC装置。
【請求項2】
前記WXC通信設定値保持部は、
保持する前記設定値の中から前記接続先管理部からの前記接続情報と一致する前記設定値を選択することを特徴とする請求項1に記載のWXC装置。
【請求項3】
前記設定値分岐送受信部は、
前記WXC通信設定値保持部から受信した前記設定値について、いずれの前記ポート用であるかを確認し、
自身が管理しているファイバ接続フラグONとなっている前記ポート用である場合には前記設定値を前記ポートに反映させ、
自身が管理しているファイバ接続フラグOFFとなっている前記ポート用である場合には前記接続先管理部にエラー報告を送信することを特徴とする請求項1又は2に記載のWXC装置。
【請求項4】
前記WXC通信機能部は、
前記ファイバを介して他のWXC装置における前記WXC通信機能部の前記ポートと通信を行い、前記他のWXC装置における前記WXC通信機能部の前記ポートの番号を受信し、前記設定値分岐送受信部に装置間リンク情報として報告することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のWXC装置。
【請求項5】
前記接続先管理部は、
前記設定値分岐送受信部に報告された前記装置間リンク情報を取得し、前記他のWXC装置における前記接続先管理部が取得している前記装置間リンク情報と比較して一致確認を行うことを特徴とする請求項4に記載のWXC装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のWXC装置と、
前記接続先管理部から前記接続情報を取得する上位監視装置と、
を備えるWXC通信システム。
【請求項7】
前記上位監視装置は、前記装置間リンク情報をさらに取得することを特徴とする請求項5を引用する請求項6のWXC通信システム。
【請求項8】
波長多重信号が伝搬するファイバをWXC装置のWXC通信機能部の複数のポートのいずれかに接続する際に、
前記ポートと前記ファイバと接続したときに前記WXC通信機能部から出力されるファイバ接続フラグONを受信し、前記WXC通信機能部の前記ポートに前記ファイバが接続されたことの接続情報を出力する接続情報出力手順と、
前記接続情報出力手順で出力された前記接続情報に基づき、前記WXC通信機能部の前記ポートの各々に設定するために予め保持されている設定値の中から、前記ファイバが接続された前記ポートに適する前記設定値を選択するWXC通信設定値選択手順と、
前記接続情報があったときに、前記WXC通信設定値選択手順で選択された前記設定値を前記ファイバと接続した前記ポートに反映させる設定値反映手順と、
を順に行うWXC制御方法。
【請求項9】
波長多重信号が伝搬するファイバをWXC装置のWXC通信機能部の複数のポートのいずれかに接続する際に、
前記ポートと前記ファイバと接続したときに前記WXC通信機能部から出力されるファイバ接続フラグONを受信し、前記WXC通信機能部の前記ポートに前記ファイバが接続されたことの接続情報を出力する接続情報出力手順と、
前記接続情報出力手順で出力された前記接続情報に基づき、前記WXC通信機能部の前記ポートの各々に設定するために予め保持されている設定値の中から、前記ファイバが接続された前記ポートに適する前記設定値を選択するWXC通信設定値選択手順と、
前記接続情報があったときに、前記WXC通信設定値選択手順で選択された前記設定値を前記ファイバと接続した前記ポートに反映させる設定値反映手順と、
を順にWXC装置に実施させるWXC制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−204902(P2012−204902A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65361(P2011−65361)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】