説明

波長検波型光ファイバセンサシステム

【課題】高い測定分解能をもつ波長検波型光ファイバセンサシステムの提供。
【解決手段】互いに近接配置されたからファブリペローエタロンを構成するFBG対から成るセンサ素子21〜2nを備えて波長検波型光センサ2を構成する。この波長検波型光センサ2と、この波長検波型光センサ2に入射された光の透過光を入射するとともに透過光を検出する光波長検波手段3とを備えて光ファイバセンサシステムを構成する。光波長検波手段3は、センサ素子21〜2nからの透過光を波長毎に分波するアレイ導波路格子31と、このアレイ導波路格子31で分波された信号に基づいて各センサ素子21〜2nで検出される波長を演算する演算回路32とを備えており高分解能な測定を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度、歪み、振動、加速度などの物理量の測定を行うための波長検波型光ファイバセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは主に通信用として広く利用されているが、計測分野においても広範囲にわたり研究が行われており、様々な光ファイバセンサが実用化されている。
その中でもファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)を利用した波長検波型光ファイバセンサ(FBGセンサ)は、耐電磁ノイズ性に優れ、電気システムのように火花を発生することがないので引火、爆発の危険性が少なく化学プラント、石油プラントなどの計装に適しているといった光ファイバセンサに共通する特徴を有し、その上、波長多重伝送(WDM)技術により1本の光ファイバ内に複数の光ファイバセンサを配置することにより空間的な分布計測システムを実現できるという優れた特徴を有する。
【0003】
波長検波型センサの従来例として、FBGセンサの反射中心波長がFBGセンサに印加された歪にリンクして変化することをとらえて歪を検出するものが知られている(非特許文献1)。この従来例では、光ファイバにFBGを描画しセンサが構成されており、このFBGに光源から光を入射させ、所定の波長で反射した反射光が検波手段で検出される。検波手段では、FBGの反射スペクトルを検出し、この検出波長に基づいて測定値が求められる。
非特許文献2には、FBGファブリペロー干渉計を用いた透過型センサが示唆されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Alan D.kersy, Mihael A. Davis, Heather j. Patric, Michel LeBlanc, K. P. Koo, C. G.Askins, M. A. Putnam, and E. Joseph Friebele, “Fiber Bragg Sensors,”Journal of Lightwave Technology, Vol. 15, No.8 1997
【非特許文献2】W.W. Morey, G.Meltz, and W.H.Glenn,”Fiber optic Bragg grating sensors,” SPIE Vol.1169, pp.98-106,1989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に示す従来例では、FBGセンサの反射スペクトルの半値全幅は狭いものでも100pm程度である。そのため、その中心波長の計測再現性に課題がある。例えば、FBGセンサの反射スペクトルを掃引型ファブリペロー干渉計で求める方式は市場で実用化されているが、Micron Optics 社製Optical Sensing Interrogator “sm230”の場合では、波長計測再現性が5pm程度出てしまう。FBGセンサの波長可変変化幅は4nm程度であるため、ダイナミックレンジは800(4nm/5pm)であり、電気式センサのダイナミックレンジより狭く、測定精度の向上に限界がある。そして、FBGセンサの反射スペクトルの半値全幅が狭くても100pm程度であるため、歪みの測定分解能は130n strain/Hz程度である。つまり、測定分解能は1回のサンプリングあたり、5pmであり、1秒間には約1000回サンプリングを行うことができるので、1秒間の測定分解能としては、5pm/10001/2=0.16pmとなる。一方、ひずみと波長との関係は約1.2pm/μstrainなので、1秒間のひずみ測定分解能は、(0.16pm/1.2pm)=0.133μstrain/Hz=130nstrain/Hzとなる。
【0006】
そのため、非特許文献1に示す従来例では、反射スペクトルの半値全幅をより狭くできないので、測定分解能をこれ以上高めることに限界がある。
非特許文献2に示す従来例では、FBGファブリペロー干渉計を用いた透過型センサが示唆されるのみであって、具体的な構成が示されていない。そのため、非特許文献1に示す従来例の課題である測定分解能を向上させることができるか否かは不明である。
【0007】
本発明の目的は、測定分解能を向上させることができる波長検波型光ファイバセンサシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の波長検波型光ファイバセンサシステムは、光源から出射される光が入射するとともに透過光が光検出手段で検出されかつ被測定物に設置される波長検波型光センサシステムであって、互いに近接配置されたファブリペローエタロンを構成するファイバ・ブラッグ・グレーティング対からなるセンサ素子を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成の本発明では、センサ素子が高反射率のファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)をベースとしてファブリペローエタロンを構成するので、センサ素子から透過される光の透過スペクトルの半値全幅を従来の反射スペクトルの半値全幅より小さくできる。半値全幅を従来のFBGよりも狭くすることによって、測定分解能を向上させることができる。
