説明

波長変換器および発光装置

【課題】 ナノサイズの半導体粒子を用い、光の波長変換効率の低下が抑制された波長変換器および発光装置ならびに波長変換器の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 液体3と該液体3に取り囲まれて存在する平均粒径0.5〜10nmの半導体粒子1とからなり、含水率が0.1質量%以下であって波長変換効率が40%以上の波長変換液5を、少なくとも一部が透光性の器7の中に封入することで波長変換効率が高く、経持変化の少ない波長変換器9を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電子ディスプレイ用のバックライト電源、蛍光ランプ等の発光装置に好適に用いられる波長変換器に関し、より詳しくは、発光素子から発せられる光を波長変換して外部に取り出すために用いられる波長変換器およびこれを用いた発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体材料からなる発光素子(以後、LEDチップと言うこともある)は、小型で電力効率が良く鮮やかな色の発光を生ずる。LEDチップは、製品寿命が長い、オン・オフ点灯の繰り返しに強い、消費電力が低い、という優れた特徴を有するため、液晶などのバックライト光源や蛍光ランプ等の照明用光源への応用が期待されている。
【0003】
近年では、紫外発光素子(発光波長400nm以下)上に3種類の蛍光体を含有する波長変換部を形成することにより幅広い範囲で発光波長をカバーし、演色性を向上した白色の発光装置を得る試みがなされている。
【0004】
これに用いる蛍光体として、平均粒子径が10nm以下の半導体粒子が検討されている(例えば、非特許文献1参照)。この方法によると、半導体粒子の平均粒子径を10nm程度の適切な値に設定すれば、半導体粒子のエネルギー準位が離散的となり、半導体粒子のバンドギャップエネルギーが半導体粒子の粒子径に合わせて変化する。そのため半導体粒子の粒子径を変えることで、赤(長波長)から青(短波長)まで様々な発光を得ることができる。例えば、セレン化カドミウムは平均粒子径を2nmから10nmの範囲で変化させることにより、その平均粒子径に応じて赤(波長700nm)から青(波長450nm)の蛍光を発する。従ってこの手法を用いると演色性が高く、効率のよい発光装置を作ることができると期待されている。
【0005】
LEDチップと蛍光体とを組み合わせて発光装置とするには、蛍光体をエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂に混合した後、これをLEDチップ上で固める方法が取られる(例えば、特許文献1〜7参照)。
【0006】
しかしながら、平均粒子径が10nm以下の半導体粒子を特許文献1〜7に記載の樹脂に混合して作製した波長変換器や、あるいは平均粒子径が10nm以下の半導体粒子を結合剤樹脂及び溶剤と混合した蛍光体ペーストをガラスなどに塗布、乾燥して得られる波長変換器を使用することで演色性の高い発光装置を作ることは可能であるものの、このようにして作製した波長変換器では十分な波長変換効率を得ることは困難であるため、LEDチップは出力の大きなものを準備する必要があるばかりか、このため発光装置が発熱によって高温になりやすいという問題があった。
【0007】
このようにして作られる波長変換器の波長変換効率が低い理由は、一つには半導体粒子と樹脂との間に、製造上の問題、長期間の使用での熱応力、あるいは樹脂劣化により隙間ができやすく、この隙間となった部分で光の反射がおこり、光の伝達効率が悪くなるためである。
【0008】
また、半導体粒子の表面積は、現在、主に使用されている平均粒子径が数μmの蛍光体の表面積に比べて非常に大きい。例えば半導体粒子を真球と仮定した場合には体積に対する表面積(比表面積)は平均粒子径2nmの半導体粒子は平均粒子径2μmの蛍光体の1000倍と非常に大きくなる。このため、平均粒子径が10nm以下の半導体粒子と平均粒子径が数μmの蛍光体において、同じ表面積に同じ割合で粒子表面の欠陥が存在する場合には平均粒子径が10nm以下の半導体粒子では波長変換効率がはるかに低下することとなる。
【0009】
この粒子表面の欠陥による波長変換効率を向上する目的で、有機アミンなどの有機物を半導体粒子の表面に結合させて表面欠陥を電気化学的に修復し、離散化したバンドギャップエネルギーの準位を安定化し、平均粒子径が10nm以下の半導体粒子の波長変換効率を高める試みが行なわれている(例えば、非特許文献2、特許文献8参照)。
【0010】
この平均粒径0.5から10nmの半導体粒子の合成法にはTOPO、ドデシルアミンなどの水を含まない有機溶媒中で合成を行なうホットソープ法がある他、一方で、水を意図的に存在させた系で合成する逆ミセル法(非特許文献3、4)がある。
【特許文献1】特開2005−235847号
【特許文献2】特開2005−105177号
【特許文献3】特開2005−93097号
【特許文献4】特開2005−93191号
【特許文献5】特開2005−93712号
【特許文献6】特開2005−19662号
【特許文献7】特開2004−253745号
【特許文献8】特開2005−103746号