【0010】
ここで、本発明では、前記ファブリペローエタロンは、反射波長帯域中に1本の透過線スペクトルのみが生じるようにするために、反射波長帯域BWはフリースペクトルレンジFSRの倍より狭くなるようにすることが好ましい。
この構成の本発明では、1本の透過線スペクトルのみが生じるので、波長演算時の測定エラーを回避することができる。
【0011】
前記ファイバ・ブラッグ・グレーティング対は、同一波長スペクトル特性であり、物理的長さが同一であり、かつ、実効長Leとファイバ・ブラッグ・グレーティングの格子ピッチΛ及びファイバブラッググレーティング対間のグレーティングの書かれていない光ファイバの長さLgとの関係がLg=mΛ−2Le(mは自然数)を満たすようにファイバ・ブラッグ・グレーティングの反射中心波長に透過線スペクトルの波長を一致させる構成が好ましい。
この構成の本発明では、FBG対からなるセンサ素子の物理量測定レンジを広くすることができる。
【0012】
本発明は、前記センサ素子に光を入射させる光源と、前記センサ素子に入射された光の透過光を入射するとともに前記透過光を検出する光波長検波手段とを備えた構成が好ましい。
この構成の本発明では、前述のセンサ素子に加えて光源と光波長検波手段とを備えた構成としたので、前述の効果を奏することができる装置を提供することができる。
【0013】
前記センサ素子は、それぞれ中心波長の変化波長領域が異なり複数の対が直列に接続されている構成が好ましい。
この構成の本発明では、被測定物の異なる位置での物理量変化を正確に測定することができる。
【0014】
前記光波長検波手段は前記センサ素子からの透過光を入力するとともに波長領域毎に分波するアレイ導波路格子と、このアレイ導波路格子で分波された前記センサ素子からの信号に基づいて各センサ素子で検出される波長を演算する演算回路とを備えた構成が好ましい。
この構成の本発明では、アレイ導波路格子(AWG)で波長毎に分波された複数の透過光に基づいて波長が演算回路で演算される。アレイ導波路格子は分波波長範囲を狭く設定でき、非常に多くのチャンネル数のものが報告されている。従って、センサ素子の数が多くても、正確な測定を実施することができる。
【0015】
前記光波長検波手段は、前記センサ素子から透過された光に基づく信号を受信するとともに、予め記憶された信号パターンから前記センサ素子からの検波信号を認識する光スペクトルパターン認識回路を備えた構成が好ましい。
この構成の本発明では、前記センサ素子の透過スペクトルの中心波長を信号のデータ処理により抽出することで、測定範囲は格段に広くなるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる波長検波型光ファイバセンサシステムの概略構成図。
【図2】第1実施形態における広帯域光源の出射スペクトル、アレイ導波路格子(AWG)の入射スペクトル及びアレイ導波路格子(AWG)の透過率スペクトルの関係を示す図。
【図3】本発明の第2実施形態にかかる波長検波型光ファイバセンサシステムの概略構成図。
【図4】第2実施形態における広帯域光源の出射スペクトルと掃引型ファブリペロー干渉フィルタへの入射スペクトルの関係を示す図。
【図5】発信器の出力パルス信号と、デジタルアナログ変換器の出力電圧及び2値信号波形と、ファブリペロー干渉フィルタの透過スペクトルとの関係を示す図。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる波長検波型光ファイバセンサシステムの概略構成図。
【図7】第3実施形態における可変波長レーザの出射スペクトルとセンサ素子からの出射スペクトルとの関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図2には本発明の第1実施形態が示されている。
図1は第1実施形態にかかる波長検波型光ファイバセンサシステムの概略構成図である。
図1において、波長検波型光ファイバセンサシステムは、温度、歪み、振動、加速度などの物理量の測定を行うものであり、広帯域光源10と、この広帯域光源10から照射された光が通過する光ファイバFと、光ファイバFに設けられた波長検波型光センサ2と、この波長検波型光センサ2から透過した透過光を検出する光検波手段3とを備えた構成である。
広帯域光源10は従来例と同様の構造であり、所定の波長領域に渡って光ファイバFに光を入射させる。
【0018】
波長検波型光センサ2は、それぞれ一対のファイバ・ブラッグ・グレーティング(以下、FBGと称する)が互いに近接配置された複数のセンサ素子21〜2nを有するものであり、これらのセンサ素子21〜2nは図示しない被測定物に設置される。
ここで、複数のセンサ素子21〜2nのうち、センサ素子21が広帯域光源10側に配置され、このセンサ素子21から光検出手段3側に向けてセンサ素子22、センサ素子23、センサ素子24……センサ素子2n-1、センサ素子2nが配置されている。隣り合うセンサ素子21〜2nは、適宜な間隔をおいて配置される。
【0019】
ファブリペローエタロンを構成する一対のFBGは、例えば、距離d=100μmを隔てて配置され、これらのFBG対が1本の光ファイバ内に複数形成されている。もちろん、内部に少なくも1個のFBG対を含み両端が光ファイバコネクタ構成となった光ファイバをそれぞれコネクタ接続した構成であってもよい。
FBGは、その反射波長領域内においてミラーの役割を有する。なお、FBGは、例えば、全長2mm程度で構成することができ、これを構成する回折格子の間隔は光ファイバのコアの屈折率を1.45、FBGの反射中心波長を1550nmとすると、534nmとなる。FBGの描画方法は従来と同じである。
これらのセンサ素子21〜2nは、検出する中心波長λ1〜λnの変化波長領域がそれぞれ異なるものであり、隣り合うセンサ素子21〜2nの間隔は任意である。
【0020】
光波長検波手段3は、センサ素子21〜2nからの透過光を入力するとともに波長毎に分波するアレイ導波路格子AWG31と、このAWG31で分波された信号に基づいて各センサ素子21〜2nで検波される光の波長を演算する演算回路32とを備えている。
AWG31は、分波される透過光の波長に対応して複数のチャンネルCH1〜CHnを備えている。
【0021】
図2は、広帯域光源10の出射光、AWG31の入射光及びAWG31の透過スペクトルの関係を示す図である。
図2(A)において、広帯域光源10から光が照射されると、この光がセンサ素子21、センサ素子22、センサ素子23、……、センサ素子2n-1、センサ素子2nを透過し、その後、AWG31に入射される。AWG31に入射される光が図2(B)に示される。
AWG31では、チャンネルCH1とチャンネルCH2とはセンサ素子21からの光スペクトルが出射し、チャンネルCH3とチャンネルCH4とはセンサ素子22からの光スペクトルが出射し、チャンネルCHn-1、チャンネルCHnとはセンサ素子2n(但し、nは偶数)からの光スペクトルが出射する。
なお、同図(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)はそれぞれAWG31のCH1、CH2、CH3、CH4、CH5、CH6の透過率のスペクトルの例である。
【0022】
各チャンネルの波長に対する透過率(以下透過率スペクトル)はチャンネルCH1の透過率スペクトルが図2(C)に示され、チャンネルCH2の透過率スペクトルが図2(D)に示され、チャンネルCH3の透過率スペクトルが図2(E)に示され、チャンネルCH4の透過率スペクトルが図2(F)に示され、チャンネルCHn-1の透過率スペクトルが図2(G)に示され、チャンネルCHnの透過率スペクトルが図2(H)に示される。本実施形態では、後述するように、隣り合うチャンネルCH1,CH2(CH2,CH3,…CHn-1,CHn)の出射光量の比演算で波長検波、つまり波長計測が実施される。
【0023】
演算回路32は、各チャンネルCH1〜CHnに対向して配置されたフォトダイオード3F1〜3Fnと、これらのフォトダイオード3F1〜3Fnにそれぞれ接続されたプリアンプ3A1〜3Anと、プリアンプ3A1〜3Anから出力された信号に基づいて演算する演算処理部32Cとを備えている。
演算処理部32Cは、プリアンプ3A1〜3Anから出力されたアナログ信号を入力するアナログデジタル変換回路3B1〜3Bnと、これらのアナログデジタル変換回路3B1〜3Bnから出力されるデジタル信号を入力する比演算部3C1〜3Cmと、これらの比演算部3C1〜3Cmからの信号に基づいて演算するCPU30とを備えて構成され、このうち、比演算部3C1はアナログデジタル変換回路3B1とアナログデジタル変換回路3B2との信号が入力されるものであり、比演算部3C2はアナログデジタル変換回路3B3とアナログデジタル変換回路3B4との信号が入力されるものであり、比演算部3Cmはアナログデジタル変換回路3Bn-1とアナログデジタル変換回路3Bnとの信号が入力されるものである。
【0024】
ここで、センサ素子21〜2nの出力Wは数式(1)によって表される。なお、センサ素子の出力Wの算出方法については、特許第3760649号公報、「プラント制御のためのFBG多重センサの小型・高速波長検波法(第32回光波センシング技術研究会講演論文集, pp161-168,2003年12月)」、論文「Y.Sano and T.Yoshino, ”Fast Optical Wavelength Interrogator Employing Arrayed Waveguide Grating for Distributed Fiber Bragg Grating Sensors,” . Journal of Lightwave Technology Vol.21, pp.132-139, January 2003.」、論文「Y.Sano and T.Yoshino, ”Effect of Light Source Spectral Modulation on Wavelength Interrogation in Fiber Bragg Grating Sensors and Its Reduction,” IEEE Sensors Journal, Vol.3, pp.44-49, February 2003.」に開示されている。
【0025】
【数1】

【0026】
上記の数式(1)において、I1,I2は、フォトダイオード3F1〜3Fnのうち隣り合うもの、例えば、フォトダイオード3F1,3F2による光電流であり、S1(λ),S2(λ)は、これら各々のフォトダイオードに光を供給するアレイ導波路格子31のチャンネルCH1、CH2の各波長における透過率と当該波長におけるセンサの反射率を掛け合わせたものであり、光強度、φ(λ)は光源10の波長依存強度分布であり、Δλはフォトダイオードへの入射光波長のバンド幅である。
そして、センサからの光の波長が所定の範囲内であれば、照射光の波長ごとに、log(I1/I2)がほぼ一定になり、そのときの光波長は数式(2)で示される。