【非特許文献1】R.N.Bhargava,Phys.Rev.Lett.,72,416(1994)
【非特許文献2】Dmitri V.Talapin,Andrey L.Rogach, Ivo Mekis,Stephan Haubold,Andreas Kornowski,Markus Haase,Horst Weller,Colloids and Surfaces A,202,145,(2002)
【非特許文献3】磯部徹彦,表面化学,22,315,(2001)
【非特許文献4】Ageeth A.Bol and Andries Meijerink,j.Phys.Chem.B,105,10197, (2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、これらの方法で粒子表面に有機アミンを結合した半導体粒子をシリコーン樹脂などの樹脂に混合して波長変換器を作製しても、十分に波長変換効率の高い波長変換器を作ることはできない。
【0012】
その原因として、有機アミンを結合した半導体粒子を樹脂と混合すると、有機アミンと樹脂との親和力により有機アミンが半導体粒子から脱離して樹脂中に拡散してしまうことが考えられる。このとき、半導体粒子表面に存在する欠陥は有機アミンが脱離することによって有機アミンによる電気的な修復の効果を失い、その結果、波長変換効率が低くなるのである。
【0013】
また、あるいは有機アミンを結合した半導体粒子を樹脂と混合した場合には半導体粒子に結合した有機アミンは樹脂から親和力、あるいは斥力を受ける。そのため、有機アミンは半導体粒子との距離が局所的に変化することとなる。その結果、半導体粒子表面には欠陥の補修効果が弱められる部分が生じることとなり、バンドギャップエネルギーの準位が低い部分が発生することとなる。その結果、半導体粒子の波長変換効率は低下し、この半導体粒子の波長変換効率の低下によって、高い波長変換効率の波長変換器とすることが困難となっている。
【0014】
特に、非特許文献3、非特許文献4あるいは特許文献8に記載された方法により水溶液中で半導体粒子を合成した場合には半導体粒子の波長変換効率はせいぜい10%以下と低いものとなる。従って、このようにして水溶液中で合成した半導体粒子を用いて波長変換器を製造したとしても波長変換器の波長変換効率は当然10%以下となり、照明用の発光装置への適用は到底おぼつかない。
【0015】
また、このように水を多量に含んだ含水系溶媒で合成した半導体粒子を非水系溶媒に可溶な状態に置換した場合であっても半導体粒子は一旦、水と接触しているため、半導体粒子は水と化学反応して半導体粒子の表面が変質し、半導体粒子表面はOH基で被覆された状態となっている。そして半導体粒子表面のOH基により半導体粒子は親水性が高くなり波長変換器へ大気から侵入する水分を取り込みやすくなる。このように一旦、半導体粒子の表面に付いた水は除去しがたく、溶媒を置換したとしても水を半導体粒子表面から完全に除去することは難しい。
【0016】
そのため、水溶液中で合成した半導体粒子を波長変換器に用いる場合には、励起光照射時に半導体粒子が表面に存在する水と化学反応して波長変換効率が極端に低下するという問題がある。このような問題は、半導体粒子を生体マーカーなどの用途として用いる場合には、波長変換効率が低くても検出できる程度の波長変換効率があれば充分であるため問題にされていない。また、生体マーカーとして用いる場合には半導体粒子の親水性が高いことも要求されるために水溶液中で半導体粒子を合成することが常識であり、照明用途に利用できる十分に高い波長変換効率を有する波長変換器は提供されていない。
【0017】
本発明は、平均粒子径が10nm以下の半導体粒子をLEDチップと組み合わせた発光装置に用いるための波長変換器とする場合、波長変換効率の高いものを得るのが困難であるという問題を解決し、波長変換効率の高い波長変換器および発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の波長変換器は、液体と該液体に取り囲まれて存在する平均粒径0.5〜10nmの半導体粒子とからなり、含水率が0.1質量%以下であって波長変換効率が40%以上の波長変換液を、少なくとも一部が透光性の器の中に封入してなることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の波長変換器は、前記液体は水の溶解度が0.1質量%以下であることが望ましい。
【0020】
また、本発明の波長変換器は、前記液体が変性シリコーンオイルまたはジメチルシリコーンオイルの少なくとも1種からなることが望ましい。
【0021】
また、本発明の波長変換器は、前記液体がオレイルアミンまたはドデシルアミンの少なくとも1種からなることが望ましい。
【0022】
本発明の発光装置は、発光素子と、該発光素子からの光を波長変換する請求項1乃至5のいずれかに記載の波長変換器とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