【0027】
【数2】

【0028】
本実施形態では、前述した数式(1)、数式(2)で示される式による波長測定原理を基本としたうえ、この測定原理を微小な波長範囲(例えば3nm以下の範囲)について、AWG31を使用する。このAWG31は、論文「Takahashi, et.al, ”Wavelength Multiplexer Based on SiO2-Ta2O5Arrayed-Waveguide Grating,” Journal of Lightwave Technology Vol.12, No.6, 1994」等に詳細が記載されている。
センサ素子21〜2nに対し、それぞれ重複しないように微小な透過光波長範囲を割り当てておき(一例として、センサ素子21には1500〜1503nm、センサ素子22には15012〜15015nm、センサ素子23には1524〜1527nm、……等)、これらのセンサ素子21〜2nからの透過光をAWG31に入力することにより、これら複数のセンサ素子21〜2nの中心波長はセンサごとにAWG31の複数のチャンネルに分離・出力される。
【0029】
図2において(B)のスペクトル中の線スペクトルの両側に生じている低光パワー密度の波長領域をAWGの各チャンネルの透過波長領域に割り当てることにより、(B)のスペクトルにおいてもっとも左に位置するセンサからの線スペクトルはAWG31の(C),(D)の透過スペクトルを持つチャンネルにより波長が検波され、左から第2番目のセンサからの線スペクトルは(E),(F)の透過スペクトルを持つチャンネルにより波長が検波される。
センサ素子21〜2nからの線スペクトルを挟むAWGの互いに隣接する2つのチャンネルから出射される光をフォトダイオード3F1〜3Fnに入射させることにより、微小な波長範囲について前述した数式(1)及び数式(2)を適用し、高分解能で波長を検出する。
【0030】
なお、本実施形態における光検波手段3の動作は特許第3760649号公報、「プラント制御のためのFBG多重センサの小型・高速波長検波法(第32回光波センシング技術研究会講演論文集, pp161-168,2003年12月)」、論文「Y.Sano and T.Yoshino, ”Fast Optical Wavelength Interrogator Employing Arrayed Waveguide Grating for Distributed Fiber Bragg Grating Sensors,” . Journal of Lightwave Technology Vol.21, pp.132-139, January 2003.」、論文「Y.Sano and T.Yoshino, ”Effect of Light Source Spectral Modulation on Wavelength Interrogation in Fiber Bragg Grating Sensors and Its Reduction,” IEEE Sensors Journal, Vol.3, pp.44-49, February 2003.」に記載の技術による。
【0031】
ここで、本実施形態において、センサ素子21〜2nから透過される光の透過スペクトルの半値全幅を従来の反射スペクトルの半値全幅より小さくできることを、数式を用いて説明する。FBGの反射率Rは、モード結合方程式を解くことにより求められ、次の数式(3)で表すことができる。
【0032】
【数3】

【0033】
ただし、FBGのグレーティング描画により発生する屈折率変調された実効屈折率の平均値はFBGが描画されていない個所のコアの実効屈折率に等しいとすれば、次の数式(4−1)から数式(4−3)がなりたつ。FBGのピークを与える波長からみて初めて反射率がゼロになる長波長側の波長と短波長側の波長との差で示される帯域幅BWを数式(4−4)から求めることができる。なお、数式(4−1)から数式(4−4)において、neはFBGの実効屈率、ΔneはFBGの屈折率変調の振幅、Λは格子のピッチ、λは波長、λはFBGの反射中心波長、LはFBGの物理的な長さである。
【0034】
【数4】

【0035】
一方、センサ素子21〜2nの透過率Tは、このセンサ素子がファブリペロー干渉計を構成するものであることから、両FBGは同一特性、寸法であるとして、数式(3)を使って数式(5)で示される。センサ素子の透過率Tは論文「Yuri O. Barmenkov, et.al, ”Effective length of short Fabry-Perot cavity formed by uniform fiber Bragg gratings,” Optics Express, Vol. 14, No.14, pp.6394-6399」にも開示されている。
【0036】
【数5】

【0037】
ただし、Lgは、隣り合うFBGの格子の描画されていない部分の実際の長さであり、Lは、FBGの反射光の入射光に対する位相遅れにより生ずる実効長さであって、数式(6−1)から求められる。さらに、FBGの反射率Rの最大値Rmaxは数式(6−2)から求められる。そのため、実効長Lは数式(6−3)から求められる。さらに、透過率Tの最大値を与える波長λはmを自然数として数式(6−4)から求められる。この数式(6−4)を使ってフリースペクトルレンジFSRは数式(6−5)から求めることができる。
【0038】
【数6】

【0039】
数式(5)を用いてパラメータを適当に設定し計算をすることで、ファブリペロー構成されたセンサ素子21〜2nの透過スペクトルTを求めることができる。
例えば、FBGの長さLを2.08000mm、FBGの屈折率変化量Δnを0.0006、格子ピッチΛを537nm、FBG間の格子の描画されていない部分の実際の長さLを90.000μm、FBGの実効屈折率nを1.4493とすると、ファブリペロー構成されたセンサ素子の反射波長帯域は850pmであり、その帯域内の透過スペクトルの半値全幅は10pm、その中心波長は1556.476nmである。
数式(4−4)で示されるファブリペローエタロンを構成するFBGの帯域幅BWと数式(6−5)で示されるファブリペローエタロンのフリースペクトルレンジFSRとの関係を数式(7)で示す。数式(4−3)で示されるFBGの反射中心波長λと、数式(6−4)で示されるファブリペローエタロンのピーク波長Lとの関係は数式(8−1)、すなわち、数式(8−2)から求めることができる。
【0040】
【数7】

【0041】
【数8】

【0042】
数式(7)及び数式(8−2)が同時に成り立つように設計諸元を設定すればファブリペローエタロンの透過帯域の中央に1本の線スペクトルだけが現れることになる。さらに、センサ素子の透過スペクトルがシフトしても、その線スペクトルの中心波長を検出することができる。
この理由を数式を使って次に説明する。数式(6−4)で示されるファブリペローエタロンの中心波長の温度Tあるいは歪εが変化した場合、それにより生ずる中心波長の変化Δλは数式(9)で求められる。
【0043】
【数9】

【0044】
同様に、ファブリペローエタロンを構成するFBGの中心波長の変化Δλbeは数式(10−1)で求められる。
ここで、数式(8−1)を考慮すれば、数式(10−2)を得ることができる。
【0045】
【数10】

【0046】
以上のことから、センサ素子21〜2nから透過される光の透過スペクトルの半値全幅を従来の反射スペクトルの半値全幅より小さくでき、しかも、さらに温度あるいは歪が変化しても、理論的に常にエタロンの透過帯域の中心波長に線スペクトルの中心波長が位置することを理論的に示すことができた。
【0047】
従って、第1実施形態では次の作用効果を奏することができる。
(1)互いにファブリペローエタロンを構成する近接配置されたFBG対のセンサ素子21〜2nを備えて波長検波型光ファイバセンサ2を構成した。一般に、ファブリペローエタロンを構成するミラーの反射率を高めればその透過スペクトルの半値全幅を狭くできることはよく知られている。従って、FBGに高い反射率のものを用いることにより、センサ素子21〜2nの半値全幅を狭くでき、測定分解能を向上させることができる。例えば、一定の歪みの下で、10秒ごとに20回中心波長を測定し、その中心波長のデータを記録したところ、本実施形態では、最も長い波長のデータと最も短い波長のデータとの差は1pmであり、波長再現性が1pmであったが、従来例1では、最も長い波長のデータと最も短い波長のデータとの差は5pmであり、波長再現性が5pmであった。
【0048】
(2)広帯域光源10と、この広帯域光源10から出射される光が入射するセンサ素子21〜2nを有する波長検波型光センサ2と、この波長検波型光センサ2に入射された光の透過光を入射するとともに透過光の波長を検波する波長検波手段3とを備えて光ファイバセンサシステムを構成したから、測定精度の高い光ファイバ計測装置を提供することができる。
【0049】
(3)センサ素子21〜2nは、それぞれ中心波長λ1〜λnの変化波長領域が異なるため互いに干渉することはなく、被測定物の異なる位置での物理量変化を正確に測定することができる。
【0050】
(4)波長検波手段3は、センサ素子21〜2nからの透過光を波長毎に分波するAWG31と、このAWG31で分波された信号に基づいて各センサ素子21〜2nで検出される波長を演算する演算回路32とを備えているから、AWG31のチャンネル数が1000を超えるものも知られていることを考慮すれば多数のセンサ素子にも対応したセンサシステムを提供できる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態を図3から図5に基づいて説明する。第2実施形態では掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41が用いられている。この掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41を用いてFBGセンサ21〜2nからの波長検波を行う方法は非特許文献1の論文「Alan D.kersy, Mihael A. Davis, Heather j. Patric, Michel LeBlanc, K. P. Koo, C. G.Askins, M. A. Putnam, and E. Joseph Friebele, “Fiber Bragg Sensors,”Journal of Lightwave Technology, Vol. 15, No.8 1997」により知られている。しかし、非特許文献1には、本実施形態のファブリペローエタロンを構成するFBG対からなるセンサに対して掃引型ファブリペロー干渉フィルタを用いて当該センサの中心波長を求める方法については何ら開示されていない。
【0052】
第2実施形態は第1実施形態とは波長検波手段の構成が異なるもので、他の構成は第1実施形態と同じである。
図3は第2実施形態にかかる光ファイバセンサシステムの概略構成図である。
図3において、光ファイバセンサシステムは、広帯域光源10と、この広帯域光源10から出射された光が通過する光ファイバFと、光ファイバFに設けられた波長検波型光センサ2と、この波長検波型光センサ2から透過した透過光を検波する光波長検波手段4とを備えた構成である。
【0053】