これまでLEDチップと蛍光体を具備する波長変換器を組み合わせて作る発光装置では、波長変換器は蛍光体粉末をエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂に練り込んで、これをLEDチップ上に流し込み、あるいはLEDチップとは別に冷却、溶剤除去、化学反応などを行ない硬化させて作る方法をとるのが常識であった。しかし、この方法では、高い演色性が得られる平均粒径10nm以下の半導体粒子で波長変換器を作ることは困難であった。
【0024】
本発明の波長変換器は、固体の樹脂に変えて液体を用い、半導体粒子をこの液体中に分散させた波長変換液を少なくとも一部が透光性の器の中に封入する構成とすることで、半導体粒子と液体との間に隙間ができることがなく、容易に表面欠陥を液体によって補修することもでき、しかもその状態を維持することができることから、波長変換効率が高く、性能の低下の少ない波長変換器を作ることができる。さらに、この波長変換液の含水率を0.1質量%以下とすることで、比表面積が大きく、表面活性の高い半導体粒子を用いた場合であっても、半導体粒子が水分により変質することを抑制することができる。このような波長変換液は実質的に水の無い環境で合成した半導体粒子を使用することで波長変換効率が40%以上と高い波長変換液を作製することができる。これに対して含水系溶媒中で合成した半導体粒子を使用して波長変換液を作製した場合には、せいぜい波長変換効率が10%以下の波長変換液しか作製することができない。
【0025】
また、液体の水の溶解度を0.1質量%以下とすることで、長期間湿度の高い場所で使用、あるいは保管しても波長変換液に過剰に水が溶解することがないため、半導体粒子の変質を抑制することができる。
【0026】
また、液体として、変性シリコーンオイルまたはジメチルシリコーンオイルの少なくとも1種からなるものが、耐熱性に優れることから好適に用いられる。なお、変性シリコーンオイルとは、ジメチルシリコーンオイルやメチルフェニルシリコーンオイルに官能基を結合させ機能付与したものである。
【0027】
また、液体として、オレイルアミンまたはドデシルアミンの少なくとも1種からなるものが、極性が高いことから好適に用いられる。
【0028】
以上説明した波長変換器を具備する本発明の発光装置は、波長変換効率の高い発光装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の波長変換器は、例えば図1(a)に示すように、少なくとも平均粒径0.5〜10nmの光の波長変換可能な半導体粒子1と、この半導体粒子1を取り囲むように配設された液体3とからなる含水率が0.1質量%以下の波長変換液5を具備するもので、図1(a)の例では、この波長変換液5を少なくとも一部が透光性を有する器7に封入して波長変換器9が構成されている。
【0030】
なお、半導体粒子1を液体が取り囲むとは、言い換えると水や−OH基を介さずに半導体粒子1の表面を水を除く液体が取り囲んでいることを意味している。すなわち、本発明における半導体粒子1は実質的に水のない環境で合成されたものであり、本発明の波長変換器は半導体粒子1が水と接触することを避けて作製されたものと言える。そして、このようにして製造した波長変換液では波長変換効率が40%以上のものを得ることができる。
【0031】
図1(b)に示すように、発光素子11からの光が波長変換器9に照射されるように、発光素子11を搭載した発光素子用配線基板13に波長変換器9を組み合わせることで本発明の発光装置15となる。なお、発光素子用配線基板13には、発光素子11の電力を供給するための配線回路17が配設され、この配線回路17と発光素子11の端子(図示せず)とがワイヤ19を介して接続されている。また、発光素子11は、半田や樹脂などの接着層21により発光素子用配線基板13に固定されている。また、発光素子11を保護するために発光素子11を覆うように被覆樹脂23が形成されている。
【0032】
また、本発明の発光装置15の他の形態として、例えば図2に示すように発光素子用配線基板13の凹部の中に波長変換液5を充填して、器7で封止した形態を例示することができる。この場合には波長変換液5と器7と発光素子用配線基板13とで波長変換器9を形成していると言える。
【0033】
本発明の波長変換器9は、発光素子11から発せられる光を波長変換する機能を有する物で、半導体粒子1を液体3で取り囲んだ波長変換液5を備えることが重要で、また、この波長変換液5の含水率が0.1質量%以下であることが重要である。
【0034】
このように、波長変換器に従来用いられていた蛍光体を保持するための固体の樹脂に換えて、固体に比べ格段に容易に変形可能な液体3を用いることで、半導体粒子1と液体3との間に応力が発生することがなく、半導体粒子1と液体3との間に隙間ができることもない。そのため、半導体粒子1の波長変換効率を向上させることができる。また、波長変換液5が流動性を有するため、発光素子11の熱により対流が発生した場合には冷却性能も向上する。
【0035】
さらに、波長変換液5の含水率を0.1質量%以下とすることで、水の影響により半導体粒子1が変質して波長変換効率が低下することを抑制することができる。この波長変換液5の含水率は、短期的な波長変換効率の低下に影響するもので、さらに0.05質量%以下、特に0.01質量%以下とすることが望ましい。
【0036】
また、半導体粒子1を取り囲む液体3として水の溶解度が0.1質量%以下のものを用いることで、仮に水分の多い雰囲気に曝されたとしても水は半導体粒子1には容易に到達し得ないため、長期にわたって波長変換器9の波長変換効率および発光装置15の発光効率の低下を抑制することができる。この液体3として水の溶解度は、長期的な波長変換効率の低下に影響するもので、0.05質量%以下、特に0.02質量%以下とすることが望ましい。
【0037】
このように液体3は、半導体粒子1の濃度を適当に調整する機能や、半導体粒子1を水や大気などの雰囲気から遮断する機能を備えている。
【0038】
本発明の液体3として用いることができるものとして、例えば、ジメチルシリコーンオイル、変性シリコーンオイル、流動パラフィン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、n−デカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカン、ヘキセン、オクテン、デセン、オクタデセン、トルエン、キシレン、ベンゼン、オレイルアミン、2−エチルへキサン酸、ドデカンチオール、オレイン酸、デカノール等の炭素数6〜20程度の炭化水素を挙げることができる。
【0039】
これらの液体のうち、特に変性シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイルは、比較的沸点が高く、取り扱い性に優れている。また、変性シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイルは変質しにくく、水の溶解度が低く、耐久性に優れている。
【0040】
また、変性シリコーンオイルの中でも、とりわけアミノ変性したものやカルボキシル変性したものが好適に用いられる。
【0041】
また、特にオレイルアミンおよびドデシルアミンのように、液体3として高い極性を有するものを用いる場合には、液体3が半導体粒子表面の欠陥補修の効果を果たすことができるため、予め半導体表面の欠陥を有機アミンなどにより補修しなくて済む点から望ましい。また加えて、液体3として高い極性を有するものを用いる場合には、半導体表面の欠陥補修している化合物が脱離した場合にも、半導体粒子の周囲に存在する液体3が変わって半導体粒子表面の欠陥を補修できるため、長期の使用に対しても半導体粒子表面の欠陥補修は損なわれることが無いため、長期にわたり安定した波長変換器とすることができるという点で望ましい。
【0042】
例えば、半導体粒子1表面に欠陥補修効果のある有機アミンなどを予め結合せず、半導体粒子を混合する液体3にアミノ基をグラフトして導入した高い極性を持つ液体3を用いる、あるいは極性が低い液体に高い極性の化合物を溶解するなどして液体3に直接欠陥補修の作用を持たせることが可能である。高い極性を持つ液体としてはオレイルアミン、ドデカンチオール、オレイン酸、変性シリコーンオイル、2−エチルへキサン酸などを上げることができる。また、極性のない液体に極性のある化合物を溶解する例としてはオクタデセンとオレイン酸を組み合わせる、あるいはオクタデセンとオクタデシルアミンを組み合わせる、あるいはシリコーンオイルと変性シリコーンオイルを組み合わせるといったことが可能である。
【0043】
また、液体3は、複数の種類の半導体粒子1あるいは半導体粒子1と半導体粒子以外の蛍光体、その他例えば屈折率を調整するための機能性材料粒子とを組み合わせて波長変換器を構成する場合にはこれらが偏り、あるいは凝集することなく保持する機能を備えていることが望ましい。
【0044】
また、この液体3はLEDチップが出力した光が半導体粒子まで届く光路、および半導体粒子1が波長変換した光が発光装置外部へ出るまでの光路となるため、これらの光の透過率が高いことが望ましい。また、LEDチップが出力した光やおよび半導体粒子1が波長変換した光、あるいはLEDチップが発生した熱により変質しないことが望ましい。また、この液体3は、何も単一の成分からなる必要は無く、複数の成分からなるものでもよい。
【0045】
また、水や空気などの雰囲気に対する遮断能力が高い器7を用いることも、長期的な波長変換効率の低下を抑制する効果がある。そのため、例えば器7としてガラスを用いたり、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンなどの樹脂を用いてもよい。なお、器7は、波長変換液5を溜めるおけ状の下側の器7aと、蓋状の上側の器7bとで材質を換えてもよいことはいうまでもない。また、器7はLEDチップが出力する光、あるいは波長変換器9が波長変換した光の光路となるため、これらの光の透過率が高いことが望ましい。
【0046】
透明な器7の材質としてはシリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂(メタクリル酸などのエステルを含む)、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂などを用いることができる。この容器はLEDチップが出力する光、あるいは波長変換器が波長変換した光の光路となるため、これらの光の透過率が高いことが望ましい。
【0047】
本発明の波長変換器9ならびに発光装置15に用いられる半導体粒子1としては、発光素子11からの光を波長変換する能力を有することが必要で、例えばCdSeなどが例示される。また、波長変換液5には、必要に応じて所謂数μmサイズの蛍光体を含有させてもよい。