光波長検波手段4は、センサ素子21〜2nから透過された光を入力する掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41と、この掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41の出力CHに対向して配置されたフォトダイオード4Fと、このフォトダイオード4Fに接続されたプリアンプ4Aと、このプリアンプ4Aから出力されたアナログ信号を2値信号に変換する2値化回路4Bと、この時系列の2値信号を受信する光スペクトルパターン認識回路42と、掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41を駆動するピエゾ素子PZTと、ピエゾ素子PZTを駆動するために発信器44からのパルス信号を受けてパルス数を計数する計数カウンタ43と、この計数カウンタ43の出力を受け該計数値に対応したアナログ電圧を出力するデジタルアナログ変換器45とを備えて構成される。
光スペクトルパターン認識回路42は発信器44からのパルス信号と、2値化回路4Bからの2値信号とを受信する。2値信号は時系列信号であってそのタイミングは発信器44からのパルス信号で規定される。
【0054】
図4は第2実施形態における広帯域光源の出射スペクトルと掃引型ファブリペロー干渉フィルタへの入射スペクトルの関係を示す図である。図4(A)に示されるスペクトルの光が広帯域光源10から入射されると、この光がセンサ素子21、センサ素子22、センサ素子23、……、センサ素子2n-1、センサ素子2nを透過した後、掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41に入射される。掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41に入射される光はセンサ素子21〜2nから出射される光であり、図4(B)に示される通り、図2(B)と同様なスペクトルとなる。
図5は(A)に発信器44の出力パルス信号が示され、(B)に同パルス信号を計数する計数カウンタ43により駆動されるデジタルアナログ変換器45の鋸波状出力電圧が示され、(D)に2値信号波形が示され、(C)に、該鋸波状電圧により駆動される掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41の透過スペクトルが模式的に時系列に示されている。
【0055】
つまり、光スペクトルパターン認識回路42では、センサ素子21〜2nから透過された光が掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41に入力されると、ピエゾ素子PZTに入力されるデジタルアナログ変換器45の鋸波状出力電圧と掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41の通過中心波長が発信器44によってリンクしているので、センサ素子21〜2nの中心波長は鋸波電圧を観測することで分かる。
例えば、掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41の中心波長が短波長から長波長に変化した際、前記2値信号波形が「0,0,0・・・・0,1,0,0,0,0」となる信号波形パターンにより「1」となった波長を図4(B)で示される鋸波電圧から判定する。この判定された波長がセンサ素子21〜2nの中心波長である。
これに対して例えば「0,・・・・0,0,0,1,1,1,1,0,0,0」となるような信号波形パターンは、センサ素子21〜2nの中心波長ではないと判定する。即ち、「1」が所定の回数以下の場合がセンサ素子21〜2nからの信号スペクトルと判定し、「1」を与える波長をセンサ素子21〜2nの中心波長と判定する。この所定の回数が1回の場合には、波長は具体的に決定されるが、この所定の回数Nが2以上、例えば5であって計測した実際の「1」の数が3の場合は、これら3個の波長の平均値を測定波長とする。
なお、光スペクトルパターン認識回路42は、1の両脇に0がいくつか存在するパターンを抽出し、その1に相当する波長を、前記鋸波電圧をベースに決定するものであるが、一般に使用されているマイクロコンピュータを用いればこれを実現できる。さらに、計数カウンタ43の計数値がそのカウンタの最高計数値の場合には、ピエゾ素子PZTにより掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41の透過帯域は最も長波長側(短波長側)に設定され、次のカウンタ43への入力パルス信号で計数カウンタはイニシャル状態になりピエゾ素子PZTにより掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41の透過帯域は最も短波長側(長波長側)に設定されるようになっている。
【0056】
第2実施形態では、第1実施形態の(1)〜(3)と同様の効果を奏することができる他、次の作用効果を奏することができる。
(5)光波長検波手段4は、センサ素子21〜2nから透過された光を入力する掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41と、この掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41の出力チャンネルCHに対向して配置されたフォトダイオード4Fと、このフォトダイオード4Fに接続されたプリアンプ4Aと、プリアンプ4Aの出力を2値化する2値化回路4Bと、この2値化回路4Bから出力される2値信号を受信する光スペクトルパターン認識回路42と、掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41駆動のためのピエゾ素子PZTと、発信器44からのパルス数を計数する計数カウンタ43と同カウンタの出力を受けてピエゾ素子PZTを駆動するための鋸波電圧発生用デジタルアナログ変換器45とを備えて構成されている。そして光スペクトルパターン認識回路42は発信器44の出力パルス信号と前記2値信号を受信し、予め記憶された信号パターンから各センサ素子21〜2nからの中心波長を認識する構成である。各センサ素子21〜2nのスペクトルの中心波長は「0,0,0,・・・0,0,1,0,0,0,・・・」というような信号のデータ処理により抽出されるので、AWG31により測定範囲が決まる第1実施形態に比べ、測定範囲は格段に広くなるという効果を奏することができる。