【0048】
半導体粒子1は光源である発光素子11より発せられた光を吸収し、この光の波長を変えて放出する機能を持つものであり、CdSeなどの組成からなる粒径0.5〜10nmのナノサイズの蛍光体である。ここで半導体粒子1の組成は何もCdSeに限定されるものではない。
【0049】
他の半導体粒子1としては、周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物、周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第9族元素との周期表第16族元素との化合物、
周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第4族元素との周期表第16族元素との化合物、
周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、カルコゲンスピネル類等が挙げられる。
【0050】
具体的には、周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物として酸化錫(IV)(SnO)、硫化錫(II,IV)(Sn(II)Sn(IV)S)、硫化錫(IV)(SnS)、硫化錫(II)(SnS)、セレン化錫(II)(SnSe)、テルル化錫(II)(SnTe)、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)等、周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物として、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、砒化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、砒化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、砒化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)等、周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物として、硫化アルミニウム(Al)、セレン化アルミニウム(AlSe)、硫化ガリウム(Ga)、セレン化ガリウム(GeSe)、テルル化ガリウム(GaTe)、酸化インジウム(In)、硫化インジウム(In)、セレン化インジウム(InSe)、テルル化インジウム(InTe)等、
周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物として、塩化タリウム(I)(TlCl)、臭化タリウム(I)(TlBr)、ヨウ化タリウム(I)(TlI)等、周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物として、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)等、周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物として、硫化アンチモン(III)(Sb)、セレン化アンチモン(III)(SbSe)、テルル化アンチモン(III)(SbTe)、硫化ビスマス(III)(Bi)、セレン化ビスマス(III)(BiSe)テルル化ビスマス(III)(BiTe)等、周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物として、酸化銅(I)(CuO)等、周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物として、塩化銅(I)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、ヨウ化銀(AgI)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)等、周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物として、酸化ニッケル(II)(NiO)等、周期表第9族元素との周期表第16族元素との化合物として、酸化コバルト(II)(CoO)、硫化コバルト(II)(CoS)等、周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物として、四酸化三鉄(Fe)、硫化鉄(II)(FeS)等、周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物として、酸化マンガン(II)(MnO)等、周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物として、硫化モリブデン(IV)(MoS)、酸化タングステン(IV)(WO)等、周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物として、酸化バナジウム(II)(VO)、酸化バナジウム(II)(VO)、酸化タンタル(V)(Ta)等、周期表第4族元素との周期表第16族元素との化合物として、酸化チタン(TiO、Ti、Ti、Ti等)等、周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物として、硫化マグネシウム(MgS)、セレン化マグネシウム(MgSe)等、カルコゲンスピネル類として、酸化カドミウム(II)クロム(III)(CdCr)、セレン化カドミウム(II)クロム(III)(CdCrSe)、硫化銅(II)クロム(III)(CuCr)、セレン化水銀(II)クロム(III)(HgCrSe)等が挙げられる。
【0051】
上述した中でも特に、AgI等の第11−17族化合物半導体、CdSe、CdS、ZnS、ZnSe等の第12−16族化合物半導体、InAs、InP等の第13−15族化合物半導体を主体とする化合物半導体のいずれかが望ましい。なお、本発明で使用する周期表は、IUPAC無機化学命名法1990年規則に従うものとする。
【0052】
この半導体粒子1の表面には、表面の欠陥を電気的に補修する目的で、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基などの官能基をもつ有機化合物などを結合させることができる。
【0053】
この場合、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基などの官能基をもつ有機化合物には半導体粒子表面に存在する欠陥を補修する効果があるため、半導体粒子1の波長変換効率を高めることができる。
【0054】
以下に本発明の波長変換器9の製造方法について説明する。
【0055】
本発明の波長変換器9の製造方法においては、実質的に水のない環境で半導体粒子1を作製することが重要であり、また、半導体粒子1が水に接触することを避けて波長変換器を作製することが重要である。このような波長変換器9は例えば、以下のようにして作製することができる。
【0056】
以下、セレン化カドミウムを例にして説明する。波長変換器9を作製する方法としては、後述する第1の液体と、トリオクチルフォスフィンおよび酢酸カドミウムを混合して200〜300℃に加熱し、これにトリオクチルフォスフィンとセレンの混合物を加え、さらに同じ温度で加熱することにより平均粒径0.5〜10nmのセレン化カドミウム粒子を合成する。このとき、第1の液体としては脱水したドデシルアミン、オレイルアミン等を用いることができる。なお、ドデシルアミン、オレイルアミンは減圧下で加熱し、予め水分を十分除去しておくことが望ましい。
【0057】
このようにして得られたセレン化カドミウム粒子に必要に応じて例えばエタノールなどの貧溶媒を加えて遠心分離機にかけ、セレン化カドミウム粒子を沈殿させて精製する(デカンテーション)。このとき用いるエタノールは五酸化りんなどにより十分脱水したものを用いることが望ましい。
【0058】
セレン化カドミウム粒子をデカンテーションにより精製した場合には再びセレン化カドミウム粒子をドデシルアミン、オレイルアミン、変性シリコーンオイルなどの第2の液体に分散する。このときの第2の液体はセレン化カドミウム粒子を合成したときに使用したときの液体(第1の液体)と同じであっても、また別のものであってもなんら差し支えない。このとき、ドデシルアミン、オレイルアミン、変性シリコーンオイルは減圧下で加熱し、水分を0.1質量%以下にまで除去しておく。また、この第2の液体は高い極性を持つことが望ましく、より望ましくは変性シリコーンオイル、オレイルアミンおよびドデシルアミンを用いることが望ましい。
【0059】
このようにして得られ、液体3とこの液体に分散した半導体粒子1であるセレン化カドミウム粒子とを波長変換液5としてガラスもしくは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンなどの樹脂からなるおけ状の下側の器7aに注入し、これをガラスもしくは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンなどの樹脂からなる蓋状の上側の器7bで封入して波長変換器9とする。封入は熱圧着の方法を用いることができるほか、接着剤を用いることも可能である。
【0060】
以上、本発明の波長変換器9の製造方法の一例について説明したが、半導体粒子1の製造工程において、水が実質的にない環境を整えることが非常に重要である。水が存在する環境で作製した半導体粒子は、はじめから波長変換効率が著しく低く、生体マーカーとしては機能しうるものの照明用途には全く適さないものとなる。
【実施例】
【0061】
まず、CdSe半導体粒子ならびにZnS粒子を水が混入しない方法を用いて合成した。
【0062】
CdSe半導体粒子の合成は次のように行なった。五酸化りんで乾燥させた窒素雰囲気のグローブボックス中でフラスコにトリオクチルフォスフィン12.5gとセレン0.395gを加え、これを1時間攪拌した。次に、これにトリオクチルフォスフィン20g、酢酸カドミウム0.266g、ドデシルアミン(第1の液体)20mlを予め130℃で混合したものを加えた。これを200℃に加熱し、撹拌しながらそのまま200℃に維持して10分間攪拌してCdSe半導体粒子を合成した。
【0063】