【0057】
次に、本発明の第3実施形態を図6及び図7に基づいて説明する。
第3実施形態は第1実施形態とは光源及び光波長検波手段の構成が異なるもので、他の構成は第1実施形態と同じである。
図6は、第3実施形態にかかる波長検波型光ファイバセンサシステムの概略構成図である。
図6において、波長検波型光ファイバセンサシステムは、光源としての可変波長レーザ11と、この可変波長レーザ11から入射された光が通過する光ファイバFと、光ファイバFに設けられた波長検波型光センサ2と、この波長検波型光センサ2から透過した透過光を検出する光波長検波手段5とを備えた構成である。可変波長レーザを用いたセンサ素子からの波長検波方法はFBGセンサに対しては非特許文献1の論文「Alan D.kersy, Mihael A. Davis, Heather j. Patric, Michel LeBlanc, K. P. Koo, C. G.Askins, M. A. Putnam, and E. Joseph Friebele, “Fiber Bragg Sensors,”Journal of Lightwave Technology, Vol. 15, No.8 1997」により知られている。しかし、非特許文献1には、本実施形態のファブリペローエタロンを構成するFBG対からなるセンサに対して可変波長レーザを用いて該センサの中心波長を求める方法は知られていない。
【0058】
光波長検波手段5は、センサ素子21〜2nから透過された光を入力するフォトダイオード5Fと、このフォトダイオード5Fに接続されたプリアンプ5Aと、プリアンプ5Aから出力されたアナログ信号をデジタルの2値信号に変換する2値化回路5Bと、この2値化回路5Bから出力されるデジタル信号を受信する光スペクトルパターン認識回路52と、この光スペクトルパターン認識回路52と可変波長レーザ11とにパルス信号を送る発信器54とを備えている。可変波長レーザ11は内部に計数カウンタを持ち入力されたパルス数に対応したレーザ光を出射するようになっており計数カウンタがそのカウンタの最高計数値のときに該レーザの発振波長が可変範囲で最も長波長になるように設定されており次のパルスが入力されるとカウンタ計数値はゼロに戻り出射される波長はその可変範囲で最も短波長になる。そして、さらに、パルスが入力されると1パルスずつ長波長側に発振波長が移っていく。認識回路52の内部にも可変波長レーザの場合と同様に計数カウンタが内蔵されており、その計数値はレーザ発振波長に対応している。これによりレーザ発振波長に対応した2値信号が光スペクトルパターン認識回路52で処理され各センサ素子の波長が確定される。
すなわち、光スペクトルパターン認識回路52は発信器54からのパルス信号と、2値化回路5Bからの信号を受信することにより、予め記録された信号パターンから各センサ素子21〜2nからの検波波長を確定する。
【0059】
図7は第3実施形態における可変波長レーザの出射スペクトルとセンサ素子からの出射スペクトルとの関係を示す図である。図7(A)に示される通り、可変波長レーザ11から光が光ファイバFに入射されると、この光がセンサ素子21、センサ素子22、センサ素子23、……、センサ素子2n-1、センサ素子2nを透過する。この時センサ素子21〜2nから透過されるスペクトルは図7(B)に示される通りである。
【0060】
光スペクトルパターン認識回路52は、例えば以下のように動作する。センサ素子21〜2nからの出射光はフォトダイオード5F及びプリアンプ5Aを経由して2値化回路5Bに送られ、この2値化回路5Bにより、レーザ中心波長が短波長から長波長に変化した際、「0,・・・・0,0,0,1,0,0,0,0, ・・・・」となるデータパターンにおいて「1」に対応する波長をセンサ素子からの中心波長と判定する。
これに対して、例えば「0,・・・・0,1,1,1,1,1,1,1,1,1,0,0,0,0, ・・・・」となるようなデータパターンは、センサ素子21〜2nの中心波長ではないと判定する。即ち、「1」が一定回数以下の場合がセンサ素子21〜2nからの信号スペクトルと判定する。この所定の回数が1回の場合には、波長は具体的に決定されるが、この所定の回数Nが2以上、例えば5であって、計測した実際の「1」の数が3の場合は、これら3個の波長の平均値を測定波長とする。この光スペクトルパターン認識回路52は、一般に使用されているマイクロコンピュータを用いればこれを実現できる。なお、アナログ信号をデジタル信号に変化するために第2実施形態、第3実施形態では2値化回路を用いているが、この2値化回路の代わりに、多ビットのアナログデジタル変換器を用いればさらに高精度なスペクトルパターンの認識ができる。
【0061】
従って、第3実施形態では、前記実施形態の(1)〜(3)と同様の効果を奏することができる他、次の作用効果を奏することができる。