また、ZnS粒子の合成は次のように行なった。五酸化りんで乾燥させた窒素雰囲気のグローブボックス中でフラスコにトリオクチルフォスフィン12.5gと硫黄0.16gを加え、これを1時間攪拌した。次に、これにトリオクチルフォスフィン20g、酢酸亜鉛0.212g、ドデシルアミン(第1の液体)20mlを予め130℃で混合したものを加えた。これを200℃に加熱し、撹拌しながらそのまま200℃に維持して10分間攪拌してCdSe半導体粒子を合成した。
【0064】
なお、溶媒として用いたドデシルアミン(第1の液体)は、予め酸化カルシウムを加えて2時間還留した後に蒸留して水を除去したものを用いた。また、比較例として含水溶媒系でZnS半導体粒子を合成した。ヘプタン15mlにビス(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム1.6gを溶解し、これに水0.518gを添加した。これに硫化ナトリウム1.17gを加えた。また、これとは別にヘプタン15mlにビス(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム1.6gを溶解し、これに水0.518gを添加した。これに酢酸亜鉛を5.5g溶解した。つぎにこれら2つの溶液を混合して24時間攪拌してZnS半導体粒子を合成した。
【0065】
これらの方法で作製したCdSe並びにZnS半導体粒子の粒径は次のようにして確認している。粒子濃度が0.002〜0.02モル/リットルの範囲の半導体粒子分散液を調整する。溶媒はIPAやトルエンを用いる。
【0066】
なお、半導体粒子の粒径は、合成温度や合成時間によって制御することができ、合成温度を高くする、あるいは合成時間を長くすることで半導体粒子の粒径を大きくすることができる。
【0067】
次に、TEM観察用マイクログリッドをこの粒子分散液に浸して半導体粒子を付着させ、常温でデシケーター中に静置して半導体粒子分散液を乾燥させ、半導体粒子が表面に付着したTEM観察用マイクログリッドを作成して測定に供する。
【0068】
この半導体粒子の粒径をJEOL製透過型電子顕微鏡(TEM)JEM2010Fにより、加速電圧200kVで観察した。
【0069】
倍率は500000倍から1000000倍で、粒子の格子縞が見えるように焦点を合わせ、得られたTEM像の拡大写真上で200個以上の粒子を試料として、粒径を測定した。粒子径が大きくて粒子全体が視野に入らない場合は、格子縞が見える高倍率で1次粒子であることを確認した後、粒子全体が視野に入る倍率でTEM像を観察し、粒径を測定した。
【0070】
この際、半導体粒子は格子縞が見えている部分のみを対象としており、粒子表面に吸着している有機配位子などの有機物は粒径に換算されてはいない。
【0071】
また、半導体粒子に比べて十分に大きいサブミクロン以上の粒子は、樹脂の破断面を走査型電子顕微鏡で観察することで、200個以上の粒子について粒径を測定した。この際、粒子の直径は、破断面表面に露出している部分の直径に対し、係数1.5を掛けて粒子全体の直径として扱った(インターセプト法、「セラミックスのキャラクタリゼーション技術」pp.7〜8、社団法人窯業協会編)。
【0072】
測定した粒子の直径は、ヒストグラムを書いて統計的に計算することで、長さ平均径を算出した。長さ平均径の算出方法は、粒子径区に属する個数をカウントし、粒子径区の中心値と個数のそれぞれの積の和を、測定した粒子の個数の総数で割るという方法を用いた(平均粒子径の形状とその計算式、「セラミックの製造プロセス」pp.11〜12、窯業協会編集委員会講座小委員会編)。このようにして計算した長さ平均径を平均粒子径として扱った。
【0073】
なお、TEM観察で得られた像を透明な樹脂フィルムシートに写し取り、画像解析処理装置によって、粒子の平均粒子径を求める方法でも測定は可能であることを確認した。
【0074】
先の水が混入しない方法を用いて合成したCdSe並びにZnS半導体粒子および含水系溶媒中で合成したZnS半導体粒子の平均粒径をこの方法で測定したところ、その平均粒径はいずれも3.5nmであった。
【0075】
以下、水が混入しない方法を用いて合成したCdSeならびにZnS半導体粒子を分散させた波長変換器の製造方法をCdSe半導体粒子を例にとり説明する。合成したCdSe半導体粒子の精製を行った。CdSeを合成した反応液にモレキュラーシーブ3Aで脱水したエタノールをCdSe半導体粒子が凝集体を形成するまで加え、続いてこれを遠心分離機にかけてCdSe半導体粒子を完全に沈殿させたのち上澄みのエタノール溶液を取り除くことにより、CdSe半導体粒子から原料未反応物や副生成物を除去した。
【0076】
沈殿させたCdSe半導体粒子に対して、表1に示す第2の液体を加えて分散させて波長変換液を作製した。このとき加える第2の液体の量は半導体粒子の濃度が0.5質量%となる量とした。
【0077】
なお、第2の液体には、予め、表1の含水量となるように水を加えておいた。
【0078】
この波長変換液の含水率は、JIS K 0068に規定されたカールフィッシャー滴定法(水分気化法)により求めた。
【0079】
また、液体の溶解度は、40℃における値を、それぞれの液体に対して体積で等量の水を加え、24時間撹拌し、その後、液体を必要に応じ遠心分離してJIS K 0068に規定されたカールフィッシャー滴定法(水分気化法)により求めた。
【0080】
次に、厚み1mmのポリエチレン製フィルムからなる直径5mm、深さ2mmの容器に作製した波長変換液を充填した。これに厚み0.3mmのポリエチレン製フィルムでラミネーターを用いて蓋をした後、ラミネート部分を幅2mm残して切り取り形を整えて波長変換器とした。
【0081】
次に、含水系溶媒中で合成したZnS半導体粒子を分散させた波長変換器の製造方法を説明する。
【0082】
まず、合成したZnS半導体粒子の精製を行った。ZnS半導体粒子を合成した反応液にチオフェノールをZnS半導体粒子が凝集体を形成するまで加え、続いてこれを遠心分離機にかけてZnS半導体粒子を完全に沈殿させたのち上澄み液を取り除くことにより、ZnS半導体粒子から原料未反応物や副生成物を除去した。
【0083】
沈殿させたZnS半導体粒子に対して、表1に示す第2の液体を加えて分散させて波長変換液を作製した。このとき加える第2の液体の量は半導体粒子の濃度が0.5質量%となる量とした。なお、第2の液体には、予め、表1の含水量となるように水を加えておいた。
【0084】
これらの波長変換器を波長395nmの光を出力するサイズ0.3×0.3mmのIn−Ga−N組成LEDチップ上に載せて波長変換効率を測定した。測定はLabsphere社製全光束測定システムで行った。
【0085】
まず、波長変換器を測定装置に入れずに、(1)LEDチップの出力エネルギーを求めるとともに、LEDチップの出力波長の最大値を求めた。この出力波長の最大値は、430nmであった。
【0086】
次に波長変換器を測定装置に入れ、LEDチップを発光させ、波長変換器に光を照射し、波長変換器から出力された220〜1100nmの範囲の光を積分球で回収して、その(2)回収エネルギーを求めた。このエネルギーのうち、LEDチップの出力波長の最大値である430nm以下の波長のエネルギーは(3)未変換のエネルギーとして取り扱う。これらの(1)LEDチップの出力エネルギーと、(2)回収エネルギーと、(3)未変換のエネルギーとを、以下の式の通りに取り扱い、波長変換器の波長変換効率を求めた。
【0087】
100×((2)−(3))÷((1)−(3))
なお、測定して表に示した測定値はいずれも器を備えた波長変換器に関する値である。
【0088】
次いで、100時間発行後に再度、波長変換効率を測定し、初期値に対する100時間後の値を表1に100時間後の波長変換効率の維持率として表した。
【表1】

【0089】
本発明の範囲外である水溶液中で合成した試料No.19では、初期の波長変換効率が格段に低く、しかも100時間後に、波長変換効率が初期の波長変換効率に対して42%以下にまで低下した。
【0090】
また、本発明の範囲外である波長変換液の含水量が、0.1質量%を越える試料No.15、16では、100時間後に、波長変換効率が48%以下にまで低下した。
【0091】
一方、本発明の含水量が0.1質量%以下の試料No.1〜14、およびNo.17、18では、いずれも100時間後でも波長変換効率は、初期に対して59%を維持している。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の波長変換器および発光装置を説明する断面図である。
【図2】本発明の他の形態の波長変換器および発光装置を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1・・・半導体粒子
3・・・液体
5・・・波長変換液
7・・・器
9・・・波長変換器
11・・発光素子
13・・・発光素子用配線基板
15・・・発光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と該液体に取り囲まれて存在する平均粒径0.5〜10nmの半導体粒子とからなり、含水率が0.1質量%以下であって波長変換効率が40%以上の波長変換液を、少なくとも一部が透光性の器の中に封入してなることを特徴とする波長変換器。
【請求項2】
前記液体は水の溶解度が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の波長変換器。
【請求項3】
前記液体が変性シリコーンオイルまたはジメチルシリコーンオイルの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1または2に記載の波長変換器。
【請求項4】
前記液体がオレイルアミンまたはドデシルアミンの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1または2に記載の波長変換器。
【請求項5】
発光素子と、該発光素子からの光を波長変換する請求項1乃至4のいずれかに記載の波長変換器とを具備することを特徴とする発光装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−173754(P2007−173754A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61353(P2006−61353)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】