(6)光検波手段5は、センサ素子21〜2nから透過された光を入力するフォトダイオード5Fと、このフォトダイオード5Fに接続されたプリアンプ5Aと、プリアンプ5Aから出力されたアナログ信号を2値化する2値化回路5Bと、この2値化回路5Bから出力されるデジタル信号を受信する光スペクトルパターン認識回路52と、この内部に直列パルス入力/並列出力の計数カウンタを内蔵しこの計数値に対応したレーザ発振波長算出部を備えた光スペクトルパターン認識回路52と内部に直列パルス入力/並列出力の計数カウンタを内蔵しこの計数値に対応した波長の光を出力する可変波長レーザ11とにパルス信号を送る発信器54とを備え、光スペクトルパターン認識回路52は発信器54からのパルス信号と2値化回路5Bからの信号とを受信し、予め記録された信号パターンから各センサ素子21〜2nからの検波信号を認識する構成としたから、第2実施形態と同様に、各センサ素子21〜2nのスペクトルの中心波長は「0,・・・・0,0,0,1,0,0,0,0, ・・・・」のデータ系列を信号処理することにより抽出されるので、測定範囲が広くなるという効果を奏することができる。
【0062】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、光源は常時点灯している前提であるが、光源の実質的な寿命を延ばすために測定したい場合だけ光源を点灯する構成であってもよいことは自明である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、ビル、鉄橋、トンネル、原子力発電所を含む発電所等の建築構造物において、例えば耐震性能の劣化を地震発生前に検出し修理するためのヘルスモニタリング分野や、あるいは、船舶、航空機、ロケットなどの大型構造物の各所の歪を常時計測し歪が一定以上の値になり構造物が突然破壊することを事前に予測する予防保全分野や、さらには、化学プラント、石油精製プラント等の爆破の可能性のあるプラントの各所の温度を測定するプラント計装分野等に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…広帯域光源、11…可変波長レーザ(光源)、2…波長変化型光センサ、3,4,5…光波長検波手段、21〜2n…センサ素子、31…アレイ導波路格子(AWG)、32…演算回路、42,52…光スペクトルパターン認識回路、FBG…ファイバ・ブラッグ・グレーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射される光が入射するとともに透過光が光検出手段で検出されかつ被測定物に設置される波長検波型光センサシステムであって、
互いに近接配置されたファブリペローエタロンを構成するファイバ・ブラッグ・グレーティング対からなるセンサ素子を備えた
ことを特徴とする波長検波型光ファイバセンサシステム。
【請求項2】
請求項1に記載された波長検波型光ファイバセンサシステムにおいて、
前記ファブリペローエタロンは、反射波長帯域中に1本の透過線スペクトルのみが生じるようにするために、反射波長帯域BWはフリースペクトルレンジFSRの倍より狭くなるようにする
ことを特徴とする波長検波型光ファイバセンサシステム。
【請求項3】
請求項2に記載された波長検波型光ファイバセンサシステムにおいて、
前記ファイバ・ブラッグ・グレーティング対は、同一波長スペクトル特性であり、物理的長さが同一であり、かつ、実効長Leとファイバ・ブラッグ・グレーティングの格子ピッチΛ及びファイバ・ブラッグ・グレーティング対間のグレーティングの書かれていない光ファイバの長さLgとの関係がLg=mΛ−2Le(mは自然数)を満たすようにファイバ・ブラッグ・グレーティングの反射中心波長に透過線スペクトルの波長を一致させる
ことを特徴とする波長検波型光ファイバセンサシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載された波長検波型光ファイバセンサシステムにおいて、
前記センサ素子に光を入射させる光源と、前記センサ素子に入射された光の透過光を入射するとともに前記透過光を検出する光波長検波手段とを備えた
ことを特徴とする波長検波型光ファイバセンサシステム。
【請求項5】
請求項4に記載された波長検波型光ファイバセンサシステムにおいて、
前記センサ素子は、それぞれ中心波長の変化波長領域が異なり直列に接続されている
ことを特徴とする波長検波型光ファイバセンサシステム。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載された波長検波型光ファイバセンサシステムにおいて、
前記光波長検波手段は前記センサ素子からの透過光を入力するとともに波長領域毎に分波するアレイ導波路格子と、このアレイ導波路格子で分波された前記センサ素子からの信号に基づいて各センサ素子で検出される波長を演算する演算回路とを備えた
ことを特徴とする波長検波型光ファイバセンサシステム。
【請求項7】
請求項4又は請求項5に記載された波長検波型光ファイバセンサシステムにおいて、
前記光波長検波手段は、前記センサ素子から透過された光に基づく信号を受信するとともに予め記憶された信号パターンから前記センサ素子からの検波信号を認識する光スペクトルパターン認識回路を備えた
ことを特徴とする波長検波型光ファイバセンサシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−149875(P2011−149875A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12506(P2010−12506)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【出願人】(000150707)長野計器株式会社 (62)
【Fターム(参考)】